(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】バルブ、バルブの弁体ユニットの交換方法、および、バルブの組立方法
(51)【国際特許分類】
F16K 43/00 20060101AFI20230919BHJP
F16K 27/02 20060101ALI20230919BHJP
F16K 7/16 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
F16K43/00
F16K27/02
F16K7/16 C
(21)【出願番号】P 2020548362
(86)(22)【出願日】2019-09-10
(86)【国際出願番号】 JP2019035458
(87)【国際公開番号】W WO2020066585
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-08-15
(31)【優先権主張番号】P 2018181749
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100183380
【氏名又は名称】山下 裕司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀信
(72)【発明者】
【氏名】近藤 研太
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】中澤 正彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】湯原 知子
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-516039(JP,A)
【文献】特開2007-058343(JP,A)
【文献】特開2009-002366(JP,A)
【文献】特開平11-182708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 43/00
F16K 27/02
F16K 1/04
F16K 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体通路および弁室が形成され、弁座を備えたバルブボディと、
前記バルブボディに、前記弁座に対し近接および前記弁座から離間可能に接続され、筒状のボンネットと、
駆動力を発生する駆動手段と、
前記ボンネットに支持され、前記流体通路を開閉するために、前記駆動手段による前記駆動力を受けて前記弁座に対し近接および前記弁座から離間するステムと、
前記ステムに連結され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体ユニットと、
前記ボンネット内に設けられた交換リングと、
前記弁体ユニットと、前記ステムとを連結するための連結機構と、を備え、
前記ステムの前記弁座側の部分には、前記弁座に向かって開口する連結孔が形成され、
前記弁体ユニットは、
前記弁室を覆うように設けられ、前記弁室の気密を保持するダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの中央部に挿通され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体部と、
前記ステムに連結されるステム連結部と、前記弁体部に連結される弁体連結部とを有し、前記交換リングに挿通された連結部材と、を備え、
前記連結部材のステム連結部は、前記ステムの連結孔に挿入され、前記連結機構により、前記ステムに連結され、
前記弁体部は、前記ダイヤフラムに対する前記弁室側とは反対側に、リング落下部を有し、
前記交換リングは、前記ボンネットの内周面に設けられ、前記交換リングの前記ステム側の第1面は、自由状態で、前記ボンネットの前記弁座側の第2面に当接可能な寸法を有し、
前記ボンネットを前記弁座から離間させた状態で、前記駆動手段による前記駆動力により、前記ステムをおよび前記弁体ユニットを前記弁座側へ移動させて、前記交換リングを押すことにより、前記交換リングが縮径しながら前記ボンネット内を移動して、前記弁体部の前記リング落下部へ自由状態となって落下し、前記駆動手段による前記駆動力により、前記ステム、前記弁体ユニット、および前記交換リングを前記弁座側とは反対側へ移動させて、前記交換リングの前記第1面と前記ボンネットの前記第2面とを当接させ、かつ、前記弁体部の前記リング落下部を前記交換リングに当接させた状態で、前記駆動手段の前記駆動力により、前記ステムのみを前記弁座側とは反対側へ移動させて、前記連結機構による前記ステム連結部と前記ステムとの連結を解除し、前記弁体ユニットが前記ステムから外れるように構成された、バルブ。
【請求項2】
前記弁体部には、前記ダイヤフラムに対する前記弁室側とは反対側に、円筒状のガイド部を有し、前記ガイド部の外周面は、前記ステムに向かって先細るテーパ状をなしている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記弁体ユニットは、前記ダイヤフラムを前記バルブボディと共に狭圧する押えアダプタを有し、
前記ボンネットの前記第
2面の内周端には、内方にいくにつれて前記弁座から離間する第1傾斜面が形成され、前記ボンネットの前記第1傾斜面の上側には、前記交換リングが嵌る嵌込溝が形成され、
前記押えアダプタは、前記第1面に当接する第3面と、前記第3面の内周端に形成され、前記ステムの軸に対して傾斜し、内方にいくにつれて前記弁座に近づく第2傾斜面と、を有し、
前記交換リングは、前記軸を含む平面で切った断面形状が円弧状の外周部を有し、前記交換リングの外径は、自由状態で、前記第2傾斜面の前記第3面側
の端部の内径よりも小さく、前記外周部が前記第2傾斜面に当接可能に構成され、
前記ボンネットを前記弁座から離間させた状態で、自由状態の前記交換リングをその前記外周部が前記第2傾斜面に当接するようにし、前記ボンネットを前記弁座へ近接させることにより、前記ボンネットの前記第
2面と前記第2傾斜面とで、前記交換リングを狭圧して、前記交換リングを前記第2傾斜面に沿って縮径させて、前記交換リングの前記外周部を前記第1傾斜面に当接させ、前記駆動手段による前記駆動力により、前記ステムおよび前記弁体ユニットを前記弁座側とは反対側へ移動させて、前記交換リングを前記リング落下部により前記ステム側に移動させることにより、前記交換リングを前記第1傾斜面に沿って縮径させながら移動させ、前記交換リングを前記嵌込溝に嵌め込み、前記交換リングを前記ボンネットに装着する、請求項1または請求項2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記交換リングを前記第2傾斜面に沿って縮径させて、前記交換リングの前記外周部を前記第1傾斜面に当接させた後、前記駆動手段による前記駆動力により、前記ステムおよび前記弁体ユニットを前記弁座側とは反対側へ移動させて、前記ステムが上死点に位置した状態で、前記交換リングの前記外周部は、前記嵌込溝の前記弁座側の端部に当接し、縮径状態にある前記交換リングは、その復元力により、拡径しながら移動し、前記嵌込溝に嵌る、請求項3に記載のバルブ。
【請求項5】
前記交換リングは、バルブの開閉動作時における前記ステムおよび前記弁体ユニットの移動を阻害しない位置に設けられている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項6】
流体通路および弁室が形成され、弁座を備えたバルブボディと、
前記バルブボディに、前記弁座に対し近接および前記弁座から離間可能に接続され、筒状のボンネットと、
駆動力を発生する駆動手段と、
前記ボンネットに支持され、前記流体通路を開閉するために、前記駆動手段による前記駆動力を受けて前記弁座に対し近接および前記弁座から離間するステムと、
前記ステムに連結され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体ユニットと、
前記ボンネット内に設けられた交換リングと、
前記弁体ユニットと、前記ステムとを連結するための連結機構と、を備え
前記ステムの前記弁座側の部分には、前記弁座に向かって開口する連結孔が形成され、
前記弁体ユニットは、
前記弁室を覆うように設けられ、前記弁室の気密を保持するダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの中央部に挿通され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体部と、
前記ステムに連結されるステム連結部と、前記弁体部に連結される弁体連結部とを有し、前記交換リングに挿通された連結部材と、を備え、
前記連結部材のステム連結部は、前記ステムの連結孔に挿入され、前記連結機構により、前記ステムに連結され、
前記弁体部は、前記ダイヤフラムに対する前記弁室側とは反対側に、リング落下部を有し、
前記交換リングは、前記ボンネットの内周面に設けられ、前記交換リングの前記ステム側の第1面は、自由状態で、前記ボンネットの前記弁座側の第2面に当接可能な寸法を有する、バルブの弁体ユニットの交換方法であって、
前記ボンネットを前記弁座から離間させた状態で、前記駆動手段による前記駆動力により、前記ステムをおよび前記弁体ユニットを前記弁座側へ移動させて、前記交換リングを押すことにより、前記交換リングが縮径しながら前記ボンネット内を移動して、前記弁体部の前記リング落下部へ自由状態となって落下させ、
前記駆動手段による前記駆動力により、前記ステム、前記弁体ユニット、および前記交換リングを前記弁座側とは反対側へ移動させて、前記交換リングの前記第1面と前記ボンネットの前記第2面とを当接させ、かつ、前記弁体部の前記リング落下部を前記交換リングに当接させ、
前記駆動手段の前記駆動力により、前記ステムのみを前記弁座側とは反対側へ移動させて、前記連結機構による前記ステム連結部と前記ステムとの連結を解除し、前記弁体ユニットを前記ステムから外し、
新たな弁体ユニットの連結部材のステム連結部を、前記ステムの前記連結孔に挿入して、前記新たな弁体ユニットを前記ステムに装着する、バルブの弁体ユニットの交換方法。
【請求項7】
流体通路および弁室が形成され、弁座を備えたバルブボディと、
前記バルブボディに、前記弁座に対し近接および前記弁座から離間可能に接続され、筒状のボンネットと、
駆動力を発生する駆動手段と、
前記ボンネットに支持され、前記流体通路を開閉するために、前記駆動手段による前記駆動力を受けて前記弁座に対し近接および前記弁座から離間するステムと、
前記ステムに連結され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体ユニットと、
前記ボンネット内に設けられた交換リングと、
前記弁体ユニットと、前記ステムとを連結するための連結機構と、を備え、
前記ステムの前記弁座側の部分には、前記弁座に向かって開口する連結孔が形成され、
前記弁体ユニットは、
前記弁室を覆うように設けられ、前記弁室の気密を保持するダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの中央部に挿通され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体部と、
前記ステムに連結されるステム連結部と、前記弁体部に連結される弁体連結部とを有し、前記交換リングに挿通された連結部材と、
前記ダイヤフラムを狭圧する押えアダプタと、を備え、
前記連結部材のステム連結部は、前記ステムの連結孔に挿入され前記連結機構により、前記ステムに連結され、
前記弁体部は、前記ダイヤフラムに対する前記弁室側とは反対側に、リング落下部を有し、
前記交換リングは、前記ボンネットの内周面に設けられ、前記交換リングの前記ステム側の第1面は、自由状態で、前記ボンネットの前記弁座側の第2面に当接可能な寸法を有し、
前記ボンネットの前記第
2面の内周端には、内方にいくにつれて前記弁座から離間する第1傾斜面が形成され、前記ボンネットの前記第1傾斜面の上側には、前記交換リングが嵌る嵌込溝が形成され、
前記押えアダプタは、前記第1面に当接する第3面と、前記第3面の内周端に形成され、前記ステムの軸に対して傾斜し、内方にいくにつれて前記弁座に近づく第2傾斜面と、を有し、
前記交換リングは、前記軸を含む平面で切った断面形状が円弧状の外周部を有し、前記交換リングの外径は、自由状態で、前記第2傾斜面の前記第3面側
の端部の内径よりも小さく、前記外周部が前記第2傾斜面に当接可能に構成された、バルブの組立方法であって、
前記ボンネットを前記弁座から離間させた状態で、自由状態の前記交換リングをその前記外周部が前記第2傾斜面に当接するようにし、
前記ボンネットを前記弁座へ近接させることにより、前記ボンネットの前記第
2面と前記第2傾斜面とで、前記交換リングを狭圧して、前記交換リングを前記第2傾斜面に沿って縮径させて、前記交換リングの前記外周部を前記第1傾斜面に当接させ、
前記駆動手段による前記駆動力により、前記ステムおよび前記弁体ユニットを前記弁座側とは反対側へ移動させて、前記交換リングを前記リング落下部により前記ステム側に移動させることにより、前記交換リングを前記第1傾斜面に沿って縮径させながら移動させ、前記交換リングを前記嵌込溝に嵌め込み、前記交換リングを前記ボンネットに装着する、バルブの組立方法。
【請求項8】
流体通路および弁室が形成され、弁座を備えたバルブボディと、
前記バルブボディに、着脱可能に設けられる筒状のボンネットと、
駆動力を発生する駆動手段と、
前記ボンネットに支持され、前記流体通路を開閉するために、前記駆動手段による前記駆動力を受けて前記弁座に対し近接および前記弁座から離間するステムと、
前記ステムに連結され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体ユニットと、
前記弁体ユニットと、前記ステムとを連結するための連結機構と
、を備え、
前記ステムの前記弁座側の部分には、前記弁座に向かって開口する連結孔が形成され、
前記弁体ユニットは、
前記弁室を覆うように設けられ、前記弁室の気密を保持するダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの中央部に挿通され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体部と、
前記ステムに連結されるステム連結部と、前記弁体部に連結される弁体連結部とを
有する連結部材と、を備え、
前記連結部材のステム連結部は、前記ステムの連結孔に挿入され、前記連結機構により、前記ステムに連結され、
前記弁体部は、前記ダイヤフラムに対する前記弁室側とは反対側に、冶具当接部を有し、
前記ボンネットを上死点に位置する前記ステムおよび前記弁体ユニットと共に前記バルブボディから外し、前記駆動手段による前記駆動力により前記ステムおよび前記弁体ユニットを下死点まで移動させて、前記弁体部の前記冶具当接部を、前記冶具当接部と前記ボンネットとの前記ステムの軸に沿った距離が、
把持部と前記把持部から延びる一対の差込部とを有する交換冶具の厚さよりも長い位置まで移動させ、前記交換冶具を前記冶具当接部と前記ボンネットとの間に差し込み、記駆動手段による前記駆動力により、前記ステム、前記弁体ユニット、および、前記交換冶具を上死点側に移動させて、前記交換冶具を前記ボンネットに当接させ、かつ、前記冶具当接部を前記交換冶具に当接させた状態で、前記駆動手段の前記駆動力により、前記ステムのみを前記弁座側とは反対側へ移動させて、前記連結機構による前記ステム連結部と前記ステムとの連結を解除し、前記弁体ユニットが前記ステムから外れるように構成された、バルブ。
【請求項9】
把持部と前記把持部から延びる一対の差込部とを有する交換冶具を用いた、バルブの弁体ユニットの交換方法であって、
前記バルブは、
流体通路および弁室が形成され、弁座を備えたバルブボディと、
前記バルブボディに、着脱可能に設けられる筒状のボンネットと、
駆動力を発生する駆動手段と、
前記ボンネットに支持され、前記流体通路を開閉するために、前記駆動手段による前記駆動力を受けて前記弁座に対し近接および前記弁座から離間するステムと、
前記ステムに連結され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体ユニットと、
前記弁体ユニットと、前記ステムとを連結するための連結機構と
、を備え、
前記ステムの前記弁座側の部分には、前記弁座に向かって開口する連結孔が形成され、
前記弁体ユニットは、
前記弁室を覆うように設けられ、前記弁室の気密を保持するダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの中央部に挿通され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体部と、
前記ステムに連結されるステム連結部と、前記弁体部に連結される弁体連結部とを
有する連結部材と、を備え、
前記連結部材のステム連結部は、前記ステムの連結孔に挿入され、前記連結機構により、前記ステムに連結され、
前記弁体部は、前記ダイヤフラムに対する前記弁室側とは反対側に、冶具当接部を有
し、
前記バルブの前記弁体ユニットの交換方法は、
前記ボンネットを上死点に位置する前記ステムおよび前記弁体ユニットと共に前記バルブボディから外し、
前記駆動手段による前記駆動力により、前記ステムおよび前記弁体ユニットを下死点まで移動させて、前記弁体部の前記冶具当接部を、前記冶具当接部と前記ボンネットとの前記ステムの軸に沿った距離が、前記交換冶具の厚さよりも長い位置まで移動させ、
前記交換冶具を前記冶具当接部と前記ボンネットとの間に差し込み、
前記駆動手段による前記駆動力により、前記ステム、前記弁体ユニット、および、前記交換冶具を上死点側に移動させて、前記交換冶具を前記ボンネットに当接させ、かつ、前記冶具当接部を前記交換冶具に当接させた状態にし、
前記駆動手段の前記駆動力により、前記ステムのみを前記弁座側とは反対側へ移動させて、前記連結機構による前記ステム連結部と前記ステムとの連結を解除し、前記弁体ユニットを前記ステムから外し、
新たな弁体ユニットの連結部材のステム連結部を、前記ステムの前記連結孔に挿入して、前記新たな弁体ユニットを前記ステムに装着する、バルブの弁体ユニットの交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ、バルブの弁体ユニットの交換方法、および、バルブの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
弁体およびダイヤフラムを有する部品交換ユニットを交換可能なバルブがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のバルブにおいて、部品交換ユニットをスピンドルに着脱するためには、部品交換ユニットおよびスピンドルを、支持部材から外す必要があり、非常に手間がかかっていた。
【0005】
そこで本発明は、弁体ユニットを容易に交換可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために、本発明の一態様であるバルブは、流体通路および弁室が形成され、弁座を備えたバルブボディと、前記バルブボディに、前記弁座に対し近接および前記弁座から離間可能に接続され、筒状のボンネットと、駆動力を発生する駆動手段と、前記ボンネットに支持され、前記流体通路を開閉するために、前記駆動手段による前記駆動力を受けて前記弁座に対し近接および前記弁座から離間するステムと、前記ステムに連結され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体ユニットと、前記ボンネット内に設けられた交換リングと、前記弁体ユニットと、前記ステムとを連結するための連結機構と、を備える。前記ステムの前記弁座側の部分には、前記弁座に向かって開口する連結孔が形成され、前記弁体ユニットは、前記弁室を覆うように設けられ、前記弁室の気密を保持するダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの中央部に挿通され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体部と、 前記ステムに連結されるステム連結部と、前記弁体部に連結される弁体連結部とを有し、前記交換リングに挿通された連結部材と、を備える。前記連結部材のステム連結部は、前記ステムの連結孔に挿入され、前記連結機構により、前記ステムに連結され、前記弁体部は、前記ダイヤフラムに対する前記弁室側とは反対側に、リング落下部を有し、前記交換リングは、前記ボンネットの内周面に設けられ、前記交換リングの前記ステム側の第1面は、自由状態で、前記ボンネットの前記弁座側の第2面に当接可能な寸法を有し、前記ボンネットを前記弁座から離間させた状態で、前記駆動手段による前記駆動力により、前記ステムをおよび前記弁体ユニットを前記弁座側へ移動させて、前記交換リングを押すことにより、前記交換リングが縮径しながら前記ボンネット内を移動して、前記弁体部の前記リング落下部へ自由状態となって落下し、前記駆動手段による前記駆動力により、前記ステム、前記弁体ユニット、および前記交換リングを前記弁座側とは反対側へ移動させて、前記交換リングの前記第1面と前記ボンネットの前記第2面とを当接させ、かつ、前記弁体部の前記リング落下部を前記交換リングに当接させた状態で、前記駆動手段の前記駆動力により、前記ステムのみを前記弁座側とは反対側へ移動させて、前記連結機構による前記ステム連結部と前記ステムとの連結を解除し、前記弁体ユニットが前記ステムから外れるように構成されている。
【0007】
前記弁体部には、前記ダイヤフラムに対する前記弁室側とは反対側に、円筒状のガイド部を有し、前記ガイド部の外周面は、前記ステムに向かって先細るテーパ状をなしていてもよい。
【0008】
前記弁体ユニットは、前記ダイヤフラムを前記バルブボディと共に狭圧する押えアダプタを有し、前記ボンネットの前記第1面の内周端には、内方にいくにつれて前記弁座から離間する第1傾斜面が形成され、前記ボンネットの前記第1傾斜面の上側には、前記交換リングが嵌る嵌込溝が形成され、前記押えアダプタは、前記第1面に当接する第3面と、前記第3面の内周端に形成され、前記ステムの軸に対して傾斜し、内方にいくにつれて前記弁座に近づく第2傾斜面と、を有し、前記交換リングは、前記軸を含む平面で切った断面形状が円弧状の外周部を有し、前記交換リングの外径は、自由状態で、前記第2傾斜面の前記第3面側端部の内径よりも小さく、前記外周部が前記第2傾斜面に当接可能に構成され、前記ボンネットを前記弁座から離間させた状態で、自由状態の前記交換リングをその前記外周部が前記第2傾斜面に当接するようにし、前記ボンネットを前記弁座へ近接させることにより、前記ボンネットの前記第1面と前記第2傾斜面とで、前記交換リングを狭圧して、前記交換リングを前記第2傾斜面に沿って縮径させて、前記交換リングの前記外周部を前記第1傾斜面に当接させ、前記駆動手段による前記駆動力により、前記ステムおよび前記弁体ユニットを前記弁座側とは反対側へ移動させて、前記交換リングを前記リング落下部により前記ステム側に移動させることにより、前記交換リングを前記第1傾斜面に沿って縮径させながら移動させ、前記交換リングを前記嵌込溝に嵌め込み、前記交換リングを前記ボンネットに装着してもよい。
【0009】
前記交換リングを前記第2傾斜面に沿って縮径させて、前記交換リングの前記外周部を前記第1傾斜面に当接させた後、前記駆動手段による前記駆動力により、前記ステムおよび前記弁体ユニットを前記弁座側とは反対側へ移動させて、前記ステムが上死点に位置した状態で、前記交換リングの前記外周部は、前記嵌込溝の前記弁座側の端部に当接し、縮径状態にある前記交換リングは、その復元力により、拡径しながら移動し、前記嵌込溝に嵌ってもよい。
【0010】
前記交換リングは、バルブの開閉動作時における前記ステムおよび前記弁体ユニットの移動を阻害しない位置に設けられていてもよい。
【0011】
本発明の一態様であるバルブの弁体ユニットの交換方法は、流体通路および弁室が形成され、弁座を備えたバルブボディと、前記バルブボディに、前記弁座に対し近接および前記弁座から離間可能に接続され、筒状のボンネットと、駆動力を発生する駆動手段と、前記ボンネットに支持され、前記流体通路を開閉するために、前記駆動手段による前記駆動力を受けて前記弁座に対し近接および前記弁座から離間するステムと、前記ステムに連結され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体ユニットと、前記ボンネット内に設けられた交換リングと、前記弁体ユニットと、前記ステムとを連結するための連結機構と、を備え前記ステムの前記弁座側の部分には、前記弁座に向かって開口する連結孔が形成され、前記弁体ユニットは、前記弁室を覆うように設けられ、前記弁室の気密を保持するダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの中央部に挿通され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体部と、前記ステムに連結されるステム連結部と、前記弁体部に連結される弁体連結部とを有し、前記交換リングに挿通された連結部材と、を備え、前記連結部材のステム連結部は、前記ステムの連結孔に挿入され、前記連結機構により、前記ステムに連結され、前記弁体部は、前記ダイヤフラムに対する前記弁室側とは反対側に、リング落下部を有し、前記交換リングは、前記ボンネットの内周面に設けられ、前記交換リングの前記ステム側の第1面は、自由状態で、前記ボンネットの前記弁座側の第2面に当接可能な寸法を有する、バルブの弁体ユニットの交換方法であって、前記ボンネットを前記弁座から離間させた状態で、前記駆動手段による前記駆動力により、前記ステムをおよび前記弁体ユニットを前記弁座側へ移動させて、前記交換リングを押すことにより、前記交換リングが縮径しながら前記ボンネット内を移動して、前記弁体部の前記リング落下部へ自由状態となって落下させ、前記駆動手段による前記駆動力により、前記ステム、前記弁体ユニット、および前記交換リングを前記弁座側とは反対側へ移動させて、前記交換リングの前記第1面と前記ボンネットの前記第2面とを当接させ、かつ、前記弁体部の前記リング落下部を前記交換リングに当接させ、前記駆動手段の前記駆動力により、前記ステムのみを前記弁座側とは反対側へ移動させて、前記連結機構による前記ステム連結部と前記ステムとの連結を解除し、前記弁体ユニットを前記ステムから外し、新たな弁体ユニットの連結部材のステム連結部を、前記ステムの前記連結孔に挿入して、前記新たな弁体ユニットを前記ステムに装着する。
【0012】
本発明の一態様であるバルブの組立方法は、流体通路および弁室が形成され、弁座を備えたバルブボディと、前記バルブボディに、前記弁座に対し近接および前記弁座から離間可能に接続され、筒状のボンネットと、駆動力を発生する駆動手段と、前記ボンネットに支持され、前記流体通路を開閉するために、前記駆動手段による前記駆動力を受けて前記弁座に対し近接および前記弁座から離間するステムと、前記ステムに連結され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体ユニットと、前記ボンネット内に設けられた交換リングと、前記弁体ユニットと、前記ステムとを連結するための連結機構と、を備え、前記ステムの前記弁座側の部分には、前記弁座に向かって開口する連結孔が形成され、前記弁体ユニットは、前記弁室を覆うように設けられ、前記弁室の気密を保持するダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの中央部に挿通され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体部と、前記ステムに連結されるステム連結部と、前記弁体部に連結される弁体連結部とを有し、前記交換リングに挿通された連結部材と、前記ダイヤフラムを狭圧する押えアダプタと、を備え、前記連結部材のステム連結部は、前記ステムの連結孔に挿入され前記連結機構により、前記ステムに連結され、前記弁体部は、前記ダイヤフラムに対する前記弁室側とは反対側に、リング落下部を有し、前記交換リングは、前記ボンネットの内周面に設けられ、前記交換リングの前記ステム側の第1面は、自由状態で、前記ボンネットの前記弁座側の第2面に当接可能な寸法を有し、前記ボンネットの前記第1面の内周端には、内方にいくにつれて前記弁座から離間する第1傾斜面が形成され、前記ボンネットの前記第1傾斜面の上側には、前記交換リングが嵌る嵌込溝が形成され、前記押えアダプタは、前記第1面に当接する第3面と、前記第3面の内周端に形成され、前記ステムの軸に対して傾斜し、内方にいくにつれて前記弁座に近づく第2傾斜面と、を有し、前記交換リングは、前記軸を含む平面で切った断面形状が円弧状の外周部を有し、前記交換リングの外径は、自由状態で、前記第2傾斜面の前記第3面側端部の内径よりも小さく、前記外周部が前記第2傾斜面に当接可能に構成された、バルブの組立方法であって、前記ボンネットを前記弁座から離間させた状態で、自由状態の前記交換リングをその前記外周部が前記第2傾斜面に当接するようにし、前記ボンネットを前記弁座へ近接させることにより、前記ボンネットの前記第1面と前記第2傾斜面とで、前記交換リングを狭圧して、前記交換リングを前記第2傾斜面に沿って縮径させて、前記交換リングの前記外周部を前記第1傾斜面に当接させ、前記駆動手段による前記駆動力により、前記ステムおよび前記弁体ユニットを前記弁座側とは反対側へ移動させて、前記交換リングを前記リング落下部により前記ステム側に移動させることにより、前記交換リングを前記第1傾斜面に沿って縮径させながら移動させ、前記交換リングを前記嵌込溝に嵌め込み、前記交換リングを前記ボンネットに装着する。
【0013】
本発明の一態様であるバルブは、流体通路および弁室が形成され、弁座を備えたバルブボディと、前記バルブボディに、着脱可能に設けられる筒状のボンネットと、駆動力を発生する駆動手段と、前記ボンネットに支持され、前記流体通路を開閉するために、前記駆動手段による前記駆動力を受けて前記弁座に対し近接および前記弁座から離間するステムと、前記ステムに連結され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体ユニットと、前記弁体ユニットと、前記ステムとを連結するための連結機構と、把持部と、把持部から延びる一対の差込部とを有する交換冶具と、を備え、前記ステムの前記弁座側の部分には、前記弁座に向かって開口する連結孔が形成され、前記弁体ユニットは、前記弁室を覆うように設けられ、前記弁室の気密を保持するダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの中央部に挿通され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体部と、前記ステムに連結されるステム連結部と、前記弁体部に連結される弁体連結部とを有し、前記交換リングに挿通された連結部材と、を備え、前記連結部材のステム連結部は、前記ステムの連結孔に挿入され、前記連結機構により、前記ステムに連結され、前記弁体部は、前記ダイヤフラムに対する前記弁室側とは反対側に、冶具当接部を有し、前記ボンネットを上死点に位置する前記ステムおよび前記弁体ユニットと共に前記バルブボディから外し、前記駆動手段による前記駆動力により前記ステムおよび前記弁体ユニットを下死点まで移動させて、前記弁体部の前記冶具当接部を、前記冶具当接部と前記ボンネットとの前記ステムの軸に沿った距離が、前記交換冶具の厚さよりも長い位置まで移動させ、前記交換冶具を前記冶具当接部と前記ボンネットとの間に差し込み、記駆動手段による前記駆動力により、前記ステム、前記弁体ユニット、および、前記交換冶具を上死点側に移動させて、前記交換冶具を前記ボンネットに当接させ、かつ、前記冶具当接部を前記交換冶具に当接させた状態で、前記駆動手段の前記駆動力により、前記ステムのみを前記弁座側とは反対側へ移動させて、前記連結機構による前記ステム連結部と前記ステムとの連結を解除し、前記弁体ユニットが前記ステムから外れるように構成されている。
【0014】
本発明の一態様であるバルブの弁体ユニットの交換方法は、流体通路および弁室が形成され、弁座を備えたバルブボディと、前記バルブボディに、着脱可能に設けられる筒状のボンネットと、駆動力を発生する駆動手段と、前記ボンネットに支持され、前記流体通路を開閉するために、前記駆動手段による前記駆動力を受けて前記弁座に対し近接および前記弁座から離間するステムと、前記ステムに連結され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体ユニットと、前記弁体ユニットと、前記ステムとを連結するための連結機構と、把持部と、把持部から延びる一対の差込部とを有する交換冶具と、を備え、前記ステムの前記弁座側の部分には、前記弁座に向かって開口する連結孔が形成され、前記弁体ユニットは、前記弁室を覆うように設けられ、前記弁室の気密を保持するダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの中央部に挿通され、前記弁座に対し当接および前記弁座から離間して前記流体通路を開閉する弁体部と、前記ステムに連結されるステム連結部と、前記弁体部に連結される弁体連結部とを有し、前記交換リングに挿通された連結部材と、を備え、前記連結部材のステム連結部は、前記ステムの連結孔に挿入され、前記連結機構により、前記ステムに連結され、前記弁体部は、前記ダイヤフラムに対する前記弁室側とは反対側に、冶具当接部を有する、バルブの弁体ユニットの交換方法であって、前記ボンネットを上死点に位置する前記ステムおよび前記弁体ユニットと共に前記バルブボディから外し、前記駆動手段による前記駆動力により、前記ステムおよび前記弁体ユニットを下死点まで移動させて、前記弁体部の前記冶具当接部を、前記冶具当接部と前記ボンネットとの前記ステムの軸に沿った距離が、前記交換冶具の厚さよりも長い位置まで移動させ、前記交換冶具を前記冶具当接部と前記ボンネットとの間に差し込み、記駆動手段による前記駆動力により、前記ステム、前記弁体ユニット、および、前記交換冶具を上死点側に移動させて、前記交換冶具を前記ボンネットに当接させ、かつ、前記冶具当接部を前記交換冶具に当接させた状態にし、前記駆動手段の前記駆動力により、前記ステムのみを前記弁座側とは反対側へ移動させて、前記連結機構による前記ステム連結部と前記ステムとの連結を解除し、前記弁体ユニットを前記ステムから外し、新たな弁体ユニットの連結部材のステム連結部を、前記ステムの前記連結孔に挿入して、前記新たな弁体ユニットを前記ステムに装着する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、弁体ユニットを容易に交換可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態における開状態にあるバルブの縦断面図である。
【
図2】第1の実施形態におけるバルブの嵌め輪部材近傍の拡大断面図である。
【
図3】第1の実施形態におけるバルブの交換リング近傍の拡大断面図である。
【
図4】第1の実施形態におけるバルブの組立方法の説明図である。
【
図5】第1の実施形態におけるバルブの組立方法の説明図である。
【
図6】第1の実施形態におけるバルブの組立方法の説明図である。
【
図7】第1の実施形態におけるバルブの組立方法の説明図である。
【
図8】第1の実施形態におけるバルブの組立方法の説明図である。
【
図9】第1の実施形態におけるバルブの弁体ユニットの交換方法の説明図である。
【
図10】第1の実施形態におけるバルブの弁体ユニットの交換方法の説明図である。
【
図11】第1の実施形態におけるバルブの弁体ユニットの交換方法の説明図である。
【
図12】第1の実施形態におけるバルブの弁体ユニットの交換方法の説明図である。
【
図13】第1の実施形態におけるバルブの弁体ユニットの交換方法の説明図である。
【
図14】第1の実施形態におけるバルブの弁体ユニットの交換方法の説明図である。
【
図15】第2の実施形態に係るバルブの弁体ユニット近傍の拡大断面図である。
【
図16】第2の実施形態におけるバルブの弁体ユニットの交換方法の一工程の説明図である。
【
図17】第3の実施形態における開状態にあるバルブの縦断面図である
【
図18】弁体ユニットを外すための交換冶具の説明図である。
【
図19】第3の実施形態におけるバルブの弁体ユニットの交換方法の説明図である。
【
図20】第3の実施形態におけるバルブの弁体ユニットの交換方法の説明図である。
【
図21】第3の実施形態におけるバルブの弁体ユニットの交換方法の説明図である。
【
図22】第3の実施形態におけるバルブの弁体ユニットの交換方法の説明図である。
【
図23】第3の実施形態におけるバルブの弁体ユニットの交換方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施形態に係るバルブ1について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、第1の実施形態における開状態にあるバルブ1の縦断面図である。
図2は、バルブ1の嵌め輪部材5近傍の拡大断面図である。
図3は、バルブ1の交換リング7近傍の拡大断面図である。
【0019】
図1に示すように、バルブ1は、バルブボディ2と、ボンネット3と、ステム4と、嵌め輪部材5と、連結リング6と、交換リング7と、弁体ユニット10と、ハンドル8と、インジケータ9とを備える。なお、以下の説明において、バルブ1の、ハンドル8側を上側、バルブボディ2側を下側として説明する。
【0020】
バルブボディ2は、弁室2aと、弁室2aに連通する流入路2bおよび流出路2cとが形成されている。バルブボディ2の流入路2bと弁室2aとが連通する箇所の周縁は、円環状の弁座2dを構成する。
【0021】
ボンネット3は、略円筒状をなし、その下端部に設けられた雄ねじ部をバルブボディ2の上端部に設けられた雌ねじ部に螺合させることにより、弁室2aを覆うようにバルブボディ2に固定されている。ボンネット3には、ステム挿入孔3aが形成されている。また、ボンネット3の内周の上端部には、雌ねじ部3Bが形成されている。また、ボンネット3は、下面3Cを有し、下面3Cの内周側には、全周にわたって第1傾斜面3Dが形成されている。第1傾斜面3Dは、ステム4の軸に対して傾斜し、下端から上端にいくにつれて内径が小さくなるように(内方にいくにつれて弁座2dから離間するように)構成されている。また、ボンネット3の内周面には、第1傾斜面3Dから所定距離離れた上側の位置に、全周にわたって嵌込溝3eが形成されている。
【0022】
ステム4は、ボンネット3のステム挿入孔3aに挿入されている。ステム4の上側部には雄ねじ部4Aが形成され、雄ねじ部4Aはボンネット3の雌ねじ部3Bに螺合している。これにより、ステム4は、ボンネット3に対し、回転可能かつ回転に伴い上下方向に移動可能に支持されている。ステム4が上死点にあるときにはバルブ1は開状態であり、ステム4が下死点にあるときにはバルブ1は閉状態となるように構成されている。ステム4の下側部には、下方に開口する挿入孔4bが形成されている。また、ステム4の下面には、挿入孔4bを囲うように、下方へ突出する環状凸部4Cが設けられている。
【0023】
嵌め輪部材5は、ザグリ孔5aを有して環状をなしている。嵌め輪部材5のザグリ孔5aの大径部には、ステム4の環状凸部4Cが圧入されている。これにより、ステム4と嵌め輪部材5とは一体化され、一体的に動作する。よって、ステム4と嵌め輪部材5とは、ステムとして機能する。また、環状凸部4Cの長さが、ザグリ孔5aの大径部の深さよりも短く構成されることにより、環状凸部4Cと嵌め輪部材5とにより、環状凹部5bが形成されている。また、嵌め輪部材5とボンネット3との間には、Oリング5Cが介在している。
【0024】
連結リング6は、例えば可撓性を有する金属材料または樹脂材料により構成され、平面視で略C字状をなしている。連結リング6は、環状凹部5bと、後述の連結溝11cとに跨るように設けられている。これにより、連結リング6は、弁体ユニット10をステム4および嵌め輪部材5に連結している。連結リング6は、連結機構に相当する。
【0025】
交換リング7は、例えばステンレス等の金属材料により構成され、平面視で略C字状をなしている。交換リング7のリング外周部7Aは、その軸を含む平面で切った断面形状が円弧状をなしている。交換リング7の外径は、外力が作用しない状態(自由状態)では、ボンネット3の第1傾斜面3Dの下端の内径よりも大きく構成され、上面7Bが、ボンネット3の下面3Cに当接する寸法を有する。また、交換リング7は、ボンネット3の嵌込溝3eに嵌っている。なお、交換リング7は、通常のバルブ1の使用時には機能せず、後述の弁体ユニット10の交換時に機能する。すなわち、通常のバルブ1の使用時に、交換リング7に対し、嵌め輪部材5および押えリング13は接触しない。上面7Bは、第1面に、下面3Cは、第2面に相当する。
【0026】
弁体ユニット10は、連結部材11と、弁体ホルダ12と、弁体12Hと、押えリング13と、ダイヤフラム14と、押えアダプタ15とを有する。以下に記載するように、連結部材11、弁体ホルダ12、弁体12H、押えリング13、ダイヤフラム14、および押えアダプタ15は、一体的に構成され、一部品として取り扱うことが可能である。
【0027】
連結部材11は、ステム4の下端に設けられ、円柱部11Aと、半球状部11Bとを有する。円柱部11Aは、先端部11Dがテーパ状をなし、ザグリ孔5aおよび挿入孔4bに挿入されている。ザグリ孔5aの下側部および挿入孔4bは、連結孔に相当する。円柱部11Aの外周面には、環状凹部5bに対向する位置に、連結溝11cが形成されてる。半球状部11Bは、略半球状(半球と全球の間の形状)をなし、円柱部11Aの下端に設けられている。円柱部11Aは、ステム連結部に、半球状部11Bは、弁体連結部に相当する。
【0028】
弁体ホルダ12は、弁体保持部12Aと、挿通部12Bと、嵌入部12Cとを有する。弁体保持部12Aは、略円盤状をなし、樹脂からなる環状の弁体12Hを保持している。弁体12Hがバルブボディ2の弁座2dに対し当接および弁座2dから離間することによって、流体通路の開閉が行われる。弁体ホルダ12および弁体12Hは、弁体部に相当する。
【0029】
挿通部12Bは、弁体保持部12Aの上側に設けられ、上側に向かって先細る段付き円柱形状をなしている。挿通部12Bの第1段差部12Dの外周面には、全周にわたって固着溝12eが形成されている。嵌入部12Cは、挿通部12Bの上側に設けられ、略円筒状をなし、上方に開口する嵌入孔12fが形成されている。嵌入孔12fは、半球状部11Bに対応する略半球状(半球と全球の間の形状)をなしている。嵌入孔12fに、連結部材11の半球状部11Bが嵌め入れられている。これにより、弁体ホルダ12と連結部材11とが連結され、弁体ホルダ12は半球状部11Bの外面に沿って摺動可能である。また、嵌入部12Cは、挿通部12Bよりも径が小さく構成され、嵌入部12Cと挿通部12Bとにより、第2段差部12Gが形成される。
【0030】
押えリング13は、ダイヤフラム14に対する弁室2a側とは反対側に設けられ、円筒部13Aと、フランジ部13Bとを有する。円筒部13Aに弁体ホルダ12の嵌入部12Cが圧入されて、押えリング13は弁体ホルダ12に固定されている。円筒部13Aの下面13Cの内径側は、第2段差部12Gに当接し、円筒部13Aの下面13Cの外径側は、挿通部12Bの外周面よりも外側に位置している。円筒部13Aは、交換リング7の貫通孔7cを貫通している。フランジ部13Bは、円筒部13Aの上下方向の中間部分から、円筒部13Aの径方向の外方に突出している。フランジ部13Bは、リング落下部および冶具当接部に相当する。
【0031】
ダイヤフラム14は、バルブボディ2の弁室2aを覆うように設けられ、弁室2aの気密を保持する。ダイヤフラム14は、メインダイヤフラム16と、サポートダイヤフラム17とを有する。
【0032】
メインダイヤフラム16は、例えば、ニッケル合金、ステンレス鋼により皿状に形成された一枚の薄板(例えば厚さ:0.1mm~0.2mm)により構成されている。メインダイヤフラム16は、弁室2aに直接対向しており、プロセスガス等の流体に直接接触する。メインダイヤフラム16は、その径方向の外側から内側に向かって、第1外周部16Aと、第1中間部16Bと、第1内周部16Cとを有する。
【0033】
第1外周部16Aは、サポートダイヤフラム17の第2外周部17Aと共に、バルブボディ2に形成された固定部2Eと円環状の押えアダプタ15との間に設けられ、ボンネット3を締め付けることにより、押えアダプタ15とバルブボディ2とにより気密状態で挟圧され保持されている。第1中間部16Bは、軸を含む平面で切った断面形状が円弧状をなしている。
【0034】
第1内周部16Cは、第1中間部16Bの内端から下方へ折り曲げるように形成されている。第1内周部16Cの内周面は、挿通部12Bの外周面に当接している。第1内周部16Cの内周面により、メインダイヤフラム16の中央部に、弁体ホルダ12の挿通部12Bが挿通する第1挿通孔16dが形成される。第1内周部16Cの第1末端部16Eには、凸部が設けられ、当該凸部が挿通部12Bの固着溝12eに嵌った状態で、当該部分を電子ビーム溶接、レーザ溶接等により全周にわたって溶接Wされることにより、第1内周部16Cの第1末端部16Eは挿通部12Bに固着されている。
【0035】
サポートダイヤフラム17は、メインダイヤフラム16の上側、すなわち弁室2aに対する反対側に設けられている。サポートダイヤフラム17は、メインダイヤフラム16の上に載せられているだけであり、接着等されていない。サポートダイヤフラム17は、例えば、金属、ゴム、樹脂等により皿状に形成された一枚の薄板(例えば厚さ:0.1mm~0.2mm)により構成されている。すなわち、サポートダイヤフラム17は、メインダイヤフラム16を構成する材料とは異なる材料により構成されている。サポートダイヤフラム17は、その径方向の外側から内側に向かって、第2外周部17Aと、第2中間部17Bと、第2内周部17Cとを有する。
【0036】
第2外周部17Aは、上記のように、メインダイヤフラム16の第1外周部16Aと共に、バルブボディ2の固定部2Eと円環状の押えアダプタ15との間に設けられ、ボンネット3を締め付けることにより、押えアダプタ15とバルブボディ2とにより気密状態で挟圧され保持されている。第2中間部17Bは、軸を含む平面で切った断面形状が円弧状をなし、下面が第1中間部16Bに当接している。また、第2中間部17Bは、径方向の長さが第1中間部16Bよりも短く構成されている。
【0037】
第2内周部17Cは、第2中間部17Bの内端から折れ曲がるように、メインダイヤフラム16から離間して、弁体ホルダ12の第2段差部12Gへ向かって延びている。第2内周部17Cは、押えリング13の下面13Cに当接している。すなわち、サポートダイヤフラム17の内周側の第2末端部17Dは、メインダイヤフラム16の内周側の第1末端部16Eから離間している。なお、サポートダイヤフラム17は、第2内周部17Cが押えリング13から押圧力を受けることにより、メインダイヤフラム16に対し押圧力を付与しながら当接していてもよい。また、第2内周部17Cの内端により、サポートダイヤフラム17の中央部に、弁体ホルダ12の挿通部12Bが挿通する第2挿通孔17dが形成される。
【0038】
押えアダプタ15は、環状をなし、ボンネット3の下端かつダイヤフラム14の上側に配置されている。押えアダプタ15は、ボンネット3の下面3Cに当接する上面15Aを有し、上面15Aの内周側には、全周にわたって第2傾斜面15Bが形成されている。上面15Aは、第3面に相当する。第2傾斜面15Bは、ステム4の軸に対して傾斜し、上端から下端にいくにつれて内径が小さくなるように(内方にいくにつれて弁座2dに近づくように)構成されている。第2傾斜面15Bの上端(外周端)は、第1傾斜面3Dの下端(外周端)よりも外側に位置し、下面3Cの下側に位置している。すなわち、第2傾斜面15Bの上端(外周端)の内径は、第1傾斜面3Dの下端(外周端)の内径よりも大きく構成されている。また、交換リング7の外径は、外力が作用しない状態では、第2傾斜面15Bの上端の内径よりも小さく構成され、交換リング7のリング外周部7Aが第2傾斜面15Bに当接する寸法を有する。
【0039】
ハンドル8は、ステム4の上端に取り付けられており、作業者が手動でハンドル8を回転させ駆動力を発生させることにより、ステム4が回転駆動力を受けて回転し上下方向に沿って移動する。ハンドル8には、貫通孔8aが形成されている。ハンドル8は駆動手段に相当する。
【0040】
インジケータ9は、ボンネット3の上端に固定されている。インジケータ9の上面には、「開」および「閉」の文字が印字されている。ハンドル8を回転させて、バルブ1が開状態であるときには、「開」の文字がハンドル8の貫通孔8aを介して視認され、バルブ1が閉状態であるときには、「閉」の文字がハンドル8の貫通孔8aを介して視認されるように構成されている。
【0041】
本実施形態のバルブ1では、ハンドル8の回転操作によりステム4を上下動させると、弁体ユニット10が上下動すると共に、これに伴ってメインダイヤフラム16の内周部16Cおよびサポートダイヤフラム17の内周部17Cも上下動して、ダイヤフラム14が弾性変形し、弁体12Hが弁座2dに当接および弁座2dから離間して、流入路2bと流出路2cとの間を開閉するようになっている。
【0042】
次に、本実施形態のバルブ1の組立方法について説明する。
【0043】
図4~
図8は、バルブ1の組立方法の説明図である。
図4では、弁体ユニット10が、連結リング6によりステム4および嵌め輪部材5に連結され、交換リング7は、外力が作用しない状態で、押えリング13のフランジ部13Bの上に載置されている。ハンドル8(
図1)を開方向へ止まるまで回すことにより、交換リング7の上面7Bは、ボンネット3の下面3Cに当接し、交換リング7のリング外周部7Aは、押えアダプタ15の第2傾斜面15Bに当接している。よって、ボンネット3の下面3Cと押えアダプタ15の上面15Aとの間に隙間を有し、ボンネット3とステム4との間にも隙間4eを有する。また、ボンネット3は、バルブボディ2に対し、完全に締め切っていない状態である。
【0044】
図4に示したバルブ1の状態から、
図5に示すように、レンチ等によりボンネット3を締め込んでいき、ダイヤフラム14をバルブボディ2の固定部2Eに当接させ、さらにボンネット3を締め込むことにより、交換リング7が、ボンネット3の下面3Cに押されて、押えアダプタ15の第2傾斜面15Bに沿って縮径する。そして、
図6に示すように、ボンネット3の下面3Cと押えアダプタ15の上面15Aが当接すると、交換リング7のリング外周部7Aが、ボンネット3の第1傾斜面3Dに当接するようになる。
【0045】
図4に示したバルブ1の状態から、ハンドル8(
図1)を開方向へ回すことにより、押えリング13を上昇させて、交換リング7を上側に移動させる。これにより、
図7に示すように、交換リング7のリング外周部7Aが、ボンネット3の第1傾斜面3Dに沿って移動し、交換リング7がさらに縮径する。その結果、交換リング7が、完全にボンネット3の内周側に移動する。そして、ハンドル8(
図1)を回してステム4を上死点まで移動させると、
図8に示すように、交換リング7のリング外周部7Aが嵌込溝3eの下端に当接する位置まで移動する。交換リング7のリング外周部7Aは円弧状であり、交換リング7は縮径状態であるので、交換リング7は、その復元力により、嵌込溝3eの斜面に沿って拡径しながら上昇し、押えリング13のフランジ部13Bから離間し、
図3に示すように、交換リング7は、ボンネット3の嵌込溝3eに嵌った状態となる。
【0046】
このように、交換リング7は、ステム4が上死点に位置する状態から、さらに上昇してボンネット3の嵌込溝3eに嵌る。また、開状態のバルブ1における、弁体12Hと弁座2dとの間の距離は、嵌め輪部材5と交換リング7との間の距離よりも小さく構成されている。よって、バルブ1を開閉しても、嵌め輪部材5が交換リング7に接触しない。したがって、交換リング7は、バルブ1の開閉動作を阻害しない。また、ボンネット3をバルブボディ2に締め付ける際に、ステム4は上死点付近に常に位置しているので、弁体12Hが弁座2dに接触しない。
【0047】
このように、本実施形態のバルブ1の組立方法によれば、容易に交換リング7をボンネット3の嵌込溝3eに嵌め込むことができる。これにより、後述のように容易に弁体ユニット10を交換することができる。
【0048】
次に、本実施形態の弁体ユニット10の交換方法について説明する。
【0049】
図9~
図14は、第1の実施形態における弁体ユニット10の交換方法の説明図である。
図9に示すように、ステム4が上死点に位置するバルブ1(全開状態であるバルブ1)において、バルブボディ2に締結され、ダイヤフラム14を狭圧しているボンネット3をレンチ等により回して、バルブボディ2から緩める。これにより、弁体ユニット10は弁座2dから離間する。この状態で、ハンドル8を閉方向に回して、
図10に示すように、ステム4を下降させて、嵌め輪部材5を交換リング7に当接させる。さらに、ハンドル8を閉方向に回すことにより、
図11に示すように、交換リング7は嵌め輪部材5に押されて縮径し、嵌込溝3eから外れて、
図12に示すように、ボンネット3から押えリング13へ落下する。これにより、交換リング7の外径は、自由状態に戻る。
【0050】
次に、ハンドル8を開方向へ回して、上昇させると、
図13に示すように、交換リング7の上面7Bがボンネット3の下面3Cに面当接する。さらに、ハンドル8を開方向へ回すと、ステム4は上昇するが、交換リング7の上面7Bがボンネット3の下面3Cに面当接し、押えリング13のフランジ部13Bが交換リング7に当接しているため、弁体ユニット10は、上昇することができない。このため、
図14に示すように、ステム4および嵌め輪部材5のみが上昇し、連結部材11の連結溝11cの斜面により、連結リング6 に力を作用させて拡径させ、連結部材11が連結リング6から外れる。これにより、連結リング6による、連結部材11とステム4との連結が解除される。
【0051】
この状態で、ボンネット3をバルブボディ2から外すことにより、弁体ユニット10をステム4等から取り外すことができる。そして、前述の組立方法を用いて新たな弁体ユニット10の連結部材11の円柱部11Aを、嵌め輪部材5のザグリ孔aの下側部およびステム4の挿入孔4bに挿入することにより、新たな弁体ユニット10をステム4等に取り付けることができる。このように、本実施形態のバルブ1では、容易に弁体ユニット10の交換を行うことができる。
【0052】
次に、本発明の第2の実施形態に係るバルブ21について説明する。第1の実施形態に係るバルブ1と異なる部分についてのみ説明する。
【0053】
図15は、第2の実施形態に係るバルブ21の弁体ユニット10近傍の拡大断面図である。
図16は、本実施形態の弁体ユニット10の交換方法の一工程の説明図である。
【0054】
図15に示すように、本実施形態のバルブ21は、押えリング23の円筒部23Aの外周面23Cは、嵌め輪部材5に向かって先細るテーパ状をなしている。
図16に示すように、弁体ユニット10の交換時において、交換リング7がボンネット3から押えリング23のフランジ部23Bへ落下するときには、当該外周面23Cにガイドされて落下するので、交換リング7を所望の位置に落下させることができる。円筒部23Aは、ガイド部に相当する。
【0055】
また、本実施形態のバルブ21においても、第1の実施形態のバルブ1と同様の作用効果を奏することができる。
【0056】
次に、本発明の第3の実施形態に係るバルブ31について説明する。第1の実施形態に係るバルブ1と異なる部分についてのみ説明する。
【0057】
図17は、第3の実施形態における開状態にあるバルブ31の縦断面図である。
【0058】
本実施形態のバルブ31は、第1の実施形態のバルブ1の交換リング7を有していない。よって、ボンネット33の内周面には、嵌込溝3eは形成されていない。このように、本実施形態のバルブ31は、交換リング7を有していないため、第1の実施形態のバルブ1のように、冶具なしで弁体ユニット10をバルブ31から外すことはできない。
【0059】
次に、バルブ31における弁体ユニット10の交換方法について説明する。
【0060】
図18は、弁体ユニット10を外すための交換冶具40の説明図である。
図19~
図23は、第3の実施形態における弁体ユニット10の交換方法の説明図である。なお、
図20~
図23では、バルブボディ2の図示を省略している。
【0061】
図18に示すように、交換冶具40は、例えばステンレス鋼等の金属材料により構成され、平面視矩形の平板状をなし、把持部41と、把持部41から延びる一対の差込部42とを有する。一対の差込部42の間に、差込空間43が形成される。一対の差込部42の間の距離は、連結部材11の円柱部11Aの外径より大きく、押えリング13のフランジ部13Bの外径よりも小さく構成される。
【0062】
そして、
図19に示すように、ステム4が上死点に位置するバルブ31(全開状態であるバルブ31)において、ボンネット3をレンチ等により回して、バルブボディ2から外す。ハンドル8を閉方向に回転させて、
図20に示すように、ステム4を下死点まで下降させる。これにより、押えリング13のフランジ部13Bは、それとボンネット3の下面3Cとの軸に沿った距離が、交換冶具40の厚さよりも長い位置まで移動する。
【0063】
次に、
図21に示すように、交換冶具40の一対の差込部42を、押えリング13が差込空間43に位置するように、嵌め輪部材5と押えリング13との間に差し込む。
図21に示した状態から、ハンドル8を開方向に回転させて、ステム4、嵌め輪部材5、弁体ユニット10、および交換冶具40を上昇させて、交換冶具40の把持部41をボンネット33の下面3Cに当接させる。
【0064】
さらに、ハンドル8を開方向へ回すと、ステム4は上昇するが、交換冶具40の把持部41がボンネット33の下面3Cに面当接し、押えリング13のフランジ部13Bが交換冶具40の把持部41および差込部42に当接しているため、弁体ユニット10は、上昇することができない。このため、
図22に示すように、ステム4および嵌め輪部材5のみが上昇し、連結部材11の連結溝11cの斜面により、連結リング6が拡径されて、連結部材11が連結リング6から外れる。
【0065】
図23に示すように、交換冶具40を下側へ押し下げることにより、弁体ユニット10をバルブ31のステム4および嵌め輪部材5から外すことができる。そして、新たな弁体ユニット10の連結部材11の円柱部11Aを、嵌め輪部材5のザグリ孔aの下側部およびステム4の挿入孔4bに挿入することにより、新たな弁体ユニット10をステム4等に取り付けることができる。このように、本実施形態のバルブ31では、容易に弁体ユニット10の交換を行うことができる。
【0066】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【0067】
例えば、上記の実施形態において、ステム4を上下動させる駆動手段は、手動式のハンドル10であったが、自動式の駆動手段であってもよい。自動式の駆動手段としては、流体式の駆動手段でもよい。かかる構成のバルブであっても、上記の実施形態のバルブ1、21、31と同様の効果を奏する。
【0068】
また、サポートダイヤフラム17は、メインダイヤフラム16と一体的に構成されていてもよい。また、連結機構である連結リング6を、ボールプランジャにより構成してもよい。ボールプランジャである場合には、連結部材11の円柱部11Aにボールプランジャを埋没させ、ボールプランジャの先端のボールが環状凹部5bに進入するように構成してもよい。この場合には、円柱部11Aに連結溝11cを形成しなくてもよい。また、ステム4の挿入孔4bを形成する部分に、ボールプランジャを埋没させて、ボールプランジャの先端のボールを挿入孔4b内へ突出させ、当該ボールが連結溝11cに進入するように構成してもよい。この場合には、環状凹部5bを形成しなくてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1、21、31:バルブ、 2:バルブボディ、 2a:弁室、 2b:流入路、 2c:流出路、 2d:弁座、 3、33:ボンネット、 3D:第1傾斜面、 3e:嵌込溝、 4:ステム、 4b:挿入孔、 5:嵌め輪部材、5a:ザグリ孔、 5b:環状凹部、 6:連結リング、 7:交換リング、 7A:リング外周部、 7B:上面、 8:ハンドル、 10:弁体ユニット、 11:連結部材、 11A:円柱部、 11B:半球状部、 11c:連結溝、 12:弁体ホルダ、 12H:弁体、 13、23:押えリング、 13A、23A:円筒部、 13B、23B:フランジ部、 14:ダイヤフラム、 15:押えアダプタ、 15A:上面、 15B:第2傾斜面、 16:メインダイヤフラム、 17:サポートダイヤフラム、 23C:外周面、 40:交換冶具、 41:把持部、 42:差込部