(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】遮光シートを備えた受動型赤外線検知装置
(51)【国際特許分類】
G01J 1/06 20060101AFI20230919BHJP
G01J 1/02 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
G01J1/06 A
G01J1/02 W
(21)【出願番号】P 2019193986
(22)【出願日】2019-10-25
【審査請求日】2022-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000210403
【氏名又は名称】竹中エンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹内 厳宗
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-201754(JP,A)
【文献】特開2004-333209(JP,A)
【文献】特開2007-323884(JP,A)
【文献】特開2011-100020(JP,A)
【文献】実開平2-128534(JP,U)
【文献】特開平6-337228(JP,A)
【文献】特開平7-105802(JP,A)
【文献】特開2006-198298(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101672156(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00-G01J 1/60
G01J 11/00
G01V 1/00-G01V 99/00
G08B 13/00-G08B 15/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦に多分割されたレンズにより検知領域を形成し、
遮光シートを備え、
前記遮光シートは、略長方形であり、横方向の1検知ゾーン分の遮光の間隔で上辺から下辺にかけて縦
に折り曲げラインが入っており、
前記遮光シート
を前記折り曲げラインで折り曲げること
により異なる検知ゾーン分の遮光を選択的に実現することができる状態で、前記レンズの内側に配置して使用することを特徴とする受動型赤外線検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受動型赤外線検知装置において、
前記遮光シートを前記折り曲げラインで折り曲げることにより複数の検知ゾーン分の遮光と1検知ゾーン分の遮光とを選択的に実現することができる状態で、前記レンズの内側に配置して使用することを特徴とする受動型赤外線検知装置。
【請求項3】
縦に多分割されたレンズにより検知領域を形成し、
遮光シートを備え、
前記遮光シートは、略長方形であり、横方向の1検知ゾーン分の遮光の間隔で上辺から下辺にかけて縦
に折り曲げラインが入っており、
前記遮光シートを前記折り曲げラインで折り曲げることにより2検知ゾーン分の遮光と1検知ゾーン分の遮光とを選択的に実現することができる状態で、使用することを特徴とする受動型赤外線検知装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の受動型赤外線検知装置において、
前記遮光シートは、横方向の1検知ゾーン分ごとに取付用穴を設けていることを特徴とする受動型赤外線検知装置。
【請求項5】
請求項4に記載の受動型赤外線検知装置であって、
本体の前方に横方向に等間隔で突起部を設け、
前記突起部は横方向の1検知ゾーン分ごとに配置し、
前記突起部を前記遮光シートの前記取付用穴に入れて取り付ける構造とすることを特徴とする受動型赤外線検知装置。
【請求項6】
請求項5に記載の受動型赤外線検知装置において、
前記レンズは、上面から見て略扇形状に曲げたものであり、
前記突起部を前記本体の前方に上面から見て略扇形状に横方向に等間隔で設けることを特徴とする受動型赤外線検知装置。
【請求項7】
請求項4に記載の受動型赤外線検知装置であって、
カバーに前記レンズを備え、
前記カバーの内側に、上面から見て前記レンズに沿って横方向に等間隔で突起部を設け、
前記突起部は横方向の1検知ゾーン分ごとに配置し、
前記突起部を前記遮光シートの前記取付用穴に入れて取り付ける構造とすることを特徴とする受動型赤外線検知装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の受動型赤外線検知装置であって、
内部に前記遮光シート用の収納部を設け、
前記収納部は、一面を開放した偏平ボックス状の形状であり、前記遮光シート
を前記折り曲げラインで折り曲げて入る広さであることを特徴とする受動型赤外線検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体等から発せられる遠赤外線を検知する受動型赤外線検知装置に関するものであり、特に、縦に多分割された遠赤外線の透過率が高いレンズにより検知領域を形成し、その検知領域を適切に設定することのできる受動型赤外線検知装置の遮光シート、およびその遮光シートを使用した受動型赤外線検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の受動型赤外線検知装置においては、遮光部材を付属品として同梱し、必要に応じて検知装置に装着することで、検知領域の一部を消去し検知領域を変更していた。例えば、特許文献1のようにフレネルレンズを備えたカバーの内側に装着する遮光シートがある。遮光シートには、ミシン目等が施されており、消去しようとする検知ゾーンに対応する部分を残して、その他の部分を切り取ることができるようにしてある。また、特許文献2のように、フレネルレンズの外側または内側にスライドする遮光部材で検知領域を変更していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-201754号公報
【文献】公開実用平成2-33331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような遮光シートでは、遮光シートを一度切り取ると元に戻すことができず、複数のパターンの検知領域を試すことができないため、複数の遮光シートが必要になることがあった。また、受動型赤外線検知装置を設置後に設置環境の変化や設置場所の変更により検知領域の変更が必要となっても、遮光シートを切り取っていた場合元に戻せないため、新たに遮光シートを準備する必要があった。
【0005】
また、特許文献2のような遮光部材では、連続した検知ゾーンしか遮光することができず、遮光する検知ゾーンと遮光していない検知ゾーンを交互にするなどができないため、検知領域のパターンが限られていた。また、複雑な構造が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決する本発明の受動型赤外線検知装置の遮光シートは、縦に多分割されたレンズにより検知領域を形成する受動型赤外線検知装置に使用する遮光シートであって、略長方形であり、横方向の1検知ゾーン分の遮光の間隔で上辺から下辺にかけて縦にミシン目または折り曲げラインが入っていることを特徴とする。
【0007】
(2)(1)に記載の遮光シートにおいて、前記ミシン目と前記折り曲げラインが交互に入っていることが好ましい。
【0008】
(3)(1)または(2)に記載の遮光シートにおいて、横方向の1検知ゾーン分ごとに取付用穴を設けていることが好ましい。
【0009】
(4)上記課題を解決する本発明の受動型赤外線検知装置は、(3)に記載の遮光シートを取り付け可能な、縦に多分割されたレンズにより検知領域を形成する受動型赤外線検知装置であって、前記受動型赤外線検知装置の本体の前方に横方向に等間隔で突起部を設け、前記突起部は横方向の1検知ゾーン分ごとに配置し、前記突起部を前記遮光シートの前記取付用穴に入れて取り付ける構造とすることを特徴とする。
【0010】
(5)(4)に記載の受動型赤外線検知装置において、前記縦に多分割されたレンズは、上から見て略扇形状に曲げたものであり、前記突起部を前記受動型赤外線検知装置の本体の前方に上面から見て略扇形状に横方向に等間隔で設けることが好ましい。
【0011】
(6)上記課題を解決する本発明の受動型赤外線検知装置は、(3)に記載の遮光シートを取り付け可能な、縦に多分割されたレンズにより検知領域を形成する受動型赤外線検知装置であって、前記受動型赤外線検知装置のカバーに前記レンズを備え、前記カバーの内側に、上面から見て前記レンズに沿って横方向に等間隔で突起部を設け、前記突起部は横方向の1検知ゾーン分ごとに配置し、前記突起部を前記遮光シートの前記取付用穴に入れて取り付ける構造とすることを特徴とする。
【0012】
(7)上記課題を解決する本発明の受動型赤外線検知装置は、(1)から(3)のいずれかに記載の遮光シートを取り付け可能な、縦に多分割されたレンズにより検知領域を形成する受動型赤外線検知装置であって、前記受動型赤外線検知装置の内部に前記遮光シート用の収納部を設け、前記収納部は、一面を開放した偏平ボックス状の形状であり、前記遮光シートを前記ミシン目または前記折り曲げラインで折り曲げて入る広さであることを特徴とする。
【0013】
(8)(4)から(6)のいずれかに記載の受動型赤外線検知装置において、前記受動型赤外線検知装置の内部に前記遮光シート用の収納部を設け、前記収納部は、一面を開放した偏平ボックス状の形状であり、前記遮光シートを前記ミシン目または前記折り曲げラインで折り曲げて入る広さであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、縦に多分割されたレンズにより検知領域を形成する受動型赤外線検知装置において、簡単な構造であり、ミシン目で切断するとあらゆるパターンの検知領域が容易に設定可能な遮光シート、およびその遮光シートを使用した受動型赤外線検知装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の遮光シートの実施形態を示した図である。
【
図2】本発明の受動型赤外線検知装置の実施形態の検知領域を示した図である。
【
図3】本発明の受動型赤外線検知装置の実施形態の上から見た検知領域を示した図である。
【
図4】本発明の受動型赤外線検知装置の実施形態を示した図である。
【
図5】本発明の受動型赤外線検知装置の実施形態において、遮光シートを用いた例を示した図である。
【
図6】本発明の受動型赤外線検知装置の実施形態において、遮光シートを用いた例を示した図である。
【
図7】本発明の受動型赤外線検知装置の実施形態において、遮光シートを用いた例を示した図である。
【
図8】本発明の受動型赤外線検知装置の実施形態において、遮光シートを用いた例を示した図である。
【
図9】本発明の受動型赤外線検知装置の実施形態において、遮光シートを用いた例を示した図である。
【
図10】本発明の受動型赤外線検知装置の実施形態において、遮光シートの収納構造を示した図である。
【
図11】本発明の受動型赤外線検知装置の実施形態において、カバーに突起部を設けた場合を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を用いて、本発明の遮光シートの実施形態について説明する。
図1(1)は、遮光シート1の全体を示した図である。遮光シート1は、ポリプロピレンやポリカーボネートなどの遠赤外線の透過率が低い材質であり、ミシン目P1~P3、折り曲げラインQ1、Q2、および取り付け用穴11を備えている。ミシン目と折り曲げラインは上辺から下辺にかけて縦に交互に配置しており、その間隔は後述する検知領域の横方向の1検知ゾーン分の遮光の間隔としている。A~Fの横方向はそれぞれ1検知ゾーン分の大きさとし、全体で6検知ゾーンを遮光できる大きさとなる。取付用穴11は横方向の1検知ゾーン分の遮光シートA~Fの上下に対称の位置に配置されている。各ミシン目の上下方向の中央は長穴12とし、切断しやすくしている。
【0017】
図1(2)は、遮光シート10からAをミシン目P1で切り取った状態を示した図である。Aを受動型赤外線検知装置の本体に取り付けることで横方向の1検知ゾーン分を遮光し、検知領域を調整することができる。
【0018】
図1(3)は、遮光シート10からB-Cをミシン目P1とP2で切り取った状態を示した図である。B-Cを受動型赤外線検知装置の本体に取り付けることで横方向の2検知ゾーン分を遮光し、検知領域を調整することができる。
【0019】
図1(4)は、
図1(3)のB-Cを折り曲げラインQ1で折り曲げた状態を示した図である。折り曲げたB-Cを受動型赤外線検知装置の本体に取り付けることで横方向の1検知ゾーン分を遮光し、検知領域を調整することができる。取付用穴11はA~Fにおいて、
図1(4)のように折り曲げたときに重なるようにそれぞれ左右方向の中央または中央付近に位置するよう配置している。
【0020】
図2は本発明の受動型赤外線検知装置の実施形態の検知領域を示した図であり、
図3は本発明の受動型赤外線検知装置の実施形態の上から見た検知領域を示した図である。受動型赤外線検知装置Sは、フレネルレンズ21を備えたカバー20で本体を覆われており、フレネルレンズ21は高密度ポリエチレンなどの遠赤外線の透過率が高い板材を上から見て略扇形状に曲げたものであり、縦方向に13分割、上下に2分割されたレンズ群となっており、それぞれのレンズの焦点位置は略扇形状の中心軸上に位置する。レンズの焦点位置に配置した2つの赤外線検出素子とフレネルレンズ21とで検知ゾーンa~g、a’~g’が形成される。
【0021】
図4は、本発明の受動型赤外線検知装置の実施形態を示した図である。
図4(1)は受動型赤外線検知装置Sのカバー20、
図4(2)は受動型赤外線検知装置Sの本体30を示した図である。カバー20は遠赤外線の透過率が高いフレネルレンズ21を備えており、本体30を覆う構造となっている。本体30には焦電素子などの赤外線検出素子33を備えた人体検知ユニット31と焦電素子などの赤外線検出素子34を備えた人体検知ユニット32とを備えている。赤外線検出素子33の視野は壁35により約90度に制限され、赤外線検出素子34の視野は壁36により約90度に制限されている。
【0022】
赤外線検出素子33を正面から約45度左に傾けて配置し、赤外線検出素子34を正面から約45度右に傾けて配置し、本体30をカバー20で覆うと、赤外線検出素子33とフレネルレンズ21とで
図2と
図3に示す検知ゾーンa~gが形成され、赤外線検出素子34とフレネルレンズ21とで
図2と
図3に示す検知ゾーンa’~g’が形成される。
図2と
図3の各検知ゾーンa~g、a’~g’は、
図4(1)のフレネルレンズ21内の各レンズa~g、a’~g’と対応している。
【0023】
本体30の前方に、カバー20で覆ったときにフレネルレンズ21に沿うように、上面から見て略扇形状に横方向に等間隔で上側に複数の突起部37を設け、下側に複数の突起部38を設けている。
図4(3)のように突起部37は上向きにフック状の形状となっており、
図4(4)のように突起部38は下向きにフック状の形状となっている。
【0024】
突起部37と突起部38とは1個ずつ対になっており、それぞれ横方向の検知ゾーン数と同じ13個設けている。
図1を用いて説明した遮光シート10の取付用穴11を突起部37と突起部38にひっかけて、遮光シート10を本体30に取り付けることができる。遮光シート10は上と下を入れ替えても表と裏を入れ替えても取り付け可能な形状である。
【0025】
横方向の1検知ゾーン分ごとに1個の間隔で突起部37と突起部38とを配置し、
図1の(2)または(4)などの遮光シート10の横方向の1検知ゾーン分と1対の突起部37と突起部38とを用いて、横方向の1検知ゾーン分を遮光し消去することができる。
【0026】
次に
図5~
図9を用いて、受動型赤外線検知装置Sの本体30に遮光シート10を取り付けたときの検知領域の例を説明する。
図5(1)は本体30に遮光シート10を取り付けた状態を示した図であり、
図5(1)(α)は左側面図、
図5(1)(β)は正面斜視図、
図5(1)(γ)は右側面図である。
図5(2)はそのときの検知領域を示した図である。
図5(2)において、実線が稼働している検知ゾーンであり、点線が遮光シート10を本体30に取り付けることにより消去された検知ゾーンである。
【0027】
遮光シート10は
図1(1)の状態のものを2枚使用し、1枚を本体30を正面から見て一番左の突起部37と突起部38から順に取り付けていき、もう1枚を本体30を正面から見て一番右の突起部37と突起部38から順に取り付けていく。突起部37と突起部38はそれぞれ中央の1個のみ遮光シート10が取り付けられていない状態となり、本体30をカバー20で覆うと
図5(2)のように検知ゾーンa(a’)の検知領域となる。
【0028】
図6(1)は本体30に遮光シート10を取り付けた状態を示した図であり、
図6(1)(α)は左側面図、
図6(1)(β)は正面斜視図、
図6(1)(γ)は右側面図である。
図6(2)はそのときの検知領域を示した図である。
図6(2)において、実線が稼働している検知領域であり、点線が遮光シート10を本体30に取り付けることにより消去された検知領域である。
【0029】
遮光シート10は
図1(1)の状態のものを2枚使用し、1枚を本体30を正面から見て一番左の突起部37と突起部38から順に取り付けていき、もう1枚もその続きから順に取り付けていく。突起部37と突起部38はそれぞれ一番右の1個のみ遮光シート10が取り付けられていない状態となり、本体30をカバー20で覆うと
図6(2)のように検知ゾーンg’のみの検知領域となる。
【0030】
図7(1)は本体30に遮光シート10を取り付けた状態を示した図であり、
図7(1)(α)は左側面図、
図7(1)(β)は正面斜視図、
図7(1)(γ)は右側面図である。
図7(2)はそのときの検知領域を示した図である。
図7(2)において、実線が稼働している検知領域であり、点線が遮光シート10を本体30に取り付けることにより消去された検知領域である。
【0031】
遮光シート10は
図1(1)の状態のものから、ミシン目P1で切り取ったA(
図1(2)の状態)とミシン目P1とP2で切り取ったB-C(
図1(3)の状態)を使用する。Aを本体30を正面から見て一番右の突起部37と突起部38に取り付け、B-Cを本体30を正面から見て一番左と2番目の突起部37と突起部38に取り付ける。本体30をカバー20で覆うと
図7(2)のように検知ゾーンa~e、a’~f’の検知領域となる。
【0032】
図8(1)は本体30に遮光シート10を取り付けた状態を示した図であり、
図8(1)(α)は左側面図、
図8(1)(β)は正面斜視図、
図8(1)(γ)は右側面図である。
図8(2)はそのときの検知領域を示した図である。
図8(2)において、実線が稼働している検知領域であり、点線が遮光シート10を本体30に取り付けることにより消去された検知領域である。
【0033】
遮光シート10は
図1(1)の状態のものを2枚使用し、両方ともミシン目P1とP2とP3で切断し、A、B-C、D-E、Fの4つに分ける。1枚目のAを検知ゾーンa(a’)に該当する突起部37と突起部38に取り付け、1枚目のB-CをQ1で折り曲げて
図1(4)の状態にし、検知ゾーンcに該当する突起部37と突起部38に取り付け、1枚目のD-EをQ2で折り曲げて
図1(4)と同様の状態にし、検知ゾーンeに該当する突起部37と突起部38に取り付け、1枚目のFを検知ゾーンgに該当する突起部37と突起部38に取り付け、2枚目のAを検知ゾーンc’に該当する突起部37と突起部38に取り付け、2枚目のB-CをQ1で折り曲げて検知ゾーンe’ に該当する突起部37と突起部38に取り付け、2枚目のFを検知ゾーンg’ に該当する突起部37と突起部38に取り付ける。本体30をカバー20で覆うと
図8(2)のように検知ゾーンb、d、f、b’、d’、f’の検知領域となる。
【0034】
図9(1)は本体30に遮光シート10を取り付けた状態を示した図であり、
図9(1)(α)は左側面図、
図9(1)(β)は正面斜視図、
図9(1)(γ)は右側面図である。
図9(2)はそのときの検知領域を示した図である。
図9(2)において、実線が稼働している検知領域であり、点線が遮光シート10を本体30に取り付けることにより消去された検知領域である。
【0035】
遮光シート10は
図1(1)の状態のものを2枚使用し、両方ともミシン目P1とP2で切断し、AとB-CとD-E-Fの3つに分ける。1枚目のAを検知ゾーンa(a’)に該当する突起部37と突起部38に取り付け、1枚目のB-CをQ1で折り曲げて
図1(4)の状態にし、検知ゾーンcに該当する突起部37と突起部38に取り付け、1枚目のD-E-Fを検知ゾーンe~gに該当する突起部37と突起部38に取り付け、2枚目のAを検知ゾーンc’に該当する突起部37と突起部38に取り付け、2枚目のB-Cを検知ゾーンf’、g’ に該当する突起部37と突起部38に取り付ける。本体30をカバー20で覆うと
図9(2)のように検知ゾーンb、d、b’、d’、e’の検知領域となる。
【0036】
遮光シート10をミシン目で切断したり、折り曲げラインで折ったりして組み合わせることにより、
図5~
図9以外の検知領域のパターンの設定もでき、あらゆるパターンの検知領域の設定ができる。
【0037】
図10は、本発明の受動型赤外線検知装置の実施形態における使用しない遮光シートの収納構造を示した図である。遮光シート用の収納部22は一面を開放した偏平ボックス状の形状であり、赤外線検知素子とフレネルレンズとの間ではなく、カバー20の側面の内側に設け、本体30をカバー20で覆うと受動型赤外線検知装置の内部になるようになっている。
【0038】
収納部22のスペースは、遮光シート10をミシン目または折り曲げラインで折り曲げて入る広さであり、縦と横の長さは
図1(3)と同等としている。本体側になる一面を開放し、真ん中に指かけ部23を設け、遮光シート10を取り出しやすくしている。遮光シート10を折り曲げラインで折り曲げて収納すると指かけ部23に長穴12が来るため、長穴12に爪を引っかけてさらに取り出しやすくなる。遮光シートは折り曲げて収納するため、摩擦力により収納部22にとどまりやすくなる。
【0039】
本発明の実施形態では、特許文献1のように中をくりぬく構造の遮光シートや、特許文献2のように遮光部材をスライドさせる複雑な機構が不要であり、簡単な構造であるミシン目と折り曲げラインが入った略長方形の遮光シートを用いるだけで検知領域の設定が可能である。
【0040】
また、特許文献1、特許文献2とは異なり、遮光シートをミシン目で切断したり、折り曲げラインで折ったりして組み合わせることにより、あらゆるパターンの検知領域の設定が可能である。また、一度だけの設定でなく繰り返し検知領域の設定変更が可能であり、容易に複数のパターンの検知領域を試したり、設置環境の変化や設置場所の変更に対応して検知領域を変更したりすることができ、検知領域を適切に設定することができる。
【0041】
また、特許文献1のようにカバーの内側へ遮光シートを取り付けるのでなく、本体に取り付けるため取り付けやすい。また、赤外線検出素子と遮光シートとの位置関係が本体のみで確認でき、どこの検知ゾーンを削除することができるかを視認しやすい。
【0042】
また、受動型赤外線検知装置に遮光シート用の収納部を設けたため、遮光シートを使用しない場合や一部しか使用しない場合に使用していない遮光シートを収納することができ、遮光シートの紛失などがなくなり、受動型赤外線検知装置を設置後に検知領域の変更が必要になったときにすぐに遮光シートを使用することができる。また、受動型赤外線検知装置の内部に遮光シート用の収納部を配置しているため、本体をカバーで覆っている運用時に遮光シートを取り出せないようになっており、セキュリティ性が高い。
【0043】
前述した実施形態では、各検知ゾーンを水平としたが、斜め下向きなどでもよく、上下方向の角度は特に限定しない。また、遮光シートを使用しないときの検知領域は180度としたが、90度でもよく、特に角度は限定しない。
【0044】
また、水平に2個の赤外線検出素子としたが、1個でも3個でもよく、特に個数は限定しない。また、垂直方向においても赤外線検出素子を1個としたが複数個でもよく、特に個数は限定しない。また、検知ゾーンを水平と同様に垂直方向に複数個設けてもよい。
【0045】
また、人体検知ユニットにおいて、赤外線検出素子の視野を約90度に制限したが、特に角度は限定せず、約70度としても約110度としてもよい。また、人体検知ユニットを固定していたが、左右方向に角度を変更できるようにしてもよい。また、
図4(1)のフレネルレンズ21において、h~m、h’~m’のレンズも使用して検知ゾーンを構成してもよい。また、検知ゾーンの数、本体の突起部の数も限定しない。
【0046】
また、遮光シートの縦方向は2検知ゾーン分としたが、1検知ゾーン分とし2段で使用してもよく、複数の検知ゾーンが縦にあれば、すべての検知ゾーンが隠れる大きさとしてもよい。また、遮光シート1枚で横方向に6検知ゾーン分としたが、対応する検知ゾーンの数は限定せず、13検知ゾーン分とし遮光シート1枚を受動型赤外線検知装置1台に使用してもよい。また、遮光シート1枚で対応する検知ゾーンの数は、1個の人体検知ユニットの横方向の検知ゾーンの数と同じか1つ少なくしたり、受動型赤外線検知装置1台の検知ゾーンの数と同じか1つ少なくしたりしてもよく、受動型赤外線検知装置の検知ゾーンの数に応じて決定すればよい。また、受動型赤外線検知装置1台に使用する遮光シートの枚数や対応する検知ゾーンの数は、使い勝手によって決定すればよく限定しない。
【0047】
また、遮光シートは横方向の1検知ゾーン分ごとの取付用穴を2ヶ所としたが、1ヶ所または3ヶ所以上としてもよい。また、長穴をミシン目の中央に1ヶ所としたが、場所は中央に限らず、数も複数配置してもよい。
【0048】
また、遮光シート用の収納部をカバーの側面に配置したが、カバー上面または下面の内側でも、本体の上面、下面、または側面でもよく、受動型赤外線検知装置の内部で赤外線検出素子とフレネルレンズとの間を遮光しない場所であればどこに配置してもよい。また、収納部の縦と横の長さを
図1(3)と同等としたが、遮光シートの大きさや折り曲げ箇所に応じた大きさでよく、収納部の広さは限定しない。
【0049】
また、突起部は横方向の1検知ゾーン分ごとに2ヶ所としたが、1ヶ所または3ヶ所以上としてもよく、遮光シートの取付用穴の数に対応していればよい。
【0050】
また、フレネルレンズの曲げと突起部の配置とを同心円弧状としてもよい。また、フレネルレンズを略扇形状に曲げたが、曲げなくてもよく、楕円弧状などに曲げてもよく、形状は特に限定しない。突起部の配置も略扇形状に横方向に等間隔としたが、楕円弧状でも直線でもよく、また、突起部を本体でなくカバーに設けてもよく、フレネルレンズと赤外線検出素子との位置関係に対応していれば形状は特に限定しない。
【0051】
カバーに突起部を設けた場合を
図11を用いて説明する。
図11はカバーを内側から見た状態を示している。
図2と同様にカバー20はフレネルレンズ21を備え、フレネルレンズ21は高密度ポリエチレンなどの遠赤外線の透過率が高い板材を上から見て略扇形状に曲げたものであり、縦方向に13分割、上下に2分割されたレンズ群となっており、それぞれのレンズの焦点位置は略扇形状の中心軸上に位置する。
【0052】
カバー20の内側に、上面から見てフレネルレンズ21に沿って略扇形状に横方向に等間隔で上側に複数の突起部24を設け、下側に複数の突起部25を設けている。
図4と同様、
図11(2)のように突起部24は上向きにフック状の形状となっており、
図11(
3)のように突起部25は下向きにフック状の形状となっている。
【0053】
突起部24と突起部25とは1個ずつ対になっており、それぞれ横方向の検知ゾーン数と同じ13個設けている。
図1を用いて説明した遮光シート10の取付用穴11を突起部24と突起部25にひっかけて、遮光シート10を本体30に取り付けることができる。遮光シート10は上と下を入れ替えても表と裏を入れ替えても取り付け可能な形状である。
【0054】
横方向の1検知ゾーン分ごとに1個の間隔で突起部24と突起部25とを配置し、
図1の(2)または(4)などの遮光シート10の横方向の1検知ゾーン分と1対の突起部24と突起部25とを用いて、横方向の1検知ゾーン分を遮光し消去することができる。
【0055】
図11のようにカバーに突起部を設けた場合でも、
図4のように本体に突起部を設けた場合と同様に、
図1の遮光シート10をミシン目で切断したり、折り曲げラインで折ったりして組み合わせることにより、あらゆるパターンの検知領域の設定が可能である。
【0056】
また、カバーに突起部を設けると、レンズに合わせて遮光シートを取り付けるので、どのレンズを遮光しているのかを認識しやすい。
【0057】
以上、本発明の実施形態を説明したが、前述の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲は、これに限定するものではなく、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
10・・・遮光シート
11・・・取付用穴
12・・・長穴
20・・・カバー
21・・・フレネルレンズ
22・・・収納部
23・・・指かけ部
24,25・・・突起部
30・・・本体
31,32・・・人体検知ユニット
33,34・・・赤外線検出素子
35,36・・・壁
37,38・・・突起部
P1,P2,P3・・・ミシン目
Q1,Q2・・・折り曲げライン
S・・・受動型赤外線検知装置