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特許7350190耐久性が向上した繊維補強高分子ストリップ及びこれを利用した格子状ジオグリッド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】耐久性が向上した繊維補強高分子ストリップ及びこれを利用した格子状ジオグリッド
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/08 20060101AFI20230915BHJP
   B29C 48/03 20190101ALI20230915BHJP
   B29C 48/154 20190101ALI20230915BHJP
【FI】
B29C65/08
B29C48/03
B29C48/154
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022549397
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 KR2021000741
(87)【国際公開番号】W WO2021167253
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-08-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0019162
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518048053
【氏名又は名称】ヒューヴィス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HUVIS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】(Nonhyeon-dong)343, Hakdong-ro, Gangnam-gu, Seoul 06060 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユン、カン チョン
(72)【発明者】
【氏名】クォン、オ ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】ソンウ、イェ リム
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-0608441(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0224141(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1781938(KR,B1)
【文献】特開2002-363962(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0065824(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00-65/82
B29C 48/00-48/96
B29C 70/00-70/88
E04C 5/07
D03D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強材である多数の繊維集合体と、
前記繊維集合体中の繊維を被覆する被覆材である熱可塑性高分子樹脂と、
前記補強材表面に位置し、前記繊維と前記熱可塑性高分子樹脂との接着を強化する、接着パウダーを利用した接着材と
で構成された耐久性が向上した繊維補強高分子ストリップ。
【請求項2】
前記繊維集合体は、互いに独立してポリエステル繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、バサルト繊維、ステンレス鋼繊維、銅繊維及び無定形金属繊維からなる群より選択された1種の繊維またはこれらのうち2種以上の繊維が合糸された合糸繊維であることを特徴とする請求項1に記載の耐久性が向上した繊維補強高分子ストリップ。
【請求項3】
前記熱可塑性高分子樹脂は、互いに独立して溶融指数(MI)が1~35であるポリオレフィン系樹脂、固有粘度(IV)が0.64~1.0であるポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)、ポリアミド(polyamides)、ポリアクリレート(polyacrylates)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリカーボネート(polycarbonates)、ポリビニルクロリド(polyvinylechloride)、ポリスチレン(polystyrene)及びポリブタジエン(polybutadiene)からなる群より選択された1種の樹脂またはこれらのうち2種以上の樹脂が混合した混合樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の耐久性が向上した繊維補強高分子ストリップ。
【請求項4】
前記接着パウダーは、テレフタル酸60~90モル%とイソフタル酸10~40モル%で組成されたジカルボン酸とエチレングリコール60~100モル%とジエチレングリコール0~40モル%で組成されたジオールが共重合した低融点共重合ポリエステル樹脂を粉末化したもので、
ガラス転移温度(Tg)が50℃以上で、硬度(Shore D)が80以上であり、軟化点が80~140℃であることを特徴とする請求項1に記載の耐久性が向上した繊維補強高分子ストリップ。
【請求項5】
前記繊維補強高分子ストリップは、所定間隔を置いて多数の経方向及び緯方向に平行に配置され、
前記多数の経方向繊維補強高分子ストリップのそれぞれは、前記緯方向繊維補強高分子ストリップのうち一つと上面で交差する第1接点と前記緯方向繊維補強高分子ストリップのうち他の一つと下面で交差する第2接点を少なくとも一つ以上ずつ含み、
前記接点は、接点領域の経方向繊維補強高分子ストリップの熱可塑性高分子樹脂と緯方向繊維補強高分子ストリップの熱可塑性高分子樹脂が互いに融着して固定されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の耐久性が向上した繊維補強高分子ストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐久性が向上した繊維補強高分子ストリップ及びこれを利用した格子状ジオグリッドに関するもので、繊維補強高分子ストリップの製造時に補強繊維の周りにポリエステル系接着パウダーを塗布して、上記補強繊維に被覆される高分子樹脂と接着力が強化されて自体耐久性が向上し、またこれを利用した格子状ジオグリッドは、接点強力が向上するという特徴がある。
【背景技術】
【0002】
本発明は、土木用補強資材として主に使用されるジオグリッド及びその製造方法に関するものである。
【0003】
ジオグリッドは、土木工事時に擁壁補強、四面補強、地盤補強などの用途で使用されているが、高い引張力、低い引張変形率とクリープ変形特性の他に耐施工性、摩擦特性及び形態安定性などの物性が要求される。ジオグリッドは、製造方法及び材料によってプラスチックジオグリッドとテキスタイルジオグリッドに区分される。
【0004】
プラスチックジオグリッドは、圧出器を通じて圧出された高分子シートをローラーに通過させて一定間隔で穴をあけた後、一軸または二軸に延伸させて製造するか(GB 19890020843号参照)、高分子樹脂をストリップ形態で圧出延伸した経方向ストリップと緯方向ストリップを平面的な格子形態に作った後、これらをレーザーまたは摩擦熱を利用して接着させる方法で製造する(GB 2266540参照)。しかし、プラスチックジオグリッドは、素材特性上、長期間荷重を付与するとクリープ変形が大きく起こるため、補強構造物の安定性が低下するという問題が発生するおそれがある。
【0005】
テキスタイルジオグリッドは、高強度繊維を利用して格子形態の織物を製織した後、ポリビニルクロリド、瀝青、アクリール、ラテックス及びゴム系樹脂などで被覆して製造する。テキスタイルジオグリッドは、高強度繊維を使用するため、引張強力とクリープ特性に優れるものの、施工時の土質の状態によってジオグリッドが損傷を被る可能性が高いため、耐施工性が低下し製造工程が複雑であり経済的にも好ましくない。
【0006】
一方、WO99/28563号には、繊維補強高分子ストリップを経方向ストリップにし、熱可塑性高分子樹脂ストリップを緯方向ストリップにして格子形態で接着させたジオグリッドの製造方法が開示されている。前述した特許において、ジオグリッドは、経方向繊維補強高分子ストリップが移動する途中に熱可塑性高分子樹脂を圧出、挿入して緯方向ストリップを形成しながら接着させ、緯方向ストリップには繊維補強高分子ストリップを挿入することができると記載されている。しかし、かかる方法で繊維補強高分子ストリップを接着させる場合に高分子内に存在する補強繊維が損傷を受けて物性が低下するだけでなく、経方向高分子ストリップと緯方向高分子ストリップがいずれも溶溶状態ではないため、ストリップ間に完全な接着が行われない。また、前述した特許のジオグリッドは平面的な構造であるため、摩擦特性と垂直荷重に対する形態安定性が不良であるという問題点がある。
【0007】
また、既存のジオグリッドの繊維補強高分子ストリップの製造方法において、内部補強材である多数の繊維集合体に被覆材である熱可塑性高分子樹脂を溶融状態で供給する場合は、補強材の種類によって接着力が低くなる可能性があり、格子状ジオグリッドの接点強力に問題が生じるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が達成しようとする技術的課題は、従来技術の問題点を解決し、補強材及び被覆材の接着力が向上したジオグリッドの繊維補強高分子ストリップを提供することにある。
【0009】
また、本発明は、耐施工性、摩擦特性及び形態安定性に優れるだけでなく、高い引張強力及び低い引張変形率とクリープ(creep)変形特性を表すことができるジオグリッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような問題点を解決するために、本発明は、補強材である多数の繊維集合体と、被覆材である熱可塑性高分子樹脂と、前記補強材表面に接着パウダーを利用した接着材とで構成された耐久性が向上した繊維補強高分子ストリップを提供する。
【0011】
また、本発明の繊維集合体は、互いに独立してポリエステル繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、バサルト繊維、ステンレス鋼繊維、銅繊維及び無定形金属繊維からなる群より選択された1種の繊維またはこれらのうち2種以上の繊維が合糸された合糸繊維であることを特徴とする耐久性が向上した繊維補強高分子ストリップを提供する。
【0012】
また、本発明の熱可塑性高分子樹脂は、互いに独立して溶融指数(MI)が1~35であるポリオレフィン系樹脂、固有粘度(IV)が0.64~1.0であるポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)、ポリアミド(polyamides)、ポリアクリレート(polyacrylates)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリカーボネート(polycarbonates)、ポリビニルクロリド(polyvinylechloride)、ポリスチレン(polystyrene)及びポリブタジエン(polybutadiene)からなる群より選択された1種の樹脂またはこれらのうち2種以上の樹脂が混合した混合樹脂であることを特徴とする耐久性が向上した繊維補強高分子ストリップを提供する。
また、本発明の接着パウダーは、テレフタル酸60~90モル%とイソフタル酸10~40モル%で組成されたジカルボン酸とエチレングリコール60~100モル%とジエチレングリコール0~40モル%で組成されたジオールが共重合した低融点共重合ポリエステル樹脂を粉末化したもので、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上で、硬度(Shore D)が80以上であり、軟化点が80~140℃であることを特徴とする耐久性が向上した繊維補強高分子ストリップを提供する。
【0013】
また、本発明の繊維補強高分子ストリップは、所定間隔を置いて多数の経方向及び緯方向に平行に配置され、前記多数の経方向繊維補強高分子ストリップのそれぞれは、前記緯方向繊維補強高分子ストリップのうち一つと上面で交差する第1接点と前記緯方向繊維補強高分子ストリップのうち他の一つと下面で交差する第2接点を少なくとも一つ以上ずつ含み、前記接点は、接点領域の経方向繊維補強高分子ストリップの熱可塑性高分子樹脂と緯方向繊維補強高分子ストリップの熱可塑性高分子樹脂が互いに融着して固定されたことを特徴とする格子状ジオグリッドを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、繊維補強高分子ストリップの製造時に補強繊維の周りに接着パウダーを塗布して前記補強繊維に被覆される高分子樹脂と接着力が強化されて自体耐久性が向上するという特徴がある。
【0015】
本発明のジオグリッドは、経方向繊維補強高分子ストリップと緯方向高分子ストリップが上下に交差してその交差接点が互いに融着、固定されることで、土などの補強対象材料との摩擦力と垂直荷重に対する抵抗性が増大するため、形態安定性と耐施工性に優れるだけでなく、高分子樹脂の内部に繊維で補強された繊維補強高分子ストリップを使用することで、高い引張強力、低い引張変形率とクリープ(creep)変形特性を表す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の好ましい実施例を例示するものであり、後述する発明の詳細な説明と共に本発明の技術思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明はかかる図面に記載された事項のみに限定して解釈されてはならない。
【0017】
図1】本発明の好ましい一実施例によるジオグリッドを示した平面図である。
図2】本発明の好ましい一実施例によるジオグリッドの一部を拡大して示した部分拡大斜視図である。
図3】本発明の好ましい実施例による繊維補強高分子ストリップ製造装置の構成を概略的に示した図面である。
図4】本発明の好ましい実施例による繊維補強高分子ストリップ製造装置の圧出部に対する構成を概略的に示した図面である。
図5a】本発明の好ましい実施例によるジオグリッド製造装置の概略的な構成を示した平面図及び側面図である。
図5b】本発明の好ましい実施例によるジオグリッド製造装置の概略的な構成を示した平面図及び側面図である。
図6】本発明の好ましい実施例によるジオグリッド製造装置においてストリップ配列手段の構成を概略的に示した斜視図である。
図7a】本発明の好ましい実施例にジオグリッド製造装置において溶着部の構成を概略的に示した側面図及び平面図であって、第1溶着器の構成を示した図面である。
図7b】本発明の好ましい実施例にジオグリッド製造装置において溶着部の構成を概略的に示した側面図及び平面図であって、第1溶着器の構成を示した図面である。
図7c】本発明の好ましい実施例にジオグリッド製造装置において溶着部の構成を概略的に示した側面図及び平面図であって、第2溶着器の構成を示した図面である。
図7d】本発明の好ましい実施例にジオグリッド製造装置において溶着部の構成を概略的に示した側面図及び平面図であって、第2溶着器の構成を示した図面である。
図8a】本発明の好ましい実施例によってストリップ配列手段で繊維補強高分子ストリップをバンディングする過程を示す概略的な側面図である。
図8b】本発明の好ましい実施例によってストリップ配列手段で繊維補強高分子ストリップをバンディングする過程を示す概略的な側面図である。
図8c】本発明の好ましい実施例によってストリップ配列手段で繊維補強高分子ストリップをバンディングする過程を示す概略的な側面図である。
図9】本発明の好ましい実施例によって繊維補強高分子ストリップでジオグリッドを製造する過程を示すフローチャートである。
図10a】本発明のまた他の好ましい実施例によるストリップ配列手段の構成とそれにより配列された繊維補強高分子ストリップの形状を示す図面である。
図10b】本発明のまた他の好ましい実施例によるストリップ配列手段の構成とそれにより配列された繊維補強高分子ストリップの形状を示す図面である。
図10c】本発明のまた他の好ましい実施例によるストリップ配列手段の構成とそれにより配列された繊維補強高分子ストリップの形状を示す図面である。
図10d】本発明のまた他の好ましい実施例によるストリップ配列手段の構成とそれにより配列された繊維補強高分子ストリップの形状を示す図面である。
図11a】繊維補強高分子ストリップの多様な形状に対する例を示す断面図である。
図11b】繊維補強高分子ストリップの多様な形状に対する例を示す断面図である。
図11c】繊維補強高分子ストリップの多様な形状に対する例を示す断面図である。
図12】従来のジオグリッド格子状を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。先ず、本発明を説明するにあたって、関連の公知機能あるいは構成に対する具体的な説明は、本発明の要旨を曖昧にしないために省略する。
【0019】
本明細書において使用される程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造及び物質許容誤差が提示される時にその数値でまたはその数値に近接した意味で使用され、本発明の理解を助けるために正確であるか絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。
【0020】
本発明は、補強材である多数の繊維集合体と、被覆材である熱可塑性高分子樹脂と、前記補強材表面に接着パウダーを利用した接着材とで構成された耐久性が向上した繊維補強高分子ストリップに関する。
【0021】
接着パウダー(ホットメルト接着剤)は、水や溶剤を全く使用せず、加熱溶融状態で被着材表面に塗布及び接着した後、冷却すれば固化して接着される無公害熱溶融型接着剤である。
【0022】
一般的なホットメルト接着パウダーは、自動車の部品などに多く使用されて基材と基材を接着させる機能をする。種類としては、オレフイン(Olefin)系、アマイド系、ポリエステル系がある。
【0023】
本発明において、接着パウダーは、ポリエステル系が好ましく、テレフタル酸60~90モル%とイソフタル酸10~40モル%で組成されたジカルボン酸とエチレングリコール60~100モル%とジエチレングリコール0~40モル%で組成されたジオールが共重合した低融点共重合ポリエステル樹脂を粉末化したもので、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上で、硬度(Shore D)が80以上であり、軟化点が80~140℃である。
【0024】
前記低融点共重合ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸とジオールを共重合し、前記ジカルボン酸は、テレフタル酸60~90モル%とイソフタル酸10~40モル%、前記ジオールは、エチレングリコール60~100モル%とジエチレングリコール0~40モル%で構成されることができる。
【0025】
前記テレフタル酸は、そのエステル形成誘導体またはこれらの混合物も使用可能であり、前記イソフタル酸も、そのエステル形成誘導体またはこれらの混合物も使用可能である。
【0026】
また、重合工程において、最終重合体の重量に対してアンチモン系触媒は、金属アンチモンを基準として100~500ppmを投入し、溶融重合温度は255~285℃範囲で行うことが好ましい。アンチモン触媒としては、アンチモントリオキシド(ATO)またはアンチモントリグリコレート(ATG)などがあり、重合工程は、公知のポリエステル重縮合触媒を投入して行うことができる。上述した原料の他にも、酸化安定剤、消光剤、着色防止剤などの各種の添加剤の投入が可能である。
【0027】
上記のような方法で製造される低融点共重合ポリエステル系樹脂は、常温で凝固して固体化される。以後、粉砕機で常温で粉砕して粉末パウダーに作る。
【0028】
本発明の接着ポリエステル系接着パウダーは、軟化点が80~140℃、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上、硬度(Shore D)が80以上であり、メルトフローレートが5~40g/10分であり(190℃、2.16kg条件)、粒子大きさは50~1,500μmであることが好ましい。
【0029】
ここで、メルトフローレートが5g/10分未満の場合、加熱溶融工程で接着パウダーの流れが円滑でなく高い接着力を期待し難く、メルトフローレートが40g/10分を超える場合、不織布内部に溶融した接着パウダーが流れ込み過ぎて相対的に接着力が低くなるおそれがある。
【0030】
接着パウダーは、軟化点が80~140℃で、80℃以下の場合は高温における貯蔵安定性が落ち、140℃以上の場合は接着温度の増加及び工程温度が増加するにつれて、工程費用の増加と基材損傷が起こるおそれがある。ガラス転移温度(Tg)が50℃以下である場合、高温貯蔵安定性が非常に落ちるため、夏季に海外輸出で移送する時、パウダーの融着が起こるおそれがある。硬度(Shore D)が80以下である場合、成形性が落ちるという問題がある。
【0031】
また、本発明の常温粉砕が可能なホットメルト接着パウダーは、粒子大きさが50~1,500μmであることが好ましい。粒子大きさが50μm未満の場合は、接着パウダーの散布時に補強材である繊維集合体に吸収される量が多くなり、接着パウダーの使用量が増加し、粒子大きさが1,500μmを超える場合、接着パウダーの均一な散布が難しく、加熱による溶融が円滑でないため高い接着力を期待し難い。
【0032】
高分子樹脂の内部に繊維で補強された繊維補強高分子ストリップを利用したジオグリッドは、高い引張強力、低い引張変形率とクリープ(creep)変形特性を表して耐施工性が向上する。ジオグリッドの引張強力と接点強力及び製造工程性を考慮すると、繊維補強高分子ストリップの横断面を四角状に形成する場合、その幅と厚さはそれぞれ2~30mm及び1~10mm、さらに好ましくは、それぞれ3~20mm及び1.5~5mmに調節することが好ましく、繊維補強高分子ストリップの横断面を円状に形成する場合は、直径が2~20mm、さらに好ましくは4~15mmに調節することが好ましい。
【0033】
前記繊維補強高分子ストリップ1、2を構成する熱可塑性高分子樹脂110としては、外部から補強繊維100を充分に保護することができ、相互熱融着が可能な熱可塑性樹脂が採用されるが、例えば、溶融指数(MI)が1~35であるポリオレフィン系樹脂、固有粘度(IV)が0.64~1.0であるポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)、ポリアミド(polyamides)、ポリアクリレート(polyacrylates)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリカーボネート(polycarbonates)、ポリビニルクロリド(polyvinylechloride)、ポリスチレン(polystyrene)、ポリブタジエン(polybutadiene)などの樹脂を単独でまたはこれらを混合して使用することができる。また、繊維補強高分子ストリップ1、2を構成する補強繊維100としては、高い引張強力、低い引張変形率とクリープ(creep)変形特性を有する高強度繊維であればいずれも使用可能であるが、例えば、ポリエステル繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、バサルト繊維、ステンレス鋼繊維、銅繊維、無定形金属繊維などを単独でまたはこれらを1種以上合糸して使用することができる。補強繊維の機能を充分に発揮させながら熱可塑性高分子樹脂によって補強繊維が充分に保護を受けるようにするためには、経方向繊維補強高分子ストリップと緯方向繊維補強高分子ストリップを構成する繊維の総横断面積が繊維補強高分子ストリップの全体横断面積の20~80%で維持することが好ましい。補強繊維の総横断面積が繊維補強高分子ストリップ全体断面積の20%未満の場合は、補強繊維の補強機能が充分に発揮され難く、80%を超える場合は、高分子層厚さが薄くなり過ぎるため、高分子による補強繊維の集束効果が減少され、補強繊維が充分に保護を受けることができず耐施工性が低下する。
【0034】
図1は、本発明の好ましい一実施例によるジオグリッドを示した平面図である。図1を参照すると、本発明のジオグリッドは、所定間隔を置いて経方向に平行に配置された多数の経方向繊維補強高分子ストリップ1と、所定間隔を置いて緯方向に平行に配置された多数の緯方向繊維補強高分子ストリップ2とで形成された格子状を有する。
【0035】
本明細書及び請求の範囲で使用される「経方向」と「緯方向」は、当該技術分野に属する通常の知識を有する者であれば、相互交差する第1方向と第2方向をそれぞれ意味すると理解されることができる。但し、本発明によると、経方向と緯方向は相互直角で交差するものに限定されず、後述するように、ジオグリッドが荷重を分散させることができ、十分な引抜力が発揮可能な範囲内でその角度が適切に設定されることができる。また、たとえ本明細書では経方向を基準として緯方向に対する交差点を説明したが、これは相対的な概念であり、緯方向に対しても同一に適用可能なものとして解釈されるべきである。
【0036】
本発明によると、経方向繊維補強高分子ストリップ1と緯方向繊維補強高分子ストリップ2は、上下に交互に交差される。具体的に、図1とその一部拡大斜視図である図2を参照すると、経方向繊維補強高分子ストリップ1は、緯方向繊維補強高分子ストリップ2のいずれか一つ2aとその上面で交差することで第1接点Cをなし、同時に隣合うまた他の緯方向繊維補強高分子ストリップ2bとその下面で交差することで第2接点Cを形成する。かかる方式で全ての経方向繊維補強高分子ストリップ1が緯方向繊維補強高分子ストリップ2に対して第1接点Cと第2接点Cが相互交互に交差すると、図1の実施例として示されたように、第1接点Cと第2接点Cが交互に位置する、いわゆる「平織り構造」のジオグリッドが形成されるが、本発明者によると、この場合、ジオグリッドの物性が最も極大化されることが表れた。
【0037】
本発明のまた他の実施例によると、前記経方向繊維補強高分子ストリップ1は、連続する二つ以上の第1接点Cまたは第2接点Cを含むように緯方向繊維補強高分子ストリップ2と交差されることができるが、かかる実施例は、図10b及び図10dに示されている。すなわち、これらの図面の実施例に示されたジオグリッドにおいて、経方向繊維補強高分子ストリップ1は、第1接点Cの間に連続する二つの第2接点Cを有するか、または連続する三つの第2接点Cを有するように緯方向繊維補強高分子ストリップ2と交差する。
【0038】
このように経方向繊維補強高分子ストリップ1と緯方向高分子ストリップ2が上下に交差して形成されたジオグリッドは、土などの補強対象材料との摩擦力と垂直荷重に対する抵抗性が増大するため、形態安定性と耐施工性が大きく向上する。多数の経方向繊維補強高分子ストリップと緯方向繊維補強高分子ストリップの交差角度は80゜~100゜であることが好ましいが、交差角度が80゜より小さいか100゜より大きい場合は、垂直荷重に対する分散力と引抜力が大きく低下し土木用補強材として使用できないおそれがある。最も好ましい交差角度は90゜である。
【0039】
経方向及び緯方向繊維補強高分子ストリップ1、2は、それぞれ熱可塑性高分子樹脂の内部に補強繊維が挿入された構造であるが、図11a~図11cには、多様な繊維補強高分子ストリップの断面図が図示されている。上記形状は、多数の繊維を集合または分散させた形態と熱可塑性高分子樹脂の圧出ダイ形状を変化させることで多様に得ることができる。例えば、四角形状の横断面を有するように圧出した熱可塑性高分子樹脂110の内部に四角形、楕円形、円形などで多数の繊維を集合させた補強繊維100で補強して繊維補強高分子ストリップ1、2を形成するか(図11a及び図11b)、円状の横断面を有するように圧出した熱可塑性高分子樹脂110の内部に円または楕円状で繊維を集合させた補強繊維100で補強して繊維補強高分子ストリップ1、2を形成することができ(図11c)、その他にも様々な組み合わせによって多様な横断面状を有する繊維補強高分子ストリップの製造が可能である。
【0040】
前記経方向繊維補強高分子ストリップ1と緯方向繊維補強高分子ストリップ2が交差する接点C、Cにある熱可塑性高分子樹脂は互いに融着する。これにより、上下に交差した経方向繊維補強高分子ストリップと緯方向繊維補強高分子ストリップが相互固定するため、垂直荷重に対するジオグリッドの形態安定性が維持されて耐施工性が向上する。
【0041】
前述した構造を有する本発明のジオグリッドにおいて、平行に配置された多数の経方向繊維補強高分子ストリップは、それぞれの経方向繊維補強高分子ストリップの中心ラインを基準として10~100mmの間隔、さらに好ましくは20~80mmの間隔を置いて配置されることが好ましく、平行に配置された多数の緯方向繊維補強高分子ストリップも、それぞれの緯方向繊維補強高分子ストリップの中心ラインを基準として10~100mmの間隔、さらに好ましくは20~80mmの間隔を置いて配置されることが好ましい。
【0042】
繊維補強高分子ストリップの間隔を前述した範囲で維持する時、土壌が分離されず一体化して補強材としての機能が円滑に発揮されることができる。すなわち、繊維補強高分子ストリップ間の間隔が大きくなり過ぎると、構造物が受ける荷重を一様に分散させることができず補強機能が弱化し、繊維補強高分子ストリップ間の間隔が小さくなり過ぎると、上下部層の分離が起こり補強機能がまともに発現されない。
【0043】
本発明によるジオグリッドは、先ず、繊維補強ストリップ製造装置によって繊維補強ストリップを製造し、製造された前記繊維補強ストリップを使用してジオグリッド製造装置によって製造される。以下、各段階別に分けて検討する。
【0044】
<繊維補強ストリップの製造>
本発明の好ましい実施例による繊維補強ストリップ製造装置の概略的構成が図3にその機能別に図示されている。図3を参照すると、本発明の繊維補強ストリップ製造装置は、その内部に補強繊維100が埋め込まれるようにホッパー11を通じて供給される高分子樹脂110を溶融圧出する圧出部10と、前記圧出された樹脂を冷却させる冷却部20とを含む。
【0045】
前記圧出部10は、図4の詳細図から分かるように、供給される補強繊維100の周りに高分子樹脂110を供給して被覆されるようにすることで、繊維補強高分子ストリップを形成するクロスヘッドダイ12と、前記補強繊維100を前記クロスヘッドダイ12に供給する通路を提供すると同時に、前記繊維100から空気を除去するために真空状態を提供するガイドホルダー13と、前記供給される補強繊維100の位置を設定し、その逆流を防止するニップル(Nipple)14を含む。
【0046】
前記クロスヘッドダイ12には、補強繊維100の供給方向に圧出通路12aが形成されており、前記圧出通路12aにはホッパー11に貯蔵された高分子樹脂110が供給される樹脂供給通路12bが連通している。
前記ガイドホルダー13には補強繊維100が供給される繊維供給通路13aが形成されており、前記ガイドホルダー13は、前記繊維供給通路13aが圧出通路12aと連結されるようにクロスヘッドダイ12に結合する。また、前記繊維供給通路13aに供給される補強繊維100の周りを真空状態に作るために、ポンピング手段(図3の13)と連結された真空配管13bが繊維供給通路13aと結合されている。
【0047】
前記ニップル14の中心には、長さ方向にニップル孔14aが形成されており、前記ニップル14は、該ニップル孔14aが前記繊維供給通路13aと連結されるように設置される。前記ニップル14の末端はクロスヘッドダイ12の圧出通路12a内で前記樹脂供給通路12bが連結された地点付近まで延長している。よって、後述するように、ニップル孔14aを通過して出る補強繊維100は、前記樹脂供給通路12bを通じて溶融状態で供給される高分子樹脂110に取り囲まれて被覆される。
【0048】
前記冷却部20は、例えば水のような冷媒が盛られた冷却槽21と前記冷媒の温度を一定に維持させるための恒温調節手段22とを含む。前記圧出部10で圧出されたストリップは、前記冷却槽21に沿って進行しながら水によって冷却されるが、作業によって前記冷却槽21の長さは適切に調節されることができる。
【0049】
図3において、参照符号3は、補強繊維100が積置されているクリール、参照符号4は、前記補強繊維100を圧出部10に供給するフィーダー、4-1は、接着パウダー供給器である。
【0050】
参照符号5は、圧出されて製造された繊維補強ストリップを一定の速度で引っ張るための巻取手段、そして参照符号6は、前記ストリップを一定の長さで巻くためのワインダーを示す。
【0051】
上記のような構成を有する本発明によるストリップ製造装置の動作をみると、先ず、クリール3に積置された補強繊維100がフィーダー4によって圧出部10に供給される。好ましくは、前記フィーダー4による補強繊維の供給速度と巻取手段5によるストリップの巻取速度を同一にすることで、補強繊維100に一定の張力を維持させる。これは、補強繊維100がクロスヘッドダイ12を通過する時に発生する熱収縮を防止するようにすることで、ジオグリッドが土木用補強材料として本来の機能を発揮できるようにする。
【0052】
また、接着パウダー供給器4-1は、フィーダー4の一つの構成であって、圧出部10に供給される前に補強繊維100の表面において、常温で補強材の表面にポリエステル系接着パウダーを散布する。補強繊維100は、繊維集合体であり、一定の張力が維持される状態で表面積が最大限伸びた状態で上下前後全ての方向に散布される。この時、ポリエステル系接着パウダーが補強繊維100の表面に接着される。
【0053】
圧出部10に供給される補強繊維100は、ガイドホルダー13の繊維供給通路13aを通過して、それと連結されたニップル14のニップル孔14a中に進入する。次いで、前記ニップル孔14aを通じて排出される繊維100は、クロスヘッドダイ12の圧出通路12a内を通過するようになる。
【0054】
この時、前記ガイドホルダー13の繊維供給通路13aの内部は、ポンピング手段(図3の13)内の真空ポンプの作動により真空状態で維持されるが、これは、補強繊維が溶融樹脂と接触する時に気泡が捕獲されることを防止するためである。上記のような気泡を除去しなければ、圧縮されたストリップの内部で気泡が膨脹するか表面で裂けるようになり、ストリップ外観が不良で、その物性も低下する。また、気泡が膨脹しながらその部分の高分子樹脂層が薄くなり、施工時に軽い外部衝撃によっても補強繊維が損傷されるおそれがある。
【0055】
前記ニップル14を通過した補強繊維100は、樹脂供給通路12bを通じて供給される溶融された高分子樹脂に取り囲まれてクロスヘッドダイ12を抜けるようになる。
【0056】
前記溶融された高分子樹脂の熱気によって補強繊維100の表面に散布されたポリエステル系接着パウダーが溶融されながら前記被覆材である高分子樹脂と接着が増加する。溶融された高分子樹脂が直ぐ補強材表面に接触するより、補強材表面にポリエステル系パウダーがある場合、前記パウダーの接着力が強くなり補強材と被覆材との結合力が増加されることができる。
【0057】
前記ニップル14は、高分子樹脂110がガイドホルダー13側に逆流することを防止する。また、前記ニップル孔14aの断面状を多様に変化させることで、図11a~図11cに示された多様な形状の補強繊維を持った製品を得ることができる。
【0058】
また、前記クロスヘッドダイ12の圧出通路12a縦断の断面状を変化させることで、ストリップの外形を変化させることができる。
【0059】
前記クロスヘッドダイ12から抜け出した繊維補強高分子ストリップは、冷却部20の冷却槽21で水により冷却される。このように冷却された繊維補強ストリップは、巻取手段5を経てワインダー6に一定の長さで巻かれるようになる。
【0060】
本発明によると、前記繊維補強高分子ストリップは、2~30mm、好ましくは3~20mmの幅と、1~10mm、好ましくは1.5~5mmの厚さを有する直四角形の断面状を有するか、直径2~20mm、好ましくは4~15mmの円形断面で製造される。もしストリップの幅または直径が2mmより小さい場合は、最小張力が2ton/mの製品を製造し難く接点付着力が低く、ストリップの幅が30mmより大きいかまたは直径が20mmより大きい場合は、後述するようにストリップ配列装置に配列するか製造された製品を一定の長さでロールに巻く作業が困難である。
【0061】
<ジオグリッドの製造>
次に製造された繊維補強高分子ストリップを利用して本発明によるジオグリッドを製造する過程について説明する。後述する製造方法によると、ジオグリッドを安価でかつ大量に生産することができる。
【0062】
本発明によると、繊維補強高分子ストリップ1、2は、それぞれ経方向と緯方向に配列され、そのストリップの配列形態を変化させて格子組織を多様にすることで、製品の補強特性をより一層発現可能にすることができる。
【0063】
図5a及び図5bには、本発明の好ましい実施例によるジオグリッド製造装置の概略的な構成が示されている。図面を参照すると、本発明のジオグリッド製造装置は、経方向ストリップ供給部30、緯方向ストリップ供給部40、ストリップ配列手段50、溶着部60、巻取手段70、及びワインダー71を含む。
【0064】
前記経方向ストリップ供給部30は、経方向クリール31と、ストリップを前記クリール31からストリップ配列手段50に供給する経方向フィーダー32を含む。例えば、前記フィーダー32は、一対のローラーで構成され、その間に高分子ストリップが噛み合って供給されるようにすることができる。前記経方向クリール31には、経方向繊維補強高分子ストリップ1が装着され、前記経方向フィーダー32の作動によりストリップ配列手段50に複数個が並んで供給される。
【0065】
前記ストリップ配列手段50は、経方向と緯方向ストリップ1、2を交互に交差させることでジオグリッドを製織するもので、図6に示すように、相互対向する一対の上板51と下板52を含む。前記上板51と下板52の少なくとも一つは、図示しない駆動手段によって相互昇降運動をする。
【0066】
前記上板51と下板52の相互対向面には、例えば供給される経方向繊維補強高分子ストリップ1を押して曲げる第1バンディング部材80と第2バンディング部材90がそれぞれ備えられる。図6に示された上板51と下板52には仮想的な格子が表示されているが、前記格子間の間隔Gは製造されるジオグリッドの目盛格子と同一である。後述するように、前記格子の交差点のそれぞれは、製造されるジオグリッドの交差点に対応する。
【0067】
前記バンディング部材80、90は、前記仮想的な格子の交差点に設置され、この時、第1バンディング部材80と第2バンディング部材90は相互向い合わず、行き違うように交互に配置されるが、前記バンディング部材の設置位置は、製造されるジオグリッドの第1接点Cと第2接点Cの位置と個数によって設定される。本実施例では、経方向と緯方向繊維補強高分子ストリップ1、2が図1に示すように上下に規則的に交番する、所謂「平織り構造」を有するため、この場合、前記第1バンディング部材80と第2バンディング部材90も格子の交差点を一つずつ飛ばして規則的に配置される。
【0068】
前記第1及び第2バンディング部材80、90には、経方向にサポート溝81、91が形成されており、緯方向には貫通溝82、92が形成されている。前記サポート溝81、91は、後述するように上板51と下板52の間に供給される経方向繊維補強高分子ストリップ1と接触して加圧時に離脱しないようにするものであり、前記サポート溝81、91の幅は、前記高分子ストリップ1の幅より大きく形成される。
【0069】
前記貫通溝82、92は、第1及び第2バンディング部材80、90によってバンディングされた経方向繊維補強高分子ストリップ1の山と谷に該当する部分で、緯方向繊維補強高分子ストリップ2を挿入する時、前記緯方向繊維補強高分子ストリップ2が通過する通路を提供する。よって、前記貫通溝82、92の幅も前記緯方向繊維補強高分子ストリップ2の幅より大きく形成される。
【0070】
前記貫通溝82、92は、緯方向繊維補強高分子ストリップ2の通過が容易になるようにその深さが前記サポート溝81、91の深さより大きく形成され、好ましく挿入される緯方向高分子ストリップ2の端部分を誘導できるように傾斜面83、93がそれぞれ形成されることができる。
【0071】
前記緯方向ストリップ供給部40は、緯方向クリール41と、ストリップを前記クリール41からストリップ配列手段50に供給する緯方向フィーダー42を含む。これらのクリール41とフィーダー42の構造は、経方向ストリップ供給部30のそれと同一である。
【0072】
前記溶着部60は、前記ストリップ配列手段50で配列されたストリップの接点を相互接着させる装置であり、好ましくは第1及び第2溶着器61、62で構成される。本発明によると、高分子樹脂の内部に存在する補強繊維を損傷させずに最大強度が発揮できるように振動によってストリップを相互接着する。
【0073】
前記第1溶着器61の構成が図7aに示されている。図示のように前記溶着器61は相互向い合い、その間に経方向及び緯方向繊維補強高分子ストリップ1、2の配列体が供給される上部治具(jig)63及び下部治具64を含む。前記上部治具63と下部治具64の対向面には相互対向する一対の第1支持ホルダー63a、64aが複数個形成されている。
【0074】
同様に、第2溶着器62の構成も図7cに示すように、上部治具65と下部治具66で構成され、前記上部及び下部治具65、66の対向面に相互対向するように突出形成された複数個の第2支持ホルダー65a、66aを含む。
【0075】
本発明によると、前記第1支持ホルダー63a、64a及び第2支持ホルダー65a、66aの位置は、前記ストリップ配列手段50で配列された経方向及び緯方向高分子ストリップ1、2の相互接点位置に対応するが、例えば、図7b及び図7dにそれぞれ示されるように、前記第1支持ホルダー63a、64aは、第1接点(図1のC)の位置に対応してこれらの接点を相互融着させ、第2支持ホルダー65a、66aは、第2接点Cの位置に対応してこれらの接点を相互融着させる。
【0076】
前記支持ホルダーは、その端部が荒く処理されて前記高分子ストリップと接触する時に滑らないようになっていることが好ましい。このような構成は、本実施例によって限定されず、前記高分子ストリップを加圧して支持可能な構造は、多様に変形されて実施可能であると理解すべきである。
【0077】
前記溶着器は、上部治具と下部治具の相対的な振動運動によって補強繊維100を囲んでいる高分子樹脂110を短時間内に溶融させることで接着が行われるようにする。例えば、第1溶着器61の第1支持ホルダー63a、64aが、高分子ストリップ配列体の第1接点C位置でそれぞれ経方向高分子ストリップ1の上面と緯方向高分子ストリップ2の下面を押して支持した状態で、下部治具64が固定されたまま上部治具63が経方向に直角の方向に振動運動すると、前記第1接点C位置の高分子樹脂が溶融して接着される。
【0078】
同様に、第2溶着器62の第2支持ホルダー65a、66aが、高分子ストリップ配列体の第2接点C位置でそれぞれ緯方向高分子ストリップ2の上面と経方向高分子ストリップ1の下面を押して支持した状態で、上部治具65が固定されたまま下部治具66が経方向に直角の方向に振動運動すると、前記第2接点C位置の高分子樹脂が溶融して接着される。
【0079】
本実施例では前記溶着部60の構成を具体的な図面として例示したが、本発明がかかる実施例に限定されるものではなく、相互交差する経方向高分子ストリップと緯方向高分子ストリップの間に相互振動運動を誘発させて、これらを溶融接着させることができる手段は、本発明の技術的思想内に含まれる。
【0080】
それでは、図9を参照して、上記のような構造を有するジオグリッド製造装置を利用して本発明によるジオグリッドを製造する過程について説明する。
【0081】
先ず、上述したストリップ製造過程で製造された繊維補強高分子ストリップは、それぞれ経方向ストリップ供給部30の経方向クリール31と緯方向ストリップ供給部40の緯方向クリール41に相互並んで装着される(段階S300)。
【0082】
この時、クリール31、41に装着される繊維補強高分子ストリップ1、2の間隔は、その中心線を基準として10~100mm、好ましくは20~80mmになるようにする。例えば、最終ジオグリッド製品の幅を1~5mとする場合に供給されるストリップは10~500個になる。もしストリップ間の間隔が100mm以上で大き過ぎると、構造物が受ける荷重を一様に分散させることができず補強機能が弱化し、反対に、ストリップ間の間隔が10mm以下で小さ過ぎると、土壌の上・下部層の分離が起こり補強機能がまともに発現されない。前記高分子ストリップの間隔が上記のような範囲内で維持される場合に土壌が分離されず一体化して補強材としての機能を発揮することができる。
【0083】
次いで、経方向フィーダー32によって前記経方向クリール31から経方向繊維補強高分子ストリップ1がストリップ配列手段50内に並んで供給される(段階S310)。この時、前記ストリップ配列手段50の上板51と下板52は、相互離隔した状態で維持されるため、前記経方向高分子ストリップ1は、前記第1バンディング部材80及び第2バンディング部材90のサポート溝81、91を連結する直線に沿って進入する。好ましく、経方向繊維補強高分子ストリップ1の供給が完了すると、図示しない切断手段を利用して前記経方向繊維補強高分子ストリップ1を適切な長さで切断する。
【0084】
次に、段階S320において、前記経方向繊維補強高分子ストリップ1を押してバンディングする。この時、n番目の経方向繊維補強高分子ストリップ(実線で示される)(図6の1参照)とn+1番目の経方向繊維補強高分子ストリップ(点線で示される)(1n+1)に対するバンディング状態をそれぞれ図8aと図8bに示した。
【0085】
図8aを参照すると、上板51と下板52が互いに接近してn番目の経方向高分子ストリップ1を加圧すると、その対向面にそれぞれ形成された第1バンディング部材80と第2バンディング部材90の端部が前記経方向高分子ストリップ1と接触して押すようになる。この時、好ましく、前記第1及び第2バンディング部材80、90にはサポート溝(図6の81及び91参照)が形成されており、加圧時にも前記サポート溝内にストリップが安着されることで、高分子ストリップが離脱せず安定してバンディングされることができる。このようなバンディングの結果、第1バンディング部材80によって加圧された部分では谷が形成され、第2バンディング部材90によって加圧された部分では山が形成される。
【0086】
一方、n+1番目に位置する経方向高分子ストリップ1n+1を加圧すると、n+1番目の第1及び第2バンディング部材80n+1、90n+1は、前記n番目のバンディング部材80、90と互いに行き違って配置されているため、図8bのように山と谷の様相がn番目ストリップ1に比べて反対に表れる。すなわち、第1バンディング部材80n+1によって加圧される部分では谷が形成され、第2バンディング部材90n+1によって加圧される部分では山が形成される。
【0087】
実際に、前記上板51と下板52による加圧は同時に起こるため、上記それぞれのバンディング状態は結果として図8cに示すように山と谷が互いに行き違って反対に形成される様相で進行される。
【0088】
上記のように、経方向高分子ストリップ1のバンディングがなされた状態で、前記緯方向ストリップ供給部40によって緯方向繊維補強高分子ストリップ2が供給される(段階S330)。具体的に、緯方向高分子ストリップ2は、緯方向フィーダー42によって図8cに示すように、第1及び第2バンディング部材80、90の貫通溝82、92を通じて挿入される。
【0089】
つまり、緯方向高分子ストリップ2は、n番目の第1バンディング部材80によって加圧されて形成されたn番目の高分子ストリップ1の谷と、n+1番目の第2バンディング部材90n+1によって加圧されて形成されたn+1番目の高分子ストリップ1n+1の山の間の空間に挿入される。または、緯方向高分子ストリップ2は、n番目の第2バンディング部材90によって加圧されて形成されたn番目の高分子ストリップ1の山と、n+1番目の第1バンディング部材80n+1によって加圧されて形成されたn+1番目の高分子ストリップ1n+1の谷の間の空間に挿入される。たとえ本実施例では、ストリップ配列手段50の一側に設けられた緯方向ストリップ供給部40によって緯方向繊維補強高分子ストリップ2が挿入されたもので説明されたが、前記緯方向ストリップ供給部40は、前記ストリップ配列手段50の両側に設けられて両方から同時に緯方向ストリップを供給することもできる。
【0090】
上記のように緯方向高分子ストリップ2の挿入され適切な長さで切断が完了した状態で、図示しない駆動手段によって前記上板51と下板52が互いに離隔すると、経方向高分子ストリップ1と緯方向高分子ストリップ2は、図1に示すように相互上下に交番して交差される形態で「製織」される。この時、経方向高分子ストリップ1の山部分は緯方向高分子ストリップ2と交差して第1接点Cをなし、経方向高分子ストリップ1の谷部分は緯方向高分子ストリップ2と交差して第2接点Cをなす。
【0091】
本発明によると、前記上板51と下板52のバンディング部材80、90の位置を変更させると、多様な組職のジオグリッドを製造することができるが、そのような例は図10a~図10dに示されている。
【0092】
図10aに示すように、上板51’と下板52’の対向面に経方向に沿って第2バンディング部材90’の間に連続する2個の第1バンディング部材80’が位置するように形成されると、経方向及び緯方向高分子ストリップの配列は、図10bに示すように、第1接点Cの間に二つの第2接点Cが具備されるようになされる。つまり、この場合は、経方向高分子ストリップ一つの谷(または山)に対して、二つの緯方向高分子ストリップが挿入された場合とみることができる。
【0093】
また、図10cに示すように、上板51”と下板52”の対向面に、第2バンディング部材90”の間に連続する3個の第1バンディング部材80”が位置するように構成されると、配列される一つの経方向高分子ストリップ1は、図10dに示すように第1接点Cの間に三つの第2接点Cを有するようになる。つまり、経方向高分子ストリップ一つの谷(または山)に対して三つの緯方向高分子ストリップが挿入された場合である。
【0094】
たとえ本実施例では、n番目の経方向高分子ストリップとそれに隣合うn+1番目の経方向高分子ストリップについて説明したが、互いに隣合わない任意の互いに異なる経方向高分子ストリップに対しても同一に適用される。
【0095】
以上のように配列された経方向及び緯方向高分子ストリップ1、2は次いで、溶着部60に移送されて前記接点C、Cが相互溶着する。先ず、図7aに示された第1溶着器61において上部治具63と下部治具64が互いに接近してその間に介在された高分子ストリップ配列体を加圧する。この時、前記上部及び下部治具6364の対向面に形成された第1支持ホルダー63a、64aは、前記高分子ストリップ配列体の第1接点Cを押して支持するようになる。より具体的に、前記上部治具63の支持ホルダー63aは、経方向高分子ストリップ1の上面と接触し、前記下部治具64の支持ホルダー64aは、緯方向高分子ストリップ2の下面と接触する。この時、前記支持ホルダー63a、64aの端部は、荒い面で処理されているため、高分子ストリップの表面に対して滑ることなく接触することができる。
【0096】
この状態で、前記下部治具64は固定されたまま、前記上部治具63が経方向高分子ストリップ1の長さ方向に対して直角で、例えば左右に振動すると、ストリップの高分子樹脂110が溶融されて第1接点Cが相互接着される(段階S340)。この時、振動溶着時に前記高分子樹脂が短い時間内に溶融されると同時に、その内部の補強繊維100は損傷を受けないように60~300Hzの振動周波数と、0.3~1.8mmの振幅で振動運動することが好ましい。
【0097】
上記のように第1接点Cの接着が終わると、経方向及び緯方向高分子ストリップ配列体は、再び第2溶着器62に移送されて第2接点Cに対する振動溶着を行う(段階S350)。
【0098】
第2溶着器62では、上部及び下部治具65、66の第2支持ホルダー65a、66aが前記経方向及び緯方向高分子ストリップ配列体の第2接点Cと接触するが、即ち、本実施例の場合、支持ホルダー65aは緯方向高分子ストリップ2の上面と接触し、支持ホルダー66aは経方向高分子ストリップ1の下面と接触する。
【0099】
このような状態において、今回は上部治具65が固定され、下部治具66が経方向ストリップ1の長さ方向に対して直角で、例えば左右に振動すると、前述したものと同一の過程で接着がなされる。
【0100】
本明細書及び図面では、第1接点Cと第2接点Cに対する振動溶着を別途行うもので例示し説明したが、本発明は上記実施例に限定されず多様な変形例が適用されることができると理解されるべきである。例えば、前記第1接点Cと第2接点Cは、1台の溶着器を使用して接着されてもよいが、この場合、先に第1接点Cをワインダーに巻きながら接着させた後に、これを再び解きながら溶着器に投入させる。この時、配列体を覆して上面と下面を転倒させると、第2接点Cの接着がなされることができる。さらに、前記高分子ストリップの接点は、振動溶融接着ではなく超音波摩擦溶融接着または加熱溶融接着によっても接着可能なことは勿論である。
【0101】
上記のように接着が完了したジオグリッドは、巻取手段70を経てワインダー71に一定の長さで巻かれる。好ましく、現場での便利な取り扱いのために、繊維補強ジオグリッドの製品の長さは25~200mが適当である。
【0102】
たとえ明細書において繊維補強高分子ストリップの製造とジオグリッドの製造を区別して説明したが、これらの工程はいずれも連続的に行われることができることは勿論である。
【実施例
【0103】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は、様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が以下で詳述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0104】
下記の実施例によるジオグリッドの物性は、後述する基準によって評価した。
【0105】
〔広幅引張強度試験:ASTM D 4595〕
変形制御式引張試験機の上・下に付いているクランプ間に幅が20cmの試料を固定した後、10±3%/分の速度で引張り、引張変形による破断時の引張強度と引張伸び率を測定した。補強繊維としてガラス繊維を使用した場合は、引張変形率が2%の時の引張強度(LASE2%)を別途に示し、補強繊維としてポリエステル高強度糸を使用した場合は、引張変形率が5%の時の引張強度(LASE5%)を別途示した。
【0106】
〔クリープ試験:ASTM D 5262〕
クリープ試験は、一定の温度条件(21±2℃)で持続的な引張荷重が作用する時にジオグリッドの変形挙動を評価して、設計時に考慮されるクリープによる引張強度減少係数を決定するためのものである。本実験では、ジオグリッド試料の最大引張強度に対して45%の荷重を試料に加えて1,000時間後の引張変形率を測定した。
【0107】
〔耐施工性評価:ASTM D 5818〕
基礎路床を実際構造物の築造時と同一に処理した後、最小10mのジオグリッド試料を鋪設し、その上部に盛土材を鋪設した後、実際の構造物の築造時と同一に締固めた。盛土材としては、大きさが最大20mmの骨材を30cmの厚さで締固め、ジオグリッド試料を鋪設し、その上部に同一の盛土材を30cmで鋪設し、10t容量の振動ローラーで4回往復締固めた。
締固め完了後は、締固めた骨材をジオグリッドに損傷を与えないように除去してジオグリッド試料を抽出し、抽出された試料に対する引張試験を行い原試料の引張強度と比べて強度減少率(%)を計算した。
【0108】
〔形態安定性試験〕
耐施工性評価と同一の方法で盛土、鋪設、締固めた後、試料を採取して経方向ストリップと緯方向ストリップの接点部位を観察して接点が分離された数が20%以上であれば「不良」、10~20%であれば「普通」、10%未満であれば「優秀」と評価した。
【0109】
〔引抜試験評価:GRI-GG5〕
長さ140cm、幅60cm、高さ60cmの土槽(soil box)に土を満たすと同時に、土中にジオグリッドを鋪設した。この時、ジオグリッド試料は、2.5cmのスリット(slit)を通じて引抜装置に連結されている。また、土槽の上部には、ゴムメンブレインを設置して空気圧によって土槽内に均一な垂直荷重を加圧可能にした。次いで、垂直荷重を0.3から最大1.2kg/cmまで変化させながら引抜変位速度を0.1cm/minにし、最大引抜力の作用時に資材の引抜変位を分析してジオグリッドと土の摩擦力を表す相互作用係数(interaction coefficient、C)を評価した。
【0110】
〔剥離強力〕
長さ30cmで傾斜ストリップを準備した後、図面のように緯糸ストリップを治具を利用して固定した後、傾斜ストリップを上治具に固定させて上治具を速度50cm/min上に利用させて繊維が抜ける長さを測定する。
【0111】
<実施例1>
繊度が1000デニールのポリエステル高強度糸48本を3等分して3ホール(hole)の円形断面のニップルと四角形ダイを通過させて、図11b(c)に示された断面を有し、幅8.4mm、厚さ2.3mmの経方向繊維補強高分子ストリップを製造した。また、繊度が1000デニールのポリエステル高強度糸15本を使用して経方向繊維補強高分子ストリップと同一の断面を有し、幅6.3mm、厚さ1.5mmの緯方向繊維補強高分子ストリップを製造した。
【0112】
この時、接着パウダー供給器を利用してストリップ重量の1.5wt%となるようにポリエステル系接着パウダーをそれぞれの経方向、緯方向の繊維補強高分子ストリップの補強材繊維の表面に供給する。前記接着パウダーは、軟化点120℃、Tg65(℃)、メルトフローレートMI16(g/10分)、粒子大きさ350(um)、硬度80(Shore D)である。
【0113】
熱可塑性高分子樹脂としては、溶融指数が4のポリプロピレンを使用した。次のストリップ配列装置に製造された経方向ストリップをジオグリッドの製品幅が4mとなり、ストリップ中心の間が40mmとなるようにストリップ配列装置に配列させた後、緯方向ストリップを40mmの間隔で経方向ストリップと90゜をなすように挿入して、図1のように平織り組職の格子を形成させた。次いで、一番目の接着装置で経方向ストリップが緯方向ストリップ上に位置して形成された接点を194Hzの振動数と1.3mmの振幅で振動溶着させた後、二番目の接着装置に移動させて経方向ストリップが緯方向ストリップの下に位置して形成された接点を194Hzの振動数と1.3mmの振幅で振動溶着してジオグリッドを製造した。製造されたジオグリッドの単位長さ当たりリブ数(ribs/m)、広幅引張強度(kN/m)、LASE5%(kN/m)、引張変形率(%)、クリープ変形率(%)、施工時の強度減少率(%)を表1に表し、引抜時の相互作用係数と形態安定性を表2に表した。
【0114】
<実施例2>
繊度が24000デニールのポリエステル高強度糸2本を2ホールの四角形断面のニップルと四角形ダイを通過させて、図11aの(b)に示された断面を有し、幅8.4mm、厚さ2.3mmの経方向繊維補強高分子ストリップを製造した。
【0115】
この時、接着パウダー供給器を利用してストリップ重量の1.5wt%となるようにポリエステル系接着パウダーをそれぞれの経方向、緯方向繊維補強高分子ストリップの補強材繊維の表面に供給する。前記接着パウダーは、軟化点120℃、Tg65(℃)、メルトフローレートMI16(g/10分)、粒子大きさ350(μm)、硬度80(Shore D)である。
【0116】
また、繊度が7500デニールのポリエステル高強度糸2本を使用して経方向繊維補強高分子ストリップと同一の断面を有し、幅6.3mm、厚さ1.5mmの緯方向繊維補強高分子ストリップを製造した。次いで、実施例1と同一の方法でストリップを配列及び接着させてジオグリッドを製造した。製造されたジオグリッドの単位長さ当たりリブ数(ribs/m)、広幅引張強度(kN/m)、LASE5%(kN/m)、引張変形率(%)、クリープ変形率(%)、施工時の強度減少率(%)を表1に表した。
【0117】
<比較例1>
緯方向繊維補強高分子ストリップの製造時に補強材の表面にポリエステル系接着パウダーの提供がなく、残りの条件は実施例1と同一である。
【0118】
<比較例2>
経方向繊維補強高分子ストリップの製造時に補強材の表面にポリエステル系接着パウダーの提供がなく、残りの条件は実施例1と同一である。
【0119】
<比較例3>
緯方向及び経方向繊維補強高分子ストリップの製造時に補強材の表面にポリエステル系接着パウダーの提供がなく、残りの条件は実施例1と同一である。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
表1~2を参照して実施例と比較例のジオグリッドの物性を比較すると、次のような差異点が表れる。
【0123】
実施例1、2のジオグリッドと比較例1~3のジオグリッドは、広幅引張強度(kN/m)、LASE5%(kN/m)、引張変形率(%)、クリープ変形率(%)、強度減少率(%)は、互いに類似した値を示しているが、剥離強力は、実施例のテキスタイルジオグリッドが比較例のジオグリッドより大きい値を示している。剥離強力は、施工時に全面ブロックとの連結時に必要な余裕長さを測定する値で、剥離強力が高いほど必要な余裕長さを短くすることができ、経済的な施工が可能である。また、土と補強材間の相互作用係数(Ci)を比較して見た結果(表2)、実施例1のジオグリッドの相互作用係数(Ci)は0.96を示し、比較例3の場合に相互作用係数(Ci)は0.84を示した。
【0124】
すなわち、実施例1によるジオグリッドの相互作用係数が比較例3のジオグリッドに比べて相互作用係数が高く表れた。これと関連して、ジオグリッドの引抜時に相互作用係数はジオグリッドの形状によって影響を受けるが、ジオグリッドの形状の中でも受動抵抗部材、即ち、引抜力が作用する方向に対して垂直方向に置かれた部材の影響を受けるようになる。同一の幅(60cm)を有するジオグリッドに対する実験において、比較例3のジオグリッドは、引抜力が作用する方向に対して垂直方向に置かれたストリップの長さが60cmであるが、実施例1のジオグリッドは、上下交差配列によりストリップに曲率が生じるため、引抜力が作用する方向に対して垂直方向に置かれたストリップの実際の長さは60cmより長くなる。よって、比較例3のジオグリッドに比べて本発明のジオグリッドの受動抵抗部材が土壌との接触面積が大きいため、より優れた補強機能を発揮することができる。
本発明に係る態様には以下の態様も含まれる。
<1>
補強材である多数の繊維集合体と、
被覆材である熱可塑性高分子樹脂と、
前記補強材表面に接着パウダーを利用した接着材とで構成された
耐久性が向上した繊維補強高分子ストリップ。
<2>
前記繊維集合体は、互いに独立してポリエステル繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、バサルト繊維、ステンレス鋼繊維、銅繊維及び無定形金属繊維からなる群より選択された1種の繊維またはこれらのうち2種以上の繊維が合糸された合糸繊維であることを特徴とする<1>に記載の耐久性が向上した繊維補強高分子ストリップ。
<3>
前記熱可塑性高分子樹脂は、互いに独立して溶融指数(MI)が1~35であるポリオレフィン系樹脂、固有粘度(IV)が0.64~1.0であるポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)、ポリアミド(polyamides)、ポリアクリレート(polyacrylates)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリカーボネート(polycarbonates)、ポリビニルクロリド(polyvinylechloride)、ポリスチレン(polystyrene)及びポリブタジエン(polybutadiene)からなる群より選択された1種の樹脂またはこれらのうち2種以上の樹脂が混合した混合樹脂であることを特徴とする<1>に記載の耐久性が向上した繊維補強高分子ストリップ。
<4>
前記接着パウダーは、テレフタル酸60~90モル%とイソフタル酸10~40モル%で組成されたジカルボン酸とエチレングリコール60~100モル%とジエチレングリコール0~40モル%で組成されたジオールが共重合した低融点共重合ポリエステル樹脂を粉末化したもので、
ガラス転移温度(Tg)が50℃以上で、硬度(Shore D)が80以上であり、軟化点が80~140℃であることを特徴とする<1>に記載の耐久性が向上した繊維補強高分子ストリップ。
<5>
前記繊維補強高分子ストリップは、所定間隔を置いて多数の経方向及び緯方向に平行に配置され、
前記多数の経方向繊維補強高分子ストリップのそれぞれは、前記緯方向繊維補強高分子ストリップのうち一つと上面で交差する第1接点と前記緯方向繊維補強高分子ストリップのうち他の一つと下面で交差する第2接点を少なくとも一つ以上ずつ含み、
前記接点は、接点領域の経方向繊維補強高分子ストリップの熱可塑性高分子樹脂と緯方向繊維補強高分子ストリップの熱可塑性高分子樹脂が互いに融着して固定されたことを特徴とする<1>乃至<4>のいずれか一項に記載の耐久性が向上した繊維補強高分子ストリップ。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図8a
図8b
図8c
図9
図10a
図10b
図10c
図10d
図11a
図11b
図11c
図12