(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】パラフィンを製造する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 5/03 20060101AFI20230919BHJP
C07C 9/14 20060101ALI20230919BHJP
C07C 7/04 20060101ALI20230919BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230919BHJP
【FI】
C07C5/03
C07C9/14
C07C7/04
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2020531653
(86)(22)【出願日】2018-11-09
(86)【国際出願番号】 KR2018013598
(87)【国際公開番号】W WO2019135484
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】10-2018-0000292
(32)【優先日】2018-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】515215276
【氏名又は名称】エスケー ジオ セントリック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ソン スンレル
(72)【発明者】
【氏名】チェ ジスン
(72)【発明者】
【氏名】パク チャンセム
(72)【発明者】
【氏名】パク ヒョスン
(72)【発明者】
【氏名】ソン インヒョプ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ウスン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ジェスク
(72)【発明者】
【氏名】チョ デヒュン
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-508404(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0247298(US,A1)
【文献】特表2009-520104(JP,A)
【文献】特開平01-258628(JP,A)
【文献】特開平10-324879(JP,A)
【文献】国際公開第2010/053022(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/204476(WO,A1)
【文献】特開2007-269885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 5/03
C07C 9/14
C07C 7/04
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン単量体を遷移金属触媒の存在下でオリゴマー化反応させるステップを含む直鎖状αオレフィン(linear alpha olefin、LAO)の製造工程によって、分岐状オレフィン(Branched olefin)60~95モル%、直鎖状内部オレフィン(Linear internal olefin)1~20モル%、および残部としてその他の副産物成分、を含む副産物を生成するステップと、前記副産物を含むフィードを提供するステップと、前記フィードを水素化(hydrogenation)するステップと、を含むパラフィンの製造方法
であって、
前記オレフィン単量体はエチレンまたはプロピレンであり、
前記その他の副産物成分はn-パラフィンおよびナフテンを含み、かつ
前記水素化は、アルミナ(Al
2
O
3
)、シリカ(SiO
2
)、チタニア(TiO
2
)、ジルコニア(ZrO
2
)、ゼオライト、粘土材料またはこれらの組み合わせである担体に金属触媒が担持された形態の触媒を使用して行われる、パラフィンの製造方法。
【請求項2】
前記フィードを直接水素化する、請求項1に記載のパラフィンの製造方法。
【請求項3】
前記分岐状オレフィンがC4~C20の分岐状オレフィンである、請求項1に記載のパラフィンの製造方法。
【請求項4】
前記水素化するステップはトリクルベッド反応器(trickle bed reactor)で行う、請求項1に記載のパラフィンの製造方法。
【請求項5】
前記フィードは液相で反応器に流入され、フィードが流入される空間速度(space velocity、SV)が0.1~4h
-1である、
請求項4に記載のパラフィンの製造方法。
【請求項6】
前記
金属触媒は、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテチウム(Lu)、およびこれらのうち2つ以上を含む合金から選択さ
れ、前記水素化するステップは、100~200℃の温度および10~100kg/cm
2gの圧力下で行う、請求項1に記載のパラフィンの製造方法。
【請求項7】
前記水素化するステップの後に、製造されたパラフィンを分離するステップをさらに含む、請求項1に記載のパラフィンの製造方法。
【請求項8】
前記水素化するステップの後に、製造されたパラフィンからイソパラフィンを分離するステップをさらに含む、請求項1に記載のパラフィンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラフィンを製造する方法に関し、より詳細には、直鎖状αオレフィンの製造工程の副産物からパラフィンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレンは、その生産量および消費量が国家の化学産業規模の判断指標となる程、化学産業の基礎原料として用いられている原料である。通常、エチレンは、ポリエチレンなどの重合体を製造する単量体として用いられており、場合によっては、重合度を調節して約C4~C40の炭素長(または鎖)を有する直鎖状αオレフィン(Linear Alpha Olefin、LAO)を製造し、種々の化学物質の製造に用いられている。
【0003】
かかる直鎖状αオレフィンの製造工程では、副産物として分岐状オレフィン(Branched olefin)、直鎖状内部オレフィン(Linear internal olefin)、イソパラフィン(iso-paraffin)、ノルマルパラフィン(n-paraffin)、ナフテン(naphthene)が生成される。これらは燃料として活用可能であるが、その価値が非常に低い。
【0004】
そこで、直鎖状αオレフィンの製造工程の副産物を高付加価値化するための方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一態様は、直鎖状αオレフィンの製造工程の副産物を高い転換率でパラフィンに転換することで、副産物を高付加価値化して経済性を改善することができるパラフィンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、分岐状オレフィン(Branched olefin)30~100モル%、直鎖状内部オレフィン(Linear internal olefin)0~50モル%、および残部としてその他の副産物を含むフィードを提供するステップと、前記フィードを水素化(hydrogenation)するステップと、を含むパラフィンの製造方法を提供する。
【0007】
本発明の一態様に係るパラフィンの製造方法は、フィードを直接水素化してもよい。
【0008】
フィードは、分岐状オレフィン(Branched olefin)60~95モル%と、直鎖状内部オレフィン(Linear internal olefin)1~20モル%と、を含んでもよい。
【0009】
その他の副産物は、イソパラフィン(iso-paraffin)、ノルマルパラフィン(n-paraffin)、ナフテン(naphthene)、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0010】
分岐状オレフィンは、C4~C20の分岐状オレフィンであってもよい。
【0011】
水素化するステップは、トリクルベッド反応器(trickle bed reactor)で行ってもよい。
【0012】
フィードは液相で反応器に流入され、フィードが流入される空間速度(space velocity、SV)は0.1~4h-1であってもよい。
【0013】
水素化するステップは、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテチウム(Lu)、およびこれらのうち2つ以上を含む合金から選択される金属触媒下で、100~200℃の温度および10~100kg/cm2gの圧力下で行ってもよい。
【0014】
水素化するステップの後に、製造されたパラフィンを分離するステップをさらに含んでもよい。
【0015】
水素化するステップの後に、製造されたパラフィンからイソパラフィンを分離するステップをさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様に係るパラフィンの製造方法によると、直鎖状αオレフィンの製造工程の副産物を高い転換率でパラフィンに転換することができ、副産物の高付加価値化が可能である。
【0017】
また、直鎖状αオレフィンの製造工程の副産物に多量の分岐状オレフィンが含まれているため、それらをパラフィンに転換することで、様々な分野で用いられる商用化学製品であるイソパラフィン溶媒が生産可能であり、副産物の高付加価値化の効果が極大化されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一態様に係るイソパラフィンの製造方法の例示的なフローチャートである。
【
図2】本発明の一態様において、直鎖状αオレフィンの製造工程10をより詳細に示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
他に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術および科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって共通的に理解される意味で使用される。明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時に、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、単数の形態は、文で特に言及しない限り複数の形態も含む。
【0020】
本明細書の全体において、「パラフィン」とは、特に他に定義しない限り、C4~C50の飽和炭化水素を意味する。
【0021】
本発明の一態様は、直鎖状αオレフィンの製造工程の副産物からパラフィンを製造する方法であって、直鎖状αオレフィンの製造工程の副産物を水素化(hydrogenation)するステップを含むパラフィンの製造方法を提供する。
【0022】
上述のように、直鎖状αオレフィンの製造工程では、副産物として、分岐状オレフィン(Branched olefin)、直鎖状内部オレフィン(Linear internal olefin)、イソパラフィン(iso-paraffin)、ノルマルパラフィン(n-paraffin)、ナフテン(naphthene)が生成されるが、これらは燃料として活用可能であるものの、その価値が非常に低いため、これらを高付加価値化する必要がある。
【0023】
本発明の一態様に係るパラフィンの製造方法によると、かかる直鎖状αオレフィンの製造工程の副産物をフィードとし、水素化工程によりパラフィンとして製造することで、副産物の高付加価値化が可能である。
【0024】
具体的に、直鎖状αオレフィンの製造工程の副産物は、副産物の総100モル%に対して、分岐状オレフィン30~100モル%、直鎖状内部オレフィン0~50モル%、およびイソパラフィン、ノルマルパラフィン、ナフテンなどを含むその他の副産物0~30モル%を含んでもよい。
【0025】
より具体的に、分岐状オレフィンを40~95モル%、50~95モル%、または60~95モル%で含んでもよく、直鎖状内部オレフィンを1~40モル%、1~30モル%、または1~20モル%で含んでもよく、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、ナフテンなどを含むその他の副産物を残部として含んでもよい。
【0026】
このような直鎖状αオレフィンの製造工程の副産物を水素化してパラフィンを製造し、製造された分岐状のイソパラフィンおよび直鎖状のパラフィン製品を様々な産業分野の原材料として使用可能であるため、副産物の高付加価値化が可能である。
【0027】
このように製造されたパラフィンは、非常に様々な分野で使用可能な材料であるため、直鎖状αオレフィンの製造工程の副産物を燃料として用いる場合に比べて、高付加価値化が可能である。
【0028】
さらに、分岐状オレフィン副産物には、C4~C20、より具体的には、C6~C20の分岐状オレフィンが含まれ得るが、このような分岐状オレフィンの水素化により製造されたイソパラフィン溶媒は、接着剤、ペイント、コーティング剤、反応溶媒、農芸化学分野などの様々な分野で活用される商用化学製品として、さらなる高付加価値化を可能とする。
【0029】
本発明の一態様に係るパラフィンの製造方法における水素化するステップにおいて、直鎖状αオレフィンの製造工程の副産物を直接水素化してもよい。
【0030】
ここで、「直接水素化する」とは、直鎖状αオレフィンの製造工程で発生した副産物を、異性化(isomerization)などのように化学反応が起こるような追加処理する工程なしに、発生した副産物そのものに対して水素化ステップを行うことを意味する。
【0031】
上述のように、直鎖状αオレフィンの製造工程の副産物には、分岐状オレフィンが30モル%以上、より具体的には、40モル%以上、50モル%以上、または60モル%以上と多量で含まれており、直鎖状内部オレフィンが50モル%以下、より具体的には、40モル%以下、30モル%以下、または20モル%以下で含まれているため、別の異性化工程なしに直ちに水素化することで、さらなる高付加価値化が可能であり、産業において直接使用可能なイソパラフィン製品を製造することができる。
【0032】
本発明の一態様において、水素化工程の前に、化学反応が起こらない単なる分離工程などにより直鎖状内部オレフィンを分離除去することを除くわけではないことは言うまでもない。
【0033】
本発明の一態様に係るパラフィンの製造方法において、水素化するステップは、水素化触媒下で、100~200℃の温度および10~100kg/cm2gの圧力下で行ってもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0034】
また、水素化するステップは、特定反応器の形態に限定されず、回分式反応器(batch reactor)、連続槽型反応器(continuous stirred tank reactor、CSTR)、連続管型反応器(continuous plug flow reactor、PFR)、固定床反応器(fixed bed reactor)、トリクルベッド反応器(trickle bed reactor)などの種々の反応器を用いて行ってもよい。
【0035】
水素化するステップの具体的な一態様としては、例えば、反応器内に供給される水素により上述の圧力が維持されている、触媒が充填された反応器に、直鎖状αオレフィンの製造工程の副産物を液相で連続して注入することで水素化してもよいが、これに制限されない。
【0036】
より具体的な一態様として、液状の直鎖状αオレフィンの製造工程の副産物を、触媒および水素が充填されたトリクルベッド反応器に向流または並流方向に連続して注入することで水素化することができる。トリクルベッド反応器は、充填された触媒と液状の副産物との優れた接触が可能であるため、反応効率が高い利点がある。
【0037】
また、必要に応じて、2器以上の反応器を備えてもよいが、これは一例示にすぎず、本発明を制限する趣旨ではない。
【0038】
ここで、液状の副産物が流入される空間速度(space velocity、SV)は、0.1~4h-1であり、より具体的には、0.5~3h-1、または1~2h-1であってもよい。本明細書において、副産物の空間速度は、副産物の流入流量(m3/h)を反応器内の反応容積(m3)で除して計算可能であり、反応容積は、反応器内の触媒が充填された空間を除いた、副産物が流れ得る空間を意味する。このような範囲である場合、水素化反応効率が高く、イソパラフィンの収率が増加することができる。
【0039】
水素化触媒としては、より具体的に、触媒活性を助ける担持体に金属触媒が担持された形態の触媒を用いてもよい。
【0040】
ここで、金属触媒は、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテチウム(Lu)、または白金-パラジウム合金のようなこれらのうち2つ以上を含む合金であってもよく、担持体は、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、チタニア(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)、ゼオライト、クレー材料、またはこれらの組み合わせ物であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0041】
また、担持体に担持される金属触媒の担持量は、一例示として、金属触媒が担持体に担持された触媒100重量%に対して、10~40重量%、より具体的には15~30重量%であってもよい。
【0042】
本発明の一態様に係るパラフィンの製造方法は、水素化するステップの後に、製造されたパラフィンを分離するステップをさらに含んでもよい。
【0043】
本ステップは、直鎖状αオレフィンの製造工程の副産物を水素化してパラフィンを製造した後、得られた生成物中に含まれている直鎖状αオレフィン製造工程の残留反応物、触媒などの反応添加剤、反応終結のための触媒不活性化剤、および水素化ステップの残留反応物、触媒などの反応添加剤などから、製造されたパラフィンを分離するステップである。
【0044】
本ステップを行う具体的な方法は、製造されたパラフィンが分離可能であれば特定方式に限定されず、工程の態様に応じて、蒸留、吸着、結晶化、抽出、またはこれらの組み合わせから適宜選択できる。
【0045】
また、本発明の一態様に係るパラフィンの製造方法は、水素化するステップの後に、製造されたパラフィンからイソパラフィンを分離するステップをさらに含んでもよい。
【0046】
本ステップは、直鎖状パラフィンなどとイソパラフィンが混合されているパラフィン生成物から、より高付加価値化が可能なイソパラフィンを分離するステップである。
【0047】
本ステップを行う具体的な方法は、製造されたイソパラフィンが分離可能であれば特定方式に限定されず、工程の態様に応じて、蒸留、吸着、結晶化、抽出、またはこれらの組み合わせから適宜選択できる。
【0048】
また、上述の水素化するステップの後に製造されたパラフィンを分離するステップ、および水素化するステップの後に製造されたパラフィンからイソパラフィンを分離するステップの順序は特定の順序に限定されず、先ず製造されたパラフィンを分離した後、細かくイソパラフィンを分離する順に行ってもよく、先ずイソパラフィンを分離した後、分離したイソパラフィンをさらに精製するために追加の精製工程を行う方式により行ってもよい。
【0049】
図1は、本発明の一態様に係るイソパラフィンの製造方法の例示的なフローチャートである。以下、
図1を参照して本発明をさらに説明する。但し、本発明が
図1の工程態様に限定されるものではない。
【0050】
直鎖状αオレフィンの製造工程10の副産物として、上述の含量を有する液状の副産物を水素化工程20に投入する。水素化工程20で副産物が水素化され、イソパラフィンが製造される。その後、製造されたイソパラフィン含有反応生成物はイソパラフィン精製工程30に導入され、反応生成物中のパラフィンおよび/またはイソパラフィンを分離する工程を経て、最終的に製品化される。水素化工程20およびイソパラフィン精製工程30の具体的な態様は上述のとおりである。
【0051】
図2は、本発明の一態様において、直鎖状αオレフィンの製造工程10をより詳細に示した模式図である。これを参照し、直鎖状αオレフィンの製造工程10の例示的な態様を説明する。
【0052】
先ず、直鎖状αオレフィンの製造工程10のプラントは、オリゴマー化が行われる直鎖状αオレフィン製造反応器40と、直鎖状αオレフィン製造反応器40にオレフィンおよび触媒組成物を注入するための注入ライン50と、直鎖状αオレフィン製造反応器40からオリゴマー化反応生成物を流出させるための流出ライン60と、流出ライン60に触媒不活性化剤を投入するための触媒不活性化剤注入ライン70と、オリゴマー化反応生成物を分離するための蒸留器80と、流出ライン60を介して排出される流出物中の未反応オレフィンを再循環させるための再循環ライン90と、を含み、この際、触媒組成物は、後述のオレフィンオリゴマー化触媒組成物であって、遷移金属供給源およびヘテロ原子リガンド、またはこれらから製造されたオリゴマー化遷移金属触媒、助触媒、および溶媒を含んでもよい。
【0053】
直鎖状αオレフィン製造反応器40は、回分式反応器、半回分式反応器、および連続式反応器を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0054】
蒸留器80は、特定形態の蒸留器に限定されず、蒸留塔の段数は、必要に応じて調節可能である。蒸留方式も特定の蒸留方式に限定されず、必要に応じて適切な蒸留方法を採用することができる。一例示として、Bottom reboiler(BTM reboiler)およびOver head condenser(OVHD condenser)を含み、段数が50段以上100段以下である複数の蒸留塔を利用することができる。
【0055】
また、
図2には示していないが、触媒不活性化剤として、後述の25℃、1気圧(atm)で気体状態である酸素含有無機物を用いる場合、再循環ライン90上に吸着塔(不図示)をさらに備えてもよい。これにより、未反応オレフィンの再循環時に、未反応触媒不活性化剤の殆どを吸着により除去することができる。
【0056】
吸着塔(不図示)としては、触媒不活性化剤に含まれている、25℃、1気圧(atm)で気体状態である酸素含有無機物を吸着できる吸着剤が充填された吸着塔を用いてもよい。吸着塔の数は必要に応じて調節可能であり、特に制限されない。吸着剤の非限定的な例示として、酸素含有無機物の吸着除去が可能な吸着剤として、金属酸化物またはゼオライト吸着剤を採用することができ、具体的な例示としては、CuO、Cu2Oなどの銅酸化物、またはゼオライト4A(Zeolite 4A)を採用することができる。
【0057】
本発明の具体的なパラフィンの製造態様において、直鎖状αオレフィンの製造工程10から水素化工程20に投入される副産物は、直鎖状αオレフィンの製造工程10の直鎖状αオレフィン製造反応器40から直接得られるものであってもよく、蒸留器80で1-ヘキセン、1-オクテンなどの一部製品を蒸留により回収した後に残った副産物であってもよい。より好ましくは、1-ヘキセン、1-オクテンなどの一部製品を蒸留により回収した後に残った副産物であってもよく、高付加価値化が可能な製品を先に分離した後、分岐状αオレフィンを多量で含有する残りの副産物から本発明の一態様に従ってイソパラフィンを製造する場合、全体工程の高付加価値化がさらに極大化されるので好ましい。
【0058】
以下、本発明の一態様に係るパラフィンの製造時に用いられる副産物の出処である直鎖状αオレフィンの製造工程についてより詳細に説明する。但し、これは一例示にすぎず、本発明が必ずしもこれに限定されるものではない。
【0059】
直鎖状αオレフィンの製造工程は、オレフィン単量体を、遷移金属触媒、助触媒、および溶媒の存在下でオリゴマー化反応させるステップを含んでもよい。
【0060】
溶媒は不活性溶媒であってもよい。すなわち、オリゴマー化遷移金属触媒、助触媒、および触媒不活性化剤と反応しない任意の不活性溶媒が使用可能であり、不活性溶媒は脂肪族炭化水素を含んでもよい。脂肪族炭化水素は飽和脂肪族炭化水素であって、CnH2n+2(この際、nは1~15の整数)で表される直鎖状の飽和脂肪族炭化水素、CmH2m(この際、mは3~8の整数)で表される指環族飽和脂肪族炭化水素、およびこれらの炭素原子数1~3の低級アルキル基が1つまたは2つ以上置換された飽和脂肪族炭化水素を含む。これらの具体的な例としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノネン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、2,2-ジメチルペンタン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、3,3-ジメチルペンタン、2,2,4-トリメチルペンタン、2,3,4-トリメチルペンタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、2,2-ジメチルヘキサン、2,4-ジメチルヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン、3,4-ジメチルヘキサン、2-メチルヘプタン、4-メチルヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、1,4-ジメチルシクロヘキサン、および1,2,4-トリメチルシクロヘキサンから選択される1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
オリゴマー化反応ステップにおける反応温度は、0~200℃の温度、具体的には15~130℃の温度、より具体的には40~100℃の温度で行ってもよいが、これらに制限されるものではない。反応圧力は、大気圧~500barの圧力で、具体的には大気圧~100bar、より具体的には大気圧~80barの圧力で行ってもよいが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0062】
遷移金属触媒としては、自ら製造して用いてもよく、商業的に販売されているオリゴマー化触媒を用いてもよく、遷移金属触媒を製造できる構成成分、すなわち、遷移金属供給源およびヘテロ原子リガンドを用いてもよい。
【0063】
本発明の一態様による遷移金属供給源は、遷移金属無機塩、遷移金属有機塩、遷移金属配位化合物、または遷移金属と有機金属の複合体であってもよい。遷移金属供給源の遷移金属は、4族、5族、または6族の遷移金属であってもよく、具体的に、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、タンタル、バナジウム、またはジルコニウムであってもよく、好ましくはクロムであってもよい。
【0064】
遷移金属供給源は、一例として、遷移金属および種々の有機リガンドと結合することができ、かかる有機リガンドは、下記構造から選択されるものであってもよい。
【0065】
【化1】
(R
41~R
45は、それぞれ独立して、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、または置換されたヘテロヒドロカルビルである。)
【0066】
有機リガンドは、好ましくは、下記化学式2で表されるアセチルアセトネート系リガンドであってもよい。
【0067】
[化学式2]
【化2】
(化学式2中、
R
46~R
48は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、(C6-C20)アリール、(C6-C20)アル(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルキル、ハロ(C1-C10)アルキル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルケニル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルキニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリールオキシ、(C1-C10)アルキルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルケニルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルキニルカルボニルオキシ、(C3-C7)シクロアルキル、(C1-C10)アルキルシリル、(C2-C10)アルケニルシリル、フッ素が置換された(C2-C10)アルキニルシリル、(C6-C20)アリールシリル、(C3-C20)ヘテロアリール、または5員~7員のヘテロシクロアルキルであり;
R
46~R
48のアリール、アルアルキル、アルキル、アルアルケニル、アルケニル、アルアルキニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルは、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリール、(C6-C20)アリールオキシ、およびハロゲンから選択される1つ以上でさらに置換されてもよい。)
【0068】
好ましくは、化学式2中、R46およびR47は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、またはハロ(C1-C10)アルキルであってもよく、R48は、水素、または(C1-C10)アルキルであってもよい。
【0069】
本発明の一実施形態に係る化学式2のアセチルアセトネート系リガンドは、下記構造から選択されてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0070】
【0071】
遷移金属供給源の具体例として、遷移金属がクロムである場合、クロム(III)アセチルアセトネート、クロム(III)クロリド、クロム(III)ナフテネート、クロム(III)2-エチルヘキサノエート、クロム(III)アセテート、クロム(III)2,2,6,6-テトラメチルヘプタジオネート、クロム(III)オクタノエート、およびクロムヘキサカルボニルから選択される1つまたは2つ以上であってもよく、好ましくは、クロム(III)アセチルアセトネートまたはクロム(III)クロリドであってもよい。
【0072】
好ましくは、本発明の一実施形態に係るヘテロ原子リガンドは、(R)nB-C-D(R)mであってもよい。ここで、BおよびDは、独立して、リン、ヒ素、アンチモン、酸素、ビスマス、硫黄、セレン、および窒素から選択される何れか1つであり、Cは、BとDとの間の連結基であり、Rは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、および置換されたヘテロヒドロカルビル基から選択されるものであり、nおよびmはそれぞれ、BまたはDの各原子価および酸化状態によって決定されるものであってもよい。好ましくは、BおよびDは、独立してリンであり、Cは、BとDとの間の連結基であって、アルキレンまたはN(R´)(ここで、R´はアルキルである。)であってもよく、Rは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、および置換されたヘテロヒドロカルビル基から選択されるものであり、nおよびmはそれぞれ、BまたはDの各原子価および酸化状態によって決定されるものであってもよい。
【0073】
ヘテロ原子リガンドは、下記化学式3で表されるP-C-C-P骨格構造、または化学式4で表されるP-N-P骨格構造を有するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0074】
【0075】
[化学式4]
【化5】
(化学式3および4中、
R
51~R
54は、それぞれ独立して、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、または置換されたヘテロヒドロカルビルであり;
R
55およびR
56は、それぞれ独立して、ヒドロカルビルまたは置換されたヒドロカルビルであるか、R
55とR
56は、互いにヒドロカルビレン、置換されたヒドロカルビレン、ヘテロヒドロカルビレン、または置換されたヘテロヒドロカルビレンを介して結合されて環を形成してもよい。)
【0076】
化学式3および4中、R51~R54は、それぞれ独立して、(C6-C20)アリール、(C6-C20)アル(C1-C10)アルキル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルケニル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリールオキシ、(C1-C10)アルコキシカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルケニルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニルアミノ、(C2-C10)アルケニルカルボニルアミノ、(C2-C10)アルキニルカルボニルアミノ、(C3-C7)シクロアルキル、チオ(C1-C10)アルキル、チオ(C2-C10)アルケニル、チオ(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルキルシリル、(C2-C10)アルケニルシリル、(C2-C10)アルキニルシリル、(C6-C20)アリールシリル、(C3-C20)ヘテロアリール、5員~7員のヘテロシクロアルキル、または-NR61R62であり、R61およびR62は、それぞれ独立して、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C6-C20)アリール、ジ(C1-C10)アルキルアミノ、ジ(C2-C10)アルケニルアミノ、またはジ(C2-C10)アルキニルアミノであり;
R55およびR56は、それぞれ独立して、(C6-C20)アリール、(C6-C20)アル(C1-C10)アルキル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルケニル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C3-C7)シクロアルキル、(C3-C20)ヘテロアリール、5員~7員のヘテロシクロアルキル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリールオキシ、(C1-C10)アルコキシカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルケニルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニルアミノ、(C2-C10)アルケニルカルボニルアミノ、(C2-C10)アルキニルカルボニルアミノ、ジ(C1-C10)アルキルアミノ、ジ(C2-C10)アルケニルアミノ、ジ(C2-C10)アルキニルアミノ、(C1-C10)アルキルシリル、(C2-C10)アルケニルシリル、(C2-C10)アルキニルシリル、または(C6-C20)アリールシリルであるか、R55とR56は、(C3-C10)アルキレンまたは(C3-C10)アルケニレンを介して連結されて環を形成してもよく;
R51~R54のアリール、アルアルキル、アルアルケニル、アルアルキニル、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、およびR55およびR56のアリール、アルアルキル、アルアルケニル、アルアルキニル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、アルキニルカルボニルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアルケニルアミノ、ジアルキニルアミノ、アルキルシリル、アルケニルシリル、アルキニルシリル、またはアリールシリルは、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリールオキシ、ジ(C1-C10)アルキルアミノ、ジ(C2-C10)アルケニルアミノ、ジ(C2-C10)アルキニルアミノ、およびハロゲンから選択される1つ以上でさらに置換されてもよい。
【0077】
好ましくは、化学式3および4中、R51~R54は、それぞれ独立して、(C6-C20)アリールであり;
R55およびR56は、それぞれ独立して、(C1-C10)アルキルであってもよい。
【0078】
具体的に、化学式3および4中、R51~R54は、それぞれ、フェニル、ベンジル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、メシチル、キシリル、メチル、エチル、エテニル、エチニル、n-プロピル、i-プロピル、プロペニル、プロピニル、n-ブチル、t-ブチル、ブテニル、ブチニル、メチルフェニル、エチルフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、イソプロピルフェニル、イソプロポキシフェニル、t-ブチルフェニル、クミル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、トリルオキシ、ジメチルアミノフェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシルまたはイソプロピルシクロヘキシル、ジメチルアミノ、チオメチル、トリメチルシリル、およびジメチルヒドラジルであり;
R55およびR56は、それぞれ独立して、メチル、エチル、エテニル、エチニル、n-プロピル、i-プロピル、プロペニル、プロピニル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル、ブテニル、ブチニル、フェニル、ベンジル、トリル、キシリル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノであるか、R55とR56は、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、またはブテニレンを介して連結されて5~7員の環を形成してもよい。
【0079】
化学式3のP-C-C-P骨格構造のリガンドは、(フェニル)2P-CH(メチル)CH(メチル)-P(フェニル)2、(4-メトキシフェニル)2P-CH(メチル)CH(メチル)-P(4-メトキシフェニル)2、(4-メチルフェニル)2P-CH(メチル)CH(メチル)-P(4-メチルフェニル)2、(4-エチルフェニル)2P-CH(メチル)CH(メチル)-P(フェニル)2、(2-エチルフェニル)2P-CH(メチル)CH(メチル)-P(2-エチルフェニル)2、(2-イソプロピルフェニル)2P-CH(メチル)CH(メチル)P-(2-イソプロピルフェニル)2、(2-メチルフェニル)2P-CH(メチル)CH(メチル)P-(2-メチルフェニル)2、(2-エチルフェニル)2P-CH(メチル)CH(メチル)-P(フェニル)2、(3-メトキシフェニル)2P-CH(メチル)CH(メチル)-P(3-メトキシフェニル)2、(4-エトキシフェニル)2P-CH(メチル)CH(メチル)-P(2-エトキシフェニル)2、(4-ジメチルアミノミンフェニル)2P-CH(メチル)CH(メチル)-P(4-ジメチルアミノフェニル)2、(4-エチルシクロヘキシル)2P-CH(メチル)CH(メチル)-P(4-エチルシクロヘキシル)2、(2-メトキシフェニル)2P-CH(メチル)CH(メチル)-P(2-メトキシフェニル)2、(2-エトキシフェニル)2P-CH(メチル)CH(メチル)-P(2-エトキシフェニル)2、(2-ジメチルアミノフェニル)2P-CH(メチル)CH(メチル)-P(2-ジメチルアミノフェニル)2、(2-エチルシクロヘキシル)2P-CH(メチル)CH(メチル)-P(2-エチルシクロヘキシル)2、(4-エチルフェニル)2P-CH(エチル)CH(メチル)-P(4-エチルフェニル)2、(4-メトキシフェニル)2P-CH(エチル)CH(メチル)-P(フェニル)2、(2-エチルフェニル)2P-CH(エチル)CH(メチル)-P(2-エチルフェニル)2、(4-エチルフェニル)2P-CH(エチル)CH(エチル)-P(4-エチルフェニル)2、(フェニル)2P-CH(エチル)CH(エチル)-P(フェニル)2、(2-エチルフェニル)2P-CH(エチル)CH(エチル)-P(2-エチルフェニル)2、(フェニル)2P-CH(イソプロピル)CH(メチル)-P(フェニル)2、(4-メトキシフェニル)2P-CH(イソプロピル)CH(メチル)-P(4-メトキシフェニル)2、(4-エチルフェニル)2P-CH(イソプロピル)CH(メチル)-P(4-エチルフェニル)2、(2-エチルフェニル)2P-CH(イソプロピル)CH(メチル)-P(2-エチルフェニル)2、(フェニル)2P-CH(n-プロピル)CH(メチル)-P(フェニル)2、(4-メトキシフェニル)2P-CH(n-プロピル)CH(メチル)-P(4-メトキシフェニル)2、(4-エチルフェニル)2P-CH(n-プロピル)CH(メチル)-P(4-エチルフェニル)2、(2-エチルフェニル)2P-CH(n-プロピル)CH(メチル)-P(2-エチルフェニル)2、(フェニル)2P-CH(イソプロピル)CH(エチル)-P(フェニル)2、(4-メトキシフェニル)2P-CH(イソプロピル)CH(エチル)-P(4-メトキシフェニル)2、(4-エチルフェニル)2P-CH(イソプロピル)CH(エチル)-P(4-エチルフェニル)2、(2-エチルフェニル)2P-CH(イソプロピル)CH(エチル)-P(2-エチルフェニル)2、1,2-ジ-(P(フェニル)2)シクロヘキサン、1,2-ジ-(P(4-メトキシフェニル)2)シクロヘキサン、1,2-ジ-(P(4-エチルフェニル)2)シクロヘキサン、1,2-ジ-(P(2-エチルフェニル)2)シクロヘキサン、1,2-ジ-(P(フェニル)2)シクロペンタン、1,2-ジ-(P(4-メトキシフェニル)2)シクロペンタン、1,2-ジ-(P(4-エチルフェニル)2)シクロペンタン、1,2-ジ-(P(2-エチルフェニル)2)シクロペンタン、(4-エチルフェニル)2P-CH(ジメチルアミノ)CH(ジメチルアミノ)-P(4-エチルフェニル)2、および(2-エチルフェニル)2P-CH(ジメチルアミノ)CH(ジメチルアミノ)-P(2-エチルフェニル)2から選択されるものであってもよいが、これらに限定されない。
【0080】
化学式4のP-N-P骨格構造のリガンドは、(フェニル)2PN(メチル)P(フェニル)2、(フェニル)2PN(ペンチル)P(フェニル)2、(フェニル)2PN(フェニル)P(フェニル)2、(フェニル)2PN(p-メトキシフェニル)P(フェニル)2、(フェニル)2PN(p-tブチルフェニル)P(フェニル)2、(フェニル)2PN((CH2)3-N-モルホリン)P(フェニル)2、(フェニル)2PN(Si(CH3)3)P(フェニル)2、(((フェニル)2P)2NCH2CH2)N、(エチル)2PN(メチル)P(エチル)2、(エチル)2PN(イソプロピル)P(フェニル)2、(エチル)(フェニル)PN(メチル)P(エチル)(フェニル)、(エチル)(フェニル)PN(イソプロピル)P(フェニル)2、(フェニル)2P(=Se)N(イソプロピル)P(フェニル)2、(フェニル)2PCH2CH2P(フェニル)2、(o-エチルフェニル)(フェニル)PN(イソプロピル)P(フェニル)2、(o-メチルフェニル)2PN(イソプロピル)P(o-メチルフェニル)(フェニル)、(フェニル)2PN(ベンジル)P(フェニル)2、(フェニル)2PN(1-シクロヘキシルエチル)P(フェニル)2、(フェニル)2PN[CH2CH2CH2Si(OMe3)]P(フェニル)2、(フェニル)2PN(シクロヘキシル)P(フェニル)2、(フェニル)2PN(2-メチルシクロヘキシル)P(フェニル)2、(フェニル)2PN(アリル)P(フェニル)2、(2-ナフチル)2PN(メチル)P(2-ナフチル)2、(p-ビフェニル)2PN(メチル)P(p-ビフェニル)2、(p-メチルフェニル)2PN(メチル)P(p-メチルフェニル)2、(2-チオフェニル)2PN(メチル)P(2-チオフェニル)2、(フェニル)2PN(メチル)N(メチル)P(フェニル)2、(m-メチルフェニル)2PN(メチル)P(m-メチルフェニル)2、(フェニル)2PN(イソプロピル)P(フェニル)2、および(フェニル)2P(=S)N(イソプロピル)P(フェニル)2から選択されるものであってもよいが、これらに限定されない。
【0081】
本発明に係る遷移金属触媒を構成するヘテロ原子リガンドは、当業者に公知の様々な方法により製造されることができる。
【0082】
本発明に係る遷移金属触媒は、単核性または二核性であってもよく、具体的には、ML1(L2)p(X)qまたはM2X1
2L1
2(L2)y(X)zで表されるものであって、Mは遷移金属であり、L1はヘテロリガンドであり、L2は有機リガンドであり、XおよびX1はそれぞれ独立してハロゲンであり、pは0または1以上の整数であり、qは(Mの酸化数-p)の整数であり、yは2以上の整数であり、zは(2xMの酸化数)-y-2の整数である。
【0083】
好ましくは、本発明の一実施形態に係る遷移金属触媒は、下記化学式5または化学式6で表されてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0084】
【0085】
[化学式6]
【化7】
(化学式5および6中、
R
46~R
48は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、(C6-C20)アリール、(C6-C20)アル(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルキル、ハロ(C1-C10)アルキル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルケニル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルキニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリールオキシ、(C1-C10)アルキルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルケニルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルキニルカルボニルオキシ、(C3-C7)シクロアルキル、(C1-C10)アルキルシリル、(C2-C10)アルケニルシリル、(C2-C10)アルキニルシリル、(C6-C20)アリールシリル、(C3-C20)ヘテロアリール、または5員~7員のヘテロシクロアルキルであり;
R
46、R
47、およびR
48のアリール、アルアルキル、アルキル、アルアルケニル、アルケニル、アルアルキニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルは、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリール、(C6-C20)アリールオキシ、およびハロゲンから選択される1つ以上でさらに置換されてもよく、
R
51~R
54は、それぞれ独立して、(C6-C20)アリール、(C6-C20)アル(C1-C10)アルキル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルケニル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリールオキシ、(C1-C10)アルコキシカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルケニルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニルアミノ、(C2-C10)アルケニルカルボニルアミノ、(C2-C10)アルキニルカルボニルアミノ、(C3-C7)シクロアルキル、チオ(C1-C10)アルキル、チオ(C2-C10)アルケニル、チオ(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルキルシリル、(C2-C10)アルケニルシリル、(C2-C10)アルキニルシリル、(C6-C20)アリールシリル、(C3-C20)ヘテロアリール、5員~7員のヘテロシクロアルキル、または-NR
21R
22であって、R
21およびR
22は、それぞれ独立して、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C6-C20)アリール、ジ(C1-C10)アルキルアミノ、ジ(C2-C10)アルケニルアミノ、またはジ(C2-C10)アルキニルアミノであり;
R
55およびR
56は、それぞれ独立して、(C6-C20)アリール、(C6-C20)アル(C1-C10)アルキル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルケニル、(C6-C20)アル(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C3-C7)シクロアルキル、(C3-C20)ヘテロアリール、5員~7員のヘテロシクロアルキル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリールオキシ、(C1-C10)アルコキシカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルケニルカルボニルオキシ、(C2-C10)アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、(C1-C10)アルキルカルボニルアミノ、(C2-C10)アルケニルカルボニルアミノ、(C2-C10)アルキニルカルボニルアミノ、ジ(C1-C10)アルキルアミノ、ジ(C2-C10)アルケニルアミノ、ジ(C2-C10)アルキニルアミノ、(C1-C10)アルキルシリル、(C2-C10)アルケニルシリル、(C2-C10)アルキニルシリル、または(C6-C20)アリールシリルであるか、R
45とR
46は、(C3-C10)アルキレンまたは(C3-C10)アルケニレンを介して連結されて環を形成してもよく;
R
51~R
54のアリール、アルアルキル、アルアルケニル、アルアルキニル、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、およびR
55およびR
56のアリール、アルアルキル、アルアルケニル、アルアルキニル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、アルキニルカルボニルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアルケニルアミノ、ジアルキニルアミノ、アルキルシリル、アルケニルシリル、アルキニルシリル、またはアリールシリルは、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C6-C20)アリールオキシ、ジ(C1-C10)アルキルアミノ、ジ(C2-C10)アルケニルアミノ、ジ(C2-C10)アルキニルアミノ、およびハロゲンから選択される1つ以上でさらに置換されてもよく;
Xはハロゲンであり;および
aは0または1~3の整数であり、bおよびcは、それぞれ独立して、1または2の整数である。)
【0086】
好ましくは、化学式5および6中、R46~R48は、それぞれ独立して、水素、(C1-C10)アルキル、またはハロ(C1-C10)アルキルであり、R51~R54はそれぞれ独立して(C6-C20)アリールであり;R55およびR56はそれぞれ独立して(C1-C10)アルキルである化合物であってもよく、または、R51~R54はそれぞれ独立して(C6-C20)アリールであり;R55およびR56はそれぞれ独立して(C1-C10)アルキルであり、aは0である化合物であってもよい。
【0087】
助触媒は、有機アルミニウム化合物、有機アルミノキサン、有機ホウ素化合物、またはこれらの混合物であってもよい。
【0088】
有機アルミニウム化合物は、AlR3(Rは、それぞれ独立して、(C1-C12)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C12)アルコキシ、またはハロゲンである。)の化合物またはLiAlH4であってもよいが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0089】
より具体的に、有機アルミニウム化合物は、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、トリ-n-オクチルアルミニウム、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、アルミニウムイソプロポキシド、エチルアルミニウムセスキクロリド、およびメチルアルミニウムセスキクロリドから選択される1つまたは2つ以上の混合物であってもよいが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0090】
有機アルミノキサンは、これらに限定されるものではないが、トリメチルアルミニウムに水を添加して製造可能なオリゴマー化合物であってもよい。このように製造されたアルミノキサンオリゴマー化合物は、直鎖状、環状、ケージ(cage)、またはこれらの混合物であってもよい。
【0091】
具体的に、有機アルミノキサンは、アルキルアルミノキサン、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)、エチルアルミノキサン(EAO)、テトライソブチルアルミノキサン(TIBAO)、およびイソブチルアルミノキサン(IBAO)だけでなく、変性アルキルアルミノキサン、例えば、変性メチルアルミノキサン(MMAO)から選択されてもよい。変性メチルアルミノキサン(Akzo Nobel製)は、メチル基の他に、イソブチルまたはn-オクチル基のような混成アルキル基を含んでもよいが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0092】
より具体的に、有機アルミノキサンは、メチルアルミノキサン(MAO)、変性メチルアルミノキサン(MMAO)、エチルアルミノキサン(EAO)、テトライソブチルアルミノキサン(TIBAO)、およびイソブチルアルミノキサン(IBAO)から選択される1つまたは2つ以上の混合物であってもよいが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0093】
有機ホウ素化合物は、これらに限定されるものではないが、ボロキシン、NaBH4、トリエチルボラン、トリフェニルボラン、トリフェニルボランアンモニア錯化合物、トリブチルボレート、トリイソプロピルボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリチル(テトラペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルフェニルアンモニウム(テトラペンタフルオロフェニル)ボレート、ジエチルフェニルアンモニウム(テトラペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルジフェニルアンモニウム(テトラペンタフルオロフェニル)ボレート、またはエチルジフェニルアンモニウム(テトラペンタフルオロフェニル)ボレートであってもよく、これらの有機ホウ素化合物は、有機アルミニウム化合物、または有機アルミノキサンと混合物として用いてもよい。
【0094】
また、直鎖状αオレフィンの製造工程は、オリゴマー化反応を行うステップの後に、オリゴマー化反応の反応生成物に触媒不活性化剤を投入するステップをさらに含んでもよい。
【0095】
触媒不活性化剤は、直鎖状αオレフィンの製造時に、反応器の末端で不要な副反応を制御し、反応を終了させるために投入されるものである。本発明の一態様において、触媒不活性化剤は、25℃、1気圧(atm)で気体状態である酸素含有無機物;または、酸素、リン、窒素、および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つを含む官能基のうち1種以上を含み、数平均分子量が400以上の有機化合物;を含んでもよい。
【0096】
直鎖状αオレフィンの製造工程で上記のような触媒不活性化剤を用いる場合、本発明のパラフィンの製造後にパラフィンを精製する時に、分離効率が向上し、工程エネルギーが低減されることができる。
【0097】
具体的に、25℃、1気圧(atm)で気体状態である酸素含有無機物を含む触媒不活性化剤を用いる場合、パラフィンとの分離精製時に、大きい沸点差のため、簡単な蒸留などの分離工程により触媒不活性化剤を分離除去することができる。
【0098】
酸素、リン、窒素、および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つを含む官能基のうち1種以上を含み、数平均分子量が400以上である有機化合物を含む触媒不活性化剤の場合にも、製造されたパラフィンよりも高い沸点を有する化合物により、蒸留時に低いエネルギーを投入するだけで触媒不活性化剤を分離除去することができる。
【0099】
これにより、本発明の一態様に係るパラフィンの製造工程の工程効率がより増大されることができるので好ましいが、本発明がこれに必ずしも限定されるものではなく、製造しようとするパラフィンの沸点の間に触媒不活性化剤の沸点があっても、別の分離工程を追加したり、条件を変えて分離したりすることができる。
【0100】
酸素含有無機物は、非限定的な例示として、O2、CO2、CO、H2O、NOx、SOx、またはこれらの混合物であってもよい。具体的には、O2、CO2、CO、またはこれらの混合物であってもよく、より具体的には、CO2およびO2であってもよい。さらに具体的に、CO2は、多くの産業分野で副産物または排気ガスとして発生する物質であって、安価で入手可能であるため、工程の経済性が向上する点から好ましい。
【0101】
ここで、NOxは、例示的に、NO、NO2、N2O、N2O3、N2O4、N2O5、またはこれらの混合物であってもよいが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0102】
SOxは、SO2、SO3、またはこれらの混合物であってもよいが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0103】
有機化合物の数平均分子量は、具体的に、600以上、700以上、または1000以上であってもよい。
【0104】
有機化合物の数平均分子量の上限は、10,000以下、5000以下、または2000以下であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0105】
有機化合物は、酸素、リン、窒素、および硫黄からなる群から選択される何れか1つを含む官能基のうち1種以上を含み、具体的な態様として、4つの元素のうち1種を含む1種の官能基を単数または複数で含んでもよく、4つの元素のうち1種を含む官能基のうち2種以上の官能基を単数または複数で含んでもよい。これらは例示的なものであって、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0106】
有機化合物の具体的な種類としては、C31以上のホスフィン(phosphine)系化合物、C31以上のアミン(amine)系化合物、C31以上のチオール(thiol)系化合物、C31以上のアルコール(alcohol)系化合物、C31以上のエーテル(ether)系化合物、C31以上のエステル(ester)系化合物、C31以上のカルボン酸(carboxylic acid)、またはC31以上のケトン(ketone)系化合物が挙げられる。
【0107】
より具体的には、C31以上のホスフィン(phosphine)系化合物、C31以上のアミン(amine)系化合物、C31以上のチオール(thiol)系化合物、またはC31以上のアルコール(alcohol)系化合物であってもよい。
【0108】
さらに具体的には、下記化学式1で表されるポリプロピレングリコール(polypropylene glycol、PPG)であってもよい。
【0109】
[化学式1]
【化8】
(化学式1中、nは11以上170以下である。)
【0110】
化学式1中、nは、より具体的に、12つ以上150以下、17以上130以下、17以上110以下、17以上35以下、または16以上35以下であってもよい。
【0111】
本発明の触媒不活性化剤が必ずしもこれらに限定されるものではないが、かかるポリプロピレングリコール化合物は、アルコール系化合物の中でもポリエチレングリコール化合物に比べて触媒不活性化効果が高く、オレフィンのオリゴマー化反応生成物中の直鎖状αオレフィンと容易に分離されることができるので好ましい。
【0112】
オレフィン単量体は特に制限されないが、例えば、エチレン、プロピレン、またはブテンであってもよい。
【0113】
以下、本発明の好ましい実施例および比較例を記載する。しかし、下記実施例は、本発明の好ましい一実施例にすぎず、本発明が下記実施例によって限定されるものではない。
【0114】
[製造例]
エチレンのオリゴマー化のための触媒として、ビス-[(S,S)-(フェニル)2PCH(メチル)CH(メチル)P(フェニル)2二塩化(μ-塩化)クロム](5.3μmol-Cr)を下記の方法により製造した。
【0115】
トリステトラヒドロフラン三塩化クロム(CrCl3(THF)3)2.1mg(5.3umol)を二塩化メタン1mLに溶かし、この溶液に、(S,S)-(フェニル)2PCH(メチル)CH(メチル)P(フェニル)2リガンド化合物2.4mg(5.6umol)を二塩化メタン1mLに溶かした溶液を徐々に加えて60分間反応させた。その後、5分間さらに撹拌した後、ナトリウムヘキサフルオロアセチルアセトネート1.3mg(5.6umol)を徐々に加えた。次に、反応物を3時間さらに撹拌した後、0.2umのシリンジフィルター(syringe filter)を用いて濾過した。濾過された液体から揮発物を真空により除去し、乾燥された暗緑色の固体を得て、これを後述の実施例のオリゴマー化触媒として準備した。
【0116】
本触媒は、エチレンのオリゴマー化反応の活性および選択度に非常に優れた触媒であって、韓国特許出願10-2016-0065709号を参照してより明確に把握することができる。
【0117】
[実施例1]
5.6Lのステンレス鋼製の圧力反応器を窒素、真空で洗浄した後、溶媒としてメチルシクロヘキサン(MCH)を2.0kg/hrの速度で投入し、60kg/cm2gの圧力で加圧し、温度を60℃に加熱した。助触媒として、メチルアルミノキサン(MAO、Albemarle社、1.2mmol/L MCH)およびトリメチルアルミニウム(TMA、Aldrich、1.2mmol/L MCH)を投入した後、製造例で準備したビス-[(S,S)-(フェニル)2PCH(メチル)CH(メチル)P(フェニル)2二塩化(μ-塩化)クロム]2μmol/L MCHを投入した後、エチレンを600g/hで連続して供給し、外部ジャケット冷却(jacket cooling)方式により温度を制御し、水素を1g/kgエチレンの流速で投入しながらエチレンオリゴマー化反応を行った。反応器の後段に、触媒不活性化剤として2-エチルヘキサノール(Aldrich)を、投入した助触媒中のアルミニウムのモル数に対して10当量となるように投入することで、さらなる副反応が起こらないように触媒活性を抑制させた。
【0118】
その後、得られた生成物から、蒸留により、常圧、145℃以上でC10以上の成分を先に分離し、300℃でポリマー成分を除去した。分離された物質において、C10、C12成分の詳細分析をGC-FIDおよび2D-GCにより行った。成分中のオレフィン(olefin)は、分岐状αオレフィン(Branched alpha olefin)、分岐状内部オレフィン(branched internal olefin)、直鎖状αオレフィン(linear alpha olefin)、直鎖状内部オレフィン(linear internal olefin)に区分し、その他の成分を定量分析した結果は、表1のとおりであった。全成分中に、C10は36重量%、C12は45重量%であって、総80重量%以上を占めており、得られた生成物は、分岐状オレフィン(branched olefin)約80~90モル%、直鎖状オレフィン(linear olefin)4~12モル%、ナフテン(naphthene)およびパラフィン(paraffin)成分2~5モル%から構成されていることが分かる。
【0119】
【0120】
15mLのステンレス鋼製の反応器に、水素化触媒(Ni/Alumina担持触媒、Ni 15~30wt%)を満たした後、水素を120℃、35kg/cm2gで充填し、上記で得られた生成物を0.4cc/minでトリクルベッド反応形式で注入しながら水素化を行った。水素化の後、上記のような方法によりGC分析を行った結果、オレフィン成分は検出されず、全てパラフィンに転換されていることを確認した。
【0121】
水素化を行った後、C10物質と沸点が重なる2-エチルヘキサノールはアセトニトリルを用いて抽出して除去した。このように得られたC10~C18成分を、60段の蒸留塔で11個のフラクション(fraction)に分け、Color(ASTM D156)、Density(ASTM D4052)、Aniline point(ASTM D611)、Viscosity(ASTM D445)、Distillation(ASTM D86)、Bromine index(ASTM D1492)、Aromatic content(GC-FID)を測定した結果、表2のように、商用のイソパラフィン製品のスペック(spec)を満たすことを確認した。
【0122】
【符号の説明】
【0123】
10 直鎖状αオレフィンの製造工程
20 水素化工程
30 イソパラフィンの精製工程
40 直鎖状αオレフィン製造反応器
50 注入ライン
60 流出ライン
70 触媒不活性化剤注入ライン
80 蒸留器
90 再循環ライン