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特許7350775付加製造による物品の製造装置および製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】付加製造による物品の製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/73 20210101AFI20230919BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20230919BHJP
   B22F 10/85 20210101ALI20230919BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230919BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230919BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20230919BHJP
【FI】
B22F10/73
B22F10/28
B22F10/85
B33Y30/00
B33Y10/00
B33Y50/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020557163
(86)(22)【出願日】2019-04-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 GB2019051084
(87)【国際公開番号】W WO2019202312
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-04-13
(31)【優先権主張番号】1806273.7
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517102994
【氏名又は名称】エルピーダブリュ テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LPW TECHNOLOGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェラー,ベン イアン
(72)【発明者】
【氏名】ウィークス,ニコラス ポール
(72)【発明者】
【氏名】キャロル,フィリップ アンソニー
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/017069(WO,A1)
【文献】特表2012-510390(JP,A)
【文献】特開2006-248231(JP,A)
【文献】特開2002-205338(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0021855(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 10/00-12/90
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造によって物品を製造する方法であって、
前記物品の領域における応力を予測するために応力分析を実行するステップと、
第1の金属粉末および/または第2の金属粉末を選択的に分配して物品を製造するステップと、
を含み、
前記第1の金属粉末および第2の金属粉末は、同じ種類の金属粉末よりなり、
前記第1の金属粉末は、非リサイクル金属粉末または第1のリサイクルされた金属粉末を含み、
前記第2の金属粉末は、前記第1の金属粉末とは異なる程度にリサイクルされた第2のリサイクルされた金属粉末であり、
前記第1の金属粉末と前記第2の金属粉末との比率を、前記領域における予測された応力に応じて変化させる、方法。
【請求項2】
前記第1の金属粉末および前記第2の金属粉末が、リサイクルされた粉末を含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の金属粉末と前記第2の金属粉末との混合は、ワイパーを、構築プラットフォームを横切って第1の位置から第2の位置に移動させることによって前記第1の金属粉末と前記第2の金属粉末との混合を行うことにより、前記第1の金属粉末および前記第2の金属粉末が前記構築プラットフォーム上に分配された後に行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の金属粉末と前記第2の金属粉末との混合は、前記第1の金属粉末および前記第2の金属粉末を構築プラットフォーム上に分配する前に行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の金属粉末と前記第2の粉末との比率が、前記領域における前記予測された応力、および前記リサイクルされた金属粉末の予測されたまたは分析された条件のいずれかに応じて変化する、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
1つの層における第1の金属粉末と第2の粉末との比率が、前の層における第1の金属粉末と第2の金属粉末との比率と同じであるか、または異なる、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加製造によって物品を製造するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の付加製造ないし積層造形(AM:Additive Manufacturing)プロセスでは、AM機械が金属または合金などの粉末材料から物品を製造する。この機械は、構築プラットフォーム上に粉末の層を堆積させ、次いで、この粉末は典型的にはレーザーまたは電子ビームを用いて、選択的に融合されるか、またはそうでなければ固化されて、1つまたは複数の物品を形成する。このプロセスは、物品が層ごとに形成されるように繰り返される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
構築操作の間、未溶融の粉末は分解を受ける。金属粉末は例えば、徐々に酸化し、その特性、したがって粉末から製造される物品の特性を変化させることがある。粉末が酸化する傾向は典型的には温度と共に増加し、温度への暴露もまた、他の粉末特性に影響を及ぼし得る。
【0004】
分解された粒子を含有する未溶融の粉末にもかかわらず、未溶融の粉末を別の構築物に再使用することは、当業界内で典型的である。しかしながら、粉末がリサイクルされるにつれて、分配される粉末中の劣化粒子の含有量が増加し、劣化粒子が、使用中に応力を受ける物品の領域に蓄積する場合、その領域で物品が破損する可能性が増加することが理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記に鑑み、本発明の実施の形態の目的は、使用者が生成される物品の所定の領域に、低下した含量の分解粒子を含有する粉末を選択的に配送することを可能にする装置および方法を提供することである。また、本発明の実施の形態の目的は、リサイクルされた粉末が構築作業においてどのように利用されるかについての改善された制御をユーザに提供する装置および方法を提供することである。本発明の実施の形態の別の目的は、付加製造によって物品を製造するためのより経済的な経路を提供することである。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、付加製造によって物品を製造するための装置が提供され、この装置は粉末が選択的に分配されて物品を形成し得る第1の容器および第2の容器を含み、第1の容器および第2の容器は同じ種類の粉末を含有し、容器は、それぞれ、異なる程度にリサイクルされた粉末を収容する。
【0007】
装置はそれぞれの粉末が不特定の量の各粉末を含有するブレンドとしてではなく、第1および第2の容器から独立して分配されることを可能にするように構成されるので、第1の容器からおよび第2の容器から分配される粉末の比率は形成される物品の1つ以上の領域における予測される応力に応じて最適化され、変化され得る。これはまた、一般的に言えば、リサイクルされた粉末は物品の破損につながる可能性のある劣化粒子を少量しか含まないため、または全く含まないため、より高価であり、また、これらのより高価な粉末を、それらが必要とされる領域、すなわち、使用中に増加したレベルのストレスを経験する可能性のある物品の領域に選択的に分配することができることによって、ユーザは、物品全体を製造するためにそれらを使用するのではなく、物品を製造するためのより経済的な経路を与えられるので、製造コストを低減するという利点を有する。さらに、より少ない程度にリサイクルされた粉末は物品がより高いレベルの応力を受ける可能性がある領域においてより多くの量を分配することができるので、より低い割合の劣化粒子が前記領域に存在することになり、これは、使用中に物品がその領域で破損する可能性が低減されることを意味する。さらに、第1の容器および第2の容器は同じ種類の粉末を含み、唯一の違いはそれぞれの粉末がリサイクルされた程度であるので、このように形成された物品は異なる種類の粉末から形成された物品と比較して、減少した数の欠陥を示すと理解される。
【0008】
本発明の文脈において、「リサイクル粉末」は、1つ以上のAM構築サイクルに曝され、1つ以上のさらなるAM構築サイクルにおいて再使用される粉末として定義され得る。
【0009】
いくつかの実施の形態では、第1の容器がリサイクルされていない粉末を含むことができ、第2の容器は1回以上リサイクルされた粉末を含むことができる。したがって、リサイクルされていない粉末は、構築操作の条件にさらされていない「バージン」粉末であることが理解されるであろう。
【0010】
代替の実施の形態では、第1の容器および第2の容器の両方がリサイクルされた粉末を含有する可能性がある。一例として、第1の容器は1回リサイクルされた粉末を含むことができ、一方、第2の容器は、2回以上リサイクルされた粉末を含むことができる。
【0011】
第1および第2の容器は、それぞれ、第1および第2の容器からの粉末の流れを制御するための手段を含むことができる。例えば、第1および第2の容器はそれぞれ、容器から出る粉末の流れを制御するための弁を備えてもよい。特に、弁は電子弁であってもよい。
【0012】
装置は、第1の容器および/または第2の容器から粉末を構築プラットフォーム上に分配するように構成されてもよい。特に、装置は、第1の容器および/または第2の容器から粉末を構築プラットフォーム上に直接分配するように構成されてもよい。
【0013】
いくつかの実施の形態では、装置が第1の容器および/または第2の容器から粉末を、第3の容器を介して構築プラットフォーム上に分配するように構成されてもよい。第3の容器は、第1の粉末と第2の粉末との混合を可能にするように構成されてもよい。
【0014】
別の実施の形態では、第1の容器からの粉末および/または第2の容器からの粉末がそれぞれの配送プラットフォームを介して構築プラットフォーム上に分配される。配送プラットフォームは、y方向に移動可能であってもよい。好ましくは、配送プラットフォームがピストン駆動される。
【0015】
装置は、第1の容器および第2の容器から分配される粉末の比率を制御するように動作可能な制御ユニットを備えてもよい。特に、第1の容器および第2の容器から分配される粉末の比率は、物品の領域における予測された応力に応じて変化させることができる。装置は、第1および第2の容器からの粉末の配送を可能にするように構成されているが、場合によっては構築の要件に応じて、粉末は両方の容器からではなく、単一の容器からのみ分配されてもよいことが理解されるであろう。
【0016】
制御ユニットは、第1の容器および第2の容器から分配される粉末の比率が物品の各層について変化するように構成されてもよい。
【0017】
装置は、構築プラットフォーム上に粉末の層を形成するように動作可能なワイパーを備えてもよい。ワイパーは、構築プラットフォームの上方に配置することができる。好ましくは、ワイパーが構築プラットフォームの上方の第1の位置から第2の位置まで移動可能である。ワイパーは、均一な厚さを有する粉末の層が構築プラットフォーム上に得られるまで、必要な回数だけ前後に移動されてもよい。
該器具はまた、該層中の粉末を選択的に融解するための手段を含んでもよい。例えば、装置は、レーザービームまたは電子ビームを含むことができる。
【0018】
いくつかの実施の形態では、第1の容器内の粉末および第2の容器内の粉末が金属または金属合金を含むことができる。例えば、粉末は、チタン金属またはTi-6Al-4Vなどのチタン合金を含んでもよい。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、物品を製造するために第1の粉末および/または第2の粉末を選択的に分配するステップを含む、付加製造によって物品を製造する方法が提供され、第1の粉末および第2の粉末は異なる程度にリサイクルされており、同じ種類の粉末である。
【0020】
いくつかの実施の形態では、第1の粉末が非リサイクル粉末を含むことができ、第2の粉末は1回以上リサイクルされた粉末を含むことができる。あるいは、第1の粉末および第2の粉末の両方が異なる程度にリサイクルされたリサイクル粉末を含んでもよい。
【0021】
第1の粉末と第2の粉末との混合は、粉末が構築プラットフォーム上に分配された後に行うことができる。これは、例えば、ワイパーを、構築プラットフォームを横切って第1の位置から第2の位置に移動させることによって達成することができる。好ましくは、ワイパーが構築プラットフォームの上方に間隔を置いて配置される。ワイパーは実質的に均一な厚さを有する粉末の層を形成するために、必要なだけ頻繁に構築プラットフォームを横切って前後に移動させることができる。
【0022】
本方法は、物品の領域における応力を予測するために応力分析を実行するステップと、第1の粉末と第2の粉末との比率を、その領域における予測された応力に応じて変化させるステップとを含むことができる。
【0023】
いくつかの実施の形態では、第1の粉末と第2の粉末との比率がその領域における予測された応力、およびリサイクル粉末の予測または分析された条件のいずれかに応じて変化させることができる。
1つの層における第1の粉末の第2の粉末に対する比率は、前の層における第1の粉末の第2の粉末に対する比率と同じであっても異なっていてもよい。
【0024】
本発明の第3の態様によれば、粉末を選択的に分配して物品を形成することができる第1の容器および第2の容器を含む付加製造によって物品を製造するための装置であって、第1の容器および第2の容器は同じ種類の粉末を含み、第1および第2の容器はそれぞれ、異なる程度にリサイクルされた粉末を含み、第1の容器および第2の容器から分配される粉末の比率は、物品の領域における予測された応力に応じて変化する、装置が提供される。
【0025】
本発明の第3の態様による装置は、必要に応じて、本発明の第1および第2の態様に関連して説明した任意のまたはすべての特徴を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による物品を付加製造するための装置の第1の実施例を示す。
図2】本発明による物品を付加製造するための装置の第2の実施例を示す。
図3】本発明による物品を付加製造するための装置の第3の実施例を示す。
図4】第3の実施例の装置であって、粉末をブレンドするためのシステムをさらに備える装置を示す。
図5】物品を付加製造するための装置のより詳細な実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明をより明確に理解できるようにするために、添付の図面を参照して、本発明の1つまたは複数の実施の形態を例としてのみ説明する。
【0028】
図1を参照すると、本発明の1つの例示的な実施の形態では、付加製造によって物品を製造するための装置10が提供される。
【0029】
装置10は、粉末を保持し分配するように構成された第1の容器11および第2の容器12を備える。容器11、12はそれぞれの下端で漏斗形状であり、それぞれの容器11、12からの粉末の流れを制御するように構成された電子弁13が、各容器11、12の漏斗部分に設けられている。電子弁13は、電子弁13およびパーソナルコンピュータまたは同様の装置の両方と通信する制御ユニット(図示せず)によって制御される。
【0030】
この例では、第1の容器11および第2の容器12は共にチタン粉末を収容している。より具体的には、第1の容器11は、リサイクルされていないチタン粉末(粉末A)を収容し、第2の容器12は少なくとも1回リサイクルされたチタン粉末(粉末B)を収容し、すなわち、第1および第2の容器11、12は同じ種類の粉末を収容し、唯一の違いはそれぞれの粉末がリサイクルされた程度である。
【0031】
第3の容器14は、第1および第2の容器11、12の下に配置される。第3の容器14は、第1および/または第2の容器11、12からチタン粉末を受け入れるための開放された上端と、粉末が電子弁13を介して分配される漏斗状の下端とを有する。この例では、第3の容器14が必要に応じてチタン粉末を第1の容器11および/または第2の容器12から第3の容器14に選択的に分配することができるように、第1の容器11の下の位置および/または第2の容器12の下の位置に移動可能である。
【0032】
第3の容器14の下に位置する構築プラットフォーム15は、y方向に移動するように構成される。構築プラットフォームの上方には、ブレードの形態のワイパーが配置されている。ワイパーはワイパーが粉末から離れて保持される第1の位置から、ワイパーが粉末と係合する第2の位置まで移動可能である。ワイパーはまた、実質的に均一な厚さを有する粉末の層を形成するために、構築プラットフォーム15を横切って粉末を広げるように動作可能である。特に、ワイパーは、一旦ワイパーが構築プラットフォーム15上の粉末と係合すると、構築プラットフォーム15の一方の側から他方の側に移動するように動作可能である。
【0033】
装置10はまた、所与の層内の粉末粒子を所定の形状に選択的に溶融するための熱源を備える。この例では、熱源はレーザービームであるが、電子ビーム、マイクロ波またはプラズマ熱源を代替的に使用することができることが理解されるであろう。
【0034】
付加的製造プロセスを開始する前に、パーソナルコンピュータまたは同様の装置上のコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアを使用して、製造される物品の3Dモデルが生成される。次に、応力のような種々の物理的条件下で製品がどのように反応するかを予測するためのコンピュータ化した方法である有限要素解析(FEA)をCADモデルに対して施した。したがって、FEAは、ユーザが製品内の歪みおよび応力の領域、および製品が使用中に故障する可能性のある領域を予測することを可能にする。そして、CADファイルは、付加製造装置10によって理解できるSTLファイルに変換される。CADソフトウェアによって生成された3Dモデルは次いで、一連の2D層を得るために電子的にスライスされ、各層は物品のモデルを通る平面断面を画定する。次いで、FEA解析から得られた数値応力値をレビューし、各層について最高の数値応力値、すなわち最悪の場合のシナリオを特定するために、各層について解析される。この情報を使用して、チタン粉末の劣化挙動および製造される物品の適用要件に関する参照データが生成され、ユーザまたはアルゴリズムは、各層についての粉末Aおよび粉末Bの適切な混合比率を決定することができる。各層の混合比率は、パーソナルコンピュータまたは同様の装置等に記憶されている。
【0035】
付加製造プロセスの第1のステップにおいて、コンピュータは制御ユニットに信号を出力し、第1の容器11の電子弁13を開いて、粉末Aが第1の容器11から第3の容器14に流入することを可能にする。次いで、第3の容器14は第2の容器12の下の位置に移動し、第2の容器12に関連する電子弁13が開いて、粉末Bが第3の容器14に流入できるようにする。第1および第2の容器11、12のそれぞれの電子弁13は粉末A対粉末Bの所望の混合比率を得るために、所定の期間開かれる。上述のように、粉末A対粉末Bの比率は、粉末Bの劣化挙動も考慮に入れて、物品の領域における予測された応力に依存して変化する。したがって、粉末ブレンドは物品のある領域における予測された応力が高い場合には粉末Aをより多く含み、一方、物品の領域における予測された応力が低い場合には粉末ブレンドが領域における粉末Bをより多く含むことになる。特定の場合において、粉末は、特定の領域における予測された応力および構築されている物品の適用要件に応じて、100%の粉末Aまたは100%の粉末Bを含み得ることが理解される。
【0036】
粉末Aおよび粉末Bを第3の容器14に分配することは、それぞれの粉末が構築プラットフォーム15上に分配される前に、それらの粉末の混合を促進する。粉体ブレンドを分配するために、制御ユニットは、第3の容器14に関連する電子弁13を開くための信号を出力し、それにより、粉体が所定の速度で構築プラットフォーム15上に分配されることを可能にする。粉末ブレンドが分配されるとき、第3の容器14はブレンドされた粉末の層が構築プラットフォーム15上に形成されるように、前後に移動する。
【0037】
ブレンドされた粉末の層が実質的に均一な厚さを有することを確実にするために、ワイパーは粉末と接触させられ、次いで、所望の層厚さが得られるまで、粉末が構築プラットフォーム15を横切って広げられるように、前後に移動させられる。次に、ワイパーを後退させ、粉末と接触しないように保持する。ブレンドされた粉末の層を形成する際に、ブレンドされた粉末の一部が構築プラットフォームの表面から拭き取られることが好ましいであろう。この粉末は、この未溶融の粉末を再使用できるように、構築プラットフォームの両側に配置された収集チャンバ内に収集される。
【0038】
次に、物品の所望の形状に対応する粉末の選択された領域にレーザービームを照射して、層中の粒子を融合させ、冷却時に固体塊を形成させる。次に、粉末の別の層が第3の容器14から分配され、均一な層厚を有する層を形成し、選択された領域にレーザービームを照射する上述のプロセスが、物品が形成されるまで繰り返される。後続の各層における粉末A対粉末Bの比率は前の層と同じであっても異なっていてもよく、この比率はFEA分析によって決定される物品のその特定の領域における予測された応力に依存することが理解されるであろう。
【0039】
本発明の第2の実施例では、第3の容器14を含まないことを除いて、図1に示す装置10と同様の装置20が提供される。したがって、第1の容器11および/または第2の容器12から第3の容器14に粉体を分配するのではなく、粉体は第1の容器21および/または第2の容器22から、電子弁23を介して構築プラットフォーム25上に直接分配される。次に、分配された粉末は、ワイパーを用いて構築プラットフォーム25の表面全体に広げられる際に混合される。これは、第1および第2の容器21、22からの粉末を、構築プラットフォーム25上またはその下にある層上の特定の領域に分配することができ、その結果、これらの領域は、粉末が構築プラットフォーム25の表面を横切って広げられた後に、より高い集積度の粉末Aまたは粉末Bを有するという利点を有する。
【0040】
図5は、付加製造によって物品を製造するための装置20のより詳細な例を示す。装置20は、構築プラットフォーム25上の粉末の選択された領域を照射するためのレーザービーム26と、粉末Aを収容するための第1の容器21と、粉末Bを収容するための第2の容器22と、構築プラットフォーム25上に金属粉末の層を形成するように動作可能なワイパー27と、構築中に構築プラットフォームを下降させるための構築スクリュー28とを備える。
【0041】
本発明の第3の実施例では、図3に示すように、第3の容器14が第1の容器11および/または第2の容器12の下の位置に移動できないことを除いて、図1に示す装置と同様の装置30が提供される。代わりに、第3の容器34は、構築プラットフォーム35の上方の固定位置に保持され、シュート36を介して第1の容器31および第2の容器32に接続される。使用時には、第1の容器31からの粉末および/または第2の容器32からの粉末がそれぞれの電子弁33およびシュート36を介して第3の容器34に分配される。次いで、この粉末ブレンドは、構築プラットフォーム35上に分配され、上述したのと同じ方法で層に形成される。本発明の別の実施例では、図4に最も良く示されるように、第3の容器34はブレンドが構築プレート上に分配される前に、粉末Aと粉末Bとの混合を促進するように構成されたシステム37を備える。
【0042】
上記の実施の形態は、例としてのみ記載されている。本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変形が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5