(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】電池、電力消費装置、電池の製造方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/202 20210101AFI20230915BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20230915BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20230915BHJP
H01M 50/383 20210101ALI20230915BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20230915BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20230915BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20230915BHJP
【FI】
H01M50/202 401F
H01M50/204 401H
H01M50/342 101
H01M50/383
H01M50/505
H01M50/588
H01M50/593
(21)【出願番号】P 2023504066
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(86)【国際出願番号】 CN2020121992
(87)【国際公開番号】W WO2022082389
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-01-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522010668
【氏名又は名称】ジアンス・コンテンポラリー・アンプレックス・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲曾▼ 毓群
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 占宇
(72)【発明者】
【氏名】黄 小▲騰▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲海▼奇
(72)【発明者】
【氏名】汪 文礼
(72)【発明者】
【氏名】洪 家▲榮▼
(72)【発明者】
【氏名】胡 浪超
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-029245(JP,A)
【文献】特開2017-147128(JP,A)
【文献】中国実用新案第209662489(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 50/30
H01M 50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルと、消防配管と、保護部材と、を含み、
前記電池セルは、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して、前記内部圧力又は温度を逃がすために用いられる減圧機構を含み、
前記消防配管は、消防媒体を収容するために用いられ、前記消防配管は前記減圧機構に対応する第1領域及び前記第1領域の外周に位置する第2領域を含み、前記第1領域は前記減圧機構が作動する時に破壊されて、前記消防媒体を排出するために用いられ、前記第2領域は前記減圧機構が作動する時に完全に保持されて、前記消防媒体を前記第2領域から前記第1領域に流すことができるように用いられ、
前記保護部材は、前記消防配管と前記電池セルとの間に設けられ、前記第2領域を保護するために用いられ
、
前記保護部材は脆弱領域及び保護領域を含み、前記保護領域は前記減圧機構が作動する時に前記消防配管の前記第2領域を保護するために用いられ、前記脆弱領域は前記減圧機構に対向して設けられ、前記脆弱領域は前記減圧機構が作動する時に前記電池セルからの排出物が前記脆弱領域を通過して前記第1領域を破壊するために用いられ、
前記保護部材に第1凹溝が設けられ、前記消防配管は前記第1凹溝内に設けられ、前記第1凹溝は前記減圧機構が作動する時に前記電池セル内に流入する前記消防媒体を収集するために用いられ、
前記第1凹溝の底壁の前記第1領域に対応する領域に前記脆弱領域が設けられる、電池。
【請求項2】
前記保護部材は前記消防配管の前記第2領域と前記電池セルとの間に設けられ、前記保護部材は前記減圧機構が作動する時に前記第2領域を保護するために用いられる、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記脆弱領域の第1方向における幅は、前記第1凹溝の底壁の前記第1方向における幅以上であり、前記第1方向は前記消防配管の前記第1領域における軸線に垂直である、請求項
1に記載の電池。
【請求項4】
前記脆弱領域の第1方向の幅は前記消防配管の直径より大きく、前記第1方向は前記消防配管の前記第1領域における軸線に垂直である、請求項
1~
3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項5】
前記脆弱領域の第1平面における正投影は、前記減圧機構の前記第1平面における正投影を覆い、前記第1平面は、前記電池セルの前記減圧機構が位置する壁の前記電池セルの内部に向けられた表面と平行である、請求項
1~4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項6】
前記消防配管は、前記減圧機構の前記電池セルの内部から離れた側に配置される、請求項
1~5のいずれか一項に記載の電池。
【請求項7】
前記減圧機構は軸対称構造であり、前記消防配管の前記第1領域の軸線は、前記減圧機構の軸線と垂直であり且つ同一平面にある、請求項
6に記載の電池。
【請求項8】
前記保護部材の材料の融点は、前記消防配管の材料の融点よりも高い、請求項
1~7のいずれか一項に記載の電池。
【請求項9】
前記保護部材の材料の融点は800℃以上である、請求項
1~8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項10】
前記保護部材の材料はマイカ又は石英である、請求項
1~9のいずれか一項に記載の電池。
【請求項11】
複数の前記電池セルの電気的接続を実現するためのバス部材と、
前記バス部材を覆い、前記減圧機構が作動した時に、前記電池セルからの排出物が複数の前記電池セルを短絡することを防止するために用いられ、厚さは0.1mmより大きい絶縁保護層と、をさらに含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載の電池。
【請求項12】
前記絶縁保護層の材料の融点は800℃以上であり、
及び/又は、前記絶縁保護層の材料はマイカ又は石英である、請求項
11に記載の電池。
【請求項13】
前記減圧機構と前記保護部材との間に設けられた絶縁層をさらに含む、請求項1~
12のいずれか一項に記載の電池。
【請求項14】
前記絶縁層は前記電池のバス部材を被覆するために用いられ、前記絶縁層の表面の前記バス部材に対応する領域に絶縁保護層が設けられ、
前記バス部材は複数の前記電池セル間の電気的接続を実現するために用いられ、前記絶縁保護層は前記バス部材を覆うために用いられ、それにより前記減圧機構が作動した時に、前記電池セルからの排出物が複数の前記電池セルを短絡することを防止する、請求項
13に記載の電池。
【請求項15】
前記保護部材と前記絶縁保護層は一体成形構造である、請求項
14に記載の電池。
【請求項16】
前記絶縁層の前記減圧機構に対応する領域に第2凹溝が設けられ、前記保護部材は前記第2凹溝内に設けられる、請求項
13~
15のいずれか一項に記載の電池。
【請求項17】
前記保護部材における第1凹溝は前記第2凹溝内に設けられ、前記消防配管は前記第1凹溝内に設けられ、前記第1凹溝は前記減圧機構が作動する時に前記電池セル内に流入する前記消防媒体を収集するために用いられる、請求項
16に記載の電池。
【請求項18】
前記第2凹溝内に固定部材が設けられ、前記固定部材は前記保護部材及び前記消防配管を固定するために用いられる、請求項
16又は
17に記載の電池。
【請求項19】
前記絶縁層の材料の融点は、前記保護部材の融点よりも低く、前記絶縁層は、前記減圧機構が作動する時に、前記電池セルからの排出物によって溶融する、請求項
13~
18のいずれか一項に記載の電池。
【請求項20】
請求項
1~19のいずれか一項に記載の電池を含む、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はエネルギー貯蔵デバイスの分野に関し、特に、電池、電力消費装置、電池の製造方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーと排出削減は、自動車産業の持続可能な発展におけるキーポイントである。このような状況において、電動車両は省エネルギーで環境に優しいというその利点から、自動車産業の持続可能な発展における重要な構成部分となっている。電動車両にとって、電池技術はその発展に関わる重要な要素である。
【0003】
電池技術の発展において、電池の性能を向上させる以外に、安全上の問題も無視できない課題である。電池の安全上の問題を保証できない場合、該電池を使用することはできない。従って、電池の安全性をどのように強化するかは、電池技術における早急に解決すべき技術的課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は電池の安全性を向上させることができる電池、電力消費装置、電池の製造方法及びその装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様では、電池セルと、消防配管と、保護部材と、を含む電池であって、前記電池セルは、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して、前記内部圧力又は温度を逃がすために用いられる減圧機構を含み、前記消防配管は、消防媒体を収容するために用いられ、前記消防配管は前記減圧機構に対応する第1領域及び前記第1領域の外周に位置する第2領域を含み、前記第1領域は前記減圧機構が作動する時に破壊されて、前記消防媒体を排出するために用いられ、前記第2領域は前記減圧機構が作動する時に完全に保持されて、前記消防媒体を前記第2領域から前記第1領域に流すことができるように用いられ、前記保護部材は、前記消防配管と前記電池セルとの間に設けられ、前記第2領域を保護するために用いられる電池を提供する。
【0006】
従って、本願の実施例の電池は、1つ又は複数の電池セルを含むことができ、該電池セルに減圧機構が設けられ、該減圧機構は電池セルの内部温度又は圧力が閾値を超えた時に作動して、内部圧力又は温度を逃がすことができ、減圧機構に対応する位置に消防配管が設置され、減圧機構が作動する時に、減圧機構から排出された排出物は該消防配管を破壊することができ、それにより消防配管内に収容された消防媒体は破壊された箇所から流出し且つ減圧機構に流れ、電池セルの温度を下げて、同時に、該消防配管と電池セルとの間に保護部材が設けられ、該保護部材は消防配管における減圧機構に対応する第1領域の外周に位置する第2領域を保護することができ、それにより減圧機構は消防配管の減圧機構に対応する第1領域のみを破壊して、消防配管内の消防媒体の流出位置を減圧機構に対応する位置に集中させ、これにより電池セルの放熱効率を向上させ、消防配管内の消防媒体をより効果的に利用することができる。
【0007】
いくつかの実施例において、前記保護部材は前記消防配管の前記第2領域と前記電池セルとの間に設けられ、前記保護部材は前記減圧機構が作動する時に前記第2領域を保護するために用いられる。
【0008】
すなわち保護部材を第2領域のみに設けることができ、例えば、該保護部材によって第2領域を被覆することができ、これにより該保護部材は分離した複数の構造を含み、このように設置することで取り付けスペースを節約することができる。
【0009】
いくつかの実施例において、前記保護部材は保護領域及び脆弱領域を含み、前記保護領域は前記減圧機構が作動する時に前記消防配管の前記第2領域を保護するために用いられ、前記脆弱領域は前記減圧機構に対向して設置され、前記脆弱領域は前記減圧機構が作動する時に前記電池セルからの排出物が前記脆弱領域を通過して前記第1領域を破壊するために用いられる。
【0010】
保護部材を、分離した複数の構造として設けた場合、保護部材をそれぞれ各第2領域に取り付ける時に、時間がかかるため、保護部材を完全な部材として設けることができ、且つ保護部材に減圧機構に対応する脆弱領域を設けることにより、減圧機構を作動させた時に、該脆弱領域を通過して第1領域を破壊し、脆弱領域以外の保護領域は、第2領域が破壊されないように保護することができる。
【0011】
いくつかの実施例において、前記保護部材に第1凹溝が設けられ、前記消防配管は前記第1凹溝内に設けられ、前記第1凹溝は前記減圧機構が作動する時に前記電池セル内に流入する前記消防媒体を収集するために用いられる。
【0012】
保護部材にある凹溝は消防配管を固定することができ、同時に消防媒体を収集し、誘導して電池セル内に流入させることもできる。
【0013】
いくつかの実施例において、前記第1凹溝の底壁の前記第1領域に対応する領域に前記脆弱領域が設けられる。
【0014】
いくつかの実施例において、前記脆弱領域の第1方向における幅は、前記第1凹溝の底壁の前記第1方向における幅以上であり、前記第1方向は前記消防配管の前記第1領域における軸線に垂直である。
【0015】
いくつかの実施例において、前記脆弱領域の第1方向の幅は前記消防配管の直径より大きく、前記第1方向は前記消防配管の前記第1領域における軸線に垂直である。
【0016】
いくつかの実施例において、前記脆弱領域の第1平面における正投影は、前記減圧機構の前記第1平面における正投影を覆い、前記第1平面は、前記電池セルの前記減圧機構が位置する壁の前記電池セルの内部に向けられた表面と平行である。
【0017】
上記設置により、減圧機構が作動する時に排出される排出物は、対応する第1領域を迅速且つ効果的に突き破ることができる。
【0018】
いくつかの実施例において、消防配管は、前記減圧機構の前記電池セルの内部から離れた側に配置される。
【0019】
いくつかの実施例において、前記減圧機構は軸対称構造であり、前記消防配管の前記第1領域の軸線は、前記減圧機構の軸線と垂直であり且つ同一平面にある。
【0020】
いくつかの実施例において、前記保護部材の材料の融点は、前記消防配管の材料の融点よりも高い。
【0021】
いくつかの実施例において、前記保護部材の材料の融点は800°C以上である。
【0022】
減圧機構から排出される排出物の温度が高いことを考慮すると、保護部材は高融点材料を選択すべきである。
【0023】
いくつかの実施例において、前記保護部材の材料は、マイカ又は石英である。
【0024】
いくつかの実施例において、前記電池はさらにバス部材と、絶縁保護層と、を含み、前記バス部材は、複数の前記電池セルの間の電気的接続を実現するために用いられ、前記絶縁保護層は、前記バス部材を覆い、前記減圧機構が作動した時に、前記電池セルからの排出物が複数の前記電池セルを短絡することを防止するために用いられ、前記絶縁保護層の厚さは0.1mmより大きい。
【0025】
いくつかの実施例において、前記絶縁保護層の材料の融点は800°C以上である。
【0026】
いくつかの実施例において、前記絶縁保護層の材料はマイカ又は石英である。
【0027】
いくつかの実施例において、前記電池はさらに、前記減圧機構と前記保護部材との間に設けられた絶縁層を含む。これにより、電池セル間の絶縁を実現することができる。
【0028】
いくつかの実施例において、前記絶縁層は前記電池のバス部材を被覆するために用いられ、前記絶縁層の表面の前記バス部材に対応する領域に絶縁保護層が設けられ、前記バス部材は複数の前記電池セル間の電気的接続を実現するために用いられ、前記絶縁保護層は前記バス部材を覆うために用いられ、それにより前記減圧機構が作動した時に、前記電池セルからの排出物が複数の前記電池セルを短絡することを防止する。
【0029】
いくつかの実施例において、前記保護部材と前記絶縁保護層は一体成形構造である。
【0030】
いくつかの実施例において、前記絶縁層の前記減圧機構に対応する領域に第2凹溝が設けられ、前記保護部材は前記第2凹溝内に設けられる。
【0031】
いくつかの実施例において、前記保護部材における第1凹溝は前記第2凹溝内に設けられ、前記消防配管は前記第1凹溝内に設けられ、前記第1凹溝は前記減圧機構が作動する時に前記電池セル内に流入する前記消防媒体を収集するために用いられる。
【0032】
絶縁層に設けられた凹溝により、保護部材と消防配管の取り付け固定が容易になり、両者と減圧機構の位置との対応も実現させやすい。
【0033】
いくつかの実施例において、前記第2凹溝内に固定部材が設けられ、前記固定部材は前記保護部材及び前記消防配管を固定するために用いられる。
【0034】
いくつかの実施例において、絶縁層の材料の融点は、前記保護部材の融点よりも低く、前記絶縁層は、前記減圧機構が作動する時に、前記電池セルからの排出物によって溶融する。
【0035】
減圧機構が作動する時に排出される排出物が、対応する第1領域を迅速且つ効果的に突き破ることができるようにするために、絶縁層の材料は融点の低い材料を選択すべきであり、それにより排出物によって絶縁層を迅速に溶融させることができる。
【0036】
第2態様では、第1態様又は第1態様におけるいずれか1つの実施例に記載の電池を含む、電力消費装置を提供する。
【0037】
いくつかの実施例において、前記電力消費装置は車両、船舶又は宇宙船である。
【0038】
第3態様では、電池セルを提供するステップと、消防配管を提供するステップと、保護部材を提供するステップと、を含み、前記電池セルは、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して、前記内部圧力又は温度を逃がすために用いられる減圧機構を含み、前記消防配管は、消防媒体を収容するために用いられ、前記消防配管は前記減圧機構に対応する第1領域及び前記第1領域の外周に位置する第2領域を含み、前記第1領域は前記減圧機構が作動する時に破壊されて、前記消防媒体を排出するために用いられ、前記第2領域は前記減圧機構が作動する時に完全に保持されて、前記消防媒体を前記第2領域から前記第1領域に流すことができるように用いられ、前記保護部材は、前記消防配管と前記電池セルとの間に設けられ、前記第2領域を保護するために用いられる電池の製造方法を提供する。
【0039】
いくつかの実施例において、前記保護部材は前記消防配管の前記第2領域と前記電池セルとの間に設けられ、前記保護部材は前記減圧機構が作動する時に前記第2領域を保護するために用いられる。
【0040】
いくつかの実施例において、前記保護部材は保護領域及び脆弱領域を含み、前記保護領域は前記減圧機構が作動する時に前記消防配管の前記第2領域を保護するために用いられ、前記脆弱領域は前記減圧機構に対向して設けられ、前記脆弱領域は前記減圧機構が作動する時に前記電池セルからの排出物が前記脆弱領域を通過して前記第1領域を破壊するために用いられる。
【0041】
いくつかの実施例において、前記保護部材に第1凹溝が設けられ、前記消防配管は前記第1凹溝内に設けられ、前記第1凹溝は前記減圧機構が作動する時に前記電池セル内に流入する前記消防媒体を収集するために用いられる。
【0042】
第4態様では、上記第3態様の方法を実行するモジュールを含む電池の製造装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図2】本願の一実施例に係る電池の構造概略図である。
【
図3】本願の実施例に係る電池モジュールの構造概略図である。
【
図4】本願の実施例に係る電池セルの分解図である。
【
図5】本願の一実施例に係る電池の概略分解図である。
【
図6】本願の一実施例に係る電池の概略分解図である。
【
図7】本願の一実施例に係る消防配管の概略図である。
【
図9】
図8に示す電池のA-A方向の断面図の部分拡大図である。
【
図10】本願の別の実施例に係る電池の概略分解図である。
【
図11】本願の別の実施例に係る保護部材の概略図である。
【
図12】本願の別の実施例に係る電池の別の概略分解図である。
【
図13】本願の別の実施例に係る電池の平面図である。
【
図14】
図13に示す電池のB-B方向の断面図の部分拡大図である。
【
図15】本願の実施例に係る電池の製造方法の概略フローチャートである。
【
図16】本願の一実施例に係る電池の製造装置の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下に本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術的解決手段を明確に説明し、明らかに、説明される実施例は本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本願の実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要することなく取得した全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0045】
別途定義されない限り、本願で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本願において出願の明細書で使用される用語は、単に具体的な実施例を説明することが目的であり、本願を限定することを意図したものではない。本願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における「含む」及び「有する」という用語及びそれらの類語は、排他的ではないものを意図している。本願の明細書と特許請求の範囲又は上記図面における「第1」、「第2」等の用語は異なる対象を区別するために用いられ、特定の順序又は主従関係を説明するために用いられるものではない。
【0046】
本願における「実施例」への言及は、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が、本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。本明細書の各所にこの語が出現しても、必ずしも全てが同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と相互に排他的で独立した又は代替的な実施例を指すものでもない。当業者は、本明細書に記載の実施例は他の実施例と組み合わせることができることを明示的かつ暗示的に理解する。
【0047】
本願の記載において説明すべきことは、特に明確に規定及び限定しない限り、「取り付ける」、「つながっている」、「接続」、「取り付け」という用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体接続であってもよい。直接つながっていてもよく、中間媒体を介して間接的につながっていてもよく、又は2つの素子内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0048】
本願における「及び/又は」という用語は、単に関連対象の関連、関係を説明しているに過ぎず、3種類の関係が存在可能であることを示し、例として、A及び/又はBは、Aが単独で存在する、AとBが同時に存在する、Bが単独で存在する、という3つの状況を示すことができる。なお、本願において記号「/」は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0049】
本願の実施例において、同一の図面符号は同一の部材を示し、異なる実施例においては、簡潔にするために同一の部材の詳細な説明を省略する。なお、図面に示される本願の実施例における各部材の厚さ、長さ、幅等の寸法、及び集積装置の全体の厚さ、長さ、幅等の寸法は例示的な説明に過ぎず、本願を何ら限定するものではない。
【0050】
本願に出現する「複数」は2つ以上(2つを含む)を指し、同様に、「複数組」は2組以上(2組を含む)を指し、「複数枚」は2枚以上(2枚を含む)を指す。
【0051】
本願の実施例において、電池セルはリチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等を含むことができ、本願の実施例はこれに限定されない。電池セルは円柱体、扁平体、直方体、又は他の形状等であってもよく、本願の実施例はこれにも限定されない。電池セルは一般的にパッケージの方式により円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルの3種類に分けられ、本願の実施例はこれにも限定されない。
【0052】
本願の実施形態で言及される電池は、より高い電圧及び容量を提供するために1つ以上の電池セルを含む単一の物理的モジュールを指す。例えば、本願で言及される電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含むことができる。電池は、一般的に1つ又は複数の電池セルをパッケージするための筐体を含む。筐体は、液体又は他の異物が電池セルの充放電に影響を及ぼすことを防止する。
【0053】
電池セルは電極アセンブリ及び電解液を含み、電極アセンブリは正極シート、負極シート及びセパレータで構成される。電池セルは、主に金属イオンが正極シートと負極シートとの間を移動することによって動作する。正極シートは正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極活物質層が塗布された集電体から突出し、正極活物質層が塗布されていない集電体を正極タブとする。リチウムイオン電池を例とすると、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元系リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極シートは負極集電体及び負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布された集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体を負極タブとする。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はシリコン等であってもよい。大電流によって溶断が発生しないことを保証するために、正極タブの数は複数であり且つ一体に積層され、負極タブの数は複数であり且つ一体に積層される。セパレータの材質は、PPやPE等であってもよい。また、電極アセンブリは巻回式構造であってもよく、又は積層式構造であってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。電池技術の発展には多方面の設計要素、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電効率等の性能パラメータを同時に考慮する必要があり、また、電池の安全性を考慮する必要がある。
【0054】
電池セルにとって、安全上の主な危険性は充電及び放電プロセスに由来し、同時に適切な環境温度設定を加味し、不必要な損失を効果的に回避するために、電池セルは一般的に少なくとも三重の保護対策を有する。具体的には、保護対策は少なくともスイッチング素子、適切に選択したセパレータ材料及び減圧機構を含む。スイッチング素子とは、電池セル内の温度又は抵抗が一定の閾値に達した場合、電池の充電又は放電を停止させることができる素子を指す。セパレータは正極シートと負極シートを隔離するために用いられ、温度が一定値まで上昇した時にその上に付着したマイクロメートルオーダー(さらにはナノオーダー)の細孔を自ら溶解させ、それにより金属イオンが隔離膜を通過できないようにして、電池セルの内部反応を停止させる。
【0055】
減圧機構とは、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達した時に作動して、内部圧力又は温度を逃がす素子又は部品である。該閾値の設計は、設計要件によって異なる。前記閾値は電池セルにおける正極シート、負極シート、電解液及びセパレータのうちの1つ又は複数の材料に依存する可能性がある。減圧機構は防爆弁、空気弁、減圧弁又は安全弁等の形式を用いることができ、且つ具体的には感圧又は感温の素子又は構造を用いることができ、すなわち、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達すると、減圧機構が動作を実行するか又は減圧機構に設けられた弱い構造が破壊され、内部圧力又は温度を逃がすことができる開口又は流路を形成する。
【0056】
本願で言及する「作動」とは、減圧機構が動作し又は一定の状態まで活性化され、それにより電池セルの内部圧力及び温度を逃がすことである。減圧機構が動作することは、減圧機構の少なくとも一部が破裂する、破砕する、引き裂かれる又は開く等を含むがこれらに限定されない。減圧機構が作動すると、電池セルの内部の高温高圧物質が排出物として作動した箇所から外に排出される。この方式により、制御可能な圧力又は温度の状況下で電池セルから圧力を逃がすことができ、潜在的でより深刻な事故の発生を回避する。
【0057】
本願で言及する電池セルからの排出物は、電解液、溶解又は分裂した正負極シート、セパレータの破片、反応により生成された高温高圧ガス、火炎等を含むがこれらに限定されない。
【0058】
電池セルにおける減圧機構は、電池の安全性に重要な影響を与える。例えば、短絡、過充電などの現象が発生すると、電池セル内部の熱暴走が発生して圧力又は温度が急激に上昇することがある。その場合、減圧機構を作動させることにより内部圧力及び温度を外部に逃がし、電池セルの爆発、発火を防止することができる。
【0059】
現在の減圧機構の設計手段は、主に電池セル内部の高圧及び高熱を逃がすこと、つまり前記排出物を電池セルの外部に排出することに注目している。高温高圧の排出物は電池セルの減圧機構が設けられた方向に向かって排出され、より具体的には減圧機構が作動する領域に向かう方向に沿って排出されることがあり、このような排出物の威力及び破壊力は非常に大きく、該方向における1つ又は複数の構造を破壊するのに十分である可能性があり、安全上の問題がさらに生じる。
【0060】
これに鑑みて、本願の実施例は技術的解決手段を提供し、電池セルの減圧機構に対向する位置に消防配管を設置し、減圧機構が作動する時、電池セル内から排出された排出物が該消防配管を突き破って破壊することにより、消防配管内の消防媒体が消防配管の破壊された箇所から排出され、減圧機構から排出された排出物を冷却し温度を下げて、排出物の危険性を低下させ、それにより電池の安全性を強化することができる。
【0061】
本願の実施例における消防配管は消防媒体を収容するために用いられ、ここで消防媒体は流体であってもよく、該流体は液体又は気体であってもよい。減圧機構が該消防管路を破壊しない場合、該消防配管にいかなる物質も収容せず、減圧機構が作動した場合に、消防配管に消防媒体が収容されるようにしてもよく、例えば、弁を開閉することにより消防媒体が消防配管に入るように制御することができる。又は、減圧機構が破壊されない場合、該消防配管には消防媒体が常に収容されてもよく、該消防媒体はさらに電池セルの温度を調整するために用いることができる。温度調節とは、複数の電池セルを加熱又は冷却することを指す。電池セルを冷却し又はその温度を下げる場合、該消防配管は冷却流体を収容して複数の電池セルの温度を低下させるために用いられ、この場合、消防配管は冷却部材、冷却システム又は冷却配管等と称することもでき、収容される消防媒体は冷却媒体又は冷却流体と称することもでき、より具体的には、冷却液又は冷却ガスと称することもできる。好ましくは、前記消防媒体は、より良好な温度調節効果を達成するために、循環流であってもよい。好ましくは、消防媒体は水、水とエチレングリコールの混合液又は空気等であってもよい。
【0062】
本願の実施例における電池の筐体は複数の電池セル、バス部材及び電池の他の部材を収容するために用いられる。いくつかの実施例において、筐体内に電池セルを固定するための構造をさらに設けることができる。筐体の形状は、収容される複数の電池セルに応じて決定することができる。いくつかの実施例において、筐体は6つの壁を有する方形であってもよい。
【0063】
本願で言及するバス部材は、複数の電池セルの間の電気的接続、例えば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現するために用いられる。バス部材は、電池セルの電極端子を接続することによって電池セルの間の電気的接続を実現することができる。いくつかの実施例において、バス部材は、溶接によって電池セルの電極端子に固定されてもよい。「高圧キャビティ」に対応して、バス部材によって形成される電気的接続は、「高圧接続」とも呼ばれる。
【0064】
なお、以上に説明された電池の筐体内の各部材は本願の実施例を限定するものではないと理解すべきであり、つまり、本願の実施例の電池用筐体は上記部材を含んでもよく、上記部材を含まなくてもよい。
【0065】
本願の実施例に記載の技術的解決手段はいずれも電池を使用する様々な装置に適用され、例えば、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、バッテリーカー、電動玩具、電動工具、電動車両、船舶及び宇宙船等であり、宇宙船は航空機、ロケット、スペースシャトル及びスペースシップ等を含む。
【0066】
なお、本願の実施例に記載の技術的解決手段は上記の機器に適用できるだけではなく、電池を使用する全ての機器にも適用できるが、説明を簡潔にするために、下記実施例はいずれも電動車両を例として説明する。
【0067】
例えば、
図1は本願の一実施例に係る車両1の構造概略図を示し、車両1はガソリン自動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車等であってもよい。車両1の内部にモータ40、コントローラ30及び電池10を設置することができ、コントローラ30は電池10を制御してモータ40に給電するために用いられる。例えば、車両1の底部又は前側又は後側に電池10を設置することができる。電池10は車両1への給電に用いられ、例えば、電池10は車両1の動作電源として、車両1の回路システムに用いることができ、例えば、車両1の起動、ナビゲーション及び走行時の作業電力の必要を賄う。本願の別の実施例において、電池10は車両1の動作電源としてだけでなく、車両1の駆動電源として、燃料又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供することができる。
【0068】
異なる使用電力需要を満たすために、電池は複数の電池セルを含むことができ、複数の電池セルの間は直列接続又は並列接続又は直並列接続することができ、直並列接続は直列接続及び並列接続の混合を指す。電池10は、電池パックとも呼ばれる。好ましくは、複数の電池セルがまず直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールがさらに直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池10を構成してもよい。すなわち、複数の電池セルが電池10を直接構成してもよく、又はまず電池モジュールを構成し、さらに電池モジュールが電池10を構成してもよい。
【0069】
例えば、
図2は、本願の一実施例に係る電池10の構造概略図を示し、電池10は複数の電池セル20を含むことができる。電池10はさらに筐体(又はカバーと呼ばれる)を含むことができ、筐体の内部は中空構造であり、複数の電池セル20は筐体内に収容される。
図2に示すように、筐体は2つの部分を含むことができ、ここではそれぞれ第1部分111及び第2部分112と称し、第1部分111と第2部分112は一体に係合される。第1部分111及び第2部分112の形状は、複数の電池セル20が組み合わされた形状によって決定されてもよく、第1部分111及び第2部分112は、いずれも1つの開口を有してもよい。例えば、第1部分111と第2部分112はいずれも中空の直方体であって且つそれぞれ1つの面のみが開口面であってもよく、第1部分111の開口と第2部分112の開口は対向して設置され、且つ第1部分111と第2部分112は互いに係合して密閉キャビティを有する筐体を形成する。複数の電池セル20を互いに並列接続又は直列接続又は直並列接続して組み合わせた後、第1部分111と第2部分112が係合して形成された筐体内に配置する。
【0070】
好ましくは、電池10はさらに他の構造を含むことができる。例えば、該電池10はさらにバス部材を含むことができ、バス部材は複数の電池セル20の間の電気的接続、例えば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現するために用いられる。具体的には、バス部材は電池セル20の電極端子を接続することによって電池セル20の間の電気的接続を実現することができる。さらに、バス部材は溶接によって電池セル20の電極端子に固定されてもよい。複数の電池セル20の電気エネルギーは、さらに導電機構が筐体を貫通して引き出されてもよい。好ましくは、導電機構はバス部材に属してもよい。
【0071】
電池セル20の数は、電力の需要に応じて任意の数に設定することができる。複数の電池セル20は、より大きな容量又は出力を実現するために、直列接続、並列接続、又は直並列接続の方式で接続されてもよい。各電池10に含まれる電池セル20の数が多いため、取り付けやすくするために、電池セル20をグループ化して設置することができ、各グループの電池セル20は電池モジュールを構成する。電池モジュールに含まれる電池セル20の数は限定されず、必要に応じて設定することができる。例えば、
図3は、電池モジュールの一例である。電池は複数の電池モジュールを含むことができ、これらの電池モジュールは直列接続、並列接続又は直並列接続の方式で接続することができる。
【0072】
以下は、任意の電池セル20について詳細に説明する。
図4は本願の一実施例に係る電池セル20の構造概略図であり、電池セル20は1つ又は複数の電極アセンブリ22と、ハウジング211と、カバープレート212と、を含む。
図4に示す座標系は、
図3と同じである。ハウジング211及びカバープレート212は、外ケース又は電池ケース21を構成する。ハウジング211の壁及びカバープレート212は、いずれも電池セル20の壁と称される。ハウジング211は1つ又は複数の電極アセンブリ22を組み合わせた後の形状に応じて決定され、例えば、ハウジング211は中空の直方体又は立方体又は円柱体であってもよく、且つハウジング211の一面は開口を有しており、1つ又は複数の電極アセンブリ22をハウジング211内に配置することができる。例えば、ハウジング211が中空の直方体又は立方体である場合、ハウジング211のうちの1つの平面は開口面であり、該平面は壁体を有さずハウジング211の内外を連通させる。ハウジング211は中空の円柱体であってもよく、その場合、ハウジング211の端面は開口面であり、該端面は壁体を有さずハウジング211の内外を連通させる。カバープレート212は開口を覆い、且つハウジング211と連結されて、電極アセンブリ22が配置される密閉キャビティを形成する。ハウジング211の中には電解質、例えば電解液が充填される。
【0073】
該電池セル20は、カバープレート212に設置される2つの電極端子214をさらに含むことができる。カバープレート212は一般的に平板形状であり、2つの電極端子214はカバープレート212の平板面に固定され、2つの電極端子214はそれぞれ正極端子214a及び負極端子214bである。各電極端子214にそれぞれ1つの連結部材23が対応して設置され、又は集電部材とも呼ばれ、それはカバープレート212と電極アセンブリ22との間に位置し、電極アセンブリ22と電極端子214を電気的に接続するために用いられる。
【0074】
図4に示すように、各電極アセンブリ22は、第1タブ221a及び第2タブ222aを有する。第1タブ221aと第2タブ222aの極性は反対である。例えば、第1タブ221aが正極タブである場合、第2タブ222aは負極タブである。1つ又は複数の電極アセンブリ22の第1タブ221aは、1つの連結部材23を介して1つの電極端子、例えば正極端子に接続され、1つ又は複数の電極アセンブリ22の第2タブ222aは、別の連結部材23を介して別の電極端子、例えば負極部材に接続される。例えば、正極端子214aは1つの連結部材23を介して正極タブに接続され、負極端子214bは別の連結部材23を介して負極タブに接続される。
【0075】
該電池セル20において、実際の使用ニーズに応じて、電極アセンブリ22は1つ又は複数設置することができ、
図4は、電池セル20内に4つの独立した電極アセンブリ22が設置されることを示す。
【0076】
電池セル20には減圧機構213をさらに設けることができる。減圧機構213は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して内部圧力又は温度を逃がすために用いられる。
【0077】
減圧機構213は様々な可能な減圧構造であってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。例えば、減圧機構213は、減圧機構213が設置された電池セル20の内部温度が閾値に達した時に溶融するように構成された感温減圧機構であってもよい。及び/又は、減圧機構213は感圧減圧機構であってもよく、感圧減圧機構は減圧機構213が設置された電池セル20の内部気圧が閾値に達した時に破裂するように構成される。
【0078】
減圧機構213が作動する時に、高温排出物が排出されることを考慮し、該排出物が他の構造を破壊することを減少させるために、電池セル20の減圧機構213に対応する位置に消防配管を設置することができ、例えば、消防配管は排出物が噴出する方向に設置されてもよく、減圧機構213に正対してもよく又は正対しなくてもよく、それにより消防配管は排出物と接触する場所を有し且つ破壊される位置を有し、同時に消防配管が破壊されると、消防媒体を破壊された箇所から電池セル20に流すことができる。これにより、減圧機構213が作動する時、電池セル20内から排出された排出物が該消防配管を突き破って破壊することで、消防配管内の消防媒体が、減圧機構213から排出された排出物を冷却し温度を下げて、排出物の危険性を低下させ、それにより電池10の安全性を強化することができる。
【0079】
ある電池セル20の内部に熱暴走が発生して減圧機構213が作動しても、減圧機構213から排出された排出物は対向する位置にある消防配管にスムーズに吹き付けられてそれを突き破るため、消防配管の融点は一般的に低く設定され、溶融しやすい。しかしながら、減圧機構213の排出物はフレア状を呈して外へ噴出するため、消防配管の溶融範囲が広く、例えば、減圧機構213に対応する範囲よりはるかに大きくなり、消防配管の内部に収容された消防媒体の大部分は、熱暴走が発生した電池セル20の外部に流れる可能性があり、この場合、熱暴走が発生した電池セル20の温度を急速に下げることは不可能である。そのため、本願の実施例は上記問題を解決することができる電池を提供する。
【0080】
図5は本願の実施例における電池10の概略分解図を示す。具体的には、
図5に示すように、該電池10は電池セル20を含むことができ、各電池10は少なくとも1つの電池セル20を含むことができ、例えば、
図5は、電池10が2×9個の電池セル20を含むことを例としている。ここで、任意の1つの電池セル20において、該電池セル20は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して、該内部圧力又は温度を逃がすために用いられる減圧機構213(
図5に図示せず)を含む。
【0081】
好ましくは、該減圧機構213は電池セル20の任意の位置に設けることができる。電池セル20が
図5に示す直方体である場合、減圧機構213は該直方体のいずれかの壁に設けることができる。例えば、減圧機構213は
図5における各電池セル20の最上方の壁に設けられてもよく、すなわち、減圧機構213と電池セル20の電極端子が同じ壁に設けられてもよい。説明の便宜上、本願の実施例はいずれも、減圧機構213と電池セル20の電極端子が同じ壁に設けられる構造を例として説明する。
【0082】
なお、該
図5における電池10は
図2に示す電池10に対応することができ、且つ
図2に示す電池10の関連説明に適用され、例えば、
図5に示す電池10はさらに筐体等の部材を含むことができる。該
図5に示す電池10に含まれる電池セル20は、
図3及び
図4に示す電池セル20に対応することができ、且つ
図3及び
図4に示す電池セル20の関連説明に適用され、例えば、該
図5に示す電池セル20に含まれる減圧機構213は
図4に示す減圧機構213に対応することができ、簡潔にするために、ここでは説明を省略する。
【0083】
また、
図5に示すように、本願の実施例における電池10はさらに、消防媒体を収容するために用いられる消防配管13を含むことができる。該消防配管13は、減圧機構213が作動した時に破壊されて、内部に収容された消防媒体を排出することができ、該消防媒体は急速に冷却して温度を下げることができる。
図7は
図5に示す消防配管13の模式図を示す。
図5及び
図7を参照すると、該消防配管13は第1領域131及び第2領域132を含むことができ、該第1領域131は該減圧機構213に対向して設置されて、減圧機構213が作動する時、第1領域131は電池セル20からの排出物によって該第1領域131の位置を破壊することができる。第2領域132は該第1領域131の外周に位置し、例えば、
図5及び
図7に示すように、第1領域131は、消防配管の減圧機構213に対向する1段の配管又は該減圧機構213に向けられた一部の領域であり、その両側において、それに隣接する2つの配管又はそれに隣接する2つの配管の電池セル20に向けられた一部の領域が第2領域132である。該第1領域131は該減圧機構213が作動する時に破壊されて、該消防媒体を排出するために用いられ、該第2領域132は該減圧機構213が作動する時に完全に保持されて、該消防媒体を該第2領域132から該第1領域131に流すことができるように用いられる。
【0084】
本願の実施例における電池10は、保護部材14をさらに含み、該保護部材14は、該消防配管13と該電池セル20との間に設けられ、該第2領域132を保護するために用いられ、それにより該減圧機構213が作動する時に第2領域132が完全に保持される。
【0085】
従って、本願の実施例の電池10は、1つ又は複数の電池セル20を含むことができ、該電池セル20に減圧機構213が設けられ、該減圧機構213は電池セル20の内部温度又は圧力が閾値を超えた時に作動して、内部圧力又は温度を逃がすことができ、減圧機構213に対応する位置に消防配管13が設置され、減圧機構213が作動する時に、減圧機構213から排出された排出物は該消防配管13を破壊することができ、それにより消防配管13内に収容された消防媒体が流出し且つ減圧機構213に流出して、電池セル20の温度を下げ、同時に、該消防配管13と電池セル20との間に保護部材14が設けられ、該保護部材14は消防配管13における減圧機構213に対応する第1領域131の外周に位置する第2領域132を保護することができ、それにより減圧機構213は消防配管13の減圧機構213に対応する第1領域131のみを破壊して、消防配管13内の消防媒体の流出位置を減圧機構213に対応する位置に集中させ、これにより電池セル20の放熱効率を向上させ、消防配管13内の消防媒体をより効果的に利用することができる。
【0086】
なお、本願の実施例における保護部材14は第2領域132を保護することができ、それにより第2領域132は減圧機構213が作動する時に完全に保持され、ここでの「完全」は実質的に完全であることを示す。減圧機構213が作動すると、排出された高温高圧の排出物が消防配管13の第1領域131を溶融し、第2領域132には保護部材14が設けられているものの、第2領域132もいくらかの領域が破壊されるおそれがある。従って、保護部材14が第2領域132を完全に保持することができることには、該第2領域132が完全に破壊されないことが含まれてもよく、又は第2領域132の実質的に完全に保持されること、すなわち該第2領域132が基本的に破壊されないように保護することが含まれてもよく、例えば第2領域132の第1領域131に近い領域に数ミリメートルの狭い範囲の溶融が存在する可能性があるが、本願の実施例はこれに限定されない。好ましくは、本願の実施例における消防配管13は、実際の用途に応じて任意の形状に設置することができる。例えば、消防配管13の断面形状は、実際の用途に応じて任意の形状に設置することができる。消防配管13は、空間利用率や取り付けのしやすさを考慮して、
図5に示すように扁平の配管として設置することができ、又は円筒配管等の他の形状として設置することもできる。説明の便宜上、本願の実施例は
図5に示す形状を例として説明する。
【0087】
また、各電池に1つ又は複数の電池セル20を含むことができるため、電池10に多くの電池セル20を含む場合、複数の電池セル20をアレイ配列することができ、例えば、
図5に示すように電
池10に含まれる2×9個の電池セル20を設置することができる。それに対応して、電池セル20の上方に設置される消防配管13も、対応する形状に設置することができる。例えば、消防配管13は、電池10のいずれかの列の電池セル20に対して、1組の弁によって制御され、電池セル20の上方に設置される直線形連通配管としてもよい。
図5に示す隣接するいずれか2列の電池セル20に対して、空間を節約し及び制御を容易にするために、消防配管13は、1組の弁によって制御され、1つの湾曲を有するU字形連通配管として設置されてもよい。同様に、電池10に含まれる隣接する3列の電池セル20に対して、消防配管13は、1組の弁によって制御され、2つの湾曲を有するS字形連通配管として設置されてもよい。同様に、電池10に含まれる隣接するいずれか3列以上の電池セル20に対して、1組の弁によって制御され、より多くの湾曲を有する曲線形連通配管として設置されてもよく、又は複数組の弁によってそれぞれ制御される複数の連通配管として設置されてもよく、例えば、該複数の連通配管は直線形配管、U字形配管及びS字形配管のうちの少なくとも一種を含むことができ、本願の実施例はこれに限定されない。説明の便宜上、本願の実施例は消防配管13がU字形配管であることを例として説明する。
【0088】
本願の実施例における1組の弁は入口弁及び/又は出口弁を含み、入口弁は消防配管13に消防媒体を充填するために用いられ、これに対して、出口弁は消防媒体を外へ排出するために用いられ、例えば、入口弁及び出口弁が同時に設置されると消防配管13内の消防媒体の循環を実現することができ、消防配管13が破壊されていない場合、冷却又は加熱にも用いることができる。また、弁の位置は実際の用途に応じて設定することができる。
【0089】
なお、本願の実施例における消防配管13の設置位置は減圧機構213の位置と関連し、それにより減圧機構213が作動する時、排出された排出物は消防配管13の第1領域131を溶融することができる。具体的には、
図6は、本願の実施例における電池10の別の概略分解図を示す。
図6に示すように、ここでは電池セル20に含まれる減圧機構213が電池セル20の
図6に示す最上方の壁に設けられることを例とし、該壁はすなわち該電池セル20のカバープレートであり、同時に、該カバープレートはさらに電極端子214を含む。
図6に示すように、消防配管13を減圧機構213に対応する位置に設置することは、減圧機構213の位置に応じて、消防配管13を減圧機構213の該電池セル20の内部から遠ざけた側に設置し、すなわち該消防配管13を該減圧機構213の上方に設置することができ、それにより該消防配管13の少なくとも一部が該減圧機構213を覆うようにすることを含み、これにより、減圧機構213が作動すると、噴出した排出物が該消防配管13を破壊することができ、それにより消防配管13内の消防媒体を、熱暴走が発生した電池セル内に減圧機構213を通して流入させることができる。
【0090】
また、
図6に示すように、該電池10は、該減圧機構213と該消防配管13との間に設けられる絶縁層12をさらに含むことができ、絶縁層12は、さらに、該減圧機構213と該保護部材14との間に設けられる。例えば、
図5に示す電池セル20の表面には、
図6の絶縁層12が設けられている。
【0091】
図6に示すように、減圧機構213が作動する時、減圧機構213を通って排出された排出物は、減圧機構213の上方を覆う絶縁層12の対応する位置を迅速に溶融することができ、それにより電池セル20の内部温度及び圧力を逃がし、従って、絶縁層12における減圧機構213の位置に対応する材料の融点は一般的に低い。
【0092】
なお、本願の実施例における絶縁層12は減圧機構213が位置する壁と消防配管13との間の絶縁に用いられ、該絶縁層12はさらにバス部材を被覆するために用いられ、該バス部材は異なる電池セル20の電極端子214の電気的接続を実現するために用いられ、例えば、
図6における絶縁層12の電極端子214に対応する位置はバス部材122である。該絶縁層12はさらに、該減圧機構213が位置する壁の表面に設置される他の構造を被覆するために用いられ、例えば、該絶縁層12はさらに、フレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuit、FPC)を被覆するために用いることができ、該FPCは各電池セル20の状態、例えば温度状態又は電圧状態等を監視するために用いることができるが、本願の実施例はこれに限定されない。
【0093】
電池10に1つ又は複数の電池セル20を設置してもよいことを考慮すると、多数の電池セル20を設置する場合、各電池セル20に接続されるバス部材又はFPC等の部材は、数が多く、設置面積が大きい可能性があるため、絶縁層12によってこれらの部材を集約して、複数の電池セル20の組み立てを容易にすることができ、例えば、
図6に示す2×9個の電池セル20には、1つの絶縁層12を対応して設置することができる。
【0094】
好ましくは、
図6に示すように、本願の実施例の電池10は、バス部材122を保護するために用いられる絶縁保護層15をさらに含む。具体的には、電池セル20に熱暴走が発生すると、減圧機構213が作動して排出物を排出するが、該排出物は絶縁層12を溶融し、バス部材122を露出させ、排出物又は消防配管13内の消防媒体がバス部材122に流れて、異なる電池セルを接続するための隣接する複数のバス部材122間を短絡させる可能性があるため、絶縁保護層15を設けることにより該バス部材122を排出物又は消防配管13内の消防媒体から保護することができ、例えば、該絶縁保護層15は絶縁且つ耐熱の材料を選択することができ、且つ該絶縁保護層15はバス部材122を保護するように、バス部材122の表面に設けられてもよく、又は絶縁層12の表面のバス部材122に対応する位置に設けられてもよい。
【0095】
また、本願の実施例における絶縁保護層15の形状及びサイズは実際の用途に応じて設定することができる。例えば、一般的に複数の電池セル20は、
図6に示す方式でアレイ配列されることを考慮し、取り付けやすくするために、絶縁保護層15を
図6に示すストリップ状に設置することができ、各絶縁保護層15は1列のバス部材122を覆い且つ保護するために用いることができるが、本願の実施例はこれに限定されない。且つ、保護部材14と絶縁保護層15は独立した構造であってもよく、例えば、絶縁保護層15は連結部材を介して保護部材14の上面に取り付けられてもよく、該連結部材は接着剤等であってもよい。又は、該保護部材14と絶縁保護層15は一体成形構造であってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。絶縁保護層15の強度を保証するために、絶縁保護層15の厚さは0.1mmより大きい。
【0096】
なお、本願の実施例における保護部材14は様々な形態を含むことができ、以下では図面を参照しながら、それぞれ異なる保護部材14を含む電池を例示する。
【0097】
好ましくは、第1実施例として、
図5から
図7に示すように、該保護部材14は消防配管13の第2領域132のみに設けられる部材であってもよい。具体的には、
図6及び
図7を例として、該保護部材14は該消防配管13の該第2領域132と該電池セル20との間に設けられることができ、それにより該減圧機構213が作動する時に該第2領域132を保護するために用いられ、例えば、該保護部材14は第2領域132の表面を被覆してもよい。
【0098】
具体的には、
図6及び
図7に示すように、保護部材14を、第2領域132を被覆する部材として設ける場合、該保護部材14と消防配管13の全体は依然として配管形状を呈し、従って凹溝を設置する方式で、該保護部材14と消防配管13を取り付けることができる。
図6に示すように、該絶縁層12の該減圧機構213に対応する領域に第2凹溝121が設置され、保護部材14で被覆された消防配管13は該第2凹溝121内に設置される。
【0099】
減圧機構213から排出された排出物が消防配管13の第1領域131を迅速且つ効果的に破壊することを保証するために、該消防配管13は一般的に減圧機構213の真上に設置され、それにより第1領域131は減圧機構213に正対する。例えば、減圧機構213は一般的に軸対称パターンであり、該減圧機構213の軸線は対応する第1領域131の軸線と垂直であり且つ同一平面に位置し、すなわち第1領域131は減圧機構213に正対する。例えば、
図6に示すように、第2凹溝121は減圧機構213の真上に設置され、消防配管13は該第2凹溝121内に設置され、消防配管13が減圧機構213の真上に設置されることを保証する。
【0100】
好ましくは、該保護部材14が減圧機構213の作動時に第2領域132を保護できるようにするために、保護部材14の材料の融点は、該消防配管13の材料の融点よりも高い必要がある。具体的には、該保護部材14は一般的に融点が高い材料を選択し、例えば、該保護部材14の材料の融点は800°C以上であり、該保護部材14の材料はマイカ、石英等であってもよいが、本願の実施例はこれに限定されない。
【0101】
以下に、本願の実施例における消防配管13に含まれる第1領域131及び第2領域132について説明する。具体的に、第1領域131と第2領域132との区分は、消防配管13全体に対するものであってもよいし、消防配管13の電池セル20に面する側に対するものであってもよい。例えば、
図6と
図7を相互に参照すると、本願の実施例における第1領域131は、消防配管13における減圧機構213に対応する1段の配管であってもよく、すなわち第1領域131は減圧機構213に正対する1段の配管であり、又は、該第1領域131は、該消防配管13の電池セル20に面する表面において、減圧機構213に対応する1つの領域を指してもよく、この場合も第1領域131は減圧機構213に正対する1つの領域である。第1領域131の分割方式と同様に、第2領域132は該第1領域131の外周に位置し、すなわち各第2領域132は第1領域131に隣接する1段の配管であり、又は、各第2領域132は第1領域131に隣接する1つの領域である。且つ、第1領域131が1段の配管を示す場合、該第2領域132は1段の配管であってもよく、1つの領域であってもよく、第1領域131が1つの領域を示す場合、該第2領域132は1段の配管であってもよく、1つの領域であってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。ただし説明の便宜上、以下は第1領域131及び第2領域132がいずれも1段の配管を示すことを例とする。
【0102】
また、本願の実施例において、第1領域131の外周に位置する第2領域132は複数の分割方式を含むことができる。具体的には、説明の便宜上、
図7に示すように、本願の実施例において消防配管13の延伸方向をX方向と定義し、すなわち消防配管13の軸線方向をX方向と定義する。
図7に示すように、X方向に沿った任意の1段の第1領域131は、その両端にいずれも第2領域132が設けられるが、該第2領域132の大きさは異なって設けられてもよく、X方向に沿って連続する2つの第1領域131の間に、1段の第2領域132(例えば
図7に示す)が設置されてもよく、又は連続しない2段の第2領域132が設置されてもよく、各第2領域132はそれぞれ対応する第1領域131に隣接する。
【0103】
ただし説明の便宜上、以下では
図7の分割方式を例として説明し、すなわちX方向に沿った任意の1段の第1領域131の両端はいずれも第2領域132であり、X方向に沿って任意の隣接する2つの電池セル20の減圧機構213に対応する2つの連続した第1領域131の間の1段の管路はいずれも第2領域132である。同様に、X方向に沿った任意の1段の第2領域132の両端はいずれも第1領域131である。
【0104】
好ましくは、本願の実施例における第1領域131及び第2領域132のX方向に沿った長さは実際の用途に応じて設定することができ、本願の実施例はこれに限定されない。例えば、第1領域131のX方向に沿った長さは減圧機構213の大きさに応じて設定することができ、さらに消防配管13と減圧機構213との間の距離に応じて設定することができ、例えば、該第1領域131のX方向に沿った長さは、減圧機構213のX方向に沿った長さ以上であってもよく、第2領域132は消防配管13における隣接する2つの減圧機構213に対応する2つの第1領域131の間の配管である。
【0105】
なお、本願の実施例における消防配管13の幅は、実際の用途に応じて設定することができる。例えば、
図8は、消防配管13と電池セル20とを含む電池10の平面図を示し、
図8は、
図6に示す電池10を取り付けた後の平面図である。
図8に示すように、説明の便宜上、ここでは、X方向に垂直な方向を第1方向とし、Y方向として示す。
図6及び
図8から分かるように、消防配管13は絶縁層12の第2凹溝121内に設置され、従って、Y方向において、消防配管13の幅は第2凹溝121の幅以下である。Y方向において、該絶縁保護層15の幅は実際の用途に応じて設定することができ、例えば、バス部材122のY方向に沿った幅に応じて絶縁保護層15の幅を設定することができる。
【0106】
また、
図9は、
図8に示す電池10の、
図8に示すA-Aの方向に沿った断面図の部分拡大図である。
図9に示すように、減圧機構213が消防配管13の第1領域131をスムーズに破壊することを保証するために、Y方向において、一般的に減圧機構213の幅を消防配管13の幅以上に設定し、消防配管13がより破壊されやすいようにするが、本願の実施例はこれに限定されない。
【0107】
好ましくは、
図9に示すように、保護部材14が設けられた消防配管13を固定できるように、絶縁層12に固定部材123を設けることができる。具体的には、該絶縁層12における第2凹溝121内に、保護部材14を有する該消防配管13を固定するための固定部材123を設けることができる。好ましくは、該固定部材123は消防配管13を固定できる任意の構造であってもよく、例えば、
図8及び
図9に示すように、固定部材123はバックルであってもよいが、本願の実施例はこれに限定されない。
【0108】
上記では保護部材14が第2領域132に分割して設けられる構造を例として説明したが、それとは異なり、該保護部材14を一体構造として、減圧機構213と消防配管13との間に設けることもできる。
【0109】
好ましくは、以下の第2実施例は、第1実施例における保護部材14が複数の分離構造であるものとは異なり、例えば、各分離構造は消防配管13における1段の第2領域132のみを保護するために用いられ、本願の実施例における保護部材14はさらに1つ又は複数の連続構造であってもよく、各連続構造は消防配管13における複数段の第2領域132を保護することができる。例えば、
図10は、本願の第2実施例における電池10の概略分解図を示す。
図10に示すように、該保護部材14は、消防配管13と減圧機構213(
図10に図示せず)との間に設けることができる。
図10における保護部材14以外の部分の説明は、
図5の関連内容を参照することができ、簡潔にするために、ここでは説明を省略する。
【0110】
以下では図面を参照しながら、
図10における保護部材14を詳細に説明する。具体的には、
図11は、
図10の保護部材14の概略図を示す。
図11に示すように、消防配管13が依然として
図7に示す第1領域131と第2領域132に分割される場合、それに対応して、X方向に沿って、該保護部材14は保護領域142と脆弱領域141を含むことができる。具体的には、
図7、
図10及び
図11を参照すると、脆弱領域141は第1領域131に対応し、保護領域142は第2領域132に対応する。好ましくは、保護領域142は、脆弱領域141以外の他の領域である。保護部材14と消防配管13を取り付けた後、該保護領域142は第2領域132を覆い、例えば、該保護領域142は第2領域132の電池セル20に向けられた側の領域を覆うことができ、該保護領域142は、該減圧機構213が作動する時に該消防配管13の該第2領域132を保護するために用いられ、それに対して該脆弱領域141は第1領域131を覆い、且つ該減圧機構213に対向して設置され、該脆弱領域141は、該減圧機構213が作動する時に該電池セル20からの排出物が該脆弱領域141を通って該第1領域131を破壊できるようにするために用いられる。これにより、減圧機構213が作動する時、消防配管13の第1領域131が破壊されることを保証することができ、第2領域132は完全に保持されて、第2領域132内の消防媒体は第1領域131に流れ、且つ第1領域131を通って熱暴走が発生した電池セルに流出し、温度を下げて放熱する役割を果たす。
【0111】
好ましくは、本願の実施例における脆弱領域141は貫通孔又は融点の低い材料であってもよく、それにより電池セル20からの排出物が減圧機構213を通り、該脆弱領域を通って第1領域131を破壊することを保証する。対照的に、保護領域142は融点の高い材料であり、それにより電池セル20からの排出物で溶融しないことを保証し、第2領域132を保護する。具体的には、保護領域142における該保護部材14の材料の融点は、消防配管13の材料の融点よりも高い必要がある。例えば、該保護部材14の材料の融点は800°C以上であり、該保護部材14の材料はマイカ、石英等であってもよいが、本願の実施例はこれに限定されない。
【0112】
なお、
図11に示すように、該保護部材14にさらに第1凹溝143が設けられ、該消防配管13は該第1凹溝143内に設置され、且つ、該第1凹溝143の底壁における該第1領域131に対応する領域に該脆弱領域141が設置される。該第1凹溝143は、該減圧機構213が作動する時に該電池セル20内に流入する該消防媒体を収集するために用いることができる。
【0113】
図12は、本願の第2実施例に係る電池10の別の概略分解図を示す。
図12に示すように、消防配管13は保護部材14の第1凹溝143内に固定されてもよく、同時に、消防配管13と保護部材14は絶縁層12の第2凹溝121内に固定されてもよく、絶縁保護層15は絶縁層12の表面のバス部材122に対応する領域を覆う。具体的には、
図12における絶縁層12は
図6における絶縁層12に対応することができ、すなわち
図6における絶縁層12の関連説明は
図12における絶縁層12に適用され、簡潔にするために、ここでは説明を省略する。また、
図11に示す電池セル20の上面には、
図12における絶縁層12が設けられている。
【0114】
図12に示すように、該絶縁層12に、減圧機構213に対応する第2凹溝121が設けられ、それにより消防配管13が取り付けられた保護部材14が該第2凹溝121内に設けられる。
【0115】
なお、第1実施例と同様に、減圧機構213から排出された排出物が脆弱領域141を迅速且つ効果的に通過して消防配管13の第1領域131を破壊することを保証するために、該脆弱領域141は減圧機構213の真上に設置されるべきであり、同時に、第1領域131も減圧機構213に正対する。例えば、
図13は本願の第2実施例に係る電池10の平面図を示し、
図10及び
図13を参照すると、減圧機構213は一般的に軸対称パターンであり、該減圧機構213の軸線は対応する第1領域131の軸線と垂直であり且つ同一平面に位置し、すなわち第1領域131は減圧機構213に正対する。また、該脆弱領域141の第1平面における正投影は、該減圧機構213の該第1平面における正投影を覆い、それにより脆弱領域141も減圧機構213に正対し、又は減圧機構213を覆うことができ、該第1平面は該電池セル20の減圧機構213が位置する壁の上表面又は下表面に平行であり、上表面は該電池セル20の内部から離れた表面であり、下表面は該電池セル20の内部に向けられた表面である。
【0116】
本願の実施例において、消防配管13のサイズ及び保護部材14のサイズは、実際の用途に応じて設定することができる。
図12及び
図13から分かるように、消防配管13は保護部材14の第1凹溝143内に設置され、保護部材14は絶縁層12の第2凹溝121内に設置され、従って、Y方向において、消防配管13の幅は第1凹溝143の底壁の幅以下であり、第1凹溝143の底壁の幅は第2凹溝121の底壁の幅以下である。且つ、Y方向において、該絶縁保護層15の幅は実際の用途に応じて設定することができ、例えば、バス部材122のY方向に沿った
幅に応じて絶縁保護層15の幅を設定することができる。消防配管13の各箇所の幅が一致しない場合、該消防配管13の幅とは、該消防配管13のY方向における幅の最小箇所の幅を指すことができる。
【0117】
また、減圧機構213から排出された排出物が脆弱領域141を迅速且つ正確に通過して第1領域131を突き破ることができるように、Y方向において、該脆弱領域141の幅は一般的に該消防配管13の直径より大きい。また、Y方向において、脆弱領域141の幅は第1凹溝143の底壁の幅より大きくてもよく、小さくてもよく又は等しくてもよく、例えば、
図13に示すように、脆弱領域141の幅は第1凹溝143の底壁の幅より大きくてもよく、それにより第1領域131を脆弱領域141から十分に露出させ、減圧機構213が作動する時に、第1領域131がより破壊されやすくなることを保証するが、本願の実施例はこれに限定されない。
【0118】
図14は、
図13に示す電池10の、
図13に示すB-B方向の断面図の部分拡大図である。
図14に示すように、減圧機構213が消防配管13の第1領域131を破壊できることを保証するために、Y方向において、一般的に減圧機構213の幅を消防配管13の幅以上に設定するが、本願の実施例はこれに限定されない。
【0119】
また、
図9と同様に、保護部材14が設置された消防配管13を固定できるように、同様に絶縁層12に固定部材123を設けることができ、簡潔にするために、ここでは説明を省略する。
【0120】
従って、本願の実施例における電池10は、1つ又は複数の電池セル20を含むことができ、該電池セル20に減圧機構213が設けられ、該減圧機構213は電池セル20の内部温度又は圧力が閾値を超えた時に作動して、内部圧力又は温度を逃がすことができ、減圧機構213に対応する位置に消防配管13が設置され、減圧機構213が作動する時に、減圧機構213から排出された排出物は該消防配管13を破壊することができ、それにより消防配管13内に収容された消防媒体が破壊箇所から流出し且つ減圧機構213に流れ、電池セル20の温度を下げ、同時に、該消防配管13と電池セル20との間に保護部材14が設けられ、該保護部材14は消防配管13における減圧機構213に対応する第1領域131の外周に位置する第2領域132を保護することができ、それにより減圧機構213は消防配管13の減圧機構213に対応する第1領域131のみを破壊して、消防配管13内の消防媒体の流出位置を減圧機構213に対応する位置に集中させ、これにより電池セル20の放熱効率を向上させ、消防配管13内の消防媒体をより効果的に利用することができる。
【0121】
本願の一実施例は、上記各実施例における電池10を含むことができる電力消費装置をさらに提供する。好ましくは、電力消費装置は車両1、船舶又は宇宙船であってもよい。
【0122】
以上は本願の実施例の電池及び電力消費装置を説明し、以下では本願の実施例の電池の製造方法及びその装置を説明し、ここで詳細に説明しない部分は上記各実施例を参照することができる。
【0123】
図15は、本願の一実施例に係る電池の製造方法300の概略フローチャートを示す。
図15に示すように、該方法300は、電池セル20を提供するステップ310と、消防配管13を提供するステップ320と、保護部材14を提供するステップ330と、を含むことができ、電池セル20は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して、内部圧力又は温度を逃がすために用いられる減圧機構213を含み、消防配管13は、消防媒体を収容するために用いられ、消防配管13は減圧機構213に対応する第1領域131及び第1領域131の外周に位置する第2領域132を含み、第1領域131は減圧機構213が作動する時に破壊されて、消防媒体を排出するために用いられ、第2領域132は減圧機構213が作動する時に完全に保持されて、消防媒体を第2領域132から第1領域131に流すことができるように用いられ、保護部材14は、消防配管と電池セル20との間に設けられ、第2領域132を保護するために用いられる、方法300である。
【0124】
図16は、本願の一実施例に係る電池製造装置400の概略ブロック図を示す。
図16に示すように、電池製造装置400は、電池セル20を提供するステップと、消防配管13を提供するステップと、保護部材14を提供するステップと、に用いられる提供モジュール410を含むことができ、電池セル20は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して、内部圧力又は温度を逃がすために用いられる減圧機構213を含み、消防配管13は、消防媒体を収容するために用いられ、消防配管13は減圧機構213に対応する第1領域131及び第1領域131の外周に位置する第2領域132を含み、第1領域131は減圧機構213が作動する時に破壊されて、消防媒体を排出するために用いられ、第2領域132は減圧機構213が作動する時に完全に保持されて、消防媒体を第2領域132から第1領域131に流すことができるように用いられ、保護部材14は、消防配管と電池セル20との間に設けられ、第2領域132を保護するために用いられる、電池製造装置400である。
【0125】
最後に説明すべき点は以下のとおりである。以上の各実施例は本願の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、それを制限するものではない。前述の実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者は以下のことを理解すべきである。当業者は依然として前記各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又はそのうち一部の技術的特徴を等価置換することができるが、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の実質を本願の各実施例の技術的解決手段の主旨及び範囲から逸脱させるものではない。
【符号の説明】
【0126】
1 車両
10 電池
12 絶縁層
13 消防配管
14 保護部材
15 絶縁保護層
20 電池セル
21 電池ケース
22 電極アセンブリ
23 連結部材
30 コントローラ
40 モータ
111 第1部分
112 第2部分
121 第2凹溝
122 バス部材
123 固定部材
131 第1領域
132 第2領域
141 脆弱領域
142 保護領域
143 第1凹溝
211 ハウジング
212 カバープレート
213 減圧機構
214 電極端子
214a 正極端子
214b 負極端子
221a 第1タブ
222a 第2タブ
400 電池製造装置
410 提供モジュール