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特許7350713ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを安定化させるための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを安定化させるための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/04 20060101AFI20230919BHJP
   C12N 9/02 20060101ALN20230919BHJP
【FI】
C07D417/04
C12N9/02
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2020506187
(86)(22)【出願日】2018-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 US2018045040
(87)【国際公開番号】W WO2019028272
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】62/541,350
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593089149
【氏名又は名称】プロメガ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Promega Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】シー ツェー
(72)【発明者】
【氏名】ホール メアリー ピー
(72)【発明者】
【氏名】カークランド トーマス エイ
(72)【発明者】
【氏名】エンセル ランス ピー
(72)【発明者】
【氏名】マイセンハイマー ポンチョ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ウェンフイ
【審査官】長谷川 強
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-519977(JP,A)
【文献】Angew. Chem. Int. Ed., 2012, Vol.51, pp.8428-8430
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 417/04
C12N 9/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを安定化させるための組成物であって、
(a)ベンゾチアゾールルシフェリンアナログ、またはその塩と、
(b)有効量の6-メチル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン(ATT)またはその互変異性体
とを含み、
前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが式(II’)の化合物であ
(式中、

1’は、Hまたは-C2-C4アルキレン-OHであり、
2’は、水素であり、
3’は、水素であり、
4’は、-XGまたは-NH 2 であり、
5’は、水素であり、
Xは-O-であり、
Gは、Hまたは1-C12アルキルであり
1及びW2、水であ、前記組成物。
【請求項2】
前記組成物が液体媒体を含まず、かつ
前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログ及びATTが固体混合物を形成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が(c)液体媒体を含み、かつ
前記液体媒体がジメチルスルホキシド(DMSO)を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを安定化させるための方法であって、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログまたはその塩を、有効量の6-メチル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン(ATT)またはその互変異性体に接触させることを含み、前記接触により、前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログまたはその塩が分解に対し安定化され、
前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが式(II’)の化合物であ
(式中、

1’は、H、または-C2-C4アルキレン-OHであり、
2’は、水素であり、
3’は、水素であり、
4’は、-XGまたは-NH 2 であり、
5’は、水素であり、
Xは-O-であり、
Gは、Hまたは1-C12アルキルであり
1及びW2、水であ、前記方法。
【請求項5】
前記組成物が発光酵素を含有しない、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが分解に対し安定化される、請求項1~3および5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、ATTまたはその互変異性体を含まない組成物に比べて、分解に対し安定化される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、光の不在下で、分解に対し安定化される、請求項6または7に記載の組成物。
【請求項9】
前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、光の不在下で、分解に対し安定化される、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、-80℃~60℃の温度にて、分解に対し安定化される、請求項6~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、-80℃~60℃の温度にて、分解に対し安定化される、請求項4または9に記載の方法。
【請求項12】
1’がHである、請求項1~3、5~8および10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、光の不在下で、ATTまたはその互変異性体を含まない組成物に比べて、分解に対し安定化される、請求項8、10および2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記接触させることが、前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログとATTとの固体混合物中で生じる、請求項4、9または11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記接触させることが液体媒体中で生じる、請求項4、9または11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1~3、5~8、10、12または13のいずれか一項に記載の組成物を単一の容器内に含む、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを安定化させるためのキットであって、ATTが前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを安定化させる、前記キット。
【請求項17】
4’が-OHまたは-NH2である、請求項1~3、5~8、10、12または13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
4’が-OHまたは-NH2である、請求項4、9、11、14または15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
4’が-OHまたは-NH2である、請求項16に記載のキット。
【請求項20】
ATTの前記有効量が0.1mMより大きい、または1mMより大きい、請求項1~3、5~8、10、12、13または17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
ATTの前記有効量が0.1mMより大きい、または1mMより大きい、請求項4、9、11、14、15または18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ATTの前記有効量が0.1mMより大きい、または1mMより大きい、請求項16または19のいずれか一項に記載のキット。
【請求項23】
液体媒体が不在である、請求項1、5~8、10、12、13、17または20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
液体媒体が不在である、請求項4、9、11、14、15、18または21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
液体媒体が不在である、請求項16、19または22のいずれか一項に記載のキット。
【請求項26】
液体媒体が存在する、請求項1、5~8、10、12、13、17または20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
液体媒体が存在する、請求項4、9、11、14、15、18または21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
液体媒体が存在する、請求項16、19または22のいずれか一項に記載のキット。
【請求項29】
前記液体媒体が、アルコール、プロピレングリコール、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項30】
前記液体媒体が、アルコール、プロピレングリコール、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記液体媒体が、アルコール、プロピレングリコール、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒を含む、請求項28に記載のキット。
【請求項32】
1’がHである、請求項4、9、11、14、15、18、21、24、27または30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
1’がHである、請求項16、19、22、25、28または31のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月4日に出願された米国仮出願第62/541,350号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを安定化させるための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発光は、レポーター分子の活性の尺度として、生物学的アッセイでしばしば使用される。一方レポーター分子は、発光測定を、転写(遺伝子発現)、翻訳(タンパク質発現)、タンパク質間相互作用などの目的の生物学的プロセスに結びつけ、それにより、生物学的プロセスで生じる変化の定量的測定を可能にする。
【0004】
レポーター分子とは、典型的には、発光基質提供すると、光の産生、すなわち発光をもたらす発光酵素(例えば、ホタルルシフェラーゼ、Renillaシフェラーゼ、Oplophorusルシフェラーゼなど)である。しかし、発光基質(例えば、ルシフェリン)は保管中に分解し、それにより生物学的アッセイにおける添加または使用の前に基質の損失がもたらされることがある。このような分解は、溶液中の発光基質が温度依存的様式で経時的に不安定であることの結果であり得る。この分解は、結果的に発光基質を浪費し、分解した発光基質を用いた生物学的アッセイに由来する発光測定の感受性及び再現性を低減する。加えて、この分解からの産物は、多くの場合発光反応を阻害する。
【0005】
D-ルシフェリンは、ホタル及びコメツキムシのルシフェラーゼ向けの天然の基質である。ルシフェリン及びルシフェリン誘導体は、溶液中または湿気のある環境で周囲温度にてある期間にわたって保管されると、熱的に不安定である。主な分解産物として同定されているデヒドロルシフェリンは、ルシフェラーゼの強力な阻害物質であり、光出力性能の減少及び不整合を招く。プロルシフェリンアナログは、アナライト依存的なホタルルシフェラーゼ系アッセイシステムで広く使用されている。ルシフェリンと同様、対応するプロデヒドロルシフェリンへの分解も、発光性能に負の影響を及ぼす。分解産物の形成を低減する方法を有することは、特に、ルシフェリンまたはルシフェリン誘導体が上記の周囲温度以上で長期間にわたり溶液中で保管されることを必要とする適用においては、望ましいことである。
【0006】
したがって、発光反応で使用する前の発光基質を安定化させるための新規の組成物及び/または方法を同定及び開発する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、(a)ベンゾチアゾールルシフェリンアナログまたはその塩と、(b)有効量の式(I)の化合物またはその互変異性体
(式中、
1は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、カルボン酸、エステル、NRab、置換されていてもよいイミン、ヒドロキシル、またはオキソであり、
2は、水素、NRab、置換されていてもよいイミン、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり;
a及びRbは、各出現において各々独立的に、水素、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールである)
と、
(c)場合により、液体媒体と
を含む、組成物を提供する。
【0008】
本開示は、上記の組成物の構成成分を含むキットも提供する。
【0009】
さらに、本開示は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを安定化させるための方法であって、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログまたはその塩を、有効量の式(I)の化合物またはその互変異性体に接触させることを含み、当該接触により、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログまたはその塩が分解に対し安定化され、式(I)の化合物が
である、方法を提供する
(式中、
1は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、カルボン酸、エステル、NRab、置換されていてもよいイミン、ヒドロキシル、またはオキソであり、
2は、水素、NRab、置換されていてもよいイミン、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、
a及びRbは、各出現において各々独立的に、水素、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールである)。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】D-ルシフェリン及びデヒドロルシフェリンの構造を環原子のナンバリングと共に示し、さらに、あるいくつかのルシフェリン化合物について本明細書で使用されている略語も示している。
図2】Aは、ルシフェリンの経時的な代表的熱安定性を示し、Bは、デヒドロルシフェリンによるルシフェラーゼ活性の阻害を示している。
図3】ATTの存在下及び不在下でのルシフェリンの安定性を示している。
図4】ATTの存在下及び不在下での、ルシフェリンアナログ、ルシフェリンメチルエーテルの2-ヒドロキシエチルエステルの安定性(A)と、対応するデヒドロ化合物の産生(B)とを示している。
図5】還元剤TCEPのありまたはなしでの定量による、ATTの存在下及び不在下での、ルシフェリンメチルエーテルの2-ヒドロキシエチルエステルの安定性(A)と、対応するデヒドロ化合物の産生(B)とを示している。
図6】Aは、37℃におけるATTの存在下及び不在下でのルシフェリン基質の経時的な代表的活性を示し、Bは、37℃における対応するデヒドロ化合物の様々な濃度で測定された、ATTがルシフェリン基質のT80値に及ぼす代表的効果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを安定化させるための組成物に関する。ベンゾチアゾールルシフェリンアナログは、式(II’)の化合物またはその塩を含む
(式中、
1’は、H、C1-C4アルキル、-C2-C4アルキレン-OH、-C2-C4アルキレン-OC1-C4アルキル、C3-C7シクロアルキル、アリール、ベンジルもしくは置換ベンジル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、または-(CH2q-P(Ph)3(qは、1、2、3、4、5、及び6から選択される整数である)であり、
2’は、水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、またはC1-C4ハロアルキルであり、
3’は、水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、またはC1-C4ハロアルキルであり、
4’は、-XGまたは-XG1であり、
5’は、水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、またはC1-C4ハロアルキルであり、
10’は、各出現において独立的に、ハロ、-SO3H、C1-C10アルキル、-OH、-O(C1-C10アルキル)、-NH2、-NH(C1-C10アルキル)、または-N(C1-C10アルキル)(C1-C10アルキル)であり、
11’は、-OH、-O(C1-C10アルキル)、-NH2、-NH(C1-C10アルキル)、-N(C1-C10アルキル)(C1-C10アルキル)、-OG1、-NHG1、または-N(C1-C10アルキル)G1であり、
nは0~5であり、
Xは-O-または-N(G)-であり、
Gは、各出現において独立的に、H、C1-C12アルキルであり、またはR3’もしくはR5’のうちの1つと共に、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、5~8員の単環式複素環式環を形成し、あるいは、2個のGは、自らが付着している窒素原子と共に、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、4~8員の単環式複素環式環を形成し、
1は酵素基質を含み、酵素による当該酵素基質の生体内変換がG1をHに転換し、
1及びW2は、各々独立的に水素、C1-C4アルキル、もしくはアリールアルキルであり、またはW1及びW2は、自らが付着している炭素と共に、C3-8シクロアルキルまたは4~8員の複素環を形成し、当該シクロアルキル及び複素環は、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい)。
【0012】
一部の実施形態において、式(II’)のベンゾチアゾールルシフェリンアナログは、式(II)の化合物またはその塩である
(式中、
1’は、H、C1-C4アルキル、-C2-C4アルキレン-OH、-C2-C4アルキレン-OC1-C4アルキル、C3-C7シクロアルキル、アリール、ベンジルもしくは置換ベンジル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、または-(CH2q-P(Ph)3(qは、1、2、3、4、5、及び6から選択される整数である)であり、
2’は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
3’は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
4’は、-XGまたは-XG1であり、
5’は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
10’は、各出現において独立的に、ハロ、-SO3H、C1-C10アルキル、-OH、-O(C1-C10アルキル)、-NH2、-NH(C1-C10アルキル)、または-N(C1-C10アルキル)(C1-C10アルキル)であり、
11’は、-OH、-O(C1-C10アルキル)、-NH2、-NH(C1-C10アルキル)、-N(C1-C10アルキル)(C1-C10アルキル)、-OG1、-NHG1、または-N(C1-C10アルキル)G1であり、
nは0~5であり、
Xは-O-または-N(G)-であり、
Gは、各出現において独立的に、H、C1-C12アルキルであり、またはR3’もしくはR5’のうちの1つと共に、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、5~8員の単環式複素環式環を形成し、あるいは、2個のGは、自らが付着している窒素原子と共に、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、4員~8員の単環式複素環式環を形成し、
1は酵素基質を含み、酵素による当該酵素基質の生体内変換がG1をHに転換する)。
【0013】
当該組成物は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログと、チオ核酸塩基と、液体媒体とを含むことができる。当該組成物は、発光酵素(例えば、ルシフェラーゼ)を含むまたは含有する場合もあれば、発光酵素を含まないまたは含有しない場合もある。
【0014】
チオ核酸塩基は、式(I)の化合物またはその互変異性体であり得る
(式中、
1は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、カルボン酸、エステル、NRab、置換されていてもよいイミン、ヒドロキシル、またはオキソであり、
2は、水素、NRab、置換されていてもよいイミン、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、
a及びRbは、各出現において各々独立的に、水素、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールである)。
【0015】
チオ核酸塩基は、光の存在下で、光の不在下で、及び/または異なる温度にて、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し経時的に安定化させることができる。チオ核酸塩基は、光の存在下で、光の不在下で、及び/または異なる温度にて、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを、1つ以上の分解産物への分解に対し経時的に安定化させることができる。
【0016】
そのため、チオ核酸塩基を組成物中に含めることは、1つ以上の分解産物の形成を抑制または低減することにより、チオ核酸塩基を含まない組成物に比べて、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させることができる。そしてこれにより、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログは、アッセイでベンゾチアゾールルシフェリンアナログを使用する前に顕著なベンゾチアゾールルシフェリンアナログの分解を伴うことなく、光の存在下及び/または不在下で、特定の温度にて一定期間、保管またはインキュベートすることが可能になる。
【0017】
本発明は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを安定化させるための方法にも関する。このような方法は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させることができる、及び/または1つ以上の分解産物の形成を抑制もしくは低減することができる。この方法は、緩衝溶液の存在下で、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを有効量のチオ核酸塩基(例えば、0.1~500mM)に接触させることを含むことができる。この接触させるステップは、上述の組成物を形成することを含むことができる。
【0018】
1.定義
別途定義されない限り、本明細書で使用する全ての技術的用語及び科学的用語は、当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。矛盾が生じる場合は、定義を含め、本文書が優先される。好ましい方法及び材料を以下に記載するが、本明細書に記載されている方法及び材料と同様または同等であるものも、本発明の実施及び試験で使用することができる。本明細書で言及されている全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。本明細書で開示される材料、方法、及び実施例は、例示的なものに過ぎず、限定的であるようには意図されていない。
【0019】
本明細書で使用される「~を含む(comprise)」、「~を含む(include)」、「~を有する(having)」、「~を有する(has)」、「~することができる(can)」、「~を含有する(contain)」という用語、及びこれらの変形は、追加的な行為または構造の可能性を排除しないオープンエンドな移行句、用語、または単語であるように意図されている。文脈による別段の明確な定めがない限り、単数形「a」、「and」、及び「the」には複数の指示対象が含まれる。また、本開示は、明示的に示されているか否かにかかわらず、本明細書で提示されている実施形態または要素「を含む」または「から本質的になる」他の実施形態も企図している。
【0020】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、好ましくは1~30個の炭素原子、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、または1~4個の炭素原子を有する線状または分枝状の炭化水素ラジカルを指す。「C1-C4アルキル」という用語は、線状または分枝状の配列で1、2、3、または4個の炭素を有するアルキル基を含むように定義される。例えば、「C1-C4アルキル」は、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、及びi-ブチルを含む。「C1-C6アルキル」という用語は、線状または分枝状の配列で1、2、3、4、5、または6個の炭素を有するアルキル基を含むように定義される。例えば、「C1-C6アルキル」は、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル、ペンチル、及びヘキシルを含む。
【0021】
本明細書で使用される「アルキレン」という用語は、直鎖または分枝状鎖の炭化水素から誘導される2価の基を指す。アルキレンの代表例としては、以下に限定されないが、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-、及び-CH2CH(CH3)CH(CH)3CH2-が挙げられる。
【0022】
本明細書で使用される「アリールアルキル」という用語は、本明細書で定義されるようなアリール基であって、本明細書で定義されるようなアルキル基を介して親分子部分に付加されているアリール基を指す。一部の実施形態において、アルキル基はC1-C4アルキルであり得る。
【0023】
本明細書で使用される「ヘテロアリールアルキル」という用語は、本明細書で定義されるようなヘテロアリール基であって、本明細書で定義されるようなアルキル基を介して親分子部分に付加されているヘテロアリール基を指す。一部の実施形態において、アルキル基はC1-C4アルキルであり得る。
【0024】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、3~10個の炭素原子と、ゼロのヘテロ原子と、ゼロの二重結合とを含有する炭素環式環系を指す。シクロアルキルの代表例としては、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、及びシクロデシルが挙げられる。
【0025】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、単環式、2環式、または3環式の芳香族ラジカルを指す。アリール基の代表例としては、以下に限定されないが、フェニル、ジヒドロインデニル、インデニル、ナフチル、ジヒドロナフタレニル、及びテトラヒドロナフタレニルが挙げられる。本発明のアリール基は、本明細書で定義されるような好適な1個以上の置換基により、好ましくは1~5個の好適な置換基により置換されていてもよい。
【0026】
本明細書で使用される「カルボン酸」という用語は、COOHを指す。
【0027】
本明細書で使用される「有効量」という用語は、1つ以上の分解産物または分解物への分解に対する、本明細書で説明されるようなルシフェリンアナログの所望の安定化を、様々な時間期間の間達成するのに必要となる、本明細書で説明されるような式(I)のチオ核酸塩基化合物の量を指す。
【0028】
本明細書で使用される「エステル」という用語は、CO2c(式中、Rcはアルキルまたはアリールである)を指す。
【0029】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は、単環式ヘテロアリールまたは2環式ヘテロアリールを指す。単環式へテロアリールは5員または6員の環である。5員環は2つの二重結合を含有する。5員環は、OもしくはSから選択される1個のヘテロ原子;または1、2、3、もしくは4個の窒素原子と、場合により、1個の酸素原子もしくは硫黄原子とを含有することができる。6員環は、3つの二重結合と、1、2、3、または4個の窒素原子とを含有する。単環式ヘテロアリールの代表例としては、以下に限定されないが、フラニル、イミダゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、1,3-オキサゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピロリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、1,3-チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、及びトリアジニルが挙げられる。2環式ヘテロアリールとしては、フェニルと縮合した単環式ヘテロアリール、または単環式シクロアルキルと縮合した単環式へテロアリール、または単環式シクロアルケニルと縮合した単環式へテロアリール、または単環式へテロアリールと縮合した単環式へテロアリール、または単環式複素環と縮合した単環式へテロアリールが挙げられる。2環式ヘテロアリール基の代表例としては、以下に限定されないが、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、6,7-ジヒドロ-1.3-ベンゾチアゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、イソキノリニル、ナフチリジニル、ピリドイミダゾリル、キナゾリニル、キノリニル、チアゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イル、チアゾロ[5,4-d]ピリミジン-2-イル、及び5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-5-イルが挙げられる。本発明のヘテロアリール基は、非置換であってもよく、または本明細書で定義されるような好適な1個以上の置換基により、好ましくは1~5個の好適な置換基により置換されていてもよい。
【0030】
本明細書で使用される「複素環」または「ヘテロシクリル」という用語は、単環式複素環、2環式複素環、または3環式複素環を指す。単環式複素環は、酸素、窒素、リン、及び硫黄からなる群から独立的に選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する、3員、4員、5員、6員、7員、または8員の環である。3員環または4員環は、ゼロまたは1つの二重結合と、酸素、窒素、リン、及び硫黄からなる群から選択される1個のヘテロ原子とを含有する。5員環は、ゼロまたは1つの二重結合と、酸素、窒素、リン、及び硫黄からなる群から選択される1個、2個、または3個のヘテロ原子とを含有する。6員環は、ゼロ、1つ、または2つの二重結合と、酸素、窒素、リン、及び硫黄からなる群から選択される1個、2個、または3個のヘテロ原子とを含有する。7員環及び8員環は、ゼロ、1つ、2つ、または3つの二重結合と、酸素、窒素、リン、及び硫黄からなる群から選択される1個、2個、または3個のヘテロ原子とを含有する。単環式複素環の代表例としては、以下に限定されないが、アゼチジニル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、1,3-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、1,3-ジチオラニル、1,3-ジチアニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ホスフィナン、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリニジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキシドチオモルホリニル(チオモルホリンスルホン)、チオピラニル、トリチアニル、及び2,5-ジオキソ-ピロリジニルが挙げられる。2環式複素環は、フェニル基と縮合した単環式複素環、または単環式シクロアルキルと縮合した単環式複素環、または単環式シクロアルケニルと縮合した単環式複素環、または単環式複素環と縮合した単環式複素複素環、あるいは、環における隣接していない2個の原子が、1、2、3、もしくは4個の炭素原子のアルキレン架橋により、または2、3、もしくは4個の炭素原子のアルケニレン架橋により連結している、架橋した単環式複素環環系である。2環式複素環の代表例としては、以下に限定されないが、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、クロマニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、2,3-ジヒドロベンゾチエニル、アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル(2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルを含む)、2,3-ジヒドロ-1H-インドリル、イソインドリニル、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロリル、オクタヒドロピロロピリジニル、9-ホスファビシクロ[3.3.1]ノナン、8-ホスファビシクロ[3.2.1]オクタン、及びテトラヒドロイソキノリニルが挙げられる。3環式複素環は、フェニル基と縮合した2環式複素環、または単環式シクロアルキルと縮合した2環式複素環、または単環式シクロアルケニルと縮合した2環式複素環、または単環式複素環と縮合した2環式複素環、あるいは、2環式環における隣接していない2個の原子が、1、2、3、もしくは4個の炭素原子のアルキレン架橋により、または2、3、もしくは4個の炭素原子のアルケニレン架橋により連結している、2環式複素環によって例示される。3環式複素環の例としては、以下に限定されないが、オクタヒドロ-2,5-エポキシペンタレン、ヘキサヒドロ-2H-2,5-メタノシクロペンタ[b]フラン、ヘキサヒドロ-1H-1,4-メタノシクロペンタ[c]フラン、アザ-アダマンタン(1-アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン)、オキサ-アダマンタン(2-オキサトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン)、及び2,4,6-トリオキサ-8-ホスファトリシクロ[3.3.1.13,7]デカンが挙げられる。本発明の複素環式基は、非置換であってもよく、または上記で定義されるような1個以上の好適な置換基により、好ましくは1~3個の好適な置換基により置換されていてもよい。本発明の複素環式基は、環に付着している1個以上のオキソ基(=O)またはチオキソ基(=S)を含有することができる。
【0031】
本明細書で使用される「イミン」という用語は、-N=CRd(式中、Rdは、本明細書で定義されるようなアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはシクロアルキルである)を指す。Rdは、非置換であってもよく、または本明細書で定義されるような1個以上の好適な置換基で置換されていてもよい。
【0032】
本明細書で使用する「ヒドロキシ」という用語は-OH基を指す。
【0033】
本明細書で使用される「オキソ」という用語は二重結合した酸素ラジカル(=O)を指し、このとき、結合パートナーは炭素原子である。このようなラジカルは、カルボニル基とみなすこともできる。
【0034】
本明細書で使用される「好適な置換基」という用語は、化学的に許容される官能基、例えば、本発明の化合物の活性を打ち消さない部分を意味するように意図されている。好適な置換基の実例としては、以下に限定されないが、ハロ基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、ハロ基、オキソ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アルコキシ基、ニトロ基、アジドアルキル基、アリールまたはヘテロアリール基、アリールオキシまたはヘテロアリールオキシ基、アラルキルまたはヘテロアラルキル基、アラルコキシまたはヘテロアラルコキシ基、HO-(C=O)-基、複素環基、シクロアルキル基、アミノ基、アルキル-及びジアルキルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。置換基は、追加の置換基によって置換されていてもよい。
【0035】
置換基が、ある基から「独立的に選択されて」いると説明されている場合、各置換基は他方の置換基から独立的に選択される。そのため、各置換基は、他方の置換基(複数可)と同一である場合も異なる場合もある。
【0036】
本明細書で使用される「光」という用語は、可視光、白色光(赤色光、青色光、及び黄色光の3原色の組合せであり得る)、紫色光、青色光、青緑色光、緑色光、黄緑色光、黄色光、橙色光、赤色光、もしくは近紫外光、またはこれらの任意の組合せを指すことができる。「光」という用語は、電磁スペクトルの領域(例えば、以下に限定されないが、可視光領域)からの光を指すことができる。また、「光」という用語は、約380nm~約780nm、または約400nm~約700nmの波長を有する光も指すことができる。さらに、「光」という用語は、蛍光電球、発光ダイオード(LED)電球、白熱電球、またはこれらの任意の組合せからの光も指すことができる。一部の実施形態において、暗状態は光の不在であり得る。
【0037】
本明細書における数値範囲の列挙については、同じ精度を伴った、その範囲の間に介在する各々の数が明示的に企図されている。例えば、6~9という範囲については、6と9に加えて7と8という数が企図されており、6.0~7.0という範囲については、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、及び7.0という数が明示的に企図されている。
【0038】
2.組成物
本発明は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログと、チオ核酸塩基と、場合により、液体媒体とを含む組成物を対象とする。当該組成物は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させることができる。当該組成物は、チオ核酸塩基を含有しない組成物に比べて、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させることができる。チオ核酸塩基は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログからの1つ以上の分解産物の形成を低減または抑制することができる。例えば、以下でより詳細に説明されるように、チオ核酸塩基は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを、1つ以上の分解産物(例えば、ベンゾチアゾールデヒドロルシフェリン)への分解に対し、安定化させることができる。
【0039】
本発明の組成物は、いかなる液体も水分も本質的に含まない乾燥形態をとることができる。代替的に、当該組成物は、液体媒体を含む液体形態をとることもできる。
【0040】
当該組成物は、光の不在下で(例えば、暗状態で)、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させることができる。当該組成物は、光の不在下で、チオ核酸塩基を含有しない組成物に比べて、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログの半減期を増加させることができる。
【0041】
当該組成物は、光の存在下で、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させることができる。当該組成物は、光の存在下で、チオ核酸塩基を含有しない組成物に比べて、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログの半減期を増加させることができる。当該組成物は、光の存在下で、チオ核酸塩基を含有しない組成物に比べて、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログの半減期を約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3.0倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、3.6倍、3.7倍、3.8倍、3.9倍、4.0倍、4.1倍、4.2倍、4.3倍、4.4倍、4.5倍、4.6倍、4.7倍、4.8倍、4.9倍、または5.0倍増加させることができる。
【0042】
当該組成物は、約-120℃~約80℃、約-110℃~約80℃、約-100℃~約80℃、約-90℃~約80℃、約-85℃~約80℃、約-80℃~約80℃、約-75℃~約80℃、約-70℃~約80℃、約-65℃~約80℃、約-60℃~約80℃、約-55℃~約80℃、約-50℃~約80℃、約-45℃~約80℃、約-40℃~約80℃、約-35℃~約80℃、約-30℃~約80℃、約-25℃~約80℃、約-20℃~約80℃、約-15℃~約80℃、約-10℃~約80℃、約-5℃~約80℃、約0℃~約80℃、約-120℃~約75℃、約-120℃~約70℃、約-120℃~約65℃、約-120℃~約60℃、約-120℃~約55℃、約-120℃~約50℃、約-120℃~約45℃、約-120℃~約40℃、約-120℃~約35℃、約-120℃~約30℃、約-120℃~約25℃、約-120℃~約20℃、約-100℃~約70℃、約-80℃~約60℃、約-80℃~約55℃、約-80℃~約50℃、約-80℃~約45℃、約-80℃~約40℃、約-80℃~約35℃、約-80℃~約30℃、約-80℃~約25℃、約-20℃~約60℃、約-20℃~約55℃、約-20~50℃、約-20℃~約45℃、約-20℃~約40℃、約-20℃~約35℃、約-20℃~約30℃、または約-20℃~約25℃の温度にて、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させることができる。
【0043】
当該組成物は、約-120℃、-115℃、-110℃、-105℃、-100℃、-95℃、-90℃、-89℃、-88℃、-87℃、-86℃、-85℃、-84℃、-83℃、-82℃、-81℃、-80℃、-79℃、-78℃、-77℃、-76℃、-75℃、-74℃、-73℃、-72℃、-71℃、-70℃、-69℃、-68℃、-67℃、-66℃、-65℃、-64℃、-63℃、-62℃、-61℃、-60℃、-59℃、-58℃、-57℃、-56℃、-55℃、-54℃、-53℃、-52℃、-51℃、-50℃、-49℃、-48℃、-47℃、-46℃、-45℃、-44℃、-43℃、-42℃、-41℃、-40℃、-39℃、-38℃、-37℃、-36℃、-35℃、-34℃、-33℃、-32℃、-31℃、-30℃、-29℃、-28℃、-27℃、-26℃、-25℃、-24℃、-23℃、-22℃、-21℃、-20℃、-19℃、-18℃、-17℃、-16℃、-15℃、-14℃、-13℃、-12℃、-11℃、-10℃、-9℃、-8℃、-7℃、-6℃、-5℃、-4℃、-3℃、-2℃、-1℃、0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、75℃、または80℃にて、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させることができる。当該組成物は、約-80℃、約-20℃、約4℃、または約20℃にて、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させることができる。
【0044】
当該組成物は、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、35日間、40日間、45日間、50日間、55日間、60日間、65日間、70日間、75日間、80日間、85日間、90日間、100日間、110日間、120日間、130日間、140日間、150日間、160日間、170日間、180日間、190日間、200日間、210日間、220日間、230日間、240日間、250日間、260日間、270日間、280日間、290日間、300日間、310日間、320日間、330日間、340日間、350日間、360日間、1年間、2年間、3年間、4年間、または5年間、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させることができる。
【0045】
当該組成物は、チオ核酸塩基を含まない組成物に比べて、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログの半減期を少なくとも約1.25倍、1.5倍、1.75倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、21倍、22倍、23倍、24倍、または25倍増加させることができる。
【0046】
a.ベンゾチアゾールルシフェリンアナログ
本発明に従うベンゾチアゾールルシフェリンアナログとしては、WO2006/130551、WO2014/159044、US2007/0015790、US2014/0304842、US2018/0155762、US5,098,828、US7,692,022、またはUS7,910,087が挙げられ、これらはその全体が参照により本明細書に援用される。例えば、本明細書で開示されるベンゾチアゾールルシフェリンアナログは、式(II’)の化合物またはその塩を含む。
【0047】
一部の実施形態において、W1及びW2は水素である。一部の実施形態において、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログは、W1が水素であり、W2がC1-C4アルキルまたはアリールアルキルである、式(II’)の化合物である。例えば、W2は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、またはベンジルであり得る。
【0048】
一部の実施形態において、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログは、W1及びW2が各々独立的にC1-C4アルキルである、式(II’)の化合物である。例えば、W1及びW2は、各々独立的に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、またはベンジルであり得る。一部の実施形態において、W1及びW2は、共にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、またはベンジルであり得る。
【0049】
一部の実施形態において、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログは、W1及びW2が、自らが付着している炭素と共にC3-C8シクロアルキルを形成し、当該C3-C8シクロアルキルが、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、式(II’)の化合物である。例えば、W1及びW2は、自らが付着している炭素と共に
を形成することができる。
【0050】
一部の実施形態において、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログは、W1及びW2が、自らが付着している炭素と共に4~8員の複素環を形成し、当該複素環が、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、式(II’)の化合物である。例えば、W1及びW2は、自らが付着している炭素と共に
を形成することができる。
【0051】
一部の実施形態において、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログは、式(II)の化合物またはその塩である。
【0052】
一部の実施形態において、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログは、ベンゾチアゾールルシフェリン、例えばD-ルシフェリンであり得る。他の実施形態において、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログは、アミノルシフェリンなどのベンゾチアゾールルシフェリン、例えば、R1’、R2’、R3’、及びR5’が各々Hであり、R4’がNH2である、式(II’)または式(II)の化合物である。ベンゾチアゾールルシフェリンはルシフェラーゼ酵素の基質である。
【0053】
他の実施形態において、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログは、ベンゾチアゾールプロルシフェリンであり得る。本明細書で使用されるベンゾチアゾールプロルシフェリンは、ルシフェラーゼと合わせたときに発光を直接的に支持するわけではないが、(例えば、第2の酵素による)生体内変換により、ベンゾチアゾールルシフェリンに転換することができる。ベンゾチアゾールプロルシフェリンとしては、例えば、R4’が、-OG1、-NHG1、または-N(C1-C4アルキル)G1であり、G1が酵素基質を含み、酵素による当該酵素基質の生体内変換がG1をHに転換する、式(II’)または式(II)の化合物が挙げられる。別のベンゾチアゾールプロルシフェリンの例としては、R1’が-C2アルキレン-OHであり、R2’がHであり、R3’がHであり、R5’がHであり、R4’が-OCH3である、式(II’)または式(II)の化合物が挙げられる。
【0054】
1は酵素基質を含み、酵素による当該酵素基質の生体内変換がG1をHに転換する。一部の実施形態において、G1はG2-L1-であり、G2は酵素基質であり、L1は、G2を式(II’)または式(II)の化合物の残部(すなわち、親分子部分)に接続するリンカーである。G2は、酵素によって除去可能な基である。
【0055】
一部の実施形態において、L1は、結合であるか、または中性の周囲条件下で安定性の原子の配列から構成された2価の基であり、この原子は、炭素、水素、窒素、酸素、硫黄、リン、及びケイ素から選択される。2価の基は、単結合(例えば、CH2-CH2、CH2-O)、二重結合(例えば、C=O)、または三重結合(例えば、C≡C)を含むことができ、また環構造(例えば、シクロアルキル)を含有または含むことができる。一部の実施形態において、2価の基は、-C1-10アルキレン-、-C2-10アルキレン-O-、C3-8シクロアルキレン、-C(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-NH-、-N(C1-4アルキル)-、-N(COC1-4アルキル)-、アミノ酸部分、保護アミノ酸部分、及びフェニレンのうちの1つ以上の配列であり、このとき、C3-8シクロアルキレン及びフェニレンは、独立的に、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、シアノ、またはヒドロキシから独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい。一部の実施形態において、L1はC1-C10アルキレン(例えば、C2-C3アルキレン)である。
【0056】
リンカーL1は、WO2006/130551、WO2014/159044、US2007/0015790、またはUS2014/0304842(これらの全体が参照により本明細書に援用される)で開示されているようなベンゾチアゾールルシフェリンと酵素基質との間のリンカーであり得る。例えば、L1は、スキーム1に示すようなトリメチルロック、キノンメチド、ジペプチジル、パラアミノベンジルオキシカルボニル、またはアルキレンジアミノカルボニルリンカーなどのトレースレスリンカーであり得る。G2の酵素的生体内変換は、G2が付着しているヘテロ原子に対する結合の切断をもたらして、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを放出するように自発的に自己犠牲を行い得るリンカーを放出する。一部のトレースレスリンカー(例えば、アルキレンリンカー)は、WO2006/130551で説明されているようにβ脱離によって自発的に脱離され得る。
スキーム1
【0057】
酵素基質G2の代表例としては、WO2006/130551またはUS2007/0015790(その全体が参照により本明細書に援用される)で説明されているようなプロテアーゼ向けの基質、シトクロム(CYP)P450レダクターゼ、モノアミンオキシダーゼ(MAO)、フラビンモノオキシゲナーゼ(FMO)、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、デアルキラーゼ(例えば、デメチラーゼ)、デアセチラーゼ、デホルミラーゼ、スルファターゼ、ホスファターゼ(例えば、アルカリホスファターゼ(AP))、ベータラクタマーゼ、及びアルコールデヒドロゲナーゼが挙げられる。
【0058】
代表的なプロテアーゼ基質としては、以下に限定されないが、Cosby et al.によりCell Notes(2007)18,pp.9-11(その全体が参照により本明細書に援用される)で説明されているようなZ-DEVD-、Z-LETD-、GP-、Suc-LLVY-、Z-LRR-、Z-nLPnLD-、Z-QEVY-、VP-、Z-VDVAD-、Z-VEID-、Z-ATAD-、Z-IEPD-、Z-IETD-、Z-TSAVLQ-、及びZ-VNSTLQ-といったペプチドが挙げられる。これらのプロテアーゼ基質の場合、酵素基質は-Xに直接付着し、直接切断されるため、L1は結合である。
【0059】
トレースレスリンカーを有するG1の代表例をスキーム2に示す。
スキーム2
【0060】
ベンゾチアゾールルシフェリンアナログのあるいくつかの実施形態は、
1’、R2’、R3’、及びR5’がHであり、R4’が-XGまたは-XG1であり、Gが、各出現において独立的に、H、C1-C12アルキルであり、または2個のGが、自らが付着している窒素原子と共に、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、4~8員の単環式複素環式環を形成し、X及びG1が本明細書で定義される通りである、式(II’)または式(II)の化合物を含む。
【0061】
他の実施形態において、
4’は-XGであり、Xは本明細書で定義される通りであり、少なくとも1個のGは、R3’またはR5’のうちの1つと共に、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、5~8員の単環式複素環式環を形成する。一部の実施形態において、1個のGは、R3’と共に、本明細書で説明されているように置換されていてもよい、5~8員の単環式複素環式環を形成する。一部の実施形態において、Xは-NH-または-N(C1-C12アルキル)-(例えば、-N(CH3)-)であり、Gは、R3’と共に、本明細書で説明されているように置換されていてもよい、5~8員の単環式複素環式環を形成する。一部の実施形態において、置換されていてもよい、GとR3’との間で形成される複素環式環は、
からなる群より選択される。一部の実施形態において、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログは
である。一部の実施形態において、1個のGは、R5’と共に、本明細書で説明されているように置換されていてもよい、5~8員の単環式複素環式環を形成する。一部の実施形態において、Xは-NH-または-N(C1-C12アルキル)-(例えば、-N(CH3)-)であり、Gは、R5’と共に、本明細書で説明されているように、置換されていてもよい5~8員の単環式複素環式環を形成する。一部の実施形態において、GとR5’との間で形成される、置換されていてもよい複素環式環は、
からなる群より選択される。一部の実施形態において、Xは-N(G)-であり、各Gは、R3’またはR5’のうちの1つと共に、本明細書で説明されているように、置換されていてもよい5~8員の単環式複素環式環
を形成する。
【0062】
一部の実施形態において、
このとき、R1’、R10’、R11’、及びnは本明細書で定義される通りである。一部の実施形態において、
このとき、R1’及びR11’は本明細書で定義される通りである。さらなる実施形態において、R11’は-OHまたは-NH2であり、R1’は本明細書で定義される通りである。(b)の実施形態に従ったなおさらなる実施形態において、R1’はHである。一部の実施形態において、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログは
である。他の実施形態において、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログは
である。
【0063】
一部の実施形態において、
このとき、R1’、R10’、R11’、及びnは本明細書で定義される通りである。
【0064】
一部の実施形態において、
このとき、R1’、R10’、R11’、及びnは本明細書で定義される通りである。
【0065】
一部の実施形態において、本発明の組成物は液体媒体を含み、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログは、組成物中に約0.5mM~約10mM、約0.75mM~約10mM、約1.0mM~約10mM、約0.5mM~約9mM、約0.5mM~約8mM、約0.5mM~約7mM、約0.5mM~約6mM、約0.5mM~約5mM、約0.5mM~約4mM、約0.5mM~約3 mM、または0.5mM~約2mMにて存在することができる。ベンゾチアゾールルシフェリンアナログは、組成物中に約0.5mM、0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.25mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2mM、2.5mM、3mM、3.5mM、4mM、4.5mM、5mM、5.5mM、6mM、6.5mM、7mM、7.5mM、8mM、8.5mM、9mM、9.5mM、または10mMにて存在することができる。
【0066】
b.チオ核酸塩基
当該組成物は、チオ核酸塩基を含むことができる。チオ核酸塩基は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを、1つ以上の分解産物への分解に対し安定化させることができる。チオ核酸塩基は、1つ以上の分解産物の形成を低減または抑制することができる。このような安定化、低減、または抑制は、上記で説明されているように光の存在下、光の不在下、及び/または異なる温度にて行われる。
【0067】
チオ核酸塩基は、式(I)の化合物またはその互変異性体であり得る
(式中、
1は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、カルボン酸、エステル、NRab、置換されていてもよいイミン、ヒドロキシル、またはオキソであり、
2は、水素、NRab、置換されていてもよいイミン、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、
a及びRbは、各出現において各々独立的に、水素、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールである)。
【0068】
あるいくつかの実施形態において、R1は、水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、カルボン酸、エステル、NRab、イミン、ヒドロキシル、またはオキソであり、このとき、Ra及びRbは各々独立的に、水素、アルキル、またはアリールであり、当該アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、及びイミンは、各出現において独立的に、非置換であるか、またはハロゲン、=O、=S、シアノ、シアノアルキル、シアノフルオロアルキル、シアノフルオロアルキル、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシフルオロアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート、及びアシルからなる群より独立的に選択される1、2、3、4、5、6、もしくは7個の官能基で置換されている。
【0069】
あるいくつかの実施形態において、R1は、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、カルボン酸、エステル、またはオキソであり、このとき、当該アルキル、シクロアルキル、及びアリールアルキルは、各出現において独立的に、非置換であるか、またはハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、及び-COOHからなる群より独立的に選択される1、2、もしくは3個の官能基で置換されている。
【0070】
あるいくつかの実施形態において、R2は、水素、NRab、イミン、アルキル、またはアリールであり、このとき、Ra及びRbは各々独立的に、水素、アルキル、またはアリールであり、当該アルキル、イミン、及びアリールは、各出現において独立的に、非置換であるか、またはハロゲン、=O、=S、シアノ、シアノアルキル、シアノフルオロアルキル、シアノフルオロアルキル、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシフルオロアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート、及びアシルからなる群より独立的に選択される1、2、3、4、5、6、もしくは7個の官能基で置換されている。
【0071】
あるいくつかの実施形態において、R2は、水素、NRab、またはイミンであり、このとき、Ra及びRbは各々独立的に、水素またはアルキルであり、当該イミンは、非置換であるか、またはハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、及びアルキルアミノからなる群より独立的に選択される官能基で置換されている。
【0072】
あるいくつかの実施形態において、R2はイミンであり、このとき、イミンは-N=CRd(式中、Rdは、アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはシクロアルキルである)であり、当該イミンは、非置換であるか、またはハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、及びアルキルアミノからなる群より独立的に選択される官能基で置換されている。
【0073】
あるいくつかの実施形態において、R2はイミンであり、このとき、イミンは-N=CRd(式中、Rdは、アリールまたはヘテロアリールである)であり、当該イミンは、非置換であるか、またはニトロ及びアルキルアミノからなる群より独立的に選択される官能基で置換されている。
【0074】
式(I)の化合物は、以下の構造を有するATT(6-メチル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン)であってもよい。
【0075】
ATTは、6-アザ-2-チオチミンの別名でも知られ得る。ATTは市販されており、例えば、Sigma-Aldrich(カタログ番号275514)から入手可能である。
【0076】
式(I)の化合物は、以下の構造を有するATCA(5-オキソ-3-チオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-カルボン酸)であってもよい。
【0077】
ATCAは市販されており、例えば、Sigma-Aldrich(カタログ番号S784028)から入手可能である。
【0078】
式(I)の化合物は、以下の構造を有する3-(4-アミノ-5-オキソ-3-チオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)プロパン酸であってもよい。
【0079】
この化合物は市販されており、例えば、Sigma-Aldrich(カタログ番号OTV000379)から入手可能である。
【0080】
式(I)の化合物は、以下の構造を有するテトラヒドロ-2-メチル-3-チオキソ-1,2,4-トリアジン-5,6-ジオンであってもよい。
【0081】
この化合物は、チオトリアジノンの別名でも知られ得、市販されており、例えば、Sigma-Aldrich(カタログ番号549756)から入手可能である。
【0082】
式(I)の化合物は、以下の構造を有する4-((2-フリルメチレン)アミノ)-3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5(4H)-オンであってもよい。
【0083】
この化合物は市販されており、例えば、Sigma Aldrich(カタログ番号L125016)から入手可能である。
【0084】
式(I)の化合物は、以下の構造を有する6-ベンジル-3-スルファニル-1,2,4-トリアジン-5-オールであってもよい。
【0085】
この化合物は、b-ATT、ベンジル-ATT、またはTAK-0002の別名でも知られ得る。
【0086】
式(I)の化合物は、以下の構造を有する4-アミノ-3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5(4H)-オンであってもよい。
【0087】
この化合物は市販されており、例えば、Sigma-Aldrich(カタログ番号PH125903)から入手可能である。
【0088】
式(I)の化合物は、以下の構造を有する3-(5-オキソ-3-チオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)プロパン酸であってもよい。
【0089】
この化合物は市販されており、例えば、Sigma-Aldrich(カタログ番号L151629)から入手可能である。
【0090】
式(I)の化合物は、以下の構造を有する(E)-6-メチル-4-((チオフェン-2-イルメチレン)アミノ)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オンであってもよい。
【0091】
この化合物は市販されており、例えば、Sigma Aldrich(カタログ番号L150819)から入手可能である。
【0092】
式(I)の化合物は、以下の構造を有する(E)-6-メチル-4-((3-ニトロベンジリデン)アミノ)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オンであってもよい。
【0093】
この化合物は市販されており、例えば、Sigma Aldrich(カタログ番号L151238)から入手可能である。
【0094】
式(I)の化合物は、以下の構造を有する(E)-4-((4-(ジエチルアミノ)ベンジリデン)アミノ)-6-メチル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オンであってもよい。
【0095】
この化合物は市販されており、例えば、Sigma Aldrich(カタログ番号L151211)から入手可能である。
【0096】
式(I)の化合物は、以下の構造を有するATCAエチルエステルであってもよい。
【0097】
この化合物は市販されており、例えば、Sigma Aldrich(カタログ番号PH008592)から入手可能である。
【0098】
式(I)の化合物は、以下の構造を有するTAK-0021であってもよい。
【0099】
式(I)の化合物は、以下の構造を有するTAK-0020であってもよい。
【0100】
式(I)の化合物は、以下の構造を有するTAK-0018であってもよい。
【0101】
式(I)の化合物は、以下の構造を有するTAK-0009であってもよい。
【0102】
式(I)の化合物は、以下の構造を有するTAK-0014であってもよい。
【0103】
式(I)の化合物は、以下の構造を有するTAK-0007であってもよい。
【0104】
式(I)の化合物は、以下の構造を有するTAK-0008であってもよい。
【0105】
式(I)の化合物は、以下の構造を有するTAK-0003であってもよい。
【0106】
式(I)の化合物は、以下の構造を有するTAK-0004であってもよい。
【0107】
式(I)の化合物は、以下の構造を有する3-チオキソ-6-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オンであってもよい。
【0108】
式(I)の化合物は、以下の構造を有する6-シクロプロピル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オンであってもよい。
【0109】
式(I)の化合物は、以下の構造を有する6-(ヒドロキシメチル)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オンであってもよい。
【0110】
TAK-0014、TAK-0002、TAK-0021、TAK-0020、TAK-0018、TAK-0009、TAK-0007、TAK-0008、TAK-0003、TAK-0004、3-チオキソ-6-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、6-シクロプロピル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、及び6-(ヒドロキシメチル)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オンは、S.J.Liu et al.,ARKIVOC(2009)333-348及びS.J.Liu et al.,Letters in Drug Design and Discovery(2010)7:5-8(これらの両方の内容全体は参照により本明細書に援用される)で説明されているように合成した。
【0111】
チオ核酸塩基は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させるのに有効な量で、組成物中に存在することができる。一部の実施形態において、本発明の組成物は液体媒体を含み、ルシフェリンアナログを分解に対し安定化させるための組成物中のチオ核酸塩基の有効量は、約0.1mM~約500mM、約0.5mM~約500mM、約1mM~約500mM、約5mM~約500mM、約10mM~約500mM、約15mM~約500mM、約20mM~約500mM、約30mM~約500mM、約50mM~約500nM、約70mM~約500mM、約90mM~約500mM、約110mM~約500mM、約130mM~約500mM、約150mM~約500mM、約170mM~約500mM、約190mM~約500mM、約210mM~約500mM、約0.1mM~約475mM、約0.1mM~約450mM、約0.1mM~約425mM、約0.1mM~約400mM、約0.1mM~約375mM、約0.1mM~約350mM、約0.1mM~約325mM、約0.1mM~約300mM、約0.1mM~約275mM、約0.5mM~約450mM、約1mM~約400mM、約2mM~約350mM、約3mM~約300mM、約4mM~約300mM、約5mM~約250mM、約5mM~約200mM、約5mM~約100mM、約5mM~約50mM、または約5mM~約25mMであり得る。
【0112】
ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させるための組成物中のチオ核酸塩基の有効量は、約0.1mM、0.2mM、0.3mM、0.4mM、0.5mM、0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.5mM、2.0mM、2.5mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM、5.5mM、6.0mM、6.5mM、7.0mM、7.5mM、8.0mM、8.5mM、9.0mM、9.5mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、15mM、16mM、17mM、18mM、19mM、20mM、21mM、22mM、23mM、24mM、25mM、26mM、27mM、28mM、29mM、30mM、31mM、32mM、33mM、34mM、35mM、36mM、37mM、38mM、39mM、40mM、41mM、42mM、43mM、44mM、45mM、46mM、47mM、48mM、49mM、50mM、51mM、52mM、53mM、54mM、55mM、56mM、57mM、58mM、59mM、60mM、61mM、62mM、63mM、64mM、65mM、66mM、67mM、68mM、69mM、70mM、71mM、72mM、73mM、74mM、75mM、76mM、77mM、78mM、79mM、80mM、81mM、82mM、83mM、84mM、85mM、86mM、87mM、88mM、89mM、90mM、91mM、92mM、93mM、94mM、95mM、96mM、97mM、98mM、99mM、100mM、105mM、110mM、115mM、120mM、125mM、130mM、135mM、140mM、145mM、150mM、155mM、160mM、165mM、170mM、175mM、180mM、185mM、190mM、195mM、200mM、205mM、210mM、215mM、220mM、225mM、230mM、235mM、240mM、245mM、250mM、255mM、260mM、265mM、270mM、275mM、280mM、285mM、290mM、295mM、300mM、305mM、310mM、315mM、320mM、325mM、330mM、335mM、340mM、345mM、350mM、355mM、360mM、365mM、370mM、375mM、380mM、385mM、390mM、395mM、400mM、405mM、410mM、415mM、420mM、425mM、430mM、435mM、440mM、445mM、450mM、455mM、460mM、465mM、470mM、475mM、480mM、485mM、490mM、495mM、または500mMであり得る。
【0113】
ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させるための組成物中のチオ核酸塩基の有効量は、0.1mM、0.5mM、1mM、2mM、5mM、または10mMより大きい可能性がある。あるいくつかの実施形態において、本発明の組成物は液体媒体を含有し、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させるためのチオ核酸塩基の有効量は、約1mM~約10mMであり、これには約2mM~約10mM、約3mM~約10mM、約4mM~約10mM、約5mM~約10mM、約6mM~約10mM、約7mM~約10mM、約8mM~約10mM、及び約9mM~約10mMが含まれる。
【0114】
一部の実施形態において、チオ核酸塩基がATTである場合、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させるためのATTの有効量は、約0.1mM~約500mM、約1mM~約500mM、約5mM~約500mM、約10mM~約500mM、約50mM~約500mM、約100mM~約500mM、約110mM~約500mM、約120mM~約500mM、約130mM~約500mM、約140mM~約500mM、約150mM~約500mM、約160mM~約500mM、約170mM~約500mM、約180mM~約500mM、約190mM~約500mM、約200mM~約500mM、約210mM~約500mM、約90mM~約475mM、約90mM~約450mM、約90mM~約425mM、約90mM~約400mM、約90mM~約375mM、約90mM~約350mM、約90mM~約325mM、約90mM~約300mM、約90mM~約275mM、約100mM~約450mM、約125mM~約400mM、約175mM~約350mM、または約200mM~約300mMであり得る。
【0115】
他の実施形態において、チオ核酸塩基がATTである場合、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させるためのATTの有効量は、約0.1mM、0.2mM、0.3mM、0.4mM、0.5mM、0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.5mM、2.0mM、2.5mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM、5.5mM、6.0mM、6.5mM、7.0mM、7.5mM、8.0mM、8.5mM、9.0mM、9.5mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、15mM、16mM、17mM、18mM、19mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、100mM、105mM、110mM、115mM、120mM、125mM、130mM、135mM、140mM、145mM、150mM、155mM、160mM、165mM、170mM、175mM、180mM、185mM、190mM、195mM、200mM、201mM、202mM、203mM、204mM、205mM、206mM、207mM、208mM、209mM、210mM、211mM、212mM、213mM、214mM、215mM、216mM、217mM、218mM、219mM、220mM、221mM、222mM、223mM、224mM、225mM、226mM、227mM、228mM、229mM、230mM、231mM、232mM、233mM、234mM、235mM、236mM、237mM、238mM、239mM、240mM、241mM、242mM、243mM、244mM、245mM、246mM、247mM、248mM、249mM、250mM、251mM、252mM、253mM、245mM、255mM、256mM、257mM、258mM、259mM、260mM、261mM、262mM、263mM、264mM、265mM、266mM、267mM、268mM、269mM、270mM、271mM、272mM、273mM、274mM、275mM、276mM、277mM、278mM、279mM、280mM、281mM、282mM、283mM、284mM、285mM、286mM、287mM、288mM、289mM、290mM、291mM、292mM、293mM、294mM、295mM、296mM、297mM、298mM、299mM、300mM、305mM、310mM、315mM、320mM、325mM、330mM、335mM、340mM、345mM、350mM、355mM、360mM、365mM、370mM、375mM、380mM、385mM、390mM、395mM、400mM、405mM、410mM、415mM、420mM、425mM、430mM、435mM、440mM、445mM、450mM、455mM、460mM、465mM、470mM、475mM、480mM、485mM、490mM、495mM、または500mMであり得る。
【0116】
あるいくつかの実施形態において、本発明の組成物は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログと、ATTと、液体媒体とを含有し、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させるためのATTの有効量は、約1mM~約10mMであり、これには約2mM~約10mM、約3mM~約10mM、約4mM~約10mM、約5mM~約10mM、約6mM~約10mM、約7mM~約10mM、約8mM~約10mM、及び約9mM~約10mMが含まれる。他の実施形態において、本発明の組成物は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログと、ATTと、液体媒体とを含有し、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させるためのATTの有効量は、10mMより大きい、約25mMより大きい、約50mMより大きい、または約100mMより大きい可能性がある。
【0117】
c.乾燥形態の組成物
本発明の組成物は、いかなる液体媒体も含有しない乾燥形態をとることができる。乾燥組成物においては、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログ及びチオ核酸塩基を混合して固体混合物を形成することができる。例えば、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログ及びチオ核酸塩基は、2つの化合物が一様に分散した均質な固体混合物を形成することができる。
【0118】
一部の実施形態において、乾燥組成物におけるベンゾチアゾールルシフェリンアナログは、水に可溶の塩である。本明細書で開示されるこのようなベンゾチアゾールルシフェリンアナログとチオ核酸塩基との乾燥形態の組成物は、このようなベンゾチアゾールルシフェリンアナログの安定性を改善することができる。概して、塩形態のルシフェリンは保管中にH2Oを吸収する傾向がある。プロルシフェリン及びその他のルシフェリンアナログ、例えば、本明細書で開示されるベンゾチアゾールルシフェリンアナログは、通常は冷凍庫で保管されるが、繰り返し使用する間に水分を捕捉する可能性がある。湿気のある環境において、これらの化合物は対応するデヒドロ化合物に分解する可能性があり、この分解は発光性能に影響を及ぼし得る。本明細書で開示されるように、チオ核酸塩基をこのような化合物と共に混合物に含めることで、このような化合物の貯蔵寿命は、分解の速度を遅くすることにより改善し得る。特定の実施形態において、乾燥組成物は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログと、チオ核酸塩基と、その他の必要な成分(例えば、固体形態のリン酸塩及び界面活性剤)とを含有する、固体混合物である。有利なことには、乾燥組成物は固体形態で保管して、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログの貯蔵寿命を延ばすことができる。一部の実施形態において、適切な量の液体媒体(例えば、H2O)を用いた本明細書で開示される乾燥組成物の簡便な再構成は、生物学的適用向けにすぐに使用可能なベンゾチアゾールルシフェリンアナログのストック溶液をもたらすことができる。
【0119】
ベンゾチアゾールルシフェリンアナログとチオ核酸塩基との固体混合物は、公知の方法により、例えば、好適なフリーズドライ装置を用いた凍結乾燥により、調製することができる。
【0120】
d.液体媒体
一部の実施形態において、組成物は、液体媒体を含む液体形態をとることできる。概して、本開示のベンゾチアゾールルシフェリンアナログ及びチオ核酸塩基の各々は、存在する場合、液体媒体中に少なくとも部分的に溶解している。一部の実施形態において、組成物は液体形態をとり、この液体形態は、本開示のベンゾチアゾールルシフェリンアナログとチオ核酸塩基と(いずれも液体媒体中に溶解している)の混合物を含む。
【0121】
液体媒体は、有機溶媒、水性媒体、またはこれらの混合物を含むことができる。液体媒体は、本明細書で開示されるベンゾチアゾールルシフェリンアナログもしくはチオ核酸塩基、またはこれらの混合物を溶解するための溶媒として好適であり得る。あるいくつかの実施形態において、液体媒体は、本明細書で開示されるベンゾチアゾールルシフェリンアナログもしくは本明細書で開示されるチオ核酸塩基、またはこれらの混合物が使用される、生物学的アッセイシステムに含まれてもよい。生物学的アッセイシステムとしては、当技術分野で公知の酵素アッセイ、細胞試験、及び動物試験のための様々なシステムが挙げられる。
【0122】
一部の実施形態において、液体媒体は、1つ以上の有機物質を含む有機溶媒である。有機溶媒は、本明細書で開示される化合物を溶解して溶液を形成するのに使用することができる。溶解後、化合物は、ある温度で一定期間、溶液中で保管することができる。この溶液は、生物学的アッセイシステムに直ちに添加しても、一定期間保管した後に添加してもよい。有機溶媒に溶解したベンゾチアゾールルシフェリンアナログ及びチオ核酸塩基化合物は、別々にまたは混合物として、生物学的アッセイシステムに添加することができる。
【0123】
有機溶媒は、アルコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、グリセロール、またはこれらの任意の組合せであり得る。当該アルコールは、エタノールであり得る。
【0124】
一部の実施形態において、有機溶媒はアルコールとプロピレングリコールとの組合せであり得る。他の実施形態において、有機溶媒はエタノールとプロピレングリコールとの組合せであり得る。なお他の実施形態において、有機溶媒は1:1の比のエタノール:プロピレングリコール(例えば、50%(v/v)エタノール:50%(v/v)プロピレングリコール)であり得る。別の実施形態において、有機溶媒は40%(v/v)エタノール:60%(v/v)プロピレングリコールであり得る。
【0125】
一部の実施形態において、有機溶媒はアルコールとグリセロールとの組合せであり得る。他の実施形態において、有機溶媒はエタノールとグリセロールとの組合せであり得る。なお他の実施形態において、有機溶媒は85%(v/v)エタノール:15%(v/v)グリセロールであり得る。
【0126】
一部の実施形態において、液体媒体は、水性媒体、例えば、水中の溶液または緩衝液である。水性の溶液または緩衝液は、本明細書で開示される化合物を溶解するのに使用することができる。水性媒体に溶解した後、化合物は、ある温度で一定期間、溶液中で保管することができる。この溶液は、生物学的アッセイシステムに直ちに添加しても、一定期間保管した後に添加してもよい。水性媒体に溶解したベンゾチアゾールルシフェリンアナログ及びチオ核酸塩基化合物は、別々にまたは混合物として、生物学的アッセイシステムに添加することができる。
【0127】
好適な水性媒体としては、およそpH6~10の様々な緩衝液が挙げられ得る。好適な緩衝液の非限定的な例としては、リン酸緩衝食塩水(PBS)、クエン酸塩、HEPES、MOPS、MES、及びトリス-HClが挙げられる。
【0128】
一部の実施形態において、組成物は液体媒体を含み、チオ核酸塩基化合物はATTではない。例えば、組成物は、ATT以外のチオ核酸塩基化合物と、アルコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒とを含むことができる。
【0129】
一部の実施形態において、組成物は、ATTと、DMSOを含まない液体媒体とを含む。例えば、組成物は、ATTと、アルコール、プロピレングリコール、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒とを含むことができる。
【0130】
一部の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、界面活性剤を含有する緩衝液中に溶解している。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤(例えば、4級アンモニウム化合物)、アニオン性界面活性剤(例えば、アルキルベンゼンスルホネート化合物)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート及び様々なポリオキシエチレン系化合物)、またはこれらの混合物が挙げられ得る。一部の実施形態において、界面活性剤はカチオン性界面活性剤である。
【0131】
一部の実施形態において、液体媒体は、生物発光定量に好適な水性媒体または緩衝液(例えば、およそpH6.0~8.0のリン酸緩衝液)である。このような媒体は、追加的に、生物発光解析に使用される酵素及びその他の試薬(例えば、ルシフェラーゼ酵素、還元剤、及び界面活性剤を含む)を含有することができる。
【0132】
e.ルシフェラーゼ酵素
上記で説明されているように、当該組成物は、発光酵素、そのバリアント、その変異体、またはこれらの組合せを含む場合もあれば含まない場合もある。発光酵素は、天然、組換え、または変異体であり得る。発光酵素は、上記で説明されている発光基質(その誘導体またはアナログを含む)を、光を産生する反応または光の産生に至る反応を触媒する基質として使用することができる。
【0133】
発光酵素はルシフェリン利用ルシフェラーゼを含むことができる。このようなルシフェラーゼとしては、以下に限定されないが、甲虫などの様々な生物(例えば、Photinus pyralis及びPhoturis pennsylvanica(北米のホタル)ならびにPyrophorus plagiophthalamus(ジャマイカのコメツキムシ))に見いだされるルシフェラーゼが挙げられる。一部の実施形態において、好適なルシフェラーゼには、コメツキムシ緑ルシフェラーゼ、コメツキムシ赤ルシフェラーゼ、及びホタルルシフェラーゼが含まれ得る。一部の実施形態において、ルシフェラーゼには、Ultra-Glo(商標)(Promega Corp.,Madison,WI)などの組換えルシフェラーゼが含まれ得る。
【0134】
3.安定化の方法
本明細書では、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを安定化させるための方法も提供される。本方法は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させることができる。本方法は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを、1つ以上の分解産物への分解に対し安定化させることができる。
【0135】
本方法は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを有効量のチオ核酸塩基に接触させることを含むことができる。一部の実施形態において、接触させることは、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログとチオ核酸塩基との固体混合物中で生じる。例えば、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログ及びチオ核酸塩基を含有する乾燥組成物は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが固体混合物を形成する公知の方法を用いて調製することができる。本明細書で開示されるチオ核酸塩基は、乾燥組成物中のベンゾチアゾールルシフェリンアナログの安定性を改善することができる。
【0136】
また、本方法は、液体媒体の存在下で、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを有効量のチオ核酸塩基に接触させることも含むことができる。液体媒体は、上記で説明されているように、有機溶媒、水性媒体、またはこれらの混合物を含むことができる。いかなる理論への限定も伴うことなく、pH、温度、光、及び緩衝液構成成分は、緩衝溶液中のベンゾチアゾールルシフェリンの安定性に影響を及ぼす可能性があるものと仮定されている。本明細書で開示されるようなチオチミンアナログ(例えば、ATT)が、液体媒体中(例えば、緩衝液または水性溶液中)のベンゾチアゾールルシフェリンを安定化し得るのは予想外である。
【0137】
一部の実施形態において、本方法は液体媒体を含み、チオ核酸塩基化合物はATTではない。例えば、本方法は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを、アルコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒を含む液体媒体中で、ATT以外のチオ核酸塩基化合物に接触させることを含むことができる。
【0138】
一部の実施形態において、本方法は、ATTと、DMSOを含まない液体媒体とを含む。例えば、本方法は、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを、アルコール、プロピレングリコール、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒を含む液体媒体中で、ATTに接触させることを含むことができる。
【0139】
チオチミン化合物がベンゾチアゾールルシフェリンアナログの安定性を改善し得る温度範囲としては、以下に限定されないが、-80℃~60℃、-40℃~60℃、-20℃~60℃、0℃~60℃、20℃~60℃、30℃~60℃、30℃~45℃、及び30℃~40℃の温度が挙げられる。一部の実施形態において、温度範囲は生物発光定量に好適な範囲、例えば、30℃~40℃、または約37℃である。
【0140】
ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを分解に対し安定化させるチオ核酸塩基の有効量は、上記で説明されている。したがって、接触させるステップは、上記で説明されている組成物を形成し、それにより発光基質を分解に対し安定化させることを含むことができる。
【0141】
4.キット
本明細書では、上述された組成物を含むキットも提供される。当該組成物は、単一の容器内に収容することができる。
【0142】
本開示に従うキットは、好ましくは、組成物及び/または組成物を収容している単一の容器を保管するための説明書を含む。本開示のキットに含まれる説明書は、パッケージング材料に貼付されていてもよく、添付文書として含まれていてもよい。説明書は、典型的には文字で書かれた資料つまり印刷された資料であるが、これに限定されない。本開示では、このような説明書を保管し、それをエンドユーザーに伝達することが可能な任意の媒体が企図されている。このような媒体としては、以下に限定されないが、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学的媒体(例えば、CD ROM)などが挙げられる。本明細書で使用される「説明書」という用語は、説明書を提供するインターネットサイトのアドレスを含むことができる。
【0143】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって例示される複数の態様を有する。
【0144】
5.実施例
実施例1.熱安定性
ルシフェリンにおける代表的な熱安定性プロファイリング:ULTRA-GLO(商標)ルシフェラーゼ([酵素]最終=0.1mg/mL;Promega)ありまたはなしで、様々な量の界面活性剤を含有するルシフェリンストック溶液(pH=6.0、[LH2]最終=7.0mM)を60℃にてインキュベートした。アリコート(20μL)を様々な時点で取り出し、H2O(180μL)で希釈し、RP-HPLCにより解析した。構成成分のパーセンテージを、6’-OH-ルシフェリンの場合は330nm、6’-NH2-ルシフェリンの場合は295nmにおけるUV吸光度に基づいて計算した。図2Aに示されているように、デヒドロルシフェリンがルシフェリンの主な分解産物であり、ルシフェラーゼはルシフェリンの分解にほとんど影響を及ぼさなかった。
【0145】
デヒドロルシフェリンによるルシフェラーゼ活性の阻害:検出試薬緩衝液中ULTRA-GLO(商標)ルシフェラーゼ(Promega、0.1mg/mL)+0.1%のPRIONEXを調製した。溶液を2つの部分に分割し、一方の部分には0.25mMのラセミH-ルシフェリンを添加し、もう一方の部分には0.25mMのラセミNH2ルシフェリンを添加した。H-デヒドロルシフェリン(0.25mM)をラセミH-ルシフェリン溶液のアリコートに添加し、NH2-デヒドロルシフェリン(0.25mM)をラセミNH2ルシフェリン溶液のアリコートに添加した。ラセミ溶液を希釈剤として用いて、各々のデヒドロルシフェリン試料の2×系列希釈液を調製した(500μLのデヒドロルシフェリン溶液を500μLのULTRA-GLO+ラセミルシフェリンに添加した)。次いで、50μLのH-デヒドロルシフェリン滴定系列を50μLの0.2μM ATPに添加し、50μLのNH2-デヒドロルシフェリン滴定を50μLの0.2mM ATPに添加した。ラセミ基質の最終濃度を0.125mMとし、ATPの最終濃度を0.1mM(NH2-デヒドロルシフェリンの場合)または0.1μM(H-デヒドロルシフェリンの場合)とした。試料を1分間インキュベートし、GLOMAX(登録商標)-Multi+プレートルミノメーター(n=6)上で発光を測定した。図2Bに示されているように、デヒドロルシフェリンはルシフェラーゼの強力な阻害物質であったが、このことは、ルシフェリンストック溶液を長期間、周囲温度にて保管した後に光出力が減少することを説明し得るものである。
【0146】
実施例2.安定化効果
ATTの不在下または存在下でのルシフェリン分解の程度を比較することにより、ATTがルシフェリン安定性に及ぼす影響を調べた。ATT(Sigma、最終濃度2.0mM)ありまたはなしで、pH6.0の様々なカチオン性界面活性剤を含有する緩衝液中で代表的なルシフェリンを再構成した(最終濃度1.0mM)。混合物を60℃にてインキュベートした。アリコート(20μL)を様々な時点で取り出し、H2O(180μL)で希釈し、RP-HPLCにより解析した。330nmにおけるUV吸光度に基づいて構成成分のパーセンテージを計算した。図3に示されているように、ATTはデヒドロルシフェリンの形成を低減し、そのため、ルシフェリンの熱安定性は、その分解が防止されることによって改善した。
【0147】
加えて、ATTがプロルシフェリンの安定性も改善することが見いだされた。P450酵素検出に特異的な発光性プロルシフェリン基質である、ルシフェリンメチルエーテルの2-ヒドロキシエチルエステルの安定性を試験した。この化合物のDMSO中ストック溶液をpH7.4のPBS緩衝液に添加して、1.0mMの最終濃度及び5% DMSOに到達させた。ATT(Sigma、最終濃度8.0mM)ありまたはなしで、混合物を37℃にてインキュベートした。アリコート(20μL)を様々な時点で取り出し、H2O(180μL)で希釈し、RP-HPLCにより解析した。330nmにおけるUV吸光度に基づいて構成成分のパーセンテージを計算した。図4に示されているように、ATTは、プロルシフェリン化合物の分解の速度を遅くし、対応するデヒドロルシフェリン誘導体の形成を低減した。
【0148】
実施例3.生物発光試験
ATTは、生物発光システムで一般的に使用されている添加物に適合性であることも示された。プロルシフェリン化合物、ルシフェリンメチルエーテルの2-ヒドロキシエチルエステルのDMSO中ストック溶液をpH7.4のPBS緩衝液に添加して、1.0mMの最終濃度及び5% DMSOに到達させた。ATT(Sigma、最終濃度8.0mM)ありまたはなし、及びTCEP(Thermo Scientific、最終濃度10mM)ありまたはなしで、混合物を37℃にてインキュベートした。アリコート(20μL)を様々な時点で取り出し、H2O(180μL)で希釈し、RP-HPLCにより解析した。330nmにおけるUV吸光度に基づいて構成成分のパーセンテージを計算した。図5に示されているように、ATTは、生物発光試験で一般的に使用されている還元剤であるTCEPの存在下で、プロルシフェリン化合物の安定性を改善した。具体的には、TCEPの存在は、ATTのプロルシフェリン分解を低減する能力(上パネル)及びデヒドロ化合物産生を低減する能力(下パネル)に影響を及ぼさない。
【0149】
加えて、ATT(デヒドロルシフェリン添加ありまたはなし)をUltra-Glo(商標)系ATP検出試薬(Ultra-Glo(商標)酵素、ルシフェリン基質、細胞溶解用界面活性剤、及び緩衝液中のその他の構成成分(例えば、pH6.0の様々なカチオン性界面活性剤を含有する緩衝液)を含む)に添加することで、37℃における完全試薬の熱安定性が改善することが示された(図6)。試薬の熱安定性を反映するパラメーターT80(完全ATP検出試薬が80%以上の光出力を新規作製直後の試薬から産生した蓄積時間)は、37℃においてATTの添加後1倍改善した。詳細には、ATTの不在下(0mM)でのT80値が4日であったのに対し、ATTの存在下(3mM)でのT80値は8日であった(図6A)。さらに、添加剤としてのデヒドロルシフェリンとATTとの組合せは試薬の安定性をさらに改善し、T80値が18日に増加した(図6B、3mMのATT及び0.3mMの対応するデヒドロ化合物の場合)。したがって、本明細書で開示されるチオ核酸塩基は、発光酵素及びルシフェリンアナログを含む生物発光解析システムを妨害しなかった。その代わり、チオ核酸塩基化合物は、ルシフェリンアナログの安定性を改善し、ひいては、このような化合物を伴わないシステムに比べて長期間にわたり生物発光解析のシグナルを改善した。
【0150】
6.条項
完全性の理由により、本発明の様々な態様を以下の番号付きの条項に示す。
【0151】
条項1.(a)ベンゾチアゾールルシフェリンアナログ、またはその塩と、
(b)有効量の式(I)の化合物またはその互変異性体
(式中、
1は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、カルボン酸、エステル、NRab、置換されていてもよいイミン、ヒドロキシル、またはオキソであり、
2は、水素、NRab、置換されていてもよいイミン、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、
a及びRbは、各出現において各々独立的に、水素、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールである)
と、
(c)場合により、液体媒体と
を含む、組成物であって、
前記液体媒体が不在である場合、前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログ及び式(I)の前記化合物が固体混合物を形成し、
前記液体媒体が存在し、式(I)の前記化合物が6-メチル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン(ATT)である場合、前記液体媒体がジメチルスルホキシド(DMSO)を含まない、
前記組成物。
【0152】
条項2.前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが式(II’)の化合物である、条項1に記載の組成物
(式中、
1’は、H、C1-C4アルキル、-C2-C4アルキレン-OH、-C2-C4アルキレン-OC1-C4アルキル、C3-C7シクロアルキル、アリール、ベンジルもしくは置換ベンジル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、または-(CH2q-P(Ph)3(qは、1、2、3、4、5、及び6から選択される整数である)であり、
2’は、水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、またはC1-C4ハロアルキルであり、
3’は、水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、またはC1-C4ハロアルキルであり、
4’は、-XGまたは-XG1であり、
5’は、水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、またはC1-C4ハロアルキルであり、
10’は、各出現において独立的に、ハロ、-SO3H、C1-C10アルキル、-OH、-O(C1-C10アルキル)、-NH2、-NH(C1-C10アルキル)、または-N(C1-C10アルキル)(C1-C10アルキル)であり、
11’は、-OH、-O(C1-C10アルキル)、-NH2、-NH(C1-C10アルキル)、-N(C1-C10アルキル)(C1-C10アルキル)、-OG1、-NHG1、または-N(C1-C10アルキル)G1であり、
nは0~5であり、
Xは-O-または-N(G)-であり、
Gは、各出現において独立的に、H、C1-C12アルキルであり、またはR3’もしくはR5’のうちの1つと共に、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、5~8員の単環式複素環式環を形成し、あるいは、2個のGは、自らが付着している窒素原子と共に、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、4~8員の単環式複素環式環を形成し、
1は酵素基質を含み、酵素による前記酵素基質の生体内変換がG1をHに転換し、
1及びW2は、各々独立的に水素、C1-C4アルキル、もしくはアリールアルキルであり、またはW1及びW2は、自らが付着している炭素と共に、C3-8シクロアルキルまたは4~8員の複素環を形成し、前記シクロアルキル及び複素環は、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい)。
【0153】
条項3.W1及びW2が各々独立的にC1-C4アルキルである、条項1または2に記載の組成物。
【0154】
条項4.前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが式(II)の化合物である、条項1または2に記載の組成物
(式中、
1’は、H、C1-C4アルキル、-C2-C4アルキレン-OH、-C2-C4アルキレン-OC1-C4アルキル、C3-C7シクロアルキル、アリール、ベンジルもしくは置換ベンジル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、または-(CH2q-P(Ph)3(qは、1、2、3、4、5、及び6から選択される整数である)であり、
2’は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
3’は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
4’は、-XGまたは-XG1であり、
5’は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
10’は、各出現において独立的に、ハロ、-SO3H、C1-C10アルキル、-OH、-O(C1-C10アルキル)、-NH2、-NH(C1-C10アルキル)、または-N(C1-C10アルキル)(C1-C10アルキル)であり、
11’は、-OH、-O(C1-C10アルキル)、-NH2、-NH(C1-C10アルキル)、-N(C1-C10アルキル)(C1-C10アルキル)、-OG1、-NHG1、または-N(C1-C10アルキル)G1であり、
nは0~5であり、
Xは-O-または-N(G)-であり、
Gは、各出現において独立的に、H、C1-C12アルキルであり、またはR3’もしくはR5’のうちの1つと共に、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、5~8員の単環式複素環式環を形成し、あるいは、2個のGは、自らが付着している窒素原子と共に、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、4員~8員の単環式複素環式環を形成し、
1は酵素基質を含み、酵素による前記酵素基質の生体内変換がG1をHに転換する)。
【0155】
条項5.前記組成物が発光酵素を含有しない、条項1~4のいずれかに記載の組成物。
【0156】
条項6.前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが分解に対し安定化される、条項1~5のいずれかに記載の組成物。
【0157】
条項7.前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、式(I)の化合物またはその互変異性体を含まない組成物に比べて、分解に対し安定化される、条項6に記載の組成物。
【0158】
条項8.前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、光の存在下で、分解に対し安定化される、条項6または7に記載の組成物。
【0159】
条項9.前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、光の不在下で、分解に対し安定化される、条項6または7に記載の組成物。
【0160】
条項10.前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、-80℃~60℃の温度にて、分解に対し安定化される、条項6~9のいずれかに記載の組成物。
【0161】
条項11.R1’がHである、条項2~10のいずれかに記載の組成物。
【0162】
条項12.R2’がHであり、R3’がHであり、R5’がHである、条項2~11のいずれかに記載の組成物。
【0163】
条項13.前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、光の存在下で、式(I)の化合物またはその互変異性体を含まない組成物に比べて、分解に対し安定化される、条項6~12のいずれかに記載の組成物。
【0164】
条項14.前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、光の不在下で、式(I)の化合物またはその互変異性体を含まない組成物に比べて、分解に対し安定化される、条項6~12のいずれかに記載の組成物。
【0165】
条項15.R4’が-OHまたは-NH2である、条項2~14のいずれかに記載の組成物。
【0166】
条項16.式(I)の前記化合物の前記有効量が0.1mMより大きい、条項1~15のいずれかに記載の組成物。
【0167】
条項17.式(I)の前記化合物の前記有効量が1mMより大きい、条項16に記載の組成物。
【0168】
条項18.式(I)の前記化合物が、ATT、ATCA、3-(4-アミノ-5-オキソ-3-チオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)プロパン酸、テトラヒドロ-2-メチル-3-チオキソ-1,2,4-トリアジン-5,6-ジオン、4-((2-フリルメチレン)アミノ)-3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5(4H)-オン、6-ベンジル-3-スルファニル-1,2,4-トリアジン-5-オール、4-アミノ-3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5(4H)-オン、3-(5-オキソ-3-チオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)プロパン酸、(E)-6-メチル-4-((チオフェン-2-イルメチレン)アミノ)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、(E)-6-メチル-4-((3-ニトロベンジリデン)アミノ)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、(E)-4-((4-(ジエチルアミノ)ベンジリデン)アミノ)-6-メチル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、ATCAエチルエステル、TAK-0014、TAK-0002、TAK-0021、TAK-0020、TAK-0018、TAK-0009、TAK-0007、TAK-0008、TAK-0003、TAK-0004、3-チオキソ-6-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、6-シクロプロピル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、及び6-(ヒドロキシメチル)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オンからなる群より選択される、条項1~17のいずれかに記載の組成物。
【0169】
条項19.前記液体媒体が不在である、条項1~18のいずれかに記載の組成物。
【0170】
条項20.前記液体媒体が存在する、条項1~18のいずれかに記載の組成物。
【0171】
条項21.式(I)の前記化合物がATTではない、条項20に記載の組成物。
【0172】
条項22.前記液体媒体が、アルコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒を含む、条項21に記載の組成物。
【0173】
条項23.式(I)の前記化合物がATTであり、前記液体媒体が、アルコール、プロピレングリコール、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒を含む、条項20に記載の組成物。
【0174】
条項24.ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを安定化させるための方法であって、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログまたはその塩を、有効量の式(I)の化合物またはその互変異性体に接触させることを含み、前記接触により、前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログまたはその塩が分解に対し安定化され、
式(I)の前記化合物が
である、前記方法
(式中、
1は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、カルボン酸、エステル、NRab、置換されていてもよいイミン、ヒドロキシル、またはオキソであり、
2は、水素、NRab、置換されていてもよいイミン、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、
a及びRbは、各出現において各々独立的に、水素、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールである)。
【0175】
条項25.前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが式(II’)の化合物である、条項24に記載の方法
(式中、
1’は、H、C1-C4アルキル、-C2-C4アルキレン-OH、-C2-C4アルキレン-OC1-C4アルキル、C3-C7シクロアルキル、アリール、ベンジルもしくは置換ベンジル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、または-(CH2q-P(Ph)3(qは、1、2、3、4、5、及び6から選択される整数である)であり、
2’は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
3’は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
4’は、-XGまたは-XG1であり、
5’は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
10’は、各出現において独立的に、ハロ、-SO3H、C1-C10アルキル、-OH、-O(C1-C10アルキル)、-NH2、-NH(C1-C10アルキル)、または-N(C1-C10アルキル)(C1-C10アルキル)であり、
11’は、-OH、-O(C1-C10アルキル)、-NH2、-NH(C1-C10アルキル)、-N(C1-C10アルキル)(C1-C10アルキル)、-OG1、-NHG1、または-N(C1-C10アルキル)G1であり、
nは0~5であり、
Xは-O-または-N(G)-であり、
Gは、各出現において独立的に、H、C1-C12アルキルであり、またはR3’もしくはR5’のうちの1つと共に、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、5~8員の単環式複素環式環を形成し、あるいは、2個のGは、自らが付着している窒素原子と共に、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、4~8員の単環式複素環式環を形成し、
1は酵素基質を含み、酵素による前記酵素基質の生体内変換がG1をHに転換し、
1及びW2は、各々独立的に水素、C1-C4アルキル、もしくはアリールアルキルであり、またはW1及びW2は、自らが付着している炭素と共に、C3-8シクロアルキルまたは4~8員の複素環を形成し、前記シクロアルキル及び複素環は、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい)。
【0176】
条項26.W1及びW2が各々独立的にC1-C4アルキルである、条項24または25に記載の方法。
【0177】
条項27.前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが式(II)の化合物である、条項24または25に記載の方法
(式中、
1’は、H、C1-C4アルキル、-C2-C4アルキレン-OH、-C2-C4アルキレン-OC1-C4アルキル、C3-C7シクロアルキル、アリール、ベンジルもしくは置換ベンジル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、または-(CH2q-P(Ph)3(qは、1、2、3、4、5、及び6から選択される整数である)であり、
2’は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
3’は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
4’は、-XGまたは-XG1であり、
5’は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
10’は、各出現において独立的に、ハロ、-SO3H、C1-C10アルキル、-OH、-O(C1-C10アルキル)、-NH2、-NH(C1-C10アルキル)、または-N(C1-C10アルキル)(C1-C10アルキル)であり、
11’は、-OH、-O(C1-C10アルキル)、-NH2、-NH(C1-C10アルキル)、-N(C1-C10アルキル)(C1-C10アルキル)、-OG1、-NHG1、または-N(C1-C10アルキル)G1であり、
nは0~5であり、
Xは-O-または-N(G)-であり、
Gは、各出現において独立的に、H、C1-C12アルキルであり、またはR3’もしくはR5’のうちの1つと共に、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、5~8員の単環式複素環式環を形成し、あるいは、2個のGは、自らが付着している窒素原子と共に、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C1-C4アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、4員~8員の単環式複素環式環を形成し、
1は酵素基質を含み、酵素による前記酵素基質の生体内変換がG1をHに転換する)。
【0178】
条項28.式(I)の前記化合物の前記有効量が0.1mMより大きい、条項24~27のいずれかに記載の方法。
【0179】
条項29.式(I)の前記化合物の前記有効量が1mMより大きい、条項28に記載の方法。
【0180】
条項30.式(I)の前記化合物が、ATT、ATCA、3-(4-アミノ-5-オキソ-3-チオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)プロパン酸、テトラヒドロ-2-メチル-3-チオキソ-1,2,4-トリアジン-5,6-ジオン、4-((2-フリルメチレン)アミノ)-3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5(4H)-オン、6-ベンジル-3-スルファニル-1,2,4-トリアジン-5-オール、4-アミノ-3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5(4H)-オン、3-(5-オキソ-3-チオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)プロパン酸、(E)-6-メチル-4-((チオフェン-2-イルメチレン)アミノ)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、(E)-6-メチル-4-((3-ニトロベンジリデン)アミノ)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、(E)-4-((4-(ジエチルアミノ)ベンジリデン)アミノ)-6-メチル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、ATCAエチルエステル、TAK-0014、TAK-0002、TAK-0021、TAK-0020、TAK-0018、TAK-0009、TAK-0007、TAK-0008、TAK-0003、TAK-0004、3-チオキソ-6-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、6-シクロプロピル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、及び6-(ヒドロキシメチル)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オンからなる群より選択される、条項24~29のいずれかに記載の方法。
【0181】
条項31.前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、光の存在下で、分解に対し安定化される、条項24~30のいずれかに記載の方法。
【0182】
条項32.前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、光の不在下で、分解に対し安定化される、条項24~30のいずれかに記載の方法。
【0183】
条項33.前記ルシフェリンアナログが、-80℃~60℃の温度にて、分解に対し安定化される、条項24~32のいずれかに記載の方法。
【0184】
条項34.R1’がHであり、R2’がHであり、R3’がHであり、R5’がHである、条項25~33のいずれかに記載の方法。
【0185】
条項35.R4’が-OHまたは-NH2である、条項25~34のいずれかに記載の方法。
【0186】
条項36.前記接触させることが、前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログと式(I)の前記化合物との固体混合物中で生じる、条項24~35のいずれかに記載の方法。
【0187】
条項37.前記接触させることが液体媒体中で生じる、条項24~35のいずれかに記載の方法。
【0188】
条項38.式(I)の前記化合物がATTではない、条項37に記載の方法。
【0189】
条項39.前記液体媒体が、アルコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒を含む、条項38に記載の方法。
【0190】
条項40.式(I)の前記化合物がATTであり、前記液体媒体が、アルコール、プロピレングリコール、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒を含む、条項37に記載の方法。
【0191】
条項41.条項1~23のいずれかに記載の組成物を単一の容器内に含むキットであって、式(I)の前記化合物が前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを安定化させる、前記キット。
【0192】
条項42.R1’がHであり、R2’がHであり、R3’がHであり、R5’がHである、条項41に記載のキット。
【0193】
条項43.R4’が-OHまたは-NH2である、条項41または42に記載のキット。
【0194】
条項44.式(I)の前記化合物の前記有効量が0.1mMより大きい、条項41~43のいずれかに記載のキット。
【0195】
条項45.式(I)の前記化合物の前記有効量が1mMより大きい、条項44に記載のキット。
【0196】
条項46.式(I)の前記化合物が、ATT、ATCA、3-(4-アミノ-5-オキソ-3-チオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)プロパン酸、テトラヒドロ-2-メチル-3-チオキソ-1,2,4-トリアジン-5,6-ジオン、4-((2-フリルメチレン)アミノ)-3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5(4H)-オン、6-ベンジル-3-スルファニル-1,2,4-トリアジン-5-オール、4-アミノ-3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5(4H)-オン、3-(5-オキソ-3-チオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)プロパン酸、(E)-6-メチル-4-((チオフェン-2-イルメチレン)アミノ)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、(E)-6-メチル-4-((3-ニトロベンジリデン)アミノ)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、(E)-4-((4-(ジエチルアミノ)ベンジリデン)アミノ)-6-メチル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、ATCAエチルエステル、TAK-0014、TAK-0002、TAK-0021、TAK-0020、TAK-0018、TAK-0009、TAK-0007、TAK-0008、TAK-0003、TAK-0004、3-チオキソ-6-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、6-シクロプロピル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、及び6-(ヒドロキシメチル)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オンからなる群より選択される、条項41~45のいずれかに記載のキット。
【0197】
条項47.前記液体媒体が不在である、条項41~46のいずれかに記載のキット。
【0198】
条項48.前記液体媒体が存在する、条項41~46のいずれかに記載のキット。
【0199】
条項49.式(I)の前記化合物がATTではない、条項48に記載のキット。
【0200】
条項50.前記液体媒体が、アルコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒を含む、条項49に記載のキット。
【0201】
条項51.式(I)の前記化合物がATTであり、前記液体媒体が、アルコール、プロピレングリコール、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒を含む、条項48に記載のキット。

本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕(a)ベンゾチアゾールルシフェリンアナログ、またはその塩と、
(b)有効量の式(I)の化合物またはその互変異性体
(式中、
1 は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、カルボン酸、エステル、NR a b 、置換されていてもよいイミン、ヒドロキシル、またはオキソであり、
2 は、水素、NR a b 、置換されていてもよいイミン、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、
a 及びR b は、各出現において各々独立的に、水素、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールである)
と、
(c)場合により、液体媒体と
を含む、組成物であって、
前記液体媒体が不在である場合、前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログ及び式(I)の前記化合物が固体混合物を形成し、
前記液体媒体が存在し、式(I)の前記化合物が6-メチル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン(ATT)である場合、前記液体媒体がジメチルスルホキシド(DMSO)を含まない、
前記組成物。
〔2〕前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが式(II’)の化合物である、前記〔1〕に記載の組成物
(式中、
1’ は、H、C 1 -C 4 アルキル、-C 2 -C 4 アルキレン-OH、-C 2 -C 4 アルキレン-OC 1 -C 4 アルキル、C 3 -C 7 シクロアルキル、アリール、ベンジルもしくは置換ベンジル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、または-(CH 2 q -P(Ph) 3 (qは、1、2、3、4、5、及び6から選択される整数である)であり、
2’ は、水素、ハロゲン、C 1 -C 4 アルキル、またはC 1 -C 4 ハロアルキルであり、
3’ は、水素、ハロゲン、C 1 -C 4 アルキル、またはC 1 -C 4 ハロアルキルであり、
4’ は、-XGまたは-XG 1 であり、
5 ’は、水素、ハロゲン、C 1 -C 4 アルキル、またはC 1 -C 4 ハロアルキルであり、
10’ は、各出現において独立的に、ハロ、-SO 3 H、C 1 -C 10 アルキル、-OH、-O(C 1 -C 10 アルキル)、-NH 2 、-NH(C 1 -C 10 アルキル)、または-N(C 1 -C 10 アルキル)(C 1 -C 10 アルキル)であり、
11’ は、-OH、-O(C 1 -C 10 アルキル)、-NH 2 、-NH(C 1 -C 10 アルキル)、-N(C 1 -C 10 アルキル)(C 1 -C 10 アルキル)、-OG 1 、-NHG 1 、または-N(C 1 -C 10 アルキル)G 1 であり、
nは0~5であり、
Xは-O-または-N(G)-であり、
Gは、各出現において独立的に、H、C 1 -C 12 アルキルであり、またはR 3’ もしくはR 5’ のうちの1つと共に、C 1 -C 4 アルキル、C 1 -C 4 ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C 1 -C 4 アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、5~8員の単環式複素環式環を形成し、あるいは、2個のGは、自らが付着している窒素原子と共に、C 1 -C 4 アルキル、C 1 -C 4 ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C 1 -C 4 アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、4~8員の単環式複素環式環を形成し、
1 は酵素基質を含み、酵素による前記酵素基質の生体内変換がG 1 をHに転換し、
1 及びW 2 は、各々独立的に水素、C 1 -C 4 アルキル、もしくはアリールアルキルであり、またはW 1 及びW 2 は、自らが付着している炭素と共に、C 3- 8 シクロアルキルまたは4~8員の複素環を形成し、前記シクロアルキル及び複素環は、C 1 -C 4 アルキル、C 1 -C 4 ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C 1 -C 4 アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい)。
〔3〕W 1 及びW 2 が各々独立的にC 1 -C 4 アルキルである、前記〔1〕または〔2〕に記載の組成物。
〔4〕前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが式(II)の化合物である、前記〔1〕または〔2〕に記載の組成物
(式中、
1’ は、H、C 1 -C 4 アルキル、-C 2 -C 4 アルキレン-OH、-C 2 -C 4 アルキレン-OC 1 -C 4 アルキル、C 3 -C 7 シクロアルキル、アリール、ベンジルもしくは置換ベンジル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、または-(CH 2 q -P(Ph) 3 (qは、1、2、3、4、5、及び6から選択される整数である)であり、
2’ は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
3’ は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
4’ は、-XGまたは-XG 1 であり、
5 ’は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
10’ は、各出現において独立的に、ハロ、-SO 3 H、C 1 -C 10 アルキル、-OH、-O(C 1 -C 10 アルキル)、-NH 2 、-NH(C 1 -C 10 アルキル)、または-N(C 1 -C 10 アルキル)(C 1 -C 10 アルキル)であり、
11’ は、-OH、-O(C 1 -C 10 アルキル)、-NH 2 、-NH(C 1 -C 10 アルキル)、-N(C 1 -C 10 アルキル)(C 1 -C 10 アルキル)、-OG 1 、-NHG 1 、または-N(C 1 -C 10 アルキル)G 1 であり、
nは0~5であり、
Xは-O-または-N(G)-であり、
Gは、各出現において独立的に、H、C 1 -C 12 アルキルであり、またはR 3’ もしくはR 5’ のうちの1つと共に、C 1 -C 4 アルキル、C 1 -C 4 ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C 1 -C 4 アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、5~8員の単環式複素環式環を形成し、あるいは、2個のGは、自らが付着している窒素原子と共に、C 1 -C 4 アルキル、C 1 -C 4 ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C 1 -C 4 アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、4員~8員の単環式複素環式環を形成し、
1 は酵素基質を含み、酵素による前記酵素基質の生体内変換がG 1 をHに転換する)。
〔5〕前記組成物が発光酵素を含有しない、前記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の組成物。
〔6〕前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが分解に対し安定化される、前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の組成物。
〔7〕前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、式(I)の化合物またはその互変異性体を含まない組成物に比べて、分解に対し安定化される、前記〔6〕に記載の組成物。
〔8〕前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、光の存在下で、分解に対し安定化される、前記〔6〕または〔7〕に記載の組成物。
〔9〕前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、光の不在下で、分解に対し安定化される、前記〔6〕または〔7〕に記載の組成物。
〔10〕前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、-80℃~60℃の温度にて、分解に対し安定化される、前記〔6〕~〔9〕のいずれかに記載の組成物。
〔11〕R 1’ がHである、前記〔2〕~〔10〕のいずれかに記載の組成物。
〔12〕R 2’ がHであり、R 3’ がHであり、R 5’ がHである、前記〔2〕~〔11〕のいずれかに記載の組成物。
〔13〕前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、光の存在下で、式(I)の化合物またはその互変異性体を含まない組成物に比べて、分解に対し安定化される、前記〔6〕~〔12〕のいずれかに記載の組成物。
〔14〕前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、光の不在下で、式(I)の化合物またはその互変異性体を含まない組成物に比べて、分解に対し安定化される、前記〔6〕~〔12〕のいずれかに記載の組成物。
〔15〕R 4’ が-OHまたは-NH 2 である、前記〔2〕~〔14〕のいずれかに記載の組成物。
〔16〕式(I)の前記化合物の前記有効量が0.1mMより大きい、前記〔1〕~〔15〕のいずれかに記載の組成物。
〔17〕式(I)の前記化合物の前記有効量が1mMより大きい、前記〔16〕に記載の組成物。
〔18〕式(I)の前記化合物が、ATT、ATCA、3-(4-アミノ-5-オキソ-3-チオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)プロパン酸、テトラヒドロ-2-メチル-3-チオキソ-1,2,4-トリアジン-5,6-ジオン、4-((2-フリルメチレン)アミノ)-3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5(4H)-オン、6-ベンジル-3-スルファニル-1,2,4-トリアジン-5-オール、4-アミノ-3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5(4H)-オン、3-(5-オキソ-3-チオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)プロパン酸、(E)-6-メチル-4-((チオフェン-2-イルメチレン)アミノ)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、(E)-6-メチル-4-((3-ニトロベンジリデン)アミノ)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、(E)-4-((4-(ジエチルアミノ)ベンジリデン)アミノ)-6-メチル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、ATCAエチルエステル、TAK-0014、TAK-0002、TAK-0021、TAK-0020、TAK-0018、TAK-0009、TAK-0007、TAK-0008、TAK-0003、TAK-0004、3-チオキソ-6-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、6-シクロプロピル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、及び6-(ヒドロキシメチル)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オンからなる群より選択される、前記〔1〕~〔17〕のいずれかに記載の組成物。
〔19〕前記液体媒体が不在である、前記〔1〕~〔18〕のいずれかに記載の組成物。
〔20〕前記液体媒体が存在する、前記〔1〕~〔18〕のいずれかに記載の組成物。
〔21〕式(I)の前記化合物がATTではない、前記〔20〕に記載の組成物。
〔22〕前記液体媒体が、アルコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒を含む、前記〔21〕に記載の組成物。
〔23〕式(I)の前記化合物がATTであり、前記液体媒体が、アルコール、プロピレングリコール、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒を含む、前記〔20〕に記載の組成物。
〔24〕ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを安定化させるための方法であって、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログまたはその塩を、有効量の式(I)の化合物またはその互変異性体に接触させることを含み、前記接触により、前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログまたはその塩が分解に対し安定化され、
式(I)の前記化合物が
(式中、
1 は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、カルボン酸、エステル、NR a b 、置換されていてもよいイミン、ヒドロキシル、またはオキソであり、
2 は、水素、NR a b 、置換されていてもよいイミン、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、
a 及びR b は、各出現において各々独立的に、水素、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールである)である、前記方法。
〔25〕前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが式(II’)の化合物である、前記〔24〕に記載の方法
(式中、
1’ は、H、C 1 -C 4 アルキル、-C 2 -C 4 アルキレン-OH、-C 2 -C 4 アルキレン-OC 1 -C 4 アルキル、C 3 -C 7 シクロアルキル、アリール、ベンジルもしくは置換ベンジル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、または-(CH 2 q -P(Ph) 3 (qは、1、2、3、4、5、及び6から選択される整数である)であり、
2’ は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
3’ は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
4’ は、-XGまたは-XG 1 であり、
5 ’は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
10’ は、各出現において独立的に、ハロ、-SO 3 H、C 1 -C 10 アルキル、-OH、-O(C 1 -C 10 アルキル)、-NH 2 、-NH(C 1 -C 10 アルキル)、または-N(C 1 -C 10 アルキル)(C 1 -C 10 アルキル)であり、
11’ は、-OH、-O(C 1 -C 10 アルキル)、-NH 2 、-NH(C 1 -C 10 アルキル)、-N(C 1 -C 10 アルキル)(C 1 -C 10 アルキル)、-OG 1 、-NHG 1 、または-N(C 1 -C 10 アルキル)G 1 であり、
nは0~5であり、
Xは-O-または-N(G)-であり、
Gは、各出現において独立的に、H、C 1 -C 12 アルキルであり、またはR 3’ もしくはR 5’ のうちの1つと共に、C 1 -C 4 アルキル、C 1 -C 4 ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C 1 -C 4 アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、5~8員の単環式複素環式環を形成し、あるいは、2個のGは、自らが付着している窒素原子と共に、C 1 -C 4 アルキル、C 1 -C 4 ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C 1 -C 4 アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、4~8員の単環式複素環式環を形成し、
1 は酵素基質を含み、酵素による前記酵素基質の生体内変換がG 1 をHに転換し、
1 及びW 2 は、各々独立的に水素、C 1 -C 4 アルキル、もしくはアリールアルキルであり、またはW 1 及びW 2 は、自らが付着している炭素と共に、C 3- 8 シクロアルキルまたは4~8員の複素環を形成し、前記シクロアルキル及び複素環は、C 1 -C 4 アルキル、C 1 -C 4 ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C 1 -C 4 アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい)。
〔26〕W 1 及びW 2 が各々独立的にC 1 -C 4 アルキルである、前記〔24〕または〔25〕に記載の方法。
〔27〕前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが式(II)の化合物である、前記〔24〕または〔25〕に記載の方法
(式中、

1’ は、H、C 1 -C 4 アルキル、-C 2 -C 4 アルキレン-OH、-C 2 -C 4 アルキレン-OC 1 -C 4 アルキル、C 3 -C 7 シクロアルキル、アリール、ベンジルもしくは置換ベンジル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、または-(CH 2 q -P(Ph) 3 (qは、1、2、3、4、5、及び6から選択される整数である)であり、
2’ は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
3’ は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
4’ は、-XGまたは-XG 1 であり、
5 ’は、水素、ハロゲン、メチル、またはトリフルオロメチルであり、
10’ は、各出現において独立的に、ハロ、-SO 3 H、C 1 -C 10 アルキル、-OH、-O(C 1 -C 10 アルキル)、-NH 2 、-NH(C 1 -C 10 アルキル)、または-N(C 1 -C 10 アルキル)(C 1 -C 10 アルキル)であり、
11’ は、-OH、-O(C 1 -C 10 アルキル)、-NH 2 、-NH(C 1 -C 10 アルキル)、-N(C 1 -C 10 アルキル)(C 1 -C 10 アルキル)、-OG 1 、-NHG 1 、または-N(C 1 -C 10 アルキル)G 1 であり、
nは0~5であり、
Xは-O-または-N(G)-であり、
Gは、各出現において独立的に、H、C 1 -C 12 アルキルであり、またはR 3’ もしくはR 5’ のうちの1つと共に、C 1 -C 4 アルキル、C 1 -C 4 ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C 1 -C 4 アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、5~8員の単環式複素環式環を形成し、あるいは、2個のGは、自らが付着している窒素原子と共に、C 1 -C 4 アルキル、C 1 -C 4 ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、及び-O(C 1 -C 4 アルキル)からなる群より独立的に選択される1~4個の置換基で置換されていてもよい、4員~8員の単環式複素環式環を形成し、
1 は酵素基質を含み、酵素による前記酵素基質の生体内変換がG 1 をHに転換する)。
〔28〕式(I)の前記化合物の前記有効量が0.1mMより大きい、前記〔24〕~〔27〕のいずれかに記載の方法。
〔29〕式(I)の前記化合物の前記有効量が1mMより大きい、前記〔28〕に記載の方法。
〔30〕式(I)の前記化合物が、ATT、ATCA、3-(4-アミノ-5-オキソ-3-チオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)プロパン酸、テトラヒドロ-2-メチル-3-チオキソ-1,2,4-トリアジン-5,6-ジオン、4-((2-フリルメチレン)アミノ)-3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5(4H)-オン、6-ベンジル-3-スルファニル-1,2,4-トリアジン-5-オール、4-アミノ-3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5(4H)-オン、3-(5-オキソ-3-チオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)プロパン酸、(E)-6-メチル-4-((チオフェン-2-イルメチレン)アミノ)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、(E)-6-メチル-4-((3-ニトロベンジリデン)アミノ)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、(E)-4-((4-(ジエチルアミノ)ベンジリデン)アミノ)-6-メチル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、ATCAエチルエステル、TAK-0014、TAK-0002、TAK-0021、TAK-0020、TAK-0018、TAK-0009、TAK-0007、TAK-0008、TAK-0003、TAK-0004、3-チオキソ-6-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、6-シクロプロピル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、及び6-(ヒドロキシメチル)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オンからなる群より選択される、前記〔24〕~〔29〕のいずれかに記載の方法。
〔31〕前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、光の存在下で、分解に対し安定化される、前記〔24〕~〔30〕のいずれかに記載の方法。
〔32〕前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログが、光の不在下で、分解に対し安定化される、前記〔24〕~〔30〕のいずれかに記載の方法。
〔33〕前記ルシフェリンアナログが、-80℃~60℃の温度にて、分解に対し安定化される、前記〔24〕~〔32〕のいずれかに記載の方法。
〔34〕R 1’ がHであり、R 2’ がHであり、R 3’ がHであり、R 5’ がHである、前記〔25〕~〔33〕のいずれかに記載の方法。
〔35〕R 4’ が-OHまたは-NH 2 である、前記〔25〕~〔34〕のいずれかに記載の方法。
〔36〕前記接触させることが、前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログと式(I)の前記化合物との固体混合物中で生じる、前記〔24〕~〔35〕のいずれかに記載の方法。
〔37〕前記接触させることが液体媒体中で生じる、前記〔24〕~〔35〕のいずれかに記載の方法。
〔38〕式(I)の前記化合物がATTではない、前記〔37〕に記載の方法。
〔39〕前記液体媒体が、アルコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒を含む、前記〔38〕に記載の方法。
〔40〕式(I)の前記化合物がATTであり、前記液体媒体が、アルコール、プロピレングリコール、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒を含む、前記〔37〕に記載の方法。
〔41〕前記〔1〕~〔23〕のいずれかに記載の組成物を単一の容器内に含むキットであって、式(I)の前記化合物が前記ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを安定化させる、前記キット。
〔42〕R 1’ がHであり、R 2’ がHであり、R 3’ がHであり、R 5’ がHである、前記〔41〕に記載のキット。
〔43〕R 4’ が-OHまたは-NH 2 である、前記〔41〕または〔42〕に記載のキット。
〔44〕式(I)の前記化合物の前記有効量が0.1mMより大きい、前記〔41〕~〔43〕のいずれかに記載のキット。
〔45〕式(I)の前記化合物の前記有効量が1mMより大きい、前記〔44〕に記載のキット。
〔46〕式(I)の前記化合物が、ATT、ATCA、3-(4-アミノ-5-オキソ-3-チオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)プロパン酸、テトラヒドロ-2-メチル-3-チオキソ-1,2,4-トリアジン-5,6-ジオン、4-((2-フリルメチレン)アミノ)-3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5(4H)-オン、6-ベンジル-3-スルファニル-1,2,4-トリアジン-5-オール、4-アミノ-3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5(4H)-オン、3-(5-オキソ-3-チオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)プロパン酸、(E)-6-メチル-4-((チオフェン-2-イルメチレン)アミノ)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、(E)-6-メチル-4-((3-ニトロベンジリデン)アミノ)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、(E)-4-((4-(ジエチルアミノ)ベンジリデン)アミノ)-6-メチル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、ATCAエチルエステル、TAK-0014、TAK-0002、TAK-0021、TAK-0020、TAK-0018、TAK-0009、TAK-0007、TAK-0008、TAK-0003、TAK-0004、3-チオキソ-6-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、6-シクロプロピル-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オン、及び6-(ヒドロキシメチル)-3-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-5(2H)-オンからなる群より選択される、前記〔41〕~〔45〕のいずれかに記載のキット。
〔47〕前記液体媒体が不在である、前記〔41〕~〔46〕のいずれかに記載のキット。
〔48〕前記液体媒体が存在する、前記〔41〕~〔46〕のいずれかに記載のキット。
〔49〕式(I)の前記化合物がATTではない、前記〔48〕に記載のキット。
〔50〕前記液体媒体が、アルコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒を含む、前記〔49〕に記載のキット。
〔51〕式(I)の前記化合物がATTであり、前記液体媒体が、アルコール、プロピレングリコール、アセトニトリル、グリセロール、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される有機溶媒を含む、前記〔48〕に記載のキット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6