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特許7350290ガス濃度検出方法、ガス濃度検出装置、及びガス生成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】ガス濃度検出方法、ガス濃度検出装置、及びガス生成システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/16 20060101AFI20230919BHJP
   G01N 27/00 20060101ALI20230919BHJP
   C25B 15/00 20060101ALI20230919BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20230919BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20230919BHJP
【FI】
G01N27/16 Z
G01N27/00 K
C25B15/00 301
C25B1/04
C25B9/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019121351
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021009023
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】594123387
【氏名又は名称】ヤマハファインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 民人
(72)【発明者】
【氏名】市ノ木山 尚士
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-030602(JP,A)
【文献】特開2010-121146(JP,A)
【文献】特開2011-099798(JP,A)
【文献】国際公開第2018/174281(WO,A1)
【文献】特開2017-056480(JP,A)
【文献】特開平08-247995(JP,A)
【文献】特許第6467172(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2014/0332402(US,A1)
【文献】一般社団法人日本ガス協会,平成29年度水素導管供給システムの安全性評価事業(総合調査)調査報告書,日本,日本国経済産業省,2018年07月11日,https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H29FY/000320.pdf,第27頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/10
G01N 27/14-27/24
C25B 15/00
C25B 1/04
C25B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水電解により水素、および酸素を生成し、
前記水素を回収する水素経路及び前記酸素を回収する酸素経路の両方に、接触燃焼式ガスセンサを配置し、
前記接触燃焼式ガスセンサは、温度測定素子としてのサーモパイルを備え、前記サーモパイルが前記水素または前記酸素の濃度に応じた電気信号を出力することで、前記水素経路における酸素濃度、または前記酸素経路における水素濃度を検出し、
前記水素経路に配置された前記接触燃焼式ガスセンサが、濃度99.999%以下の水素と、濃度10ppm以上の酸素とが混合されたガスにおける、酸素濃度を検出し、
前記酸素経路に配置された前記接触燃焼式ガスセンサが、濃度99.999%以下の酸素と、濃度10ppm以上の水素とが混合されたガスにおける水素濃度を検出し、
前記接触燃焼式ガスセンサは、検出対象とするガスを燃焼させる際の触媒として作用する触媒層と、前記触媒層を加熱し、前記ガスの燃焼を促進させるヒータと、前記燃焼の熱量に応じた電気信号を出力する前記サーモパイルと、を備え、
前記接触燃焼式ガスセンサで検出した、前記水素経路における酸素濃度または前記酸素経路における水素濃度が、所定の閾値以上である場合、前記ヒータに供給する駆動電流を停止させることで、前記接触燃焼式ガスセンサによる濃度の測定を停止させる、
ガス濃度検出方法。
【請求項2】
前記水素経路に配置された前記接触燃焼式ガスセンサが、濃度99%以上の水素と、濃度1%以下の酸素とが混合されたガスにおける、酸素濃度を検出する、
前記請求項1に記載のガス濃度検出方法。
【請求項3】
前記酸素経路に配置された前記接触燃焼式ガスセンサが、濃度99%以上の酸素と、濃度1%以下の水素とが混合されたガスにおける水素濃度を検出する、
前記請求項1又は請求項2に記載のガス濃度検出方法。
【請求項4】
水電解を用いて生成された水素、および酸素における、前記水素を回収する水素経路、及び前記酸素を回収する酸素経路の両方に配置された接触燃焼式ガスセンサで、前記水素経路における酸素濃度、及び前記酸素経路における水素濃度を検出する検出部と、
前記検出部により検出された、前記水素経路における酸素濃度、及び前記酸素経路における水素濃度に基づいて、前記接触燃焼式ガスセンサによる濃度の測定を制御するセンサ制御部と、
を備え、
前記接触燃焼式ガスセンサは、温度測定素子としてのサーモパイルを備え、前記サーモパイルが前記水素または前記酸素の濃度に応じた電気信号を出力することで、前記水素経路における酸素濃度、または前記酸素経路における水素濃度を検出し、
前記水素経路に配置された前記接触燃焼式ガスセンサは、濃度99.999%以下の水素と、濃度10ppm以上の酸素とが混合されたガスにおける、酸素濃度を検出し、
前記酸素経路に配置された前記接触燃焼式ガスセンサは、濃度99.999%以下の酸素と、濃度10ppm以上の水素とが混合されたガスにおける水素濃度を検出し、
前記接触燃焼式ガスセンサは、検出対象とするガスを燃焼させる際の触媒として作用する触媒層と、前記触媒層を加熱し、前記ガスの燃焼を促進させるヒータと、前記燃焼の熱量に応じた電気信号を出力する前記サーモパイルと、を備え、
前記センサ制御部は、前記検出部により検出された、前記水素経路における酸素濃度または前記酸素経路における水素濃度が、所定の閾値以上である場合、前記ヒータに供給する駆動電流を停止させることで、前記接触燃焼式ガスセンサによる濃度の測定を停止させる、
ガス濃度検出装置。
【請求項5】
水電解により水素、および酸素を生成する生成装置と、
請求項4に記載のガス濃度検出装置と、
前記ガス濃度検出装置の検出部により検出された、前記生成装置が生成した水素が回収される水素経路における酸素の濃度、または前記生成装置が生成した酸素が回収される酸素経路における水素の濃度に基づいて、前記生成装置による水素、および酸素の生成を制御する管理装置と、
を備えるガス生成システム。
【請求項6】
前記接触燃焼式ガスセンサは、前記水素経路における水素雰囲気ガスに含まれる酸素を水素と反応させることで酸素濃度を検出する、または前記酸素経路における酸素雰囲気ガスに含まれる水素を酸素と反応させることで水素濃度を検出する、
請求項1に記載のガス濃度検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス濃度検出方法、ガス濃度検出装置、及びガス生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水電解を利用して、水から水素及び酸素を生成する水電解セル方式がある。この方式では、固体高分子電解質膜(イオン交換膜)の両面に電極触媒層が設けられた構造体の両側に給電体が配設された水電解セルが用いられる。水電解セルに電圧が印加されると共に、陽極側の給電体に水が供給される。これにより、陽極側では水が電気分解されて水素イオンが生成され、この水素イオンが固体高分子電解質膜を透過して陰極側に移動し、陰極側の給電体で電子と結合して水素が生成される。また、陽極側では、水の電気分解により酸素が生成される。
【0003】
このような水電解セル方式では、水電解セルが破損して固体高分子電解質膜の破れ等が生じると、陽極側で生成された酸素と、陰極側で生成された高濃度の水素とが混合する場合がある。水素と酸素とが混合すると、想定した濃度を維持することができない。このため、水電解セル方式により水素および酸素が生成される過程において、水電解セルの状態が管理されることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6467172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水電解セルの破損の有無を検査するためには、例えば、水電解セルの破損を管理するために、電気分解を一旦停止して水電解セルに破損がないか確認しなければならない。しかし、電気分解を停止すると、水素や酸素の生成を停止しなければならない。また、水電解セルに破損がないかの確認の負担が大きい。
【0006】
そこで、発明者は、水電解セルの破損に起因して、陽極側で生成された酸素が陰極側に漏れること、および陰極側で生成された水素が陽極側に漏れることを見出した。また、陽極側に漏れた水素の濃度、或いは陰極側に漏れた酸素の濃度を把握できると、想定した濃度を維持することが可能となる点において好ましい。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、その目的は、水電解を利用して生成された酸素中に漏れた水素の濃度、或いは水電解を利用して生成された水素中に漏れた酸素の濃度を測定することができるガス濃度検出方法、ガス濃度検出装置、及びガス生成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、水電解により水素、および酸素を生成し、前記水素を回収する水素経路及び前記酸素を回収する酸素経路の両方に、接触燃焼式ガスセンサを配置し、前記接触燃焼式ガスセンサは、温度測定素子としてのサーモパイルを備え、前記サーモパイルが前記水素または前記酸素の濃度に応じた電気信号を出力することで、前記水素経路における酸素濃度、または前記酸素経路における水素濃度を検出し、前記水素経路に配置された前記接触燃焼式ガスセンサが、濃度99.999%以下の水素と、濃度10ppm以上の酸素とが混合されたガスにおける、酸素濃度を検出し、前記酸素経路に配置された前記接触燃焼式ガスセンサが、濃度99.999%以下の酸素と、濃度10ppm以上の水素とが混合されたガスにおける水素濃度を検出し、前記接触燃焼式ガスセンサは、検出対象とするガスを燃焼させる際の触媒として作用する触媒層と、前記触媒層を加熱し、前記ガスの燃焼を促進させるヒータと、前記燃焼の熱量に応じた電気信号を出力する前記サーモパイルと、を備え、前記接触燃焼式ガスセンサで検出した、前記水素経路における酸素濃度または前記酸素経路における水素濃度が、所定の閾値以上である場合、前記ヒータに供給する駆動電流を停止させることで、前記接触燃焼式ガスセンサによる濃度の測定を停止させるガス濃度検出方法である。
【0009】
また、本発明の一態様は、水電解を用いて生成された水素、および酸素における、前記水素を回収する水素経路、及び前記酸素を回収する酸素経路の両方に配置された接触燃焼式ガスセンサで、前記水素経路における酸素濃度、及び前記酸素経路における水素濃度を検出する検出部と、前記検出部により検出された、前記水素経路における酸素濃度、及び前記酸素経路における水素濃度に基づいて、前記接触燃焼式ガスセンサによる濃度の測定を制御するセンサ制御部と、を備え、前記接触燃焼式ガスセンサは、温度測定素子としてのサーモパイルを備え、前記サーモパイルが前記水素または前記酸素の濃度に応じた電気信号を出力することで、前記水素経路における酸素濃度、または前記酸素経路における水素濃度を検出し、前記水素経路に配置された前記接触燃焼式ガスセンサは、濃度99.999%以下の水素と、濃度10ppm以上の酸素とが混合されたガスにおける、酸素濃度を検出し、前記酸素経路に配置された前記接触燃焼式ガスセンサは、濃度99.999%以下の酸素と、濃度10ppm以上の水素とが混合されたガスにおける水素濃度を検出し、前記接触燃焼式ガスセンサは、検出対象とするガスを燃焼させる際の触媒として作用する触媒層と、前記触媒層を加熱し、前記ガスの燃焼を促進させるヒータと、前記燃焼の熱量に応じた電気信号を出力する前記サーモパイルと、を備え、前記センサ制御部は、前記検出部により検出された、前記水素経路における酸素濃度または前記酸素経路における水素濃度が、所定の閾値以上である場合、前記ヒータに供給する駆動電流を停止させることで、前記接触燃焼式ガスセンサによる濃度の測定を停止させるガス濃度検出装置である。
【0010】
また、本発明の一態様は、水電解により水素、および酸素を生成する生成装置と、上記に記載のガス濃度検出装置と、前記ガス濃度検出装置の検出部により検出された、前記生成装置が生成した水素が回収される水素経路における酸素の濃度、または前記生成装置が生成した酸素が回収される酸素経路における水素の濃度に基づいて、前記生成装置による水素、および酸素の生成を制御する管理装置と、を備えるガス生成システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、水電解を利用して生成された酸素中に漏れた水素の濃度、或いは水電解を利用して生成された水素中に漏れた酸素の濃度を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態のガス生成システム1の構成例を示すブロック図である。
図2A】半導体50を用いたガスセンサを説明する模式図である。
図2B】図Aに示すガスセンサによる検出方法を説明する図である。
図2C】図Aに示すガスセンサによる検出方法を説明する図である。
図3A】実施形態の接触燃焼式ガスセンサ20による検出方法を説明する図である。
図3B】実施形態の接触燃焼式ガスセンサ20による検出方法を説明する図である。
図4A】実施形態の接触燃焼式ガスセンサ20による検出方法を説明する図である。
図4B】実施形態の接触燃焼式ガスセンサ20による検出方法を説明する図である。
図5】実施形態のセンサユニット30の構成例を示すブロック図である。
図6】実施形態のガス生成システム1が行う処理の流れを説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、実施形態のガス生成システム1の構成例を示すブロック図である。ガス生成システム1は、例えば、水電解セル10と、二つの接触燃焼式ガスセンサ20(接触燃焼式ガスセンサ20-1、および20-2)と、二つのセンサユニット30(センサユニット30-1、および30-2)と、管理装置40とを備える。ここで、水電解セル10は、「生成装置」の一例である。また、センサユニット30は、「ガス濃度検出装置」の一例である。
【0015】
なお、図1では、ガス生成システム1が二つの接触燃焼式ガスセンサ20、および二つのセンサユニット30を備える場合を例示しているが、これに限定されない。ガス生成システム1は、少なくとも1つの接触燃焼式ガスセンサ20と、その接触燃焼式ガスセンサ20に対応する少なくとも1つのセンサユニット30を備えればよい。
【0016】
水電解セル10は、水を電気分解すること(水電解)により酸素及び水素を生成する装置である。水電解セル10は、例えば、固体高分子電解質膜11と、陽極側電極触媒層12と、陰極側電極触媒層13と、陽極側給電体14と、陰極側給電体15と、水循環ポンプ16と、気液分離器17と、酸素経路18と、水素経路19とを備える。
【0017】
固体高分子電解質膜11は、陽イオン(ここでは、水素イオン)のみを通過させるイオン濾過膜である。固体高分子電解質膜11の一方の側(陽極側)には、陽極側電極触媒層12が設けられ、さらに陽極側電極触媒層12を介して陽極側給電体14が設けられる。固体高分子電解質膜11の他方の側(陰極側)には、陰極側電極触媒層13が設けられ、さらに陰極側電極触媒層13を介して陰極側給電体15が設けられる。陽極側と陰極側とは、電源を介して電気的に接続される。陽極側給電体14には、気液分離器17がもうけられ、さらに気液分離器17を介して、酸素経路18が設けられる。陰極側給電体15には、水素経路19が設けられる。酸素経路18には、水電解セル10により生成された酸素を回収するための配管が配置されている。水素経路19には、水電解セル10により生成された水素を回収するための配管が配置されている。
【0018】
水電解セル10は、管理装置40の制御により、酸素及び水素を生成する。酸素及び水素を生成する場合、電源が通電状態に制御され、固体高分子電解質膜11の陽極側から陰極側に電圧が印加される。また、水電解セル10では、水循環ポンプ16が駆動されて、陽極側給電体14に水が供給される。これにより、陽極側給電体14の水が電気分解され、陽極側電極触媒層12及び陰極側電極触媒層13が、電気分解を促進させる。水の電気分解により、陽極側給電体14に水素イオンが生成され、この水素イオンが、固体高分子電解質膜11を通過して、陰極側給電体15に移動する。陰極側給電体15に移動した水素イオンは、電子と結合して水素となる。一方、陽極側給電体14では、水の電気分解により酸素が生成される。陽極側給電体14で生成された酸素は、気液分離器17により水から分離され、酸素経路18を通じて回収される。陰極側給電体15で生成された水素は、水素経路19を通じて回収される。
【0019】
ここで、陽極側給電体14から酸素経路18を通じて回収される気体(ガス)には、水電解セル10が破損していない状態において、高濃度の酸素に、微量(例えば、100ppm程度)の水素が含まれる。また、陰極側給電体15から水素経路19を通じて回収される気体(ガス)には、水電解セル10が破損していない状態において、高濃度の水素に、微量(例えば、100ppm程度)の酸素が含まれる。以下の説明では、酸素経路18を通じて回収される気体(ガス)を、「酸素雰囲気ガス」と称する。また、水素経路19を通じて回収される気体(ガス)を、「水素雰囲気ガス」と称する。
【0020】
接触燃焼式ガスセンサ20は、検出の対象とするガス(検出対象ガス)の濃度を測定する。接触燃焼式ガスセンサ20は、例えば、触媒層、ヒータ、及びサーモパイルを備える。触媒層は、検出対象とするガスを燃焼させる際の触媒として作用する。ヒータは、触媒層を加熱し、燃焼を促進させる。サーモパイルは、温度測定素子であり、燃焼の熱量に応じた電気信号を出力する。すなわち、接触燃焼式ガスセンサ20は、雰囲気に含まれる検出対象ガスを燃焼させ、燃焼熱による温度の上昇を電気的に検出することより、検出対象ガスの濃度に応じた電気信号を出力する。
【0021】
接触燃焼式ガスセンサ20は、例えば、特許文献1に記載の燃焼式ガスセンサが用いられる。このような接触燃焼式ガスセンサでは、実測として測定が可能な水素の濃度の下限が、10ppm程度である。すなわち、接触燃焼式ガスセンサ20は、濃度99.999%以下の酸素と、濃度10ppm以上の水素が混合された気体における、水素の濃度を検出することが可能である。また、このような接触燃焼式ガスセンサでは、実測として測定が可能な水素の濃度の上限が、濃度1%程度である。すなわち、濃度99%以上の酸素と、濃度1%以下の素が混合された気体における、水素の濃度を検出することが可能である。
【0022】
また、このような接触燃焼式ガスセンサでは、実測として測定が可能な酸素の濃度の下限が、濃度10ppm程度である。すなわち、濃度99.999%以下の水素と、濃度10ppm以上の酸素が混合された気体における、酸素の濃度を検出することが可能である。また、このような接触燃焼式ガスセンサでは、実測として測定が可能な酸素の濃度の上限が、濃度1%程度である。すなわち、濃度99%以上の水素と、濃度1%以下の酸素が混合された気体における、酸素の濃度を検出することが可能である。
【0023】
接触燃焼式ガスセンサ20-1は、酸素経路18に配置され、酸素経路18における酸素雰囲気ガスに含まれる水素の濃度(水素濃度)を測定する。接触燃焼式ガスセンサ20-1は、酸素雰囲気ガスに含まれる水素を酸素と反応させ、燃焼熱(反応熱)による温度の上昇を電気的に検出することより、水素に応じた電気信号を出力する。
【0024】
接触燃焼式ガスセンサ20-2は、水素経路19に配置され、水素経路19における水素雰囲気ガスにおける酸素の濃度(酸素濃度)を測定する。接触燃焼式ガスセンサ20-2は、水素雰囲気ガスに含まれる酸素を水素と反応させ、燃焼熱(反応熱)による温度の上昇を電気的に検出することより、酸素の濃度に応じた電気信号を出力する。
【0025】
センサユニット30は、接触燃焼式ガスセンサ20を制御する。センサユニット30は、接触燃焼式ガスセンサ20による測定を、開始または停止させる。センサユニット30は、例えば、接触燃焼式ガスセンサ20のヒータに駆動電流を供給することにより、ヒータを昇温させる。これにより、接触燃焼式ガスセンサ20の測定を開始させる。センサユニット30は、接触燃焼式ガスセンサ20のヒータへの駆動電流の供給を停止することにより、ヒータを降温させる。これにより、接触燃焼式ガスセンサ20の測定を停止させる。
【0026】
センサユニット30は、接触燃焼式ガスセンサ20による測定を制御する。センサユニット30は、例えば、測定中に接触燃焼式ガスセンサ20の温度が所定の閾値を超えた場合、ヒータに供給する駆動電流を減少させ、温度が上昇し過ぎないように制御する。或いは、センサユニット30は、測定中に接触燃焼式ガスセンサ20の温度が所定の閾値を超えた場合、ヒータに供給する駆動電流を停止させるように制御してもよい。なお、接触燃焼式ガスセンサ20の温度は、例えば、接触燃焼式ガスセンサ20の温度を測定するために設けた温度センサを用いて測定する。或いは、サーモパイルの出力を用いて温度を測定するようにしてもよい。
【0027】
センサユニット30は、接触燃焼式ガスセンサ20により測定される測定値を、管理装置40に通知する。接触燃焼式ガスセンサ20により測定される測定値は、酸素雰囲気ガスに含まれる水素の濃度、および水素雰囲気ガスに含まれる酸素の濃度である。センサユニット30は、接触燃焼式ガスセンサ20の温度を、管理装置40に通知するようにしてもよい。
【0028】
管理装置40は、水電解セル10、およびセンサユニット30を制御する。管理装置40は、通信部41と、記憶部42と、制御部43とを備える。通信部41は、水電解セル10、およびセンサユニット30と通信を行う。通信部41は、例えば汎用の通信用IC(Integrated Circuit)によって実現される。通信部41は、外部ネットワークとの通信を行い、センサユニット30などと情報の送受信を行う機能を有する。記憶部42には、センサユニット30から通知される濃度や、温度の情報が記憶される。記憶部42は、例えば、不揮発性のメモリーであり、管理装置40の機能を実現するためのプログラムや、各種情報を記憶する。
【0029】
制御部43は、管理装置40を統括的に制御する。制御部43は、例えば、管理装置40に備えられたCPU(Central Processing Unit)で構成される。制御部43は、記憶部42に格納されているプログラムを実行することで管理装置40における各部の機能を実現する。制御部43は、例えば、水電解セル10の電源を通電状態とすると共に、水循環ポンプ16を駆動させる。これにより、酸素及び水素の生成を開始させる。制御部43は、センサユニット30に、濃度を測定する旨を指示する。ここでの濃度は、水電解セル10から回収される酸素雰囲気ガスに含まれる水素の濃度、および水素雰囲気ガスに含まれる酸素の濃度である。制御部43は、センサユニット30から、濃度を示す情報を、通信部41を介して取得する。制御部43は、取得した濃度を示す情報を記憶部42に記憶させる。制御部43は、取得した濃度を示す情報に基づいて、水電解セル10を制御する。制御部43は、例えば、濃度が所定の閾値以上である場合、水電解セル10が破損した可能性があると判断して水電解セル10による水素および酸素の生成を停止させる。この場合、制御部43は、水電解セル10の電源を切断状態とすると共に、水循環ポンプ16の駆動を停止させる。また、この場合、制御部43は、センサユニット30による濃度の測定を停止させる。
【0030】
ここで、本実施形態の接触燃焼式ガスセンサ20について、図2図2A図2C)、図3図3A図3B)、および図4図4A図4B)を用いて説明する。図2は、リークテストで用いられる一般的なガスセンサを説明する図である。図3および図4は、本実施形態の接触燃焼式ガスセンサ20を説明する図である。
【0031】
一般に、リークテスト等で用いられるガスセンサは、雰囲気中(例えば、空気中)に漏れ出した検査用ガス(例えば、水素)の濃度を検出する目的で使用される。このようなガスセンサには、例えば、半導体50を用いたガスセンサ(半導体ガスセンサ)がある。
【0032】
図2Aに示すように、半導体ガスセンサは、主に半導体50(例えば、SnO、酸化すず)により構成されている。雰囲気中に検出対象ガス(水素)が存在しない状況において、半導体50(SnO、酸化すず)には酸素が吸着し、吸着した酸素が半導体50の電子をとらえている。このため、半導体ガスセンサは、検出対象ガスが存在しない状況において、半導体50の内部で電子が自由に動くことが困難となる。したがって、半導体50は、電圧を印加しても電気が流れ難い状態となる。
【0033】
図2Bに示すように、雰囲気中に検出対象ガス(水素)が存在する場合、還元性の強い水素が酸素と結合する。これにより、半導体50から酸素が離れ、半導体50の内部で電子が自由に動くことができるようになる。したがって、半導体50に電圧が印加された場合に、通電状態となる。通電状態における電流量に基づいて、検出対象ガス(水素)の濃度を測定することが可能である。
【0034】
しかしながら、雰囲気中に多量の酸素がある場合、つまり酸素雰囲気ガスにおいては、半導体ガスセンサは、正確な測定することができない。
【0035】
図2Cに示すように、雰囲気中に多量の酸素がある場合、つまり酸素雰囲気ガスにおいて、検出対象ガス(水素)が半導体50に吸着した酸素を奪っても、すぐに雰囲気中の別の酸素が半導体50に吸着してしまう。このため、半導体ガスセンサは、酸素雰囲気ガスにおいては、検出対象ガスが存在している場合であっても、半導体50の内部で電子が自由に動き難い状態となる。したがって、半導体50は、検出対象ガスが存在している場合であっても、電圧を印加しても電気が流れ難い状態が継続してしまい、正確測定することが困難となってしまう。このため、一般的なリークテストに用いられている、半導体ガスセンサでは、高濃度の酸素に含まれる微量の水素の濃度を、精度よく検出することが困難である。
【0036】
これに対し、接触燃焼式ガスセンサ20は、燃焼(水素と酸素が反応)する際に発生する燃焼熱(反応熱)に応じた電気信号を出力する。このため、酸素雰囲気ガスにおいても、空気中における測定の精度と比較して劣化することなく、ガスの濃度を測定することが可能である。
【0037】
図3Aに示すように、酸素雰囲気ガスに水素が存在しない場合、接触燃焼式ガスセンサ20において、触媒層がヒータで加熱され燃焼が促されても反応はなく、したがって反応熱が発生しない。このため、サーモパイルの出力に、反応熱に応じた変化が検出されることがない。
図3Bに示すように、酸素雰囲気ガスに水素が存在する場合、接触燃焼式ガスセンサ20において、触媒層がヒータで加熱され燃焼が促された場合に、水素が酸素と反応し、反応熱が発生する。そして、サーモパイルの出力に、反応熱に応じた変化が検出される。
【0038】
図4Aに示すように、水素雰囲気ガスに酸素が存在しない場合、接触燃焼式ガスセンサ20において、触媒層がヒータで加熱され燃焼が促されても反応はなく、したがって反応熱が発生しない。このため、サーモパイルの出力に、反応熱に応じた変化が検出されることがない。
図4Bに示すように、水素雰囲気ガスに酸素が存在する場合、接触燃焼式ガスセンサ20において、触媒層がヒータで加熱され燃焼が促された場合に、酸素が水素と反応し、反応熱が発生する。そして、サーモパイルの出力に、反応熱に応じた変化が検出される。
【0039】
すなわち、本実施形態の接触燃焼式ガスセンサ20を用いることにより、雰囲気が空気と異なり、高濃度の酸素で満たされている場合であっても、その酸素雰囲気ガスに含まれる水素の濃度を測定することができる。また、雰囲気が高濃度の水素で満たされている場合であっても、その水素雰囲気ガスに含まれる酸素の濃度を測定することが可能である。
【0040】
図5は、実施形態のセンサユニット30の構成例を示すブロック図である。センサユニット30は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを備える。通信部31は、接触燃焼式ガスセンサ20、および管理装置40と通信を行う。通信部31は、例えば、汎用の通信用ICによって実現される。通信部31は、外部ネットワークとの通信を行い、管理装置40などと情報の送受信を行う機能を有する。
【0041】
記憶部32は、例えば、不揮発性のメモリーであり、センサユニット30の機能を実現するためのプログラムや変数を記憶する。記憶部32には、濃度情報320と、温度情報321とが記憶される。濃度情報320は、接触燃焼式ガスセンサ20による測定を制御するために用いる濃度の情報であり、例えば、接触燃焼式ガスセンサ20のヒータを降温、或いは停止させる閾値とする濃度の情報である。温度情報321は、接触燃焼式ガスセンサ20による測定を制御するために用いる温度の情報であり、例えば、接触燃焼式ガスセンサ20のヒータを降温、或いは停止させる閾値とする温度の情報である。
【0042】
制御部33は、センサユニット30を統括的に制御する。制御部33は、例えば、センサユニット30に設けられたCPUで構成される。制御部33は、記憶部32に格納されているプログラムを実行することで、センサユニット30各部の機能を実現する。制御部33は、例えば、取得部330と、検出部331と、センサ制御部332と、出力部333とを備える。
【0043】
取得部330は、管理装置40からの測定開始、或いは測定停止を示す指令を、通信部31を介して取得する。取得部330は、取得した指令をセンサ制御部332に出力する。また、取得部330は、接触燃焼式ガスセンサ20から出力された電気信号を、通信部31を介して取得する。取得部330は、取得した電気信号を検出部331に出力する。
【0044】
検出部331は、接触燃焼式ガスセンサ20から出力された電気信号に基づいて、水電解セル10から回収される酸素雰囲気ガスに含まれる水素の濃度、または水素雰囲気ガスに含まれる酸素の濃度を導出する。検出部331は、接触燃焼式ガスセンサ20-1から出力された電気信号を、通信部31を介して取得する。検出部331は、取得した電気信号の振幅を、水素の濃度に換算する。検出部331は、接触燃焼式ガスセンサ20-2から出力された電気信号を、通信部31を介して取得する。検出部331は、取得した電気信号の振幅を、酸素の濃度に換算する。検出部331は、換算した濃度を示す情報を、センサ制御部332、および出力部333に出力する。なお、取得部330、検出部331、センサ制御部332、出力部333のそれぞれは、CPUにより実現される制御部33の機能である。
【0045】
なお、接触燃焼式ガスセンサ20から出力される電気信号の振幅と濃度との関係は、センサと検出対象ガスの組み合わせにより決定され、例えば、記憶部32に記憶される。検出部331は、記憶部32を参照する。これにより、検出部331は、電気信号の振幅と濃度との関係(例えば、換算テーブル、或いは、比例係数やバイアス値など)を示す情報を取得する。検出部331は、取得した情報を用いて、電気信号の振幅から濃度を導出する。
【0046】
センサ制御部332は、接触燃焼式ガスセンサ20を制御する。センサ制御部332は、取得部330から、管理装置40からの測定開始を示す指令を取得すると、接触燃焼式ガスセンサ20のヒータに駆動電流を供給し、測定を開始させる。センサ制御部332は、取得部330から、管理装置40からの測定停止を示す指令を取得すると、接触燃焼式ガスセンサ20のヒータに供給していた駆動電流を停止し、測定を停止させる。
【0047】
センサ制御部332は、検出部331から、濃度示す情報を取得すると、取得した濃度と所定の閾値とを比較する。所定の閾値は、例えば、接触燃焼式ガスセンサ20の温度の上昇を抑えるために、ヒータに供給する駆動電流を減少させる濃度に対応する値である。所定の閾値は、例えば、記憶部32に記憶される濃度情報320である。センサ制御部332は、取得した濃度が、所定の閾値以上である場合、ヒータに供給する駆動電流を減少させ、接触燃焼式ガスセンサ20の温度が上昇しないように制御する。なお、上述した所定の閾値がヒータに供給する駆動電流を停止させる濃度に対応する値である場合、センサ制御部332は、取得した濃度が、所定の閾値以上であれば、ヒータに供給する駆動電流を、停止させる。
【0048】
出力部333は、検出部331からの濃度を示す情報を検出値として、通信部31を介して管理装置40に送信する。
【0049】
図6は、実施形態のガス生成システム1が行う処理の流れを説明するシーケンス図である。図6を用いて、酸素及び水素の生成が開始されてから停止されるまでの処理の流れを説明する。
【0050】
まず、管理装置40は、水素および酸素の生成の開始を指令する(ステップS10)。管理装置40は、水電解セル10の電源を通電状態にすると共に、水循環ポンプ16を駆動させる。管理装置40は、センサユニット30に濃度の測定を開始する旨を指示する。
【0051】
水電解セル10では、水の電気分解が行われ、水素および酸素の生成が開始される(ステップS11)。生成された酸素雰囲気ガスは、酸素経路18を通じて回収され、生成された水素雰囲気ガスは、水素経路19を通じて回収される(ステップS12)。
【0052】
センサユニット30は、濃度の測定を開始する旨の指令を受信すると、接触燃焼式ガスセンサ20を制御し、測定を開始させる(ステップS13)。センサユニット30は、接触燃焼式ガスセンサ20のヒータに駆動電流を供給し、接触燃焼式ガスセンサ20による濃度の測定を開始させる。
【0053】
接触燃焼式ガスセンサ20は、検出対象ガスの濃度に応じた電気信号(濃度信号)を、センサユニット30に出力する(ステップS14)。接触燃焼式ガスセンサ20-1は、酸素経路18における水素の濃度信号を出力する。接触燃焼式ガスセンサ20-2は、水素経路19における酸素の濃度信号を出力する。
【0054】
センサユニット30は、濃度を検出する(ステップS15)。センサユニット30は、接触燃焼式ガスセンサ20から取得した濃度信号の振幅に応じて濃度を検出し、検出した濃度を示す信号を、管理装置40に送信する。
【0055】
接触燃焼式ガスセンサ20は、接触燃焼式ガスセンサ20の温度を測定し、測定した温度を示す電気信号(温度信号)を、センサユニット30に出力する(ステップS16)。
【0056】
センサユニット30は、接触燃焼式ガスセンサ20を制御するか否かを判定する(ステップS17)。接触燃焼式ガスセンサ20から取得した温度信号の振幅に応じて温度を検出し、検出した温度と所定の閾値とを比較する。センサユニット30は、検出した温度が所定の閾値以上である場合、接触燃焼式ガスセンサ20を制御すると判定する。センサユニット30は、比較した閾値に対応する制御の内容に応じた制御を行う。制御の内容は、例えば、接触燃焼式ガスセンサ20のヒータに供給する駆動電流を減少させる、或いは停止させる等である。
【0057】
管理装置40は、センサユニット30から受信した検出結果を記憶させる(ステップS18)。管理装置40は、水素および酸素の生成を停止させるか否かを判定する(ステップS19)。管理装置40は、検出結果を用いて、検出された濃度と、所定の閾値とを比較する。管理装置40は、検出された濃度が所定の閾値以上であれば、水電解セル10が破損した可能性があると判定し、水素および酸素の生成を停止させると判定する。
【0058】
管理装置40は、水素および酸素の生成を停止させると判定した場合、その旨を指令する(ステップS20)。管理装置40は、水電解セル10の電源を切断状態にすると共に、水循環ポンプ16の駆動を停止させる。管理装置40は、センサユニット30に濃度の測定を終了する旨を指示する。
【0059】
水電解セル10では、水の電気分解が止まり、水素および酸素の生成が停止される(ステップS21)。センサユニット30は、接触燃焼式ガスセンサ20のヒータに供給していた駆動電流を停止し、接触燃焼式ガスセンサ20による濃度の測定を終了させる(ステップS22)。
【0060】
以上説明したように、実施形態のガス濃度検出方法は、ガス生成システム1が実行するガス濃度の検出方法であって、水電解セル10が、水電解により水素、および酸素を生成し、水素を回収する水素経路19、または酸素を回収する酸素経路18の少なくとも一方に配置した接触燃焼式ガスセンサ20で、水素経路19における酸素濃度、または酸素経路18における水素濃度を検出する。これにより、実施形態のガス濃度検出方法は、水素経路19に高濃度の水素が流通する場合において、水電解を利用して生成された水素中に漏れた酸素を検出することが可能である。また、酸素経路18に高濃度の酸素が流通する場合において、水電解を利用して生成された酸素中に漏れた水素の濃度を検出することが可能である。
【0061】
また、実施形態のガス濃度検出方法では、水素経路19において、99.999%以下の水素と、10ppm以上の酸素が混合された気体における、酸素濃度を検出する。あるいは、水素経路19において、99%以上の水素と、1%以下の酸素が混合された気体における、酸素濃度を検出する。これにより、高濃度の水素が流通する水素雰囲気ガスに含まれる、ごく微量の酸素の濃度を検出することが可能である。
【0062】
また、実施形態のガス濃度検出方法では、酸素経路18において、99.999%以下の酸素と、10ppm以上の水素が混合された気体における、水素濃度を検出する。あるいは、酸素経路18において、99%以上の酸素と、1%以下の水素が混合された気体における、水素濃度を検出する。これにより、高濃度の酸素が流通する酸素雰囲気ガスに含まれる、ごく微量の水素の濃度を検出することが可能である。
【0063】
また、実施形態のガス濃度検出方法では、センサユニット30が、接触燃焼式ガスセンサ20で検出した水素経路19における酸素濃度、または酸素経路18における水素濃度に基づいて、接触燃焼式ガスセンサ20を制御する。これにより、接触燃焼式ガスセンサ20で検出した濃度に応じて、接触燃焼式ガスセンサ20のヒータによる着火爆発が懸念される場合にヒータを降温させるなどの対策を講じることができる。
【0064】
また、実施形態のセンサユニット30は、検出部331と、センサ制御部332とを備える。検出部331は、水電解を用いて生成された水素、および酸素における、水素を回収する水素経路19、または酸素を回収する酸素経路18の少なくとも一方に配置された接触燃焼式ガスセンサ20で、水素経路19における酸素濃度、または酸素経路18における水素濃度を検出する。センサ制御部332は、検出部331により検出された、水素経路19における酸素濃度、または酸素経路18における水素濃度に基づいて、接触燃焼式ガスセンサ20を制御する。これにより、上述した効果と同様の効果を奏する。
【0065】
また、実施形態のセンサユニット30では、センサ制御部332は、検出部331により検出された、水素経路19における酸素濃度、または酸素経路18における水素濃度が、所定の閾値以上である場合、接触燃焼式ガスセンサによる濃度の検出を停止させる。これにより、検出対象ガスの濃度が高く、反応熱により接触燃焼式ガスセンサ20の温度が上昇して破損の可能性がある場合に、濃度の検出を停止させることができる。したがって、破損を抑制することができる。
【0066】
また、実施形態のガス生成システム1は、水電解セル10と、センサユニット30と、管理装置40とを備える。水電解セル10は、水電解により水素、および酸素を生成する。センサユニット30は、接触燃焼式ガスセンサ20で、水素経路19における酸素濃度、または酸素経路18における水素濃度を検出する。管理装置40は、センサユニット30により検出された、酸素の濃度、または水素の濃度に基づいて、水電解セル10を制御する。これにより、水電解により生成された水素雰囲気ガスの酸素濃度、酸素雰囲気ガスの水素濃度を常時検出することができる。したがって水電解セル10の破損等により、高濃度の水素と、高濃度の酸素とが混合さえる予兆を捉えることが可能である。さらに、管理装置40が、センサユニット30により検出された濃度に応じて、水電解セル10を制御するため、水電解セル10の破損等を検知した場合に、水電解セル10を停止させるなどの対応をとることが可能である。
【0067】
上述した実施形態におけるガス生成システム1、センサユニット30、管理装置40の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0069】
1…ガス生成システム、10…水電解セル(生成装置)、18…酸素経路、19…水素経路、20…接触燃焼式ガスセンサ、30…センサユニット(ガス濃度検出装置)、33…制御部、330…取得部、331…検出部、332…センサ制御部、333…出力部、40…管理装置
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6