IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱造船株式会社の特許一覧

特許7350647船舶、船舶における液化二酸化炭素の積込方法
<>
  • 特許-船舶、船舶における液化二酸化炭素の積込方法 図1
  • 特許-船舶、船舶における液化二酸化炭素の積込方法 図2
  • 特許-船舶、船舶における液化二酸化炭素の積込方法 図3
  • 特許-船舶、船舶における液化二酸化炭素の積込方法 図4
  • 特許-船舶、船舶における液化二酸化炭素の積込方法 図5
  • 特許-船舶、船舶における液化二酸化炭素の積込方法 図6
  • 特許-船舶、船舶における液化二酸化炭素の積込方法 図7
  • 特許-船舶、船舶における液化二酸化炭素の積込方法 図8
  • 特許-船舶、船舶における液化二酸化炭素の積込方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】船舶、船舶における液化二酸化炭素の積込方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 25/08 20060101AFI20230919BHJP
   F17C 9/00 20060101ALI20230919BHJP
   F17C 13/02 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
B63B25/08 A
F17C9/00 A
F17C13/02 302
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019228784
(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公開番号】P2021095051
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】石田 聡成
(72)【発明者】
【氏名】森本 晋介
(72)【発明者】
【氏名】小形 俊夫
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第6170617(JP,B2)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0107524(KR,A)
【文献】特開2002-349793(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0125624(KR,A)
【文献】特開平4-297392(JP,A)
【文献】特表2008-506899(JP,A)
【文献】特開2004-125039(JP,A)
【文献】国際公開第2008/009930(WO,A2)
【文献】浅井孝悦,尾崎雅彦,高倉理,末竹義弘,二酸化炭素の深海への送り込みシステムについて(その2),日本造船学会論文集,日本,日本造船学会,1992年,第171号,p.609-619,DOI:10.2534/jjasnaoe1968.1992.609,ISSN 1884-2070(online),0514-8499(print)
【文献】CHIYODA CORPORATION,FINAL REPORT Preliminary Feasibility Study on CO2 Carrier for Ship-based CCS (Phase-2 unmanned offsh,Global Carbon Capture and Storage Institute Ltd.,2012年11月30日,p.9-19,32-37
【文献】SUZUKI, Takakazu, TORIUMI, Makoto, SAKEMI, Takuya, MASUI, Naoki, YANO, Shuho, FUJITA, Hideo, FURUKAW,Conceptual Design of CO2 Transportation System for CCS,Energy Procedia,Elsevier Ltd.,2013年,Vol. 37,p.2989-2996,DOI:10.1016/j.egypro.2013.06.185
【文献】三菱造船マリンエンジニアリングセンター開発部,「船上CCS搭載に関する取り組み」,日本,三菱造船株式会社,2019年08月02日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 25/08,27/24,
F17C 6/00, 7/00, 9/00,13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の舷側を有する船体と、
前記船体に設けられ、液化二酸化炭素を貯留可能なタンクと、
船外から供給される液化二酸化炭素を前記タンク内に積み込む積込配管と、を備え、
前記積込配管は、
船外との連結部を有する輸送配管と、
前記輸送配管から分岐して延び、上下方向における前記タンクの容積に対する前記液化二酸化炭素の液面レベルが90%であるときの高さ以上の高さの前記タンクに開口する上部積込配管と、
前記輸送配管から分岐して延び、上下方向における前記タンクの容積に対する前記液化二酸化炭素の液面レベルが10%であるときの高さ以下の高さの前記タンクに開口する下部積込配管と、
前記上部積込配管に設けられた第一開閉弁と、
前記下部積込配管に設けられた第二開閉弁と、
を備える船舶。
【請求項2】
前記タンク内に液化二酸化炭素を積み込むときに、前記タンク内の前記液化二酸化炭素の液面レベルに基づいて、前記第一開閉弁及び前記第二開閉弁の開閉動作を制御する制御部をさらに備える
請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記タンク内に貯留される前記液化二酸化炭素の液面レベルを検出する液面検出部をさらに備え、
前記制御部は、
前記第一開閉弁を開いて前記上部積込配管を通して前記タンク内に前記液化二酸化炭素を積み込み、前記液面検出部で検出される前記液化二酸化炭素の液面レベルが、前記下部積込配管の開口よりも高く設定された切替レベルに到達した場合に、前記第二開閉弁を開いて前記下部積込配管を通して前記タンク内に前記液化二酸化炭素を積み込む
請求項2に記載の船舶。
【請求項4】
前記積込配管内の前記液化二酸化炭素の圧力を検出する圧力検出部をさらに備え、
前記制御部は、
前記第二開閉弁を開いている状態で、前記圧力検出部で検出される前記液化二酸化炭素の圧力が予め定めた基準圧力以下となった場合、前記第一開閉弁を開く
請求項2又は3に記載の船舶。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の船舶における液化二酸化炭素の積込方法であって、
前記第一開閉弁を開いて前記上部積込配管を通して前記タンク内に前記液化二酸化炭素を積み込む工程と、
前記タンク内の前記液化二酸化炭素の液面レベルが、前記下部積込配管の開口よりも高く設定された切替レベルに到達した後、前記第一開閉弁を閉じるとともに前記第二開閉弁を開き、前記下部積込配管を通して前記タンク内に前記液化二酸化炭素を積み込む工程と、を備える
船舶における液化二酸化炭素の積込方法。
【請求項6】
一対の舷側を有する船体と、
前記船体に設けられ、液化二酸化炭素を貯留可能なタンクと、
船外から供給される液化二酸化炭素を前記タンク内に積み込む積込配管と、を備え、
前記積込配管は、
船外との連結部を有する輸送配管と、
前記輸送配管から分岐して延び、前記タンク内の上部に開口する上部積込配管と、
前記輸送配管から分岐して延び、前記タンク内の下部に開口する下部積込配管と、
前記上部積込配管に設けられた第一開閉弁と、
前記下部積込配管に設けられた第二開閉弁と、を備え、
前記タンク内に液化二酸化炭素を積み込むときに、前記タンク内の前記液化二酸化炭素の液面レベルに基づいて、前記第一開閉弁及び前記第二開閉弁の開閉動作を制御する制御部と、
前記タンク内に貯留される前記液化二酸化炭素の液面レベルを検出する液面検出部と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記第一開閉弁を開いて前記上部積込配管を通して前記タンク内に前記液化二酸化炭素を積み込み、前記液面検出部で検出される前記液化二酸化炭素の液面レベルが、前記下部積込配管の開口よりも高く設定された切替レベルに到達した場合に、前記第二開閉弁を開いて前記下部積込配管を通して前記タンク内に前記液化二酸化炭素を積み込む
船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、船舶、船舶における液化二酸化炭素の積込方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タンクの頂部付近からタンク底部付近まで導かれた配管を通してLNG(Liquefied Natural Gas)等の液化ガスをタンク内に積み込むことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5769445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のようなタンクを用いて液化二酸化炭素を運搬することが要望されている。液化二酸化炭素は、気相、液相、固相が共存する三重点の圧力(以下、三重点圧力と称す)が、LNGやLPGの三重点圧力に比較して高い。そのため、三重点圧力がタンクの運用圧力に近くなる。タンク内に液化二酸化炭素を収容する場合、以下のような理由により、液化二酸化炭素が凝固してドライアイスが生成される可能性がある。
【0005】
特許文献1のタンクでは、タンク内で開口する積込配管の下端がタンク内の下部に配置されている。このような配置とすることで、液ヘッドの増加に伴い積込配管の開口付近が加圧される。そのため、積込配管の開口から放出された液化ガスがフラッシュ蒸発することを抑制できる。しかしながら、積込配管のうち最も高い位置に配置された配管頂部では、内部の二酸化炭素の圧力が、配管下端における液化二酸化炭素の圧力に対し、タンク内の液化二酸化炭素の液面と配管頂部との高低差に応じた分だけ低くなる。
【0006】
その結果、タンク運用圧によっては、液化二酸化炭素の圧力が最も低くなる積込配管の配管頂部において、液化二酸化炭素の圧力が三重点圧力以下となり、液化二酸化炭素の蒸発が生じて、その蒸発潜熱により、蒸発せずに残った液化二酸化炭素の温度低下が生じ、積込配管の配管頂部内で液化二酸化炭素が凝固してドライアイスが生成される可能性が有る。
そして、このように、積込配管内でドライアイスが生成されてしまうと、積込配管内における液化二酸化炭素の流れが阻害され、タンクの運用に影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、積込配管内でドライアイスが生成されるのを抑え、タンクの運用を円滑に行うことができる船舶、船舶における液化二酸化炭素の積込方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係る船舶は、船体と、タンクと、積込配管と、を備える。前記船体は、一対の舷側を有する。前記タンクは、前記船体に設けられている。前記タンクは、液化二酸化炭素を貯留可能である。前記積込配管は、船外から供給される液化二酸化炭素を前記タンク内に積み込む。前記積込配管は、輸送配管と、上部積込配管と、下部積込配管と、第一開閉弁と、第二開閉弁と、を備える。前記輸送配管は、船外との連結部を有する。前記上部積込配管は、前記輸送配管から分岐して延び、前記輸送配管から分岐して延び、上下方向における前記タンクの容積に対する前記液化二酸化炭素の液面レベルが90%であるときの高さ以上の高さの前記タンクに開口する。前記下部積込配管は、前記輸送配管から分岐して延び、上下方向における前記タンクの容積に対する前記液化二酸化炭素の液面レベルが10%であるときの高さ以下の高さの前記タンクに開口する。前記第一開閉弁は、前記上部積込配管に設けられている。前記第二開閉弁は、前記下部積込配管に設けられている。
【0009】
本開示に係る船舶における液化二酸化炭素の積込方法は、上記船舶における液化二酸化炭素の積込方法である。この船舶における液化二酸化炭素の積込方法は、前記第一開閉弁を開いて前記上部積込配管を通して前記タンク内に前記液化二酸化炭素を積み込む工程と、前記タンク内の前記液化二酸化炭素の液面レベルが、前記下部積込配管の開口よりも高く設定された切替レベルに到達した後、前記第一開閉弁を閉じるとともに前記第二開閉弁を開き、前記下部積込配管を通して前記タンク内に前記液化二酸化炭素を積み込む工程と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の船舶、船舶における液化二酸化炭素の積込方法によれば、積込配管内のドライアイス生成を抑え、タンクの運用を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態に係る船舶の概略構成を示す平面図である。
図2】本開示の実施形態に係る船舶に設けられたタンク及び積込配管を示す側断面図である。
図3】本開示の実施形態に係る船舶において、上部積込配管から液化二酸化炭素をタンク内に積み込んでいる状態を示す側断面図である。
図4】本開示の実施形態に係る船舶において、スプレー管から液化二酸化炭素をタンク内に噴射している状態を示す側断面図である。
図5】本開示の実施形態に係る船舶に設けられた制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図6】本開示の実施形態に係る船舶に設けられた制御装置の機能ブロック図である。
図7】本開示の実施形態に係る船舶における液化二酸化炭素の積込方法の手順を示すフローチャートである。
図8】本開示の実施形態に係る船舶における液化二酸化炭素の積込方法を実行するため、制御装置で実施される処理の手順を示すフローチャートである。
図9】本開示の実施形態の変形例に係る船舶に設けられたタンク及び積込配管を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態に係る船舶について、図1図2を参照して説明する。
(船舶の船体構成)
本開示の実施形態の船舶1は、液化二酸化炭素、液化二酸化炭素を含む多種の液化ガスを運搬する。図1図2に示すように、この船舶1は、船体2と、タンク21と、積込配管30と、を少なくとも備えている。この実施形態では、液化二酸化炭素を運搬する場合を一例にして説明する。
【0013】
(船体の構成)
図1に示すように、船体2は、その外殻をなす、一対の舷側3A,3Bと、船底(図示無し)と、曝露甲板5と、を有している。舷側3A,3Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の舷側外板を備える。船底(図示無し)は、これら舷側3A,3Bを接続する船底外板を備える。これら一対の舷側3A,3B及び船底(図示無し)により、船体2の外殻は、船首尾方向Daに直交する断面において、U字状を成している。曝露甲板5は、外部に露出する全通甲板である。船体2には、船尾2b側の曝露甲板5上に、居住区を有する上部構造7が形成されている。
【0014】
船体2には、上部構造(居住区画)7よりも船首2a側に、タンクシステム格納区画(ホールド)8が形成されている。タンクシステム格納区画8は、曝露甲板5に対して下方の船底(図示無し)に向けて凹み、上方に突出するか、あるいは曝露甲板5を天井とする閉鎖区画である。
【0015】
(タンクの構成)
タンク21は、タンクシステム格納区画8内に、複数設けられている。この実施形態におけるタンク21は、タンクシステム格納区画8内に、例えば計7個配置されている。タンクシステム格納区画8内におけるタンク21のレイアウト、設置数は何ら限定するものではない。この実施形態において、各タンク21は、例えば、水平方向(具体的には、船首尾方向)に延びる円筒状である。タンク21は、その内部に液化二酸化炭素Lが収容される。なお、タンク21は、円筒状に限られるものではなく球形であってもよい。
【0016】
(積込配管の構成)
積込配管30は、陸上の液化二酸化炭素供給施設やバンカー船等、船外から供給される液化二酸化炭素Lをタンク21内に積み込む。
図2に示すように、積込配管30は、輸送配管31と、上部積込配管32と、下部積込配管33と、第一開閉弁34と、第二開閉弁35と、スプレー管38と、を備えている。
【0017】
積込配管30は、バンカーステーション等に設けられて船外と連結される連結部31jを有している。連結部31jは、例えば、フランジ等を有し、舷側3A、3Bの少なくとも一方(例えば舷側3A)に設けられている。連結部31jは、液化二酸化炭素供給施設やバンカー船等の船外から液化二酸化炭素を供給するための供給管(図示無し)が着脱可能とされている。積込配管30は、主に船体2内に設けられている。
【0018】
上部積込配管32は、輸送配管31から分岐してタンク21内に至っている。この実施形態の上部積込配管32は、輸送配管31から船高さ方向(以下、上下方向Dvと称する)の下方に向かって延びている。上部積込配管32の下端に形成された開口32aは、タンク21内の上部に位置している。ここで、タンク21内の上部とは、上下方向Dvにおけるタンク21の中央よりも上方のタンク21内領域を意味する。上部積込配管32の開口32aは、例えば、上下方向Dvにおいてタンク21の容積に対する液化二酸化炭素Lの液面レベルLfが90%であるときの高さHa以上の高さに位置するようにしてもよい。図3に示すように、上部積込配管32は、タンク21内の上部に設けられた開口32aから、タンク21内に液化二酸化炭素Lを供給する。
【0019】
下部積込配管33は、上部積込配管32と同様に、輸送配管31から分岐してタンク21内に至っている。この実施形態の下部積込配管33は、輸送配管31から上下方向Dvの下方に向かって延びている。下部積込配管33の下端に形成された開口33aは、タンク21内の下部に位置している。ここで、タンク21内の下部とは、上下方向Dvにおけるタンク21の中央よりも下方のタンク21内領域を意味する。下部積込配管33の開口33aは、例えば、上下方向Dvにおいてタンク21の容積に対する液化二酸化炭素Lの液面レベルLfが10%であるときの高さHb以下の高さに位置するようにしてもよい。図2に示すように、下部積込配管33は、タンク21内の下部に設けられた開口33aから、タンク21内に液化二酸化炭素Lを供給する。
【0020】
第一開閉弁34は、上部積込配管32に設けられている。第一開閉弁34は、上部積込配管32内の流路を開閉する。
第二開閉弁35は、下部積込配管33に設けられている。第二開閉弁35は、下部積込配管33内の流路を開閉する。
これら第一開閉弁34と第二開閉弁35とは、制御装置60(後述する)から出力される制御信号に基づき開状態と閉状態とを切り換え可能とされている。
【0021】
スプレー管38は、輸送配管31から分岐してタンク21内に至っている。スプレー管38は、複数の噴射孔(図示無し)を有している。この実施形態で例示するスプレー管38の噴射孔は、上下方向Dvにおいて上部積込配管32の開口32aよりも下方、かつ下部積込配管33の開口33aよりも上方に配置されている。図4に示すように、スプレー管38は、輸送配管31を通して供給される液化二酸化炭素Lを、複数の噴射孔からタンク21内に噴射する。スプレー管38には、その輸送配管31に近い側に、輸送配管31からスプレー管38への流路を開閉する開閉弁39が設けられている。開閉弁39は、制御装置60(後述する)から出力される制御信号に基づき開状態と閉状態とを切り換え可能とされている。
【0022】
船舶1は、液面検出部51と、圧力検出部52と、制御装置60と、をさらに備えている。
【0023】
(液面検出部、圧力検出部の構成)
液面検出部51は、タンク21内に貯留される液化二酸化炭素Lの液面レベルLfを検出する。液面検出部51は、検出された液面レベルLfの検出信号を、制御装置60に出力する。
【0024】
圧力検出部52は、積込配管30内の液化二酸化炭素Lの圧力Pを検出する。圧力検出部52は、例えば、積込配管30のうち、最も高い位置である頂部30tに設けられている。圧力検出部52は、頂部30tにおける積込配管30内の液化二酸化炭素Lの圧力Pを検出する。圧力検出部52は、検出された圧力Pの検出信号を、制御装置60に出力する。
【0025】
(制御装置の構成)
制御装置60は、タンク21内に液化二酸化炭素Lを積み込むときに、液面検出部51で検出されるタンク21内の液化二酸化炭素Lの液面レベルLfに基づいて、第一開閉弁34及び第二開閉弁35の開閉動作を制御する。
【0026】
(ハードウェア構成図)
図5に示すように、制御装置60は、CPU61(Central Processing Unit)、ROM62(Read Only Memory)、RAM63(Random Access Memory)、HDD64(Hard Disk Drive)、信号受信モジュール65等を備えるコンピュータである。信号受信モジュール65には、液面検出部51からの検出信号と、圧力検出部52からの検出信号とが入力される。
【0027】
(機能ブロック図)
図6に示すように、制御装置60は、例えば、予め自装置で記憶するプログラムをCPU61で実行することにより、信号入力部70、開閉弁制御部71、液面判定部72、圧力判定部73、出力部74の各機能構成を実現する。
信号入力部70は、信号受信モジュール65を用いて、液面検出部51からの検出信号と、圧力検出部52からの検出信号とを受信する。
【0028】
液面判定部72は、液面検出部51で検出されたタンク21内の液化二酸化炭素Lの液面レベルLfが、下部積込配管33の開口33aよりも高く予め設定された切替レベルLs(図2図3参照)に到達したか否かを判定する。切替レベルLsは、例えば、下部積込配管33の第二開閉弁35のみを開状態にしたときに、液化二酸化炭素Lの三重点圧力よりも頂部30tにおける積込配管30内の液化二酸化炭素Lの圧力Pの方が高くなる範囲の液面レベルLfが設定される。また、切替レベルLsは、上記液化二酸化炭素Lの三重点圧力よりも頂部30tにおける積込配管30内の液化二酸化炭素Lの圧力Pの方が高くなる範囲の液面レベルLfのうち、下限又は下限よりも僅かに高い液面レベルLfを設定してもよい。この切替レベルLsは、例えば、実験、シミュレーション、計算等により求めることができる。
【0029】
圧力判定部73は、圧力検出部52で検出された液化二酸化炭素Lの圧力Pが予め定めた基準圧力Ps以下まで低下したか否かを判定する。ここで、基準圧力Psとは、液化二酸化炭素Lの三重点圧力、又は三重点圧力よりも高い圧力である。
【0030】
開閉弁制御部71は、第一開閉弁34、第二開閉弁35、開閉弁39の開閉動作を制御する。
開閉弁制御部71は、タンク21への液化二酸化炭素Lの積込に先立ち、開閉弁39を開状態にして、第一開閉弁34及び第二開閉弁35を閉状態とする。開閉弁制御部71は、タンク21への液化二酸化炭素Lの積込開始時には、開閉弁39を閉状態にして、第一開閉弁34を開状態にする。また、開閉弁制御部71は、液化二酸化炭素Lの積込開始後、液面判定部72で、液面検出部51で検出される液化二酸化炭素Lの液面レベルLfが切替レベルLsに到達したと判定された場合、第一開閉弁34を閉状態にするとともに、第二開閉弁35を開状態にする。開閉弁制御部71は、第一開閉弁34、第二開閉弁35を開閉するための制御信号を、出力部74を介して第一開閉弁34、第二開閉弁35に出力する。また、開閉弁制御部71は、第二開閉弁35を開状態にしているときに、圧力検出部52で検出された液化二酸化炭素Lの圧力が予め定めた基準圧力Ps以下となった場合に、第一開閉弁34を開状態にする。
【0031】
(船舶における液化二酸化炭素の積込方法の手順)
図7に示すように、この実施形態に係る船舶1における液化二酸化炭素Lの積込方法S10は、上部積込配管を通して液化二酸化炭素を積み込む工程S11と、下部積込配管を通して液化二酸化炭素を積み込む工程S12と、を含む。
【0032】
上部積込配管を通して液化二酸化炭素を積み込む工程S11では、まず、第一開閉弁34、第二開閉弁35、開閉弁39のうち、開閉弁39だけを開状態にする。すると、図4に示すように、スプレー管38からタンク内に液化二酸化炭素Lが噴射される。これにより、タンク21内が冷却され、タンク21内の圧力が低下され、より多くの液化二酸化炭素Lを積み込むことが可能となる。
【0033】
その後、開閉弁39を閉状態にするとともに、第一開閉弁34を開状態にする。これにより、図3に示すように、上部積込配管32を通してタンク21内に液化二酸化炭素Lが積み込まれる。この状態では、上部積込配管32がタンク21内の上部に開口している。そのため、上部積込配管32の開口32aから、タンク21内の気相に液化二酸化炭素Lが放出される。また、積込配管30の最も高い位置である頂部30tとの高低差Δh1は、タンク21内の下部に開口する下部積込配管33の開口33aと頂部30tとの高低差Δh2よりも小さい。そのため、液化二酸化炭素Lの液面レベルLfの位置に関わらず、積込配管30の頂部30tにおける液化二酸化炭素Lの圧力低下を抑えることができる。
【0034】
上部積込配管32を通してタンク21内に液化二酸化炭素Lを積み込んでいき、液化二酸化炭素Lの液面レベルLfが、下部積込配管33の開口33aよりも高く設定された切替レベルLsに到達した後、下部積込配管を通して液化二酸化炭素を積み込む工程S12に移行する。下部積込配管を通して液化二酸化炭素を積み込む工程S12では、第一開閉弁34を閉状態にするとともに、第二開閉弁35を開状態にする。これにより、図2に示すように、下部積込配管33を通してタンク21内に液化二酸化炭素Lが積み込まれる。この状態で、下部積込配管33の開口33aよりも高いレベル(具体的には、切替レベルLsよりも高いレベル)まで液化二酸化炭素Lが貯留されている。そのため、下部積込配管33内の液化二酸化炭素Lには、タンク21内に貯留された液化二酸化炭素Lの液面レベルLf(具体的には、切替レベルLs以上)の高さに応じた圧力が加わる。これにより、積込配管30の頂部30tにおける液化二酸化炭素Lの圧力が高められる。
【0035】
(処理の手順)
次に、上記船舶における液化二酸化炭素の積込方法を、制御装置60の制御により自動的に実行するための処理の手順について説明する。
図8に示すように、制御装置60は、タンク21内への液化二酸化炭素Lの積込を開始するときに、まず、開閉弁制御部71により、スプレー管38の開閉弁39を開状態にする(ステップS21)。すると、船外から供給される液化二酸化炭素Lが、スプレー管38からタンク21内に噴射され、タンク21内の圧力が低下する。
【0036】
続いて、制御装置60は、開閉弁制御部71により、開閉弁39を閉状態にするとともに、第一開閉弁34を開状態にする(ステップS22)。すると、船外から供給される液化二酸化炭素Lが、輸送配管31、及び上部積込配管32を通して、タンク21内の上部から供給される。これにより、上記「上部積込配管を通して液化二酸化炭素を積み込む工程S11」が実行される。
【0037】
液化二酸化炭素Lの積込開始後、液面判定部72は、液面検出部51で検出される液化二酸化炭素Lの液面レベルLfが、下部積込配管33の開口33aよりも高く設定された切替レベルLsに到達したか否かを判定する(ステップS23)。この判定の結果、液面レベルLfが、切替レベルLsに到達していないと判定された場合には、予め定められた時間間隔ごとに、ステップS23の処理を繰り返す。一方で、液面レベルLfが、切替レベルLsに到達したと判定された場合には、ステップS24に進む。
【0038】
ステップS24では、開閉弁制御部71により、第一開閉弁34を閉状態にするとともに、第二開閉弁35を開状態にする。これにより、上部積込配管32を通してのタンク21内への液化二酸化炭素Lの供給が停止される。また、下部積込配管33を通してのタンク21への液化二酸化炭素Lの供給が開始される。これにより、上記「下部積込配管を通して液化二酸化炭素を積み込む工程S12」が実行される。
【0039】
下部積込配管33を通しての液化二酸化炭素Lの積込開始後、圧力判定部73は、圧力検出部52で検出された圧力P、すなわち積込配管30の頂部30tにおける液化二酸化炭素Lの圧力Pが、予め定めた基準圧力Ps以下に低下したか否かを判定する(ステップS25)。その結果、液化二酸化炭素Lの圧力が基準圧力Psに到達したと判定された場合、ステップS26に進む。
【0040】
ステップS26では、開閉弁制御部71により、第二開閉弁35を閉状態に向けて動作させるとともに、第一開閉弁34を開状態に向けて動作させる。このとき、第二開閉弁35は、短時間で全閉状態まで動作させるようにしてもよいが、例えば、予め設定した開度毎に段階的に閉塞させる等、徐々に閉塞させるようにしてもよい。同様に、第一開閉弁34は、短時間で全開状態まで動作させるようにしてもよいが、例えば、予め定めた開度毎に段階的に開放させる等、徐々に開放するようにしてもよい。
【0041】
このようにして、下部積込配管33を通して液化二酸化炭素Lを積み込んでいる最中に、例えば液化二酸化炭素Lの圧力Pが基準圧力Ps以下に低下した場合、第一開閉弁34を開方向へ動作させる。すると、図3に示すように、上部積込配管32から液化二酸化炭素Lがタンク21内に供給される。この際、上部積込配管32の開口32aは、タンク21内に積み込まれた液化二酸化炭素Lの液面レベルLfよりも上方の気相に配置されている。この気相の圧力(タンク21の運用圧力)は、基準圧力Psよりも高く設定されている。そのため、積込配管30の頂部30tにおける液化二酸化炭素Lの圧力が上昇する。
【0042】
その後、圧力判定部73は、圧力検出部52で検出される、積込配管30の頂部30tにおける液化二酸化炭素Lの圧力が、予め定めた復帰圧力Pt(Pt>Ps)まで復帰したか否かを判定する(ステップS27)。この判定の結果、液化二酸化炭素Lの圧力が復帰圧力Ptに到達していないと判定された場合には、上部積込配管32からの液化二酸化炭素Lの積込を継続する。その一方で、ステップS27で、液化二酸化炭素Lの圧力が復帰圧力Ptに到達したと判定された場合、開閉弁制御部71は、第一開閉弁34を閉状態にすると共に、第二開閉弁35を開状態にする(ステップS28)。これにより、液化二酸化炭素Lは、下部積込配管33からタンク21内に供給される状態に復帰する。
【0043】
このようにして、タンク21内に液化二酸化炭素Lを積み込み、所定量の積込が完了すると、開閉弁制御部71は、第一開閉弁34、第二開閉弁35の双方を閉じ、液化二酸化炭素Lの積込を終了する。
【0044】
(作用効果)
上記実施形態の船舶1では、タンク21内の上部に開口する上部積込配管32と、タンク21内の下部に開口する下部積込配管33と、上部積込配管32に設けられた第一開閉弁34と、下部積込配管33に設けられた第二開閉弁35と、を備えている。
この船舶1は、第一開閉弁34を開状態にすると、船外から供給される液化二酸化炭素Lが、輸送配管31、及び上部積込配管32を通して、タンク21内の上部から供給される。また、第二開閉弁35を開状態にすると、船外から供給される液化二酸化炭素Lが、輸送配管31、及び下部積込配管33を通して、タンク21内の下部から供給される。そして、上部積込配管32の開口32aは、タンク21内の上部に位置しているため、タンク21内の下部に位置する下部積込配管33の開口33aよりも、積込配管30において最も高い位置である頂部30tとの高低差が小さい。そのため、上部積込配管32により液化二酸化炭素Lを積み込む際に、液面レベルLfに関わらず、積込配管30において最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力Pの低下を抑えることができる。
【0045】
また、下部積込配管33の開口33aは、タンク21内の下部に位置しているため、下部積込配管33の開口33aよりも高いレベルまで液化二酸化炭素Lが貯留されていれば、下部積込配管33内の液化二酸化炭素Lには、タンク21内に貯留された液化二酸化炭素Lの液面レベルLfの高さに応じた圧力が加わる。そして、液面レベルLfが上昇して開口33aの周囲圧力がタンク21内の気相よりも高くなる位置にまで液面レベルLfが達すれば、開口33aからタンク21内に流入する液化二酸化炭素Lを加圧状態(言い換えれば、サブクール状態)にすることができる。そのため、タンク21内に流入する液化二酸化炭素Lのフラッシュ蒸発の発生を抑えることができる。
【0046】
このように、タンク21内の液化二酸化炭素Lの貯留状況等に応じて、第一開閉弁34と第二開閉弁35との開閉状態を適切に調節することで、積込配管30の最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力低下を抑えることができる。したがって、積込配管30の最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力が、三重点圧力に近づくことを抑えられる。これにより、積込配管30内で液化二酸化炭素Lが凝固してドライアイスが生成されることを抑え、タンク21の運用を円滑に行うことが可能となる。
【0047】
上記実施形態の船舶1では、タンク21内に液化二酸化炭素Lを積み込む場合、タンク21内の液化二酸化炭素Lの液面レベルLfに基づいて、第一開閉弁34及び第二開閉弁35の開閉動作を制御する制御装置60をさらに備えている。
この制御装置60により、タンク21内の液化二酸化炭素Lの液面レベルLfに基づいて、第一開閉弁34及び第二開閉弁35の開閉動作を制御することで、積込配管30の最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力低下を、自動的に抑えることができる。
【0048】
上記実施形態の船舶1では、さらに、液面検出部51で検出される液化二酸化炭素Lの液面レベルLfが、下部積込配管33の開口33aよりも高く設定された切替レベルLsに到達した場合、制御装置60が第二開閉弁35を開状態にするように構成されている。
このような制御装置60の制御により、タンク21内の液化二酸化炭素Lの液面レベルLfが、設定された切替レベルLsに到達するまでは第一開閉弁34を開状態として、上部積込配管32を通してタンク21内に液化二酸化炭素Lを積み込むことができる。そして、上部積込配管32がタンク21内の上部に開口しているため、積込配管30の最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力低下を抑えた状態で、液化二酸化炭素Lの積込を行うことができる。
【0049】
また、制御装置60の制御により、タンク21内の液化二酸化炭素Lの液面レベルLfが切替レベルLsに到達した場合に、第二開閉弁35を開状態にして、下部積込配管33を通してタンク21内に液化二酸化炭素Lを積み込むことができる。このとき、液化二酸化炭素Lは、切替レベルLsよりも高いレベルまで貯留されているので、下部積込配管33内の液化二酸化炭素Lには、タンク21内に貯留された液化二酸化炭素Lの液面レベルLfの高さ、すなわち切替レベルLs以上の液面レベルLfに応じた圧力が加わる。これにより、積込配管30の最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力を高めた状態で、液化二酸化炭素Lの積込を行うことができる。
【0050】
上記実施形態の船舶1では、さらに、第二開閉弁35が開状態のときに、圧力検出部52で検出される液化二酸化炭素Lの圧力Pが予め定めた基準圧力Ps以下となった場合に、制御装置60が第一開閉弁34を開状態にするようになっている。
これにより、第二開閉弁35を開状態にして下部積込配管33を通してタンク21内に液化二酸化炭素Lを積み込んでいる状態で、積込配管30内の液化二酸化炭素Lの圧力Pが基準圧力Ps以下に低下した場合に第一開閉弁34を開状態にすることができる。そして、上部積込配管32がタンク21内の上部に開口しているため、下部積込配管33を通して液化二酸化炭素Lを積み込んでいたときと比較して、積込配管30の最も高い位置との高低差を小さくすることができる。これにより、積込配管30の最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力を上昇させることが可能となる。
【0051】
上記実施形態の船舶1における液化二酸化炭素Lの積込方法では、タンク21内に液化二酸化炭素Lを積み込むに際し、まず、第一開閉弁34を開状態にして、上部積込配管32を通してタンク21内に液化二酸化炭素Lを積み込んでいる。そして、上部積込配管32がタンク21内の上部に開口しているため、積込配管30の最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力低下を抑えた状態で、液化二酸化炭素Lの積込を行うことができる。そのため、積込配管30の最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力が、三重点圧力に近づくことを抑えて、積込配管30内で液化二酸化炭素Lが凝固してドライアイスが生成されることを抑えられる。したがって、タンク21の運用を円滑に行うことが可能となる。
【0052】
上記液化二酸化炭素Lの積込方法では、その後、第二開閉弁35を開状態にして下部積込配管33を通してタンク21内に液化二酸化炭素Lを積み込んでいる。この下部積込配管33を通して液化二酸化炭素Lを積み込んでいる状態で、液化二酸化炭素Lは、下部積込配管33の開口よりも高いレベルまで貯留されている。そのため、下部積込配管33内の液化二酸化炭素Lに、タンク21内に貯留された液化二酸化炭素Lの液面レベルLfの高さに応じた圧力を加えることができる。これにより、タンク21内に流入した液化二酸化炭素Lがフラッシュ蒸発することを抑えられる。
【0053】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、下部積込配管33を、タンク21の頂部からタンク21内に下方に延びるように設けたが、これに限るものではない。
例えば、図9に示すように、下部積込配管33Bは、タンク21上方から下方に回り込むように形成し、下部積込配管33の端部をタンク21の下端21bに接続してもよい。このようにすることでも、下部積込配管33の開口33aをタンク21内の下部に位置させることができる。
【0054】
また、上記実施形態では、船舶1における液化二酸化炭素Lの積込方法S10、及び船舶1における液化二酸化炭素Lの積込方法S10を実行するための制御装置60における処理の手順を示したが、上記の手順は適宜順番を入れ替えることが可能である。
【0055】
また、上記実施形態では、スプレー管38からタンク21内に液化二酸化炭素Lを噴射するようにしたが、液化二酸化炭素Lの噴射を省略するようにしてもよい。
【0056】
<付記>
実施形態に記載の船舶1、船舶1における液化二酸化炭素Lの積込方法は、例えば以下のように把握される。
【0057】
(1)第1の態様に係る船舶1は、一対の舷側3A、3Bを有する船体2と、前記船体2に設けられ、液化二酸化炭素Lを貯留可能なタンク21と、船外から供給される液化二酸化炭素Lを前記タンク21内に積み込む積込配管30と、を備え、前記積込配管30は、船外との連結部31jを有し、前記船体2内に延びる輸送配管31と、前記輸送配管31から分岐して延び、前記タンク21内の上部に開口する上部積込配管32と、前記輸送配管31から分岐して延び、前記タンク21内の下部に開口する下部積込配管33と、前記上部積込配管32に設けられた第一開閉弁34と、前記下部積込配管33に設けられた第二開閉弁35と、を備える。
【0058】
この船舶1は、第一開閉弁34を開くと、船外から供給される液化二酸化炭素Lが、輸送配管31、及び上部積込配管32を通して、タンク21内の上部から供給される。また、第二開閉弁35を開くと、船外から供給される液化二酸化炭素Lが、輸送配管31、及び下部積込配管33を通して、タンク21内の下部から供給される。
上部積込配管32は、タンク21内の上部に開口しているため、タンク21内の下部に開口する下部積込配管33と比較すると、積込配管30において最も高い位置との高低差が小さい。これにより、タンク21内の液面レベルLfに関わらず、積込配管30の最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力低下を抑えることができる。
また、下部積込配管33は、タンク21内の下部に開口しているため、下部積込配管33の開口よりも高いレベルまで液化二酸化炭素Lが貯留されていれば、下部積込配管33内の液化二酸化炭素Lには、タンク21内に貯留された液化二酸化炭素Lの液面レベルLfの高さに応じた圧力が加わる。これにより、積込配管30の最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力を高めることができる。
このように、タンク21内の液化二酸化炭素Lの貯留状況等に応じて、第一開閉弁34と第二開閉弁35との開閉を適切に調節することで、積込配管30において最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力低下を抑えることができる。したがって、積込配管30の最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力が、三重点圧力に近づくことが抑えられる。これにより、積込配管30内で液化二酸化炭素Lが凝固してドライアイスが生成されることが抑えられる。その結果、タンク21内に液化二酸化炭素Lを収容する場合において、積込配管30内でドライアイスが生成されるのを抑え、タンク21の運用を円滑に行うことが可能となる。
【0059】
(2)第2の態様に係る船舶1は、(1)の船舶1であって、前記タンク21内に液化二酸化炭素Lを積み込む場合、前記タンク21内の前記液化二酸化炭素Lの液面レベルLfに基づいて、前記第一開閉弁34及び前記第二開閉弁35の開閉動作を制御する制御装置60をさらに備える。
【0060】
これにより、制御装置60で、タンク21内の液化二酸化炭素Lの液面レベルLfに基づいて、第一開閉弁34及び第二開閉弁35の開閉動作を制御することで、積込配管30において最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力低下を、自動的に抑えることができる。
【0061】
(3)第3の態様に係る船舶1は、(2)の船舶1であって、前記タンク21内に貯留される前記液化二酸化炭素Lの液面レベルLfを検出する液面検出部51をさらに備え、前記制御装置60は、前記第一開閉弁34を開いて前記上部積込配管32を通して前記タンク21内に前記液化二酸化炭素Lを積み込み、前記液面検出部51で検出される前記液化二酸化炭素Lの液面レベルLfが、前記下部積込配管33の開口33aよりも高く設定された切替レベルLsに到達した場合に、前記第二開閉弁35を開いて前記下部積込配管33を通して前記タンク21内に前記液化二酸化炭素Lを積み込む。
【0062】
これにより、制御装置60の制御により、タンク21内の液化二酸化炭素Lの液面レベルLfが、設定された切替レベルLsに到達するまでは、第一開閉弁34を開き、上部積込配管32を通してタンク21内に液化二酸化炭素Lを積み込む。上部積込配管32は、タンク21内の上部に開口しているため、積込配管30において最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力低下を抑えた状態で、液化二酸化炭素Lの積込を行うことができる。
また、制御装置60の制御により、タンク21内の液化二酸化炭素Lの液面レベルLfが、下部積込配管33の開口33aよりも高く設定された切替レベルLsに到達したら、第二開閉弁35を開いて下部積込配管33を通してタンク21内に液化二酸化炭素Lを積み込む。この状態で、液化二酸化炭素Lは、下部積込配管33の開口よりも高いレベルまで貯留されているので、下部積込配管33内の液化二酸化炭素Lには、タンク21内に貯留された液化二酸化炭素Lの液面レベルLfの高さに応じた圧力が加わる。これにより、積込配管30の最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力を高めた状態で、液化二酸化炭素Lの積込を行うことができる。
【0063】
(4)第4の態様に係る船舶1は、(2)又は(3)の船舶1であって、前記積込配管30内の前記液化二酸化炭素Lの圧力を検出する圧力検出部52をさらに備え、前記制御装置60は、前記第二開閉弁35を開いている状態で、前記圧力検出部52で検出される前記液化二酸化炭素Lの圧力Pが予め定めた基準圧力Ps以下となった場合、前記第一開閉弁34を開く。
【0064】
これにより、第二開閉弁35を開いて下部積込配管33を通してタンク21内に液化二酸化炭素Lを積み込んでいる状態で、積込配管30内の液化二酸化炭素Lの圧力Pが基準圧力Ps以下に低下した場合、第一開閉弁34を開く。すると、上部積込配管32は、タンク21内の上部に開口しているため、下部積込配管33を通して液化二酸化炭素Lを積み込んでいたときに比較し、積込配管30において最も高い位置との高低差を小さくすることができる。これにより、積込配管30において最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力低下を抑えた状態で、液化二酸化炭素Lの積込を行うことが可能となる。
【0065】
(5)第5の態様に係る船舶1における液化二酸化炭素Lの積込方法は、(1)から(4)の何れか一つの船舶1における液化二酸化炭素Lの積込方法であって、前記第一開閉弁34を開いて前記上部積込配管32を通して前記タンク21内に前記液化二酸化炭素Lを積み込む工程S11と、前記タンク21内の前記液化二酸化炭素Lの液面レベルLfが、前記下部積込配管33の開口33aよりも高く設定された切替レベルLsに到達した後、前記第一開閉弁34を閉じるとともに、前記第二開閉弁35を開いて前記下部積込配管33を通して前記タンク21内に前記液化二酸化炭素Lを積み込む工程S12と、を備える。
【0066】
これにより、タンク21内に液化二酸化炭素Lを積み込むに際し、まず、第一開閉弁34を開き、上部積込配管32を通してタンク21内に液化二酸化炭素Lを積み込む。上部積込配管32は、タンク21内の上部に開口しているため、積込配管30において最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力低下を抑えた状態で、液化二酸化炭素Lの積込を行うことができる。
その後、第二開閉弁35を開いて下部積込配管33を通してタンク21内に液化二酸化炭素Lを積み込む。この状態で、液化二酸化炭素Lは、下部積込配管33の開口よりも高いレベルまで貯留されているので、下部積込配管33内の液化二酸化炭素Lには、タンク21内に貯留された液化二酸化炭素Lの液面レベルLfの高さに応じた圧力が加わる。これにより、積込配管30の最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力を高めた状態で、液化二酸化炭素Lの積込を行うことができる。
このようにして、積込配管30の最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力が、三重点圧力に近づくことが抑えられる。これにより、積込配管30内で液化二酸化炭素Lが凝固してドライアイスが生成されることが抑えられる。その結果、タンク21内に液化二酸化炭素Lを収容する場合において、積込配管30内でドライアイスが生成されるのを抑え、タンク21の運用を円滑に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0067】
1…船舶
2…船体
2a…船首
2b…船尾
3A、3B…舷側
5…曝露甲板
7…上部構造
8…タンクシステム格納区画
21…タンク
21b…下端
30…積込配管
30t…頂部
31…輸送配管
31j…連結部
32…上部積込配管
32a…開口
33、33B…下部積込配管
33a…開口
34…第一開閉弁
35…第二開閉弁
38…スプレー管
39…開閉弁
51…液面検出部
52…圧力検出部
60…制御装置
61…CPU
62…ROM
63…RAM
64…HDD
65…信号受信モジュール
70…信号入力部
71…開閉弁制御部
72…液面判定部
73…圧力判定部
74…出力部
L…液化二酸化炭素
Lf…液面レベル
Ls…切替レベル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9