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特許7350422複合撮像スライスを用いた適応型放射線治療
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】複合撮像スライスを用いた適応型放射線治療
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20230919BHJP
【FI】
A61N5/10 M
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2022509043
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 CA2020050401
(87)【国際公開番号】W WO2021026634
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-04-05
(31)【優先権主張番号】62/886,030
(32)【優先日】2019-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/824,276
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518000132
【氏名又は名称】エレクタ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087479
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 好人
(72)【発明者】
【氏名】ラシェーヌ,マルタン エミール
(72)【発明者】
【氏名】ヘバート,フランソワ ポール ジョージ ルネ
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-533797(JP,A)
【文献】特表2019-504738(JP,A)
【文献】特表2019-508111(JP,A)
【文献】特表2009-504245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
適応型放射線治療送達システムを制御する、コンピュータに実装された方法であって、
前記方法は、
与えられた放射線セッション中の第1の時点で、オブジェクトを含む第1の撮像スライスを受け取るステップであって、前記第1の撮像スライスは、第1の平面に対応するステップと、
前記与えられた放射線セッション中の前記第1の時点で、前記第1の平面に対応する合成撮像スライスにアクセスするステップであって、前記合成撮像スライスは、前記第1の時点より前に得られた複数の撮像スライスを用い、前記複数の撮像スライスからターゲット画像を選択し、前記ターゲット画像に基づいて、前記複数の撮像スライスの残りのセットについて複数の変形を生成し、前記複数の撮像スライスの残りのセットについて前記複数の変形の平均を計算することに少なくとも部分的に基づいて生成されるステップと、
前記第1の撮像スライスと前記合成撮像スライスを空間的に登録するステップと、
前記第1の撮像スライスと前記合成撮像スライスを空間的に登録することに基づいて、かつ、前記第1の撮像スライスと前記合成撮像スライスとの差に少なくとも部分的に基づいて、前記オブジェクトの動きを決定するステップと、
前記決定された動きに基づいて、治療ビームの照射を制御するための更新された治療プロトコルを生成するステップと
を有する
ことを特徴とするコンピュータに実装された方法。
【請求項2】
請求項1記載のコンピュータに実装された方法において、
前記オブジェクトは、前記治療ビームのターゲットである患者の腫瘍を有し、
前記方法は、
前記与えられた放射線セッションの前に、前記第1の撮像スライスと前記ボリューム画像の1つまたはそれ以上のスライスとの間の画像コントラストの差を有する前記オブジェクトを有するボリューム画像を受け取るステップ
を更に有する
ことを特徴とするコンピュータに実装された方法。
【請求項3】
請求項2記載のコンピュータに実装された方法において、
前記方法は、
前記合成撮像スライスを、前記ボリューム画像から前記第1の平面に沿って抽出された2次元スライスに空間的に登録するステップ
を更に有する
ことを特徴とするコンピュータに実装された方法。
【請求項4】
請求項3記載のコンピュータに実装された方法において、
前記第1の撮像スライスと前記合成撮像スライスを登録するステップは、前記第1の撮像スライスと前記合成撮像スライスの一方または両方におけるピクセルをマスクで制限し、登録の計算を、前記オブジェクトに関連するピクセルのみに制限することを有し、
前記合成撮像スライスは、前記第1の撮像スライスが前記合成撮像スライスに登録される前に、前記2次元スライスに登録される
ことを特徴とするコンピュータに実装された方法。
【請求項5】
請求項3記載のコンピュータに実装された方法において、
前記方法は、
前記2次元スライスに対して登録された前記合成撮像スライスの位置または部分を手動で調整するユーザ入力を受け取るステップ
を更に有する
ことを特徴とするコンピュータに実装された方法。
【請求項6】
請求項1記載のコンピュータに実装された方法において、
前記合成撮像スライスが第1の合成画像であり、
前記方法は、
前記与えられた放射線セッション中の第2の時点で、前記オブジェクトを含む第2の撮像スライスを受け取るステップであって、前記第2の撮像スライスは第2の平面に対応するステップと、
前記与えられた放射線セッション中の第2の時点で、前記第2の平面に対応する第2の合成撮像スライスにアクセスするステップであって、前記第2の合成撮像スライスは、前記第2の時点より前に得られた別の複数の撮像スライスを用いて生成されるステップと、
前記第2の撮像スライスと前記第2の合成撮像スライスとを空間的に登録するステップであって、前記第2の撮像スライス内の前記オブジェクトの一部を移動させて、前記第2の撮像スライス内の前記オブジェクトと、前記第2の合成撮像スライス内のオブジェクトの一部とを登録することを含むステップと
を更に有する
ことを特徴とするコンピュータに実装された方法。
【請求項7】
請求項1記載のコンピュータに実装された方法において、
前記方法は、
前記治療ビームを作動させる前に、前記複数の撮像スライスを収集するステップ
を更に有する
ことを特徴とするコンピュータに実装された方法。
【請求項8】
請求項7記載のコンピュータに実装された方法において、
前記複数の撮像スライスのうちの与えられた1つは、基準呼吸位相に対応し、前記ターゲット画像として選択される
ことを特徴とするコンピュータに実装された方法。
【請求項9】
請求項8記載のコンピュータに実装された方法において、
前記方法は、
前記複数の撮像スライスの前記残りのセットを前記複数の撮像スライスのうちの前記与えられた1つに変形して登録して、前記複数の撮像スライスの前記残りのセットの各々への前記複数の変形を生成するステップ
を更に有する
ことを特徴とするコンピュータに実装された方法。
【請求項10】
請求項9記載のコンピュータに実装された方法において、
前記方法は、
記複数の撮像スライスの前記残りのセットの各々への前記変形から前記平均値を除去することにより、前記変形を調整して調整された変形を提供するステップと、
前記複数の撮像スライスの残りのセットの各々への前記調整された変形に基づいて、前記複数の撮像スライスを再サンプリングして再サンプリングされた複数の撮像スライスを提供するステップと、
前記再サンプリングされた複数の撮像スライスの各々の、前記複数の撮像スライスのうちの前記与えられた1つに対する距離に基づいて、前記再サンプリングされた複数の撮像スライスのサブセットを選択するステップと、
前記再サンプリングされた複数の撮像スライスのうちの前記選択されたサブセットを平均化することにより、前記合成撮像スライスを生成するステップと
を更に有する
ことを特徴とするコンピュータに実装された方法。
【請求項11】
請求項10記載のコンピュータに実装された方法において、
前記再サンプリングされた複数の撮像スライスの前記選択されたサブセットの各々と、前記複数の撮像スライスのうちの前記与えられた1つとの間の距離が、前記再サンプリングされた複数の撮像スライスと前記複数の撮像スライスのうちの前記当たられた1つとの間の距離よりも小さい
ことを特徴とするコンピュータに実装された方法。
【請求項12】
請求項1記載のコンピュータに実装された方法において、
前記合成撮像スライスは前記治療ビームを作動させる前に生成され、
前記第1の撮像スライスは前記治療ビームを作動させる前に受け取られ、
前記動きは前記治療ビームを作動させる前に決定され、
前記治療ビームは、前記更新された治療プロトコルを生成した後に作動される
ことを特徴とするコンピュータに実装された方法。
【請求項13】
請求項1記載のコンピュータに実装された方法において、
前記合成撮像スライスは前記治療ビームがアクティブである間に更新され、
前記合成撮像スライスにアクセスするステップは前記更新された合成撮像スライスを取得することを有し、
前記第1の撮像スライスは前記治療ビームがアクティブである間に受け取られ、
前記動きは前記治療ビームがアクティブである間に決定される
ことを特徴とするコンピュータに実装された方法。
【請求項14】
請求項1記載のコンピュータに実装された方法において、
前記合成撮像スライスは前記治療ビームを作動させる前に生成され、
前記第1の撮像スライスは前記治療ビームを作動させた後に受け取られ、
前記動きは前記治療ビームを作動させた後に決定される
ことを特徴とするコンピュータに実装された方法。
【請求項15】
適応型放射線治療送達システムを制御するための非一時的なコンピュータ可読命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記非一時的なコンピュータ可読命令は、オペレーションを実行し、
前記オペレーションは、
与えられた放射線セッション中の第1の時点で、オブジェクトを含む第1の撮像スライスを受け取るオペレーションであって、前記第1の撮像スライスは、第1の平面に対応するオペレーションと、
前記与えられた放射線セッション中の前記第1の時点で、前記第1の平面に対応する合成撮像スライスにアクセスするオペレーションであって、前記合成撮像スライスは、前記第1の時点より前に得られた複数の撮像スライスを用い、前記複数の撮像スライスからターゲット画像を選択し、前記ターゲット画像に基づいて、前記複数の撮像スライスの残りのセットについて複数の変形を生成し、前記複数の撮像スライスの残りのセットについて前記複数の変形の平均を計算することに少なくとも部分的に基づいて生成されるオペレーションと、
前記第1の撮像スライスと前記合成撮像スライスを空間的に登録するオペレーションと、
前記第1の撮像スライスと前記合成撮像スライスを空間的に登録することに基づいて、かつ、前記第1の撮像スライスと前記合成撮像スライスとの差に少なくとも部分的に基づいて、前記オブジェクトの動きを決定するオペレーションと、
前記決定された動きに基づいて、治療ビームの照射を制御するための更新された治療プロトコルを生成するオペレーションと
を有する
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
請求項15記載の非一時的コンピュータ可読媒体において、
前記オブジェクトは、前記治療ビームのターゲットである患者の腫瘍を有し、
前記オペレーションは、
前記与えられた放射線セッションの前に、前記第1の撮像スライスと前記ボリューム画像の1つまたはそれ以上のスライスとの間の画像コントラストの差を有する前記オブジェクトを有するボリューム画像を受け取るオペレーション
を更に有する
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
請求項16記載の非一時的コンピュータ可読媒体において、
前記オペレーションは、
前記合成撮像スライスを、前記ボリューム画像から前記第1の平面に沿って抽出された2次元スライスに空間的に登録するオペレーション
を更に有する
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
請求項17記載の非一時的コンピュータ可読媒体において、
前記オペレーションは、
前記複数の撮像スライスの前記残りのセットの各々への前記変形から前記平均値を除去することにより、前記変形を調整して調整された変形を提供するオペレーション
を更に有する
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
請求項17記載の非一時的コンピュータ可読媒体において、
前記オペレーションは、
前記複数の変形に前記平均を適用することに基づき、前記複数の撮像スライスの各々の前記ターゲット画像への距離に基づいて前記複数の撮像スライスのサブセットを選択するオペレーションと、
前記複数の撮像スライスの前記サブセットを平均化して、前記合成撮像スライスを生成するオペレーションと
を更に有する
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
請求項15記載の非一時的コンピュータ可読媒体において、
前記オペレーションは、
前記複数の撮像スライスを再サンプリングして、前記複数の撮像スライスの前記残りのセットの各々の前記調整された変形に基づいて再サンプリングされた複数の撮像スライスを提供するオペレーションと、
前記再サンプリングされた複数の撮像スライスの各々の前記ターゲット画像への距離に基づいて前記再サンプリングされた複数の撮像スライスのサブセットを選択するオペレーションと
を更に有する
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項21】
請求項15記載の非一時的コンピュータ可読媒体において、
前記オペレーションは、
前記治療ビームを作動させる前に、前記複数の撮像スライスを収集するオペレーション
を更に有する
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項22】
請求項21記載の非一時的コンピュータ可読媒体において、
前記複数の撮像スライスのうちの与えられた1つは、基準呼吸位相に対応し、かつ、ターゲット画像として選択される
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項23】
請求項22記載の非一時的コンピュータ可読媒体において、
前記オペレーションは、
前記複数の撮像スライスの前記残りのセットを前記複数の撮像スライスのうちの前記与えられた1つに変形して登録して、前記複数の撮像スライスの残りのセットの各々への変形を生成するオペレーションと、
前記複数の撮像スライスの残りのセットの各々への変形から前記平均値を除去することにより、前記変形を調整して調整された変形を提供するオペレーションと、
前記複数の撮像スライスの残りのセットの各々への前記調整された変形に基づいて、前記複数の撮像スライスを再サンプリングして再サンプリングされた複数の撮像スライスを提供するオペレーションと、
前記再サンプリングされた複数の撮像スライスの各々の、前記複数の撮像スライスのうちの前記与えられた1つに対する距離に基づいて、前記再サンプリングされた複数の撮像スライスのサブセットを選択するオペレーションと、
前記再サンプリングされた複数の撮像スライスのうちの前記選択されたサブセットを平均化することにより、前記合成撮像スライスを生成するオペレーションと
を更に有する
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項24】
請求項15記載の非一時的コンピュータ可読媒体において、
前記合成撮像スライスは前記治療ビームを作動させる前に生成され、
前記第1の撮像スライスは前記治療ビームを作動させる前に受け取られ、
前記動きは前記治療ビームを作動させる前に決定され、
前記治療ビームは、前記更新された治療プロトコルを生成した後に作動される
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項25】
請求項15記載の非一時的コンピュータ可読媒体において、
前記合成撮像スライスは前記治療ビームがアクティブである間に更新され、
前記合成撮像スライスにアクセスするオペレーションは前記更新された合成撮像スライスを取得することを有し、
前記第1の撮像スライスは前記治療ビームがアクティブである間に受け取られ、
前記動きは前記治療ビームがアクティブである間に決定される
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項26】
請求項15記載の非一時的コンピュータ可読媒体において、
前記合成撮像スライスは前記治療ビームを作動させる前に生成され、
前記第1の撮像スライスは前記治療ビームを作動させた後に受け取られ、
前記動きは前記治療ビームを作動させた後に決定される
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項27】
適応型放射線治療送達システムを制御するシステムであって、
前記システムは、
オペレーションを実行するように構成された1つまたはそれ以上のプロセッサを有し、
前記オペレーションは、
与えられた放射線セッション中の第1の時点で、オブジェクトを含む第1の撮像スライスを受け取るオペレーションであって、前記第1の撮像スライスは、第1の平面に対応するオペレーションと、
前記与えられた放射線セッション中の前記第1の時点で、前記第1の平面に対応する合成撮像スライスにアクセスするオペレーションであって、前記合成撮像スライスは、前記第1の時点より前に得られた複数の撮像スライスを用い、前記複数の撮像スライスからターゲット画像を選択し、前記ターゲット画像に基づいて、前記複数の撮像スライスの残りのセットについて複数の変形を生成し、前記複数の撮像スライスの残りのセットについて前記複数の変形の平均を計算することに少なくとも部分的に基づいて生成されるオペレーションと、
前記第1の撮像スライスと前記合成撮像スライスを空間的に登録するオペレーションと、
前記第1の撮像スライスと前記合成撮像スライスを空間的に登録することに基づいて、かつ、前記第1の撮像スライスと前記合成撮像スライスとの差に少なくとも部分的に基づいて、前記オブジェクトの動きを決定するオペレーションと、
前記決定された動きに基づいて、治療ビームの照射を制御するための更新された治療プロトコルを生成するオペレーションと
を有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項27記載のシステムにおいて、
前記オブジェクトは、前記治療ビームのターゲットである患者の腫瘍を有し、
前記オペレーションは、
前記与えられた放射線セッションの前に、前記第1の撮像スライスと前記ボリューム画像の1つまたはそれ以上のスライスとの間の画像コントラストの差を有する前記オブジェクトを有するボリューム画像を受け取るオペレーション
を更に有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項28記載のシステムにおいて、
前記オペレーションは、
前記合成撮像スライスを、前記ボリューム画像から前記第1の平面に沿って抽出された2次元スライスに空間的に登録するオペレーション
を更に有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項29記載のシステムにおいて、
前記第1の撮像スライスと前記合成撮像スライスを登録するオペレーションは、前記第1の撮像スライスと前記合成撮像スライスの一方または両方において、前記登録において考慮されるピクセルをマスクで制限し、登録の計算を、前記オブジェクトに関連するピクセルのみに制限することを有し、
前記合成撮像スライスは、前記第1の撮像スライスが前記合成撮像スライスに登録される前に、前記2次元スライスに登録される
ことを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項27記載のシステムにおいて、
前記合成撮像スライスは前記治療ビームを作動させる前に生成され、
前記第1の撮像スライスは前記治療ビームを作動させる前に受け取られ、
前記動きは前記治療ビームを作動させる前に決定され、
前記治療ビームは、前記更新された治療プロトコルを生成した後に作動される
ことを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項27記載のシステムにおいて、
前記合成撮像スライスは前記治療ビームがアクティブである間に更新され、
前記合成撮像スライスにアクセスするオペレーションは前記更新された合成撮像スライスを取得することを有し、
前記第1の撮像スライスは前記治療ビームがアクティブである間に受け取られ、
前記動きは前記治療ビームがアクティブである間に決定される
ことを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項27記載のシステムにおいて、
前記合成撮像スライスは前記治療ビームを作動させる前に生成され、
前記第1の撮像スライスは前記治療ビームを作動させた後に受け取られ、
前記動きは前記治療ビームを作動させた後に決定される
ことを特徴とするシステム。
【請求項34】
請求項27記載のシステムにおいて、
前記オペレーションは、
前記複数の撮像スライスの前記残りのセットを前記複数の撮像スライスのうちの前記与えられた1つに変形して登録して、前記複数の撮像スライスの前記残りのセットの各々への前記複数の変形を生成するオペレーションと、
前記複数の撮像スライスの前記残りのセットの各々への前記変形から前記平均値を除去することにより、前記変形を調整して調整された変形を提供するオペレーションと、
前記複数の撮像スライスの残りのセットの各々への前記調整された変形に基づいて、前記複数の撮像スライスを再サンプリングして再サンプリングされた複数の撮像スライスを提供するオペレーションと、
前記再サンプリングされた複数の撮像スライスの各々の、前記複数の撮像スライスのうちの前記与えられた1つに対する距離に基づいて、前記再サンプリングされた複数の撮像スライスのサブセットを選択するオペレーションと、
前記再サンプリングされた複数の撮像スライスのうちの前記選択されたサブセットを平均化することにより、前記合成撮像スライスを生成するオペレーションと
を更に有する
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本特許出願は、2020年3月19日に出願された「ADAPTIVE RADIATION THERAPY USING COMPOSITE IMAGING SLICES」と題された米国特許出願番号16/824,276の優先権の利益を主張し、および、2019年8月13日に出願された「AUTOMATIC GATING WITH A MAGNETIC RESONANCE LINEAR ACCELERATOR (MR LINAC)」と題された米国仮特許出願番号62/886,030号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
(技術分野)
【0002】
本開示は、一般に、放射線治療または放射線療法に関する。より具体的には、本開示は、放射線治療の実施中にターゲットの腫瘍の位置の変化を補償するために、放射線治療の治療計画を適応させるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
放射線治療すなわち「放射線療法(radiotherapy)」は、哺乳類(例えば、ヒトや動物)の組織における癌やその他の病気を治療するために使用することができる。そのような放射線療法のひとつがガンマナイフ(Gamma Knife)であり、それにより、患者に、低強度のガンマ線を大量に照射し、ターゲット(例えば、腫瘍)に高強度かつ高精度で集束させる。他の実施形態では、線形加速器を使用して放射線治療を行い、それにより、高エネルギー粒子(例えば、電子、陽子、イオン、高エネルギー光子など)を腫瘍に照射する。腫瘍に所定の放射線を照射するためには、放射線ビームの配置と線量を正確に制御する必要があり、放射線ビームの配置は、リスク臓器(OAR)としばしば呼ばれる周囲の健康な組織へのダメージを最小限に抑えるようにしなければならない。放射線は、医師が薬の処方箋のように、あらかじめ決められた量の放射線を腫瘍とその周辺の臓器に照射することを指示するので「処方(prescribed)」と呼ばれる。
【0004】
一般的には、コリメートされたビーム状の電離放射線(ionizing radiation)が、外部放射線源から患者に向けて照射される。
【0005】
診断用のエネルギーレベルの範囲や治療用のエネルギーレベルの範囲のような、指定または選択可能なビームエネルギーを使用することができる。放射線ビームの変調は、1つまたはそれ以上のアッテネータまたはコリメータ(例えば、マルチリーフコリメータ)によって提供することができる。放射線ビームの強度と形状は、コリメーションによって調整され、投影されたビームをターゲット組織のプロファイルに適合させることで、ターゲット組織に隣接する健康な組織(例えば、リスク臓器)を傷つけないようにすることができる。
【0006】
治療計画の手順は、患者の3次元画像を使用して、標的領域(例えば、腫瘍)を特定し、腫瘍の近くにある重要な器官を特定することを含む。治療計画の作成は、プランナーが、臨床的に受け入れられる治療計画を作成するために、様々な治療目的や制約条件(例えば、DVH(Dose Volume Histogram)の目的)を、それぞれの重要性(例えば、重み付け)を考慮しながら遵守する、時間のかかるプロセスである。この作業は、OARの数が増えると(例えば、頭と首の治療では最大13個のOAR)、プロセスが複雑になるため、時間のかかる試行錯誤が必要となるプロセスである。腫瘍から遠く離れたOARは放射線から影響を受けにくいが、ターゲットの腫瘍に近い、または重なっているOARは放射線から影響を受けなくすることが難しい。
【0007】
従来は、患者ごとに、初期の治療計画は「オフライン」で作成される。治療計画は、放射線治療を行う前に、1つまたはそれ以上の医療用画像処理技術を使用するなどして、十分に立案することができる。画像情報は、例えば、X線(X-rays)、コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)、核磁気共鳴(MR:nuclear magnetic resonance)、PET(Positron Emission Tomography)、SPECT(Single-Photo Emission Computed Tomography)、超音波を含む。医師のような医療従事者は、患者の解剖学的構造を示す三次元(3D)画像情報を使用して、1つまたはそれ以上のターゲット腫瘍を、腫瘍の近くにあるリスク臓器とともに特定する。医療従事者は、手技(manual technique)を用いて、所定の放射線量を受けるターゲットの腫瘍を描出することができ、また、医療従事者は、放射線治療によって損傷を受ける可能性のある臓器のような周辺組織を同様に描出することができる。代替的または追加的に、自動化されたツール(例えば、スウェーデンのElekta AB社が提供するABAS)を使用して、ターゲットの腫瘍やリスク臓器を特定または明確にすることができる。次に、臨床的および線量的な目的と制約(例えば、腫瘍および重要な器官に対する放射線の最大、最小および平均線量)に基づく最適化技術を用いて、放射線治療の治療計画(「治療計画」)を作成することができる。
【0008】
このようにして作成された治療計画は、その後、患者をポジショニングし、所定の放射線治療を行うことで実行される。放射線治療計画は、所定の期間(例えば、45分割)にわたって一連の放射線治療を行い、各治療には所定の総線量のうちの所定の割合を含めるという線量「分割(fractioning)」を含む。しかし、治療の際には、健康な組織ではなくターゲットの腫瘍を確実に照射するために、治療装置(例えば、線形加速器-リニアック)に対する患者の位置や目的の腫瘍の位置が非常に重要になる。
【0009】
初期の治療計画は、解剖学的な変化やセットアップの違いを補うために、3Dの治療前画像に合わせることができる。放射線治療のビームオン時には、追加の2次元(2D)シネ画像を取得し、ターゲットが許容範囲外に移動した場合に手動でビームを一時停止するかどうかを判断することができる。
【0010】
(概要)
本発明者らは、放射線治療の治療計画は、ターゲット腫瘍への放射線治療の実施中にターゲット腫瘍の位置が変化しても、それを補うために適応的に同時に調整できることを特に認識した。例えば、腫瘍または他のオブジェクトのような所望のターゲットは、位置がずれてしまうことがあり、治療計画への排他的な「オフライン」アプローチが使用されると、治療前に撮影した医用画像で示された腫瘍の位置と、放射線治療中の腫瘍ターゲットの位置が大きく異なることがある。例えば、腫瘍が縮小したり、移動したり、治療計画で示された予想される位置や希望する位置と比べて位置がずれたりすることがある。ターゲットの動きは、心臓の動き、呼吸、咳のような反射、その他の動きのような、1つまたはそれ以上の原因によって引き起こされる。そのため、治療前に撮影した画像をもとに放射線治療を行うべき位置が、最終的に放射線治療を行う際に希望するターゲットと大きくずれてしまうことがある。いくつかの場合には、「ターゲットの軌跡」は、治療前のようなターゲットまたはオブジェクトの位置であり、「治療の軌跡」は、治療中に放射線治療が行われる位置である(理想的には、放射線治療の実施時にターゲットの実際の位置と一致している)。
【0011】
ひとつのアプローチでは、治療セッション中に放射線治療を開始する直前に画像取得を行ったり、放射線治療セッション中に腫瘍の1つまたはそれ以上の画像をすぐに取得した後にそれぞれの治療を行うシーケンスを使用したりするように。放射線治療の実施と同時に撮像が実施されることがある。このような撮像は、ターゲットの位置を特定したり、ターゲットの動きを特定したりするのに役立つ情報を提供する。このような同時の像は一般的に「リアルタイム」と呼ばれるが、一般的には、画像の取得と放射線治療の提供の間には、約100~500ミリ秒(ms)の遅延時間が存在する。
【0012】
多くのシネ撮像方法(cine imaging strategies)が考えらるが、本開示では、ターゲットまたはその近傍を中心としたサジタルおよびコロナル2D画像を使用するアプローチに焦点を当てる。任意の向きのシングルスライスや、複数のパラレルスライスを使用するような、他の方法を採用することができる。
【0013】
三次元ボリューム撮像情報の取得遅延や撮像取得速度が許容できない場合(例えば、呼吸器系のターゲットに対して約500ms以上になるような、撮像取得が遅すぎて治療の誘導や制御ができない場合)問題が発生する。本明細書に記載されている主題は、1つまたはそれ以上の撮像スライス(1次元プロファイル、2次元スライス、または以前に撮像されたボリューム領域のサブボリュームまたはサブ領域を有する3次元ボリュームのうちの1つまたはそれ以上を含む)から迅速に得られたターゲット軌跡の一部を示す情報を、以前に取得されたボリューム基準画像から得られた情報と比較することを含む、撮像スライスのより迅速な取得を容易にすることにより、このような問題に対処することができる。
【0014】
一実施例では、適応型画像誘導治療配信システムは、放射線治療の患者内のターゲットを有するボリューム画像を含む画像情報を受け取ることができ、標的の異なる部分を構成する1つまたはそれ以上の撮像スライスに対応する撮像情報を受け取ることができ、これら撮像スライスは、ボリューム画像の取得後、異なる瞬間に取得される。
【0015】
様々な実施例によると、システムは、与えられた放射線セッション中の第1の時点で、3D治療前のボリューム画像に描写されたオブジェクトを含む第1の撮像スライスを受け取る。第1の撮像スライスは、第1の平面(例えば、サジタル平面)に沿って定義される。与えられた放射線セッション中の第1の時点で、与えられた放射線セッション中の第1の時点よりも前の第2の時点で得られたオブジェクトを含む第2の撮像スライスにアクセスする。第2の撮像スライスは、第2の平面(例えば、コロナル平面)に沿って定義される。システムは、ボリューム画像に対する第1の撮像スライスの登録に基づいて、第1の方向および第2の方向(例えば、サジタル平面および左右サイドに沿った方向)に沿った第1の時点でのオブジェクトの動きを決定する。第2の撮像スライスに基づいて、第1の時点で、第3の方向(例えば、コロナル平面)に沿ったオブジェクトの動きが決定される。
【0016】
一実施例では、2つの画像間のレジストレーションは、一方の画像を他方の画像にマッピングする変換を求める。一般的に、変形可能なベクトルフィールド(DVF)は、第1の画像内の各点を第2の画像内の対応する位置にマッピングする。1枚目の画像を固定画像、2枚目の画像を動く画像と呼ぶことができる。レジストレーションは、あるメトリックの最適値に対応するレジストレーション値(DVF)を見つけようとする最適化技術を用いて算出することができる。メトリックとは、レジストレーションの成功を表すと考えられる量である。最適化はソリューションに近づくにつれて繰り返されるので、各潜在的なステップが前のステップよりも良いか悪いかを判断するために、このメトリックを使用することができる。一実施例では、メトリックは、移動画像と固定画像の差の合計とすることができるが、正規化相互相関や相互情報のようなより複雑なメトリックを含むこともできる。オプティマイザーは、メトリックの最適値が見つかるまで、登録の改善を繰り返す。レジストレーションのための他の技術は、機械学習に依存することができる。リジッドレジストレーションの技術は、移動する画像が固定された画像にグローバルな並進と回転、または並進のみでマッピングされるように、レジストレーションを制約することができる。変形が実際に存在する場合、アルゴリズムはベストフィットを見つけようとする。
【0017】
いくつかの実施例では、システムは、与えられた放射線セッション中の第1の時点で、オブジェクトを含む第1の撮像スライスを受け取り、第1の撮像スライスは、第1の平面(例えば、サジタル平面またはコロナル平面)に対応する。システムは、第1の時点で、第1の平面に対応する合成撮像スライスにアクセスする。合成撮像スライスは、第1の時点より前に取得された複数の撮像スライスを用いて生成される。第1の撮像スライスと合成撮像スライスを空間的にレジストレーションすることで、オブジェクトの動きを判断する。
【0018】
いくつかの実施例では、システムは、与えられた放射線セッション中の第1の時点で、オブジェクトを含む第1の撮像スライスを受け取り、第1の撮像スライスは、第1の平面(例えば、サジタル平面)に対応する。システムは、第1の撮像スライスを低次元表現にエンコードし、エンコードされた第1の撮像スライスに、トレーニングされた機械学習モデルを適用して、第2の平面(例えば、コロナル平面)に対応する第2の撮像スライスのエンコードバージョンを推定する。第1の撮像スライスと第2の撮像スライスは、第1の時点の撮像スライスのペアを形成する。撮像スライスのペアは、ボリューム画像(例えば、3D前処理画像)に空間的に登録され、オブジェクトの変位を計算する。いくつかの実装では、1つまたはそれ以上の撮像スライス(例えば、撮像スライスのペア)を3Dボリュームに挿入し、スライスが交差する3Dボリュームのボクセルを埋めることによって、1つまたはそれ以上の撮像スライスがボリューム画像に登録される。このようにして、3D-3Dレジストレーションを行うが、3Dボリュームの満たされたボクセルのみを考慮する。他の実装では、1つまたはそれ以上の撮像スライス(例えば、撮像スライスのペア)は、1つまたはそれ以上のスライスのスライスがボリューム画像からどれだけ異なるかを考慮したコスト関数を最適化することによって、3Dボリュームに直接登録される。
【0019】
更新された治療プロトコルは、治療ビームによって確立された治療軌跡を更新されたターゲット軌跡に合わせるため、または治療軌跡がターゲット軌跡を通過するときに治療が行われるようにビームをゲートするために、適応的な方法で生成することができる。治療プロトコルの更新には、例示的な実施例として、(a)治療を受ける人を支えるカウチやテーブルのような可動式プラットフォームに連結されたアクチュエータの調整、(b)治療ビームをコリメートまたは成形するように構成された1つまたはそれ以上の開口部の調整、(c)指定された治療ビームの方向を確立するために治療出力を配置するように構成された1つまたはそれ以上のアクチュエータの調整、(d)得られた画像または他のセンサーからの情報を使用するような治療提供のゲーティング、の1つまたはそれ以上が含まれる。
【0020】
この概要は、本特許出願の主題の概要を示すことを目的としている。それは、本発明の主題を排他的または網羅的に説明することを意図したものではない。発明の詳細な説明は、本特許出願についてのさらなる情報を提供するために含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A図1Aは、いくつかの実施形態による、治療ビームを提供するように構成された放射線治療出力を含むことができる放射線治療システムの一実施例を一般的に示す。
【0022】
図1B図1Bは、いくつかの実施形態による、放射線治療システムの別の実施例を一般的に示す。
【0023】
図2図2は、いくつかの実施形態による、複合放射線治療システムと、コンピュータ断層(CT)撮像システムを含むことできるような撮像システムを含むことができるシステムの一実施例を一般的に示す。
【0024】
図3図3は、いくつかの実施形態による、複合放射線治療システムと、核磁気共鳴(MR)撮像システムを含むことができるような撮像システムとを含むことができるシステムの一実施例を部分的に切り取った図を一般的に示す。
【0025】
図4図4は、いくつかの実施形態による、放射線治療ビームの形状、方向、および強度の変調のうちの1つまたはそれ以上に使用することができるような、コリメータ構成の一実施例を一般的に示す。
【0026】
図5図5は、いくつかの実施形態による、放射線治療装置および画像取得装置を含むことができるような、放射線治療システムの一実施例を一般的に示す。
【0027】
図6図6は、いくつかの実施形態による、ボリューム撮像技術を用いて獲得できるような、腫瘍領域のようなターゲット軌跡の図を一般的に示す。
【0028】
図7A
図7B図7Aおよび図7Bは、いくつかの実施形態による、第1の撮像面の向きに対応する撮像取得面(図7A)および対応する取得された撮像スライス(図7B)の図を示す。
【0029】
図7C
図7D図7Cおよび図7Dは、いくつかの実施形態による、図7Aおよび図7Bに関連して上述した第1の撮像面の配向に直交するような、第2の撮像面の配向に対応する撮像取得面(図7C)および対応する取得された撮像スライス(図7D)の図を示す。
【0030】
図7E
図7F図7Eおよび図7Fは、いくつかの実施形態による、図7A図7B図7C図7Dに関連して上述した第1の撮像平面配向および第2の撮像平面配向の1つまたはそれ以上に直交することができるような、第3の撮像平面配向に対応する撮像取得平面(図7E)および対応する取得された撮像スライス(図7F)の図を示す。
【0031】
図8A図8Aは、いくつかの実施形態による、ターゲット軌跡がある撮像インスタンスから別の撮像インスタンスに移動する際に得られるような、一連の撮像平面を一般的に示す。
【0032】
図8B図8Bは、いくつかの実施形態による、湾曲した形状を含むことができるような一連の撮像取得領域を一般的に示す。
【0033】
図8C図8Cは、いくつかの実施形態による、それぞれが他のものと直交する必要のない異なる向きを含むことができるような、一連の撮像取得平面を一般的に示す。
【0034】
図9A図9Aは、いくつかの実施形態による、第1の撮像スライスと第2の撮像スライスとの間でずれているターゲット軌跡を含むような、一連の2つの撮像スライスを一般的に示す。
【0035】
図9B図9Bは、いくつかの実施形態による、ターゲット軌跡のセグメント化された部分が撮像スライスの1つまたはそれ以上で調整された後のような、一連の2つの空間的に登録された撮像スライスを一般的に示す。
【0036】
図10図10は、いくつかの実施形態による、ターゲット軌跡のセグメント化された部分を空間的に登録することを含むことができる技術を一般的に示す。
【0037】
図11A図11Aは、いくつかの実施形態による、異なる時間に取得されたターゲット軌跡の部分の空間的なレジストレーションの後のような、ターゲット軌跡の複合的なセグメント化された表現を一般的に示す。
【0038】
図11B図11Bは、いくつかの実施形態による、取得された空間的に登録された撮像情報によるターゲット軌跡の位置と、以前に取得されたボリューム撮像情報によって表されるようなテーゲット軌跡の以前の位置との間の差を決定するための技術を一般的に示す。
【0039】
図11C図11Cは、いくつかの実施形態による、治療軌跡を新しい場所に移すような、治療プロトコルを更新するための技術を一般的に示す。
【0040】
図12図12は、いくつかの実施形態による、オブジェクトの動きを決定するための第2の技術を示す。
【0041】
図13図13は、いくつかの実施形態による、第2の技術によるオブジェクトの動きを決定するためのタイミング図を示す。
【0042】
図14図14は、いくつかの実施形態による、第2の技術によるオブジェクトの動きを決定するためのフロー図である。
【0043】
図15図15は、いくつかの実施形態による、オブジェクトの動きを決定するための第3の技術を示す。
【0044】
図16図16は、いくつかの実施形態による、第3の技術による動きを決定するための複合スライスを生成するための技術を示す。
【0045】
図17図17は、いくつかの実施形態による、第3の技術によるオブジェクトの動きを決定するためのフロー図である。
【0046】
図18図18は、いくつかの実施形態による、オブジェクトの動きを決定するための第4の技術を示す。
【0047】
図19図19は、いくつかの実施形態による、第4の技術によるオブジェクトの動きを決定するためのフロー図である。
【0048】
図面は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、同様な数字は、異なる図において同様の構成要素を表す。異なる文字の接尾辞を持つ同様の数字は、類似したコンポーネントの異なる例を表す。図面は、本明細書で議論されている様々な実施形態を、限定するものではなく、一般的な例示として示している。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1Aは、治療ビーム108を提供するように構成された放射線治療出力104を含むことができる放射線治療システム102の一実施例を一般的に示す。放射線治療出力104は、図4の例示的な実施例で示されるようなマルチリーフコリメータ(MLC)のような1つまたはそれ以上のアッテネータまたはコリメータを含むことができる。図1Aに戻って、患者は、放射線療法の治療計画に従って放射線療法の線量を受けるために、プラットフォーム116(例えば、テーブルまたはカウチ)上のような領域112に配置される。放射線治療出力104は、軸(「A」)を中心に治療出力104を回転させるように、ガントリ106または他の機械的支持体上に配置される。プラットフォーム116または放射線治療出力104の1つまたはそれ以上は、横方向(「T」)または横方向(「L」)に移動可能のように、他の場所に移動可能である。
【0050】
1つまたはそれ以上の他の軸を中心とした回転、横方向の軸(「R」と表示)を中心とした回転のような、他の自由度も可能である。
【0051】
図1Aに示される座標系(軸A、T、Lを含む)は、アイソセンタ110に位置する原点を持つことができる。アイソセンタ110は、患者上または患者内のある場所に所定の放射線量を送出するためのような、放射線治療ビーム108が座標軸の原点と交差する位置として定義することができる。例えば、アイソセンタ110は、ガントリ106が軸Aの周りに配置した放射線治療出力104の様々な回転位置に対して、放射線治療ビーム108が患者と交差する位置として定義することができる。
【0052】
一実施例では、検出器114は、フラットパネル検出器(例えば、直接検出器(direct detector)またはシンチレーションベース検出器(scintillation-based detector))を含むことができるように、治療ビーム108のフィールド内に配置することができる。検出器114は、ガントリ106が回転しても治療ビーム108との整合性を保つように、放射線治療出力104と反対側のガントリ106に取り付けることができる。このようにして、検出器114を治療ビーム108のモニタリングに使用したり、検出器114をポータルイメージングのようなイメージングに使用したりすることができる。
【0053】
例示的な実施例では、プラットフォーム116、治療出力104、またはガントリ106のうちの1つまたはそれ以上を自動的に位置決めすることができ、治療出力104は、特定の治療提供インスタンスのための指定された線量に従って、放射線治療ビーム108を確立することができる。ガントリ106、プラットフォーム116、または治療出力104の1つまたはそれ以上の異なる向き、または位置を使用するなど、放射線治療の治療計画に応じて、治療提供のシーケンスを指定することができる。治療の提供は順次行われるが、アイソセンタ110のような、患者上または患者内の所望の治療軌跡で交差させることができる。これにより、所定の累積線量の放射線治療を治療部位に行うことができる一方で、治療部位付近の組織へのダメージを軽減または回避することができる。
【0054】
本明細書の他の例に関連して述べたように、放射線治療システム102は、コンピュータ断層撮影(CT)撮像または超音波撮像を含むことができるような、核磁気共鳴(MR)撮像、X線撮像のうちの1つまたはそれ以上を提供するような、撮像取得システムを含むことができ、またはこれに結合することができる。一実施例では、MR撮像情報やその他の撮像情報が用いられ、を用いて、実際のCT撮像を必要とせずに、CT撮像と同等の撮像情報やビジュアライゼーションを生成することができる。このような画像は「疑似CT」撮像と呼ばれる。
【0055】
図1Bは、本開示のいくつかの実施形態による放射線治療システム102(例えば、スウェーデンのストックホルムのElekta AB社製のLeksell Gamma Knife)の別の実施例を一般的に示す。図1Bに示すように、放射線療法治療セッションにおいて、患者152は、座標フレーム154を装着することで、手術や放射線治療を受けている患者の身体の解剖学的部分(例えば、頭部)を安定させることができる。座標フレーム154および患者位置決めシステム156は、空間座標系を確立し、これは、患者を撮像している間または放射線手術中に使用される。
【0056】
放射線治療システム102は、複数の放射線源162を囲むための保護ハウジング164を含む。放射線源162は、ビームチャネル166を介して複数の放射線ビーム(例えば、ビームレット)を生成する。複数の放射線ビームは、異なる方向からアイソセンタ110に集束するように構成されている。各放射線ビームは比較的低い強度を有しているが、異なる放射線ビームからの複数の線量がアイソセンタ110に蓄積されると、アイソセンタ110は、比較的高いレベルの放射線を受けることができる。ある実施形態では、アイソセンタ110は、腫瘍のような手術や治療を受ける対象に対応することができる。
【0057】
図2は、複合放射線治療システム102と、コンピュータ断層(CT)撮像システムを含むことができるような撮像システムを含むことができるシステムの一実施例を一般的に示す。CT撮像システムは、キロ電子ボルト(keV)エネルギー範囲のX線エネルギーを提供するような、撮像用X線源118を含むことができる。撮像用X線源118は、フラットパネル検出器のような撮像用検出器122に向けられた扇形または円錐形のビーム120の1つまたはそれ以上を提供する。放射線治療システム102は、放射線治療出力104、ガントリ106、プラットフォーム116、別のフラットパネル検出器114を含むような、図1Aに関連して説明されたシステム102と同様にすることができる。図1A図1B図3の実施例のように、放射線治療システム102は、治療用の放射線ビームを提供するように構成された高エネルギー加速器に結合されることができ、またはそれらを含むことができる。X線源118は、撮像のために、比較的低エネルギーのX線診断ビームを提供することができる。
【0058】
図2の例示的な実施例では、放射線治療出力104とX線源118は、互いに90度回転分離された同一の回転ガントリ106に搭載することができる。別の実施例では、各X線源が独自の検出器配列を有し、複数の角度の診断画像を同時に提供することができるように、ガントリ106の円周に沿って2つ以上のX線源を取り付けることができる。同様に、複数の放射線治療出力104を設けることができる。
【0059】
図3は、複合放射線治療システム102と、核磁気共鳴(MR)撮像システム130を含むことができるような撮像システムとを含むことができるシステムの一実施例を、部分的に切り取った図を一般的に示す。MR撮像システム130は、軸(「A」)の周りに「ボア」を定めるように配置され、放射線治療システムは、軸Aに沿ってボア内のアイソセンタ110に向けられた放射線治療ビーム108を提供するような、放射線治療出力104を含むことができる。放射線治療出力104は、放射線治療ビーム108を制御、成形、変調のうちの1つまたはそれ以上を行い、ビーム108を患者内の所望のターゲット軌跡と整列した治療軌跡に向けるためのようなコリメータ124を含むことができる。患者は、軸方向A、横方向L、横方向Tのうち1つまたはそれ以上に沿って位置決め可能なプラットフォームのようなプラットフォームで支持される。放射線治療システム102の1つまたはそれ以上の部分は、放射線治療出力104を、軸Aを中心に回転させるように、ガントリ106に取り付けることができる。
【0060】
図1A図1B図2図3は、治療出力が中心軸(例えば、軸「A」)を中心に回転できる構成を含む実施例を一般的に示す。その他の放射線治療の出力構成も可能である。例えば、放射線治療出力は、複数の自由度を持つようなロボットアームやマニピュレーターに搭載することができる。さらに別の実施例では、治療出力を患者から横方向に離れた領域に配置するようにして固定し、患者を支持するプラットフォームを使用して、放射線治療のアイソセンタを患者内の指定されたターゲット軌跡に合わせることができる。
【0061】
図4は、放射線治療ビームの形状、方向性、強度の調整のいずれかまたは複数に使用できるマルチリーフコリメータ(MLC)132の実施例を一般的に示す。図4では、リーフ132A~132Jは、腫瘍140の断面または投影に近似した開口部を画定するように自動的に配置することができる。リーフ132A~132Jは、放射線治療計画に応じて、開口部以外の領域で放射線ビームを減衰または遮断するように指定された材料で構成することができる。例えば、リーフ132A~132Jは、タングステンを有するような金属板を含むことができ、(図4の説明図の面に示すように)板の長軸がビーム方向に対して垂直に配向され、ビーム方向に対して平行に配向された端部を有する。MLC132の「状態」は、静的なコリメータ構成を使用する場合や、「オフライン」の治療計画技術のみを使用して決定されたMLC132の構成を使用する場合と比較して、腫瘍140または他のターゲット軌跡の形状または位置をよりよく近似した治療ビームを確立するように、放射線治療の経過中に適応的に調整することができる。MLC132を使用して、腫瘍または腫瘍内の特定の領域に特定の放射線量分布を生成することを含む放射線治療技術は、強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy:IMRT)と呼ばれる。
【0062】
図5は、本明細書で述べたアプローチの1つまたはそれ以上を使用して放射線治療計画処理オペレーションを実行するように適合された、例示的な放射線治療システム500を示す。これらの放射線治療計画処理のオペレーションは、放射線治療システム500が、撮影された医用画像データと治療線量計算または放射線治療装置構成パラメータの特定の態様に基づいて、患者に放射線治療を提供できるようにして実行される。
【0063】
放射線治療システム500は、治療処理ロジック520をホストする放射線治療処理計算システム510を含む。具体的には、治療処理ロジック520は、図12図19に関連して説明した様々な技術を実装して、放射線治療セッションのリアルタイム配信中にオブジェクトの動きを検出し、治療プロトコルを更新する。しかし、以下の治療処理ロジック520の多くのバリエーションや使用例が、データの検証や可視化、その他の医療評価・診断の場を含めて提供されることが理解されるだろう。放射線治療処理計算システム510は、ネットワーク(図示せず)に接続され、そのようなネットワークはインターネットに接続される。例えば、ネットワークは、放射線治療処理計算システム510を、1つまたはそれ以上の医療情報ソース(例えば、放射線情報システム(RIS))、医療記録システム(例えば、電子医療記録(EMR)/電子健康記録(EHR)システム)、腫瘍情報システム(OIS))、1つまたはそれ以上の画像データソース550、画像取得装置570(例えば、撮像モダリティ)、治療装置580(例えば、放射線治療装置、本明細書では放射線治療装置とも呼ばれる)、および治療データソース560と接続することができる。
【0064】
一実施例として、放射線治療処理計算システム510は、与えられた放射線セッション中の第1の時点で、3D治療前ボリューム画像に描写されたオブジェクトを含む第1の撮像スライスを受け取るように構成することができる。第1の撮像スライスは、第1の平面(例えば、サジタル平面)に沿って定義される。与えられた放射線セッション中の第1の時点で、与えられた放射線セッション中の第1の時点よりも前の第2の時点で得られたオブジェクトを含む第2の撮像スライスにアクセスする。第2の撮像スライスは、第2の平面(例えば、コロナル平面)に沿って定義される。システムは、ボリューム画像に対する第1の撮像スライスの登録に基づいて、第1の方向および第2の方向(例えば、サジタル平面および左右サイドに沿った方向)に沿った第1の時点でのオブジェクトの動きを決定する。第2の撮像スライスに基づいて、第1の時点で、第3の方向(例えば、コロナル平面)に沿ったオブジェクトの動きが決定される。
【0065】
具体的には、放射線治療処理計算システム510は、放射線治療セッション中に、3つの方向(例えば、サジタル平面、コロナル平面、および左右平面)に沿って、第2の技術によりオブジェクトの動きを決定することができる。これは、治療セッションの特定の時点で、ある平面(例えば、サジタル平面)に沿って受け取られた画像(例えば、シネ画像)を、治療前の3Dボリューム画像に登録することで実現する。その結果、サジタル平面と左右平面に沿ったオブジェクトの動きが得られる。同じ特定の時点で、放射線治療処理計算システム510は、他の平面(例えば、コロナル平面)に沿って以前に得られた画像(例えば、シネ画像)を引き出す。放射線治療処理計算システム510は、先に得られた画像スライスにおけるオブジェクトの位置を用いて、コロナル平面に沿ったオブジェクトの移動を決定する。その結果、治療セッションのある時点でのオブジェクトの動きを、3方向に沿って決定することができる(例えば、オブジェクトの3次元的な動きを決定することができる)。例えば、第1の方向は前/後方向に対応し、第2の方向は上/下方向に対応し、第3の方向は左/右方向に対応する。オブジェクトは、患者の解剖学的部分、ピクセル、または任意の定義された画像部分の少なくとも1つを含む。第1の撮像スライスおよび第2撮像スライスは、平面または直交しているが、他の任意の平行または垂直方向に沿った任意の2つの撮像スライスであってもよい。
【0066】
いくつかの場合では、現在の平面方向(例えば、以前に得られた画像ではなく、現在得られた画像に対応する方向)に沿ったオブジェクトの動きを決定するために、放射線治療処理計算システム510は、ボリューム画像から、第1の平面に沿った第1の2次元(2D)スライスを抽出する。放射線治療処理計算システム510は、第1の撮像スライスと第1の2Dスライスとを空間的に登録する(例えば、第1の撮像スライス内のオブジェクトの一部を移動させることにより、第1の撮像スライス内のオブジェクトを第1の2Dスライス内のオブジェクトの一部に登録する)。
【0067】
いくつかの実施形態では、放射線治療処理計算システム510は、第3の方向に沿った動きを決定するために、治療前の画像に対する(治療セッションのより早い時点に対応する)第2の撮像スライスを登録する。このような場合、放射線治療処理計算システム510は、第1の撮像スライスおよび第2の撮像スライス(それぞれ第1の平面および第2の平面に沿って定義される)を移動画像として定義し、2D/2D画像レジストレーションを実行するために、2Dスライスを固定画像として体積的な前処理画像から抽出する。次に、放射線治療処理計算システム510は、3D治療前ボリューム画像と登録された第1の画像スライスおよび第2の画像スライスに基づいて、3つの方向に沿った動きを決定する。
【0068】
いくつかの実施形態では、放射線治療処理計算システム510は、第1の撮像スライスおよび第1の2Dスライスに基づいて、第1の方向および第2の方向に沿ったオブジェクトの面内シフトを計算する。放射線治療処理計算システム510は、第2の撮像スライスに基づいて、第3の方向に沿った面外シフト値を計算する。例えば、放射線治療処理計算システム510は、サジタル方向に沿って定義された第1の撮像スライスと、治療前のボリューム画像から抽出された第1の2Dスライスとに基づいて、サジタル方向及び左右方向に沿ったオブジェクトの面内シフトを計算する。放射線治療処理計算システム510は、コロナル方向に沿って定義された第2の撮像スライスに基づいて、コロナル方向に沿った面外シフト値を計算する。
【0069】
いくつかの場合では、放射線治療処理計算システム510は、第2の平面に沿って定義された第2の撮像スライスと、第1の時点で第2の平面に沿って定義された予想される撮像スライスとの間の差を予測する。例えば、放射線治療処理計算システム510は、機械学習技術を(事前の時点で得られた)第2の撮像スライスに適用して、放射線治療セッションの現在の時点での第2の撮像スライスを予測または推定する。次に、第2の平面に沿って定義された予測または推定された第2の撮像スライスを、第1の平面に沿って定義された第1の撮像スライスと組み合わせて使用し、現在の時点での3方向に沿ったオブジェクトの動きを決定することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、放射線治療処理計算システム510は、第1の撮像スライスからのオブジェクトの一部分と第1の2Dスライスからのオブジェクトの一部分との間のアライメントを示すメトリックを決定する。放射線治療処理計算システム510は、第2の撮像スライスの位置を調整して、第1の撮像スライスからのオブジェクトの一部分と第1の2Dスライスからのオブジェクトの一部分との間のアライメントを改善する。いくつかの場合では、メトリックは、第1の撮像スライスの一部分とボリューム画像のスライスをマスクすることによって決定される。いくつかの場合では、メトリックは、第1の撮像スライスからのオブジェクトの一部分と、ボリューム画像のスライスからのオブジェクトの一部分との間の交線の類似性を決定することによって決定される。
【0071】
いくつかの実施形態では、放射線治療処理計算システム510は、第3の技術によって、放射線治療セッション中の動きを決定する。例えば、放射線治療処理計算システム510は、与えられた放射線セッション中の第1の時点で、オブジェクトを含む第1の撮像スライスを受け取る。第1の撮像スライスは、第1の平面(例えば、サジタル平面)に対応する。放射線治療処理計算システム510は、与えられた放射線セッション中の第1の時点で、第1の平面に対応する合成撮像スライスにアクセスする。合成撮像スライスは、第1の時点より前に取得された複数の撮像スライスを用いて生成される。放射線治療処理計算システム510は、第1の撮像スライスと合成撮像スライスとを空間的に登録して、オブジェクトの動きを決定する。放射線治療処理計算システム510は、決定された動きに基づいて、治療ビームの照射を制御するための更新された治療プロトコルを生成する。
【0072】
いくつかの態様では、放射線治療処理計算システム510は、第1の撮像スライスおよび合成撮像スライスの一方または両方において、登録において考慮されるピクセルをマスクして制限することによって、第1の撮像スライスおよび合成撮像スライスを登録する。合成撮像スライスは、第1の撮像スライスが合成撮像スライスに登録される前に、ボリューム画像から抽出された2次元スライスに登録される。場合によっては、ボリューム画像から抽出された2次元スライスに登録される合成画像は、2次元スライスに対する登録される合成画像の位置または部分を指定または変更するために、ユーザの入力によって手動で調整される。
【0073】
いくつかの実施形態では、合成画像は、第1の合成画像である。与えられた放射線セッション中の第2の時点で、放射線治療処理計算システム510は、第2の平面(例えば、コロナル平面)に対応する第2の撮像スライスを受け取る。放射線治療処理計算システム510は、与えられた放射線セッション中の第2の時点で、第2の平面に対応する第2の合成撮像スライスにアクセスする。第2の合成撮像スライスは、第2の時点以前に得られた別の複数の撮像スライスを用いて生成される。放射線治療処理計算システム510は、第2の撮像スライスと第2の合成撮像スライスとを空間的に登録するが、これは、第2の撮像スライス内のオブジェクトの一部を移動させて、第2の撮像スライス内のオブジェクトを第2の合成撮像スライス内のオブジェクトの一部に登録することを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、合成画像は、選択されたサブセットの撮像スライスを平均化することによって生成される。例えば、与えられた放射線セッション中に放射線治療ビームを作動させる前に、複数の撮像スライスを取得する。スライスのうち、基準となる呼吸位相に対応する与えられた1枚をターゲット画像として選択する。放射線治療処理計算システム510は、複数の撮像スライスの残りのセットを、選択されたターゲット画像に変形登録する。放射線治療処理計算システム510は、変形的に登録された複数の撮像スライスを平均化し、複数の撮像スライスのそれぞれについて平均オフセットを決定する。放射線治療処理計算システム510は、平均オフセットに基づいて撮像スライスを再サンプリングして、再サンプリングされた撮像スライスのそれぞれのターゲット画像(例えば、選択された撮像スライス)に対する距離に基づいて、再サンプリングされた撮像スライスのサブセットを選択する。例えば、放射線治療処理計算システム510は、スライスとターゲットスライスとの間の距離が指定された閾値よりも小さいそれらの撮像スライスを選択する。そして、リサンプリングされた複数の撮像スライスのうち、選択されたサブセットを平均化することで、合成画像が生成される。
【0075】
いくつかの実施形態では、放射線治療処理計算システム510は、第4の技術により、放射線治療セッション中の動きを決定する。例えば、放射線治療処理計算システム510は、与えられた放射線セッションにおける第1の時点で、第1の平面に対応する第1の撮像スライス(例えば、サジタル平面に対応する、またはサジタル平面に沿って定義される2Dシネ画像)を受け取る。放射線治療処理計算システム510は、(例えば、第1の撮像スライスの変形可能なベクトルフィールド(DVF)の主成分分析(PCA)成分を変換して、第2の撮像スライスのPCA成分を推定することにより)第1の撮像スライスを低次元表現に符号化する。一実施例では、スライスを低次元の表現にエンコードすることは、スライスを表現するために使用される規格をある規格から別の規格に変換することで、与えられたスライスを表現するために使用されるデータ量を減らすことを含む。放射線治療処理計算システム510は、トレーニングされた機械学習モデル(例えば、サポートベクターマシンまたはランダムフォレストマシンまたはニューラルネットワーク)を符号化された第1の撮像スライスに適用して、第1の時点における第2の平面(例えば、コロナル平面)に対応する第2の撮像スライスの符号化されたバージョンを推定して、第1の時点の撮像スライスのペアを提供する。放射線治療処理計算システム510は、撮像スライスのペアを、与えられた放射線セッションの前に受信した、時間的に変化するオブジェクトを含むボリューム画像(例えば、患者の3D治療前ボリューム)に同時に空間的に登録して、オブジェクトの変位を計算する。放射線治療処理計算システム510は、オブジェクトの計算された変位に基づいて、治療ビームの照射を制御するための更新された治療プロトコルを生成する。いくつかの場合では、画像を登録する前に、放射線治療処理計算システム510は、第2の撮像スライスの推定符号化バージョンをデコードして、第1の時点での第2の撮像スライスを得る。例えば、放射線治療処理計算システム510は、撮像スライスを表現するために使用されるデータをある規格から別の規格に変換またはアップスケールする。開示された技術に従ってスライスをエンコードおよびデコードするために、任意の適切な圧縮および解凍アルゴリズムを使用することができる。
【0076】
いくつかの場合では、撮像スライスのペアは、第1の平面が第2の平面と直交しているか、または第1の平面が第2の平面に対して傾いている(例えば、非直交)ような、ステレオの撮像スライスのペアを含む。いくつかの態様では、第4の技術で予測を実行するために機械学習モデルを訓練するために、放射線治療処理計算システム510は、与えられた放射線セッションの前に、第1の平面に対応する訓練撮像スライスの第1のシーケンスを受け取る。また、放射線治療処理計算システム510は、与えられた放射線セッションの前に、第2の平面に対応するトレーニング撮像スライスの第2のシーケンスを受け取る。トレーニング撮像スライスの第2シーケンスは、撮像スライスの第1シーケンスと同時に、または交互に受け取ることができる。放射線治療処理計算システム510は、第1のシーケンスおよび第2のシーケンスを、より低次元の表現にエンコードする(例えば、第1のシーケンスおよび第2のシーケンスを表現するために使用されるデータを1つの規格から別の規格に変換して、シーケンスを表現するために使用されるデータの量を減らす)。いくつかの実施形態では、放射線治療処理計算システム510は、トレーニング撮像スライスの第2のシーケンスの第2のトレーニング画像スライスが第2のトレーニング時点で受信されたときに、第1のトレーニング時点に対応するトレーニング撮像スライスの第1のシーケンスを補間して、第2のトレーニング時点に対応する第1の補間されたトレーニング撮像スライスを生成する。具体的には、放射線治療処理計算システム510は、第2の平面のトレーニング撮像スライスの1つが受信された時点に対応する次の隣接する時点について、第1のトレーニング画像スライスの予想バージョンを補間または生成する。放射線治療処理計算システム510は、補間された画像に基づいて機械学習モデルを学習し、第2の平面に対応する第2の画像から第1の平面に対応する第1の画像を予測する。放射線治療処理計算システム510は、新しい撮像スライスが捕捉されて受け取られると、与えられた放射線セッション中に機械学習モデルを連続的または周期的にトレーニングする。
【0077】
放射線治療処理計算システム510は、処理回路512と、メモリ514と、記憶装置516と、ユーザインターフェース542、通信インタフェース(図示せず)のような他のハードウェアおよびソフトウェアで動作可能な機能(feature)を含むことができる。記憶装置516は、オペレーティングシステム、放射線治療の治療計画(例えば、トレーニングデータ、治療計画戦略、患者の動きモデル、患者の変形モデル、ビーム照射セグメント情報、患者の5Dおよび/または2D画像情報、および装置の調整パラメータなど)、ソフトウェアプログラム(例えば、画像処理ソフトウェア、画像または解剖学的可視化ソフトウェアなど)、および処理回路512によって実行される他の任意のコンピュータ実行可能な命令のような、一過性または非一過性のコンピュータ実行可能な命令を記憶することができる。
【0078】
一実施例では、処理回路512は、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、加速処理装置(APU:Accelerated Processing Unit)のような1つまたはそれ以上の汎用処理装置のような処理装置を含むことができる。より具体的には、処理回路512は、CISC(Complex Instruction Set Computing)マイクロプロセッサ、RISC(Reduced Instruction Set Computing)マイクロプロセッサ、VLIW(Very Long Instruction Word)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、または命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであり得る。また、処理回路512は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、SoC(System On a Chip)のような、1つまたはそれ以上の特殊用途の処理装置によって実装され得る。
【0079】
当業者に理解されるように、いくつかの実施形態では、処理回路512は、汎用プロセッサではなく、専用プロセッサであってもよい。処理回路512は、Intel(登録商標)によって製造されたPentium(登録商標)、Core(登録商標)、Xeon(登録商標)、またはItanium(登録商標)ファミリー、AMD(登録商標)によって製造されたTurion(登録商標)、Athlon(登録商標)、Sempron(登録商標)、Opteron(登録商標)、FX(登録商標)、Phenon(登録商標)ファミリー、Sun Microsystemsによって製造された様々なプロセッサのいずれかのような、1つまたはそれ以上の既知の処理装置を含み得る。処理回路512は、また、Nvidia(登録商標)によって製造されたGeForce(登録商標)、Quadro(登録商標)、Tesla(登録商標)ファミリー、Intel(登録商標)によって製造されたGMA、Iris(登録商標)ファミリー、またはAMD(登録商標)によって製造されたRadeon(登録商標)ファミリーのGPUのような、グラフィック処理ユニットを含み得る。処理回路512は、また、Intel(登録商標)によって製造されたXeon Phi(登録商標)ファミリーのユニットのような加速処理ユニットを含み得る。開示された実施形態は、いかなるタイプのプロセッサに限定されるものではなく、大量のデータを識別、分析、維持、生成、および/または、提供したり、本明細書で開示されている方法を実行するためにそのようなデータを操作したりするためのコンピューティング要求を満たすように構成され得るものである。さらに、「プロセッサ」という用語は、複数の物理的(回路ベース)またはソフトウェアベースのプロセッサ、例えば、マルチコア設計またはそれぞれがマルチコア設計を有する複数のプロセッサを含むことができる。処理回路512は、メモリ514に格納され、記憶装置516からアクセスされる一時的または非一時的なコンピュータプログラム命令のシーケンスを実行して、以下でより詳細に説明される様々なオペレーション、プロセス、および方法を実行することができる。放射線治療システム500内の任意のコンポーネントは、別々に実装されて独立した装置として動作してもよく、また、放射線治療システム500内の任意の他のコンポーネントに結合されて、本開示で説明される技術を実行することができることを理解すべきである。
【0080】
メモリ514は、読み取り専用メモリ(ROM)、相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)のようなダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、スタティックメモリ(例えば、フラッシュメモリ、フラッシュディスク、スタティックランダムアクセスメモリ)、および、キャッシュ、レジスタ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、またはその他の光学式ストレージ、カセットテープ、他の磁気記憶装置のようなその他のタイプのランダムアクセスメモリ、または、処理回路512やその他のコンピュータデバイスによってアクセス可能な画像、トレーニングデータ、ML技術パラメータ、デバイス適応機能、データ、または一時的もしくは非一時的なコンピュータ実行可能な命令(例えば、任意のフォーマットで格納されている)を含む情報を格納するために使用可能なその他の非一時的な媒体であり得る。例えば、コンピュータプログラム命令は、処理回路512によってアクセスされ、ROM、または任意の他の適切なメモリ位置から読み出され、処理回路512による実行のためにRAMにロードされ得る。
【0081】
記憶装置516は、本明細書に記載されている方法論または機能(様々な実施例では、治療処理ロジック520およびユーザインターフェース542を含む)のいずれか1つまたはそれ以上を具現化するか、またはそれによって利用される1つまたはそれ以上のセットの一時的または非一時的な命令およびデータ構造(例えば、ソフトウェア)が格納されている一時的または非一時的な機械読み取り可能な媒体を含むドライブユニットを構成し得る。また、命令は、放射線治療処理計算システム510による命令の実行中に、完全にまたは少なくとも部分的に、メモリ514内および/または処理回路512内に存在することができ、メモリ514および処理回路512は、一時的または非一時的な機械読取可能な媒体を構成し得る。
【0082】
メモリ514および記憶装置516は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体を構成し得る。例えば、メモリ514および記憶装置516は、1つまたはそれ以上のソフトウェアアプリケーションの一時的または非一時的な命令をコンピュータ可読媒体に格納またはロードすることができる。メモリ514および記憶装置516に格納またはロードされたソフトウェアアプリケーションは、例えば、ソフトウェアで制御されたデバイスだけでなく、一般的なコンピュータシステム用のオペレーティングシステムを含み得る。また、放射線治療処理計算システム510は、治療処理ロジック520およびユーザインターフェース142を実装するためのソフトウェアコードからなる様々なソフトウェアプログラムを動作させることができる。さらに、メモリ514および記憶装置516は、処理回路512によって実行可能な、ソフトウェアアプリケーション全体、ソフトウェアアプリケーションの一部、またはソフトウェアアプリケーションに関連するコードもしくはデータを記憶またはロードすることができる。さらなる実施例では、メモリ514および記憶装置516は、1つまたはそれ以上の放射線治療の治療計画、撮像データ、セグメンテーションデータ、治療の可視化、ヒストグラムまたは測定値などを格納、ロード、および操作することができる。ソフトウェアプログラムは、記憶装置516およびメモリ514だけでなく、ハードドライブ、コンピュータディスク、CD-ROM、DVD、Blu-Ray DVD、USBフラッシュドライブ、SDカード、メモリスティック、またはその他の適切な媒体のような取り外し可能なコンピュータ媒体にも保存されてもよく、そのようなソフトウェアプログラムは、ネットワークを介して通信または受信されてもよい。
【0083】
それらは図示されていないが、放射線治療処理計算システム510は、通信インターフェース、ネットワークインターフェースカード、および通信回路を含み得る。通信インターフェースの例としては、例えば、ネットワークアダプタ、ケーブルコネクタ、シリアルコネクタ、USBコネクタ、パラレルコネクタ、高速データ伝送アダプタ(例えば、ファイバ、USB3.0、サンダーボルト、など)、無線ネットワークアダプタ(例えば、IEEE802.11/Wi-Fiアダプタのような)、電気通信アダプタ(例えば、3G、4G/LTE、5Gネットワークなど)などを含み得る。このような通信インターフェースは、ネットワークを介して機械が他の機械や装置(遠隔地にあるコンポーネントなど)と通信することを可能にする1つまたはそれ以上のデジタルおよび/またはアナログ通信装置を含むことができる。ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイヤレスネットワーク、クラウドコンピューティング環境(例えば、サービスとしてのソフトウェア、サービスとしてのプラットフォーム、サービスとしてのインフラストラクチャ、など)、クライアントサーバ、広域ネットワーク(WAN)など機能を提供することができる。例えば、ネットワークは、他のシステム(医用画像処理や放射線治療のオペレーションに関連付けられた追加の画像処理計算システムや画像ベースのコンポーネントを含む)を含むLANまたはWANであってもよい。
【0084】
一実施例では、放射線治療処理計算システム510は、記憶装置516およびメモリ514にホスティングするために、画像データソース550(例えば、CT、PET、および/またはMR画像)から画像データ552を取得する。さらに別の実施例では、ソフトウェアプログラムは、符号付き距離関数のような患者画像の関数や、画像情報のある態様を強調する画像の処理バージョンを代用する。
【0085】
一実施例では、放射線治療処理計算システム510は、画像データソース550から画像データ552を取得する、または画像データソース550に画像データ552を通信する。さらなる例では、治療データソース560は、放射線治療装置のパラメータ調整またはセグメント適応の結果として、またはオブジェクト(例えば、ターゲット軌跡)の移動を検出する結果として、計画データ562を受信または更新する。
【0086】
処理回路512は、メモリ514および記憶装置516に通信可能に結合されていてもよく、処理回路512は、メモリ514または記憶装置516のいずれかからその上に記憶されたコンピュータ実行可能な命令を実行するように構成されていてもよい。処理回路512は、画像データ552からの医用画像をメモリ514で受取りまたは取得し、治療処理ロジック520を用いて処理させる命令を実行してもよい。
【0087】
さらに、処理回路512は、ソフトウェアプログラムを利用して、例えば、ニューラルネットワークモデル、深層学習ニューラルネットワークモデル、サポートベクターマシン、またはランダムフォレストからなる回帰手法、機械学習モデル、または、本明細書で説明したようなデバイスパラメータ調整またはセグメント適応の生成に関与する他の態様によって使用される、更新されたパラメータのような中間データを生成することができる。さらに、そのようなソフトウェアプログラムは、本明細書でさらに議論される技術を使用して、治療処理ロジック520を利用して、更新された放射線治療パラメータを生成し、治療データソース560に提供し、与えられたフラクション内でターゲットに送出される線量を修正し、および/または出力装置546上で提示することができる。処理回路512は、続いて、通信インターフェースおよびネットワークを介して、更新された放射線治療パラメータを治療装置580に送信することができ、更新されたパラメータは、治療装置を介して患者を放射線で治療するために使用される。放射線治療パラメータ(制御ポイントとも呼ばれる)は、与えられた治療フラクションの各セグメントまたは一部に対して、MLCの位置および設定、ガントリ角度、放射線量(例えば、モニターユニット(MU)の量)、放射線治療ビームの方向、放射線ビームのサイズ、アークの配置、ビームのオンおよびオフ時間の持続時間、機械パラメータ、ガントリ速度、MRIパルスシーケンス、およびそれらの任意の組み合わせなど、を含み得る。
【0088】
一実施例では、画像データ552は、1つまたはそれ以上のMR画像(例えば、2DのMRI、5DのMRI、2DのストリーミングMRI、4DのMRI、4DのボリュメトリックMRI、4DのシネMRIなど)、機能的MRI画像(例えば。fMRI、DCE-MRI、拡散MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)画像(2DのCT、2DのコーンビームCT、5DのCT、5DのCBCT、4DのCT、4DのCBCT)、超音波画像(例えば,2Dの超音波、5Dの超音波、4Dの超音波)、PET(Positron Emission Tomography)画像、X線画像、透視画像、放射線治療ポータル画像、SPECT(Single-Photo Emission Computed Tomography)画像、コンピュータで作成した合成画像(擬似CT画像など)、ラジオビーコン、患者表面のレーザースキャンなど、を含み得る。さらに、画像データ552は、医用画像処理データ、例えば、トレーニング画像、グランドトゥルース画像、輪郭画像、線量画像を含む、またはそれと関連付けられる。他の実施例では、解剖学的領域の同等の表現は、画像以外のフォーマット(例えば、座標、マッピングなど)で表され得る。
【0089】
一実施例では、画像データ552は、画像取得装置570から受信され、1つまたはそれ以上の画像データソース550(例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System)、VNA(Vendor Neutral Archive)、医療記録または情報システム、データウェアハウスなど)に格納され得る。したがって、画像取得装置570は、患者の医用画像を取得するために、MRI撮像装置、CT撮像装置、PET撮像装置、超音波撮像装置、透視装置、SPECT撮像装置、線形加速器とMRIの一体型撮像装置のような医用撮像装置で構成され得る。画像データ552は、画像取得装置570および放射線治療処理計算システム510が、開示された実施形態による操作を実行するために使用することができ、任意のタイプのデータまたは任意のタイプのフォーマット(例えば、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)フォーマット)で受信および格納され得る。さらに、いくつかの実施例では、本明細書で説明するモデルは、オリジナルの画像データフォーマットまたはその派生物を処理するようにトレーニングされ得る。
【0090】
一実施例では、画像取得装置570は、単一の装置(例えば、「MRI-Linac」とも呼ばれる線形加速器と組み合わせたMRI装置)として治療装置580と統合され得る。このようなMRI-Linacは、例えば、患者内のターゲットの位置を決定し、放射線治療の治療計画に従って放射線ビームを所定のターゲットに正確に向けるために使用することができる。例えば、放射線治療の治療計画では、各患者に適用する特定の放射線量に関する情報を提供することができる。また、放射線治療の治療計画には、ビーム角、線量-ボリューム-ヒストグラム情報、治療中に使用する放射線ビームの数、ビーム1本あたりの線量など、その他の放射線治療情報や放射線治療装置のパラメータが含まれ得る。MRI-Linacは、与えられたビーム伝送セグメントに対応する患者の5Dまたは2D画像の画像部分を変形させるための患者変形モデルの計算、生成、および/または更新に使用することができる。MRI-Linacは、リアルタイムの患者画像(または患者画像のサブセット)と、機械の設定またはパラメータを治療フラクションの様々なインクレメント/インターバル(increments/intervals)で提供し、インクレメント/インターバル(increments/intervals)の線量を連続的または周期的に計算し、そのような計算された線量に基づいてリアルタイムの線量累積を決定するために使用することができる。
【0091】
放射線治療処理計算システム510は、ネットワークを介して外部のデータベースと通信し、画像処理や放射線治療の操作に関連する複数の様々な種類のデータを送受信し得る。例えば、外部データベースは、治療装置580、画像取得装置570、または放射線治療や医療処置に関連する他の機械に関連付けられた情報を提供する機械データ(装置制約を含む)を含むことができる。機械データの情報には、放射線ビームのサイズ、アークの配置、ビームのオン/オフ時間の長さ、マシンパラメータ、セグメント、MLCの構成、ガントリの速度、MRIのパルスシーケンスなどが含まれる。外部データベースは、記憶装置であってもよく、適切なデータベース管理ソフトウェアプログラムを備えていてもよい。さらに、このようなデータベースやデータソースは、中央または分散して配置された複数のデバイスやシステムを含んでいてもよい。
【0092】
放射線治療処理計算システム510は、処理回路512およびメモリ514に通信可能に結合された1つまたはそれ以上の通信インターフェースを使用して、ネットワークを介して、データを収集および取得し、他のシステムと通信することができる。例えば、通信インターフェースは、放射線治療処理計算システム510と放射線治療システムコンポーネントとの間の通信接続を(例えば、外部装置とのデータ交換を可能にして)提供することができる。例えば、通信インターフェースは、いくつかの実施例では、出力装置546または入力装置548からの適切なインターフェース回路を有し、ユーザが放射線治療システムに情報を入力することができるハードウェアキーボード、キーパッド、またはタッチスクリーンであるユーザインターフェース542に接続することができる。
【0093】
一実施例として、出力装置546は、ユーザインターフェース542の表現と、医用画像、治療計画、およびそのような計画のトレーニング、生成、検証、または実施のステータスの1つまたはそれ以上の側面、視覚化、または表現を出力する表示装置を含み得る。出力装置546は、医用画像、インターフェース情報、治療計画パラメータ(例えば、輪郭、線量、ビーム角、ラベル、マップなど)、治療計画、与えられた治療セグメントに対して識別されて変形される画像部分、ターゲット、ターゲットのローカライズおよび/またはターゲットのトラッキング、または関連する情報をユーザに表示する1つまたはそれ以上の表示画面を含み得る。出力装置546は、放射線治療の治療フラクションの送出中に、ターゲットのオブジェクトまたは治療軌跡の動きをユーザに視覚化して提供することができる。
【0094】
ユーザインターフェース542に接続された入力装置548は、キーボード、キーパッド、タッチスクリーン、またはユーザが放射線治療システム500に情報を入力するために使用する任意のタイプの装置であり得る。あるいは、出力装置546、入力装置548、およびユーザインターフェース542の機能は、スマートフォンやタブレットコンピュータ(例えば、アップル社製のiPad(登録商標)、Lenovo社製のThinkpad(登録商標)、サムソン社製のGalaxy(登録商標)のような単一のデバイスに統合され得る。
【0095】
さらに、放射線治療システム500の任意およびすべてのコンポーネントは、仮想マシン(例えば、VMWare、Hyper-Vのような仮想化プラットフォームを介して)または独立したデバイスとして実装され得る。例えば、仮想マシンは、ハードウェアとして機能するソフトウェアである。したがって、仮想マシンには、少なくとも1つまたはそれ以上の仮想プロセッサ、1つまたはそれ以上の仮想メモリ、1つまたはそれ以上の仮想通信インターフェースが含まれ、それらが一体となってハードウェアとして機能することができる。例えば、放射線治療処理計算システム510、画像データソース550、または同様のコンポーネントは、仮想マシンとして、またはクラウドベースの仮想化環境内で実装され得る。
【0096】
画像取得装置570は、関心領域(例えば、ターゲット臓器、ターゲット腫瘍またはその両方)に対する患者の解剖学的構造の1つまたはそれ以上の画像を取得するように構成することができる。各画像、典型的には、2D画像またはスライスは、1つまたはそれ以上のパラメータ(例えば、2Dスライスの厚さ、方向、および位置など)を含むことができる。一実施例では、画像取得装置570は、任意の方向の2Dスライスを取得することができる。例えば、2Dスライスの方向は、サジタル方向(矢状方向:sagittal orientation)、コロナル方向(冠状方向:coronal orientation)、アキシャル方向(体軸方向:axial orientation)を含むことができる。処理回路512は、ターゲット臓器および/またはターゲット腫瘍を含むように、2Dスライスの厚さおよび/または向きなどの1つまたはそれ以上のパラメータを調整することができる。一実施例では、2Dスライスは、5DのCBCTまたはCT、またはMRIボリュームのような情報から決定することができる。このような2Dスライスは、例えば、治療装置580を使用して、患者が放射線治療の治療を受けている間に、「ほぼリアルタイム」で画像取得装置570によって取得することができる(「ほぼリアルタイム」とは、本技術分野で知られているように、画像取得と治療との間にラグがなく(または最小限で)データを取得することを意味する)。一実施例では、関心領域の5Dのボリューム表現は、1つまたはそれ以上の2Dスライスのスタックを使用して生成することができる。
【0097】
図6は、放射線治療を用いて治療する腫瘍領域のようなオブジェクトまたはターゲット軌跡616の図を一般的に示す。ターゲット軌跡616を示す情報は、ボリューム撮像技術を用いて得ることができる。図6の表現は、単に説明の目的で長方形のファセットを有するように示されているが、実際のターゲット軌跡616は、曲線または不規則な表面を含み得る。関心領域612は、MRイメージング、CTイメージング、疑似CT画像の可視化、ポータルイメージング、超音波イメージング、または他の技術のうちの1つまたはそれ以上を使用して、画像化することができる。ターゲット軌跡616は、自動、手動、または半自動の画像セグメンテーション技術を使用するようにして特定することができる。例えば、指定されたラベルはボクセル(例えば、ボクセル620)に割り当てられ、放射線治療ターゲットを有するボクセルの軌跡またはグループを識別することができる。例示的な実施例として、ボクセル620のコントラスト値を隣接するボクセルと比較し、コントラスト情報を使用するようにして、腫瘍または他の領域のエッジを識別することができる。また、近くにある臓器や他の機能の位置のような他の領域を特定することもできる。
【0098】
ターゲット軌跡のさまざまな特徴は、(例えば、エッジ検出またはエッジ識別技術を用いて)1つまたはそれ以上のエッジの位置のように決定することができる。例えば、ターゲット軌跡616の位置は、ターゲット軌跡616の空間重心(spatial centroid)608を決定することによって特定することができる。抽出された特徴としての重心608を用いることは例示であり、ターゲット軌跡616の動きを追跡するために、ターゲット軌跡616の点、面、またはエッジの手動で識別されまたは自動的に決定された位置のような、他の特徴を使用することができる。さらに別の実施例では、獲得された撮像情報にしるし(indicium)を提供するような、移植可能な、あるいは外部のシードフィデューシャル(seed fiducial)を使用することができる。
【0099】
ターゲット軌跡616および重心608のような1つまたはそれ以上の対応する特徴は、フラクショナル間(例えば、放射線治療提供セッション間)または放射線治療提供セッションを開始する直前のような治療計画撮像中に識別することができる。ターゲット軌跡616を構成するボリューム画像情報は、「参照画像」と呼ばれることがある。前述のように、画像の取得と処理の遅延により、放射線治療中にボリューム画像情報を「リアルタイム」で取得できないという課題がある。したがって、フラクショナル内の画像取得(放射線治療セッションにおける放射線治療中または放射線治療間のような)は、(1次元プロファイル、2次元スライス、シネ画像、または以前に撮像されたボリューム領域のサブボリュームまたはサブ領域からなる3次元ボリュームのうちの1つまたはそれ以上を含む)撮像スライスのより迅速な取得を含み得る。1つまたはそれ以上の撮像スライスから迅速に得られたターゲット軌跡の一部を示す情報は、以前に取得したボリューム基準画像から得られた情報と比較され、ターゲット軌跡の動きに応じて治療を調整するような、治療プロトコルを更新することができる。ボリューム基準画像の取得または生成に使用される撮像モダリティは、イントラフラクショナルイメージングに使用されるものと同じである必要はない。
【0100】
別の実施例では、ターゲット軌跡616は、ボリューム基準画像においてセグメント化されていないか、さもなければ識別されていない必要がある。「ターゲット軌跡」という表現を使用することは、治療されるべき腫瘍の一部または全体、または、腫瘍の近くにある臓器のような他の解剖学的構造のような、関心領域内のターゲットを単に例示しているに過ぎない。ターゲット軌跡616のセグメンテーションに加えて、またはそれに代えて、ボリューム基準画像の一部(例えば、指定された関心領域)またはボリューム基準画像の全体を、コントラストまたはグレースケール値を含むボクセル値を使用するような、他の撮像情報と空間的に登録することのような、本明細書に記載される様々な技術を実行することができる。例えば、そのような空間レジストレーションは、1つまたはそれ以上の2次元撮像スライスとの3次元(例えば、ボリューム)レジストレーション(例えば、3D-to-2Dレジストレーション)、または他の技術を含むことができる。
【0101】
図7Aおよび図7Bは、ターゲット軌跡716の撮像取得面712A(図7Aにおける)と、ライン706Aに沿ってターゲット軌跡716と交差する第1の撮像面の向きに対応する対応する取得撮像スライス714A(図7Bにおける)とを示す図である。例示的な実施例として、図7Aは、画像取得面712Aおよび対応するスライス714Aのサジタル方向を表す。撮像「スライス」は、図7Bに例示されているような、小さな有限の厚さを有するように、2次元ピクセル撮像情報または3次元撮像情報を含むことができる。撮像スライス714Aにおけるターゲット軌跡の部分718Aは、離散的な動的輪郭、スネーク、またはレベルセットを用いたセグメンテーション技術、またはレジストレーションベースの技術を再度使用するようにして、識別される。
【0102】
図7C図7D図7E図7Fに示すように、異なる撮影面の向きを含むような撮像スライスのセットを得ることができる。例えば、図7Cおよび図7Dは、ライン706Bに沿ってターゲット軌跡716と交差する撮像取得平面712B(図7Cにおける)と、図7Aおよび図7Bに関連して上述した第1の撮像平面配向と直交することができるような、第2の撮像平面配向に対応する、ターゲット軌跡716の異なる部分718Bを含む対応する取得撮像スライス714B(図7Dにおける)との図を示す。例示として、図7Cおよび図7Dは、コロナル平面に対応する。図7Eおよび図7Fは、ライン706Cに沿ってターゲット軌跡716と交差する撮像取得平面712C(図7Eにおける)と、図7A図7B図7C、および図7Dに関連して上述した第1の撮像平面配向および第2の撮像平面配向の1つまたはそれ以上に直交するような、第3の撮像平面配向に対応する、ターゲット軌跡716のさらに別の異なる部分718Cを含む、対応する取得された撮像スライス714C(図7Fにおける)との図を示す。例示として、図7Eおよび図7Fは、アキシャル撮像平面に対応する。図7A図7B図7C図7D図7E図7Fの撮像スライスは、互いに直交する2次元の平面として示されている。しかし、本明細書の他の実施例に関連して述べたように、スライスは平面である必要はなく、直交している必要もない。各取得された撮像スライスは、撮像スライスの取得と並行して1つまたはそれ以上のスライスの処理を含むように処理される。例えば、このような処理は、取得された撮像スライスの平面や領域に対応するような、ボリューム基準画像からのサンプル情報を含む。
【0103】
あるアプローチでは、撮像スライス714A、714B、または714Cの1つまたはそれ以上から抽出された特徴は、ボリューム基準画像から抽出された撮像情報と比較される。例えば、ボリューム基準画像からのターゲット軌跡616のセグメント化された部分、またはターゲット軌跡および周囲の組織を内包する領域は、対応する撮像スライス714A、714B、または714Cに空間的に登録され、ターゲット軌跡がシフトしたかどうかを判定することができる。しかし、単一の2次元撮像スライスから抽出された特徴を、ボリューム基準画像からの対応する特徴と比較することは、困難なことである。例えば、図8Aは、ターゲット軌跡816が1つの撮像取得インスタンスから別の撮像取得インスタンスに移動する際に得られるような、一連の撮像取得平面812A、812B、812Cを一般的に示す。時刻ti-2では、撮像取得面がターゲット軌跡816と交差するライン806Aがほぼ中央に位置し、時刻ti-1では、ライン806Bがシフトし、時刻tiでは、ライン806Cがさらにシフトしている。時刻ti、ti-1、ti-2、...で得られた撮像スライスは、一般的にSi、Si-1、Si-2、...とラベル付けすることができる。
【0104】
ターゲット軌跡の動きが面外である場合、ターゲット軌跡が大きく移動しているにもかかわらず、重心またはその他の特徴の位置が画像間で大きく移動していないように見えたり、または、ターゲット軌跡が変形しているように見えたりして、動きの解釈が難しくなる。しかしながら、このような面外の動きは、連続して取得された撮像スライスの向きを変化させること(例えば、図8Cなどに示すように)、または、撮像取得領域の非平面的な形状を変化させまたは補正して、撮像スライスが3次元的に完全な平面として表現されないようにすること(例えば、図8Bに示すように)の1つまたはそれ以上により、適切に追跡することができる。例えば、図8Bは、湾曲した形状を含むような、一連の撮像スライス813A、813B、813Cを一般的に示す。一般的に、画像取得の「平面」に言及する場合でも、本明細書で説明する技術は、図8Bの湾曲したスライスのような他のスライス形状にも使用できる。図示された実施例として、MRイメージング情報は平面スライスとして利用可能であり、確立された磁場の不均一性を補正するような、撮像フィールド全体の歪みを捕捉または補正するのに役立つように、変換が平面スライスに適用されて、3次元的に湾曲する表面を得ることができる。別の実施例として、図8Cは、それぞれが直交している必要はないが、異なる向きを含むことができるような、一連の撮像取得平面815A、815B、815Cを一般的に示す。
【0105】
前述したように、撮像スライスが時間的に連続して取得された場合、ターゲット軌跡は連続した画像取得の間に移動する可能性が高い。図9Aは、第1の撮像スライスと第2の撮像スライスの間でずれているターゲット軌跡を含むような、一連の2つの撮像スライスを一般的に示す。2つの順次取得した撮像スライスの実施例で説明する。また、本明細書で説明した技術は、2つ以上の撮像スライス(あるいは、基準となるボリューム撮像情報の一部または全体に関して分析された単一の撮像スライスでもよい)のシーケンスにも一般的に適用可能である。
【0106】
撮像スライス914A(例えば、Si)は、ターゲット軌跡の部分918Aを含むことができ、第2の撮像スライス914B(Si-1、時間的に早く取得されたもののような)は、第2の部分918Bを含むことができる。第2の部分918Bは、第1の部分918Aに対して変位量920だけ変位して見える。変位量920は一般に未知の値またはベクトルであるため、第1の部分918Aおよび第2の部分918Bを空間的に登録するような、様々な技術を用いることができる。図9Bに示すように、空間的に登録されたスライス914Cは、ターゲット軌跡の一部918Cの調整された位置を含むことができる。具体的には、取得した撮像スライスのセットまたはシリーズは、Si、Si-1、Si-2、...、Si-nと表記され、Siは、処理のために最近取得したスライスに対応し、Si-nは、処理のために最も早く取得したスライスに対応している。一連の空間的に登録された撮像スライスは、Si、S'i-1、S'i-2、...、S'i-nと表記される。
【0107】
図10は、2つ(またはそれ以上)の撮像スライスSi、S'i-1、S'i-2、...、S'i-nからターゲット軌跡のセグメント化された部分を空間的に登録することを含むことができる技術を一般的に示す。あるアプローチでは、ターゲット軌跡の2つの部分1018Aおよび1018Bが、第1の部分1018Aとシフトされた第2の部分1018Bとを結合する交差ライン1022に沿ったピクセル間の類似性のような、どの程度整列しているか(または、より一般的には、2つの撮像スライスまたは撮像ボリュームがどの程度整列しているか)を定量化するメトリックを定義することができる。このようなメトリクスの実施例は、一次元の正規化された相互相関や相互情報を含む。自動最適化技術を実行して、メトリックの最適値を提供する第2の部分1018Bの解釈(translation)を見つけることができる。マスクを使用すると、関心のあるターゲットに近いピクセルのような、最も関連性の高いピクセルのみに計算を限定することができる。この第1のアプローチは、一般的に平面が共通の交線を持つことに依存する。
【0108】
別のアプローチは、スライス内のターゲット軌跡の一部に対応する存在するボクセル(populated voxels)とスライス外のゼロ値ボクセルを含む第1のスライス方向に対応する第1の画像と、第2の画像内のターゲット軌跡の一部に対応する独自の存在するボクセル(populated voxels)を含む第2のスライス方向の第2の画像とを有するような、3次元(3D)ボクセル画像を作成することを含む。図示された実施例として、MR撮像スライスは、一般的に、約5ミリに対応するような厚さを有する。MR撮像スライスから抽出した2次元(2D)のピクセル情報を用いて、実際のスライス厚さ内にスライス情報を有するボクセルを割り当てることにより、有限のスライス厚さを考慮することができる。3Dレジストレーション技術を用いて、2つの3D画像間の最適な平行移動を見つけ、マスクを使用して、スライス情報を含まないボクセルを除外することができる。3Dレジストレーションのアプローチは、また、一般的に共通の交差ラインを有することに依存する。3次元のレジストレーションされた撮像スライスの実施例を、図11Aに例示的に示す。
【0109】
さらに別のアプローチでは、予測技術を前の撮像スライスに適用して、前の撮像スライスの方向であるが、現在の撮像スライス、またはより最近取得した撮像スライスと同じタイムスタンプを有する、ターゲット軌跡の部分の最も可能性の高い位置を見つけることができる。このような予測には、カーネル密度推定(Kernel Density Estimation)、ニューラルネットワーク、深層学習ニューラルネットワークモデル、サポートベクターマシンやランダムフォレストを有する回帰手法、またはテンプレートマッチング手法のような、様々な技術を用いることができる。予測は、ターゲット軌跡の動きが、呼吸運動に伴うような周期性の高いものである場合に特に有効である。予測の使用はあくまでも近似であるが、上記および本明細書の他の箇所で説明した画像ベースの方法と組み合わせて使用することもできる。予測ベースのアプローチは、画像取得面が共通の交差ラインを持つことに依存しないため、平行のスライスを取得する場合にも予測技術を使用することができる。
【0110】
さらに別のアプローチでは、高速で垂直なMR撮像スライスを取得すると、前の画像が励起され、まだ完全には平衡状態に緩和されていない場所で、現在の画像に暗い線が現れることがある。前のスライスで励起された磁気双極子は、移動する解剖学的構造に沿っているため、目に見える前の励起領域(例えば、励起ライン(excitation line))をアンカーとして用いて、前のスライスと後に取得した画像情報を合わせることができる。これは、前述の他の技術では、ピクセルやボクセルの特徴としての暗部がレジストレーションに影響を与えるため、暗黙的に、または、取得した撮像スライス内の暗部の位置を特定したり明示的に決定したりするように明示的に、考慮することができる。例えば、ピーク検出技術を用いて、暗くなった領域の中心に沿ってポイントを見つけ、そのポイントに最もフィットするライン(直線または曲線)を見つけることができる。本明細書に記載されているさまざまな実施例は、第1の画像のセグメント化された部分と、第2の画像(または一連の画像)のセグメント化された部分、または他の識別された特徴の登録を含むような、画像間の登録について言及している。一般的に、2つの画像間の登録には、動く画像と固定された画像を含み得る。その目的は、固定された画像に最もよく合うように、動画の位置や変換を決定することである。「動く(Move)」とは、例えば、動画を1つまたはそれ以上の次元で空間的に移動させること(平行移動のみ)、動画を移動、回転させること、さらには動画を変形させることを意味する。動画の移動に利用できる自由度は「最適化パラメータ」と呼ばれ、図示された実施例として、2枚の2D画像でシフトのみの場合は2自由度、3D画像でシフトプラス回転の場合は6自由度を含む。一般的には3D画像のレジストレーションのことを指しているが、「最適化パラメータ」は一般性を損なうことなく「シフト値」と一般的に呼ぶことができる。
【0111】
最適化パラメータの与えられたセットに対して、メトリックは、移動画像と固定画像の間の決定されたオーバーラップの「良さ(goodness)」を定義することができる。様々な実施例は、正規化された相互相関または相互情報を決定すること(ボクセル値またはピクセル値を入力値として使用するような)を含むことができ、そのような技術は、画像が完全に一致する場合のメトリックの最適値の指標を提供することができる。基礎となる画像技術の性質が、どの指標を使用するかの参考になり得る。例えば、PET(Positron Emission Tomography)およびCT撮像のような、異なるモダリティで撮影された画像に対して、相互情報の技術(mutual information technique)を用いることができる。
【0112】
最適化技術を用いて、2つの画像の間で最もマッチするシフト値を特定するような、移動画像と固定画像の間のメトリックを最適化するシフト値を見つけることができる。使用可能なオプティマイザー(optimizer)は、勾配降下法(gradient descent)、シミュレーションアニーリング(simulating annealing)、信頼領域勾配降下法(trust-region gradient descent)、または1つまたはそれ以上の他の技術を含むことができる。いくつかの場合には、画像間の変形があり得るが、変形情報の最適化は、望ましくない遅延が発生すること、最適化技術の安定性が損なわれたりすることの1つまたはそれ以上をもたらすので、変形ベクトルフィールドを最適化してこれらを考慮することは必ずしも必要ではない。メトリクスの計算は、「マスク(mask)」と呼ばれるような特定の関心領域に限定することができる。例えば、関心領域に無視できる変形があると仮定して、変形を伴わない平行移動または回転の1つまたはそれ以上を使用して、指定された関心領域で局所的に最適なシフト値を決定することができる。
【0113】
一般的に、1つまたはそれ以上の2D撮像スライスが利用可能であれば、放射線治療ターゲットの動きは、現在の2Dスライス(MR撮像スライスのような)と初期の3Dボリューム(例えば、基準ボリューム画像)との間で決定することができる。例示的な実施例として、3Dボリュームは、呼吸のブレを低減するために呼吸の特定のフェーズにも対応することができ、それは、ゲートされたイメージング、またはトリガーされたイメージング(例えば、トリガーされたイメージング)、または、特定のフェーズにおける4次元イメージング情報から3Dボリューム画像を抽出すること(例えば、MRイメージングを用いて得られた4次元イメージング情報のような4次元イメージングシリーズから3Dボリュームスナップショットを抽出すること)のどちらでも可能である。
【0114】
1つのアプローチでは、撮像スライスでターゲット自体を識別することができる。しかし、セグメンテーションについては本明細書の別の箇所で触れているが、セグメンテーションやその他の特徴抽出を行わない場合でも、本明細書で説明した技術は適用可能である。図示された実施例として、後から取得した1つまたはそれ以上の撮像スライスと、先に取得した基準3D画像との間で、グレースケール値のベストフィットを決定することができる。ターゲットは実際に画像内にある必要はないが、ターゲットの一部やターゲットにマージンを加えたもの、あるいはターゲットを含まない任意の関心領域など、関心領域を指定することができる。
【0115】
1つのアプローチでは、2D/3Dレジストレーションを行い、現在の撮像スライスと基準ボリュームの間の相対的なシフトを見つけることができる。レジストレーション技術との関係で、3D画像は「動く画像」を表現し、2Dスライスは「固定された画像」を表現することができる。一般的に、ターゲットの位置は3D画像内で特定することができ、以前のターゲットの位置に相対的なシフトを適用することは、3D座標フレーム内のようなターゲットの更新された位置の推定値を提供することができる。このような推定は、変形の決定を必要とすることなく実行することができ、最適化技術の実行効率を高めるためのように、回転パラメータを使用することなく実行することもできる。このような単純化された仮定は、3D基準画像を1つまたはそれ以上の2D撮像スライスに登録するような場合に適用することができる。
【0116】
指定された関心領域は、例えば、ターゲットの周りのマスクとマージンを定義するために使用することができる(関心領域はターゲットまたはターゲットの全体を含む必要はないが)。変形は存在し得るが、図示の実施例として、マージンが小さければ変形も小さくなり(例えば無視できる程度)、変形を無視したレジストレーション技術を用いてターゲット自体の移動量を求めることができる。このようにして、シングルプレーン技術(例えば、撮像スライスが固定画像である技術)は、3次元でのシフトを示す情報を得ることができる。このような技術は、3次元でのレジストレーションを「ロックイン」するのに十分な特徴量が画像内にあれば、特徴量を抽出したりセグメント化したりする必要はないが、レジストレーションが明確に定義された最適値に収束するため、ロバストであると言える。
【0117】
あるアプローチでは、画像の勾配の正規化された相互相関をレジストレーション指標として使用することができ、このような技術は、画像のエッジを一致させる傾向があり、画像ごとに異なる可能性のある絶対的なグレースケール値の影響を受けにくいからである。1つの撮像スライスまたは平面は、いくつかの場合には、明確な最適値を持つシフトを確立する(俗に言う「ロックイン」)には十分なロバスト性が得られないことがある。したがって、実施例に示されたように、追加のスライスは、例えば、現在のサジタルスライスと、以前に取得したコロナルスライス、またはその逆のスライスを使用するような、あらゆる方向でのロックを助けるために有用である。レジストレーションに使用されるスライスの数が増えると、平行面、直交面、または非平行面、非直交面のいずれであっても、基準ボリューム画像と後から取得した撮像スライスとの間のレジストレーションを実行するために利用できる情報が増え、結果として得られるシフトパラメータ決定のロバスト性が向上することになる。
【0118】
図12は、いくつかの実施形態による、オブジェクトの動きを決定するための第2の技術を示す。具体的には、図12に示すように、オブジェクトが描写されて第1の平面(例えば、サジタル平面)に沿って定義された第1のスライス(例えば、2Dシネ画像)は、放射線治療セッション中の第1の時点においてリアルタイムで撮影される。第1のスライスは、オブジェクトを描写するボリューム画像の一部と共に登録され、第1の方向および第2の方向に沿ったオブジェクトの動きを決定する。例えば、対応する平面(例えば、サジタル平面)は、治療前の3D画像から抽出され、撮影された第1スライスと共に登録することで、第1の方向および第2の方向に沿ったオブジェクトの動きを決定する。一実施例として、第1の方向および第2の方向は、上/下方向および前/後方向に沿った方向を含むことができる。オブジェクトの左/右の動き(例えば、第3の方向に沿った動き)は、第1のスライスとボリューム部分とのレジストレーションから欠落することがある。この場合には、欠落した第3の方向(例えば、左右方向)に沿ったオブジェクトの動きは、放射線治療セッション中の前の時点からオブジェクトが描写された第2のスライス(例えば、2Dシネ画像)に基づいて得ることができる。第2のスライスは、コロナル平面に沿って定義され、ボリューム画像の対応する平面に対して登録されると、左/右方向に沿った動きを提供する。このようにして、放射線治療セッションの現在の時点における、第1の方向、第2の方向、第3の方向に沿ったオブジェクトの動きは、現在の時点に対応する第1の平面に沿って定義されたスライスと、第2の平面に沿って定義された以前に撮影されたスライスを用いて決定される。
【0119】
いくつかの場合には、ボリューム画像は、登録目的のための移動画像として定義され、放射線治療セッション中に撮影された2D画像は、固定画像として定義される。放射線治療セッションの後の時点またはそれに続く次の時点で、オブジェクトが描写され、第2の平面に沿って定義された第3のスライス(例えば、2Dシネ画像)が撮影される。第3のスライスは、オブジェクトを描写するボリューム画像の一部と共に登録され、第1の方向および第3の方向に沿ったオブジェクトの動きを決定する。例えば、対応する平面(例えば、コロナル平面)は、治療前の3D画像から抽出され、撮影された第3のスライスと共に登録して、第1の方向および第3の方向に沿ったオブジェクトの動きを決定する。一実施例として、第1の方向と第3の方向は、上/下方向と左/右方向に沿った方向を含むことができる。オブジェクトの前/後方向の動き(例えば、第2の方向に沿った動き)は、第3のスライスのボリューム部分とのレジストレーションから欠落することがある。この場合には、欠落した第2の方向(例えば、前/後方向)に沿ったオブジェクトの動きは、放射線治療セッション中の前の時点からオブジェクトが描写された第4のスライス(例えば、2Dシネ画像)に基づいて獲得される。第4のスライスは、サジタル面に沿って定義され、ボリューム画像の対応する面に対して登録されたときに、前/後方向に沿った動きを提供する。このようにして、放射線治療セッションの現在の時点における、第1の方向、第2の方向、第3の方向に沿ったオブジェクトの動きは、現在の時点に対応する第1の平面に沿って定義されたスライスを用いて、また、第2の平面に沿って定義された以前に撮影されたスライスを用いて、決定される。
【0120】
図13は、いくつかの実施形態による、第2の技術によるオブジェクトの動きを決定するためのタイミング図である。図13に示すように、放射線治療セッションの第1の時点1310の間に、サジタル画像1312(例えば、サジタル面に沿った2Dシネ画像)が撮影される。このサジタル画像1312は、治療前の3Dボリュウム画像と共に登録される。この登録の結果、第1の時点の間に撮影されたサジタル画像1312に描写されたオブジェクトの動きが、第1の方向1320および第2の方向1330に沿って(例えば、上/下方向に沿って、および前/後方向に沿って)決定される。左/右方向1340に沿った動きは欠落している。欠落した動きの情報を回復するために、同じ放射線治療の治療セッションにおける1つまたはそれ以上の先行する時点1360の間に撮影されたコロナル画像1350(例えば、コロナル平面に沿った2Dシネ画像)が埋め合わされる。先に撮影されたコロナル画像1350は、同じ3Dボリューム画像に対して登録され、左/右方向1340に沿った動き(例えば、左/右の動き)を提供する。このようにして、3方向に沿ったオブジェクトの動きは、第1の平面に沿って定義された現在撮影された画像と、第2の平面に沿って定義された以前に撮影された画像を用いて、決定される。
【0121】
図14は、いくつかの実施形態による、第2の技術によるオブジェクトの動きを決定するためのフロー図1400である。図14で説明されたオペレーションは、順番に行うことも、並行して行うことも、飛ばして行うことも、順番に行わないことも可能である。図14で説明されたオペレーションは、計算システム510(図5)によって実行され得る。
【0122】
オペレーション1401において、計算システム510は、与えられた放射線セッションの前に、時間的に変化するオブジェクトを有するボリューム画像を受け取る。
【0123】
オペレーション1402において、計算システム510は、与えられた放射線セッション中の第1の時点で、オブジェクトを有する第1の撮像スライスを受け取る。第1の撮像スライスは、第1平面に沿って定義されている。
【0124】
オペレーション1403において、計算システム510は、与えられた放射線セッション中の第1の時点で、オブジェクトを有する第2の撮像スライスにアクセスし、第2の撮像スライスは、与えられた放射線セッション中の第1の時点に先行する第2の時点で得られ、第2の平面に沿って定義されている。
【0125】
オペレーション1404において、計算システム510は、ボリューム画像に対して登録されている第1の撮像スライスに基づいて、第1の方向および第2の方向に沿ったオブジェクトの動きを決定する。
【0126】
オペレーション1405において、計算システム510は、第2の撮像スライスに基づいて、第1の時点における第3の方向に沿ったオブジェクトの動きを決定する。
【0127】
オペレーション1406において、計算システム510は、決定された動きに基づいて、治療ビームの照射を制御するための更新された治療プロトコルを生成する。
【0128】
レジストレーションは、1つまたはそれ以上の撮像スライスにまたがって3Dボリュームを掃引することを含み、または、スライスは、本明細書の他の箇所で述べたように3Dボリュームに挿入され、その場合、(充填されていないボクセルの登録を抑制または無視するように)3Dから3Dへの登録技術(3D-to-3D registration technique)を使用することができる。マルチスライス技術は、例えば、取得されたスライスに対応する瞬間の間隔が約50ミリ秒未満の場合のように、スライスが高速で連続して取得される場合に有効に機能する。撮像スライスの取得間隔が長くなると、古いスライスが「陳腐化」する可能性がある。しかしながら、このようなスライスは、a)ターゲットの動きが周期的である場合のような予測技術、b)撮像モダリティによって提供される励起線(例えば、MR撮像の取得から見える励起線)を整列させること、例えば、本明細書の他の箇所で述べたように、そのような励起線を通る線をフィットさせることにより整列させること、または、c)古い撮像スライスを空間的に登録して、交差する線に沿って計算されるメトリックを使用して、現在のスライスにフィットさせることのいずれかを用いるようにして、時間的に再整列させることができる。
【0129】
図11Aは、空間的に登録された撮像スライス1114Aおよび1114Bに対応する異なる時間に取得されたターゲット軌跡のセグメント化された部分を空間的に登録した後のような、ターゲット軌跡の合成物1118の表現を一般的に示す。2つまたはそれ以上の撮像スライスからのターゲット軌跡の部分が空間的に登録された後に、合成物1118などから特徴を抽出することができる。例えば、放射線治療プロトコルの更新に使用するためのターゲット軌跡の重心位置の推定値を提供するような、合成物1118の重心1108の位置または他の特徴を決定することができる。別の実施例では、第1の撮像スライス1114Aおよび第2の撮像スライス1114Bにおけるターゲット軌跡の一部の間の決定された空間的変位は、放射線治療プロトコルを更新するために使用することができる。
【0130】
図11Bは、取得された空間的に登録された撮像情報によるターゲット軌跡の合成物1118の後の推定または予測された位置を、以前に取得されたボリューム撮像情報によって表されるようなターゲット軌跡616の以前の位置と比較した差を決定するための技術を一般的に示す。1つまたはそれ以上の特徴の変位を利用して、現在または将来のターゲット軌跡の位置を推定することができる。例えば、基準画像情報から抽出されて先に決定された重心608と、後に決定された重心1108との間の変位を決定することができる。別の実施例では、撮像登録からのシフトパラメータを使用して、重心のような特徴の抽出や決定を必要とせずに、更新されたターゲット軌跡を提供することができる。一般的に、空間的に登録された撮像スライスを用いて、ターゲット軌跡616の動きや変位を示す情報を抽出するような、他の様々な技術を使用することができる。
【0131】
例えば、一連の以前の撮像スライスが現在のスライスに整列されてスライスセットSi、S'i-1、S'i-2、...、S'i-nを形成すると、スライスセット(または、そのようなスライスセットから生成された合成物1118)と、3次元基準ボリューム(図11Bに示すようなターゲット軌跡616に対応する基準ボリュームのような)との間の最適なレジストレーションを見出すことが可能となる。図示された実施例として、サジタルスライスの撮影の前に、コロナルスライスの撮影を行うことができる。コロナルスライスをサジタルスライスと同じ時点に持ってきて、コロナルスライスをサジタルスライスと共に空間的に登録するような、空間的な変換を確認することができる。そして、両方のスライスは、3Dボクセル座標空間内に確立することができる。これは、無限に薄いスライスとして、または既知のスライスの厚さを使用した有限のスライスとして、挿入することにより行うことができる(図11Aおよび図11Bの合成物1118に示されているように)。
【0132】
各スライスのターゲット軌跡の部分で満たされていないボクセルは、満たされないままにしておくことができる。次いで、3D基準画像(例えば、ターゲット軌跡616に対応する)と、3D「スライス充填画像」(合成物1118に対応する)との間で、3Dから3Dへの登録技術(3D-to-3D registration technique)を決定することができる。マスクを使用して、塗りつぶされていないボクセルをフィルタリングすることができる。別の実施例では、3Dから3Dへの登録技術(3D-to-3D registration technique)は、単一の合成というより複数の2Dスライスを使用するようにして行うことができる。例えば、上述したようなレジストレーションおよび最適化技術を用いて、シフトされた3Dボリューム基準画像のボクセルと複数の2D撮像スライスの各スライスを比較する類似性メトリックの値を最適化するなどして、3D基準画像のシフトパラメータ(例えば、重心のような1つまたはそれ以上の特徴の変位、または関心領域の移動または回転を指定するシフト値のセット)を評価することができる。このようにして、最適なシフト値のセットを特定する等して、3Dから2Dへの登録(3D-to-2D registration)が行われる。ターゲットの位置は、シフト値から得られた情報を用いて、更新されることが可能である。3Dから3Dへの登録技術(3D-to-3D registration technique)、2Dから2Dへの登録技術(2D-to-2D registration technique)、3Dから2Dへの登録技術(3D-to-2D registration technique)は、画像のセグメンテーションを必要とせず(例えば、ターゲット軌跡自体はセグメンテーションされる必要はない)、そのような登録は、重心やエッジの位置のような画像特徴の識別を必要としていない。その代わりに、グレースケールやコントラストの画像情報(またはその他の抽出値)を用いてレジストレーションを行うことができ、例えば、本明細書の他の部分で述べたように、指定された関心領域を対象とすることができる。
【0133】
図11Cは、治療の軌跡を新しい場所に移すなど、治療プロトコルを更新するための手法を一般的に示している。先の放射線治療ターゲット領域1110Aは、ボリューム基準画像から抽出されたターゲット軌跡に対応するように、または他の治療または線量目標に従って確立されるように、確立することができる。このような治療ターゲット領域1110Aは、放射線治療出力の位置決め、強度やビーム形状の1つまたはそれ以上の変更を含む治療ビームの調整、または可動式治療用カウチやプラットフォームのようなアクチュエータを使用した患者の移動のうち、1つまたはそれ以上を使用して少なくとも部分的に確立することができる。療法ターゲット領域から、重心1108Aのような1つまたはそれ以上の特徴を抽出することができる。ターゲット軌跡(例えば、治療すべき腫瘍または他の構造体)の推定または予測される変位は、本明細書に記載されているような他の技術を使用するなどして決定することができる。
【0134】
治療ターゲット領域1110Aは、調整されて、更新された治療ターゲット領域1110Bを提供する。例えば、患者の動きによってターゲット軌跡が移動した場合、同様の移動を先の領域1110Aに適用して、更新された治療ターゲット領域1110Bを提供することができる。同様に、他の特徴が抽出された場合には、回転やスケーリングのような他の技術を用いて治療ターゲット領域1110Aを調整することができる。別の実施例では、治療ターゲット領域1110Aを調整する代わりに、またはそれに加えて、更新された治療ターゲット領域1110Bが指定された領域内に入らない限り放射線治療の送出を抑制するゲーティング治療のような、他の技術を用いて治療を制御することができる。さらに別の実施例では、センサーの出力から得られるような代理信号を、治療のゲートに使用することができる。例えば、センサーの出力は、撮像スライスを空間的に登録した後に、撮像スライスから抽出された特徴の位置、例えば、撮像スライス内のターゲット軌跡の重心の位置などと相関させることができる。治療の提供は、センサーの出力に応じてトリガーされるなど、同期的な方法で行うことができる(例えば、呼吸のような周期的な動きの中で特定の時間にセラピーを提供するようにして)。
【0135】
図15は、いくつかの実施形態による、オブジェクトの動きを決定するための第3の技術を示す。例えば、図15に示すように、放射線治療処理計算システム510は、最初に、3Dボリューム画像1540の対応する平面に対して登録される合成(テンプレート)撮像スライス1520を生成する。
【0136】
図16は、いくつかの実施形態による、合成撮像スライス1520を生成するための例示的な技術を示す。いくつかの場合には、合成画像は、撮像スライス1610の選択されたサブセットを平均化することによって生成される。例えば、複数の撮像スライス1610は、与えられた放射線セッション中に放射線治療ビームを作動させる前に得られる。基準となる呼吸フェーズ(例えば、呼気の終わり)に対応するスライスのうちの与えられたスライスの1枚が、ターゲット画像1612として選択される。放射線治療処理計算システム510は、複数の撮像スライスの残りのセット1614を、選択されたターゲット画像1612に変形可能に登録する。
【0137】
放射線治療処理計算システム510は、変形的に登録された複数の撮像スライスを平均化し、複数の撮像スライスのそれぞれについて平均オフセット1620を決定する。放射線治療処理計算システム510は、平均オフセットに基づいて撮像スライスを再サンプリングして、再サンプリングされた撮像スライスのそれぞれのターゲット画像(例えば、選択された撮像スライス)に対する距離に基づいて、再サンプリングされた撮像スライスのサブセット1630A-Nを選択する。例えば、放射線治療処理計算システム510は、再サンプリングされた撮像スライスのそれぞれとターゲット画像との間の距離を計算する。放射線治療処理計算システム510は、スライスとターゲットスライスとの間の距離が指定された閾値よりも小さい撮像スライスを選択する。そして、合成画像1640は、再サンプリングされた複数の撮像スライスの選択されたサブセット1630A-Nを平均化することによって生成される。
【0138】
図15に戻り、合成画像1640が生成された後、合成撮像スライス1520は、合成撮像スライスと同じ平面に対応する新しい撮像スライスに対して登録され、合成撮像スライスに描写されたオブジェクトの動きを決定する。一実施例として、与えられた放射線セッション中の第1の時点で、オブジェクト1512を含む第1の撮像スライス1510が受け取られる。第1の撮像スライス1510は、第1の平面(例えば、サジタル平面)に対応し得る。放射線治療処理計算システム510は、与えられた放射線セッション中の第1の時点で、第1の平面に対応する合成撮像スライス1520にアクセスする。合成撮像スライスは、第1の時点の前に取得された複数の撮像スライス1530を用いて生成される。放射線治療処理計算システム510は、第1の撮像スライスと合成撮像スライスとを空間的に登録して、オブジェクトの動きを決定する。放射線治療処理計算システム510は、決定された動きに基づいて、治療ビームの照射を制御するための更新された治療プロトコルを生成する。
【0139】
いくつかの場合には、放射線治療処理計算システム510は、第1の撮像スライスおよび合成撮像スライスの一方または両方において、登録において考慮されるピクセルをマスク制限することによって、第1の撮像スライスおよび合成撮像スライスを登録する。いくつかの場合には、第1の撮像スライス1510が合成撮像スライス1520に登録される前に、合成撮像スライス1520は、ボリューム画像1540から抽出された2次元スライスに登録される。いくつかの場合には、ボリューム画像から抽出された二次元スライスに登録された合成撮像スライス1520を手動で調整して、二次元スライスに対して登録された合成画像の位置または部分を選択または変更する。
【0140】
いくつかの実施形態では、異なる平面(例えば、コロナル平面)に沿った合成画像に基づいて動きを決定するために、同様のオペレーションが行われる。このような場合、合成撮像スライス1520は、第1の合成画像である。与えられた放射線セッション中の第2の時点で、放射線治療処理計算システム510は、第2の平面(例えば、コロナル平面)に対応する第2の撮像スライスを受け取る。放射線治療処理計算システム510は、与えられた放射線セッション中の第2の時点で、第2の平面に対応する第2の合成撮像スライス(図示せず)(例えば、コロナル合成撮像スライス)にアクセスする。第2合成撮像スライスは、第2の時点以前に得られた別の複数の撮像スライスを用いて生成される。具体的には、上述のサジタル平面の場合と同様の方法で、コロナル平面に沿って受け取ったスライスを用いてコロナル合成撮像スライスを生成する。例えば、コロナル合成画像は、コロナル撮像スライスの選択されたサブセットを平均化することによって生成される。例えば、複数のコロナル撮像スライスは、与えられた放射線セッション中に放射線治療ビームを作動させる前に取得される。コロナルスライスのうち、基準となる呼吸位相に対応する与えられたスライスが、ターゲット画像として選択される。いくつかの場合には、第1の撮像面(例えば、サジタル平面)のターゲット画像を選択するために使用されるのと同じ基準呼吸位相が、コロナル撮像平面のターゲット画像を選択するために使用される。放射線治療処理計算システム510は、複数のコロナル撮像スライスの残りのセットを選択されたターゲット画像に変形して登録する。
【0141】
放射線治療処理計算システム510は、変形的に登録された複数のコロナす撮像スライスを平均化し、複数のコロナル撮像スライスのそれぞれについて平均オフセットを決定する。放射線治療処理計算システム510は、平均オフセットに基づいてコロナル撮像スライスを再サンプリングして、再サンプリングされたコロナル撮像スライスのそれぞれのターゲット画像(例えば、選択されたコロナル撮像スライス)に対する距離に基づいて、再サンプリングされたコロナル撮像スライスのサブセットを選択する。例えば、放射線治療処理計算システム510は、再サンプリングされたコロナル撮像スライスのそれぞれと、コロナルターゲット画像との間の距離を計算する。放射線治療処理計算システム510は、コロナルスライスとターゲットコロナルスライスとの間の距離が指定された閾値よりも小さい、コロナル撮像スライスを選択する。いくつかの場合には、第1の撮像面(例えば、サジタル面)の撮像スライスを選択するために使用されたのと同じ閾値が、コロナル撮像面の撮像スライスを選択するために使用される。いくつかの場合には、それぞれの平面のしきい値が異なることもある。そして、再サンプリングされた複数の撮像スライスのうち、選択されたサブセットを平均化することで、コロナル合成画像が生成される。
【0142】
放射線治療処理計算システム510は、第2の撮像スライス(例えば、コロナル撮像スライス)と、第2の合成撮像スライス(コロナル平面に対応する)とを空間的に登録するが、これは、第2の撮像スライス内のオブジェクトの一部を移動させて、第2の撮像スライス内のオブジェクトを第2の合成撮像スライス内のオブジェクトの一部に登録することを含む。
【0143】
図17は、いくつかの実施形態による、第3の技術によりオブジェクトの動きを決定するためのフロー図1700である。図17で説明したオペレーションは、順番に行うことも、並行して行うことも、飛ばして行うことも、順番に行わないことも可能である。図17で説明したオペレーションは、計算システム510(図5)によって実行され得る。
【0144】
オペレーション1701において、計算システム510は、与えられた放射線セッション中の第1の時点で、オブジェクトを有する第1の撮像スライスを受け取る。第1の撮像スライスは、第1の平面(例えば、サジタル平面)に対応する。
【0145】
オペレーション1702において、計算システム510は、与えられた放射線セッション中の第1の時点で、第1の平面に対応する合成撮像スライスにアクセスする。合成撮像スライスは、第1の時点より前に得られた複数の撮像スライスを用いて生成される。
【0146】
オペレーション1703において、計算システム510は、第1の撮像スライスと合成撮像スライスとを空間的に登録する。例えば、計算システム510は、第1の撮像スライスと合成撮像スライスとの間の差に基づくコスト関数を最適化して、第1の撮像スライスと合成撮像スライスとを登録する。
【0147】
オペレーション1704において、計算システム510は、空間的に登録された第1の撮像スライスと合成撮像スライスを用いて、オブジェクトの動きを決定する。
【0148】
オペレーション1705において、計算システム510は、決定された動きに基づいて、治療ビームの照射を制御するための更新された治療プロトコルを生成する。
【0149】
図18は、いくつかの実施形態による、オブジェクトの動きを決定するための第4の技術を示す。図18に示す技術によれば、与えられた放射線セッションにおける第1の時点で、第1の平面に対応する第1の撮像スライス1810(例えば、サジタル平面に対応する、またはサジタル平面に沿って定義される2Dシネ画像)が受け取られる。第1の撮像スライスは、より低次元の表現にエンコードされる(例えば、第1の撮像スライスの変形可能なベクトルフィールド(DVF)の主成分分析(PCA)成分を変換して、第2の撮像スライスのPCA成分を推定することにより)。トレーニングされた機械学習モデル(例えば、サポートベクターマシンもしくはランダムフォレストマシン、深層学習ニューラルネットワークモデル、またはサポートベクターマシンからなるニューラルネットワークもしくは回帰手法)を、符号化された第1の撮像スライスに適用して、第1の時点における第2の平面(例えば、コロナル平面)に対応する第2の撮像スライスの符号化バージョンを推定し、第1の時点の撮像スライスのペアを提供する。一実施例として、トレーニングされた機械学習モデルを第1の撮像スライス1810(例えば、サジタル平面)に適用して、コロナル平面撮像スライスの符号化バージョンを推定する。
【0150】
撮像スライスのペアは、放射線セッションの前に受け取られたボリューム画像(例えば、患者の3D治療前ボリューム)に同時に空間的に登録され、計算されたオブジェクトの変位に基づいて治療ビームの照射を制御する最新の治療プロトコルを生成する。いくつかの場合には、画像を登録する前に、第2の撮像スライスの推定エンコードバージョンをデコードして、第1の時点での第2の撮像スライスを得る。そして、デコードされたバージョンは、ボリューム画像に対して第1の撮像スライス1810と共に空間的に登録され、3次元におけるオブジェクトの動きまたは変位を決定する。
【0151】
いくつかの実施形態では、機械学習モデルは、放射線治療フラクションの初期期間、放射線治療フラクションの前、または放射線治療フラクションの照射中にトレーニングされる。機械学習モデルをトレーニングするために、放射線治療処理計算システム510は、同一の平面(例えば、サジタル平面画像)に沿ったスライス1810および1830(例えば、シネ画像)の第1のシーケンスを受け取る。また、放射線治療処理計算システム510は、同一の平面(例えば、コロナル平面画像)に沿ったスライス1820の第2のシーケンス(例えば、シネ画像)を受け取る。いくつかの場合には、サジタル平面画像とは別の方法でコロナル平面画像を受信し、サジタル平面画像を受け取った場合にはコロナル平面画像を受け取らないようにしたり、その逆を行ったりする。放射線治療処理計算システム510は、スライス1810および1830の第1のシーケンスを低次元表現に符号化し、スライス1810および1830の第1のシーケンスの間にあるサジタル画像スライス1812を補間する。補間されたサジタル画像スライス1812は、コロナル画像スライス1820を受け取った時点で予想されるサジタル画像スライスを表してもよい。同様のオペレーションは、サジタル画像スライスを受け取ったときに、予想されるコロナル画像スライスを生成するためにコロナル画像スライス1822を補間するために実行される。
【0152】
放射線治療処理計算システム510は、コロナル画像スライス1820を機械学習モデルに適用して、サジタル画像スライスを予測する。トレーニング中、放射線治療処理計算システム510は、予測されたサジタル画像スライスと補間されたサジタル画像スライス1812との間の偏差を計算する。放射線治療処理計算システム510は、計算された偏差値に基づいて、機械学習モデルのパラメータを更新する。放射線治療処理計算システム510は、計算された偏差が停止基準を満たすかどうかを判断して、追加のコロナル画像スライスに基づいてトレーニングを継続するか、またはトレーニングされた機械学習モデルを出力するかを決定する。同様に、放射線治療処理計算システム510は、サジタル画像スライス1830を機械学習モデルに適用して、コロナル画像スライスを予測する。トレーニング中、放射線治療処理計算システム510は、予測されたコロナル画像スライスと補間されたコロナル画像スライス1822との間の偏差を計算する。放射線治療処理計算システム510は、計算された偏差値に基づいて、機械学習モデルのパラメータを更新する。放射線治療処理計算システム510は、計算された偏差が停止基準を満たすかどうかを判断して、追加のサジタル画像スライスに基づいてトレーニングを継続するか、またはトレーニングされた機械学習モデルを出力するかどうかを決定する。いくつかの場合には、放射線治療セッション中に、新しいサジタル画像やコロナル画像のスライスを受け取ると、機械学習モデルが無期限に更新され続ける。サジタル画像とコロナル画像の対応が、機械学習モデルをトレーニングするために説明されているが、平行、垂直、その他の角度のついた画像スライスも同様に、機械学習モデルのトレーニングに使用することができ、異なる角度に沿って受け取ったスライスから、ある角度に沿ったスライスを予測することができる。
【0153】
図19は、いくつかの実施形態による、第4の技術によるオブジェクトの動きを決定するためのフロー図1900である。図19で説明したオペレーションは、順番に行うことも、並行して行うことも、飛ばして行うことも、順番に行わないことも可能である。図19で説明したオペレーションは、計算システム510(図5)によって実行し得る。
【0154】
オペレーション1901において、計算システム510は、与えられた放射線セッションの第1の時点で、第1の平面に対応する第1の撮像スライスを受け取る。
【0155】
オペレーション1902において、計算システム510は、第1の撮像スライスを低次元表現にエンコードする。
【0156】
オペレーション1903において、計算システム510は、トレーニングされた機械学習モデルをエンコードされた第1の撮像スライスに適用し、第1の時点における第2の平面のエンコードバージョンを推定して、第1の時点の撮像スライスのセット(例えば、撮像スライスのペア)を提供する。いくつかの場合には、撮像スライスのセットは、互いに直交するか、または互いに傾いた平面に沿っている3つの撮像スライスを含む。
【0157】
オペレーション1904において、計算システム510は、撮像スライスのセット(例えば、撮像スライスのペア)を、与えられた放射線セッションの前に受け取られた、時間的に変化するオブジェクトを含むボリューム画像に同時に空間的に登録して、オブジェクトの変位を計算する。例えば、計算システム510は、撮像スライスのセットを、ボリューム画像を構成する3Dボリュームに挿入し、撮像スライスのセットが3Dボリュームのボクセルと交差する3Dボリュームのボクセルを埋める。別の実施例として、計算システム510は、撮像スライスのセットとボリューム画像との間の差異に基づいて、コスト関数を最適化する。
【0158】
オペレーション1905において、計算システム510は、計算されたオブジェクトの変位に基づいて、治療ビームの照射を制御するための更新された治療プロトコルを生成する。
【0159】
上述した技術(与えられた放射線治療セッション中のオブジェクトの動きを決定するための第2の技術、第3の技術、および第4の技術を含む)は、画像を取得し、そのような画像を処理した後、別の一連の画像を取得し、その後に取得した一連の画像を処理することを含むような、連続した方法で実行することができる。他のアプローチでは、本明細書に記載された技術の1つまたはそれ以上の部分を並行して、またはインターリーブ方式で実行することで、適応的に治療プロトコルを更新する際に使用する変位やその他の情報を継続的に生成することができる。いくつかの場合には、第3の技術を用いて(例えば、合成画像を用いて)、オブジェクトの動きを判断することができる。オブジェクトの動きが指定された閾値を超えた場合、治療プロトコルが直ちに更新される。あるいは、第3の技術に基づいて決定された動きが閾値を超えた場合、第4の技術を同じ画像セットに適用して、治療プロトコルを更新する前にオブジェクトの動きを決定することができる。オブジェクトの動きが再び指定された閾値を超えた場合、治療プロトコルを更新することができる。いくつかの場合には、第3の技術に割り当てられた優先順位に基づいて、第4の技術の前に第3の技術が適用されることもあり得る。第4の技術を省略して、第3の技術によりオブジェクトの動きが所定の閾値を超えたと判断された場合にのみ適用するようにしてもよい。
【0160】
図示された実施例として、撮像スライスは、互いに直交する2次元の平面として示されている。しかし、本明細書の他の実施例に関連して述べたように、スライスは平面でなくても、直交していなくてもよい。取得した各撮像スライスは、撮像スライスの取得と並行して1つまたはそれ以上のスライスを処理することも可能である。例えば、このような処理には、取得した撮像スライスの平面や領域に対応するような、ボリューム基準画像からのサンプル情報が含まれる。ターゲット軌跡(例えば、放射線治療を適応的に誘導するためのランドマークとして使用できる腫瘍または他の解剖学的構造)の範囲は、ボリューム基準画像内の1つまたはそれ以上のセグメント化された構造から抽出することができる。
【0161】
続いて取得された撮像スライスにおいて、ターゲット軌跡が位置しなければならない領域を定義するなど、ターゲット軌跡のその範囲にマージンを加えることができる。このマージンは、画像取得レートなどに応じて調整することができる(画像取得レートが低いほど、画像取得の間に腫瘍のようなターゲットが遠くに移動するため、マージンはそれに応じて大きくなる)。取得した撮像スライスで、腫瘍のようなターゲットをセグメント化することができる。1つまたはそれ以上の撮像スライスから抽出されたセグメント化されたターゲット情報は、計画画像で特定されたターゲット軌跡と空間的に登録される。このような登録は、本明細書の他の実施例に記載されているように、更新されたターゲット軌跡を決定するため、またはその他の方法で治療を制御または適応するために使用することができる。例えば、更新されたターゲット軌跡は、更新されたターゲット軌跡が指定された空間ゲートウィンドウの一部または全体から外れていることを示している間、治療を一時停止するなど、治療をゲートするために使用することができ、また、更新されたターゲット軌跡は、例示的な実施例として、腫瘍を追跡するためにビームアパーチャの形状を適応させるために使用することができる。
【0162】
(様々な注記と実施例)
本書に記載されている非限定的な各実施例は、それぞれ独立しているか、あるいは他の実施例の1つまたはそれ以上と様々な順列や組み合わせで組み合わせることができる。
【0163】
上記の詳細な説明には、詳細な説明の一部を構成する添付の図面への参照が含まれる。図面は、説明のために、本発明の主題を実施することができる具体的な実施形態を示している。これらの実施形態は、本明細書では「実施例」とも呼ばれる。このような実施例は、図示または説明されたものに加えて、要素を含むことができる。しかし、本発明者らは、図示または説明された要素のみが提供される実施例も予期している。さらに、本発明者らは、特定の実施例(または、その1つまたはそれ以上の態様)に関して、または本明細書に示され記載されている他の実施例(または、その1つまたはそれ以上の態様)に関して、図示され記載されているそれらの要素(または、その1つまたは以上の態様)の任意の組み合わせまたは順列を使用する実施例も予期している。
【0164】
本明細書と参照により組み込まれる文書との間で使用方法が一致しない場合、本明細書の使用方法が優先される。
【0165】
本明細書では、特許文書で一般的なように、「a」、「an」、「the」、「said」という用語を使用して、「少なくとも1つ」または「1つまたはそれ以上」の他の実施例や用法とは無関係に、1つまたはそれ以上を含むように使用される。本明細書では、「または」という用語は、他に示されていない限り、「AまたはB」が「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、「AおよびB」を含むように、非排他的な「または」を指すために使用される。本明細書では、「including」および「in which」という用語は、「complising」および「wherein」というそれぞれの用語の平易な英語の等価物として使用されている。また、以下の特許請求の範囲において、「comprising」、「including」、「having」という用語は、オープンエンドのものであり、すなわち、特許請求の範囲において、そのような用語の後に記載された要素に加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、またはプロセスも、やはりその特許請求の範囲の範囲内にあるとみなされる。さらに、以下の請求項において、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単なるラベルとして使用されており、その対象に数値的な要件を課すことを意図したものではない。
【0166】
本明細書に記載されている方法の実施例は、少なくとも部分的に機械またはコンピュータで実施することができる。いくつかの実施例は、上記の実施例で説明した方法を実行するように電子デバイスを構成するように動作可能な命令でコード化されたコンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含むことができる。このような方法の実装には、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高レベル言語コードのようなコードを含めることができる。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読な命令を含むことができる。このコードは、コンピュータプログラム製品の一部を構成することができる。さらに、一実施例では、コードは、実行中または他の時点などに、1つまたはそれ以上の揮発性、非一時的、または不揮発性の有形コンピュータ可読媒体にタンジブルに格納することができる。これらの有形コンピュータ可読媒体の例としては、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはメモリスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0167】
上記の説明は、例示を目的としたものであり、制限的なものではない。例えば、上述した実施例(または、1つまたはそれ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。他の実施形態は、上記の説明を確認した上で、当業者であれば使用することができる。要約は、米国特許法施行規則37C.F.R.§1.72(b)に準拠して、読者が技術開示の性質を迅速に確認できるために提供されている。これは、特許請求の範囲の解釈や意味を限定するために使用されるものではないことを理解した上で提出されている。また、上記の詳細な説明では、開示を効率化するために様々な特徴をまとめている場合がある。これは、請求されていない開示された特徴が、いかなる請求にも必須であることを意図していると解釈すべきではない。むしろ、発明的な主題は、開示された特定の実施形態のすべての特徴ではないところにある可能性がある。したがって、以下の請求項は、実施例または実施形態として詳細な説明に組み込まれており、各請求項は独立した実施形態として自立しており、そのような実施形態は、様々な組み合わせまたは順列で互いに組み合わせることができることが企図されている。本発明の主題の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきであり、また、そのような特許請求の範囲が有する均等物の全範囲も参照する必要がある。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19