(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】尿カテーテルブリッジ装置、そのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61F 5/453 20060101AFI20230919BHJP
【FI】
A61F5/453
(21)【出願番号】P 2020515648
(86)(22)【出願日】2018-09-18
(86)【国際出願番号】 US2018051550
(87)【国際公開番号】W WO2019060309
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-09-01
(32)【優先日】2017-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ブリンクリー,ミカ
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0021135(US,A1)
【文献】米国特許第04713067(US,A)
【文献】特開2007-275599(JP,A)
【文献】特開昭58-130026(JP,A)
【文献】特表2016-538018(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0238976(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/44-458
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定ループを含む可撓性の管であって、前記固定ループは、前記管を固定装置に固定させる
ために前記管に取り付けられるように構成されている、管と、
前記管の第1の端部の第1のコネクタであって、男性用外付けカテーテル(「MEC」)へと連結するように構成されている、第1のコネクタと、
前記管の第2の端部の第2のコネクタであって、前記MEC用のドレナージバッグへと連結するように構成されている、第2のコネクタと
を備えており、
前記固定ループが終端リングを備え、前記管を前記終端リングを通して配置することができ、前記管のうち
、前記管に接合または溶着される前記固定ループ
の前記終端リングによって囲まれている部分のみが、前記管を固定装置に固定させるように、または、
前記終端リングが前記管の外径と同等の内径を有し、前記終端リングと前記管との間の締り嵌めまたは摩擦により前記固定ループが前記管に配置された状態を保つことによって、前記管のうち前記固定ループ
の前記終端リングによって囲まれている部分と前記固定ループ
の前記終端リングとが、一緒に前記管を固定装置に固定させるように構成されている、ブリッジ装置。
【請求項2】
前記管が、MECの通常の使用条件下において、前記第1のコネクタとMECとの連結、および前記第2のコネクタと前記MEC用のドレナージバッグとの連結を保つのに十分な長さである、請求項1に記載のブリッジ装置。
【請求項3】
前記管が約30.48cm(約12インチ)である、請求項1または2に記載のブリッジ装置。
【請求項4】
前記固定ループが、単体で前記管を固定装置に固定させるように構成されている、請求項1から3のいずれかに記載のブリッジ装置。
【請求項5】
前記ブリッジ装置が、MECおよび前記MEC用のドレナージバッグに前記ブリッジ装置を連結してから所定の時間量が経過したことを示すように構成された視覚的インジケータを含む、請求項1から4のいずれかに記載のブリッジ装置。
【請求項6】
前記視覚的インジケータが、MECおよび前記MEC用のドレナージバッグに前記ブリッジ装置を連結する手順の1つまたは複数のステップの間に活性化されるように構成されている、請求項5に記載のブリッジ装置。
【請求項7】
前記所定の時間量が12時間である、請求項5または6に記載のブリッジ装置。
【請求項8】
前記第1のコネクタが前記視覚的インジケータを含む、請求項5から7のいずれかに記載のブリッジ装置。
【請求項9】
男性用外付けカテーテル(「MEC」)キットであって、
MECと、
前記MEC用のドレナージバッグと、
請求項1から8のいずれかに記載のブリッジ装置と
を備える、MECキット。
【請求項10】
前記MECが、前記MECキット内の異なるサイズのMECの組のうちの1つのMECである、請求項9に記載のMECキット。
【請求項11】
使用者または患者に適したMECのサイズを判定するように構成されたMECサイズ測定器と、
前記固定装置と
をさらに備える、請求項9または10に記載のMECキット。
【請求項12】
少なくとも前記MEC、前記MEC用の前記ドレナージバッグ、および前記ブリッジ装置を含む前記MECキットの内容物の周りに、滅菌可能材料のラップをさらに備える、請求項9から11のいずれかに記載のMECキット。
【請求項13】
MECを装着する前の清拭用に構成された手指消毒薬および清拭キットを前記ラップの外側にさらに備える、請求項12に記載のMECキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
[0001]本出願は、2017年9月19日出願の米国特許仮出願第62/560,513号の優先権の利益を主張し、これを参考として本出願に全体として援用する。
【背景技術】
【0002】
[0002]男性用外付けカテーテル(「MEC」)を使用するために準備するときの現在の慣行では、いくつかのサイズの中からMECを選別または選択し、清浄ワイプ、ドレナージバッグ、およびドレナージバッグ用固定装置を選別または選択する。MECサイズ測定器がMECを選択する助けになるが、MECサイズ測定器は必ずしも利用可能であるとは限らないので、通常は省略される。固定装置も必ずしも利用可能であるとは限らず、これも通常は省略される。この現在の慣行を潜在的により苛立たしいものにしているのは、指導臨床医が使用できるもの、および実際に使用するものにばらつきがあることである。標準的でない使用法により、漏れなどのMECに関する問題がしばしば生じている。
【0003】
[0003]さらに、MECをドレナージバッグに連結するときの現在の慣行では、使用者または患者が、ドレナージバッグのサンプルポートにMECを直接取り付ける。しかし、サンプルポートは、フォーリーカテーテルのような可撓性導管に連結されるように設計されている。MECがサンプルポートに直接装着されると、適当な安定化装置(たとえばStatLock(登録商標)カテーテル固定装置)でMECを固定させることができない。サンプルポートおよび管の剛直性および重量が、漏れ、連結解除、固定不良、不快感などの問題につながる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]本明細書では、前述のことに対処する尿カテーテル装置、ならびにそのシステムおよび方法を提示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本明細書では、いくつかの実施形態において、固定ループなどの固定要素を含む管と、管の第1の端部の第1のコネクタと、管の第2の端部の第2のコネクタとを含むブリッジ装置を提示する。固定ループは、管を固定装置に固定させるように構成される。第1のコネクタは、MECへと連結するように構成される。第2のコネクタは、MEC用のドレナージバッグへと連結するように構成される。
【0006】
[0006]いくつかの実施形態において、管は、MECの通常の使用条件下において、第1のコネクタとMECとの連結、および第2のコネクタとMEC用のドレナージバッグとの連結を保つのに十分な長さである。
【0007】
[0007]いくつかの実施形態では、管は約30.48cm(約12インチ)である。
[0008]いくつかの実施形態では、固定ループは、単体で管を固定装置に固定させるように構成される。
【0008】
[0009]いくつかの実施形態では、管のうち固定ループによって囲まれている部分のみが、管を固定装置に固定させるように構成される。
[0010]いくつかの実施形態では、管のうち固定ループによって囲まれている部分と固定ループとは、一緒に管を固定装置に固定させるように構成される。
【0009】
[0011]いくつかの実施形態では、ブリッジ装置は、MECおよびMEC用のドレナージバッグにブリッジ装置を連結してから所定の時間量が経過したことを示すように構成された視覚的インジケータを含む。
【0010】
[0012]いくつかの実施形態では、視覚的インジケータは、MECおよびMEC用のドレナージバッグにブリッジ装置を連結する手順の1つまたは複数のステップの間に活性化されるように構成される。
【0011】
[0013]いくつかの実施形態では、所定の時間量は12時間である。
[0014]いくつかの実施形態では、第1のコネクタが視覚的インジケータを含む。
[0015]本明細書では、いくつかの実施形態において、原材料管(stock tubing)から1本の管を切り取るステップと、1本の管の第1の端部に第1のコネクタを固定するステップと、1本の管の第2の端部に第2のコネクタを固定するステップとを含む方法も提示する。第1のコネクタはMECへと連結するように構成され、第2のコネクタはMEC用のドレナージバッグへと連結するように構成され、それにより、MECをドレナージバッグに流体連結させるブリッジ装置が形成される。
【0012】
[0016]いくつかの実施形態では、原材料管は、原材料管の全長に沿って一定間隔で固定要素を含む。原材料管から切り取られた1本の管は、複数の固定要素のうちの少なくとも1つの固定要素を含む。こうした実施形態では、複数の固定要素のうちの少なくとも1つの固定要素は、固定ループ、または1対の固定突出部である。
【0013】
[0017]いくつかの実施形態では、原材料管は、原材料管の全長に沿って固定要素を含まない。こうした実施形態では、方法は、固定ループなどの固定要素を1本の管に固定するステップをさらに含む。
【0014】
[0018]本明細書では、いくつかの実施形態において、MECと、MEC用のドレナージバッグと、MECをドレナージバッグに流体連結させるためのブリッジ装置とを含むMECキットも提示する。ブリッジ装置は、固定ループなどの固定要素を含む管と、管の第1の端部の第1のコネクタと、管の第2の端部の第2のコネクタとを含む。固定ループは、ブリッジ装置を固定装置に固定させるように構成される。第1のコネクタは、MECへと連結するように構成される。第2のコネクタは、MEC用のドレナージバッグへと連結するように構成される。
【0015】
[0019]いくつかの実施形態では、上記MECは、MECキット内の異なるサイズのMECの組のうちの1つのMECである。
[0020]いくつかの実施形態では、MECキットは、使用者または患者に適したMECのサイズを判定するように構成されたMECサイズ測定器をさらに含む。
【0016】
[0021]いくつかの実施形態では、MECキットは固定装置をさらに含む。
[0022]いくつかの実施形態では、固定ループは、単体で管を固定装置に固定させるように構成される。
【0017】
[0023]いくつかの実施形態では、管のうち固定ループによって囲まれている部分のみが、管を固定装置に固定させるように構成される。
[0024]いくつかの実施形態では、管のうち固定ループによって囲まれている部分と固定ループとが、一緒に管を固定装置に固定させるように構成される。
【0018】
[0025]いくつかの実施形態では、MECキットは、少なくともMEC、MEC用のドレナージバッグ、およびブリッジ装置を含むMECキットの内容物の周りに、滅菌可能材料のラップをさらに含む。
【0019】
[0026]いくつかの実施形態では、MECキットは、MECを装着する前の清拭用に構成された手指消毒薬および清拭キットをラップの外側にさらに含む。
[0027]本明細書では、いくつかの実施形態において、MECキットのトレイの1つまたは複数のコンパートメントにパッキングするステップと、トレイの周りに滅菌可能材料を巻き付けるステップと、外部包装材の中にトレイを封止してMECキットを形成するステップとを含む方法も提示する。1つまたは複数のコンパートメントは、MEC、MEC用のドレナージバッグ、およびMECをドレナージバッグに流体連結させるためのブリッジ装置を含むようにパッキングされる。
【0020】
[0028]いくつかの実施形態では、ブリッジ装置は、固定ループまたは固定突出部などの固定要素を含む管と、管の第1の端部の第1のコネクタと、管の第2の端部の第2のコネクタとを含む。固定ループは、ブリッジ装置を固定装置に固定させるように構成される。第1のコネクタは、MECへと連結するように構成される。第2のコネクタは、MEC用のドレナージバッグへと連結するように構成される。
【0021】
[0029]本明細書に提示する概念の上記その他の特徴は、図面、説明、および添付の特許請求の範囲を参照するとよりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】[0030]いくつかの実施形態によるブリッジ装置を含む尿カテーテルシステムを示す概略図である。
【
図2A】[0031]いくつかの実施形態によるブリッジ装置の第1の固定要素を示す概略図である。
【
図2B】[0032]いくつかの実施形態による第2の固定要素を示す概略図である。
【
図3A】[0033]いくつかの実施形態による、固定装置上の固定ループを示す概略図である。
【
図3B】[0034]いくつかの実施形態による、固定装置にロックされた固定ループを示す概略図である。
【
図4】[0035]いくつかの実施形態によるMECキットまたはその一部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0036]いくつかの特定の実施形態をより詳細に提示する前に、本明細書に提示する特定の実施形態は本明細書に提示する概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に提示する特定の実施形態は、その特定の実施形態から容易に切り離すことができかつ本明細書に提示する複数の他の実施形態のうちのいずれかの特徴と任意選択で組み合わせまたは置換することができる特徴を有する場合があることも理解されたい。
【0024】
[0037]本明細書で使用する術語に関しては、各術語はいくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、本明細書に提示する概念の範囲を限定しないということも理解されたい。別段の指示がない限り、序数(たとえば第1の、第2の、第3のなど)は、複数の特徴またはステップの群の中で互いに異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用されており、順番の限定または数的な限定を加えるものではない。たとえば、「第1の」、「第2の」、および「第3の」特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、こうした特徴またはステップを含む特定の実施形態は、これらの3つの特徴またはステップに必ずしも限定される必要はない。別段の指示がない限り、「左」、「右」、「前」、「後ろ」、「上」、「下」、「順方向」、「逆方向」、「時計回り」、「反時計回り」、「上に」、「下に」などの任意の表記、または「上部」、「下部」、「後部」、「前部」、「垂直」、「水平」、「近位」、「遠位」などの他の同様の用語は、便宜的に使用されており、たとえばいかなる特定の固定的な位置、向き、または方向も意味するものではないことも理解されたい。むしろ、こうした表記は、たとえば相対的な位置、向き、または方向を示すために使用される。内容から明らかにそうでないことが示されていなければ、「a」、「an」、および「the」という単数形は、複数形を含むということも理解されたい。
【0025】
[0038]「近位」に関しては、たとえばカテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、カテーテルのうち、カテーテルを患者に使用するときに臨床医の近くにくることを意図された部分を含む。同様に、たとえばカテーテルの「近位長さ」は、カテーテルを患者に使用するときに臨床医の近くにくることを意図されたカテーテルの長さを含む。たとえばカテーテルの「近位端部」は、カテーテルを患者に使用するときに臨床医の近くにくることを意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端部を含む場合がある。しかし、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さはカテーテルの近位端部を含む必要はない。つまり、そうでないことが文脈で提示されていなければ、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの終端部分または終端長さではない。
【0026】
[0039]「遠位」に関しては、たとえばカテーテルの「遠位部分」、または「遠位端部分」は、カテーテルのうち、カテーテルを患者に使用するときに患者の近く、または患者の体内にくることを意図された部分を含む。同様に、たとえばカテーテルの「遠位長さ」は、カテーテルを患者に使用するときに患者の近く、または患者の体内にくることを意図されたカテーテルの長さを含む。たとえばカテーテルの「遠位端部」は、カテーテルを患者に使用するときに患者の近く、または患者の体内にくることを意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端部を含む場合がある。しかし、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端部を含む必要はない。つまり、そうでないことが文脈で示されていなければ、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの終端部分または終端長さではない。
【0027】
[0040]別段の定めがない限り、本明細書に用いるすべての技術的用語および科学的用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味をもつ。
[0041]男性用外付けカテーテル(「MEC」)を使用するために準備するときの現在の慣行では、いくつかのサイズの中からMECを選別または選択し、清浄ワイプ、ドレナージバッグ、およびドレナージバッグ用の固定装置を選別または選択する。MECサイズ測定器がMECを選択する助けになるが、MECサイズ測定器は必ずしも利用可能であるとは限らないので、通常は省略される。固定装置も必ずしも利用可能であるとは限らず、これも通常は省略される。現在の慣行を潜在的により苛立たしいものにしているのは、指導臨床医が使用できるもの、および実際に使用するものにばらつきがあることである。標準的でない使用法により、漏れなどのMECに関する問題がしばしば生じている。
【0028】
[0042]さらに、MECをドレナージバッグに連結するときの現在の慣行では、使用者または患者が、ドレナージバッグのサンプルポートにMECを直接取り付ける。しかし、サンプルポートは、フォーリーカテーテルのような可撓性導管に連結されるように設計されている。MECがサンプルポートに直接装着されると、適当な安定化装置(たとえばStatLock(登録商標))でMECを固定させることができない。サンプルポートおよび管の剛直性および重量が、漏れ、連結解除、固定不良、不快感などの問題につながる場合がある。
【0029】
[0043]本明細書では、前述のことに対処する尿カテーテル装置、ならびにそのシステムおよび方法を提示する。
[0044]ここで
図1を参照すると、いくつかの実施形態によるブリッジ装置(換言すれば、連結装置)110を含む尿カテーテルシステム100を示す概略図が提示されている。図示のように、尿カテーテルシステム100は、MEC122と、MEC122用のドレナージバッグ130と、MEC122をドレナージバッグ130に流体連結させるように構成されたブリッジ装置110とを含む。
【0030】
[0045]ブリッジ装置110は、固定ループ(図示)などの固定要素118を含む1本の管(換言すれば、チューブ)112と、1本の管112の第1の端部の第1のコネクタ114と、1本の管112の第2の端部の第2のコネクタ116とを含む。固定要素118は、ブリッジ装置110を固定装置に固定させるように構成される。第1のコネクタ114はMEC122へと連結するように構成される。第2のコネクタ116はMEC122用のドレナージバッグ130へと連結するように構成される。
【0031】
[0046]1本の管112は、限定はされないがシリコーン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、低密度ポリエチレン(「LDPE」)、またはコポリマーもしくはポリマーブレンドなどのこれらの組合せなど、生体適合性ポリマーから形成された医療用グレードの1本の管である。1本の管112は、使用者にとって快適であるように構成される。したがって、1本の管112は柔軟で可撓性である。一実施形態によれば、1本の管112はフタル酸ジエチルヘキシル(「DEHP」)などの可塑剤を含まない。
【0032】
[0047]尿カテーテルシステム100などの尿カテーテルシステムの使用説明書に指示されているようなMECの通常の使用条件下では、1本の管112は、第1のコネクタ114とMECとの連結、および第2のコネクタ116とMEC用ドレナージバッグとの連結を保つのに十分な長さのものである。1本の管112の長さにより、管およびその任意の内容物の重量で引っ張られて、それらがMECから外れることが防止される。1本の管の長さは、少なくとも約7.62cm(約3インチ)、約10.16cm(約4インチ)、約12.7cm(約5インチ)、約15.24cm(約6インチ)、約17.78cm(約7インチ)、約20.32cm(約8インチ)、約22.86cm(約9インチ)、約25.4cm(約10インチ)、約27.94cm(約11インチ)、または約30.48cm(約12インチ)でもよい。別法として、1本の管の長さは、約30.48cm(約12インチ)以下、約27.94cm(約11インチ)以下、約25.4cm(約10インチ)以下、約22.86cm(約9インチ)以下、約20.32cm(約8インチ)以下、約17.78cm(約7インチ)以下、約15.24cm(約6インチ)以下、約12.7cm(約5インチ)以下、約10.16cm(約4インチ)以下、または約7.62cm(約3インチ)以下でもよい。したがって、1本の管の長さは、少なくとも22.86cm(9インチ)かつ30.48cm(12インチ)以下の長さ、またはたとえば少なくとも25.4cm(10インチ)かつ30.48cm(12インチ)以下の長さなど、少なくとも15.24cm(6インチ)かつ30.48cm(12インチ)以下の長さを含め、少なくとも7.62cm(3インチ)かつ30.48cm(12インチ)以下でもよい。身長が様々な男性、またはドレナージバッグの配置に関する好み(たとえば上腿もしくは大腿、下腿もしくは足首など)が様々な男性に対応するために、様々な管に様々な長さが使用される。
【0033】
[0048]いくつかの実施形態では、ブリッジ装置110は、MEC、MEC用ドレナージバッグ、またはこれらの両方にブリッジ装置110を連結してから所定の時間量が経過したことを示すように構成された視覚的インジケータをさらに含む。これは、所定の時間量が経過した後、MECを交換するよう使用者または患者にリマインドするのに有用である。所定の時間量は、少なくとも4時間、8時間、12時間、16時間、20時間、または24時間でもよい。所定の時間量は、24時間以下、20時間以下、16時間以下、12時間以下、8時間以下、または4時間以下でもよい。したがって、所定の時間量は、少なくとも8時間かつ16時間以下、またはたとえば約12時間など、少なくとも8時間かつ20時間以下を含め、少なくとも4時間かつ24時間以下でもよい。
【0034】
[0049]視覚的インジケータは、MEC、MEC用ドレナージバッグ、またはこれらの両方にブリッジ装置110を連結する手順の1つまたは複数のステップの間に活性化(換言すれば、作動)され、それによって所定の時間量を開始させるように構成される。活性化には、限定はされないが、ブリッジ装置110の構成要素から付着された裏打ち材料を剥がし、または構成要素上の流体充填されるブリスタを破壊して、所定の時間量が経過したことを示す識別可能な視覚的終点を生じさせる化学的移動、化学反応、またはその組合せのプロセスを開始させることが含まれ得る。たとえば、ブリッジ装置110の第1のコネクタ114が視覚的インジケータを含んでもよい。第1のコネクタ114をMECに連結する前またはその連結時に視覚的インジケータを活性化した後、所定の時間量が経過すると、視覚的インジケータは色を変化させ、それによってMECを交換するよう使用者または患者にリマインドする。
【0035】
[0050]ブリッジ装置110は、MECへと連結するように構成された第1のコネクタ114を1本の管112の第1の端部に含み、MEC用ドレナージバッグへと連結するように構成された第2のコネクタ116を1本の管112の第2の端部に含む。第1のコネクタ114および第2のコネクタ116のそれぞれは、DEHPなどの可塑剤を任意選択で含まずに、限定はされないがシリコーン、ポリウレタン、PVC、LDPE、またはコポリマーもしくはポリマーブレンドなどのこれらの組合せなど、生体適合性ポリマーから形成することができる。こうしたコネクタは、接合または溶着に適当な熱、超音波、溶剤、または接着剤を使用して、1本の管112に接合または溶着させることができる。
【0036】
[0051]
図1には、第1のコネクタ114および第2のコネクタ116がブロックの形態で示してあるが、第1のコネクタ114および第2のコネクタ116のそれぞれは、MEC122、およびMEC122用ドレナージバッグ130のそれぞれに連結するように、必要に応じて形状設定されてもよい。たとえば、第1のコネクタ114は、1本の管112の外径よりも大きい外径から、MECの先端の内径と同等かまたはそれよりも小さい外径へと先細にされてもよい。同様に、第2のコネクタ116は、1本の管112の外径よりも大きい外径から、ドレナージバッグのポートと同等かまたはそれよりも小さい外径へと先細にされてもよい。管の中間部分が製造済みドレナージバッグに既に連結されている場合、1本の管112のような管のその中間部分の上に第2のコネクタ116を装着することができるので、第2のコネクタ116は先細にされる必要がない。しかし、他の実施形態では、第2のコネクタ116は、1本の管112の外径よりも大きい外径から、管の中間部分の内径と同等かまたはそれよりも小さい外径へと先細にされてもよい。
【0037】
[0052]次に
図2Aおよび
図2Bを参照すると、いくつかの実施形態によるブリッジ装置110の第1の固定要素118a(たとえば固定ループ118a)および第2の固定要素118b(たとえば固定突出部118b)をそれぞれ示す概略図が提示されている。図示のように、ブリッジ装置110の固定要素118は、限定はされないが、固定ループ118aまたは固定突出部118bを含むことができる。固定要素118(たとえば固定突出部118b)は1本の管112と一緒に形成(たとえば型成形、押出し成形など)することができ、したがって1本の管112と一体になり得る。別法として、固定要素118は、取外し可能に、または固定的に1本の管112に取り付けられてもよい。たとえば、固定ループ118aは終端リング219を含むことができ、その各リングは、1本の管112の外径と同等かまたはそれよりも大きい内径を含む。1本の管112はリング219を通して配置され、それにより、固定ループ118aを1本の管112に取外し可能に取り付けることができる。固定要素118aを1本の管112に固定的に取り付けるために、固定ループ118aのリング219を、本明細書に述べるように接合または溶着してもよい。しかし、1本の管112の外径と同等の内径を含むリング219の場合、リング219と1本の管112との間の締り嵌めまたは摩擦により、固定ループ118aが1本の管112に配置された状態が保たれる。
【0038】
[0053]次に
図3Aおよび
図3Bを参照すると、固定装置340の上に配置され(
図3A)、また固定装置340にロック(換言すれば、係止)された(
図3B)、いくつかの実施形態によるブリッジ装置110の1本の管112および固定ループ118aを示す概略図が提示されている。図示のように、固定装置340は、少なくとも、裏面に接着剤が付いたアンカーパッド342と、蓋付きの保持具344とを含む。
図3Aおよび
図3Bの固定装置340などの固定装置は、ブリッジ装置110を固定ループ118aとともに固定させるための2つのチャネルを画定する柱346を、保持具344の基部にさらに含むことができる。2つのチャネルのうち、第1のチャネルは第2のチャネルよりも幅広でもよく、したがって、第1のチャネルは(より幅が広い)1本の管112を保持するように構成され、第2のチャネルは(より幅が狭い)固定ループ118aを保持するように構成される。
【0039】
[0054]固定装置は、ブリッジ装置を固定させるために、必ずしも保持具344の基部に柱346を含む必要はない。たとえば、固定突出部118bを備えるブリッジ装置110では固定装置340の保持具344の基部の柱346は必要とされず、保持具344の蓋が閉じられると、この固定突出部118bにより、1本の管112が保持具344を通って長手方向に動くことが制限される。というわけで、
図3Aおよび
図3Bの固定装置340では、ブリッジ装置110のような1つまたは複数の任意のブリッジ装置に様々な形で使用することができる保持具344の構成が提供される。たとえば、固定ループ118aを有するブリッジ装置110に関しては、固定ループ118aを単体で使用して、ブリッジ装置110を固定装置340に固定させてもよい。固定ループ118aは、2つのチャネルのうちのどちらかにロックすることができる。別法として、1本の管112のうち固定ループ118aによって囲まれている(encompassed)部分のみを使用して、ブリッジ装置110を固定装置340に固定させてもよい。1本の管112のこの部分は、2つのチャネルのうち、より幅が広い方のチャネルにロックすることができる。同様に、固定突出部118bを有するブリッジ装置110は、固定突出部118b同士の間に固定させることができる。しかし、少なくとも固定ループ118aを有するブリッジ装置110においては、1本の管112のうち固定ループ118aによって囲まれている部分と固定ループ118aとが柱346の周りの2つのチャネルに一緒に固定されているとき、最適な結果がもたらされる。
【0040】
[0055]次に
図4を参照すると、いくつかの実施形態によるMECキット400、またはその一部を示す概略図が提示されている。図示のように、MECキット400は、MEC122などの一組のMEC420と、ドレナージバッグ130などのMEC420用ドレナージバッグと、複数のMEC420のうちの1つのMECをドレナージバッグ130に流体連結させるためのブリッジ装置110などのブリッジ装置とを含む、MECに関連する内容物を含む。これらのMEC関連物品は、トレイの1つまたは複数のコンパートメント(換言すれば、区画)に配置される場合もあり、ラップ組立体の1つまたは複数のポケットに配置される場合もある。
【0041】
[0056]一組のMEC420は、異なるタイプのMECの組、異なるサイズのMECの組、またはそれらの組合せを含む。たとえば、一組のMEC420は、単一のタイプのMECで、最も一般的なサイズの複数のMECを含む。MECキット400は、使用者または患者に適したMECのサイズを判定するように構成されたMECサイズ測定器またはMECサイズ測定ホイール450をさらに含んでもよい。
【0042】
[0057]本明細書に述べるように、ブリッジ装置110は、
図4のMECキット400に示されているブリッジ装置110の固定ループ118aなど、固定要素118を含む1本の管112を含む。固定ループ118aは、いくつかの実施形態ではMECキット400に含まれる固定装置340などの固定装置に、ブリッジ装置110を固定させるように構成される。こうした実施形態では、固定装置はStatLock(登録商標)フォーリー安定化装置(C.R.Bard,Inc.、Murray Hill、New Jersey、USA)などでもよい。固定装置340を接着するために使用者または患者の準備を整えるためのアルコール消毒剤、皮膚保護剤パッドなども、MECキット400に含まれる場合がある。
【0043】
[0058]MECキット400を含むMECパッケージは、一組のMEC420、ドレナージバッグ130、およびブリッジ装置110を含むMECキット400の内容物の周りに、滅菌可能材料のラップ(たとえばセントラルサプライルーム[「CSR」]ラップ)を含む。こうした内容物がトレイの1つまたは複数のコンパートメントに入っている場合、滅菌可能材料をトレイの周りに巻き付けることができる。こうした内容物がラップ組立体の1つまたは複数のポケットに入る場合、任意のポケットを含むラップ組立体を滅菌可能材料で作成することができる。こうしたラップ組立体は、MECキット400の内容物の周りに巻かれてもよい。MECパッケージは、滅菌可能ラップの外側であるがMECパッケージの外部包装材の内部に封止されるように、消毒薬および清拭キットをさらに含んでもよい。消毒薬および清拭キットは、MECを着用する前の使用者または患者の清拭用に構成される。
方法
[0059]ブリッジ装置110は、原材料管から1本の管112を切り取り、1本の管112の第1の端部に第1のコネクタ114を固定し、1本の管112の第2の端部に第2のコネクタ116を固定することによって形成することができる。原材料管は、原材料管の全長に沿って一定間隔で固定要素(たとえば固定ループ118a、固定突出部118b)を含むことができる。こうした原材料管から切り取られた1本の管112は、複数の固定要素のうちの少なくとも1つの固定要素118を含む。こうした実施形態では、複数の固定要素のうちの少なくとも1つの固定要素118は、固定ループ118a、または1対の固定突出部118bである。別法として、原材料管は、原材料管の全長のどこにも固定要素を含まない。こうした原材料管から切り取られた1本の管112は、いかなる固定要素も持たない。こうした実施形態では、固定要素は、本明細書に述べるように取外し可能に、または固定的に1本の管112に取り付けられる。
【0044】
[0060]MECキット400を含むMECパッケージは、MECキットのトレイの1つまたは複数のコンパートメント、またはラップ組立体のもう1つのポケットに、一組のMEC420、ドレナージバッグ130およびブリッジ装置110を含むがこれらに限定はされない、本明細書に述べるMECに関連する内容物をパッキングすることによって形成することができる。MECキット400がトレイを含む場合、内容物を含むトレイの周りに滅菌可能材料を巻き付けることができる。MECキット400が、それ自体が滅菌可能材料であるラップ組立体を含む場合、MECキット400の内容物の周りにラップ組立体を巻くことができる。トレイまたはラップ組立体は外部包装材の中に配置され、消毒薬および清拭キットは、外部包装材の内側であるが、トレイの周りの滅菌可能材料またはラップ組立体の滅菌可能材料の外側に配置され、外部包装材の内容物は外部包装材の中で滅菌され(たとえば滅菌可能ガスで滅菌され)、MECパッケージは封止される。
【0045】
[0061]前述のことに鑑みると、ブリッジ装置110の実施形態は、MEC122などのMECとドレナージバッグ130などのドレナージバッグのサンプルポートとを流体連結させて、サンプルポートおよび任意の中間のPVC管に向かって尿を排出している間にMEC122がより容易に、かつよりフレキシブルに動くことを可能にするために提供される。ブリッジ装置110は、固定されている間にピストン運動することを防止する固定ループ118aなどの固定要素を備えた、たとえば適当なStatLock(登録商標)装置による固定を可能にする部分を含む。ブリッジ装置110は、MEC122に連結されるとある時間期間(たとえば12時間)後に色を変化させてMECを交換する時間であることを示すインジケータも有する。
【0046】
[0062]ブリッジ装置110は、MEC122とドレナージバッグ130のサンプルポートとの間の可撓性を有するブリッジ部として機能して、本明細書に述べるようないくつかの問題を軽減する。ブリッジ装置110の長さ(たとえば30.48cm(12インチ))により、MEC122が外れることなしに、患者からより遠く離れたところにサンプルポートを配置することが可能になり、また管の重量でMEC122が引っ張られることが防止される。固定ループ118aを用いると、StatLock(登録商標)装置が旋回することを可能にしながらブリッジ装置110は前後に摺動(すなわちピストン運動)しないように、ブリッジ装置110をStatLock(登録商標)安定化装置に、その二股ホルダまたは保持具のあたりで連結させることが可能になる。繰り返すが、MEC122へと連結するブリッジ装置110の端部はインジケータをそこに有することができ、それにより、ブリッジ装置110とMEC122の両方が互いに連結されると、約12時間後に色が変化して、MEC122を交換するリマインダとして機能することになる。
【0047】
[0063]さらに、前述のことに鑑みると、MECキット400の実施形態は、簡単に使用できる1つのキットの中に、MECを使用するためのMECに関連する内容物を含む。最も一般的に使用されているMECのサイズを利用可能にするために、一組のMEC(たとえば3つのMEC)がMECキット400の中に含まれる。他の内容物には、大型の事前清浄ワイプ、StatLock(登録商標)安定化装置、ブリッジ装置110、およびMECサイズ測定器450が含まれる。
【0048】
[0064]MECキット400は、本明細書に述べるような一定の苛立ちを軽減し、MECを使用するための最良の実施を集約する。また、MECキット400は、MECに関連する構成要素の標準的なセットを臨床医に使用させ、また看護師の指導を容易にし、能力を向上させる標準化された指示を臨床医に使用させることにより、MECの実施を標準化する。MECキット400は、CSRラップの外側に、患者の鼠径部を事前に洗浄する(MEC接着剤が適切に貼り付くことを可能にする)ためのワイプのセットを含んでもよい。MECキット400の内部には、たとえばフォーリーキットにMECを連結するブリッジ装置110が存在する。一組のMEC420により、看護師がMECキット400から離れる必要なしに最適なサイズのMECを選択することが可能になる。MECキット400の中にあるMEC420は、包装材の中で別々に封止されていない。したがって、臨床医は、汚染されている可能性のあるMECを、後で使うために残しておくことはできない。安全対策として、余分なMECはMECキット400の包装材とともに処分されるべきである。MECキット400の内部のラベルがMEC装着プロセスの各ステップにおいて臨床医をガイドし、短い説明により、ブリッジ装置110が何をするかについての手引きが臨床医に与えられる。
【0049】
[0065]本明細書ではいくつかの特定の実施形態を提示し、またこれら特定の実施形態をいくらか詳細に提示してきたが、これら特定の実施形態は、本明細書に提示される概念の範囲を限定するものではない。当業者にはさらなる改変形態および/または修正形態が明らかである場合があり、より広い態様では、これらの改変形態および/または修正形態も包含される。したがって、本明細書に提示する概念の範囲から逸脱しない限り、本明細書に提示される特定の実施形態からの逸脱がなされてもよい。