(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】簡易建物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/343 20060101AFI20230919BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20230919BHJP
E04H 6/02 20060101ALI20230919BHJP
E04B 7/00 20060101ALN20230919BHJP
【FI】
E04B1/343 R
E04H1/12 A
E04H6/02 A
E04H6/02 H
E04B7/00 Z
(21)【出願番号】P 2019218956
(22)【出願日】2019-12-03
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】保坂 純平
(72)【発明者】
【氏名】竹田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】横井 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】隈元 友樹
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-170254(JP,A)
【文献】実開平06-059544(JP,U)
【文献】特開2014-125864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/343
E04H 1/12
E04H 6/02
E04B 7/00
E04F 13/08
E04F 17/08
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、断面矩形を呈して支柱の上端に固着された梁と、梁の下面に対して取付けられ
た梁下カバーとを備え、
梁下カバーは、梁の下面に対して
直接ねじ止めされ
、梁の下面のみを覆うカバー本体と、
ねじ止め部を覆うようにカバー本体の
側壁に係合された目板と
を備え、
梁の下面と梁下カバーの底
板との間に空間部が形成されていることを特徴とする簡易建物。
【請求項2】
支柱と、断面矩形を呈して支柱の上端に固着された梁と、梁の下面に対して取付けられ
た梁下カバーとを備え、
梁下カバーは、梁の下面に対してねじ止めされたカバー本体と、ねじ止め部を覆うようにカバー本体の
側壁に係合された目板と
を備え、
側壁は、ねじ止め部が下側から露出する方向に傾斜するものであり、
梁の下面と梁下カバーの底
板との間に空間部が形成されていることを特徴とする簡易建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易建物に関する。
【背景技術】
【0002】
簡易建物としては、例えば、下記非特許文献1に記載されているように、地面に立てられた支柱と、支柱の上端に固着された梁と、梁に支持された屋根とを備えたものが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】三協立山株式会社が2019年6月に発行したカタログ「パブリックエクステリアカタログ2019(STX1265B)」の第105ページに記載の屋根付き簡易建物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載の簡易建物は、梁の所定の強度を得るために、梁高さが比較的高い梁を用いており、さらに、意匠性を高めるために、梁の上方側を断面長方形とし、下方側を断面長方形部の下端から下方に向かって先細る断面略台形状としている。
しかしながら、このような形状の梁の場合、例えば、梁の下端に照明具等を取付ける際には、照明具や配線、これらを収容する収容具等が大きく下方に張り出してしまうという問題があった。
このため、簡易建物の内側の頭上高さが低くなってしまう上に、下方への大きな張り出によってデザイン性を低下させてしまうものであった。
このことから、小さな断面積によって梁の強度を保持できると共に、内側の頭上高さを十分に確保でき、且つ良好なデザインを備えた簡易建物が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の課題を解決するために請求項1記載による簡易建物は、支柱と、断面矩形を呈して支柱の上端に固着された梁と、梁の下面に対して取付けられた梁下カバーとを備え、梁下カバーは、梁の下面に対して直接ねじ止めされ、梁の下面のみを覆うカバー本体と、ねじ止め部を覆うようにカバー本体の側壁に係合された目板とを備え、梁の下面と梁下カバーの底板との間に空間部が形成されていることを特徴とする。
また、 前述の課題を解決するために請求項2記載による簡易建物は、支柱と、断面矩形を呈して支柱の上端に固着された梁と、梁の下面に対して取付けられた梁下カバーとを備え、梁下カバーは、梁の下面に対してねじ止めされたカバー本体と、ねじ止め部を覆うようにカバー本体の側壁に係合された目板とを備え、側壁は、ねじ止め部が下側から露出する方向に傾斜するものであり、梁の下面と梁下カバーの底板との間に空間部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上の構成により、小さな断面積によって梁の強度を保持できると共に、内側の頭上高さを十分に確保でき、且つ良好なデザインを備えた簡易建物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の簡易建物の側面図である。
【
図6】
図4において梁下カバーを仮置きした状態を示す。
【
図7】
図5において梁下カバーを仮置きした状態を示す。
【
図8】
図3において梁下カバーを仮置きした状態を示す。
【
図11】竪樋が支柱の後方側の面に配置された状態を示す。
【
図12】隙間隠し部材の取付け構成を示す拡大図である。
【
図15】隙間隠し部材を側枠に取付けた構成を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の簡易建物Aを説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
なお、以下の説明において、
図1に示すように、簡易建物Aの屋根3の端部が高い側を後側とし、低い側を前側とする。
また、
図2に示すように、簡易建物Aにおける屋根3に覆われている側を内側とし、支柱1を境として内側と反対側を外側とする。
また、各図において「内側」と「外側」、「前側」と「後側」を記載している。
【0009】
[簡易建物の構成]
本実施形態で示す簡易建物Aは、
図1および
図2に示すように、地面Gに立設された
図2の正面視において左右(矢印で示す)一対の支柱1と、支柱1の上部に支持された梁2と、梁2の上部に屋根3が支持されたものである(例えば、カーポートやサイクルポート等)。
左右一対の支柱1と梁2とで、正面門型のフレームFが構成され、このフレームFが前後2組立設されており、この門型のフレームFにおける梁2の上方にトラス構造の屋根3が支持されている。
また、梁2の下方には、梁下カバー4が取付けられていると共に、簡易建物Aの屋根3の前側には樋部5が取付けられており、屋根3の後側には隙間隠し材6が取付けられている。
また、前側のフレームFを後側のフレームFよりも低くすることで、屋根3を前側が低く後側が高い傾斜状に取付けられている。
【0010】
[支柱の構成]
支柱1は、
図3、
図5、
図7に示すように、断面略正方形を呈する矩形状に形成されており、内外の面における上下方向全域に支柱カバー材1a、1bが取付けられている。
支柱カバー材1aには、支柱1の内側の面に突設された被係合突起10aに係合する係合突起11aが突設されており、被係合突起10aに係合突起11aが係合することによって、支柱カバー材1aが支柱1に取付けられている。
支柱カバー材1bは、支柱1の外側の面の中央部および前後端部に凹設された被係合凹部10bに係合する係合突起11bが突設されており、被係合突起10bに係合突起11bが係合することによって、支柱カバー材1bが支柱1に取付けられている。
被係合突起10aは、後述する梁下カバーの取付け作業時に、梁下カバー4を仮置きするための突起として利用される。
尚、図示においては、左側の支柱1における被係合突起10aのみを示しているが、梁下カバー4を仮置きするための突起としての被係合突起10aは、右側の支柱1にも同じ構成で設けられている。
【0011】
[梁の構成]
梁2は、
図3、
図4、
図6に示すように、断面略正方形を呈する矩形状に形成されており、下面2aにおける左右方向の全域に梁下カバー4が取付けられている。
梁下カバー4は、
図4および
図6に示すように、底板4aと底板4aの前後2か所に設けられた側壁4bを備えたカバー本体40と、カバー本体40に取付けられる目板4cとを備えて、外形において、下方に向かって先細る断面略台形状を呈するように形成されている。
側壁4bの上端には、梁2の下面2aにビス止めするための固定板40bが設けられており、この固定板40bを梁2の下面2aに対してビスb1を介して固定されている。
目板4cは、側壁4bの側面に取付けられており、この目板4cによって、ビス止め部分を隠すようにされている。
【0012】
目板4cの内面には、
図4および
図6に示すように、側壁4bの外側面に突設された上下2か所の係合部41bに係合される被係合部40cが突設されている。
被係合部40cは、二つの係合部41bに対してその外方から挟むように係合されている。
係合部41bの先端側には、被係合部40c側に突出する係止凸部400が形成されており、この係止凸部400に、被係合部40cに形成された被係止凸部401が引っ掛かるように係合するようにされている。
被係止凸部401は、被係合部40cの突出方向に沿って並ぶように2か所設けてあり、目板4cが正常に取り付けられているときには、被係合部40cの基部側の被係止凸部401が係止凸部400に係合することで目板4cの取付け状態を保持している。
目板4cに外力が加わって、被係合部40cの基部側の被係止凸部401が係止凸部400から外れた場合に、被係合部40cの先端部側の被係止凸部401が係止凸部400に引っ掛かることで、目板4cの落下を防止できるようになっている。
【0013】
梁下カバー4が取付けられている状態では、
図4に示すように、梁2の下面2aとカバー本体40における底板4aの底部40aとの間には空間部Sが形成されている。
空間部Sは、例えば、照明器具(図示せず)を収容する空間および照明器具の配線(図示せず)を収容する空間として利用できるようになっている。
梁下カバー4に前述の照明器具を設ける場合、底板4aに照明器具が望む孔を設けたカバー本体40とし、空間部Sに照明器具および配線を収容することによって、照明器具付きの簡易建物Aとすることができる。
【0014】
梁下カバー4を梁2の下面2aに取付ける作業では、
図6~
図8に示すように、カバー本体40を被係合突起10aの上端面100に仮置いておくことができるようになっている。
カバー本体40の仮置きに利用される被係合突起10aは、梁2の下面2aと被係合突起10aの上端面100との上下幅がカバー本体40の上下幅よりも幅広となるように、被係合突起10aの上端面100の位置を設定している。
上端面100の位置設定は、支柱1の成型時当初から、梁2の下面2aと被係合突起10aの上端面100との上下幅をカバー本体40の上下幅よりも幅広となるように、被係合突起10aを一体成型することで設定してもよいし、支柱1の成型後に被係合突起10aの上方を切欠くことで設定してもよい。
【0015】
[屋根の構成]
屋根3は、
図1に示すように、前側が低く、後側が高い傾斜状に設けられており、屋根パネル3aと、屋根パネル3aの下面30aを支持するトラス構造部3bとを備えて、トラス構造部3bの下端が梁2の上面2bに載置されて固定されている。
また、トラス構造部3bによって、
図3および
図10に示すように、屋根パネル3aの下面30aと梁2の上面2bとの間に、後述する傾斜樋5cが梁2の上面2bの上を通過できる通過空間S1が確保されている。
【0016】
[樋部の構成]
樋部5は、
図1~
図3、
図9~
図11に示すように、屋根3の前方側に左右方向に沿って配置された屋根樋5aと、支柱1に沿って配置された竪樋5bと、屋根樋5aと竪樋5bとにわたるように配置された傾斜樋5cと、屋根樋5aと傾斜樋5cとを連通するように配置された排水部材5dとを備えている。
竪樋5b、傾斜樋5c、排水部材5dは、断面矩形として形成されており、断面矩形の支柱1や梁2のデザインと対応するデザインにされている。
屋根樋5aは、
図9および
図11に示すように、左端部の底部外面に排水を排水部材5dに流入させるための排水管50aが設けられていると共に、排水管50aの上方における底部内面に集水器51aが設けられている。
屋根樋5aおよび排水部材5dは、
図1に示すように、梁2の上面2bよりも高い位置に配置されている。
竪樋5bは、下端に排水口50bを有しており、この排水口50bから排水された水を、地面Gに設けられた排水溝G1に流すようにされている。
【0017】
排水部材5dは、
図9および
図10に示すように、屋根樋5aに対して左右の軸を中心として回転自在に支持されており、回転することによって、傾斜樋5cの傾斜角度Cを変更できるようになっている。
具体的には、
図9に示すように、屋根樋5aの底部外面に設けられた吊り部材50dと、吊り部材50dに対して左右の軸を有するビスb2によってねじ止めされた回転支持部材51dと、回転支持部材51dにビスb3によって固定された可動樋52dとを備えている。
回転支持部材51dは、ビスb2を緩めることによって、吊り部材50dに対して回転し、所定の位置でビスb2を締め付けることによって、回転を阻止するようにされている。
また、回転支持部材51dは、可動樋52dの内側に挿入されてると共に、可動樋52dの外側から内側にねじ込まれるビスb3によって可動樋52dの内側に固定されている。
可動樋52dは、回転支持部材51dと一体に回転することで、傾斜樋5cの傾斜角度Cを任意に変更できるようになっている。
【0018】
可動樋52dの回転に伴って傾斜樋5cの傾斜角度Cを変更できるので、
図10、
図11に示すように、傾斜樋5cを前方から後方に向かって、通過空間S1を通過できる傾斜角度にすることによって、支柱1の前面側に配された竪樋5bを支柱1の後面側に配置できると共に、通過空間S1を通過した傾斜樋5cと配置できる。
【0019】
本実施形態のように、前後のフレームFの高さを変えることで屋根3を傾斜させている簡易建物Aにおいては、使用形態に応じて屋根3の傾斜角度および高さを変えずにフレームFの立設位置を前後で変更することがある。
この場合、使用形態に応じたフレームFの立設位置を設定し、この立設位置において支柱1の高さを変えて前後のフレームFの高さを調整したとき、立設位置の変更に伴って排水部材5dと支柱1との距離が変わる。
このとき、フレームFの高さおよび排水部材5dと支柱1との距離に応じて、傾斜樋5cの傾斜角度Cを変更することで、傾斜樋5cと竪樋5bとを支柱1に対して正常な位置で配置することができる(図示せず)。
また、傾斜樋5cは、フレームFの高さおよび排水部材5dと支柱1との距離に応じて切り縮めて配置される。
【0020】
[隙間隠し材の構成]
隙間隠し材6は、
図1および
図12に示すように、屋根3の後側の端部と躯体Bとの間に生じる隙間S2を塞いで隠すものである。
【0021】
隙間隠し材6は、
図12に示すように、隙間隠しカバー6aと、隙間隠しカバー6aを支持する支持部材6bとを備え、支持部材6bを屋根3に取付けられた隙間隠し受け6cに固定されている。
隙間隠しカバー6aは、可撓性を有するゴム材や合成樹脂材を用いて板状に形成されており、躯体Bに対して湾曲した状態で密着できるようになっている。
隙間隠しカバー6aは、隙間S2の幅方向に対応する幅方向の屋根側3側に支持部材6bに嵌合される嵌合部60aが設けられている。
支持部材6bは、上方に隙間隠しカバー6aの嵌合部60aが嵌脱自在に嵌合する嵌合凹部60bが設けられていると共に、嵌合凹部60bの下方に、隙間隠し受け6cの上面60cに係合する位置決め部61bが設けられている。
位置決め部61bは、隙間隠し受け6cの上面60cに対して被さるように係合しており、位置決め部61bの隙間S2側には、躯体B側に突設された被固定部60が設けられている。
隙間隠し受け6cは、上面60cを有して屋根3に載置される載置面部61cから下方に向かって突設された破風固定板62cが設けられており、この破風固定板62cが屋根3に取付けられた破風3cの端部と対面した状態で、屋根の下からビスb4によってねじ止めされている。
また、隙間隠し受け6cの隙間S2側には、被固定部60と上下方向で対面するように、躯体B側に向かって突設された固定部61が設けられており、この固定部61と被固定部60とが上下方向で対面した状態で、屋根3の下からビスb5によってねじ止めされている。
破風3cは、屋根3にねじ止めされた破風取付板3dに、屋根3の下からビスb6によってねじ止めされている。
【0022】
[隙間隠し材の取付け工程]
次に、隙間隠し材6の取付け方法について、
図13および
図14を用いて以下の取付け工程に基づいて説明する。
第1工程(隙間隠し受けの取付け工程):
図13に示すように、隙間隠し受け6cにビスb4を用いて破風3cを取付けておき、この隙間隠し受け6cを屋根3に取付ける。
このとき、破風3cを屋根3にねじ止めされた破風取付板3dに、屋根3の下からビスb6によってねじ止めすることによって、隙間隠し受け6cが屋根3に取付けられる。
第2工程(隙間隠し材の取付け工程)
図14に示すように、先ず、支持部材6bに隙間隠しカバー6aを取付けておき、この隙間隠し材6を屋根3の下方から隙間S2を通過させて、屋根3の上方に持ち出す(実線および実線矢印で示す)。
次に、通過させた隙間隠し材6の姿勢を整える(1点鎖線および1点鎖線矢印で示す)。
次に、姿勢を整えた隙間隠し材6を下方に移動させながら隙間隠し受け6cに係合させて隙間隠し材6の位置決めを行う(2点鎖線および2点鎖線矢印で示す)。
姿勢を整えた隙間隠し材6を隙間隠し受け6cに係合させるときに、隙間隠しカバー6aが躯体Bに接触すると共に、湾曲して、躯体Bに対して密着状態となる。
隙間隠し材6の位置決めがされた状態では、隙間隠し受け6cの固定部61と隙間隠し材6の被固定部60とが上下方向で対面しており、この状態において、固定部61と被固定部60とを屋根3の下からビスb5によってねじ止めする(2点鎖線および2点鎖線矢印で示す)。
この工程によって、隙間S2を塞ぐように、隙間隠し材6を屋根3に取り付けることができる。
【0023】
[側枠に対する隙間隠し材の取付け構成]
本実施形態では、
図1および
図2に示すように、隙間隠し材6を躯体Bと対向する屋根3の後側に、屋根3の左右方向の全長にわたるように設けられているが、隙間隠し材6を設ける位置は、躯体Bと対向する屋根3の端部側であるため、屋根3の左右いずれかの端部が躯体Bと対向する場合には、対向する屋根3の左右いずれかの端部側となる(
図15においては右側)。
また、躯体Bが屋根3の後側と屋根の左右いずれかの端部側と対向するように位置する場合もあり、この場合には、隙間隠し材6の取付位置が、屋根3の後側と躯体Bと対向する屋根3の左右いずれかの端部側となる。
【0024】
隙間隠し材6を屋根3の右側の端部側に取付けた構成を
図15に基づいて説明する。
隙間隠し材6は、
図15に示すように、屋根3の右側の端部には、破風3cに相当する側枠3eが取付けられており、この側枠3eに隙間隠し受け6cを介して隙間隠し材6が取付けられている。
隙間隠し材6および隙間隠し受け6cの構成は、
図12~
図14に示す隙間隠し材6および隙間隠し受け6cと同じである。
このため、側枠3eに隙間隠し材6が取付けられた状態では、破風3cに隙間隠し材6が取付けられた状態と同じように、隙間隠しカバー6aが湾曲して躯体Bに密着している。
隙間隠し受け6cは、側枠3eの端部に対して破風固定板62cが対面した状態で、屋根の下からビスb4によってねじ止めされている。
また、隙間隠し材6は、隙間隠し受け6cの上面60cに対して上方から係合していると共に、隙間隠し受け6cの固定部61と隙間隠し材6の被固定部60とが上下方向で対面しており、この状態において、固定部61と被固定部60とを屋根3の下からビスb5によってねじ止めしている。
【0025】
[側枠に対する隙間隠し材の取付け工程]
次に、側枠3eに対する隙間隠し材6の取付け方法について、
図16および
図17を用いて以下の取付け工程に基づいて説明する。
第1工程(隙間隠し受けの取付け工程):
図16に示すように、隙間隠し受け6cを屋根3の下からビスb4を用いて側枠3eに取付ける。
第2工程(隙間隠し材の取付け工程)
図17に示すように、先ず、支持部材6bに隙間隠しカバー6aを取付けておき、この隙間隠し材6を屋根3の下方から隙間S2を通過させて屋根3の上方に持ち出す(実線および実線矢印で示す)。
次に、通過させた隙間隠し材6の姿勢を整える(1点鎖線および1点鎖線矢印で示す)。
次に、姿勢を整えた隙間隠し材6を下方に移動させながら隙間隠し受け6cに係合させて隙間隠し材6の位置決めを行う(2点鎖線および2点鎖線矢印で示す)。
姿勢を整えた隙間隠し材6を隙間隠し受け6cに係合させるときに、隙間隠しカバー6aが躯体Bに接触すると共に、湾曲して、躯体Bに対して密着状態となる。
隙間隠し材6の位置決めがされた状態では、隙間隠し受け6cの固定部61と隙間隠し材6の被固定部60とが上下方向で対面しており、この状態において、固定部61と被固定部60とを屋根3の下からビスb5によってねじ止めする(2点鎖線および2点鎖線矢印で示す)。
この工程によって、隙間S2を塞ぐように、隙間隠し材6を側枠3eに取り付けることができる。
【0026】
以上の構成とする簡易建物Aによると、
図3、
図4、
図6に示すように、梁2を断面略正方形を呈する矩形状に形成し、梁2の下面2aに下方に向かって先細る断面略台形状を呈する梁下カバー4を取付けている。
すなわち、梁2と梁下カバー4とによって、上方側(梁側)が断面略正方形とし、下方側(梁下カバー側)が下方に向かって先細る断面略台形状とする形状を呈する一体形状の梁2として視覚でき、しかも、目板4cによって、ねじ止め部分を隠しているため、良好なデザイン性を確保することができる。
また、梁2を断面略正方形を呈する矩形状に形成することで、小さな断面積で所定の強度を確保できる。
また、
図4に示すように、梁2の下面2aと梁下カバー4におけるカバー本体40の底板4aの底部40aとの間に空間部Sが形成されているため、この空間部Sを照明器具を収容する空間および照明器具の配線を収容する空間として利用できる。
すなわち、梁下カバー4の空間部Sに照明器具および配線を収容することで、梁下カバー4の下方に照明器具を垂設することなく、梁2に照明器具を設けることができる。
しかも、梁下カバー4の下方に照明器具を垂設することなく、梁2に照明器具を設けることができるため、簡易建物Aの内側の頭上高を確保することができる。
【0027】
梁下カバー4は、左右方向に長く高所2にある梁2に取付けるため、通常では、梁下カバー4の取付け作業が困難であるが、
図6~
図8に示すように、梁下カバー4の取付け作業時に、カバー本体40を被係合突起10aの上端面100に仮置くことによって、この取付け作業を容易にすることができる。
すなわち、通常の取付け作業では、複数並べた脚立等の器具にカバー本体40を架渡すように仮置きしてねじ止めを行うが、本実施例では、左右の支柱1における被係合突起10aの上端面100にカバー本体40を架渡すように仮置きしてねじ止めを行うことができるので、複数の脚立等の器具を用いることなく、カバー本体40の取付け作業を行うことができる。
したがって、カバー本体40の取付け作業を、余計な器具を用いることなく、容易、且つ迅速に行うことができるので、梁下カバーの施工を容易、且つ迅速に行うことができる。
【0028】
樋部5においては、
図1に示すように、屋根樋5aと排水部材5dとが梁2よりも高い位置にあり、
図9および
図10に示すように、排水部材5dが屋根樋5aに対して左右の軸を中心として回転することによって、傾斜樋5cの傾斜角度Cが変更される。
すなわち、
図10、
図11に示すように、傾斜樋5cを前方から後方に向かって通過空間S1を通過できる傾斜角度にすることによって、支柱1の前面側に配された竪樋5bを支柱1の後面側に配置できると共に、通過空間S1を通過した傾斜樋5cと配置できる。
したがって、竪樋5bの位置を排水溝G1の位置に対応して任意に設定することができる。
【0029】
隙間隠し材6においては、
図12および
図15に示すように、隙間隠し材6が屋根の下方からのねじ止めのみにより取り付けられているため、躯体B側に対するねじ止め等が不要であり、これによって、躯体B側にねじ止め孔を開けることなく隙間隠し材6を取付けることができる。
また、隙間隠し材6の取付け作業では、
図13および
図14、
図16および
図17に示すように、隙間隠し受け6cを屋根3の下方から屋根に取り付けると共に、隙間隠し材6を屋根3の下方から隙間S2を通過させて屋根3の上方に持ち出して、隙間隠し受け6cに係合させて位置決めし、屋根3の下方からねじ止めすることで取付けることができる。
すなわち、隙間隠し材6の取付け作業が、全て屋根の下方から行うことができるので、隙間隠し材6の取付け作業を容易、且つ迅速に行うことができる。
【0030】
以上、本発明に係る実施形態の簡易建物を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0031】
また、前述の各実施形態は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0032】
A:簡易建物
B:躯体
C:傾斜角度
G:地面
G1:排水溝
1:支柱
1a:支柱カバー材
1b:支柱カバー材
10a:被係合突起
11a:係合突起
10b:被係合凹部
11b:係合突起
100:上端面
2:梁
2a:下面
2b:上面
3:屋根
3a:屋根パネル
30a:下面
3b:トラス構造部
3c:破風
3d:破風取付板
3e:側枠
F:フレーム
4:梁下カバー
40:カバー本体
4a:底板
4b:側壁
4c:目板
40a:底部
40b:固定板
41b:係合部
40c:被係合部
400:係止凸部
401:被係止凸部
5:樋部
5a:屋根樋
5b:竪樋
5c:傾斜樋
5d:排水部材
50a:排水管
50b:排水口
50d:吊り部材
51a:集水器
51d:回転支持部材
52d:可動樋
6:隙間隠し材
6a:隙間隠しカバー
6b:支持部材
6c:隙間隠し受け
60:被固定部
60a:嵌合部
60b:嵌合凹部
60c:上面
61:固定部
61b:位置決め部
61c:載置面部
62c:破風固定板
S:空間部
S1:通過空間
S2:隙間
b1:ビス
b2:ビス
b3:ビス
b4:ビス
b5:ビス
b6:ビス