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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】テープカッター
(51)【国際特許分類】
   B65H 35/07 20060101AFI20230919BHJP
   B26D 1/02 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
B65H35/07 D
B26D1/02 F
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2023508473
(86)(22)【出願日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 JP2023003578
(87)【国際公開番号】W WO2023063436
(87)【国際公開日】2023-04-20
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】314000800
【氏名又は名称】株式会社無有
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-20161(JP,A)
【文献】特開平9-48553(JP,A)
【文献】特開2017-205830(JP,A)
【文献】特開平9-151021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 35/07
B26D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面に粘着面が露出した粘着テープを回転可能に保持するテープカッターであって、
前記粘着テープを両側方から覆う一対の側板部と、
前記各側板部の下端に接続された底板部と、
前記底板部の端部に設けられ、前記粘着テープの表面に当接した状態で当該粘着テープを切断する切断刃と、
前記切断刃の上方に設けられ、前記粘着テープの端が前記切断刃から浮いた状態で当該粘着テープの前記裏面が貼着される貼着部と、
を備えることを特徴とするテープカッター。
【請求項2】
請求項1に記載のテープカッターにおいて、
上下方向についての前記切断刃から前記貼着部までの距離は、前記一対の側板部間の間隔以上であるテープカッター。
【請求項3】
請求項1に記載のテープカッターにおいて、
上下方向についての前記切断刃から前記貼着部までの距離は、10mm以上であるテープカッター。
【請求項4】
請求項3に記載のテープカッターにおいて、
前記切断刃から前記貼着部までの前記距離は、15mm以上であるテープカッター。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部は、前記各側板部に接続されているテープカッター。
【請求項6】
請求項5に記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部は、前記各側板部の側端に接続されているテープカッター。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れかに記載のテープカッターにおいて、
側面視で、前記貼着部の先端部は、前記側板部の側端上に位置するテープカッター。
【請求項8】
請求項1乃至4の何れかに記載のテープカッターにおいて、
側面視で、前記貼着部の先端部は、前記側板部の側端から食み出しているテープカッター。
【請求項9】
請求項1乃至4の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部の先端部の幅は、前記粘着テープの幅よりも小さいテープカッター。
【請求項10】
請求項9に記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部の前記先端部の幅は、前記粘着テープの幅の50%以下であるテープカッター。
【請求項11】
請求項10に記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部の前記先端部の幅は、前記粘着テープの幅の20%以下であるテープカッター。
【請求項12】
請求項9に記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部の幅は、前記先端部に近づくにつれて単調に小さくなるテープカッター。
【請求項13】
請求項1乃至4の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部の厚みは、前記各側板部の厚みに等しいテープカッター。
【請求項14】
請求項1乃至4の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部は、前記一対の側板部、及び前記底板部と同一の材料からなるテープカッター。
【請求項15】
請求項1乃至4の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部は、紙類からなるテープカッター。
【請求項16】
請求項1乃至4の何れかに記載のテープカッターにおいて、
セルロースナノファイバーを材料として含有するテープカッター。
【請求項17】
請求項1乃至4の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部は、前記側板部の外側に向かって斜め下方に傾斜しているテープカッター。
【請求項18】
請求項1乃至4の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部の先端部は、折り曲げられているテープカッター。
【請求項19】
請求項18に記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部の前記先端部は、前記側板部の外側に折り曲げられているテープカッター。
【請求項20】
請求項1乃至4の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記一対の側板部、前記底板部、及び前記貼着部は、1枚のシートから形成されているテープカッター。
【請求項21】
請求項1乃至4の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記一対の側板部の側端どうしは、前記貼着部のみによって連結されているテープカッター。
【請求項22】
請求項1乃至4の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記一対の側板部の上端どうしは、連結されていないテープカッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープ用のテープカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のテープカッターとしては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載されたテープカッターは、巻回された両面テープを回転可能に保持するテープカッターであって、一対の側板部(面板)、底板部、及び切断刃を備えている。一対の側板部は、両面テープを両側方から覆っている。底板部は、側板部どうしを連結するように、各側板の下端に接続されている。切断刃は、底板部の端部に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-48553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のテープカッターにおいては、両面テープの端を指で摘んで、底板部に沿って引っ張ることにより、一対の側板部間の隙間から両面テープを繰り出すことができる。繰り出された両面テープは、切断刃によって切断される。しかしながら、切断後の両面テープの端は、底板部上又は切断刃上に残ることになる。そのため、両面テープを次に繰り出すとき、両面テープの端を摘みにくいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、繰り出す際に粘着テープの端を摘みやすいテープカッターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるテープカッターは、裏面に粘着面が露出した粘着テープを回転可能に保持するテープカッターであって、上記粘着テープを両側方から覆う一対の側板部と、上記各側板部の下端に接続された底板部と、上記底板部の端部に設けられ、上記粘着テープの表面に当接した状態で当該粘着テープを切断する切断刃と、上記切断刃の上方に設けられ、上記粘着テープの端が上記切断刃から浮いた状態で当該粘着テープの上記裏面が貼着される貼着部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このテープカッターにおいては、切断刃の上方に貼着部が設けられている。貼着部には、粘着テープの端が切断刃から浮いた状態で、粘着テープの裏面が貼着される。これにより、粘着テープの端と切断刃との間に隙間が確保されるため、粘着テープを指で摘みやすくなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、繰り出す際に粘着テープの端を摘みやすいテープカッターが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明によるテープカッターの一実施形態を示す斜視図である。
図2図1のテープカッターを示す側面図である。
図3図1のテープカッターを示す正面図である。
図4図1のテープカッターを示す端面図である。
図5図1のテープカッターの製造方法の一例を説明するための図である。
図6図1のテープカッターの製造方法の一例を説明するための図である。
図7図1のテープカッターの使用方法の一例を説明するための側面図である。
図8図1のテープカッターの使用方法の一例を説明するための側面図である。
図9図1のテープカッターの使用方法の一例を説明するための側面図である。
図10】貼着部40の一変形例を説明するための側面図である。
図11】貼着部40の他の変形例を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1図2及び図3は、それぞれ、本発明によるテープカッターの一実施形態を示す斜視図、側面図及び正面図である。図3は、図1のテープカッターを右側から見た図に相当する。また、図4は、図1のテープカッターを示す端面図である。
【0012】
テープカッター1は、粘着テープ90を回転可能に保持するテープカッターであって、粘着テープ90を繰り出して切断するのに用いられる。粘着テープ90は、円環状の芯に巻回されている。粘着テープ90の裏面には、粘着面が露出している。粘着テープ90は、裏面にのみ粘着面が設けられていてもよいし、両面(表面及び裏面)に粘着面が設けられていてもよい。前者の例としては、例えばセロハンテープが挙げられる。後者の例としては、例えば両面テープが挙げられる。両面テープは、裏面にのみ粘着面が露出していてもよいし、両面に粘着面が露出していてもよい。前者の両面テープにおいては、表面に剥離紙が貼着されている。本実施形態において粘着テープ90は、裏面にのみ粘着面が露出した両面テープである。なお、図1乃至図3においては、粘着テープ90の図示を省略している。
【0013】
粘着テープ90は、巻回部92、及び引出部94からなる(図4参照)。巻回部92は、粘着テープ90における芯に巻回された部分であり、全体として円環状をしている。巻回部92の各部分の裏面は、巻回部92の他の部分の表面、又は芯に貼着されている。引出部94は、粘着テープ90における巻回部92から引き出された部分である。それゆえ、引出部94の裏面は、巻回部92の表面にも芯にも貼着されていない。
【0014】
テープカッター1は、一対の側板部10、底板部20、切断刃30、及び貼着部40を備えている。一対の側板部10は、粘着テープ90を両側方から覆っている。図4は、側板部10に平行で、かつ一対の側板部10の中間に位置する端面を示している。各側板部10の下部(側面視で、後述する挿通部12を含む直線より下の部分)は、矩形をしている。一方、各側板部10の上部(側面視で、上記直線より上の部分)は、半円状をしている。側板部10は、側方から粘着テープ90の全体を覆っていてもよいし、一部のみを覆っていてもよい。すなわち、側板部10は、側面視で、粘着テープ90の全体に重なっていてもよいし、一部にのみ重なっていてもよい。各側板部10は、板状をしている。側板部10の材料としては、例えば、紙類、プラスチック、金属、又は木材を用いることができる。紙類には、加工紙、及びセルロースナノファイバー(CNF)も含まれる。プラスチックは、生分解性プラスチックであってもよい。
【0015】
各側板部10には、挿通部12が接続されている。挿通部12は、粘着テープ90がテープカッター1から脱落しないように、粘着テープ90の芯の内側に挿通されている。挿通部12は、板状をしている。挿通部12の厚み方向は、側板部10の厚み方向に垂直である。2つの挿通部12は、重なり合った状態で互いに固定されている。これにより、一対の側板部10の中央部どうしは、挿通部12によって連結されている。ここで、「中央部」とは、側板部10の周縁以外の部分である。各挿通部12は、側板部10と一体に形成されることが好ましい。挿通部12の材料は、側板部10の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。各側板部10は、半円状の開口部14を有している。開口部14は、各側板部10の上部に形成されている。開口部14は、指を挿入することが可能な大きさをしている。それゆえ、テープカッター1は、開口部14に指を入れた状態で、手に持って使用することができる。挿通部12は、開口部14の下端に接続されている。
【0016】
底板部20は、各側板部10の下端10aに接続されている。これにより、一対の側板部10の下端10aどうしは、底板部20によって連結されている。底板部20は、各側板部10の下端10aの全体に接続されていてもよいし、一部にのみ接続されていてもよい。底板部20は、板状をしている。底板部20の厚み方向は、側板部10の厚み方向に垂直であり、挿通部12の厚み方向に等しい。底板部20は、側板部10と一体に形成されることが好ましい。底板部20の材料は、側板部10の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0017】
切断刃30は、底板部20の端部に設けられている。切断刃30は、底板部20上に固定されている。切断刃30は、粘着テープ90の表面に当接した状態で粘着テープ90を切断する。切断刃30の先端は、底板部20から食み出している。切断刃30の先端は、巻回部92から離間している。これにより、切断刃30は、一定の長さの引出部94を残して、粘着テープ90を切断する。切断刃30の材料は、側板部10の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。切断刃30は、底板部20と一体に形成されてもよい。
【0018】
貼着部40は、切断刃30の上方に設けられている。図4に示すように、貼着部40には、粘着テープ90(引出部94)の端90aが切断刃30から浮いた状態で、粘着テープ90の裏面が貼着される。具体的には、貼着部40の先端部42に、粘着テープ90の裏面が貼着される。先端部42は、貼着部40の下端に等しい。先端部42(粘着テープ90の裏面が接触する部分)は、平坦であってもよいし、凹凸が形成されていてもよい。貼着部40の幅は、先端部42に近づくにつれて単調に小さくなっている。先端部42の幅w1(図3参照)は、粘着テープ90の幅よりも小さい。すなわち、幅w1は、テープカッター1において使用することが想定される粘着テープ90の幅よりも小さく設計されている。幅w1は、粘着テープ90の幅の50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
【0019】
貼着部40は、各側板部10に接続されている。具体的には、貼着部40は、各側板部10の側端10bに接続されている。側端10bは、側板部10の下端10a以外の周縁のうち、下部に位置する部分である。側端10bは、直線状をしている。これにより、一対の側板部10の側端10bどうしは、貼着部40によって連結されている。一対の側板部10の側端10bどうしは、貼着部40のみによって連結されている。それゆえ、一対の側板部10の側端10bどうしは、貼着部40の反対側においては連結されていない。また、一対の側板部10の上端10cどうしも、連結されていない。上端10cは、側板部10の下端10a以外の周縁のうち、上部に位置する部分である。上端10cは、曲線状をしている。
【0020】
上下方向についての切断刃30から貼着部40(先端部42)までの距離d1(図3参照)は、一対の側板部10間の間隔d2以上であることが好ましい。上下方向は、底板部20の厚み方向(図1乃至図3の上下方向)に等しい。距離d1は、10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましい。
【0021】
側面視で、先端部42は、側板部10の側端10b上に位置している。平面視で、先端部42は、切断刃30の先端に重なってもよいし、重ならなくてもよい。すなわち、先端部42は、切断刃30の先端の真上に位置してもよいし、斜め上に位置してもよい。後者の場合、平面視で切断刃30の先端から先端部42までの距離(水平方向の距離)は、距離d1よりも小さいことが好ましい。貼着部40は、板状をしている。貼着部40の厚み方向は、側板部10の厚み方向にも底板部20の厚み方向にも垂直である。貼着部40の厚みは、各側板部10の厚みに等しいことが好ましい。貼着部40は、側板部10と一体に形成されることが好ましい。貼着部40の材料は、側板部10の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0022】
図5及び図6を参照しつつ、テープカッター1の製造方法の一例を説明する。まず、充分な大きさのシート50を準備し、シート50を図5に示す形に切断する。本例においてシート50は、紙類(厚紙)からなる。切断されたシート50は、側板部10となる部分10p、挿通部12となる部分12p、底板部20となる部分20p、補強部22、貼着部40となる部分40p、及び糊代部44からなる。部分10pには、開口部14となる部分14pが形成されている。なお、図5は、部分10p、部分20p及び部分40pの内面(テープカッター1において粘着テープ90に対向する側の面)を示している。
【0023】
次に、図6に示すように、補強部22が部分10p及び部分20pに重なるように、折目L1に沿ってシート50を谷折りにする。折目L1は、部分10p,20pと補強部22との境界に位置する。補強部22のうち部分10pに重なる部分は、部分10pと共に側板部10を構成する。補強部22のうち部分20pに重なる部分は、部分20pと共に底板部20を構成する。ただし、図1乃至図4においては、補強部22の図示を省略している。補強部22のうち部分20pに重なる部分には、切断刃30が取り付けられている。
【0024】
続いて、折目L2、折目L3、折目L4、及び折目L5に沿って、シート50を直角に谷折りにする。折目L2は、部分10pと部分12pとの境界に位置する。折目L3は、部分10pと部分40pとの境界に位置する。折目L4は、部分40pと糊代部44との境界に位置する。折目L5は、部分10pと部分20pとの境界に位置する。このとき、部分12pが粘着テープ90の芯の内側に挿通されるように、一対の部分10p間に粘着テープ90を配置する。その後、一対の部分12pどうしを固定する。また、糊代部44を部分10pの内面(図6において斜線を付した部分44a)に固定する。これらの固定は、例えば、接着剤を用いて行うことができる。以上により、図1乃至図4に示したテープカッター1が得られる。このように、本例において側板部10、底板部20、及び貼着部40は、1枚のシート(厚紙)から形成されている。
【0025】
図7乃至図9を参照しつつ、テープカッター1の使用方法の一例を説明する。まず、図7に示すように、粘着テープ90(引出部94)を指で摘んで、粘着テープ90を貼着部40から剥がした後、底板部20に沿って引っ張る。これにより、底板部20と貼着部40との間から粘着テープ90が繰り出される。次に、図8に示すように、粘着テープ90の表面を切断刃30の先端に押し当てるようにして粘着テープ90を切断する。その後、図9に示すように、粘着テープ90の裏面を貼着部40に再び貼着する。このとき、粘着テープ90の端90aが先端部42から食み出すようにすることが好ましい。引出部94は、貼着部40にのみ貼着される。すなわち、テープカッター1は、テープカッター1における貼着部40以外の部分に引出部94が貼着されないように構成されている。このようにして、テープカッター1から粘着テープ90を繰り出して、所望の長さの切断片を得ることができる。
【0026】
テープカッター1の効果を説明する。テープカッター1においては、切断刃30の上方に貼着部40が設けられている。貼着部40には、粘着テープ90の端90aが切断刃30から浮いた状態で、粘着テープ90の裏面が貼着される。これにより、粘着テープ90の端90aと切断刃30との間に隙間が確保されるため、粘着テープ90を指で摘みやすくなる。したがって、繰り出す際に粘着テープ90の端90aを摘みやすいテープカッター1が実現されている。
【0027】
このように粘着テープ90を貼着部40に貼着しておくことにより、粘着テープ90の巻戻り(引出部94が巻回部92に戻ること)を起こりにくくすることができる。また、切断刃30から離れた位置で粘着テープ90を摘めるため、粘着テープ90を繰り出す際に指が切断刃30に触れにくくなる。このため、テープカッター1の安全性を高めることができる。
【0028】
上下方向についての切断刃30から貼着部40までの距離d1が大きい方が、テープ90の端90aと切断刃30との隙間が広くなるため、粘着テープ90を摘みやすくするのに有利である。かかる観点から、距離d1は、一対の側板部10間の間隔d2以上であることが好ましい。同様の観点から、距離d1は、10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましい。他方、距離d1が大きすぎると、貼着部40を配置する場所をテープカッター1に確保しにくくなりかねない。かかる観点から、距離d1は、50mm以下であることが好ましい。
【0029】
貼着部40は、各側板部10に接続されている。この場合、貼着部40を、テープカッター1の形状(一対の側板部10が所定の間隔で対向した形状)を維持するための部材としても機能させることができる。
【0030】
貼着部40は、各側板部10の側端10bに接続されている。これにより、貼着部40の先端部42を側板部10の側端10bに揃えやすくなる。実際、テープカッター1においては、側面視で、先端部42が側板部10の側端10b上に位置している。この場合、一対の側板部10で挟まれた空間の奥に先端部42が入り込まないため、貼着部40に貼着された粘着テープ90を指で摘みやすくするのに有利である。
【0031】
先端部42の幅w1は、粘着テープ90の幅よりも小さい。この場合、幅w1を変えることにより、先端部42と粘着テープ90との接触面積、ひいては貼着部40と粘着テープ90との間の粘着力を調整することができる。これにより、貼着部40の材料の選択肢が増えるため、貼着部40を他の部分(側板部10、底板部20、及び/又は切断刃30)と一体に形成しやすくなる。
【0032】
粘着テープ90における貼着部40に貼着されていた部分は、貼着部40から剥がした後に粘着力が低下しやすい。それゆえ、幅w1を小さくした方が、粘着テープ90の粘着力を維持するのに有利である。かかる観点から、幅w1は、粘着テープ90の幅の50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。他方、幅w1が小さすぎると、貼着部40と粘着テープ90との間の粘着力が不充分になりかねない。かかる観点から、幅w1は、粘着テープ90の幅の5%以上であることが好ましい。
【0033】
貼着部40の幅は、先端部42に近づくにつれて単調に小さくなっている。これにより、各側板部10に接続されつつ、先端部42の幅w1が粘着テープ90の幅よりも小さい貼着部40を容易に実現することができる。
【0034】
貼着部40の厚みが各側板部10の厚みに等しい場合、側板部10及び貼着部40を均一な厚みの1枚のシートから形成しやすくなる。
【0035】
貼着部40が一対の側板部10及び底板部20と同一の材料からなる場合、側板部10、底板部20及び貼着部40を一体に形成しやすくなる。このように側板部10、底板部20及び貼着部40を一体に形成することにより、テープカッター1の製造工程を簡略化し、それによりテープカッター1の製造コストを削減することができる。
【0036】
貼着部40が紙類からなる場合、貼着部40ひいてはテープカッター1の軽量化を図ることができる。テープカッター1がCNFを材料として含有する場合、テープカッター1の軽量化及び高強度化を図るのに有利となる。また、CNFを用いることは、環境負荷の低減にも資する。
【0037】
一対の側板部10の側端10bどうしは、貼着部40のみによって連結されている。この場合、貼着部40の他には、側板部10の側端10bどうしを連結する部材が不要である。これにより、テープカッター1の材料を節約することができる。このことも、テープカッター1の製造コストの削減に資する。
【0038】
一対の側板部10の上端10cどうしは、連結されていない。この場合、側板部10の上端10cどうしを連結する部材が不要である。これにより、テープカッター1の材料を一層節約することができる。
【0039】
シート50には、補強部22が設けられている。これにより、テープカッター1の一部(切断刃30の周辺部)の強度を高めることができる。ただし、補強部22を設けることは、必須でない。補強部22を設けない場合、テープカッター1の材料を節約することができる。
【0040】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、側面視で貼着部40の先端部42が側板部10の側端10b上に位置する場合を例示した。しかし、例えば図10に示すように、先端部42は、側面視で、側板部10の側端10bから食み出していてもよい。同図において貼着部40は、側板部10の外側に向かって斜め下方に傾斜している。貼着部40は、全体が傾斜していてもよいし、一部(先端部42を含む部分)のみが傾斜していてもよい。
【0041】
このように先端部42が側板部10の側端10bから食み出している場合、粘着テープ90は、側板部10の外側において貼着部40に貼着されることになる。このため、粘着テープ90の端90aを一層摘みやすくなる。また、貼着部40が側板部10の外側に向かって斜め下方に傾斜している場合、貼着部40が傾斜していない場合に比して、粘着テープ90の裏面に対する貼着部40の角度が直角に近くなる。これにより、粘着テープ90を貼着部40に安定的に貼着させることができる。
【0042】
上記実施形態において貼着部40の先端部42は、例えば図11に示すように、折り曲げられていてもよい。同図において先端部42は、側板部10の外側に折り曲げられている。このように先端部42を折り曲げることにより、先端部42と粘着テープ90との接触面積を広く確保することができる。また、先端部42を側板部10の外側に折り曲げることにより、先端部42を側板部10の側端10bから食み出させやすくなる。ただし、先端部42は、側板部10の内側に折り曲げられてもよい。
【0043】
上記実施形態においては、先端部42の幅w1が粘着テープ90の幅よりも小さい場合を例示した。しかし、幅w1は、粘着テープ90の幅に等しくてもよいし、粘着テープ90の幅より大きくてもよい。例えば、幅w1は、一対の側板部10間の間隔d2に等しくてもよい。
【0044】
上記実施形態においては、貼着部40が側板部10に固定されている場合を例示した。しかし、貼着部40は、側板部10に対して着脱可能に設けられていてもよい。また、貼着部40は、既存のテープカッターに後付けできるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 テープカッター
10 側板部
10a 下端
10b 側端
10c 上端
12 挿通部
14 開口部
20 底板部
22 補強部
30 切断刃
40 貼着部
42 先端部
44 糊代部
50 シート
90 粘着テープ
90a 端
92 巻回部
94 引出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11