IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーソリューションズ株式会社の特許一覧

特許7350593無線通信装置取付台、及び取付台付無線通信装置
<>
  • 特許-無線通信装置取付台、及び取付台付無線通信装置 図1
  • 特許-無線通信装置取付台、及び取付台付無線通信装置 図2
  • 特許-無線通信装置取付台、及び取付台付無線通信装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】無線通信装置取付台、及び取付台付無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/38 20150101AFI20230919BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
H04B1/38
H05K5/02 B
H05K5/02 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019179930
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021057796
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】313006647
【氏名又は名称】セイコーソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096655
【弁理士】
【氏名又は名称】川井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100091225
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 均
(72)【発明者】
【氏名】上野 智弘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 勉
(72)【発明者】
【氏名】武田 和也
(72)【発明者】
【氏名】古屋 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】平山 一成
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-020559(JP,A)
【文献】特開2014-143485(JP,A)
【文献】特開2007-122619(JP,A)
【文献】特開2010-67631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/38
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の筐体内に内部アンテナが配設された通信回線用の無線通信装置を取り付ける無線通信装置取付台であって、
前記無線通信装置が平置き状態に固定される、長手方向に並んで形成された第1接合面と第2接合面を有する無線通信装置取付面と、
前記第1接合面と前記第2接合面との間に、前記第1接合面と前記第2接合面よりも低く形成された第1凹部と、
前記第1凹部を間において、前記無線通信装置取付面から所定離間だけ離間して対向配置され、前記無線通信装置の設置場所に固定される設置面と、
前記無線通信装置取付面の外周と前記設置面の外周の間に、前記第1凹部を避けて形成された側面部と、を具備し
前記無線通信装置取付面の前記第1接合面、前記第2接合面は、前記設置面から最も高い位置に形成されることで、前記第1接合面の外周縁全体と前記第2接合面の外周縁全体が開放端になっている、
ことを特徴とする無線通信装置取付台。
【請求項2】
平板状の筐体内に内部アンテナが配設された通信回線用の無線通信装置を取り付ける無線通信装置取付台であって、
前記無線通信装置が平置き状態に固定される、長手方向に並んで形成された第1接合面と第2接合面を有する無線通信装置取付面と、
前記第1接合面と前記第2接合面との間に、前記第1接合面と前記第2接合面よりも低く形成された第1凹部と、
前記第1凹部を間において、前記無線通信装置取付面から所定離間だけ離間して対向配置され、前記無線通信装置の設置場所に固定される設置面と、
前記無線通信装置取付面の外周と前記設置面の外周の間に、前記第1凹部を避けて形成された側面部と、を具備し
前記第1接合面は、短手方向に並んで形成された第1上面と第2上面を有し、
前記第2接合面は、短手方向に並んで形成された第3上面と第4上面を有し、
前記第1上面と前記第2上面との間、及び、前記第3上面と前記第4上面との間に形成された、前記第1上面、前記第2上面、前記第3上面、前記第4上面よりも低く形成された第2凹部、を有し、
前記第2凹部は、前記無線通信装置を縦置きした状態で厚さ部分が嵌挿可能な幅に形成され、
長手方向の両端側に配置され、前記無線通信装置を固定する固定爪を有する、
ことを特徴とする無線通信装置取付台。
【請求項3】
前記第1接合面は、短手方向に並んで形成された第1上面と第2上面を有し、
前記第2接合面は、短手方向に並んで形成された第3上面と第4上面を有し、
前記第1上面、前記第2上面、前記第3上面、前記第4上面には、前記無線通信装置を固定するねじを挿通するための貫通孔が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置取付台。
【請求項4】
前記第1接合面と前記第2接合面は、前記長手方向の両端部に形成されている、
ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の無線通信装置取付台。
【請求項5】
前記設置面は、前記無線通信装置取付面から、前記無線通信装置の内部アンテナが使用する電波のうち最も長い波長の12分の1以上離間して対向配置されている、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1の請求項に記載の無線通信装置取付台。
【請求項6】
前記設置面に配設された、前記設置場所に固定するための磁石と、
を有することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1の請求項に記載の無線通信装置取付台。
【請求項7】
前記第1接合面は、短手方向に並んで形成された第1上面と第2上面を有し、
前記第2接合面は、短手方向に並んで形成された第3上面と第4上面を有し、
前記第1上面と前記第2上面との間、及び、前記第3上面と前記第4上面との間に形成された、前記第1上面、前記第2上面、前記第3上面、前記第4上面よりも低く形成された第2凹部、を有する、
ことを特徴とする請求項1、請求項4から請求項のうちの何れか1の請求項に記載の無線通信装置取付台。
【請求項8】
前記第2凹部は、前記無線通信装置を縦置きした状態で厚さ部分が嵌挿可能な幅に形成され、
長手方向の両端側に配置され、前記無線通信装置を固定する固定爪を有する、
ことを特徴とする請求項に記載の無線通信装置取付台。
【請求項9】
請求項1から請求項のうちの何れか1の請求項に記載の無線通信装置取付台と、
前記無線通信装置取付台に取り付けられた前記無線通信装置と、
を有することを特徴とする取付台付無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置取付台、及び取付台付無線通信装置に関し、例えば、無線性能の確保と放熱性能の確保を両立するものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの利用が増大しており、無線中継器の需要が高まっている。
無線中継器は、ケーブルを配線する必要がないため、設置コストを低く抑えることができるほか、配線が困難な場所でも設置することができる。
このような中継器を設置する技術として次の特許文献1、2、3の技術がある。
【0003】
特許文献1の技術では、ケーブル類の整理及び省スペース化を実現するために、扁平な筒状の形状を有し底面部にコネクタが設けられた本体ハウジングをスタンドによって直立状態に保持するという構成を有している。
特許文献2の技術では、壁面に無線通信装置を無線通信性能を維持することができるように取り付けるため、ブラケット部材を壁面と無線通信装置の筐体との間に介挿させることで、所定距離だけ壁面から筐体を離間させて無線通信装置を壁面に固定している。
特許文献3の技術では、磁石を使用して無線子機の鉄製扉等への取り付けを容易にし、磁石、鉄製扉等による無線通信への影響も確実に防止するため、ブラケット部材に落とし込まれた磁石の磁力によって、無線子機を磁性体の壁面に固定している。
【0004】
しかし、特許文献1の技術は、本体ハウジングをスタンドによって直立状態に保持する構造であり、内蔵アンテナを本体下部に配置した場合、取付面の状況により良好な無線性能を保つことが困難であるという欠点を有していた。また、本体下部への放熱経路を遮断してしまうため、熱設計が厳しくなるという欠点を有していた。
特許文献2の技術は、棒状アンテナが壁面に沿う方向に延長する状態に取り付けられたときに限定されているため、内蔵アンテナを使用した場合の効果に関しては言及されていないという欠点を有していた。また、放熱に対する効果に関しては言及されていないという欠点を有していた。
特許文献3の技術は、鉄製扉に設置した際の磁石による無線通信への干渉抑制に限定されているため、汎用的な内蔵アンテナを使用した場合には適用できないという欠点を有していた。また、放熱に対する効果に関しては言及されていないという欠点を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-164808号公報
【文献】特開2008-92080号公報
【文献】特開2012-142894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、無線性能の確保と放熱性能の確保を両立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために、
(1)請求項1に記載の発明では、平板状の筐体内に内部アンテナが配設された通信回線用の無線通信装置を取り付ける無線通信装置取付台であって、前記無線通信装置が平置き状態に固定される、長手方向に並んで形成された第1接合面と第2接合面を有する無線通信装置取付面と、前記第1接合面と前記第2接合面との間に、前記第1接合面と前記第2接合面よりも低く形成された第1凹部と、前記第1凹部を間において、前記無線通信装置取付面から所定離間だけ離間して対向配置され、前記無線通信装置の設置場所に固定される設置面と、前記無線通信装置取付面の外周と前記設置面の外周の間に、前記第1凹部を避けて形成された側面部と、を具備し、前記無線通信装置取付面の前記第1接合面、前記第2接合面は、前記設置面から最も高い位置に形成されることで、前記第1接合面の外周縁全体と前記第2接合面の外周縁全体が開放端になっている、ことを特徴とする無線通信装置取付台を提供する。
(2)請求項2に記載の発明では、平板状の筐体内に内部アンテナが配設された通信回線用の無線通信装置を取り付ける無線通信装置取付台であって、前記無線通信装置が平置き状態に固定される、長手方向に並んで形成された第1接合面と第2接合面を有する無線通信装置取付面と、前記第1接合面と前記第2接合面との間に、前記第1接合面と前記第2接合面よりも低く形成された第1凹部と、前記第1凹部を間において、前記無線通信装置取付面から所定離間だけ離間して対向配置され、前記無線通信装置の設置場所に固定される設置面と、前記無線通信装置取付面の外周と前記設置面の外周の間に、前記第1凹部を避けて形成された側面部と、を具備し、前記第1接合面は、短手方向に並んで形成された第1上面と第2上面を有し、前記第2接合面は、短手方向に並んで形成された第3上面と第4上面を有し、前記第1上面と前記第2上面との間、及び、前記第3上面と前記第4上面との間に形成された、前記第1上面、前記第2上面、前記第3上面、前記第4上面よりも低く形成された第2凹部、を有し、前記第2凹部は、前記無線通信装置を縦置きした状態で厚さ部分が嵌挿可能な幅に形成され、長手方向の両端側に配置され、前記無線通信装置を固定する固定爪を有する、ことを特徴とする無線通信装置取付台を提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、前記第1接合面は、短手方向に並んで形成された第1上面と第2上面を有し、前記第2接合面は、短手方向に並んで形成された第3上面と第4上面を有し、前記第1上面、前記第2上面、前記第3上面、前記第4上面には、前記無線通信装置を固定するねじを挿通するための貫通孔が形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置取付台を提供する
(4)請求項4に記載の発明では、前記第1接合面と前記第2接合面は、前記長手方向の両端部に形成されている、ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の無線通信装置取付台を提供する。
(5)請求項5に記載の発明では、前記設置面は、前記無線通信装置取付面から、前記無線通信装置の内部アンテナが使用する電波のうち最も長い波長の12分の1以上離間して対向配置されている、ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1の請求項に記載の無線通信装置取付台を提供する。
(6)請求項6に記載の発明では、前記設置面に配設された、前記設置場所に固定するための磁石と、を有することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1の請求項に記載の無線通信装置取付台を提供する。
(7)請求項7に記載の発明では、前記第1接合面は、短手方向に並んで形成された第1上面と第2上面を有し、前記第2接合面は、短手方向に並んで形成された第3上面と第4上面を有し、前記第1上面と前記第2上面との間、及び、前記第3上面と前記第4上面との間に形成された、前記第1上面、前記第2上面、前記第3上面、前記第4上面よりも低く形成された第2凹部、を有する、ことを特徴とする請求項1、請求項4から請求項のうちの何れか1の請求項に記載の無線通信装置取付台を提供する。
(8)請求項8に記載の発明では、前記第2凹部は、前記無線通信装置を縦置きした状態で厚さ部分が嵌挿可能な幅に形成され、長手方向の両端側に配置され、前記無線通信装置を固定する固定爪を有する、ことを特徴とする請求項に記載の無線通信装置取付台を提供する。
(9)請求項9に記載の発明では、請求項1から請求項のうちの何れか1の請求項に記載の無線通信装置取付台と、前記無線通信装置取付台に取り付けられた前記無線通信装置と、を有することを特徴とする取付台付無線通信装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、取付台の形状によって無線性能の確保と放熱性能の確保を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】取付台を示した図である。
図2】中継器を取付台に設置したところを示した図である。
図3】中継器を取付台に設置したところを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)実施形態の概要
取付台1(図1)は、中継器2を平置き状態で固定する接合面10a~10dを備えている。
接合面10aと接合面10cの間、及び、接合面10bと接合面10dの間には、それぞれ、凹部6aと凹部6bが形成されており、接合面10aと接合面10bの間、及び、接合面10cと接合面10dの間には、それぞれ、凹部7aと凹部7bが形成されている。
中継器2を取付台1に平置き状態で固定すると、中継器2の裏面側に空間が形成されると共に、凹部6a、6bと凹部7a、7bが四方向に開口した空気の流通口となり、中継器2を効果的に冷却することができる。
更に、取付台1の介在により中継器2は、取付場所の取付面から離れた状態で固定されるため、取付面による電波干渉を抑制することができ、無線品質を高く維持することができる。
【0011】
(2)実施形態の詳細
図1は、本実施の形態に係る取付台1を示した図であり、図1(a)~(c)は、それぞれ、斜視図、正面図、底面図を示している。
取付台1は、無線通信装置を取り付ける無線通信装置取付台として機能する、大きさが175×50×25mm程度、重量が約65g程度の略直方体形状を有するスタンドである。
本実施の形態では、無線通信装置の一例として、無線中継器を取り付けるものとする。
取付台1の設置面18(図1(c)、取付台1の底面)は、略長方形状を有しており、図1(a)に示したように、長辺方向を長手方向、短辺方向を短手方向とし、設置面18から後述の中継器2を取り付ける面(上面)の方向を高さ方向とする。
取付台1は、無線通信装置との電波干渉を防止するため、樹脂(ポリカーボネイトなど)を素材として形成されている。
【0012】
取付台1に対する中継器2の設置形態には平置き状態での設置と縦置き状態での設置の2種類あり、まず、図2、3を用いてこれについて説明する。
図2は、中継器2を平置き状態にて取付台1に固定したところを示した図である。図2(a)~(c)は、それぞれ、斜視図、正面図、側面図を示している。
【0013】
中継器2(図2(a))は、大きさが145×100×28mm程度、重量が約270gの平板状の中継用の無線通信装置であって、筐体内に無線通信回線用の内部アンテナが配設されている。
中継器2は、例えば、ゲートウェイ装置であって、筐体内にLAN(local area network)に接続するためのアンテナと、WAN(wide area network)と接続するためのアンテナ(何れも図示せず)を備えているほか、長手方向の厚みを構成する側面に各種のケーブルと接続するためのポート群を備えている。
以下では、取付台1の平板状の面(面積の最も大きい面)について、取付台1に固定される面を裏面、これに対向する側の面を表面と呼ぶことにする。
【0014】
中継器2は、例えば、ATM(automatic teller machine)に設置されて、銀行のサーバとの通信を仲介したり、オフィスや工場に設置された端末をインターネットに無線接続したりする。
また、例えば、専用ポートとメガソーラパネルの制御装置を接続し、メガソーラーシステムを遠隔操作することも可能である。
【0015】
中継器2の表面は、長手方向片側の約半面に多数形成された通気口5を備えるほか、反対側の端部近傍にも、短手方向に一列に形成された通気口5を備えている。裏面にも、同様の通気口5が多数形成されている。
図示しないが、中継器2の内部の基板上に配置された半導体装置には、金属製の放熱板が取り付けられており、通気口5から出入りする気流によって当該放熱板が冷却される。
稼働中の半導体装置の温度は、放熱板で空冷をしていても摂氏80度程度に達し、これを如何に冷却し続けるかは、中継器2を安定的に運用する上で極めて重要である。
【0016】
平置き状態での設置では、取付台1は、中継器2の裏面の中央に、取付台1の長手方向と中継器2の長手方向を揃えて固定されている。
中継器2を取付台1に取り付けることにより、無線通信装置取付台と、当該無線通信装置取付台に取り付けられた無線通信装置と、を有する取付台付無線通信装置が構成される。
【0017】
平置き状態で設置した中継器2を取付台1の短手方向に見ると(図2(b))、取付台1に形成された後述の凹部6により、中継器2の裏面に短手方向の放熱路が形成される。
一方、これを取付台1の長手方向に見ると(図2(c))、取付台1に形成された後述の凹部7により、中継器2の裏面に長手方向の放熱路が形成される。
このように、中継器2の裏面には、長手方向、及び短手方向に開口した放熱空間が形成され、中継器2を効率的に冷却することができる。
また、中継器2の設置位置は、取付台1の高さ分だけ取付場所から浮いた位置となるため、取付場所による電波干渉を低減し、無線品質の劣化を抑制することができる。
【0018】
図3は、中継器2を縦置き状態にて取付台1に固定したところを示した斜視図である。
縦置き状態での固定では、取付台1の上面に長手方向に形成された溝(後述するように凹部7を長手方向に延設して形成される)に中継器2の長手方向端部を挿入してはめ込むことにより、取付台1に対して中継器2が固定される。
以上のように、中継器2は、取付台1に、平置き状態、又は縦置き状態にて取り付けることができるため、中継器2を設置する設置場所の広さや形状など、設置先の都合に応じて取付形態を選択することができる。
【0019】
次に、図1に戻って取付台1の構造について詳細に説明する。
図1(b)に示したように、取付台1の長手方向の両端部分には、取付台1の高さhの半分程度の厚さの長手方向に張り出した張出部12a、bが形成されている。
張出部12(張出部12a、12bを特に区別しない場合は、単に張出部12と記す、他の構成要素も同様とする)の短手方向の幅は、取付台1の幅と同じであり、長手方向の長さは、後述の貫通孔13と爪ボタン8(図1(a))を配置するのに必要な程度である。
【0020】
図1(a)に示したように張出部12の四隅には(即ち、取付台1の四隅には)、取付台1を設置場所のねじ孔にねじ止めするための貫通孔13a~13d(13aは図示せず)が高さ方向に形成されている。
貫通孔13には、ザグリが形成されており、ねじ止め時にねじ頭と張出部12との干渉を防ぐほか、ねじ頭が過度に突出しないようになっている。
【0021】
張出部12の長手方向内側には、中継器2の裏面を接合する接合面10a~10dが形成されている。
接合面10a~10dは、張出部12の上端面よりも高い高さh(図1(b))の位置に、設置面18(取付台1の底面)と平行に形成されている。
【0022】
接合面10a、10bは、長手方向の一方に配置され、接合面10c、10dは、長手方向他方に配置されており、接合面10は、無線通信装置が平置き状態に固定される、長手方向に並んで形成された第1接合面(接合面10a、10b)と第2接合面(接合面10c、10d)を有する無線通信装置取付面として機能している。
そして、第1接合面と第2接合面は、取付台1の長手方向の両端部(両端領域)に形成されている。
【0023】
接合面10a~10dには、それぞれねじを挿通する貫通孔14a~14dが形成されている。貫通孔14は、中継器2の裏面に形成されたねじ孔と同じ位置に形成されており、中継器2の裏面を接合面10に当接した状態で、図1(c)に示した裏面から貫通孔14にねじを挿通し、これを締めることにより、中継器2を取付台1にねじ止めすることができる。
【0024】
図1(b)に示したように、設置面18から接合面10までの高さはhに設定されており、中継器2を取付台1に平置きで設置すると、中継器2の裏面が取付台1の設置場所の取付面よりもhだけ高い位置となる。
高さhの値は、取付台1を金属面に設置した場合に、中継器2の内蔵アンテナの性能を電波干渉により劣化させない値に設定されており、中継器2が使用する最も低い無線周波数(即ち、最も長い波長λ)で決定され、おおむねλ/12以上確保するようになっている。この値は、実験によって求めたものであり、例えば、使用する最も低い無線周波数が800MHzの場合、波長λ=37.5cmなので、高さhとしてλ/12=3cm以上確保することになる。
このように、取付台1の設置面は、無線通信装置取付面から、無線通信装置の内部アンテナが使用する電波のうち最も長い波長の12分の1以上離間して対向配置されている。
【0025】
接合面10a、10cの間には、接合面10aから接合面10cに至るまで凹部6aが形成されており、接合面10b、10dの間には、接合面10bから接合面10dに渡って同じ形状の凹部6bが形成されている。
凹部6は、中継器2を平置き状態で設置した場合に中継器2の裏面に冷却用の空気を短手方向に流動させる開口部を形成する。このため、凹部6の底面は、なるべく長手方向に長く、かつ、接合面10よりも低い位置に形成されている。
【0026】
このように、取付台1は、第1接合面(接合面10a、10b)と第2接合面(接合面10c、10d)との間に、当該両接合面よりも低く形成された第1凹部(凹部6)を備えている。
また、凹部6bの外周(縁)から設置面18までは凹部6bを避けて側面19b(図1(b))が形成されている。対向する側には、同様に側面19aが形成されている。
このように、取付台1は、無線通信装置取付面の外周と設置面の外周の間に、当該第1凹部を避けて形成された側面部と、第1凹部を間において、無線通信装置取付面から所定離間(高さh)だけ離間して対向配置され、無線通信装置の設置場所に固定される設置面を備えている。
【0027】
更に、短手方向に並んだ接合面10aと接合面10bの間にも、凹部7aが形成されている。同様に、短手方向に並んだ接合面10cと接合面10dの間にも、凹部7bが形成されている。
凹部7a、7bは、中継器2を平置き状態で接合面10に取り付けた際に長手方向に冷却用の空気を流通させる開口部を構成する。
【0028】
このように、第1接合面(接合面10a、10b)は、短手方向に並んで形成された第1上面(接合面10a)と第2上面(接合面10b)を有し、第2接合面(接合面10c、10d)は、短手方向に並んで形成された第3上面(接合面10c)と第4上面(接合面10d)を有し、第1上面と第2上面との間、及び、第3上面と第4上面との間に形成された、各上面よりも低く形成された第2凹部(凹部7a、7b)、を有している。
【0029】
接合面10a、10b(即ち、第1接合面)から接合面10c、10d(即ち、第2接合面)に至る長手方向の領域には、中継器2を縦置きしたときに、中継器2の端部の厚さ部分を挿入して嵌合・把持する凹部7cが凹部7a、7bより延設されている。
このように、第2凹部(凹部7c)は、無線通信装置を縦置きした状態で厚さ部分が嵌挿可能な幅に形成されている。
【0030】
凹部7cの底面は、凹部6の底面よりも低い位置に形成されており、このため、凹部6は尾根状の稜線を形成している。
稜線の角部分は、丸みを帯びた形状に面取りされており、これによって冷却用の空気の気流が乱れないようになっている。
このように、凹部6の内側に、更に高さの低い凹部7cを形成することにより、中継器2を縦置きで収納できるほか、中継器2を平置き状態とした場合に、冷却用の空気が中継器2の裏面で対流する体積・空間を増やすことができ、冷却効果を高めることができる。
凹部7cの底面の厚さは、中継器2を縦置き・横置き状態で保持できる強度を確保しつつなるべく薄くしており、軽量化、材料費の低コスト化を図っている。
【0031】
凹部7aには、中継器2を縦置き状態で凹部7cに嵌挿した場合に、中継器2の厚さ方向の側面に形成された爪溝に係止して中継器2を取付台1に固定するための固定爪9aが形成されている。
固定爪9aは、凹部7cの領域に突出した爪先端部分と、凹部7aに固定され、爪先端部分を中継器2の爪溝に付勢する付勢部分から構成されている。
更に、付勢部分からは張出部12aの上の空間に爪ボタン8aが延設されている。
【0032】
固定爪9aの定位置は、爪先端部分が中継器2を係止して固定する閉じた状態となっており、爪ボタン8aを押下すると、てこの原理により付勢部分がたわんで爪先端部分が上方向に押し上げられ、係止を解除した開いた状態となる。
凹部7bにも同様の固定爪9bが形成され、張出部12bの上に爪ボタン8bが延設されている。
このように、取付台1は、長手方向の両端側に配置され、無線通信装置を固定する固定爪を有している。
【0033】
固定爪9の爪先端部分は、上面を斜面とし、下面を設置面18と平行な面としたくさび形となっている。
中継器2を縦置きで取付台1に固定する場合、中継器2を凹部7cに挿入すると、中継器2の厚さ部分側面が固定爪9のくさび形の斜面部分に当接して、これを押し広げる。
更に、中継器2を挿入すると、爪先端部分が中継器2の爪溝の位置に達した時点で、付勢部分の付勢力によって爪先端部分が爪溝部分にはまり込む。
以降、くさび形の下面の平行面の引っかかりによって、固定爪9が中継器2を下方に付勢することにより、中継器2は、取付台1に固定される。
【0034】
この際に、「カチッ」というような嵌まり音の発生と、爪先端部分が爪溝に落ち込む手応えにより、作業者は、中継器2が取付台1に正しく装着されたことを認識することができる。
一方、中継器2を取付台1から取り外す際には、爪ボタン8を押下して爪先端部分を上方向に押し上げて、爪先端部分の爪溝に対する引っかかりを解除しながら、中継器2を上方向に引き抜く。
【0035】
取付台1は、四隅に形成した貫通孔13の他に、凹部7cに形成した貫通孔25a、25b(図1(a))で設置場所にねじ止めすることもできる。
更に、設置面18(図1(c))には、例えば、ネオジム磁石で形成された磁石21が設置面18にねじ止めされている。
磁石21a、21bは、平板状に形成されており、同じ極性の磁極が設置面18と同一平面となるように設置されている。
このため設置場所の取付面が鉄板などの強磁性体で構成されている場合、取付台1を取付面に磁力で貼り付けて固定することができる。
磁石21は、取付台1の底面に設けられているため、中継器2と磁石21の間に距離を置くことができ、磁石21による電波干渉を低減することができる。
このように、取付台1は、金属面に設置する場合を考慮して、設置面に配設された、設置場所に固定するための磁石を備えている。
【0036】
以上に説明した実施の形態により、次のような効果を得ることができる。
(1)中継器2と取付面の間に取付台1を取り付けることにより、中継器2と取付面の間に間隔を確保できるので、内蔵アンテナ性能の劣化、即ち無線性能の劣化という不具合を解消することができる。
(2)取付台1に設けた凹部7、凹部6によって放熱路が確保できるため、中継器2の放熱性能が向上し、熱設計を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 取付台
2 中継器
5 通気口
6 凹部
7 凹部
8 爪ボタン
9 固定爪
10 接合面
12 張出部
13 貫通孔
14 貫通孔
18 設置面
19 側面
21 磁石
25 貫通孔
図1
図2
図3