(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】可能性のある発話障害および関連する神経障害を識別するための患者の言語使用のモニタリング
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20230919BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20230919BHJP
G10L 15/10 20060101ALI20230919BHJP
G10L 25/90 20130101ALI20230919BHJP
【FI】
A61B10/00 H
A61B5/11 200
G10L15/10 500Z
G10L25/90
(21)【出願番号】P 2019564135
(86)(22)【出願日】2017-12-14
(86)【国際出願番号】 EP2017082861
(87)【国際公開番号】W WO2018219486
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2020-06-24
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-16
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】マクロスキー、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ネールス、ハーシタ
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】渡戸 正義
【審判官】伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0314784(US,A1)
【文献】国際公開第2014/002349(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0265024(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0289172(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B10/00
A61B5/11
G10L15/10
G10L25/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の言語の使用をモニタリングするための方法であって、
コンピューティング・システムのプロセッサが、刺激に対する前記患者の言語反応を取得するステップと、
前記プロセッサが、前記言語反応を反応テキストに変換するステップと、
前記プロセッサが、前記言語反応を分析することによって言語反応データを生成するステップと、ここで、前記言語反応データは、前記言語反応の音声成分を分析することによって生成される、
前記プロセッサが、前記反応テキストを分析することによってテキスト反応データを生成するステップと、ここで、前記テキスト反応データは、前記反応テキストの意味的構成要素および文法的構成要素のうちの少なくとも1つを分析することによって生成される、
前記プロセッサが、前記言語反応データおよび前記テキスト反応データに基づいて反応ベクトルを形成するステップと、
前記プロセッサが、前記反応ベクトルに基づいて前記患者に対する応答を決定するステップと、ここで、前記反応ベクトルは機械学習分類手段を使用して分類され、該反応ベクトルの分類は、症状ベクトルの形態をとることができ、そして該反応ベクトルは、前記患者が属する神経障害又は発話障害の分類を割り当てる為に使用され、及び前記応答は、正しい反応に関して前記患者を教育するために、さらなる刺激として前記患者に提供されるものである、
前記プロセッサが、前記刺激に対する前記患者の運動反応を取得するステップと、
前記プロセッサが、前記運動反応を分析することによって運動反応データを生成するステップと、
前記プロセッサが、前記運動反応データに基づいて運動反応ベクトルを形成するステップと、
前記プロセッサが、前記運動反応ベクトルおよび前記反応ベクトルに基づいて全体的な反応ベクトルを形成するステップと、
ここで、該全体的な反応ベクトルを用いることによって患者についてのより正確な神経学的プロファイルが構築される、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記刺激は、聴覚構成要素、視覚構成要素、触覚構成要素、味覚構成要素、嗅覚構成要素、テキストに基づく構成要素、質問、絵図およびビデオから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記音声成分はピッチ・レベルを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記患者に対する応答を決定する前記ステップは、
前記プロセッサが、前記反応ベクトルを分析することによって複数の候補症状を識別するステップと、
前記プロセッサが、前記反応ベクトルの内容に基づいて、各候補症状の信頼スコアを決定するステップと、
前記プロセッサが、前記信頼スコアに基づいて前記言語反応に対する可能性のある応答を識別するステップと、
前記プロセッサが、前記患者に対する以前の応答、以前に記録されている言語反応および前記刺激のうちの少なくとも1つに基づいて、前記可能性のある応答を文脈に当てはめるステップと
を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
候補症状の決定されている信頼スコアが所定の値を上回る場合、前記候補症状は、主な症状として識別される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記可能性のある応答を識別する前記ステップは、
前記プロセッサが、前記言語反応を既存の臨床知識と比較するステップ、
前記プロセッサが、前記言語反応を、前記患者によって与えられている以前の反応と比較するステップ、
前記プロセッサが、前記言語反応を、言語論述文書と比較するステップ、または
上記の比較するステップの任意の組合せを行うステップと、
前記プロセッサが、前記比較に基づいて前記患者に対する可能性のある応答を識別するステップと
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記プロセッサが、前記さらなる刺激に対する前記患者のさらなる言語反応を取得するステップと、
前記プロセッサが、前記さらなる言語反応をさらなる反応テキストに変換するステップと、
前記プロセッサが、前記さらなる言語反応を分析することによってさらなる言語反応データを生成するステップと、
前記プロセッサが、前記さらなる反応テキストを分析することによってさらなるテキスト反応データを生成するステップと、
前記プロセッサが、前記さらなる言語反応データおよび前記さらなるテキスト反応データに基づいてさらなる反応ベクトルを形成するステップと、
前記プロセッサが、前記さらなる反応ベクトルに基づいて前記患者に対するさらなる応答を決定するステップと
をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
患者の言語の使用をモニタリングするためのコンピュータ・プログラムであって、プロセッサに、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法の各ステップを実行させるための前記コンピュータ・プログラム。
【請求項9】
処理システムであって、少なくとも1つのプロセッサと、請求項8に記載のコンピュータ・プログラムとを備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記コンピュータ・プログラムを実行するように構成されている、前記処理システム。
【請求項10】
介護人と患者との間に設置される言語使用および獲得モニタリング構成要素として作用するように構成されている、請求項9に記載の処理システム。
【請求項11】
構外プラットフォームの一部を実装するように構成されている、請求項9又は10に記載の処理システム。
【請求項12】
コンピュータ・システムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサに結合されているメモリ・デバイスと、
前記プロセッサに結合されているコンピュータ可読記憶デバイスと
を備え、前記記憶デバイスは、患者による言語の使用をモニタリングするための方法を実施するために前記メモリ・デバイスを介して前記プロセッサによって実行可能なプログラム・コードを含み、前記方法は、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法の各ステップを含む、前記コンピュータ・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の言語の使用に関し、より詳細には可能性のある発話障害または神経障害を識別するのに有用であり得る、患者から収集されるデータに基づいて患者の言語の使用をモニタリングするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
早期介入は、自閉症スペクトラム障害(ASD)および統合運動障害のような、神経障害および発話障害の首尾よい治療における重要なファクタとして認められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
医療制度のコスト、キャパシティおよび方針のような現在の制約は、障害の検出の深刻な遅延を引き起こす可能性があり、患者の予後および将来の生活の質に対する、対応する、多くの場合重大な影響をもたらす。その上、介入戦略は絶対確実なものではなく、達成される正確度が一貫していないことが知られており、これは多くの場合、個々の施術者の能力およびリソースに依存する。
したがって、症状の進行の早期段階において神経障害および発話障害を一貫して正確に診断することを可能にするために、患者の言語の使用および獲得をモニタリングするためのシステムおよび方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様は、患者の言語の使用をモニタリングするための方法、ならびに関連付けられるコンピュータ・システムおよびコンピュータ・プログラム製品に関する。コンピューティング・システムのプロセッサが、刺激に対する患者の言語反応(verbal response)を取得する。言語反応は、反応テキストに変換される。言語反応データが、言語反応を分析することによって生成される。テキスト反応データが、反応テキストを分析することによって生成される。反応ベクトル(response vector)が、言語反応データおよびテキスト反応データに基づいて形成される。患者に対する応答(reply)が、反応ベクトルに基づいて決定される。
【0005】
ここで例示のみを目的として、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態による、例示的な分散型データ処理システムの図式表現である。
【
図2】本発明の実施形態による、例示的なデータ処理システムのブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態による、患者の言語の使用をモニタリングするための方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態による、患者に対する応答を決定するための方法のフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態による、
図1のデータ処理システムおよび
図3~
図4の方法を実施することが可能なコンピューティング・システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
医療制度のコスト、キャパシティおよび方針のような現在の制約は、障害の検出の深刻な遅延を引き起こす可能性があり、患者の予後および将来の生活の質に対する、対応する、多くの場合重大な影響をもたらす。その上、介入戦略は絶対確実なものではなく、達成される正確度が一貫していないことが知られており、これは多くの場合、個々の施術者の能力およびリソースに依存する。
【0008】
したがって、症状の進行の早期段階において神経障害および発話障害を一貫して正確に診断することを可能にするために、患者の言語の使用および獲得をモニタリングするためのシステムおよび方法が必要とされている。
【0009】
本発明の実施形態は、様々な神経障害または発話障害の自然な進展を識別、分析および報告することを可能にすることができる、患者の言語の使用をモニタリングするための方法に関する。方法の実施形態は、刺激に対する患者の言語反応を取得するステップと、言語反応をテキストに変換するステップと、それぞれ言語反応および反応テキストを分析することによって、言語反応データおよびテキスト反応データを生成するステップとを含むことができる。
【0010】
言語反応データおよびテキスト反応データに基づいて反応ベクトルを形成することができ、反応ベクトルは、その後、患者に対する応答を決定するために使用することができる。反応ベクトルのさらなる用途は、患者に分類を割り当てることであり得る。このように、提案されている実施形態は、神経障害および発話障害と関連付けられる言語の使用をモニタリングする正確度および一貫性を改善することを可能にすることができ、これらの症状の治療の成功率が高くなる。
【0011】
本発明の実施形態は、プロセッサによって実行されるときに、提案されている分析概念を実施するためのコンピュータ・プログラム・コードを含むコンピュータ・プログラム製品をさらに提供する。
【0012】
本発明の実施形態は、このコンピュータ・プログラム・コードを実行するように構成されているシステム(処理デバイスまたはネットワーク構成要素あるいはその両方のような)をさらに提供する。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、患者の言語の使用をモニタリングするためのコンピュータ実施方法が提供され、方法は、刺激に対する患者の言語反応を取得するステップと、言語反応を反応テキストに変換するステップと、言語反応を分析することによって、言語反応データを生成するステップと、反応テキストを分析することによって、テキスト反応データを生成するステップと、言語反応データおよびテキスト反応データに基づいて反応ベクトルを形成するステップと、反応ベクトルに基づいて患者に対する応答を決定するステップとを含む。
【0014】
刺激に対する患者の言語反応を分析する概念が提案され、分析は、言語反応の音声プロファイル(audio profile)と変換された反応テキストの両方に対して実施される。これらの分析からのデータは、患者の応答の基礎を形成する反応ベクトルの形態で患者の反応のプロファイルを構築するために使用される。応答は、患者から追加の言語反応を収集するためのさらなる刺激として使用することができる。このとき、追加の言語反応は、新たな各反応に従って反応ベクトルを更新するために使用することができる。
【0015】
言い換えれば、患者との継続的な対話を確立する概念が提案され得、神経障害または発話障害を示すことができる患者の言語の使用をモニタリングするために、患者の反応を、音声およびテキストの形態で分析することができる。
【0016】
例示的な一実施形態において、患者に与えられる刺激は、聴覚構成要素(audible component)、視覚構成要素、触覚構成要素、味覚構成要素、嗅覚構成要素、テキストに基づく構成要素、質問、絵図、およびビデオのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0017】
この実施形態の一態様によれば、患者に、単純な質問を課すことによって、言語反応を提供するように促すことができる。これらの質問に対する回答は、所定の反応を有し得、または、回答は、会話の文脈に応じて変化し得る。所定の、または予測される回答が分かっている場合、患者の言語反応を既知の回答と比較することによって、患者の言語反応を迅速に分析することが可能であり得る。
【0018】
神経障害または発話障害を患っている患者は多くの場合、極端に視覚指向である。言い換えれば、神経障害または発話障害を患っている患者は、視覚学習技法により容易に反応することが多い。視覚構成要素を含む刺激を与えることによって、患者は、刺激または患者に対する応答により肯定的に応答することができ、言語反応をより進んで提供しようとし得る。これによって、患者によってより多くの言語データが供給されることになるため、診断手順の助けとなり得、これは、患者が子どもである場合に特に関係し得る。
【0019】
一例として、子どもには、ネズミの絵図および「これはなに?(What is this?)」という質問を含む刺激が与えられ得る。このとき、子どもは、その後記録および分析され得る反応を提供し得る。この場合、分析は、子どもの反応が絵図の内容に一致するか否かをチェックするために、子どもの反応を、絵図の内容と比較することを含み得る。ここで、予測される反応は「それはネズミです(It is a mouse)」またはネズミが存在することを示す同様の陳述であり得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、言語反応データは、言語反応の音声成分を分析することによって生成することができ、音声成分はピッチ・レベルを含んでもよい。
【0021】
このように、複数の発話障害を識別することが可能であり得、例えば、言語反応内に詰まった抑揚が存在する場合、吃音を検出することができる。前出の例に戻って、「そ、そ、そ、それは、ネ、ネ、ネ、ネズミです(I-i-i-it is am-m-m-mouse)」という形態の反応は、子どもに吃音があるという指示を与えることができる。子どもに吃音があるという指示は、反応ベクトルの形成に使用される言語反応データの一部を形成することができる。
【0022】
上記の例は、純粋に、発話障害に対処しているが、反応の音声成分内には様々な重要な指標が存在し得るため、これらの態様を、神経障害に関係する言語獲得の分析に含めることも有用であり得る。例えば、単語間の不規則な中断は、患者が、与えられた刺激に反応するために正しい単語を獲得しようと悪戦苦闘していることを示し得る。この場合、子どもの反応は、「それは...ネズミです(It is a ... mouse)」の形態をとり得、この反応において、単語「ネズミ」の前の不規則な中断によって、子ども発話の通常の抑揚が阻害されている。不規則な中断は、子どもが子どもの語彙から単語「ネズミ」を獲得しようと悪戦苦闘していることの指示としての役割を果たし得る。
【0023】
刺激に対する子どもの反応は、言語反応のピッチを分析することによって、患者が与えられた刺激に対する正しい反応を形成しようと悪戦苦闘していることをさらに示すことができる。言語反応のピッチは、患者が患者の反応に確信を持てないこと、あるいは、患者が正しい単語もしくは構文またはその両方を獲得しようと悪戦苦闘していることを示すことができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、テキスト反応データは、反応テキストの意味的構成要素および文法的構成要素のうちの少なくとも1つを分析することによって生成することができる。
【0025】
反応テキストの意味的構成要素および文法的構成要素のうちの少なくとも1つを分析することによって、言語反応内の単語の意味が分析され、与えられた刺激と比較されることが可能になり得、これは、反応の形成の背後にある認知プロセスをより深く分析することができ、より正確な患者プロファイルを生成することができることを意味する。ネズミの例に戻って、子どもが、聞き取れる不規則性が一切存在しない「それは鳥です(It is a bird)」という形態の反応を与える場合がある。この場合、純粋に音声に基づく分析では、反応の意味的内容が刺激に一致しないことを検出することはできないが、反応のセマンティクスを分析することによって、子どもの反応が正しくないことを検出することが可能であり得る。子どもの正しくない反応は、本方法の実施形態による患者分類プロセスにおけるファクタとして使用することができる。さらなる例において、子どもが「それはネコに追いかけられています(It is chased by a cat)」という形態の反応を提供する場合があり、この反応において、「ネズミ」という特定の単語は存在しないが、ネズミに対する一般的な関連付け(common connection)は行われている。子どもの反応の意味を理解することを通じて、正しさのレベルを評価することが可能であり得、これによって、より正確な症状プロファイルをもたらすことができる。
【0026】
言語反応の文法的内容をさらに分析することによって、患者が属する神経障害または発話障害のより正確な分類を生成することが可能であり得る。例えば、患者は、ネズミの例の場合に、文内で正しくない代名詞を使用し、「私はネズミです(I am a mouse)」という形態の反応を与える場合がある。言い換えれば、反応には、聞き取れる矛盾が含まれず、正しい主題「ネズミ(mouse)」は識別されているかもしれないが、反応の構造は正しくないままである。この間違いを識別することによって、「それはネズミです、ですよね?(It is a mouse, isn't it?)」のような、間違いを訂正し、患者に再び試行するように促すさらなる刺激を患者に与えようとする応答を、患者に与えることが可能であり得る。テキスト分析は、反応の音声プロファイル内には存在しない、神経障害の重要な認知的識別要素(cognitive identifier)を明らかにすることができる。
【0027】
例示的な一実施形態において、本方法は、刺激に対する患者の運動反応を取得するステップと、運動反応を分析することによって運動反応データを生成するステップと、運動反応データに基づいて運動反応ベクトルを形成するステップと、運動反応ベクトルおよび反応ベクトルに基づいて全体的な反応ベクトルを形成するステップとをさらに含むことができる。
【0028】
言い換えれば、本方法の実施形態は、患者への応答の生成に使用するための追加の情報を得るために、応答眼球運動、顔の表情、姿勢などのような、患者の動きも考慮に入れることができる。
【0029】
言い換えれば、患者の反応の分析に追加のファクタを含めることによって、患者についてより正確な神経学的プロファイルを構築することができる。
【0030】
いくつかの実施形態において、患者への応答を決定するステップは、反応ベクトルを分析することによって複数の候補症状を識別するステップと、反応ベクトルの内容に基づいて各候補症状の信頼スコアを決定するステップと、信頼スコアに基づいて言語反応に対する可能性のある応答を識別するステップと、患者への以前の応答、以前に記録されている言語反応および刺激のうちの少なくとも1つに基づいて、可能性のある応答を文脈に当てはめるステップとを含むことができる。
【0031】
反応ベクトルは、例えば、単語間の中断の長さの変動、文の長さ、文法的な誤りの数などの、患者の反応が分析される様々な異なる測定基準を含むことができる。これらの測定基準の各々に対する患者の性能は、反応ベクトルが特定の症状に一致するものとして分類されることを可能にすることができる。症状は理想化されたデータを使用して分類されるため、患者反応は、複数の異なる症状に分類され得る。
【0032】
一致する各症状に信頼スコアを割り当てることによって、ここで、信頼スコアは一致の強度に依存するが、患者の反応に最も近く一致する症状プロファイルを識別することができる。
【0033】
いくつかの事例において、患者に供給され得る複数の応答が存在する場合がある。患者の言語反応に対する最も適切な応答を決定することによって、システムの効率を向上させることが可能であり得る。再びネズミの例に戻ると、子どもは、「私はネズミです」という反応を提供する場合があり、そのため、分析は、正しくない代名詞が患者によって使用されたことを明らかにする。この分析に基づいて、異なる患者による同等の事例であって、この患者も同様の反応を提供している、事例を使用して、適切な反応を選択することができる。
【0034】
しかしながら、例えば、ネコの絵図など、異なる刺激が使用される場合もある。これによって、患者に対する選択される応答は、「それはネコです、ですよね?(It is a cat, isn't it?)」の形態になり得る。明らかに、子どもの反応は正しくなく、患者の混乱をもたらし得る。このシナリオにおいて、応答の内容を現在の患者対話と整合させるために、応答を文脈に当てはめることができる。可能性のある反応の主題、すなわち、ネコが、現在の患者対話の主題、すなわち、ネズミと比較され得る。可能性のある反応の主題および現在の患者対話の主題が一致しないと判明した場合、可能性のある反応の主題を、現在の対話の主題と置き換えることができ、これによって、「それはネズミです、ですよね?」の正しい形態をとる、患者に与えられる応答をもたらすことができる。
【0035】
例示的な一実施形態において、候補症状の決定されている信頼スコアが所定の値を上回る場合、候補症状を、主な症状として識別することができる。
【0036】
言い換えれば、候補症状の信頼スコアが所定のレベルを上回る場合、患者はその症状を有するものとして診断される。信頼レベルはまた、患者または介護人に与えられてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、可能性のある応答を識別するステップは、言語反応を既存の臨床知識と比較するステップ、言語反応を、患者によって与えられている以前の反応と比較するステップ、言語反応を、言語論述文書(documented language discussion)と比較するステップ、またはそれらの任意の組合せと、比較に基づいて患者に対する可能性のある応答を識別するステップとを含むことができる。
【0038】
そのような実施形態は、患者の言語反応が、複数の症状にわたる様々な標準検査結果のような、既存の臨床知識と比較されることを可能にすることができる。この知識は、任意の患者対話開始前にアクセスすることができ、プロセスの開始を受けて重要な症状指標が迅速かつ効率的に認識されることが可能になり、これは、識別される可能性のある応答が、特定の症状を明らかにするように設計されている標準構成要素を含み得ることを意味する。加えて、言語反応は、患者によって与えられている以前の言語反応と比較することができる。正しくない代名詞の例の場合、与えられる第1の言語反応は「私はネズミです」であり、それに対する応答は「それはネズミです、ですよね?」であり得る。その後、患者によって与えられる第2の反応は、「それはネズミです」の形態であり得、これをその後、第1の言語反応と比較することができる。この比較を通じて、患者が改善したと考えることが可能であり得、この場合、会話は成功としてマークすることができる。
【0039】
またさらに、言語反応は、科学研究刊行物、治療アドバイス案内、オンライン・ディスカッション・フォーラムなどに見られるもののような、言語論述文書と比較することができる。これらの比較の組合せを通じて、患者の言語プロファイルを既知の例と比較することによって、患者の複雑な神経学的および発話プロファイルを構築する効率を増大させることが可能であり得る。
【0040】
様々な実施形態において、方法は、応答をさらなる刺激として患者に提供するステップと、さらなる刺激に対する患者のさらなる言語反応を取得するステップと、さらなる言語反応をさらなる反応テキストに変換するステップと、さらなる言語反応を分析することによって、さらなる言語反応データを生成するステップと、さらなる反応テキストを分析することによって、さらなるテキスト反応データを生成するステップと、さらなる言語反応データおよびさらなるテキスト反応データに基づいてさらなる反応ベクトルを形成するステップと、さらなる反応ベクトルに基づいて患者に対するさらなる応答を決定するステップとをさらに含むことができる。
【0041】
この実施形態において、方法は、患者からより多くの言語データを収集するために繰り返すことができる。この場合、患者に与えられる応答は、最も適切な刺激を患者に与えるために、候補症状および言語反応データに基づいて決定される。
【0042】
言い換えれば、本方法は、多量の言語データを収集するための患者との継続的な対話を形成するために繰り返すことができ、患者の言語の使用のより正確なモニタリングが可能になる。
【0043】
本発明のさらなる実施形態によれば、患者の言語の使用および患者の言語の獲得をモニタリングするためのコンピュータ・プログラム製品であって、コンピュータ・プログラム製品は、プログラム命令を具現化するコンピュータ可読記憶媒体を含み、プログラム命令は、処理ユニットによって、処理ユニットに方法を実施させるように実行可能であり、方法は、刺激に対する患者の言語反応を取得するステップと、言語反応を反応テキストに変換するステップと、言語反応を分析することによって、言語反応データを生成するステップと、反応テキストを分析することによって、テキスト反応データを生成するステップと、言語反応データおよびテキスト反応データに基づいて反応ベクトルを形成するステップと、反応ベクトルに基づいて患者に対する応答を決定するステップとを含む、コンピュータ・プログラム製品が、本明細書において提供される。
【0044】
また別の態様によれば、処理システムであって、少なくとも1つのプロセッサと、1つまたは複数の実施形態によるコンピュータ・プログラム製品とを備え、少なくとも1つのプロセッサは、コンピュータ・プログラム製品のコンピュータ・プログラム・コードを実行するように構成されている、処理システムが提供される。
【0045】
処理システムは、介護人と患者との間に設置される言語使用および獲得モニタリング構成要素として作用するように構成することができる。処理システムは、クラウドベースのシステムまたはサーバのような、構外プラットフォームの一部を実装するように構成することができる。
【0046】
したがって、システムの実施形態は、音声およびテキストの形態で、患者の言語反応を分析し、分析の結果に基づいて患者の症状を診断することができる。
【0047】
したがって、本発明のさらなる実施形態によれば、患者の言語の使用および患者の言語の獲得をモニタリングするためのシステムであって、システムは、刺激に対する患者の言語反応を取得するように構成されているデバイスと、言語反応を反応テキストに変換するように構成されている処理ユニットと、言語反応を分析することによって、言語反応データを生成するように構成されている第1のデータ生成ユニットと、反応テキストを分析することによって、テキスト反応データを生成するように構成されている第2のデータ生成ユニットと、言語反応データおよびテキスト反応データに基づいて反応ベクトルを形成するように構成されているデータ処理ユニットと、反応ベクトルに基づいて患者に対する応答を決定するように構成されている応答生成ユニット(reply generation unit)とを備える、システムも、本明細書において提供される。
【0048】
刺激は、聴覚構成要素、視覚構成要素、テキストに基づく構成要素、質問、絵図およびビデオのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0049】
第1のデータ生成ユニットは、言語反応の音声成分を分析することによって言語反応データを生成するようにさらに構成することができ、音声成分はピッチ・レベルを含んでもよい。
【0050】
例示的な一実施形態において、第2のデータ生成ユニットは、反応テキストの意味的構成要素および文法的構成要素のうちの少なくとも1つを分析することによってテキスト反応データを生成するようにさらに構成することができる。
【0051】
別の実施形態において、システムは、刺激に対する患者の運動反応を取得するように構成されている第2のデバイスと、運動反応を分析することによって運動反応データを生成するように構成されている第3のデータ生成ユニットと、運動反応データに基づいて運動反応ベクトルを形成するように構成されている第2のデータ処理ユニットと、運動反応ベクトルおよび反応ベクトルに基づいて全体的な反応ベクトルを形成するように構成されている第3のデータ処理ユニットとをさらに備えることができる。
【0052】
応答生成ユニットは、反応ベクトルを分析することによって複数の候補症状を識別することと、反応ベクトルの内容に基づいて各候補症状の信頼スコアを決定することと、信頼スコアに基づいて言語反応に対する可能性のある応答を識別することと、患者への以前の応答、以前に記録されている言語反応および刺激のうちの少なくとも1つに基づいて、可能性のある応答を文脈に当てはめることとを行うようにさらに構成することができる。
【0053】
例示的な一実施形態において、応答生成ユニットは、候補症状の決定されている信頼スコアが所定の値を上回る場合、候補症状を、主な症状として識別するようにさらに構成することができる。
【0054】
様々な実施形態において、応答生成ユニットは、可能性のある応答を識別するプロセスのために、言語反応を既存の臨床知識と比較すること、言語反応を、患者によって与えられている以前の反応と比較すること、言語反応を、言語論述文書と比較すること、またはそれらの任意の組合せと、比較に基づいて患者に対する可能性のある応答を識別することとを行うように構成することができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、システムは、応答をさらなる刺激として患者に与えるように構成されているユーザインターフェースと、さらなる刺激に対する患者のさらなる言語反応を取得するように構成されているデバイスと、さらなる言語反応をさらなる反応テキストに変換するように構成されている処理ユニットと、さらなる言語反応を分析することによって、さらなる言語反応データを生成するように構成されている第1のデータ生成ユニットと、さらなる反応テキストを分析することによって、さらなるテキスト反応データを生成するように構成されている第2のデータ生成ユニットと、さらなる言語反応データおよびさらなるテキスト反応データに基づいてさらなる反応ベクトルを形成するように構成されているデータ処理ユニットと、さらなる反応ベクトルに基づいて患者に対するさらなる応答を決定するように構成されている応答生成ユニットとをさらに備えることができる。
【0056】
さらに、(処理)システムは、本発明の方法の1つまたは複数の実施形態を実行するように適合されている単一のデバイスまたは分散デバイスの集合であってもよい。例えば、システムは、パーソナル・コンピュータ(PC)、サーバ、あるいは、本発明の方法の少なくとも1つの実施形態を協働して実行するためにローカル・エリア・ネットワーク、インターネットなどのようなネットワークを介して接続されているPCの集合もしくはサーバまたはその両方であってもよい。
【0057】
例示的な実施形態は、患者の言語の使用をモニタリングするためのコンピュータ実施方法に関する。この概念は、刺激に対する患者の言語反応を取得するステップと、言語反応を反応テキストに変換するステップと、言語反応を分析することによって、言語反応データを生成するステップと、反応テキストを分析することによって、テキスト反応データを生成するステップと、言語反応データおよびテキスト反応データに基づいて反応ベクトルを形成するステップと、反応ベクトルに基づいて患者に対する応答を決定するステップとを含むことができる。
【0058】
言い換えれば、本発明の実施形態は、言語モニタリング方法であって、患者に対する応答が、刺激に対する患者の反応に基づいて生成される、言語モニタリング方法を含むことができる。患者の反応の言語およびテキストの内容は、最も適切な応答を生成するために分析することができる。生成されている応答は、患者との会話を確立するための新たな刺激を形成することができ、患者によって与えられる各反応を、さらに分析することができる。
【0059】
実施形態は、データ処理システムが、刺激に対する患者からの言語反応を取得することと、言語反応を反応テキストに変換することと、言語反応を分析することによって、言語反応データを生成することと、反応テキストを分析することによって、テキスト反応データを生成することと、言語反応データおよびテキスト反応データに基づいて反応ベクトルを形成することと、反応ベクトルに基づいて患者に対する応答を決定することとを行うことを可能にすることができる。さらなる実施形態はまた、刺激に対する患者の運動反応に関係する情報をも取得することができる。可能性のある刺激は、聴覚構成要素、視覚構成要素、触覚構成要素、味覚構成要素、嗅覚構成要素、テキストに基づく構成要素、質問、絵図およびビデオを含んでもよい。
【0060】
特に、本発明の実施形態は、患者との会話を開始するためのコンピュータ実施方法であって、患者に対する各応答が、新たな刺激として作用することができ、これによって複数の患者反応が分析されることを可能にすることができ、これによって患者の認知状態の詳細なプロファイルが構築されることを可能にすることができる、コンピュータ実施方法を含むことができる。
【0061】
本発明の実施形態の価値および有用性を高めるために、従来の言語モニタリング実施態様に対する変更および追加のステップを提供することもできる。
【0062】
例示的な実施形態は、多くの異なるタイプのデータ処理環境において利用することができる。例示的な実施形態の要素および機能の説明の文脈を提供するために、以降、例示的な実施形態の態様を実施することができる例示的な環境として、
図1および
図2が与えられる。
図1および
図2は例に過ぎず、本発明の態様または実施形態を実施することができる環境に関するいかなる限定を主張または暗示するようにも意図されていないことが理解されるべきである。本発明の思想および範囲から逸脱することなく、多くの変更を図示されている環境に対して行うことができる。
【0063】
図1は、本発明の実施形態による、例示的な分散型データ処理システムの図式表現を示す。分散型データ処理システム100は、例示的な実施形態の諸態様を実施することができる複数のコンピュータから成るネットワークを含むことができる。分散型処理システム100は、分散型データ処理システム100内でともに接続されている、様々なデバイスとコンピュータとの間の通信リンクを提供するために使用される媒体である、少なくとも1つのネットワーク102を含む。ネットワーク102は、有線、無線通信リンク、または光ファイバ・ケーブルのような接続を含むことができる。
【0064】
図示される例では、第1のサーバ104および第2のサーバ106が記憶装置108とともにネットワーク102に接続される。加えて、クライアント110、112、および114も、ネットワーク102に接続される。クライアント110、112、および114は例えば、パーソナル・コンピュータ、ネットワーク・コンピュータなどであってもよい。図示される例では、第1のサーバ104は、ブート・ファイル、オペレーティング・システム画像、およびアプリケーションのようなデータをクライアント110、112、および114に提供する。クライアント110、112、および114は、この図示される例では第1のサーバ104に対するクライアントである。分散型データ処理システム100は、図示されていない追加のサーバ、クライアント、および他のデバイスを含んでもよい。
【0065】
図示される例では、分散型処理システム100は、互いに通信するためにプロトコルの伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)スイートを使用するネットワークおよびゲートウェイの世界規模の集合を表すネットワーク102を有するインターネットである。インターネットの心臓部は、データおよびメッセージをルーティングする数千の商用、政府、教育および他のコンピュータ・システムから成る主要ノードまたはホストコンピュータ間の高速データ通信回線の基幹回線である。無論、分散型処理システム100はまた、例えば、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)などのような、複数の異なるタイプのネットワークを含むように実施されてもよい。上述したように、
図1は、本発明の種々の実施形態に対するアーキテクチャの限定ではなく、一例として意図されており、それゆえ、
図1に示す特定の要素は、本発明の例示的な実施形態を実施することができる環境に関する限定として考えられるべきではない。
【0066】
図2は、本発明の実施形態による、例示的なデータ処理システムのブロック図である。データ処理システム200は、
図1におけるクライアント110のような、本発明の例示的な実施形態のプロセスを実施するコンピュータ使用可能コードまたは命令を置くことができるコンピュータの一例である。
【0067】
図示される例では、データ処理システム200は、ノース・ブリッジおよびメモリ・コントローラ・ハブ(NB/MCH)202ならびにサウス・ブリッジおよび入出力(I/O)コントローラ・ハブ(SB/ICH)204を含むハブ・アーキテクチャを採用している。処理ユニット206、メイン・メモリ208、およびグラフィックス・プロセッサ210がNB/MCH202に接続されている。グラフィックス・プロセッサ210は、アクセラレイテッド・グラフィックス・ポート(AGP)を通じてNB/MCH202に接続することができる。
【0068】
図示される例では、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)アダプタ212がSB/ICH204に接続する。オーディオ・アダプタ216、キーボード・マウス・アダプタ220、モデム222、読み出し専用メモリ(ROM)224、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)226、CD-ROMドライブ230、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)ポートおよび他の通信ポート232、ならびにPCI/PCIeデバイス234が、第1のバス238および第2のバス240を通じてSB/ICH204に接続する。PCI/PCIeデバイスは、例えば、イーサネット(R)・アダプタ、アドイン・カード、およびノートブック・コンピュータのためのPCカードを含んでもよい。PCIは、カード・バス・コントローラを使用し、一方で、PCIeは使用しない。ROM224は例えば、フラッシュ基本入出力システム(BIOS)とすることができる。
【0069】
HDD226およびCD-ROMドライブ230は、第2のバス240を通じてSB/ICH204に接続する。HDD226およびCD-ROMドライブ230は、例えば、統合ドライブ・エレクトロニクス(IDE)またはシリアル・アドバンスト・テクノロジー・アタッチメント(SATA)インターフェースを使用してもよい。スーパーI/O(SIO)デバイス236が、SB/ICH204に接続することができる。
【0070】
オペレーティング・システムは、処理ユニット206上で作動する。オペレーティング・システムは、
図2のデータ処理システム200内の様々な構成要素を協調させ、それらの制御を提供する。クライアントとしては、オペレーティング・システムは、市販のオペレーティング・システムであってもよい。Java(TM)プログラミング・システムのようなオブジェクト指向プログラミング・システムが、オペレーティング・システムとともに作動することができ、データ処理システム200上で実行しているJava(TM)プログラムまたはアプリケーションからオペレーティング・システムへの呼び出しを提供する。
【0071】
サーバとしては、データ処理システム200は、例えば、Advanced Interactive Executive(AIX(R))オペレーティング・システムまたはLINUX(R)オペレーティング・システムを作動させる、IBM(R)eServer(TM)System p(R)コンピュータ・システムであってもよい。データ処理システム200は、処理装置206内の複数のプロセッサを含む対称型マルチプロセッサ(SMP)システムとすることができる。代替的には、単一のプロセッサ・システムが採用されてもよい。
【0072】
オペレーティング・システムに対する命令、オブジェクト指向プログラミング・システム、およびアプリケーションまたはプログラムは、HDD226のような記憶デバイス上に位置し、処理システム206によって実行するためにメイン・メモリ208にロードすることができる。同様に、一実施形態による1つまたは複数のデータ構造が、記憶デバイスまたはメイン・メモリ208あるいはその両方によって記憶されるように適合され得る。
【0073】
本発明の例示的な実施形態のプロセスは、例えば、メイン・メモリ208、ROM224のようなメモリ内、または、例えば、1つまたは複数の周辺デバイス226および230内に位置してもよい、コンピュータ使用可能プログラム・コードを使用して、処理ユニット206によって実施することができる。
【0074】
図2に示すような第1のバス238または第2のバス240のようなバス・システムは、1つまたは複数のバスから成ることができる。無論、バス・システムは、ファブリックまたはアーキテクチャに接続されている種々の構成要素またはデバイス間のデータの転送を可能にする任意のタイプの通信ファブリックまたはアーキテクチャを使用して実施されてもよい。
図2のモデム222またはネットワーク・アダプタ212のような通信ユニットは、データを送信および受信するのに使用される1つまたは複数のデバイスを含むことができる。メモリは例えば、メイン・メモリ208、ROM224、または
図2においてNB/MCH202に見られるようなキャッシュとすることができる。
【0075】
図1および
図2のハードウェアは、実施態様に応じて変化してもよいことが、当業者には理解されよう。フラッシュ・メモリ、同等の不揮発性メモリ、または光ディスク・ドライブなどのような、他の内部ハードウェアまたは周辺デバイスが、
図1および
図2に示すハードウェアに加えてまたはその代わりに使用されてもよい。また、例示の実施形態のプロセスは、提案されている概念の範囲から逸脱することなく、例示されているもの以外のマルチプロセッサ/サーバ・システムに適用されてもよい。
【0076】
その上、データ処理システム200は、クライアント・コンピューティング・デバイス、サーバ・コンピューティング・デバイス、タブレット・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、電話機または他の通信デバイス、個人情報端末(PDA)などを含む複数の異なるデータ処理システムのいずれかの形態をとってもよい。いくつかの説明例によっては、データ処理システム200は、例えば、オペレーティング・システム・ファイルまたはユーザ生成データあるいはその両方を記憶するための不揮発性メモリを提供するためにフラッシュ・メモリを有して構成される携帯型コンピューティング・デバイスであってもよい。したがって、データ処理システム200は、本質的に、アーキテクチャの限定なしに、任意の既知のまたは将来開発されるデータ処理システムであってもよい。
【0077】
本発明の実施形態は、患者の認知機能に関係するデータが、刺激に対する患者の反応の分析に基づいて生成されることを可能にすることによって、言語モニタリング(
図2に示すようなもの)を増強することができる。
【0078】
図3は、本発明の実施形態による、患者の言語の使用をモニタリングするための方法300のフローチャートを示す。プロセスは、ステップ310において開始することができ、刺激に対する言語反応を、患者から取得することができる。
【0079】
患者の年齢および症状に応じて、種々の刺激が、言語反応の促進に関する、変動する成功率を有し得る。例えば、患者が子どもである場合、視覚刺激が、テキストに基づく刺激と比較したとき、子どもからの言語反応の促進におけるより高い成功率を有し得る。加えて、特定の症状を有する患者は、極端に視覚指向であり得ることが多い。視覚刺激は、聴覚刺激と比較してより高い成功率を有し得る。
【0080】
さらなる例として、患者は、認知機能障害または脳損傷を患っている場合があり、その性質は、患者に使用するための最も適切な刺激を決定づける。刺激は、聴覚構成要素、視覚構成要素、触覚構成要素、味覚構成要素、嗅覚構成要素、テキストに基づく構成要素、質問、絵図およびビデオのうちの少なくとも1つを含んでもよい。刺激の最も適切な組合せは、患者の症状の性質に基づいて、患者に対して個々に選択することができる。
【0081】
例示的な一実施形態において、患者の特定の症状を評価するために標準検査を使用することができ、標準検査は、所定の刺激を利用し得る。このように、同じ刺激に対する異なる患者の反応を取得することが可能であり得、これによって、患者反応の間で比較が行われることが可能になり得る。刺激反応をもたらす患者は、同様の属性を共有するグループに属するものとして分類することができる。
【0082】
言い換えれば、標準刺激セットを使用することによって、各反応から形成される、関連付けられる反応ベクトルに基づいて、患者反応を比較およびグループ分けすることができる。
【0083】
ステップ320において、テキスト反応を形成するために、患者の言語反応をテキストに変換することができる。言語反応のテキストへの変換は、音声テキスト化システムによって実施することができる。言語反応のテキストへの変換は、詳細な言語分析が、患者の反応に対して実施されることを可能にすることができる。
【0084】
言い換えれば、刺激に対する患者の反応は、音声フォーマットにおいて記憶することができ、これはその後、テキストに変換することができる。このように、患者の反応を、音声に基づくフォーマットとテキストに基づくフォーマットの両方において記憶することができる。
【0085】
ステップ330において、患者の反応の聴覚構成要素を分析することによって、言語反応データを生成することができる。患者の反応の聴覚構成要素を分析することは、ステップ335におけるように、患者の反応の音声成分を分析することを含み得る。
【0086】
患者の反応を音声フォーマットにおいて記憶することによって、言語反応データを生成するために、患者の反応の様々な韻律的特徴および音声的特徴を分析することができる。これらの特徴は、患者の声のピッチ、患者の反応の抑揚、単語間の中断の長さの変動などを含んでもよい。これらのような特徴の分析は、言葉の詰まりのような、患者と関連付けられる様々な症状を示すことができる。さらに、患者の声のピッチ、または、患者が使用すべき正しい単語を獲得しようと、もしくは、反応を形成して完全な文にしようと悪戦苦闘していることを示すことができる単語間の長い中断のような特徴を通じて、患者の認知機能を評価することができる。
【0087】
音声的特徴が、患者の症状の指示を提供することができる一方で、これらの音声的特徴の分析から生成される言語反応データは、患者の詳細な認知プロファイルを、反応ベクトルの形態で構築するために使用することができる。言い換えれば、言語反応データと、テキスト反応データとの組合せは、反応の音声プロファイルのみからは容易に明らかにすることができなかった、認知症状が識別されることを可能にすることができる。
【0088】
ステップ340において、ステップ320において取得されるテキスト反応を分析することによって、テキスト反応データを生成することができる。テキスト分析は、ステップ345におけるように、反応の意味的構成要素および文法的構成要素のうちの少なくとも1つを分析することを含むことができる。
【0089】
例示的な一実施形態において、テキストは、NLPとして参照される自然言語処理を使用して、単語トークン(word token)に分解することができる。テキストを単語トークンに分解することは、トークン化として参照される場合がある。さらなる基本的な言語分析は、POSタグ付けとして知られている、単語の品詞値の識別、構文解析として参照される、係り受け解析木の作成、SRLとして参照される、発話における表現および語句に対する意味役割の割り当て、名付けられたエンティティの識別、ならびに、同一指示解決(co-ref resolution)として知られている、前方照応および後方照応のような同一指示の解決を含み得る。
【0090】
同一指示解決は、代名詞のような、患者によって使用される前方照応が、患者反応の主題と一致しているか否かを評価するために、会話にわたって適用することができる。代名詞参照が最近の患者反応の文脈内で解決されない場合、代名詞の使用が全体としての会話の文脈の中で正しいか否かを評価するために、以前の反応をチェックすることができる。
【0091】
例として、患者反応は、「ジョンは悪い人だ、私は彼が好きではない(John is bad, I don't like him)」という形態のものであり得る。この場合、彼という代名詞は、この反応の文脈の中で正しい。代替的に、これは、第1の患者反応が「ジョンは悪い人だ(John is bad)」であり得、それに対する患者への応答が「あなたはジョンが好きですか?(Do you like John?)」であり得る、会話の形態をとり得る。患者はその後、「私は彼が好きではない(I don't like him)」と言うことによって、患者への応答に反応することができる。このように、会話を全体として利用することによって、患者によって使用されている代名詞が正しいことが分かり得、一方、「私は彼が好きではない」という応答が分離して分析されたとすると、代名詞の使用は間違っているものとして誤って識別される場合がある。
【0092】
これらの基本的な言語的特徴を超えて、より高いレベルの特徴が生成され得る。例えば、言語獲得および自閉症特有の言語向上の場合、文および節の長さ、節の複雑さ、語彙使用のスコア付け、単語の繰り返し、および一致の破綻(broken agreement)などの特徴が一般的であり得る。
【0093】
これらの特徴を分析することによって、患者の反応の音声プロファイルまたは低レベルのテキストに基づく特徴からは容易に明らかになり得ない症状を識別するために、患者の認知機能を直接的に評価することが可能になり得る。
【0094】
ステップ350において、反応ベクトルを、言語反応データとテキスト反応データの両方に基づいて形成することができる。反応ベクトルはこのとき、それぞれ言語反応データおよびテキスト反応データから収集される発話特有の特徴と言語的特徴の両方を組み合わせた、患者反応の多次元表現と考えることができる。反応ベクトルはその後、様々な技法を使用して分類することができる。1つの実施形態において、SVMとして参照されるサポート・ベクタ・マシンまたはRNNとして知られている再帰型ニューラル・ネットワークのような機械学習分類手段を使用することができる。
【0095】
ステップ360において、患者に対する応答が、反応ベクトルに基づいて決定される。患者に対する応答を決定するための方法は、
図4に関連してさらに説明される。
【0096】
様々な実施形態において、ステップ360において生成される応答は、本方法を繰り返し、患者との継続的な対話を形成するように、新たな刺激として患者に提示することができる。このように、反応ベクトルの正確度を向上させるように、より多量のデータを患者から取得することができる。
【0097】
いくつかの実施形態において、患者に対する応答は、患者の反応の中で識別される間違いを訂正するように試行することができる。一例として、イヌの絵図および「あなたはイヌが好きですか?(Do you like dogs?)」という形態の質問を含む刺激を患者に与えることができる。患者はその後、「あなたはイヌが好きではありません(You don't like dogs)」という形態の反応を与える場合がある。このとき、これは、代名詞「あなた」の正しくない使用として識別することができ、さらに、患者が単語の意味を考慮に入れることなく単語を繰り返す反響言語のような症状に帰することができる。システムはその後、「私はイヌが好きです、しかし、私にはあなたがそれらが好きでないことが分かります(I like dogs, but I can see that you don't like them)」という形態の、患者に対する応答を生成することができる。システムは、患者に、単語の正しい使用を識別するように促すために、訂正された単語を強調することができる。
【0098】
さらなる一例として、イヌの絵図および「あなたはイヌが好きですか?」という形態の質問を含む刺激を再び患者に提示することができる。患者は、「いいえ、私はオオカミが好きではありません(No, I don't like wolves)」という形態の反応を与える場合がある。患者の反応の意味的構成要素を分析することによって、患者の反応に正しさのレベルを割り当てるために、オオカミとイヌとの間の関連性が認識されることを可能にすることができる。これを受けて、「私もオオカミが好きではありません、しかし、私はイヌが好きです(I don't like wolves either, but I do like dogs)」という形態の、患者に対する応答を生成することができる。このように、患者に、間違いを訂正するように促すために、患者に対してその差を強調することができる。
【0099】
例示的な一実施形態において、患者反応が以前になされた間違いを訂正しているものとして識別されるとき、反応は、患者の症状を矯正したものとして識別することができ、これはその後、患者の進展および進行を引き続きモニタリングするために、患者とのさらなる対話において進められ得る。
【0100】
いくつかの実施形態において、刺激に対する患者の運動反応も取得することができる。その後、運動反応を分析することによって運動反応データを生成することができ、これはその後、運動反応ベクトルに形成され得る。運動反応ベクトルはその後、患者の全体的な反応ベクトルを形成するために、患者の元の反応ベクトルと組み合わせることができる。
【0101】
患者の運動反応を分析するために、ビデオ-画像分析を使用して、特定の運動特徴の抽出および特定の症状の識別を実施することができる。例えば、特定の方向を見る傾向を検出することが可能であり得る。タイム・スタンプを使用することを通じて、運動特徴を、言語反応の音響特徴およびテキスト反応の言語的特徴と相関付けることができる。
【0102】
例えば、目を細める傾向が、患者の声のピッチの変調および代名詞の正しくない使用と整合されるとき、これは、患者が、刺激に対する正しい反応を獲得または形成あるいはその両方をしようと悪戦苦闘していることを示すことができる。このように、全体的な反応ベクトルの形態で、患者のより正確な認知プロファイルを生成することができる。
【0103】
図4は、本発明の実施形態による、患者に対する応答を決定するための方法400のフローチャートを示す。このプロセスは、ステップ410において開始することができ、反応ベクトルの分析に基づいて、患者に対する複数の候補症状を識別することができる。
【0104】
図3のステップ350に戻ると、反応ベクトルは、機械学習分類手段を使用して分類することができる。反応ベクトルの分類は、症状分類の形態をとることができる。機械学習技法は、理想化されたクラス成員ベクトルを作成するようにシステムを訓練するために使用することができる、予めラベル付けされた例の訓練セットを必要とする。言い換えれば、患者の言語の使用に関係付けられる、各可能性のある症状の理想化されたクラス成員ベクトルを使用して、可能性のある患者症状の迅速な認識を可能にすることができる。患者症状は、患者反応ベクトルを、クラス成員ベクトルと比較することによって識別することができる。患者からの反応データを使用して、クラス成員ベクトルを経時的に補強することもできる。
【0105】
このように、患者反応ベクトルを、システムが把握している症状に関係付けられるクラス成員ベクトルと比較することによって、患者に対する複数の候補症状を識別することが可能であり得る。候補症状は、患者反応ベクトルと同様の特徴を含むクラス成員ベクトルを保持するものとして識別することができる。
【0106】
ステップ420において、各候補症状の信頼スコアを、反応ベクトルの内容に基づいて決定することができる。
【0107】
例えば、コサイン距離のような評価基準を使用して、患者反応ベクトルをクラス成員ベクトルと比較することができる。コサイン距離は、患者反応ベクトルとクラス成員ベクトルとの間の角度に関する測定基準である。言い換えれば、コサイン距離は、2つのベクトルがどの程度近く一致するかの評価基準として使用することができる。この場合、コサイン距離の逆数が、信頼スコアを形成することができる。
【0108】
例として、単純な患者反応ベクトルは、1つの韻律的特徴、中断の長さの分散、1つの基礎的な言語的特徴、文の長さ、および、1つのより高いレベルの特徴、すなわち、代名詞使用に関係付けられる文法的な誤りの数と反応内の代名詞の数との比を含み得る。患者反応ベクトルは、[32.5,5,1]の形態をとることができ、これは、中断の長さの分散が32.5%であり、反応が5単語であり、反応に使用されているすべての代名詞が文法的に正しくなかったことを示すことができる。このように、散在する中断の長さ、短い文、および正しくない代名詞の使用と関連付けられる症状を、候補症状として識別し、反応ベクトルが各候補症状のクラス成員ベクトルとどの程度近く一致するかに基づいて、信頼スコアを割り当てることができる。
【0109】
いくつかの実施形態において、関連付けられる信頼スコアが所定のレベルを上回る場合、候補症状を、主な症状として識別することができる。言い換えれば、患者の反応ベクトルが、候補症状と関連付けられるクラス成員ベクトルに十分に近い場合、その患者は、そのクラスに属するものとして識別することができる。
【0110】
ステップ430において、ステップ420において各候補症状について決定されている信頼スコアに基づいて、患者に対する可能性のある応答を識別することができる。
【0111】
患者との会話は、グラフの形態をとることができる。各患者反応および患者に対する可能性のある応答は、会話グラフ上のノードの形態をとることができる。これらのノードは、頂点によって連結することができる。
【0112】
例えば、患者反応は、会話グラフ上のノードとして取得および指示することができる。患者反応の反応ベクトルに基づいて、各々が関連付けられる信頼スコアを有する、患者に対する候補症状が識別される。候補症状に基づいて、患者に対するいくつかの可能性のある応答を識別することができ、これらは、会話グラフ上の後続するノードの形態で現れる。これらの可能性のある応答はその後、応答と関連付けられる候補症状の信頼スコアに基づいてランク付けすることができる。ランクが最も高い、可能性のある応答が選択され、患者反応とこの可能性のある応答との間に頂点が現れる。可能性のある応答のランクはまた、患者との会話の文脈または以前の患者反応あるいはその両方に最良に適する応答をも考慮に入れることができ、これは会話の過程にわたって繰り返され得る。
【0113】
このように、患者に関する基礎的な情報を迅速に確立するために、患者反応を、標準検査に対する以前の患者反応と比較することができる。
【0114】
患者に対する可能性のある応答は、最初に、複数の方法で識別されてもよい。ステップ432において、患者反応を、患者との対話の前にシステムによって予め処理することができる患者の症状を決定するために使用される標準検査を含むことができる、既存の臨床知識と比較することができる。
【0115】
例えば、標準検査は、特定の症状を有する患者における特定の患者反応を生成することが分かっている刺激の特定の組合せを使用することを含むことができる。このように、システムが患者に関する情報を有せずに始動するのではなく、かつ、長くなる可能性がある会話の過程にわたって可能性のある症状を決定する必要なしに、特定の症状を有する疑いのある患者を効率的に検査および評価することができる。多くの認知症状の複雑な性質に起因して、患者の症状識別を確立することが可能な単一の検査は存在しない可能性があるが、患者に関する基礎的な情報を得る方法として、標準検査を利用することができる。このように、この基礎的な情報に基づいて、患者にとって最も有効であると考えられる、患者に対する刺激または応答を選択することが可能であり得る。
【0116】
ステップ434において、患者反応を、患者によって与えられている以前の反応と比較することができる。この情報は、その後、患者反応を同様の以前の患者反応と比較するために、その患者または他の患者との会話の間に、システムによって取り込むことができる。このように、患者との会話の文脈を維持する、患者に対する可能性のある応答を識別することが可能であり得る。加えて、症状は、複数の患者反応にわたってのみ明白になる場合があり、これは、さらなる候補症状が、他の様態では見落とされていた可能性がある患者反応のグループから識別され得ることを意味する。
【0117】
ステップ436において、患者反応を、言語論述文書と比較することができる。言語論述文書は、化学刊行物、研究論文、ブログ、フォーラム投稿などの形態をとり得る。例として、フォーラム・テキストの分析を実施して、心情(sentiment)を識別する、または、言い換えれば、テキスト中の心情が肯定的、否定的または自然であるかを識別することができ、これはその後、テキストの有用性の指標として使用することができる。
【0118】
テキストはまた、引用を発見することによって「会話スニペット」を識別するために処理することもでき、これは、引用とそれらに「エージェント(agent)」を割り当てることとの間の関係を識別する。結果としてもたらされる会話スニペットは、引用されているテキストと関連付けられる「患者反応」または「患者に対する応答」の役割を有することができ、これはその後、会話データベース内に配置され、インデックス付けされ得る。会話のさらなる注釈を、可能性のある症状に関係するメタデータを使用して実施することができる。例えば、これは、親または介護人が質問しているところ、または、対話が特定の症状を表すか否かについて推測するコメントを追加しているところであり得る。例えば、可能性のある症状として「反響言語」の言及が存在し得る。これは決定的でない場合があるが、システムは、患者反応ベクトルを、推測される症状のクラス成員ベクトルと比較することによって患者反応が分析および確認または反証されるための追加の特徴メタデータとしてこれをキャプチャすることができる。
【0119】
最初に使用される訓練セットを超えた、可能性のある症状のプロファイルを構築するために、ステップ432、434および436を組み合わせて使用することが可能であり得、これによって、データのサンプルサイズの増大に起因してより正確なクラス成員ベクトルをもたらすことができ、様々な症状と関連付けられる、以前は分からなかった属性をさらに強調することができる。
【0120】
ステップ440において、ステップ430において識別される、可能性のある応答は、患者に対する以前の応答、以前の患者反応および刺激のうちの少なくとも1つに基づいて、文脈に当てはめられる。
【0121】
文脈当てはめは、患者との会話の主題が一致したままであることを保証するために複数の患者反応にわたって同一指示解決を実施することを含むことができる。
【0122】
図5は、本発明の実施形態による、
図1のデータ処理システムおよび
図3~
図4の方法を実施することが可能なコンピューティング・システム800のブロック図を示す。上述した様々な動作は、コンピュータ800の機能を利用することができる。例えば、反応テキストを分析することによってテキスト反応データを生成するためのシステムの1つまたは複数の部分を、本明細書において論じられている任意の要素、モジュール、アプリケーション、または構成要素あるいはその組合せに組み込むことができる。
【0123】
コンピュータ800は、限定ではないが、PC、ワークステーション、ラップトップ、PDA、パーム・デバイス、サーバ、ストレージなどを含む。一般的に、ハードウェア・アーキテクチャに関して、コンピュータ800は、ローカル・インターフェース(図示せず)を介して通信可能に結合されている、1つまたは複数のプロセッサ810と、メモリ820と、1つまたは複数のI/Oデバイス870とを含むことができる。ローカル・インターフェースは、例えば、限定ではないが、当該技術分野において既知であるような、1つもしくは複数のバスまたは他の有線もしくはワイヤレス接続とすることができる。ローカル・インターフェースは、コントローラ、バッファ(キャッシュ)、ドライバ、リピータ、および受信機のような、通信を可能にするための追加の要素を有してもよい。さらに、ローカル・インターフェースは、前述した構成要素の間の適切な通信を可能にするためのアドレス、制御、またはデータ接続あるいはその組合せを含んでもよい。
【0124】
プロセッサ810は、メモリ820に記憶することができるソフトウェアを実行するためのハードウェア・デバイスである。プロセッサ810は、仮想的に、任意のカスタム・メイドもしくは市販のプロセッサ、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、または、コンピュータ800と関連付けられるいくつかのプロセッサの間の補助プロセッサとすることができ、プロセッサ810は、半導体に基づくマイクロプロセッサ(マイクロチップの形態の)またはマイクロプロセッサであってもよい。
【0125】
メモリ820は、揮発性メモリ要素(例えば、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)などのような、ランダム・アクセス・メモリ(RAM))および不揮発性メモリ要素(例えば、ROM、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電子的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、テープ、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、ディスク、ディスケット、カートリッジ、カセット他など)のうちのいずれか1つまたは組合せを含むことができる。その上、メモリ820は、電子、磁気、光学、または他のタイプの記憶媒体あるいはその組合せを組み込んでもよい。メモリ820は、様々な構成要素が互いから遠隔して設置されているが、プロセッサ810を介してアクセスすることができる、分散型アーキテクチャを有することができることに留意されたい。
【0126】
メモリ820内のソフトウェアは、1つまたは複数の別個のプログラムを含むことができ、それらの各々が、論理機能を実施するための実行可能命令の順序付けされたリストを含む。メモリ820内のソフトウェアは、適切なオペレーティング・システム(O/S)850と、コンパイラ840と、ソース・コード830と、例示的な実施形態による1つまたは複数のアプリケーション860とを含む。図解されているように、アプリケーション860は、例示的な実施形態の特徴および動作を実施するための複数の機能構成要素を含む。コンピュータ800のアプリケーション860は、例示的な実施形態による様々なアプリケーション、計算ユニット、論理、機能ユニット、プロセス、動作、仮想エンティティ、またはモジュールあるいはその組合せを表し得るが、アプリケーション860は限定であるようには意図されていない。
【0127】
オペレーティング・システム850は、他のコンピュータ・プログラムの実行を制御し、スケジューリング、入出力制御、ファイルおよびデータ管理、メモリ管理、および通信制御ならびに関連サービスを提供する。例示的な実施形態を実施するためのアプリケーション860は、すべての市販のオペレーティング・システムに適用可能であり得る。
【0128】
アプリケーション860は、ソース・プログラム、実行可能プログラム(オブジェクト・コード)、スクリプト、または、実施されるべき命令セットを含む任意の他のエンティティであってもよい。ソース・プログラムの場合、プログラムは、通常、O/S850と協働して適切に動作するように、メモリ820内に含まれてもよく、または含まれなくてもよい、コンパイラ(コンパイラ840など)、アセンブラ、インタープリタなどを介して翻訳される。I/Oデバイス870は、例えば、限定ではないが、マウス、キーボード、スキャナ、マイクロフォン、カメラなどのような、入力デバイスを含んでもよい。さらに、I/Oデバイス870はまた、例えば、限定ではないが、プリンタ、ディスプレイなどの、出力デバイスをも含んでもよい。最後に、I/Oデバイス870は、例えば、限定ではないが、NICまたは変調復調器(遠隔デバイス、他のファイル、デバイス、システム、またはネットワークにアクセスするための)、無線周波数(RF)または他の送受信機、電話インターフェース、ブリッジ、ルータなど、入力と出力の両方を通信するデバイスをさらに含んでもよい。I/Oデバイス870はまた、インターネットまたはイントラネットのような、様々なネットワークを介して通信するための構成要素をも含む。
【0129】
コンピュータ800がPC、ワークステーション、インテリジェント・デバイスなどである場合、メモリ820内のソフトウェアは、基本入出力システム(BIOS)(簡潔にするために省く)をさらに含むことができる。BIOSは、始動時にハードウェアを初期化およびテストし、O/S850を始動させ、ハードウェア・デバイス間のデータの転送をサポートする基本的なソフトウェア・ルーチンのセットである。BIOSは、コンピュータ800が起動されるときにBIOSを実行することができるように、ROM、PROM、EPROM、EEPROMなどのような何らかのタイプの読み出し専用メモリ内に記憶される。
【0130】
コンピュータ800が動作中であるとき、プロセッサ810は、メモリ820とやり取りしてデータを通信し、ソフトウェアに従ってコンピュータ800の動作を全般的に制御するために、メモリ820内に記憶されているソフトウェアを実行するように構成される。アプリケーション860および0/S850は、全体的にまたは部分的に、プロセッサ810によって読み出され、場合によってプロセッサ810内でバッファリングされ、その後、実行される。
【0131】
アプリケーション860がソフトウェア内で実施されるとき、アプリケーション860は、仮想的に、任意のコンピュータ関連システムまたは方法によって使用するための、または、それと協働する任意のコンピュータ可読媒体上に記憶することができることが留意されるべきである。本明細書の文脈において、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ関連システムまたは方法によって使用するための、または、それと協働するコンピュータ・プログラムを含むかまたは記憶することができる電子、磁気、光、または他の物理デバイスまたは手段であってもよい。
【0132】
アプリケーション860は、コンピュータに基づくシステム、プロセッサ含有システム、または、命令実行システム、装置、もしくはデバイスから命令をフェッチし、命令を実行することができる他のシステムのような、命令実行システム、装置、またはデバイスによって使用するための、または、それと協働する任意のコンピュータ可読媒体内に具現化することができる。本明細書の文脈において、「コンピュータ可読媒体」は、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによって使用するための、またはそれと協働するプログラムを記憶、通信、伝搬、または輸送することができる任意の手段とすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は例えば、限定ではないが、電子、磁気、光、電磁、赤外線、もしくは半導体のシステム、装置、デバイス、または伝搬媒体とすることができる。
【0133】
本出願の文脈において、本発明の実施形態が方法を構成する場合、そのような方法は、コンピュータによって実行するためのプロセス、すなわち、コンピュータ実施可能方法であることが理解されるべきであろう。それゆえ、方法の様々なステップは、例えば、1つまたは複数のアルゴリズムの様々な部分など、コンピュータ・プログラムの様々な部分を反映する。
【0134】
本発明は、システム、方法、またはコンピュータ・プログラム製品あるいはその組合せであってもよい。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに、本発明の諸態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有する1つの(または複数の)コンピュータ可読記憶媒体を含み得る。
【0135】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによって使用するための命令を保持および記憶することができる有形デバイスとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は例えば、限定ではないが、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または上記の任意の適切な組合せであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体のより特定的な例の包括的でないリストは、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、ストレージ・クラス・メモリ(SCM)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピー(R)ディスク、パンチカード、または、命令を記録されている溝の中の隆起構造のような機械的に符号化されているデバイス、および、上記の任意の適切な組合せを含む。コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書において使用されるものとしては、無線波、または、他の自由に伝播する電磁波、導波路もしくは他の伝送媒体(例えば、光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)を通じて伝播する電磁波、または、ワイヤを通じて伝送される電気信号のような、過渡的信号自体として解釈されるべきではない。
【0136】
本明細書において記載されているコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスへ、あるいは、ネットワーク、例えば、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、広域ネットワークもしくはワイヤレス・ネットワークまたはその両方を介して外部コンピュータもしくは外部記憶デバイスへダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、ワイヤレス送信、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータまたはエッジ・サーバあるいはその組合せを含んでもよい。各コンピューティング/処理デバイス内のネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェースが、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体内に記憶するために、コンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0137】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、または、Smalltalk、C++などのようなオブジェクト指向プログラミング言語、および、「C」プログラミング言語もしくは同様のプログラミング言語のような従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれているソース・コードもしくはオブジェクト・コードのいずれかであってもよい。コンピュータ可読プログラム命令は、その全体をユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、独立型ソフトウェア・パッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上でかつ部分的に遠隔コンピュータ上で、またはその全体を遠隔コンピュータもしくはサーバ上で実行することができる。後者のシナリオにおいて、遠隔コンピュータが、ユーザのローカル・エリア・ネットワーク(LAN)もしくは広域ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続されてもよく、または、接続は、外部コンピュータに対して(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを通じて)行われてもよい。いくつかの実施形態において、例えば、プログラマブル論理回路、フィールドプログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラマブル論理アレイ(PLA)を含む電子回路が、本発明の諸態様を実施するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をカスタマイズすることによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0138】
本発明の態様は、本明細書において、本発明の実施形態による、方法、装置(システム)およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャートの図またはブロック図あるいはその両方を参照して説明されている。フローチャートの図またはブロック図あるいはその両方の各ブロック、および、フローチャートの図またはブロック図あるいはその両方の中の複数のブロックの組合せはそれぞれ、コンピュータ可読プログラム命令によって実装されることができることは理解されよう。
【0139】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサを介して実行する命令が、フローチャートの図またはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックにおいて指定される機能/動作を実施するための手段を作り出すように、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサに提供されてマシンを生成するものであってよい。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、命令を記憶されているコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックの態様を実施する命令を含む製造品を含むように、コンピュータ可読記憶媒体内に記憶され、コンピュータ、プログラム可能データ処理装置、または他のデバイスあるいはその組合せに特定の様式で機能するように指示することができるものであってもよい。
【0140】
コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で実行する命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックにおいて指定される機能/動作を実施するように、コンピュータで実施されるプロセスを生成すべく、コンピュータ、他のプログラマブル・データ処理装置、または他のデバイス上にロードされ、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させるものであってもよい。
【0141】
図面内のフローチャート図およびブロック図は本発明の様々な実施形態によるシステム、方法およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実施態様のアーキテクチャ、機能、および動作を例示する。これに関連して、フローチャート図およびブロック図内の各ブロックは、指定の論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を含む、モジュール、セグメント、または命令の一部分を表すことができる。いくつかの代替的な実施態様において、ブロックに記載されている機能は、図面に記載されている順序と一致せずに行われてもよい。例えば、連続して示されている2つのブロックは実際には、関与する機能に応じて、実質的に同時に実行されてもよく、または、これらのブロックは、時として逆順に実行されてもよい。また、ブロック図またはフローチャートの図あるいはその両方の各ブロック、およびブロック図またはフローチャートの図あるいはその両方のブロックの組合せは、指定の機能もしくは動作を実施するか、または、専用ハードウェアとコンピュータ命令との組合せを実行する専用ハードウェアベース・システムによって実施することができることも留意されよう。
【0142】
1つの実施形態において、本発明のシステムは、コンピュータ、ポータブル・デバイスなどのようなハードウェア・デバイスであってもよく、または、それを含んでもよい。1つの実施形態において、ハードウェア・デバイスは、本発明の方法のみを実施するように(独立してまたは組み合わせて)特化されている、特殊化された非汎用ハードウェアおよび回路(すなわち、特殊化された個別の非汎用アナログ、デジタル、および論理に基づく回路)を含む専用デバイス(例えば、コンピュータ、マシン、ポータブル・デバイス)であるか、または、それを含む。特殊化された個別の非汎用アナログ、デジタル、および論理に基づく回路は、所有者に対して特定的に設計されている構成要素(例えば、本発明の方法のみを実施するように設計されている、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)のような、特殊化された集積回路)を含んでもよい。
【0143】
本発明のコンピュータ・プログラム製品は、コンピュータ可読プログラム・コードを内部に記憶されている1つまたは複数のコンピュータ可読ハードウェア記憶デバイスを含むことができ、上記プログラム・コードは、本発明の方法を実施するためにコンピューティング・システム(またはコンピュータ・システム)の1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な命令を含む。
【0144】
本発明のコンピュータ・システムは、1つまたは複数のプロセッサ、1つまたは複数のメモリ、および1つまたは複数のコンピュータ可読ハードウェア記憶デバイスを含むことができ、上記1つまたは複数のハードウェア記憶デバイスは、本発明の方法を実施するために1つまたは複数のメモリを介して1つまたは複数のプロセッサによって実行可能なプログラム・コードを含む。
【0145】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的のために提示されているが、網羅的であることも、開示されている実施形態に限定されることも意図されていない。説明されている実施形態の範囲および思想から逸脱することなく、多くの変更および変形が当業者には明らかであろう。本明細書において使用されている用語は、実施形態の原理、実際の適用もしくは市場に見出される技術にまさる技術的改善を最良に説明するため、または、当業者が本明細書において開示されている実施形態を理解することを可能にするために選択されている。