(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】電池、電力消費装置、電池の製造方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6556 20140101AFI20230915BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230915BHJP
H01M 10/6561 20140101ALI20230915BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20230915BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20230915BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20230915BHJP
H01M 50/358 20210101ALI20230915BHJP
H01M 50/367 20210101ALI20230915BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20230915BHJP
H01M 10/52 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/6561
H01M10/6567
H01M50/342 101
H01M50/342 201
H01M50/35
H01M50/358
H01M50/367
H01M50/289
H01M10/52
(21)【出願番号】P 2023503004
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(86)【国際出願番号】 CN2020121994
(87)【国際公開番号】W WO2022082391
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-01-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522010668
【氏名又は名称】ジアンス・コンテンポラリー・アンプレックス・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】梁 成都
(72)【発明者】
【氏名】胡 浪超
(72)【発明者】
【氏名】黄 小▲騰▼
(72)【発明者】
【氏名】洪 家▲榮▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲海▼奇
(72)【発明者】
【氏名】汪 文礼
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-123298(JP,A)
【文献】中国実用新案第211376746(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第111509163(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6556
H01M 10/613
H01M 10/6561
H01M 10/6567
H01M 50/342
H01M 50/35
H01M 50/358
H01M 50/367
H01M 50/289
H01M 10/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルと、消防配管と、収容部と、を含み、
前記電池セルは、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して、前記内部圧力を逃がすために用いられる減圧機構を含み、
前記消防配管は消防媒体を収容するために用いられ、且つ前記消防配管は前記減圧機構が作動する時に前記電池セルに向かって前記消防媒体を排出するように構成され、
前記収容部は、前記消防配管から排出され、前記電池セルの温度を下げるための前記消防媒体を収容するために用いら
れ、
前記減圧機構は前記電池セルの第1壁に設置され、前記収容部は第1収容部を含み、前記第1収容部は前記電池セルの第2壁に取り付けられ、前記第2壁は前記第1壁に垂直であり、前記第1収容部は前記第1壁から拡散した前記消防媒体を収集するために用いら
れ、
前記第1収容部は第1プレートと、第2プレートと、少なくとも2つのバッフルと、を含み、前記第2プレートは前記第1プレートと交差し、前記第1プレートは前記第2壁と交差し、前記少なくとも2つのバッフルはいずれも前記第1プレート及び前記第2プレートと交差
し、
前記少なくとも2つのバッフルのうち、前記第2プレートの両端に位置する2つのバッフル以外の他のバッフルは、隣接する2つの前記電池セルの間に埋め込まれる、電池。
【請求項2】
前記第1プレートは前記第1壁に平行であり、前記第2プレートは前記第2壁に平行であり、前記少なくとも2つのバッフルは前記第1プレート及び前記第2プレートに垂直である、請求項
1に記載の電池。
【請求項3】
前記第1プレートは前記電池の筐体の底板である、請求項
2に記載の電池。
【請求項4】
前記第2プレートは前記電池の筐体の側板又は前記筐体の梁である、請求項
2又は
3に記載の電池。
【請求項5】
前記少なくとも2つのバッフルにおける2つのバッフルと前記第1プレート、前記第2プレート及びN個の前記電池セルの第2壁は前記消防媒体を収容する収容空間を形成するために用いられ、前記収容空間は前記第1壁に向けられた開口を有し、ただし、Nは正の整数である、請求項
1から
4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項6】
Nは1、2又は3に等しい、請求項
5に記載の電池。
【請求項7】
前記少なくとも2つのバッフルは、前記第1壁に垂直な方向である第1方向の長さが同じである、請求項
1から
6のいずれか一項に記載の電池。
【請求項8】
前記第1プレートは前記電池セルの第3壁と同一平面に位置し、前記第3壁は前記第1壁に平行である、請求項
1から
7のいずれか一項に記載の電池。
【請求項9】
前記第1プレートは、前記第1壁と前記電池セルの第3壁との間に配置され、前記第3壁は前記第1壁に平行である、請求項
1から
7のいずれか一項に記載の電池。
【請求項10】
前記第2プレートの前記第3壁に近い一端は、前記第3壁と同一面である、請求項
9に記載の電池。
【請求項11】
前記第1プレートは連結部材を介して前記第2壁に取り付けられる、請求項
1から
10のいずれか一項に記載の電池。
【請求項12】
前記第1収容部は連結プレートを含み、前記連結プレートは前記第1プレートの前記第2壁に連結される一端において第1方向に沿って延伸し、前記連結プレートは前記連結部材を介して前記第2壁に取り付けられ、前記第1方向は前記第1壁に垂直な方向である、請求項
11に記載の電池。
【請求項13】
前記連結部材は熱伝導性接着剤である、請求項
11又は
12に記載の電池。
【請求項14】
前記減圧機構は前記電池セルの第1壁に設置され、前記収容部は前記第1壁に設置された第2収容部を含み、前記減圧機構は前記第2収容部の底壁に設置され、前記第2収容部は前記減圧機構の作動時に前記電池セル内に流入した前記消防媒体を収集するために用いられる、請求項
1から13のいずれか一項に記載の電池。
【請求項15】
前記第2収容部の開口は前記電池セルの外部に向けられ、前記第2収容部の開口の面積は前記減圧機構が位置する領域の面積より大きい、請求項
14に記載の電池。
【請求項16】
前記第2収容部の開口の面積は、前記電池セルの外部に向けられた前記第2収容部の底壁の表面の面積以上である、請求項
14又は
15に記載の電池。
【請求項17】
前記第2収容部の底壁の厚さは均一である、請求項
14から
16のいずれか一項に記載の電池。
【請求項18】
前記電池セルの外部に向けられた、前記第2収容部の底壁の表面は、四方から中心まで前記第2収容部の内部へ向かって傾斜する傾斜面である、請求項
14から
16のいずれか一項に記載の電池。
【請求項19】
前記第1壁の前記電池セルの内部に近い表面は第1領域と第2領域を含み、前記第1領域は前記第2収容部に対向する領域であり、前記第2領域は前記第1壁の前記電池セルの内部に近い表面における前記第1領域以外の領域であり、前記第1領域と前記第2領域は同一平面に位置する、請求項
14から
18のいずれか一項に記載の電池。
【請求項20】
前記第1壁の前記電池セルの内部に近い表面は第1領域と第2領域を含み、前記第1領域は前記第2収容部に対向する領域であり、前記第2領域は前記第1壁の前記電池セルの内部に近い表面における前記第1領域以外の領域であり、前記第1領域が位置する平面は前記第2領域が位置する平面よりも前記電池セルの内部に近い、請求項
14から
18のいずれか一項に記載の電池。
【請求項21】
前記第2収容部の底壁に分割リブが設けられ、前記分割リブは前記第2収容部の底壁を少なくとも2つの領域に分ける、請求項
14から
20のいずれか一項に記載の電池。
【請求項22】
前記減圧機構は、前記少なくとも2つの領域のうちの1つに位置する、請求項
21に記載の電池。
【請求項23】
前記第2収容部の底壁に貫通孔が設けられ、前記減圧機構は前記貫通孔を覆う、請求項
14から
22のいずれか一項に記載の電池。
【請求項24】
前記減圧機構の前記電池セルの外部に向けられた側に位置し且つ前記減圧機構を覆って、前記減圧機構を保護するために用いられる保護シートをさらに含む、請求項
14から
23のいずれか一項に記載の電池。
【請求項25】
前記減圧機構の周囲領域の、前記第2収容部の底壁の前記電池セルの外部に向けられた表面に、前記電池セルの外部に向かって延伸する突起が設けられ、前記保護シートは前記突起に固定され、それにより前記減圧機構を覆う、請求項
24に記載の電池。
【請求項26】
前記突起は、前記第2収容部の底壁の前記電池セルの外部に向けられた表面から突出する高さが、前記第2収容部の深さよりも小さい、請求項
25に記載の電池。
【請求項27】
請求項
1から26のいずれか一項に記載の電池を含む、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は、エネルギー貯蔵デバイスの分野に関し、より具体的には、電池、電力消費装置、電池の製造方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーと排出削減は、自動車産業の持続可能な発展におけるキーポイントである。このような状況において、電動車両は省エネルギーで環境に優しいというその利点から、自動車産業の持続可能な発展における重要な構成部分となっている。電動車両にとって、電池技術はその発展に関わる重要な要素である。
電池技術の発展において、電池の性能を向上させる以外に、安全上の問題も無視できない課題である。電池の安全上の問題を保証できない場合、該電池を使用することはできない。従って、電池の安全性をどのように強化するかは、電池技術における早急に解決すべき技術的課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願の実施例は電池の安全性を強化することができる電池、電力消費装置、電池の製造方法及びその装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1態様によれば、電池セルと、消防配管と、収容部と、を含む電池であって、前記電池セルは、電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して、前記内部圧力を逃がすために用いられる減圧機構を含み、前記消防配管は消防媒体を収容するために用いられ、且つ前記消防配管は前記減圧機構が作動する時に前記電池セルに向かって前記消防媒体を排出するように構成され、前記収容部は、前記消防配管から排出され、前記電池セルの温度を下げるための前記消防媒体を収容するために用いられる電池を提供する。
【0005】
本願の実施例において、電池は消防媒体を収容するための収容部を含み、これにより、減圧機構が作動し、且つ熱暴走が発生した電池セルに向かって消防配管が消防媒体を排出する時、熱暴走が発生した電池セル内に消防媒体を流入させることができる以外に、一部の消防媒体をさらに収容部内に貯蔵することができ、消防配管から排出された消防媒体を十分且つ効果的に利用できるようにして、消防媒体が浪費されるという問題を防ぎ、電池セルの温度を迅速に低下させ、電池セルの異常による危険性を直ちに抑制し、電池の爆発の可能性を低下させて、電池の安全性を強化することができる。さらに、その後の時点で、電池セルに熱暴走が発生しても、収容部に貯蔵された消防媒体は熱暴走が発生した電池セルの温度を持続的に下げることができ、電池の安全性をさらに向上させることができる。
【0006】
いくつかの実施例において、前記減圧機構は前記電池セルの第1壁に設置され、前記収容部は第1収容部を含み、前記第1収容部は前記電池セルの第2壁に取り付けられ、前記第2壁は前記第1壁に垂直であり、前記第1収容部は前記第1壁から拡散した前記消防媒体を収集するために用いられる。
【0007】
該技術的解決手段によれば、電池セルに熱暴走が発生した場合、消防配管から排出された消防媒体の一部を電池セルに流入させることができ、第1壁から拡散した他の部分の消防媒体を第1収容部に収集することにより、第1収容部に収集された消防媒体は電池セルの温度を持続的に下げることができる。
【0008】
いくつかの実施例において、前記第1収容部は第1プレートと、第2プレートと、少なくとも2つのバッフルと、を含み、前記第2プレートは前記第1プレートと交差し、前記第1プレートは前記第2壁と交差し、前記少なくとも2つのバッフルはいずれも前記第1プレート及び前記第2プレートと交差する。
【0009】
いくつかの実施例において、前記第1プレートは前記第1壁に平行であり、前記第2プレートは前記第2壁に平行であり、前記少なくとも2つのバッフルは前記第1プレート及び前記第2プレートに垂直である。
【0010】
いくつかの実施例において、前記第1プレートは前記電池の筐体の底板である。
【0011】
いくつかの実施例において、前記第2プレートは前記電池の筐体の側板又は前記筐体の梁である。
【0012】
上記技術的解決手段によれば、第1収容部は電池の筐体、側板又は梁を再利用することにより、電池の生産コストを節約することができる。
【0013】
いくつかの実施例において、前記少なくとも2つのバッフルにおける2つのバッフルと前記第1プレート、前記第2プレート及びN個の前記電池セルの第2壁は前記消防媒体を収容する収容空間を形成するために用いられ、前記収容空間は前記第1壁に向けられた開口を有し、ただし、Nは正の整数である。
【0014】
いくつかの実施例において、Nは1、2又は3に等しい。
【0015】
Nが1より大きい場合、消防媒体は熱暴走が発生した電池セルの温度を下げる以外に、該電池セルに隣接する電池セルの温度を下げることができ、それにより熱拡散を遮断する効果を果たすことができる。
【0016】
いくつかの実施例において、前記少なくとも2つのバッフルは、前記第1壁に垂直な方向である第1方向の長さが同じである。
【0017】
いくつかの実施例において、前記第1プレートは前記電池セルの第3壁と同一平面に位置し、前記第3壁は前記第1壁に平行である。
【0018】
第1プレートが第3壁と同一平面に位置することより、第1収容部と第2壁によって形成される収容空間が最大化され、より多くの消防媒体を残しておくことができる。
【0019】
いくつかの実施例において、前記第1プレートは、前記第1壁と前記電池セルの第3壁との間に配置され、前記第3壁は前記第1壁に平行である。
【0020】
いくつかの実施例において、前記第2プレートの前記第3壁に近い一端は、前記第3壁と同一面である。
【0021】
いくつかの実施例において、前記少なくとも2つのバッフルのうち、前記第2プレートの両端に位置する2つのバッフル以外の他のバッフルは、隣接する2つの前記電池セルの間に埋め込まれる。
【0022】
隣接する2つの電池セルの間にバッフルを嵌め込むことにより、第1収容部と第2壁との連結安定性を向上させることができる。
【0023】
いくつかの実施例において、前記第1プレートは連結部材を介して前記第2壁に取り付けられる。
【0024】
いくつかの実施例において、前記第1収容部は連結プレートを含み、前記連結プレートは前記第1プレートの前記第2壁に連結される一端において第1方向に沿って延伸し、前記連結プレートは前記連結部材を介して前記第2壁に取り付けられ、前記第1方向は前記第1壁に垂直な方向である。
【0025】
連結プレートを設けることにより、第1収容部と第2壁はより大きな連結面積を有し、連結強度及び熱伝導面積を増加させることができる。
【0026】
いくつかの実施例において、前記連結部材は熱伝導性接着剤である。
【0027】
連結部材を熱伝導性接着剤にすることにより、熱伝導接着剤は熱を電池セルに伝達することができる。
【0028】
いくつかの実施例において、前記減圧機構は前記電池セルの第1壁に設置され、前記収容部は前記第1壁に設置された第2収容部を含み、前記減圧機構は前記第2収容部の底壁に設置され、前記第2収容部は前記減圧機構の作動時に前記電池セル内に流入した前記消防媒体を収集するために用いられる。
【0029】
電池セルの第1壁に第2収容部を設けることにより、電池セルに熱暴走が発生した場合、消防媒体を電池セル内に流入させることができる以外に、一部の消防媒体を第2収容部内に残すことができ、より多くの消防媒体を、電池セルを冷却し温度を下げるために用いることができる。さらに、消防媒体の流量が少ない場合、消防媒体を第2収容部内に残し、続いて電池セルに流入させることが容易であり、それにより熱暴走が発生した電池セルを冷却し温度を下げることができる。消防媒体の流量が多い場合、消防媒体は直ちに熱暴走が発生した電池セルの温度を下げることができ、それだけでなく第2収容部に貯蔵することもでき、これにより、消防媒体は他の電池セルの温度を下げることも可能であり、電池の安全性をさらに向上させることができる。
【0030】
いくつかの実施例において、前記第2収容部の開口は前記電池セルの外部に向けられ、前記第2収容部の開口の面積は前記減圧機構が位置する領域の面積より大きい。
【0031】
いくつかの実施例において、前記第2収容部の開口の面積は、前記電池セルの外部に向けられた前記第2収容部の底壁の表面の面積以上である。
【0032】
第2収容部の開口の面積が大きいほど、消防媒体を収集するその面積が大きくなり、第2収容部が消防媒体を収集する効率を向上させることができる。
【0033】
いくつかの実施例において、前記第2収容部の底壁の厚さは均一である。
【0034】
いくつかの実施例において、前記電池セルの外部に向けられた、前記第2収容部の底壁の表面は、四方から中心まで前記第2収容部の内部へ向かって傾斜する傾斜面である。
【0035】
いくつかの実施例において、前記第1壁の前記電池セルの内部に近い表面は第1領域と第2領域を含み、前記第1領域は前記第2収容部に対向する領域であり、前記第2領域は前記第1壁の前記電池セルの内部に近い表面における前記第1領域以外の領域であり、前記第1領域と前記第2領域は同一平面に位置する。
【0036】
いくつかの実施例において、前記第1壁の前記電池セルの内部に近い表面は第1領域と第2領域を含み、前記第1領域は前記第2収容部に対向する領域であり、前記第2領域は前記第1壁の前記電池セルの内部に近い表面における前記第1領域以外の領域であり、前記第1領域が位置する平面は前記第2領域が位置する平面よりも前記電池セルの内部に近い。
【0037】
これにより、消防媒体を第2収容部に効果的に流入させることができる。
【0038】
いくつかの実施例において、前記第2収容部の底壁に分割リブが設けられ、前記分割リブは前記第2収容部の底壁を少なくとも2つの領域に分ける。
【0039】
分割リブを設けることにより、第2収容部の強度を増加することができる。
【0040】
いくつかの実施例において、前記減圧機構は、前記少なくとも2つの領域のうちの1つに位置する。
【0041】
いくつかの実施例において、前記第2収容部の底壁に貫通孔が設けられ、前記減圧機構は前記貫通孔を覆う。
【0042】
いくつかの実施例において、前記電池は、前記減圧機構の前記電池セルの外部に向けられた側に位置し且つ前記減圧機構を覆って、前記減圧機構を保護するために用いられる保護シートをさらに含む。
【0043】
保護シートを設置することにより、異物が減圧機構に接触することを遮り、これにより異物は減圧機構の作動時の圧力に影響を与えることなく、減圧機構を保護することができる。
【0044】
いくつかの実施例において、前記減圧機構の周囲領域の、前記第2収容部の底壁の前記電池セルの外部に向けられた表面に、前記電池セルの外部に向かって延伸する突起が設けられ、前記保護シートは前記突起に固定され、それにより前記減圧機構を覆う。突起は減圧機構の周囲の強度を強化することができる。
【0045】
いくつかの実施例において、前記突起は、前記第2収容部の底壁の前記電池セルの外部に向けられた表面から突出する高さが、前記第2収容部の深さよりも小さい。
【0046】
第2態様によれば、第1態様の電池を含む電力消費装置を提供する。
【0047】
いくつかの実施例において、前記電力消費装置は車両、船舶又は宇宙船である。
【0048】
第3態様によれば、電池セルを提供するステップと、消防配管を提供するステップと、収容部を提供するステップと、を含む電池の製造方法であって、前記電池セルは、電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して、前記内部圧力を逃がすために用いられる減圧機構を含み、前記消防配管は消防媒体を収容するために用いられ、且つ前記消防配管は前記減圧機構が作動する時に前記電池セルに向かって前記消防媒体を排出するように構成され、前記収容部は、前記消防配管から排出される前記電池セルの温度を下げるための前記消防媒体を収容するために用いられる電池の製造方法を提供する。
【0049】
いくつかの実施例において、前記減圧機構は前記電池セルの第1壁に設置され、前記収容部は第1収容部を含み、前記第1収容部は前記電池セルの第2壁に取り付けられ、前記第2壁は前記第1壁に垂直であり、前記第1収容部は前記第1壁から拡散した前記消防媒体を収集するために用いられる。
【0050】
いくつかの実施例において、前記第1収容部は第1プレートと、第2プレートと、少なくとも2つのバッフルと、を含み、前記第2プレートは前記第1プレートと交差し、前記第1プレートは前記第2壁と交差し、前記少なくとも2つのバッフルはいずれも前記第1プレート及び前記第2プレートと交差する。
【0051】
いくつかの実施例において、前記収容部は前記第1壁に設置された第2収容部を含み、前記減圧機構は前記第2収容部の底壁に設置され、前記第2収容部は前記減圧機構の作動時に前記電池セル内に流入した前記消防媒体を収集するために用いられる。
【0052】
いくつかの実施例において、前記第2収容部の開口は前記電池セルの外部に向けられ、前記第2収容部の開口の面積は前記減圧機構が位置する領域の面積より大きい。
【0053】
第4態様によれば、上記第3態様の方法を実行するモジュールを含む電池の製造装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
ここで説明される図面は本願に対する更なる理解を提供するために用いられ、本願の一部を構成し、本願の例示的な実施例及びその説明は本願を解釈するために用いられ、本願に対する不当な限定を構成するものではない。図面は以下のとおりである。
【
図2】本願の一実施例に係る電池の構造概略図である。
【
図3】本願の一実施例に係る電池モジュールの構造概略図である。
【
図4】本願の一実施例に係る電池セルの分解図である。
【
図5】本願の一実施例に係る電池の構造概略図である。
【
図6】本願の実施例に係る第1収容部の構造概略図である。
【
図7】本願の実施例に係る第1収容部の構造概略図である。
【
図8】本願の実施例に係る第1収容部の構造概略図である。
【
図9】本願の実施例に係る第1収容部の構造概略図である。
【
図17】本願の実施例に係る電池の構造概略図である。
【
図18】本願の実施例に係る電池の構造概略図である。
【
図19】本願の実施例に係る電池の製造方法の概略フローチャートである。
【
図20】本願の実施例に係る電池の製造装置の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下に本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術的解決手段を明確に説明し、明らかに、説明される実施例は本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本願の実施例に基づき、当業者が創造的な労働を要することなく取得した全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0056】
別途定義されない限り、本願で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本願において出願の明細書で使用される用語は、単に具体的な実施例を説明することが目的であり、本願を限定することを意図したものではない。本願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における「含む」及び「有する」という用語及びそれらの類語は、排他的ではないものを意図している。本願の明細書と特許請求の範囲又は上記図面における「第1」、「第2」等の用語は異なる対象を区別するために用いられ、特定の順序又は主従関係を説明するために用いられるものではない。
【0057】
本願における「実施例」への言及は、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が、本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。本明細書の各所にこの語が出現しても、必ずしも全てが同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と相互に排他的で独立した又は代替的な実施例を指すものでもない。当業者は、本明細書に記載の実施例は他の実施例と組み合わせることができることを明示的かつ暗示的に理解する。
【0058】
本願の記載において説明すべきことは、特に明確に規定及び限定しない限り、「取り付ける」、「つながっている」、「接続」、「取り付け」という用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体接続であってもよい。直接つながっていてもよく、中間媒体を介して間接的につながっていてもよく、又は2つの素子内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0059】
本願における「及び/又は」という用語は、単に関連対象の関連、関係を説明しているに過ぎず、3種類の関係が存在可能であることを示し、例として、A及び/又はBは、Aが単独で存在する、AとBが同時に存在する、Bが単独で存在する、という3つの状況を示すことができる。なお、本願において記号「/」は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0060】
本願に出現する「複数」は2つ以上(2つを含む)を指し、同様に、「複数組」は2組以上(2組を含む)を指し、「複数枚」は2枚以上(2枚を含む)を指す。
【0061】
本願の実施例において、電池セルはリチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等を含むことができ、本願の実施例はこれに限定されない。電池セルは円柱体、扁平体、直方体、又は他の形状等であってもよく、本願の実施例はこれにも限定されない。電池セルは一般的にパッケージの方式により円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルの3種類に分けられ、本願の実施例はこれにも限定されない。
【0062】
本願の実施形態で言及される電池は、より高い電圧及び容量を提供するために1つ以上の電池セルを含む単一の物理的モジュールを指す。例えば、本願で言及される電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含むことができる。電池は、一般的に1つ又は複数の電池セルをパッケージするための筐体を含む。筐体は、液体又は他の異物が電池セルの充放電に影響を及ぼすことを防止することができる。
【0063】
電池セルは電極アセンブリ及び電解液を含み、電極アセンブリは正極シート、負極シート及びセパレータで構成される。電池セルは、主に金属イオンが正極シートと負極シートとの間を移動することによって動作する。正極シートは正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極活物質層が塗布された集電体から突出し、正極活物質層が塗布されていない集電体を正極タブとする。リチウムイオン電池を例とすると、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元系リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極シートは負極集電体及び負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布された集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体を負極タブとする。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質はグラファイト、炭素又はシリコン等であってもよい。大電流によって溶断が発生しないことを保証するために、正極タブの数は複数であり且つ一体に積層され、負極タブの数は複数であり且つ一体に積層される。セパレータの材質は、PPやPE等であってもよい。また、電極アセンブリは巻回式構造であってもよく、又は積層式構造であってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
【0064】
電池技術の発展には多方面の設計要素、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電効率等の性能パラメータを同時に考慮する必要があり、また、電池の安全性を考慮する必要がある。
【0065】
電池セルにとって、安全上の主な危険性は充電及び放電プロセスに由来し、同時に適切な環境温度設定を加味し、不必要な損失を効果的に回避するために、電池セルは一般的に少なくとも三重の保護対策を有する。具体的には、保護対策は少なくともスイッチング素子、適切に選択したセパレータ材料及び減圧機構を含む。スイッチング素子とは、電池セル内の温度又は抵抗が一定の閾値に達した場合、電池の充電又は放電を停止させることができる素子を指す。セパレータは正極シートと負極シートを隔離するために用いられ、温度が一定値まで上昇した時にその上に付着したマイクロメートルオーダー(さらにはナノオーダー)の細孔を自ら溶解させ、それにより金属イオンが隔離膜を通過できないようにして、電池セルの内部反応を停止させる。
【0066】
減圧機構とは、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達した時に作動して、内部圧力又は温度を逃がす素子又は部品である。該閾値の設計は、設計要件によって異なる。前記閾値は電池セルにおける正極シート、負極シート、電解液及びセパレータのうちの1つ又は複数の材料に依存する可能性がある。減圧機構は防爆弁、空気弁、減圧弁又は安全弁等の形式を用いることができ、且つ具体的には感圧又は感温の素子又は構造を用いることができ、すなわち、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達すると、減圧機構が動作を実行するか又は減圧機構に設けられた弱い構造が破壊され、内部圧力又は温度を逃がすことができる開口又は流路を形成する。
【0067】
本願で言及する「作動」とは、減圧機構が動作し又は一定の状態まで活性化され、それにより電池セルの内部圧力及び温度を逃がすことである。減圧機構が動作することは、減圧機構の少なくとも一部が破裂する、破砕する、引き裂かれる又は開く等を含むがこれらに限定されない。減圧機構が作動すると、電池セルの内部の高温高圧物質が排出物として作動した箇所から外に排出される。この方式により、制御可能な圧力又は温度の状況下で電池セルから圧力を逃がすことができ、潜在的でより深刻な事故の発生を回避する。
【0068】
本願で言及する電池セルからの排出物は、電解液、溶解又は分裂した正負極シート、セパレータの破片、反応により生成された高温高圧ガス、火炎等を含むがこれらに限定されない。
【0069】
電池セルにおける減圧機構は、電池の安全性に重要な影響を与える。例えば、短絡、過充電などの現象が発生すると、電池セル内部の熱暴走が発生して圧力又は温度が急激に上昇することがあり、その場合、減圧機構を作動させることにより内部圧力及び温度を外部に逃がし、電池セルの爆発、発火を防止することができる。
【0070】
現在の減圧機構の設計手段は、主に電池セル内部の高圧及び高熱を逃がすこと、つまり排出物を電池セルの外部に排出することに注目している。高温高圧の排出物は電池セルの減圧機構が設置された方向に向かって排出され、より具体的には減圧機構が作動する領域に向かう方向に沿って排出されることがあり、このような排出物の威力及び破壊力は非常に大きく、該方向における1つ又は複数の構造を破壊するのに十分である可能性があり、安全上の問題がさらに生じる。また、電池セル内部に熱暴走が発生すると、電池セル内部の高圧及び高熱が持続的に生成される可能性があり、安全上の持続的なリスクをもたらす。
【0071】
上記問題を解決するために、電池の筐体内に消防システムを設置することができ、消防システムの消防配管は電池セルの減圧機構が設置された壁の上方に設置される。減圧機構が作動すると、消防配管は消防媒体を排出して、減圧機構から排出された排出物の温度を下げて、排出物の危険性を低下させることができる。さらに作動後の減圧機構を通して消防媒体を電池セルの内部に流入させることができ、それにより電池セルの温度をさらに下げて、電池の安全性を強化する。例えば、減圧機構が作動する時、電池セル内から排出された排出物が該消防配管を破壊することにより、消防配管内の消防媒体を排出させることができる。
【0072】
本願の実施例における消防配管は消防媒体を収容するために用いられ、ここで消防媒体は流体であってもよく、該流体は液体又は気体であってもよい。好ましくは、消防媒体は、より良好な温度調節効果を達成するために、循環流であってもよい。好ましくは、消防媒体は水、水とエチレングリコールの混合液又は空気等であってもよく、又は、消防媒体は液体窒素、液体アルゴン及び液体二酸化炭素のうちの少なくとも1種であってもよい。
【0073】
一例として、電池は制御システムを含むことができ、該制御システムは減圧機構が作動する時に、消防配管が消防媒体を排出するように制御することができる。
【0074】
別の例として、減圧機構が作動した時に、電池セル内から排出された排出物が該消防配管を突き破り破壊し、消防配管内の消防媒体を排出させることができる。本願の実施例は、排出物が消防配管を突き破り破壊することを例として説明するが、本願はこれに限定されない。
【0075】
減圧機構が該消防管路を破壊しない場合、該消防配管にいかなる物質も収容せず、減圧機構が作動した場合に、消防配管に消防媒体が収容されるようにしてもよく、例えば、バルブを開閉することにより消防媒体が消防配管に入るように制御することができる。又は、減圧機構が破壊されない場合、該消防配管には消防媒体が常に収容されていてもよい。
【0076】
該消防媒体はさらに電池セルの温度を調節するために用いることができる。温度調節とは、複数の電池セルを加熱又は冷却することを指す。電池セルを冷却し又はその温度を下げる場合、該消防配管は冷却流体を収容して複数の電池セルの温度を低下させるために用いられ、この場合、消防配管は冷却部材、冷却システム又は冷却配管等と称することもでき、収容される消防媒体は冷却媒体又は冷却流体と称することもでき、より具体的には、冷却液又は冷却ガスと称することもできる。
【0077】
しかしながら、電池セル内部に熱暴走が発生して減圧機構が作動する時、消防配管から排出された消防媒体のうち一部の消防媒体は、熱暴走が発生した電池セルの外部に流れる可能性があり、消防媒体を十分に利用できず、熱暴走が発生した電池セルの温度を迅速に下げることができないという問題が生じるおそれがある。これを踏まえて、本願の実施例は上記問題を解決することができる電池を提供する。
【0078】
本願の実施例に記載の技術的解決手段はいずれも電池を使用する様々な装置に適用され、例えば、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、バッテリーカー、電動玩具、電動工具、電動車両、船舶及び宇宙船等であり、宇宙船は航空機、ロケット、スペースシャトル及びスペースシップ等を含む。
【0079】
なお、本願の実施例に記載の技術的解決手段は上記の機器に適用できるだけではなく、電池を使用する全ての機器にも適用できるが、説明を簡潔にするために、下記実施例はいずれも電動車両を例として説明する。
【0080】
例えば、
図1は本出願の一実施例に係る車両1の構造概略図を示し、車両1はガソリン自動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車等であってもよい。車両1の内部にモータ40、コントローラ30及び電池10を設置することができ、コントローラ30は電池10を制御してモータ40に給電するために用いられる。例えば、車両1の底部又は前側又は後側に電池10を設置することができる。電池10は車両1への給電に用いられ、例えば、電池10は車両1の動作電源として、車両1の回路システムに用いることができ、例えば、車両1の起動、ナビゲーション及び走行時の作業電力の必要を賄う。本願の別の実施例において、電池10は車両1の動作電源としてだけでなく、車両1の駆動電源として、燃料又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供することができる。
【0081】
異なる使用電力需要を満たすために、電池は複数の電池セルを含むことができ、複数の電池セルの間は直列接続又は並列接続又は直並列接続することができ、直並列接続は直列接続及び並列接続の混合を指す。電池は電池パックとも呼ばれる。好ましくは、複数の電池セルがまず直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールがさらに直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池を構成してもよい。すなわち、複数の電池セルが電池を直接構成してもよく、又はまず電池モジュールを構成し、さらに電池モジュールが電池を構成してもよい。
【0082】
例えば、
図2は本願の一実施例に係る電池10の構造概略図を示し、電池10は複数の電池セル20を含むことができる。電池10はさらに筐体(又はカバーと呼ばれる)を含むことができ、筐体の内部は中空構造であり、複数の電池セル
20は筐体内に収容される。
図2に示すように、筐体は2つの部分を含むことができ、ここではそれぞれ第1部分111及び第2部分112と称し、第1部分111と第2部分112は一体に係合される。第1部分111及び第2部分112の形状は、複数の電池セル20が組み合わされた形状によって決定されてもよく、第1部分111及び第2部分112は、いずれも1つの開口を有してもよい。例えば、第1部分111と第2部分112はいずれも中空の直方体であって且つそれぞれ1つの面のみが開口面であってもよく、第1部分111の開口と第2部分112の開口は対向して設置され、且つ第1部分111と第2部分112は互いに係合して密閉キャビティを有する筐体を形成する。ここで、筐体は底板112a、側板112b及び梁を含むことができる。複数の電池セル20を互いに並列接続又は直列接続又は直並列接続して組み合わせた後、第1部分111と第2部分112が係合して形成された筐体内に配置する。
【0083】
好ましくは、電池10はさらに他の構造を含むことができ、ここで一つ一つ説明することはしない。例えば、該電池10はさらにバス部材を含むことができ、バス部材は複数の電池セル20の間の電気的接続、例えば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現するために用いられる。具体的には、バス部材は電池セル20の電極端子を接続することによって電池セル20の間の電気的接続を実現することができる。さらに、バス部材は溶接によって電池セル20の電極端子に固定されてもよい。複数の電池セル20の電気エネルギーは、さらに導電機構が筐体を貫通して引き出されてもよい。好ましくは、導電機構はバス部材に属してもよい。
【0084】
電池セル20の数は、電力の需要に応じて任意の数に設定することができる。複数の電池セル20は、より大きな容量又は出力を実現するために、直列接続、並列接続、又は直並列接続の方式で接続されてもよい。各電池10に含まれる電池セル20の数が多いため、取り付けやすくするために、電池セル20をグループ化して設置することができ、各グループの電池セル20は電池モジュールを構成する。電池モジュールに含まれる電池セル20の数は限定されず、必要に応じて設定することができる。例えば、
図3は、電池モジュールの一例である。電池は複数の電池モジュールを含むことができ、これらの電池モジュールは直列接続、並列接続又は直並列接続の方式で接続することができる。
図4は、本願の一実施例に係る電池セルの分解図を示し、電池セル20は1つ又は複数の電極アセンブリ22と、ハウジング211と、カバープレート212と、を含む。
図4に示す座標系は、
図3と同じである。ハウジング211及びカバープレート212は、外ケース又は電池ケース21を構成する。ハウジング211の壁及びカバープレート212は、いずれも電池セル20の壁と称される。ハウジング211は1つ又は複数の電極アセンブリ22を組み合わせた後の形状に応じて決定され、例えば、ハウジング211は中空の直方体又は立方体又は円柱体であってもよく、且つハウジング211の一面は開口を有しており、1つ又は複数の電極アセンブリ22をハウジング211内に配置することができる。例えば、ハウジング211が中空の直方体又は立方体である場合、ハウジング211のうちの1つの平面は開口面であり、該平面は壁体を有さずハウジング211の内外を連通させる。ハウジング211は中空の円柱体であってもよく、その場合、ハウジング211の端面は開口面であり、すなわち、該端面は壁体を有さずハウジング211の内外を連通させる。カバープレート212は開口を覆い、且つハウジング211と連結されて、電極アセンブリ22が配置される密閉キャビティを形成する。ハウジング211の中には電解質、例えば電解液が充填される。
【0085】
該電池セル20は、カバープレート212に設置される2つの電極端子214をさらに含むことができる。カバープレート212は一般的に平板形状であり、2つの電極端子214はカバープレート212の平板面に固定され、2つの電極端子214はそれぞれ正極端子214a及び負極端子214bである。各電極端子214にそれぞれ1つの連結部材23が対応して設置され、集電部材23とも呼ばれ、それはカバープレート212と電極アセンブリ22との間に位置し、電極アセンブリ22と電極端子214を電気的に接続するために用いられる。
【0086】
図4に示すように、各電極アセンブリ22は、第1タブ221a及び第2タブ222aを有する。第1タブ221aと第2タブ222aの極性は反対である。例えば、第1タブ221aが正極タブである場合、第2タブ222aは負極タブである。1つ又は複数の電極アセンブリ22の第1タブ221aは、1つの連結部材23を介して1つの電極端子に接続され、1つ又は複数の電極アセンブリ22の第2タブ
222aは、別の連結部材23を介して別の電極端子に接続される。例えば、正極端子214aは1つの連結部材23を介して正極タブに接続され、負極端子214bは別の連結部材23を介して負極タブに接続される。
【0087】
該電池セル20において、実際の使用ニーズに応じて、電極アセンブリ22は1つ又は複数設置することができ、
図4は、電池セル20内に4つの独立した電極アセンブリ22が設置されることを示す。
【0088】
電池セル20にはさらに減圧機構213が設置されてもよい。減圧機構213は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して、内部圧力又は温度を逃がすために用いられる。
【0089】
減圧機構213は様々な可能な減圧構造であってもよく、本出願の実施例はこれに限定されない。例えば、減圧機構213は、減圧機構213が設置された電池セル20の内部温度が閾値に達した時に溶融するように構成された感温減圧機構であってもよい。及び/又は、減圧機構213は感圧減圧機構であってもよく、感圧減圧機構は減圧機構213が設置された電池セル20の内部気圧が閾値に達した時に破裂するように構成される。
【0090】
図5は本願の一実施例に係る電池10の概略図である。
図5に示すように、電池10は、電池セル20と、消防ダクト12と、収容部13と、を含むことができる。
【0091】
ここで、電池セル20は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して、内部圧力を逃がすために用いられる減圧機構213を含む。消防配管12は消防媒体を収容するために用いられ、且つ消防配管12は減圧機構213が作動する時に電池セル20に向かって消防媒体を排出するように構成される。収容部13は、消防配管12から排出され、電池セル20の温度を下げるための消防媒体を収容するために用いられる。
【0092】
従って、本願の実施例において、電池10は消防媒体を収容するための収容部13を含み、これにより、減圧機構213が作動し、且つ熱暴走が発生した電池セル20に向かって消防配管12が消防媒体を排出する時、熱暴走が発生した電池セル20内に消防媒体を流入させることができる以外に、一部の消防媒体をさらに収容部13内に貯蔵することができ、消防配管12から排出された消防媒体を十分且つ効果的に利用できるようにして、消防媒体が浪費されるという問題を防ぎ、電池セル20の温度を迅速に低下させ、電池セル20の異常による危険性を直ちに抑制し、電池10の爆発の可能性を低下させて、電池10の安全性を強化することができる。
【0093】
さらに、その後の時点で、電池セルに熱暴走が発生しても、収容部に貯蔵された消防媒体は熱暴走が発生した電池セルの温度を持続的に下げることができ、それにより電池の安全性をさらに向上させることができる。
【0094】
好ましくは、消防配管12は減圧機構213が作動すると電池セル20に向かって消防媒体を連続的に排出することができ、又は、消防配管12は減圧機構213が作動すると電池セル20に向かって消防媒体を断続的に排出することができる。
【0095】
消防配管12は、実際の用途に応じて任意の形状に設けることができる。例えば、消防配管12は、空間利用率や取り付けのしやすさを考慮して扁平の配管として設けることができ、又は円筒配管、直線形配管、U形配管、S形配管等の他の形状として設けることもできる。
【0096】
好ましくは、減圧機構213が作動すると、収容部13は収容された消防媒体を直接使用し、減圧機構が位置する壁を介して熱暴走が発生した電池セル20の温度を下げることができる。及び/又は、収容部13はまず収容された消防媒体を熱暴走が発生した電池セル20内に流入させ、次いで熱暴走が発生した電池セル20の温度を下げることができる。
【0097】
図5に示す電池10は
図1及び
図2における電池10であってもよく、なお、本願の実施形態において、同一の符号は同一の部材を示し、異なる実施例においては、簡潔にするために同一の部材の詳細な説明を省略する。なお、図示される本願の実施例における各部材の厚さ、長さ、幅等の寸法、及び集積装置の全体の厚さ、長さ、幅等の寸法は例示的な説明に過ぎず、本願を何ら限定するものではない。
【0098】
好ましくは、本願の一実施例において、減圧機構213は電池セル20の第1壁21aに設置することができ、収容部13は第1収容部131を含み、第1収容部131は前記電池セル20の第2壁21bに取り付けられ、第2壁21bは第1壁21aに垂直であり、第1収容部131は第1壁21aから拡散した消防媒体を収集するために用いられる。
【0099】
電池セル20に熱暴走が発生した場合、消防配管12から排出された消防媒体の一部を電池セル20に流入させることができ、第1壁21aから拡散した他の部分の消防媒体を第1収容部131に収集することにより、第1収容部131に収集された消防媒体は電池セル20の温度を持続的に下げることができる。
【0100】
第1壁21aは、電池セル20のいずれか1つの壁であってもよい。一例として、
図5に示すように、第1壁21aは電池セル20の最上方の壁である。減圧機構213は第1壁21aの一部であってもよいし、第1壁21aとは別体の構造であって、例えば溶接する方法で第1壁21aに固定されていてもよい。減圧機構213が第1壁21aの一部である場合、例えば、減圧機構213は、第1壁21aに浅い溝を設ける方法で形成することができる。第1壁21aが電池セル20の最上方の壁である場合、第2壁21bは電池セル20の側壁である。
【0101】
第1収容部131は第1プレート133と、第2プレート134と、少なくとも2つのバッフル135と、を含むことができ、第2プレート134は第1プレート133と交差し、第1プレート133は第2壁21bと交差し、少なくとも2つのバッフル135はいずれも第1プレート133及び第2プレート134と交差する。
【0102】
少なくとも2つのバッフル135における2つのバッフルと第1プレート133、第2プレート134及びN個の電池セル20の第2壁21bは共に消防媒体を収容するための収容空間を形成することができ、該収容空間は第1壁21aに向けられた開口を有し、ただし、Nは正の整数である。
【0103】
本願はNの値を限定しない。好ましくは、Nは1、2又は3であってもよい。
【0104】
図6及び
図7に示すように、Nが1である場合、各電池セル20の第2壁21bはいずれも少なくとも2つのバッフル135における2つのバッフル、第1プレート133、第2プレート134と収容空間を形成することができる。この時に、バッフル135の数は電池セル20の数よりも1つ多くてもよい。Nが1より大きい場合、複数の電池セル20は1つの第1収容部131を共有する。
図8及び
図9を例にすると、2つの電池セル20の第2壁21bは、第1収容部131と1つの収容空間を形成する。複数の電池セル20が1つの第1収容部131を共用する場合、そのうち1つの電池セル20に熱暴走が発生すると、消防配管の該電池セル20に対向する領域が破裂して消防媒体を放出し、消防媒体の一部は減圧機構213を通って該電池セル20内に流入し、他の部分は第1壁21aから流出し、且つ第1収容部131内に貯蔵され、該部分の消防媒体は熱暴走が発生した電池セル20の温度を下げる以外に、該電池セル20に隣接する電池セル20の温度を下げることができ、熱拡散を遮断する効果をさらに果たすことができる。
【0105】
第1収容部131は任意の形状にすることができる。例えば、第1収容部131は
図6~
図9に示す矩形であってもよく、又は円形、台形等であってもよい。他の例として、第1収容部131は不規則な形状であってもよい。また、第1収容部131は一体構造であってもよい。
【0106】
第1収容部131が
図6~
図9に示す矩形である場合、第1プレート133が第1壁21aに平行であり、第2プレート134が第2壁21bに平行であり、すなわち第1プレート133と第2板134が垂直であってもよく、且つ少なくとも2つのバッフル135は第1プレート133と第2プレート134に垂直であってもよい。つまり、第1プレート133は第1収容部131の底板であってもよく、第2プレート134は第1収容部131の側板であってもよい。
【0107】
好ましくは、第2プレート134は電池10の筐体の側板112bであってもよく、又は電池10の筐体の梁であってもよい。
【0108】
好ましくは、第1プレート133は電池10の筐体の底板112aであってもよい。
【0109】
第1収容部131は電池10のケースを再利用する。これにより、電池の生産コストを節約することができる。
【0110】
又は、第1プレート133及び/又は第2プレート134は、電池10に新たに追加されたプレートであってもよい。
【0111】
なお、本願の実施例は第1プレート133と電池10の筐体の上面との間の距離を限定しない。一例として、第1プレート133は、電池セル20の第3壁21cと同一平面上に位置していてもよく、
図10を参照すると、第3壁21cは第2壁21bと垂直であり、すなわち第3壁21cは第1壁21aと平行である。上記の
図6、
図8及び
図10における第1プレート133と第3壁21cは同一平面に位置し、言い換えると、第1プレート133は第1収容部131の筐体の上面に密着している。なお、
図6~
図9において、少なくとも2つのバッフル135の第3壁21cに近い一端は、第3壁21cと同一平面に位置している。
【0112】
第1プレート133と第3壁21cは同一平面に位置し、これにより、第1収容部131と第2壁21bとの間に形成される収容空間の最大化を実現し、より多くの消防媒体を収容することができる。
【0113】
又は、第1プレート133は、第1壁21aと第3壁21cとの間に位置していてもよい。例として、
図7、
図9及び
図11を示す。
【0114】
この場合、本願の一実施例において、引き続き
図11を参照すると、第2プレート134の第3壁21cに近い一端は、第3壁21cと同一平面に位置していてもよい。さらに、少なくとも2つのバッフル135における各バッフルの第3壁21cに近い一端は第3壁21cと同一平面に位置していてもよく、
図7及び
図9に示すとおりである。これにより、第1収容部131を、第2壁21bに、より確実に取り付けることができる。又は、本願の別の実施例において、第2板134の第3壁21cに近い一端は第1プレート133と同一平面に位置していてもよく、且つ少なくとも2つのバッフル135における各バッフルの第3壁21cに近い一端は第1プレート133と同一平面に位置していてもよい。この場合、第1収容部131は浮いている。
【0115】
第1プレート133が第2壁21bと交差する場合、
図12に示すように、第1プレート133は連結部材23を介して第2壁21bに取り付けられてもよい。ここで、連結部材23を熱伝導性接着剤としてもよいがそれに限定されず、熱伝導性接着剤は熱を電池セル20に伝達することができる。
【0116】
好ましくは、本願の一実施例において、引き続き
図10及び
図11を参照すると、第1収容部131はさらに連結プレート136を含むことができ、該連結プレート136は第1プレート133の第2壁21bに連結される一端において第1方向に沿って延伸させることができ、該連結プレート136は連結部材23を介して第2壁21bに取り付けることができ、第1方向は第1壁21aに垂直な方向である。言い換えると、第1プレート133の第2壁21bに連結される一端は、第1方向に延伸して連結プレート136を形成することができ、該連結プレート136は連結部材23を介して第2壁21bに取り付けることができる。例として、連結プレート136は
図10及び
図11に示す形状であってもよく、又は、連結プレート136は他の形状、例えばH形、U形等であってもよい。
【0117】
連結プレート136を設けることにより、第1収容部131と第2壁21bとの間はより大きな連結面積を有し、連結強度及び熱伝導面積を増加させることができる。
【0118】
第1プレート133は、封止材又は溶接する方法によって第2壁21bに取り付けられてもよい。該封止材は、熱伝導性の封止材であってもよい。なお、第1プレート133は、他の方法で第2壁21bに取り付けられてもよく、本願の実施例はこれに限定されない。第1プレート133と第2壁21bとの間の取り付け方法と同様に、第1プレート133と、第2プレート134と、少なくとも2つのバッフル135との間も、上述した方法で連結することができる。
【0119】
好ましくは、本願の一実施例において、少なくとも2つのバッフル135のうち他のバッフル135bは、隣接する2つの電池セル20の間に埋め込まれてもよい。さらに、少なくとも2つのバッフル板135のうち他のバッフル板135bは、連結部材を介して、隣接する2つの電池セル20に取り付けられてもよい。他のバッフル135bは、隣接する2つの電池セル20の間に嵌め込まれ、第1収容部131と第2壁21bとの連結安定性を向上させることができる。
【0120】
また、少なくとも2つのバッフル135のうちの2つのバッフル135aは、連結部材又は溶接等の方法で第2壁21bに取り付けることができる。
【0121】
好ましくは、本願の一実施例において、減圧機構213は電池セルの第1壁21aに設置することができ、収容部13はさらに第1壁21aに設置された第2収容部132を含み、減圧機構213は第2収容部132の底壁132aに設置され、第2収容部132は減圧機構213の作動時に電池セル20内に流入した消防媒体を収集するために用いられる。
【0122】
電池セル20の第1壁21aに第2収容部132を設けることにより、電池セル20に熱暴走が発生した場合、消防媒体を電池セル20内に流入させることができる以外に、一部の消防媒体を第2収容部132内に残すことができ、より多くの消防媒体を、電池セル20を冷却し温度を下げるために用いることができる。さらに、消防媒体の流量が少ない場合、消防媒体を第2収容部132内に残し、続いて電池セル20に流入させることが容易であり、それにより熱暴走が発生した電池セル20を冷却し温度を下げることができる。
【0123】
ここで、第2収容部132を溝と定義することができる。
【0124】
引き続き
図5を参照すると、第1壁21aは電池セル20の最上方の壁であってもよく、本願の実施例の第2収容部132は、電池セル20の上面に設けられてもよい。
【0125】
図13及び
図14は本願の実施例に係る電池10の平面図であり、
図13及び
図14に示すように、好ましくは、本願の一実施例において、第2収容部132の開口は電池セル20の外部に向けられ、且つ第2収容部132の開口の面積は減圧機構213が位置する領域の面積より大きくすることができる。第2収容部132の開口の面積が大きいほど、消防媒体を収集するその面積が大きくなり、第2収容部132が消防媒体を収集する効率を向上させることができる。なお、第2収容部132の開口の面積は減圧機構213が位置する領域の面積以下であってもよい。
【0126】
また、消防媒体を第2収容部132に効果的に流入させるために、本願の一実施例において、第2収容部132の開口の面積は、第2収容部132の底壁132aの、電池セル20の外部に向けられた表面の面積より大きくすることができる。つまり、第2収容部132の側壁は四方から中心位置へ向かって徐々に下向きに傾斜し、第2収容部132の側壁は傾斜面であってもよく階段状であってもよい。当然のことながら、第2収容部132の開口の面積は、第2収容部132の底壁132aの、電池セル20の外部に向けられた表面の面積以下であってもよい。
【0127】
本願の一実施例において、第2収容部132の底壁132aの厚さは均一であってもよい。又は、第2収容部132の底壁132aの、電池セル20の外部に向けられた表面は、四方から中心まで第2収容部132の内部へ向かって傾斜する傾斜面であってもよい。簡単に言えば、第2収容部132の底壁132aの厚さは、第2収容部132の底壁132aの中心から四方へ向かって徐々に増加させることができる。又は、第2収容部132の底壁132aの、電池セル20の外部に向けられた表面は、中心から四方まで第2収容部132の内部へ向かって傾斜する傾斜面であってもよい。
【0128】
好ましくは、第2収容部132の底壁132aにさらに貫通孔が設けられてもよく、減圧機構213は該貫通孔を覆う。ここで、減圧機構は該貫通孔を完全に覆ってもよく、該貫通孔を部分的に覆ってもよい。
【0129】
さらに、本願の一実施例において、第2収容部132は複数の領域を含むことができ、減圧機構213は該複数の領域のうちの1つの領域に位置する。該複数の領域における各領域の面積は同じであっても異なっていてもよく、本願の実施例はこれを具体的に限定しない。例えば、
図14に示すように、第2収容部132は3つの領域を含み、減圧機構213が位置する領域の面積が最大であり、他の2つの領域の面積は同じである。
【0130】
第2収容部132が薄い可能性を考慮し、第2収容部132の強度を増加させるために、第2収容部132の底壁132aに分割リブ1321を設けることができ、該分割リブ1321は第2収容部132の底壁132aを複数の領域に分けることができる。本願の実施例は分割リブ1321の数を具体的に限定せず、例えば、
図14における分割リブ1321の数は2つである。分割リブ1321を設けることにより、第2収容部132の強度を増加させることができる。
【0131】
好ましくは、本願の一実施例において、第1壁21aの電池セル20の内部に近い表面は第1領域32a及び第2領域32bを含むことができ、該第1領域32aは第2収容部132に対向する領域であり、第2領域32bは第1壁21aの電池セル20の内部に近い表面における第1領域32a以外の領域である。一例として、
図15に示すように、第1領域32aは第2領域32bと同一平面に位置していてもよい。
【0132】
又は、
図16に示すように、
図16における上方は電池セル20の外部に対応し、下方は電池セル20の内部に対応し、第1領域32aが位置する平面は、第2領域32bが位置する平面よりも電池セル20の内部に近づけることができる。これにより、消防媒体を第2収容部132内に効果的に流入させることができる。
【0133】
電池セル20の製造プロセスでは、電解液又は他の異物が減圧機構213の表面を汚染することがよくあり、且つ電池セル20の加工プロセスでは、誤操作により減圧機構213に接触して、減圧機構213の表面にスクラッチが残ったり、減圧機構213が破裂したりするおそれがあり、これらはいずれも減圧機構213の作動効果に影響を与え、電池セル20の安全性にも影響する。電池セル20の安全性を向上させるために、好ましくは、本願の一実施例において、
図17に示すように、電池10はさらに、減圧機構213の電池セル20の外部に向けられた側に設けられ、減圧機構213を覆う保護シート24を含むことができる。ここで、保護シート24の材質はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)等であってもよいがこれらに限定されない。
【0134】
保護シート24を設置することにより、異物が減圧機構213に接触することを遮り、これにより異物は減圧機構213の作動時の圧力に影響を与えることなく、減圧機構213を保護することができ、電池セル20の安全性を向上させる。
【0135】
保護シート24が減圧機構213を覆う場合、該保護シート24は第2収容部132も覆うことができる。例示的に、保護シート24は、第2収容部132の開口を部分的に覆ってもよく、
図18に示すように、第2収容部132の開口を全て覆ってもよい。
【0136】
減圧機構213の周囲の強度を増加させるために、
図15及び
図16に示すように、減圧機構213の周囲領域の、第2収容部132の底壁132aの前記電池セル20の外部に向けられた表面に、電池セル20の外部に向かって延伸する突起142をさらに設けることができる。突起142が設けられる場合、該保護シート24は突起142に固定され、それにより減圧機構213を覆うことができる。
【0137】
好ましくは、該突起142は、第2収容部132の底壁132aの電池セル20の外部に向けられた表面から突出する高さを、第2収容部132の深さより小さくすることができる。
【0138】
本願の一実施例は電力消費装置をさらに提供し、該電力消費装置は上記各実施例における電池10を含むことができる。好ましくは、電力消費装置は車両1、船舶又は宇宙船であってもよい。
【0139】
以上は本願の実施例の電池及び電力消費装置を説明し、以下では本願の実施例の電池の製造方法及びその装置を説明し、ここで詳細に説明しない部分は上記各実施例を参照することができる。
【0140】
図19は、本願の一実施例に係る電池の製造方法200の概略フローチャートを示す。
図19に示すように、該方法200は、電池セル20を提供するステップ210と、消防配管12を提供するステップ220と、収容部13を提供するステップ230と、を含み、
該電池セル20は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して、内部圧力を逃がすために用いられる減圧機構213を含み、
該消防配管12は消防媒体を収容するために用いられ、且つ消防配管12は減圧機構213が作動する時に電池セル20に向かって消防媒体を排出するように構成され、
該収容部13は、消防配管12から排出され、電池セル20の温度を下げるための消防媒体を収容するために用いられる。
【0141】
図20は、本願の一実施例に係る電池の製造装置300の概略ブロック図を示す。
図20に示すように、電池の製造装置300は、提供モジュール310を含むことができる。
【0142】
提供モジュール310は、電池セル20を提供するステップと、消防配管12を提供するステップと、収容部13を提供するステップと、に用いられ、該電池セル20は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して、内部圧力を逃がすために用いられる減圧機構213を含み、該消防配管12は消防媒体を収容するために用いられ、且つ消防配管12は減圧機構213が作動する時に電池セル20に向かって消防媒体を排出するように構成され、該収容部13は、消防配管12から排出され、電池セル20の温度を下げるための消防媒体を収容するために用いられる。
【0143】
最後に説明すべき点は以下のとおりである。以上の各実施例は本願の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、それを制限するものではない。前述の実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者は以下のことを理解すべきである。当業者は依然として前記各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又はそのうち一部の技術的特徴を等価置換することができるが、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の実質を本願の各実施例の技術的解決手段の主旨及び範囲から逸脱させるものではない。
【符号の説明】
【0144】
12 消防配管
13 収容部
20 電池セル
213 減圧機構