(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】パネル
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20230919BHJP
【FI】
E04F15/02 E
(21)【出願番号】P 2020556998
(86)(22)【出願日】2019-01-09
(86)【国際出願番号】 EP2019050459
(87)【国際公開番号】W WO2019137964
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-11-19
(32)【優先日】2018-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520250741
【氏名又は名称】アイ4エフ・ライセンシング・エヌヴィ
【氏名又は名称原語表記】I4F LICENSING NV
【住所又は居所原語表記】INDUSTRIEDIJK 19, 2300 TURNHOUT, BELGIUM
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ブーケ,エディ・アルベリック
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0284105(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0241440(US,A1)
【文献】特表2014-513757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/02-15/16
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル、特に床パネルまたは壁パネルであって、
上側部と下側部とを有し、面を画定する、中央に位置するコアと、
コアにおける互いに対向する縁端部にそれぞれ接続された少なくとも1つの第1連結部
および少なくとも1つの第2連結部と、を含み、
前記第1連結部は、上向き舌部と、前記上向き舌部から離れて設けられた少なくとも1
つの上向きフランクと、前記上向き舌部と前記上向きフランクとの間に形成された上向き
溝と、を含み、前記上向き溝は、隣接するパネルの前記第2連結部の下向き舌部の少なく
とも一部を受けるように適合されており、
前記第2連結部は、前記下向き舌部と、前記下向き舌部から離れて設けられた少なくと
も1つの下向きフランクと、前記下向き舌部と前記下向きフランクとの間に形成された下
向き溝と、を含み、前記下向き溝は、隣接するパネルの前記第1連結部の前記上向き舌部
の少なくとも一部を受けるように適合されており、
前記上向き舌部の、前記上向きフランクとは反対側を向く側部の少なくとも一部には、
隣接する床パネルの、例えば凹部または外向きの膨らみの形の第2ロック要素との共作用
のために適合された、例えば外向きの膨らみまたは凹部の形の第1ロック要素が設けられ
ており、
前記下向きフランクの側部の少なくとも一部には、隣接する床パネルの、例えば外向き
の膨らみまたは凹部の形の前記第1ロック要素との共作用のために適合された、例えば凹
部または外向きの膨らみの形の第2ロック要素が設けられており、
前記下向き舌部の、前記下向きフランクとは反対側を向く側部の少なくとも一部には、
隣接する床パネルの、例えば凹部または外向きの膨らみの形の第4ロック要素との共作用
のために適合された、例えば外向きの膨らみまたは凹部の形の第3ロック要素が設けられ
ており、
前記上向きフランクの少なくとも一部には、隣接する床パネルの、例えば外向きの膨ら
みまたは凹部の形の前記第3ロック要素との共作用のために適合された、例えば凹部また
は外向きの膨らみの形の第4ロック要素が設けられており、
前記上向き舌部の、前記上向きフランクの方を向く側部は、前記上向きフランクとは反
対側の方向に、上向きに傾斜しており、前記下向き舌部の、前記下向きフランクの方を向
く側部は、前記下向きフランクとは反対側の方向に、下向きに傾斜しており、
前記第3ロック要素の水平方向の中心線および/または第4ロック要素の水平方向の中
心線は、(i)前記第1ロック要素の水平方向の中心線(L1)と、(ii)前記上向き
舌部の最大高さを画定する水平方向の線(LH)と、の間に位置して
おり、
下向き舌部の、下向きフランクとは反対側を向く側部の少なくとも一部には、隣接する
床パネルの、例えば凹部または外向きの膨らみの形の第6ロック要素との共作用のために
適合された、例えば外向きの膨らみまたは凹部の形の第5ロック要素が設けられており、
上向きフランクの少なくとも一部には、隣接する床パネルの、例えば外向きの膨らみま
たは凹部の形の第5ロック要素との共作用のために適合された、例えば凹部または外向き
の膨らみの形の第6ロック要素が設けられてており、
第5ロック要素の中心線および/または第6ロック要素の中心線とは、(i)第1ロッ
ク要素の水平方向の中心線(L1)と、(ii)前記上向き舌部の最大高さを画定する水
平方向の線(LH)と、の間に位置している、パネル。
【請求項2】
第3ロック要素の水平方向の中心線および/または第4ロック要素の水平方向の中心線
は、(i)第2ロック要素の水平方向の中心線(L1)と、(ii)前記上向き舌部の最
大高さを画定する水平方向の線(LH)と、の間に位置している請求項1に記載のパネル
。
【請求項3】
第3ロック要素と第5ロック要素とのうちの一方のロック要素は、膨らみによって形成
されており、第3ロック要素と第5ロック要素とのうちの他方のロック要素は、凹部によ
って形成されている請求項
1に記載のパネル。
【請求項4】
第4ロック要素と第6ロック要素とのうちの一方のロック要素は、膨らみによって形成
されており、第4ロック要素と第6ロック要素とのうちの他方のロック要素は、凹部によ
って形成されている請求項
1または
3に記載のパネル。
【請求項5】
第3ロック要素と第5ロック要素とは異なる形状を有しており、および/または、第4
ロック要素と第6ロック要素とは異なる形状を有している請求項
1~4の何れか一項に記載のパネル。
【請求項6】
第5ロック要素の中心線と第6ロック要素の中心線とは、第3ロック要素の中心線より
上方に位置している請求項
1~5の何れか一項に記載のパネル。
【請求項7】
前記上向き舌部の、上向きフランクとは反対側を向く側部と、前記上向き舌部の上側部
との間の遷移部は、凸型頂点を画定し、第4ロック要素の中心線は、上記凸型頂点の中心
線とほぼ一致している請求項1~
6の何れか一項に記載のパネル。
【請求項8】
凸型頂点は、前記上向き舌部の、上向きフランクとは反対側を向く側部における、平ら
な、好ましくは垂直に方向づけられた部分と、前記上向き舌部の上側部における、平らな
、好ましくは傾斜した部分と、の間の遷移部によって画定されている請求項
7に記載のパネル。
【請求項9】
下向きフランクと下向き溝の上側部との間の遷移部は、凹型頂点を画定し、第3ロック
要素の中心線は、上記凹型頂点の中心線と上記第2ロック要素の中心線との間に位置して
いる請求項1~
8の何れか一項に記載のパネル。
【請求項10】
下向きフランクと下向き溝の上側部との間の遷移部は、凹型頂点を画定し、第3ロック
要素の中心線は、上記凹型頂点の中心線とほぼ一致している請求項
9に記載のパネル。
【請求項11】
前記上向き舌部の上側部は、上向きフランクとは反対側の方向に下向きに傾斜している
請求項1~
10の何れか一項に記載のパネル。
【請求項12】
下向き溝の上側部は、下向きフランクの方向に下向きに傾斜している請求項1~
11の何れか一項に記載のパネル。
【請求項13】
前記上向き舌部の上側部は、実質的に全体が平らである請求項1~
12の何れか一項に記載のパネル。
【請求項14】
前記上向き舌部の、上向きフランクとは反対側を向く側部は、2つの実質的に垂直方向
の側方部分を含み、第1ロック要素は、上記実質的に垂直方向の側方部分の間に位置して
いる請求項1~
13の何れか一項に記載のパネル。
【請求項15】
前記上向き舌部の、上向きフランクの方を向く側部の少なくとも一部は、垂直方向に対
して傾斜しており、上向きフランクから離れるように角度がつけられており、
下向き舌部の、下向きフランクの方を向く側部の少なくとも一部は、垂直方向に対して
傾斜している請求項1~
14の何れか一項に記載のパネル。
【請求項16】
下向き舌部の、下向きフランクとは反対側を向く側部の上記一部、および/または、上
向きフランクの少なくとも一部は、少なくとも部分的に湾曲または傾斜しており、第3お
よび/または第4ロック要素は、少なくとも部分的に湾曲または傾斜している上記一部に
位置している請求項1~
15の何れか一項に記載のパネル。
【請求項17】
上向きフランクの上部、および/または、下向き舌部の、下向きフランクとは反対側を
向く側部の上部には、斜角部が設けられており、好ましくは、第3および第4ロック要素
は、前記斜角部の最も低い部分から離れて位置している請求項1~
16の何れか一項に記載のパネル。
【請求項18】
第3ロック要素は、下向き舌部の、下向きフランクとは反対側を向く側部の上部と比較
して内側に位置している請求項1~
17の何れか一項に記載のパネル。
【請求項19】
第3ロック要素は外向きの膨らみであり、第4ロック要素は凹部であり、特に、外向き
の膨らみは、断面が少なくとも部分的に円形である請求項1~
18の何れか一項に記載のパネル。
【請求項20】
下向き舌部とパネルのコアとの間には、下向き舌部をコアと接続するブリッジ部が存在
し、特に、ブリッジ部は、コアと下向き舌部との間において、箇所によって厚さが異なる
請求項1~
19の何れか一項に記載のパネル。
【請求項21】
第3および第4ロック要素は、第1および第2ロック要素と比較して、より高く配置さ
れている請求項1~
20の何れか一項に記載のパネル。
【請求項22】
第3および第4ロック要素は、前記上向き舌部の最高点と比較して、より低く配置され
ている請求項1~
21の何れか一項に記載のパネル。
【請求項23】
第3および第4ロック要素は、少なくとも垂直方向において、前記上向き舌部の最高点
と、第1および第2ロック要素の高さと、の間に配置されている請求項1~
22の何れか一項に記載のパネル。
【請求項24】
第3および第4ロック要素は、垂直方向のロックを実現するための共作用のために適合
されており、および/または、第1および第2ロック要素は、垂直方向のロックを実現す
るための共作用のために適合されている請求項1~
23の何れか一項に記載のパネル。
【請求項25】
第2連結部は、特に、第2連結部のブリッジ部を連結する間、少なくとも一時的に変形
するように構成されている請求項1~
24の何れか一項に記載のパネル。
【請求項26】
連結状態において、前記上向き舌部の上側部と下向き溝の上側部との間に隙間が存在し
、隙間は、好ましくは、前記上向き舌部の上向きフランクの方を向く側部から下向きフラ
ンクに向かって広くなっている請求項1~
25の何れか一項に記載のパネル。
【請求項27】
第2連結部、特にそのブリッジの最小厚さは、パネル全体の厚さの半分よりも小さい請
求項1~
26の何れか一項に記載のパネル。
【請求項28】
第1連結要素の下方、特に、その上向き舌部の下方には、空間が存在し、床の上に配置
されたときに、前記上向き舌部とパネルが配置された床との間に隙間が存在するようにな
っている請求項1~
27の何れか一項に記載のパネル。
【請求項29】
請求項1~
28の何れか一項に記載の相互に接続された複数のパネルからなるカバー材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル、特に床パネルに関する。また、本発明は、カバー材、特に、相互に連結した複数の本発明に係るパネルを含む床カバー材に関する。
【背景技術】
【0002】
相互に接続可能な床パネル等の相互に接続可能なパネルは、一般に、互いに対向する縁端部における相補的な連結外形を利用することによって、各パネルの縁端部において機械的に結合される。従来、矩形の床パネルは、従来の角度づけ方法によって、長辺の縁端部において互いに接続される。短辺では、様々な連結機構を適用することができ、短辺縁端部の連結機構は、例えば、垂直折りに基づくものであってもよい。垂直折りは、ドロップダウンとも呼称され、連結させるパネルの短辺の縁端部に位置する下向き舌部を下方に移動させて、上記下向き舌部を、すでに設置されているパネルの短辺の縁端部に位置する上向き溝に挿入する。そのようなパネルの一例は、特許文献1に開示されており、短辺縁端部の連結機構が、隣接するパネル同士の、相互に連結した短辺の縁端部を垂直方向にロックする構成が示されている。短辺の縁端部における、このような目的の垂直方向のロック効果は、短辺の縁端部における床パネル同士の連結を安定させることを意図するものであるが、実際には、組立て中と実用中との両方で、連結する縁端部に張力が掛かるため、連結する縁端部において、しばしば破損が起こる。これは、この種類のドロップダウン連結の信頼性と耐久性とに影響する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、改良された方法によって隣接するパネルに連結させることができる改良されたパネルを提供することで、連結したパネルの連結を強化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的のために、本発明は、
パネル、特に床パネルであって、
上側部と下側部とを有し、面を画定する、好ましくは中央に位置するコアと、
コアにおける互いに対向する縁端部にそれぞれ接続された少なくとも1つの第1連結部および少なくとも1つの第2連結部と、を含み、
前記第1連結部は、上向き舌部と、前記上向き舌部から離れて設けられた少なくとも1つの上向きフランクと、前記上向き舌部と前記上向きフランクとの間に形成された上向き溝と、を含み、前記上向き溝は、隣接するパネルの前記第2連結部の下向き舌部の少なくとも一部を受けるように適合されており、
前記第2連結部は、前記下向き舌部と、前記下向き舌部から離れて設けられた少なくとも1つの下向きフランクと、前記下向き舌部と前記下向きフランクとの間に形成された下向き溝と、を含み、前記下向き溝は、隣接するパネルの前記第1連結部の前記上向き舌部の少なくとも一部を受けるように適合されており、
前記上向き舌部の、前記上向きフランクとは反対側を向く側部の少なくとも一部には、隣接する床パネルの、例えば凹部または外向きの膨らみの形の第2ロック要素との共作用のために適合された、例えば外向きの膨らみおよび/または凹部の形の少なくとも1つの第1ロック要素が設けられており、
前記下向きフランクの側部の少なくとも一部には、隣接する床パネルの、例えば外向きの膨らみまたは凹部の形の前記第1ロック要素との共作用のために適合された、例えば凹部および/または外向きの膨らみの形の少なくとも1つの第2ロック要素が設けられており、
前記下向き舌部の、前記下向きフランクとは反対側を向く側部の少なくとも一部には、隣接する床パネルの、例えば凹部または外向きの膨らみの形の第4ロック要素との共作用のために適合された、例えば外向きの膨らみおよび/または凹部の形の少なくとも1つの第3ロック要素が設けられており、
前記上向きフランクの少なくとも一部には、隣接する床パネルの、例えば外向きの膨らみまたは凹部の形の第3ロック要素との共作用のために適合された、例えば凹部および/または外向きの膨らみの形の少なくとも1つの第4ロック要素が設けられている、パネルを提供する。
【0006】
パネルには、フック状の連結手段が設けられており、上向き舌部および下向き溝に加えて上向き溝および下向き舌部が協働し、互いの背後にフックする。このようにして、これらの要素は、少なくとも水平方向の床に配置されたときに、2つの連結したパネルの、水平方向における(水平方向の)ロックを実現する。第1、第2、第3、および第4のロック要素は、少なくとも水平方向の床に配置されたときに、2つの連結したパネルの、垂直方向における垂直方向のロックを実現する。この点において、水平方向は、パネルの面の方向と考えてもよく、垂直方向は、水平方向に直交する方向と考えてもよい。
【0007】
垂直方向のロックは、第1および第2ロック要素の共作用に加えて第3および第4ロック要素の共作用によって実現してもよい。一実施形態において、第1および第3ロック要素は、外向きの膨らみとして具現化され、第2および第4ロック要素は、(内向きの)凹部として具現化される。連結状態において、膨らみは、対応する凹部と協働し、互いに嵌合する。連結状態において互いに接触する膨らみと凹部との表面は、少なくとも水平方向の構成要素を有していてもよく、これによって垂直方向のロックを実現する。第1および第3ロック要素を(内向きの)凹部として具現化し、第2および第4ロック要素を外向きの膨らみとして具現化してもよい。他の組み合わせ/変更も可能であり、例えば、第1および第4ロック要素、または第2および第3ロック要素が、外向きの膨らみとして具現化される。
【0008】
第1および第2ロック要素を連結部の一方の側(例えば、下向きフランクの側部)に設け、第3および第4ロック要素を連結部のもう一方の側(例えば上向きフランクの側部)に設けることによって、垂直方向のロック要素は、連結部の領域にわたって分布する。この分布の結果、各ロック要素が、水平方向および垂直方向に離隔してもよい。そのように離隔することは、例えば、垂直方向の動きによって連結すると、共に作用してロックを実現するロック要素は、結果として次々と連結するため、有益である。これによって、これらのロック要素における変形と材料にかかる応力とを軽減することが可能である。その上、これらの力が軽減されると、ロック要素の強度が向上する。さらに、本発明では、パネルを、角度をつける動きによって連結することに加えて、連結したパネルを、角度をつける動きで連結解除することが可能である。
【0009】
第1および第2ロック要素、または第3および第2ロック要素をパネルに設けて、ロック要素の各対のうちの1つを効果的に省略することも可能である。
【0010】
上向き舌部の、上向きフランクの方を向く側部の少なくとも一部は、垂直方向に対して傾斜していてもよく、上向きフランクの方に向かって角度がつけられていてもよく、下向き舌部の、下向きフランクの方を向く側部の少なくとも一部は、垂直方向に対して傾斜していてもよい。垂直方向に対して傾斜している、下向き舌部の側部の一部は、下向きフランクの方に向かって角度がつけられていてもよい。この角度づけおよび傾斜によって、いわゆる「閉溝」方式が得られる。「閉溝」方式では、傾斜した一部によって、連結したパネルの垂直方向のロックが容易になる。そのような「閉溝」によって2枚のパネルを連結するために、連結部のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的および一時的に変形してもよい。これによって、「閉溝」は、連結したパネルの垂直方向のロックを強化し、パネルの連結をより困難にする可能性がある。上記一部が傾斜する方向と垂直方向との間の角度は、例えば、0度~45度の間、特に、0度~10度の間であってもよい。上記角度は、0度を除外してもよいが、これは、0度では垂直方向となってしまい、角度がついていると考えられる方向ではなくなってしまうからである。「閉溝」方式では、垂直方向のロックは、典型的には、上記角度を増加させることによって向上するが、角度が大きいほど、隣接するパネルを連結することがより困難となる。
【0011】
上向き舌部の、上向きフランクの方を向く側部の少なくとも一部は、垂直方向に対して傾斜していてもよく、上向きフランクから離れるように角度がつけられていてもよく、下向き舌部の、下向きフランクの方を向く側部の少なくとも一部は、垂直方向に対して傾斜していてもよい。垂直方向に対して傾斜している、下向き舌部の側部の一部は、下向きフランクから離れるように角度がつけられていてもよい。この角度づけおよび傾斜によって、いわゆる「開溝」方式が得られる。「開溝」方式では、連結に加えて連結解除が比較的容易であり、連結部の変形を必要としない(または、少なくとも「閉溝」よりは変形を必要としない)。上記一部が傾斜する方向と垂直方向との間の角度は、例えば、0度~45度の間、特に、0度~10度の間であってもよい。上記角度は、0度を除外してもよいが、これは、0度では垂直方向となってしまい、角度がついていると考えられる方向ではなくなってしまうからである。したがって、好ましくは、上向き舌部の、上向きフランクの方を向く側部(の全体)は、上向きフランクとは反対側の方向に、上向きに傾斜しており、下向き舌部の、下向きフランクの方を向く側部(の全体)は、下向きフランクとは反対側の方向に、下向きに傾斜している。
【0012】
好ましくは、第3ロック要素の水平方向の中心線および/または第4ロック要素の水平方向の中心線は、(i)第1ロック要素の水平方向の中心線(L1)と、(ii)上向き舌部の最大高さを画定する水平方向の線(LH)と、の間に位置している。第3ロック要素および/または第4ロック要素のこの特定の位置が有利であるのは、第一に、第3ロック要素および/または第4ロック要素の位置が比較的低くなるからである。これによって、連結したパネル同士の間に隙間が形成されるのが防止され、連結したパネル同士の間の継ぎ目が確実に閉じるようになる。第二に、第3ロック要素の少なくとも一部および/または第4ロック要素の少なくとも一部を、第1ロック要素の少なくとも一部の上方に(および、典型的には、さらに第2ロック要素の少なくとも一部の上方に)位置させることによって、連結の間の、全体的な材料変形を限定的に抑えることができる。これによって、連結の間の、材料にかかる応力の増加が軽減され、パネル同士の間で実現された連結の耐久性の信頼性にとって有利となる。典型的には、必ずしもそうではないが、第3ロック要素の水平方向の中心線は、第4ロック要素の水平方向の中心線と一致している。水平方向の中心線は、画定されたロック要素の中心(中核)を通過する架空の線であり、パネルによってそのように画定された面内を延伸し、および/または、上記面と平行である。上向き舌部の最大高さを画定する水平方向の線(LH)もまた、架空の線であり、上向き舌部の最上部と接触する。この線もまた、パネルによってそのように画定された面内を延伸し、および/または、上記面と平行である。好ましくは、第3ロック要素の水平方向の中心線、および/または、第4ロック要素の水平方向の中心線は、(i)第2ロック要素の水平方向の中心線と、(ii)上向き舌部の最大高さを画定する水平方向の線と、の間に位置している。典型的には、必ずしもそうではないが、第1ロック要素の中心線は、第2ロック要素の中心線と一致している。
【0013】
好ましい実施形態において、下向き舌部の、下向きフランクとは反対側を向く側部の少なくとも一部には、隣接する床パネルの、例えば凹部または外向きの膨らみの形の第6ロック要素との共作用のために適合された、例えば外向きの膨らみまたは凹部の形の第5ロック要素が設けられており、上向きフランクの少なくとも一部には、隣接する床パネルの、例えば外向きの膨らみまたは凹部の形の第5ロック要素との共作用のために適合された、例えば凹部または外向きの膨らみの形の第6ロック要素が設けられている。第5ロック要素および(相補的な)第6ロック要素が存在することによって、連結状態における2枚のパネルの間の、所望の垂直方向ロック効果が向上するであろう。好ましくは、第3ロック要素と第5ロック要素とのうちの一方のロック要素は、膨らみによって形成されており、第3ロック要素と第5ロック要素とのうちの他方のロック要素は、凹部によって形成されている。また、好ましくは、第4ロック要素と第6ロック要素とのうちの一方のロック要素は、膨らみによって形成されており、第4ロック要素と第6ロック要素とのうちの他方のロック要素は、凹部によって形成されている。より好ましくは、第3ロック要素は膨らみによって形成されており、(隣接する)第5ロック要素は凹部によって形成されている一方、第4ロック要素は凹部によって形成されており、第6ロック要素は膨らみによって形成されている。このようにすることで、第3ロック要素と第5ロック要素とによって形成される外形は、実質的にシグモイド形状(S字型またはZ字型)となるであろう。ここで、第4ロック要素と第6ロック要素とによって形成される外形は、鏡反転した(相補的な)シグモイド形状(反転したS字型または反転したZ字型)となるであろう。なお、第3ロック要素と第5ロック要素とは、(したがって)異なる形状を有していてもよく、第4ロック要素と第6ロック要素とは、(したがって)異なる形状を有していてもよい。好ましくは、第5ロック要素の中心線と第6ロック要素の中心線とは、第3ロック要素の中心線より上方に位置している。好ましくは、第5ロック要素および/または第6ロック要素は、他のすべてのロック要素よりも高く位置している。好ましくは、第5ロック要素の水平方向の中心線、および/または、第6ロック要素の水平方向の中心線は、(i)第1ロック要素の水平方向の中心線(L1)と、(ii)上向き舌部の最大高さを画定する水平方向の線(LH)と、の間に位置している。第5ロック要素および/または第6ロック要素のこの特定の位置が有利であるのは、第一に、第5ロック要素および/または第6ロック要素の位置が比較的低くなるからである。これによって、連結したパネル同士の間に隙間が形成されるのが防止され、連結したパネル同士の間の継ぎ目が確実に閉じるようになる。第二に、第5ロック要素の少なくとも一部および/または第6ロック要素の少なくとも一部を、第1ロック要素の少なくとも一部の上方に(および、典型的には、さらに第2ロック要素の少なくとも一部の上方に)位置させることによって、連結の間の、全体的な材料変形を限定的に抑えることができる。これによって、連結の間の、材料にかかる応力の増加が軽減され、パネル同士の間で実現された連結の耐久性の信頼性にとって有利となる。
【0014】
典型的には、第1ロック要素と第2ロック要素とは、相補的な形状を有している。典型的には、第3ロック要素と第4ロック要素とは、相補的な形状を有している。典型的には、第5ロック要素と第6ロック要素(適用する場合)とは、相補的な形状を有している。
【0015】
好ましい実施形態において、上向き舌部の、上向きフランクとは反対側を向く側部と、上向き舌部の上側部との間の遷移部は、凸型頂点を画定し、第4ロック要素の中心線は、上記凸型頂点の中心線とほぼ一致している。上述の遷移部は、上記2つの側部(上側部、および、上向き舌部の外側の(遠位の)側部)が互いに接する具体的な点(または具体的な角部)であってもよく、上向き舌部における上記2つの側部を接続する、(典型的には湾曲した)領域(または区画または範囲)であってもよい。遷移部が領域(または区画または範囲)によって形成されている場合、上記区画の中心(点)は、例えば、凸型頂点と考えられてもよい。好ましくは、凸型頂点は、上向き舌部の、上向きフランクとは反対側を向く側部における、平らな、好ましくは垂直に方向づけられた部分と、上向き舌部の上側部における、平らな、好ましくは傾斜した部分と、の間の遷移部によって画定されている。この好ましい実施形態において、遷移部は、2つの側部が互いに接する明らかな角部であり、凸型頂点は、上記角部と一致している。
【0016】
好ましい実施形態において、下向きフランクと下向き溝の上側部との間の遷移部は、凹型頂点を画定し、第3ロック要素の中心線は、上記凹型頂点の中心線と上記第2ロック要素の中心線との間に位置している。この場合においても、上述の遷移部は、上記2つの側部(下向き溝の上側部、および下向きフランク)が互いに接する具体的な点(または具体的な角部)であってもよく、上記2つの側部を接続する、(典型的には湾曲した)領域(または区画または範囲)であってもよい。遷移部が領域(または区画または範囲)によって形成されている場合、上記区画の中心(点)は、例えば、凹型頂点と考えられてもよい。好ましくは、下向きフランクと下向き溝の上側部との間の遷移部は、凹型頂点を画定し、第3ロック要素の中心線は、上記凹型頂点の中心線とほぼ一致している。
【0017】
上向き舌部の上側部の少なくとも一部、好ましくは全体が、上向きフランクとは反対側を向く方向に、下向きに傾斜している。好ましくは、下向き溝の上側部の少なくとも一部、好ましくは全体が、下向きフランクの方に、下向きに傾斜している。好ましくは、これらの傾斜は、0度以上5度以下の角度を形成する。上向き舌部の上側部の傾斜は、(パネルによって画定された面である)水平面に対して、好ましくは15度~45度の間、より好ましくは25度~35度の間、最も好ましくは約30度である。上向き舌部の上側部の傾斜は、好ましくは一定であり、これは、上側部が、実質的に平らであることを意味する。好ましくは、下向き溝の上側部は、好ましくは(上向き舌部の上側部の傾斜と比較して)同様の傾斜を有しており、より好ましくは下向き舌部の方向に、上向きである。下向き舌部をパネルのコア(本体)に接続するブリッジの下面は、下向き溝の上側部によって画定される。下向き溝の上側部を傾斜させることで、コアから下向き舌部の方向を見たときに、ブリッジは、箇所によって厚さが異なるようになる。このように、ブリッジが位置に応じた厚さを有することで、つまり、ブリッジの厚さが、好ましくは、コアの近くでは比較的大きく、下向き舌部の近くでは比較的小さいことで、ブリッジの厚さには数多くの利点がある。コアの近くの、ブリッジの厚い部分によって、ブリッジは、さらなる、十分な強度および頑強性を有する一方、下向き舌部の近くの、ブリッジの薄い部分によって、ブリッジにおける最も弱い点が形成され、したがって、連結の間における最初の変形(枢動点)の位置を決める要因となる。この変形の点は、下向き舌部の近くに位置しているので、下向き舌部を上向き溝に挿入できるように変形する材料の量を最小に抑えることができる。変形が少なければ、材料にかかる応力も少なくなり、これは、連結状態の寿命にとって、それゆえパネルの寿命にとって、有利である。
【0018】
好ましくは、上向き舌部の、上向きフランクとは反対側を向く側部は、2つの実質的に垂直方向の側方部分を含み、第1ロック要素は、上記実質的に垂直方向の側方部分の間に位置している。好ましくは、下向きフランクは、2つの実質的に垂直方向の側方部分を含み、第2ロック要素は、上記実質的に垂直方向の側方部分の間に位置している。連結状態において、好ましくは、上向き舌部の、上向きフランクとは反対側を向く側部における少なくとも1つの垂直方向の側方部分は、下向きフランクにおける少なくとも1つの垂直方向の側方部分と係合する。これによって、一般に、パネルの間で実現される連結がより安定かつ頑強となる。
【0019】
下向き舌部の、下向きフランクとは反対側を向く側部の上記一部、および/または、上向きフランクの少なくとも一部は、少なくとも部分的に湾曲または傾斜していてもよく、第3および/または第4ロック要素は、少なくとも部分的に湾曲または傾斜している上記一部に位置していてもよい。そのような湾曲または傾斜している一部は、例えば、位置合わせを行う縁端部のためのものであってもよく、これにより、連結するパネル同士を互いに位置合わせするのが容易となる。第1および第2連結部は、例えば、ブリッジ部を含んでいてもよく、これにより、上向き舌部と下向き舌部とがそれぞれのフランクに接続される。下向き舌部の、下向きフランクとは反対側を向く側部の上記一部、および/または、上向きフランクの少なくとも一部における湾曲または傾斜は、連結部のブリッジ部に向けられていてもよい。
【0020】
上向きフランクの上部、および/または、下向き舌部の、下向きフランクとは反対側を向く側部の上部には、斜角部が設けられていてもよい。上記各上部は、例えば、それぞれのより下の区画において互いに接触し、それぞれのより上の区画において互いからより離れており、斜角部を形成している。そのような斜角部によって、上記各上部の周辺における移動のための空間とともに、木製のフローリングパネルを模した美的効果をもたらす。そのような斜角部が連結部の各上部に設けられていると、連結した状態において、各斜角部によって(除去された材料の)V字型が形成される。そこで、第3および第4ロック要素は、好ましくは、各斜角部の最も低い部分よりも低く、つまり、各斜角部の最も低い部分の下に、位置している。これによって、第3および第4ロック要素は、パネル同士が連結したときに、上方から見ることができない。
【0021】
第3ロック要素は、下向き舌部の、下向きフランクとは反対側を向く側部の上部と比較して内側に位置していてもよい。これにより、下向き舌部の側部の上部は、ロック要素の末端、つまり、最も遠い部分を形成してもよく、第2連結要素のその他の各要素は、パネルのコアと上記上部との間に配置されていてもよく、これによって、設計が相対的に小型となる。そのように小型の設計のさらなる利点として、各要素が保護されて、要素が突出している場合と比較して、破損に対する脆弱さが低減されることがある。
【0022】
第3ロック要素は外向きの膨らみであってもよく、第4ロック要素は凹部であってもよく、特に、外向きの膨らみは、断面が少なくとも部分的に円形であってもよい。また、第3ロック要素が凹部であり、第4ロック要素が外向きの膨らみであってもよい。凹部は、膨らみに対して実質的に相補的な形状であってもよく、これは、第1および第2ロック要素にも当てはまる。膨らみ/凹部の組み合わせは、製作が比較的容易であり、したがって生産が比較的容易である。
【0023】
下向き舌部とパネルのコアとの間には、下向き舌部をコアと接続するブリッジ部が存在してもよく、特に、ブリッジ部は、コアと下向き舌部との間において、箇所によって厚さが異なっていてもよい。ブリッジ部の厚さがそのように箇所によって異なっていることで、ブリッジ部は最小厚さの部分、つまり、ブリッジ部の厚さが最小となる部分、を有することになる。この部分が、ブリッジにおいて材料の量が最も少なくなり、これにより、上記部分は、ブリッジ部における最も弱い区画を形成する。特に、各連結部の(少なくとも一時的な)変形が起こる、いわゆる「閉溝」ロック方式において、そのような最も弱い区画を形成し、特徴づけることによって、各連結部の、特にそのブリッジの変形が最も起こりそうな箇所が画定される。したがって、第2連結部、特に第2連結部のブリッジ部は、連結の間、少なくとも一時的に変形するように構成されていてもよい。
【0024】
第2連結部、特にそのブリッジの最小厚さは、パネル全体の厚さの半分よりも小さくてもよい。第2連結部がそのような最小厚さを有することによって、第2連結部に、相対的に薄い区画が設けられる。この薄い区画は、各連結部の(少なくとも一時的な)変形が起こる「閉溝」方式において特に有用であり、そのような薄い区画を形成し、特徴づけることによって、各連結部の、特にそのブリッジの変形が最も起こりそうな箇所が画定される。したがって、第2連結部、特に第2連結部のブリッジ部は、連結の間、少なくとも一時的に変形するように構成されていてもよい。
【0025】
少なくとも1つの第3ロック要素と少なくとも1つの第4ロック要素とは、第1および第2ロック要素と比較して、より高く配置されていてもよい。また、少なくとも1つの第3ロック要素と少なくとも1つの第4ロック要素とは、上向き舌部の最高点と比較して、より低く配置されていてもよい。また、第3および第4ロック要素は、少なくとも垂直方向において、上向き舌部の最高点と、第1および第2ロック要素の高さと、の間に配置されていてもよい。この分布の結果、各ロック要素が、垂直方向に離隔してもよい。そのように離隔することは、例えば、垂直方向の動きによって連結すると、共に作用してロックを実現するロック要素は、結果として次々と連結するため、有益である。これによって、これらのロック要素における変形と材料にかかる応力とを軽減することが可能である。その上、これらの力が軽減されると、ロック要素の強度が向上する。
【0026】
連結状態において、上向き舌部の上側部と下向き溝の上側部との間に隙間が存在していてもよく、隙間は、好ましくは、上向き舌部の上向きフランクの方を向く側部から下向きフランクに向かって広くなっている。上向き舌部の上側部と下向き溝の上側部との間に隙間が存在することによって、上向き舌部と下向き溝とは、互いに直接接触しなくなる。代わりに、各舌部の内側と外側とが互いに接触する。隙間によって異物を捕集することができ、パネル同士の連結が妨げられることがない。また、パネルの材料が、例えば、連結の間に各連結部から削り落とされた場合、隙間によってそのような材料を捕集することができる。上記場合が起こり得るのは、例えば生産公差によって、連結部の一方が、利用可能な空間と比較して、寸法がわずかに超過しているときである。
【0027】
第1連結要素の下方、特に、その上向き舌部の下方には、空間が存在し、床の上に配置されたときに、上向き舌部とパネルが配置された床との間に隙間が存在するようになっていてもよい。この空間は、例えば、コアから上向き舌部の外側に向かって、つまり上向き舌部の、上向きフランクとは反対側を向く側部に向かって、より高くなっていてもよい。第1連結要素の下の空間によって、連結の間、第1連結要素は、下方にわずかに変形、つまり屈曲することができてもよく、これにより、2枚のパネルの連結が容易になる。さらに、このように連結を容易にすることによって、連結する各連結部の正確な寸法からの公差および偏差をより大きくすることができる。
【0028】
連結状態において、連結したパネルの各連結部の間に、複数の隙間が存在していてもよい。例えば、第一の隙間が、各連結部の上部と第3および第4ロック要素との間に存在していてもよい。第二の隙間が、第3および第2ロック要素と各舌部の内側の側部(つまり、上向き舌部の、上向きフランクの方を向く側部と、下向き舌部の、下向きフランクの方を向く側部)との間に存在していてもよい。第三の隙間が、各舌部の内側の側部(つまり、上向き舌部の、上向きフランクの方を向く側部と、下向き舌部の、下向きフランクの方を向く側部)と第1および第2ロック要素との間に存在していてもよい。上向き舌部の上側部と下向き溝の上側部との間にこれらの隙間が存在することによって、上向き舌部と下向き溝とは、互いに直接接触しなくなる。代わりに、各舌部の内側と外側とが互いに接触する。隙間によって異物を捕集することができ、パネル同士の連結が妨げられることがない。また、パネルの材料が、例えば、連結の間に各連結部から削り落とされた場合、隙間によってそのような材料を捕集することができる。上記場合が起こり得るのは、例えば生産公差によって、連結部の一方が、利用可能な空間と比較して、寸法がわずかに超過しているときである。
【0029】
本発明に係るパネルは、典型的には、床カバー材を提供するために使用されるが、例えば、壁カバー材、天井カバー材、柱カバー材、梁カバー材、または家具カバー材等の、別のカバー材を形成するために適用することもできる。パネルは、厚さが2.5mm~10mmの間であってもよい。コアの少なくとも一部は、どのような材料からなっていてもよく、例えば、MDF、HDF、パーティクルボード、PVC、PE、PP、PET、PU等のプラスチック、(木材)プラスチック複合材、無機質板、酸化マグネシウム板、セッコウ、ガラス、砂、木材、またはそれらの混合物(もしくは組み合わせ)からなっていてもよい。パネルには、強化のために、ガラス繊維層またはポリエステル層等の、1または複数の補強層がさらに設けられていてもよい。パネルは、例えば細長くてもよく、幅が10cm~100cmの間で、長さが50cm~250cmであってもよい。
【0030】
各パネルのコアの少なくとも一部は、好ましくは、比較的環境に優しい材料からなり、上記材料は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、もしくはポリウレタン(PU)等のプラスチック材料、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンスクシナート(PBS)、ポリエステル、好ましくは堆肥にできるポリエステル、またはこれらの組み合わせを含む。コアは、粒子、粉塵、および/または繊維等の無機充填剤等の添加物を含んでいてもよい。パネル、特にコアは、上記パネルをより柔軟にするための可塑剤をさらに含んでいてもよい。パネルのコアは、少なくとも部分的に、木質繊維コア、例えば、再生利用された木質繊維コアからなっていてもよい。
【0031】
コアの上において、各パネルは、装飾層を含んでいてもよく、上記装飾層は、例えば、好ましくはプラスチックおよび/または紙からなる柄プリント層、または、コアに直接プリントされた柄プリントである。装飾層の上に、装飾層を保護するための保護層が存在していてもよい。コアの底部に、平衡化または音減衰層が存在していてもよい。
【0032】
装飾層は、例えば、紙を含んでいてもよい。紙は、プリントされたメラミン含浸紙であってもよく、例えば、メラミン樹脂を含浸させたセルロース繊維からなる室内装飾シートであってもよい。紙は、例えばHDFボード等の支持体上に直接配置されていてもよい。紙は、装飾用粉末混合物を撒き散らしたものの上に配置されていてもよい。例えば、装飾用粉末は、木質繊維と、結合剤と、任意に顔料および/または耐摩耗性粒子と、を含んでいてもよい。装飾用粉末の木質繊維は、再生利用した木質繊維等の、加工した木質繊維または未加工の木質繊維であってもよい。
【0033】
装飾層は、例えば、装飾用粉末混合物を撒き散らしたものを含んでいてもよい。例えば、装飾用粉末は、木質繊維と、結合剤と、任意に顔料および/または耐摩耗性粒子と、を含んでいてもよい。装飾用粉末の木質繊維は、再生利用した木質繊維等の、加工した木質繊維または未加工の木質繊維であってもよい。装飾層は、例えば、撒き散らされた装飾用粉末混合物の層を複数含んでいてもよい。
【0034】
装飾層は、例えば、木製の薄板を含んでいてもよい。木製の薄板は、例えばHDFボード等の支持体上に直接配置されていてもよい。木製の薄板は、装飾用粉末混合物を撒き散らしたものの上に配置されていてもよい。例えば、装飾用粉末は、木質繊維と、結合剤と、任意に顔料および/または耐摩耗性粒子と、を含んでいてもよい。装飾用粉末の木質繊維は、再生利用した木質繊維等の、加工した木質繊維または未加工の木質繊維であってもよい。
【0035】
装飾層は、例えば、コルクを含んでいてもよい。コルクは、例えばHDFボード等の支持体上に直接配置されていてもよい。コルクは、装飾用粉末混合物を撒き散らしたものの上に配置されていてもよい。例えば、装飾用粉末は、木質繊維と、結合剤と、任意に顔料および/または耐摩耗性粒子と、を含んでいてもよい。装飾用粉末の木質繊維は、再生利用した木質繊維等の、加工した木質繊維または未加工の木質繊維であってもよい。
【0036】
各ブリッジ部と各連結部の各舌部との間の各遷移部は、例えば、丸みがあるか、または滑らか(少なくとも鋭くはない)であってもよい。そのような各遷移部によって、異なる要素の間が徐々に遷移し、連結部に負荷または力がかかったときに、遷移部において亀裂が入ること、または材料が弱まることが防止される。また、各ブリッジ部と各連結部の各フランクとの間の各遷移部は、同じ理由で、丸みがあるか、または滑らかであってもよい。
【0037】
各パネルは、例えば、垂直方向の動きによって連結するように構成されていてもよい。本発明に係るパネルは、例えば、パネルの2つの対向する辺に第1および第2連結部が設けられていてもよい。例えば、パネルは、細長く、または矩形であってもよく、第1連結部が短辺の縁端部に設けられていてもよい。このとき、第2連結部は、対向する短辺の縁端部に位置していてもよい。その他の各辺、例えば各長辺にも、第1および第2連結部が設けられていてもよい。あるいは、その他の各辺は、回す、つまり回転させる動きによって連結される下向き角外形(angling down profiles)を有していてもよい。そのような下向き角外形は、例えば、一方の辺に側方の溝を有し、対向する辺に側方の舌部を有する。第1および第2連結部は、典型的には、その他の各辺に対するこの角度をつける動きの間に連結するのに適しており、第1および第2連結部は、回転する下向きの動きで、所定の位置に勢いよく嵌る(「ジプロック方式」とも呼ばれる)。さらに、本発明に係るパネルは、角度をつける動きによって連結解除することもできる。
【0038】
本発明は、さらに、本発明に係るパネルを複数含む、特に床カバー材または壁カバー材等のカバー材に関する。
【0039】
本発明のさらに好ましい実施形態が、下記の非限定的な各項に説明されている。
【0040】
1. パネル、特に床パネルまたは壁パネルであって、
上側部と下側部とを有し、面を画定する、中央に位置するコアと、
コアにおける互いに対向する縁端部にそれぞれ接続された少なくとも1つの第1連結部および少なくとも1つの第2連結部と、を含み、
前記第1連結部は、上向き舌部と、前記上向き舌部から離れて設けられた少なくとも1つの上向きフランクと、前記上向き舌部と前記上向きフランクとの間に形成された上向き溝と、を含み、前記上向き溝は、隣接するパネルの前記第2連結部の下向き舌部の少なくとも一部を受けるように適合されており、
前記第2連結部は、前記下向き舌部と、前記下向き舌部から離れて設けられた少なくとも1つの下向きフランクと、前記下向き舌部と前記下向きフランクとの間に形成された下向き溝と、を含み、前記下向き溝は、隣接するパネルの前記第1連結部の前記上向き舌部の少なくとも一部を受けるように適合されており、
前記上向き舌部の、前記上向きフランクとは反対側を向く側部の少なくとも一部には、隣接する床パネルの、例えば凹部または外向きの膨らみの形の第2ロック要素との共作用のために適合された、例えば外向きの膨らみまたは凹部の形の第1ロック要素が設けられており、
前記下向きフランクの側部の少なくとも一部には、隣接する床パネルの、例えば外向きの膨らみまたは凹部の形の前記第1ロック要素との共作用のために適合された、例えば凹部または外向きの膨らみの形の第2ロック要素が設けられており、
前記下向き舌部の、前記下向きフランクとは反対側を向く側部の少なくとも一部には、隣接する床パネルの、例えば凹部または外向きの膨らみの形の第4ロック要素との共作用のために適合された、例えば外向きの膨らみまたは凹部の形の第3ロック要素が設けられており、
前記上向きフランクの少なくとも一部には、隣接する床パネルの、例えば外向きの膨らみまたは凹部の形の前記第3ロック要素との共作用のために適合された、例えば凹部または外向きの膨らみの形の第4ロック要素が設けられている、パネル。
【0041】
2. 前記上向き舌部の、前記上向きフランクの方を向く側部は、前記上向きフランクとは反対側の方向に、上向きに傾斜しており、前記下向き舌部の、前記下向きフランクの方を向く側部は、前記下向きフランクとは反対側の方向に、下向きに傾斜している項1に記載のパネル。
【0042】
3. 前記第3ロック要素の水平方向の中心線および/または第4ロック要素の水平方向の中心線は、(i)第1ロック要素の水平方向の中心線(L1)と、(ii)前記上向き舌部の最大高さを画定する水平方向の線(LH)と、の間に位置している項1または2に記載のパネル。
【0043】
4. 第3ロック要素の水平方向の中心線および/または第4ロック要素の水平方向の中心線は、(i)第2ロック要素の水平方向の中心線(L1)と、(ii)前記上向き舌部の最大高さを画定する水平方向の線(LH)と、の間に位置している項1~3の何れか一項に記載のパネル。
【0044】
5. 下向き舌部の、下向きフランクとは反対側を向く側部の少なくとも一部には、隣接する床パネルの、例えば凹部または外向きの膨らみの形の第6ロック要素との共作用のために適合された、例えば外向きの膨らみまたは凹部の形の第5ロック要素が設けられており、
上向きフランクの少なくとも一部には、隣接する床パネルの、例えば外向きの膨らみまたは凹部の形の第5ロック要素との共作用のために適合された、例えば凹部または外向きの膨らみの形の第6ロック要素が設けられている項1~4の何れか一項に記載のパネル。
【0045】
6. 第3ロック要素と第5ロック要素とのうちの一方のロック要素は、膨らみによって形成されており、第3ロック要素と第5ロック要素とのうちの他方のロック要素は、凹部によって形成されている項5に記載のパネル。
【0046】
7. 第4ロック要素と第6ロック要素とのうちの一方のロック要素は、膨らみによって形成されており、第4ロック要素と第6ロック要素とのうちの他方のロック要素は、凹部によって形成されている項5または6に記載のパネル。
【0047】
8. 第3ロック要素と第5ロック要素とは異なる形状を有しており、および/または、第4ロック要素と第6ロック要素とは異なる形状を有している項5~7の何れか一項に記載のパネル。
【0048】
9. 第5ロック要素の中心線と第6ロック要素の中心線とは、第3ロック要素の中心線より上方に位置している項5~8の何れか一項に記載のパネル。
【0049】
10. 第5ロック要素の中心線および/または第6ロック要素の中心線とは、(i)第1ロック要素の水平方向の中心線(L1)と、(ii)前記上向き舌部の最大高さを画定する水平方向の線(LH)と、の間に位置している項5~9の何れか一項に記載のパネル。
【0050】
11. 前記上向き舌部の、上向きフランクとは反対側を向く側部と、前記上向き舌部の上側部との間の遷移部は、凸型頂点を画定し、第4ロック要素の中心線は、上記凸型頂点の中心線とほぼ一致している項1~10の何れか一項に記載のパネル。
【0051】
12. 凸型頂点は、前記上向き舌部の、上向きフランクとは反対側を向く側部における、平らな、好ましくは垂直に方向づけられた部分と、前記上向き舌部の上側部における、平らな、好ましくは傾斜した部分と、の間の遷移部によって画定されている項11に記載のパネル。
【0052】
13. 下向きフランクと下向き溝の上側部との間の遷移部は、凹型頂点を画定し、第3ロック要素の中心線は、上記凹型頂点の中心線と上記第2ロック要素の中心線との間に位置している項1~12の何れか一項に記載のパネル。
【0053】
14. 下向きフランクと下向き溝の上側部との間の遷移部は、凹型頂点を画定し、第3ロック要素の中心線は、上記凹型頂点の中心線とほぼ一致している項13に記載のパネル。
【0054】
15. 前記上向き舌部の上側部は、上向きフランクとは反対側の方向に下向きに傾斜している項1~14の何れか一項に記載のパネル。
【0055】
16. 下向き溝の上側部は、下向きフランクの方向に下向きに傾斜している項1~15の何れか一項に記載のパネル。
【0056】
17. 前記上向き舌部の上側部は、実質的に全体が平らである項1~16の何れか一項に記載のパネル。
【0057】
18. 前記上向き舌部の、上向きフランクとは反対側を向く側部は、2つの実質的に垂直方向の側方部分を含み、第1ロック要素は、上記実質的に垂直方向の側方部分の間に位置している項1~17の何れか一項に記載のパネル。
【0058】
19. 前記上向き舌部の、上向きフランクの方を向く側部の少なくとも一部は、垂直方向に対して傾斜しており、上向きフランクの方に向かって角度がつけられており、
下向き舌部の、下向きフランクの方を向く側部の少なくとも一部は、垂直方向に対して傾斜している項1~18の何れか一項に記載のパネル。
【0059】
20. 前記上向き舌部の、上向きフランクの方を向く側部の少なくとも一部は、垂直方向に対して傾斜しており、上向きフランクから離れるように角度がつけられており、
下向き舌部の、下向きフランクの方を向く側部の少なくとも一部は、垂直方向に対して傾斜している項1~19の何れか一項に記載のパネル。
【0060】
21. 下向き舌部の、下向きフランクとは反対側を向く側部の上記一部、および/または、上向きフランクの少なくとも一部は、少なくとも部分的に湾曲または傾斜しており、第3および/または第4ロック要素は、少なくとも部分的に湾曲または傾斜している上記一部に位置している項1~20の何れか一項に記載のパネル。
【0061】
22. 上向きフランクの上部、および/または、下向き舌部の、下向きフランクとは反対側を向く側部の上部には、斜角部が設けられており、好ましくは、第3および第4ロック要素は、前記斜角部の最も低い部分から離れて位置している項1~21の何れか一項に記載のパネル。
【0062】
23. 第3ロック要素は、下向き舌部の、下向きフランクとは反対側を向く側部の上部と比較して内側に位置している項1~22の何れか一項に記載のパネル。
【0063】
24. 第3ロック要素は外向きの膨らみであり、第4ロック要素は凹部であり、特に、外向きの膨らみは、断面が少なくとも部分的に円形である項1~23の何れか一項に記載のパネル。
【0064】
25. 下向き舌部とパネルのコアとの間には、下向き舌部をコアと接続するブリッジ部が存在し、特に、ブリッジ部は、コアと下向き舌部との間において、箇所によって厚さが異なる項1~24の何れか一項に記載のパネル。
【0065】
26. 第3および第4ロック要素は、第1および第2ロック要素と比較して、より高く配置されている項1~25の何れか一項に記載のパネル。
【0066】
27. 第3および第4ロック要素は、前記上向き舌部の最高点と比較して、より低く配置されている項1~26の何れか一項に記載のパネル。
【0067】
28. 第3および第4ロック要素は、少なくとも垂直方向において、前記上向き舌部の最高点と、第1および第2ロック要素の高さと、の間に配置されている項1~27の何れか一項に記載のパネル。
【0068】
29. 第3および第4ロック要素は、垂直方向のロックを実現するための共作用のために適合されており、および/または、第1および第2ロック要素は、垂直方向のロックを実現するための共作用のために適合されている項1~28の何れか一項に記載のパネル。
【0069】
30.第2連結部は、特に、第2連結部のブリッジ部を連結する間、少なくとも一時的に変形するように構成されている項1~29の何れか一項に記載のパネル。
【0070】
31. 連結状態において、前記上向き舌部の上側部と下向き溝の上側部との間に隙間が存在し、隙間は、好ましくは、前記上向き舌部の、上向きフランクの方を向く側部から下向きフランクに向かって広くなっている項1~30の何れか一項に記載のパネル。
【0071】
32.第2連結部、特にそのブリッジの最小厚さは、パネル全体の厚さの半分よりも小さい項1~31の何れか一項に記載のパネル。
【0072】
33. 第1連結要素の下方、特に、その上向き舌部の下方には、空間が存在し、床の上に配置されたときに、前記上向き舌部とパネルが配置された床との間に隙間が存在するようになっている項1~32の何れか一項に記載のパネル。
【0073】
34. カバー材、特に床カバー材または壁カバー材であって、相互に接続された複数の、項1~33の何れか一項に記載のパネルを含む、カバー材。
【0074】
本発明を、以下の各図に示される非限定的な例示的実施形態に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】本発明に係るパネルを模式的に示し、パネルの第1連結部を示す図である。
【
図2】本発明に係るパネルを模式的に示し、パネルの第2連結部を示す図である。
【
図3】連結状態における
図1および
図2の第1および第2連結部を模式的に示す図である。
【
図4】本発明に係るパネルを模式的に示し、パネルの第1連結部を示す図である。
【
図5】本発明に係るパネルを模式的に示し、パネルの第2連結部を示す図である。
【
図6】連結状態における
図4および
図5の第1および第2連結部を模式的に示す図である。
【
図7】
図1~
図3に示される実施形態における、様々な高さを模式的に示す図である。
【
図8】
図4~
図6に示される実施形態における、様々な高さを模式的に示す図である。
【
図9】
図1~
図3および
図7に示される2枚のパネルの連結を模式的に示す図である。
【
図11】A~Jは、様々な別の連結部を模式的に示す図である。
【
図12】本発明に係るパネルを模式的に示し、パネルの第1連結部を示す図である。
【
図13】本発明に係るパネルの模式的に示し、パネルの第2連結部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図1は、本発明に係る床パネル(1)を模式的に示し、パネル(1)の第1連結部(2)を示す。パネル(1)は、上側部(3a)と下側部(3b)とを有する、中央に位置するコア(3)を含む。第1連結部(2)は、上向き舌部(4)と、上向き舌部(4)から離れて設けられた上向きフランク(5)と、上向き舌部(4)と上向きフランク(5)との間に形成された上向き溝(6)と、を含む。上向き溝(6)は、隣接するパネルの第2連結部の下向き舌部の少なくとも一部を受けるように適合されている。
【0077】
上向き舌部(4)における、上向きフランク(5)とは反対側を向く側部(7)の一部には、外向きの膨らみ(8)の形の、隣接する床パネルの第2ロック要素との共作用のために適合された第1ロック要素(8)が設けられている。
【0078】
上向きフランク(5)の一部には、凹部(9)の形の、隣接する床パネルの第3ロック要素との共作用のために適合された第4ロック要素(9)が設けられている。上向き舌部(4)の、上向きフランク(5)の方を向く側部(17)の一部は、矢印A1で示されるように、垂直方向(V)に対して傾斜しており、上向きフランク(5)から離れるように角度がつけられている。上向きフランク(5)の一部(19)は、湾曲(19a)または傾斜(19b)しており、第4ロック要素(9)は、湾曲部(19a)または傾斜部(19b)に位置している。上向きフランク(5)の上部(20)には、斜角部(21)が設けられている。
【0079】
図2は、本発明に係る床パネル(1)を模式的に示し、パネル(1)の第2連結部(10)を示す。パネル(1)は、上側部(3a)と下側部(3b)とを有する、中央に位置するコア(3)を含む。第2連結部(10)は、下向き舌部(11)と、下向き舌部(11)から離れて設けられた下向きフランク(12)と、下向き舌部(11)と下向きフランク(12)との間に形成された下向き溝(13)と、を含み、下向き溝(13)は、隣接するパネルの第1連結部の上向き舌部の少なくとも一部を受けるように適合されている。
【0080】
下向きフランク(12)の側部の一部には、凹部(14)の形の、隣接する床パネルの第1ロック要素との共作用のために適合された第2ロック要素(14)が設けられている。下向き舌部(11)の、下向きフランク(12)とは反対側を向く側部(15)の一部には、外向きの膨らみ(16)の形の、隣接する床パネルの第4ロック要素との共作用のために適合された第3ロック要素(16)が設けられている。
【0081】
下向き舌部(11)の、下向きフランク(12)の方を向く側部(18)の一部は、矢印A2で示されるように、垂直方向(V)に対して傾斜しており、下向きフランク(12)から離れるように角度がつけられている。下向き舌部(11)の、下向きフランク(12)とは反対側を向く側部(15)の一部は、湾曲(22a)または傾斜(22b)しており、第3ロック要素(16)は、湾曲部(22a)または傾斜部(22b)に位置している。下向き舌部(11)の、下向きフランク(12)とは反対側を向く側部(15)の上部(23)には、斜角部(24)が設けられている。第3ロック要素(16)は、下向き舌部(11)の、下向きフランク(12)とは反対側を向く側部(15)の上部(23)と比較して、内側に位置している。
【0082】
上向きフランク(5)には、さらに、隣接する床パネル(1)の凹部(32)の形の第5ロック要素(32)との共作用のために適合された、外向きの膨らみ(31)の形の第6ロック要素(31)が設けられている。第4および第6ロック要素(9),(31)は、
図1では上下に並んで配置されており、合わせてZ形状、S形状、またはジグザグ形状のような形をしている。
【0083】
上向き舌部(4)の、上向きフランク(5)とは反対側を向く側部(7)と、上向き舌部(4)の上側部(28)との間の遷移部(33)は、凸型頂点(33)を画定し、第3および第4ロック要素の中心線は、上記凸型頂点の中心線とほぼ一致している。
【0084】
図2を参照すると、パネル(1)の下向き舌部(11)とコア(3)との間にブリッジ部(25)が存在し、下向き舌部(11)をコア(3)と接続しており、ブリッジ部(25)は、箇所によって厚さが異なる。ブリッジ部(25)の厚さは、「D1」で示される箇所で最小であり、ブリッジ部(25)は、厚さが最小の箇所において、最も薄い、最も弱い領域(26)を有し、上記領域において、第2連結部(10)の変形が最も起こりやすい。
【0085】
下向き舌部(11)の、下向きフランク(12)とは反対側を向く側部(15)の一部には、隣接する床パネル(1)の、外向きの膨らみ(31)の形の第6ロック要素(31)との共作用のために適合された、凹部(32)の形の第5ロック要素(32)が設けられている。第3および第5ロック要素(16),(32)は、
図2では上下に並んで配置されており、合わせてZ形状、S形状、またはジグザグ形状のような形をしている。
【0086】
下向きフランク(12)と下向き溝(13)の上側部(29)との間の遷移部(34)は、凹型頂点(34)を画定している。
【0087】
図3は、連結状態における、
図1および
図2の第1および第2連結部を示す。この連結状態において、上向き舌部(4)の上側部(28)と、下向き溝(13)の上側部(29)との間に、隙間(27)が存在し、隙間(27)は、上向き舌部(4)の、上向きフランク(5)の方を向く側部(17)から下向きフランク(12)に向かって広くなっている。
【0088】
【0089】
図1~
図3と
図4~
図6との間で対応する特徴には、同一の数字が付されている。主な相違点は、
図1~
図3が「開溝」方式を示す一方で、
図4~
図6が「閉溝」ロック方式を示す点である。これは、矢印(A3およびA4)によって示されており、矢印は、舌部(4、11)の側部(17、18)が、フランク(5、12)とは反対側ではなく、フランク(5、12)の方に向けられていることを示している。上向き舌部(4)の下方には空間(30)が存在し、床の上に配置されたときに、上向き舌部(4)とパネルが配置された床との間に空間(30)が存在するようになっている。「閉溝」実施形態が示されているが、同一の、または少なくとも同様の外形を、「開溝」実施形態においても用いることができる。
【0090】
図7および
図8は、連結状態における、第1および第2ロック要素の高さ(L1)と、第3および第4ロック要素の高さ(L3)と、上向き舌部の最高点の高さ(LH)と、を示す。第3および第4ロック要素の高さ(L3)は、上向き舌部の最高点の高さ(LH)と、第1および第2ロック要素の高さ(L1)と、の間にある。また、
図7は、斜角部の最も低い部分の高さを「LB」として示している。当該高さ(LB)と第3および第4ロック要素の高さ(L3)との間には距離が存在し、第3および第4ロック要素は、斜角部を通して見ることができないようになっている。各ロック要素の高さは、ロック要素の水平方向の中心線を示している。
【0091】
図7には、第5および第6ロック要素の中心線(L4)が示されており、中心線(L4)は、第3ロック要素の中心線(L3)の上、第1ロック要素の中心線(L1)の上、かつ、上向き舌部の最高点の高さ(LH)の下、に位置している。第3および/または第4ロック要素の中心線(L3)は、上向き舌部(4)の、上向きフランク(5)とは反対側を向く側部(7)と、上向き舌部(4)の上側部(28)と、の間の遷移部(33)と局所的に一致しており、遷移部は凸型頂点(33)を画定している。第3ロック要素の中心線(L3)は、凹型頂点(34)の中心線と、第1および/または第2ロック要素の中心線(L1)と、の間に位置している。
【0092】
図9は、
図1~
図3および
図7に示される2枚のパネルの連結を模式的に示す。
図10は、
図1~
図3および
図7に示される2枚のパネルの連結解除を模式的に示す。
図9は、(垂直方向の矢印によって示される)垂直移動による連結を示す。工程Aでは、各パネルを互いに向けて移動させる。工程Bでは、第1および第2ロック要素が係合する。工程Cでは、湾曲した矢印で示されるように、第2連結部のブリッジ部の変形が起こる。工程Dでは、第1および第2ロック要素が所定の位置に摺動し、第3および第4ロック要素が係合する。工程Eでは、連結が完了する。
図10に、工程Eにおける連結状態を示す。工程Fでは、回転によって連結解除が開始され(大矢印)、第2連結部のブリッジ部を変形させる(小矢印)。工程Gでは、連結が解除され、工程Hでは、両パネルが互いから自由となり、
図9の工程Aに対応する状態となる。
【0093】
図11A~11Jは、連結部の、様々な別の実施形態を模式的に示す。上述した各図で示される連結部は、細長いパネルの短辺に特に適している。これらの連結部は、典型的には、上記パネルにおける2つの対向する辺、或いは2つの対向する短辺、に設けられる。上記パネルにおける他の辺、例えば2つの対向する長辺は、下向き角外形を有していてもよい。
図11A~11Jは、パネルの上記対向する辺での使用に適した様々な連結部を示す。これらの実施形態のそれぞれは、側方の舌部(101)を回して、つまり回転させて側方の溝(102)に差し込むことによって、所定の位置で角度をつけることができる。また、これらの実施形態のそれぞれでは、連結状態において隙間(103)が存在し、粉塵等の異物を蓄積するのに用いることができる。
【0094】
側方の溝(102)は、典型的には、上唇部(104)、および上唇部(104)を超えて延伸する下唇部(105)と境を接している。上唇部(104)には、上向き肩部(106)が設けられており、上向き肩部(106)は、典型的には側方の舌部(101)の下の溝と協働する。いくつかの実施形態において、溝(102)の入口は、角度をつけられているか、または面取り(107)されている。連結状態において、連結要素の間に、具体的には、上向き肩部(106)の外側と、パネルのコアとの間に、中間空間(108)が存在していてもよい。
【0095】
図11A、C、D、およびEに示される各実施形態は、側方の舌部に、丸みのある底部(109)を有しており、側方の溝に、対応する丸みのある凹部を有している。この丸みによって、パネルの角度づけが容易になる。
図11B、F、H、およびJの各実施形態は、相対的に平らな底部(110)と、対応する凹部とに基づいている。これは、作製が容易であり、垂直方向のロックを強化する。
図11A、F、およびJの各実施形態は、上記下向き角外形に対する斜角部(111)の使用を示す。
図11Gの実施形態は、下向き角外形の実施形態を示し、側方の溝が、連結状態において側方の舌部を側方の溝に入り込ませる特定の形状を有している。
図11Iの実施形態は、二重構造、すなわち、側方の舌部と側方の溝との両方のサンドイッチ構造を示す。
【0096】
図12および
図13は、
図1および
図2の連結部を有するパネルの変更例を示す。対応する特徴には、同一の参照番号が付されている。
図1および
図2では、第3ロック要素(16)は、下向き舌部(11)の外側に設けられ、膨らみ(16)の形をしており、第4ロック要素(9)は、上向きフランク(5)に設けられ、凹部(9)の形をしている。
図12および
図13では、とらえ方が異なり、上向きフランク(5)に、膨らみ(16)の形の第3ロック要素(16)が設けられており、下向き舌部(11)の、下向きフランク(12)とは反対側を向く側部に、凹部(9)の形の第4ロック要素(9)が設けられている。
【0097】
本発明は、本明細書に示され、記載されている実践例に限定されず、当業者には自明であろう多数の変形例が、添付の特許請求の範囲内において可能であることは明らかであろう。
【0098】
上述した発明的概念は、いくつかの例示的な実施形態によって例示されている。個々の発明的概念は、適用する際に、記載された例の他の詳細をさらに適用することなく適用してもよいと考えられる。上述した発明的概念の考えられる全ての組み合わせの例を詳述する必要はなく、これは、特定の応用に想到するために、多数の発明的概念を(再度)組み合わせることができることを、当業者は理解するであろうからである。
【0099】
本文書で使用される、「第1」、「第2」、および「第3」のような序数は、識別の目的でのみ使用されている。したがって、「第3ロック要素」および「第2ロック要素」という表現の使用は、「第1ロック要素」が共に存在することを必ずしも必要としない。本発明に係るパネルは、タイルと呼称してもよい。「相補的な」連結外形(またはロック要素)とは、それらの連結外形(またはロック要素)が互いに協働できることを意味する。しかしながら、これを実現するために、相補的な連結外形(またはロック要素)は、相補的な形状を有する必要は必ずしもない。「水平」、「垂直」、および「傾斜」のような表現は、下地床のような、(仮想的な)水平の支持構造に配置されたパネルを基準とする相対的な表現である。ここで、パネルによって画定される面を、水平面とする。したがって、「垂直方向」にロックすることは、タイルの面に対して直交する方向にロックすることを意味し、「水平方向」にロックすることは、2つのタイルのそれぞれの連結した縁端部に直交する方向であって、タイルによって画定された面と平行または一致する方向にロックすることを意味する。本文書において、「床タイル」または「床パネル」が参照される場合、それらの表現は、「タイル」、「壁タイル」、「天井タイル」、「カバータイル」のような表現と置き換えることができる。
【0100】
本特許公開において使用される動詞「comprise」およびその活用形は、「comprise」だけでなく、「contain」、「substantially consist of」、「formed by」の各語句、およびそれらの活用形をも意味するものと理解される。