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  • 特許-機器収容箱の水抜き構造 図1
  • 特許-機器収容箱の水抜き構造 図2
  • 特許-機器収容箱の水抜き構造 図3
  • 特許-機器収容箱の水抜き構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】機器収容箱の水抜き構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20230919BHJP
【FI】
H05K5/02 L
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019078257
(22)【出願日】2019-04-17
(65)【公開番号】P2020177993
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000205661
【氏名又は名称】大崎電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104204
【弁理士】
【氏名又は名称】峯岸 武司
(72)【発明者】
【氏名】新里 貴久
(72)【発明者】
【氏名】山口 博行
(72)【発明者】
【氏名】大塚 政志
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-282841(JP,A)
【文献】特開2002-353644(JP,A)
【文献】特開2014-236571(JP,A)
【文献】特開2013-065789(JP,A)
【文献】特開2001-196754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H05K 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を収容して屋外に設置される機器収容箱の底面に形成され、機器収容箱の内部に侵入する水分を機器収容箱の外部へ排出する機器収容箱の水抜き構造において、
機器収容箱の内部と外部との間を貫通する前記底面に形成された水抜き穴と、前記水抜き穴を覆う面積を有し、機器収容箱の外部から前記水抜き穴を覆って前記底面に接して取り付けられる網と、前記水抜き穴を覆う面積を有し、平らな一側面が前記網を前記底面との間に挟持して前記底面に固定される、前記網を介して前記水抜き穴を覆って前記底面に固定されたときに前記水抜き穴と重ならない位置に形成された貫通孔を有する平板状の固定板とから構成されることを特徴とする機器収容箱の水抜き構造。
【請求項2】
前記水抜き穴は複数形成され、前記貫通孔は1つ形成されることを特徴とする請求項1に記載の機器収容箱の水抜き構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に設置される機器収容箱の内部に侵入する水分を外部へ排出する機器収容箱の水抜き構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような機器収容箱の水抜き構造としては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。この水抜き構造では、屋外に設置される箱の底面に形成された水抜き穴を直に延長する内嵌筒体に、外嵌部材が外嵌される。外嵌部材は、内嵌筒体の先端を囲む部分に拡大中空が形成されており、この拡大中空に多数の粒体が充填されている。また、内嵌筒体の中空と外嵌部材の拡大中空とを仕切る仕切りが、内嵌筒体の先端面のところに備えられている。
【0003】
箱内に結露等にて水が出ると、その水は水抜き穴から内嵌筒体の中空へ落ち、仕切りの目と粒体の間隙を通り抜け、水抜き穴外装具の底面に形成された排水口から外へ排出される。また、暴風雨などで箱の底面に飛沫がかかると、水抜き穴外装具の排水口に侵入することもありうるが、その内側には粒体が充填された拡大中空が広がっているため、飛沫は粒体に衝突して大部分が止められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-282841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の機器収容箱の水抜き構造は、構造が複雑で多くの部品を要する。このため、製作に工数が掛かると共に、部品代が掛かって安価に構成することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
電気機器を収容して屋外に設置される機器収容箱の底面に形成され、機器収容箱の内部に侵入する水分を機器収容箱の外部へ排出する機器収容箱の水抜き構造において、
機器収容箱の内部と外部との間を貫通する前記底面に形成された水抜き穴と、水抜き穴を覆う面積を有し、機器収容箱の外部から水抜き穴を覆って前記底面に接して取り付けられる網と、水抜き穴を覆う面積を有し、平らな一側面が網を前記底面との間に挟持して前記底面に固定される、網を介して水抜き穴を覆って前記底面に固定されたときに水抜き穴と重ならない位置に形成された貫通孔を有する平板状の固定板とから構成されることを特徴とする。
【0007】
本構成によれば、機器収容箱の内部に侵入した水分は、機器収容箱の底面に形成された水抜き穴から網を通り、固定板に形成された貫通孔から機器収容箱の外部へ排出される。また、機器収容箱の外部から機器収容箱の底面に風雨等によって吹き付けられ、固定板の貫通孔から機器収容箱の内部に侵入しようとする水分は、固定板の貫通孔に面する機器収容箱の底面に水抜き穴が存在しないため、機器収容箱の底面に当たって大部分が侵入を阻止される。したがって、機器収容箱の内部に侵入した水分を速やかに外部へ排出することができると共に、機器収容箱の外部から内部への水分の侵入を効果的に阻止できる機器収容箱の水抜き構造を、網と固定板とを用いた簡単な構成で実現することができる。このため、水分の排出性が良く、しかも、外部からの水分の侵入を効果的に阻止できる機器収容箱の水抜き構造を、製作工数および部品代を抑制して安価に提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水分の排出性が良く、しかも、外部からの水分の侵入を効果的に阻止できる機器収容箱の水抜き構造を、製作工数および部品代を抑制して安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態による機器収容箱の水抜き構造の分解斜視図である。
図2図1に示す機器収容箱の水抜き構造を構成する各要素を示す図である。
図3図1に示す機器収容箱の水抜き構造を拡大して示す図である。
図4図1に示す機器収容箱の水抜き構造に比較される比較例による機器収容箱の水抜き構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明による機器収容箱の水抜き構造を実施するための形態について説明する。
【0013】
図1は、機器収容箱の底面1aに構成される一実施の形態による機器収容箱の水抜き構造の分解斜視図である。
【0014】
機器収容箱は、電気機器を収容して屋外に設置され、底面1a等に形成される図示しない貫通穴に、電気機器に接続されるケーブルが挿通される。
【0015】
一実施の形態による機器収容箱の水抜き構造は、水抜き穴1bと、網4と、固定板5とから構成され、機器収容箱の内部に侵入する水分を機器収容箱の外部へ排出する。
【0016】
水抜き穴1bは図2(a)の底面図に拡大して示され、機器収容箱の内部と外部との間を貫通して、複数個、本実施形態では4個、底面1aに形成されている。各水抜き穴1bの上方および下方には、固定板5を取り付けるための取り付け穴1cが形成されている。
【0017】
網4は図2(b)の平面図に拡大して示され、4個の水抜き穴1bを覆う面積を有し、機器収容箱1の外部から4個の水抜き穴1bを覆って機器収容箱1の底面1aに取り付けられる。本実施形態では、網4は、4個の水抜き穴1bを覆う大きさの面取りされた正方形状に形成されている。また、網4は、図2(c)の平面図に拡大して示されるように、縦線4aと横線4bとが一定間隔を保ちながら1本ずつ交互に交わって平織りに織られた、ステンレス製の織り金網から構成される。
【0018】
固定板5は平面図が図2(d)、側面図が図2(e)に拡大して示され、長方形状をした金属板から形成され、4個の水抜き穴1bおよび網4を覆う面積を有する。この固定板5には、中央に1つの貫通孔5a、貫通孔5aを挟む上下の位置に取り付け穴5bが一対形成されている。一対の取り付け穴5bの形成ピッチは、底面1aに形成された取り付け穴1cの形成ピッチと同じピッチに設定されている。固定板5は、図3に示されるように、その取り付け穴5bと、底面1aに形成された取り付け穴1cとにリベット6が挿通されて、リベット6の先端が潰されることで、網4を底面1aとの間に挟持して底面1aに固定される。図3(a)は底面1aに固定板5が固定された状態の底面図、図3(b)は断面図である。貫通孔5aは、網4を介して4個の水抜き穴1bを覆って固定板5が底面1aに固定されたときに、いずれの水抜き穴1bとも重ならない位置に形成されている。
【0019】
このような本実施形態による機器収容箱の水抜き構造によれば、機器収容箱内に引き込まれるケーブル等を伝って機器収容箱の内部に侵入した水分は、機器収容箱の底面1aに形成された水抜き穴1bから網4を通り、固定板5に形成された貫通孔5aから機器収容箱の外部へ排出される。また、機器収容箱の外部から機器収容箱の底面1aに風雨等によって吹き付けられ、固定板5の貫通孔5aから機器収容箱の内部に侵入しようとする水分、並びに、塵や虫等は、固定板5の貫通孔5aに面する機器収容箱の底面1aに水抜き穴1bが存在しないため、機器収容箱の底面1aに当たって大部分が侵入を阻止される。したがって、機器収容箱の内部に侵入した水分を速やかに外部へ排出することができると共に、機器収容箱の外部から内部への水分の侵入を効果的に阻止できる機器収容箱の水抜き構造を、網4と固定板5とを用いた簡単な構成で実現することができる。このため、水分の排出性が良く、しかも、外部からの水分の侵入を効果的に阻止できる機器収容箱の水抜き構造を、製作工数および部品代を抑制して安価に提供することができる。
【0020】
また、本実施形態による機器収容箱の水抜き構造によれば、縦線4aと横線4bとが一定間隔を保ちながら1本ずつ交互に交わって網4が構成されるため、機器収容箱の水抜き穴1bの無い底面1aに固定板5によって挟持される網4の部分には、網4の縦線4aと横線4bとが交わって生じる段差によって水分が通る隙間が形成される。このため、機器収容箱の底面1aに形成された水抜き穴1bから網4を通って固定板5の貫通孔5aに向かう水分は、機器収容箱の水抜き穴1bの無い底面1aに固定板5によって挟持される網4の部分において、網4の縦線4aと横線4bとが交わって生じる段差によって形成される隙間を通って速やかに固定板5の貫通孔5aに達して、機器収容箱の外部へ排出される。
【0021】
図4(a)および(b)は、本実施の形態の機器収容箱の水抜き構造と比較される比較例による機器収容箱の水抜き構造に使用される固定板5Aの平面図および側面図である。なお、図4において図2および図3と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0022】
この固定板5Aには、固定板5における貫通孔5aに代えて、4個の貫通孔5cが形成されている。各貫通孔5cの直径および形成ピッチは、図2(a)に示す水抜き穴1bの直径および形成ピッチと同じである。
【0023】
図4(c)は、上記の実施形態における固定板5に代えて上記の固定板5Aを用いて構成された比較例による機器収容箱の水抜き構造を示す底面図である。このような比較例による機器収容箱の水抜き構造によっては、機器収容箱の内部に侵入した水分は、機器収容箱の底面1aに形成された水抜き穴1bから網4を通り、固定板5Aに形成された貫通孔5cから機器収容箱の外部へ速やかに排出される。しかしながら、機器収容箱の外部から機器収容箱の底面1aに風雨等によって吹き付けられる水分は、固定板5Aの貫通孔5cから網4および水抜き穴1bを介して容易に機器収容箱の内部に侵入してしまう。これに対して、本実施の形態による機器収容箱の水抜き構造によっては、上記のように、固定板5の貫通孔5aに面する機器収容箱の底面1aに水抜き穴1bが存在しないため、機器収容箱の底面1aに風雨等によって吹き付けられる水分は、機器収容箱の底面1aに当たって大部分が侵入を阻止される。
【0024】
なお、上記の実施の形態では、機器収容箱の底面1aに4個の水抜き穴1bを形成し、固定板5に1つの貫通孔5aを形成した場合について、説明した。しかし、機器収容箱の底面1aに形成する水抜き穴1bの個数、および、固定板5に形成する貫通孔5aの個数は、固定板5が底面1aに固定されたときに水抜き穴1bと貫通孔5aとが重ならない位置に形成されていれば、これに限定されるものではない。例えば、機器収容箱の底面1aに1つの水抜き穴1bを形成し、固定板5に複数個、例えば4個の貫通孔5aを形成するように構成してもよい。このような構成によっても、上記の実施の形態と同様な作用効果が奏される。
【符号の説明】
【0025】
1a…機器収容箱の底面、1b…水抜き穴、1c…取り付け穴、4…網、4a…縦糸、4b…横糸、5…固定板、5a…貫通孔、5b…取り付け穴、6…リベット
図1
図2
図3
図4