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特許7350296スペクトル制御干渉法に基づく光学アライメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】スペクトル制御干渉法に基づく光学アライメント
(51)【国際特許分類】
   G01B 9/02004 20220101AFI20230919BHJP
【FI】
G01B9/02004
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019154311
(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公開番号】P2021032758
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】517188622
【氏名又は名称】アプレ インストゥルメンツ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APRE Instruments,Inc.
【住所又は居所原語表記】2440 West Ruthrauff Road, Suite 100, Tucson, AZ 85705 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】オルスザク アルトゥール
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0306575(US,A1)
【文献】特表2009-509150(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0041186(US,A1)
【文献】特開2011-252774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 9/00-9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に沿って光学要素を位置合わせするためのスペクトル制御干渉法であって、
スペクトル分布が変化する光ビームであって、干渉縞が前記光軸に沿った測定空間内で検出可能な時間的コヒーレンスを有する前記ビームを生成するスペクトル変調可能な光源を提供するステップと、
基準面および前記光軸に沿って所定の場所に配置された光学要素の表面からの反射によって形成されるコレログラムを生成するように前記光源を変調するステップと、
前記コレログラムが前記光学要素の光学アライメントを示す所定の構成を満たすように、前記光学要素の位置を調整するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記光軸に沿った前記所定の場所が、前記光源の変調周期の変化により決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光学要素が前記所定の場所に位置している場合に最大コントラストのコレログラムを形成するように、前記光源の前記変調周期を変更する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記コレログラムが、光源の変調の位相の変化により生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コレログラムが、光源の正弦波スペクトル変調によって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の構成がブルズアイ構成である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記基準面は前記光学要素の他の表面である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記変調するステップおよび調整するステップを、前記光軸に沿った対応する追加の所定の場所に配置された追加の光学要素のそれぞれについて繰り返すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記光軸に沿った前記対応する追加の所定の場所は、前記光源の変調周期の変化により決定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記追加の光学要素の各々が前記対応する追加の所定の場所に位置している場合に、最大コントラストのコレログラムを形成するように、前記光源の前記変調周期が変更される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コレログラムは、前記光源の変調の位相を変更することにより生成される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記コレログラムが、前記光源の正弦波スペクトル変調によって生成される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記所定の構成がブルズアイ構成である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記基準面が、前記追加の光学要素それぞれの他の表面である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
光軸に沿って光学要素を位置合わせするためのスペクトル制御干渉法であって、
スペクトル分布が変化する光ビームであって、干渉縞が前記光軸に沿った測定空間内で検出可能な時間的コヒーレンスを有する前記ビームを生成するスペクトル変調可能な光源を提供するステップと、
前記光軸に沿った所定の場所に光学要素を配置するステップと、
前記光学要素が所定の場所に位置している場合に最大コントラストのコレログラムを形成するように、光源の変調周期を変更するステップと、
検査面および前記光学要素の表面からの反射によって形成されるコレログラムを生成するために、正弦波状に光源の位相を変調するステップと、
前記コレログラムが、前記光学要素の光学アライメントを示す所定のブルズアイ構成を満たすように、前記光学要素の位置を調整するステップと、
前記光軸に沿った追加の所定の場所に追加の光学要素を配置するステップと、そして、
前記追加の光学要素を使用して、前記変更するステップ、変調するステップ、および調整するステップを繰り返すこと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に干渉法に関し、特に、スペクトル制御干渉法を使用して光学機器のコンポーネントを位置合わせする新しい方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学機器は非常に複雑であり、その性能はアセンブリ内の各光学要素の正確な位置決めに依存する。各要素はシステムの光軸内に配置し、位置合わせする必要がある。したがって、製造およびメンテナンスの目的でアライメントの問題に対処するために、さまざまな手法が開発されてきた。一般的な手法は、基準軸としてレーザービームを使用することである。機器の光学要素は、さまざまな要素の表面からの反射によって生じる干渉パターンを観察することにより、軸に沿った適切な場所に配置される。ただし、システム内の要素の数が増えるにつれて、これらの干渉パターンの解析はますます複雑になる。
【0003】
アライメントのためにレーザービームを使用する典型的なアライメントセットアップが図1に示されている。レーザー10は、スクリーン14の小さな穴を通して光学系を照射するために用いられるレーザービーム12を発する。高コヒーレンスビーム12がシステムの光軸16を通って伝播するとき、ビームの一部はシステム内のそれぞれの屈折要素で反射する(たとえば、レンズ22からのビーム18,20、レンズ28からのビーム24,26)。反射光はビーム12の照射方向とは反対の方向に伝播し、スクリーン14で観察できる。レーザービームは時間的コヒーレンスが高いため、反射光は干渉し、アライメントプロセスを導くために使用される特徴的な、いわゆるブルズアイパターン(bullseye patterns)を形成する。システムの最初の光学要素22は、通常、その光軸にビームを揃えて座標系を確立するために使用される。これは、スクリーン14上に形成された画像内で、対称的な構成を有するブルズアイが中心に位置するように要素を操作することにより行われ、それにより、図2に示すように、単一のレンズにより生成される典型的な干渉パターンを形成する。
【0004】
このようなブルズアイ干渉パターンの解析は、単一のレンズの場合のように、光学界面が2つしかない場合は簡単である。ただし、アライメント経路に追加される光学要素が増えると、システム内の各界面からのコヒーレント反射は一対ずつ干渉し、ミスアライメントの原因を判別するのが困難なパターンを生成するため、干渉パターンの解析が難しくなる。その結果、このアライメント方法でも自動化は困難であり、代わりに熟練した人員が必要となる。これらのことすべては大規模生産での使用に適していない。本発明は、スペクトル制御干渉法(SCI:Spectrally Controlled Interferometry)の特性を適用することによりこの問題に対処する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第8,422,026号明細書
【文献】米国特許第8,810,884号明細書
【文献】米国特許第8,675,205号明細書
【文献】米国特許第5,398,113号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明は、アライメント下の機器の光学トレインの他の構成要素とは独立して作成された干渉縞に基づいて、各コンポーネントの位置合わせを可能とする異なるアライメント処理に対して、スペクトル制御干渉法(SCI)の特性が有利に利用できるという認識にある。さらに、SCIは対象物を物理的に走査することなく、干渉縞の位相シフトを導入することを可能にする。したがって、これら2つの特徴は、アライメントプロセスの自動化に特に適している。
【0007】
SCIに基づくアプローチのもう一つの重要な利点は、最初の光学要素の光軸によって容易に確立できる明確な座標系を、空間内に生成できることである。オートコリメーションなどの従来技術の方法では、参照のための機械的手段を必要とし、典型的には高精度のエアベアリングスピンドル、その軸が位置合わせに使用される。このようなコンポーネントは高価であり、またアライメント処理にエラーをもたらす。
【0008】
最も一般的なアプローチによれば、本発明は、スペクトル変調可能な光源を使用して、スペクトル分布が変化する光ビームを生成する。すべてのSCIアプリケーションに関して、このような光源は、干渉縞が測定空間内で検出可能な時間的コヒーレンスを持つビームを生成するように変調される。光源によって生成されたビームは、まず機器の光軸に揃えられる。位置合わせされる最初の光学要素は、光軸に沿ったその所定の場所に配置される。次に、その要素の一方の面が光源によって生成される干渉ビームの基準面として使用されるように、光源のスペクトル変調を構成し、基準面および光学要素の他の面からの反射によりコレログラムが生成されるように光源のスペクトルが変調される。光学要素の正しい位置は、コレログラムが、所定の設計パラメーターを満たすブルズアイ構成と一致するように、その光学要素の位置を調整することによって決定される。最後に、同じ基準面を使用するか、または機器の光学トレインに沿ってすでに配置されている面からより適切な面を基準面として使用して、機器の他のコンポーネントを用い処理が繰り返えされる。各光学コンポーネントの位置合わせに使用されるブルズアイコレログラムを生成するために必要なスペクトル変調は、光源によって生成される光の位相の正弦波変調で実行されることが好ましい。
【0009】
本発明の別の態様によれば、機器の光軸に沿った適切な所定の場所に位置合わせされる光学要素を配置するプロセスは、その所定の場所で最大コントラストのコレログラムが形成されるように、光源の変調周期を変更することにより実行することができる。
【0010】
本発明のさらに別の態様によれば、SCI光源によって生成されたビームは、適切な光学系によって拡大され、より高解像度の干渉コレログラムが得られる。その結果、アライメント下の表面をキャプチャし、アライメントプロセスに影響する収差の存在など、光学系に関する詳細情報が提供できる。
【0011】
本発明の様々な他の利点は、以下の明細書の説明および添付の特許請求の範囲で特に指摘された新規の特徴から明らかになるであろう。したがって、上記の目的を達成するために、本発明は、以下の図面に例示され、好ましい実施形態の詳細な説明に完全に記載され、特に特許請求の範囲で指摘された特徴からなる。しかしながら、そのような図面および説明は、本発明を実施することができる様々な方法のうちのいくつかを開示するだけである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1はシステムの様々な要素をその光軸に位置合わせするための基準としてレーザービームを使用する従来のアライメントシステムの概略図である。
図2図2は従来技術のアライメント処理で形成される典型的なブルズアイ干渉パターンを示している。
図3図3は本発明によるスペクトル制御干渉法に基づくアライメントシステムを示している。
図4図4は本発明を実施するために必要な本質的なステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示で使用される「白色光」は、典型的には数ナノメートルのオーダーの帯域幅を有し、白色光干渉法(「WLI:White Light Interferometry」)の分野で使用されるあらゆる種類の広帯域光を指すものとする。WLIとCSI(コヒーレンススキャン干渉法)は同じ意味で使用される。一般に光に関して、「周波数」および「波長」という用語は、それらのよく知られている逆関係のために、当技術分野で一般的に行われているように、代替的に使用される。干渉測定における空間/時間の関係のため、「光路差」または「OPD」と「時間遅延」を代わりに使用することができる。干渉装置を参照して当技術分野で通常行われるように、「光路差」および「OPD」は、装置の検査アームと基準アームの光路の長さの差を指すためにも使用される。同様に、特に明記しない限り、「サイン」と「コサイン」、および関連する用語が代わりに使用される。干渉計の分野で通常行われているように、「基準面」および「基準光学系」という用語を代わりに使用してもよい。同様に、「検査面」、「測定面」、「検査物品」、「検査対象物」、「検査レンズ」および光学「要素」または「コンポーネント」の用語はすべて、測定の対象となる物品を指すために使用される。「光路差」または「OPD」および「時間遅延」は、干渉測定における空間/時間の関係のために代替的に用いてもよい。光学系の光学トレイン内の光学要素の位置合わせプロセスに関して、「配置された」および「意図された(または所定の)場所」という用語は、システムの光軸に沿った各光学要素の初期配置を指すために使用される。一方、「位置」、「位置決め」、「位置決めされた」は、アライメントプロセスでの、そのX/Y、チップ/チルト、Z配置を変更するプロセスにおける光学要素のさまざまな位置に関連して一般的に使用される。
【0014】
光源に関し「変調する」との用語および「変調」との用語は、最も広い意味において、光源によって生成されるエネルギーの周波数分布、振幅分布、または位相分布のどのような変更をも含意するものとし、また。所望の周波数、振幅、または位相分布を有する光信号を任意の手段によって合成することを含意する。干渉縞に関連して使用される場合、「変調」との用語は干渉縞の包絡線を指称する。スペクトル制御された光源または複数波長の光源の場合、「局在化した干渉縞」は、基準面から所定の距離に形成された明確に識別可能な干渉縞パターンを意味することを意図している。局在化した干渉縞は、それらを生成する表面および表面形状にどのように関係するかを示すために、それらが生成される表面に配置されると説明される。しかし、物理的にそのような局在化した干渉縞は単なる仮想的な干渉縞であり、実際の干渉縞は検出器の表面でのみ形成される。また、「空間の所定の位置に局在化した干渉縞を生成する」という表現および関連する表現が便宜上使用されるが、意図する正確な意味は、基準面に対して「干渉測定の環境を作り出し、それにより、検査面が空間内の所定の位置となるときに、明確に識別可能な干渉縞パターンを作り出す」ことであることが理解される。「縞」、「干渉縞パターン」、「干渉縞」、および「コレログラム」との用語は、当技術分野で通常付与される意味内で互換的に使用される。「干渉法」なる一般用語および関連する用語は、当技術分野で使用されているように広く解釈されるべきであり、画像形成干渉計を使用した形状測定に限定されない。したがって、干渉法は、任意の既知の干渉法技術を使用した、物体の位置の変化の測定、または光学要素の厚さの測定を含むことを意図している。最後に、「スペクトル制御可能な光源」なる用語は、スペクトル変調が可能な光源を意味する。たとえば、現在使用されているスペクトル変調が可能なレーザーのような単一成分のスペクトル制御可能な光源、またはブロードバンド光源と変調器を別々のコンポーネントとして含む光源のような多成分の光源である。
【0015】
本発明は、光学系の位置合わせを容易にするためのスペクトル制御干渉法の使用に基づいている。多数の共有出版物に記載されているように(たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)、スペクトル制御干渉法(SCI)は、コモンパス干渉計における従来の白色光干渉法(WLI)測定スキームの実施を可能にする干渉技術である。WLI(コヒーレンススキャン干渉法、CSIとしても定義されている)は、光のコヒーレンス長が通常数マイクロメートル程度であるため、従来のレーザー干渉法に存在する疑似干渉問題(コヒーレントノイズ)がないことを特徴としている。したがって、従来のアライメントシステムで使用されるコヒーレント光によって生成される複数の干渉縞パターンは、CSIシステムでは形成されない。
【0016】
SCIは、コモンパス干渉法とWLIの両方の利点をうまく組み合わせている。不平衡OPD干渉計において局在化した干渉縞を生成するため、干渉計の前方の広い空間で表面の測定を許容する。そのため、光学機器のさまざまな光学要素の軸上アライメントに適している。多くのSCI関連の開示および本明細書でさらに詳述するように、SCIの原理に従ってスペクトル制御可能な光源のスペクトル特性のみを操作することにより、解析に関する多くの異なる干渉技術を実行することができる。
【0017】
本質的に、スペクトル制御干渉法は、不均衡なOPD条件下で干渉計を使用して、基準面から所定の距離に局在化した干渉縞を形成する能力に基づいている。例えば、光源のスペクトルを変調することにより、そのような局在化した干渉縞を形成することが可能であり、変調の様式を変更することにより、干渉縞を位相シフトすることも可能であり、これにより、対象物または基準面を物理的に走査することなく、最新の干渉縞解析法を使用して検査物品の測定することができる。したがって、SCIは、WLIでの干渉計の実行と、前述の利点を備えた従来のレーザー干渉計モードに加えて、孤立した表面の測定を可能にし、干渉計の基準面からの距離の直接測定を可能にする。
【0018】
干渉計によって生成される干渉縞の分布および位相は、ウィーナー=ヒンチンの定理によって支配されており(Born M, Wolf E. , Principles of optics: electromagnetic theory of propagation, interference and diffraction of light, 7th Expand Ed., Cambridge, New York: Cambridge University Press; 1999参照)、光源のスペクトルパワー分布のフーリエ変換として表される。SCIは、光源のスペクトルを変調することで、空間内の干渉縞の位置と分布を定義することが可能であると教示している。平均波長λの光源の場合、以下の式1は、スペクトル変調の周期Δλの関数として、基準面からの干渉縞形成の位置L(すなわち縞コントラストのピーク)の距離を表す。
【0019】
【数1】
【0020】
たとえば、500nmの平均波長で動作する光源で基準面から1メートルの距離に干渉縞を形成するには、変調周期を0.125pmにする必要がある。この特性は、白色光の走査や位相シフト干渉アルゴリズムなど、干渉縞を解析するための当技術分野で使用される技術とともに、SCIを実施するための基礎となる。
【0021】
ほとんどの場合、正弦関数を使用してスペクトルを変調すると便利である。この関数は、干渉縞が見える測定空間内の単一の位置を生成する(他の位置は、測定空間の外側の共役位置と基準面のゼロOPDにある)。このような場合、干渉縞の位相は変調信号の位相に結び付けられる。以下の式2は、光源スペクトルの正弦波変調から生じる干渉パターンを示している。
【0022】
【数2】
【0023】
ここで、λは波長、zはゼロOPD点からの距離(基準面に対して)、Λは光源の全帯域幅、φはスペクトル変調の位相である。したがって、帯域幅と平均波長が固定された既知の光源がある場合、最も高いコントラストの干渉縞を生成するために必要な波長変調周期を決定することにより、基準面に対する検査表面の位置を決定することができる。
【0024】
SCIによって提供されるこれらの利点に基づいて、図3は、光学機器の位置合わせに適した例示的なシステムを概略的に示している。従来のアプローチのように、スペクトル制御可能な光源30を使用して、アライメント下の機器の軸に沿って狭いアライメントビーム32を生成する。しかし、図1に示されたスクリーン14の代わりに、ビームスプリッタ34が導入されている。ビームスプリッタ34は、光学系から反射された光を、干渉画像を観察し記録するために使用されるカメラ36に向ける。SCI光源30は、変調の位相および周期の両方に変化を生じさせて、光学系のさまざまな界面からの反射を選択的に干渉させるように制御される。SCIは光源の前の空間の所望の位置で低コヒーレンスの干渉縞を形成できるため、本発明は、システムの他の要素からの干渉なしに、機器の各光学コンポーネントを個別に解析し調整することができる。
【0025】
したがって、アライメント(位置合わせ)処理は、機器の光軸に沿った様々な光学要素のそれぞれからのみ選択的に反射した干渉ビームに依存する。まず、最初の光学要素38をその意図された場所に配置し、それをビーム32と位置合わせして基準座標系を確立することから開始する。通常、機器の光軸に沿った光の伝搬方向はZ方向として選択される。XとYはZに垂直な平面における直交方向であり、要素38の表面の1つの頂点、好ましくは最初の頂点が、座標系の原点として使用される。最初の光学要素38の2つの表面からの反射42および44は、距離Lがビーム32の光軸に沿った要素38の光学的厚さと等しくなるような式1に従って光源を変調することにより干渉する。この目的のために、要素38の2つの表面は基準面および検査干渉面とみなされ、それらに対する反射によって生成される干渉縞(ブルズアイ)は、位置合わせの目的で監視される。要素の位置は、ブルズアイパターンが光学適合パラメーターで測定される所定の構成を満たすことによってアライメント基準が満たされるようになるまで調整される(カメラで登録された干渉縞強度パターンの位置および対称性または位相を測定するなどによる)。
【0026】
次に、図3の要素40などの別の要素が、システムの意図された場所に追加され、要素の前面と背面の間で干渉を生成するために、光源が同じ方法で調整される。それからその要素は従来の方法を使用して位置合わせされ、可能な限りほぼ完璧なブルズアイとなるよう、結果として生じる干渉縞を縮小させる。そして、それは視覚的に干渉縞をモニターすることによって、または干渉縞パターン解析に基づくオートメーション化した処理によって行うことができる。2番目の要素が位置合わせさせた後、別の要素を導入することができる。そして、システム内のすべての要素が所定の品質管理パラメーターに従って位置決めされるまで、同様の処理が位置合わせされる要素に対して繰り返される。SCIは、ビーム32に沿った任意の2つの表面間の干渉によって生成されるコレログラムを形成する(したがって解析する)柔軟性を有するため、選択された表面によって生成される干渉縞のみがアライメントの目的で使用されるブルズアイパターンに寄与し、それによって従来のコヒーレント光システムにて存在する疑似干渉縞が回避される。
【0027】
さらに、従来の方法における、横方向位置X、Yおよび光学要素の傾きについてのアライメントに加えて、スペクトル変調された光源の使用は、SCIによって生成される干渉の局所的な性質のため、ビームのZ方向に沿ったそれぞれの要素の正しい位置(所定の設計位置)での配置を可能とする。また、スペクトル変調の周期を変更することにより、アライメント時に光学系内の空間の任意の位置に干渉縞を配置することができ、それによって絶対距離測定の必要性も満たすことができる。このような変調方法を白色光で使用すると、ビームパスに沿った光学要素を正確に検出できるため、必要な設計パラメーターに合わせてZ配置を調整できる。これは、他のアライメント方法にはない別のユニークな特徴である。
【0028】
また、SCIは、要素のアライメントのために測定された機器の光軸に沿った任意の実際の位置で、2つの表面における選択的な干渉縞の形成を可能にするので、アライメント処理中に測定される各新しい要素は、最後に測定された要素のZ位置の前方でも後方でも、機器の任意の場所に配置できることに留意することも重要である。各アラインメントステップは、コンピューターのアルゴリズムによって初期コレログラムが解析され、フィードバック信号を用いて、位置調整機構を駆動して、最後のコレログラムが所定のアライメントパラメータを満たすブルズアイパターンとなるまで要素を再配置する従来の自動化処理を適用することによって自動的に実行することができる。また、対象となる要素によって生成されたブルズアイパターンの形状をモニター上で見ている熟練したオペレーターによって視覚的に実行することも可能である。
【0029】
本発明の別の利点は、図3を参照して説明した狭いビームの代わりに、適切な光学系を使用して拡張ビームを生成するためSCI光源によって提供されるオプションにある。そうすることにより、位置合わせされた表面の高解像度の干渉画像をキャプチャし、光学系のアライメントに影響する収差の存在など、光学系に関するより多くの情報を提供できる。さらに、これらの条件下では、ブルズアイパターンに加えて、他の方法を使用して、各光学要素の正しいアライメント位置を見つけることができる。たとえば、波面の変調内容は、システム内の要素の位置に関する追加情報を提供できる。
【0030】
このように、X、Yおよびチップ/チルトのアライメントと同様に、Z位置について、光学系の要素を位置合わせするための新しい方法が開示された。この方法には、従来の手法に比べて2つの重要な利点がある。1つは、スペクトル変調の周期を適切に選択することにより、一度に2つのビームだけが選択的に干渉する能力であり、もう1つは、干渉縞に位相シフトを導入する能力である。これらにより、自動化された解析方法が可能となる。したがって、アライメントプロセスにおける干渉縞の解析および自動化が大幅に簡素化される。図4は、本発明の実施に含まれる重要なステップのフローチャートの概要である。実際の解決策は、特定の問題に対応するため、より複雑な形で最適化される可能性が高いが、本明細書で記載されている説明は、当業者が本発明の重要な態様を理解し構築することを可能にするための十分な基礎を提供している。
【0031】
本明細書では、最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるもので本発明を示し説明したが、そこからの逸脱が可能であることが認識される。例えば、基準面は、本開示全体にわたって、本発明に従って位置合わせされる1つの光学要素における表面の1つとして説明されているが、測定中に干渉波面の光軸に沿って配置される他の表面も同等の方法で使用できる。同様に、光学要素の正しいZ位置決めは、最大コントラストに対応する位置を特定するため、SCI光源の変調周期を変更することにより好適に実行される旨記載されている。しかしながら、当業者は、特許文献4に教示されている方法のような、テスト表面の正しいZ位置を識別するための他の技術も同様に使用できることを容易に理解するだろう。したがって、本発明は、開示された詳細に限定されるものではなく、あらゆる均等な装置および方法を含めて、請求項の全範囲が許可されるべきである。
【符号の説明】
【0032】
12,32・・・ビーム、16・・・光軸、30・・・光源、38,40・・・光学要素、42,44・・・反射
図1
図2
図3
図4