IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 宮下 敏夫の特許一覧

<>
  • 特許-気液混合装置 図1
  • 特許-気液混合装置 図2
  • 特許-気液混合装置 図3
  • 特許-気液混合装置 図4
  • 特許-気液混合装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】気液混合装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/40 20220101AFI20230919BHJP
   B01F 21/00 20220101ALI20230919BHJP
   B01F 23/23 20220101ALI20230919BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20230919BHJP
【FI】
B01F25/40
B01F21/00
B01F23/23
B01F35/71
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019149849
(22)【出願日】2019-08-19
(65)【公開番号】P2021030112
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】506018547
【氏名又は名称】宮下 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮下 敏夫
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-097449(JP,A)
【文献】特開2012-086193(JP,A)
【文献】特表2012-512012(JP,A)
【文献】特開2013-052319(JP,A)
【文献】特開2013-103205(JP,A)
【文献】特開2017-109186(JP,A)
【文献】特開2016-127228(JP,A)
【文献】特開2003-290709(JP,A)
【文献】特開2011-200808(JP,A)
【文献】特開2011-056400(JP,A)
【文献】特開2013-121414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00 - 25/90
B01F 35/00 - 35/95
A61H 33/02
A47K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流通する流路の途中に気液混合部を備え、
該気液混合部は、
入側の流路および出側の流路より流路径を小さく設定され、前記入側の流路と前記出側の流路を結ぶ細径部と、
液体が流通する流路の外側に一端が開口し、前記入側の流路に面するように他端が開口する気体導入路とを備え、
該気体導入路は、
一端に気体を供給する気体引込管が接続され、
他端に放散部が接続され、
該放散部は、
液体が流通する流路内に設置され、前記気体引込管から引き込まれた気体を気泡として液体中に放出する多孔質体を備え
前記気液混合部における湯水Wの入側部および出側部の流路径は、それぞれ5mm以上50mm以下であり、
前記入側部における流路断面積は、前記細径部における流路断面積に対して1.5倍以上5倍以下であること
を特徴とする気液混合装置。
【請求項2】
前記気体導入路の一端は、前記気液混合部の側面に開口すること
を特徴とする請求項1に記載の気液混合装置。
【請求項3】
前記気液混合部は、入側の流路を形成する入側部を備え、
前記気体導入路の他端は、前記入側部の軸方向から見た正面の中央部に開口し、
前記細径部は、前記気体導入路の他端を取り囲み、且つ前記気体導入路の位置を避けるように設けられること
を特徴とする請求項2に記載の気液混合装置。
【請求項4】
前記気体引込管に、
液体が流通する流路内の圧力を導く導圧流路と、
該導圧流路の圧力に応じて動作する検圧部と、
該検圧部の動作に応じ、前記気体引込管により形成される流路を開閉する弁体と
を備えた気体流路開閉弁を設けたこと
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項5】
前記気液混合部は、
液体が流通する流路の外側に一端が開口し、前記出側の流路に面するように他端が開口する液圧出力路を備え、
該液圧出力路の一端は、前記導圧流路に接続されること
を特徴とする請求項4に記載の気液混合装置。
【請求項6】
前記気液混合部は、出側の流路を形成する出側部を備え、
前記液圧出力路の他端は、前記出側部の軸方向から見た正面の中央部に開口すること
を特徴とする請求項5に記載の気液混合装置。
【請求項7】
前記気体引込管の途中に、
気体の流量を調整する気体流量調整部と、
該気体流量調整部の下流側に設けられ、気体引込管を流通する気体の圧力を検出する圧力計と
を備えたことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項8】
液体は湯水であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【請求項9】
気体は炭酸ガスであることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の気液混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に対し気体を混合する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、美容や健康の増進等を目的として、液体である湯水に炭酸ガス等の気体を混合し、放出する装置が利用されている。この種の気液混合装置に関連する先行技術文献としては、例えば下記の特許文献1等がある。特許文献1には、気液混合装置の具体例として、湯水に炭酸ガスを溶解させて放出する炭酸泉生成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-109186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の炭酸泉生成装置を含め、従来の気液混合装置では、気液を混合する部分に大きな容積が必要であった。例えば特許文献1に記載の炭酸泉生成装置の場合、複数の感圧室を備えた第1開閉弁や第2開閉弁、炭酸ガス溶解部といった各部に、それぞれ相当の容積が要求される。このため、装置全体が大型化してしまい、これが気液混合装置を店舗や一般家庭に設置するにあたっての妨げとなっていた。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、コンパクトな構成で液体に対し気体を効率よく混合し得る気液混合装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液体が流通する流路の途中に気液混合部を備え、該気液混合部は、入側の流路および出側の流路より流路径を小さく設定され、前記入側の流路と前記出側の流路を結ぶ細径部と、液体が流通する流路の外側に一端が開口し、前記入側の流路に面するように他端が開口する気体導入路とを備え、該気体導入路は、一端に気体を供給する気体引込管が接続され、他端に放散部が接続され、該放散部は、液体が流通する流路内に設置され、前記気体引込管から引き込まれた気体を気泡として液体中に放出する多孔質体を備え、前記気液混合部における湯水Wの入側部および出側部の流路径は、それぞれ5mm以上50mm以下であり、前記入側部における流路断面積は、前記細径部における流路断面積に対して1.5倍以上5倍以下であることを特徴とする気液混合装置にかかるものである。
【0007】
本発明の気液混合装置は、前記気体導入路の一端が、前記気液混合部の側面に開口した構成とすることができる。
【0008】
本発明の気液混合装置において、前記気液混合部は、入側の流路を形成する入側部を備え、前記気体導入路の他端は、前記入側部の軸方向から見た正面の中央部に開口し、前記細径部は、前記気体導入路の他端を取り囲み、且つ前記気体導入路の位置を避けるように設けることができる。
【0009】
本発明の気液混合装置においては、前記気体引込管に、液体が流通する流路内の圧力を導く導圧流路と、該導圧流路の圧力に応じて動作する検圧部と、該検圧部の動作に応じ、前記気体引込管により形成される流路を開閉する弁体とを備えた気体流路開閉弁を設けることができる。
【0010】
本発明の気液混合装置において、前記気液混合部は、液体が流通する流路の外側に一端が開口し、前記出側の流路に面するように他端が開口する液圧出力路を備え、該液圧出力路の一端は、前記導圧流路に接続される構成とすることができる。
【0011】
本発明の気液混合装置において、前記気液混合部は、出側の流路を形成する出側部を備え、前記液圧出力路の他端は、前記出側部の軸方向から見た正面の中央部に開口する構成とすることができる。
【0012】
本発明の気液混合装置においては、前記気体引込管の途中に、気体の流量を調整する気体流量調整部と、該気体流量調整部の下流側に設けられ、気体引込管を流通する気体の圧力を検出する圧力計とを備えることができる。
【0013】
本発明の気液混合装置において、液体は湯水とすることができる。
【0014】
本発明の気液混合装置において、気体は炭酸ガスとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の気液混合装置によれば、コンパクトな構成で液体に対し気体を効率よく混合し得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施による気液混合装置の形態の一例を示す全体構成図である。
図2図1の要部である気液混合部を拡大して示す図である。
図3図2のIII-III矢視相当図である。
図4】気液混合装置の断面図であり、図3のIV-IV矢視相当図である。
図5】気液混合装置の別の断面による断面図であり、図3のV-V矢視相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0018】
図1は本発明の実施による気液混合装置の形態の一例を示している。本実施例の気液混合装置1は、液体入口2aから液体出口2bまで延び、液体である湯水Wが流通する流路を構成する液体流通管2と、該液体流通管2に対し気体Gを導く気体引込管3とを備えている。
【0019】
液体入口2aには、図示しない配管が接続され、ここから液体流通管2に湯水Wが供給される。また、液体出口2bには、図示しないホースやシャワーヘッド等が接続され、液体流通管2を通った湯水Wがここから放出されるようになっている。
【0020】
液体流通管2は、液体入口2aから液体出口2bに至る途中で枝管(第一の枝管4および第二の枝管5)に分岐し、該枝管4,5は、液体出口2bの手前で再び合流している。液体流通管2における枝管4,5への分岐箇所には流路切換部としての三方弁6が設けられており、液体入口2aから下流へ流れる湯水Wの流路を、第一の枝管4と第二の枝管5との間で切り替えられるようになっている。
【0021】
第一の枝管4には、液体流通管2以外の配管は接続されないが、第二の枝管5には気体引込管3が接続され、ここで気体引込管3から供給される気体Gが湯水Wに混合されるようになっている。すなわち、流路切換部(三方弁)6は、湯水Wをそのまま液体出口2bから放出するか、湯水Wに気体Gを混合して放出するかを切り替える操作を行う部分である。
【0022】
気体引込管3は、入側の端部を気体供給部であるガスボンベ7に接続され、出側の端部を液体流通管2の第二の枝管5に接続されている。ガスボンベ7には、例えば炭酸ガスが封入されており、気体引込管3は、気体である炭酸ガスGを液体流通管2へ導くようになっている。
【0023】
気体引込管3の出側端部と、第二の枝管5との接続部は、気液混合部8として構成されている。気液混合部8は、図2図5に示す如き構造を有する部品であり、液体流通管2の途中に取り付けられて湯水Wの流路の一部を構成すると共に、気体引込管3から引き込まれる炭酸ガスGを湯水Wに混合する機能を備えており、コンパクトな構成で湯水Wに対し炭酸ガスGを効率よく混合できるようになっている。
【0024】
気液混合部8は、全体として略円筒状の形状をなしており、内部には湯水Wを軸方向に流す流路と、炭酸ガスGを引き込む流路が形成されている。湯水Wの流路としては、入側の入側部8aと、出側の出側部8bと、入側部8aと出側部8bの間を結ぶ細径部8cとが設けられている。入側部8aは、気液混合部8における入側の流路を形成する部分であり、入側の端面から軸方向内側に向けて窪むように設けられた円筒型の穴である。出側部8bは、気液混合部8における出側の流路を形成する部分であり、出側の端面から軸方向内側に向けて窪むように設けられた円筒型の穴である。入側部8aおよび出側部8bの中心軸は、気液混合部8自体の中心軸と一致している。
【0025】
細径部8cは、気液混合部8の入口側から軸方向に見た入側部8aの正面(奥側の面)と、出口側から軸方向に見た出側部8bの正面(奥側の面)との間を繋ぐように設けられた流路であり、本実施例では、気液混合部8の中心軸を囲むように6本の細径部8cが設けられている。
【0026】
ここで、細径部8cによって形成される湯水Wの流路の流路断面積(ここに示した例では、6本の細径部8cの断面積の合計)は、入側部8aの流路断面積より小さく設定すると良い。このようにすると、湯水Wが入側部8aから細径部8cへ流れ込もうとする際、流路が狭められることで細径部8cの手前で圧力が上昇する。そして、この細径部8cの手前の位置に後述する放散部9を配置することにより、高圧の湯水Wに対して炭酸ガスGが供給され、効率の良い炭酸ガスGの溶解が図られる。
【0027】
具体的には、入側部8aにおける流路断面積が、細径部8cにおける流路断面積に対して1.5倍以上5倍以下、より好ましくは2倍以上4倍以下となるよう設計すると良い。細径部8cに対する入側部8aの比が小さいと、十分な炭酸ガスGの溶解効率が得られない可能性がある一方、細径部8cに対する入側部8aの比があまり大きいと、細径部8cの前後における圧損が大きすぎて液体出口2bからの湯水Wの供給に支障を来す可能性がある。また、炭酸ガスGの溶解量には上限があるので、細径部8cの手前側における圧力をあまり高めても、それに応じた分だけ炭酸ガスGの溶解効率が上がるわけではないからである。
【0028】
また、上述の如く炭酸ガスGの溶解効率や湯水Wの供給量を確保しつつ、気液混合部8の全体をコンパクトにするためには、気液混合部8における湯水Wの入側および出側の流路径(入側部8aおよび出側部8bの内径)は、5mm以上50mm以下、より好ましくは7mm以上25mm以下とすることが好適である。
【0029】
気体導入路8dは、湯水Wが流通する流路の外側に一端が開口し、且つ前記流路に面するように他端が開口する流路である。本実施例の場合、気体導入路8dの一端は気液混合部8の側面に、他端は入側部8aに、それぞれ位置しており、気体導入路8dは、これらの両端を繋ぐよう、気液混合部8の内部にL字型に設けられている。尚、ここで気液混合部8の側面とは、湯水Wの流通方向を軸として、それを取り囲む面を指す。本実施例の場合、気体導入路8dの一端は、図2図5における気液混合部8の上側の面に位置している。
【0030】
気液混合部8の側面に開口した気体導入路8dの一端には、気体引込管3の出側が接続される(図1参照)。入側部8aに開口した気体導入路8dの他端は、気液混合部8の軸方向から見た正面の中央部に設けられており、ここには、気体引込管3から引き込まれた炭酸ガスGを気泡として湯水W中に放散するための放散部9が取り付けられる。
【0031】
放散部9は、図2に示す如く、一端側を気体導入路8dの端部に取り付けられる取付管9aと、該取付管9aの他端側の開口部を覆うように取り付けられる多孔質体9bを備えている(尚、図3図5では説明の都合上、放散部9の図示を省略している)。放散部9は、取付管9aの他端側に取り付けられた多孔質体9bを、気体導入路8dから見て上流側に突出させるようにして、気液混合部8に対し配置される。こうして、多孔質体9bは、全体が湯水Wの流路内に位置するように配置される。
【0032】
多孔質体9bは、内外を連通する径3μm以上10μm以下程度の微細な孔を無数に備えたセラミック等の固体である。多孔質体9bの内側に配置された取付管9aの端部からは、炭酸ガスGが引き込まれ、多孔質体9b内の無数の孔を通って細かい気泡となって湯水W中に放散される。
【0033】
こうして、気体導入路8dは、気液混合部8の外部に面する一端を入口、湯水Wの流路に面する他端を出口とし、気体引込管3から導かれる炭酸ガスGを湯水Wに対し導入するようになっている。ここで、本実施例では、気体引込管3との接続部を形成する気体導入路8dの一端の位置を気液混合部8の側面に設定することにより、気液混合部8のさらなるコンパクト化を図っている。そして、気体導入路8dから湯水Wの流路内に引き込まれた炭酸ガスGは、放散部9の多孔質体9bを通ることで細かい気泡となって湯水Wと接触し、湯水Wに対し効率よく混合し、溶解される。
【0034】
液圧出力路8eは、湯水Wが流通する流路の外側に一端が開口し、且つ前記流路に面するように他端が開口する流路である。本実施例の場合、液圧出力路8eの一端は気液混合部8の側面に、他端は出側部8bに、それぞれ位置しており、液圧出力路8eは、これらの両端を繋ぐよう、気液混合部8の内部にL字型に設けられている。液圧出力路8eの一端は、図2図5における気液混合部8の上側の面に位置しており、出側部8bに開口した他端は、気液混合部8の軸方向から見た正面の中央部に設けられている。気液混合部8の側面に開口した液圧出力路8eの一端には、後述する導圧流路12cの端部が接続され(図1参照)、流路内を流れる湯水Wの圧力を、出側部8bから導圧流路12cを介して気体流路開閉弁12へ伝達するようになっている。
【0035】
尚、本実施例では、導圧流路12cとの接続部を形成する液圧出力路8eを気液混合部8に設けることにより、湯水Wの圧力を気体流路開閉弁12に伝達するための構成をコンパクトなものとしている。すなわち、湯水Wの圧力を気体流路開閉弁12に伝達するには、湯水Wを流路の別の位置(例えば、第二の枝管5における気液混合部8の上流または下流側)から気体流路開閉弁12へ導くようにしてもよいが、このようにした場合、湯水
Wの流路と導圧流路12cとの接続部にさらに別の部品が必要となり、部品点数が増えてレイアウト性やコンパクト性が損なわれてしまう。そこで、本実施例では、導圧流路12cとの接続部としての機能をも気液混合部8に持たせることにより、構造全体のコンパクト化を図っているのである。
【0036】
また、本実施例では上述のように、気液混合部8に6本の細径部8cを備えているが、これらは、流路の中心軸の周囲に均等に設けられてはおらず、一方向(下方向)にやや偏った配置となっており、周方向の一部(図3における0度の位置周辺)には細径部8cを設けない部分が設定されている。これは、細径部8cが気体導入路8dおよび液圧出力路8eと交差しないための配置である。すなわち、上に説明したように、気体導入路8dおよび液圧出力路8eは、いずれも一端が気液混合部8の側の側面に開口し、且つ他端が入側部8aまたは出側部8bの軸方向から見た正面の中央部に設けられたL字型の流路であり、図3に示すように、これらは気液混合部8の内部構造のうち、中心軸周辺から上方にかけての部分を占めている。そこで、入側部8aと出側部8bとを結ぶ細径部8cを、入側部8aおよび出側部8bの中央部に開口した気体導入路8dおよび液圧出力路8eの他端を取り囲むように配置し、且つ気体導入路8dおよび液圧出力路8eの位置を避けるよう、図3における0度の位置周辺には設けないようにする。こうすることにより、気体導入路8dと細径部8cとを一個の部品(気液混合部8)内に配置し、気液を混合するための構成をいっそうコンパクトなものとすることができる。さらに、液圧出力路8eも同じ気液混合部8内に配置することにより、流路内を流通する湯水Wの圧力を気体流路開閉弁12に伝達するための構成をも、同様にコンパクトに収めることができるのである。また、後述するように、細径部8cを通った湯水Wが出側部8bにおいて不均等な位置から噴出することにより、気液混合部8の出側で乱流が生じ、気泡が発生しやすくなるという効果も期待できる。
【0037】
図1に示す如く、気体引込管3の途中には、内部を流通する炭酸ガスGの流量を一定量に調整する気体流量調整部としての定流量弁10が設けられている。一方、第二の枝管5の途中には、内部を流通する温水Wの流量を一定量に調整する液体流量調整部としての定流量弁13が設けられている。すなわち、第二の枝管5に設けられた定流量弁13により、第二の枝管5内を一定の流量の温水Wが流れるようになっていると同時に、気体引込管3に設けられた定流量弁10により、第二の枝管5に対して一定の流量の炭酸ガスGが供給されるようになっている。これにより、第二の枝管5に湯水Wを通す場合に、液体出口2bから供給される湯水W中の炭酸ガスGの濃度を自動的に規定値に保つことができる。
【0038】
尚、ここに示した例では、液体流量調整部(定流量弁)13の位置を第二の枝管5における気液混合部8の下流側に設定している。これは、気液混合部8の細径部8cの手前側における圧力を確保するためである。すなわち、仮に気液混合部8より上流側に定流量弁13を設けてしまうと、該定流量弁13を通過して一定の流量となった湯水Wが気液混合部8に流れることになり、細径部8cの手前側の放散部9を設けた部分において、炭酸ガスGの溶解に十分な圧力が確保されない可能性がある。また、後述する気体流路開閉弁12の動作には気液混合部8の出側部8bにおける湯水Wの圧力を利用するので、気液混合部8の上流に定流量弁13を配置してしまうと、気体流路開閉弁12の開閉にも支障を来すことが考えられる。
【0039】
尚、定流量弁13の設置位置は第二の枝管5における気液混合部8の下流側としても良いが、その位置に定流量弁を設けた場合は、第一の枝管2aを通して(炭酸ガスGを混合せずに)湯水Wを放出する際にも、湯水Wの流量が一定に調整されてしまうことに留意すべきである。
【0040】
また、定流量弁10の下流側には圧力計11が設けられており、定流量弁10の下流側を流通する炭酸ガスGの圧力を検出できるようになっている。この圧力計11では、後述するように炭酸ガスGの使用状況や残量を把握できるようになっている。
【0041】
さらに、圧力計11の下流には、第二の枝管5における湯水Wの流通の有無に応じて炭酸ガスGの供給の有無を切り替えるための気体流路開閉弁12が設けられている。気体流路開閉弁12は、外部から加えられる圧力に応じて動作する検圧部12aと、気体引込管3によって形成される炭酸ガスGの流路を開閉する弁体12bと、第二の枝管5を流れる湯水Wの圧力を検圧部12aに導く導圧流路12cとを備えている。
【0042】
検圧部12aは、例えば、外部からの圧力をばね等の弾発体により検知し、動きとして出力する機構を備えており、一側の入力部に対し入力される圧力が閾値以上となった場合に、該圧力によって前記弾発体が押されて変形し、これにより、他側の出力部が外側へ突出するようになっている。検圧部12aは、導圧流路12cを介し、気液混合部8の液圧出力路8eに接続されている。第二の枝管5に湯水Wが流通すると、気液混合部8の出側部8bを流れる湯水Wの圧力が、導圧流路12cから検圧部12aの前記入力部に伝達される。湯水Wの圧力が閾値以上に達すると、検圧部12aの前記出力部が動作する。
【0043】
検圧部12aの前記出力部側には、弁体12bが隣接している。弁体12bは、検圧部12aの前記出力部の動作に応じて動作し、前記出力部が突出していない場合は炭酸ガスGの流路を塞ぐ一方、前記出力部が突出すると該出力部に押されて動き、炭酸ガスGの流路を開放するようになっている。
【0044】
つまり、気体流路開閉弁12は、第二の枝管5を湯水Wが流れていない間は弁体12bにより炭酸ガスGの流路を閉塞し、第二の枝管5を流れる湯水Wの圧力が閾値以上に達した場合に炭酸ガスGの流路を開放する。これにより、第二の枝管5および気液混合部8内を湯水Wが流れている間に限って、気液混合部8へ炭酸ガスGが供給されるようになっている。
【0045】
次に、上記した本実施例の作動を説明する。
【0046】
液体入口2aへ湯水Wを供給すると、湯水Wは液体流通管2を通って液体出口2bから放出される。この際、三方弁6を操作することにより、湯水Wの流路を第一の枝管4と第二の枝管5との間で切り替えることができる。湯水Wを第一の枝管4に通す場合には、湯水Wはそのまま液体出口2bから放出されるが、第二の枝管5に通す場合は、気体引込管3から供給される炭酸ガスGが気液混合部8において混合されたうえで液体出口2bから放出される。
【0047】
すなわち、第二の枝管5に湯水Wを通すと、気液混合部8内の流路に湯水Wの圧力が発生し、出側部8bの圧力が導圧流路12cを通じて気体流路開閉弁12の検圧部12aに伝達される。圧力が閾値以上に達すると、弁体12bが動作して炭酸ガスGの流路が開放され、気体引込管3から気液混合部8へ炭酸ガスGが供給されることになる。
【0048】
気液混合部8では、気体導入路8dから入側部8aへ炭酸ガスGが引き込まれ、放散部9の多孔質体9bから湯水W中に放散される(図2参照)。気液混合部8では、湯水Wが細径部8cへ流れ込もうとする際、流路断面積の差により、細径部8cの手前側で湯水Wの圧力が高まる。ここに放散部9から炭酸ガスGが供給されることで、湯水Wに対し炭酸ガスGが効率よく溶解される。
【0049】
ここで、湯水Wに対して炭酸ガスGが供給されるためには、当然ながら湯水Wの圧力に抗する程度に炭酸ガスGの圧力が高くなくてはならない。また、溶解効率を得るためにも、炭酸ガスGの圧力は十分に高い必要がある。一方、湯水Wに溶解する炭酸ガスGの量には上限があるので、圧力をある程度以上に高くしても、炭酸ガスGの溶解効率がその分に応じて上がるわけではない。具体的には、気液混合部8へ送り込む炭酸ガスGの圧力としては、0.3mPa以上0.5mPa以下程度が好ましい。
【0050】
こうして、気液混合部8の上流側において、湯水Wに対し炭酸ガスGが混合され、溶解される。炭酸ガスGの混合された湯水Wは、入側部8aから細径部8cへ流れ込み、出側部8bへ抜ける。ここで、細径部8cは上述の通り、流路の周方向に関して不均等に設けられ、中心軸に対して偏心している。このように配置された細径部8cから、出側部8bへ湯水Wが放出されると、出側部8bにおいては、偏った湯水Wの流れにより乱流が発生する。その結果、上流側で溶かし込まされた炭酸ガスGの一部が気化し、細かい気泡(マイクロバブル)が無数に発生する。第二の枝管5を通った湯水Wは、炭酸ガスGのマイクロバブルを多量に含んだ状態で、液体出口2bから放出される。
【0051】
マイクロバブルを含む湯水Wは、人体の洗浄や洗髪に使用した場合、高い洗浄効果を発揮する。すなわち、マイクロバブルが皮膚の毛穴等の凹凸に侵入すると、マイクロバブルを含む湯水Wの撹拌力により、皮脂等の汚れや薬剤等の付着物が細かく分解され、さらに静電気等の作用によりそれらがマイクロバブルに吸着され、湯水Wと共に洗い流される。こうして、石鹸やシャンプーのような洗剤を用いなくとも汚れを除去できるのである。
【0052】
また、人体表面に付着したマイクロバブルが破裂する際、皮膚に物理的な刺激が加えられることにより、皮膚や筋肉に対するマッサージ効果も得ることができる。
【0053】
さらに、本実施例のように気体Gとして炭酸ガスを用いると、血管の拡張によるデトックス効果や温熱効果も生じる。すなわち、炭酸ガスGを含む湯水Wを皮膚に接触させると、炭酸ガスが血管内へ吸収されて運動の直後と似た血液状態が生じ、これにより毛細血管が拡張されて、血管内の老廃物の排出が促進されるほか、血流の増加により体温も上昇する。
【0054】
また、炭酸ガスGの溶け込んだ湯水W(炭酸水)は酸性であるため、パーマネントやヘアカラー等に使用されるアルカリ性の薬剤を中和し、毛髪のクチクラを引き締めてごわつきを改善するといった作用もある。美容院等でパーマネントやヘアカラー等の施術を行う場合には、施術後の洗浄に炭酸水を用いると、薬剤を中和して毛髪の傷みを補修するほか、施術者の手等に付着した薬剤を中和して手荒れ等を防ぐこともできる。
【0055】
尚、本実施例の場合、気体引込管3の途中に定流量弁10を備えている一方、第二の枝管5の途中に定流量弁13を備えているので、第二の枝管5に湯水Wを通す際、液体出口2bから供給される湯水W中の炭酸ガスGの濃度が自動的に規定値に保たれる。液体入口2aからは、設置環境によって様々な水圧で湯水Wが供給されることが想定されるが、上述のように気体流量調整部および液体流量調整部としての定流量弁10,13を備えておけば、設置環境の水圧によらず、規定濃度の炭酸水を得ることができる。例えば気液混合装置1を家庭等に設置しようとする場合であっても、水圧を調整する必要がなく、誰でも簡単に設置をすることができる。
【0056】
また、本実施例の気液混合装置1は、気体引込管3の途中に気体流量調整部としての定流量弁10を備え、その下流側に圧力計11を備えているので、該圧力計11の示す値を参照することで、炭酸ガスGの使用状況や残量を把握することができるようになっている。すなわち、ガスボンベ7に炭酸ガスGの残量があり、且つガスボンベ7から湯水Wに対し炭酸ガスGが供給されない場合、圧力計11は一定の値を示すが、炭酸ガスGの供給が開始されると、その分だけ圧力計11の示す圧力値が低下するので、これにより、炭酸ガスGが供給されていることを確認することができる。シャワーヘッド等から湯水Wを供給する場合、該湯水Wに気体Gが混合されているかどうか、また、湯水Wに気体Gが混ざっているとして、その気体Gが炭酸ガスであるかどうかは、通常、湯水Wの状態から確認することは困難である。しかしながら、本実施例のように定流量弁10と圧力計11を気体引込管3に備えれば、湯水Wに炭酸ガスGが混合されていることを容易に確認することができるのである。
【0057】
また、ガスボンベ7は不透明な金属製であり、外から残量を確認することはできない。炭酸ガスGの残量がなくなれば、当然、湯水Wへの炭酸ガスGの供給は停止してしまうが、湯水Wの状態からは、炭酸ガスGが混合されているかどうかを確認することは上に述べたように困難である。これでは、ガスボンベ7の交換時期を簡単に把握することはできない。勿論、ガスボンベ7の重量を計測すれば可能ではあるが、確認のためにガスボンベ7を都度取り外す必要があり、面倒である。ところが、本実施例のように気体引込管3の途中に圧力計11が設けられていれば、炭酸ガスGの供給の停止を、圧力計11の示す圧力値がゼロになったことにより確認できる。こうして、炭酸ガスGの残量の有無、およびガスボンベ7の交換時期を簡便且つ適切に把握することができる。
【0058】
以上のように、上記本実施例の気液混合装置1は、液体Wが流通する流路の途中に気液混合部8を備え、該気液混合部8は、入側の流路および出側の流路より流路径を小さく設定され、前記入側の流路と前記出側の流路を結ぶ細径部8cと、液体Wが流通する流路の外側に一端が開口し、前記入側の流路に面するように他端が開口する気体導入路8dとを備え、該気体導入路8dは、一端に気体を供給する気体引込管3が接続され、他端に放散部9が接続され、該放散部9は、液体Wが流通する流路内に設置され、気体引込管3から引き込まれた気体Gを気泡として液体W中に放出する多孔質体9bを備えている。このようにすれば、コンパクトな構成の気液混合部8により、液体Wに対し気体Gを効率よく混合することができる。
【0059】
また、本実施例の気液混合装置1においては、気体導入路8dの一端が、気液混合部8の側面に開口している。このようにすれば、気液を混合するための構成をさらにコンパクトなものとすることができる。
【0060】
また、本実施例の気液混合装置1において、気液混合部8は、入側の流路を形成する入側部8aを備え、気体導入路8dの他端は、入側部8aの軸方向から見た正面の中央部に開口し、細径部8cは、気体導入路8dの他端を取り囲み、且つ気体導入路8dの位置を避けるように設けられている。このようにすれば、気液を混合するための構成をいっそうコンパクトなものとすることができる。
【0061】
また、本実施例の気液混合装置1においては、気体引込管3に、液体Wが流通する流路内の圧力を導く導圧流路12cと、該導圧流路12cの圧力に応じて動作する検圧部12aと、該検圧部12aの動作に応じ、気体引込管3により形成される流路を開閉する弁体12bとを備えた気体流路開閉弁12が設けられている。このようにすれば、気液混合部8内を液体Wが流れている間に限って、気液混合部8へ気体Gが供給される。
【0062】
また、本実施例の気液混合装置1において、気液混合部8は、液体Wが流通する流路の外側に一端が開口し、前記出側の流路に面するように他端が開口する液圧出力路8eを備え、該液圧出力路8eの一端は、導圧流路12cに接続されている。このようにすれば、液体Wの流通する流路に導圧流路12cを接続する液圧出力路8eを気液混合部8に設けることにより、圧力を気体流路開閉弁12に伝達するための構成をコンパクトなものとすることができる。
【0063】
また、本実施例の気液混合装置1において、気液混合部8は、出側の流路を形成する出側部8bを備え、液圧出力路8eの他端は、出側部8bの軸方向から見た正面の中央部に開口している。このようにすれば、圧力を気体流路開閉弁12に伝達するための構成をさらにコンパクトなものとすることができる。
【0064】
また、本実施例の気液混合装置1は、気体引込管3の途中に、気体Gの流量を調整する気体流量調整部10と、該気体流量調整部10の下流側に設けられ、気体引込管3を流通する気体Gの圧力を検出する圧力計11とを備えている。このようにすれば、圧力計11の示す値を参照することで、気体Gの使用状況や残量を把握することができる。
【0065】
また、本実施例の気液混合装置1において、液体Wは湯水としている。
【0066】
また、本実施例の気液混合装置1において、気体Gは炭酸ガスとしている。
【0067】
したがって、上記本実施例によれば、コンパクトな構成で液体に対し気体を効率よく混合し得る。
【0068】
尚、本発明の気液混合装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0069】
1 気液混合装置
3 気体引込管
8 気液混合部
8a 入側部
8b 出側部
8c 細径部
8d 気体導入路
8e 液圧出力路
9 放散部
9b 多孔質体
10 気体流量調整部(定流量弁)
11 圧力計
12 気体流路開閉弁
12a 検圧部
12b 弁体
12c 導圧流路
13 液体流量調整部(定流量弁)
G 気体(炭酸ガス)
W 液体(湯水)
図1
図2
図3
図4
図5