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特許7350285無線網複数経路通信運用システム、及び無線網複数経路通信運用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】無線網複数経路通信運用システム、及び無線網複数経路通信運用方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/34 20090101AFI20230919BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20230919BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20230919BHJP
   H04W 24/04 20090101ALI20230919BHJP
【FI】
H04W40/34
H04W4/38
H04W84/18
H04W24/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019069426
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020167647
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-02-17
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「次世代農林水産業創造技術」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301022471
【氏名又は名称】国立研究開発法人情報通信研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】児島 史秀
【審査官】伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-171543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収集制御局と、前記収集制御局を根として2以上に亘り配置されたノードと、を含む複数の中継デバイス及び非中継デバイスで接続されるデバイス間におけるデータの送受信を行うツリー型ネットワークにおける無線網複数経路通信運用システムであって、
前記非中継デバイスにおける前記データ中継を判別し、前記データのデータフレームの種別を示す識別子を付記し、前記データフレームの種別を示す識別子を付記したデータを前記中継デバイスに送信する識別子付記手段と、
前記非中継デバイスにおけるデータの中継の可否を判別し、前記中継が不可能な場合は非中継を示す識別子を当該データフレームに付記したデータを前記中継デバイスに送信し、
前記中継デバイスが前記非中継を示す識別子を受信した場合に、前記非中継を示す識別子に基づき前記データを送受信するための複数の経路を前記非中継デバイスが中継しない中継デバイスの経路に切り替える経路切替手段と、
前記経路切替手段を実現するための、ネットワークに1以上のデバイスを非中継デバイスとして設定する設定手段と、
前記設定された非中継デバイスを中継しない前記中継デバイスを介した経路により前記データの送受信を行う送受信手段と、
を備えること
を特徴とする無線網複数経路通信運用システム。
【請求項2】
前記識別子は、前記データが送受信される複数の経路に関する経路情報、及び前記データに関する種別情報を少なくとも含むこと
を特徴とする請求項1記載の無線網複数経路通信運用システム。
【請求項3】
前記設定手段は、前記識別子に基づき1以上の前記デバイスを、複数のデバイス間で前記データの送受信を行う中継デバイス、又は前記非中継デバイスとすること
を特徴とする請求項1又は2記載の無線網複数経路通信運用システム。
【請求項4】
前記送受信手段は、前記非中継デバイス内で取得したデータを、前記ネットワーク内の通過点から一つ前に配置されるデバイスに送信し、又は前記通過点から一つ前に配置されるデバイスからのデータを、前記通過点から一つ後に配置されるデバイスに送信すること
を特徴とする請求項1~3の何れか1項記載の無線網複数経路通信運用システム。
【請求項5】
前記送受信手段は、前記識別子のうち経路情報を示す識別子に基づいて、前記中継デバイスの周囲のノードに配置される複数のデバイスに対して、非中継デバイスであることを通知すること
を特徴とする請求項3記載の無線網複数経路通信運用システム。
【請求項6】
収集制御局と、前記収集制御局を根として2以上に亘り配置されたノードと、を含む複数の中継デバイス及び非中継デバイスで接続されるデバイス間におけるデータの送受信を行うツリー型ネットワークにおける無線網複数経路通信運用方法であって、
前記非中継デバイスにおける前記データ中継を判別し、前記データのデータフレームの種別を示す識別子を付記し、前記データフレームの種別を示す識別子を付記したデータを前記中継デバイスに送信する識別子付記ステップと、
前記非中継デバイスにおけるデータの中継の可否を判別し、前記中継が不可能な場合は非中継を示す識別子を当該データフレームに付記したデータを前記中継デバイスに送信し、
前記中継デバイスが前記非中継を示す識別子を受信した場合に、前記非中継を示す識別子に基づき前記データを送受信するための複数の経路を前記非中継デバイスが中継しない中継デバイスの経路に切り替える経路切替ステップと、
前記経路切替ステップを実現するための、ネットワークに1以上のデバイスを非中継デバイスとして設定する設定ステップと、
前記設定された非中継デバイスを中継しない前記中継デバイスを介した経路により前記データの送受信を行う送受信ステップと、
を有すること
を特徴とする無線網複数経路通信運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収集制御局と、収集制御局を根として2以上に亘り配置されたノードと、を含む複数のデバイス間におけるデータの送受信を行うツリー型ネットワークにおける無線網複数経路通信運用システム、及び無線網複数経路通信運用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ワイヤレスネットワークにおいて、小型で安価であり、かつ低出力のデジタル無線通信を行うことのできる、IEEE802.15.4の規格に準拠する通信デバイスが用いられている。IEEE802.15.4の規格に準拠するネットワークでは、例えば図5に示すように、収集制御局であるCS(Collection station)71と、1つ以上のノード72(図6ではノード72-1~72-4)とを含む複数のデバイスにより構成されたツリー型のトポロジが採用されている。ツリー型トポロジでは、より下位のノード72が、より上位のノード72やCS71に向けて、必要に応じてデータを伝送することが行われている(例えば、特許文献1~3参照。)。
【0003】
図6は、下位のノード72-3、72-4からのデータをCS71へ送信する場合におけるタイムチャートの例を示している。CS71及び各ノード72は、それぞれ基本間隔T(単位:時間t)内においてアクティブ期間(通信期間T1(単位:時間t))と、スリープ期間T2(単位:時間t)とを含むスーパーフレーム構造が割り当てられている。通信期間T1においては、無線通信を行うことが可能となり、スリープ期間T2においては、受信側がスリープ状態に移行することで、無線通信を行うことができなくなる。あえて基本間隔T内においてスリープ期間T2を設けることにより消費電力を節減することができ、ひいてはシステム全体の使用電力を抑えること可能となる。
【0004】
例えばノード72-3からCS71に向けてデータを送信する場合には、ノード72-3からノード72-1を介してCS71に送信される経路となる。かかる場合には、ノード72-3とこれよりも上位にあるノード72-1との間では、上位のノード72-1がマスター、下位のノード72-3がスレーブの関係となる。同様に、ノード72-1とCS71との間では、上位のノードとしてのCS71がマスター、下位のノード72-1がスレーブの関係となる。このようなマスターとスレーブとの関係において、より上位のマスターが基本間隔Tにおける通信期間T1のタイミングを決定し、より下位のスレーブが、このマスター側において決定された通信期間T1のタイミングに合わせてデータを送信する。
【0005】
このような規則の下で、図6において先ずノード72-3は、タイミングt91において生成したデータD81を、タイミングt92において開始するマスターとしてのノード72-1の通信期間T1に合わせて送信する。このデータD81を受信したノード72-1は、タイミングt93において開始するマスターとしてのCS71の通信期間T1に合わせて当該データD81を送信する。これによりCS71は、このデータD81を自ら設定した通信期間T1内において受信することが可能となる。
【0006】
同様に、ノード72-4からCS71に向けてデータを送信する場合には、ノード72-4からノード72-1を中継させてCS71の経路となる。ノード72-4は、タイミングt94において生成したデータD82を、タイミングt95において開始するマスターとしてのノード72-1の通信期間T1に合わせて送信する。このデータD82を受信したノード72-1は、タイミングt96において開始するマスターとしてのCS71の通信期間T1に合わせて当該データD82を送信する。これによりCS71は、このデータD82を自ら設定した通信期間T1内において受信することが可能となる。
【0007】
CS71は、上述した無線通信の処理動作方法に基づいて、ツリー型ネットワークにおける各ノード72からのデータを全て収集することが可能となる。
【0008】
上記のような無線通信技術は、IoT時代において様々な分野で注目を集めている。例えば農業分野では、上記技術を用いることで、水管理業務の効率向上等が期待されている。農場等の広大なサービスエリアを確保するために、SUN(Smart Utility Network)システムで活用されている無線電波を多段中継するマルチホップ通信は、本分野への適用形態として重要な技術のひとつである。
【0009】
SUNは、ガス、水道、電気メータ等の検針データの収集を、それぞれのメータに取り付けられた無線機による無線通信を介して、効率的に行う技術である。例えば戸建て、又は集合住宅の各戸に上記無線通信型のメータが取り付けられ、それぞれの無線機から送信された検針データが、SUNサービスエリア内で収集制御局(CS71)に集約される。
【0010】
SUNの効用として、例えば従来の検針作業コストの軽減が考えられるが、自動化によって取りこぼしのない確実な検針プロセスが遂行されること、治安上の改善効果をもたらすこと等の効果も注目されている。さらには、SUNを双方向通信インフラとして活用することにより、消費量マネージメント等の付加的サービスを含む、より汎用的なネットワークマネジメントを支える手段として機能することも期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2015-198333号公報
【文献】特開2014-23085号公報
【文献】特開2014-103580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ここで、上述した特許文献1~3を含む従来のツリー型トポロジでは、マルチホップ通信網内で同一の周波数チャネルを用いる。このため、各ノード72間で送受信される各データの衝突による周波数利用効率の低下が懸念として挙げられている。
【0013】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、ノード間で送受信される各データの衝突を回避し、周波数利用効率の低下を防ぐことができる無線網複数経路通信運用システム、及び無線網複数経路通信運用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上述した問題点を解決するために、収集制御局と、前記収集制御局を根として2以上に亘り配置されたノードと、を含む複数のデバイス間におけるデータの送受信を行うツリー型ネットワークにおける無線網複数経路通信運用システムであって、識別子付記手段は、前記データのデータフレームに、前記データフレームの種別を示す識別子を付記する。経路切替手段は、前記識別子付記手段により付記された前記識別子に応じて、前記データを送受信するための複数の経路を切り替える。設定手段は、前記経路切替手段を実現するための、ネットワークに1以上のデバイスを非中継デバイスして設定する。
【0015】
請求項1に記載の無線網複数経路通信運用システムは、収集制御局と、前記収集制御局を根として2以上に亘り配置されたノードと、を含む複数の中継デバイス及び非中継デバイスで接続されるデバイス間におけるデータの送受信を行うツリー型ネットワークにおける無線網複数経路通信運用システムであって、前記非中継デバイスにおける前記データ中継を判別し、前記データのデータフレームの種別を示す識別子を付記し、前記データフレームの種別を示す識別子を付記したデータを前記中継デバイスに送信する識別子付記手段と、前記非中継デバイスにおけるデータの中継の可否を判別し、前記中継が不可能な場合は非中継を示す識別子を当該データフレームに付記したデータを前記中継デバイスに送信し、前記中継デバイスが前記非中継を示す識別子を受信した場合に、前記非中継を示す識別子に基づき前記データを送受信するための複数の経路を前記非中継デバイスが中継しない中継デバイスの経路に切り替える経路切替手段と、前記経路切替手段を実現するための、ネットワークに1以上のデバイスを非中継デバイスとして設定する設定手段と、前記設定された非中継デバイスを中継しない前記中継デバイスを介した経路により前記データの送受信を行う送受信手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の無線網複数経路通信運用システムは、請求項1記載の発明において、前記識別子は、前記データが送受信される複数の経路に関する経路情報、及び前記データに関する種別情報を少なくとも含むことを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の無線網複数経路通信運用システムは、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記設定手段は、前記識別子に基づき1以上の前記デバイスを、複数のデバイス間で前記データの送受信を行う中継デバイス、又は前記非中継デバイスとすることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の無線網複数経路通信運用システムは、請求項1~3の何れかの1項記載の発明において、前記送受信手段は、前記非中継デバイス内で取得したデータを、前記ネットワーク内の通過点から一つ前に配置されるデバイスに送信し,又は前記通過点から一つ前に配置されるデバイスからのデータを、前記通過点から一つ後に配置されるデバイスに送信することを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の無線網複数経路通信運用システムは、請求項3記載の発明において、前記送受信手段は、前記識別子のうち経路情報を示す識別子に基づいて、前記中継デバイスの周囲のノードに配置される複数のデバイスに対して、非中継デバイスであることを通知することを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の無線網複数経路通信運用方法は、収集制御局と、前記収集制御局を根として2以上に亘り配置されたノードと、を含む複数の中継デバイス及び非中継デバイスで接続されるデバイス間におけるデータの送受信を行うツリー型ネットワークにおける無線網複数経路通信運用方法であって、前記非中継デバイスにおける前記データ中継を判別し、前記データのデータフレームの種別を示す識別子を付記し、前記データフレームの種別を示す識別子を付記したデータを前記中継デバイスに送信する識別子付記ステップと、前記非中継デバイスにおけるデータの中継の可否を判別し、前記中継が不可能な場合は非中継を示す識別子を当該データフレームに付記したデータを前記中継デバイスに送信し、前記中継デバイスが前記非中継を示す識別子を受信した場合に、前記非中継を示す識別子に基づき前記データを送受信するための複数の経路を前記非中継デバイスが中継しない中継デバイスの経路に切り替える経路切替ステップと、前記経路切替ステップを実現するための、ネットワークに1以上のデバイスを非中継デバイスとして設定する設定ステップと、前記設定された非中継デバイスを中継しない前記中継デバイスを介した経路により前記データの送受信を行う送受信ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
第1発明~第5発明によれば、識別子付記手段は、複数のデバイス間で送受信されるデータのデータフレームに、データの種別を示す識別子を付記する。経路切替手段は、識別子付記手段により付記された前記識別子に応じて、データを送受信するための複数の経路を切り替える。このため、データのデータフレームに付記された識別子に応じて、データが送受信される無線網構造内の複数の経路を切り替え、データの送受信を行うことができる。また、データフレームに付記された識別子を判別し、各デバイス間においてデータを送受信することができる。これにより、各データの識別子に応じて通信方向の経路を複数経路に切り替えることができ、送受信する各データの衝突を回避し、周波数利用効率の低下を防ぐことが可能となる。
【0022】
特に、第2発明によれば、識別子は、データが送受信される複数の経路に関する経路情報、又は前記データに関する種別情報である。このため、複数のデバイス間において、自デバイスの状態に適した識別子を設定することができる。これにより、ノード間で送受信される各データの衝突を回避し、周波数利用効率の低下を防ぐことが可能となる。
【0023】
特に、第3発明によれば、設定手段は、設定手段は、識別子に基づき1以上のデバイスを、複数のデバイス間でデータの送受信を行う中継デバイス、又は非中継デバイスとすることができる。このため、データの送受信を行う中継デバイスを増やす、又は非中継デバイスを増やすことができる。これにより、ノード間で送受信される各データの衝突を回避し、周波数利用効率の低下を防ぐことが可能となる。
【0024】
特に、第4発明によれば、送受信手段は、非中継デバイス内で取得したデータを、ネットワーク内の通過点から一つ前に配置されるデバイスに送信し、又は通過点から一つ前に配置されるデバイスからのデータを、通過点から一つ後に配置されるデバイスに送信する。このため、自デバイスで取得したデータを上位のノードに配置されるデバイスに送信し、自デバイスより下位のノードに配置されるデバイスからのデータの中継を他のデバイスに回避させることができる。これにより、ノード間で送受信される各データの経路を一方向とすることで衝突を回避し、周波数利用効率の低下を防ぐことが可能となる。
【0025】
特に、第5発明によれば、送受信手段は、識別子に応じて、中継デバイスの周囲のノードに配置される複数のデバイスに対して、非中継デバイスであることを通知する。このため、周囲のデバイスは、どのノードに非中継デバイスが存在するか確認できる。これにより、ノード間で送受信される各データの経路を一方向とすることで衝突を回避し、周波数利用効率の低下を防ぐことが可能となる。
【0026】
第6発明によれば、識別子付ステップは、複数のデバイス間で送受信されるデータのデータフレームに、データフレームの種別を示す識別子を付記する。送受信ステップは、設定ステップにより設定された前記非中継デバイスを中継しない他の経路により前記データの送受信を行う。このため、データフレームに付記された識別子を判別し、各デバイス間においてデータを送受信することができる。これにより、各データの識別子に応じて通信方向の経路を複数経路に切り替えることができ、送受信する各データの衝突を回避し、周波数利用効率の低下を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明が適用される無線網複数経路通信運用システムの例を示す模式図である。
図2図2は、データフレームに設定される識別子のデータテーブルの例を示す図である。
図3図3は、一のノードを非中継デバイスとして割り当てた場合におけるデータ通信の一例を示す模式図である。
図4図4は、本実施形態における非中継デバイスの送受信手段の送受信の一例を示すタイミングチャートである。
図5図5は、IEEE802.15.4の規格に準拠するネットワークの例を示す図である。
図6図6は、従来技術について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態としての無線網複数経路通信運用システム1について詳細に説明する。図1は、本実施形態の無線網複数経路通信運用システム1の例を示す模式図である。無線網複数経路通信運用システム1は、収集制御局(Collection Station:以下CSという。)2と、CS2を根として2以上に亘り配置された無線端末のノード3(3-1、3-2、・・・3-n(nは整数))とを含む複数のデバイスを備え、いわゆるツリー型のトポロジ(ツリー型ネットワーク)が採用されている。この無線網複数経路通信運用システム1では、より下位のノード3が、より上位のノード3やCS2に向けて上りデータ通信を行う。また無線網複数経路通信運用システム1では、より上位のノード3やCS2が、より下位のノード3に向けて下りデータ通信する。
【0029】
CS2は、最上位のマスターデバイスであり、各ノード3から上りデータ通信により送信されてくるデータを収集する。また、CS2は、この無線網複数経路通信運用システム1全体を制御するための中央制御部としての役割も担い、ある特定のノード3に対して制御系のデータを下りデータ通信する。
【0030】
ノード3は、データの発信や中継等を始めとしたデータの送受信を行うことが可能なデバイスの総称であり、例えばIEEE802.15.4の規格に準拠する通信デバイスである。ノード3は、所定のデータをセンシングしてこれを無線により送信するセンサとして具現化されるほか、例えば携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末、ノート型のパーソナルコンピュータ(PC)等のような無線通信が可能な端末装置として具現化されてもよい。またこのノード3はアクチュエータのような制御系を含むものでもよい。かかる場合には、例えば農業等の分野において、バルブを停止する制御を行ったり、ロボットの制御を行ったり、ガスを停止するための制御を行うことを可能とするデバイスとして具現化される。ノード3が制御系を含むアクチュエータ等として具現化されるものであれば、CS2から他のノード3を介して下りデータ通信されてくる制御用のデータに基づき、各種制御動作を実行していくこととなる。
【0031】
本実施形態においては、図1に示す無線網複数経路通信運用システム1において、CS2の下に複数のノード3(図1ではノード3-1、3-2、3-3、3-4、3-5)が配置されている場合を例にとり説明をする。なお、CS2の下位リンクに配置されるノード3は、CS2にデータを収集させるものであれば、いかなる枝分かれのパターンで構成されるツリー構造とされてもよく、また1以上のいかなる数のノード3で構成されてもよい。
【0032】
図1に示す無線網複数方向通信システム1では、複数のノード3間では、各々のノードの間でデータを送受信するための複数の経路が存在する。各ノードの複数の経路では、例えばCS2への上りデータ通信と、CS2からノード3への下りデータ通信を行う経路があり、送受信されるデータは、各々の中継デバイスの複数の経路を介して中継される。
【0033】
中継デバイスは、例えば各ノードからCS2への上りデータ通信を行う複数の経路、並びにCS2から各ノードへの下りデータ通信を行う複数の経路をそれぞれ中継する。非中継デバイスは、例えば自らデータの中継が困難と判断されれば、自らのデータフレームに非中継を示す識別子を付記し、ネットワーク間の他のデバイスに通知する。通知された他のデバイスは、非中継デバイスのデータフレームに付記された非中継を示す識別子に基づいて、複数の経路を、非中継デバイスを中継しない経路に切り替え、他の中継デバイスを介して上りデータ通信及び下りデータ通信を行う。
【0034】
図2に、ノード3のデータフレームに設定される識別子のデータテーブルの例を示す。データフレームに付記される識別子は、例えば図2に示すようなデータテーブルに登録される。データテーブルは、各デバイスに予め記憶されており、CS2または管理者の設定に応じて、適宜に登録、及び更新がされてもよい。データフレームに付記する識別子として、例えば各々のノード間で接続される複数の経路情報(経路1:「aaa」、経路2:「bbb」)に関する情報の他、例えばデータサイズ(nn1~nn2:「001」、nn3~nn4:「002」等、nnは数値であり、nn1~nn2<nn3~nn4とする)のデータの種別に関する情報であってもよい。
【0035】
中継デバイスとして設定されるデバイスは、上述の通り、各ノードからCS2への上りデータ通信を行う複数の経路、並びにCS2から各ノードへの下りデータ通信を行う複数の経路において送受信されるデータを中継する。これに対して、非中継デバイスとして設定されるデバイスは、例えば自らデータの中継状況に基づいて中継の可否を判断し、その判断結果に基づいてデータの中継が不可能と判断した場合には、非中継を示す識別子を当該データフレームに付記し、送受信するデータの経路を切り替える。
【0036】
非中継デバイスは、自デバイスを非中継デバイスとしても、例えばCS2から送信される制御系データ等であれば、容量の大きいデータの送受信は中継しない経路を識別子として付記するとともに、容量の小さい制御系のデータであれば、下位ノードに送信する経路を選択し、データフレームの識別子として付記するようにしてもよい。
【0037】
非中継デバイス(ノード3-3)のデータフレームに付記された識別子は、例えば各々の各ノードにおける通信開始のタイミングに合わせて送信されるようにしてもよい。識別子が付記されたデータフレームを受信したデバイスは、データフレームに付記される識別子に基づいて、受信元のデバイスとデータの中継、又は非中継の設定が行われる。非中継デバイスの設定は、データテーブルで設定される識別子「経路情報」は、例えばノード3のデバイスにおけるデータの送受信の複数の経路の種別が設定される。
【0038】
データフレームに付記される識別子は、例えばノード3の各々のデバイスにおいて複数に設定される。識別子「経路情報」は、中継デバイスを非中継デバイスとして設定する場合は、上り方向のデータ通信を示す識別子「経路1:aaa(上りのデータ通信)」がデータフレームの識別子として付記される。また、下り方向のデータ通信としたい場合には、識別子「経路情報」は、例えば「経路2:bbb(下りのデータ通信)」がデータフレームの識別子として付記される。
【0039】
これにより、例えば、複数のノード3及び複数のデバイス間では、例えばノード3-3におけるデータの送受信の経路を複数に切り替えることが可能であり、データの送受信される方向を上り方向、又は下り方向の一方向として切り替えることが可能となる。これにより、ノード3-3におけるデバイスでは、複数ノード間におけるデータの送受信の経路を切り替え、データの衝突を回避することができる。
【0040】
なお、データフレームに付記される識別子「データサイズ」は、例えば各々のノード3にデバイス間で送受信されるデータ量、又は送受信データの集中の度合い等により、データが送受信される複数の経路を、データ送受信の容量が多い場合に複数の経路のうち、データの送受信の容量やトラヒックなどが少ないノードのデバイス(中継デバイス)を含む経路に変換するようにしてもよい。
【0041】
データフレームに付記される識別子「データサイズ」は、例えばノード3-3におけるデバイスで送受信されるデータ量に応じて設定されるようにしてもよい。識別子「データサイズ」は、例えば「001:nn1~nn2」、「002:nn3~nn4」として、データフレームに付記される。
【0042】
次に、図3に、ノード3-3のデバイスを非中継デバイスとして識別子を付記した場合におけるデータ通信の一例を示す。図3は、図2のデータテーブルで設定される識別子が、ノード3-3に配置されるデバイスのデータフレームに付記された例である。ノード3-3のデバイスは、データフレームに付記された識別子により、非中継デバイスとして動作する。この識別子によりノード3-3と接続する他のデバイスは、ノード3-3のデータフレームに付記された識別子が、ノード3-3に接続される他の中継デバイスに送信されることで、上りデータ通信又は下りデータ通信の複数の経路を、ノード3-3を非中継デバイスとする経路に切り替えて、他のデバイスとのデータの送受信を行う。
【0043】
図3に示す例では、ノード3-3に配置されるデバイスには、複数の経路(例えば経路1~5)が設定されているものとする。ノード3-3の上り方向(経路1)では、ノード3-3におけるデータフレームの識別子として、例えば「経路1(aaa)」が記載される。この場合は、自デバイスで取得したデータのみをノード3-1(経路1)に送信し、例えばノード3-4(経路5)に配置される各デバイスからのデータは受信しない。そのため、ノード3-4に配置される各デバイスは、データの送信の経路を、それぞれノード3-1(経路5→経路6)に切り替えて送信する。これにより、ノード3-3におけるデバイスでは、複数のノード間におけるデータの衝突を回避することができる。これにより、例えば同一ネットワーク内で一方向のメッシュ(図2では、上りデータ通信)の方向において、他のメッシュとは異なる経路の選択が実現できる。
【0044】
(実施形態:無線網複数方向通信システム1の動作)
次に、本実施形態における無線網複数方向通信システム1の動作の一例について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態における無線網複数方向通信システム1におけるタイミングチャートの一例を示す。
【0045】
図4に示する無線網複数方向通信システム1におけるタイミングチャートの一例では、無線網複数方向通信システム1は、識別子付記手段S110と、経路切替手段S120と、設定手段S130、送受信手段S140とを備える。以下の説明では、ノード3-3の上位の経路に配置される経路のデバイスとして、ノード3-1及びCS2として説明する。また、ノード3-3の下位の経路に配置される下位デバイスとして、ノード3-4として説明する。ここで、ノード3-3は非中継デバイスとしてデータフレームに識別子が付与され、ノード3-1及びノード3-4との通信要求時に送信される。
【0046】
無線網複数方向通信システム1の動作は、上述の図3に示すように、例えばCS2の下位のノードに配置される複数のデバイス(ノード3-1、ノード3-2、ノード3-3、ノード3-4、ノード3-5)間で行われる。複数のデバイス、例えば通常は各々が中継デバイスとして動作するが、ある任意のデバイスが非中継デバイスとして動作する。非中継デバイスをノード3-3とする場合、ノード3-3のデバイスは、自らのデータ中継を判別し、図2に設定されるデータテーブルを参照し、データフレームに識別子を付記する。
【0047】
<識別子付記ステップS110>
識別子付記ステップS110では、データのデータフレームに、データフレームの種別を示す識別子を付記する(識別子付記ステップS110)。識別子付記ステップS110ではデータフレームには、ノード3-3におけるデータフレームに識別子を付記する。識別子付記ステップS110は、例えばノード3-3からノード3-1、及びノード3-4の各々の経路を介して接続の要求として送信され、その際にデータフレームに付記された識別子が識別され、ノード3-1及びノード3-4に対して設定されるようにしてもよい。
【0048】
<経路切替ステップS120>
経路切替ステップS120では、識別子付記ステップS110により付記された識別子に応じて、データを送受信するための複数の経路を切り替える(経路切替ステップS120)。ノード3-3のデバイスは、自らデータの中継の可否を判断し、その判断結果に基づいてデータの中継が不可能と判断した場合には、非中継を示す識別子を当該データフレームに付記する。ノード3-3のデバイスは、例えば接続の要求としてノード3-1及びノード3-4の経路で接続される他のデバイスに接続の要求、又は識別子が付記されたデータフレームを送信する。
【0049】
<設定ステップS130>
設定ステップS130では、経路切替ステップS120を実現するための、ネットワークに1以上のデバイスを非中継デバイスとして設定する。また、設定手段は、識別子に基づき1以上のデバイスを、複数のデバイス間でデータの送受信を行う中継デバイス、又は非中継デバイスとする設定を行う。
【0050】
<送受信ステップS140>
送受信ステップS140では、設定された非中継デバイスを中継しない他の経路によりデータの送受信を行う。また、送受信手段は、非中継デバイス内で取得したデータを、ネットワーク内の通過点から一つ前に配置されるデバイスに送信し、又は通過点から一つ前に配置されるデバイスからのデータを、通過点から一つ後に配置されるデバイスに送信する。また、送受信手段は、データフレームに付記された識別子に応じて、中継デバイスの周囲のノードに配置される複数のデバイスに対して、非中継デバイスであることを通知する。
【0051】
<識別子>
識別子は、例えばノード3-3のデバイスによってデータフレーム付記され、データが送受信される複数の経路に関する経路情報、又はデータに関する種別情報が付記される。識別子が付与されたデータフレームは、ノード3を形成するCS2、複数のデバイス間でやり取りがなされ、データフレームの識別子によって、各ノードのデバイスが制御される。
【0052】
識別子は、例えばノード3-3は、受信したデータフレームに付記された識別子を判別し、ノード3-3のデバイスが非中継となるのか、又は中継となるのかを判別する。ノード3-3が非中継デバイスと設定された場合は、ノード3-4からの経路で、上り方向のデータは送信されない。そのため、ノード3-4のデバイスは、他の経路に切り替え、他のノード3(例えば、ノード3-1)を介して自デバイスで取得したデータを上りデータ通信を経由して行う。
【0053】
また、ノード3-1のデバイスは、ノード3-4と同様にノード3-3から受信したデータフレームに付記される識別子を判別し、ノード3-3のデバイスが非中継となるのか、又は中継となるのかを判別する。ノード3-3が非中継デバイスと設定された場合は、ノード3-1への経路で、ノード3-3からの上り方向のデータは送信される。
【0054】
なお、データ3-3は、非中継デバイスとして動作するが、例えば、識別子として設定されたデータの種別であるデータサーズに基づいて、CS2から送信される制御系のデータのデータ種別は、下りの経路を経由して送受信するようにしてもよい。
【0055】
さらに、ノード3-3の非中継デバイスに接続されるノード3-1は、ノード3-3から送信されたデータフレームに含まれる識別子を判別し、CS2からの送信されるデータが制御系データ等である場合には、ノード3-3の経路を経由して下位に配置されるノード3-4等を介して中継される。
【0056】
図3に示す例では、ノード3-3に配置されるデバイスには、複数の経路(例えば経路1~5)が設定されているものとする。ノード3-3の上り方向(経路1)では、ノード3-3におけるデータフレームの識別子として、例えば「経路1(aaa)」が記載される。この場合は、自デバイスで取得したデータのみをノード3-1(経路1)に送信し、例えばノード3-4(経路5)に配置される各デバイスからのデータは受信しない。そのため、ノード3-4に配置される各デバイスは、データの送信の経路を、それぞれノード3-1(経路5→経路6)に切り替えて送信する。これにより、ノード3-3におけるデバイスでは、複数のノード間におけるデータの衝突を回避することができる。これにより、例えば同一ネットワーク内で一方向のメッシュ(図2では、上りデータ通信)の方向において、他のメッシュとは異なる経路の選択が実現できる。
【0057】
(実施形態:無線網複数方向通信システム1の動作)
次に、本実施形態における無線網複数方向通信システム1の動作の一例について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態における無線網複数方向通信システム1におけるタイミングチャートの一例を示す。
【0058】
図4に示する無線網複数方向通信システム1におけるタイミングチャートの一例では、無線網複数方向通信システム1は識別子付記手段S110と、経路切替手段S120、設定手段S130、送受信手段S140に対応する手段を備える。以下の説明では、ノード3-3の上位の経路に配置される経路のデバイスとして、ノード3-1及びCS2として説明する。また、ノード3-3の下位の経路に配置される下位デバイスとして、ノード3-4として説明する。ここで、ノード3-3は非中継デバイスとしてデータフレームに識別子が付与され、ノード3-1及びノード3-4との通信要求時に送信される。
【0059】
<識別子付記ステップS110>
別子付記ステップS110では、データのデータフレームに、前記データフレームの種別を示す識別子を付記する。識別子付記ステップS110では、無線網複数方向通信システム1の動作は、上述の図3に示すように、例えばCS2の下位のノードに配置される複数のデバイス(ノード3-1、ノード3-2、ノード3-3、ノード3-4、ノード3-5)間で行われる。複数のデバイス、例えば通常は各々が中継デバイスとして動作するが、ある任意のデバイスが非中継デバイスとして動作する。非中継デバイスをノード3-3とする場合、ノード3-3のデバイスは、自らのデータ中継を判別し、図2に設定されるデータテーブルを参照し、データフレームに識別子を付記する。ノード3-3におけるデータフレームに付記された識別子は、例えばノード3-3からノード3-1、及びノード3-4の各々の経路を介して接続の要求として送信され、その際にデータフレームに付記された識別子が識別され、ノード3-1及びノード3-4に対して設定されるようにしてもよい。
【0060】
<経路切替ステップS120>
経路切替ステップS120では、識別子付記手段により付記された識別子に応じて、データを送受信するための複数の経路を切り替える。経路切替ステップS120では、非中継デバイスは、自らデータの中継の可否を判断し、その判断結果に基づいてデータの中継が不可能と判断した場合には、非中継を示す識別子を当該データフレームに付記し、例えば接続の要求としてノード3-1及びノード3-4の経路で接続される他のデバイスに送信する。
【0061】
他のデバイスは、ノード3-3から受信したデータフレームに付記される識別子を判別し、ノード3-3のデバイスが非中継となるのか、又は中継となるのかを判別する。ノード3-3が非中継デバイスと設定された場合は、ノード3-4からの経路で、上り方向のデータは送信されない。ノード3-4のデバイスは、他の経路に切り替え、他のノード3(例えば、ノード3-1)を介して自デバイスで取得したデータを上りデータ通信を経由して行う。
【0062】
<設定ステップS130>
設定ステップS130は、経路切替手段を実現するための、ネットワークに1以上のデバイスを非中継デバイスとして設定する。設定ステップS130は、例えばノード3-1のデバイスは、ノード3-4と同様にノード3-3から受信したデータフレームに付記される識別子を判別し、ノード3-3のデバイスが非中継となるのか、又は中継となるのかを判別する。ノード3-3が非中継デバイスと設定された場合は、ノード3-1への経路で、ノード3-3からの上り方向のデータは送信される。
【0063】
なお、データ3-3は、非中継デバイスとして動作するが、例えば、識別子として設定されたデータの種別であるデータサーズに基づいて、CS2から送信される制御系のデータのデータ種別は、下りの経路を経由して送受信するようにしてもよい。
【0064】
さらに、ノード3-3の非中継デバイスに接続されるノード3-1は、ノード3-3から送信されたデータフレームに含まれる識別子を判別し、CS2からの送信されるデータが制御系データ等である場合には、ノード3-3の経路を経由して下位に配置されるノード3-4等を介して中継される。
【0065】
<送受信ステップS140>
受信ステップS140では、ノード3-3の非中継デバイスと、ノード3-3で接続される他のデバイス(例えばノード3-1、ノード3-4等)間において、データ送受信の経路を複数に切り替え、各々のデータの送受信を行う。
【0066】
送受信ステップS140では、ノード3-3におけるデバイスのデータフレームに付記された識別子を判別し、経路情報の識別子「aaa(上方向)」、データサイズの識別子「001(nn1~nn2)」の場合は、ノード3-3よりも上位ノードに配置されるノード3-1の通信方向にデータ送受信の経路を複数に切り替える。そして、識別子「001(nn1~nn2)」に応じて、ノード3-3におけるデバイスで取得されたデータサイズの大きいセンシングデータ(データサイズ:nn1~nn2)がノード3-1に送信される。
【0067】
<データフレームへの識別子の判別>
他のデバイス(ノード3-1、ノード3-4等)は、非中継デバイスから送信されたデータフレームに付記される判別し、データフレームに付記された非中継を示す識別子に基づいて、非中継デバイスとの経路の選択を切り替える。データフレームに付記された識別子に、経路を示す情報の識別子として、例えば識別子「bbb(下方向)」、データサイズの識別子「002(nn3~nn4)」が付記された場合は、ノード3-3よりも下位ノードに配置されるノード3-4及びノード3-5のデバイスは、ノード3-3のデバイスを中継しないように経路の設定を変更する。
【0068】
また、ノード3-3は、自デバイスで付記した識別子に基づいて、ノード3-3よりも上位の経路に位置するノード3-1、及びノード3-2から送信されたデータ(例えば制御系データ等)を、下位の経路に配置されるノード3-4、及びノード3-5のデバイスに各々に送信する。これにより、自デバイス取得されたセンシングデータ等は、データフレームに付記される識別子に応じて、複数の経路で接続されるノード3-3におけるデータの送信を、上位の経路に位置するノード3-1のデバイス、CS2に経路を切り替えて送信することができる。
【0069】
また、非中継デバイスは、データフレームに付記された識別子に基づいて、下位の経路に配置されるノード3-4、及びノード3-5の各デバイスからのデータ受信を中継しない設定する。例えば上述のデータフレームに付記される識別子に応じて、下位の経路に配置されるノード(ノード3-4、及びノード3-5)は、ノード3-3に対してデータを送信しない。これにより、例えば下位の経路に配置されるノードス(ノード3-4、及びノード3-5)は、接続される他の上位ノードにデータ送信の経路を複数に切り替えて送信する。設定手段は、自デバイスで取得したセンシングデータに関してのみ、例えば上位ノードに配置されるデバイス(ノード3-1)に送信する。
【0070】
また、設定ステップ130では、上位ノード(ノード3-1、ノード3-2)に配置されるデバイスからのデータを中継する中継端末として設定された場合は、例えばCS2から下位ノードに送信される制御系データ等を、下位ノードで接続されるデバイス(ノード3-4、及びノード3-5)に送信する。これにより、データフレームに付記される識別子に応じて、ノード3-3におけるデータの送受信の経路を複数に切り替えることが可能となり、複数のノード間におけるデータの衝突を回避できる。
【0071】
以上により、本実施形態における無線網複数方向通信システム1の通常操作の動作が終了する。
【0072】
特に本実施形態によれば、無線網複数方向通信システム1は、データテーブルに設定(登録)される識別子は、例えば図示しない管理者等により、被制御端末、又はノード3-3に配置されるデバイスを介して、各種の設定(追加、削除、更新等)が行われるようにしてもよい。この場合、データテーブルの設定、およびデータフレームへの識別子の付記は、例えばデータフレームに対応するノード3-3のデバイスにおけるデータの送受信の頻度、データ量、データ特性等の状況に基づいて、自動的に付記されるようにしてもよい。
【0073】
特に、本実施形態によれば、データフレームに付記された識別子に基づき、2以上の中継デバイスとすることで、効率の良いデータの送受信を可能とする。中継デバイスは、デバイス間のデータのトラフィック量を計測し、計測した結果に応じて、データの送受信を中継する中継デバイス、又は自デバイスより下位に配置されるノードからのデータ受信を停止させる非中継デバイスとして設定してもよい。
【0074】
特に、本実施形態によれば、例えばCS2が、ネットワーク間の複数のデバイス間におけるトラフィック等を計測し、複数のデバイス間に設定されたデータフレームの識別子を変更するようにしてもよい。これにより、例えばデバイス間のトラフィックがビジーの状況の場合等は、複数のネットワーク間でデータを中継する中継デバイスを増やす(非中継デバイスを減らす)ことが可能となる。また、例えばデバイス間のトラフィックが空いている状況等の場合は、複数のネットワーク間でデータを非中継する非中継デバイスを増やす(中継デバイスを減らす)ようにしてもよい。
【0075】
また、本実施形態によれば、無線網複数方向通信システム1は、データフレームに付記される識別子は、例えばノード3-3におけるデバイスのデータの送受信の状況や履歴に応じて、適宜に更新、識別子の追加等が行われるようにしてもよい。これにより、例えば閾値、基準値等の各種の数値との差異に応じて設定され、自デバイス又はCS2によりデータフレームに付記されるようにしてもよい。データフレームに付記される識別子は、例えば経路情報、データの種別の他に、他の属性等の情報に基づいて識別子が付記されてもよく、識別子の付記数や種別の条件や数値等の設定は任意である。
【0076】
また、本実施形態によれば、無線網複数方向通信システム1は、データフレームに付記した識別子に応じて、データの送受信の経路を複数に切り替えることがとなる。例えば属性情報として、所定の周波数帯やデータ送受信される時間、送信者・受診者等の情報であってもよい。これにより、ノード間で送受信される各データの衝突を回避し、周波数利用効率の低下を防ぐことができる。
【0077】
また、本実施形態の無線網複数方向通信運法として、各ステップを備えることで、上述した効果を得ることもできる。
【0078】
なお、上述した各デバイス2、3として、例えばCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、保存部と、送受信部とを備え、各構成が内部バスに接続される公知の電子機器が用いられてもよい。CPUは、デバイス2、3における動作や、設定されたスーパーフレームSFに基づくデータDの送受信等を制御する。ROMは、CPUの動作コードを格納する。RAMは、CPUの動作時に使用される作業領域である。保存部は、データD等の各種情報が保存される。保存部として、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、SSD(solid state drive)等の公知の記憶媒体が用いられる。送受信部は、アンテナ等を介して他のデバイス2、3に対してデータDを送受信する。各デバイスに2、3より実行される送受信部等の各機能は、CPUが、RAMを作業領域として、保存部等に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。
【0079】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 無線網複数経路通信運用システム
2,71 CS
3,72 ノード
3-1,3-2 上位ノード
3-4,3-5 下位ノード
D データ
T 基本間隔
T1 通信期間
T2 スリープ期間
図1
図2
図3
図4
図5
図6