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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】包装容器内のガス濃度測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3504 20140101AFI20230919BHJP
【FI】
G01N21/3504
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019229615
(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公開番号】P2021096213
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000108281
【氏名又は名称】ゼネラルパッカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】大島 雅志
(72)【発明者】
【氏名】長田 直樹
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-014589(JP,A)
【文献】特開2010-038846(JP,A)
【文献】国際公開第2019/038444(WO,A2)
【文献】米国特許第06639678(US,B1)
【文献】欧州特許出願公開第02372344(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0113465(US,A1)
【文献】特開2010-107197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/83
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定波長のレーザー光を射出するレーザー発生部と、
前記レーザー光を受光するレーザー受光部を備えたレーザー式ガス濃度計を有し、
前記レーザー光をガス置換されて密封された包装容器に透過させて、前記包装容器の透過前後で変化する特定波長の吸収スペクトルに基づいて前記包装容器の内部に残留している特定ガスのガス濃度を測定する包装容器内のガス濃度測定方法であって、
前記包装容器の相対する側面部に、前記レーザー光が透過可能な、互いに対向する一対の透光部を設け、
前記包装容器に充填収納された充填物からなる被包装物上に、前記透光部の一方から他方にわたって溝部を形成し、
当該溝部に沿って、前記透光部を透過した前記レーザー光が透過可能な透光空間を形成して、
前記レーザー発生部から射出されたレーザー光が、一方の前記透光部から、前記透光空間、他方の前記透光部と透過して、前記レーザー受光部で受光されるようにしたことを特徴とする包装容器内のガス濃測定方法。
【請求項2】
特定波長のレーザー光を射出するレーザー発生部と、
前記レーザー光を受光するレーザー受光部を備えたレーザー式ガス濃度計を有し、
前記レーザー光をガス置換されて密封された包装容器に透過させて、前記包装容器の透過前後で変化する特定波長の吸収スペクトルに基づいて前記包装容器の内部に残留している特定ガスのガス濃度を測定する包装容器内のガス濃度測定方法であって、
前記包装容器の上面部に前記レーザー光が透過可能な上面透光部を、前記包装容器の底面部に前記レーザー光が透過可能な底面透光部を、それぞれ設け、
前記包装容器に充填収納された充填物からなる被包装物に、前記上面透光部と前記底面透光部にわたって孔部を形成し、
当該孔部に沿って、前記上面透光部又は前記底面透光部を透過したレーザー光が透過可能な透光空間を形成して、
前記レーザー発生部から射出されたレーザー光が、前記上面透光部から、前記透光空間、前記底面透光部と透過し、又は前記底面透光部から、前記透光空間、前記上面透光部と透過して、前記レーザー受光部で受光されるようにしたことを特徴とする包装容器内のガス濃度測定方法。
【請求項3】
特定波長のレーザー光を射出するレーザー発生部と、
前記レーザー光を受光するレーザー受光部を備えたレーザー式ガス濃度計を有し、
前記レーザー光をガス置換されて密封された包装容器に透過させて、前記包装容器の透過前後で変化する特定波長の吸収スペクトルに基づいて前記包装容器の内部に残留している特定ガスのガス濃度を測定する包装容器内のガス濃度測定方法であって、
前記包装容器の上面部に前記レーザー光が透過可能な上面透光部を、前記包装容器の底面部に前記レーザー光が反射可能な底面反射部を設け、
前記包装容器に充填収納された充填物からなる被包装物に、前記上面透光部と前記底面反射部にわたって孔部を形成し、
当該孔部に沿って、前記上面透光部を透過し、前記底面反射部に向かってレーザー光が透過可能な透光空間を形成して、
前記レーザー発生部から射出されたレーザー光が、前記上面透光部から前記透光空間を透過し、前記底面反射部で反射して、前記透光空間から前記上面透光部を透過して、前記レーザー受光部で受光されるようにしたことを特徴とする包装容器内のガス濃度測定方法。
【請求項4】
特定波長のレーザー光を射出するレーザー発生部と、
前記レーザー光を受光するレーザー受光部を備えたレーザー式ガス濃度計を有し、
前記レーザー光をガス置換されて密封された包装容器に透過させて、前記包装容器の透過前後で変化する特定波長の吸収スペクトルに基づいて前記包装容器の内部に残留している特定ガスのガス濃度を測定する包装容器内のガス濃度測定方法であって、
前記包装容器の相対する側面部に、前記レーザー光が透過可能な、互いに対向する一対の透光部を設け、
前記包装容器に収納された複数個の被包装物を、一の被包装物群と他の被包装物群に分けて、当該両被包装物群の間に前記透光部を透過した前記レーザー光が透過可能な透光空間を形成し、
当該透光空間の一端が一方の前記透光部と連接し、前記透光空間の他端が他方の前記透光部と連接するようにして、
前記レーザー発生部から射出されたレーザー光が、一方の前記透光部から、前記透光空間、他方の前記透光部と透過して、前記レーザー受光部で受光されるようにしたことを特徴とする包装容器内のガス濃度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス置換されて密封された包装容器内に残存する特定ガスのガス濃度を測定する包装容器内のガス濃度測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、包装袋を用いた包装工程において、被包装物の保存期間又は賞味期間を縮めるおそれのある特定の酸化原因ガスを含んだ包装袋内の空気を除去して、不活性ガス、たとえば窒素、二酸化炭素等にガス置換してから密封するガス置換包装が行われている。これによって、包装袋内部の酸化原因ガスは除去され、被包装物、特に食品は、長期の保存期間、賞味期間を確保することができる。
そして、ガス置換包装後の検査工程において、酸化原因ガス、特に酸素の濃度が既定値以下であるかどうか検査が行われている。
しかしながら、現在主流である酸素濃度の測定方法は、サンプルとして任意に選択した包装袋に注射針を刺し、包装袋内から吸引した少量のガスの組成を検査する抜き取り検査である。当該抜き取り検査では、注射痕が形成された包装袋は廃棄しなければならない。また、検査精度を上げるためにサンプル数を増やすと検査時間が長くなり、増加する廃棄量によって経済的、時間的損失が増大する不都合があった。
【0003】
これに対し、本願出願人は、包装袋を損傷することなく内部の特定ガスの濃度を測定可能なガス濃度測定装置を開発した。
特開2010-107197に開示されている包装袋のガス濃度測定装置1は、図8に示すように、発信器を有するレーザー発生部2と、当該レーザー発生部2に連接し、レーザー光が射出される主ヘッド3、並びに受信器を有するレーザー受光部4と、当該レーザ受光部4に連接し、レーザー光が入射される副ヘッド5とからなる。相対的に接近及び離隔自在に設けられた主ヘッド3と副ヘッド5は、、一対のグリップ6,6に把持された検査対象の包装袋Bを挟んで、主ヘッド3に対して副ヘッド5が正対するように配置されている。これによって、主ヘッド3から副ヘッド5へ最短距離でレーザー光が包装袋を透過することができ、包装袋内に残留している酸素等の特定ガスの濃度を測定する際に、包装袋の全数について当該包装袋を一切損傷することなく迅速に測定することができるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-107197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のガス濃度測定装置1は、予め成形した包装袋Bが包装機に供給され、当該包装袋Bの袋口近傍の両端をグリップ対6,6で把持し、充填物を充填する包装機に対応したものである。当該包装機の場合、包装袋一つ一つがグリップ対で把持されているため、レーザー式ガス濃度計の主ヘッドと副ヘッドの間に移送したとき、容易に固定することができ、精度の高い測定を行うことができる。
一方、包装機には、包装袋用の機器のみならず、所定の包装容器を用いるものがあり、当該包装容器をコンベアで移送するものがある。当該包装容器の一類型として、たとえば、レトルト白飯、或いはゼリー、ジャム等のように、所定の容器またはビンを用いて、容器の縁際まで充填するものが知られている。このような食品のレトルトパック、又は瓶詰製品は、容器又はビンを煮沸消毒すると共に、充填物を充填した後、窒素ガス等の不活性ガスでガスパージして、酸化及び腐敗防止に関する処理が行われている。
上記のような、パック容器又はビンの場合、上記の包装機のようにグリップ対で包装袋を個別に把持するものではなく、包装容器が個別にコンベア上を移送されるように構成されている。そのため、当該包装容器用の包装機では、上記のガス濃度測定装置1のように検査対象の包装容器を位置決めすることが困難である。
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、コンベア上を個別に移送される包装容器をレーザー式ガス濃度計で測定する包装容器内のガス濃度測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の包装容器内のガス濃度測定方法は、特定波長のレーザー光を射出するレーザー発生部と、
前記レーザー光を受光するレーザー受光部を備えたレーザー式ガス濃度計を有し、
前記レーザー光をガス置換されて密封された包装容器に透過させて、前記包装容器の透過前後で変化する特定波長の吸収スペクトルに基づいて前記包装容器の内部に残留している特定ガスのガス濃度を測定する包装容器内のガス濃度測定方法であって、
前記包装容器の相対する側面部に、前記レーザー光が透過可能な、互いに対向する一対の透光部を設け、
前記包装容器に充填収納された充填物からなる被包装物上に、前記透光部の一方から他方にわたって溝部を形成し、
当該溝部に沿って、前記透光部を透過した前記レーザー光が透過可能な透光空間を形成して、
前記レーザー発生部から射出されたレーザー光が、一方の前記透光部から、前記透光空間、他方の前記透光部と透過して、前記レーザー受光部で受光されるようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の包装容器内のガス濃度測定方法は、特定波長のレーザー光を射出するレーザー発生部と、
前記レーザー光を受光するレーザー受光部を備えたレーザー式ガス濃度計を有し、
前記レーザー光をガス置換されて密封された包装容器に透過させて、前記包装容器の透過前後で変化する特定波長の吸収スペクトルに基づいて前記包装容器の内部に残留している特定ガスのガス濃度を測定する包装容器内のガス濃度測定方法であって、
前記包装容器の上面部に前記レーザー光が透過可能な上面透光部を、前記包装容器の底面部に前記レーザー光が透過可能な底面透光部を、それぞれ設け、
前記包装容器に充填収納された充填物からなる被包装物に、前記上面透光部と前記底面透光部にわたって孔部を形成し、
当該孔部に沿って、前記上面透光部又は前記底面透光部を透過したレーザー光が透過可能な透光空間を形成して、
前記レーザー発生部から射出されたレーザー光が、前記上面透光部から、前記透光空間、前記底面透光部と透過し、又は前記底面透光部から、前記透光空間、前記上面透光部と透過して、前記レーザー受光部で受光されるようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の包装容器内のガス濃度測定方法は、特定波長のレーザー光を射出するレーザー発生部と、
前記レーザー光を受光するレーザー受光部を備えたレーザー式ガス濃度計を有し、
前記レーザー光をガス置換されて密封された包装容器に透過させて、前記包装容器の透過前後で変化する特定波長の吸収スペクトルに基づいて前記包装容器の内部に残留している特定ガスのガス濃度を測定する包装容器内のガス濃度測定方法であって、
前記包装容器の上面部に前記レーザー光が透過可能な上面透光部を、前記包装容器の底面部に前記レーザー光が反射可能な底面反射部を設け、
前記包装容器に充填収納された充填物からなる被包装物に、前記上面透光部と前記底面反射部にわたって孔部を形成し、
当該孔部に沿って、前記上面透光部を透過し、前記底面反射部に向かってレーザー光が透過可能な透光空間を形成して、
前記レーザー発生部から射出されたレーザー光が、前記上面透光部から前記透光空間を透過し、前記底面反射部で反射して、前記透光空間から前記上面透光部を透過して、前記レーザー受光部で受光されるようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の包装容器内のガス濃度測定方法は、特定波長のレーザー光を射出するレーザー発生部と、
前記レーザー光を受光するレーザー受光部を備えたレーザー式ガス濃度計を有し、
前記レーザー光をガス置換されて密封された包装容器に透過させて、前記包装容器の透過前後で変化する特定波長の吸収スペクトルに基づいて前記包装容器の内部に残留している特定ガスのガス濃度を測定する包装容器内のガス濃度測定方法であって、
前記包装容器の相対する側面部に、前記レーザー光が透過可能な、互いに対向する一対の透光部を設け、
前記包装容器に収納された複数個の被包装物を、一の被包装物群と他の被包装物群に分けて、当該両被包装物群の間に前記透光部を透過した前記レーザー光が透過可能な透光空間を形成し、
当該透光空間の一端が一方の前記透光部と連接し、前記透光空間の他端が他方の前記透光部と連接するようにして、
前記レーザー発生部から射出されたレーザー光が、一方の前記透光部から、前記透光空間、他方の前記透光部と透過して、前記レーザー受光部で受光されるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る包装容器内のガス濃度測定方法によれば、包装容器にレーザー光が透過可能な透光部を設け、包装容器に収納された被包装物に、透光部を透過したレーザー光が透過可能な透光空間を形成して、レーザー発生部から射出されたレーザー光が、透光部及び透光空間を透過して、レーザー受光部で受光されるようにした。
これによって、包装容器内の透光空間で、特定波長のレーザー光を特定ガスに吸収させることができるので、包装容器内に残留している特定ガスのガス濃度を測定することができる。
【0013】
また、好ましくは、被包装物が包装容器に充填される充填物の場合、包装容器の相対する側面部に互いに対向する一対の透光部を設け、当該充填物上に、一方の透光部から他方の透光部にわたって形成した溝部に沿って透光空間を形成するようにした。これによって、包装容器の縁際まで被包装物を充填させた場合であっても、レーザー光の光路を確保することができる。そのため、特定波長のレーザー光を特定ガスに吸収させることができるので、包装容器内に残留している特定ガスのガス濃度を測定することができる。
【0014】
そして、好ましくは、上記と同様に被包装物が充填物の場合、包装容器の上面部に上面透光部を形成し、底面部に底面透光部若しくは底面反射部を設けて、当該充填物に上面透光部と底面透光部又は底面反射部にわたって形成した孔部に沿って透光空間を形成するようにした。そして、上下方向にレーザー光を透過させるか、或いは、上面側から入射させたレーザー光を底面部で反射させて、再度上面側へ出射させるようにした。これによって、包装容器の縁際まで被包装物を充填させた場合であっても、レーザー光の光路を確保することができる。そのため、特定波長のレーザー光を特定ガスに吸収させることができるので、包装容器内に残留している特定ガスのガス濃度を測定することができる。
【0015】
さらにまた、包装容器に複数個の被包装物を収納するとき、包装容器内で被包装物を一の被包装物群と他の被包装物群に分けて、当該被包装物群の間に透光空間を形成し、当該透光空間の一端が一方の透光部と連接し、透光空間の他端が他方の透光部と連接することが好ましい。これによって、包装容器のに収納される被包装物が複数個であっても、レーザー光の光路を確保することができる。そのため、特定波長のレーザー光を特定ガスに吸収させることができるので、包装容器内に残留している特定ガスのガス濃度を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施例に係るガス濃度測定方法に関する装置の構成の概略を示す平面図である。
図2】第1実施例に係るガス濃度測定方法に関する装置の構成の概略を示すコンベアの幅方向に沿った側面図である。
図3】第1実施例に係るガス濃度測定方法の概略を説明する説明図である。
図4】第1実施例に係るガス濃度測定方法に関する包装容器の構成の概略を示す側面図である。
図5】第2実施例に係るガス濃度測定方法に関する装置の構成の概略を示す平面図である。
図6】第2実施例に係るガス濃度測定方法に関する装置の構成の概略を示すコンベアの幅方向に沿った側面図である。
図7】第3実施例に係るガス濃度測定方法に関する装置の構成の概略を示す平面図である。
図8】従来のガス濃度測定装置の構成の概略を示す平面図である。
【実施例1】
【0017】
本発明に係る包装容器内のガス濃度測定方法の実施例について、添付した図面にしたがって説明する。図1及び図2は、第1実施例に係る包装容器内のガス濃度測定方法を行うガス濃度測定装置の構成の概略を示す平面図、右側面図である。本実施例に係る包装容器内のガス濃度測定方法を説明する前に、ガス濃度測定装置の構成について概略を以下説明する。
【0018】
ガス濃度測定装置10は、包装容器Pを移送するコンベア11と、当該コンベア11上の所定の位置で包装容器P内のガス濃度を測定可能なレーザー式ガス濃度計12とを有する。
【0019】
コンベア11は、図1に示すように、始端側に主ロータ15a、終端側に従ロータ15bを有し、当該主従ロータ15a,15b間に所定の張力で張設された移送ベルト16を有している。
主ロータ15aは、所定の回転数で間欠的に動作するステッピングモータ17によって、移送ベルト16をコンベア11の主ロータ15aがある始端側から、従ロータ15bのある終端側に向って順方向へ送るように形成されている。本実施例に係るステッピングモータ17は、回動時間0.8秒、停止時間0.7秒の周期で間欠動作し、40rpmの回転数で順方向に回転するように形成されている。
従ロータ15bは、移送ベルト16を介して、主ロータ15aに従動するように形成されている。
移送ベルト16上には、包装容器Pが所定の向きで載置されている。移送ベルト16上に載置される複数個の包装容器Pは、所定の間隔で本実施例に係るガス濃度測定装置10外から供給される。移送ベルト16の長手方向に沿った中央近傍には、図1及び図2に示すように、当該移送ベルト16を挟んでレーザー式ガス濃度計12が配置されている。
コンベア11は、包装容器Pがレーザー式ガス濃度計12に挟まれた所定位置に到達したとき、ステッピングモータ17が移送ベルト16を停止させるように形成されている。当該停止時間内に包装容器Pに対してレーザー光を投射することによって、レーザー式ガス濃度計12は、包装容器P内のガス濃度を測定することができる。
【0020】
レーザー式ガス濃度計12は、図1及び図2に示すように、コンベア11を挟んで対向配置された主ヘッド20と副ヘッド21を有している。主ヘッド20は、特定波長のレーザー光を射出可能に形成されている。副ヘッド21は、主ヘッド20から射出されたレーザー光が、コンベア11上の包装容器Pを通過してから、受光するように構成されている。
特定波長のレーザー光が、包装容器P内に残留している測定対象の特定ガスによって吸収されたとき、副ヘッド21で受光したレーザー光の吸光度に基づいて、包装容器P内に残留している特定ガスのガス濃度を測定することができる。
【0021】
主ヘッド20は、図1及び図2に示すように、特定波長のレーザー光を射出するレーザー発生部22を有している。レーザー発生部22は、レーザー光源23と、当該レーザー光源から射出するレーザー光の波長を特定の波長に設定し、所定の光強度に調整する制御部24とからなる。
レーザー光源23は、波長が可変可能なダイオードからなる半導体レーザー素子(図示略)を備え、近赤外領域のレーザー光を出力可能に形成されている。
制御部24は、半導体レーザー素子から出力されるレーザー光の波長を測定対象の特定ガス固有の特定波長に調整して、レーザー光が所定の入射光強度で射出されるように増幅する制御を行うように形成されている。
ここで、本実施例に係るレーザー式ガス濃度計12が測定する特定ガスは、酸素ガス(O)である。当該酸素ガス固有の吸収波長帯は760nm帯であり、当該吸収波長帯に含まれる複数の吸収線のうち、一の吸収線に係る特定波長がレーザー光の出力波長として選択される。
また、主ヘッド20は、図2に示すように、コンベア11の幅方向に沿って移動可能に形成されている。これによって、包装容器Pの大きさに合わせてコンベアの幅方向端部から中央に向って移動するように形成することができる。
【0022】
主ヘッド20は、レーザー光源23に連接する鏡胴25を有し、当該鏡胴25の包装容器Pと対向するレーザー出射口25aには、近赤外領域の光を通しやすいサファイヤガラスが嵌め込まれている。
鏡胴25には、ガスバルブ(図示略)が設けられている。これによって、鏡胴25内の大気を真空化又は所定のガスへガスパージすることができ、鏡胴25内を真空で維持したり、或いは鏡胴25内の大気を窒素ガス、又は二酸化炭素或いはこれらに類する不活性ガス類へガス置換することができる。そのため、レーザー光は、レーザー光源23からレーザー出射口25aを通じて射出されるまでの間に、鏡胴25内で特定ガス、本実施例においては酸素ガスに吸収されることを防止することができるので、ガス濃度測定の精度を向上させることができる。
また、主ヘッド20は、図2に示すように、コンベア11の幅方向に沿って移動可能に形成したので、包装容器Pの側面部に対して、鏡胴25の先端部に設けたレーザー出射口25aを当接させることができる。これによって、レーザー出射口25aと包装容器Pとの間の大気の影響を極めて低くすることができるので、測定精度を向上させることができる。
【0023】
副ヘッド21は、図1及び図2に示すように、レーザー光を受光するレーザー受光部30を有している。レーザー受光部30は、包装容器Pを透過したレーザー光を受光する受光センサ31と、当該受光センサ31からの受光信号に基づいて、ガス濃度を測定する測定部32とを有している。
受光センサ31は、包装容器Pを透過したレーザー光の透過光強度を電気的な透過光信号に変換する素子、たとえば、フォトダイオード(図示略)を有している。これによって、包装容器Pを透過したレーザー光の透過光強度を電気的に処理することができる。
測定部32は、透過光強度に係る透過光信号と、主ヘッド20から出力されたレーザー光の入射光強度に係る入射光信号に基づいて透過率を計算し、当該透過率に基づいてレーザー光の特定ガスによる吸光度を求め、当該吸光度に基づいて包装容器P内の特定ガスの濃度を測定するように形成されている。
また、副ヘッド21は、図2に示すように、コンベア11の幅方向に沿って移動可能に形成されている。これによって、包装容器Pの大きさに合わせてコンベアの幅方向端部から中央に向って移動するように形成することができる。
【0024】
フォトダイオードを内蔵した受光センサ31は、包装容器Pと対向するレーザー受光口31aに、鏡胴25と同様に、近赤外領域の光を通しやすいサファイヤガラスが嵌め込まれている。
受光センサ31のケーシングにもまた、鏡胴25と同様に、ガスバルブ(図示略)が設けられている。これによって、受光センサ31内の大気を真空化又は所定のガスへガスパージすることができ、受光センサ31内を真空で維持したり、或いは受光センサ31内の大気を窒素ガス、又は二酸化炭素或いはこれらに類する不活性ガス類へガス置換することができる。そのため、レーザー光は、レーザー受光口31aからフォトダイオードで受光されるまでの間に、受光センサ31内で特定ガス、本実施例においては酸素ガスに吸収されることを防止することができるので、ガス濃度測定の精度を向上させることができる。
また、副ヘッド21は、図2に示すように、コンベア11の幅方向に沿って移動可能に形成したので、包装容器Pの側面部に対して、受光センサ31の先端部に設けたレーザー受光口31aを当接させることができる。これによって、レーザー受光口31aと包装容器Pとの間の大気の影響を極めて低くすることができるので、測定精度を向上させることができる。
【0025】
このように、レーザー式ガス濃度計12は、図1又は図2に示すように、レーザー発生部21を備えた主ヘッド20からレーザー光を射出し、当該レーザー光を測定対象の包装容器Pに透過させて、レーザー受光部30を備えた副ヘッド21で包装容器Pを透過したレーザー光を受光するように構成されている。
【0026】
ここで、レーザー式ガス濃度計12は、波長可変半導体レーザー吸収分光法によって、所定のセル内に封じられた特定ガスのガス濃度を分析する計器である。
波長可変半導体レーザー吸収分光法(Tunable Diode Laser Absorption Spectroscopy:TDLAS)とは、図3に示すように、レーザー光源の半導体レーザー素子から出力されたレーザー光に係る所定の入射光強度と、測定対象となる特定ガスを含んだ気体を封じたセルを透過して、当該特定ガスに吸収された透過後のレーザー光に係る透過光強度とから透過率を求めて、透過率に基づくレーザー光の吸光度からガス濃度を測定する方法である。
本実施例に沿っていえば、図1又は図2に示すように、主ヘッド20のレーザー発生部21に設けたレーザー光源23から出力したレーザー光を、酸素ガスが混入したおそれのある窒素ガスで満たされた包装容器Pを透過させて、酸素ガスに吸収された透過後のレーザー光を副ヘッド21のレーザー受光部30に設けた受光センサ31で受光し、透過光強度から透過率を求めて、当該透過率に基づくレーザー光の吸光度からガス濃度を測定する方法である。
【0027】
酸素ガス、窒素ガス等の気体は、それぞれ固有の吸収波長帯を有し、当該吸収波長帯にはより強く光を吸収する波長に係る吸収線が複数本含まれていることが知られている。TDLASは、出力するレーザー光の近赤外領域の波長を、測定対象となる特定ガスの複数本の吸収線のうち、一本の吸収線に係る特定波長に合致するように変調し、増幅するように構成されている。そして、セルの透過前後で変化する特定波長の吸収スペクトルに基づいてレーザー光の吸光度を求めてガス濃度を測定している。なお、本実施例において測定対象ガスは酸素ガスであって、当該測定対象ガスを封じるセルは包装容器Pである。また、酸素ガス固有の吸収波長帯は760nm帯であり、当該吸収波長帯に含まれる複数の吸収線のうち、一の吸収線に係る特定波長がレーザー光の出力波長として選択される。
【0028】
波長可変半導体レーザー吸収分光法(TDLAS)は、ランバート・ベールの法則に基づいてガス濃度を測定するものである。ランバート・ベールの法則とは、図3に示すように、入射光強度をI、包装容器Pを透過した透過光強度をIt、入射光に対する透過光の透過率をTとして、光路長をL、ガス濃度をCとすると,特定波長の吸収スペクトルで射出されたレーザー光の吸光度Aとの間に、数式1が成立する関係である。ここでεは測定対象となる所定のガスがレーザー光を吸収する固有の吸収係数である。
【0029】
【数1】
【0030】
コンベア11を挟んで対向する主ヘッド20のレーザー出射口25aと副ヘッド21のレーザー受光口31aとの間の距離から、光路長Lは容易に求めることができる。そのため、入射光に対する透過光の透過率T、または包装容器P内で酸素ガスに吸収されたレーザー光の特定波長に係る吸収スペクトルの吸光度Aを得ることが出来れば、包装容器P内に残留している酸素ガスに係るガス濃度Cを求めることができる。
ここで、酸素ガスは包装容器Pに密封されているから、ガス濃度Cを定量測定する場合、入射光に対する透過光の透過率T又は吸収スペクトルの吸光度Aが大きく変化するように、すなわち、吸光度Aに比例する光路長Lを長くするとガス濃度の検知感度を向上させることができる。
すなわち、図1に示した本実施例に係るレーザー式ガス濃度計12は、副ヘッド21のレーザー受光口31aを主ヘッド20から射出されるレーザー光の光軸上に配置したが、これに限定されず、たとえば、反射鏡を設けて、主ヘッド20と副ヘッド21間でレーザー光を複数回反射させたり、また、レーザー光線が包装容器Pを斜めに横断するようにレーザー光を通過させて、光路長Lを長く確保するようにしても良い。
このように検知感度を向上させることによって、たとえば数ppmレベルのガス濃度まで検知できるように検知可能範囲を広げた場合、数%レベルのガス濃度の測定は容易に行うことができ、その測定精度を大きく向上させることができる。
【0031】
本実施例に係る包装容器Pは、図4に示すように、被包装物40が収納された容器本体41と、容器本体41を密封する蓋部42からなる。容器本体41は、図1に示すように平面視したとき、略矩形状に形成されており、相対する側面部43,43にそれぞれレーザー光が透過可能な透光部44,44が形成されている。透光部44は、図3で点線で示したように透明な素材からなる窓に形成されている。これによって、一方の側面部43に設けた透光部44に対してレーザー光が投射されたとき、当該レーザー光を、他方の側面部43に設けた透光部44に透過させることができる。
なお、本実施例に係る透光部44で示した窓に限定されず、たとえば、側面部43全体若しくは、容器本体41全体を透明な素材から形成しても良く、また側面部43又は容器本体41が着色されていた場合であっても、少なくとも透光部44が、レーザー式ガス濃度計12の近赤外領域のレーザー光が透過可能である色、又は半透明な素材であれば良い。
【0032】
容器本体41に収納された被包装物40は、図1及び図2、並びに図4に示すように、容器本体41に充填された充填物である。そして当該充填物の上面に溝部45が形成されている。溝部45は、一方の透光部44から他方の透光部44にわたって被包装物40を横断するように形成されている。そして、溝部45に沿って、一方の透光部44から、他方の透光部に向って、透光空間45aが形成される。これによって、一の透光部44に入射されたレーザー光は、被包装物40に遮られまた散乱することなく他方の透光部44を透過することができる。
容器本体41に収納される被包装物40は、容器本体41に充填可能な流動性の小さいものであることが好ましく、たとえば、ご飯のような互いに粘着性のある粒体のもの、又は味噌、ジャム、ワサビ、カラシ、マヨネーズのようなペースト状のもの等が有り、そして、溝部45が形成可能であれば、たとえば、ゼリーのような半固体又は豆腐のような固体のものでも良く、さらには、煮豆、佃煮、漬物のような細かなものであっても良い。すなわち、一の透光部44から他の透光部44へレーザー光を透過させなければならないガス濃度測定時に、溝部45の形状を維持してレーザー光が被包装物40に触れないようにすることが出来れば充分であって、その後、時間がたつにつれて又は包装容器Pを運搬している際に被包装物40が均されて溝部45が消滅しても良いからである。そのため、充填物40の充填前に予め溝部45を形成してから包装容器Pへ充填しても良く、又は包装容器Pへ被包装物40を充填してから、棒体を被包装物40表面に押し当てて溝部45を形成するようにしても良い。
なお、本実施例に係る包装容器Pは、略矩形状の平たい合成樹脂製の容器本体41にレトルト白飯を充填したものであるが、これに限定されるものではなく、包装容器Pは、たとえば、ガラス瓶、プラスチックケース、チューブ等、レーザー光が透過可能な透光性を有する容器であっても良い。
【0033】
上記の構成を有するガス濃度測定装置10を用いて、本実施例に係る包装容器P内のがガス濃度測定方法が実行される。添付した図面にしたがって説明する。
【0034】
測定対象の包装容器Pは、図4に示すように、容器本体41に被包装物40が収納されるように形成されている。ここで、被包装物40は、包装容器Pに充填される充填物である。当該被包装物40上に溝部45が形成される。当該溝部45は、包装容器Pの容器本体41で相対する側面部43,43にそれぞれ形成した透光部44,44のうち、一の透光部44から他の透光部44にわたって形成されている。これによって、溝部45に沿って、包装容器P内に透光空間45aが形成される。
溝部45を備えた被包装物40が充填された容器本体41は、容器内が窒素ガス等の不活性ガスにガス置換され、蓋部42でシールされて密封される。密封された包装容器Pは、ガス濃度測定装置10のコンベア11上に載置される。コンベア11は、始端側から終端側に向って複数個の包装容器Pを間欠動作で順次移送する。
【0035】
レーザー式ガス濃度計12は、コンベア11を挟んで主ヘッド20と副ヘッド21が配置されており、包装容器Pが主ヘッド20と副ヘッド21との間に移送されてきたとき、コンベア11は所定周期で間欠動作するステッピングモータ17によって、一時的に停止する。コンベア11が一時停止したとき、包装容器Pは、透光部44,44が主ヘッド20と副ヘッド21の間の所定位置に配置される。
そして、この停止時間内に、レーザー式ガス濃度計12は包装容器Pにレーザー光を照射して、包装容器P内に残留している酸素ガスのガス濃度を測定する。
主ヘッド20に設けたレーザー発生部22から射出されたレーザー光は、包装容器Pの側面部43に設けられた一の透光部44から入射し、溝45に沿って被包装物40上を透過し、他の透光部44を透過して、副ヘッド21に設けたレーザー受光部30で受光される。受光されたレーザー光の透過光強度と入射光強度を比較して、吸光度を求め、当該吸光度に基づいて、包装容器P内のガス濃度が測定される。
このとき、主ヘッド20又は副ヘッド21が包装容器Pに向って互いに接近し、主ヘッド20のレーザー発生部22が有する鏡胴25先端に設けたレーザー出射口25a、及び副ヘッド21のレーザー受光部30が有する受光センサ31先端に設けたレーザー受光口31aがそれぞれ包装容器Pの透光部44,44に当接するようにしても良い。これによって、レーザー出射口25a又はレーザー受光口31aと包装容器Pとの間の大気の影響を極力排除することができるので、包装容器P内の測定精度を高めることができる。
レーザー光が照射された包装容器Pは、コンベア11の下流側に流され、当該コンベア11の終端側から、たとえば、出荷工程へ移動するように形成されている。ここで、レーザー式ガス濃度計12で測定した結果、ガス濃度が所定の濃度よりも高く、検査に不合格となった包装容器Pは、当該出荷工程へは移動せず排除される。
【実施例2】
【0036】
次に、本発明に係る包装容器内のガス濃度測定方法の第2実施例について、添付した図面にしたがって説明する。図5又は図6は、第2実施例に係る包装容器内のガス濃度測定方法を行うガス濃度測定装置の構成の概略を示す平面図、右側面図である。図5は、レーザー式ガス濃度計12を省略しており、図6は、図5のA-A線断面図に係る構成の概略を示したものである。
【0037】
第2実施例は、包装容器P2の構成と、レーザー式ガス濃度計の取り付け方、及び測定方法が第1実施例と相違する。
レーザー式ガス濃度計12Aは、第1実施例と主ヘッド20Aと副ヘッド21Aの取り付け角度が相違している。レーザー発生部22とレーザー受光部30の構成は第1実施例と同じであるから説明を省略する。
主ヘッド20Aと副ヘッド21Aは、図6に示すように、互いにコンベア11Aに対して所定の角度で傾けて取り付けられている。当該所定角度は、レーザー発生部22の鏡胴25のレーザー出射口25aから出射したレーザー光が、コンベア11Aの移送ベルト16A表面で反射して、レーザー受光部30の受光センサ31のレーザー受光口31aで受光可能な角度である。このように、レーザー光を反射可能とすることによって、図6に示すように、被包装物50に挟まれた比較的狭い透光空間であっても、ガス濃度の測定に十分な光路長を確保することができる。
【0038】
また、コンベア11Aの移送ベルト16Aは透明で可撓可能な合成樹脂材からなる。コンベア11Aの主ヘッド20Aと副ヘッド21A間の移送ベルト下面には鏡体を備えたテーブル(図示略)が鏡面(図示略)を上にして配置されている。これによって、主ヘッド20Aのレーザー発生部22から射出されたレーザー光は、移送ベルト16Aで反射して、副ヘッド30で受光することができる。
なお、レーザー光を反射可能に構成するのであれば、たとえば、移送ベルト16A自体に金属箔を蒸着させるようにしても良い。
【0039】
本実施例に係る包装容器P2は、図5及び図6に示すように、被包装物50が収納された容器本体51と、容器本体51を密封する蓋部52からなる。
容器本体51は、図5に示すように平面視したとき、略矩形状に形成されており、容器本体51の底面には、所定位置にレーザー光が透過可能な底面透光部51aが形成されている。
蓋部52は、容器本体51の底面透光部と対向する所定の位置に上面透光部52aが形成されている。これによって、図6に示すように、上面透光部52aに対してレーザー光が投射されたとき、当該レーザー光は、底面透光部52aを透過して、移送ベルト16Aで反射し、再度、上面透光部52aを透過させることができる。
【0040】
なお、本実施例に示したように上面透光部52aと底面透光部51aの構成ではなく、底面内側面に金属箔を蒸着させる等して、容器本体51の底面にレーザー光を反射可能な底面反射部(図示略)を形成し、上面透光部52から入射したレーザー光を、底面反射部で反射させて、再度上面透光部52aを透過させるようにしても良い。このように構成しても、上記と同様にレーザー光で包装容器P2内の残留ガス濃度を測定することができる。
また、容器本体51又は蓋部52が着色されていた場合であっても、少なくとも上面透光部52a及び底面透光部51aが、レーザー式ガス濃度計12の近赤外領域のレーザー光が透過可能である色、又は半透明な素材であれば良い。
【0041】
容器本体51に収納された被包装物50は、図5図6に示すように、容器本体51に充填された充填物である。充填物は粘性が有る物体であって、図5に示すように、容器本体51の中央部に上下方向に貫通する孔部55が所定時間形成されるものである。図5に例示した被包装物50は、容器本体51の四隅近傍に粘性のある被包装物を配置して中央部に略ひし形状の孔部55が形成されている。なお、孔部55が形成可能であれば、図5に例示したように収納することに限定されず、たとえば、被包装物50に孔部55を形成してから容器本体51へ収納するようにしても良い。
そして、孔部55に沿って、上面透光部52aから、底面透光部51aに向って、透光空間55aが形成される。これによって、上面透光部52aに入射されたレーザー光は、被包装物50に遮られまた散乱することなく底面透光部51aを透過して、移送ベルト16Aで反射し、再度底面透光部51a、透光空間55a、上面透光部52aを透過することができる。
容器本体51に収納される被包装物50は、容器本体51に充填可能な流動性が小さく、粘性が高いものであることが好ましく、たとえば、つきたての餅、又は味噌、ジャム、ワサビ、カラシ、マヨネーズのようなペースト状のもの等が有り、そして、孔部55が形成可能であれば、たとえば、ゼリーのような半固体又は豆腐のような固体のものでも良い。すなわち、上面透光部52aから底面透光部51a間でレーザー光を反射、透過させなければならないガス濃度測定時に、孔部55の形状を維持してレーザー光が被包装物50に触れないようにすることが出来れば充分であって、その後、時間がたつにつれて又は包装容器P2を運搬している際に被包装物50が均されて孔部55が消滅しても良いからである。そのため、被包装物50の充填前に予め孔部55を形成してから包装容器P2へ充填しても良く、又は包装容器P2へ被包装物50を充填してから、棒体を被包装物50表面に押し当てて孔部55を形成するようにしても良い。
なお、本実施例に係る包装容器P2は、略矩形状の平たい合成樹脂製の容器本体51に餅を4つ充填したものであるが、これに限定されるものではなく、包装容器P2は、たとえば、ガラス瓶、プラスチックケース、チューブ等、レーザー光が透過可能な透光性を有する容器であっても良い。
【0042】
上記の構成を有するガス濃度測定装置10Aを用いて、本実施例に係る包装容器P2内のガス濃度測定方法が実行される。添付した図面にしたがって説明する。
【0043】
測定対象の包装容器P2は、図4に示すように、容器本体51に被包装物50が収納されるように形成されている。ここで、被包装物50は、包装容器に充填される充填物である。当該被包装物50の中央部に略ひし形状の孔部55が形成される。当該孔部55は、包装容器P2の容器本体51の底面に形成した底面透光部51aから蓋部52に形成した上面透光部52aにわたって形成されている。これによって、孔部55に沿って、包装容器P2内に透光空間55aが形成される。なお、孔部55は、図5に示したように、時間が経つにつれて小さくなり、最終的には被包装物50が均されて消滅する物であっても良い。
孔部55を備えた被包装物50が充填された容器本体51は、容器内が窒素ガス等の不活性ガスにガス置換され、蓋部52でシールされて密封される。密封された包装容器P2は、ガス濃度測定装置10Aのコンベア11上に載置される。コンベア11は、始端側から終端側に向って複数個の包装容器P2を間欠動作で順次移送する。
【0044】
レーザー式ガス濃度計12Aは、コンベア11を挟んで主ヘッド20Aと副ヘッド21Aが配置されており、包装容器P2が主ヘッド20Aと副ヘッド21Aとの間に移送されてきたとき、コンベア11Aは所定周期で間欠動作するステッピングモータ17によって、一時的に停止する。コンベア11Aが一時停止したとき、包装容器P2は、上面透光部52aと、底面透光部51aが主ヘッド20Aと副ヘッド21Aの間の所定位置に配置される。
そして、この停止時間内に、レーザー式ガス濃度計12Aは包装容器P2にレーザー光を照射して、包装容器P2内に残留している酸素ガスのガス濃度を測定する。
主ヘッド20Aに設けたレーザー発生部22から射出されたレーザー光は、図6に示すように、包装容器P2の上面透光部52aから入射し、孔部55の透光空間55aに沿って充填物50間を透過し、底面透光部51aを透過して、移送ベルト16A上で反射して、再度底面透光部51a、透光空間55a、上面透光部52aを透過して、副ヘッド21Aに設けたレーザー受光部30で受光される。受光されたレーザー光の透過光強度と入射光強度を比較して、吸光度を求め、当該吸光度に基づいて、包装容器P2内のガス濃度が測定される。
なお、容器本体51の底面部に底面反射部を設けた場合においても、上記と同様にレーザー光を反射させることができ、同様に、包装容器P2内のガス濃度を測定することができる。
このとき、第1実施例と同様に、主ヘッド20A又は副ヘッド21Aが包装容器P2に向って互いに接近し、主ヘッド20Aのレーザー発生部22が有する鏡胴25先端に設けたレーザー出射口25a、及び副ヘッド21Aのレーザー受光部30が有する受光センサ31先端に設けたレーザー受光口31aがそれぞれ包装容器P2の上面透光部52aに当接するようにしても良い。これによって、レーザー出射口25a又はレーザー受光口31aと包装容器P2との間の大気の影響を極力排除することができるので、包装容器P2内の測定精度を高めることができる。
レーザー光が照射された包装容器P2は、コンベア11Aの下流側に流され、当該コンベア11Aの終端側から、たとえば、出荷工程へ移動するように形成されている。ここで、レーザー式ガス濃度計12Aで測定した結果、ガス濃度が所定の濃度よりも高く、検査に不合格となった包装容器Pは、当該出荷工程へは移動せず排除される。
【実施例3】
【0045】
次に、本発明に係る包装容器内のガス濃度測定方法の第3実施例について、添付した図面にしたがって説明する。図7は、第3実施例に係る包装容器内のガス濃度測定方法を行うガス濃度測定装置の構成の概略を示す平面図である。
【0046】
第3実施例は、包装容器P3の構成が第1実施例、第2実施例と相違するが、その他の構成及び測定方法については、第1実施例と同様であるから説明を省略する。
【0047】
本実施例に係る包装容器P3は、図7に示すように、複数個の被包装物60が収納された容器本体61と、容器本体61を密封する蓋部62からなる。容器本体61は、図7に示すように平面視したとき、略矩形状に形成されており、相対する側面部63,63にそれぞれレーザー光が透過可能な透光部64,64が形成されている。透光部64は、図3で点線で示したように透明な素材からなる窓に形成されている。これによって、一方の側面部63に設けた透光部64に対してレーザー光が投射されたとき、当該レーザー光を、他方の側面部63に設けた透光部64に透過させることができる。
なお、本実施例に係る透光部64で示した窓に限定されず、たとえば、側面部63全体若しくは、容器本体61全体を透明な素材から形成しても良く、また側面部63又は容器本体61が着色されていた場合であっても、少なくとも透光部64が、レーザー式ガス濃度計12の近赤外領域のレーザー光が透過可能である色、又は半透明な素材であれば良い。
【0048】
容器本体61に複数個が収納された被包装物60は、図7に示すように、容器本体61の透光部64が形成されていない側面部63a,63b側にそれぞれ寄せて配置した一の被包装物群60aと、他の被包装物群60bに分けて整列され、収納されている。そして当該被包装物群60a,60bの間には、透光空間65が形成されている。透光空間65は、一方の透光部64から他方の透光部64にわたって被包装物群60a,60bの間を横断するように形成されている。これによって、一の透光部64に入射されたレーザー光は、被包装物60に遮られまた散乱することなく他方の透光部64を透過することができる。
容器本体61に収納される被包装物60は、容器本体61に複数個収納されるものであることが好ましく、たとえば、ドーナツ、せんべい、まんじゅう等が有り、そして、被包装物60を被包装物群60a,60bの二つに分けて収納して透光空間65が形成可能であれば、たとえば、豆腐、ケーキのようなものでも良い。すなわち、一の透光部64から他の透光部64へレーザー光を透過させなければならないガス濃度測定時に、被包装物群60a,60b間に透光空間65が維持され、レーザー光が被包装物60に触れないようにすることが出来れば充分である。
なお、本実施例に係る包装容器P3は、略矩形状の平たい合成樹脂製の容器本体61に小さなドーナツを複数個収納したものであるが、これに限定されるものではなく、包装容器P3は、たとえば、ガラス瓶、プラスチックケース、チューブ等、レーザー光が透過可能な透光性を有する容器であっても良い。
【0049】
上記の構成を有するガス濃度測定装置10Bを用いて、本実施例に係る包装容器P3内のがガス濃度測定方法が実行されるが、測定方法については、第1実施例と同様であるから説明を省略する。
【0050】
本実施例に係るガス濃度測定方法によれば、コンベア11,11A上を個別に移送される包装容器P,P2,P3に対して、コンベア11,11Aを挟んで対向配置される主ヘッド20と副ヘッド21を備えたレーザー式ガス濃度計12,12Aを用いて包装容器P,P2,P3内のガス濃度を測定することができる。
なお、上記各実施例に記載の包装容器P,P2,P3に収納した被包装物40,50,60に限定されるものではなく、上記の説明中に言及したように、レーザー光が透過可能な素材からなるガラス瓶、プラスチックケース、チューブその他種々の容器に収納した被包装物の間に、上記各実施例に示したような透光空間を確保することができれば、包装容器のガス濃度測定方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10,10A,10B…ガス濃度測定装置、P,P2,P3…包装容器
11…コンベア、12,12A…レーザー式ガス濃度計、
15a…主ロータ、15b…従ロータ、16,16A…移送ベルト、17…ステッピングモータ、
20…主ヘッド、21…副ヘッド、
22…レーザー発生部、23…レーザー光源、24…制御部、25…鏡胴、25a…レーザー出射口、
30…レーザー受光部、31…受光センサ、31a…レーザー受光口、32…測定部、
40,50,60…被包装物、41,51,61…容器本体、42,52,62…蓋部、43,63…側面部、44,64…透光部、45…溝部、
51a…底面透光部、52a…上面透光部、55…孔部、
60a,60b…被包装物群、

1…従来のガス濃度測定装置、2…従来のレーザー発生部、3…従来の主ヘッド、4…従来のレーザー受光部、5…従来の副ヘッド、6…グリップ、B…包装袋。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8