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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】安全スイッチおよび制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16P 3/14 20060101AFI20230919BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20230919BHJP
   G07C 9/00 20200101ALI20230919BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20230919BHJP
【FI】
F16P3/14
E05B49/00 K
G07C9/00
G06Q50/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019097440
(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公開番号】P2020190328
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000309
【氏名又は名称】IDEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】釜谷 拓次
(72)【発明者】
【氏名】出頭 学
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-007841(JP,A)
【文献】特開2011-179170(JP,A)
【文献】特開平11-132395(JP,A)
【文献】特開平05-204928(JP,A)
【文献】特開2016-091440(JP,A)
【文献】特開2009-202322(JP,A)
【文献】特開2013-071217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16P 3/10
F16P 3/08
F16P 3/14
F16P 3/12
E05B 1/00- 85/28
G07C 1/00- 15/00
G06Q 50/04
B23Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉が設けられた出入口を除いて柵または壁により囲まれて立入が制限された制限領域の外部または内部に設けられ、前記制限領域に設置された機械の停止状態の解除に用いられる安全スイッチであって、
前記制限領域への立入前および前記制限領域からの退出後の各作業者の確認動作により、前記各作業者が有するRFタグから前記各作業者の識別情報を読み取って読取ID情報として取得するID情報取得部と、
前記各作業者の確認動作に基づいて取得される前記各作業者の前記制限領域への立入または前記制限領域からの退出を示す入退情報が立入を示す場合に、前記各作業者の前記読取ID情報に基づいて、前記各作業者の識別情報を登録ID情報としてリストに登録するID情報登録部と、
前記各作業者の確認動作に基づいて取得される前記入退情報が退出を示す場合に、前記各作業者の前記読取ID情報に対応する登録ID情報を前記リストから削除するID情報削除部と、
前記リストにいずれの登録ID情報も含まれない場合に、前記機械の停止状態の解除を許可する解除許可部と、
前記扉に設けられた扉用RFタグから読み取られた情報に基づいて前記扉の開閉状態を検出する開閉状態検出部と、
を備えることを特徴とする安全スイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載の安全スイッチであって、
前記扉用RFタグからの情報の読み取りは、前記ID情報取得部により行われることを特徴とする安全スイッチ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の安全スイッチであって、
前記扉をロック可能な係合部をさらに備えることを特徴とする安全スイッチ。
【請求項4】
請求項3に記載の安全スイッチであって、
前記扉のロックが解除されている状態で、前記リストにいずれの登録ID情報も含まれない場合に、前記係合部に前記扉のロックを許可するロック制御部をさらに備えることを特徴とする安全スイッチ。
【請求項5】
請求項3または4に記載の安全スイッチであって、
前記係合部により前記扉がロックされている状態で、一の作業者の確認動作に基づいて取得される前記入退情報が立入を示す場合に、前記作業者の前記読取ID情報に基づいて前記作業者の前記制限領域への立入権限の有無を確認し、前記立入権限がある場合に前記扉のロックを解除し、前記立入権限がない場合に前記扉のロックを維持するロック制御部をさらに備え、
前記ID情報登録部が、前記作業者に前記立入権限がある場合に前記作業者の識別情報を前記リストに登録し、前記立入権限がない場合に前記作業者の識別情報を前記リストに登録しないことを特徴とする安全スイッチ。
【請求項6】
機械の運転を制御する制御装置であって、
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の安全スイッチの前記解除許可部による前記機械の停止状態の解除を許可する許可信号と、前記開閉状態検出部による前記扉が閉状態であるとの検出結果とに応じて、前記機械の運転を開始することを特徴とする制御装置。
【請求項7】
扉が設けられた出入口を除いて柵または壁により囲まれて立入が制限された制限領域の外部または内部に設けられ、前記制限領域に設置された機械の停止状態の解除に用いられる安全スイッチであって、
前記制限領域への立入前および前記制限領域からの退出後の各作業者の確認動作により、前記各作業者が有するRFタグから前記各作業者の識別情報を読み取って読取ID情報として取得するID情報取得部と、
前記各作業者の確認動作に基づいて取得される前記各作業者の前記制限領域への立入または前記制限領域からの退出を示す入退情報が立入を示す場合に、前記各作業者の前記読取ID情報に基づいて、前記各作業者の識別情報を登録ID情報としてリストに登録するID情報登録部と、
前記各作業者の確認動作に基づいて取得される前記入退情報が退出を示す場合に、前記各作業者の前記読取ID情報に対応する登録ID情報を前記リストから削除するID情報削除部と、
前記リストにいずれの登録ID情報も含まれない場合に、前記機械の停止状態の解除を許可する解除許可部と、
を備え、
前記機械の停止状態の解除が要求された際に、一の作業者の確認動作が行われ、前記解除許可部が、前記作業者の前記読取ID情報に基づいて前記作業者の停止解除権限の有無を確認し、前記作業者に前記停止解除権限があり、かつ、前記リストにいずれの登録ID情報も含まれない場合に、前記機械の停止状態の解除を許可することを特徴とする安全スイッチ。
【請求項8】
請求項1ないし5並びに請求項7のいずれか1つに記載の安全スイッチであって、
前記リストに含まれる登録ID情報の個数、または、前記登録ID情報が示す作業者を特定する情報を報知する報知部をさらに備えることを特徴とする安全スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全スイッチおよび制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業機械等の機械が設置される部屋の出入口には、安全スイッチが設けられる。出入口の扉が開かれると、安全スイッチにより、機械への電力の供給が不能となり、機械が停止状態となる。機械のメンテナンス等の場合、作業者が上記部屋内で作業を行うときには、機械の停止状態を確実に維持する必要がある。
【0003】
そこで、特許文献1では、安全スイッチのアクチュエータ挿入口を塞いで内部の駆動カムの回転を防止する安全保持具(ロックハスプとも呼ばれる。)が開示されている。当該安全保持具では、複数の穴が設けられ、作業開始前に複数の作業者が個別に南京錠により当該穴に施錠を行ない、作業終了後に作業者がそれぞれ南京錠の解除を行なう。これにより、最後の南京錠が解除されるまで、安全保持具が安全スイッチに装着された状態が保持され、作業者の安全が確保される。特許文献1のように、各作業者が南京錠等を用いて自身の安全を確保する手法は、ホステッジコントロールとも呼ばれる。
【0004】
一方、特許文献2は、ペンダントやグリップスイッチ等の可搬型(ポータブル)操作端末を用いてロボット等を安全に操作するための安全制御システムに関するものである。当該安全制御システムでは、ロボットの操作可能エリアに位置するペンダントのID番号が、RFICを介してロボットに送信され、登録リストに登録されたID番号のペンダントのみがロボットを操作可能なイネーブル状態とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-73229号公報
【文献】特開2009-301271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の手法では、作業者毎に南京錠および鍵を準備する必要があり、南京錠および鍵の管理が煩雑となる。また、無断で複製された鍵により機械の停止状態が解除される等のおそれがあり、この場合、作業者の安全が脅かされてしまう。さらに、安全スイッチに対して、ロックハスプを取り付け、さらに、ロックハスプに複数の南京錠を掛けた状態では、当該スイッチに大きな荷重が加わるという問題もある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、機械の停止状態の解除管理を高精度に行うことを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、扉が設けられた出入口を除いて柵または壁により囲まれて立入が制限された制限領域の外部または内部に設けられ、前記制限領域に設置された機械の停止状態の解除に用いられる安全スイッチであって、前記制限領域への立入前および前記制限領域からの退出後の各作業者の確認動作により、前記各作業者が有するRFタグから前記各作業者の識別情報を読み取って読取ID情報として取得するID情報取得部と、前記各作業者の確認動作に基づいて取得される前記各作業者の前記制限領域への立入または前記制限領域からの退出を示す入退情報が立入を示す場合に、前記各作業者の前記読取ID情報に基づいて、前記各作業者の識別情報を登録ID情報としてリストに登録するID情報登録部と、前記各作業者の確認動作に基づいて取得される前記入退情報が退出を示す場合に、前記各作業者の前記読取ID情報に対応する登録ID情報を前記リストから削除するID情報削除部と、前記リストにいずれの登録ID情報も含まれない場合に、前記機械の停止状態の解除を許可する解除許可部と、前記扉に設けられた扉用RFタグから読み取られた情報に基づいて前記扉の開閉状態を検出する開閉状態検出部と、を備える。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の安全スイッチであって、前記扉用RFタグからの情報の読み取りは、前記ID情報取得部により行われる。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の安全スイッチであって、前記扉をロック可能な係合部をさらに備える。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の安全スイッチであって、前記扉のロックが解除されている状態で、前記リストにいずれの登録ID情報も含まれない場合に、前記係合部に前記扉のロックを許可するロック制御部をさらに備える。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項またはに記載の安全スイッチであって、前記係合部により前記扉がロックされている状態で、一の作業者の確認動作に基づいて取得される前記入退情報が立入を示す場合に、前記作業者の前記読取ID情報に基づいて前記作業者の前記制限領域への立入権限の有無を確認し、前記立入権限がある場合に前記扉のロックを解除し、前記立入権限がない場合に前記扉のロックを維持するロック制御部をさらに備え、前記ID情報登録部が、前記作業者に前記立入権限がある場合に前記作業者の識別情報を前記リストに登録し、前記立入権限がない場合に前記作業者の識別情報を前記リストに登録しない。
請求項6に記載の発明は、機械の運転を制御する制御装置であって、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の安全スイッチの前記解除許可部による前記機械の停止状態の解除を許可する許可信号と、前記開閉状態検出部による前記扉が閉状態であるとの検出結果とに応じて、前記機械の運転を開始する。
【0014】
請求項7に記載の発明は、扉が設けられた出入口を除いて柵または壁により囲まれて立入が制限された制限領域の外部または内部に設けられ、前記制限領域に設置された機械の停止状態の解除に用いられる安全スイッチであって、前記制限領域への立入前および前記制限領域からの退出後の各作業者の確認動作により、前記各作業者が有するRFタグから前記各作業者の識別情報を読み取って読取ID情報として取得するID情報取得部と、前記各作業者の確認動作に基づいて取得される前記各作業者の前記制限領域への立入または前記制限領域からの退出を示す入退情報が立入を示す場合に、前記各作業者の前記読取ID情報に基づいて、前記各作業者の識別情報を登録ID情報としてリストに登録するID情報登録部と、前記各作業者の確認動作に基づいて取得される前記入退情報が退出を示す場合に、前記各作業者の前記読取ID情報に対応する登録ID情報を前記リストから削除するID情報削除部と、前記リストにいずれの登録ID情報も含まれない場合に、前記機械の停止状態の解除を許可する解除許可部と、を備え、前記機械の停止状態の解除が要求された際に、一の作業者の確認動作が行われ、前記解除許可部が、前記作業者の前記読取ID情報に基づいて前記作業者の停止解除権限の有無を確認し、前記作業者に前記停止解除権限があり、かつ、前記リストにいずれの登録ID情報も含まれない場合に、前記機械の停止状態の解除を許可する。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし5並びに請求項7のいずれか1つに記載の安全スイッチであって、前記リストに含まれる登録ID情報の個数、または、前記登録ID情報が示す作業者を特定する情報を報知する報知部をさらに備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、機械の停止状態の解除管理を高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】安全スイッチが設けられる制限領域の平面図である。
図2】安全スイッチを示す平面図である。
図3】安全スイッチの機能構成を示すブロック図である。
図4】作業者の制限領域への立入および退出、並びに、機械の停止状態の解除に係る処理の流れを示す図である。
図5】作業者認証処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る安全スイッチ41が設けられる制限領域14の平面図である。制限領域14は、例えば、工場の一部の領域である。制限領域14は、図1中に太い実線にて示す柵または壁(以下、「仕切140」とも呼ぶ。)により周囲から仕切られ、人間の立入が制限された領域である。制限領域14には、産業用の機械4が設置され、機械4のメンテナンス等の際に作業者が立ち入る。
【0019】
制限領域14の周囲を囲む仕切140には、出入口141が設けられている。出入口141には、出入口141を開閉する扉142が設けられている。換言すれば、制限領域14は、扉142が設けられた出入口141を除いて、仕切140により周囲を囲まれている。出入口141の近傍には、制限領域14の外部に位置する安全スイッチ41が設けられる。安全スイッチ41は、機械4の停止状態(すなわち、駆動不能な状態)への移行、および、停止状態の解除に用いられる。なお、安全スイッチ41は、制限領域14の内部に設けられてもよい。
【0020】
図2は、安全スイッチ41を示す平面図である。図2では、安全スイッチ41以外の構成も併せて示す。また、図2では、扉142が少し開かれている状態を実線にて示し、扉142が閉じられている状態を二点鎖線にて示す。図1および図2に示すように、安全スイッチ41は、スイッチ本体411と、アクチュエータ412と、タッチパネル417とを備える。スイッチ本体411は、例えば、制限領域14の外部において、仕切140のうち出入口141の側縁近傍の部位に固定される。アクチュエータ412は、例えば、扉142の側縁近傍の部位に固定される。タッチパネル417は、例えば、USB等を介してスイッチ本体411に接続される。タッチパネル417は、仕切140のうち出入口141近傍の部位に固定されてもよい。
【0021】
出入口141の扉142が閉じられると、図2中において二点鎖線にて示すように、アクチュエータ412がスイッチ本体411の開口部413(すなわち、アクチュエータ挿入口)に挿入され、機械4(図1参照)への電力の供給が可能となる。また、開口部413へのアクチュエータ412の挿入により、スイッチ本体411の内部に設けられた係止部材414が、アクチュエータ412の一部と係合する。これにより、アクチュエータ412の抜き取りが不能となり、安全スイッチ41により扉142がロックされる。すなわち、安全スイッチ41では、係止部材414およびアクチュエータ412は、扉142をロック可能な係合部419である。安全スイッチ41のロック機構は、様々な構造を有してよい。例えば、安全スイッチ41のロック機構は、スプリングロック方式であってもよく、ソレノイドロック方式であってもよい。
【0022】
安全スイッチ41では、後述のロック解除信号の入力により、スイッチ本体411の係止部材414がアクチュエータ412から離間可能となり、扉142のロックが解除される。また、扉142のロック解除と同時に、機械4への電力の供給が不能となり、機械4が停止状態となる。そして、扉142のロックが解除された状態で、扉142が開かれると、アクチュエータ412がスイッチ本体411の開口部413から抜き取られる。
【0023】
安全スイッチ41のスイッチ本体411は、リーダ415と、制御部416とを備える。リーダ415および制御部416は、例えば、スイッチ本体411の筐体内部に収容される。
【0024】
リーダ415は、RFタグ(すなわち、Radio Frequency Tag)から非接触状態または接触状態にて無線通信により情報を読み取るRFリーダライタ装置である。RFタグは、ICチップ(すなわち、集積回路)とアンテナとを組み合わせた小型の電子部品である。RFタグでは、例えば、ICチップおよびアンテナが樹脂製の外装体に内蔵される。当該外装体の形状は、ボタン型またはカード型等、様々に変更可能である。RFタグは、ICタグまたはICカード等とも呼ばれる。RFタグには、他のRFタグから識別するための識別情報等が格納されている。
【0025】
制御部416は、リーダ415によりRFタグから読み取られた情報を処理する。制御部416の後述する各機能は、例えば、電気的回路により実現される。タッチパネル417は、制御部416による情報処理の結果等を表示し、作業者に報知する報知部である。また、タッチパネル417は、作業者からの入力を受け付ける入力部でもある。制御部416による情報処理、および、タッチパネル417の表示内容等については後述する。なお、制御部416の各機能は、電気的回路以外の構成(例えば、通常のコンピュータシステム)等により実現されてもよい。
【0026】
安全スイッチ41のアクチュエータ412には、扉142の開閉を検出するためのRFタグ418が設けられる。以下の説明では、RFタグ418を「扉用RFタグ418」とも呼ぶ。扉用RFタグ418は、例えば、ボタン型のRFタグであり、扉142が閉じられた際にスイッチ本体411と対向するようにアクチュエータ412に固定される。扉用RFタグ418は、アクチュエータ412を介して間接的に扉142に取り付けられているが、アクチュエータ412を介さず、直接的に扉142に取り付けられていてもよい。すなわち、扉用RFタグ418は扉142に設けられていればよい。
【0027】
扉用RFタグ418には、例えば、扉142に設けられているRFタグであることを示す識別情報が格納されている。扉142が閉じられてアクチュエータ412がスイッチ本体411の開口部413に挿入された状態では、扉用RFタグ418に格納されている識別情報が、リーダ415により読取可能となる。一方、扉142が開けられてアクチュエータ412がスイッチ本体411から離れている状態では、扉用RFタグ418とリーダ415との間の距離が、リーダ415の読取可能距離よりも大きくなるため、扉用RFタグ418の識別情報は読取不能となる。リーダ415の読取可能距離は、例えば、約5cm以下である。当該読取可能距離は、様々に変更されてよい。なお、扉用RFタグ418では、扉142の識別情報以外の情報が格納されていてもよい。
【0028】
リーダ415は、複数の作業者がそれぞれ保持しているRFタグ(例えば、ICチップおよびアンテナが内蔵されたIDカード)に格納されている情報も読取可能である。当該RFタグ(以下、「作業者用RFタグ」とも呼ぶ。)には、持ち主である作業者の識別情報(すなわち、ID情報)が予め格納されている。当該識別情報は、例えば、各作業者の社員番号等の識別番号である。作業者は、制限領域14への入退時に、各自が有する作業者用RFタグをスイッチ本体411に接触させる確認動作を行う。スイッチ本体411の外面には、作業者用RFタグを接触させる位置を示す文字や図形等の目印が設けられてもよい。上述の確認動作が行われると、ID情報取得部であるリーダ415が、作業者の作業者用RFタグから当該作業者の識別情報を読み取り、制御部416へと送信する。
【0029】
図3は、安全スイッチ41の制御部416により実現される機能構成を示すブロック図である。図3では、制御部416以外の構成も併せて示す。制御部416は、立入管理部461と、解除許可部464と、開閉状態検出部465と、ロック制御部466と、表示制御部468とを備える。立入管理部461は、ID情報登録部462と、ID情報削除部463とを備える。制御部416は、通信部61を介して、スイッチ本体411の外部に配置される認証装置6と通信可能である。
【0030】
図1に示す制限領域14では、機械4のメンテナンス等の際に、複数の作業者により所定の作業が行われる。作業者が制限領域14に立ち入る際には、制限領域14に設置された機械4が停止状態とされる。作業者が制限領域14に残っている間、機械4の停止状態を維持することが、作業者の安全を確保するために必要となる。換言すると、機械4の停止状態を解除して機械4を再稼働する際には、制限領域14内に作業者が残っていないことが要求される。
【0031】
次に、作業者の制限領域14への立入および退出、並びに、機械4の停止に係る処理について、図4および図5を参照しつつ説明する。図1に示す制限領域14では、出入口141の扉142が安全スイッチ41によりロックされている。作業者が外部から制限領域14に立ち入る際には(図4:ステップS11)、作業者が安全スイッチ41のタッチパネル417等を操作することにより,制限領域14への立入を示す入力が行われる。当該入力は、例えば、タッチパネル417に表示されたボタンのタップ、または、スイッチ本体411に設けられた切替スイッチの操作であり、制限領域14への入退に伴う確認動作に含まれる。これにより、図3に示す制御部416において、作業者の制限領域14への立入を示す入退情報の取得が開始される。続いて、上述の作業者用RFタグを用いて作業者認証処理が行われる(ステップS12)。
【0032】
作業者認証処理では、作業者が有する作業者用RFタグをスイッチ本体411に接触または近接させることにより、リーダ415が、作業者の識別情報を読み取り、当該識別情報を読取ID情報として取得する(図5:ステップS121)。リーダ415により取得された読取ID情報は、制御部416に入力され、通信部61を介して認証装置6へと送信される。このとき、制限領域14の識別情報も認証装置6へと送信される。
【0033】
認証装置6は、多数の作業者の識別情報が登録されたデータベースを有する。当該データベースでは、各作業者の識別情報と、当該作業者における各種権限の有無を示す権限情報等が関連付けられている。当該権限情報には、例えば、制限領域14への立入権限の有無、および、他の制限領域への立入権限の有無等が含まれる。認証装置6では、制御部416から送信された読取ID情報と、データベースに登録されている多数の作業者の識別情報との照合が行われる。換言すれば、認証装置6では、読取ID情報に対する認証が行われる(ステップS122)。
【0034】
データベースにおいて読取ID情報に一致する識別情報が特定され、認証が成功すると、当該識別情報を適合ID情報として、適合ID情報に関連付けられた作業者の権限情報等を含む認証情報が、安全スイッチ41の制御部416へと送信される(ステップS123)。また、データベースにおいて、適合ID情報に対して、制限領域14の識別情報が関連付けられる。これにより、後述する制限領域14からの退出時における作業者認証処理の際に、データベースにおいて読取ID情報と照合される識別情報が、制限領域14の識別情報に関連付けられたものに制限される。その結果、読取ID情報に対する認証を短時間にて行うことができる。なお、適合ID情報に対して既に他の制限領域等の識別情報が関連付けられている場合(すなわち、当該作業者が他の制限領域等に立ち入っていると判断される場合)には、認証失敗とされ、後述の認証失敗信号が制御部416へと送信される。
【0035】
制御部416は、認証装置6からの認証情報を受信すると、タッチパネル417に認証成功を示す表示(例えば、緑色の「OK」の文字等)を表示させる。これにより、認証の成功が作業者に対して報知される(ステップS124)。なお、作業者に対する認証成功の報知は、ビープ音やランプの点灯等、他の様々な方法により行われてもよい。
【0036】
制御部416が受信した認証情報に、制限領域14への立入権限を有する旨の情報(以下、「立入許可情報」とも呼ぶ。)が含まれている場合、ロック制御部466から係合部419にロック解除信号が送信される。そして、係合部419が駆動されることにより、扉142のロックが解除され、作業者が制限領域14内に立ち入ることが可能となる。一方、制御部416が受信した認証情報に立入許可情報が含まれていない場合、扉142のロック状態は変化せず、ロックが維持される。この場合、タッチパネル417にロック解除不許可を示す表示(例えば、黄色の「NG」の文字等)が表示される。
【0037】
また、認証装置6による認証において、読取ID情報に一致する識別情報がデータベースに存在しない場合には、認証の失敗を示す認証失敗信号が、安全スイッチ41の制御部416へと送信される(ステップS123)。制御部416は、認証装置6からの認証失敗信号を受信すると、タッチパネル417に認証失敗を示す表示(例えば、赤色の「ERROR」の文字等)を表示させる。これにより、認証の失敗が作業者に対して報知される(ステップS125)。なお、作業者に対する認証失敗の報知は、ビープ音やランプの点灯等、他の様々な方法により行われてもよい。作業者の認証が失敗した場合も、扉142のロック状態は変化せず、ロックが維持される。
【0038】
このように、制御部416では、ロック制御部466により、作業者の読取ID情報に基づいて当該作業者の制限領域14への立入権限の有無が確認される。そして、作業者に立入権限がある場合、扉142のロックが解除される。一方、当該作業者に立入権限がない場合(作業者がデータベースに登録されていない場合を含む。)には、扉142のロックは維持される。
【0039】
ステップS12における作業者認証処理において、作業者の認証に成功し、かつ、認証情報に立入許可情報が含まれている場合、立入管理部461のID情報登録部462により、認証情報に含まれる作業者の識別情報が登録ID情報としてリスト467に登録される(図4:ステップS13)。ステップS13では、作業者の確認動作(すなわち、作業者用RFタグの読み取り)に基づいて入退情報が取得され、当該入退情報が立入を示すことも確認される。上述のリスト467は、例えば制御部416に設けられる記憶領域である。なお、ID情報登録部462は、リーダ415により取得された読取ID情報を、登録ID情報としてリスト467に登録してもよい。換言すれば、ステップS13では、作業者に制限領域14への立入権限がある場合、作業者の読取ID情報に基づいて、当該作業者の識別情報が登録ID情報としてリスト467に登録される。
【0040】
一方、作業者に制限領域14への立入権限がない場合(すなわち、認証情報に立入許可情報が含まれていない場合、または、作業者の認証に失敗した場合)には、ID情報登録部462は、作業者の識別情報をリスト467に登録しない。図4では、作業者に制限領域14への立入権限がない場合における処理の図示を省略している。
【0041】
本実施の形態では、制限領域14に立ち入る全ての作業者に対して、上記ステップS11~S13の処理が行われる。そして、制限領域14に立ち入る全ての作業者の識別情報が、登録ID情報としてリスト467に登録される。制限領域14内への作業者の立入が終了すると、例えば、出入口141の扉142が閉じられ(すなわち、アクチュエータ412がスイッチ本体411の開口部413に挿入され)、扉142が自動的にロックされる。これにより、立入権限のない作業者等が制限領域14に立ち入ることを防止することができる。一方、制限領域14内への作業者の閉じ込めを防止するという観点から、作業者が制限領域14内に立ち入っている間、扉142が開いたまま、または、扉142がロックされない状態とされてもよい。
【0042】
作業者が制限領域14から退出する際には(ステップS14)、制限領域14において出入口141の近傍に設けられた解除スイッチ等(図示省略)により扉142のロックを解除し、制限領域14から退出する。なお、扉142が開いたまま、または、ロックされていない場合には、上記ロックの解除は不要となる。続いて、制限領域14の外側において、作業者が安全スイッチ41のタッチパネル417または上記切替スイッチ等を操作することにより、制限領域14からの退出を示す入力が行われる。これにより、制御部416では、作業者の制限領域14からの退出を示す入退情報の取得が開始される。続いて、図5の作業者認証処理が行われる(ステップS15)。作業者認証処理の内容は、既述のステップS12と同様であり、認証装置6において認証が成功すると、認証情報が安全スイッチ41の制御部416へと送信される。
【0043】
立入管理部461のID情報削除部463では、作業者の確認動作(すなわち、作業者用RFタグの読み取り)に基づいて入退情報が取得され、当該入退情報が退出を示すことが確認され、認証情報が含む作業者の識別情報と一致する登録ID情報がリスト467から削除される(ステップS16)。なお、ID情報削除部463は、リーダ415により取得された読取ID情報と一致する登録ID情報をリスト467から削除してもよい。
【0044】
認証装置6において読取ID情報の認証に失敗した場合には、ID情報削除部463では、リスト467から登録ID情報を削除する処理は行われない。既述のように、図4では、作業者認証処理における認証が失敗した場合における処理の図示を省略している。各作業者が制限領域14から退出する際に、上記ステップS14~S16の処理が行われる。したがって、各時点において、制限領域14に立ち入っている作業者は、リスト467に含まれる登録ID情報が示す作業者のみとなる。
【0045】
安全スイッチ41では、表示制御部468により、リスト467に含まれる登録ID情報が示す作業者の情報が、タッチパネル417に表示される。表示される作業者の情報は、例えば、作業者の氏名や社員番号等、作業者を特定する情報である。例えば、タッチパネル417では、機械4のメンテナンス等を行う可能性がある全作業者が表示されており、当該全作業者のうちリスト467に含まれる作業者のみが他の作業者と異なる色で表示されてもよい。あるいは、タッチパネル417には、リスト467に含まれる登録ID情報の個数のみが表示されてもよい。換言すれば、タッチパネル417は、リスト467に含まれる登録ID情報の個数、または、登録ID情報が示す作業者の情報を周囲に報知する報知部である。
【0046】
安全スイッチ41では、タッチパネル417に代えて、他の報知部が設けられてもよい。例えば、報知部として複数のランプが設けられ、点灯するランプの個数により、リスト467に含まれる登録ID情報の個数が周囲に報知されてもよい。あるいは、報知部としてスピーカが設けられ、リスト467に含まれる登録ID情報の個数、または、登録ID情報が示す作業者を特定する情報が、音声により周囲に報知されてもよい。
【0047】
制限領域14から作業者が退出すると、扉142が閉じられ、アクチュエータ412がスイッチ本体411の開口部413に挿入される。また、スイッチ本体411のリーダ415により、アクチュエータ412に設けられている扉用RFタグ418から扉142を示す識別情報が読み取られ、制御部416へと送られる。制御部416では、扉142の開閉状態を検出する開閉状態検出部465により、扉142が閉じられていると判断される。
【0048】
続いて、ロック制御部466によりリスト467が確認され、リスト467にいずれの登録ID情報も含まれない場合、ロック制御部466から係合部419に扉142のロックを許可するロック許可信号が送信される。そして、係合部419により扉142がロックされ、作業者が制限領域14内に立ち入ることが不能となる。一方、ロック制御部466により確認されたリスト467に登録ID情報が1つ以上含まれている場合、ロック制御部466からロック許可信号は送信されず、扉142はロックされない。これにより、制限領域14への作業者の閉じ込めが防止される。
【0049】
制限領域14内から全ての作業者が退出し、上述のように扉142が閉じられてロックされると、制限領域14内の機械4の停止状態が解除されて機械4が再稼働される。機械4の停止状態を解除する際には(ステップS17)、例えば、作業者が安全スイッチ41のタッチパネル417等を操作することにより、機械4の停止状態の解除を要求する(すなわち、機械4の再稼働を指示する)入力が行われる。続いて、解除許可部464において、現在のリスト467における登録ID情報の有無が確認される。そして、リスト467にいずれの登録ID情報も含まれない場合(ステップS18)、機械4の停止状態の解除を許可する許可信号が、機械4の制御装置(図示省略)へと出力される(ステップS19)。
【0050】
当該制御装置では、機械4の停止状態の解除を要求する入力が行われて上記許可信号が入力され、かつ、扉用RFタグ418の読取により扉142が閉じられていることが確認されている場合、機械4の運転が開始される。なお、機械4の運転は、扉142を閉じてアクチュエータ412を開口部413に挿入するのみでは開始されない。機械4の運転の開始には、解除許可部464からの許可信号が必要となる。また、上記制御装置では、許可信号の入力、および、扉142の閉鎖確認に加えて、係合部419により扉142がロックされていることが確認された後、機械4の運転が再開されてもよい。
【0051】
解除許可部464では、リスト467における登録ID情報の不存在に加えて、扉用RFタグ418の読取により扉142が閉じられていることが確認された場合に、制御装置に対して許可信号が出力されてもよい。また、解除許可部464では、リスト467における登録ID情報の不存在、および、扉142の閉鎖に加えて、扉142のロックが確認された場合に、制御装置に対して許可信号が出力されてもよい。なお、解除許可部464では、機械4の停止状態の解除を要求する入力が行われていない状態で、リスト467における登録ID情報の不存在、および、扉142の閉鎖が確認された場合に、許可信号が常時出力されてもよい。この場合、許可信号が出力されている状態で、機械4の再稼働を指示する作業者の入力が行われることにより、機械4の運転が開始される。
【0052】
一方、リスト467にいずれかの登録ID情報が含まれる場合には(ステップS18)、解除許可部464において、機械4の停止状態の解除が許可されず、許可信号が出力されない(ステップS20)。したがって、機械4の停止状態が維持される。すなわち、制限領域14内に作業者が残っている状態では、機械4の停止状態が解除されることが防止される。このとき、表示制御部468により、制限領域14に作業者が残っている旨がタッチパネル417に表示される。制限領域14内に残っている全ての作業者が制限領域14から退出し、上記ステップS14~S16の処理が行われることにより、リスト467にいずれの登録ID情報も含まれなくなり、機械4の停止状態の解除が可能となる(ステップS17~S19)。
【0053】
ステップS17では、作業者が機械4の停止状態の解除を要求する入力を行う際に、作業者の作業者用RFタグをリーダ415に読み取らせる確認作業が要求されてもよい。この場合、リーダ415により読み取られた読取ID情報に基づいて、上述の作業者認証処理(ステップS121~S125)が行われ、作業者の識別情報および権限情報等を含む認証情報が制御部416へと送信される。制御部416では、当該認証情報に基づいて、作業者の停止解除権限の有無が解除許可部464により確認される。そして、当該作業者に機械4の停止解除権限があり、かつ、上述のようにリスト467にいずれの登録ID情報も含まれない場合(ステップS18)、機械4の停止状態の解除を許可する許可信号が、解除許可部464から機械4の上記制御装置へと出力される(ステップS19)。一方、作業者に機械4の停止解除権限がない場合、上記許可信号は出力されない。
【0054】
以上に説明したように、安全スイッチ41は、扉142が設けられた出入口141を除いて柵または壁(すなわち、仕切140)により囲まれて立入が制限された制限領域14の外部または内部に設けられる。安全スイッチ41は、制限領域14に設置された機械4の停止状態の解除に用いられる。安全スイッチ41は、ID情報取得部(すなわち、リーダ415)と、ID情報登録部462と、ID情報削除部463と、解除許可部464とを備える。リーダ415は、制限領域14への立入前および制限領域14からの退出後の各作業者の確認動作により、各作業者が有するRFタグ(すなわち、作業者用RFタグ)から各作業者の識別情報を読み取って読取ID情報として取得する。ID情報登録部462は、各作業者の確認動作に基づいて取得される入退情報が立入を示す場合に、各作業者の読取ID情報に基づいて、各作業者の識別情報を登録ID情報としてリスト467に登録する。当該入退情報は、各作業者の制限領域14への立入、または、制限領域14からの退出を示す情報である。ID情報削除部463は、各作業者の確認動作に基づいて取得される入退情報が退出を示す場合に、各作業者の読取ID情報に対応する登録ID情報をリスト467から削除する。解除許可部464は、リスト467にいずれの登録ID情報も含まれない場合に、機械4の停止状態の解除を許可する。
【0055】
これにより、制限領域14に配置された機械4の停止状態の解除管理を高精度に行うことができる。具体的には、制限領域14に作業者が存在する状態での機械4の停止状態の解除を、高い精度で防止することができる。その結果、制限領域14における安全性を向上することができる。また、安全スイッチ41にロックハスプや南京錠を取り付ける場合とは異なり、安全スイッチ41に大きな荷重が加わることを防止することができる。
【0056】
上述のように、安全スイッチ41は、扉142に設けられた扉用RFタグ418から読み取られた情報に基づいて扉142の開閉状態を検出する開閉状態検出部465をさらに備えることが好ましい。これにより、扉142の開閉状態を精度良く検出することができる。また、解除許可部464により機械4の停止状態の解除可否が判断される際に、開閉状態検出部465により検出された扉142の開閉状態が考慮されることにより、機械4の停止状態の解除管理をさらに高精度に行うことができる。
【0057】
さらに、安全スイッチ41では、扉142を示す識別情報を読み取って開閉状態を検知することにより、アクチュエータ412がスイッチ本体411の開口部413に挿入されたことを機械的に検知して扉142の開閉状態を検出する機構に比べて、扉142の開閉管理を高精度に行うことができる。具体的には、仮にアクチュエータ412と同形状の部材を開口部413に挿入したとしても、扉142の閉鎖が誤検出されることを防止することができる。また、アクチュエータ412の形状模倣による上記誤検出の懸念がないため、アクチュエータ412の形状を簡素化することができる。これにより、アクチュエータ412の強度を容易に増大させることができるとともに、安全スイッチ41の製造コストを低減することもできる。
【0058】
上述のように、扉用RFタグ418からの情報の読み取りは、リーダ415により行われることが好ましい。このように、作業者用RFタグに格納されている情報と、扉用RFタグ418に格納されている情報とを、同一のリーダ415により読取可能とすることにより、安全スイッチ41の構造を簡素化することができる。
【0059】
上述のように、安全スイッチ41は、扉142をロック可能な係合部419をさらに備えることが好ましい。このように、扉142のロック機構を安全スイッチ41に兼用させることにより、制限領域14の立入制限に係る構造を簡素化することができる。また、扉142にロック機構が設けられない場合に比べて、制限領域14における安全性をさらに向上することができる。
【0060】
上述のように、安全スイッチ41はロック制御部466をさらに備えることが好ましい。ロック制御部466は、扉142のロックが解除されている状態で、リスト467にいずれの登録ID情報も含まれていない場合に、係合部419に扉142のロックを許可する。これにより、制限領域14内への作業者の閉じ込めを防止することができる。
【0061】
上述のように、ロック制御部466は、係合部419により扉142がロックされている状態で、一の作業者の確認動作に基づいて取得される入退情報が立入を示す場合に、作業者の読取ID情報に基づいて作業者の制限領域への立入権限の有無を確認することも好ましい。この場合、ロック制御部466は、作業者に立入権限がある場合に扉142のロックを解除し、立入権限がない場合に扉142のロックを維持する。これにより、立入権限がない作業者の制限領域14への立入を防止し、制限領域14への立入の管理を高精度に行うことができる。また、複数の制限領域14が存在する場合、各作業者について各制限領域14への立入権限をデータベース等に個別に登録しておくことにより、1つの作業者用RFタグで複数の制限領域14への立入を個別に管理することができる。
【0062】
上述のように、機械4の停止状態の解除が要求された際には、一の作業者の確認動作が行われ、解除許可部464が、当該作業者の読取ID情報に基づいて、当該作業者の停止解除権限の有無を確認することが好ましい。この場合、解除許可部464は、当該作業者に停止解除権限があり、かつ、リスト467にいずれの登録ID情報も含まれない場合に、機械4の停止状態の解除を許可する。これにより、停止解除権限がない作業者による機械4の停止状態の解除を防止し、機械4の停止状態の解除管理をさらに高精度に行うことができる。
【0063】
上述のように、安全スイッチ41は、リスト467に含まれる登録ID情報の個数、または、登録ID情報が示す作業者を特定する情報を報知する報知部(例えば、タッチパネル417)をさらに備えることが好ましい。これにより、制限領域14内における作業者の存否を容易に確認することができる。
【0064】
上述の例では、認証装置6はスイッチ本体411の外部に設けられており、複数の制限領域14にそれぞれ設けられた複数の安全スイッチ41のリーダ415からの読取ID情報を受け付け、作業者認証処理を行う。多数の作業者の識別情報等が登録されたデータベースは、認証装置6のみで一元的に記憶されており、各安全スイッチ41では記憶されない。これにより、当該データベースが外部に流出することを抑制することができる。安全スイッチ41では、読取ID情報も記憶されなくてもよい。
【0065】
なお、当該データベースは、安全スイッチ41の制御部416に記憶されてもよい。この場合、認証装置6は省略されてもよい。あるいは、各作業者の作業者用RFタグに、作業者の識別情報および権限情報等が記録されていてもよい。これにより、安全スイッチ41や認証装置6へのデータベース登録を省略することができるため、作業者の権限管理の自由度を向上することができる。
【0066】
上述の安全スイッチ41では、様々な変更が可能である。
【0067】
例えば、ステップS11では、制限領域14への立入を示す入力が行われる際に、作業者の作業者用RFタグをリーダ415に読み取らせる確認作業が要求されてもよい。この場合、リーダ415により読み取られた読取ID情報に基づいて、上述の作業者認証処理(ステップS121~S125)が行われ、作業者の識別情報および権限情報等を含む認証情報が制御部416へと送信される。制御部416では、当該認証情報に基づいて、作業者の入退情報の入力開始権限の有無が確認される。そして、当該作業者に入退情報の入力開始権限がある場合、リーダ415等による入退情報の取得が可能とされる。一方、作業者に入退情報の入力開始権限がない場合、入退情報の取得ができる状態にはならない。ステップS14において制限領域14からの退出を示す入力が行われる際についても同様である。
【0068】
安全スイッチ41では、扉用RFタグ418からの情報の読み取りは、作業者用RFタグからの情報の読み取りに利用されるリーダ415とは異なるリーダにより行われてもよい。
【0069】
扉142の開閉状態の検出は、必ずしも扉用RFタグ418を利用して行われる必要はなく、例えば、アクチュエータ412がスイッチ本体411の開口部413に挿入されたことを機械的に検知して扉142が閉鎖されたことが検出されてもよい。この場合、扉142から扉用RFタグ418が省略されてもよい。
【0070】
上述の例では、作業者用RFタグから読み取られた読取ID情報に基づいて、作業者の制限領域14への立入権限の有無が確認されるが、例えば、立入権限を有する作業者のみが作業者用RFタグを有している場合、ロック制御部466による立入権限の有無確認は省略されてもよい。
【0071】
上述の扉142のロック機構は、安全スイッチ41とは別に設けられてもよい。あるいは、扉142のロック機構は省略されてもよい。
【0072】
タッチパネル417は、例えば、スイッチ本体411の筐体の外面(例えば、制限領域14を向く側面とは反対側の側面)に設けられてもよい。安全スイッチ41では、タッチパネル417等の報知部は省略されてもよい。
【0073】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0074】
4 機械
14 制限領域
41 安全スイッチ
140 仕切
141 出入口
142 扉
415 リーダ
417 タッチパネル
418 扉用RFタグ
419 係合部
462 ID情報登録部
463 ID情報削除部
464 解除許可部
465 開閉状態検出部
466 ロック制御部
467 リスト
S11~S20,S121~S125 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5