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特許7350681プリンタ、プリンタの制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】プリンタ、プリンタの制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/14 20060101AFI20230919BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20230919BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
B65H7/14
B41J3/36 Z
B41J2/325 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020050867
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2020158308
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2019057433
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブッタラート ナッタウット
(72)【発明者】
【氏名】若林 洸大
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-221763(JP,A)
【文献】特開2019-045188(JP,A)
【文献】特開2018-001487(JP,A)
【文献】特開2013-189284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/14
B41J 3/36
B41J 2/325
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の台紙にラベルが仮着されてなるラベル連続体に印字するプリンタであって、
検出光を発光する発光部と、前記検出光を受光する受光部と、を有するラベル検出ユニットと、
前記受光部において前記ラベルが仮着されていない前記台紙を介して前記検出光が受光されたときの前記ラベル検出ユニットからの出力電圧を前記発光部と前記受光部との間に前記ラベル連続体が無い場合に前記検出光が受光されたときの前記ラベル検出ユニットからの出力電圧に近づけるように前記検出光の発光出力を調整する制御部と、
を備える、プリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタであって、
前記制御部は、前記ラベルと前記台紙を介して前記受光部において前記検出光が受光されたときの前記ラベル検出ユニットからの出力電圧が特定値になるように、前記発光出力を調整する、プリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプリンタであって、
前記特定値は、前記ラベルが仮着されていない前記台紙を介して前記検出光が受光されたときの前記ラベル検出ユニットからの出力電圧が、前記発光部と前記受光部との間に前記ラベル連続体が無い場合に前記検出光が受光されたときの前記ラベル検出ユニットからの出力電圧になる値である、プリンタ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のプリンタであって、
前記制御部は、前記ラベルの端部を確定する閾値を設定する、プリンタ。
【請求項5】
請求項4に記載のプリンタであって、
前記制御部は、前記閾値を変更可能である、プリンタ。
【請求項6】
請求項5に記載のプリンタであって、
前記制御部は、前記閾値を前記特定値の半値に設定する、プリンタ。
【請求項7】
請求項から6のいずれか1項に記載のプリンタであって、
前記ラベルに印字するサーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドに対向して設けられて前記サーマルヘッドとの間で前記ラベル連続体を挟持し、搬送するプラテンローラと、さらに備え、
前記ラベル検出ユニットは、前記ラベル連続体の搬送方向において、前記サーマルヘッド及び前記プラテンローラよりも下流側に配置される、プリンタ。
【請求項8】
請求項7に記載のプリンタであって、
前記プリンタの内部を覆い、開閉可能とされたカバーと、
前記カバーの開閉を検出するセンサと、を更に備え、
前記制御部は、
前記カバーが閉じられると、前記発光部の前記検出光を発光させ、
前記ラベルと前記台紙を介して前記受光部において前記検出光が受光されたときの前記ラベル検出ユニットからの出力電圧を前記特定値に設定し、
前記ラベル連続体を搬送しながら前記ラベルの端部を検出し、
前記端部の検出後、前記ラベル連続体の搬送を停止する、
プリンタ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のプリンタであって、
前記制御部は、
前記発光出力を調整する前に、前記ラベルの特定位置に前記検出光が照射されるように、前記ラベル連続体を搬送する、
プリンタ。
【請求項10】
請求項9に記載のプリンタであって、
前記制御部は、
前記ラベルの特定位置に前記検出光を照射する際には、前記発光出力の調整前の検出光を照射する、
プリンタ。
【請求項11】
検出光を発光する発光部と、前記発光部に対向して配置され、前記検出光を受光する受光部とを有するラベル検出ユニットを備え、帯状の台紙にラベルが仮着されてなるラベル連続体に印字するプリンタの制御方法であって、
前記受光部において前記ラベルが仮着されていない前記台紙を介して前記検出光が受光されたときの前記ラベル検出ユニットからの出力電圧を前記発光部と前記受光部との間に前記ラベル連続体が無い場合に前記検出光が受光されたときの前記ラベル検出ユニットからの出力電圧に近づけるように前記検出光の発光出力を調整する、
プリンタの制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載のプリンタの制御方法であって、
前記発光出力を調整する前に、前記ラベルの特定位置に前記検出光が照射されるように、前記ラベル連続体を搬送する、
プリンタの制御方法。
【請求項13】
検出光を発光する発光部と、前記発光部に対向して配置され、前記検出光を受光する受光部とを有するラベル検出ユニットを備え、帯状の台紙にラベルが仮着されてなるラベル連続体に印字するプリンタのコンピュータが実行可能なプログラムであって、
前記受光部において前記ラベルが仮着されていない前記台紙を介して前記検出光が受光されたときの前記ラベル検出ユニットからの出力電圧を前記発光部と前記受光部との間に前記ラベル連続体が無い場合に前記検出光が受光されたときの前記ラベル検出ユニットからの出力電圧に近づけるように前記検出光の発光出力を調整する手順を、
前記コンピュータに実行させるプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムであって、
前記発光出力を調整する前に、前記ラベルの特定位置に前記検出光が照射されるように、前記ラベル連続体を搬送する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、プリンタの制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された、帯状の台紙に仮着されたラベルに印字するプリンタでは、ラベルを検出するための検出センサとして、例えば、検出光の反射或いは透過を検出する光学センサが用いられている。
【0003】
検出光の反射率或いは透過率は、ラベルの材質や色、厚みに影響を受ける。このため、特許文献1に開示されたプリンタでは、ラベルの材質や色の違いに適応できるように、発光量の異なる発光素子、受光感度の異なる受光素子をそれぞれ複数備え、発光素子と受光素子の組み合わせを変更することによって、光学センサの出力レベルの最適値が調整可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-189284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ラベルの材質や色、厚みの多様化に伴って、上記の技術では、ラベルの端部を精度よく検出することが難しくなっている。
【0006】
そこで、本発明は、帯状の台紙の連続体に仮着されたラベルに印字するプリンタにおいて、ラベルの検出精度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、帯状の台紙にラベルが仮着されてなるラベル連続体に印字するプリンタであって、検出光を発光する発光部と、前記検出光を受光する受光部と、を有するラベル検出ユニットと、前記受光部において前記ラベルが仮着されていない前記台紙を介して前記検出光が受光されたときの前記ラベル検出ユニットからの出力電圧を前記発光部と前記受光部との間に前記ラベル連続体が無い場合に前記検出光が受光されたときの前記ラベル検出ユニットからの出力電圧に近づけるように前記検出光の発光出力を調整する制御部と、を備えるプリンタが提供される。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、ラベルが仮着されていない台紙を介して検出光が受光されたときの検出ユニットからの出力電圧が、発光部と受光部との間にラベル連続体がない場合の検出光が受光されたときの出力電圧に近づくように検出光の発光出力が調整されるため、ラベルを介する検出光の出力電圧も低下する。これにより、ラベルの色や材質による検出光の不要な拡散や反射が抑えられ、受光部において検出光の変化が捉えやすくなる。したがって、ラベルの検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係るプリンタのブロック図である。
図3】連続体と、プリンタにおけるラベル検出ユニットの位置、及びサーマルヘッドの位置を説明する模式図である。
図4】本発明の実施形態に係るプリンタによるラベル検出ユニットの第一の制御を説明するフローチャートである。
図5】ラベル検出ユニットからの出力電圧の変化と検出時間経過の関係を表す図である。
図6】RFIDインレイが内包されたRFIDラベルが仮着された連続体と、プリンタにおけるラベル検出ユニットの位置、及びサーマルヘッドの位置を説明する模式図である。
図7】RFIDラベルを用いた場合における、ラベル検出ユニットからの出力電圧の変化と搬送量の関係を説明する模式図である。
図8】本実施形態に係るプリンタによるラベル検出ユニットの第二の制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0011】
[プリンタの構成の説明]
図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ1の概略構成図である。
【0012】
プリンタ1は、媒体発行指示に基づいて、価格、バーコード、その他の商品情報、物品あるいはサービスに関する管理情報等の可変情報を印字媒体に印字するものであり、インクリボンRを熱してインクリボンRのインクを印字媒体に転写することで印字を行う熱転写方式のものである。
【0013】
本実施形態では、印字媒体として、帯状の台紙Bに複数のラベルMが所定間隔で連続して仮着され、ロール状に巻回されたラベル連続体(以下、連続体MLと記す)が適用される。
【0014】
プリンタ1は、図1に示すように、印字機構10と、リボン供給軸20と、リボン巻取軸30と、媒体供給軸40と、ラベルMを検出するラベル検出ユニット50と、ラベルM同士の間隔(ピッチ)を検出するピッチ検出ユニット60と、制御部としてのコントローラ70と、を備える。
【0015】
上記各構成は、本体部2に収容されて、本体部2に対して開閉可能に取り付けられたカバー3によって覆われている。また、カバー3には、カバー3の開閉を検出する開閉検出センサ4が備えられている。開閉検出センサ4としては、発光部と受光部とを備えた光学式センサ、或いは、カバー3に応じてスイッチのオンオフが行われる物理センサ等を適用可能である。
【0016】
印字機構10は、ヘッドユニット11と、プラテンローラ12とを備え、ラベルMへの印字と連続体ML及びインクリボンRの搬送を行う。
【0017】
ヘッドユニット11は、サーマルヘッド13の発熱素子を下面から露出させた状態でサーマルヘッド13を保持する。プラテンローラ12は、サーマルヘッド13の直下に配置され、ラベルMに印字を行う印字部15をサーマルヘッド13と共に構成する。
【0018】
ヘッドユニット11は、支持軸14により図1の矢印の方向に揺動可能に支持される。ヘッドユニット11は、サーマルヘッド13がプラテンローラ12から離間するヘッドオープン位置と、サーマルヘッド13がプラテンローラ12に当接するヘッドクローズ位置と、に移動させることができる。図1では、ヘッドユニット11はヘッドクローズ位置である。
【0019】
プラテンローラ12は、図示しないステッピングモータによって回転駆動されており、コントローラ70からの指示信号にしたがって、正回転又は逆回転の駆動が可能とされている。
【0020】
リボン供給軸20は、印字部15に供給されるインクリボンRをロール状に保持する。リボン供給軸20から印字部15に供給されたインクリボンRは、サーマルヘッド13とプラテンローラ12との間に挟持される。
【0021】
媒体供給軸40は、印字部15に供給される連続体MLをロール状に保持する。媒体供給軸40から印字部15に供給された連続体MLは、サーマルヘッド13とプラテンローラ12との間にインクリボンRと共に挟持される。
【0022】
使用済のインクリボンRは、ステッピングモータとのギアの連結によってリボン巻取軸30が回転すると、その外周に巻き取られる。なお、ヘッドユニット11がヘッドオープン位置になっている場合は、リボン巻取軸30を回転させることで、インクリボンRのみを巻き取り方向に送ることができる。
【0023】
ラベルM及びインクリボンRがサーマルヘッド13とプラテンローラ12との間に挟持された状態でサーマルヘッド13の発熱素子への通電が行われると、発熱素子の熱によってインクリボンRのインクがラベルMに転写され、ラベルMへの印字が行われる。また、ステッピングモータ(図示せず)によってプラテンローラ12が正回転すると、連続体MLが下流側(白抜き矢印の方向)へと搬送される。なお、連続体MLを下流側へ搬送することを「フォワードフィード」といい、連続体MLを上流側へ搬送することを「バックフィード」という。
【0024】
ラベル検出ユニット50は、検出光を発光する発光部51と、検出光を受光する受光部52と、を有し、透過型光学式センサを構成する。ラベル検出ユニット50は、受光部52において連続体MLを介して受光した検出光に基づく出力電圧をコントローラ70に出力する。本実施形態においては、ラベル検出ユニット50は、印字機構10よりも下流側に配置されている。
【0025】
発光部51は、検出光の発光出力が多段階、本実施形態においては、例えば、128段階の出力を備え、コントローラ70による制御にしたがって、発光出力が調整可能とされている。
【0026】
受光部52は、発光部51からの検出光を受光するための複数段階の受光感度を備え、コントローラ70による制御にしたがって、受光感度が調整可能とされている。受光部52は、発光部51に対向する位置に配置されている。
【0027】
ピッチ検出ユニット60では、発光部51における発光出力を一定にした状態で受光部52における受光感度を変更することによって出力電圧の値を調整することもできるし、受光部52における受光感度を一定にした状態で、発光部51における発光出力を変更することによって出力電圧の値を調整することもできる。また、発光部51の発光出力及び受光部52の受光感度の両方を変更することで、出力電圧の値を調整することもできる。
【0028】
ピッチ検出ユニット60は、台紙BにおいてラベルMが仮着された面とは反対側の面に、ラベルMの配設ピッチと同じピッチで予め印刷されているアイマーク(図1には図示せず)を検出する反射センサを備える。これにより、ラベルMを連続して発行するときに、印字部15に対するラベルMの印字開始位置を特定することができる。
【0029】
コントローラ70は、後述する、マイクロプロセッサ、ROMやRAM等の記憶装置、入出力インターフェース、これらを接続するバス等で構成される。
【0030】
コントローラ70は、制御プログラムに基づいて、受光部52においてラベルMが仮着されていない台紙Bを介して検出光が受光されたときのラベル検出ユニット50からの出力電圧を発光部51と受光部52との間に連続体MLが無い場合に検出光が受光されたときのラベル検出ユニット50からの出力電圧に近づけるように検出光の発光出力を調整する。
【0031】
具体的には、コントローラ70は、制御プログラムに基づいて、ラベルMを介して検出光が受光されたときのラベル検出ユニット50からの出力電圧が特定値になるように、発光部51における発光出力を調整する。
【0032】
また、コントローラ70は、制御プログラムに基づいて、ラベルMが検出されたことを判別するための、ラベル検出ユニット50からの出力電圧の閾値を変更する。コントローラ70は、閾値として、例えば、上記特定値の半値に設定することができる。
【0033】
特定値及び閾値については、図4に示す、プリンタ1によるラベル検出ユニット50の制御を説明するフローチャートとともに説明する。
【0034】
[コントローラの機能構成の説明]
図2は、本実施形態のコントローラ70のブロック図である。
【0035】
コントローラ70は、CPU(central processing unit:中央演算装置)71、ROM(read only memory)72、RAM(random access memory)73等を備えるコンピュータであって、これらのほかに、搬送制御回路74、印字制御回路75、用紙検出回路76、IOポート77、電源部78、及びセンサ検出回路79を備えて構成される。これらは内部バス80を介して相互に接続されており、相互に各種データの送受信が行なえるように構成されている。
【0036】
CPU71は、ROM72に記憶された上記の制御プログラムを実行することによって、コントローラ70全体を統括的に制御すると共に、各部に所要の処理や制御を実行させる。
【0037】
ROM72は、CPU71が読み出して実行する制御プログラム等を記憶している。ROM72には、プリンタ1の受光部52においてラベルMが仮着されていない台紙Bを介して検出光が受光されたときのラベル検出ユニット50からの出力電圧を発光部51と受光部52との間に連続体MLが無い場合に検出光が検出されたときのラベル検出ユニット50からの出力電圧に近づけるように検出光の発光出力を調整する手順を実行させるための制御プログラムが格納されている。
【0038】
また、ROM72には、発光出力を調整前の検出光を使って、ラベルMの搬送方向下流側における端部Mf(図3参照)を検出し、端部Mfを検出した後、検出光が連続体MLの特定位置に照射されるまで、所定ステップ数のバックフィード又はフォワードフィードする手順を実行させるための制御プログラムが格納されている。
【0039】
RAM73は、CPU71が実行する処理に必要な各種情報や印字に必要な印字データ、印字フォーマット、登録情報などを記憶する。
【0040】
搬送制御回路74は、CPU71からの指示信号に従ってプラテンローラ12を駆動するステッピングモータを制御し、プラテンローラ12の回転/停止を制御する。これにより、プラテンローラ12は、用紙搬送路における連続体MLの「フォワードフィード」又は「バックフィード」の駆動が制御される。また、ステッピングモータの正回転又は逆回転のステップ数がカウントされるように構成されている。
【0041】
印字制御回路75は、CPU71から供給される印字すべき文字、図形及びバーコードなどの印字データに対応する印字信号を生成し、生成された印字信号をサーマルヘッド13に供給する。これにより、ラベルMに印字が行なわれる。
【0042】
用紙検出回路76は、ラベル検出ユニット50によって検出された情報をCPU71に供給する。或いは、用紙検出回路76は、ピッチ検出ユニット60によって取得された情報をCPU71に供給する。CPU71は、用紙検出回路76からの情報に基づいて、搬送制御回路74による連続体ML及びインクリボンRの搬送を制御すると共に、サーマルヘッド13による印字のタイミングを制御してラベルMに印字を実行する。
【0043】
IOポート77は、表示部81及び入力部82と接続されており、CPU71から供給される表示データを表示部81に出力する。また、IOポート77は、ユーザによる入力部82への操作に対応した操作信号をCPU71に送る。
【0044】
表示部81は、例えば液晶ディスプレイにより構成される。入力部82は、表示部81に備えられたタッチパネルや、ボタン、DIP-SW等により構成される。
【0045】
電源部78は、電源スイッチSに対する押下操作を監視し、電源スイッチSの操作に基づいて、各部への電力供給の実施と停止とを切り替えることにより、プリンタ1の電源をオン/オフする。
【0046】
センサ検出回路79は、開閉検出センサ4からのカバー3の開閉の情報をCPU71に供給する。CPU71は、センサ検出回路79からの「開」から「閉」に移行した情報を受けて、ラベル検出ユニット50における出力電圧の調整処理の実行を開始することができる。
【0047】
なお、図2に示されたコントローラ70は、複数のCPUで構成することも可能である。コントローラ70が実行する各種制御プログラムは、ROM72に格納して用いられるほか、例えば、CD-ROMや半導体メディア等の非一過性の記録媒体に記憶されたものを用いてもよい。
【0048】
続いて、プリンタ1におけるラベルMへの印字と連続体MLの搬送について説明する。
【0049】
図3は、連続体MLと、プリンタ1におけるラベル検出ユニット50の位置、及びサーマルヘッド13の位置を説明する模式図である。
【0050】
図3(a)に示されるように、連続体MLは、帯状の台紙Bと、台紙B上に仮着した複数枚のラベルMとにより構成される。台紙Bの裏面側には、ラベルMの搬送方向下流側の先端に相当する位置に、ラベルMのピッチ検出用のアイマークPが予め印字されている。また、ラベルMは、所定の間隔(ギャップG)を空けて搬送方向に連続して配置されている。
【0051】
ピッチ検出ユニット60は、連続体MLに印字されたアイマークP、或いはギャップGを検出することにより、印字部15に対するラベルMの相対的位置を検出することができる。また、これにより、プリンタ1は、ラベルMの印字開始位置がサーマルヘッド13に対応するまで連続体MLを送り、ラベルMの印字開始位置から印字するという動作を、連続的に実行することができる。
【0052】
ところで、プリンタ1では、媒体供給軸40に新たな連続体MLをセットして印字を開始する場合、或いは、サーマルヘッド13を一旦ヘッドオープン位置にした後にヘッドクローズ位置に戻し、印字を再開する場合等に、セットされた連続体MLの1枚目のラベルMに正確に印字を行うためには、1枚目のラベルMの搬送方向下流側における端部Mfが、ラベル検出ユニット50により、精度よく検出できることが要求される。
【0053】
プリンタ1に連続体MLをセットする際の位置合わせをユーザに任せることも可能であるが、その場合には、プリンタ1における所定位置に、ラベルMの端部Mfを合わせて、セットすることは難しい。また、印字精度の観点から好ましくない。
【0054】
これに対して、プリンタ1は、連続体MLがユーザによって、例えば、図3(a)に示すような、大まかな位置にセットされれば、ラベルMの搬送方向下流側における端部Mfを検出可能に構成されている。
【0055】
本実施形態に係るプリンタ1は、図3(a)のように、1枚目のラベルMがラベル検出ユニット50によって検出可能な位置にセットされた状態から、図3(b)に示すように、バックフィードによってラベルMの端部Mfを検出する。そして、プリンタ1は、端部Mfの位置検出精度を向上するために、ラベル検出ユニット50において、以下の処理を実行する。
【0056】
[プリンタによるラベル検出ユニットの第一の制御]
図4は、プリンタ1によるラベル検出ユニット50の第一の制御を説明するフローチャートである。以下、図4を参照しながら、プリンタ1の動作について説明する。
【0057】
コントローラ70は、カバー3が閉位置にセットされ、ヘッドユニット11がヘッドクローズ位置にセットされたことを検出すると、図4に示されたラベル検出ユニット50における出力電圧の調整処理の実行を開始する。
【0058】
ステップS1において、コントローラ70は、ラベル検出ユニット50を制御して、発光部51から検出光を発光する。
【0059】
ステップS2において、コントローラ70は、受光部52における検出光に基づく検出電圧が標準値よりも大きいか判定する。
【0060】
ここで、標準値は、ラベルMがラベル検出ユニット50の位置にセットされたこと(図3(a)の状態)を判定するためにプリンタ1に予め設定されたラベル検出ユニット50からの出力電圧の値である。
【0061】
標準値は、例えば、標準値設定用の基準台紙に所定の発光出力で検出光を発光したとき、基準台紙を介して受光されることによってラベル検出ユニット50から出力される出力電圧値とすることができる。標準値は、例えば、プリンタ1の出荷時に工場において設定される。工場において行われる各種設定をマスター登録という。実際には、基準台紙を介した検出光によるラベル検出ユニット50からの出力電圧が標準値になるように、発光部51における発光出力が設定されている。
【0062】
なお、ヘッドユニット11がヘッドクローズ位置にセットされた際に、図4において説明される出力電圧の調整処理によって発光部51の発光出力を調整する前の段階において、材質、厚さ、色の異なるラベルを全て検出可能なように、標準値は高めに設定されている。標準値は、ROM72に記憶されている。
【0063】
コントローラ70は、ステップS2において、受光部52における検出光に基づく検出電圧が標準値よりも小さいと判定した場合(ステップS2、No)には、ステップS3に移行する。これは、連続体MLにおいて、ラベルMではない位置(例えば、台紙B)、或いは、連続体MLが無い状態が検出された場合に相当する。
【0064】
ステップS3において、コントローラ70は、ユーザへのエラー報知のための信号を生成する。エラー報知として、例えば、表示部81に、「連続体MLをセットして下さい」や、「連続体MLを正しい初期位置にセットし直してください」等のメッセージを表示するようにしてもよい。
【0065】
コントローラ70は、ステップS2において、受光部52における検出光に基づく検出電圧が標準値よりも大きいと判定した場合(ステップS2、Yes)には、ステップS4以降の工程に移行する。これは、ヘッドユニット11がヘッドクローズ位置にセットされたときに、連続体MLにおけるラベルMがラベル検出ユニット50において検出された場合に相当する。
【0066】
続いて、コントローラ70は、ステップS4において、発光部51における発光出力を調整する。すなわち、コントローラ70は、受光部52において、ラベルMが仮着されていない台紙Bを介して検出光が受光されたときのラベル検出ユニット50からの出力電圧を、発光部51と受光部52との間に連続体MLが無い場合に検出光が受光されたときのラベル検出ユニット50からの出力電圧に近づけるように、発光部51における検出光の発光出力を調整する
【0067】
具体的には、コントローラ70は、ラベルMを介した検出光によるラベル検出ユニット50からの出力電圧を、本実施形態においては、標準値から特定値になるまで低下させるように、発光部51における発光出力を調整している。
【0068】
これにより、受光部52において台紙Bを介して検出光が受光されたときのラベル検出ユニット50からの出力電圧を下限側に遷移させて、適正値に設定することができる。
【0069】
ここで、特定値とは、ラベルMが仮着されていない台紙Bを介して検出光が受光されたときのラベル検出ユニット50からの出力電圧を、発光部51と受光部52との間に連続体MLが無い場合に検出光が受光されたときのラベル検出ユニット50からの出力電圧の値になるように調整する値である。
【0070】
特定値は、複数種類のラベルに検出光を発光して検出された実際の検出電圧に基づいて決定された値である。特定値は、ラベルMの材質、厚さ、色等によらず、ラベルMであることを判定可能な出力電圧であり、特定の一定値に決定することができる。
【0071】
本実施形態においては、出力電圧の標準値は、高めに設定されている。すなわち、標準値を得るための発光部51における発光出力を高めに設定しておき、発光出力を低下させる方向に発光部51を調整する方式が採用されている。
【0072】
ステップS4以降は、コントローラ70は、発光部51を調整後の発光出力で発光させる。
【0073】
続くステップS5~S6において、コントローラ70は、ラベルMの端部Mfの検出を行う。
【0074】
具体的には、コントローラ70は、ステップS5において、プラテンローラ12を1ステップ分バックフィードする毎に、ステップS6において、受光部52で受光された検出光に基づく検出電圧が閾値に達したか判定する。コントローラ70は、バックフィードのステップ数をカウントする。
【0075】
コントローラ70は、ステップS6において、受光部52における検出光に基づく検出電圧が閾値に達していないと判定した場合(ステップS6、No)には、ステップS7に移行する。
【0076】
ステップS7では、コントローラ70は、バックフィード量が許容量に達したか判定する。バックフィード量が許容量であれば、ステップS5からの動作を繰り返すことができる。
【0077】
本実施形態においては、媒体供給軸40には駆動機構が設けられていない。このため、連続体MLがバックフィードされたとき、印字機構10の上流側において、波形状の撓みが生じる。
【0078】
このため、例えば、1枚目のラベルMの上流側端部Meに近い位置がラベル検出ユニット50に対応するようにセットされた場合には、下流側端部Mfが検出されるまでに要するバックフィードの距離が長くなる。
【0079】
このような場合、連続体MLのバックフィードの距離が長くなるにつれて撓みも大きくなるため、ラベルMが台紙Bから剥離したり、連続体MLの折れ曲がりが起きたりすることがあり、再びフォワードフィードするときに搬送不良が起こり易くなる。
【0080】
これに対して、本実施形態では、ステップS7において、バックフィード量を判定し、許容量を超える場合には、連続体MLがプリンタ1の内部において搬送不良になる可能性が高いと判定して、端部Mfを検出する動作を停止するように設定されている。
【0081】
ステップS7において、バックフィード量が許容量を超えた場合には、コントローラ70は、ステップS8において、ユーザへのエラー報知のための信号を生成し、端部Mfを検出する動作を停止する。エラー報知として、例えば、表示部81に、「正しい位置に連続体MLをセットして下さい」等のメッセージを表示するようにしてもよい。
【0082】
コントローラ70は、ステップS6において、受光部52における検出光に基づく検出電圧が閾値に達したと判定した場合(ステップS6、Yes)には、ステップS9に移行する。
【0083】
ステップS9において、コントローラ70は、連続体MLのバックフィードを停止し(図3(b))、この位置をラベルMの搬送方向下流側の端部Mfと確定する。
【0084】
ステップS10において、コントローラ70は、印字データに基づいて、ステップS9で確定されたラベルMの端部Mfから印字開始位置までバックフィード(図3(c))し、ステップS11に進み、印字処理を開始する。
【0085】
<第一の制御による効果>
従来、プリンタでは、連続体MLにおける以下の3状態を検出するように構成されていた。すなわち、(1)ラベルMと台紙B、(2)台紙Bのみ、(3)何もない状態の3状態である。これに対して、本実施形態に係るプリンタ1においては、(1)ラベルMと台紙B、(2)台紙Bのみ又は何もない状態の、2つの状態を検出できればよいとの技術思想に基づいて、コントローラ70は、受光部52において、ラベルMが仮着されていない台紙Bを介して検出光が受光されたときのラベル検出ユニット50からの出力電圧Vbbを、発光部51と受光部52との間に連続体MLが無い場合に検出光が受光されたときのラベル検出ユニット50からの出力電圧V0に近づけるように、発光部51における検出光の発光出力を調整する。
【0086】
すなわち、コントローラ70は、ラベルMを介した検出光によるラベル検出ユニット50からの出力電圧を複数種類のラベルに検出光を発光して検出された実際の検出電圧に基づいて決定された特定値になるように調整する。
【0087】
プリンタ1は、発光部51を調整後の発光出力で発光させて、ラベルMの端部Mfの検出を行う。これにより、発光部51における検出光の発光出力を適正値まで抑えることができる。
【0088】
このため、プリンタ1によれば、発光出力の過多によりラベルMの検出時に生じる検出光の不要な回折、反射、拡散等を低減することができる。これにより、受光部52における検出光のバラツキを抑制できる。
【0089】
したがって、コントローラ70において、ラベル検出ユニット50からの出力電圧の変位が捉えやすくなり、ラベルの検出精度を高めることができる。
【0090】
図5は、ラベル検出ユニット50からの出力電圧の変化と搬送量の関係を表す図である。
【0091】
図5において、ラベル検出ユニット50からの出力電圧を調整した場合の出力電圧の変化は、実線で表されている。また、ラベル検出ユニット50からの出力電圧を調整しない場合の出力電圧の変化は、破線で表されている。
【0092】
本実施形態に係るプリンタ1において、コントローラ70は、受光部52において、ラベルMが仮着されていない台紙Bを介して検出光が受光されたときのラベル検出ユニット50からの出力電圧Vbbを、発光部51と受光部52との間に連続体MLが無い場合に検出光が受光されたときのラベル検出ユニット50からの出力電圧V0に近づけるように、出力電圧を標準値Vbから特定値Vsになるまで低下させる。このように、出力電圧を特定値Vsに調整した場合には、ラベルMから台紙Bに移行した際の、ラベル検出ユニット50からの出力電圧の低下を急峻に検出することができる。
【0093】
一方、発光部51における発光出力を調整しない場合には、ラベルMから台紙Bに移行した際の、ラベル検出ユニット50からの出力電圧の低下は緩慢に検出される。
【0094】
これは、後者では、発光部51における検出光が出力過多であるために、ラベルMを透過する際に、不要な回折、反射、拡散等が生じ、これが受光部52における検出光のバラツキを生じさせているものと考えられる。
【0095】
これに対して、本実施形態に係るプリンタ1では、発光部51における発光出力が適正値に設定されたことにより、ラベルMの検出時に生じる不要な回折、反射、拡散等の影響が無くなったためと考えられる。
【0096】
また、プリンタ1では、出力電圧を調整した場合(実線)には、ラベル検出ユニット50からの出力電圧の低下が急峻に検出されることから、出力電圧の低下が検出され始めたステップT0から閾値Vt2に達したステップT2までの搬送量Δt2は、出力電圧を調整しない場合(点線)における、出力電圧の低下が検出され始めたステップT0から閾値Vt1に達したステップT1までの搬送量Δt1よりも短くなる。
【0097】
すなわち、コントローラ70は、ラベルMの端部Mfであることの判定を短期間に行うことができる。したがって、ラベルMの端部Mfの検出精度が高められる。
【0098】
また、発光部51における発光出力を調整した場合には、ラベル検出ユニット50からの出力電圧の低下が急峻に検出されるため、所定の期間以上経過した後は、出力電圧の変化が下限近傍から変動しない。つまり、ラベル検出ユニットからの出力電圧は、飽和状態となる。
【0099】
このため、ラベルMの端部Mfであるかの判定基準となる出力電圧の閾値を高い値に設定することができる。すなわち、特定値Vsと閾値Vtsとの差分を小さく設定することができる。コントローラ70は、閾値Vt2を、例えば、特定値Vsの半値に設定することができる。
【0100】
閾値をこのように設定することにより、閾値Vt2に達するまでの搬送量Δt2を短縮することができる。したがって、ラベルMの端部Mfであることの判定に要する期間を短縮することができる。
【0101】
また、本実施形態に係るプリンタ1では、ラベルMの端部Mfを検出するまでのバックフィード量が許容量を上回る場合には、端部Mfを検出する動作を停止するように設定されている。これにより、バックフィードされる連続体MLの距離が長くなることによって生じる、ラベルMの台紙Bからの剥離や、連続体MLの折れ曲がりによる搬送不良を防止することができる。
【0102】
[プリンタによるラベル検出ユニットの第二の制御]
例えば、RFIDインレイRが内包されたRFIDラベルM1が使用される場合がある。図6は、RFIDインレイRが内包されたRFIDラベルM1が仮着された連続体MLと、プリンタ1におけるラベル検出ユニット50の位置、及びサーマルヘッド13の位置を説明する模式図である。
【0103】
また、図7は、RFIDラベルM1を用いた場合における、ラベル検出ユニット50からの出力電圧の変化と搬送量の関係を説明する模式図である。
【0104】
図7において、破線は、ラベル検出ユニット50からの出力電圧を調整しない場合の出力電圧の変化を表す。
【0105】
この破線曲線には、RFIDインレイRとラベル基材と台紙Bとを介して検出された検出光に起因する電圧レベルViと、RFIDインレイRが含まれていない、ラベル基材と台紙Bとを介して検出された検出光に起因する電圧レベルVrと、台紙Bに起因する電圧レベルVpが現れている。
【0106】
また、図7において、実線は、ラベル検出ユニット50からの出力電圧を、理想的に調整できた場合の出力電圧の変化を表す。これは、受光部52における出力電圧が、RFIDラベルM1が仮着されていない台紙Bを介して検出光が受光されたときの出力電圧Vpを、発光部51と受光部52との間に連続体MLが無い場合の出力電圧V0に近づけるように、発光部51における検出光の発光出力を調整することができた場合を表す。
【0107】
しかしながら、RFIDラベルM1が内包された連続体MLでは、第一の制御のみによって発光部51における発光出力を調整しようとした場合に、図6(a)に示すように、ラベル検出ユニット50からの検出光がRFIDラベルM1におけるRFIDインレイRと重複する位置に照射されてしまう場合がある。
【0108】
図7の一点鎖線は、RFIDインレイRとラベル基材と台紙Bとを介して検出された検出光(図6(a)の位置における検出光)を、ラベル基材と台紙Bとを介して検出された検出光と誤検出した状態で発光出力の調整が行われた場合の出力電圧の曲線を示す。
【0109】
誤検出が生じた場合には、受光部52における出力電圧が、RFIDラベルM1が仮着されていない台紙Bを介して検出光が受光されたときの出力電圧Vpではなく、RFIDインレイRが含まれないラベル基材と台紙Bとを介して検出光が受光されたとき出力電圧Vrを、発光部51と受光部52との間に連続体MLが無い場合の出力電圧V0に近づけるように、発光部51における検出光の発光出力が調整されてしまう。
【0110】
このため、図7の一点鎖線として示すように、検出光の出力が過度に低く調整されてしまい、RFIDラベルM1と台紙Bの境界が正しく検出できなくなることがある。
【0111】
そこで、プリンタ1は、第一の制御に先立って、発光出力の調整処理の際に、検出光が、RFIDラベルM1において、RFIDインレイRと重ならない特定位置(以下、調整位置と記す)に照射されるように、連続体MLを搬送するための第二の制御を実行する。
【0112】
すなわち、プリンタ1は、発光出力を調整する前の検出光を用いて、RFIDラベルM1の搬送方向下流側における端部Mfを検出し、端部Mfを検出した後、検出光が調整位置に照射されるように、連続体MLを所定のステップ数、フォワードフィードする手順を実行する。
【0113】
なお、本実施形態においては、RFIDラベルM1に、調整位置を予め設定しておくことが前提となる。ここで、調整位置とは、RFIDインレイRが内包されたRFIDラベルM1においては、RFIDインレイRを構成するインレイ基材或いはアンテナと重複しない位置である。例えば、RFIDラベルM1の設計仕様として、端部Mfから所定幅Dの内側にRFIDインレイRが収まるようにすることを定める。
【0114】
また、本実施形態において、「所定ステップ数」とは、ステッピングモータによるステップ数であり、RFIDラベルM1の端部Mfから、RFIDラベルM1の内側に設定された調整位置までの距離に相当する。
【0115】
図8は、プリンタ1によるラベル検出ユニット50の第二の制御を説明するフローチャートである。以下、図8を参照しながら、プリンタ1の動作について説明する。
【0116】
図8に示す第二の制御は、カバー3が閉位置にセットされ、ヘッドユニット11がヘッドクローズ位置にセットされたことがコントローラ70によって検出されると、図4に示すステップS1に先立って実行される。
【0117】
初めに、ステップS21において、コントローラ70は、ラベル検出ユニット50を制御して、発光部51から検出光を発光する。このときの検出光は、発光出力を調整する前の出力で照射され、受光部52における検出光の検出電圧が標準値となるものである。
【0118】
コントローラ70は、ステップS22において、受光部52における検出光に基づく検出電圧が標準値よりも大きいか小さいかを判定する。標準値よりも大きいと判定された場合(ステップS22、Yes)には、ステップS23に移行し、連続体MLをバックフィードする。これは、連続体MLにおいて、ラベル基材と台紙の重なりか、RFIDインレイRとラベル基材と台紙の重なり(台紙のみの場合以外)が検出された場合に相当する。
【0119】
具体的には、コントローラ70は、ステップS23において、プラテンローラ12を1ステップ分バックフィードする毎に、ステップS21において、検出光を発光し、ステップS22の判定を繰り返す。ここで、ステップS22とステップS23を繰り返すことで所定回数バックフィードしても、標準値よりも小(台紙のみ)を検出しない場合には、エラー報知として、例えば、表示部81に、「連続体MLをセットして下さい」や、「連続体MLを正しい初期位置にセットし直してください」等のメッセージを表示するようにしてもよい。
【0120】
コントローラ70は、ステップS22において、受光部52における検出光に基づく検出電圧が標準値よりも小さいと判定した場合(ステップS22、Yes)、すなわち、台紙が検出された場合には、ステップS24以降の工程に移行する。
【0121】
ステップS24において、コントローラ70は、搬送制御回路74に制御信号を送信して、連続体MLにおけるRFIDラベルM1の端部Mfを見つけるために、フォワードフィードしながら、検出光を照射する(図6(b))。
【0122】
このとき、コントローラ70は、ラベル検出ユニット50により、受光部52におけう検出光に基づく検出電圧が標準値である検出光を使用して、RFIDラベルM1の端部Mfを検出する(図6(b))。
【0123】
コントローラ70は、ステップS25において、標準値よりも大、すなわち、RFIDラベルM1の端部Mfが検出されるまで、ステップS24,S25を繰り返す。ステップS25において、RFIDラベルM1の端部Mfが検出されると(ステップS25、Yes)、ステップS26に進み、連続体MLの搬送を停止する。
【0124】
続いて、コントローラ70は、ステップS27において、搬送制御回路74に制御信号を送信し、検出光の照射位置が、RFIDラベルM1の端部Mfから予め設定された調整位置に対応するように、連続体MLを予め決められた所定幅d(D>d)になるように所定ステップ数、フォワードフィードする。
【0125】
コントローラ70は、所定ステップ数のフォワードフィードを実行した後、図4に示されるステップS1に進む。これ以降は、上述したステップS1~S11に示した処理が実行される。
【0126】
<第二の制御による効果>
本実施形態によれば、検出光が適切な出力になるように調整を行う前に、検出光がRFIDラベルM1に設定された調整位置に照射されるようになるまで、連続体MLを搬送する。これにより、例えば、RFIDインレイRが内包されたRFIDラベルM1が用いられる場合であっても、予め設定されたRFIDラベルM1の調整位置に位置合わせした後、発光出力の調整が開始されるため、発光出力の調整を適切に行うことができる。
【0127】
したがって、RFIDラベルM1が使用された場合であっても、RFIDラベルM1の端部MfとRFIDラベルMの端部とを誤検出することがない。
【0128】
[プリンタの制御方法]
本発明の実施形態に係るプリンタの制御方法は、ラベル検出ユニット50における受光部52においてラベルMが仮着されていない台紙Bを介して検出光が受光されたときのラベル検出ユニット50からの出力電圧を発光部51と受光部52との間に連続体MLが無い場合に検出光が受光されたときのラベル検出ユニット50からの出力電圧に近づけるように発光部51において発光する検出光の発光出力を調整するというものであり、このプリンタの制御方法は、上述したプリンタ1によって実現される。
【0129】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0130】
本実施形態では、サーマルヘッド13によるインクリボン転写型のプリンタ1を説明するが、ラベルMが感熱紙であって、サーマルヘッド13が熱を加えることでラベルMに印字を行なう熱転写方式を用いた熱転写型プリンタであってもよい。
【0131】
本実施形態に係るプリンタ1では、ラベルMを介した検出光によるラベル検出ユニット50からの出力電圧の標準値Vbが、特定値Vsよりも高めに設定されており、出力電圧を下げる方向に調整するように構成されている。これとは反対に、最適化される前の標準値Vbが特定値Vsよりも低くなるように設定されており、特定値Vsになるように、出力電圧を上げる方向に調整してもよい。
【0132】
コントローラ70は、設置された環境の明るさ等により自動で、或いは、ユーザからの設定により、ラベルMの端部Mfが検出されたことを判別するための出力電圧の閾値Vt2を変更可能としてもよい。これにより、プリンタ1の設置場所等によるラベルMの検出精度のバラツキを無くすことができる。
【0133】
図4に示すフローチャートは、図3(a)に示されるように、ラベルMがラベル検出ユニット50に対応する位置にセットされることを前提とする処理である。
【0134】
これに対して、コントローラ70は、ヘッドユニット11がヘッドクローズ位置にセットされたときに、ラベルM間のギャップGがラベル検出ユニット50に対応する位置にセットされた状態から、フォワードフィードによって端部Mfを検出することもできる。
【0135】
実際の連続体MLでは、ラベルM同士のギャップGが搬送方向におけるラベルMの長さよりも顕著に短く設定されていることが多いため、ラベルMをラベル検出ユニット50に対応する位置に合わせる仕様とする方が、ユーザにとっては簡易である。
【符号の説明】
【0136】
1 プリンタ
2 本体部
3 カバー
4 開閉検出センサ
10 印字機構
11 ヘッドユニット
12 プラテンローラ
13 サーマルヘッド
14 支持軸
15 印字部
20 リボン供給軸
30 リボン巻取軸
40 媒体供給軸
50 ラベル検出ユニット
51 発光部
52 受光部
60 ピッチ検出ユニット
70 コントローラ
71 CPU
72 ROM
73 RAM
74 搬送制御回路
75 印字制御回路
76 用紙検出回路
77 IOポート
78 電源部
79 センサ検出回路
80 内部バス
81 表示部
82 入力部
B 台紙
M ラベル
M1 RFIDラベル
Mf 下流側端部
Me 上流側端部
ML 連続体
R RFIDインレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8