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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/46 20060101AFI20230919BHJP
   B65D 1/26 20060101ALI20230919BHJP
   B65D 1/40 20060101ALI20230919BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
B65D1/46
B65D1/26
B65D1/40 200
B65D25/20 Q
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018174522
(22)【出願日】2018-09-19
(65)【公開番号】P2020045136
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000180298
【氏名又は名称】四国化工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113516
【弁理士】
【氏名又は名称】磯山 弘信
(72)【発明者】
【氏名】吉田 大紀
(72)【発明者】
【氏名】澤淵 耕造
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-008590(JP,A)
【文献】特開平10-264922(JP,A)
【文献】特開2014-101130(JP,A)
【文献】特開2000-219232(JP,A)
【文献】特開2017-171309(JP,A)
【文献】特開2012-030865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/46
B65D 1/40
B65D 1/26
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形体からなる容器であり、
底部と、前記底部の周辺から上方に形成された壁部を有し、
前記壁部の内側には、スタックリブが形成され、
前記底部は、上側にラベルを含み、
前記壁部は、内側に前記ラベルを含み、
前記容器の垂直断面において、
前記壁部の内側には、角度変化点Oが存在し、
前記角度変化点Oより上では、前記壁部の厚さは、所定の値であり、
前記角度変化点Oより下では、前記壁部の厚さは、前記角度変化点Oから直線的に増加し、
前記角度変化点Oより上では、前記壁部の厚さTは、0.6~1.0mmの範囲内にあり、
前記底部の上側表面から、前記壁部の内側に含まれる前記ラベルの端部までの垂直の距離Qは、0.6~1.8mmの範囲内にあり、
前記ラベルの端部における、前記壁部の内側線から、前記角度変化点Oの上の前記壁部の内側線を延長した線までの距離Lは、0.1~0.4mmの範囲にあり、
前記ラベルの厚さMは、0.03~0.08mmの範囲内にあり、
(前記距離L-前記厚さM)/前記厚さTの値は、0.07~0.53の範囲内にあり、
前記底部の上側表面から、前記角度変化点Oまでの垂直の距離Pは、3.0~7.0mmの範囲内にあり、
前記角度変化点Oより下における、前記壁部の内側線と、前記延長した線との角度θは、2.0~4.0°の範囲内にあり、
前記ラベルの端部は、前記壁部の内側において、周方向に同じ高さで延びており
前記スタックリブは、表側に前記ラベルの端部を含む、
ことを特徴とする容器。
【請求項2】
射出成形体からなる容器であり、
底部と、前記底部の周辺から上方に形成された壁部を有し、
前記壁部の内側には、スタックリブが形成され、
前記底部は、上側にラベルを含み、
前記壁部は、内側に前記ラベルを含み、
前記容器の垂直断面において、
前記壁部の内側には、角度変化点Oが存在し、
前記角度変化点Oより上では、前記壁部の厚さは、所定の値であり、
前記角度変化点Oより下では、前記壁部の厚さは、前記角度変化点Oから直線的に増加し、
前記角度変化点Oより上では、前記壁部の厚さTは、0.6~1.0mmの範囲内にあり、
前記底部の上側表面から、前記壁部の内側に含まれる前記ラベルの端部までの垂直の距離Qは、0.6~1.8mmの範囲内にあり、
前記ラベルの端部における、前記壁部の内側線から、前記角度変化点Oの上の前記壁部の内側線を延長した線までの距離Lは、0.1~0.4mmの範囲にあり、
前記ラベルの厚さMは、0.03~0.08mmの範囲内にあり、
(前記距離L-前記厚さM)/前記厚さTの値は、0.07~0.53の範囲内にあり、
前記底部の上側表面から、前記角度変化点Oまでの垂直の距離Pは、3.0~7.0mmの範囲内にあり、
前記角度変化点Oより下における、前記壁部の内側線と、前記延長した線との角度θは、2.0~4.0°の範囲内にあり、
前記ラベルの端部は、前記壁部の内側において、周方向に同じ高さで延びており
前記スタックリブは、表側に前記ラベルの端部を含み、
前記距離Pは、前記底部の上側表面から前記スタックリブの上端までの垂直の距離に等しい、
ことを特徴とする容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック容器を射出成形により製造するに際して、ラベルを容器の底部にインモールドする方法が報告されている(例えば特許文献1)。
この発明の手段は、インモールドラベリングされるバリヤ性を有するラベルが底面用と側壁面用とで構成され、該底面用ラベルは容器底部の内面又は外面より大径にすると共に側壁面用ラベルは少なくとも容器側壁及び糸底の外周面と同じ大きさ、すなわち側壁外周面と糸底外周面とを合わせた大きさとし、両ラベルを射出成形用金型内に装填し樹脂を射出成形することにより、底面用ラベルの外周縁が樹脂のせん断速度及びせん断圧力で金型のコアの外周又はキャビティー側に設けた糸底用凹窪の内周に折曲され、底面用ラベルは外周縁が容器側壁の内面又は糸底の内面に延設された状態で容器底部に形成されると共に側壁面用ラベルは容器側壁の外周面と糸底の外周面とに形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-174595
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した方法により容器を作製した場合、次のような問題がある。
図5は、上述した方法により作製した、従来の容器の一例を示す拡大断面図である。図5に示すように、容器の壁部3にはラベル5が含まれている。
この容器が落下したとき、ラベルの端部51において、壁部3に割れ11が発生する場合がある。
【0005】
そのため、このような課題を解決する、新規な容器の開発が望まれている。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、新規な容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の容器は、射出成形体であり、底部と、前記底部の周辺から上方に形成された壁部を有し、前記底部は、上側にラベルを含み、前記壁部は、内側に前記ラベルを含み、前記容器の垂直断面において、前記壁部の内側には、角度変化点Oが存在し、前記角度変化点Oより上では、前記壁部の厚さは、所定の値であり、前記角度変化点Oより下では、前記壁部の厚さは、前記角度変化点Oから直線的に増加し、前記角度変化点Oより上では、前記壁部の厚さTは、0.6~1.0mmの範囲内にあり、前記底部の上側表面から、前記壁部の内側に含まれる前記ラベルの端部までの垂直の距離Qは、0.6~1.8mmの範囲内にあり、前記ラベルの端部における、前記壁部の内側線から、前記角度変化点Oの上の前記壁部の内側線を延長した線までの距離Lは、0.1~0.4mmの範囲にあり、前記ラベルの厚さMは、0.03~0.08mmの範囲内にあり、(前記距離L-前記厚さM)/前記厚さTの値は、0.07~0.53の範囲内にあり、前記底部の上側表面から、前記角度変化点Oまでの垂直の距離Pは、3.0~7.0mmの範囲内にあり、前記角度変化点Oより下における、前記壁部の内側線と、前記延長した線との角度θは、2.0~4.0°の範囲内にある、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の容器は、射出成形体であり、底部と、前記底部の周辺から上方に形成された壁部を有し、前記底部は、上側にラベルを含み、前記壁部は、内側に前記ラベルを含み、前記容器の垂直断面において、前記壁部の内側には、角度変化点Oが存在し、前記角度変化点Oより上では、前記壁部の厚さは、所定の値であり、前記角度変化点Oより下では、前記壁部の厚さは、前記角度変化点Oから直線的に増加し、前記角度変化点Oより上では、前記壁部の厚さTは、0.6~1.0mmの範囲内にあり、前記底部の上側表面から、前記壁部の内側に含まれる前記ラベルの端部までの垂直の距離Qは、0.6~1.8mmの範囲内にあり、前記ラベルの端部における、前記壁部の内側線から、前記角度変化点Oの上の前記壁部の内側線を延長した線までの距離Lは、0.1~0.4mmの範囲にあり、前記ラベルの厚さMは、0.03~0.08mmの範囲内にあり、(前記距離L-前記厚さM)/前記厚さTの値は、0.07~0.53の範囲内にある、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の容器は、射出成形体であり、底部と、前記底部の周辺から上方に形成された壁部を有し、前記底部は、上側にラベルを含み、前記壁部は、内側に前記ラベルを含み、前記容器の垂直断面において、前記壁部の内側には、角度変化点Oが存在し、前記角度変化点Oより上では、前記壁部の厚さは、所定の値であり、前記角度変化点Oより下では、前記壁部の厚さは、前記角度変化点Oから直線的に増加し、前記底部の上側表面から、前記壁部の内側に含まれる前記ラベルの端部までの垂直の距離Qは、0.6~1.8mmの範囲内にあり、前記底部の上側表面から、前記角度変化点Oまでの垂直の距離Pは、3.0~7.0mmの範囲内にあり、前記角度変化点Oより下における、前記壁部の内側線と、前記角度変化点Oの上の前記壁部の内側線を延長した線との角度θは、2.0~4.0°の範囲内にある、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
【0010】
本発明の容器は、射出成形体であり、底部と、前記底部の周辺から上方に形成された壁部を有し、前記底部は、上側にラベルを含み、前記壁部は、内側に前記ラベルを含み、前記容器の垂直断面において、前記壁部の内側には、角度変化点Oが存在し、前記角度変化点Oより上では、前記壁部の厚さは、所定の値であり、前記角度変化点Oより下では、前記壁部の厚さは、前記角度変化点Oから直線的に増加し、前記角度変化点Oより上では、前記壁部の厚さTは、0.6~1.0mmの範囲内にあり、前記底部の上側表面から、前記壁部の内側に含まれる前記ラベルの端部までの垂直の距離Qは、0.6~1.8mmの範囲内にあり、前記ラベルの端部における、前記壁部の内側線から、前記角度変化点Oの上の前記壁部の内側線を延長した線までの距離Lは、0.1~0.4mmの範囲にあり、前記ラベルの厚さMは、0.03~0.08mmの範囲内にあり、(前記距離L-前記厚さM)/前記厚さTの値は、0.07~0.53の範囲内にあり、前記底部の上側表面から、前記角度変化点Oまでの垂直の距離Pは、3.0~7.0mmの範囲内にあり、前記角度変化点Oより下における、前記壁部の内側線と、前記延長した線との角度θは、2.0~4.0°の範囲内にあるので、新規な容器を提供することができる。
【0011】
本発明の容器は、射出成形体であり、底部と、前記底部の周辺から上方に形成された壁部を有し、前記底部は、上側にラベルを含み、前記壁部は、内側に前記ラベルを含み、前記容器の垂直断面において、前記壁部の内側には、角度変化点Oが存在し、前記角度変化点Oより上では、前記壁部の厚さは、所定の値であり、前記角度変化点Oより下では、前記壁部の厚さは、前記角度変化点Oから直線的に増加し、前記角度変化点Oより上では、前記壁部の厚さTは、0.6~1.0mmの範囲内にあり、前記底部の上側表面から、前記壁部の内側に含まれる前記ラベルの端部までの垂直の距離Qは、0.6~1.8mmの範囲内にあり、前記ラベルの端部における、前記壁部の内側線から、前記角度変化点Oの上の前記壁部の内側線を延長した線までの距離Lは、0.1~0.4mmの範囲にあり、前記ラベルの厚さMは、0.03~0.08mmの範囲内にあり、(前記距離L-前記厚さM)/前記厚さTの値は、0.07~0.53の範囲内にあるので、新規な容器を提供することができる。
【0012】
本発明の容器は、射出成形体であり、底部と、前記底部の周辺から上方に形成された壁部を有し、前記底部は、上側にラベルを含み、前記壁部は、内側に前記ラベルを含み、前記容器の垂直断面において、前記壁部の内側には、角度変化点Oが存在し、前記角度変化点Oより上では、前記壁部の厚さは、所定の値であり、前記角度変化点Oより下では、前記壁部の厚さは、前記角度変化点Oから直線的に増加し、前記底部の上側表面から、前記壁部の内側に含まれる前記ラベルの端部までの垂直の距離Qは、0.6~1.8mmの範囲内にあり、前記底部の上側表面から、前記角度変化点Oまでの垂直の距離Pは、3.0~7.0mmの範囲内にあり、前記角度変化点Oより下における、前記壁部の内側線と、前記角度変化点Oの上の前記壁部の内側線を延長した線との角度θは、2.0~4.0°の範囲内にあるので、新規な容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の容器の一例を示す斜視図である。
図2】本発明の容器の一例を示す平面図である。
図3】本発明の容器の一例を示す正面図、及び図2におけるA-A断面図である。
図4】本発明の容器の一例を示す、図2における拡大B-B断面図である。
図5】従来の容器の一例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、容器にかかる発明を実施するための形態について説明する。
【0015】
本発明の容器は、射出成形体であり、底部と、前記底部の周辺から上方に形成された壁部を有し、前記底部は、上側にラベルを含み、前記壁部は、内側に前記ラベルを含み、前記容器の垂直断面において、前記壁部の内側には、角度変化点Oが存在し、前記角度変化点Oより上では、前記壁部の厚さは、所定の値であり、前記角度変化点Oより下では、前記壁部の厚さは、前記角度変化点Oから直線的に増加する。
【0016】
図1は、本発明の容器の一例を示す斜視図である。図2は、本発明の容器の一例を示す平面図である。図3は、本発明の容器の一例を示す正面図、及び図2におけるA-A断面図である。
【0017】
ここで、X軸及びY軸を通る平面に対し、平行な方向を「水平方向」と定義する。また、Z軸に平行な方向を「垂直方向」と定義する。
【0018】
本発明の容器は、底部2、壁部3、フランジ部6、糸底部7、スタックリブ8を有している。
図2,3に示すように、容器1の下方には、底部2が形成されている。底部2は、円形の平板形状であり、所定の厚さを有している。
【0019】
図1,3に示すように、底部2の周辺から上方に、壁部3が形成されている。
図3の垂直断面に示すように、壁部3は、底部2から容器1の外側に傾斜して形成されている。壁部3の傾斜角は所定の値を有している。
底部2と壁部3により、収容する物を保持する空間を形成している。
【0020】
図1~3に示すように、壁部3の上端には、フランジ部6が形成されている。フランジ部6の形状は、同心円状の中抜き円板からなり、所定の厚さを有している。フランジ部6の上には、蓋材(図示していない)が熱圧着され、収容する物を保持している。
図3に示すように、底部2と壁部3が接続する部分の下方には、糸底部7が形成されている。糸底部7は、底部2と壁部3が接続する部分において、円周状に形成されている。
【0021】
図2,3に示すように、壁部3の内側には、スタックリブ8が形成されている。スタックリブ8は、複数個形成されている。スタックリブ8は、複数の容器を重ねたとき、上側の容器の糸底部7の下端が、下側の容器のスタックリブ8の上端の乗るようにして、上側の容器と下側の容器の間に一定の間隔を確保することを目的としている。これにより、複数の容器を確実に積み重ねることができる。
【0022】
図2に示す、容器1の水平方向の最大径Dの範囲については、後述する。
図3に示す、容器1の垂直方向の高さHの範囲については、後述する。
フランジ部6の上に熱圧着する、蓋材については、後述する。
容器1に収容する物の例については、後述する。
本発明の容器は射出成形体であり、容器の製造方法については、後述する。
【0023】
図4は、本発明の容器の一例を示す、図2における拡大B-B断面図である。
【0024】
底部2は、上側にラベル5を含んでいる。底部2の上側には、ラベル5が存在している。なお、底部2とは、その上側に存在するラベル5を含めるものとする。
壁部3は、内側にラベル5を含んでいる。壁部3の内側には、ラベル5が存在している。なお、壁部3とは、その内側に存在するラベル5を含めるものとする。
【0025】
容器1の垂直断面において、壁部3の内側には、角度変化点Oが存在している。
角度変化点Oより上では、壁部3の厚さは、所定の値である。角度変化点Oより下では、壁部3の厚さは、角度変化点Oから直線的に増加している。
【0026】
ラベルを含めた底部の厚さNは、1.0mmを採用している。
厚さNは0.7~1.7mmの範囲内にあることが好ましい。また、厚さNは0.9~1.5mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0027】
厚さNが0.7mm以上であると、容器の底部の機械的強度を向上させることができる、という利点がある。厚さNが0.9mm以上であると、この効果がより顕著になる。
【0028】
厚さNが1.7mm以下であると、容器の重量を軽減させることができる、という利点がある。厚さNが1.5mm以下であると、この効果がより顕著になる。
【0029】
なお、上述の厚さNの数値範囲は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0030】
容器の垂直断面において、垂直線に対する、容器の壁部の外面の角度αは、8°を採用している。
角度αは6~10°の範囲内にあることが好ましい。また、角度αは7~9°の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0031】
角度αが6°以上であると、複数の容器を重ねたとき、上側の容器の壁部の外面と、下側の容器の壁部の内面との間に十分な間隔を確保できるので、容器を確実に積み重ねることができる、という利点がある。角度αが7°以上であると、この効果がより顕著になる。
【0032】
角度αが10°以下であると、容器をテーブル等の上に置いたとき、容器が転倒しにくくなり安定性が向上する、という利点がある。角度αが9°以下であると、この効果がより顕著になる。
【0033】
なお、上述の角度αの数値範囲は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0034】
容器の垂直断面において、角度変化点Oより上では、前記壁部の厚さTは、0.7mmを採用している。
厚さTは0.6~1.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、厚さTは0.65~0.8mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0035】
厚さTが0.6mm以上であると、容器の壁部の機械的強度を向上させることができる、という利点がある。厚さTが0.65mm以上であると、この効果がより顕著になる。
【0036】
厚さTが1.0mm以下であると、容器の重量を軽減させることができる、という利点がある。厚さTが0.8mm以下であると、この効果がより顕著になる。
【0037】
なお、上述の厚さTの数値範囲は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0038】
容器の垂直断面において、ラベルの端部における、壁部の内側線から、角度変化点Oの上の壁部の内側線を延長した線までの距離Lは、0.2mmを採用している。
距離Lは0.1~0.4mmの範囲内にあることが好ましい。また、距離Lは0.15~0.3mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0039】
距離Lが0.1mm以上であると、容器が落下した場合、壁部の内側に含まれるラベルの端部において、壁部の割れを防止できる、という利点がある。距離Lが0.15mm以上であると、この効果がより顕著になる。
【0040】
距離Lが0.4mm以下であると、容器の重量を軽減させることができる、という利点がある。距離Lが0.3mm以下であると、この効果がより顕著になる。
【0041】
なお、上述の距離Lの数値範囲は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0042】
ラベルの厚さMは、0.052mmを採用している。
厚さMは0.03~0.08mmの範囲内にあることが好ましい。また、厚さMは0.04~0.07mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0043】
厚さMが0.03mm以上であると、ラベルの剛性が増すので、ラベルを金型内に装填したときにラベルが屈曲するのを防止できる、という利点がある。厚さMが0.04mm以上であると、この効果がより顕著になる。
厚さMが0.08mm以下であると、ラベルのコストを低減することができる、という利点がある。厚さMが0.07mm以下であると、この効果がより顕著になる。
【0044】
なお、上述の厚さMの数値範囲は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0045】
(距離L-厚さM)/厚さTの値は、0.21を採用している。
(距離L-厚さM)/厚さTの値は0.07~0.53の範囲内にあることが好ましい。また、(距離L-厚さM)/厚さTの値は0.2~0.35の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0046】
(距離L-厚さM)/厚さTの値が0.07以上であると、容器が落下した場合、壁部の内側に含まれるラベルの端部において、壁部の割れを防止できる、という利点がある。(距離L-厚さM)/厚さTの値が0.2以上であると、この効果がより顕著になる。
【0047】
(距離L-厚さM)/厚さTの値が0.53以下であると、容器の重量を軽減させることができる、という利点がある。(距離L-厚さM)/厚さTの値が0.35以下であると、この効果がより顕著になる。
【0048】
なお、上述の(距離L-厚さM)/厚さTの値の数値範囲は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0049】
容器の垂直断面において、底部の上側表面から、角度変化点Oまでの垂直の距離Pは、5.0mmを採用している。
距離Pは3.0~7.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、距離Pは4.0~6.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0050】
距離Pが3.0mm以上であると、容器が落下した場合、壁部の内側に含まれるラベルの端部において、壁部の割れを防止できる、という利点がある。距離Pが4.0mm以上であると、この効果がより顕著になる。
【0051】
距離Pが7.0mm以下であると、容器の重量を軽減させることができる、という利点がある。距離Pが6.0mm以下であると、この効果がより顕著になる。
【0052】
なお、上述の距離Pの数値範囲は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0053】
容器の垂直断面において、底部の上側表面から、壁部の内側に含まれるラベルの端部までの垂直の距離Qは、1.2mmを採用している。
距離Qは0.6~1.8mmの範囲内にあることが好ましい。また、距離Qは1.0~1.4mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0054】
距離Qが0.6mm以上であると、底部の上側全体にラベルを形成できる、という利点がある。距離Qが1.0mm以上であると、この効果がより顕著になる。
【0055】
距離Qが1.8mm以下であると、容器が落下した場合、壁部の内側に含まれるラベルの端部において、壁部の割れを防止できる、という利点がある。距離Qが1.4mm以下であると、この効果がより顕著になる。
【0056】
なお、上述の距離Qの数値範囲は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0057】
容器の垂直断面において、角度変化点Oより下における、壁部の内側線と、角度変化点Oの上の壁部の内側線を延長した線との角度θは、3.0°を採用している。
角度θは2.0~4.0°の範囲内にあることが好ましい。また、角度θは2.5~3.5°の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0058】
角度θが2.0°以上であると、容器が落下した場合、壁部の内側に含まれるラベルの端部において、壁部の割れを防止できる、という利点がある。角度θが2.5°以上であると、この効果がより顕著になる。
【0059】
角度θが4.0°以下であると、容器の重量を軽減させることができる、という利点がある。角度θが3.5°以下であると、この効果がより顕著になる。
【0060】
なお、上述の角度θの数値範囲は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0061】
容器の垂直方向の高さHは、70mmを採用している。
高さHは50~120mmの範囲内にあることが好ましい。また、高さHは60~110mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0062】
高さHが50mm以上であると、金型内へのラベルの装填が容易になる、という利点がある。高さHが60mm以上であると、この効果がより顕著になる。
【0063】
高さHが120mm以下であると、容器の生産性が向上する、という利点がある。高さHが110mm以下であると、この効果がより顕著になる。
【0064】
なお、上述の高さHの数値範囲は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0065】
容器の水平方向の最大径Dは、88mmを採用している。
最大径Dは50~120mmの範囲内にあることが好ましい。また、最大径Dは60~110mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0066】
最大径Dが50mm以上であると、金型内へのラベルの装填が容易になる、という利点がある。最大径Dが60mm以上であると、この効果がより顕著になる。
【0067】
最大径Dが120mm以下であると、容器の生産性が向上する、という利点がある。最大径Dが110mm以下であると、この効果がより顕著になる。
【0068】
なお、上述の最大径Dの数値範囲は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0069】
ここで、「容器の水平方向の最大径D」を次のように定義する。すなわち、水平方向にある平行な2本の直線(以下、「平行線」という。)を考える。任意な方向にあるこの平行線で、平面図において容器を挟んだとき、平行線の距離を容器の径とする。そして、あらゆる方向の平行線により容器の径を計測し、その径の値のうち最大の値を「容器の水平方向の最大径D」と定義する。
【0070】
容器の落下試験の試験条件と試験結果は、以下のとおりである。
容器に水を充填し、容器のフランジ部に蓋材を熱圧着する。
この容器を、7℃±3℃で24時間保持する。
この容器を、コンクリートの表面に落下させる。
落下高さは、50cmと80cmである。
落下の際の容器の向きは、容器の底部を下にする正立方向と、正立方向から90°傾けた横方向である。
落下回数は、正立方向と横方向について落下高さ50cmと80cmのそれぞれ10回ずつで、合計40回とする。
試験結果は次のとおりである。従来の容器(図5)は、正立方向では、壁部の割れはなかった。横方向では、20回の試験のうち12回で壁部の割れが認められた。本発明の容器は、正立方向及び横方向ともに、壁部の割れはなかった。
【0071】
容器の水平方向の形状は、円形に限定されることはない。容器の水平方向の形状は、楕円形、多角形、曲線形等のその他の形状を採用することができる。
【0072】
ラベルとしては、単層、2層、3層等からなるフィルムを採用することができる。
単層からなるフィルムの材質としては、紙、合成紙、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等、またはこれらに印刷を施したものを採用することができる。
【0073】
2層からなるフィルムの材質としては、上述の単層からなるフィルムを2枚重ねたもので、その間に印刷を施したもの等を採用することができる。また、上述の単層からなるフィルムとヒートシール性二軸延伸ポリプロピレンフィルム(HSOPP)等を積層したもの、またはこれらに印刷を施したものを採用することができる。
【0074】
3層からなるフィルムの材質としては、表面層として上述の単層からなるフィルム、中間層として、アルミニウム箔、並びに、金属または金属酸化物の蒸着層を被着した、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルムであり、例えば、アルミ蒸着ポリエチレンテフタレートフィルム(VMPET)、酸化硅素蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、または酸化アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、この他、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)等、裏面層として上述の単層からなるフィルムを積層したもの、またはこれらに印刷を施したものを採用することができる。また、上述した3層からなるフィルムの裏面層としてヒートシール性二軸延伸ポリプロピレンフィルム(HSOPP)等を採用することができる。
【0075】
ラベルとしては、上述した単層、2層、3層からなるフィルムに限定されない。この他ラベルとしては、4層以上からなるフィルムを採用することができる。4層以上からなるフィルムの材質としては、上述した種々の材質、またはこれらに印刷を施したものを採用することができる。
【0076】
容器の材質としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性樹脂のうち、いずれか1種またはいずれか2種以上の組み合わせを採用することができる。
【0077】
容器に収容する物としては、スープ、バター、マーガリン、チーズ、アイスクリーム等の食品を挙げることができる。なお、容器に収容する物としては、食品に限定されるわけでなく、この他の物を収容することができる。
【0078】
蓋材としては、プラスチックシートと、アルミニウム等のシートとが積層されてなる複合シートを用いることができる。プラスチックシートの材質としては、ポリエチレンテレフタレートまたはポリスチレン等を挙げることができる。プラスチックシートは、一種の材質からなる単層シートでも良いし、複数種の材質のプラスチックシートが積層されてなる複合シートでも良い。
【0079】
以下、本発明の容器1の製造方法について説明する。
本発明の容器1は、射出成形法により製造することができる。
射出成形法について説明する。射出成形法の工程は、ラベル搬送工程、ラベル装填工程、金型閉工程、溶融樹脂充填工程、金型開工程、及び離型工程を含む。
【0080】
ラベル搬送工程では、互いに離れている可動側金型と固定側金型の間に、ラベル5を導入する。
ラベル装填工程では、ラベル5を可動側金型に装填する。ラベル5の装填方法としては、空気吸引や静電気等によるラベルの吸着等、通常使用する方法を採用することができる。
【0081】
金型閉工程では、可動側金型を固定側金型に向けて移動させる。金型閉工程が完了すると、可動側金型と固定側金型の間には、容器1に対応する空間が形成される。
溶融樹脂充填工程では、ゲートから注入された溶融樹脂が、容器1に対応する空間に流入する。溶融樹脂は、この空間を流動する際に、ラベル5を可動側金型に押し付ける。その結果、ラベル5は、可動側金型の下面に密着する。
【0082】
金型開工程では、空間内の溶融樹脂が冷却した後、可動側金型を固定側金型から離れる方向に移動させる。射出成形品である容器1は、可動側金型に密着したまま移動する。
離型工程では、ストリッパ(図示せず)により、射出成形品を可動側金型から離型する。この離型により、射出成形品である容器1を得ることができる。
【0083】
射出成形品である容器1は、その底部2の上側と壁部3の内側において、ラベル5の表面の全体を露出している。また、ラベル5の裏面の全体は、容器1の底部2と壁部3に接着されている。
【0084】
なお、本発明は上述の発明を実施するための形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0085】
1‥‥容器、2‥‥底部、3‥‥壁部、5‥‥ラベル、6‥‥フランジ部、7‥‥糸底部、8‥‥スタックリブ、11‥‥割れ、51‥‥ラベルの端部
図1
図2
図3
図4
図5