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特許7350193電気エネルギー伝送アルミ部品及びその加工工程
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  • 特許-電気エネルギー伝送アルミ部品及びその加工工程 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】電気エネルギー伝送アルミ部品及びその加工工程
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/20 20060101AFI20230915BHJP
   H01R 43/02 20060101ALI20230915BHJP
   H01R 4/02 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
H01R4/20
H01R43/02 B
H01R4/02 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022560263
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 CN2021084919
(87)【国際公開番号】W WO2021197422
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】202010250103.9
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519157831
【氏名又は名称】吉林省中贏高科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】王 超
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第208423188(CN,U)
【文献】特開2018-067426(JP,A)
【文献】特表2019-533895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/18,4/58,4/62
H01R 43/02-43/48
H01R 4/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミ製導電装置と、アルミコンダクターコアとアルミコンダクターコアの表面に被覆される絶縁層を含むアルミケーブルと、を含む電気エネルギー伝送アルミ部品であって、
前記アルミケーブルの絶縁層が除去された一部において露出されたアルミコンダクターコアと少なくとも一部の絶縁層を有するアルミコンダクターコアが前記アルミ製導電装置内に圧着されており、
前記アルミ製導電装置の内部において、絶縁層と露出されたアルミコンダクターコアとの繋がり箇所に軸方向の断面が台形である移行区間が設置されて、前記移行区間を分界点として、前記アルミ製導電装置の絶縁層に圧着された一端の内径はアルミ製導電装置のアルミコンダクターコアに圧着された一端の内径より大きいものであり、
前記アルミ製導電装置の外周に少なくとも一つの凹み状構造が設置されており、
前記電気エネルギー伝送アルミ部品の前端が切り除かれて円滑な面である前端面が形成され、前記前端面と軸線に垂直な面との夾角が15°以下であり、
前記凹み状構造の深さがアルミ製導電装置の壁の厚みの0.5%~80%である電気エネルギー伝送アルミ部品。
【請求項2】
前記アルミ製導電装置の材質はアルミまたはアルミ合金である請求項1に記載の電気エネルギー伝送アルミ部品。
【請求項3】
前記電気エネルギー伝送アルミ部品の横断面は円形または楕円形または多角形である請求項1に記載の電気エネルギー伝送アルミ部品。
【請求項4】
前記電気エネルギー伝送アルミ部品の前記前端面と軸線に垂直な面との夾角が5°以下である請求項1に記載の電気エネルギー伝送アルミ部品。
【請求項5】
前記アルミコンダクターコアの圧縮率が35%~97%の間にある請求項1に記載の電気エネルギー伝送アルミ部品。
【請求項6】
前記絶縁層とアルミ製導電装置の圧着箇所にシールリングまたは封止剤が設置されている請求項1に記載の電気エネルギー伝送アルミ部品。
【請求項7】
絶縁層が除去されたアルミコンダクターコアと一部の絶縁層を有するアルミコンダクターコアをアルミ製導電装置内に嵌入して、圧縮装置を用いて前記絶縁層が除去されたアルミコンダクターコアと一部の絶縁層を有するアルミコンダクターコアとをともに前記アルミ製導電装置内に押し付けて、電気エネルギー伝送アルミ部品の半製品を取得するプリ組立ステップと、
前記電気エネルギー伝送アルミ部品の半製品を溶接機器のクランプに組み立て、前記クランプ上の凸状ダイによってアルミ製導電装置の表面に深さがアルミ製導電装置の壁の厚みの0.5%~80%である凹み状構造を形成する凹み状構造作製ステップと、を含み、
溶接する前、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の前端を切り除いて円滑な面である前端面を形成し、前記前端面と軸線に垂直する面との夾角が15°以下である請求項1に記載の電気エネルギー伝送アルミ部品の加工工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電金属コネクタ技術分野に関し、特に、電気エネルギー伝送アルミ部品、及びこのような電気エネルギー伝送アルミ部品を得る加工工程に関する。
[関連出願]
本出願は特許出願番号が202010250103.9、発明の名称が「電気エネルギー伝送アルミ部品及びその加工工程」である中国発明特許の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤーハーネスの軽量化に対する需要が増加されることに伴って、ワイヤーハーネスにおけるアルミケーブルの応用がますます多くなっていて、且つ、異なる使用環境に適合するように、ワイヤーハーネスにおけるアルミケーブルとして一般的にマルチコアアルミコンダクターコアを利用し、これによりアルミケーブルがさらに柔軟であり、異なる使用組立環境に適合することができる。アルミケーブルと適合する電気装置とを電気的に接続するために、アルミケーブルのマルチコアアルミコンダクターコアと同種金属または異種金属とを接続する前に、通常、アルミケーブルのマルチコアアルミコンダクターコアをアルミ製導電装置を用いて硬質構造に圧着して同種金属または異種金属との接続の便宜を図る。
【0003】
図3aと図3bに示すように、既存のアルミ製導電装置1の設計は、絶縁層3を除去してマルチコアアルミコンダクターコア2を露出する形状でアルミ製導電装置1の内部形状を設計している。絶縁層の階段のサイズに適合するように、アルミ製導電装置の内部も通常階段状に設計される。また、アルミ製導電装置を加工するための原材料が通常管状または筒状であるため、アルミ製導電装置の外周面は通常原材料のように滑らかである。
【0004】
しかし、このような外周面が滑らかであるアルミ製導電装置は、同種金属または異種金属に溶接される時に問題が存在し、アルミ製導電装置の表面が滑らかであるため、溶接中にアルミ製導電装置がカバーされたアルミケーブルが、溶接機器のクランプにおいて回転または変位して、溶接の難度を増やし、アルミケーブルが回転または変位中に破損されてワイヤーハーネスの使用機能を失ってしまうこともある。
【0005】
そして、このような内部が階段状であるアルミ製導電装置によると、内部階段面が前記ケーブルの絶縁層の端面に適合されていて、前記アルミ製導電装置とアルミケーブルが硬質構造に圧着される過程において、前記絶縁層が押し付けられて変形延長して、一部の絶縁層がアルミ製導電装置とマルチコアアルミコンダクターコアの中に圧入され、マルチコアアルミコンダクターコアの抵抗が大きくなり、電気を入れた後、電気エネルギー伝送アルミ部品の発熱量が増加し、ひいてはアルミケーブルの絶縁層が燃焼してしまう事故が発生する。
【0006】
上記問題以外、既存技術において、アルミ製導電装置により加圧するパラメータや圧着後の状態等による電気エネルギー伝送アルミ部品の性能に対する影響については研究を行っていない。
【0007】
よって、導電金属コネクタの技術分野において、上記問題を解決でき、電気エネルギー伝送アルミ部品の溶接品質を向上し電気エネルギー伝送アルミ部品の寿命を延長することができる電気エネルギー伝送アルミ部品、及びこのような電気エネルギー伝送アルミ部品を取得するための加工工程が急に必要な実情である。
【発明の開示】
【0008】
既存技術の不足を克服するため、本発明は、アルミ製導電装置の構造を改善して溶接過程にアルミ製導電装置がクランプにおいて変位または回転する問題を解決し、電気エネルギー伝送アルミ部品の溶接効率及び収率を向上させることができる電気エネルギー伝送アルミ部品を提供することをその目的とする。
【0009】
上記目的を実現するために、本発明に用いられた技術案の内容は以下の通りである。
【0010】
電気エネルギー伝送アルミ部品であって、アルミ製導電装置と、アルミコンダクターコアとアルミコンダクターコアの表面に被覆される絶縁層を含むアルミケーブルと、を含み、前記アルミケーブルの絶縁層が除去された一部において露出されたアルミコンダクターコアと少なくとも一部の絶縁層を有するアルミコンダクターコアが前記アルミ製導電装置内に圧着され、前記アルミ製導電装置の内部において絶縁層と露出されたアルミコンダクターコアとの繋がり箇所に軸方向の断面が台形である移行区間が設置されていて、前記移行区間を分界点として、前記アルミ製導電装置の絶縁層に圧着された一端の内径はアルミ製導電装置のアルミコンダクターコアに圧着された一端の内径より大きく、前記アルミ製導電装置の外周に少なくとも一つの凹み状構造が設置されている。
【0011】
本発明は、電気エネルギー伝送アルミ部品の加工工程をさらに提供し、
絶縁層が除去されたアルミコンダクターコアと一部の絶縁層を有するアルミコンダクターコアをアルミ製導電装置内に嵌入して、圧縮装置を用いて前記絶縁層が除去されたアルミコンダクターコアと一部の絶縁層を有するアルミコンダクターコアとをともに前記アルミ製導電装置内に押し付けて、電気エネルギー伝送アルミ部品の半製品を取得するプリ組立ステップと、
前記電気エネルギー伝送アルミ部品の半製品を溶接機器のクランプに組み立て、前記クランプ上の凸状ダイによってアルミ製導電装置の表面に凹み状構造を形成する凹み状構造作製ステップと、を含む。
【0012】
既存技術に比べ、本発明は以下のような有益な効果を有する。
【0013】
1、本発明に記載の電気エネルギー伝送アルミ部品によると、一般的な研究や既存技術と異なっていて、一般的な研究によると、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の導体の断面積を増やすと導体の抵抗を低下させて、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の導電の発熱量を低減することができると判断するため、前記電気エネルギー伝送アルミ部品に導体の断面積を減少させるための構造を設置する必要がない。本発明は、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の導体の断面積を増やせず、前記電気エネルギー伝送アルミ部品に溝または窪み穴等の凹み状構造を設置して、電気エネルギー伝送アルミ部品の断面積を減少する一方、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の通過電流を低下させず、依然として前記電気エネルギー伝送アルミ部品が導電時に発熱する状況を有効に回避することができる。電気エネルギー伝送アルミ部品の導体の断面積を減少するとともに、溝または窪み穴等の凹み状構造によって電気エネルギー伝送アルミ部品の表面積を増やして、電気エネルギー伝送アルミ部品の放熱量を増やし、電気エネルギー伝送アルミ部品の単位送電力を増やし、電気エネルギー伝送アルミ部品の導電性能を向上させる。
【0014】
2、本発明に記載の電気エネルギー伝送アルミ部品によると、アルミ製導電装置の表面構造を改善して、前記電気エネルギー伝送アルミ部品に溝または窪み穴等の凹み状構造を設置することで、アルミ製導電装置によるクランプに対する活動を有効に防止し、溶接中にアルミ製導電装置がクランプにおいて変位または回転する問題を解決し、溶接の効率、収率及び合格率を向上させることができる。
【0015】
3、本発明に記載の電気エネルギー伝送アルミ部品によると、アルミ製導電装置に台形の移行区間を設置することで、絶縁層が押し付けられて延長した部分を収容し、絶縁層がアルミ導体に圧入されて抵抗が増加して電気を入れた後ワイヤが熱くなる状態を回避して、さらに厳重な安全事故が減少する。
【0016】
4、本発明は、既存技術に比べ、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の凹み状構造の深さを規定することで、電気エネルギー伝送アルミ部品が凹み状構造が浅すぎまたは深すぎて電気エネルギー伝送アルミ部品の力学性能及び電気学性能が使用ニーズを満たすことができないことがないよう確保し、電気エネルギー伝送アルミ部品の性能が最適であるように保証する。
【0017】
5、本発明に記載の電気エネルギー伝送アルミ部品によると、異なる形状の横断面を用いて、様々な実用環境を満たし、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の適用範囲を明らかに増加した。
【0018】
6、本発明において前記電気エネルギー伝送アルミ部品の前端面と軸線に垂直な面との夾角を規定することで、電気エネルギー伝送アルミ部品の前端面と軸線に垂直な面との夾角が大きいため実用環境と相互干渉して電気エネルギー伝送アルミ部品が失効してしまうことを回避し、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の使用シーンが増加した。同時に、前記電気エネルギー伝送アルミ部品でさらに同種または異種の金属複合継手を作製する安定性を向上させ、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の力学性能と電気学性能を向上させる。
【0019】
7、本発明において前記アルミコンダクターコアの圧縮率を規定することで、アルミコンダクターコアが完全に圧縮されていないかまたは圧縮しすぎて電気エネルギー伝送アルミ部品の力学性能と電気学性能がニーズを満たすことができなくなることが減少する。
【0020】
8、本発明に記載の絶縁層とアルミ製導電装置が圧着される箇所に、シールリングまたは封止剤が設置されていて、絶縁層が圧着される箇所でのシール性を強化し、防水性能を向上させることができ、一方アルミ線が折曲がるまたは湾曲される時に絶縁層の固定力を強化して絶縁層が絶縁層の圧着箇所から離脱することを防止する。
【0021】
9、本発明に記載の電気エネルギー伝送アルミ部品によると、アルミ製導電装置に凹み状構造を設置することで、電気エネルギー伝送アルミ部品の表面積を増やし、電気エネルギー伝送アルミ部品が導電時に発熱する際、放熱を一層有効に実現でき、即ち電気エネルギー伝送アルミ部品の寿命を有効に延長させ、通過電流を満たす前提でアルミコンダクターコアの断面積をできる限り減少し、前記電気エネルギー伝送アルミ部品を用いたワイヤーハーネスのコストを低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に記載の電気エネルギー伝送アルミ部品の構造を示す図である。
図2】本発明に記載の半径方向の断面図である。
図3a】背景技術における一般的な電気エネルギー伝送アルミ部品の加工前の構造を示す図である。
図3b】背景技術における一般的な電気エネルギー伝送アルミ部品の構造を示す図である。ここで、図面夫々の標記は以下の通りである:
【発明を実施するための最良な形態】
【0023】
本発明において所定の発明目的を実現するために採用した技術手段及び効果をさらに説明するため、以下図面と好ましい実施例を結合して、本発明の具体的な実施形態、構造、特徴及びその効果を詳しく説明する。
【0024】
(実施例1)
図1に示すように、電気エネルギー伝送アルミ部品は、アルミ製導電装置1とアルミケーブルを含み、前記アルミケーブルはアルミコンダクターコア2とアルミコンダクターコア2の表面に被覆された絶縁層3を含み、前記アルミケーブル絶縁層が除去された一部において露出されたアルミコンダクターコア2と少なくとも一部の絶縁層3を有するアルミコンダクターコア2が前記アルミ製導電装置1内に圧着される。前記アルミ製導電装置1の内部において絶縁層と露出されたアルミコンダクターコアとの繋がり箇所に軸方向の断面が台形である移行区間4が設置されていて、前記移行区間4を分界点として、前記アルミ製導電装置1の絶縁層3に圧着される一端の内径はアルミ製導電装置1のアルミコンダクターコア2に圧着される一端の内径より大きく、前記アルミ製導電装置1の外周に少なくとも一つの凹み状構造が設置されている。溶接中に電気エネルギー伝送アルミ部品の表面が溶接機器のクランプに組み立てられて、溶接中に回転または移動が発生して溶接の効率や溶接の性能に影響を与えることがあるため、本発明においては凹み状構造を設置して電気エネルギー伝送アルミ部品のクランプに対する活動を有効に防止することができ、且つ前記電気エネルギー伝送アルミ部品によると、アルミ製導電装置に凹み状構造を設置することで、電気エネルギー伝送アルミ部品の表面積を増やして、電気エネルギー伝送アルミ部品が導電時に発熱する際、放熱を一層有効に実現でき、即ち電気エネルギー伝送アルミ部品の寿命を有効に延長させ、通過電流を満たす前提で、アルミコンダクターコアの断面積をできるかぎり減少し、前記電気エネルギー伝送アルミ部品を用いたワイヤーハーネスのコストを低下させることができる。該技術案において、アルミ製導電装置の内部に台形の移行区間を設置して、絶縁層が押し付けられて延長した部分を収容し、絶縁層がアルミ導体に圧入されてアルミケーブルが熱くなることを回避する。
【0025】
さらに好適な技術案として、前記アルミ製導電装置としてアルミスリーブまたはアルミ管等の中空構造の導電アルミ部品を用いることができるが、これに限定されることはない。
【0026】
さらに好適な技術案として、実施例1に基づいて、本発明に記載の凹み状構造として溝5及び/またはブラインドホール6の構造を用いることができるが、これに限定されることはない。
【0027】
凹み状構造の深さがクランプと電気エネルギー伝送アルミ部品の組み立ての堅牢性に影響を及ぼし、実験を経て、上記実施例に基づいて、さらに好適な技術案として、前記凹み状構造の深さがアルミ製導電装置の厚みの0.5%~80%である場合、クランプと電気エネルギー伝送アルミ部品との組み立ての堅牢性が一番高いことを発現した。
【0028】
さらに好適な技術案として、前記アルミ製導電装置の材質はアルミまたはアルミ合金である。導電金属コネクタの技術分野において、純アルミは抵抗率が小さく、導電率が高いため、アルミ製導電装置の材質の1つとするが、純アルミの硬度が小さいので、アルミ製導電装置の材質はアルミの含有量が高いアルミ合金であることもできる。
【0029】
さらに好適な技術案として、本発明に記載の電気エネルギー伝送アルミ部品の横断面は偏平状、波形、異形等の非規則的な形状であることができ、円形または楕円形または多辺形等の規則的な形状であることもできる。しかし、電気エネルギー伝送アルミ部品の加工難易度や電気エネルギー伝送アルミ部品のコストを考慮して、本発明における好適な技術案において、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の横断面は円形または楕円形または多辺形等の規則的な形状であって、これは規則的な形状の横断面である場合、溶接する際に銅製端子との間で発生される溶接エネルギーの分布が均一であり、安定的に結合された溶接ラインを形成するからである。
【0030】
さらに好適な技術案として、本発明に記載の電気エネルギー伝送アルミ部品の前端面と軸線に垂直な面との夾角は15°以下である。溶接する前、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の前端についてカッダーで前端部分を切り除いて円滑な面を形成しなければならず、当該端面と前記電気エネルギー伝送アルミ部品の軸線に垂直な面との夾角が15°以下である。当該夾角が15°を超えると、前記電気エネルギー伝送アルミ部品で同種または異種の金属複合継手を作製する時、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の端面の突出した一側がまず溶接対象端部に接触し、前記端面の突出した一側が溶接変形された後、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の端面の低い一側が溶接対象端部に接触して、溶接エネルギーが均一にならず、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の前端の溶融が均一にならず、前記複合継手の性能の安定性に影響を及ぼす。本発明において、さらに好適な技術案として、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の前端面と軸線に垂直な面との夾角は5°以下である(図2を参照)。
【0031】
さらに好適な技術案として、本発明に記載のアルミコンダクターコアの圧縮率は35%~97%の間にある。圧縮率は、圧縮された後のアルミコンダクターコアと圧縮される前のアルミコンダクターコアの断面積の比例である。本発明において、研究を経て、アルミコンダクターコア部分の圧縮率が小さすぎると、アルミコンダクターコアの圧縮変形量が大きすぎて、アルミコンダクターコアの断面積を減少して電流の通過率を低下させ、当該部分のアルミコンダクターコアの抵抗が高くなり、発熱量が増加し、安全性のリスクがある可能性があり、次に、アルミコンダクターコアの圧縮後の直径が小さく、前記電気エネルギー伝送アルミ部品が同種または異種の金属複合継手を作製する際に、前記電気エネルギー伝送アルミ部品が受ける圧力も対応して減少され、溶接後の溶接ラインの結合が緊密せず、前記複合継手の力学性能と電気学性能を低下させる。従って、さらに好適な技術案として、本発明に記載のアルミコンダクターコアの圧縮率は35%~97%の間にある。
【0032】
さらに好適な技術案として、本発明に記載の絶縁層とアルミ製導電装置が圧着される箇所にシールリングまたは封止剤が設置されている。アルミ製導電装置に絶縁層が圧着されていて、後続の組み立てや使用中において、アルミ線が折曲がるまたは湾曲されると、絶縁層は絶縁層が圧着された箇所から離脱して、アルミコンダクターコアは絶縁保護がない状態にあり、シールリングと封止剤を設置すると、絶縁層の圧着箇所でのシール性を増加し、防水性能を向上させることができるとともに、アルミ線が折曲がるまたは湾曲される場合、絶縁層の固定力を増加して、絶縁層が絶縁層の圧着箇所から離脱することを防止することができる。
【0033】
本発明は、電気エネルギー伝送アルミ部品の加工工程をさらに提供し、以下のステップを含む。
プリ組立ステップ:絶縁層が除去されたアルミコンダクターコアと一部の絶縁層を有するアルミコンダクターコアをアルミ製導電装置内に嵌入して、圧縮装置を用いて前記絶縁層が除去されたアルミコンダクターコアと一部の絶縁層を有するアルミコンダクターコアとをともに前記アルミ製導電装置内に押し付けて、電気エネルギー伝送アルミ部品の半製品を取得する。
凹み状構造作製ステップ:前記電気エネルギー伝送アルミ部品の半製品を溶接機器のクランプに組み立て、前記クランプ上の凸状ダイによってアルミ製導電装置の表面に凹み状構造を形成する。
【0034】
(実施例2)
実施例1に記載の方法に従って前記電気エネルギー伝送アルミ部品を加工し、発明者は、凹み状構造の深さがアルミ製導電装置の壁の厚みで占める割合による電気エネルギー伝送アルミ部品の引抜き力と電圧降下に対する影響を証明するために、凹み状構造の深さがアルミ製導電装置壁の厚みで占める割合が異なるように作製した電気エネルギー伝送アルミ部品の引抜き力と電圧降下を観察した。
【0035】
該実施例において、電気エネルギー伝送アルミ部品の前端面と軸線に垂直な面との夾角は0°で、アルミコンダクターコアの圧縮率は60%であり、その結果を表1に示した。
【0036】
表1:凹み状構造の深さがアルミ製導電装置の壁の厚みで占める割合による電気エネルギー伝送アルミ部品の性能に対する影響の結果
【0037】
表1から、該実施例において、発明者が凹み状構造の深さがアルミ製導電装置の壁の厚みで占める割合が0.2%~95%の範囲にある電気エネルギー伝送アルミ部品の引抜き力と電圧降下をテストし、その結果、凹み状構造の深さがアルミ製導電装置の壁の厚みで占める割合が0.5%未満であると、電気エネルギー伝送アルミ部品上の凹み状構造が浅く、クランプによって電気エネルギー伝送アルミ部品を固定することができず、溶接する際に電気エネルギー伝送アルミ部品がクランプから離脱することが分かる。凹み状構造の深さがアルミ製導電装置の壁の厚みで占める割合が80%を超えると、電気エネルギー伝送アルミ部品上の凹み状構造が深く、機械強度が低下され、電気エネルギー伝送アルミ部品の引抜き力値が200N未満であり、電圧降下値は0.5mVを超えていて、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の力学性能と電気学性能の合格基準を満たすことができなくなってしまう。また、溶接過程において受ける圧力が大きいと、電気エネルギー伝送アルミ部品が破断して、電気エネルギー伝送アルミ部品の機能を実現することができなくなってしまう。
【0038】
(実施例3)
実施例1に記載の方法に従って前記電気エネルギー伝送アルミ部品を作製し、発明者は、電気エネルギー伝送アルミ部品の前端面と軸線に垂直な面との夾角による電気エネルギー伝送アルミ部品の引抜き力と電圧降下に対する影響を証明するために、電気エネルギー伝送アルミ部品の前端面と軸線に垂直な面との夾角の異なる電気エネルギー伝送アルミ部品の引抜き力と電圧降下を観察した。
【0039】
該実施例において、凹み状構造の深さがアルミ製導電装置の壁の厚みで占める割合は50%で、アルミコンダクターコアの圧縮率は60%であって、その結果を表2に示した。
【0040】
表2:電気エネルギー伝送アルミ部品の前端面と軸線に垂直な面との夾角による電気エネルギー伝送アルミ部品の性能に対する影響
【0041】
該実施例において、電気エネルギー伝送アルミ部品の前端面と軸線に垂直な面との夾角が0°~17°の範囲内にある電気エネルギー伝送アルミ部品の引抜き力と電圧降下のテストを行った。表2の結果によると、電気エネルギー伝送アルミ部品の前端面と軸線に垂直な面との夾角が5°を超えると、電気エネルギー伝送アルミ部品の引抜き力値が低下する傾向であり、電気エネルギー伝送アルミ部品の力学性能も低下する。電気エネルギー伝送アルミ部品の電圧降下値が上昇する傾向であり、電気エネルギー伝送アルミ部品の電気学性能は低下する。電気エネルギー伝送アルミ部品の前端面と軸線に垂直な面との夾角が15°を超えると、電気エネルギー伝送アルミ部品の引抜き力値と電圧降下値は電気エネルギー伝送アルミ部品の力学性能と電気学性能のニーズを満たすことができなくなってしまう。従って、電気エネルギー伝送アルミ部品の前端面と軸線に垂直な面との夾角が小さいほど、電気エネルギー伝送アルミ部品の電圧降下と引抜き力の値は理想的になる。
【0042】
(実施例4)
実施例1に記載の方法に従って前記電気エネルギー伝送アルミ部品を加工し、発明者は、アルミコンダクターコアの圧縮率による電気エネルギー伝送アルミ部品の引抜き力と電圧降下に対する影響を証明するために、アルミコンダクターコアの圧縮率が異なる電気エネルギー伝送アルミ部品の引抜き力と電圧降下を観察した。
【0043】
該実施例において、凹み状構造の深さがアルミ製導電装置の壁の厚みで占める割合は50%で、電気エネルギー伝送アルミ部品の前端面と軸線に垂直な面との夾角は0°であり、その結果を表3に示した。
【0044】
表3:アルミコンダクターコアの圧縮率による電気エネルギー伝送アルミ部品の性能に対する影響
【0045】
該実施例において、アルミコンダクターコアの圧縮率が10%~100%である電気エネルギー伝送アルミ部品の引抜き力と電圧降下にテストを行った。表3の結果によると、アルミコンダクターコアの圧縮率が35%未満であるか97%を超えると、電気エネルギー伝送アルミ部品の引抜き力値が低下する傾向であり、引抜き力が200N未満になり、電気エネルギー伝送アルミ部品の力学性能も低下する。一方、電気エネルギー伝送アルミ部品の電圧降下値は上昇し始めて、電気エネルギー伝送アルミ部品の電気学性能に影響を及ぼす。アルミコンダクターコアの圧縮率が35%~97%であると、電気エネルギー伝送アルミ部品の電圧降下と引抜き力値がいずれも理想的な範囲内である。
【0046】
(実施例5)
実施例1に記載の電気エネルギー伝送アルミ部品を作製し、発明者は、前記絶縁層とアルミ製導電装置の圧着箇所にシールリングまたは封止剤が設置されている場合の、電気エネルギー伝送アルミ部品の極限圧力と離脱する際の折曲がる回数に対する影響を証明するために、前記絶縁層とアルミ製導電装置の圧着箇所にシールリングまたは封止剤を設置していない場合、シールリングのみを設置した場合と封止剤のみを設置した場合の電気エネルギー伝送アルミ部品の極限圧力と離脱する際の折曲がる回数を観察した。
【0047】
該実施例において、凹み状構造の深さがアルミ製導電装置の壁の厚みで占める割合は50%で、電気エネルギー伝送アルミ部品の前端面と軸線に垂直な面との夾角は0°であり、その結果を表4に示した。
【0048】
表4:シールリングまたは封止剤を設置した場合の電気エネルギー伝送アルミ部品の性能に対する影響
【0049】
上記表における実験によると、
極限圧力:前記電気エネルギー伝送アルミ部品を水の中に入れて、前記電気エネルギー伝送アルミ部品が水の中で泡を立てるまで前記電気エネルギー伝送アルミ部品のアルミケーブルの中に空気圧を入れ、その時の空気圧値を記録する。
【0050】
離脱する際の折曲がる回数:前記電気エネルギー伝送アルミ部品を固定し、絶縁層がアルミ製導電装置の圧着箇所から離脱するまで、前記電気エネルギー伝送アルミ部品から同じ距離だけ離れたアルミケーブル位置で繰り返して90°の折曲げ行って、その時の回数を記録する。
【0051】
表に示す実験結果によると、前記絶縁層とアルミ製導電装置の圧着箇所にシールリングまたは封止剤が設置されている場合、実験した極限圧力と離脱する際の折曲がる回数がいずれもシールリングまたは封止剤を設置していない電気エネルギー伝送アルミ部品より優れているため、発明者は前記絶縁層とアルミ製導電装置の圧着箇所にシールリングまたは封止剤を設置することが好ましいと判断した。
【0052】
(実施例6)
発明者は、本発明の電気エネルギー伝送アルミ部品と他の設計方法の電気エネルギー伝送アルミ部品との差異を証明するために、実施例1に記載の方法に従って前記電気エネルギー伝送アルミ部品を作製し、また背景技術に記載の一般的な外面が滑らかで、内部が階段状であるアルミ製導電装置からなる電気エネルギー伝送アルミ部品を作製した。本発明の電気エネルギー伝送アルミ部品と背景技術中の電気エネルギー伝送アルミ部品の引抜き力値と電圧降下値、及び1000時間の塩水噴霧実験、200時間の持続的な電流実験と6000時間の老化実験を行った後の引抜き力値と電圧降下値を観察した。その結果を表5-1、表5-2に示した。
【0053】
表5-1:背景技術中の電気エネルギー伝送アルミ部品と本発明の電気エネルギー伝送アルミ部品の引抜き力と電圧降下の影響(実験前と1000時間の塩水噴霧実験後)
【0054】
表5-2:背景技術中の電気エネルギー伝送アルミ部品と本発明の電気エネルギー伝送アルミ部品の引抜き力と電圧降下の影響(200時間の持続的な電流と6000時間の老化実験後)
【0055】
上記表5-1と表5-2の結果によると、本発明の電気エネルギー伝送アルミ部品の場合、初期引抜き力値が背景技術中の電気エネルギー伝送アルミ部品の初期引抜き力値より明らかに高く、また初期電圧降下値も背景技術中の電気エネルギー伝送アルミ部品の初期電圧降下値より明らかに低い。それぞれ1000時間の塩水噴霧試験と200時間の高低温実験と6000時間の老化実験を経た後、本発明の電気エネルギー伝送アルミ部品の引抜き力値は依然として背景技術中の電気エネルギー伝送アルミ部品の初始引抜き力値より明らかに高い。一方、背景技術中の電気エネルギー伝送アルミ部品の場合、実験後の引抜き力値が明らかに低く、力学性能が不安定であり、電気エネルギー伝送アルミ部品の機能が失効してアルミケーブルが短絡し、軽ければ機能が失効し、重ければ燃焼事故を引き起こす可能性がある。本発明の電気エネルギー伝送アルミ部品の場合、実験後の電圧降下値が背景技術中の電気エネルギー伝送アルミ部品の初始電圧降下値と大体同じである。一方、背景技術中の電気エネルギー伝送アルミ部品の場合、実験後の電圧降下値も明らかに低下され、電気学性能が不安定であり、電気エネルギー伝送アルミ部品の接触抵抗が上昇し、導電時に電気エネルギー伝送アルミ部品が発熱して赤くなり、深刻な時には温度が高すぎて燃焼し、厳重な事故を引き起こす可能性がある。
【0056】
上記実施形態は本発明の好適な実施形態にすぎず、これらによって本発明の保護範囲が限定されることがなく、当業者が本発明に基づいて行ったすべての非実質的な変形及び入れ替えはいずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1:アルミ製導電装置
2:アルミコンダクターコア
3:絶縁層
4:移行区間
5:溝
6:ブラインドホール
図1
図2
図3a
図3b