(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】車両用バンパ、バンパ用部材およびバンパ用部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B60R 19/04 20060101AFI20230919BHJP
B60R 19/34 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
B60R19/04 M
B60R19/34
(21)【出願番号】P 2019187854
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【氏名又は名称】井上 彰文
(72)【発明者】
【氏名】清水 慧
(72)【発明者】
【氏名】石塚 正之
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-046053(JP,A)
【文献】特開2016-013788(JP,A)
【文献】特開2011-105183(JP,A)
【文献】特開2006-347073(JP,A)
【文献】特開2018-111378(JP,A)
【文献】特開2018-034741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/04
B60R 19/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1バンパ部材と、
上面視で前記第1バンパ部材に重なって配置される第2バンパ部材と、
前記第1バンパ部材および前記第2バンパ部材のうちの少なくとも一方を車体の骨格に対して支持し、衝突時の衝撃を吸収する衝撃吸収部材とを備え、
前記第1バンパ部材と前記第2バンパ部材とは、上面視での形状が互いに異な
り、それぞれ、長手方向の途中で前記長手方向にズレて配置された屈曲または湾曲した折り曲げ部を有し、
前記第1バンパ部材と前記第2バンパ部材とは、長手方向に沿って離間した複数の接合点で接合されており、
隣り合う2つの前記接合点の間では、前記第1バンパ部材および前記第2バンパ部材のうちの一方の部材は、他方の部材よりも車体の進行方向に関して前方に位置する、
ことを特徴とする車両用バンパ。
【請求項2】
前記隣り合う2つの接合点と、前記隣り合う2つの接合点の間の前記一方の部材および前記他方の部材とによりトラス構造をなす請求項1に記載の車両用バンパ。
【請求項3】
前記車体の
進行方向に関して前方から荷重が作用した際、
前記隣り合う2つ
の接合点の間で、前記一方の部材には、前記長手方向に沿った圧縮応力が作用し
、前記他方の部材には、前記長手方向に沿った引張り応力が作用する請求項
2に記載の車両用バンパ。
【請求項4】
前記衝撃吸収部材は、
前記隣り合う2つの接合点の間で前記第1バンパ部材および前記第2バンパ部材の少なくとも一方を支持する請求項
1~3のいずれか1項に記載の車両用バンパ。
【請求項5】
前記第1バンパ部材および前記第2バンパ部材は、それぞれ、1本の管状体で構成される請求項1~
4のいずれか1項に記載の車両用バンパ。
【請求項6】
前記第1バンパ部材および前記第2バンパ部材は、それぞれ、外周部に突出し、前記長手方向に形成されたフランジ部を有する請求項
5に記載の車両用バンパ。
【請求項7】
前記第1バンパ部材および前記第2バンパ部材は、それぞれ、前記管状体を成形してなる加工物である請求項5または
6に記載の車両用バンパ。
【請求項8】
前記衝撃吸収部材は、前記第1バンパ部材および前記第2バンパ部材の双方を支持する請求項1~
7のいずれか1項に記載の車両用バンパ。
【請求項9】
第1バンパ部材と、
上面視で前記第1バンパ部材に重なって配置される第2バンパ部材とを備え、
前記第1バンパ部材と前記第2バンパ部材とは、上面視での形状が互いに異な
り、それぞれ、長手方向の途中で前記長手方向にズレて配置された屈曲または湾曲した折り曲げ部を有し、
前記第1バンパ部材と前記第2バンパ部材とは、長手方向に沿って離間した複数の接合点で接合されており、
隣り合う2つの前記接合点の間では、前記第1バンパ部材および前記第2バンパ部材のうちの一方の部材は、他方の部材よりも車体の進行方向に関して前方に位置する、
ことを特徴とするバンパ用部材。
【請求項10】
前記第1バンパ部材および前記第2バンパ部材は、それぞれ、外周部に突出し、前記長手方向に形成されたフランジ部を有する請求項
9に記載のバンパ用部材。
【請求項11】
請求項
10に記載のバンパ用部材を製造する方法であって、
前記第1バンパ部材および前記第2バンパ部材の母材となる、横断面形状が円形の管状体に対して、外側および内側から力を付与して成形し、横断面形状が非円形のパイプ部と、該パイプ部の外周側から突出したフランジ部とを形成することを特徴とするバンパ用部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用バンパ、バンパ用部材およびバンパ用部材の製造方法
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の前後には、それぞれ、衝突時の衝撃を受けるバンパが設けられている。バンパとしては、例えば、車幅方向に延びるバンパリンフォースメントと、バンパリンフォースメントを自動車車体に対して支持するバンパ支持構造とを備えるバンパが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のバンパでは、バンパリンフォースメントは、上下に重ねて配置され、互いに接合された上側の強度構成部位と下側の強度構成部位とを有する。上側の強度構成部位および下側の強度構成部位には、共通の部材が用いられている。従って、上側の強度構成部位と下側の強度構成部位とは、上面視での外形形状が同じとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のバンパでは、前記のように上側の強度構成部位と下側の強度構成部位とが外形形状が同じであるため、衝撃の程度によっては、各強度構成部位が一括して同じように折れ曲がったり、破断したりしてしまい、その結果、バンパ支持構造まで衝撃が伝達されず、バンパ支持構造で十分に衝撃を吸収することができないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、衝突時の衝撃を衝撃吸収部材に十分に伝達することができる車両用バンパ、バンパ用部材、および、かかるバンパ用部材を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用バンパの一つの態様は、第1バンパ部材と、上面視で前記第1バンパ部材に重なって配置される第2バンパ部材と、前記第1バンパ部材および前記第2バンパ部材のうちの少なくとも一方を車体の骨格に対して支持し、衝突時の衝撃を吸収する衝撃吸収部材とを備え、前記第1バンパ部材と前記第2バンパ部材とは、上面視での形状が互いに異なり、それぞれ、長手方向の途中で前記長手方向にズレて配置された屈曲または湾曲した折り曲げ部を有し、前記第1バンパ部材と前記第2バンパ部材とは、長手方向に沿って離間した複数の接合点で接合されており、隣り合う2つの前記接合点の間では、前記第1バンパ部材および前記第2バンパ部材のうちの一方の部材は、他方の部材よりも車体の進行方向に関して前方に位置する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明のバンパ用部材の一つの態様は、第1バンパ部材と、上面視で前記第1バンパ部材に重なって配置される第2バンパ部材とを備え、前記第1バンパ部材と前記第2バンパ部材とは、上面視での形状が互いに異なり、それぞれ、長手方向の途中で前記長手方向にズレて配置された屈曲または湾曲した折り曲げ部を有し、前記第1バンパ部材と前記第2バンパ部材とは、長手方向に沿って離間した複数の接合点で接合されており、隣り合う2つの前記接合点の間では、前記第1バンパ部材および前記第2バンパ部材のうちの一方の部材は、他方の部材よりも車体の進行方向に関して前方に位置する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明のバンパ用部材の製造方法の一つの態様は、本発明のバンパ用部材を製造する方法であって、前記第1バンパ部材および前記第2バンパ部材の母材となる、横断面形状が円形の管状体に対して、外側および内側から力を付与して成形し、横断面形状が非円形のパイプ部と、該パイプ部の外周側から突出したフランジ部とを形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車両用バンパおよびバンパ用部材によれば、上面視での第1バンパ部材と第2バンパ部材との形状が互いに異なることにより、衝突時に双方のバンパ部材が同じように折り曲がったり、破断したりするが防止される。これにより、衝突時の衝撃を、少なくとも一方のバンパ部材を介して、衝撃吸収部材に十分に伝達することができる。
また、バンパ用部材の製造方法によれば、第1バンパ部材および第2バンパ部材がそれぞれフランジ部を有する部材となる。そして、第1バンパ部材および第2バンパ部材は、フランジ部を有する分、機械的強度が高まる。これにより、第1バンパ部材および第2バンパ部材は、衝突時の衝撃を衝撃吸収部材に十分に伝達することができるバンパ用部材となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の車両用バンパの第1実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1中の矢印A方向から見た図(上面図)である。
【
図4】
図4は、
図1に示す車両用バンパに対して、正面衝突試験を行った状態(衝突前)を順に示す上面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す車両用バンパに対して、正面衝突試験を行った状態(衝突中)を順に示す上面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す車両用バンパに対して、正面衝突試験を行った状態(衝突後)を順に示す上面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す車両用バンパに対して、オフセット衝突試験を行った状態(衝突前)を順に示す上面図である。
【
図8】
図8は、
図1に示す車両用バンパに対して、オフセット衝突試験を行った状態(衝突中)を順に示す上面図である。
【
図9】
図9は、
図1に示す車両用バンパに対して、オフセット衝突試験を行った状態(衝突後)を順に示す上面図である。
【
図10】
図10は、本発明の車両用バンパの第2実施形態を示す横断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の車両用バンパの第3実施形態を示す横断面図である。
【
図12】
図12は、
図11に示す車両用バンパが備える第1バンパ部材の製造過程を順に示す図(型開き状態を示す横断面図)である。
【
図13】
図13は、
図11に示す車両用バンパが備える第1バンパ部材の製造過程を順に示す図(型締め状態を示す横断面図)である。
【
図14】
図14は、本発明の車両用バンパの第4実施形態を示す横断面図である。
【
図15】
図15は、本発明の車両用バンパの第5実施形態を示す横断面図である。
【
図16】
図16は、本発明の車両用バンパの第6実施形態を示す上面図である。
【
図17】
図17は、本発明の車両用バンパの第7実施形態を示す上面図である。
【
図18】
図18は、本発明の車両用バンパの第8実施形態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の車両用バンパ、バンパ用部材およびバンパ用部材の製造方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の車両用バンパの第1実施形態を示す斜視図である。
図2は、
図1中の矢印A方向から見た図(上面図)である。
図3は、
図2中のB-B線断面図である。
図4は、
図1に示す車両用バンパに対して、正面衝突試験を行った状態(衝突前)を順に示す上面図である。
図5は、
図1に示す車両用バンパに対して、正面衝突試験を行った状態(衝突中)を順に示す上面図である。
図6は、
図1に示す車両用バンパに対して、正面衝突試験を行った状態(衝突後)を順に示す上面図である。
図7は、
図1に示す車両用バンパに対して、オフセット衝突試験を行った状態(衝突前)を順に示す上面図である。
図8は、
図1に示す車両用バンパに対して、オフセット衝突試験を行った状態(衝突中)を順に示す上面図である。
図9は、
図1に示す車両用バンパに対して、オフセット衝突試験を行った状態(衝突後)を順に示す上面図である。なお、以下では、説明の都合上、車両の全長方向をX軸方向、車両の車幅方向をY軸方向、車両の車高方向をZ軸方向とする。また、X軸方向正側を車両の前方、X軸方向負側を車両の後方、Y軸方向正側を車両の右方、Y軸方向負側を車両の左方、Z軸方向正側を車両の上方、Z軸方向負側を車両の下方とする。
【0013】
図1、
図2に示すように、車両用バンパ10は、自動車100のプラットフォーム(車体の骨格)110の前方に装着される。プラットフォーム110は、車体の骨格であり、例えば、フレームと、サスペンション、ステアリング等を有する。
なお、車両用バンパ10は、プラットフォーム110の前方に装着して用いられるのに限定されず、例えば、プラットフォーム110の後方、または、前方および後方の双方に装着して用いられてもよい。また、車両用バンパ10は、自動車100の他の各種の車両に装着して用いられてもよい。そして、車両の種類によっては、車両用バンパ10を車両の側方に装着してもよい。
【0014】
車両用バンパ10は、第1バンパ部材1と、第2バンパ部材2と、2つの衝撃吸収部材3とを備える。以下、各部の構成について説明する。
第1バンパ部材1および第2バンパ部材2は、それぞれ、例えば「バンパリンフォース」や「バンパビーム」と呼ばれるバンパ用部材であり、例えばX軸方向負側に向かった荷重(外力)、すなわち、X軸方向正側からの衝突時に生じる衝撃を受けることができる。また、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2は、それぞれ、1本の管状体で構成されている。これにより、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2は、それぞれ、例えば複数の部材を接合してなる管状体(接合体)で構成されている場合よりも、外力に対する機械的強度が高まる。
【0015】
図3に示すように、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2は、それぞれ、各角部が丸みを帯びた正方形の横断面形状を有する。この場合、管状体としては、例えば、押出成形により成形された角形鋼管を用いたり、円形鋼管を母材として成形して得られた角形鋼管を用いたりすることができる。なお、管状体は、例えば、Fe-C系合金で構成されている。
【0016】
第1バンパ部材1および第2バンパ部材2は、それぞれ、XY平面と平行に配置されており、上面視で、すなわち、Z軸方向正側(鉛直上方)から見たとき、互いに重なっている。本実施形態では、第1バンパ部材1が上側に配置され、第2バンパ部材2が下側に配置されているが、上下関係については、これに限定されず、逆転していてもよい、すなわち、第1バンパ部材1が下側に配置され、第2バンパ部材2が上側に配置されていてもよい。
【0017】
第1バンパ部材1と第2バンパ部材2とは、上面視での形状が互いに異なる。本実施形態では、第1バンパ部材1は、Y軸方向負側から順に形成された、左側直線状部11と、左側折り曲げ部(折り曲げ部)12と、中央直線状部13と、右側折り曲げ部(折り曲げ部)14と、右側直線状部15とを有する。一方、第2バンパ部材2は、Y軸方向負側から順に形成された、左側直線状部21と、左側折り曲げ部(折り曲げ部)22と、中央直線状部23と、右側折り曲げ部(折り曲げ部)24と、右側直線状部25とを有する。
【0018】
第1バンパ部材1では、左側折り曲げ部12と右側折り曲げ部14とは、左右対称に配置されており、第1バンパ部材1の長手方向の途中が屈曲または湾曲した部分となっている。また、左側折り曲げ部12での曲げ角度θ12と、右側折り曲げ部14での曲げ角度θ14とは、同じ大きさである。
【0019】
左側折り曲げ部12と右側折り曲げ部14との間には、中央直線状部13が配置されている。中央直線状部13は、Y軸方向と平行な直線状をなす部分であり、第1バンパ部材1の中で最も前側に位置する。
左側直線状部11は、左側折り曲げ部12から左側へ直線状に延びる部分である。また、右側直線状部15は、右側折り曲げ部14から右側へ直線状に延びる部分である。左側直線状部11の全長と、右側直線状部15のの全長とは、同じ長さである。
【0020】
第2バンパ部材2では、左側折り曲げ部22と右側折り曲げ部24とは、右対称に配置されており、第2バンパ部材2の長手方向の途中が屈曲または湾曲した部分となっている。また、左側折り曲げ部22での曲げ角度θ22と、右側折り曲げ部24での曲げ角度θ24とは、同じ大きさであり、曲げ角度θ12および曲げ角度θ14よりも小さい。
【0021】
左側折り曲げ部22と右側折り曲げ部24との間には、中央直線状部23が配置されている。中央直線状部23は、Y軸方向と平行な直線状をなす部分であり、第2バンパ部材2の中で最も前側に位置する。また、中央直線状部23の全長は、中央直線状部13の全長よりも長い。
【0022】
左側直線状部21は、左側折り曲げ部22から左側へ直線状に延びる部分である。また、右側直線状部25は、右側折り曲げ部24から右側へ直線状に延びる部分である。左側直線状部21の全長と、右側直線状部25の全長とは、同じ長さであり、左側直線状部21および右側直線状部25の各全長よりも短い。
【0023】
また、第1バンパ部材1と第2バンパ部材2とは、長手方向に沿って離間した複数の接合点(接合箇所)9で接合されている。本実施形態では、接合点9として、Y軸方向負側から順に、接合点9Aと、接合点9Bと、接合点9Cとがある。なお、第1バンパ部材1と第2バンパ部材2とを接合する方法としては、特に限定されないが、例えば、アーク溶接等の各種溶接による方法、ボルトとナットとを用いた締結による方法等が挙げられる。
【0024】
接合点9Aは、第1バンパ部材1の左側直線状部11の左端部と、第2バンパ部材2の左側直線状部21の左端部とが重なって接合された部分である。
接合点9Bは、第1バンパ部材1の中央直線状部13と、第2バンパ部材2の中央直線状部23とが重なって接合された部分である。接合点9Bには、第1バンパ部材1の左側折り曲げ部12の一部と、右側折り曲げ部14の一部とが含まれていてもよい。
【0025】
接合点9Cは、第1バンパ部材1の右側直線状部15の右端部と、第2バンパ部材2の右側直線状部25の右端部とが重なって接合された部分である。
また、隣り合う2つの接合点9の間、すなわち、接合点9Aと接合点9Bとの間と、接合点9Bと接合点9Cとの間では、いずれも、第2バンパ部材2(一方の部材)は、第1バンパ部材1(他方の部材)よりも自動車100の進行方向前方に位置する。
【0026】
以上のように、第1バンパ部材1と第2バンパ部材2とは、上面視での形状が互いに異なる。また、第1バンパ部材1と第2バンパ部材2とは、複数の接合点9で互いに接合されており、隣り合う接合点9同士間で上記の位置関係を有する。これにより、車両用バンパ10では、第1バンパ部材1における左側折り曲げ部12および右側折り曲げ部14と、第2バンパ部材2における左側折り曲げ部22および右側折り曲げ部24とは、長手方向にズレて配置された状態となる。その結果、車両用バンパ10は、第1バンパ部材1と第2バンパ部材2との間でトラス構造をなす(
図2参照)。トラス構造は、後述するように、例えばX軸方向負側に向かった荷重(外力)が作用しても、第1バンパ部材1と第2バンパ部材2とには、長手方向に沿った圧縮応力σ
1かまたは引張り応力σ
2しか作用せず(発生せず)、曲げモーメントを受け難くなっている。これにより、第1バンパ部材1と第2バンパ部材2とは、不本意な変形等が防止される。
【0027】
各衝撃吸収部材3は、X軸方向正側で、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2の双方をプラットフォーム110に対して支持する。前述したように、第1バンパ部材1と第2バンパ部材2とは、互いに接合されている。そのため、各衝撃吸収部材3は、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2のうちの少なくとも一方をプラットフォーム110に対して支持すればよい。
また、各衝撃吸収部材3は、X軸方向負側でプラットフォーム110の接続部120に接続される。これにより、車両用バンパ10がプラットフォーム110に装着された状態となる。
【0028】
本実施形態では、2つの衝撃吸収部材3は、Y軸方向(長手方向)に離間して配置される。これにより、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2の双方を安定して支持することができる。各衝撃吸収部材3は、配置箇所が異なること以外は、同じ構成であるため、以下、Y軸方向負側に位置する衝撃吸収部材3について代表的に説明する。
【0029】
衝撃吸収部材3は、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2に対し、X軸方向正側からの衝突時に荷重が作用する方向と反対側(X軸方向負側)に配置される。これにより、衝撃吸収部材3には、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2を介してX軸方向正側からの衝撃が伝達される。
【0030】
衝撃吸収部材3は、X軸方向正側からの衝突時の衝撃を吸収する中空の部材を有する。本実施形態では、衝撃吸収部材3は、X軸方向と平行な中心線O31を有する箱状体(クラッシュボックス)31で構成される。これにより、後述するように、衝撃吸収部材3は、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2を介してX軸方向正側から衝撃が伝達された際、主にX軸方向に収縮して容易に変形することができ、よって、当該衝撃を十分に吸収することができる。
【0031】
図2、
図3に示すように、箱状体31は、X軸方向正側の端面32がX軸方向にズレて2つ設けられている。これら2つの端面32のうちの一方の端面を「端面321」と言い、他方の端面を「端面322」と言う。端面321は、端面321よりもX軸方向負側に位置し、かつ、Z軸方向正側に位置する。
【0032】
箱状体31は、第1バンパ部材1に対しては、端面321が左側直線状部11の途中、すなわち、左側直線状部11の長手方向の中央部に当接し、第2バンパ部材2に対しては、端面321が左側折り曲げ部22に当接する。そして、各当接箇所が例えば溶接等により接合される。これにより、衝撃吸収部材3は、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2を一括して支持することができる。
衝撃吸収部材3の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の各種金属材料を用いることができる。
【0033】
車両用バンパ10の耐衝撃性を評価するのに際して、
図4~
図6に示すフルラップ前面衝突試験と、
図7~
図9に示すオフセット前面衝突試験とが行われることがある。フルラップ前面衝突試験は、自動車100を55km/hでコンクリー卜製の障壁(バリア)201に正面衝突させる試験である。オフセット前面衝突試験は、自動車100を64km/hでアルミニウム製のハニ力ム状をなすブロック202に運転席側の一部(オーバーラップ率25%)を前面衝突させる試験である。
【0034】
そして、
図4~
図6に示すフルラップ前面衝突試験を行った場合には、車両用バンパ10の中で、最も前側に位置する(障壁201に最も近い)部分、すなわち、第2バンパ部材2の左側折り曲げ部22と右側折り曲げ部24とが障壁201に衝突する。これにより、車両用バンパ10には、自動車100の前方からの荷重F1が作用する。また、前述したように第1バンパ部材1と第2バンパ部材2とがトラス構造をなしているため、荷重F1が作用した際、隣り合う接合点9Aと接合点9Bとの間で、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2のうちの第2バンパ部材2(一方の部材)には、長手方向に沿った圧縮応力σ
1が作用する。これに対し、第1バンパ部材1(他方の部材)には、長手方向に沿った引張り応力σ
2が作用する。
【0035】
同様に、接合点9Bと接合点9Cとの間でも、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2のうちの第2バンパ部材2(一方の部材)には、長手方向に沿った圧縮応力σ1が作用する。これに対し、第1バンパ部材1(他方の部材)には、長手方向に沿った引張り応力σ2が作用する。
【0036】
従って、第1バンパ部材1と第2バンパ部材2との間では、圧縮応力σ
1と引張り応力σ
2とが打ち消し合うことができる。これにより、例えば、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2のうちの少なくとも一方の部材が不本意に変形したり破断したりするのを防止することができる。その結果、衝突時の衝撃を、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2を介して、衝撃吸収部材3に十分かつ確実に伝達することができる。これにより、
図6に示すように、各衝撃吸収部材3は、主にX軸方向に収縮して容易に変形して、すなわち、潰れて、当該衝撃を十分に吸収することができる。
【0037】
また、
図7~
図9に示すオフセット前面衝突試験を行った場合には、車両用バンパ10の中で、ブロック202に最も近い部分、すなわち、第2バンパ部材2の右側直線状部25がブロック202に衝突する。これにより、車両用バンパ10には、自動車100の前方からの荷重F2が作用する。また、前述のトラス構造により、荷重F2が作用した際、隣り合う接合点9Bと接合点9Cとの間で、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2のうちの第1バンパ部材1(一方の部材)には、長手方向に沿った圧縮応力σ
1が作用する。これに対し、第2バンパ部材2(他方の部材)には、長手方向に沿った引張り応力σ
2が作用する。
【0038】
従って、オフセット前面衝突試験を行った場合でも、第1バンパ部材1と第2バンパ部材2との間では、圧縮応力σ
1と引張り応力σ
2とが打ち消し合うことができる。これにより、フルラップ前面衝突試験を行った場合と同様に、衝突時の衝撃を、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2を介して、衝撃吸収部材3に十分かつ確実に伝達することができる。これにより、
図9に示すように、Y軸方向負側の衝撃吸収部材3は、主にX軸方向に収縮して容易に変形して、当該衝撃を十分に吸収することができる。
以上ように、車両用バンパ10を備える自動車100は、衝突時の安全性が向上する。
【0039】
<第2実施形態>
図10は、本発明の車両用バンパの第2実施形態を示す横断面図である。
以下、この図を参照して本発明の車両用バンパ、バンパ用部材およびバンパ用部材の製造方法の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、衝撃吸収部材3の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0040】
図10に示すように、本実施形態では、衝撃吸収部材3の箱状体31は、1つの端面32を有する。
また、衝撃吸収部材3は、箱状体31の他に、挟持部材33を備える。挟持部材33は、上側に位置する上側挟持片331と、下側に位置し、上側挟持片331に対向する下側挟持片332と、上側挟持片331と下側挟持片332とを連結する連結部333とを有する。挟持部材33は、連結部333が箱状体31の端面32に当接して、例えば溶接等で接合されている。
【0041】
そして、挟持部材33は、上側挟持片331と下側挟持片332との間で、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2を上下方向から一括して挟持することができる。これにより、第1バンパ部材1を上側からも支持し、第2バンパ部材2を下側からも支持することができ、よって、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2に対する支持状態が安定する。この支持状態は、衝突時にもそのまま維持される。これにより、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2を介して、衝撃吸収部材3(箱状体31)に衝撃をより確実に伝達することができる。
【0042】
<第3実施形態>
図11は、本発明の車両用バンパの第3実施形態を示す横断面図である。
図12は、
図11に示す車両用バンパが備える第1バンパ部材の製造過程を順に示す図(型開き状態を示す横断面図)である。
図13は、
図11に示す車両用バンパが備える第1バンパ部材の製造過程を順に示す図(型締め状態を示す横断面図)である。
以下、これらの図を参照して本発明の車両用バンパ、バンパ用部材およびバンパ用部材の製造方法の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2の構成(横断面形状)が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0043】
図11に示すように、本実施形態では、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2は、それぞれ、横断面形状が非円形のリング状をなすパイプ部(リング状部)4と、パイプ部4の外周部から突出した2つフランジ部5とを有する構成となっている。以下、第1バンパ部材1での構成について代表的に説明する。
パイプ部4は、第1バンパ部材1の中で、フランジ部5よりも占有率(体積比率)が高い。
【0044】
各フランジ部5は、第1バンパ部材1の長手方向に沿って、第1バンパ部材1の全長にわたって板状に形成された突出片である。このフランジ部5は、第1バンパ部材1となる母材6が潰されて、母材6の管壁の一部同士が重なり合った重なり部となっている。また、2つのフランジ部5のうちの1つのフランジ部5(以下「フランジ部5A」と言う)の突出方向は、自動車100の衝突方向と反対のX軸方向負側に臨む。これにより、フランジ部5を幅方向に折れ曲げるのは極めて困難となり、第1バンパ部材1の機械的強度がさらに向上する。これにより、衝突時に第1バンパ部材1が不本意に折れ曲がるのを十分に防止または抑制することができる。
【0045】
また、第1バンパ部材1のフランジ部5Aと、第2バンパ部材2のフランジ部5Aとは、
図2の接合点9A、接合点9B、接合点9Cで重なった状態で接合されている。この接合方法としては、特に限定されず、例えば、溶接による方法を用いることができ、特に、スポット溶接を用いるのが好ましい。スポット溶接は、車体の骨格構造を組み立てる際に一般的に用いられる方法であり、当該スポット溶接を用いることにより、他の溶接方法を導入せずに、フランジ部5A同士を一括して迅速かつ容易に接合することができる。また、フランジ部5A同士が接合されることにより、第1バンパ部材1と第2バンパ部材2との全体としての機械的強度も向上する。
【0046】
第1バンパ部材1および第2バンパ部材2は、それぞれ、管状体で構成された母材6を成形してなる成形体、すなわち、加工物である。これにより、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2は、それぞれ、例えば複数の部材を接合した接合体で構成されている場合よりも、機械的強度が高まる。
以下、代表的に第1バンパ部材1を製造する方法について説明する。この製造方法では、成形装置8を用いる。
図12、
図13に示すように、成形装置8は、上金型81と、下金型82と、気体供給部83と、加熱部84と、冷却部85と、駆動部86と、制御部87とを備える。
【0047】
下金型82は、固定され、上金型81は、下金型82に対して接近、離間可能に支持される。
図12に示すように、上金型81と下金型82とは、型開き状態で、上金型81と下金型82との間に母材6を配置することができる。また、
図13に示すように、上金型81と下金型82とは、型締め状態で、パイプ部4を形成する第1キャビティ88と、フランジ部5を形成する第2キャビティ89とを画成することができる。
【0048】
気体供給部83は、母材6内に高圧空気を供給する。これにより、型締め状態での母材6の過剰な潰れを防止することができる。気体供給部83の構成としては、特に限定されず、例えば、コンプレッサを有する構成とすることができる。
加熱部84は、母材6を加熱する。加熱部84の構成としては、特に限定されず、例えば、母材6に電気的に接続される2つの電極と、これらの電極間に電圧を印可する電圧印加部とを有する構成とすることができる。これにより、母材6を通電状態として、母材6を加熱して軟化させることができる。
【0049】
冷却部85は、第1バンパ部材1(母材6)を急冷却する。冷却部85の構成としては、特に限定されず、例えば、上金型81および下金型82にそれぞれ設けられ、冷媒が通過する流路を有する構成とすることができる。そして、冷媒が流路を通過した際、上金型81および下金型82ごと、第1バンパ部材1を急冷却することができる。なお、冷媒は、液体、気体いずれでもよい。
【0050】
駆動部86は、上金型81を移動させて、上金型81を下金型82に対して接近、離間させることができる。これにより、型開き状態と、型締め状態とを切り換えることができる。駆動部86の構成としては、特に限定されず、例えば、モータと、モータに接続されたボールねじと、ボールねじに接続されたリニアガイドとを有する構成とすることができる。
制御部87は、気体供給部83、加熱部84、冷却部85、駆動部86の作動を制御する。制御部87の構成としては、特に限定されず、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、各種メモリとを有する構成とすることができる。
【0051】
成形装置8は、以下のように作動する。
まず、
図12に示すように、上金型81と下金型82とを型開き状態として、上金型81と下金型82との間に母材6を配置する。
次いで、型開き状態のまま、加熱部84を作動させる。これにより、母材6を軟化させることができる。
【0052】
次いで、上金型81を下金型82に接近させた状態とする。この状態は、
図13に示す型締め状態には至らず、上金型81と下金型82との間に隙間が形成された状態である。そして、気体供給部83を作動させて、1次ブローを行う。これにより、上金型81と下金型82との間の前記隙間に母材6の一部が膨出して入り込む。
【0053】
次いで、
図13に示す型締め状態として、気体供給部83を作動させて、2次ブローを行う。これにより、母材6は、第1バンパ部材1の形状に向かって変形することができる、すなわち、パイプ部4とフランジ部5とを有する第1バンパ部材1となる。
【0054】
次いで、冷却部85を作動させて、第1バンパ部材1を急冷却する。これにより、第1バンパ部材1では、オーステナイトがマルテンサイトに変態する。
次いで、再度型開き状態として、第1バンパ部材1を取り出す。その後、第1バンパ部材1を所望の長さに切断して、車両用バンパ10に用いることができる。
このようにして成形された第1バンパ部材1(バンパ部材)は、閉断面であり、途中で切れ目が無く、連続した形状となっているので強度が強い。さらに別途溶接などをせずにフランジ部5を形成できるので、第1バンパ部材1として適した構造を有する。
【0055】
<第4実施形態>
図14は、本発明の車両用バンパの第4実施形態を示す横断面図である。
以下、この図を参照して本発明の車両用バンパ、バンパ用部材およびバンパ用部材の製造方法の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2の構成(横断面形状)が異なること以外は前記第3実施形態と同様である。
【0056】
図14に示すように、本実施形態では、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2は、それぞれ、1のフランジ部5とを有する構成となっている。この構成は、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2の機械的強度を、前記第3実施形態よりも低下させてもよい場合に有効な構成となる。
【0057】
<第5実施形態>
図15は、本発明の車両用バンパの第5実施形態を示す横断面図である。
以下、この図を参照して本発明の車両用バンパ、バンパ用部材およびバンパ用部材の製造方法の第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、第2バンパ部材2のフランジ部5の突出方向が異なること以外は前記第4実施形態と同様である。
【0058】
図15に示すように、本実施形態では、第2バンパ部材2のフランジ部5は、Z軸方向負側に向かって突出している。この構成は、例えば、第2バンパ部材2の機械的強度を、前記第4実施形態よりも低下させてもよい場合に有効な構成となる。
【0059】
<第6実施形態>
図16は、本発明の車両用バンパの第6実施形態を示す上面図である。
以下、この図を参照して本発明の車両用バンパ、バンパ用部材およびバンパ用部材の製造方法の第6実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2の上面視での形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0060】
図16に示すように、本実施形態では、第1バンパ部材1の上面視での形状は、Y軸方向に沿った直線状をなす。
第2バンパ部材2の上面視での形状は、長手方向の途中の1箇所、すなわち、長手方向の中央部26が屈曲または湾曲した形状をなす。また、第2バンパ部材2の各端部27は、それぞれ、第1バンパ部材1上の異なる位置に接合され、当該接合された部分が接合点9となる。
このような構成により、第1バンパ部材1と第2バンパ部材2とは、上面視での形状が互いに異なり、よって、第1実施形態と同様に、衝突時の衝撃を衝撃吸収部材3に十分に伝達することができる。
【0061】
<第7実施形態>
図17は、本発明の車両用バンパの第7実施形態を示す上面図である。
以下、この図を参照して本発明の車両用バンパ、バンパ用部材およびバンパ用部材の製造方法の第7実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、第2バンパ部材2の上面視での形状が異なること以外は前記第6実施形態と同様である。
【0062】
図17に示すように、本実施形態では、第2バンパ部材2の上面視での形状は、楕円弧状をなす。これにより、第1バンパ部材1と第2バンパ部材2とは、上面視での形状が互いに異なり、よって、第6実施形態と同様に、衝突時の衝撃を衝撃吸収部材3に十分に伝達することができる。
【0063】
<第8実施形態>
図18は、本発明の車両用バンパの第8実施形態を示す上面図である。
以下、この図を参照して本発明の車両用バンパ、バンパ用部材およびバンパ用部材の製造方法の第8実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、第1バンパ部材1および第2バンパ部材2の上面視での形状が異なること以外は前記第6実施形態と同様である。
【0064】
図18に示すように、本実施形態では、第1バンパ部材1の上面視での形状は、長手方向の途中の2箇所が同方向に屈曲または湾曲した形状をなす。
第2バンパ部材2の上面視での形状は、中央部26の他に、さらに中央部26の両側で、中央部26と反対方向に屈曲または湾曲した形状をなす。また、第2バンパ部材2は、4つの接合点9で第1バンパ部材1と接合されている。
このような構成により、第1バンパ部材1と第2バンパ部材2とは、上面視での形状が互いに異なり、よって、第6実施形態と同様に、衝突時の衝撃を衝撃吸収部材3に十分に伝達することができる。
【0065】
以上、本発明の車両用バンパを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、車両用バンパを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の車両用バンパは、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0066】
また、第1バンパ部材1における折り曲げ部の形成数については、各実施形態での形成に数に限定されない。同様に、第2バンパ部材2における折り曲げ部の形成数についても、各実施形態での形成に数に限定されない。
【符号の説明】
【0067】
10 車両用バンパ
1 第1バンパ部材
11 左側直線状部
12 左側折り曲げ部(折り曲げ部)
13 中央直線状部
14 右側折り曲げ部(折り曲げ部)
15 右側直線状部
2 第2バンパ部材
21 左側直線状部
22 左側折り曲げ部(折り曲げ部)
23 中央直線状部
24 右側折り曲げ部(折り曲げ部)
25 右側直線状部
26 中央部
27 端部
3 衝撃吸収部材
31 箱状体(クラッシュボックス)
32 端面
321 端面
322 端面
33 挟持部材
331 上側挟持片
332 下側挟持片
333 連結部
4 パイプ部(リング状部)
5 フランジ部
5A フランジ部
6 母材
8 成形装置
81 上金型
82 下金型
83 気体供給部
84 加熱部
85 冷却部
86 駆動部
87 制御部
88 第1キャビティ
89 第2キャビティ
9 接合点
9A 接合点
9B 接合点
9C 接合点
100 自動車
110 プラットフォーム
120 接続部
201 障壁(バリア)
202 ブロック
F1 荷重
F2 荷重
O31 中心軸
θ12 曲げ角度
θ14 曲げ角度
θ22 曲げ角度
θ24 曲げ角度
σ1 圧縮応力
σ2 引張り応力