(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】防犯カメラ付き屋外用照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 8/08 20060101AFI20230919BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230919BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230919BHJP
【FI】
F21S8/08 200
F21S8/08 110
F21V23/00 113
F21V23/00 140
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019139321
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000123608
【氏名又は名称】かがつう株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 博行
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 徹
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 和弘
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-072016(JP,A)
【文献】特開2004-047388(JP,A)
【文献】特開2016-162608(JP,A)
【文献】特開2016-024955(JP,A)
【文献】特開2011-199348(JP,A)
【文献】登録実用新案第3221685(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/08
F21V 23/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具の下方を照明する発光部と、
照明器具内に配置された
前記発光部の発光光が下方へ透過するよう透光性カバーで塞がれた透過窓
と、
前記透過窓よりも後方に配置され照明器具の下方領域を撮影するカメラ部と、を有し、
前記発光部は前記発光光が前記透過窓の後端縁にて遮られるよう前記透過窓よりも上方に位置
し、
前記発光部は前後方向に所定の長さを有し主として左右方向に長く広がる配光特性を有し、
前記カメラ部は、レンズの向きが変更可能であり、
前記照明器具の正規の取り付け状態において、前記カメラ部の中心軸線が直下方向に向き、
前記発光部及び透光性カバーは前記発光部の発光光の前記カメラ部のレンズへの侵入が抑制又は制限され、かつ、所定領域を的確に照明することが可能な斜め前上方に向けた所定角度の傾斜配置となっていることにより、前記発光部からの発光光が前記透過窓から照射された際に、前記発光部から後方に向かう発光光が前記透過窓の後端縁によって遮られ、前記カメラ部のレンズに向かう発光光が遮断又は抑制されるような構造となっている、
ことを特徴とする防犯カメラ付き屋外用照明器具。
【請求項2】
前記発光部は、LED取り付け回路基板の下側面に配置された複数の照明用LEDを有し、
前記照明用LEDの後方位置であって前記透過窓を通して前記透光性カバーから下方へ発光光が透過するよう前記発光部に配置されたインジケータ用LEDを備える、ことを特徴とする請求項
1に記載の防犯カメラ付き屋外用照明器具。
【請求項3】
下側開口の内部空間を有し後部に支柱等の支持体への取り付け部を備えた不透光性の器具本体と、
前記下側開口を覆うように前記器具本体に取り付けられた不透光性の本体カバーとを有する本体部と、をさらに備え、
前記発光部は、
LED取り付け回路基板の下側面に配置された複数の照明用LEDと、
前記照明用LEDの個々に対応する配光レンズ部とを有する配光ユニットとを備え、
前記カメラ部は、
カメラ本体部と、
下方へ突出状態に前記カメラ本体部に取り付けられレンズが覆われた透光性ドームカバーを備え、
前記レンズからの入射光を受光し光電変換を行って入射光に対応する画像データを作成し記憶する機能を有し、
前記本体カバーは、前記下側開口に適合状態で前記器具本体に取り付けられ、
後部に前記カメラ本体部が取り付けられるカメラ部配置部を配置し前部にサービス用開口を有する第1カバーと、
前記サービス用開口を開閉するよう前記第1カバーに開閉可能に取り付けられた第2カバーを備え、
前記サービス用開口から取り出し可能に前記器具本体に取り付けられ、前記画像データを記録する外部記憶媒体(SSD)を備えた、ことを特徴とする請求項
1または2に記載の防犯カメラ付き屋外用照明器具。
【請求項4】
前記カメラ部は
、前記カメラ部で撮像した画像データを前記照明器具の下方近傍において操作される外部端末機器に取り出し可能な通信機能部
を備え、
前記画像データに基づき前記外部端末機器のディスプレイに表示される画像の視認確認にて、前記レンズの向きを手動調整可能とした、
ことを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか
1項に記載の防犯カメラ付き屋外用照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯カメラを備えた屋外用照明器具の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(発光ダイオード)の発光によって道路面等の被照明部を照明する屋外用照明器具に防犯用カメラを備えたものがある。
これに関し、開閉可能な透光性フードを備えた軽金属ダイキャスト製のケース内に、LEDからなる照明部と、記録装置を備えた監視カメラと、照明部と監視カメラに電力を供給する電源ユニットを取り付けるものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のものは、LED照明部3、監視カメラ部4、電源ユニット5を、耐候性・防水性を有する軽金属ダイキャスト製の船型筐体状のケース1に内装し、このケース1を閉蓋する雨水避用の透光性フード2が、ケース1の先端側に設けられた蝶番部8により開閉自在に取り付けられ、透光性フード2は窓部として形成された開口2aを有し、その開口2aに監視カメラ4のカメラレンズを位置させて、樹脂製の窓リング14及びガスケット(ウレタンブッシュ)14aを介して水密が図られている。
このため、開口2aと監視カメラ4のカメラレンズとの位置関係の考慮及びその部分の十分な水密構成が必要となる。
また、特許文献1のものは、図示された構成からして、監視カメラ4による撮影範囲は、照明装置の下方領域であり、照明装置の前後左右に亘る広範囲の撮影を意図していない。
【0005】
本発明は、照明器具の下方領域を撮影するカメラ部を設け、レンズの向きの調整によって所期の範囲を撮影可能とし、前後左右方向の広範囲を撮影可能とする防犯カメラ付き屋外用照明器具を提供する。
このように照明器具の下方領域を広範囲にわたりカメラによる撮影可能とする場合、LED照明部の発光光がカメラに侵入すれば、カメラで撮影する画像が白くなる等の画像劣化が生じ、撮影画像が不鮮明になる所謂ハレーションが生じる虞がある。
このためそれを防止する構成として、LED照明部の発光光がカメラに到達しないように、特別に遮光壁を設ける等の対策が必要となるが、本発明は、LED照明部とカメラ部を特定な配置構成とすることにより、LED照明部の発光光がカメラに侵入することが抑制され、カメラで撮影する画像が白くなる等の画像劣化が生じないようにすることができる技術を提供するものである。
【0006】
また、本発明は、LED照明部の発光による発熱を良好に放熱する構成とすると共に、防犯カメラ付き屋外用照明器具の内部に収容した各部の点検や修理のし易い構成とする。
この場合、特許文献1のように透光性フード2に監視カメラ4のカメラレンズを位置させる開口2aを設けるような構成とはせず、LED照明部の発光光の透過する透光性カバーはカメラ部に関係ない配置構成とし、特許文献1のような開口2aと監視カメラ4のカメラレンズとの位置関係及びその部分の十分な水密構成を不要とする防犯カメラ付き屋外用照明器具を提供する。
【0007】
また、本発明は、防犯カメラ付き屋外用照明器具の下方領域において、カメラ部で撮影した画像データが所期の状態であるかの確認ができるように、外部端末機によって確認可能とし、所期の状態になっていない場合は、カメラのレンズの向きを調整可能な構成とする防犯カメラ付き屋外用照明器具を提供する。
【0008】
また、本発明は、カメラ部で撮影した画像データを記憶する記憶媒体(SSD:solid state driveという)を外部へ取り出し可能にする構成を提供する。
その場合、LED照明部と共に透光性カバーを開くことにより、記憶媒体(SSD)を外部へ取り出し可能にすることにより、部品数を増やすことなく構成の簡素化された防犯カメラ付き屋外用照明器具を提供する。
【0009】
また、本発明は、LED照明部の発光及び非発光は、防犯カメラ付き屋外用照明器具の周囲の照度を検出する照度センサの検出により、明るい昼間は消灯し、夜間のように暗いときは点灯するようにするが、この動作がカメラ部による撮影に影響しないような電気回路構成とした防犯カメラ付き屋外用照明器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明の防犯カメラ付き屋外用照明器具は、下側が透光性カバーで覆われ下方を照明する発光部及び前記照明器具の下方領域を撮影するカメラ部が配置され、前記発光部の後方に前記カメラ部が配置され、前記発光部は前後方向に所定の長さを有し主として左右方向に長く広がる配光特性を有し、前記カメラ部は、レンズの向きが変更可能であり、
前記照明器具の正規の取り付け状態において、前記カメラ部の中心軸線が直下方向に向き、前記発光部は後方への発光光が抑制又は制限される前上がりの所定の傾斜配置である、
ことを特徴とする。
【0011】
第2の本発明の防犯カメラ付き屋外用照明器具は、照明器具内に配置された発光部の発光光が下方へ透過するよう透光性カバーで塞がれた透過窓を有し、前記発光部は前記発光光が前記透過窓の後端縁にて遮られるよう前記透過窓よりも上方に位置し、前記透過窓よりも後方に前記照明器具の下方領域を撮影するカメラ部が配置され、下側が透光性カバーで覆われ下方を照明する発光部及び前記照明器具の下方領域を撮影するカメラ部が配置され、前記発光部の後方に前記カメラ部が配置され、前記発光部は前後方向に所定の長さを有し主として左右方向に長く広がる配光特性を有し、
前記カメラ部は、レンズの向きが変更可能であり、
前記照明器具の正規の取り付け状態において、前記カメラ部の中心軸線が直下方向に向き、前記発光部は後方への発光光が抑制又は制限される前上がりの所定の傾斜配置である、
ことを特徴とする。
【0012】
第3の本発明の防犯カメラ付き屋外用照明器具は、前記照明器具の下方を照明する発光部と、前記照明器具の下方領域を撮影するカメラ部を備え、下側面に前後方向に長い開口を有する内部空間を有し後部に支柱等の支持体へ取り付けられる取り付け部を備えた不透光性の器具本体と、前記開口を塞ぐように前記器具本体に取り付けられる不透光性の本体カバーを有し、前記本体カバーの下面は、前寄りに前記発光部からの発光光が下方へ通過するよう透光性カバーで覆われた透過窓が形成される発光部領域と、後寄りに前記カメラ部が下方へ突出状態に取り付けられるカメラ部配置部を備え、
前記発光部は、前後方向に所定の長さを有し主として左右方向に長く広がる配光特性を有して前記透過窓に臨む上方位置に前記透過窓に沿って前記本体カバーに取り付けられ、
前記照明器具が前記支持体へ正規の取り付け状態において、前記カメラ部配置部は前記カメラ部の中心軸線が直下方向に向くカメラ配置面であり、前記発光部領域は前記発光部から前記カメラ部へ向かう発光光が抑制又は制限される前上がりの所定の傾斜面である、
ことを特徴とする。
【0013】
第4の本発明の防犯カメラ付き屋外用照明器具は、前記照明器具の下方領域を照明する発光部と、前記照明器具の下方領域を撮影するカメラ部と、下側開口の内部空間を有し後部に支柱等の支持体への取り付け部を備えた不透光性の器具本体と、前記開口を覆うように前記器具本体に取り付けられた不透光性の本体カバーとを有する本体部と、を備え、
前記発光部は、LED取り付け回路基板の下側面に配置された複数の照明用LEDと、前記照明用LEDの個々に対応する配光レンズ部とを有する配光ユニットとを備え、前後方向に所定の長さを有し主として左右方向に長く広がる配光特性を有し、
前記カメラ部は、カメラ本体部と、下方へ突出状態に前記カメラ本体部に取り付けられレンズが覆われた透光性ドームカバーを備え、前記レンズからの入射光を受光し光電変換を行って入射光に対応する画像データを作成し記憶する機能を有し、前記レンズの向きが変更可能であり、
前記本体カバーは、前記開口に適合状態で前記器具本体に取り付けられ、後部に前記カメラ本体部が取り付けられるカメラ部配置部を配置し前部にサービス用開口を有する第1カバーと、前記サービス用開口を開閉するよう前記第1カバーに開閉可能に取り付けられた第2カバーを備え、
前記第2カバーは、前記カメラ部より前方位置に形成され前記発光部からの発光光が下方へ通過する透過窓と、前記発光部を覆って前記透過窓を塞ぐ形状の透光性カバーを備え、前記発光部が前記透過窓に臨む上方位置に前記発光部が取り付けられ、
前記支持体に対して前記照明器具が正規の取り付け状態において、前記透光性ドームカバーは前記透光性カバーよりも下方へ突出状態であり、前記カメラ部は中心軸線が鉛直下方に向き、前記発光部及び前記透光性カバーは前記発光部の発光光の前記カメラ部のレンズへの侵入が抑制又は制限される斜め前上方に向けた傾斜配置である、
ことを特徴とする。
【0014】
第5の本発明の防犯カメラ付き屋外用照明器具は、上記第4の本発明において、前記照明用LEDの後方位置であって前記透過窓を通して前記透光性カバーから下方へ発光光が透過するよう前記発光部に配置されたインジケータ用LEDを備える、
ことを特徴とする。
【0015】
第6の本発明の防犯カメラ付き屋外用照明器具は、上記第4または第5の本発明において、前記サービス用開口から取り出し可能に前記器具本体に取り付けられ、前記画像データを記録する外部記憶媒体(SSD)を備えた、
ことを特徴とする。
【0016】
第7の本発明の防犯カメラ付き屋外用照明器具は、上記第1乃至第6の本発明のいずれかにおいて、前記カメラ部は、カメラ本体部と、下方へ突出状態にレンズを覆い前記カメラ本体部に取り外し可能に取り付けられた透光性ドームカバーと、前記カメラ部で撮像した画像データを前記照明器具の下方近傍において操作される外部端末機器に取り出し可能な通信機能部とを備え、
前記画像データに基づき前記外部端末機器のディスプレイに表示される画像の視認確認にて、前記レンズの向きを手動調整可能とした、
ことを特徴とする。
【0017】
第8の本発明の防犯カメラ付き屋外用照明器具は、発光素子の発光にて前記照明器具の下方領域を照明する発光部と、前記照明器具の下方領域を撮影するカメラ部と、前記照明器具の周囲の明るさを検知し夜間等のように暗くなった状態で前記発光素子を発光させ明るくなったとき前記発光素子を消灯させるための照度センサと、を備え、
前記発光部は、前記発光素子の発光光が透過する透光カバーで覆われ、前記発光素子を点灯・消灯する発光制御回路を備え、
前記カメラ部は、レンズからの入射光を受光し光電変換を行い入射光に対応する画像データを作成し記憶する制御機能部を備え、
支持体に対して前記照明器具が正規の取り付け状態において、前記発光部及び前記透光性カバーは、前記カメラ部に対して、前記発光部の発光光の前記レンズへの侵入が抑制又は制限される傾斜配置であり、
前記照明部及び前記カメラ部は、商用電力を直流電力に変換した直流電力がそれぞれ供給される配線であり、
前記照度センサによる信号は、前記発光制御回路へ作用させるが前記カメラ部の制御機能部に作用させない構成である、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、照明器具が正規の取り付け状態において、カメラ部に対する発光部の配置が、下方に向くカメラ部の中心軸線に対して、発光部の発光光がカメラ部のレンズへ侵入することが抑制又は制限される傾斜配置である。
このため、照明器具が道路に対して直交する交差状態に配置された正規の状態において、道路の長さ方向の照明が十分確保されると共に、発光部の発光光がカメラ部に侵入して画像が白化するような品質低下が生じることなく、照明器具下方領域の好ましい撮像画像を得ることができ、防犯灯として好ましい効果を得ることができる。
【0019】
また、本発明では、器具本体の下側開口を覆う本体カバーが、前記下側開口に適合状態で器具本体に取り付けられ、後部にカメラ部が取り付けられ前部にサービス用開口を有する第1カバーと、前記サービス用開口を開閉するよう第1カバーに開閉可能に取り付けられた第2カバーを備える。
これにより、照明器具が正規の取り付け状態において、カメラ部は中心軸線が鉛直下方に向き、発光部及び透光性カバーは発光部の発光光のカメラ部のレンズへの侵入が抑制又は制限される斜め前上方に向けた傾斜配置とすることにより、道路の照明が十分確保されると共に、発光部の発光光がカメラ部に侵入して画像が白化するような品質低下が生じることなく、照明器具下方領域の好ましい撮像画像を得ることができ、防犯灯として好ましい効果を得ることができる。
そして、第2カバーを開くことにより、サービス用開口を通して器具本体内に収容した各部の点検や修理を容易に行えるものとなる。
【0020】
また、本発明では、画像データを記録する外部記憶媒体(SSD:solid state driveという)を前記サービス用開口から取り出し可能に器具本体に取り付けることにより、通常時には外部記憶媒体(SSD)を安全に保持できると共に、記録した画像データを利用するときには、外部記憶媒体(SSD)を容易に取り出すことができることとなる。
【0021】
また、本発明では、カメラ部で撮像した画像データを照明器具の下方近傍において操作される外部端末機器に取り出し可能な通信機能部とを備えることにより、画像データに基づき外部端末機器のディスプレイに表示される画像の視認確認にて、カメラ部のレンズの向きが所期の方向に向いているかを確認できる。
もし、レンズが所期の方向を向いていない場合は、透光性ドームカバーを本取り外し、外部端末機器のディスプレイを見ながらレンズの方向を調整できるため、正確な範囲の撮像ができることとなる。
【0022】
また、本発明では、照明器具の周囲の照度を検出する照度センサからの検出信号は、カメラ部の制御機能部に作用させず、発光部の発光素子を点灯・消灯する発光制御回路へのみ作用させる配線であるため、発光素子が点灯する夜間においてもカメラ部は正規の撮像動作を得ることができ、防犯灯としての機能を24時間に亘り発揮できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る防犯カメラ付き屋外用照明器具の施錠機構22P及びアンテナ70・75を省略した斜め下方から見た斜視図である。
【
図2】本発明に係る防犯カメラ付き屋外用照明器具の施錠機構22P及びアンテナ70・75を省略した正面図である。
【
図3】本発明に係る防犯カメラ付き屋外用照明器具の内部を示す縦断端面で示す説明図である。
【
図4】
図3において外部記憶媒体(SSD)を取り出すために第2カバー222を開いた状態を示す説明図である。
【
図5】本発明に係る防犯カメラ付き屋外用照明器具を下方から見た下面図である。
【
図6】本発明に係る防犯カメラ付き屋外用照明器具の発光部6と透光性カバー23の部分の縦断端面図である。
【
図7】本発明に係る防犯カメラ付き屋外用照明器具の本体カバー22を取り外した状態の器具本体2を下方から見た下面図である。
【
図8】本発明に係る防犯カメラ付き屋外用照明器具の背面図である。
【
図9】本発明に係る防犯カメラ付き屋外用照明器具の動作に係る回路構成の概略を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る防犯カメラ付き屋外用照明器具は、下側が透光性カバーで覆われ下方を照明する発光部及び前記照明器具の下方領域を撮影するカメラ部が配置され、前記照明器具が正規の取り付け状態における前記カメラ部に対する前記発光部及び前記透光性カバーの配置が、下方に向く前記カメラ部の中心軸線に対して、前記発光部の発光光の前記カメラ部のレンズへの侵入が抑制又は制限される傾斜配置である。
その一つの好ましい形態として、防犯カメラ付き屋外用照明器具は、照明器具の下方を照明する発光部と、照明器具の下方領域を撮影するカメラ部を備え、下側面に前後方向に長い開口を有する内部空間を有し後部に支柱等の支持体へ取り付けられる取り付け部を備えた不透光性の器具本体と、前記開口を塞ぐように器具本体に取り付けられる不透光性の本体カバーを有し、本体カバーの下面は、前寄りに発光部からの発光光が下方へ通過するよう透光性カバーで覆われた透過窓が形成される発光部領域と、後寄りにカメラ部が下方へ突出状態に取り付けられるカメラ部配置部を備え、発光部は、前後方向に所定の長さを有し主として左右方向に長く広がる配光特性を有して透過窓に臨む上方位置に透過窓に沿って本体カバーに取り付けられ、照明器具が支持体へ正規の取り付け状態において、カメラ部配置部はカメラ部の中心軸線が直下方向に向くカメラ配置面であり、発光部領域は発光部からカメラ部へ向かう発光光が抑制又は制限される前上がりの所定の傾斜面である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0025】
本発明に係る防犯カメラ付き屋外用照明器具1(以下照明器具1と称す)は、全体形状が前後方向に所定の長さを有する前後方向に長い形態をなし、照明部1Aとカメラ部50を備え、照明部1Aは、下方の道路等を所定の明るさで照明する部分であり、照明用発光ダイオードである複数のLED素子7が放射する光を所定の配光にて出射する発光部6を備える。照明器具1が道路に略直交状態に取り付けられた状態で、発光部6の出射光、すなわちLED素子7の出射光が道路の長手方向に配光されるよう、主として左右方向に長く広がる配光特性を有する照明器具1である。
【0026】
更に具体的には、照明器具1は、器具本体2と、照明器具1の下方領域を照明する発光部6を備える照明部1Aと、照明器具1の下方領域を撮影するカメラ部50と、を有する。
器具本体2は、下側面の略全域が開口するように前後方向に長い開口2Aを有する内部空間4を有し後部に支柱等の支持体へ締結バンドにて取り付けられる取り付け部10を備えた不透光性であり、開口2Aを塞ぐように器具本体2にネジにて取り付けられる不透光性の本体カバー22を有する。
【0027】
器具本体2は、上壁2Tと前記上壁2Tから下降する周囲壁2Sを有し、周囲壁2Sで囲まれた下側に開口する開口2Aを形成した内部空間4を有するアルミニウムのダイキャスト製等の熱良導材で前後方向に長い形態に構成され、図示していない支柱等の支持部へ締結バンドにて取り付ける取り付け部10を後部に備える。
【0028】
本体カバー22は、第1カバー221と第2カバー222とで構成される。第1カバー221は上面開口の容器形態をなすように平板状の底板部22Tの周縁部に上方へ突出する環状フランジが形成されている。
器具本体2の開口2Aの周縁部には環状の下向き開口の溝Mを有し、この溝Mに前記環状フランジが嵌り込むように、第1カバー221を本体2の開口部2Aに組み合わせた状態で、器具本体2の上壁2T内から垂下する取り付けボス2B1に、直接または金属製の取り付け補助板22Fを介してネジ1Gで着脱自在に止められる。これによって、前記環状溝と前記環状フランジが嵌り合う凹凸構成によって、器具本体2と第1カバー221との間が防水構造となる。
なお、下前記環状溝の上底にパッキンを収容すれば、このパッキンが前記環状フランジの上端によって圧縮される構成によって、更によい防水効果が得られる。
【0029】
第1カバー221は、斜め前上方に向けた傾斜配置となる平板状の底板部22Tの後部部分に、カメラ部50の中心軸線L1が直下方向に向くカメラ配置面となるカメラ部配置部225を設け、平板状の底板部22Tにサービス用開口226を有する。サービス用開口226は、後述の画像データを記録する外部記憶媒体(SSD)65の取り出しを行うためのものであり、器具本体2内に収容した各回路部分の点検や修理を容易に行うことも可能である。サービス用開口226は、カメラ部配置部225の前方部分の平板状の底板部22Tの大半が矩形状に開口形成された大きさである。
外部記憶媒体(SSD)65は、サービス用開口226の後方位置にて前端がサービス用開口226に臨むように、器具本体2に取り付けたホルダー65Hに前方へ取り出し可能に支持される。ホルダー65Hは、外部記憶媒体(SSD)65を前方へ引き出し可能に、取り付け補助板22Fとホルダー補助板65HAの組み合わせにて構成される。
【0030】
第2カバー222は、上面開口の容器形態をなすように平板状の底板部22Sの周縁部に上方へ突出する環状フランジが形成されており、この環状フランジの前壁が、第1カバー221の前端部に蝶番22Yによって第1カバー221に開閉自在に取り付けられる構成である。第2カバー222が第1カバー221に対して閉じたときサービス用開口226を塞ぎ、その状態で第2カバー222と第1カバー221との間はパッキンPK2を圧縮して水密状態となる。
第2カバー222が第1カバー221に対して開いたとき、サービス用開口226を器具本体2に下方へ開放状態とする。
第2カバー222が第1カバー221に対して閉じたとき、第1カバー221の平板状の底板部22Tと第2カバー222の平板状の底板部22Sは、略平行な並行状態となる。
第1カバー221は閉じた状態を保持するために、第1カバー221の係止部223に係脱する施錠機構22Pを備えている。施錠機構22Pは、防水のために開閉可能な施錠カバー22Kで覆われている。施錠カバー22Kで覆われた施錠機構22Pは、発光部6の左右間の中央後方位置にて底板部22Sに配置され、第2カバー222から若干下方へ突出状態にて、透過窓22A及び後述の透光性カバー23とカメラ部50との間に位置する。
【0031】
照明器具1内に配置した発光部6の発光光が下方へ透過するための本体カバー22に形成される透過窓22Aとして作用するように、第2カバー222には、その平板状の底板部22Sに発光部6からの発光光が下方へ通過する前後方向に長い矩形状の透過窓22Aが形成されている。透過窓22Aには、透過窓22Aを塞ぐように取り付けられた下方へ膨出する形状の透明または半透明の合成樹脂製の透光性カバー23を備え、底板部22Sは発光部領域を構成する。透光性カバー23は、上面開口の容器形態をなすように平板状の底板部23T の周縁部に上方へ突出する環状フランジが形成された皿状又は盆状であり、前記環状フランジが透過窓22Aの周縁部の内側面にパッキンPK1を圧縮して水密状態に取り付けられる。
この構成によって、第2カバー222の平板状の底板部22Sの延長線上において、透光性カバー23の平板状の底板部23Tは、底板部22Sと略平行な並行状態となる。
【0032】
透過窓22Aの周縁部にスペーサSPを介してネジにて透過窓22Aに並行状態(略平行状態)となるように、透過窓22Aの上方位置に放熱板9が取り付けられる。放熱板9は透過窓22Aを覆う大きさで前後方向に長い形態の平板状であり、この取り付けによって透過窓22Aが放熱板9によって上方から覆われた状態となる。放熱板9の下側面には前後方向に長い形態の発光部6が取り付けられる。
発光部6は、照明用LED素子(発光ダイオード)7が放射する光を所定の配光にて出射する部分であり、矩形状の平板状のLED取り付け回路基板5の下側面に前記LED素子が下方へ僅かに突出状態で配置され、LED素子7の発光を所定配光にて下方へ照射するための配光ユニット8を備える公知の構成である。
前記LED取り付け回路基板5はネジNJ2により放熱板9に取り付けられる。
配光ユニット8は、各LED素子7を覆うように回路基板5の下側面に重ね合わせ状態にネジNJ1にて放熱板9に取り付けられる。
この構成の発光部6は、透過窓22Aに対応するように前後方向に長い矩形状をなし、左右方向に長い所定の配光特性が得られるように、透過窓22Aの若干上方位置にて透過窓22Aに沿うように透過窓22Aと並行状態に配置される。
【0033】
LED素子7は、LEDチップ(ベアチップ)が黄色の蛍光剤入り封止材で封止された形態の白色発光素子であるが、1個のLEDチップ(ベアチップ)が黄色の蛍光剤入り封止材で封止された形態、または2個等複数のLEDチップ(ベアチップ)の直列接続されたものが複数並列接続され、これが黄色の蛍光剤入り封止材で封止された形態であってもよい。
【0034】
配光ユニット8は、電気絶縁性を有し透光性合成樹脂製で形成された平板状であり、回路基板5の下側面に密着状態で取り付けられ、LED素子7が放射する光を所定の配光にて出射する機能を有するために、平板状の板状部81には、各LED素子7に対応するよう板状部81から突出する配光部82を一体形成した公知の構成である。実施例の配光ユニット8は前後2枚で構成されるが、前後に長い1枚の矩形状であってもよい。
配光部82は、各LED素子7が個々に収容されるように回路基板5側に開口する凹部を形成した配光レンズ部82を構成する。配光レンズ部82は板状部81から下方へ向けて所定の曲率にて突出した曲面形状をなす。
【0035】
LED素子7の発光光が照明器具の左右方向へ長い配光をなすように、配光レンズ部82は、左右方向に長い半俵状・反円弧状等の形状をなす。これによって、LED素子7の発光光は、楕円形状・長円形状等の左右方向に長い配光特性をなす。
このため、後述のように、照明器具1が左右方向に延びる道路に対して略直行状態の配置となるように取り付け部10にて支柱等へ取り付けられた正規の状態で、配光レンズ部82によって、LED素子7の出射光が、照明器具1の前後方向への配光が抑制されて道路の長手方向に向かう配光となるよう、主として左右方向に長い配光となる配光特性である。
【0036】
上記のように発光部6は、放熱板9の下側面に回路基板5がネジ止めされることにより、発光部6は透過窓22Aの若干上方に位置し、LED素子7の発光光が配光部82を通して透過窓22Aから下方へ照射されると共に、発光部6から後方へ向かう光の一部は透過窓22Aの後端縁によって遮られる。
【0037】
また上記の状態で、LED素子7の発光熱は、回路基板5から放熱板9へ伝達され、器具本体2の内部空間4に放熱されて器具本体2から外方へ放散される経路と、回路基板5から放熱板9を通りスペーサSPを介して第2カバー222へ伝達されて、外方へ放散される経路にて放熱される。
【0038】
カメラ部50は、撮像部52、メモリ62及び信号処理部61を含む画像処理機能部60と、通信機能を有する出力部63、GPS情報取得部64及び制御部90を備え、 制御部90によって動作が制御される。
撮像部52は、光学レンズであるレンズ53と撮像素子54からなり、撮像素子54は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)54からなり、レンズ53から入射する入射光を受光し撮像素子54にて光電変換を行い入射光に対応する画像データを出力する。
メモリ62は、撮像素子54が出力する画像データを一時的に記憶する。
信号処理部61は、メモリ62に記憶された画像データを用いた信号処理(例えば、ノイズの除去、ホワイトバランスの調整等の処理)を行い、出力部63に供給する。
照明器具1は、カメラ部50の画像データを記憶する外部記憶媒体(SSD)65を取り出し可能に備える。
出力部63は、信号処理部61からの画像データを出力する機能を有し、信号処理部61からの画像データを外部記憶媒体(SSD)65に記録する。
【0039】
また、出力部63は、外部の装置との通信を行う通信インタフェースとして機能し、信号処理部61からの画像データを、照明器具1の外部にて操作されるマートフォンやパーソナルコンピュータ等の所定のパスワードを持つ携帯型外部端末機100にアンテナ70を介して無線通信する。この無線通信は、近距離無線通信の規格であるBluetooth(登録商標)、あるいは、無線LAN等によって実現する。
アンテナ70は、第1カバー221にその外側面に沿うように突出状態に取り付けられているが、透過窓22Aに臨むように第1カバー221又は第2カバー222内に配置し、透光性カバー23を通した通信が可能な構成でもよい。
GPS情報取得部64は、時刻情報をGPS衛星から取得するものであり、取得する画像データを時刻情報と関連付けてメモリ62に記憶するものであり、器具本体2の前端上部に取り付けた時間情報取得用のGPS用アンテナ75をGPS衛星と通信可能状態に備える。
【0040】
カメラ部50は、撮像部52やカメラ動作に必要な上記各回路を収容するために、カメラ部配置部225に取り付けられるカメラ本体部50Aと、カメラ本体部50Aに取り付けられる透光性ドーム51を備え、照明器具1の下方へ突出状態に取り付ける。透光性ドーム51は、不透光性であるその基部に対してレンズ53が覆われた下方へ突出する略半球形の透光性ドームカバー51Aを有する。透光性ドーム51は、その基部が特殊な工具でのみで操作可能な特殊ネジTNで以って90度間隔で4箇所をカメラ本体部50Aに取り付けるため、照明器具1の管理者のみが取り外しが可能となり、悪戯に操作されないような安全構成である。
カメラ本体部50A内には、画像処理機能部60、通信機能を有する出力部63、GPS情報取得部64及び制御部90を備える。透光性ドーム51内には、撮像部52を構成するレンズ53及び撮像素子54が配置され、カメラ部53は透光性ドームカバー51Aに対応して配置される。
レンズ53は、透光性ドーム51を取り外した状態で手動にてレンズ53の向きを調整可能としているが、電動式で回転可能とすることもできる。
【0041】
照明器具1が取り付け部10にて支柱等の支持体へ正規の取り付け状態において、カメラ部配置部225は略水平状態であり、第1カバー221の平板状の底板部22Tと第2カバー222の平板状の底板部22Sは、並行状態にて斜め前上方に向けた傾斜配置である。
照明器具1は、取り付け部10を支柱等の支持体へ正規の取り付け状態において、左右方向に延びる道路に対して平面視で略直行状態に交差する交差状態配置となる構成である。この状態で、
図3に示すように、照明器具1は前部が後部よりも水平軸H1に対して所定角度θで以って前上がり状態となり、発光部6はLED発光素子7の発光光が配光部82によって左右方向に長い配光特性となるため、左右方向に長い道路面に沿って照射する配光となる。
【0042】
この取り付け状態において、
図3に示すように、カメラ部50は、カメラの中心軸線L1が下方に延びる鉛直線Sと一致する状態が期待する正規の取り付け状態であり、これを基準としている。換言すれば、レンズ53が真下に向いた状態のレンズ53の中心軸線L2がカメラの中心軸線L1である。
カメラの中心軸線L1が鉛直線Sと一致するように照明器具1が取り付けられる状態が好ましい。しかし、実際の取り付け状態は、カメラの中心軸線L1が下方に延びる鉛直線Sと若干ずれる場合もあるが、カメラの中心軸線L1が下方に延びる鉛直線Sと略一致する状態であれば問題なく、所期の目的が達成されるため本発明の技術思想の範囲内である。
【0043】
レンズ53は、その全周囲がレンズホルダ53Hに保持された構成であり、中心軸線L1に対して所定角度α1の範囲内で中心軸線L1の周り360度回転可能であり、照明器具1の下方領域の撮影が可能となる。レンズ53は、レンズホルダ53Hに保持された構成であるため、レンズ53自体の形態及びレンズホルダ53Hによる撮影範囲が制限され、レンズ53の中心軸線L2に対して所定角度α2の広がり範囲内で中心軸線L2の周り360度の範囲が撮影可能である。
このため、カメラの中心軸線L1が鉛直線Sと一致するように照明器具1が取り付けられた状態では、鉛直線Sの周り360度の範囲の最大撮影範囲は、鉛直線Sに対してα1+α2の範囲となる。
【0044】
本発明は、下側が透光性カバー23で覆われ下方を照明する発光部6及び照明器具1の下方領域を撮影するカメラ部50が配置され、発光部6の後方にカメラ部50が配置され、発光部6は前後方向に所定の長さを有し主として左右方向に長く広がる配光特性を有し、カメラ部50は、レンズ53の向きが変更可能であり、照明器具1の正規の取り付け状態において、カメラ部50の中心軸線L1が直下方向に向き、発光部6は後方への発光光が抑制又は制限される前上がりの所定の傾斜配置である。
このため、支柱等の支持体へ照明器具1が正規の取り付け状態において、レンズ53の中心軸線L2が中心軸線L1または鉛直線Sに対して所定角度α1で以って照明器具1の前方方向へ向いた状態において、発光部6の発光光のうち透光性カバー23を通して直進又は屈折して後方へ向かう光がレンズ53に入射することにより、カメラ部50で取得する画像が白化するような画像の品質低下が生じない構成である。
このため、カメラ部50が、その中心軸線L1が直下方向に向く状態において、レンズ53が前方方向に向いた場合、発光部6及び透光性カバー23の配置が、発光部6の発光光のレンズ53への侵入が抑制又は制限される前上がりの所定の傾斜配置である。
【0045】
LED素子7の発光光のうち、レンズ53へ向かう光が遮断又は抑制される関係は、レンズ53が前方へ向く角度に対して、発光部6及び透光性カバー23が斜め前上方に向けた傾斜配置の角度θが大きければ大きい程、レンズ53へ向かう光が遮断又は抑制される効果が発揮できるが、照明器具1の本来の目的である道路等の所定領域を的確に照明する目的が達成できなくなるような傾斜配置とすることはできない。
このために一つの実施形態として、照明器具1は、左右方向に延びる道路に対して略直行状態の配置となるように、支柱等の支持体に取り付け部10で以って正規の所定の取り付け状態において、発光部6及び透光性カバー23は、前部が後部よりも所定角度θで前上がり状態となり、配光部82によって左右方向に長い配光特性をなすLED素子7の発光光は、左右方向に長い道路面に沿って照射する配光特性である。
【0046】
この場合、好ましい実施形態として、上記のように、LED素子7の発光光が配光部82を通して透過窓22Aから照射されるとき、後方に向かう発光光が透過窓22Aの後端縁によって遮られるように、発光部6が透過窓22Aよりも上方配置である。
その一つの実施例では、照明器具1が正規の取り付け状態において、最も好ましいのは、カメラの中心軸線L1が鉛直線Sと一致するように照明器具1が取り付けられた状態であり、その状態では、所定角度θは鋭角であり、略15度に構成している。また、中心軸線L1または鉛直線Sに対して所定角度α1は70度であり、所定角度α2は27.5度であるため、中心軸線L1または鉛直線Sを中心として92.5度で描かれる360度の範囲が撮影可能となり、この範囲で照明器具1の下方の道路を含む領域の画像を取得することができる構成である。
これによって、発光部6の発光光のうち透光性カバー23を透過してレンズ53へ侵入する光量を十分抑制でき、画像の品質低下をもたらすことを防止できることが実証されている。
【0047】
このように、発光部6は前後方向に所定の長さを有し主として左右方向に長く広がる配光特性を有する構成であり、且つ、照明器具1が正規の取り付け状態(中心軸線L1が鉛直線Sと一致状態または略一致状態)におけるカメラ部50に対する発光部4及び透光性カバー23の配置が、下方に向くカメラ部50の中心軸線L1に対して、発光部6の発光光のレンズ53への侵入が抑制又は制限される斜め前上方に向けた傾斜配置である。
実施形態では、照明器具1が正規の取り付け状態(中心軸線L1が鉛直線Sと一致状態または略一致状態)において、カメラ部50の中心軸線L1が鉛直下方に向き、発光部6は放熱板9の下側面に回路基板5がネジ止めされた状態で透過窓22Aの若干上方に位置し、LED素子7の発光光が配光部82を通して透過窓22Aから照射されるとき、後方に向かう発光光が、透過窓22Aの後端縁によって遮られレンズ53へ向かう光が遮断又は抑制される。このため、発光部6の後方に遮光壁を特別に立てることも不要とすることができる。
【0048】
また、カメラ部50の各回路や、発光部6に係る回路への12Vの直流電源となる電源回路95を有する。
発光部6に係る回路としては、発光部6のLED7の発光電力や、発光制御回路96への直流電源となる電源回路95を有する。発光制御回路96は、照明器具1の周囲の明るさを検知する照度センサ97の照度検知によって、夜間等のように暗くなった状態でLED7を発光させ、明るくなったときLED7を消灯させる作用をする。
照度センサ97は器具本体2の後壁を貫通する採光孔97Pに嵌合する採光材を通して照明器具1の周囲の照度を検出する。
実施例では、12Vの直流電源となる電源回路95は、照明部1Aとカメラ部50に共通の電源回路を構成している。
電源回路95は、器具本体2の後壁の貫通孔95Pに嵌合するゴムシール材を通過する配線で以って商用電力94が供給される。
なお、図では、照明器具1内の電気配線は省略している。
【0049】
器具本体2内には取り付けボスに金属製の取り付け板88がネジにて固定されている。取り付け板88の下側面の後部領域には、耐雷回路を含む発光制御回路96が外部記憶媒体(SSD)65の上方位置に配置される。取り付け板88の前部領域には、上面に電源回路95が取り付けられ、下面には画像処理機能部60、出力部63、GPS情報取得部64、制御部90及びカメラ部50の回路の保護回路等(これらを総称して500で表す)が取り付けられている。
図4に示すように、第2カバー222を第1カバー221から開いた状態で、サービス用開口226を通して器具本体2内に収容したこれらの各回路部分の点検や修理を容易に行うことができると共に、外部記憶媒体(SSD)の取り出しを行うことができる。
記憶した画像データを安全な状態で外部記憶媒体(SSD)の取り出しを行うために、器具本体2内に位置するように取り付け補助板22Fに取り付けた保全スイッチ110をOFFにした後に外部記憶媒体(SSD)の取り出しを行う。
【0050】
カメラ部50の取り付けに関係なく発光部6は放熱板9と共に第2カバー222に取り付けられる構成であるため、第2カバー222に放熱板9と共に発光部6を組み立てることができ、組み立て作業がし易くなる。
【0051】
上記の実施形態では、本体カバー22が第1カバー221と第2カバー222の二つの部分で構成されているが、このように分割構成ではなく単一構成の本体カバー22とし、この単一の本体カバー22の平板状の下側面に、第2カバー222の場合と同様に透過窓22Aを形成し、透過窓22Aを透光性カバー23で覆い、左右方向に長い所定の配光特性が発揮できるように、この透過窓22Aの若干上方に透過窓22Aと並行状態に発光部6を配置し、LED素子7の発光光が配光部82を通して透過窓22Aから下方へ照射されると共に、発光部6から後方へ向かう光の一部が、第2カバー222の場合と同様に透過窓22Aの後端縁によって遮られる構成とすれば、本発明の目的が達成され、上記同様の効果を奏することができる。
【0052】
即ち、照明器具1は、照明器具1の下方を照明する発光部6と、照明器具1の下方領域を撮影するカメラ部50を備え、下側面に前後方向に長い開口2Aを有する内部空間4を有し後部に支柱等の支持体へ取り付けられる取り付け部10を備えた不透光性の器具本体2と、前記開口2Aを塞ぐように器具本体2に取り付けられる不透光性の本体カバー22を有し、本体カバー22の下面は、前寄りに発光部6からの発光光が下方へ通過するよう透光性カバー23で覆われた透過窓22Aが形成される発光部領域と、後寄りにカメラ部50が下方へ突出状態に取り付けられるカメラ部配置部225を備え、発光部6は、前後方向に所定の長さを有し主として左右方向に長く広がる配光特性を有して透過窓22Aに臨む上方位置に透過窓22Aに沿って本体カバー22に取り付けられ、照明器具1が支持体へ正規の取り付け状態において、カメラ部配置部225はカメラ部50の中心軸線L1が直下方向に向くカメラ配置面であり、前記発光部領域は発光部6からカメラ部50へ向かう発光光が抑制又は制限される前上がりの所定の傾斜面である。
【0053】
防犯カメラ付き屋外用照明器具1が支柱等に設置された状態において、カメラ部50で撮影した画像が所定領域のものであるかの確認が必要である。このため、照明器具1の下方近傍において、スマートフォンやパーソナルコンピュータ等の所定のパスワードを持つ携帯型外部端末機100の操作により、無線通信にてアンテナ70及び出力部63の通信機能によって無線通信し、カメラ部50の画像データを外部端末機100に取り込み、外部端末機100の画面にて確認する。
その場合、カメラ部50の撮像が所定領域のものでない場合は、カメラ本体部50Aから透光性ドーム51を取り外し、外部端末機100の画面を見つつ内部のレンズ53の向きを手動操作にて所定の方向に調整し、所定の位置に調整することができる。
【0054】
防犯カメラ付き屋外用照明器具1は、上記のようなカメラ部50で撮影した画像が所定状態であるかの確認調整の場合や、カメラ部50が正常動作状態か異常状態かの確認等、照明器具1の状態表示を行うためのインジケータ40として、赤色LED40Rと青色LED40Bがインジケータ基板の下側面に取り付けられており、発光部6の後方でインジケータ基板が放熱板9の下側面に取り付けられる。この状態で、透光性カバー23を透過してインジケータ40の発光光が照明器具1の外部から視認できる配置である。この赤色LED40Rと青色LED40Bの発光パターンによって、種々の動作モードや故障等の警告を表示するようにしている。
【0055】
商用電力94が停電した時の照明用LED素子7及びカメラ部50の補助電源として、通常時は商用電力94で充電される蓄電池を器具本体2内に設け、電源回路95の取付け基板に配置され商用電力94が停電したことを検出する停電検出回路の動作によって、前記蓄電池からの電力によって照明部1A及びカメラ部50が動作状態を維持できるように構成できる。
【0056】
GPS用のアンテナ75を備えるため、照明器具1を第5世代移動通信システム(5Gという)の通信機能を備えるようにして、送受信機能を持つサーバ装置が有する車両の運転に係る通信情報の通信が、ネットワークを介して、またはネットワークに通信可能に接続された基地局を介して車両に備える車両側通信部と行われるようにすれば、照明器具1を中継機器として利用できる。それによって、高層ビルやその他の物体による通信障害が生じる場所においても、サーバ装置が有する車両の運転に係る通信情報に係る通信が車両側通信部との間で照明器具1を中継機器として行われることになり、通信障害を回避した安定通信システムが構築できる。
この場合の通信に係る回路は、専用の回路基板を取り付け板88に取り付ける構成とすればよい。
【0057】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内で変更可能な技術範囲を包含するものである。
【符号の説明】
【0058】
1・・・・・防犯カメラ付き屋外用照明器具
1A・・・・照明部
2・・・・・器具本体
2A・・・・開口
4・・・・・内部空間
5・・・・・回路基板
6・・・・・発光部
7・・・・・照明用LED素子
8・・・・・配光ユニット
10・・・・取り付け部
82・・・・配光部
9・・・・・放熱板
22・・・・本体カバー
22A・・・透過窓
23・・・・透光性カバー
40・・・・インジケータ
50・・・・カメラ部
50A・・・カメラ本体部
51・・・・透光性ドーム
51A・・透光性ドームカバー
52・・・・撮像部
53・・・・光学レンズ
54・・・撮像素子
60・・・画像処理機能部
61・・・信号処理部
62・・・メモリ
63・・・出力部
64・・・GPS情報取得部
65・・・外部記憶媒体(SSD)
70・・・・アンテナ
75・・・・時間情報取得用アンテナ
90・・・・制御部
95・・・・電源回路
96・・・・発光制御回路
97・・・・照度センサ
100・・・外部端末機
22・・・・本体カバー
221・・・第1カバー
222・・・第2カバー
225・・・カメラ部配置部
226・・・サービス用開口