(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】ブラインドの操作具取付装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/78 20060101AFI20230919BHJP
【FI】
E06B9/78
(21)【出願番号】P 2020017489
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】江上 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】大塚 英希
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-226073(JP,A)
【文献】特開2007-182737(JP,A)
【文献】実開昭51-112753(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H1/00-99/00
E06B9/00
9/02
9/06-9/18
9/40-9/50
9/56-9/92
F16B5/00-5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽材の下端に連結したウエイトバーに取り付けられ遮蔽材の開閉を操作する操作具を備えたブラインドの操作具取付装置であって、
前記ウエイトバーの周面の少なくとも一部を包囲するように前記ウエイトバーに取り付けられるホルダと、
前記ホルダに嵌合し、前記操作具が取り付けられる嵌合部材と、
を備え、
前記ホルダには前記嵌合部材が挿入される挿入溝が前記ウエイトバーの軸方向に延びて形成されており、
前記挿入溝には、軸方向の一部の幅が他の部分よりも狭くなった狭溝部が形成されており、前記狭溝部に前記嵌合部材が嵌合することを特徴とする、ブラインドの操作具取付装置。
【請求項2】
前記狭溝部は、前記嵌合部材が挿入される入り口以外の部分に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のブラインドの操作具取付装置。
【請求項3】
前記ホルダと前記嵌合部材とが嵌合した際に、前記挿入溝と前記嵌合部材とが接触しない非接触部分を設けたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のブラインドの操作具取付装置。
【請求項4】
前記嵌合部材には、前記ホルダと前記嵌合部材とが嵌合した際に、前記ホルダの弾性変形を規制する規制部を設けたことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のブラインドの操作具取付装置。
【請求項5】
前記規制部は、前記嵌合部材の先端部よりも幅が広く、前記嵌合部材が前記ホルダに嵌合した際に少なくとも一部が前記狭溝部に当接することを特徴とする、請求項4に記載のブラインドの操作具取付装置。
【請求項6】
前記挿入溝及び前記嵌合部材のうち少なくともいずれか一方には、前記ウエイトバーの軸に対して前後方向に傾斜したテーパー部を少なくとも一部に設けたことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のブラインドの操作具取付装置。
【請求項7】
前記挿入溝の幅は、前記嵌合部材が挿入される入り口よりも奥が狭くなっており、前記嵌合部材の幅は、前記挿入溝への挿入方向において末端部よりも先端部が狭くなっており、前記挿入溝の奥の溝幅は、前記嵌合部材の先端部の幅と同程度又は大きいことを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のブラインドの操作具取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインドの操作具取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブラインドの操作具取付装置として特開2006-226073号公報(特許文献1)に示されるものがある。この特許文献1に開示されるブラインドの操作具取付装置は、ウエイトバーの外周面を包囲するホルダ本体と、操作具を有する嵌合部材と、を備える。ホルダ本体の嵌合部に嵌合部材が嵌合されることによって、操作具がウエイトバーに取り付けられる。
【0003】
このような構成によれば、嵌合部材がホルダの一部をウエイトバーの周面に押し付けるため、複雑な構成とせずに、スクリーンに皺を発生させることもなく、操作具をウエイトバーに取り付けることができるという効果を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ブラインドの操作具取付装置は、嵌合部材は嵌合部としての溝にスライドさせて嵌合させているため、例えば、厚い生地が巻かれたウエイトバーにホルダを取り付ける等すると、ホルダ本体に溝の幅が小さくなるような変形が起きる。このような変形が起きると、嵌合部材が嵌合部に対して着脱しにくくなるという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ホルダに溝の幅が小さくなるような変形が起きても嵌合部材がホルダに対して着脱しやすいブラインドの操作具取付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明によれば、遮蔽材の下端に連結したウエイトバーに取り付けられ遮蔽材の開閉を操作する操作具を備えたブラインドの操作具取付装置であって、前記ウエイトバーの周面の少なくとも一部を包囲するように前記ウエイトバーに取り付けられるホルダと、前記ホルダに嵌合し、前記操作具が取り付けられる嵌合部材と、を備え、前記ホルダには前記嵌合部材が挿入される挿入溝が前記ウエイトバーの軸方向に延びて形成されており、前記挿入溝には、軸方向の一部の幅が他の部分よりも狭くなった狭溝部が形成されており、前記狭溝部に前記嵌合部材が嵌合することを特徴とする、ブラインドの操作具取付装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、ウエイトバーを包囲する範囲径の変更によりホルダが変形しても、挿入溝の溝幅が長手方向において変化していることで、ホルダの変形に合わせて嵌合部材が装着しやすい溝幅に変化して、嵌合部材の挿入に対応しやすくなる。このため、ホルダに溝の幅が小さくなるような変形が起きても嵌合部材がホルダに対して着脱しやすい。よって、ホルダに対する嵌合部材の着脱作業を容易に行うことができる。
【0009】
本発明は様々な応用が可能である。例えば、前記狭溝部は、前記嵌合部材が挿入される入り口以外の部分に形成されていてもよい。挿入溝の入り口部分の幅を広くできるため、挿入溝に嵌合部材を挿入しやすくできる。
【0010】
また、前記ホルダと前記嵌合部材とが嵌合した際に、前記挿入溝と前記嵌合部材とが接触しない非接触部分を設けてもよい。非接触部分でホルダが変形した際の変形を吸収することができるため、挿入溝に嵌合部材を嵌合させることができる。
【0011】
また、前記嵌合部材には、前記ホルダと前記嵌合部材とが嵌合した際に、前記ホルダの弾性変形を規制する規制部を設けてもよい。ホルダが下方に引っ張られても、規制部によってホルダの変形を抑えることができる。よって、ホルダがウエイトバーから脱落するのを防ぐことができる。
【0012】
また、前記規制部は、前記嵌合部材の先端部よりも幅が広く、前記嵌合部材が前記ホルダに嵌合した際に少なくとも一部が前記狭溝部に当接するようにしてもよい。嵌合部材とホルダとが当接する範囲を、長手方向における一部にすることで、当接範囲以外の挿入抵抗が排除され、挿入時の抵抗を軽減することができる。
【0013】
また、前記挿入溝及び前記嵌合部材のうち少なくともいずれか一方には、前記ウエイトバーの軸に対して前後方向に傾斜したテーパー部を少なくとも一部に設けてもよい。ホルダが変形しても、嵌合部材はテーパー部を利用して挿入溝に円滑に挿入することができる。よって、嵌合部材を挿入溝に容易に嵌合させることができる。
【0014】
また、前記挿入溝の幅は、前記嵌合部材が挿入される入り口よりも奥が狭くなっており、前記嵌合部材の幅は、前記挿入溝への挿入方向において末端部よりも先端部が狭くなっており、前記挿入溝の奥の溝幅は、前記嵌合部材の先端部の幅と同程度又は大きくてもよい。嵌合部材を挿入溝に挿入するにあたって、入り口で挿入しやすい。また、奥では嵌合部材の支持片の幅が溝幅以下の幅となっているため、奥まで容易に挿入することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のブラインドの操作具取付装置によれば、ホルダに溝の幅が小さくなるような変形が起きても嵌合部材がホルダに対して着脱しやすい。本発明のその他の効果については、後述する発明を実施するための形態においても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態のロールスクリーン100の全体構成を示す正面図である。
【
図4】ウエイトバー120、ホルダ140、スライドホルダ150の構成を示す斜視図であり、(a)は各部材を組付けた状態を示す図であり、(b)は各部材を分解した状態を示す図である。
【
図5】ホルダ140及びスライドホルダ150を示す図であり、(a)はホルダ140の側面図であり、(b)はスライドホルダ150の側面図である。
【
図6】ホルダ140及びスライドホルダ150を示す図であり、(a)は
図5のB-B断面図であり、(b)はスライドホルダ150の平面図である。
【
図7】スライドホルダ150をホルダ140に取り付ける状態を
図5のB-B断面から見た図であり、(a)は取り付ける途中の状態を示す図であり、(b)は取り付けた状態を示す図である。
【
図8】ホルダ140をスライドホルダ150に取り付ける工程を説明するための図であり、(a)は斜視図であり、(b)は正面図である。
【
図9】ホルダ140をスライドホルダ150に取り付ける工程を
図2のA-A断面から見た図である。
【
図10】スクリーン110の生地厚が薄い場合の
図7のC-C断面相当図である。
【
図11】スクリーン110の生地厚の厚さによるホルダ140の状態を説明する側断面図であり、(a)は生地厚が薄いときの状態を示す図であり、(b)は生地厚が厚いときの状態を示す図である。
【
図12】スクリーン110の生地厚が厚い場合の側断面図である。
【
図13】第2の実施形態のロールスクリーン200を示す側断面図である。
【
図14】スライドホルダ250の構成を示す斜視図であり、(a)はウエイトバー220、ホルダ240、スライドホルダ250を組付けた状態を示す図であり、(b)はスライドホルダ250を取り外した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るロールスクリーン100の構成について、
図1~
図3を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のロールスクリーン100の全体構成を示す正面図である。
図2は、ホルダ140付近の側断面図である。
図3は、
図2のA-A断面図である。
【0019】
本実施形態のロールスクリーン100は、
図1に示したように、スクリーン(遮蔽材)110の下端に連結したウエイトバー120に取り付けられスクリーン110の開閉を操作するプルコード(操作具)130を備えており、ウエイトバー120の周面の少なくとも一部を包囲するホルダ140と、ホルダ140に嵌合し、プルコード130が取り付けられるスライドホルダ150と、を備える。
【0020】
そして、ホルダ140にはスライドホルダ150が挿入される挿入溝140aがウエイトバー120の軸方向に延びて形成されており、挿入溝140aには、軸方向の一部の幅が他の部分よりも狭くなった狭溝部140cが形成されており、狭溝部140cにスライドホルダ150が嵌合するように構成されている。ホルダ140とスライドホルダ150によって操作具取付装置が構成される。以下、ロールスクリーン100の各構成要素について詳細に説明する。
【0021】
(スクリーン110)
スクリーン110は、窓などの開口部を開放及び閉鎖したり、室内空間を間仕切りしたりするものである。スクリーン110は、
図1に示したように、巻取パイプ160に上端が連結されて、巻取パイプ160に巻取り及び巻解き可能に吊り下げられる。スクリーン110の下端には、
図2に示したように、袋状部110aが形成されている。袋状部110a内には、スクリーン110に張力を与えるウエイトバー120が配置されている。
【0022】
巻取パイプ160は、
図1に示したように、サイドプレート170に両端が回転可能に支持されている。サイドプレート170は、ブラケット172を介して窓枠などに固定されるセットフレーム174の両端に設けられる。
【0023】
巻取パイプ160内には、
図1に示したように、巻取パイプ160をスクリーン110の巻取り方向に回転させる巻取スプリング162と、巻取パイプ160のスクリーン110の巻取り方向への回転を減速させるブレーキ164と、巻取パイプ160の回転を拘束及び拘束を解除可能なストッパ166と、が収容されている。
【0024】
(ウエイトバー120)
ウエイトバー120は、スクリーン110に張力を与えるものである。ウエイトバー120は、
図1に示したように、スクリーン110の下端に設けられている。ウエイトバー120には、ホルダ140とスライドホルダ150を介してスクリーン110の昇降を操作するプルコード130が吊り下げられている。
【0025】
(プルコード130)
プルコード130は、スクリーン110の昇降を操作するためのものである。プルコード130は、
図3に示したように、先端が挿通孔150cからスライドホルダ150内に挿入されて結び目130aが形成されることによりスライドホルダ150に連結されている。スクリーン110を下降させる場合、操作者はプルコード130を手で持って引き下げることで行う。また、スクリーン110を上昇させる場合、操作者はプルコード130を若干引き下げることにより、ストッパ166を解除し、巻取パイプ160を回転可能な状態にすることで行う。
【0026】
以下、本実施形態の特徴的な構成であるホルダ140及びスライドホルダ150について、
図1~
図3に加え、
図4~
図7を参照しながら説明する。
図4は、ウエイトバー120、ホルダ140、スライドホルダ150の構成を示す斜視図である。
図5は、ホルダ140及びスライドホルダ150を示す図である。
図6は、ホルダ140及びスライドホルダ150を示す図である。
図7は、スライドホルダ150をホルダ140に取り付ける状態を
図5のB-B断面から見た図である。
【0027】
(ホルダ140)
ホルダ140は、プルコード130をウエイトバー120に連結するためのものである。ホルダ140は、
図1に示したように、ウエイトバー120の長手方向中央に設けられる。ホルダ140は、
図2に示したように、スクリーン110の袋状部110aを介して、ウエイトバー120の周面の少なくとも一部を包囲するように取り付けられる。ホルダ140の開口からは袋状部110aが導出される。ホルダ140の下部には、挿入溝140aが形成されており、挿入溝140aにはスライドホルダ150が嵌合している。
【0028】
ホルダ140は、
図4に示したように、上部が開口された円筒状の形状をしている。ホルダ140は、例えば樹脂などの弾性変形可能な素材で構成されている。ホルダ140の下部には、
図4、
図5(a)に示したように、挿入溝140aがウエイトバー120の軸方向に延びて形成されている。挿入溝140aは、
図6(a)に示したように、広溝部140bと、狭溝部140cと、広溝部140bと狭溝部140cとを繋ぐテーパー部140dとから構成される。
【0029】
広溝部140bはスライドホルダ150が挿入される入り口側の一端部から挿入溝140aの軸方向途中位置まで延びて形成されている。狭溝部140cは、テーパー部140dを挟んで広溝部140bとは軸方向反対方向に他端部まで軸方向に延びて形成されている。広溝部140bの溝幅W1は狭溝部140cの溝幅W2より大きく構成されている。
【0030】
広溝部140bの幅W1は、後述するスライドホルダ150の広幅部150dの幅W3よりも広い。このため、スライドホルダ150は挿入溝140aに挿入されやすくなっている。一方、狭溝部140cの幅W2は、後述するスライドホルダ150の狭幅部150eの幅W4よりも広いが、広幅部150dは嵌合する幅である。
【0031】
挿入溝140aの入り口側の一端部には、
図6(a)に示したように、軸方向に窪んだ係止部140eが形成されている。係止部140eは、後述するスライドホルダ150のストッパ部150hに当接して、スライドホルダ150の挿入方向への移動を規制する。また、挿入溝140aの他端部の溝底には、上下方向に弾性変形可能な弾性係止部140fが形成されている。弾性係止部140fは、スライドホルダ150の係止突部150jに係止して移動を規制する。
【0032】
(スライドホルダ150)
スライドホルダ150は、ホルダ140に嵌合してプルコード130をウエイトバー120に取り付けるためのものである。スライドホルダ150は、
図4に示したように、ホルダ140から下方に突出する突出部150aと、突出部150aの上部に形成され、ホルダ140の挿入溝140aに嵌合する支持片150bと、を備えて構成される。
【0033】
突出部150aは、
図4に示したように、断面略U字状であり、長尺状に構成されている。突出部150aの軸方向中央には、プルコード130を連結するための挿通孔150cが形成されている。この突出部150aには、プルコード130以外にも略U字状の溝を利用して、グリップやハンドル等の操作具を取り付けることができる。
【0034】
支持片150bは、
図4に示したように、突出部150aの上部の両端から前後方向に突出するように形成されている。支持片150bは挿入溝140aに挿入されることで、スライドホルダ150がホルダ140に対して、ウエイトバー120の長手方向に平行な水平方向にスライド可能となっている。支持片150bは、
図5(b)に示したように、挿入溝140aに沿って湾曲した形状となっている。
【0035】
支持片150bは、
図6(b)に示したように、広幅部150dと、狭幅部150eと、広幅部150dと狭幅部150eとを繋ぐテーパー部150fとから構成される。広幅部150dはホルダ140の入り口側の一端部に配置される末端部から軸方向途中位置まで軸方向に延びて形成されている。狭幅部150eは、テーパー部150fを挟んで広幅部150dとは軸方向反対方向の先端部まで軸方向に延びて形成されている。
【0036】
広幅部150dの幅W3は狭幅部150eの溝幅W4より大きく構成されている。スライドホルダ150をホルダ140の挿入溝140aに挿入した際に、
図7(b)に示したように、広幅部150dのテーパー部150f側端部は狭溝部140cに嵌合し、ホルダ140の変形を規制する規制部150gとなる。規制部150gの幅L1は、ホルダ140及びスライドホルダ150の長さ方向の一部分である。ホルダ140及びスライドホルダ150の規制部150g以外の部分は、挿入溝140aと支持片150bとの間に隙間S1、S2が形成されており、挿入溝140aと支持片150bとが接触しない非接触部となっている。なお、隙間S1は、狭溝部140cと狭幅部150eとの隙間であり、隙間S2は、広溝部140b及びテーパー部140dと広幅部150dとの隙間である。
【0037】
支持片150bの末端部には、下方に折り曲がって延びるストッパ部150hが形成されている。ストッパ部150hは、
図7に示したように、ホルダ140の係止部140eに係止されスライドホルダ150の挿入方向の移動を規制する。また、スライドホルダ150の先端部には、ホルダ140の弾性係止部140fを係止する係止突部150jが前後方向に2つ形成されている。
【0038】
以上、本実施形態のロールスクリーン100の全体構成について説明した。次に、本実施形態のロールスクリーン100のホルダ140にスライドホルダ150を取り付ける工程について、主に
図8~
図10を参照しながら説明する。
図8は、ホルダ140をスライドホルダ150に取り付ける工程を説明するための図である。
図9は、ホルダ140をスライドホルダ150に取り付ける工程を
図2のA-A断面から見た図である。
図10は、スクリーン110の生地厚が薄い場合の
図7のC-C断面相当図である。
【0039】
まず、スクリーン110の生地厚が薄い場合を例にとって説明する。ホルダ140は、
図8、
図9に示したように、挿入溝140aがウエイトバー120の下部に配置されるように、ウエイトバー120に嵌め合わされる。ホルダ140の挿入溝140aの広溝部140bとスライドホルダ150の狭幅部150eが対向するように配置し、
図9の矢印aに示した方向にスライドホルダ150を移動させる。ホルダ140の挿入溝140aには、
図7(a)、
図8(b)に示したように、広溝部140b側からスライドホルダ150の狭幅部150eが挿入される。広溝部140bの幅W1は狭幅部150eの幅W4よりも大きいため、挿入が容易である。
【0040】
スライドホルダ150をホルダ140に挿入していくと、スライドホルダ150の狭幅部150eがホルダ140の広溝部140bから狭溝部140cに移動していく。ホルダ140の広溝部140bから狭溝部140cへはテーパー部140dを通過し、スライドホルダ150のテーパー部150fがテーパー部140dを押し広げるように移動していくため、挿入溝140aの幅が変化してもスライドホルダ150は円滑に移動できる。
【0041】
スライドホルダ150をホルダ140に完全に挿入すると、
図7(b)に示したように、ホルダ140の狭溝部140cにスライドホルダ150の狭幅部150eと広幅部150dが配置され、広溝部140bに広幅部150dが配置される。
図10に示したように、狭溝部140cに配置される広幅部150dの部分は狭溝部140cに嵌合して規制部150gを構成する。規制部150gによってホルダ140の変形が規制される。ホルダ140の挿入溝140aとスライドホルダ150の支持片150bは、規制部150g以外の部分は非接触となる。
【0042】
次に、スクリーン110の生地厚の厚みによるホルダ140の変形について、
図11、
図12を参照しながら説明する。
図11は、スクリーン110の生地厚の厚さによるホルダ140の状態を説明する側断面図である。
図12は、スクリーン110の生地厚が厚い場合の
図7のC-C断面相当図である。
【0043】
ホルダ140の挿入溝140aの形状は、
図11に示したように、スクリーン110の生地厚の厚みによって変形する。すなわち、
図11(a)に示したように、スクリーン110の生地厚が薄い場合は、ウエイトバー120が配置された袋状部110aの径寸法が小さい。このため、ホルダ140を取り付けたときに、矢印bに示したように、ホルダ140の径方向外側への変形量が小さくなる。よって、挿入溝140aの変形も小さい。
【0044】
一方、
図11(b)に示したように、スクリーン110の生地厚が厚い場合は、ウエイトバー120が配置された袋状部110aの径寸法が大きくなる。このため、ホルダ140を取り付けたときに、矢印cに示したように、ホルダ140の径方向外側への変形量が大きくなる。よって、図中想像線で示した
図11(a)のホルダ140の状態から実線で示したホルダ140の状態に変形する。このため、挿入溝140aの変形が大きくなり、
図11(a)の状態よりも溝幅が狭くなる。
【0045】
このようにホルダ140が変形した状態でスライドホルダ150を取り付けると、
図10及び
図12に示したように、ホルダ140の挿入溝140aとスライドホルダ150の支持片150bとの隙間S2、及びホルダ140の挿入溝140aとスライドホルダ150の突出部150aとの隙間S3が狭くなる。ホルダ140の挿入溝140aとスライドホルダ150の支持片150bとは規制部150gのみで嵌合しているため、挿入溝140aの変形が大きくなっても隙間S2、S3の幅が変化するだけであり、挿入溝140aに支持片150bを挿入する作業に支障はない。なおここでは、
図10及び
図12を用いて、隙間S2、S3の幅が変化することについて説明したが、隙間S1(
図7参照)についても同様に幅が変化する。
【0046】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、ウエイトバー120を包囲する範囲径の変更によりホルダ140が変形しても、挿入溝140aの溝幅が長手方向において変化していることで、ホルダ140の変形に合わせてスライドホルダ150が装着しやすい溝幅に変化して、スライドホルダ150の挿入に対応しやすくなる。このため、ホルダ140に対するスライドホルダ150の着脱作業を容易に行うことができる。
【0047】
また、狭溝部140cは、スライドホルダ150が挿入される入り口以外の部分に形成されているため、挿入溝140aの入り口部分の幅を広くできる。このため、挿入溝140aにスライドホルダ150を挿入しやすくできる。
【0048】
また、ホルダ140とスライドホルダ150とが嵌合した際に、挿入溝140aとスライドホルダ150とが接触しない非接触部分を設けたため、非接触部分でホルダ140が変形した際の変形を吸収することができる。よって、ホルダ140が変形しても挿入溝140aにスライドホルダ150を嵌合させることができる。
【0049】
また、ホルダ140が下方に引っ張られても、規制部150gによってホルダ140の変形を抑えることができる。よって、ホルダ140がウエイトバー120から脱落するのを防ぐことができる。
【0050】
また、スライドホルダ150とホルダ140とが当接する範囲L1を、長手方向における一部にすることで、当接範囲以外の挿入抵抗が排除され、スライドホルダ150が挿入溝140aに挿入するときの抵抗を軽減することができる。
【0051】
また、挿入溝140a及び支持片150bにテーパー部140d、150fを設けたことにより、挿入溝140aが変形しても、支持片150bはテーパー部140d、150fを利用して円滑に挿入することができる。よって、スライドホルダ150をホルダ140に容易に嵌合させることができる。
【0052】
また、支持片150bの先端の幅が挿入溝140aの入り口側の一端部の幅よりも狭いため、支持片150bを挿入溝140aに挿入するにあたって、入り口で挿入しやすい。また、奥では支持片150bの幅が挿入溝140aの幅以下の幅となっているため、奥まで容易に挿入することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るロールスクリーン200の構成について、
図13、
図14を参照しながら説明する。
図13は、第2の実施形態のロールスクリーン200を示す側断面図である。
図14は、スライドホルダ250の構成を示す斜視図である。本実施形態では、スライドホルダ250の構成が第1の実施形態のスライドホルダ150と異なるものである。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0054】
本実施形態のスクリーン210、袋状部210a、ウエイトバー220、ホルダ240は、第1の実施形態のスクリーン110、袋状部110a、ウエイトバー120、ホルダ140と実質的に同様に構成することができる。
【0055】
本実施形態のロールスクリーン200は、
図13に示したように、ウエイトバー220を床面や窓枠下面FLなどに固定するものである。スライドホルダ250の下端に設けた磁石252と、床面や窓枠下面FLなどに設けた磁性体からなるキャッチャー280とを、
図13の矢印dに示したように、着脱させることにより、ウエイトバー220を床面や窓枠下面などに固定したり、上昇させたりすることができる。
【0056】
スライドホルダ250は、
図14に示したように、突出部250aの長さ方向中央位置に直方体状に固定部250jが突出しており、固定部250jの底部に磁石252が設けられている。支持片250bの広幅部250dと狭幅部250eは、固定部250jを挟んで配置されている。スライドホルダ250をホルダ240に取り付ける方法は、第1の実施形態のスライドホルダ150をホルダ140に取り付ける方法と同様に、支持片250bをホルダ240の挿入溝240aに嵌合することにより行うことができる。
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、スライドホルダ250の形状にかかわらず、広幅部250dと狭幅部250eを備えた支持片250bをホルダ240の挿入溝240aに嵌合するだけで、スライドホルダ250をホルダ240に着脱することができる。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0058】
例えば、上記第1の実施形態では、狭溝部140cは、スライドホルダ150が挿入される入り口以外の部分に形成されている構成としたが、本発明はこの例に限定されない。挿入溝に嵌合部材を挿入しやすい構成であれば任意の構成とすることができる。第2の実施形態も同様である。
【0059】
また、上記第1実施形態では、ホルダ140とスライドホルダ150とが嵌合した際に、挿入溝140aとスライドホルダ150とが接触しない隙間S1、S2、S3を設けたが、本発明はこの例に限定されない。ホルダが変形してもスライドホルダを嵌合できれば任意の構成とすることができる。例えば、挿入溝の一部を他の部分よりも変形しやすい素材で構成し、この部分で変形を吸収してもよい。第2の実施形態も同様である。
【0060】
また、上記第1の実施形態では、スライドホルダ150には、ホルダ140とスライドホルダ150とが嵌合した際に、ホルダ140の弾性変形を規制する規制部150gを設けたが、本発明はこの例に限定されない。ホルダが下方に引っ張られても、ホルダがウエイトバーから脱落するのを防ぐことができれば任意の構成とすることができる。例えば、下方に引っ張られた際に最も力が加わる部分を他の部分よりも変形しない素材で構成したホルダとしてもよい。第2の実施形態も同様である。
【0061】
また、上記第1の実施形態では、規制部150gは、スライドホルダ150の先端部よりも幅が広く、スライドホルダ150がホルダ140に嵌合した際に一部が狭溝部140cに当接するようにしたが、本発明はこの例に限定されない。スライドホルダをホルダに挿入するときの抵抗を軽減することができれば任意の構成とすることができる。例えば、スライドホルダとホルダは狭溝部以外の部分で嵌合してもよく、また、複数個所で嵌合してもよい。第2の実施形態も同様である。
【0062】
また、上記第1の実施形態では、挿入溝140a及び支持片150bの一部にテーパー部140d、150fを設けたが、本発明はこの例に限定されない。ホルダが変形しても、支持片が挿入溝に円滑に挿入することができれば任意の構成とすることができる。例えば、挿入溝及び支持片の少なくとも一方は、軸方向全長にわたってテーパー部であってもよく、また、複数個所にテーパー部が設けられていてもよい。第2の実施形態も同様である。
【0063】
また、上記第1の実施形態では、挿入溝140aの幅は、支持片150bが挿入される入り口よりも奥が狭くなっており、支持片150bの幅は、挿入溝140aへの挿入方向において末端部よりも先端部が狭くなっており、挿入溝140aの奥の溝幅は、支持片150bの先端部の幅と同程度又は大きいが、本発明はこの例に限定されない。スライドホルダを挿入溝に挿入するにあたって、入り口で挿入しやすく、奥まで容易に挿入することができれば任意の構成とすることができる。
【符号の説明】
【0064】
100、200 ロールスクリーン
110 スクリーン(遮蔽材)
110a 袋状部
120、220 ウエイトバー
130 プルコード(操作具)
130a 結び目
140、240 ホルダ
140a 挿入溝
140b 広溝部
140c 狭溝部
140d テーパー部
140e 係止部
140f 弾性係止部
150、250 スライドホルダ(嵌合部材)
150a、250a 突出部
150b、250b 支持片
150c 挿通孔
150d、250d 広幅部
150e、250e 狭幅部
150f テーパー部
150g 規制部
150h ストッパ部
150j 係止突部
160 巻取パイプ
162 巻取スプリング
164 ブレーキ
166 ストッパ
170 サイドプレート
172 ブラケット
174 セットフレーム
250j 固定部
252 磁石
280 キャッチャー
FL 床面や窓枠下面
S1、S2、S3 隙間