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  • 特許-除菌剤及び容器入り除菌剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】除菌剤及び容器入り除菌剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 59/00 20060101AFI20230919BHJP
   A01N 37/02 20060101ALI20230919BHJP
   A01N 37/06 20060101ALI20230919BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20230919BHJP
   A01N 25/16 20060101ALI20230919BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20230919BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20230919BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20230919BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
A01N59/00 C
A01N37/02
A01N37/06
A01N25/02
A01N25/16
C11D1/04
C11D17/04
A01P3/00
A61L2/18
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021038254
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2021146212
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2020044542
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】508177910
【氏名又は名称】株式会社Eプラン
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】松澤 民男
(72)【発明者】
【氏名】竹内 勝久
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-145787(JP,A)
【文献】特開平11-123381(JP,A)
【文献】特開2001-271098(JP,A)
【文献】特開2004-244429(JP,A)
【文献】特開2014-073260(JP,A)
【文献】アルカリ電解水と液体石鹸(脂肪酸カリウム)で作る激落ちナチュラル洗浄剤「ハイパー水石鹸」の作り方![茂木流ナチュラルクリーニング],You Tube,2019年07月02日,[online],[2023年03月15日検索],〈URL:https://www.youtube.com/watch?v=wFcDA4lGwjo〉
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L
C11D
A01P
A01N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に手指の消毒の用途に用いられる液状の除菌剤が収容された手指用除菌剤であって、
前記除菌剤は、水に炭酸カリウムが添加された電解液を電気分解して生成されたpH11.0から12.のアルカリイオン水に対して、1.0から1.5重量%の液体石鹸が含まれたものであり、
前記液体石鹸は、高級脂肪酸塩であり、アルカリイオン水と親和性のある液体石鹸であり、蛍光剤、漂白剤、防腐剤のいずれも含まず、合成界面活性剤も含まないものであり、
前記容器は、前記除菌剤を入れる容器本体とポンプディスペンサを備え、
前記ポンプディスペンサは、容器本体内の液状の除菌剤を泡状にする造泡部と、当該造泡部で泡状にされた除菌剤を吐出するための操作を行う操作部を備え、
前記液状の除菌剤が前記容器本体に収容されており、
前記容器の操作部を操作すると、容器本体内の液状の除菌剤が泡状になって吐出される、
ことを特徴とする容器入り手指用除菌剤。
【請求項2】
容器に手指の消毒の用途に用いられる液状の除菌剤が収容された手指用除菌剤であって、
前記除菌剤は、水に炭酸カリウムが添加された電解液を電気分解して生成されたpH11.0から12.のアルカリイオン水に対して、1.0から1.5重量%の液体石鹸が含まれたものであり、
前記液体石鹸は、高級脂肪酸塩であり、アルカリイオン水と親和性のある液体石鹸であり、蛍光剤、漂白剤、防腐剤のいずれも含まず、合成界面活性剤も含まないものであり、
前記除菌剤が容器に収容されており、
前記容器が液体シールド性のある袋である、
ことを特徴とする容器入り手指用除菌剤。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の容器入り手指用除菌剤において、
液体石鹸が、親油基と親水基の構成を有する界面活性剤の中の高級脂肪酸塩であり、親水基がカルボキシル基(-COO-)である、
ことを特徴とする容器入り手指用除菌剤。
【請求項4】
請求項1又は請求項3記載の容器入り手指用除菌剤において、
容器が、操作部を操作して除菌剤を泡状にして吐出すると音の出るものである、
ことを特徴とする容器入り手指用除菌剤。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の容器入り手指用除菌剤において、
除菌剤が香り又は/及び色を備えている、
ことを特徴とする容器入り手指用除菌剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリイオン水を用いた除菌剤、抗菌剤、消毒剤(以下、これらを総称して「除菌剤」という)と、当該除菌剤が容器に収容された容器入り除菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、細菌やウイルス感染防止の観点から、手指を消毒する消毒剤が広く一般に利用されている。手指を消毒する消毒剤としては、液状の消毒剤(特許文献1)や泡状の消毒剤(特許文献2)、ジェル状の消毒剤(特許文献3)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-244429号公報
【文献】特開2018-008934号公報
【文献】特開2020-002113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記消毒剤を用いることで細菌感染やウイルス感染の予防効果が期待できるが、従来の消毒剤の多くはアルコールが含まれているため、頻繁に使用すると手荒れを起こすことがあった。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、手荒れを起こしにくいアルコールを含まない(アルコールフリー)の除菌剤と、当該除菌剤が容器に収容された容器入り除菌剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[除菌剤]
本発明の除菌剤は、アルカリイオン水と石鹸とを含むものである。石鹸はアルカリイオン水に対して1.0から20重量%、好ましくは1.0から10重量%、より好ましくは1.5から5.0重量%が望ましい。石鹸はアルカリイオン水に溶け易い液体石鹸(水石鹸)が適する。除菌剤は香りのするものや着色されたものであってもよい。
【0007】
[容器入り除菌剤]
本発明の容器入り除菌剤は、液状の除菌剤が容器に収容されたものであって、除菌剤が前記除菌剤であり、容器は造泡部を備え、容器の操作部を操作すると、容器に収容されている液状の除菌剤が泡状(ムース状を含む。)になって吐出されるようにしたものである。容器は耐水性のあるものであれば袋状、その他の形状の容器であってもよい。容器は操作部を操作すると歌やメロディ等の音が出るものでもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の除菌剤及び容器入り除菌剤はアルコールが含まれていないため、アルコールに起因する手荒れを起こすことがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の容器入り除菌剤の一例を示す斜視図。
図2】本発明の容器入り除菌剤の他例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(除菌剤の実施形態)
本発明の除菌剤の実施形態の一例について説明する。この実施形態の除菌剤は、アルカリイオン水に1.0から20重量%、好ましくは1.0から10重量%、より好ましくは1.5から5.0重量%の石鹸が含まれたものである。1.0重量%より少ないと洗浄効果が薄れ、泡も短時間で消え易くなる。20重量%より多いとベタツキ感が強くなりすぎる。この実施形態では、アルカリイオン水としてpH12.0のものを用いている。pH10.0から13.0のもの、好ましくはpH11.0から12.5のもの、より好ましくはpH11.5から12.0のアルカリイオン水を用いることができる。これらは一例であり、これら以外のpH値のアルカリイオン水を使用することもできる。
【0011】
アルカリイオン水には、例えば、水道水に含まれるカルシウムやマグネシウム等を除去して軟水化した原水に、水酸化カリウム(KOH)や水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)等(以下、「水酸化カリウム等」という)を混入し、電気分解して生成したものを用いることができる。
【0012】
アルカリイオン水のpH値は電気分解する時間や、水酸化カリウム(KOH)等を加える量等で調整することができる。
【0013】
石鹸は、親油基と親水基の構成を有する界面活性剤の中で高級脂肪酸塩であるものが望ましく、親水基がカルボキシル基(-COO-)であるのものが望ましい。これら石鹸は油脂と水酸化ナトリウム(NaOH)や水酸化カリウム(KOH)等との反応によって得られるものである。アルカリイオン水と親和性のある液体石鹸(通常「水石鹸」といわれている)が適する。
【0014】
本発明に使用する石鹸は高級脂肪酸塩である。一般に市販されている石鹸には、蛍光剤や漂白剤、防腐剤、安定剤等の添加物が添加されているものがあるが、本発明に用いる石鹸はこのような添加物を含まない、いわゆる無添加石鹸(高級脂肪酸塩のみで構成される石鹸)であってもよい。
【0015】
本発明の除菌剤は着色剤(染料)や香料(香り成分)を含むものでもよい。この場合、容器から吐出した泡に香りがあり、色が付いているようにする。着色剤や香料の種類、添加量は、所望の色や香りが出るように選択する。アルカリイオン水と石鹸の双方又はいずれか一方に着色剤(染料)や香料を含ませておくことができる。香りは食物や花の香り、色は香りに合わせた食物や花の色、その他とすることができる。香りや色は、本発明の除菌剤(泡状)を手に受けて手を擦っている間に、泡と共に自然に消える(消失する)程度の濃度とするのが適する。
【0016】
本発明の除菌剤には、合成洗剤は含まれない。ここでいう合成洗剤とは、洗浄成分として合成界面活性剤を使用しているものをいい、親水基がスルホン基(-SO)やエーテル(R-O-R′)等で構成される界面活性剤をいう。
【0017】
アルカリイオン水に対する石鹸の重量割合は前記[0010]に記載のとおりであるが、用途や、泡立ちを特に良くしたり、汚れを落ち易くしたりするためには、前記以外の重量%とすることもできる。
【0018】
(容器入り除菌剤の実施形態)
本発明の容器入り除菌剤の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。一例として図1に示す容器入り除菌剤は、本発明の除菌剤が容器1に収容されたものである。
【0019】
図1に示す容器1は、液体を入れる自立可能な容器本体1aと容器本体1aの頭部に装着するポンプディスペンサ1bを備えている。ポンプディスペンサ1bは液体を泡状にして吐出する造泡部(図示しない)を備えている。
【0020】
この実施形態のポンプディスペンサ1bは操作部1cを備えており、操作部1cを手で押し下げると、容器1内の除菌剤が泡状に吐出されるようにしてある。操作部1cは手で押し下げる方式以外のもの、例えば指で引く方式のものとか、足踏み式で操作可能なものであってもよい。
【0021】
容器1は操作部1cを操作して除菌剤を吐出するときに音が出るものであってもよい。この音は、手を擦って除菌剤を手になじませるための時間の目安として利用することができる。除菌剤は手に付着するだけでなく、手になじませることによって高い効果が得られる。このため、音の長さを除菌剤を手になじませるのに十分な時間(例えば、10秒、20秒、30秒など)とし、その音の出ている間、手を擦るように誘導することができる。
【0022】
この実施形態の容器1はプラスチック製のものであるが、容器1はプラスチック製以外のものであってもよい。容器1は各種サイズのものを用意することができる。容器1はその他の構造のものとすることもできる。
【0023】
容器1には、図2に示すようなシールド性を有する袋状のものを用いることもできる。一例として図2に示す容器1は、一枚又は二枚以上のシート材が貼り合わされて袋状に形成されたものである。シート材には、遮光性やシールド性のあるもの、たとえば、二枚のプラスチックフィルムが積層されたものを用いることができる。具体的には、二枚のプラスチックフィルムのうち外層のフィルムがナイロン素材で、内層のフィルムがポリエチレン素材のものなどを用いることができる。その他、遮光性やシールド性のあるものとして、ポリカーボネート(PC)フィルムなどを用いることができる。
【0024】
袋状の容器1には切除部2を設けることもできる。この場合、切除部2を切り取ることで容器1を開口し、内容物(除菌剤)を出して使用することも、図1のような容器1に詰め替えることもできる。切除部2の直下には、切除部2の切除によって形成される開口部を封止する封止部3を設けることもできる。封止部3は、たとえば、容器1の内面に設けられた嵌合凹部と嵌合凸部で構成することができる。封止部3を設けることで、内容物を容器1内で保管することができる。
【0025】
図示は省略しているが、容器1には切除部2及び封止部3を設ける代わりに、蓋付きの排出管を設けることもできる。この場合、開封前は蓋と排出管とが一体であり、蓋を開けて排出管から分離することで、排出管から内容物を出すことができる。蓋付きの排出管を設けた場合も、排出管に蓋を装着することで容器1内に残った内容物をそのまま容器1内で保管することができる。
【0026】
図1のような造泡部を備えた自立型の容器1に収容された容器入り除菌剤は、オフィスや家庭などでの使用時に特に適し、図2のような袋状の容器1に収容された容器入り除菌剤は詰め替え用としての販売時に特に適する。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の除菌剤及び容器入り除菌剤は、手指の除菌のほか、洗顔、化粧落とし(メイク落とし)、デスク、ドアノブといった不特定多数の人が触れる部分の除菌に用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 容器
1a 容器本体
1b ポンプディスペンサ
1c 操作部
2 切除部
3 封止部
図1
図2