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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】撮像素子及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/78 20230101AFI20230919BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20230919BHJP
   H03M 1/08 20060101ALI20230919BHJP
   H03M 1/14 20060101ALI20230919BHJP
   H03M 1/38 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
H04N25/78
H04N25/76
H03M1/08 A
H03M1/14 B
H03M1/38
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020513216
(86)(22)【出願日】2019-04-03
(86)【国際出願番号】 JP2019014752
(87)【国際公開番号】W WO2019198586
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-02-04
(31)【優先権主張番号】P 2018075211
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018193116
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】山本 孝久
(74)【代理人】
【識別番号】100118290
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 正明
(72)【発明者】
【氏名】江藤 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕介
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-061135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/00-25/79
H03M 1/08
H03M 1/14
H03M 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換部を含む画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する逐次比較型アナログ-デジタル変換器を備え、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、帯域制限機能を持つプリアンプを有し、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、
容量素子を用いてアナログ-デジタル変換後のデジタル値をアナログ値に変換して、アナログ入力電圧と比較するための比較基準とするデジタル-アナログ変換器を有し、
デジタル-アナログ変換器は、再度アナログ-デジタル変換を行うための複数の容量素子を余分に持っており、全ビットについてアナログ-デジタル変換を行った後に、再度アナログ-デジタル変換を行う、
像素子。
【請求項2】
光電変換部を含む画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する逐次比較型アナログ-デジタル変換器を備え、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、帯域制限機能を持つプリアンプを有し、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、
容量素子を用いてアナログ-デジタル変換後のデジタル値をアナログ値に変換して、アナログ入力電圧と比較するための比較基準とするデジタル-アナログ変換器を有し、
デジタル-アナログ変換器は、下位ビットの容量素子の一つが複数の容量素子から構成されており、全ビットについてアナログ-デジタル変換を行った後に、複数の容量素子の各々に、少なくとも第1基準電圧~第4基準電圧が選択的に与えられることで、下位ビットについて再度アナログ-デジタル変換を行う、
像素子。
【請求項3】
プリアンプは、少なくとも再度アナログ-デジタル変換を行う期間で帯域制限を行う、
請求項に記載の撮像素子。
【請求項4】
プリアンプは、再度アナログ-デジタル変換を行う期間でのみ帯域制限を行う、
請求項に記載の撮像素子。
【請求項5】
光電変換部を含む画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する逐次比較型アナログ-デジタル変換器を備え、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、帯域制限機能を持つプリアンプを有し、
プリアンプは、負荷の抵抗を変更することによって帯域制限を行う、
像素子。
【請求項6】
光電変換部を含む画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する逐次比較型アナログ-デジタル変換器を備え、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、帯域制限機能を持つプリアンプを有し、
プリアンプは、出力の対地容量を変化させることによって帯域制限を行う、
像素子。
【請求項7】
光電変換部を含む画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する逐次比較型アナログ-デジタル変換器を備え、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、帯域制限機能を持つプリアンプを有し、
プリアンプは、差動出力間に容量を追加することによって帯域制限を行う、
像素子。
【請求項8】
光電変換部を含む画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する逐次比較型アナログ-デジタル変換器を備え、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、帯域制限機能を持つプリアンプを有し、
プリアンプは、出力ノードに接続された可変容量ダイオードを有し、可変容量ダイオードの容量を制御することによって帯域制限を行う、
像素子。
【請求項9】
光電変換部を含む画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する逐次比較型アナログ-デジタル変換器を備え、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、帯域制限機能を持つプリアンプを有し、
プリアンプは、電流源バイアス、もしくは、駆動する電流源数を制御することによって帯域制限を行う、
像素子。
【請求項10】
光電変換部を含む画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する逐次比較型アナログ-デジタル変換器を備え、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、
容量素子を用いてアナログ-デジタル変換後のデジタル値をアナログ値に変換して、アナログ入力電圧と比較するための比較基準とするデジタル-アナログ変換器を有し、
デジタル-アナログ変換器は、下位ビットの容量素子の一つが複数の容量素子から構成されており、全ビットについてアナログ-デジタル変換を行った後に、複数の容量素子の各々に、少なくとも第1基準電圧~第4基準電圧が選択的に与えられることで、下位ビットについて再度アナログ-デジタル変換を行う、
撮像素子。
【請求項11】
デジタル-アナログ変換器は、複数の容量素子の各々に、少なくとも第1基準電圧~第4基準電圧を順に与えるスイッチ群を、複数の容量素子毎に有する、
請求項10に記載の撮像素子。
【請求項12】
光電変換部を含む画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する逐次比較型アナログ-デジタル変換器を備え、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、帯域制限機能を持つプリアンプを有し、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、
容量素子を用いてアナログ-デジタル変換後のデジタル値をアナログ値に変換して、アナログ入力電圧と比較するための比較基準とするデジタル-アナログ変換器を有し、
デジタル-アナログ変換器は、下位ビットの容量素子の一つが複数の容量素子から構成されており、全ビットについてアナログ-デジタル変換を行った後に、複数の容量素子の各々に、少なくとも第1基準電圧~第4基準電圧が選択的に与えられることで、下位ビットについて再度アナログ-デジタル変換を行う、
撮像素子を有する電子機器。
【請求項13】
光電変換部を含む画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する逐次比較型アナログ-デジタル変換器を備え、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、
容量素子を用いてアナログ-デジタル変換後のデジタル値をアナログ値に変換して、アナログ入力電圧と比較するための比較基準とするデジタル-アナログ変換器を有し、
デジタル-アナログ変換器は、下位ビットの容量素子の一つが複数の容量素子から構成されており、全ビットについてアナログ-デジタル変換を行った後に、複数の容量素子の各々に、少なくとも第1基準電圧~第4基準電圧が選択的に与えられることで、下位ビットについて再度アナログ-デジタル変換を行う、
撮像素子を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像素子及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子には、画素から出力されるアナログ信号(画素信号)をデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換器が搭載されており、当該アナログ-デジタル変換器として、逐次比較(SAR:Successive Approximation Resistor)型アナログ-デジタル変換器が用いられている(例えば、特許文献1参照)。逐次比較型アナログ-デジタル変換器には、低ノイズで高速にアナログ-デジタル変換を行うことができる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-46318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、より低ノイズでアナログ-デジタル変換を行うことができる逐次比較型アナログ-デジタル変換器を備える撮像素子、及び、当該撮像素子を有する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための本開示の第1の態様に係る撮像素子は、
光電変換部を含む画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する逐次比較型アナログ-デジタル変換器を備え、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、帯域制限機能を持つプリアンプを有する。第1の態様に係る撮像素子は、電子機器に用いることができる。
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の第2の態様に係る撮像素子は、
光電変換部を含む画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する逐次比較型アナログ-デジタル変換器を備え、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、
容量素子を用いてアナログ-デジタル変換後のデジタル値をアナログ値に変換して、アナログ入力電圧と比較するための比較基準とするデジタル-アナログ変換器を有し、
デジタル-アナログ変換器は、下位ビットの容量素子の一つが複数の容量素子から構成されており、全ビットについてアナログ-デジタル変換を行った後に、複数の容量素子の各々に、少なくとも第1基準電圧~第4基準電圧が選択的に与えられることで、下位ビットについて再度アナログ-デジタル変換を行う。第2の態様に係る撮像素子は、電子機器に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の撮像素子の一例であるCMOSイメージセンサの基本的な構成の概略を示すブロック図である。
図2図2は、画素の回路構成の一例を示す回路図である。
図3図3は、平置型のチップ構造の概略を示す平面図である。
図4図4は、積層型のチップ構造の概略を示す分解斜視図である。
図5図5は、再アナログ-デジタル変換についての説明図である。
図6図6は、実施例1に係る逐次比較型アナログ-デジタル変換器の構成を示すブロック図である。
図7図7は、実施例1に係る逐次比較型アナログ-デジタル変換器における、SARバイナリ容量アレイ部、再AD変換用容量アレイ部、スイッチマトリクス部、及び、基準電圧生成部の具体的な回路構成を示す回路図である。
図8図8Aは、プリアンプにおける帯域制限機能の第1例を示す回路図であり、図8Bは、プリアンプにおける帯域制限機能の第2例を示す回路図である。
図9図9Aは、プリアンプにおける帯域制限機能の第3例を示す回路図であり、図9Bは、プリアンプにおける帯域制限機能の第4例を示す回路図である。
図10図10は、実施例2に係る逐次比較型アナログ-デジタル変換器の回路構成を示す回路図である。
図11図11は、実施例3に係る逐次比較型アナログ-デジタル変換器の回路構成を示す回路図である。
図12図12は、実施例4に係る逐次比較型アナログ-デジタル変換器の回路構成を示す回路図である。
図13図13は、本開示に係る技術の適用例を示す図である。
図14図14は、本開示の電子機器の一例である撮像装置の構成を示すブロック図である。
図15図15は、本開示に係る技術を適用した間接TOF方式距離画像センサのシステム構成の一例を示すブロック図である。
図16図16は、本開示に係る技術を適用した間接TOF方式距離画像センサにおける画素の回路構成の一例を示す回路図である。
図17図17は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
図18図18は、撮像部の設置位置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示に係る技術を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。本開示に係る技術は実施形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.本開示の撮像素子及び電子機器、全般に関する説明
2.本開示の撮像素子
2-1.CMOSイメージセンサの構成例
2-2.画素の構成例
2-3.チップ構造
2-3-1.平置型のチップ構造(所謂、平置構造)
2-3-2.積層型のチップ構造(所謂、積層構造)
3.本開示の実施形態
3-1.実施例1
3-2.実施例2
3-3.実施例3
3-4.実施例4
4.変形例
5.応用例
6.本開示に係る技術の適用例
6-1.本開示の電子機器(撮像装置の例)
6-2.間接TOF方式距離画像センサへの適用
6-2-1.システム構成例
6-2-2.画素の構成例
6-3.移動体への応用例
7.本開示がとることができる構成
【0009】
<本開示の撮像素子及び電子機器、全般に関する説明>
本開示の第1の態様に係る撮像素子及び電子機器にあっては、逐次比較型アナログ-デジタル変換器について、容量素子を用いてアナログ-デジタル変換後のデジタル値をアナログ値に変換して、アナログ入力電圧と比較するための比較基準とするデジタル-アナログ変換器を有する構成とすることができる。デジタル-アナログ変換器については、再度アナログ-デジタル変換を行うための複数の容量素子を余分に持つ構成、あるいは、下位ビットの容量素子の一つが複数の容量素子から成る構成とすることができる。そして、デジタル-アナログ変換器は、全ビットについてアナログ-デジタル変換を行った後に、下位ビットについて再度アナログ-デジタル変換を行う、あるいは、全ビットについてアナログ-デジタル変換を行った後に、複数の容量素子の各々に、少なくとも第1基準電圧~第4基準電圧が選択的に与えられることで、下位ビットについて再度アナログ-デジタル変換を行う構成とすることができる。
【0010】
上述した好ましい構成を含む本開示の撮像素子及び電子機器にあっては、プリアンプについて、少なくとも再度アナログ-デジタル変換を行う期間で帯域制限を行う構成、あるいは、再度アナログ-デジタル変換を行う期間でのみ帯域制限を行う構成とすることができる。
【0011】
また、上述した好ましい構成を含む本開示の撮像素子及び電子機器にあっては、プリアンプについて、負荷の抵抗を変更することによって帯域制限を行う、あるいは、電流源バイアス、もしくは、駆動する電流源数を制御することによって帯域制限を行う構成とすることができる。あるいは又、出力の対地容量を変化させることによって帯域制限を行う構成とすることができる。あるいは又、プリアンプについて、出力ノードに接続された可変容量ダイオードを有する構成とし、可変容量ダイオードの容量を制御することによって帯域制限を行う構成とすることができる。
【0012】
本開示の第2の態様に係る撮像素子及び電子機器にあっては、デジタル-アナログ変換器について、複数の容量素子の各々に、少なくとも第1基準電圧~第4基準電圧を順に与えるスイッチ群を、複数の容量素子毎に有する構成とすることができる。
【0013】
<本開示の撮像素子>
本開示に係る技術が適用される、本開示の撮像素子の基本的な構成について説明する。ここでは、撮像素子として、X-Yアドレス方式の撮像素子の一種であるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを例に挙げて説明する。CMOSイメージセンサは、CMOSプロセスを応用して、又は、部分的に使用して作製されたイメージセンサである。
【0014】
[CMOSイメージセンサの構成例]
図1は、本開示の撮像素子の一例であるCMOSイメージセンサの基本的な構成の概略を示すブロック図である。
【0015】
本例に係るCMOSイメージセンサ1は、光電変換部を含む画素2が行方向及び列方向に、即ち、行列状に2次元配置されて成る画素アレイ部11、及び、当該画素アレイ部11の周辺回路部を有する構成となっている。ここで、行方向とは、画素行の画素2の配列方向(所謂、水平方向)を言い、列方向とは、画素列の画素2の配列方向(所謂、垂直方向)を言う。画素2は、光電変換を行うことにより、受光した光量に応じた光電荷を生成し、蓄積する。
【0016】
画素アレイ部11の周辺回路部は、例えば、行選択部12、定電流源部13、アナログ-デジタル変換部14、水平転送走査部15、信号処理部16、及び、タイミング制御部17等によって構成されている。
【0017】
画素アレイ部11において、行列状の画素配列に対し、画素行毎に画素駆動線311~31m(以下、総称して「画素駆動線31」と記述する場合がある)が行方向に沿って配線されている。また、画素列毎に垂直信号線321~32n(以下、総称して「垂直信号線32」と記述する場合がある)が列方向に沿って配線されている。画素駆動線31は、画素2から信号を読み出す際の駆動を行うための駆動信号を伝送する。図1では、画素駆動線31について1本の配線として図示しているが、1本に限られるものではない。画素駆動線31の一端は、行選択部12の各行に対応した出力端に接続されている。
【0018】
以下に、画素アレイ部11の周辺回路部の各回路部、即ち、行選択部12、定電流源部13、アナログ-デジタル変換部14、水平転送走査部15、信号処理部16、及び、タイミング制御部17について説明する。
【0019】
行選択部12は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、画素アレイ部11の各画素2の選択に際して、画素行の走査や画素行のアドレスを制御する。この行選択部12は、その具体的な構成については図示を省略するが、一般的に、読出し走査系と掃出し走査系の2つの走査系を有する構成となっている。
【0020】
読出し走査系は、画素2から画素信号を読み出すために、画素アレイ部11の画素2を行単位で順に選択走査する。画素2から読み出される画素信号はアナログ信号である。掃出し走査系は、読出し走査系によって読出し走査が行われる読出し行に対して、その読出し走査よりもシャッタスピードの時間分だけ先行して掃出し走査を行う。
【0021】
この掃出し走査系による掃出し走査により、読出し行の画素2の光電変換部から不要な電荷が掃き出されることによって当該光電変換部がリセットされる。そして、この掃出し走査系による不要電荷の掃き出す(リセットする)ことにより、所謂、電子シャッタ動作が行われる。ここで、電子シャッタ動作とは、光電変換部の光電荷を捨てて、新たに露光を開始する(光電荷の蓄積を開始する)動作のことを言う。
【0022】
定電流源部13は、画素列毎に垂直信号線321~32nの各々に接続された、例えばMOSトランジスタから成る複数の電流源Iを備えており、行選択部12によって選択走査された画素行の各画素2に対し、垂直信号線321~32nの各々を通してバイアス電流を供給する。
【0023】
アナログ-デジタル変換部14は、画素アレイ部11の画素列に対応して設けられた、例えば、画素列毎に設けられた複数のアナログ-デジタル変換器の集合から成る。アナログ-デジタル変換部14は、画素列毎に垂直信号線321~32nの各々を通して出力されるアナログの画素信号を、Nビットのデジタル信号に変換する列並列型のアナログ-デジタル変換部である。
【0024】
水平転送走査部15は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、画素アレイ部11の各画素2の信号の読出しに際して、画素列の走査や画素列のアドレスを制御する。この水平転送走査部15による制御の下に、アナログ-デジタル変換部14でデジタル信号に変換された画素信号が画素列単位で水平転送線18に読み出される。
【0025】
信号処理部16は、水平転送線18を通して供給されるデジタルの画素信号に対して、所定の信号処理を行い、2次元の画像データを生成する。所定の信号処理としては、ノイズ除去処理、例えばCDS(Correlated Double Sampling;相関二重サンプリング)処理などを例示することができる。CDS処理では、選択行の各画素2から出力されるリセットレベルと信号レベルとを取り込み、これらのレベル差を取ることによって1行分の画素の信号を得るとともに、画素2の固定パターンノイズを除去する処理が行われる。信号処理部16は、生成した画像データを、本CMOSイメージセンサ1の出力信号として後段の装置に出力する。
【0026】
タイミング制御部17は、各種のタイミング信号、クロック信号、及び、制御信号等を生成し、これら生成した信号を基に、行選択部12、定電流源部13、アナログ-デジタル変換部14、水平転送走査部15、及び、信号処理部16等の駆動制御を行う。
【0027】
[画素の回路構成例]
図2は、画素2の回路構成の一例を示す回路図である。画素2は、光電変換部として、例えば、フォトダイオード21を有している。画素2は、フォトダイオード21に加えて、転送トランジスタ22、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24、及び、選択トランジスタ25を有する画素構成となっている。
【0028】
尚、ここでは、転送トランジスタ22、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24、及び、選択トランジスタ25の4つのトランジスタとして、例えばNチャネルのMOS型電界効果トランジスタ(Field effect transistor:FET)を用いている。但し、ここで例示した4つのトランジスタ22~25の導電型の組み合わせは一例に過ぎず、これらの組み合わせに限られるものではない。
【0029】
この画素2に対して、先述した画素駆動線31として、複数の画素駆動線が同一画素行の各画素2に対して共通に配線されている。これら複数の画素駆動線は、行選択部12の各画素行に対応した出力端に画素行単位で接続されている。行選択部12は、複数の画素駆動線に対して転送信号TRG、リセット信号RST、及び、選択信号SELを適宜出力する。
【0030】
フォトダイオード21は、アノード電極が低電位側電源(例えば、グランド)に接続されており、受光した光をその光量に応じた電荷量の光電荷(ここでは、光電子)に光電変換してその光電荷を蓄積する。フォトダイオード21のカソード電極は、転送トランジスタ22を介して増幅トランジスタ24のゲート電極と電気的に接続されている。ここで、増幅トランジスタ24のゲート電極が電気的に繋がった領域は、フローティングディフュージョン(浮遊拡散領域/不純物拡散領域)FDである。フローティングディフュージョンFDは、電荷を電圧に変換する電荷電圧変換部である。
【0031】
転送トランジスタ22のゲート電極には、高レベル(例えば、VDDレベル)がアクティブとなる転送信号TRGが行選択部12から与えられる。転送トランジスタ22は、転送信号TRGに応答して導通状態となることで、フォトダイオード21で光電変換され、当該フォトダイオード21に蓄積された光電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。
【0032】
リセットトランジスタ23は、高電位側電源電圧VDDのノードとフローティングディフュージョンFDとの間に接続されている。リセットトランジスタ23のゲート電極には、高レベルがアクティブとなるリセット信号RSTが行選択部12から与えられる。リセットトランジスタ23は、リセット信号RSTに応答して導通状態となり、フローティングディフュージョンFDの電荷を電圧VDDのノードに捨てることによってフローティングディフュージョンFDをリセットする。
【0033】
増幅トランジスタ24は、ゲート電極がフローティングディフュージョンFDに、ドレイン電極が高電位側電源電圧VDDのノードにそれぞれ接続されている。増幅トランジスタ24は、フォトダイオード21での光電変換によって得られる信号を読み出すソースフォロワの入力部となる。すなわち、増幅トランジスタ24は、ソース電極が選択トランジスタ25を介して垂直信号線32に接続される。そして、増幅トランジスタ24と、垂直信号線32の一端に接続される電流源Iとは、フローティングディフュージョンFDの電圧を垂直信号線32の電位に変換するソースフォロワを構成している。
【0034】
選択トランジスタ25は、ドレイン電極が増幅トランジスタ24のソース電極に接続され、ソース電極が垂直信号線32に接続されている。選択トランジスタ25のゲート電極には、高レベルがアクティブとなる選択信号SELが行選択部12から与えられる。選択トランジスタ25は、選択信号SELに応答して導通状態となることで、画素2を選択状態として増幅トランジスタ24から出力される信号を垂直信号線32に伝達する。
【0035】
尚、選択トランジスタ25については、高電位側電源電圧VDDのノードと増幅トランジスタ24のドレイン電極との間に接続する回路構成を採ることもできる。また、本例では、画素2の画素回路として、転送トランジスタ22、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24、及び、選択トランジスタ25から成る、即ち4つのトランジスタ(Tr)から成る4Tr構成を例に挙げたが、これに限られるものではない。例えば、選択トランジスタ25を省略し、増幅トランジスタ24に選択トランジスタ25の機能を持たせる3Tr構成とすることもできるし、必要に応じて、トランジスタの数を増やした5Tr以上の構成とすることもできる。
【0036】
[チップ構造]
上記の構成のCMOSイメージセンサ1のチップ(半導体集積回路)構造としては、平置型のチップ構造及び積層型のチップ構造を例示することができる。平置型のチップ構造及び積層型のチップ構造のいずれのCMOSイメージセンサ1においても、画素2について、配線層が配される側の基板面を表面(正面)とするとき、その反対側の裏面側から照射される光を取り込む裏面照射型の画素構造とすることができる。以下に、平置型のチップ構造及び積層型のチップ構造について説明する。
【0037】
・平置型のチップ構造
図3は、CMOSイメージセンサ1の平置型のチップ構造の概略を示す平面図である。図3に示すように、平置型のチップ構造、所謂、平置構造は、画素2が行列状に配置されて成る画素アレイ部11と同じ半導体基板41上に、画素アレイ部11の周辺の回路部分を形成した構造となっている。具体的には、画素アレイ部11と同じ半導体基板41上に、行選択部12、定電流源部13、アナログ-デジタル変換部14、水平転送走査部15、信号処理部16、及び、タイミング制御部17等が形成されている。
【0038】
・積層型のチップ構造
図4は、CMOSイメージセンサ1の積層型のチップ構造の概略を示す分解斜視図である。図4に示すように、積層型のチップ構造、所謂、積層構造は、第1半導体基板42及び第2半導体基板43の少なくとも2つの半導体基板が積層された構造となっている。この積層構造において、画素アレイ部11は、1層目の第1半導体基板42に形成される。また、行選択部12、定電流源部13、アナログ-デジタル変換部14、水平転送走査部15、信号処理部16、及び、タイミング制御部17等の回路部分は、2層目の第2半導体基板43に形成される。そして、1層目の第1半導体基板42と2層目の第2半導体基板43とは、ビア(VIA)やCu-Cu接続などの接続部44を通して電気的に接続される。
【0039】
この積層構造のCMOSイメージセンサ1によれば、第1半導体基板42として画素アレイ部11を形成できるだけの大きさ(面積)のもので済むため、1層目の第1半導体基板42のサイズ(面積)、ひいては、チップ全体のサイズを小さくできる。更に、1層目の第1半導体基板42には画素2の作製に適したプロセスを適用でき、2層目の第2半導体基板43には回路部分の作製に適したプロセスを適用できるため、CMOSイメージセンサ1の製造に当たって、プロセスの最適化を図ることができるメリットもある。特に、回路部分の作製に当たっては、先端プロセスの適用が可能になる。
【0040】
尚、ここでは、第1半導体基板42及び第2半導体基板43が積層されて成る2層構造の積層構造を例示したが、積層構造としては、2層構造に限られるものではなく、3層以上の構造とすることもできる。そして、3層以上の積層構造の場合、行選択部12、定電流源部13、アナログ-デジタル変換部14、水平転送走査部15、信号処理部16、及び、タイミング制御部17等の回路部分については、2層目以降の半導体基板に分散して形成することができる。
【0041】
<本開示の実施形態>
上記の構成のCMOSイメージセンサ1において、列並列アナログ-デジタル変換部14におけるアナログ-デジタル変換器として、シングルスロープ型アナログ-デジタル変換器や逐次比較型アナログ-デジタル変換器などを例示することができる。但し、本実施形態では、アナログ-デジタル変換速度の点でシングルスロープ型アナログ-デジタル変換器よりも優れている逐次比較型アナログ-デジタル変換器を、列並列アナログ-デジタル変換部14におけるアナログ-デジタル変換器として用いることとする。逐次比較型アナログ-デジタル変換器については、画素アレイ部11が画素列に対して画素列の単位で設けてもよいし、複数の画素列の単位で設けてもよい。
【0042】
逐次比較型アナログ-デジタル変換器では、2分探索(バイナリサーチ)の原理によってアナログ-デジタル変換が行われる。この逐次比較によるアナログ-デジタル変換の際に、アナログ入力電圧VINと比較基準のアナログ電圧Vrefとを比較するコンパレータにおいて、回路ノイズの影響によって判定エラーを起こす可能性がある。そのため、Nビットの分解能を持つ逐次比較型アナログ-デジタル変換器では、全ビットについての逐次比較によるアナログ-デジタル変換を行った後に、図5に示すように、下位ビットについて再度アナログ-デジタル変換(以下、「再AD変換」と記述する場合がある)を行う期間を設けている。そして、再AD変換において、下位ビットについて再度アナログ-デジタル変換を行うことにより、回路ノイズを低減し、当該回路ノイズの影響によってコンパレータで判定エラーが発生する確率を下げ、正解値に近付けるようにしている。
【0043】
本実施形態では、逐次比較型アナログ-デジタル変換器において、更に回路ノイズを低減し、より低ノイズでアナログ-デジタル変換を行うことができるようにすることを特徴としている。具体的には、逐次比較型アナログ-デジタル変換器の入力段にプリアンプを設け、再AD変換時にプリアンプにおいて帯域制限を行うことを特徴としている。これにより、特性に悪影響を与えることなく、ノイズを平均化し、回路ノイズを小さくすることができるため、回路ノイズの影響によってコンパレータで判定エラーが発生する確率を更に下げることができる。その結果、アナログ-デジタル変換後のデジタル値を正解値に近付けることができる。
【0044】
また、逐次比較型アナログ-デジタル変換器では、アナログ入力電圧VINの比較基準となるアナログ電圧Vrefを生成するために、電荷再配分の原理を採用した容量性DAC(デジタル-アナログ変換器)が用いられている。この容量性DACにおいて、全ビットについての通常の逐次比較期間に使用する容量アレイ部の容量素子の一つを、複数の容量素子で構成し、コンパレータの判定結果に応じて再度供給する基準電圧の値を切り替えることによって再AD変換を行うようにする。
【0045】
このように、コンパレータの判定結果を容量性DACへフィードバックすることで、冗長性をもって再AD変換を行うことができる。そして、通常の逐次比較期間に使用する容量素子の一つ、具体的には、最下位ビットの容量素子を複数の容量素子で構成し、これら複数の容量素子を用いて再AD変換を行うようすることで、容量素子を追加しなくても、換言すれば、回路規模を大きくすることなく、再AD変換を行うことができる。
【0046】
すなわち、容量性DACを構成する容量素子の増加がないため、小面積で、再AD変換を行うことができる、低ノイズの逐次比較型アナログ-デジタル変換器を実現できる。これは、画素列毎にアナログ-デジタル変換器を搭載するCMOSイメージセンサ1において、例えば、多画素化に伴って画素ピッチが狭くなり、アナログ-デジタル変換器の配置スペースが制約される場合に特に有用なものとなる。尚、帯域制限によって信号が高速に応答できなくなるセトリングエラーについては、冗長性をもった再AD変換で吸収できるため特性劣化を招くことはない。
【0047】
以下に、逐次比較型アナログ-デジタル変換器において、回路ノイズを低減し、より低ノイズでアナログ-デジタル変換を行うことができるようにするための本実施形態の具体的な実施例について説明する。
【0048】
[実施例1]
実施例1に係る逐次比較型アナログ-デジタル変換器の構成を図6に示す。図6に示すように、実施例1に係る逐次比較型アナログ-デジタル変換器50は、プリアンプ51、コンパレータ52、SARロジック部53、SARバイナリ容量アレイ部54、再AD変換用容量アレイ部55、スイッチマトリクス部56、基準電圧生成部57、及び、リセットスイッチ58a,58bを有する構成となっている。
【0049】
図1において、画素アレイ部11の各画素2から垂直信号線321~32nを通して出力されるアナログ画素信号は、アナログ入力電圧VINとして逐次比較型アナログ-デジタル変換器50に入力される。そして、CDS処理として、選択行の各画素2から出力されるリセット時のノイズ量を容量素子59にサンプリングし、リセットレベルのアナログ-デジタル変換結果と、信号レベルのアナログ-デジタル変換結果とを引くことでリセット時のノイズ量をキャンセルすることが可能となる。
【0050】
プリアンプ51は、容量素子59を通して供給されるアナログ入力電圧VINを非反転(+)入力とし、比較基準のアナログ電圧Vrefを反転(-)入力とする。比較基準のアナログ電圧Vrefは、後述するように、アナログ-デジタル変換後のデジタル値をアナログ値に変換することによって生成される。プリアンプ51は、帯域を制限する機能(帯域制限機能)を持っている。プリアンプ51の帯域制限機能の詳細については後述する。
【0051】
コンパレータ52は、コンパレータクロック(CLK)に同期して、プリアンプ51を通して供給されるアナログ入力電圧VINと、比較基準のアナログ電圧Vrefとの大小を比較し、その比較結果をSARロジック部53に供給する。コンパレータ52は、例えば、比較結果を差動出力としてSARロジック部53に供給する。
【0052】
SARロジック部53は、Nビットの逐次比較レジスタであり、コンパレータクロックに同期して、各ビット毎にコンパレータ52の比較結果を格納し、アナログ-デジタル変換後のデジタル値として出力する。そして、SARロジック部53は、Nビットのデジタル値をスイッチマトリクス部56に供給するとともに、プリアンプ51に対して帯域制限のための制御信号Sを供給する。
【0053】
SARバイナリ容量アレイ部54、再AD変換用容量アレイ部55、及び、スイッチマトリクス部56は、電荷再配分の原理を採用したNビットの容量性DAC(デジタル-アナログ変換器)60を構成している。そして、この容量性DAC60において、基準電圧生成部57で生成される基準電圧を用いて、SARロジック部53から出力されるNビットのデジタル値をアナログ値、即ち、コンパレータ52で比較基準として用いるアナログ電圧Vrefに変換する処理が行われる。
【0054】
基準電圧生成部57は、容量性DAC60においてデジタル値をアナログ値に変換する際に用いる基準電圧(参照電圧)を生成する。より具体的には、実施例1に係る逐次比較型アナログ-デジタル変換器50では、再AD変換用容量アレイ部55が設けられていることから、基準電圧生成部57は、再AD変換用容量アレイ部55でも用いるためのマルチ基準電圧を生成する構成となっている。基準電圧生成部57の具体的な構成については後述する。
【0055】
リセットスイッチ58a,58bは、各一端がプリアンプ51の非反転(+)入力端及び反転(-)入力端に接続され、各他端にリセット電圧が印加されている。そして、リセットスイッチ58a,58bは、リセットクロック(CLK)に応答してオン(閉)状態になることにより、プリアンプ51の非反転入力端及び反転入力端の各電位をリセット電圧にリセットし、初期化する。
【0056】
実施例1に係る逐次比較型アナログ-デジタル変換器50における、SARバイナリ容量アレイ部54、再AD変換用容量アレイ部55、スイッチマトリクス部56、及び、基準電圧生成部57の具体的な回路構成を図7に示す。
【0057】
SARバイナリ容量アレイ部54は、容量素子C2~容量素子C9から構成されている。容量素子C2~容量素子C9の各容量値は、単位容量値Cの2のべき乗倍に重み付けされたバイナリ重み付け値を持っている。すなわち、容量素子C2~容量素子C9の各容量値は、2C~64Cに設定されている。
【0058】
再AD変換用容量アレイ部55は、容量素子C1-0~容量素子C1-3から構成されている。容量素子C1-0~容量素子C1-3の各容量値は、単位容量値Cに設定されている。但し、単位容量値Cの設定に限られるものではなく、合算値が容量素子C1となる組み合わせであればどのような容量値であってもよい。再AD変換用容量アレイ部55は、全ビットについての通常の逐次比較によるアナログ-デジタル変換の際に、SARバイナリ容量アレイ部54の最下位ビットの容量素子C1として用いられる。すなわち、再AD変換用容量アレイ部55は、通常の逐次比較期間に使用する最下位ビットの容量素子C1を、複数の容量素子C1-0~C1-3で構成して再AD変換に用いる構成となっている。
【0059】
以上により、SARバイナリ容量アレイ部54及び再AD変換用容量アレイ部55から成る容量アレイ部は、アナログ-デジタル変換後のデジタル値のビット数(即ち、出力ビット数)以上の容量素子、具体的には、容量素子C2~容量素子C9、及び、容量素子C1-0~C1-3から構成されることなる。
【0060】
スイッチマトリクス部56は、SARバイナリ容量アレイ部54の容量素子C2~容量素子C9にそれぞれ接続されたスイッチ群、及び、再AD変換用容量アレイ部55の容量素子C1-0~容量素子C1-3にそれぞれ接続されたスイッチ群によって構成されている。そして、SARバイナリ容量アレイ部54に対応する各スイッチ群は、それぞれ3個のスイッチから成る。すなわち、SARバイナリ容量アレイ部54の容量素子C2~容量素子C9には、スイッチが3個ずつ接続されている。また、再AD変換用容量アレイ部55に対応する各スイッチ群も、それぞれ3個のスイッチから成る。すなわち、再AD変換用容量アレイ部55の容量素子C1-0~容量素子C1-3にも、スイッチが3個ずつ接続されている。
【0061】
基準電圧生成部57は、電源VDDに接続されたトランジスタTr、並びに、当該トランジスタに対して直列に接続された複数の抵抗素子及びこれらの抵抗素子の共通接続ノードに適宜接続された抵抗素子から成る抵抗素子群から構成され、グローバル基準電圧VREFに基づいてマルチ基準電圧を生成する。
【0062】
具体的には、直列接続の抵抗素子群の中間ノードからセンター基準電圧VRC(=VREF/2)を導出する。直列接続の抵抗素子群のトランジスタTr側のノードと中間ノードとの間の各ノードから、トップ基準電圧VRT0(=VRC+VREF/2)、基準電圧VRT1(=VRC+VREF/8)を導出し、更に、基準電圧VRT2(=VRC+VREF/32)を導出する。また、直列接続の抵抗素子群の最端部のノードと中間ノードとの間の各ノードから、ボトム基準電圧VRB0(=VRC-VREF/2)を導出し、更に、基準電圧VRB1(=VRC-VREF/8)、及び、基準電圧VRB2(=VRC-VREF/32)を導出する。
【0063】
基準電圧生成部57で生成されたマルチ基準電圧は、スイッチマトリクス部56の各ビットに対応した各スイッチ群に供給される。具体的には、センター基準電圧VRCは、SARバイナリ容量アレイ部54及び再AD変換用容量アレイ部55に対応する各スイッチ群における3個のスイッチの真ん中のスイッチに共通に供給される。
【0064】
トップ基準電圧VRT0は、SARバイナリ容量アレイ部54の容量素子C5~容量素子C9に対応する各3個のスイッチの一方側のスイッチに共通に供給される。基準電圧VRT1は、SARバイナリ容量アレイ部54の容量素子C2~容量素子C4に対応する各3個のスイッチの一方側のスイッチに共通に供給される。基準電圧VRT2は、再AD変換用容量アレイ部55の容量素子C1-0~容量素子C1-3に対応する各3個のスイッチの一方側のスイッチに共通に供給される。
【0065】
ボトム基準電圧VRB0は、SARバイナリ容量アレイ部54の容量素子C5~容量素子C9に対応する各3個のスイッチの他方側のスイッチに共通に供給される。基準電圧VRB1は、SARバイナリ容量アレイ部54の容量素子C2~容量素子C4に対応する各3個のスイッチの他方側のスイッチに共通に供給される。基準電圧VRB2は、再AD変換用容量アレイ部55の容量素子C1-0~容量素子C1-3に対応する各3個のスイッチの他方側のスイッチに共通に供給される。
【0066】
スイッチマトリクス部56において、全ビットについての通常の逐次比較によるアナログ-デジタル変換期間、及び、これに続く再AD変換期間で、SARバイナリ容量アレイ部54及び再AD変換用容量アレイ部55の各容量素子に対応して設けられた各スイッチ群の3個のスイッチは、次のような動作を行うことになる。
【0067】
すなわち、通常の逐次比較時には、容量素子C5~容量素子C9に対応する各スイッチ群の3個のスイッチは、トップ基準電圧VRT0(=VRC+VREF/2)-センター基準電圧VRC(=VREF/2)-ボトム基準電圧VRB0(=VRC-VREF/2)の切り替え動作を行う。容量素子C2~容量素子C4に対応する各スイッチ群の3個のスイッチは、基準電圧VRT1(=VRC+VREF/8)-センター基準電圧VRC-基準電圧VRB1(=VRC-VREF/8)の切り替え動作を行う。容量素子C1-0~容量素子C1-3に対応する各3個のスイッチは、容量素子C1-0~容量素子C1-3を同時に駆動することにより、容量値4Cの容量素子C1とする。
【0068】
再AD変換時には、通常の逐次比較期間に使用した最下位ビットの容量素子C1に相当する複数の容量素子C1-0~容量素子C1-3に対応する各3個のスイッチは、容量素子C1-0~容量素子C1-3の各々に対して順に基準電圧VRT2-センター基準電圧VRC-基準電圧VRB2の切り替え動作を行う。再AD変換を行うことにより、ノイズを平均化し、回路ノイズを小さくすることができる。その結果、回路ノイズの影響によってコンパレータ52で判定エラーが発生する確率を下げることができるため、アナログ-デジタル変換後のデジタル値を正解値に近付けることができる。
【0069】
上述したように、実施例1に係る逐次比較型アナログ-デジタル変換器50は、全ビットについての通常の逐次比較によるアナログ-デジタル変換後、下位ビットについて再AD変換を行うための再AD変換用容量アレイ部55を備えている。そして、通常の逐次比較期間に使用する容量素子C1を、複数の容量素子C1-0~C1-3で構成して再AD変換に用いるようにするとともに、その容量素子アレイを駆動する専用のスイッチ群を介して基準電圧を供給する構成となっている。従って、再AD変換のために新たに容量素子を追加する必要が無いため、小面積で、再AD変換を行うことができる、低ノイズの逐次比較型アナログ-デジタル変換器50を実現できる。
【0070】
(帯域制限機能について)
続いて、帯域制限機能を持つプリアンプ51について説明する。プリアンプ51は、SARロジック部53による制御の下、SARロジック部53から供給される制御信号Sに応答して帯域制限を行う。プリアンプ51の帯域制限については、図5において、少なくとも再AD変換期間で行うようにすることもできるし、再AD変換期間でのみ行うようにすることもできる。
【0071】
帯域制限については、後段のコンパレータ52においても実現することができるが、コンパレータ52で帯域制限を行うようにすると、アナログ-デジタル変換速度が遅くなってしまう。従って、アナログ-デジタル変換速度の観点から、コンパレータ52の前にプリアンプ51を配置し、当該プリアンプ51にて帯域制限を行うことが重要であり、帯域制限によってノイズを平均化できるため、回路ノイズを低減し、低ノイズ化を図ることができる。
【0072】
以下に、プリアンプ51における帯域制限機能の具体例について、第1例乃至第4例として説明する。
【0073】
・第1例
プリアンプ51における帯域制限機能の第1例を図8Aに示す。プリアンプ51は、例えば、差動トランジスタQ11,Q12、負荷トランジスタQ13,Q14、及び、可変電流源Iを有する構成となっている。差動トランジスタQ11,Q12は、例えばPチャネルの電界効果トランジスタから成り、ソース電極が共通に接続されて動作を行う。
【0074】
負荷トランジスタQ13,Q14は、例えばNチャネルの電界効果トランジスタから成り、ゲート電極とドレイン電極とが共通に接続されたダイオード構成となっており、差動トランジスタQ11,Q12の各ドレイン電極と低電位側電源VSSとの間に接続されている。可変電流源Iは、差動トランジスタQ11,Q12のソース共通接続ノードと高電位側電源VDDとの間に接続されている。
【0075】
上記の構成のプリアンプ51では、SARロジック部53から供給される制御信号Sに応じて、可変電流源Iの電流を調整可能な構成となっている。そして、再AD変換時に、可変電流源Iによってプリアンプ51の電流を調整し、負荷の抵抗(1/gm)を変更することによって帯域を狭めることができるため、プリアンプ51の低ノイズ化を図ることができる。尚、電流源バイアス、もしくは、駆動する電流源数を制御することによって帯域制限を行うようにすることもできる。
【0076】
・第2例
プリアンプ51における帯域制限機能の第2例を図8Bに示す。第2例は、プリアンプ51の差動出力の出力ノードとグランドとの間に、容量素子C11及びスイッチSW11、並びに、容量素子C12及びスイッチSW12をそれぞれ直列に接続した構成となっている。
【0077】
上記の構成のプリアンプ51では、SARロジック部53から供給される制御信号Sに応じて、スイッチSW11及びスイッチSW12をオン(閉)させることで、プリアンプ51の出力の対地容量を変化させる構成となっている。そして、再AD変換時に、プリアンプ51の出力の対地容量を変化させることによって帯域を狭めることができるため、プリアンプ51の低ノイズ化を図ることができる。
【0078】
・第3例
プリアンプ51における帯域制限機能の第3例を図9Aに示す。第3例は、プリアンプ51の差動出力の出力ノードとグランドとの間に、容量素子C13及び抵抗素子R11、並びに、容量素子C14及び抵抗素子R12をそれぞれ直列に接続するとともに、容量素子C13及び容量素子C14の抵抗素子側の端部間にスイッチSW13を接続した構成となっている。
【0079】
上記の構成のプリアンプ51では、SARロジック部53から供給される制御信号Sに応じて、スイッチSW13をオンさせることで、プリアンプ51の差動出力間に容量を追加する構成となっている。そして、再AD変換時に、プリアンプ51の差動出力間に容量を追加することによって帯域を狭めることができるため、プリアンプ51の低ノイズ化を図ることができる。
【0080】
・第4例
プリアンプ51における帯域制限機能の第4例を図9Bに示す。第4例は、プリアンプ51の差動出力の出力ノードとグランドとの間に、可変容量ダイオード(バラクタ/バリキャップ)VC11,VC12を接続した構成となっている。
【0081】
上記の構成のプリアンプ51の場合、SARロジック部53から供給される制御信号Sは、可変容量ダイオードVC11,VC12の容量を制御する制御電圧となる。そして、再AD変換時に、可変容量ダイオードVC11,VC12の容量を制御することによって帯域を狭めることができるため、プリアンプ51の低ノイズ化を図ることができる。
【0082】
[実施例2]
実施例2に係る逐次比較型アナログ-デジタル変換器50の回路構成を図10に示す。図10に示すように、スイッチマトリクス部56において、再AD変換用容量アレイ部55の容量素子C1-0~容量素子C1-3に対応する各スイッチ群が、5個のスイッチから成る点で、3個のスイッチから成る実施例1の場合と異なっている。
【0083】
容量素子C1-0~容量素子C1-3に対応する各スイッチ群に、スイッチが2個ずつ追加されたことに伴って、基準電圧生成部57は更に、基準電圧VRT2(=VRC+VREF/16)、及び、基準電圧VRB2(=VRC-VREF/16)を生成する。基準電圧VRT2は、追加された2個のスイッチの一方に与えられ、基準電圧VRB2は、追加された2個のスイッチの他方に与えられる。
【0084】
スイッチマトリクス部56において、全ビットについての通常の逐次比較によるアナログ-デジタル変換時における各スイッチ群の3個のスイッチの切り替え動作は、実施例1の場合と同じである。
【0085】
再AD変換時には、容量素子C1-0~容量素子C1-3に対応する各5個のスイッチは、基準電圧VRT2(=VRC+VREF/16)-基準電圧VRT2(=VRC+VREF/32)-センター基準電圧VRC-基準電圧VRB2(=VRC-VREF/32)-基準電圧VRB2(=VRC-VREF/16)の切り替え動作を行う。
【0086】
これにより、容量素子C1-0~容量素子C1-3に、少なくとも第1基準電圧~第4基準電圧として、2種類の基準電圧VRT2、センター基準電圧VRC、及び、2種類の基準電圧VRB2が選択的に与えられることで、下位ビットについて再AD変換が行われる。
【0087】
下位ビットについて再AD変換を行うことにより、回路ノイズを低減し、当該回路ノイズの影響によってコンパレータ52で判定エラーが発生する確率を下げることができるため、アナログ-デジタル変換後のデジタル値を正解値に近付けることができる。また、再AD変換時には、プリアンプ51にて帯域制限を行うことにより、特性に悪影響を与えることなく、ノイズを平均化できるため、低ノイズ化を図ることができる。
【0088】
[実施例3]
実施例3に係る逐次比較型アナログ-デジタル変換器50の回路構成を図11に示す。実施例3の場合、SARバイナリ容量アレイ部54及び再AD変換用容量アレイ部55がそれぞれ2系統(54a,54b/55a,55b)設けられている。そして、SARバイナリ容量アレイ部54a,54bの容量素子C5~容量素子C9の各容量値が、実施例1及び実施例2の場合と異なっている。具体的には、容量素子C5の容量値が2C、容量素子C6の容量値が4C、容量素子C7の容量値が8C、容量素子C8の容量値が16C、容量素子C9の容量値が32Cにそれぞれ設定されている。
【0089】
そして、スイッチマトリクス部56において、SARバイナリ容量アレイ部54a,54bの各容量素子C2~容量素子C9に対応する各スイッチ群が2個のスイッチによって構成されている。また、再AD変換用容量アレイ部55a,55bの各容量素子C1-0~容量素子C1-3に対応する各スイッチ群が、SARバイナリ容量アレイ部54a,54b側よりも2個多い、4個のスイッチによって構成されている。
【0090】
スイッチマトリクス部56の各スイッチに対応して、基準電圧生成部57は、マルチ基準電圧として、トップ基準電圧VRT0(=VREF-VREF/2)、基準電圧VRT1(=VREF-VREF/32)、基準電圧VRT2(=VREF-VREF/16)、及び、基準電圧VRT2(=VREF-VREF/8)を生成する。
【0091】
トップ基準電圧VRT0は、SARバイナリ容量アレイ部54a,54bの各容量素子C2~容量素子C9に対応する各2個のスイッチの一方に供給されるとともに、再AD変換用容量アレイ部55aの容量素子C1-0~容量素子C1-3に対応する各4個のスイッチのうちの2個に供給される。基準電圧VRT1(=VREF-VREF/32)、及び、基準電圧VRT2(=VREF-VREF/16)は、再AD変換用容量アレイ部55aの容量素子C1-0~容量素子C1-3に対応する各4個のスイッチのうちの残りの2個に供給される。基準電圧VRT2(=VREF-VREF/8)は、SARバイナリ容量アレイ部54aの各容量素子C2~容量素子C4に対応する各2個のスイッチの他方に供給される。
【0092】
基準電圧生成部57は更に、マルチ基準電圧として、ボトム基準電圧VRB0(=0)、基準電圧VRB1(=VREF/32)、基準電圧VRB2(=VREF/16)、及び、基準電圧VRB2(=VREF/8)を生成する。
【0093】
ボトム基準電圧VRB0は、SARバイナリ容量アレイ部54a,54bの各容量素子C2~容量素子C9に対応する各2個のスイッチの他方に供給されるとともに、再AD変換用容量アレイ部55bの容量素子C1-0~容量素子C1-3に対応する各4個のスイッチのうちの2個に供給される。基準電圧VRB1(=VREF/32)、及び、基準電圧VRB2(=VREF/16)は、再AD変換用容量アレイ部55bの容量素子C1-0~容量素子C1-3に対応する各4個のスイッチのうちの残りの2個に供給される。基準電圧VRB2(=VREF/8)は、SARバイナリ容量アレイ部54bの各容量素子C2~容量素子C4に対応する各2個のスイッチの他方に供給される。
【0094】
スイッチマトリクス部56において、全ビットについての通常の逐次比較によるアナログ-デジタル変換時には、SARバイナリ容量アレイ部54a,54bの各容量素子C5~容量素子C9に対応する各2個のスイッチは、トップ基準電圧VRT0-ボトム基準電圧VRB0の切り替え動作を行う。SARバイナリ容量アレイ部54aの各容量素子C2~容量素子C4に対応する各2個のスイッチは、トップ基準電圧VRT0-基準電圧VRT2(=VREF-VREF/8)の切り替え動作を行う。SARバイナリ容量アレイ部54bの各容量素子C2~容量素子C4に対応する各2個のスイッチは、ボトム基準電圧VRB0-基準電圧VRB2(=VREF/8)の切り替え動作を行う。
【0095】
再AD変換時には、再AD変換用容量アレイ部55aの容量素子C1-0~容量素子C1-3に対応する各4個のスイッチは、トップ基準電圧VRT0-基準電圧VRB1-基準電圧VRB2の切り替え動作を行う。また、再AD変換用容量アレイ部55bの容量素子C1-0~容量素子C1-3に対応する各4個のスイッチは、ボトム基準電圧VRB0-基準電圧VRB1-基準電圧VRB2の切り替え動作を行う。
【0096】
上述したスイッチマトリクス部56の各スイッチの切り替え動作により、実施例3に係る逐次比較型アナログ-デジタル変換器50においても、下位ビットについて再AD変換を行うことにより、回路ノイズを低減し、低ノイズ化を図ることができる。その結果、回路ノイズの影響によってコンパレータ52で判定エラーが発生する確率を下げることができるため、アナログ-デジタル変換後のデジタル値を正解値に近付けることができる。また、再AD変換時には、プリアンプ51にて帯域制限を行うことにより、特性に悪影響を与えることなく、ノイズを平均化し、低ノイズ化を図ることができる。
【0097】
[実施例4]
実施例4は、実施例2の変形例であり、プリアンプ51を持たない構成となっている。実施例4に係る逐次比較型アナログ-デジタル変換器50の回路構成を図12に示す。
【0098】
図12に示すように、実施例4に係る逐次比較型アナログ-デジタル変換器50では、入力段にプリアンプ51を設けずに、アナログ入力電圧VIN及び比較基準のアナログ電圧Vrefを直接コンパレータ52に入力する構成となっている。
【0099】
実施例4に係る逐次比較型アナログ-デジタル変換器50では、プリアンプ51が存在しないことで、帯域制限による作用、効果は得られないものの、下位ビットについて再AD変換を行うことにより、回路ノイズを低減し、低ノイズ化を図ることができるため、アナログ-デジタル変換後のデジタル値を正解値に近付けることができる。
【0100】
<変形例>
以上、本開示に係る技術について、好ましい実施形態に基づき説明したが、本開示に係る技術は当該実施形態に限定されるものではない。上記の実施形態において説明した撮像素子の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができる。例えば、SARバイナリ容量アレイ部54の容量素子C2~容量素子C9の各スイッチ群、及び、再AD変換用容量アレイ部55の容量素子C1-0~容量素子C1-3の各スイッチ群のスイッチの数の組み合わせについては、実施例1乃至実施例3に限られるものではない。他の組み合わせとして、例えば、SARバイナリ容量アレイ部54の容量素子C2~容量素子C9の各スイッチ群が2個のスイッチから成り、再AD変換用容量アレイ部55の容量素子C1-0~容量素子C1-3の各スイッチ群が3個のスイッチから成る構成を例示することができる。
【0101】
また、上記の実施形態では、本開示に係る技術が適用される逐次比較型アナログ-デジタル変換器を、撮像素子のアナログ-デジタル変換部のアナログ-デジタル変換器として用いる場合を例に挙げたが、この適用例に限られるものではない。すなわち、本開示に係る技術が適用される逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、アナログ-デジタル変換器を備える種々の回路や装置において、当該アナログ-デジタル変換器として用いるようにしてもよい。
【0102】
また、上記の実施形態では、画素2が行列状に配置されて成るCMOSイメージセンサに適用した場合を例に挙げて説明したが、本開示に係る技術は、CMOSイメージセンサへの適用に限られるものではない。すなわち、本開示に係る技術は、画素2が行列状に2次元配置されて成るX-Yアドレス方式であって、逐次比較型アナログ-デジタル変換器を搭載した撮像素子全般に対して適用可能である。
【0103】
また、本開示に係る技術は、可視光の入射光量の分布を検知して画像として撮像する撮像素子への適用に限らず、赤外線やX線、あるいは粒子等の入射量の分布を画像として撮像する撮像素子全般に対して適用可能である。
【0104】
<応用例>
以上説明した本実施形態に係るCMOSイメージセンサ1は、例えば図13に示すように、可視光、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々な装置に使用することができる。様々な装置の具体例について以下に列挙する。
【0105】
・デジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供され装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0106】
<本開示に係る技術の適用例>
本開示に係る技術は、様々な製品に適用することができる。以下に、より具体的な適用例について説明する。
【0107】
[本開示の電子機器]
ここでは、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、携帯電話機などの撮像機能を有する携帯端末装置や、画像読取部に撮像素子を用いる複写機などの電子機器に適用する場合について説明する。
【0108】
(撮像装置)
図14は、本開示の電子機器の一例である撮像装置の構成を示すブロック図である。図14に示すように、本例に係る撮像装置100は、レンズ群等を含む撮像光学系101、撮像部102、DSP(Digital Signal Processor)回路103、フレームメモリ104、表示装置105、記録装置106、操作系107、及び、電源系108等を有している。そして、DSP回路103、フレームメモリ104、表示装置105、記録装置106、操作系107、及び、電源系108がバスライン109を介して相互に接続された構成となっている。
【0109】
撮像光学系101は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで撮像部102の撮像面上に結像する。撮像部102は、光学系101によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。DSP回路103は、一般的なカメラ信号処理、例えば、ホワイトバランス処理、デモザイク処理、ガンマ補正処理などを行う。
【0110】
フレームメモリ104は、DSP回路103での信号処理の過程で適宜データの格納に用いられる。表示装置105は、液晶表示装置や有機EL(electro luminescence)表示装置等のパネル型表示装置から成り、撮像部102で撮像された動画または静止画を表示する。記録装置106は、撮像部102で撮像された動画または静止画を、可搬型の半導体メモリや、光ディスク、HDD(Hard Disk Drive)等の記録媒体に記録する。
【0111】
操作系107は、ユーザによる操作の下に、本撮像装置100が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源系108は、DSP回路103、フレームメモリ104、表示装置105、記録装置106、及び、操作系107の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0112】
上記の構成の撮像装置100において、撮像部102として、先述した本開示に係る技術が適用されるCMOSイメージセンサ1を用いることができる。当該CMOSイメージセンサ1によれば、より低ノイズでアナログ-デジタル変換を行うことができるため、ノイズの少ない高画質の撮影画像を得ることができる。
【0113】
[間接TOF方式距離画像センサへの適用]
本開示に係る技術は、前述したCMOSイメージセンサ等の撮像素子の他に、間接TOF(Indirect-Time of Flight)方式距離画像センサに対しても適用することができる。間接TOF方式距離画像センサは、光源から発した光が対象物で反射し、その反射光の到達位相差の検出に基づいて光飛行時間を計測することによって、対象物までの距離を測定するセンサである。
【0114】
(システム構成例)
図15は、本開示に係る技術を適用した間接TOF方式距離画像センサのシステム構成の一例を示すブロック図である。
【0115】
図15に示すように、間接TOF方式距離画像センサ200は、センサチップ201、及び、当該センサチップ201に対して積層された回路チップ202を含む積層構造を有している。この積層構造において、センサチップ201と回路チップ202とは、ビア(VIA)やCu-Cu接続などの接続部(図示せず)を通して電気的に接続される。尚、図15では、センサチップ201の配線と回路チップ202の配線とが、上記の接続部を介して電気的に接続された状態を図示している。
【0116】
センサチップ201上には、画素アレイ部203が形成されている。画素アレイ部203は、センサチップ201上に2次元のグリッドパターンで行列状(アレイ状)に配置された複数の画素204を含んでいる。画素アレイ部203において、複数の画素204はそれぞれ、赤外光を受光し、光電変換を行ってアナログ画素信号を出力する。画素アレイ部203には、画素列毎に2本の垂直信号線VSL1,VSL2が配線されている。画素アレイ部203の画素列の数をM(Mは、整数)とすると、合計で2×M本の垂直信号線VSLが画素アレイ部203に配線されている。
【0117】
複数の画素204はそれぞれ、2つのタップA,B(その詳細については後述する)を有している。2本の垂直信号線VSL1,VSL2のうち、垂直信号線VSL1には、対応する画素列の画素204のタップAの電荷に基づく画素信号AINP1が出力され、垂直信号線VSL2には、対応する画素列の画素204のタップBの電荷に基づく画素信号AINP2が出力される。画素信号AINP1,AINP2については後述する。
【0118】
回路チップ202上には、行選択部205、カラム信号処理部206、出力回路部207、及び、タイミング制御部208が配置されている。行選択部205は、画素アレイ部203の各画素204を画素行の単位で駆動し、画素信号AINP1,AINP2を出力させる。行選択部205による駆動の下に、選択行の画素204から出力された画素信号AINP1,AINP2は、垂直信号線VSL1,VSL2を通してカラム信号処理部206に供給される。
【0119】
カラム信号処理部206は、画素アレイ部203の画素列に対応して、例えば、画素列毎に設けられた複数のアナログ-デジタル変換器(ADC)209を有する構成となっている。アナログ-デジタル変換器209は、垂直信号線VSL1,VSL2を通して供給される画素信号AINP1,AINP2に対して、アナログ-デジタル変換処理を施し、出力回路部207に出力する。出力回路部207は、カラム信号処理部206から出力されるデジタル化された画素信号AINP1,AINP2に対してCDS処理などを実行し、回路チップ202外へ出力する。
【0120】
タイミング制御部208は、各種のタイミング信号、クロック信号、及び、制御信号等を生成し、これらの信号を基に、行選択部205、カラム信号処理部206、及び、出力回路部207等の駆動制御を行う。
【0121】
(画素の回路構成例)
図16は、本開示に係る技術を適用した間接TOF方式距離画像センサ200における画素204の回路構成の一例を示す回路図である。
【0122】
本例に係る画素204は、光電変換部として、例えば、フォトダイオード2041を有している。画素204は、フォトダイオード2041に加えて、オーバーフロートランジスタ2042、2つの転送トランジスタ2043,2044、2つのリセットトランジスタ2045,2046、2つの浮遊拡散層2047,2048、2つの増幅トランジスタ2049、2050、及び、2つの選択トランジスタ2051,2052を有する構成となっている。2つの浮遊拡散層2047,2048は、図15に示すタップA,Bに相当する。
【0123】
フォトダイオード2041は、受光した光を光電変換して電荷を生成する。フォトダイオード2041については、裏面照射型の画素構造とすることができる。裏面照射型の構造については、CMOSイメージセンサの画素構造で述べた通りである。但し、裏面照射型の構造に限られるものではなく、基板表面側から照射される光を取り込む表面照射型の構造とすることもできる。
【0124】
オーバーフロートランジスタ2042は、フォトダイオード2041のカソード電極と電源電圧VDDの電源ラインとの間に接続されており、フォトダイオード2041をリセットする機能を持つ。具体的には、オーバーフロートランジスタ2042は、行選択部205から供給されるオーバーフローゲート信号OFGに応答して導通状態になることで、フォトダイオード2041の電荷をシーケンシャルに電源ラインに排出する。
【0125】
2つの転送トランジスタ2043,2044は、フォトダイオード2041のカソード電極と2つの浮遊拡散層2047,2048のそれぞれとの間に接続されている。そして、転送トランジスタ2043,2044は、行選択部205から供給される転送信号TRGに応答して導通状態になることで、フォトダイオード2041で生成された電荷を、浮遊拡散層2047,2048にそれぞれシーケンシャルに転送する。
【0126】
タップA,Bに相当する浮遊拡散層2047,2048は、フォトダイオード2041から転送された電荷を蓄積し、その電荷量に応じた電圧値の電圧信号に変換し、画素信号AINP1,AINP2を生成する。
【0127】
2つのリセットトランジスタ2045,2046は、2つの浮遊拡散層2047,2048のそれぞれと電源電圧VDDの電源ラインとの間に接続されている。そして、リセットトランジスタ2045,2046は、行選択部205から供給されるリセット信号RSTに応答して導通状態になることで、浮遊拡散層2047,2048のそれぞれから電荷を引き抜いて、電荷量を初期化する。
【0128】
2つの増幅トランジスタ2049、2050は、電源電圧VDDの電源ラインと2つの選択トランジスタ2051,2052のそれぞれとの間に接続されており、浮遊拡散層2047,2048のそれぞれで電荷電圧変換された電圧信号をそれぞれ増幅する。
【0129】
2つの選択トランジスタ2051,2052は、2つの増幅トランジスタ2049、2050のそれぞれと垂直信号線VSL1,VSL2のそれぞれとの間に接続されている。そして、選択トランジスタ2051,2052は、行選択部205から供給される選択信号SELに応答して導通状態になることで、増幅トランジスタ2049、2050のそれぞれで増幅された電圧信号を画素信号AINP1,AINP2として2の垂直信号線VSL1,VSL2に出力する。
【0130】
2の垂直信号線VSL1,VSL2は、画素列毎に、カラム信号処理回路206内の1つのアナログ-デジタル変換器209の入力端に接続されており、画素列毎に画素204から出力される画素信号AINP1,AINP2をアナログ-デジタル変換器209に伝送する。
【0131】
尚、画素204の回路構成については、光電変換によって画素信号AINP1,AINP2を生成することができる回路構成であれば、図16に例示した回路構成に限定されるものではない。
【0132】
上記の構成の間接TOF方式距離画像センサ200において、カラム信号処理部206に設けられた各アナログ-デジタル変換器209に対して、本開示に係る技術を適用することができる。すなわち、カラム信号処理部206の各アナログ―デジタル変換器209として、実施例1乃至実施例4に係る逐次比較型アナログ-デジタル変換器を用いることができる。
【0133】
[移動体への応用例]
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される撮像素子として実現されてもよい。
【0134】
図17は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システム7000の概略的な構成例を示すブロック図である。車両制御システム7000は、通信ネットワーク7010を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図17に示した例では、車両制御システム7000は、駆動系制御ユニット7100、ボディ系制御ユニット7200、バッテリ制御ユニット7300、車外情報検出ユニット7400、車内情報検出ユニット7500、及び統合制御ユニット7600を備える。これらの複数の制御ユニットを接続する通信ネットワーク7010は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexRay(登録商標)等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークであってよい。
【0135】
各制御ユニットは、各種プログラムにしたがって演算処理を行うマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータにより実行されるプログラム又は各種演算に用いられるパラメータ等を記憶する記憶部と、各種制御対象の装置を駆動する駆動回路とを備える。各制御ユニットは、通信ネットワーク7010を介して他の制御ユニットとの間で通信を行うためのネットワークI/Fを備えるとともに、車内外の装置又はセンサ等との間で、有線通信又は無線通信により通信を行うための通信I/Fを備える。図17では、統合制御ユニット7600の機能構成として、マイクロコンピュータ7610、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660、音声画像出力部7670、車載ネットワークI/F7680及び記憶部7690が図示されている。他の制御ユニットも同様に、マイクロコンピュータ、通信I/F及び記憶部等を備える。
【0136】
駆動系制御ユニット7100は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット7100は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。駆動系制御ユニット7100は、ABS(Antilock Brake System)又はESC(Electronic Stability Control)等の制御装置としての機能を有してもよい。
【0137】
駆動系制御ユニット7100には、車両状態検出部7110が接続される。車両状態検出部7110には、例えば、車体の軸回転運動の角速度を検出するジャイロセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、あるいは、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数又は車輪の回転速度等を検出するためのセンサのうちの少なくとも一つが含まれる。駆動系制御ユニット7100は、車両状態検出部7110から入力される信号を用いて演算処理を行い、内燃機関、駆動用モータ、電動パワーステアリング装置又はブレーキ装置等を制御する。
【0138】
ボディ系制御ユニット7200は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット7200は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット7200には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット7200は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0139】
バッテリ制御ユニット7300は、各種プログラムにしたがって駆動用モータの電力供給源である二次電池7310を制御する。例えば、バッテリ制御ユニット7300には、二次電池7310を備えたバッテリ装置から、バッテリ温度、バッテリ出力電圧又はバッテリの残存容量等の情報が入力される。バッテリ制御ユニット7300は、これらの信号を用いて演算処理を行い、二次電池7310の温度調節制御又はバッテリ装置に備えられた冷却装置等の制御を行う。
【0140】
車外情報検出ユニット7400は、車両制御システム7000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット7400には、撮像部7410及び車外情報検出部7420のうちの少なくとも一方が接続される。撮像部7410には、ToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ及びその他のカメラのうちの少なくとも一つが含まれる。車外情報検出部7420には、例えば、現在の天候又は気象を検出するための環境センサ、あるいは、車両制御システム7000を搭載した車両の周囲の他の車両、障害物又は歩行者等を検出するための周囲情報検出センサのうちの少なくとも一つが含まれる。
【0141】
環境センサは、例えば、雨天を検出する雨滴センサ、霧を検出する霧センサ、日照度合いを検出する日照センサ、及び降雪を検出する雪センサのうちの少なくとも一つであってよい。周囲情報検出センサは、超音波センサ、レーダ装置及びLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)装置のうちの少なくとも一つであってよい。これらの撮像部7410及び車外情報検出部7420は、それぞれ独立したセンサないし装置として備えられてもよいし、複数のセンサないし装置が統合された装置として備えられてもよい。
【0142】
ここで、図18は、撮像部7410及び車外情報検出部7420の設置位置の例を示す。撮像部7910,7912,7914,7916,7918は、例えば、車両7900のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部のうちの少なくとも一つの位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部7910及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として車両7900の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部7912,7914は、主として車両7900の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部7916は、主として車両7900の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0143】
尚、図18には、それぞれの撮像部7910,7912,7914,7916の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲aは、フロントノーズに設けられた撮像部7910の撮像範囲を示し、撮像範囲b,cは、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部7912,7914の撮像範囲を示し、撮像範囲dは、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部7916の撮像範囲を示す。例えば、撮像部7910,7912,7914,7916で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両7900を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0144】
車両7900のフロント、リア、サイド、コーナ及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7922,7924,7926,7928,7930は、例えば超音波センサ又はレーダ装置であってよい。車両7900のフロントノーズ、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7926,7930は、例えばLIDAR装置であってよい。これらの車外情報検出部7920~7930は、主として先行車両、歩行者又は障害物等の検出に用いられる。
【0145】
図17に戻って説明を続ける。車外情報検出ユニット7400は、撮像部7410に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像データを受信する。また、車外情報検出ユニット7400は、接続されている車外情報検出部7420から検出情報を受信する。車外情報検出部7420が超音波センサ、レーダ装置又はLIDAR装置である場合には、車外情報検出ユニット7400は、超音波又は電磁波等を発信させるとともに、受信された反射波の情報を受信する。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、降雨、霧又は路面状況等を認識する環境認識処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、車外の物体までの距離を算出してもよい。
【0146】
また、車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等を認識する画像認識処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに対して歪補正又は位置合わせ等の処理を行うとともに、異なる撮像部7410により撮像された画像データを合成して、俯瞰画像又はパノラマ画像を生成してもよい。車外情報検出ユニット7400は、異なる撮像部7410により撮像された画像データを用いて、視点変換処理を行ってもよい。
【0147】
車内情報検出ユニット7500は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット7500には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部7510が接続される。運転者状態検出部7510は、運転者を撮像するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体センサ又は車室内の音声を集音するマイク等を含んでもよい。生体センサは、例えば、座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座った搭乗者又はステアリングホイールを握る運転者の生体情報を検出する。車内情報検出ユニット7500は、運転者状態検出部7510から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。車内情報検出ユニット7500は、集音された音声信号に対してノイズキャンセリング処理等の処理を行ってもよい。
【0148】
統合制御ユニット7600は、各種プログラムにしたがって車両制御システム7000内の動作全般を制御する。統合制御ユニット7600には、入力部7800が接続されている。入力部7800は、例えば、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバー等、搭乗者によって入力操作され得る装置によって実現される。統合制御ユニット7600には、マイクロフォンにより入力される音声を音声認識することにより得たデータが入力されてもよい。入力部7800は、例えば、赤外線又はその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、車両制御システム7000の操作に対応した携帯電話又はPDA(Personal Digital Assistant)等の外部接続機器であってもよい。入力部7800は、例えばカメラであってもよく、その場合搭乗者はジェスチャにより情報を入力することができる。あるいは、搭乗者が装着したウェアラブル装置の動きを検出することで得られたデータが入力されてもよい。さらに、入力部7800は、例えば、上記の入力部7800を用いて搭乗者等により入力された情報に基づいて入力信号を生成し、統合制御ユニット7600に出力する入力制御回路などを含んでもよい。搭乗者等は、この入力部7800を操作することにより、車両制御システム7000に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0149】
記憶部7690は、マイクロコンピュータにより実行される各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及び各種パラメータ、演算結果又はセンサ値等を記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。また、記憶部7690は、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等によって実現してもよい。
【0150】
汎用通信I/F7620は、外部環境7750に存在する様々な機器との間の通信を仲介する汎用的な通信I/Fである。汎用通信I/F7620は、GSM(登録商標)(Global System of Mobile communications)、WiMAX、LTE(Long Term Evolution)若しくはLTE-A(LTE-Advanced)などのセルラー通信プロトコル、又は無線LAN(Wi-Fi(登録商標)ともいう)、Bluetooth(登録商標)などのその他の無線通信プロトコルを実装してよい。汎用通信I/F7620は、例えば、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク(例えば、インターネット、クラウドネットワーク又は事業者固有のネットワーク)上に存在する機器(例えば、アプリケーションサーバ又は制御サーバ)へ接続してもよい。また、汎用通信I/F7620は、例えばP2P(Peer To Peer)技術を用いて、車両の近傍に存在する端末(例えば、運転者、歩行者若しくは店舗の端末、又はMTC(Machine Type Communication)端末)と接続してもよい。
【0151】
専用通信I/F7630は、車両における使用を目的として策定された通信プロトコルをサポートする通信I/Fである。専用通信I/F7630は、例えば、下位レイヤのIEEE802.11pと上位レイヤのIEEE1609との組合せであるWAVE(Wireless Access in Vehicle Environment)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、又はセルラー通信プロトコルといった標準プロトコルを実装してよい。専用通信I/F7630は、典型的には、車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、車両と家との間(Vehicle to Home)の通信及び歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信のうちの1つ以上を含む概念であるV2X通信を遂行する。
【0152】
測位部7640は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して測位を実行し、車両の緯度、経度及び高度を含む位置情報を生成する。尚、測位部7640は、無線アクセスポイントとの信号の交換により現在位置を特定してもよく、又は測位機能を有する携帯電話、PHS若しくはスマートフォンといった端末から位置情報を取得してもよい。
【0153】
ビーコン受信部7650は、例えば、道路上に設置された無線局等から発信される電波あるいは電磁波を受信し、現在位置、渋滞、通行止め又は所要時間等の情報を取得する。尚、ビーコン受信部7650の機能は、上述した専用通信I/F7630に含まれてもよい。
【0154】
車内機器I/F7660は、マイクロコンピュータ7610と車内に存在する様々な車内機器7760との間の接続を仲介する通信インタフェースである。車内機器I/F7660は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)又はWUSB(Wireless USB)といった無線通信プロトコルを用いて無線接続を確立してもよい。また、車内機器I/F7660は、図示しない接続端子(及び、必要であればケーブル)を介して、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、又はMHL(Mobile High-definition Link)等の有線接続を確立してもよい。車内機器7760は、例えば、搭乗者が有するモバイル機器若しくはウェアラブル機器、又は車両に搬入され若しくは取り付けられる情報機器のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、車内機器7760は、任意の目的地までの経路探索を行うナビゲーション装置を含んでいてもよい。車内機器I/F7660は、これらの車内機器7760との間で、制御信号又はデータ信号を交換する。
【0155】
車載ネットワークI/F7680は、マイクロコンピュータ7610と通信ネットワーク7010との間の通信を仲介するインタフェースである。車載ネットワークI/F7680は、通信ネットワーク7010によりサポートされる所定のプロトコルに則して、信号等を送受信する。
【0156】
統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、各種プログラムにしたがって、車両制御システム7000を制御する。例えば、マイクロコンピュータ7610は、取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット7100に対して制御指令を出力してもよい。例えば、マイクロコンピュータ7610は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行ってもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行ってもよい。
【0157】
マイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、車両と周辺の構造物や人物等の物体との間の3次元距離情報を生成し、車両の現在位置の周辺情報を含むローカル地図情報を作成してもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される情報に基づき、車両の衝突、歩行者等の近接又は通行止めの道路への進入等の危険を予測し、警告用信号を生成してもよい。警告用信号は、例えば、警告音を発生させたり、警告ランプを点灯させたりするための信号であってよい。
【0158】
音声画像出力部7670は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図17の例では、出力装置として、オーディオスピーカ7710、表示部7720及びインストルメントパネル7730が例示されている。表示部7720は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。表示部7720は、AR(Augmented Reality)表示機能を有していてもよい。出力装置は、これらの装置以外の、ヘッドホン、搭乗者が装着する眼鏡型ディスプレイ等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ又はランプ等の他の装置であってもよい。出力装置が表示装置の場合、表示装置は、マイクロコンピュータ7610が行った各種処理により得られた結果又は他の制御ユニットから受信された情報を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。また、出力装置が音声出力装置の場合、音声出力装置は、再生された音声データ又は音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
【0159】
尚、図17に示した例において、通信ネットワーク7010を介して接続された少なくとも二つの制御ユニットが一つの制御ユニットとして一体化されてもよい。あるいは、個々の制御ユニットが、複数の制御ユニットにより構成されてもよい。さらに、車両制御システム7000が、図示されていない別の制御ユニットを備えてもよい。また、上記の説明において、いずれかの制御ユニットが担う機能の一部又は全部を、他の制御ユニットに持たせてもよい。つまり、通信ネットワーク7010を介して情報の送受信がされるようになっていれば、所定の演算処理が、いずれかの制御ユニットで行われるようになってもよい。同様に、いずれかの制御ユニットに接続されているセンサ又は装置が、他の制御ユニットに接続されるとともに、複数の制御ユニットが、通信ネットワーク7010を介して相互に検出情報を送受信してもよい。
【0160】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部7910,7912,7914,7916,7918や車外情報検出部7920,7922,7924,7926,7928,7930に適用され得る。そして、本開示に係る技術を適用することにより、撮像素子に用いる逐次比較型アナログ-デジタル変換器の低ノイズ化によってノイズの少ない高画質の撮影画像を得ることができるため、例えば、撮像対象を高精度にて検出可能な車両制御システムを構築できる。
【0161】
<本開示がとることができる構成>
尚、本開示は、以下のような構成をとることもできる。
【0162】
≪A.撮像素子≫
[A-1]光電変換部を含む画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する逐次比較型アナログ-デジタル変換器を備え、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、帯域制限機能を持つプリアンプを有する、
撮像素子。
[A-2]逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、
容量素子を用いてアナログ-デジタル変換後のデジタル値をアナログ値に変換して、アナログ入力電圧と比較するための比較基準とするデジタル-アナログ変換器を有し、
デジタル-アナログ変換器は、再度アナログ-デジタル変換を行うための複数の容量素子を余分に持っており、全ビットについてアナログ-デジタル変換を行った後に、再度アナログ-デジタル変換を行う、
上記[A-1]に記載の撮像素子。
[A-3]逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、
容量素子を用いてアナログ-デジタル変換後のデジタル値をアナログ値に変換して、アナログ入力電圧と比較するための比較基準とするデジタル-アナログ変換器を有し、
デジタル-アナログ変換器は、下位ビットの容量素子の一つが複数の容量素子から構成されており、全ビットについてアナログ-デジタル変換を行った後に、複数の容量素子の各々に、少なくとも第1基準電圧~第4基準電圧が選択的に与えられることで、下位ビットについて再度アナログ-デジタル変換を行う、
上記[A-1]に記載の撮像素子。
[A-4]プリアンプは、少なくとも再度アナログ-デジタル変換を行う期間で帯域制限を行う、
上記[A-2]又は上記[A-3]に記載の撮像素子。
[A-5]プリアンプは、再度アナログ-デジタル変換を行う期間でのみ帯域制限を行う、
上記[A-2]又は上記[A-3]に記載の撮像素子。
[A-6]プリアンプは、負荷の抵抗を変更することによって帯域制限を行う、
上記[A-1]乃至上記[A-5]のいずれかに記載の撮像素子。
[A-7]プリアンプは、出力の対地容量を変化させることによって帯域制限を行う、
上記[A-1]乃至上記[A-5]のいずれかに記載の撮像素子。
[A-8]プリアンプは、差動出力間に容量を追加することによって帯域制限を行う、
上記[A-1]乃至上記[A-5]のいずれかに記載の撮像素子。
[A-9]プリアンプは、出力ノードに接続された可変容量ダイオードを有し、可変容量ダイオードの容量を制御することによって帯域制限を行う、
上記[A-1]乃至上記[A-5]のいずれかに記載の撮像素子。
[A-10]プリアンプは、電流源バイアス、もしくは、駆動する電流源数を制御することによって帯域制限を行う、
上記[A-1]乃至上記[A-5]のいずれかに記載の撮像素子。
【0163】
≪B.撮像素子≫
[B-1]光電変換部を含む画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する逐次比較型アナログ-デジタル変換器を備え、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、
容量素子を用いてアナログ-デジタル変換後のデジタル値をアナログ値に変換して、アナログ入力電圧と比較するための比較基準とするデジタル-アナログ変換器を有し、
デジタル-アナログ変換器は、下位ビットの容量素子の一つが複数の容量素子から構成されており、全ビットについてアナログ-デジタル変換を行った後に、複数の容量素子の各々に、少なくとも第1基準電圧~第4基準電圧が選択的に与えられることで、下位ビットについて再度アナログ-デジタル変換を行う、
撮像素子。
[B-2]デジタル-アナログ変換器は、複数の容量素子の各々に、少なくとも第1基準電圧~第4基準電圧を順に与えるスイッチ群を、複数の容量素子毎に有する、
上記[B-1]に記載の撮像素子。
【0164】
≪C.電子機器≫
[C-1]光電変換部を含む画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する逐次比較型アナログ-デジタル変換器を備え、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、帯域制限機能を持つプリアンプを有する、
撮像素子を有する電子機器。
[C-2]逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、
容量素子を用いてアナログ-デジタル変換後のデジタル値をアナログ値に変換して、アナログ入力電圧と比較するための比較基準とするデジタル-アナログ変換器を有し、
デジタル-アナログ変換器は、再度アナログ-デジタル変換を行うための複数の容量素子を余分に持っており、全ビットについてアナログ-デジタル変換を行った後に、再度アナログ-デジタル変換を行う、
上記[C-1]に記載の電子機器。
[C-3]逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、
容量素子を用いてアナログ-デジタル変換後のデジタル値をアナログ値に変換して、アナログ入力電圧と比較するための比較基準とするデジタル-アナログ変換器を有し、
デジタル-アナログ変換器は、下位ビットの容量素子の一つが複数の容量素子から構成されており、全ビットについてアナログ-デジタル変換を行った後に、複数の容量素子の各々に、少なくとも第1基準電圧~第4基準電圧が選択的に与えられることで、下位ビットについて再度アナログ-デジタル変換を行う、
上記[C-1]に記載の電子機器。
[C-4]プリアンプは、少なくとも再度アナログ-デジタル変換を行う期間で帯域制限を行う、
上記[C-2]又は上記[C-3]に記載の電子機器。
[C-5]プリアンプは、再度アナログ-デジタル変換を行う期間でのみ帯域制限を行う、
上記[C-2]又は上記[C-3]に記載の電子機器。
[C-6]プリアンプは、負荷の抵抗を変更することによって帯域制限を行う、
上記[C-1]乃至上記[C-5]のいずれかに記載の電子機器。
[C-7]プリアンプは、出力の対地容量を変化させることによって帯域制限を行う、
上記[C-1]乃至上記[C-5]のいずれかに記載の電子機器。
[C-8]プリアンプは、差動出力間に容量を追加することによって帯域制限を行う、
上記[C-1]乃至上記[C-5]のいずれかに記載の電子機器。
[C-9]プリアンプは、出力ノードに接続された可変容量ダイオードを有し、可変容量ダイオードの容量を制御することによって帯域制限を行う、
上記[C-1]乃至上記[C-5]のいずれかに記載の電子機器。
[C-10]プリアンプは、電流源バイアス、もしくは、駆動する電流源数を制御することによって帯域制限を行う、
上記[C-1]乃至上記[C-5]のいずれかに記載の電子機器。
【0165】
≪D.電子機器≫
[D-1]光電変換部を含む画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する逐次比較型アナログ-デジタル変換器を備え、
逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、
容量素子を用いてアナログ-デジタル変換後のデジタル値をアナログ値に変換して、アナログ入力電圧と比較するための比較基準とするデジタル-アナログ変換器を有し、
デジタル-アナログ変換器は、下位ビットの容量素子の一つが複数の容量素子から構成されており、全ビットについてアナログ-デジタル変換を行った後に、複数の容量素子の各々に、少なくとも第1基準電圧~第4基準電圧が選択的に与えられることで、下位ビットについて再度アナログ-デジタル変換を行う、
撮像素子を有する電子機器。
[D-2]デジタル-アナログ変換器は、複数の容量素子の各々に、少なくとも第1基準電圧~第4基準電圧を順に与えるスイッチ群を、複数の容量素子毎に有する、
上記[D-1]に記載の電子機器。
【符号の説明】
【0166】
1・・・CMOSイメージセンサ、2,204・・・画素、11・・・画素アレイ部、12,205・・・行選択部、13・・・定電流源部、14・・・アナログ-デジタル変換部、15・・・水平転送走査部、16・・・信号処理部、17,208・・・タイミング制御部、18・・・水平転送線、21・・・フォトダイオード(光電変換部)、22・・・転送トランジスタ、23・・・リセットトランジスタ、24・・・増幅トランジスタ、25・・・選択トランジスタ、31(311~31m)・・・画素駆動線、32(321~32n)・・・垂直信号線、50・・・逐次比較型アナログ-デジタル変換器、51・・・プリアンプ、52・・・コンパレータ、53・・・SARロジック部、54,54a,54b・・・SARバイナリ容量アレイ部、55,55a,55b・・・再AD変換用容量アレイ部、56・・・スイッチマトリクス部、57・・・基準電圧生成部、58a,58b・・・リセットスイッチ、60・・・容量性DAC(デジタル-アナログ変換器)、100・・・撮像装置、200・・・間接TOF方式距離画像センサ
図1
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