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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】タイヤの金型洗浄用自動プラント
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/72 20060101AFI20230919BHJP
   B29C 33/02 20060101ALI20230919BHJP
   B29C 35/02 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
B29C33/72
B29C33/02
B29C35/02
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020536783
(86)(22)【出願日】2018-12-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-18
(86)【国際出願番号】 IB2018001471
(87)【国際公開番号】W WO2019130055
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】102017000150342
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520231223
【氏名又は名称】キーミカル ホールディング インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】KEYMICAL HOLDING INC.
【住所又は居所原語表記】1011 Centre Road, Suite 322 Wilmington, Delaware DE 19805 (US)
(73)【特許権者】
【識別番号】520231234
【氏名又は名称】カッサ, ロレンツォ
【氏名又は名称原語表記】CASESA, Lorenzo
【住所又は居所原語表記】Via dei Frassini, 16 47893 Borgo Maggiore (SM)
(73)【特許権者】
【識別番号】520231245
【氏名又は名称】バルガーリ ペトルッチ, エンリコ
【氏名又は名称原語表記】BARGAGLI PETRUCCI, Enrico
【住所又は居所原語表記】Via dei Frassini, 16 47893 Borgo Maggiore (SM)
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カッサ, ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】バルガーリ ペトルッチ, エンリコ
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/163960(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-0940876(KR,B1)
【文献】特開2015-214076(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0298157(US,A1)
【文献】国際公開第2017/126251(WO,A1)
【文献】特開2016-168732(JP,A)
【文献】特開2000-334746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの金型を洗浄するための自動プラントであって、
前記金型はセクタ(1)とチーク(2)から構成されており、
前記セクタ(1)と前記チーク(2)の内部を洗浄する内部洗浄装置(10)を備え、
前記セクタ(1)および前記チーク(2)の前記内部洗浄装置(10)は、前記セクタ(1)および前記チーク(2)を安定した処理位置に固定する固定手段(11)と、超音波振動を発生させる発生装置(12)と、前記発生装置(12)から前記セクタ(1)または前記チーク(2)に振動を伝達する振動伝達手段(13)と、を備え、前記セクタ(1)または前記チーク(2)の洗浄を超音波振動させることにより行い、
前記セクタ(1)および前記チーク(2)の外部洗浄のための外部洗浄装置(20)を備え、前記セクタ(1)および前記チーク(2)の外部洗浄のための外部洗浄装置(20)は、レーザービーム源(21)と、レーザービームを前記セクタ(1)および前記チーク(2)の表面に向けて伝えるためのレンズ(22)と、前記レンズ(22)を移動させるのに適した擬人化ロボット(23)と、を備え、前記セクタ(1)および前記チーク(2)の表面全体を洗浄するように構成してあり、
画像取得用ツール(24a)と、処理対象の前記セクタ(1)または前記チーク(2)の空間座標を前記擬人化ロボット(23)に提供するように設計された第4の専用ソフトウェア(24b)とからなる、処理対象の前記セクタ(1)および前記チーク(2)の3次元再構成システム(24)を備えることを特徴とする自動プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの金型を洗浄するための自動プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、タイヤは、世界中の車道上のほとんどの車両に搭載されており、その形状、寸法、構造的特徴などは異なるが、それらが意図するほとんどの異なる目的および車両に対する幅広い適性と性能を満たしている。また、タイヤは古典的な構造設計を維持しているが、長年にわたって生み出された優れた技術とプロジェクトの進化を利用しているだけでなく、特定の用途のために次々に材料が考え出されており、信頼性とパフォーマンスが向上している。
【0003】
近年のタイヤの構造では、一般的にアルミニウム合金、鋼、またはアルミニウムと鋼の混合材料で作られた特定の型の使用が予測されている。タイヤのカーカス、ベルト、サイドウォールやトレッドなどに、「グリーンタイヤ」という名前の仕立てられた部品が配置されており、本質的に、荷重力に抵抗し、タイヤの膨張圧力を保持する機能を果たしている。
【0004】
それから、グリーンタイヤはプレス内に配置されている。プレスの内部には、金型を含むいくつかのデバイスが設置されており、セクタとチークに分かれている。一連の加硫サイクルの後、金型からタイヤに残った加硫残留物を取り除く必要がある。したがって、金型はその部品に分解され、次の再利用を可能にするために洗浄処理に持ち込まれる。クリーニング段階では、加硫ゴム残留物の除去と、トレッドに形状を与える金型の成形表面の小さなキャビティ内に残る可能性のある接着剤とを除去するメンテナンスおよび洗浄作用が必要である。さらに、「スプリングベント」と呼ばれるエアベントバルブを解放することが不可欠である。このエアベントバルブは、針の頭に蓄積された加硫ゴムの汚れと、バルブの内部を通り、後に続いて同じバルブ内に配置されているスプリングを蓄積により塞いでいる煙と、によって塞がれている。このような細かな破片を除去しないと、タイヤの印刷された表面上の欠陥や不備が生じ、また、リムが完全にグリップできなかったり、法律によって要求される英数字の非可読性、機械的抵抗およびデザインの特性のわずかな脆弱化および変更、美的な欠陥などの問題を発生させる可能性がある。
【0005】
既知の技術によれば、この除去は、たとえば薄いドリルチップまたはデバイスなどの機械的ツールからなる手動手段や、同様に手動で操作される、砂、サンドブラスト、ドライアイスなどの粒状材料のジェットを発射によって実行されている。
【0006】
ケーシングの内部または密閉された空間に配置された、さまざまな類似物質のジェットを使用する、より近代的な自動機械も利用されている。これらの機械では、金型の部品を完全に洗浄するために、必要なすべての方向に自動的に向きを変えることも行われている。最も一般的な技術は、ドライアイスを使用する極低温技術である。
【0007】
その他の一般的に使用されるシステムとしては、スプレー、浸漬、または超音波化学洗浄がある。
【0008】
上記のすべての洗浄システムには、主に3つの欠点があります。まず、超音波化学洗浄では、危険な廃液の処理が含まれるため、環境への影響が大きいことである。また、粒状材料の使用は、同様に、廃砂の処理を伴う。一方、ドライアイスの使用は費用がかかり、プロセス中に非常に高いノイズを発生する。
【0009】
さらに、洗浄のための砂や化学薬品の購入、液体および/または固形廃棄物の処分、プラントのメンテナンスのために、高いコストを要する。また、それらは金型の部品(セクタとチーク)に摩耗と腐食を引き起こし、その結果、印刷金属表面に損傷を与え、製造されたタイヤに欠陥が生じる可能性がある。
【0010】
さらに、各セクタに数百のオーダーの多数の「スプリングベント」弁があることを考えると、制御手順では、オペレーターが各弁の状態を確認するのに非常に長い時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、上記の制限を減らし、上記の不便さを解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項により特徴づけられる本発明では、金型の種類ごとの柔軟なプログラミングを通じて、将来の機能を損ないうる摩耗や損傷を引き起こすことなく、再利用のための最適な内部および外部を洗浄する自動プラントによって本発明の目的を達成する。
【0013】
本発明によって得られる主な利点は、本質的に、プラントで処理された金型によって製造されたタイヤの品質を一定に保つことである。
【0014】
更なる利点は、自動化と手順の設定によって、操作要員と処理時間を削減し、運用コストの面で重要な節約を生み出すことを可能にするということである。
【0015】
本発明の他の利点は、業界で使用されている従来の手順と比較して危険性の少ない手順を可能にし、環境への影響が少なく、従業員の作業条件がより安全になるということである。実際、廃棄物はレーザービームによって生成されたガスからなり、吸引され、吸引システムの内部にあるフィルターによって捕捉されるため、本発明は環境への影響が非常に少ない。他の廃棄物は、超振動のステップ中に生成され、換気ダクトの内側とベントバルブから、小さな固体の破片を分離される。
【0016】
本発明の他の利点は、レーザー技術で金型の表面を洗浄すると同時に、単一のステップで、超振動システムを通じてすべての通気弁と、関連するダクトを解放することである。
【0017】
最後に、各弁の状態のチェックは自動化されており、オペレーターの介入が必要になる可能性のある弁を即座に特定することができる。
【0018】
本発明の他の利点および特徴は、本発明の非限定的な実施形態を表す以下の詳細な説明でより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は本発明のダイアグラムである。
図2図2は金型の内部洗浄用の装置の概略斜視図である。
図3図3は動作状態にある図2に係る装置の概略斜視図である。
図4図4図2に係る装置の詳細図である。
図5図5は金型の外部洗浄専用の擬人化ロボットを示す概略斜視図である。
図6図6は本発明のさらに外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図に示すように、本発明は、タイヤの金型を洗浄するための自動プラントに関し、金型は、セクタ(1)およびチーク(2)から構成される。 自動プラント(100)は、セクタ(1)およびチーク(2)の内部洗浄のための内部洗浄装置(10)と、セクタ(1)およびチーク(2)の外部洗浄のための外部洗浄装置(20)とを備えている。
【0021】
セクタ(1)およびチーク(2)の内部洗浄のための内部洗浄装置(10)は、安定した処理位置にあるセクタ(1)およびチーク(2)のための固定手段(11)、超音波振動(つまり、20KHzから2MHzの範囲の周波数の振動)を発生させるための発生装置(12)と、発生装置(12)からセクタ(1)またはチーク(2)に振動を伝達するための振動伝達手段(13)と、を備え、セクタ(1)またはチーク(2)を超音波振動にさらすことで洗浄を実行する。
【0022】
特に効果的であることが判明した好ましい解決策では、内部洗浄装置(10)は、セクタ(1)またはチーク(2)の共振周波数を識別するための識別手段(14)を含み、処理済みの各セクタ(1)またはチーク(2)は、処理済みのセクタ(1)またはチーク(2)の共振周波数に等しい周波数の超音波振動にさらされる。
【0023】
固定手段(11)は、支持フレーム(11a)と、処理されるセクタ(1)またはチーク(2)を振動伝達手段(13)と接触して保持するのに適した調整可能なクランプ(11b)とを備える。処理されたセクタ(1)またはチーク(2)の共振周波数を識別するための識別手段(14)は、約2秒で超音波振動を発生させる発生装置(12)によって最初に放出されたものから共振周波数を選択できる専用ソフトウェア(14a)を含んでいる。振動伝達手段(13)は、ソノトロード(13a)の表面(13b)の一部が、処理すべきセクタ(1)チーク(2)と接触するように、固定手段(11)に組み込まれたソノトロード(13a)を含む。
【0024】
処理の開始時に、発生装置(12)が超音波振動の生成を開始すると、ソフトウェア(14a)が処理されるセクタ(1)またはチーク(2)の共振周波数を特定し、その単一周波数の振動を発生させる発生装置(12)を設定する。この内部洗浄装置(10)を用いることで、特に、前記の共振超音波振動により、通気弁ならびにセクタ(1)およびチーク(2)の関連するダクトを洗浄することが可能である。
【0025】
ソノトロード(13a)は摩耗する可能性があるため、ソフトウェア(14a)は発生装置(12)のキャリブレーションを調整または修正して、処理されるセクタ(1)とチーク(2)が、共振周波数まで振動を受け続けるようにし、また、セクタ(1)とチーク(2)の内部洗浄のための内部洗浄装置(10)の効果的な機能を確保し続けるために、ソノトロード(13a)自体を交換する必要があることを通知する。
【0026】
内部洗浄のための内部洗浄装置(10)はまた、通気弁の洗浄度のための検査装置(30)を含む。前記検査装置(30)は、通気弁の位置をマッピングするマッピングツール(31)、閉塞された通気弁を識別するための識別ツール(32)、閉塞された通気弁の位置を表示するための表示ツール(33)からなる。
【0027】
ここで説明および図示した実施形態では、マッピングツール(31)は、さまざまな傾斜のセクタ(1)とチーク(2)の各部分の毎秒最大数千枚の写真を撮るように設計されたカメラ(31a)の範囲と、第2のソフトウェア(31b)で構成されている。第2の専用ソフトウェア(31b)は、カメラ(31a)が受け取った画像から2次元マップを処理し、円形の形状により通気弁の位置を認識し、それぞれにxy座標のペアを割り当てる。
【0028】
閉塞された通気弁を識別するための識別ツール(32)は、さまざまな方法で実装できる。ここでの解決手段としては、マッピングツール(31)によるよりも前に識別された通気弁に光ビームを向けるためにミラーガルバノメータを備えたレーザーと、振動を生成するための発生装置(12)が動作している間、後続の瞬間に各通気弁から反射された光に従って、動いているか安定しているか、正常に動作しているか、閉塞されているかを決定する第3の専用ソフトウェア(32b)と、を備えたポインティングシステム(32a)を含んでいる。
【0029】
同様の結果は、通気弁がハウジングから飛び出ているかどうかを確認することでも得られる。実際にこの場合には、それらが閉塞されても飛び出ることはない。
【0030】
閉塞された通気弁の位置を表示するための表示ツール(33)には、第3のソフトウェア(32b)に接続された画面(33a)があり、閉塞された通気弁のマップを表示する。
【0031】
セクタ(1)およびチーク(2)の外部洗浄のための外部洗浄装置(20)は、レーザービーム源(21)、セクタ(1)およびチーク(2)の表面に向かってレーザービームを伝えるレンズ(22)および擬人化ロボット(23)を含む。擬人化ロボット(23)は、セクタ(1)とチーク(2)の表面全体を洗浄するようにレンズ(22)を移動するのに適している。レンズ(22)が、処理されるセクタ(1)またはチーク(2)の表面のすべての点を打つことができるように、擬人化ロボット(23)は6つの移動軸に従って制御される。
【0032】
自動プラント(100)には、洗浄するセクタ(1)とチーク(2)の寸法と位置を検出するセンサーが装備されており、レーザーレンズ(22)に向けるように、擬人化ロボット(23)の腕によって動かされ、レンズ(22)を常に表面から同じ距離に保ち、レーザービームを当てられ、焦点があてられたレンズ(22)の距離を保つ。好ましい実施形態では、自動プラント(100)は、画像取得のための画像取得用ツール(24a)と、擬人化ロボット(23)に処理されるセクタ(1)またはチーク(2)の空間座標を提供するように設計された第4の専用ソフトウェア(24b)とを備えた三次元再構成システム(24)を含む。レンズ(22)の光パルスの方向が制御されるため、たとえばブレード内やパターン内などの扱いにくい幾何学的形状によってシールドされたポイントを含む金型の各幾何学的ポイントが、レーザービームを打ち込まれる。
【0033】
タイヤの金型の内部および外部で洗浄する手順は、金型をその部品(チーク(2)とセクタ(1))に分解する前のステップと、洗浄サイクルを終了する、洗浄されたチーク(2)とセクタ(1)復元し、続いて、新しい使用するために金型を再組み立て最終ステップが予測される。
【0034】
洗浄サイクル中、この手順では、レーザーテクノロジーを使用して、チーク(2)とセクタ(1)の洗浄ステーション内で、個別またはグループでの配置が予測される。
【0035】
レーザー技術による洗浄ステップの後、チーク(2)とセクタ(1)を別々に、事前に決められた量に従って、超音波振動を伝達するための固定手段(11)に結合するステップがある。
【0036】
運用上の観点から、チーク(2)とセクタ(1)の特定の構造を考慮すると、ほとんどの場合、チーク(2)は、外部洗浄のために外部洗浄装置(20)のみを操作し、一方、セクタ(1)では内部洗浄のための内部洗浄装置(10)と外部洗浄のための外部洗浄装置(20)を同時に操作する。
【0037】
処理するパーツ(セクタおよびチーク)の外部クリーニング(レーザー)および内部クリーニング(超振動)サイクルの最後に、これらは次の再利用のための積載エリア/荷下ろしエリアまで運ばれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6