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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】分析方法及び分析装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 45/00 20060101AFI20230919BHJP
   G01J 1/04 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
F02D45/00 368S
F02D45/00 345
G01J1/04 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019215982
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021085387
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-07-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日 :令和 1年 9月17日 集会名 :全豊田技術会議主催 第54回全豊田研究発表会 開催場所 :株式会社豊田中央研究所(愛知県長久手市横道41番地の1) 公開者 :ダイハツ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】島 祐太
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-180893(JP,A)
【文献】特開2001-147157(JP,A)
【文献】特開平02-138833(JP,A)
【文献】特開2016-180343(JP,A)
【文献】特開2007-263005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 45/00
G01J 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の気筒内の中心軸回りの周囲360°の範囲を複数の領域に区分したときのどの領域でどれくらいの強さの光が発生したかを各々検知する複数チャンネルのプローブを有し気筒内でノッキングに先立つ自着火が起こったことにより生じる発光が所定位置から見てどの方向で生じたかを検出する受光部と、
前記気筒の燃焼室内に面する天井部に配置される筒内圧センサを有し気筒内で発生し所定位置に伝わる圧力波を検出する圧力検出部とを用い、
前記各チャンネルのプローブを介して検出する発光の強度、及び前記筒内圧センサを介して検出する気筒内の圧力をそれぞれサンプリングしてそれらの時系列データを取得し、
ノッキングに先立つ自着火に起因する発光を検出して気筒内で自着火が発生した箇所の方向及びその自着火が発生した時点t 0 を知得し、
前記自着火に起因する発光を検出した時点t 0 からその自着火により生じた気筒内の圧力の変動を検出した時点t 1 までの時間差を求め、
さらに、前記時点t 0 及び前記時点t 1 よりも後であってノッキングに至る異常燃焼が惹起された時点t 2 以降の圧力の大きさが周期的に振動する圧力波を観測してその振動の周期を求めて、
前記気筒のボア径及び前記圧力波の周期を基に気筒内での圧力波の伝搬速度を推定し、なおかつ、前記時間差及び前記伝搬速度を基に前記自着火が生じた位置から圧力検出部までの距離を推定する分析方法。
【請求項2】
内燃機関の気筒内の中心軸回りの周囲360°の範囲を複数の領域に区分したときのどの領域でどれくらいの強さの光が発生したかを各々検知する複数チャンネルのプローブを有し気筒内でノッキングに先立つ自着火が起こったことにより生じる発光が所定位置から見てどの方向で生じたかを検出する受光部と、
前記気筒の燃焼室内に面する天井部に配置される筒内圧センサを有し気筒内で発生し所定位置に伝わる圧力波を検出する圧力検出部と、
前記各チャンネルのプローブを介して検出する発光の強度、及び前記筒内圧センサを介して検出する気筒内の圧力をそれぞれサンプリングしてそれらの時系列データを取得し、
ノッキングに先立つ自着火に起因する発光を検出して気筒内で自着火が発生した箇所の方向及びその自着火が発生した時点t 0 を知得し、
前記自着火に起因する発光を検出した時点t 0 からその自着火により生じた気筒内の圧力の変動を検出した時点t 1 までの時間差を求め、
さらに、前記時点t 0 及び前記時点t 1 よりも後であってノッキングに至る異常燃焼が惹起された時点t 2 以降の圧力の大きさが周期的に振動する圧力波を観測してその振動の周期を求めて、
前記気筒のボア径及び前記圧力波の周期を基に気筒内での圧力波の伝搬速度を推定し、なおかつ、前記時間差及び前記伝搬速度を基に前記自着火が生じた位置から圧力検出部までの距離を推定する解析部と
を具備する分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の気筒内でノッキングの前兆となる自着火が生じた位置を知得するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の気筒内での燃料の燃焼状態を光学的に観測する手段として、光ファイバを包含するプローブを備えた点火プラグが公知である(例えば、下記特許文献1及び非特許文献1を参照)。この点火プラグは、気筒の中心軸と直交または略直交する径方向に沿って放射状に伸びた複数本のプローブを内蔵しており、気筒内において当該点火プラグから見てどの方向で発光が生じたかを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-147157号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】“燃焼室で何が起きているかを正確に理解”、[online]、令和1年6月10日、日本キスラー株式会社、[令和1年11月15日検索]、インターネット<URL:https://www.kistler.com/ja/about-us/competencies/newsletter-june-2019/new-features/article/燃焼室で何が起きているかを正確に理解/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内燃機関の開発において、これまでは、気筒内でノッキングが起こったときに生じる顕著に明るい輝炎を検知することを通じて、点火プラグから見てどの方向でノッキングが発生しているかを判断し、その方向にある内燃機関の部位を積極的に冷却するべく冷却水系統やその他の構造、形状等を設計していた。
【0006】
しかしながら、このような手法を以てしても、ノッキングの発生を抑制する効果は限定的であった。内燃機関の気筒においてノッキングが惹起される以上、混合気への火花点火のタイミングを遅角せざるを得ず、その分だけ内燃機関の熱機械変換効率は低下してしまう。
【0007】
本発明は、内燃機関の気筒内でノッキングに先立つ自着火が起こった位置を精確に知得することで、ノッキングの抑制に寄与することを所期の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するべく、本発明では、内燃機関の気筒内の中心軸回りの周囲360°の範囲を複数の領域に区分したときのどの領域でどれくらいの強さの光が発生したかを各々検知する複数チャンネルのプローブを有し気筒内でノッキングに先立つ自着火が起こったことにより生じる発光が所定位置から見てどの方向で生じたかを検出する受光部と、前記気筒の燃焼室内に面する天井部に配置される筒内圧センサを有し気筒内で発生し所定位置に伝わる圧力波を検出する圧力検出部とを用い、前記各チャンネルのプローブを介して検出する発光の強度、及び前記筒内圧センサを介して検出する気筒内の圧力をそれぞれサンプリングしてそれらの時系列データを取得し、ノッキングに先立つ自着火に起因する発光を検出して気筒内で自着火が発生した箇所の方向及びその自着火が発生した時点t 0 を知得し、前記自着火に起因する発光を検出した時点t 0 からその自着火により生じた気筒内の圧力の変動を検出した時点t 1 までの時間差を求め、さらに、前記時点t 0 及び前記時点t 1 よりも後であってノッキングに至る異常燃焼が惹起された時点t 2 以降の圧力の大きさが周期的に振動する圧力波を観測してその振動の周期を求めて、前記気筒のボア径及び前記圧力波の周期を基に気筒内での圧力波の伝搬速度を推定し、なおかつ、前記時間差及び前記伝搬速度を基に前記自着火が生じた位置から圧力検出部までの距離を推定することとした。
【0009】
並びに、本発明では、内燃機関の気筒内の中心軸回りの周囲360°の範囲を複数の領域に区分したときのどの領域でどれくらいの強さの光が発生したかを各々検知する複数チャンネルのプローブを有し気筒内でノッキングに先立つ自着火が起こったことにより生じる発光が所定位置から見てどの方向で生じたかを検出する受光部と、前記気筒の燃焼室内に面する天井部に配置される筒内圧センサを有し気筒内で発生し所定位置に伝わる圧力波を検出する圧力検出部と、前記各チャンネルのプローブを介して検出する発光の強度、及び前記筒内圧センサを介して検出する気筒内の圧力をそれぞれサンプリングしてそれらの時系列データを取得し、ノッキングに先立つ自着火に起因する発光を検出して気筒内で自着火が発生した箇所の方向及びその自着火が発生した時点t 0 を知得し、前記自着火に起因する発光を検出した時点t 0 からその自着火により生じた気筒内の圧力の変動を検出した時点t 1 までの時間差を求め、さらに、前記時点t 0 及び前記時点t 1 よりも後であってノッキングに至る異常燃焼が惹起された時点t 2 以降の圧力の大きさが周期的に振動する圧力波を観測してその振動の周期を求めて、前記気筒のボア径及び前記圧力波の周期を基に気筒内での圧力波の伝搬速度を推定し、なおかつ、前記時間差及び前記伝搬速度を基に前記自着火が生じた位置から圧力検出部までの距離を推定する解析部とを具備する分析装置を構成した。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内燃機関の気筒内でノッキングに先立つ自着火が起こった位置を精確に知得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態における内燃機関の一つの気筒を示す平面図。
図2】同実施形態の分析装置の機能ブロック図。
図3】同実施形態の分析方法及び分析装置により計測する気筒内の発光及び圧力波を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態の分析方法及び分析装置が対象とする内燃機関は、一または複数の気筒0を包有する火花点火式の4ストロークエンジンである。本実施形態の分析方法及び分析装置は、内燃機関の気筒0内でノッキングが発生したときに、そのノッキングに先立つ自着火が当該気筒0内のどの位置Iで起こったのかを分析するものである。
【0013】
図1に示すように、内燃機関の各気筒0(図1には、そのうち一つの気筒0を描画している)の燃焼室の天井部には、気筒0に充填された混合気に火花点火するための点火プラグ1を設置している。点火プラグ1は、気筒0の中心軸またはその近傍に位置する。
【0014】
本実施形態にあって、点火プラグ1は、気筒0内で生じる燃料の燃焼状態を光学的に観測するための受光部11を兼ねる。点火プラグ1は、上掲の特許文献1及び非特許文献1に開示されているような既知のもので、気筒0の中心軸に対し直交または略直交する方向を指向する複数本の光ファイバを含むプローブを有している。図1に鎖線で描画しているように、各プローブの光ファイバは、点火プラグ1の設置箇所から見て放射状に延伸する仮想的な軸線に沿って入射する光を受光する。これら光ファイバはそれぞれ、当該光ファイバに入射した光を受光するイメージセンサ若しくはフォトダイオード等に接続している。
【0015】
各プローブは、気筒0内で生じた発光がどの方向で生じたか、及びその発光の強度を検出する。プローブのチャンネル数は、例えば四十である。この場合、各プローブは、気筒0の中心軸回りの周囲360°の範囲を四十の領域に区分したときの、どの領域でどれくらいの強さの光が発生したかを検知する。図1に示す例において、チャンネル番号は、気筒0の吸気ポート側から平面視反時計回りに1番、2番、3番……であり、同気筒0の排気ポート側に20番のチャンネルが存在し、さらに反時計回りに21番、22番……と続き、40番のチャンネルが1番のチャンネルに隣接する。
【0016】
気筒0のシリンダヘッドにおける燃焼室内に面する天井部には、圧力検出部12として、点火プラグ1の設置箇所またはその近傍において気筒0内の圧力を感知する筒内圧センサを配置している。但し、上記のプローブとともに筒内圧センサをも一体的に備えた点火プラグ1を採用することを妨げない。
【0017】
図2に示すように、点火プラグ1が内蔵する各チャンネルのプローブ11、及び筒内圧センサ12は、解析部2に接続している。解析部2は、例えば汎用的なパーソナルコンピュータやワークステーション等の、プロセッサ(Central Procesing Unit)、メインメモリ、補助記憶デバイス、通信インタフェース、操作入力デバイス、ディスプレイ等のハードウェア資源を備えるコンピュータを主体として構成される。
【0018】
当該コンピュータにあって、解析部2としての機能を具現するべくプロセッサにより実行されるべきプログラムは補助記憶デバイスに格納されており、プログラムの実行の際には補助記憶デバイスからメインメモリに読み込まれ、プロセッサによって解読される。コンピュータは、プログラムに従って上記ハードウェア資源を作動させる。その上で、解析部2は、点火プラグ1が内蔵する各チャンネルのプローブ11を介して検出する発光の強度、及び筒内圧センサ12を介して検出する気筒0内の圧力をそれぞれサンプリングして、それらの時系列データを取得、メインメモリ若しくは補助記憶デバイスの所要の記憶領域に記憶保持する。
【0019】
図3に、内燃機関の気筒0内でノッキングが発生したときの、各プローブ11が検出する気筒0内での発光の強度、及び筒内圧センサ12が検出する気筒0内の圧力の推移の一例を示す。図3の横軸は、内燃機関のクランク角度(°CA)である。発光強度についての縦軸は、同気筒0に設置した点火プラグ1が備えているプローブ11のチャンネル番号である。図3に示す例では、時点t2以降、ノッキングに至る、火炎伝播燃焼ではない異常燃焼が起こった。そして、受光部たるプローブ11の各チャンネルが、その異常燃焼により生じた顕著に明るく赤白い輝炎を捉えた。
【0020】
一方で、ノッキングを惹起する要因となった予兆的な自着火は、時点t2よりも早い時点t0において発生している。図3に示す例では、4番ないし5番のチャンネルで、その自着火に起因する発光を捉えている。この発光は、ノッキングに至る異常燃焼により生じる輝炎よりも暗い、青白い光である。また、この発光が生じる位置Iは、ノッキングに至る異常燃焼の輝炎が生じる位置とは必ずしも一致しない。解析部2は、各プローブ11を通じて受信した信号の輝度を増強する補正または画像処理を実行することで、この自着火に起因する発光を観測する。これにより、点火プラグ1の設置箇所から見た、気筒0内で自着火が発生した箇所の方向が判明する。
【0021】
筒内圧については、ノッキングに至る異常燃焼が惹起された時点t2以降、圧力の大きさが周期的に振動する圧力波を観測している。これは、異常燃焼により生じた大きな筒内圧が、気筒0のボア壁に当たって反射し行ったり来たりすることを繰り返した結果生起したものであり、点火プラグ1の設置箇所またはその近傍に位置する筒内圧センサ12がこれを検出する。時点t2以降の圧力波の振動の周期T、換言すれば筒内圧センサ12を介して検出した圧力の信号のpeak to peak(先の極大値からその次の極大値まで、または先の極小値からその次の極小値までの期間の長さ)Tは、気筒0内における圧力波の伝搬速度を示唆する。解析部2は、筒内圧センサ12を介して受信した信号を高域通過フィルタ処理した上で、信号の周期Tを算出する。
【0022】
その上で、解析部2は、ノッキングの前兆である自着火による発光をプローブ11を介して検出した時点t0から、その自着火により生じた気筒0内の圧力の変動を筒内圧センサ12を介して検出した時点t1までの時間差(この時間差は、図3上では表れない程度に微小である)に基づき、筒内圧センサ12から自着火が生じた位置Iまでの距離Rを算出する。一例として、ノッキングに至る異常燃焼が起こった時点t2以降の圧力波の周期Tがクランク角度換算で1.2°CA、気筒0のボア径が63mm、エンジン回転数が1200rpmであった場合において、何れかのプローブ11が自着火の発光を検出した時点t0から圧力センサ12が自着火に起因する圧力の増大を検出した時点t1までの時間差がクランク角度換算で0.09°CAであったとすると、
1.2°CA:63mm×2=0.09°CA:R
の関係から、筒内圧センサ12から自着火が生じた位置Iまでの距離Rが9.45mmであることが分かる。
【0023】
点火プラグ1に内蔵している各プローブ11と筒内圧センサ12との位置関係、両者の離間距離は既知である。よって、その離間距離と、上記の距離Rと、自着火による発光を検出したプローブ11のチャンネル番号とを総合すれば、内燃機関の気筒0内でノッキングの前兆である自着火が起こった位置Iを決定できる。
【0024】
本実施形態では、内燃機関の気筒0内でノッキングに先立つ自着火が起こったことにより生じる発光が所定位置から見てどの方向で生じたかを検出する受光部11と、前記気筒0内で発生し所定位置に伝わる圧力波を検出する圧力検出部12とを用い、前記気筒0のボア径及び前記圧力検出部12を介して検出した圧力波の周期Tを基に気筒0内での圧力波の伝搬速度を推定し、なおかつ、前記自着火により生じた発光を前記受光部11を介して検出した時点t0と当該自着火により生じた圧力波を前記圧力検出部12を介して検出した時点t1との差及び前記伝搬速度を基に当該自着火が生じた位置Iから圧力検出部12までの距離Rを推定することとした。
【0025】
並びに、本発明では、内燃機関の気筒0内でノッキングに先立つ自着火が起こったことにより生じる発光が所定位置から見てどの方向で生じたかを検出する受光部11と、前記気筒0内で発生し所定位置に伝わる圧力波を検出する圧力検出部12と、前記気筒0のボア径及び前記圧力検出部12を介して検出した圧力波の周期Tを基に気筒0内での圧力波の伝搬速度を推定し、なおかつ、前記自着火により生じた発光を前記受光部11を介して検出した時点t0と当該自着火により生じた圧力波を前記圧力検出部12を介して検出した時点t1との差及び前記伝搬速度を基に当該自着火が生じた位置から圧力検出部12までの距離Rを推定する解析部2とを具備する分析装置を構成した。
【0026】
本実施形態によれば、気筒0内でノッキングの起点となる自着火が起こりやすい位置Iを精確に推定することができる。そして、内燃機関の開発に際して、自着火が起こりやすい位置Iに近い部位を重点的に冷却するように、または自着火が発生するタイミングをより遅らせるように、内燃機関の冷却水流路や燃焼室の天井部の凹凸、ピストンの頂面や吸排気バルブの位置等といった構造や形状、制御ロジックを好適に設計することが可能となる。ひいては、より効果的にノッキングの発生を予防ないし抑制できるようになると考えられる。
【0027】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、車両等に搭載される内燃機関に適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
0…気筒
1…点火プラグ
11…受光部
12…圧力検出部
2…解析部
I…ノッキングに先立つ自着火が起こった位置
R…ノッキングに先立つ自着火が起こった位置から所定位置までの距離
図1
図2
図3