IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルパイン株式会社の特許一覧

特許7350620ビデオ変換装置及びタッチパネル付表示装置
<>
  • 特許-ビデオ変換装置及びタッチパネル付表示装置 図1
  • 特許-ビデオ変換装置及びタッチパネル付表示装置 図2
  • 特許-ビデオ変換装置及びタッチパネル付表示装置 図3
  • 特許-ビデオ変換装置及びタッチパネル付表示装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】ビデオ変換装置及びタッチパネル付表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/92 20060101AFI20230919BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20230919BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20230919BHJP
   H04N 5/926 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
H04N5/92
G09G5/00 510H
G06F3/041 512
G06F3/041 522
G09G5/00 520V
H04N5/926
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019195301
(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公開番号】P2021069087
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】岡田 広樹
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-536285(JP,A)
【文献】特表2009-509203(JP,A)
【文献】特開2018-045283(JP,A)
【文献】特表2014-529835(JP,A)
【文献】特開2015-141555(JP,A)
【文献】特開2007-157249(JP,A)
【文献】特開2017-198892(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0198153(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/91-5/956
G09G 5/00
G06F 3/041
H04N 5/76-5/775
H04N 5/80-5/907
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオデータのレートを変換するビデオ変換装置であって、
FIFOと、
第1のレートのビデオデータの前記FIFOへの書き込みと、前記FIFOからの第2のレートでのビデオデータの読み出しを行うW/R制御動作を行うFIFO制御手段と、
スタートトリガ制御値を設定するスタートトリガ設定手段とを有し、
前記FIFO制御手段は、前記W/R制御動作において、ビデオデータの前記FIFOへの書き込みを開始した後に、前記FIFOに格納されているビデオデータの残量が、前記スタートトリガ制御値に達したならば、前記FIFOからのビデオデータの読み出しを開始し、
前記スタートトリガ設定手段は、当該ビデオ変換装置の起動時に、前記FIFO制御手段に、k(但し、kは1以上の整数)フレーム分のビデオデータの前記FIFOへの書込と読み出しを行う前記W/R制御動作を行わせる共に、当該W/R制御動作によって前記FIFOに書き込んだビデオデータ量から前記FIFOから読み出したビデオデータ量を減じた値を監視し、当該値の最大値が所定の適正範囲の上限より大きい場合に前記スタートトリガ制御値を減少し、当該値の最小値が前記適正範囲の下限より小さい場合に前記スタートトリガ制御値を増加するスタートトリガ制御値更新動作を、当該値の最大値と最小値が前記適正範囲内となるまで繰り返し行うスタートトリガ制御値調整処理を行うことを特徴とするビデオ変換装置。
【請求項2】
請求項1記載のビデオ変換装置であって、
前記適正範囲は、前記FIFOのオーバーフローとアンダーフローとの双方が発生しない範囲であることを特徴とするビデオ変換装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のビデオ変換装置であって、
前記スタートトリガ設定手段は、前記スタートトリガ制御値更新動作において、当該値の最大値が所定の適正範囲の上限より大きい場合に、当該最大値と前記適正範囲の上限との差が大きいほど減少量が大きくなるように前記スタートトリガ制御値を減少し、当該値の最小値と前記適正範囲の下限との差が大きいほど増加量が大きくなるように前記スタートトリガ制御値を増加することを特徴とするビデオ変換装置。
【請求項4】
ビデオデータのレートを変換するビデオ変換装置であって、
FIFOと、
第1のレートのビデオデータの前記FIFOへの書き込みと、前記FIFOからの第2のレートでのビデオデータの読み出しを行うW/R制御動作を行うFIFO制御手段と、
スタートトリガ制御値を設定するスタートトリガ設定手段とを有し、
前記FIFO制御手段は、前記W/R制御動作において、ビデオデータの前記FIFOへの書き込みを開始した後に、前記FIFOに格納されているビデオデータの残量が、前記スタートトリガ制御値に達したならば、前記FIFOからのビデオデータの読み出しを開始し、
前記スタートトリガ設定手段は、当該ビデオ変換装置の起動時に、前記FIFO制御手段に、k(但し、kは1以上の整数)フレーム分のビデオデータの前記FIFOへの書込と読み出しを行う前記W/R制御動作を行わせる共に、当該W/R制御動作によって前記FIFOのオーバーフローが発生したかどうかと前記FIFOのアンダーフローが発生したかどうかを監視し、オーバーフローが発生した場合に前記スタートトリガ制御値を減少し、アンダーフローが発生した場合に前記スタートトリガ制御値を増加するスタートトリガ制御値更新動作を、前記FIFOのオーバーフローとアンダーフローの双方が発生しなくなるまで繰り返し行うスタートトリガ制御値調整処理を行うことを特徴とするビデオ変換装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載のビデオ変換装置であって、
前記スタートトリガ設定手段は、当該ビデオ変換装置の起動時に加え、前記FIFOに書き込むビデオデータの当該ビデオ変換装置への出力元が変化したときにも、前記スタートトリガ制御値調整処理を行うことを特徴とするビデオ変換装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5記載のビデオ変換装置と、タッチパネルと、表示装置と、前記タッチパネルの被検出体の接触もしくは接近の有無を走査する動作であるスキャン動作を制御するタッチパネル制御部とを備えたタッチパネル付表示装置であって、
前記ビデオ変換装置は、前記FIFOに書き込むビデオデータである入力ビデオデータのフレーム周期と等しい時間長の周期であって、1周期が、垂直ブランキング期間と、入力ビデオデータのライン数と同数の、入力ビデオデータの水平周期よりも時間長の短い表示更新用水平期間と、前後の期間が前記表示更新用水平期間である表示更新中断期間とよりなる周期であるフレーム更新周期の各々の、各表示更新用水平期間において、前記FIFOから1ライン分のビデオデータを読み出して表示装置に出力することにより、表示装置に表示映像の各ラインの表示を順次更新させ、表示更新中断期間において、前記FIFOからのビデオデータの読み出しと表示装置への出力を中断して表示装置に表示映像の更新を中断させ、
前記タッチパネル制御部は、少なくとも、各フレーム更新周期の前記垂直ブランキング期間と前記表示更新中断期間に前記タッチパネルにスキャン動作を行わせると共に、前記表示更新用水平期間中の前記表示装置に表示映像のラインの表示を更新させている期間には前記タッチパネルのスキャン動作を停止することを特徴とするタッチパネル付表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオのレートを変換するビデオ変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビデオのレートを変換するビデオ変換装置としては、ビデオの画素レートや水平レートを変換して表示パネルに供給することにより、水平同期信号に同期して行われるタッチパネルの検出タイミングを、外乱ノイズの影響を受けないように変更する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
また、変換前のビデオのビデオデータをラインバッファやフレームバッファなどのFIFOとして機能するメモリに格納し、メモリからビデオデータを変換後のレートで読み出すことにより、ビデオのレートの変換を行う技術が広く用いられている(たとえば、特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-122125号公報
【文献】特開2005-250457号公報
【文献】特開平10-075423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
FIFOとして機能するメモリを用いてビデオのレートの変換を行う場合、メモリへのビデオデータの格納を開始した時点に対するビデオデータの読み出しを開始するタイミングを、メモリのオーバーフローやアンダーフローが生じないように定めた所定量のビデオデータがメモリに蓄積されたタイミングとする必要がある。
【0006】
一方で、変換前のビデオを出力する機器であるビデオソース毎に、ビデオの規格レートに対する異なる誤差や、ブランキング期間長の違いなどがあり、ビデオデータの読み出しを開始するタイミングを定める上述したビデオデータの所定量を固定すると、メモリのオーバーフローやアンダーフローが生じてしまうことがある。
【0007】
そこで、本発明は、FIFOとして機能するメモリを用いたビデオのレートの変換を、メモリのオーバーフローやアンダーフローが生じないように行うことができるビデオ変換装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題達成のために、本発明は、ビデオデータのレートを変換するビデオ変換装置に、FIFOと、第1のレートのビデオデータの前記FIFOへの書き込みと、前記FIFOからの第2のレートでのビデオデータの読み出しを行うW/R制御動作を行うFIFO制御手段と、スタートトリガ制御値を設定するスタートトリガ設定手段とを設けたものである。ここで、前記FIFO制御手段は、前記W/R制御動作において、ビデオデータの前記FIFOへの書き込みを開始した後に、前記FIFOに格納されているビデオデータの残量が、前記スタートトリガ制御値に達したならば、前記FIFOからのビデオデータの読み出しを開始する。また、前記スタートトリガ設定手段は、当該ビデオ変換装置の起動時に、前記FIFO制御手段に、k(但し、kは1以上の整数)フレーム分のビデオデータの前記FIFOへの書込と読み出しを行う前記W/R制御動作を行わせる共に、当該W/R制御動作によって前記FIFOに書き込んだビデオデータ量から前記FIFOから読み出したビデオデータ量を減じた値を監視し、当該値の最大値が所定の適正範囲の上限より大きい場合に前記スタートトリガ制御値を減少し、当該値の最小値が前記適正範囲の下限より小さい場合に前記スタートトリガ制御値を増加するスタートトリガ制御値更新動作を、当該値の最大値と最小値が前記適正範囲内となるまで繰り返し行うスタートトリガ制御値調整処理を行う。
【0009】
このようなビデオ変換装置によれば、起動時に、FIFOへのビデオデータの書き込みと読み出しを試験的に行って、FIFOに書き込んだビデオデータ量から前記FIFOから読み出したビデオデータ量を減じた値の最大値と最小値として表される前記FIFOのビデオデータの残量の変動範囲が適正範囲内となったかどうかに応じてスタートトリガ制御値を調整する処理を、FIFOのビデオデータの残量の変動範囲が適正範囲内の範囲となるまで繰り返し行うことにより、その時点で入力しているビデオデータに対してFIFOのビデオデータの残量の変動範囲を適正範囲内とすることのできるスタートトリガ制御値を設定するので、入力するビデオデータのレートやブランキング期間長の変動によらずに、FIFOのオーバーフローやアンダーフローの発生を抑止できる。
【0010】
ここで、このようなビデオ変換装置は、前記適正範囲は、前記FIFOのオーバーフローとアンダーフローとの双方が発生しない範囲としてもよい。
また、以上のビデオ変換装置は、前記スタートトリガ設定手段が、前記スタートトリガ制御値更新動作において、当該値の最大値が所定の適正範囲の上限より大きい場合に、当該最大値と前記適正範囲の上限との差が大きいほど減少量が大きくなるように前記スタートトリガ制御値を減少し、当該値の最小値と前記適正範囲の下限との差が大きいほど増加量が大きくなるように前記スタートトリガ制御値を増加するように構成してもよい。
【0011】
また、前記課題達成のために、本発明は、ビデオデータのレートを変換するビデオ変換装置に、FIFOと、第1のレートのビデオデータの前記FIFOへの書き込みと、前記FIFOからの第2のレートでのビデオデータの読み出しを行うW/R制御動作を行うFIFO制御手段と、スタートトリガ制御値を設定するスタートトリガ設定手段とを設けたものである。ここで、前記FIFO制御手段は、前記W/R制御動作において、ビデオデータの前記FIFOへの書き込みを開始した後に、前記FIFOに格納されているビデオデータの残量が、前記スタートトリガ制御値に達したならば、前記FIFOからのビデオデータの読み出しを開始し、前記スタートトリガ設定手段は、当該ビデオ変換装置の起動時に、前記FIFO制御手段に、k(但し、kは1以上の整数)フレーム分のビデオデータの前記FIFOへの書込と読み出しを行う前記W/R制御動作を行わせる共に、当該W/R制御動作によって前記FIFOのオーバーフローが発生したかどうかと前記FIFOのアンダーフローが発生したかどうかを監視し、オーバーフローが発生した場合に前記スタートトリガ制御値を減少し、アンダーフローが発生した場合に前記スタートトリガ制御値を増加するスタートトリガ制御値更新動作を、前記FIFOのオーバーフローとアンダーフローの双方が発生しなくなるまで繰り返し行うスタートトリガ制御値調整処理を行う。
【0012】
このようなビデオ変換装置によれば、起動時に、FIFOへのビデオデータの書き込みと読み出しを試験的に行って、FIFOのオーバーフローやアンダーフローの発生の有無に応じてスタートトリガ制御値を調整する処理を、FIFOのオーバーフローとアンダーフローの双方が発生しなくなるまで繰り返し、その時点で入力しているビデオデータに対してFIFOのオーバーフローとアンダーフローの双方が発生しないスタートトリガ制御値を設定するので、入力するビデオデータのレートやブランキング期間長の変動によらずに、FIFOのオーバーフローやアンダーフローの発生を抑止できる。
【0013】
ここで、以上のビデオ変換装置は、前記スタートトリガ設定手段において、当該ビデオ変換装置の起動時に加え、前記FIFOに書き込むビデオデータの当該ビデオ変換装置への出力元が変化したときにも、前記スタートトリガ制御値調整処理を行うように構成してもよい。
【0014】
このようにすることにより、起動後に、ビデオデータの当該ビデオ変換装置への出力元が変化して当該ビデオ変換装置に入力するビデオデータのレートやブランキング期間長が変動した場合にも、FIFOのオーバーフローやアンダーフローの発生を抑止することができる。
【0015】
また、併せて本発明は、以上のビデオ変換装置と、タッチパネルと、表示装置と、前記タッチパネルの被検出体の接触もしくは接近の有無を走査する動作であるスキャン動作を制御するタッチパネル制御部とを備えたタッチパネル付表示装置を提供する。ただし、このようなタッチパネル付表示装置において、前記ビデオ変換装置は、前記FIFOに書き込むビデオデータである入力ビデオデータのフレーム周期と等しい時間長の周期であって、1周期が、垂直ブランキング期間と、入力ビデオデータのライン数と同数の、入力ビデオデータの水平周期よりも時間長の短い表示更新用水平期間と、前後の期間が前記表示更新用水平期間である表示更新中断期間とよりなる周期であるフレーム更新周期の各々の、各表示更新用水平期間において、前記FIFOから1ライン分のビデオデータを読み出して表示装置に出力することにより、表示装置に表示映像の各ラインの表示を順次更新させ、表示更新中断期間において、前記FIFOからのビデオデータの読み出しと表示装置への出力を中断して表示装置に表示映像の更新を中断させる。また、前記タッチパネル制御部は、少なくとも、各フレーム更新周期の前記垂直ブランキング期間と前記表示更新中断期間に前記タッチパネルにスキャン動作を行わせると共に、前記表示更新用水平期間中の前記表示装置に表示映像のラインの表示を更新させている期間には前記タッチパネルのスキャン動作を停止する。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、FIFOとして機能するメモリを用いたビデオのレートの変換を、メモリのオーバーフローやアンダーフローが生じないように行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るタッチパネル付表示装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るタイミングジェネレータの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係るFIFOのライト/リードのタイミングを示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るスタートシーケンス制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係るタッチパネル付表示装置1の構成を示す。
図示するように、タッチパネル付表示装置1は、LCD11(液晶ディスプレイ11)、静電容量式のタッチパネル12、LCD11の表示動作を制御するLCDコントローラ13、タッチパネル12の座標検出動作を制御するタッチパネルコントローラ14、インタフェース15(IF15)、タッチパネル付表示装置1の全体の制御を行うコントローラ16を備えている。
【0019】
タッチパネル付表示装置1のインタフェース15は、タッチパネル付表示装置1を表示と座標入力に用いる装置であるホスト装置2と接続している。
そして、インタフェース15は、ホスト装置2から入力する映像データVをLCDコントローラ13に送る。
タッチパネルコントローラ14は、タッチパネル12のスキャン動作を行わせて、ユーザの指がタッチもしくは接近したタッチパネル12上の座標を検出し、検出した座標をコントローラ16に送る。タッチパネル12のスキャン動作とは、水平方向または垂直方向に並べた駆動線を順次駆動しながら、駆動した駆動線上の容量変化の分布を、駆動線と垂直方向に並べた検出線で検出する動作を、全駆動線について行う動作であり、タッチパネルコントローラ14は、スキャン動作で得られたタッチパネル12上の容量変化の2次元分布より、ユーザの指がタッチもしくは接近したタッチパネル12上の座標を検出する。
【0020】
そして、コントローラ16はタッチパネルコントローラ14から受け取った座標のデータDをインタフェース15を介してホスト装置2に送信する。
LCDコントローラ13は、LCD11の表示動作に必要な同期タイミング信号を生成すると共に、当該同期タイミング信号に同期して、映像データVに含まれるビデオデータのレートを変換したビデオデータをLCD11に供給することにより、LCD11に表示動作を行わせる。
【0021】
LCDコントローラ13は、ビデオIF131、映像処理部132、FIFO133、タイミングジェネレータ134を備えている。
ビデオIF131は、映像データVから、垂直同期タイミング等の各種同期タイミングを抽出し、タイミングジェネレータ134に送ると共に、映像データVに含まれるビデオデータを映像処理部132に送る。
【0022】
映像処理部132は、入力するビデオデータに、輝度や色調の調整処理などの予めコントローラ16から設定された映像処理を施す。
タイミングジェネレータ134は、映像処理部132が映像処理を施したビデオデータのFIFO133への書込を制御する。
ここで、FIFO133には、Lライン(Lはたとえば60)分のビデオデータを格納することができる。
また、タイミングジェネレータ134は、上述したLCD11の表示動作に必要な同期タイミング信号を生成すると共に、同期タイミング信号に同期したFIFO133からのビデオデータの読み出しを制御する。
【0023】
そして、タイミングジェネレータ134が生成した同期タイミング信号と、FIFO133から読み出されたビデオデータがLCD11に供給される。
また、タイミングジェネレータ134は、スキャン制御信号VDEを生成し、タッチパネルコントローラ14に出力する。
そして、タッチパネルコントローラ14は、スキャン制御信号VDEが、スキャン実行期間を示している期間に、タッチパネル12にスキャン動作を行わせる。
次に、図2に、タイミングジェネレータ134の構成を示す。
図示するように、タイミングジェネレータ134は、FIFO133の書込/読み出しを制御するW/R制御部1341、W/R制御部1341によってFIFO133に書き込まれたビデオデータ量からW/R制御部1341によってFIFO133から読み出されたビデオデータ量を減じた値であるW/R差分を検出するW/R差分検出部1342、スタートトリガ検出部1343、タイミング信号生成部1344、スタートシーケンス制御部1345を備えている。
なお、W/R差分は、W/R制御部1341がアドレスを指定してビデオデータの書き込みや読み出しを行うものである場合には、書込アドレスと読み出しアドレスの差分を監視することにより求めることができる。また、W/R制御部1341がアドレスを指定せずに書込タイミングや読み出しタイミングをのみを制御することにより、ビデオデータの書き込みや読み出しを行うものである場合には、W/R差分は、W/R制御部1341の書込回数と読み出し回数の差を監視することにより求めることができる。
【0024】
スタートトリガ検出部1343には、スタートシーケンス制御部1345によってトリガ制御値STが設定されており、W/R制御部1341によるFIFO133へのビデオデータの書き込み動作開始後に、最初にW/R差分検出部1342が検出したW/R差分がトリガ制御値STと一致したときに、スタートトリガ検出信号を生成し、W/R制御部1341とタイミング信号生成部1344に出力する。
【0025】
そして、W/R制御部1341は、スタートトリガ検出信号に従ったタイミングで、ビデオIF131から入力する同期タイミングSYNCに同期した、FIFO133からのビデオデータの読み出し動作を開始する。
【0026】
また、タイミング信号生成部1344は、スタートトリガ検出信号に従ったタイミングで、ビデオIF131から入力する同期タイミングSYNCに同期した、スキャン制御信号VDEとLCD11に出力する同期タイミング信号LCD_SYNCの生成動作を開始する。
【0027】
ここで、W/R制御部1341によって、ビデオIF131から入力する同期タイミングSYNCに同期して映像処理部132から出力されるビデオデータWDが、当該出力のタイミングでFIFO133に書き込まれる。図3aは、ビデオIF131から入力する垂直同期タイミングSYNC(V)と、FIFO133に書き込まれるビデオデータWDの関係を示しており、垂直同期タイミングSYNC(V)が示す各フレーム期間Fにおいて、フレーム期間F中の垂直ブランキング期間を除く期間である非垂直ブランキング期間T中に、画像フレームを形成するnライン分のビデオデータがFIFO133に書き込まれる。
【0028】
次に、図3bは、タイミング信号生成部1344が生成するスキャン制御信号VDEと、LCD11に出力する垂直同期タイミング信号LCD_SYNC(V)と、W/R制御部1341によってFIFO133から読み出されるビデオデータRDの関係を示している。
【0029】
LCD11に出力する垂直同期タイミングLCD_SYNC(V)が示す、FIFO133から読み出されるビデオデータRDのフレーム期間Fの時間長や非垂直ブランキング期間Tの時間長は、FIFO133に書き込まれるビデオデータWDのフレーム期間Fや非垂直ブランキング期間Tの時間長と等しい。
【0030】
一方、本実施形態では、非垂直ブランキング期間T中に、FIFO133からビデオデータRDを読み出しを行わない表示停止ライン期間TXを設けており、非垂直ブランキング期間T中の期間TXを除く期間T1、T2において、1フレーム分のビデオデータのFIFO133からの読み出しを行う。そして、このために、W/R制御部1341は、1フレーム分のビデオデータWDの書き込みを行う期間Tの時間長の、1フレーム分のビデオデータRDの読み出しを行う期間T1と期間T2の時間長の和に対する比の分、期間T1、T2におけるビデオデータRDの水平レートや画素レートを、FIFO133に書き込まれるビデオデータWDの水平レートや画素レートよりも大きくして、FIFO133からのビデオデータRDの読み出しを行う。
【0031】
また、タイミング信号生成部1344は、垂直同期タイミングLCD_SYNC(V)が示す垂直ブランキング期間と、非垂直ブランキング期間T中の表示停止ライン期間TXとに、スキャン実行期間を表すスキャン制御信号VDEをタッチパネルコントローラ14に出力する。そして、上述のように、タッチパネルコントローラ14はスキャン制御信号VDがスキャン実行期間を表している期間中、タッチパネル12のスキャン動作を実行する。
【0032】
したがって、本実施形態では、フレームレートを維持してフレームレートの低化による映像品質の劣化を排除しつつ、非垂直ブランキング期間T中に表示停止ライン期間TXを設けることによって、タッチパネル12の検出動作とLCD11の表示動作との相互間のノイズの影響を受けない期間を拡張して、タッチパネル12のスキャン動作の実行期間を拡大することができる。
【0033】
さて、上述のように、W/R制御部1341は、スタートトリガ検出信号に従ったタイミングで、FIFO133からのビデオデータRDの読み出し動作を開始するので、図3aに示す各フレームのビデオデータWDのFIFO133への書込タイミングに対する、図3bに示す各フレームのビデオデータRDのFIFO133からの読み出しの遅延時間Tdは、スタートトリガ検出部1343に設定されるトリガ制御値STによって制御される。
【0034】
以下、このトリガ制御値STを設定するために、スタートシーケンス制御部1345が行うスタートシーケンス制御処理について説明する。
スタートシーケンス制御部1345は、パワーオン時などのタッチパネル付表示装置1の起動時にスタートシーケンス制御処理を実行する。また、スタートシーケンス制御部1345は、タッチパネル付表示装置1にビデオデータDを出力するホスト装置2が変更されたときにも、スタートシーケンス制御処理を実行する。
【0035】
図4に、このスタートシーケンス制御処理の手順を示す。
図示するように、このスタートシーケンス制御処理では、まず、予め定めたディフォルト値をトリガ制御値STとしてスタートトリガ検出部1343に設定する(ステップ402)。
【0036】
ここで、このディフォルト値は、たとえば、FIFO133の容量の半分の値とする。すなわち、FIFO133がLライン分のビデオデータを格納できるものである場合には、L/2ライン分のビデオデータのデータ量をディフォルト値とする。
【0037】
または、このディフォルト値は、ホスト装置2から入力する映像データVのビデオデータのレートやブランキング期間長の変動によらずに、FIFO133のオーバーフローやアンダーフローが発生しないことが最も期待できる値とする。
【0038】
そして、次に、FIFO133とW/R制御部1341をリセットする(ステップ404)。
また、W/R差分検出部1342で検出しているW/R差分の最大値と最小値を監視するW/R差分監視を開始すると共に(ステップ406)、W/R制御部1341に、FIFO133への書込と読み出しの動作であるW/R動作の実行を開始させる(ステップ408)。
【0039】
W/R動作の実行を開始したW/R制御部1341は、図3a、bに示した動作を行う。ただし、FIFO133へのビデオデータWDの書込は、フレームの先頭のビデオデータから行う。また、W/R制御部1341は、kフレーム分のビデオデータのFIFO133からの読み出しを完了したら、その旨をスタートシーケンス制御部1345に通知する。ここで、kは1以上の任意の整数である。
【0040】
また、スタートシーケンス制御処理は、kフレーム分のビデオデータのFIFO133からの読み出しの完了を通知されたならば(ステップ410)、ステップ406で開始した、W/R差分監視を終了する(ステップ412)。
【0041】
そして、W/R差分監視によって取得したkフレーム間のW/R差分の最大値が、書込ビデオデータ量が読み出しビデオデータ量に対して過大であるR不足であることを表していれば(ステップ414)、スタートトリガ検出部1343に設定されているトリガ制御値STをmラインのビデオデータ量分減少した上で(ステップ416)、ステップ404からの処理に戻る。
【0042】
ここで、ステップ414では、W/R差分の最大値が、FIFO133のオーバーフローが発生したことを表しているときに、R不足であると判定する。ただし、ステップ414では、W/R差分の最大値が、FIFO133のオーバーフローが発生したことを表しているか、W/R差分の最大値が表す、FIFO133の残ビデオデータ量の最大値が、予め設定したビデオデータ量の適正範囲の最大値より多いときに、R不足であると判定するようにしてもよい。
【0043】
また、ステップ416において、たとえば、mは1としてもよい。
または、mを、W/R差分の最大値が表すFIFO133への書込ビデオデータ量から読み出しビデオデータ量を減じた値の最大値が大きくなるほど大きくなる値としてもよい。このようにすることにより、R不足を解消する値へのトリガ制御値STの収束を早めることができる。
【0044】
一方、取得したW/R差分の最小値が、FIFO133への書込ビデオデータ量に対してFIFO133からの読み出しビデオデータ量が過大であるW不足であることを表していれば(ステップ418)、スタートトリガ検出部1343に設定されているトリガ制御値STをmラインのビデオデータ量分増加した上で(ステップ420)、ステップ404からの処理に戻る。
【0045】
ここで、ステップ418では、W/R差分の最小値が、FIFO133のアンダーフローが発生したことを表しているときに、W不足であると判定する。
ただし、ステップ418では、W/R差分の最小値が、FIFO133のアンダーフローが発生したことを表しているか、W/R差分の最小値が表す、FIFO133の残ビデオデータ量の最小値が、予め設定したビデオデータ量の適正範囲の最小値より小さいときに、W不足であると判定するようにしてもよい。
【0046】
また、ステップ420においても、mは1としてもよい。
または、mを、W/R差分の最小値が表すFIFO133への書込ビデオデータ量から読み出しビデオデータ量を減じた値の最小値が小さくなるほど大きくなる値としてもよい。このようにすることにより、W不足を解消する値へのトリガ制御値STの収束を早めることができる。
【0047】
そして、W/R差分がR不足でも、W不足でもないことを表していれば(ステップ414、418)、一旦、FIFO133とW/R制御部1341をリセットした上で(ステップ422)、スタートトリガ検出部1343に設定されているトリガ制御値STを最後に設定した値に維持した状態のままで、W/R制御部1341にW/R動作の実行を開始させ(ステップ424)、スタートシーケンス制御処理を終了する。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明した。
このように本実施形態によれば、起動時や、タッチパネル付表示装置1にビデオデータDを出力するホスト装置2が変更されたときに、FIFO133に書き込んだビデオデータ量から前記FIFO133から読み出したビデオデータ量を減じた値の最大値と最小値として表される前記FIFO133のビデオデータの残量の変動範囲が適正範囲内の範囲となるまで、または、FIFO133のオーバーフローやアンダーフローが生じなくなるまで、試験的に、FIFO133へのビデオデータの書き込みと読み出しを行いながらトリガ制御値STを調整する処理を繰り返し行うことにより、その時点で入力しているビデオデータに対してFIFO133のビデオデータの残量の変動範囲を適正範囲内とできる、または、その時点で入力しているビデオデータに対してオーバーフローやアンダーフローの発生を排除できるFIFO133スタートトリガ制御値STを設定するので、入力するビデオデータのレートやブランキング期間長の変動によらずに、FIFO133のオバーフローやアンダーフローの発生を抑止できる。
【符号の説明】
【0049】
1…タッチパネル付表示装置、2…ホスト装置、11…LCD、12…タッチパネル、13…LCDコントローラ、14…タッチパネルコントローラ、15…インタフェース、16…コントローラ、131…ビデオIF、132…映像処理部、133…FIFO、134…タイミングジェネレータ、1343…スタートトリガ検出部、1344…タイミング信号生成部、1345…スタートシーケンス制御部、1341…W/R制御部、1342…W/R差分検出部。
図1
図2
図3
図4