(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】商品吊下げ具
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20230915BHJP
【FI】
A47F5/00 D
(21)【出願番号】P 2023054769
(22)【出願日】2023-03-30
【審査請求日】2023-03-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523117694
【氏名又は名称】鍛冶野 真
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】鍛冶野 真
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/073566(WO,A1)
【文献】特開2004-236975(JP,A)
【文献】特開2014-73306(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0188470(US,A1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2011-0006683(KR,U)
【文献】特開2013-226279(JP,A)
【文献】特開2002-95556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延伸し、前方側で垂直方向の上方に向けて曲がる曲げ部を有する商品吊下げバー部と、
前記商品吊下げバー部の上方に設けられ、前記商品吊下げバー部に略平行に延伸する支持バー部と、
前記商品吊下げバー部の後方と前記支持バー部の後方とを連結する鉛直部と、
を備えた商品陳列具に付設される商品吊下げ具であって、
前記商品吊下げバー部は、
前方に前記曲げ部が設けられ、第1の径を有する筒状の第1棒部材と、
後方が前記鉛直部に連結され、前記第1の径よりも小さい第2の径を有し、前記第1棒部材の後方から前記第1棒部材内に挿入可能な第2棒部材と、
を備え
、
前記第2棒部材は、
前方に設けられ下方に向けて傾斜する傾斜面と、
後方において径方向外側に向けて突出する突起部と、を有しており、
前記第1棒部材は、
後方に設けられ、周方向の上半分が欠けた半円筒部と、
前記半円筒部に設けられ、周方向に回転させたときに前記突起部を係合させるための切り欠き部と、を有することを特徴とする商品吊下げ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品吊下げ具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストアなどの小売業では、商品を陳列する商品陳列棚がある。ここには、商品を吊り下げた状態で陳列するための商品吊下げバーを有する商品陳列具が設置されることがある。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、弾力のあるプラスチックを素材に用い、前後に細長い矩形でバネ板1を設け、バネ板1は竿棒に吊して使用する事から吊す為の穴を設けるのであり、バネ板1の背部へ背部穴2を設け、正面部はスライドする事からスライド穴3として設け、バネ板1の正面外へ複数の商品を竿棒へ吊す事によってバネ板1は湾曲し、バネ板1の湾曲の戻りによって竿棒に吊された複数の商品が正面方向へ押し出される事となり、商品表示ができてバネ板1の脱落防止箇所を備えた、吊り下がり前詰めバネ板が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、商品陳列用枠体や壁面に着脱可能又は着脱不可能に取り付けられる係合片と、この係合片に後端部が固定された複数の商品を着脱可能に吊持するフック部材と、前記フック部材にスライド移動可能に取り付けられ該フック部材に吊持された商品を前方に押し付けることができる押し付け体と、前記押し付け体に取り付けられ該押し付け体をスライド移動させる操作バーと、前記押し付け体を常時後方へ付勢する付勢弾性体と、を備えることを特徴とする商品陳列具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-47338号公報
【文献】特開平10-272042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、グミなどのお菓子は、袋の上部に貫通孔が形成されており、貫通孔を商品吊下げバーを通して、奥行き方向に複数の袋を積み重ねていく。このような陳列方法では、商品を新しく補充する際に賞味期限が近づいたものほど前方側に位置させる必要がるため、吊り下げている袋を全て商品吊下げバーから一旦取り外した後、補充する商品を商品吊下げバーに吊り下げ、その後、取り外した賞味期限が近づいた商品を当該補充した商品の前方側に商品吊下げバーに吊り下げる必要がある。このように商品を補充するとなると時間がかかり作業効率が悪くなる。
【0007】
本発明の目的は、商品の補充の作業効率を高めることを可能とする商品吊下げ具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る商品吊下げ具は、水平方向に延伸し、前方側で垂直方向の上方に向けて曲がる曲げ部を有する商品吊下げバー部と、前記商品吊下げバー部の上方に設けられ、前記商品吊下げバー部に略平行に延伸する支持バー部と、前記商品吊下げバー部の後方と前記支持バー部の後方とを連結する鉛直部と、を備えた商品陳列具に付設される商品吊下げ具であって、前記商品吊下げバー部は、前方に前記曲げ部が設けられ、第1の径を有する筒状の第1棒部材と、後方が前記鉛直部に連結され、前記第1の径よりも小さい第2の径を有し、前記第1棒部材の後方から前記第1棒部材内に挿入可能な第2棒部材と、を備え、 前記第2棒部材は、前方に設けられ下方に向けて傾斜する傾斜面と、後方において径方向外側に向けて突出する突起部と、を有しており、前記第1棒部材は、後方に設けられ、周方向の上半分が欠けた半円筒部と、前記半円筒部に設けられ、周方向に回転させたときに前記突起部を係合させるための切り欠き部と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る商品吊下げ具において、前記第2棒部材は、後方において径方向外側に向けて突出する突起部を有しており、前記第1棒部材は、前記半円筒部に設けられ、周方向に回転させたときに前記突起部を係合させるための切り欠き部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、商品の補充の作業効率を高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る実施形態の商品吊下げ具を示す図である。
【
図2】本発明に係る実施形態の商品吊下げ具の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0016】
図1は、本発明に係る実施形態の商品吊下げ具10を示す図である。
図1(a)は、商品吊下げ具10を前方側の斜め上方向から見た斜視図であり、
図1(b)は、商品吊下げ具10の商品吊下げバー部12を分離した様子を示す図である。
【0017】
図2は、本発明に係る実施形態の商品吊下げ具10の変形例を示す図である。
図2(a)は、商品吊下げ具10の商品吊下げバー部12の第1変形例である商品吊下げバー部13を示した図であり、
図2(b)は、商品吊下げ具10の商品吊下げバー部12の第2変形例である商品吊下げバー部15を示した図である。
【0018】
商品吊下げ具10は、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなどの商品陳列棚に付設され、吊り下げ式の商品を吊り下げ陳列するための什器である。商品吊下げ具10は、商品吊下げバー部12と、支持バー部14と、鉛直部16と、引掛け部18とを備えている。
【0019】
商品吊下げバー部12は、水平方向に延伸し、前方側で垂直方向の上方に向けて曲がる曲げ部12cを有する。商品吊下げバー部12は、第1棒部材12aと、第2棒部材12bとを備えている。
【0020】
第1棒部材12aは、前方に曲げ部12cが設けられ、第1の径を有する筒状の棒部材である。第1棒部材12aは、適度な強度を有する材質、例えば、ステンレスで構成することが出来る。第1棒部材12aは、後方の内周面の一部に設けられる第1螺合部12eを有する。
【0021】
第1棒部材12aは、例えば、外径が6mmに設定され、内径が5mmとなるように設定されている。第1棒部材12aは、水平方向に伸びている延伸部の長さが約27cmであり、曲げ部12cの長さが約1.5cmである。延伸部と曲げ部12cとのなす角度は、45°に設定されている。
【0022】
第2棒部材12bは、後方が鉛直部18に連結され、第1棒部材の内径よりも小さい径を有し、第1棒部材12aの後方から第1棒部材内に挿入可能な円柱状の棒部材である。第2棒部材12bは、前方に設けられ、下方に向けて傾斜する傾斜面12dを有する。
【0023】
第2棒部材12bは、適度な強度を有する材質、例えば、ステンレスで構成することが出来る。第2棒部材12bは、後方の外周面の一部に設けられ、第1螺合部12eと螺合する第2螺合部12fを有する。
【0024】
第2棒部材12bは、例えば、直径が約4.9mmに設定される。第1棒部材12aは、水平方向に伸びている延伸部の長さが約25cmであり、傾斜面12dの水平方向の長さが約2cmである。傾斜面12dの角度は、15°に設定されている。
【0025】
支持バー部14は、商品吊下げバー部12の上方に設けられ、商品吊下げバー部12に略平行に延伸する。支持バー部14は、前方において延伸部と垂直方向の上方に伸びる垂直部14aを有する。
【0026】
支持バー部14は、円柱状の棒部材である。支持バー部14は、例えば、直径が5mmとなるように設定されている。支持バー部14は、水平方向に伸びている延伸部の長さが約24cmであり、垂直部14aの長さが約2cmである。延伸部と垂直部14aとのなす角度は、90°に設定されている。
【0027】
支持バー部14の垂直部14aには、商品の価格などを表示するプレートを装着することが出来る。これにより、商品の購入を検討しているユーザが商品の価格を一見して把握できるようになっている。
【0028】
鉛直部16は、商品吊下げバー部12の後方と支持バー部14の後方とを連結する。鉛直部16は、適度な強度を有する材質、例えば、ステンレスで構成することが出来る。鉛直部16は、略U字形状を有する湾曲形状を有している。
【0029】
引掛け部18は、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなどの商品陳列棚に係合させるための凹部を有する。引掛け部18は、適度な強度を有する材質、例えば、ステンレスで構成することが出来る。
【0030】
続いて、上記構成の商品吊下げ具10の作用について説明する。従来、コンビニエンスストアなどの小売業では、グミや飴などの吊り下げ可能な商品袋を有する商品を陳列する商品陳列棚がある。この商品陳列棚には、商品を吊り下げた状態で陳列するための商品吊下げバーを有する商品陳列具が付設される。
【0031】
コンビニエンスストアなどの小売業では、商品は先入先出が原則であるため、賞味期限が近い商品ほど前方となるように商品を配置することが好ましい。このため、商品を吊り下げて配置する商品吊下げバーでは、奥行き方向に商品が重なるように配置されるため、商品を補充する場合、既に商品吊下げバーに吊り下げられている全ての商品を前方から取り外す。
【0032】
その後、補充する商品を商品吊下げバーに吊り下げ後に、取り外していた商品を当該補充した商品の前方に補充する。一般的に、このような手順で商品を補充しているため、作業効率が悪いという課題がある。このような課題に対し、本発明に係る実施形態の商品吊下げ具10は、顕著な効果を発揮する。
【0033】
商品吊下げ具10を用いて、商品の補充する場合、第1棒部材12aに商品を吊り下げたまま第1棒部材12aと第2棒部材12bとの螺合状態を解除するように第1棒部材12aを周方向に回転させる。
【0034】
これにより、第1棒部材12aと第2棒部材12bとの螺合を解除させた後、第1棒部材12aを前方側に引くと、
図1(b)に示されるように、第1棒部材12aと第2棒部材12bとが分離する。
【0035】
第1棒部材12aを第2棒部材12bから取り外した後は、第1棒部材12aの後方が開放されるため、第1棒部材12aの後方から補充する商品を吊り下げる。このように補充した後は、第1棒部材12aの中に第2棒部材12bを装着させ、第1棒部材12aを奥側まで押し込んだ後、第1棒部材12aを周方向に回転させて第2棒部材12bと螺合させる。これにより、補充が完了する。
【0036】
上記のように、商品吊下げ具10によれば、商品を補充する場合に、従来のように、吊り下げた商品を取り外すことなく、吊り下げた状態のまま第1棒部材12aを取り外して後方から商品を補充し、補充し終えた後は、第1棒部材12aを第2棒部材12bに螺合させることで補充が完了する。これにより、従来に比べて、作業効率が飛躍的に向上するという利点がある。
【0037】
次に、商品吊下げ具10の商品吊下げバー部12の第1変形例である商品吊下げバー部13について説明する。
図2(a)には、商品吊下げバー部13が示されている。商品吊下げバー部13は、商品吊下げ具10の商品吊下げバー部12とほぼ同じ構成であるため、以下では、相違点を中心に説明する。
【0038】
商品吊下げバー部13は、水平方向に延伸し、前方側で垂直方向の上方に向けて曲がる曲げ部を有する。商品吊下げバー部13は、第1棒部材13aと、第2棒部材13bとを備えている。
【0039】
第1棒部材13aは、後方に設けられ、周方向の上半分が欠けた半円筒部13cを有する。半円筒部13cの長さは、例えば、約3cmに設定することができる。
【0040】
第1棒部材13aは、半円筒部13cとの境界部付近において、後方の内周面の一部に設けられる第1螺合部13dを有する。
【0041】
第2棒部材13bは、上記第1螺合部13dと螺合可能な位置に設けられる第2螺合部13eを有する。第2螺合部13eは、第2棒部材13bの後方から約3cmの位置に形成される。また、第2棒部材13bは、後方が鉛直部16と連結される。
【0042】
続いて、上記構成の商品吊下げバー部13の作用について説明する。商品吊下げバー部13は、商品吊下げ具10の商品吊下げバー部12と同様に、第1棒部材13aを第2棒部材13bから取り外した後は、後方が開放されるため、第1棒部材13aの後方から補充する商品を吊り下げることができ、商品吊下げ具10と同様の効果を奏する。
【0043】
また、商品吊下げバー部13によれば、第1棒部材13aに第2棒部材13bを挿入する際に、半円筒部13cの部分が上半分開放されているため、第2棒部材13bを斜め方向から半円筒部13cに当接させることができ、第2棒部材13bの位置決めがやりやすいという利点がある。
【0044】
次に、商品吊下げ具10の商品吊下げバー部12の第2変形例である商品吊下げバー部15について説明する。
図2(b)には、商品吊下げバー部15が示されている。商品吊下げバー部15は、商品吊下げ具10の商品吊下げバー部12とほぼ同じ構成であるため、以下では、相違点を中心に説明する。
【0045】
商品吊下げバー部15は、水平方向に延伸し、前方側で垂直方向の上方に向けて曲がる曲げ部を有する。商品吊下げバー部15は、第1棒部材15aと、第2棒部材15bとを備えている。
【0046】
第1棒部材15aは、後方に設けられ、周方向の左半分が欠けた半円筒部15cを有する。半円筒部15cの長さは、例えば、約3cmに設定することができる。
【0047】
第1棒部材15aは、
図2(b)に示されるように、半円筒部15cに設けられていて、周方向に回転させたときに突起部15eを係合させるための切り欠き部15dが形成されている。
【0048】
第2棒部材15bは、後方において径方向外側に向けて突出する突起部15eを有している。また、第2棒部材15bの後方が鉛直部16と連結されている。
【0049】
続いて、上記構成の商品吊下げバー部15の作用について説明する。商品吊下げバー部15は、商品吊下げ具10の商品吊下げバー部12と同様に、第1棒部材15aを第2棒部材15bから取り外した後は、後方が開放されるため、第1棒部材15aの後方から補充する商品を吊り下げることができ、商品吊下げ具10と同様の効果を奏する。
【0050】
また、商品吊下げバー部15によれば、第1棒部材15aに第2棒部材15bを挿入する際に、半円筒部15cの部分が左半分開放されているため、第2棒部材15bの位置決めがやりやすいという利点がある。さらに、第1棒部材15aを回転させると突起部15eが切り欠き部15dに係合するため、螺合部を設けなくても、第1棒部材15aをそのまま引っ張った場合であっても抜けないようにロックすることが出来る。
【符号の説明】
【0051】
1 バネ板、2 背部穴、3 スライド穴、10 商品吊下げ具、12 吊下げバー部、12a 第1棒部材、12b 第2棒部材、12c 曲げ部、12d 傾斜面、12e 第1螺合部、12f 第2螺合部、13 商品吊下げバー部、13c 半円筒部、14 支持バー部、14a垂直部、15 商品吊下げバー部、15 半円筒部、15c 半円筒部、15d 切り欠き部、15d 突起部、15e 突起部、16 鉛直部、18 引掛け部。
【要約】
【課題】商品の補充の作業効率を高めることを可能とする商品吊下げ具を提供することである。
【解決手段】商品吊下げ具10は、水平方向に延伸し、前方側で垂直方向の上方に向けて曲がる曲げ部を有する商品吊下げバー部12と、商品吊下げバー部12の上方に設けられ、商品吊下げバー部12に略平行に延伸する支持バー部14と、商品吊下げバー部12の後方と支持バー部14の後方とを連結する鉛直部16と、を備えた商品陳列具に付設される商品吊下げ具10であって、商品吊下げバー部12は、前方に曲げ部が設けられ、第1の径を有する筒状の第1棒部材12aと、後方が鉛直部16に連結され、第1の径よりも小さい第2の径を有し、第1棒部材12aの後方から第1棒部材12a内に挿入可能な第2棒部材12bと、を備える。
【選択図】
図1