(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】吊り具及び防虫剤容器
(51)【国際特許分類】
A01M 1/20 20060101AFI20230919BHJP
B65D 25/22 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
A01M1/20 C
B65D25/22 C
(21)【出願番号】P 2019230373
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】勝又 靖
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-151816(JP,A)
【文献】特開2000-62831(JP,A)
【文献】特開2001-208017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 - 99/00
A61L 9/014
A61L 9/04
B65D 25/22
B65D 85/00
B65D 63/10
B65D 63/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、該基部と連結し、所定幅の長尺部材から成るバンド部とから構成される本体部を有する吊り具であって、
前記基部の一方の側面側の端部に被係止部を設け、
柔軟性を有する前記バンド部は、前記基部の他方の側面側の端部から延出されており、
前記バンド部の側面には、複数の係止突起が設けられており、何れかの前記係止突起を前記被係止部に係止することで、前記バンド部が形成するリング長を調整可能とし
、
前記一方の側面側の端部には、スリット部が設けられており、該スリット部の壁面に前記被係止部が設けられており、
前記基部の他方の側面側の端部からの前記バンド部の延出方向と、前記スリット部の溝方向とは略平行であることを特徴とする吊り具。
【請求項2】
前記係止突起は軸部の頂部に円板が載置された形状とされており、
前記一方の側面及び前記他方の側面と略直交する主面部が水平になるように前記基部を配置した際に、前記係止突起の水平断面は略T字状とされており、前記被係止部の水平断面も略T字状とされていることを特徴とする請求項
1に記載の吊り具。
【請求項3】
取付部と、請求項1又2に記載の吊り具とを備え、防虫成分を揮散する防虫剤容器であって、
前記取付部に前記吊り具の前記本体部を取り付け可能としたことを特徴とする防虫剤容器。
【請求項4】
前記本体部の両側面の外側には、突起片が設けられており、前記取付部には底面部を挟んで向かい合う壁部に、前記突起片を挿入可能とする切欠部が設けられおり、該切欠部に前記突起片を挿入することで、
前記取付部に前記本体部を取り付けることを特徴とする請求項
3に記載の
防虫剤容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の器具等を吊り下げるために使用する吊り具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、防虫剤容器などをドア等に吊り下げる場合に、特許文献1の防虫剤容器のように、付属のフック形状の吊下部を利用して取り付けることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のフック形状の吊下部は、長さの調整が不可能であり、例えば望ましい高さの位置に、防虫剤容器を配置したい場合に、長さ調節ができないので不便である。
【0005】
更に、フック形状の吊下部は、屋外に設置した場合に強風等により設置個所から外れ易いという問題もある。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、任意の長さに簡便に調節可能な吊り具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る吊り具は、基部と、該基部と連結し、所定幅の長尺部材から成るバンド部とから構成される本体部を有する吊り具であって、前記基部の一方の側面側の端部に被係止部を設け、柔軟性を有する前記バンド部は、前記基部の他方の側面側の端部から延出されており、前記バンド部の側面には、複数の係止突起が設けられており、何れかの前記係止突起を前記被係止部に係止することで、前記バンド部が形成するリング長を調整可能とし、前記一方の側面側の端部には、スリット部が設けられており、該スリット部の壁面に前記被係止部が設けられており、前記基部の他方の側面側の端部からの前記バンド部の延出方向と、前記スリット部の溝方向とは略平行であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る吊り具によれば、簡便にバンド部を任意の長さに調節することが可能である。また、屋外に吊り具を設置した場合に強風等により設置個所から外れることもない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】バンド部の長さを調整した状態の本体部の斜視図である。
【
図3】バンド部の長さを調整した状態の本体部の斜視図である。
【
図4】取付部に長さを調整した本体部を取り付けた状態の斜視図である。
【
図5】吊り具の被吊下物に対する使用状態の説明図である。
【
図6】吊り具の被吊下物に対する使用状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は実施例の吊り具の分解斜視図であり、
図2、
図3はそれぞれバンド部の長さを調整した状態の本体部の斜視図である。
図4は取付部に長さを調整した本体部を取り付けた状態の斜視図である。
【0011】
吊り具は、本体部10と、本体部10を取り付ける取付部20とから構成され、例えば合成樹脂により成形されている。なお、取付部20は被吊下物に一体に付設されていてもよいし、底面に設けた接着層により、被吊下物に貼り付けてもよい。更には、取付部20を設けずに、本体部10のみを被吊下物に一体に成形することもできる。
【0012】
本体部10は、基部11と、基部11と連結するバンド部12とから構成されている。その大きさは、例えば基部11が縦横3cm、奥行き6mm、バンド部12が幅4mm、長さ40cmとされている。本体部10は被吊下物、設置場所に応じて適宜のサイズのものを採用することができる。
【0013】
基部11は、主面部11aと、この主面部11aと略直交する、上側面部11b、下側面部11c、左側面部11d及び右側面部11eとから成り、基部11の底面側を開口した薄箱状とされている。基部11の一方の側面側である右側面部11e側の端部には、バンド部12を挿入するためのスリット部11fが、右側面部11eに沿って形成されている。
【0014】
基部11には、柔軟性を有し所定幅の長尺部材から成るバンド部12が付設されている。このバンド部12は、図示するように例えば断面長方形状の帯状のものを採用してもよいし、断面円形、楕円形状の紐状等の適宜の長尺部材を採用してもよい。
【0015】
バンド部12は基部11の他方の側面側である左側面部11d側の端部から上方に延出されている。バンド部12の延出方向と、左側面部11d及び右側面部11eの面方向と、スリット部11fの溝方向とは略平行とされている。
【0016】
バンド部12の内側の側面には、複数の係止突起12aが略等間隔に突設されており、これらの係止突起12aは軸部の頂部に円板が載置された略T字状の形状とされている。
【0017】
スリット部11fの内側である一方の壁面には、バンド部12の係止突起12aを挿通するための被係止部11gが形成されている。この切欠形状をした被係止部11gは、係止突起12aをバンド部12の幅方向から通過させるために、係止突起12aの断面と同様の断面略T字状とされている。
【0018】
なお、実施例ではバンド部12の内側の側面に係止突起12aが設けられ、スリット部11fの内側である一方の壁面に被係止部11gが設けられているが、バンド部12の外側の側面に係止突起12aを設け、スリット部11fの外側の他方の壁面に被係止部11gを設けてもよい。
【0019】
また、基部11の他方側の端部から直接連結させたバンド部12に代えて、分離可能なバンド部12を採用してもよい。このような場合は、基部11の他方側の端部に、一方側と同様にスリット部11fを設け、このスリット部11f内の壁面に被係止部11gを設けると共に、バンド部12には両端に複数の係止突起12aを設けることになる。
【0020】
更には、基部11にスリット部11fを設けているが、スリット部11fを設けずに、基部11の一方又は両側の側面部に直接、被係止部11gを設けるようにしてもよい。このような場合は、被係止部11gは切欠形状に代えて孔形状でもよく、係止突起12aは孔状の被係止部11gに挿入可能な筒形状、又は嵌殺し形状等を採用することができる。
【0021】
基部11には、取付部20に係合するために、左側面部11d、右側面部11eの両側面の外側に、それぞれ水平方向に突出したプレート状の突起片11hが設けられている。
【0022】
取付部20は、矩形状の底面部20aと、底面部20aの両側に設けた一対の平行する壁部20bとから構成されている。これらの壁部20bの対向する壁面には、基部11の突起片11hが挿入可能な切欠部20cが設けられていて、切欠部20cは壁面の一部が切り欠かれた状態となっている。
【0023】
バンド部12をリング状に組立てるには、バンド部12をU字状に屈曲して、何れかの係止突起12aが被係止部11gの上方に位置するように位置合わせを行った後に、任意の係止突起12aを被係止部11gに挿入することにより行う。このようにして、バンド部12のリング長を適宜に調整可能となる。
【0024】
バンド部12によるリング長を長くしたい場合には、
図2に示すように先端側から1番目の係止突起12aを被係止部11gに挿入する。リング長を若干短くしたい場合には、
図3に示すように、例えば先端側から2番目の係止突起12aを被係止部11gに挿入することで、リング長を任意の長さに調整することができる。
【0025】
リング長の長さを調節後に、スリット部11fから突き出たバンド部12の先端部は、ハサミ等でカットしてもよい。
【0026】
係止突起12aを被係止部11gに挿入した後は、係止突起12aを上方に抜かない限り、バンド部12が基部11から外れることはない。係止突起12aと被係止部11gとの係止を更に強固にするために、被係止部11gをL字状に設けてもよい。これにより、被係止部11gを係止突起12aに押し込んだ後に、バンド部12を引っ張ることでロック状態にして係止することが可能である。
【0027】
図2、
図3に示すように、係止突起12aを被係止部11gに挿入することで、バンド部12は吊り紐として機能し、バンド部12の長さを調整した本体部10を、取付部20の切欠部20cに取り付ける。
【0028】
前述のように、取付部20は被吊下物に対して一体に付設されており、或いは図示しない接着層を介して貼り付けられている。取付部20の切欠部20cに、長さを調整した本体部10の突起片11hを
図1の矢印方向に挿入して、本体部10が突き当たる位置まで挿入した
図4に示す状態にすることで、係合は完了する。
【0029】
図5、
図6は、取付部20が一体となった被吊下物Tに対する吊り具の使用状態の説明図であり、図示する被吊下物Tは防虫成分を揮散する防虫剤容器である。防虫剤容器は、多数個の通気孔を有する容器部と、この容器部内に収納された薬剤シート部とから成っている。薬剤シート部は例えば常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を含浸する繊維状体から成る平面状メッシュ体である。
【0030】
この被吊下物Tの容器部の上方に取付部T1を設け、底面部T2を挟んで向かい合う壁部T3の一部を切り欠いた切欠部T4に対して、本体部10を係止可能としている。バンド部12はドアノブまでの長さ等の任意の長さになるように、長を調整して、係止突起12aと被係止部11gとを固定する。
【0031】
なお、本体部10を被吊下物Tに取り付けた後に、バンド部12のリング長を調整するよりも、先にドアノブを利用して、
図2、
図3に示すリング長の調整を完了した本体部10を用意し、最後に被吊下物Tの取付部T1に取り付ける方が、調整時における被吊下物Tが邪魔にならず、調整作業が簡便となる。
【0032】
更に、バンド部12の係止は、主面部11aと上側面部11bに設けた被係止部11gによりなされるので、他の下側面部11c、左側面部11d、右側面部11eは省略することもできる。なお、その場合には被吊下体に対する係止は、例えば上側面部11bによって行えばよい。
【0033】
一度、リング長を調整した基部11は、被吊下物Tを交換することで繰り返し使うことができる。
【0034】
なお、実施例では説明の都合上、各部位について前後上下左右の位置情報を付して説明したが、実際に各部位がそのように配置されているとは限らない。
【0035】
このように本発明に係る吊り具によれば、簡便にバンド部12により任意のリング長を調節することが可能である。また、屋外に吊り具を設置した場合に強風等により設置個所から外れることもない。
【0036】
また、被吊下物Tに取り付け可能とした吊り具によれば、一度、リング長を調整した基部11は、被吊下物Tを交換することでドアノブ等に取り付けた状態で繰り返し使用することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 本体部
11 基部
11f スリット部
11g 被係止部
11h 突起片
12 バンド部
12a 係止突起
20、T1 取付部
20a、T2 底面部
20b、T3 壁部
20c、T4 切欠部
T 被吊下物