(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】触覚感受性閾値を決定するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/16 20060101AFI20230919BHJP
【FI】
A61B3/16
(21)【出願番号】P 2020567497
(86)(22)【出願日】2019-06-03
(86)【国際出願番号】 FI2019050421
(87)【国際公開番号】W WO2019234292
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-05-19
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】514056252
【氏名又は名称】アイケア フィンランド オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】サルコラ ミカ
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0220892(US,A1)
【文献】カナダ国特許出願公開第00789799(CA,A1)
【文献】スイス国特許発明第00625408(CH,A)
【文献】特表2019-502451(JP,A)
【文献】国際公開第2018/014870(WO,A1)
【文献】特表2005-529670(JP,A)
【文献】特開2017-029715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼表面における触覚感受性閾値を決定するためのシステムであって、
前記システムはハウジングを備え、前記ハウジングは、
・ 前記ハウジング内に取り外し可能に配置されたプローブであって、生体適合性材料製のチップ部及び磁性材料製のボディ部を有し、前記眼表面に予め定義される衝撃属性で衝撃を与え、該眼表面から跳ね返るように動作可能である前記プローブと、
・ 前記プローブを前記ハウジング内に維持するように動作可能なプローブ取り付け手段と、
・ 前記プローブを前記眼表面に向かって放出するように動作可能なプローブ放出手段と、
を有し、前記プローブ放出手段はドライバコイルであり、前記ドライバコイルは、
・ 前記プローブを前記ハウジングから放出するために第1の方向に、または
・ 前記プローブを前記ハウジング中へ引込むために第2の方向に、
前記プローブを作動させるための磁力を生成するように動作可能であり、
前記システムは更に、
前記プローブの前記眼表面との前記衝撃後に
ヒトからフィードバックを受信するためのフィードバック手段と、
前記プローブ取り付け手段、前記プローブ放出手段および前記フィードバック手段へ制御可能に結合されたコントローラと、
を備え、前記コントローラは、
(a)前記プローブの衝撃属性の第1の値をセットすることと、
(b)前記眼表面に前記衝撃属性の前記第1の値で衝撃を与えるために、前記プローブを前記眼表面に向かって放出することと、
(c)前記眼表面における前記衝撃属性の前記第1の値での前記プローブの前記衝撃に応答する前記ヒトから第1のフィードバックを受信することと、
(d)前記プローブの前記衝撃属性の第2の値をセットするために前記衝撃属性の前記第1の値を増加または減少させることによって、変化させることと、
(e)前記眼表面に前記衝撃属性の前記第2の値で衝撃を与えるために、前記プローブを前記眼表面に向かって放出することと、
(f)前記眼表面における前記衝撃属性の前記第2の値での前記プローブの前記衝撃に応答する前記ヒトから第2のフィードバックを受信することと、
(g)前記触覚感受性閾値が
・ 前記フィードバックに基づく前記プローブの感知の最低値、または
・ 前記フィードバックに基づく前記プローブの無感知の最高値、
のいずれかとして決定されるまでステップ(d)~(f)を繰り返すことと、
を行うように動作可能であり、ただし前記フィードバックは、前記プローブの感知または前記プローブの無感知に対応する、
システム。
【請求項2】
前記コントローラは、
・ 前記フィードバックが
前記眼表面における感知に対応するまで前記衝撃属性の前記値を増加させる、
・ 前記フィードバックが
前記眼表面における無感知に対応するまで前記衝撃属性の前記値を減少させる、
・
前記眼表面における感知又は無感知に対応する前記フィードバックまで前記衝撃属性の前記値をランダムに変動させる、
のいずれかを行うように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ハウジングは、管状のフォームファクタを有する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プローブ取り付け手段は、取り付けコイルである、請求項1~
3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記プローブの放出および跳ね返り後の前記プローブの移動から生じる電流を測定するように動作可能なプローブ測定手段をさらに備え、前記プローブ測定手段は、測定コイルを備え、前記プローブ測定手段は、前記プローブの
前記眼表面との衝撃と関連する前記プローブの衝撃属性を決定するように動作可能である、請求項1~
4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記衝撃属性は、衝撃の速さ、加速性、運動エネルギー、単位面積当たりの運動エネルギー、衝撃の運動量、単位面積当たりの運動量、前記衝撃によって誘導される圧力、衝撃の継続時間のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~
5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記プローブは、所定の重量、予め定義されるフォームファクタのうちの少なくとも1つと関連する、請求項1~
6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記ハウジングへ作動的に結合されたセパレータ部であって、前記ハウジングと前記ヒトの
前記眼表面との間の予め定義される分離を保つ、前記セパレータ部
を備える、請求項1~7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
通信ネットワークを介して前記コントローラへ通信可能に結合されたサーバ装置であって、複数のヒトについての前記触覚感受性閾値を格納するように動作可能なデータベースを有するサーバ装置をさらに備える、請求項1~8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記サーバ装置は、
・ 前記複数のヒトの前記触覚感受性閾値を用いて基準触覚感受性閾値を決定して、
・ 前記基準触覚感受性閾値を前記データベース内に格納する
ように動作可能であり、
実施形態によっては、前記コントローラは、
・ 前記基準触覚感受性閾値を前記サーバ装置から受信し、
・ 前記ヒトの前記触覚感受性閾値と前記基準触覚感受性閾値との間の差を決定して、
・ 前記ヒトについて前記差を潜在的な医学的状態と相関付ける
ようにさらに動作可能である、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記フィードバック手段は、入力デバイスとして実装され、前記入力デバイスは、タクタイルフィードバックのためのユーザインターフェースまたは1つ以上のボタンを備え、前記入力デバイスは、ユーザインターフェース、キーパッド、オーディオ受信器のうちの少なくとも1つを備える、請求項1~10のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、触覚感受性に関し、より具体的には、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値を、前述の方法を用いて、決定するためのシステムに関する。
【背景】
【0002】
皮膚は、体の中で最も大きい器官である。体のための恒常性、生理学的、免疫学的バリアとして機能することは別として、皮膚は、複雑な感覚器官としても機能する。皮膚は、周囲オブジェクトおよび環境因子を知覚し、かかる遭遇について絶えず脳をアップデートする。かかるメッセージのリレーは、皮膚が備えている何百万もの感覚神経受容器によって実施される。このプロセスでは、感覚神経受容器がメッセージを脳へ送り、知覚された感覚または物理刺激に対応する触覚感受性を引き起こす。ある個人の触覚感受性をいくつかの異なる医学的状態を診断するために用いることができる。具体的には、かかる医学的状態は、しばしば、末梢神経系(すなわち、末梢神経障害)と関連する。
【0003】
触覚感受性は人によって変動するが、標準的な正常範囲はすべての正常人について変わらない。かかる正常範囲からの偏差は、ある個人における低感受性または過感受性を示す。従来、医師は、その人の体のある特定の体部位(例えば、足、腕、手の平、眼など)における触覚感受性を決定するために、その部位への針、音叉、セメスワインスタインモノフィラメント(SWF:Semmes-Weinstein monofilament)などの適用を採用して理学的検査を行う。かかる定量的方法は、適用部位における潜在的な末梢神経障害を検出するために、その人に痛みまたは圧力のいずれかの感じについて同時に質問することを必要とする。かかる物品の衝撃を増加させた後でも、その人がいずれかの痛みおよび/または圧力を感知することに失敗する場合、その適用部位は、無知覚であると考えられる。しかしながら、定量的方法は、有効性が変動し、触覚感受性に対応する(例えば、真陽性、偽陽性、真陰性、および偽陰性によって影響された)一貫性のない結果を提供する。さらに、従来の技法は、患者の触覚感受性閾値を示すために測定を行って汎用(例えば、SI単位ベース)値を導出することができない。続いて、ある医学的状態を追跡するために異なる測定機会における2人の患者の間で基準点を決定することを難しくする。
【0004】
最近、神経伝導試験(NCS:nerve conduction study)が患者における触覚感受性を決定するためのその診断能について評価を獲得した。神経伝導試験(NCS)は、神経生理学的変化を定量的に測定することが可能な客観的かつ標準的な技法である。しかしながら、神経伝導試験(NCS)の臨床使用は、筋電図検査装置および電源の取得に関わる限られた利用可能性および高コストに起因して制限され、ひいては、手技を患者ならびに医師の両方にとって非実用的なものにする。
【0005】
ごく最近になって、例えばリバウンド眼圧計(RT:rebound tonometer)、ゴールドマン圧平眼圧測定(GAT:Goldmann applanation tonometry)などの装置が眼の適用部位上の眼内圧を測定するために用いられている。とりわけ、眼は、眼の角膜が痛みを伴う刺激を感知できる密な感覚神経(すなわち、小径線維侵害受容)によって神経支配される、最も敏感な器官である。かかる装置は、眼の角膜が経験する外力に対応する眼内圧を算出する。
【0006】
眼の角膜の触覚感受性を導出することが重要である。実際、角膜の触覚感受性は、眼の全体的な生理学的機能にとって重要である。角膜の触覚感受性は、種々の理由に起因して変化しうる。例として、いくつかの全身性または眼に関連する疾患、例えば、糖尿病性神経障害、ヘルペス、リウマチが触覚感受性を減少させうる。減少した触覚感受性は、ドライアイ症候群の潜在的な理由であり、遷延性眼感染症のリスクを著しく増加させる。触覚感受性のレベルの変化は、眼の全体的な生理学的状態における前述の、またはいくつかの他の疾患もしくは異常のうちの一部を示しうる。
【0007】
コンタクトレンズが広く用いられている。角膜触覚感受性閾値(CTT:corneal touch sensitivity threshold value)をモニタすることがすべてのコンタクトレンズユーザにとって重要である。角膜の過感受性は、コンタクトレンズをつけたときに不快感をもたらす。減少した触覚感受性は、潜在的な眼感染症の初期段階を認識するための感覚能力を減少させるため、コンタクトレンズの使用に対する除外基準であるべきである。
【0008】
加えて、屈折矯正および白内障手術のような、角膜を通しての侵襲性眼科手術は、角膜感覚神経に、ひいては角膜の触覚感受性に影響を及ぼす。それゆえに、侵襲性眼科手術の前後に角膜触覚感受性閾値をモニタすることが手術中の感覚神経の消失を評価し、回復プロセスを追跡するための重要な方法である。
【0009】
米国特許出願公開第2006/178596号(Document US 2006/178596)は、感覚試験システム、および感覚圧力閾値を決定するために感覚試験システムを用いる方法、ならびに感覚圧力閾値を決定するために感覚試験システムを用いることによって損なわれた神経機能を特徴付ける状態を診断する方法を提示する。国際公開第2012/106593号(Document WO 2012/106593)は、被験者における末梢神経損傷を評価するためのシステムを考察する。システムは、圧力印加デバイスおよびコンピュータを含む。システムは、被験者の選択された体部位へ所望のパターンで圧力を印加して、被験者についての痛み閾値に達するまで圧力の印加を続ける。米国特許出願公開第2011/082384号(Document US 2011/082384)は、さらなる痛み研究に用いられて痛み症候群の臨床診断および処置を支援することができるコンピュータ制御された感覚試験システムを開示する。システムは、圧力/変形(ひずみ)、聴覚、嗅覚、および他の刺激を被験者へ送達するためのアクチュエータを含む。システムは、刺激の送達を制御するためのソフトウェアを含む。システムは、受容された刺激に関するフィードバックを受信するようにさらに動作可能である。
【0010】
それゆえに、先の考察の観点から、触覚感受性閾値を決定することと関連する前述の欠点を克服する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許出願公開第2006/178596号
【文献】国際公開第2012/106593号
【文献】米国特許出願公開第2011/082384号
【摘要】
【0012】
本開示は、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値をプローブを用いて決定する方法を提供することを目指す。本開示は、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値を、前述の方法を用いて、決定するためのシステムを提供することも目指す。本開示は、触覚感受性に対応する汎用値を導出する際の測定の不正確さおよび非効率性の既存の問題への解決策を提供することを目指す。本開示の目的は、先行技術において遭遇する問題を少なくとも部分的に克服する解決策を提供して、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値を決定するための正確な方法およびシステムを提供することである。
【0013】
一態様において、本開示のある実施形態は、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値をプローブを用いて決定する方法を提供する。この方法は、
(a)プローブの衝撃属性の第1の値をセットすることと、
(b)体のその領域に衝撃属性の第1の値で衝撃を与えるために、プローブを体のその領域に向かって放出することと、
(c)体のその領域における衝撃属性の第1の値でのプローブの衝撃に応答するそのヒトから第1のフィードバックを受信することと、
(d)プローブの衝撃属性の第2の値をセットするために衝撃属性の第1の値を増加または減少させることによって、変化させることと、
(e)体のその領域に衝撃属性の第2の値で衝撃を与えるために、プローブを体のその領域に向かって放出することと、
(f)体のその領域における衝撃属性の第2の値でのプローブの衝撃に応答するそのヒトから第2のフィードバックを受信することと、
(g)触覚感受性閾値が
・ フィードバックに基づくプローブの感知の最低値、または
・ フィードバックに基づくプローブの無感知の最高値
のいずれかとして決定されるまでステップ(d)~(f)を繰り返すことと、
を含む。ただし前記フィードバックは、プローブの感知またはプローブの無感知に対応する。
【0014】
別の態様では、本開示のある実施形態は、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値を決定するためのシステムを提供する。このシステムはハウジングを備え、前記ハウジングは、
・ 前記ハウジング内に取り外し可能に配置されたプローブであって、体の前記領域に予め定義される衝撃属性で衝撃を与えるように動作可能である前記プローブと、
・ 前記プローブを前記ハウジング内に維持するように動作可能なプローブ取り付け手段と、
・ 前記プローブを体の前記領域に向かって放出するように動作可能なプローブ放出手段と、
を有し、前記プローブ放出手段はドライバコイルであり、前記プローブ放出手段の誘導コイルは、
・ 前記プローブを前記ハウジングから放出するために第1の方向に、または
・ 前記プローブを前記ハウジング中へ引込むために第2の方向に、
前記プローブを作動させるための磁力を生成するように動作可能であり、
前記システムは更に、
前記プローブの体の前記領域との前記衝撃後に前記ヒトからフィードバックを受信するためのフィードバック手段と、
前記プローブ取り付け手段、前記プローブ放出手段および前記フィードバック手段へ制御可能に結合されたコントローラと、
を備え、前記コントローラは、
(a)前記プローブの衝撃属性の第1の値をセットすることと、
(b)体の前記領域に前記衝撃属性の前記第1の値で衝撃を与えるために、前記プローブを体の前記領域に向かって放出することと、
(c)体の前記領域における前記衝撃属性の前記第1の値での前記プローブの前記衝撃に応答する前記ヒトから第1のフィードバックを受信することと、
(d)前記プローブの前記衝撃属性の第2の値をセットするために前記衝撃属性の前記第1の値を増加または減少させることによって、変化させることと、
(e)体の前記領域に前記衝撃属性の前記第2の値で衝撃を与えるために、前記プローブを体の前記領域に向かって放出することと、
(f)体の前記領域における前記衝撃属性の前記第2の値での前記プローブの前記衝撃に応答する前記ヒトから第2のフィードバックを受信することと、
(g)前記触覚感受性閾値が
・ 前記フィードバックに基づく前記プローブの感知の最低値、または
・ 前記フィードバックに基づく前記プローブの無感知の最高値、
のいずれかとして決定されるまでステップ(d)~(f)を繰り返すことと、
を行うように動作可能であり、ただし前記フィードバックは、前記プローブの感知または前記プローブの無感知に対応する。
【0015】
本開示の実施形態は、先行技術における前述の問題を実質的になくし、またはそれらに少なくとも部分的に対処して、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値を患者/ユーザフレンドリーな仕方で正確に測定することを可能にする。
【0016】
本開示の追加的な態様、利点、特徴および目的は、添付の特許請求の範囲と併せて解釈される説明的な実施形態の図面および詳細な記載から明確にされるであろう。
【0017】
当然のことながら、本開示の特徴は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲から逸脱することなく様々な組み合わせに組み合わされやすい。
【0018】
上記の概要、ならびに説明的な実施形態の以下の詳細な記載は、添付図面と併せて読まれたときにさらによく理解される。本開示を説明する目的で、本開示の例示的な構造が図面に示される。しかしながら、本開示は、本明細書に開示される特定の方法および手段には限定されない。そのうえ、当業者は、図面が縮尺通りではないことを理解するであろう。可能な限り、同様の要素は、同一の番号によって示されている。
【0019】
次に、本開示の実施形態が以下の図を参照して、例としてのみ、記載される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の様々な実施形態による、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値を決定するためのシステムのブロック図である。
【
図2】本開示の様々な実施形態による、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値を決定するためのシステムのブロック図である。
【
図3A】本開示の様々な実施形態による、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値を決定するためのシステムの概略説明図である。
【
図3B】本開示の様々な実施形態による、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値を決定するためのシステムの概略説明図である。
【
図3C】本開示の様々な実施形態による、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値を決定するためのシステムの概略説明図である。
【
図4】本開示のある実施形態による、ある利用状態における
図3A、3B、3Cのシステムの概略説明図である。
【
図5】本開示のある実施形態による、ある利用状態における
図2のシステムの概略説明図である。
【
図6】本開示の様々な実施形態による、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化を示すグラフである。
【
図7】本開示の様々な実施形態による、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化を示すグラフである。
【
図8】本開示の様々な実施形態による、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化を示すグラフである。
【
図9】本開示の様々な実施形態による、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化を示すグラフである。
【
図10】本開示の様々な実施形態による、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化を示すグラフである。
【
図11】本開示のある実施形態による、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値をプローブを用いて決定する方法のステップの説明図である。
【詳細説明】
【0021】
添付図面では、下線付き番号は、下線付き番号がその上にある項目、または下線付き番号と隣接する項目を表すために用いられている。下線のない番号は、下線のない番号と項目を線で繋げることによって識別される項目に関係する。番号に下線がなく関連する矢印を伴うときには、下線のない番号は、矢印が指し示す全般的な項目を識別するために用いられる。
【0022】
以下の詳細な記載は、本開示の実施形態およびそれらを実装できる方法を説明する。本開示を実施するいくつかのモードが開示されたが、本開示を実施または実行するために他の実施形態も可能であることを当業者は認識するであろう。
【0023】
一態様において、本開示のある実施形態は、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値をプローブを用いて決定する方法を提供する。この方法は、
(a)プローブの衝撃属性の第1の値をセットすることと、
(b)体のその領域に衝撃属性の第1の値で衝撃を与えるために、プローブを体のその領域に向かって放出することと、
(c)体のその領域における衝撃属性の第1の値でのプローブの衝撃に応答するそのヒトから第1のフィードバックを受信することと、
(d)プローブの衝撃属性の第2の値をセットするために衝撃属性の第1の値を増加または減少させることによって、変化させることと、
(e)体のその領域に衝撃属性の第2の値で衝撃を与えるために、プローブを体のその領域に向かって放出することと、
(f)体のその領域における衝撃属性の第2の値でのプローブの衝撃に応答するそのヒトから第2のフィードバックを受信することと、
(g)触覚感受性閾値が
・ フィードバックに基づくプローブの感知の最低値、または
・ フィードバックに基づくプローブの無感知の最高値
のいずれかとして決定されるまでステップ(d)~(f)を繰り返すことと、
を含む。ただし前記フィードバックは、プローブの感知またはプローブの無感知に対応する。
【0024】
別の態様では、本開示のある実施形態は、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値を決定するためのシステムを提供する。このシステムはハウジングを備え、前記ハウジングは、
・ 前記ハウジング内に取り外し可能に配置されたプローブであって、体の前記領域に予め定義される衝撃属性で衝撃を与えるように動作可能である前記プローブと、
・ 前記プローブを前記ハウジング内に維持するように動作可能なプローブ取り付け手段と、
・ 前記プローブを体の前記領域に向かって放出するように動作可能なプローブ放出手段と、
を有し、前記プローブ放出手段はドライバコイルであり、前記プローブ放出手段の誘導コイルは、
・ 前記プローブを前記ハウジングから放出するために第1の方向に、または
・ 前記プローブを前記ハウジング中へ引込むために第2の方向に、
前記プローブを作動させるための磁力を生成するように動作可能であり、
前記システムは更に、
前記プローブの体の前記領域との前記衝撃後に前記ヒトからフィードバックを受信するためのフィードバック手段と、
前記プローブ取り付け手段、前記プローブ放出手段および前記フィードバック手段へ制御可能に結合されたコントローラと、
を備え、前記コントローラは、
(a)前記プローブの衝撃属性の第1の値をセットすることと、
(b)体の前記領域に前記衝撃属性の前記第1の値で衝撃を与えるために、前記プローブを体の前記領域に向かって放出することと、
(c)体の前記領域における前記衝撃属性の前記第1の値での前記プローブの前記衝撃に応答する前記ヒトから第1のフィードバックを受信することと、
(d)前記プローブの前記衝撃属性の第2の値をセットするために前記衝撃属性の前記第1の値を増加または減少させることによって、変化させることと、
(e)体の前記領域に前記衝撃属性の前記第2の値で衝撃を与えるために、前記プローブを体の前記領域に向かって放出することと、
(f)体の前記領域における前記衝撃属性の前記第2の値での前記プローブの前記衝撃に応答する前記ヒトから第2のフィードバックを受信することと、
(g)前記触覚感受性閾値が
・ 前記フィードバックに基づく前記プローブの感知の最低値、または
・ 前記フィードバックに基づく前記プローブの無感知の最高値、
のいずれかとして決定されるまでステップ(d)~(f)を繰り返すことと、
を行うように動作可能であり、ただし前記フィードバックは、前記プローブの感知または前記プローブの無感知に対応する。
【0025】
本開示は、ヒトの体の領域における触覚感受性閾値を、かかる方法を通じて、決定するための前述の方法および前述のシステムを提供する。有益には、前述の方法は簡単であり、導出された測定結果を汎用値で受信し、格納して表示するのに必要な計算量がより少ない。結果として、加えて、これらの汎用値は、2人の異なる参加者(もしくは2人の患者、または患者と正常ヒトと)の間で基準点を決定して、関連する医学的状態を経過観察するために用いられてよい。加えて、前述のシステムは、軽量であり、水平ならびに傾斜両方向により安全な方法で操作することが簡単である。有益には、システムは、体のいずれかの部位、角膜または皮膚、例えば、脚、手、足などにおける触覚感受性閾値と関連する一連の測定を通して実質的に一定の測定結果を提供するために、体のその領域において用いられてよい。さらに、測定が迅速であり、特別に訓練された操作者も参加者を麻酔することも必要としない。それゆえに、システムは、コスト効率が高く、ユーザ/患者フレンドリーな仕方で動作可能である。
【0026】
本開示を通して、本明細書に用いられる「ヒト(human)」という用語は、ある個人、個人の群、ある患者などを指す。さらに、そのヒトがある特定の分野、例えば、内科、神経内科などで医療サービスを受けているか、または受けるように登録されていてもよい。さらに、かかるサービスをそのヒトが必要とする分野における専門家から得ることが有益であろう。そのうえ、専門家は、そのヒトを評価する必要があり、例えば、神経内科医は、糖尿病性末梢神経障害のような神経障害を患っているか、またはそれが発生する瀬戸際にある、ある個人の神経活動を決定してよい。
【0027】
本開示を通して、本明細書に用いられる「体の領域(region of body)」という用語は、ヒトの異なる体部位を指す。具体的には、末梢神経系(PNS:peripheral nervous system)と関連する体のその領域は、何百万もの感覚ニューロンによって神経支配される皮膚または眼の角膜を含む。
【0028】
理解されるべきは、末梢神経障害が、自律神経、運動神経および感覚神経を含む、末梢神経系の障害であることである。末梢神経系(PNS)は、脳および脊髄を含む、中枢神経系(CNS:central nervous system)からヒトの体の1つ以上の領域へメッセージを送ることを担う。ある例では、末梢神経系(PNS)は、感覚または物理刺激が発生した場合に脳と体との協調を担う。体の様々な領域における、例えば、熱冷、ピリピリ感、痛み、攣縮、痙攣、電撃痛、刺すような痛み、刺痛、灼熱痛、拍動痛、疼痛、ちくちくする痛み、しびれ、協調の喪失、固有受容性感覚および脱力感のような、感覚または物理刺激が末梢神経障害と関連する。しばしば、末梢神経障害は、例えば糖尿病性神経障害、筋麻痺、ベル麻痺などの、根底にある医学的状態と関連付けられる。とりわけ、かかる神経障害を患っている人々は、痛みおよび/または圧力を知覚する能力に欠け、触覚感受性を喪失する。
【0029】
本開示を通して、本明細書に用いられる「触覚感受性(touch sensitivity)」という用語は、味わう、嗅ぐ、聞く、見るとともに5感のうちの1つを指す。具体的には、触覚感受性は、外部オブジェクトの近接またはかかるオブジェクトの力に触覚表面上で遭遇する能力を指す。より具体的には、ある個人は、例えば(脚、手、足の)皮膚、眼の角膜などの、体のいずれかの領域における適用エリアで自分らが何かを保持する、撫でる、操作する、感じる、または別の方法でそれと遭遇するときに触覚感受性を知覚する。さらに、触覚感受性は、前述の感覚または物理刺激を受ける体のその領域において感覚受容器を刺激する。感覚受容器が神経インパルスを脳へ伝導し、脳は、かかる刺激を解釈して、それらがヒトの体の影響された領域によって識別可能であるかまたは知覚されるようにする。
【0030】
当然のことながら、体の感覚器官として、皮膚は、ハプティック知覚、タクタイル感覚、および固有受容性感覚に適合されて、周囲オブジェクトおよび環境因子の知覚について何百万もの感覚神経受容器の細かいネットワークが脳を絶えずアップデートすることが理解されるであろう。例えば機械受容器、温度受容器、化学受容器、侵害受容器などの、異なるタイプの感覚神経受容器の各々がある特定のタイプの触覚をとらえる。例えば、機械受容器は、いずれかの種類の機械的変形に応答し、温度受容器は、熱冷の間を区別し、化学受容器は、皮膚内で生成された化学物質を感知し、侵害受容器は、痛みを伴う刺激を検出する。感覚神経受容器は、異なるタイプの触覚に対応するメッセージをある特定の経路に沿ってニューロンへ伝導する。例えば、痛みは、それ自体の経路を有し、すなわち、いくつかの受容器が痛みを感知して、かかる特定のタイプの触覚をある経路でいくつかの他のニューロンと接続されたあるニューロンへ伝える。同様に、温度は、それ自体の経路を有する。しかしながら、すべての経路は、共通の感覚器官、メッセージが送られる脳につながる。すべての感覚器官のうちで、眼は、最も敏感な器官である。具体的には、眼の角膜は、体の最も密な感覚神経支配を受ける。より具体的には、小径線維侵害受容ニューロンが眼の角膜を神経支配し、痛みを伴う刺激を感知して、インパルスをそれらの感覚器終末を通して伝導することを担う。侵害受容は、1次求心性(感覚)神経繊維であり、侵害性機械的刺激(すなわち、痛みを伴う圧力、カット、圧迫など)、熱的刺激(すなわち、やけどまたは悪寒)、および化学的刺激(例えば、眼の中のチリパウダー)と関連する痛みに応答する。それゆえに、ある最も好ましい実施形態において、小径線維侵害受容によって神経支配される眼表面は、ヒトの感受性を測定するのに有望な器官である。
【0031】
同じく当然のことながら、感覚神経受容器は、ある感覚または物理刺激が感覚神経受容器を刺激するのに十分に強い場合に限り、それを感知できる。言い換えれば、感覚神経受容器は、そのヒトが痛みおよび/または圧力を誘導する侵害性刺激を受けたときにのみ、ニューロンに沿って脊髄中へ伝えられるように、信号をトリガできる。さらに、痛みおよび/または圧力は、ある一定の閾値が一旦達成されると感知される。本開示を通して、本明細書に用いられる「閾値(threshold)」という用語は、それ以上で生理学的または心理学的効果が生成され始めるレベル、点または値を指す。言い換えれば、刺激の効果は、閾値を超えると知覚可能であるが、閾値未満では存在しなくなる。当然のことながら、神経の刺激の度合いが閾値に到達すると応答を生成する。
【0032】
例えば、ある個人の触覚感受性閾値がおよそ2kgm-1s-2(圧力刺激p=m*a/Aから導出されたSI単位、pは圧力、mはプローブの質量、aはプローブの加速度、およびAはプローブと接触する領域における衝撃の面積)であり、0.5kgm-1s-2の刺激がその個人の体のある領域上に印加された場合、0.5kgm-1s-2の刺激が触覚感受性閾値(2kgm-1s-2)より低いため、その個人は、その刺激を検出しないであろう。4kgm-1s-2の刺激がその個人の体の同じ領域上に印加された場合、4kgm-1s-2の刺激が触覚感受性閾値(2kgm-1s-2)より大きいため、その個人は、その刺激を検出するであろう。触覚感受性閾値は、個人ごとに変動し、実施形態によっては、その個人と関連する、年齢もしくは医学的状態、例えば、発作、衝撃的な出来事、または同様の持続的状態に応じて変化することにも留意してよい。
【0033】
実施形態によっては、触覚感受性閾値は、数値、予め定義されるスケール上の等級のうちの少なくとも1つとして決定される。例えば、触覚感受性は、痛い、痛みがより少ない、痛みがない、感受性がまったくない感じであってよい。そして、触覚感受性閾値は、1~10の予め定義されるスケール上で測定され、ここで1が「ない」感じを示し、2が「痛みがほとんどない」感じを示すなどであり、一方で10は、「激しい痛み」の感じを示す。好ましくは、触覚感受性閾値は、体のその領域におけるプローブの衝撃に依存する。そのうえ、触覚感受性閾値は、プローブの感知の最低値またはプローブの無感知の最高値でなければならない。
【0034】
ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値を決定するためのシステムは、ハウジングを備える。具体的には、ハウジングは、内部および外部を有する中空の収納用部品を指す。より具体的には、ハウジングは、前部、後部、および中間部を有する。
【0035】
実施形態によっては、ハウジングは、管状のフォームファクタを有する。ハウジングの管状のフォームファクタは、鋭いエッジのないコンパクトな構造を提供する。そのうえ、ハウジングのかかる設計は、簡単であり、作製するのが容易である。管状の設計の別の潜在的な利益は、それが占有する空間に関して、他の形状と比べたときに、前述のシステムの部品を配置するのに著しくより便利な内部空間をそれが提供するということである。
【0036】
代わりに、ハウジングは、楕円形または円筒形のフォームファクタを有する。
【0037】
ハウジングは、ハウジング内に取り外し可能に配置されたプローブを備え、プローブは、体のその領域に予め定義される衝撃属性で衝撃を与えるように動作可能である。本開示を通して、「プローブ(probe)」という用語は、その移動が体のその領域における入力感覚信号を生成する、移動可能な要素を指す。プローブは、体のその領域に向かって送出されて、体のその領域に衝撃を与えるように構成される。プローブの衝撃は、感覚細胞を覚醒させて脳を往復するメッセージの伝導を開始するように体のその領域を神経支配する。メッセージの伝導は、予め定義される衝撃属性と関連し、ヒトによって提供されるフィードバックの形態で反復される。ある実施形態によれば、プローブは、ある取り付け手段を用いてハウジング内に取り外し可能に配置される。取り付け手段の例は、取り付けコイルまたは磁石である。磁力は、プローブをハウジング中に維持するために用いられる。
【0038】
本開示を通して、本明細書に用いられる「衝撃属性(impact attribute)」という用語は、プローブをヒトの体の領域に向かって送出する、および/またはプローブが体のその領域にそれで衝撃を与える予め定義されるパラメータを指す。実施形態によっては、プローブの衝撃属性は、衝撃の速さ、加速度、運動エネルギー、単位面積当たりの運動エネルギー、衝撃の運動量、単位面積当たりの運動量、衝撃によって誘導される圧力、衝撃の継続時間のうちの少なくとも1つを含む。例えば、衝撃属性は、速さまたは速度(ある特定の方向における速さを指すベクトル量)「v」として表される。プローブは、ある特定の時間間隔「t」内に初期位置から最終位置、すなわち、体のその領域の表面へのある特定の距離「d」をカバーするために、v=d/tのような、ある速さでそのヒトに向かって送出されるように動作可能である。注記として、加速度という用語は、本開示の文脈では正または負の加速度(すなわち、減速度)を指す。
【0039】
別の例では、衝撃属性は、運動エネルギー「KE」として表される。プローブは、プローブの質量「m」および速度「v」を達成するためにプローブによって必要とされる加速度の因子として、KE=1/2*(m*v2)のような、運動エネルギーでヒトに向かって送出されるように動作可能である。代わりに、衝撃属性は、プローブと接触する体のその領域における衝撃の単位面積「A」当たりの運動エネルギー「KE」の観点から、プローブの衝撃がKE/Aであるように表されてもよい。
【0040】
さらに別の例では、衝撃属性は、プローブの質量「m」および速度「v」の積として、P=mvのように、運動量「P」として表される。
【0041】
さらに別の例では、衝撃属性は、プローブと接触する体のその領域における衝撃の単位面積「A」当たりに及ぼされる運動量Pの観点から、プローブの衝撃がP/Aであるように表されてもよい。
【0042】
さらに別の例では、衝撃属性は、その送出の間とその跳ね返りの間とのプローブの速度の変化、すなわち、加速度または減速度として、a=d/dt(v)またはΣ∫Δv/Δtのように表される。
【0043】
さらに別の例では、衝撃属性は、質量「m」、衝撃の単位面積A当たりに算出された加速度「a」の積として、p=m*a/Aのように、圧力「p」として表される。
【0044】
さらに別の例では、衝撃属性は、衝撃の継続時間として表される。
【0045】
ある例示的な実装では、プローブの衝撃属性は、表1に示されるように体のその領域においてプローブによって及ぼされる圧力に基づいて決定される。質量m 2.5*10E-5kgおよび2.5*10E-5m2の衝撃の面積Aをもつプローブは、その初期位置から最終位置、すなわち、体のその領域の表面へ5*10E-4mの距離を走行するように動作可能である。プローブは、体のその領域に衝撃を与えるために送出されて、その表面から跳ね返る。続いて、プローブの加速度の変化、すなわち、送出のときとその跳ね返りのときとのプローブの速度の間の差が、触覚感受性と関連付けられることに対応する、圧力「p」として表されるプローブの衝撃属性として決定される。
【0046】
【0047】
代わりに、衝撃属性は、(例えば、プローブが体のその領域の表面に対して縦にまたは垂直方向に保持されるときに)重力の影響下でプローブと接触する体のその領域において、質量mのプローブによって衝撃の単位面積「A」当たりに及ぼされる圧力「P」の観点から、P=m*g/Aのように表されてもよく、gは、重力に起因する加速度である(10m/s2と近似される)。
【0048】
表1を参照すると、プローブの衝撃属性は、表2に示されるように体のその領域における重力の影響下で体のその領域においてプローブによって及ぼされる圧力に基づいて決定される。続いて、体のその領域の表面においてプローブによって及ぼされる力Fは、
F=m*aとして決定され、ここでa=10m/s2である。
ある実施形態では、体のその領域は、眼表面であってよい。別の実施形態では、体のその領域は、皮膚、例えば、脚、手などの皮膚であってよい。当然のことながら、プローブのフォームファクタおよび重量は、眼表面上で実施される測定では皮膚のために選択されるものとは異なるであろう。加えて、考慮中のプローブと体のその領域の表面との間の距離も眼と皮膚とでは異なる。具体的には、表2の最初の2つの第1行は、眼表面における圧力pの測定結果を示し、最後の行は、皮膚における圧力pの測定結果を示し、
p=F/A
である。
【0049】
【0050】
プローブによって及ぼされる圧力pが眼表面では皮膚と比べるとより小さいことに気付くであろう。表記「E」は、この説明では指数項を指し、すなわち、例えば、1E-2は0.01(すなわち、1/100)である。
【0051】
当然のことながら、体のその領域を狙ってのプローブの送出は、それが送出される速さ、プローブが達成する運動量、プローブが跳ね返る減速度、プローブの質量、プローブのフォームファクタ、プローブのその領域との衝撃の面積、およびプローブが当たった際にその領域が感じる圧力の関数である。それゆえに、異なるフォームファクタおよび/または重量をもつプローブでは、一定の速さまたは加速度がプローブに提供されるときでも、異なる結果が予想される。
【0052】
実施形態によっては、プローブは、所定の重量、および予め定義されるフォームファクタのうちの少なくとも1つと関連する。言い換えれば、プローブは、重量およびフォームファクタが体の領域の感受性に対応して変化してよい。フォームファクタは、システムの部品のサイズ、形状、および他の物理的仕様を定義し、規定するハードウェア設計の態様である。具体的には、フォームファクタは、幅広い種類の同様のサイズのコンポーネントを表し、またはある特定の基準を規定する。とりわけ、フォームファクタが小さいほど、限られた空間のより能率的な使用、より大きいアセンブリ内の部品の配置におけるより大きいフレキシビリティ、材料の使用削減、ならびに輸送および使用の容易さの増大を提供する。しかしながら、フォームファクタが小さいほど、典型的に、エンジニアリングライフサイクルの設計、製造、およびメンテナンスフェーズにおけるコストの増大を招き、より大きいフォームファクタと同じ拡張オプションを許容しない。例えば、ノートブックコンピュータは、典型的に矩形状で、平面上のキーボードおよび上部にあるスクリーンに対して開く同じ「クラムシェル」形状によるフォームファクタである。ノートブックコンピュータは、ウルトラブック、ネットブックおよびコンバーチブル型タブレットのような、異なるフォームファクタにおいてさらに利用可能である。加えて、これらのフォームファクタは、適応性がある。例えば、眼表面を対象とするプローブは、軽量で、脚の皮膚を対象とするプローブと比べると、フォームファクタおよび衝撃属性がより小さくてよい。さらに、体の対象領域に対するプローブの姿勢は、体のかかる領域の様子に依存して変動してよい。例えば、リバウンド眼圧計は、体のその領域に対して水平または傾斜姿勢で用いられてよい。加えて、プローブは、中空または中実であってよい。さらに、プローブは、プラスチック、エラストマ、またはガラスで作られていてよい。さらに、プローブは、典型的に、少なくともいくらかの磁性材料を備える。磁性材料は、強磁性材料および/または常磁性材料を含むことができる。プローブの断面は、円形、管状、円筒状、正方形、六角形、楕円形、またはヒトの体の領域に対して力を及ぼすのに適したいずれかの他の形状であってよい。ある好ましい実施形態では、プローブは、ハウジングからのおよびその中へ戻るプローブの摩擦のない移動を許容するために円形断面を有する。それゆえに、プローブの位置、形状、寸法、材料は、一定ではなく、各ケースに依存して適合させることができる。
【0053】
実施形態によっては、プローブは、衛生的な測定経験を確保するために交換可能であってよい。より実施形態によっては、衛生的な測定経験を確保するために新しいプローブがハウジング内の空間に挿入されてよい。ある例では、眼の角膜の触覚感受性または眼内圧を測定する間に、新しいプローブが新しいセッションごとにハウジング内の空間に挿入されてよい。当然のことながら、眼表面における触覚感受性を同じエンティティまたは異なるエンティティについて測定する間に、同じプローブは、典型的に、再使用されない。眼は、体の最も敏感な器官であり、衛生的なおよび/または安全な仕方で用いられない場合、プローブからの感染または損傷の影響を受けやすいことが理解される。
【0054】
実施形態によっては、プローブは、チップ部およびボディ部を備える。さらに、プローブは、部分的に磁性材料であってよく、チップ部は、生体適合性材料を用いて作製され、ボディ部は、磁性材料である。生体適合性材料を用いて作製されるプローブのかかるチップ部は、プローブが悪影響なしに人体の生体組織(例えば、眼の角膜)と密接に接触して機能することを可能にし、それによって、ヒトの快適さおよび安全性を確保する。
【0055】
実施形態によっては、プローブのチップ部は、非磁性材料、例えば、プラスチック、エラストマまたはガラス材料から形成される。チップ部を硬いもしくは柔らかい、または弾性的もしくは非弾性的であるように作ることができる。実施形態によっては、プローブのチップ部の少なくとも一部分は、プローブヘディングエリアを備える。プローブヘディングエリアの少なくとも一部分は、平らまたは丸い表面を備え、既知の面積を有する。当然のことながら、プローブヘディングエリアは、理想的なサイズと関連付けられる。具体的には、面積がより小さいプローブヘディングエリアは、面積がより大きいプローブヘディングエリアと比べると衝撃の間により大きい圧力を及ぼす。
【0056】
実施形態によっては、プローブは、ハウジングの内部を移動するように動作可能である。システムは、プローブが最初に少なくとも部分的にハウジングの内部の位置にあるように配置される。代わりに、最初にプローブが完全にハウジングの内部にあってもよい。
【0057】
ハウジングは、プローブをハウジング内に維持するように動作可能なプローブ取り付け手段を備える。実施形態によっては、プローブ取り付け手段は、取り付けコイルである。さらに、取り付けコイルが電気的に制御されるように構成できる。具体的には、プローブ取り付け手段における電源供給がONされるときには、取り付けコイル中に磁力が誘導されるため、取り付けコイルがプローブをその初期位置に保持する。それゆえに、取り付けコイルに流れる電流を調節すると、ハウジングに出入りするプローブの移動に影響を与える。さらに、取り付けコイルに流れる電流を調節すると、体のその領域に対する水平ならびに傾斜測定中に、プローブがハウジングから抜け出ることも防止する。傾斜測定は、測定中に水平面に対してプローブがある角度をなす方向に移動するような姿勢にシステムが保持または配置される間に測定が行われる測定を意味する。具体的には、縦測定は、かかる角度が(水平面に対して)90°であり、測定中にプローブが水平面に対して縦または垂直方向に移動する姿勢にシステムが保持または配置されて測定が行われる、傾斜測定のある特別のケースとして考えられるべきである。代わりに、プローブ取り付け手段は、以下には限定されないが、磁気回路、機械式ロック、摩擦ブレーキなどを備える。ハウジング後部の後方に位置する磁気回路は、プローブがハウジング中へ一旦ロードされると、プローブを確実に保持する。実施形態によっては、取り付け手段は、永久磁石であるかまたはそれを備える。かかる随意的な実施形態において、システムは、好ましくは、永久磁石の磁界力を低減/除去するように構成された放出コイルも備える。
【0058】
ハウジングは、プローブを体のその領域に向かって放出するように動作可能なプローブ放出手段を備える。プローブ放出手段は、ドライバコイルである。プローブ放出手段の取り付けコイルは、プローブをハウジングから放出するために(または作動させるために)第1の方向に、またはプローブをハウジング中へ引込むために第2の方向に磁力を生成するように動作可能である。
【0059】
実施形態によっては、プローブ放出手段は、プローブ放出手段のドライバコイルを通る電流の流れを調節することによってプローブを作動させるように動作可能である。具体的には、ドライバコイルを通して流れる電流(電流が磁力を誘導する)がプローブ取り付け手段の磁界の効果を補償し(または相殺し)、結果として、プローブをハウジングから放出するために第1の方向に、またはプローブをハウジング中へ引込むために第2の方向にプローブが移動することを許容する磁力をプローブ放出手段中に生成する。さらに、電流は、外部電力供給からドライバコイル中へ流れる。理解されるべきであるは、プローブの速さがドライバコイル中の電流の流れによって制御されることである。具体的には、ドライバコイル中の電流が多いほど、結果として、プローブがハウジングからより高速で放出される。同様に、ドライバコイル中の電流が少ないほど、結果として、プローブがハウジングからより低速で放出される。プロービングシステムのかかる実装は、プローブの速さがドライバコイル中の電流の流れによって制御されて、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値の迅速かつ正確な決定を容易にする。当然のことながら、プロービングシステムによって印加される力は、試験の正確さおよび妥当性にとって決定的に重要である。本開示の実施形態に準じて、特定の力のレベルをヒトの体のある領域に印加し、それによって、ヒトの体のその領域における触覚感受性閾値の正確な評価を容易にすることができる。
【0060】
実施形態によっては、プローブは、電流をドライバコイルへ反対方向に導入することによってハウジング中へ引き戻される。
【0061】
ある実施形態によれば、システムは、プローブ測定手段を備える。さらに、プローブ測定手段は、測定コイルを備える。測定コイルは、それぞれ、プローブの放出および跳ね返り後にプローブの移動から生じる電流を測定するように動作可能である。プローブが磁性材料を備えるので、プローブ移動によって実際に電流が誘導される。
【0062】
実施形態によっては、ドライビングコイルおよび取り付けコイルを物理的に単一のコイル配置にすることができる。実施形態によっては、ドライビングコイルまたは取り付けコイルを測定コイルとして用いることができる。実施形態によっては、測定コイルをドライビングコイルまたは取り付けコイルとして用いることができる。実施形態によっては、ドライビングコイルを取り付けコイルとして用いることができる。さらに、システムの機械的構造において、コイルを複数の方法で互いに対して配置することができる。例えば、測定コイルをドライバコイルよりチップ部へ近付ける、またはその逆を行うことができる。一般に、ドライビングコイル、放出コイルおよび測定コイルは、誘導コイルである。
【0063】
ハウジングは、プローブの体のその領域との衝撃後にヒトからフィードバックを受信するためのフィードバック手段をさらに備える。実施形態によっては、フィードバック手段は、入力デバイスとして実装され、入力デバイスは、タクタイルフィードバックまたはオーディオフィードバックを受信するためのユーザインターフェース、キーパッド、オーディオ受信器のうちの少なくとも1つを備える。ユーザインターフェースは、ユーザインターフェース上にレンダリングされる、プローブの衝撃に対応する触覚感受性を登録する(ログする)ために入力をボタン、ジョイスティック、スライダによって受信するように動作可能である。具体的には、入力デバイスは、"YES"または"NO"、予め定義されるスケール上の等級の観点から触覚感受性を登録する(またはログする)ために用いられてよい。上述のように、触覚感受性閾値は、例えば、痛い、痛みがより少ない、痛みがない、感受性がまったくない感じとして表されてよい。代わりに、触覚感受性閾値は、1~10のスケール上で表されてもよく、1が「ない」感じを示し、2が「痛みがほとんどない」感じを示すなどであり、一方で10は、「激しい痛み」の感じを示す。さらに、入力デバイス(または一般にフィードバック)は、ユーザが痛い、痛みがより少ない、痛みがない、感受性がまったくないと感じているか、または前記スケールを用いているかどうかをユーザから収集するために用いられるであろう。フィードバック手段のかかる実装は、触覚感受性閾値を正確な仕方で確認することを容易にする。
【0064】
実施形態によっては、フィードバック手段のユーザインターフェースは、ヒトによるフィードバック入力を表示するように構成されたディスプレイ要素を備える。ディスプレイ要素は、フィードバックの少なくとも一部をその上に表示することを許容するように構成された光学部品に関係する。言い換えれば、与えられたディスプレイ要素は、触覚感受性に対応するフィードバックをその上で受信するように構成される。実施形態によっては、ディスプレイ要素は、実質的に平らな形状である。代わりに、実施形態によっては、ディスプレイ要素は、実質的に曲がっている形状である。実施形態によっては、ディスプレイ要素は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)ベースのディスプレイ、有機LED(OLED:Organic LED)ベースのディスプレイ、マイクロOLEDベースのディスプレイ、および液晶オンシリコン(LCoS:Liquid Crystal on Silicon)ベースのディスプレイによって実装される。
【0065】
ハウジングは、プローブ取り付け手段、プローブ放出手段およびフィードバック手段へ制御可能に結合されたコントローラをさらに備える。動作中に、コントローラは、プローブ取り付け手段、プローブ放出手段およびフィードバック手段のアクションを調節する。
本開示の方法は、プローブの衝撃属性の第1の値をセットすることを含む。さらに、コントローラは、プローブの衝撃属性の第1の値をセットするように動作可能である。具体的には、衝撃属性の第1の値をセットすることは、ヒトの体の領域に依存する。より具体的には、衝撃属性の第1の値をセットすることは、そのヒトの体の領域の感受性に依存する。例えば、体のその領域は、脚の皮膚であってもよく、脚の皮膚に衝撃を与えるためのプローブの衝撃属性の第1の値は、0.1N(すなわち、1/10N)であってよい。別の例では、体のその領域は、脚の皮膚と比べると比較的より敏感である手の皮膚であってもよく、結果として、手の皮膚に衝撃を与えるためのプローブの衝撃属性の第1の値は、0.07N(すなわち、7/100N)であってよい。さらに別の例では、体のその領域は、人体の最も敏感な部位である眼表面または角膜であってもよく、それゆえに、眼表面または角膜に衝撃を与えるためのプローブの衝撃属性の第1の値は、0.002Nであってよい。理解されるべきは、衝撃属性の測定単位(すなわち、ニュートン(N))が本開示の範囲を限定することは意図されないことである。
【0066】
ここで開示される方法は、体のその領域に衝撃属性の第1の値で衝撃を与えるために、プローブを体のその領域に向かって放出することをさらに含む。さらに、コントローラは、体のその領域に衝撃属性の第1の値で衝撃を与えるために、プローブを体のその領域に向かって放出するように動作可能である。具体的には、プローブ放出手段がプローブを体のその領域に向かって放出するように動作可能であり、プローブ放出手段は、ドライバコイルを備える。より具体的には、コントローラは、プローブ放出手段に制御可能に結合されて、プローブをヒトの体のその領域に向かって衝撃属性の第1の値で放出するようにプローブ放出手段を構成する。
【0067】
体のその領域に向かって衝撃属性の第1の値で放出されたプローブは、体のその領域に当たって、体のその領域に衝撃属性の第1の値でプローブの衝撃をもたらすように構成されることが理解される。そして体のその領域は、プローブの衝撃を感知して、衝撃属性の第1の値でのプローブの衝撃の感知または無感知で応答する。
【0068】
ここで開示される方法は、体のその領域における衝撃属性の第1の値でのプローブの衝撃に応答するそのヒトから第1のフィードバックを受信することをさらに含む。さらに、コントローラは、体のその領域における衝撃属性の第1の値でのプローブの衝撃に応答するそのヒトから第1のフィードバックを受信するように動作可能である。具体的には、フィードバック手段がプローブの体のその領域との衝撃後にそのヒトからフィードバックを受信するように動作可能である。より具体的には、コントローラは、フィードバック手段に制御可能に結合されて、プローブの体のその領域との衝撃後にそのヒトからフィードバックを受信するようにフィードバック手段を構成する。
【0069】
本開示を通して、本明細書に用いられる「フィードバック(feedback)」という用語は、ある状況、製品、刺激などに対する反応についての情報を指す。具体的には、フィードバックは、その結果または効果によるプロセスもしくはシステムの修正または制御を許容する。より具体的には、フィードバックは、あるアクションの出力が因果関係ループにおける次のアクションを修正するための入力としてルートバックされることを許容するプロセスである。ある実施形態では、フィードバックは、プローブの衝撃と関連する感覚を感じる指標であってよい。別の実施形態では、フィードバックは、感知の強度、すなわち、痛みのレベルまたは感じのレベル(例えば、感じない、わずかに感じる、はっきりと感じるなど)であってよい。
【0070】
さらに、ヒトは、体のその領域における衝撃属性の第1の値でのプローブの衝撃に応答して第1のフィードバックを提供することを必要とされる。具体的には、そのヒトは、フィードバック手段のユーザインターフェースを用いてフィードバックを提供することを必要とされる。言い換えれば、システムは、プローブの衝撃属性をそのヒトの体のその領域に向かって反復し、フィードバック手段を用いてフィードバック情報を収集する。
【0071】
ここで開示される方法は、プローブの衝撃属性の第2の値をセットするために衝撃属性の第1の値を増加または減少させることによって、変化させることをさらに含む。具体的には、コントローラは、プローブの衝撃属性の第2の値をセットするために衝撃属性の第1の値を増加または減少させることによって、変化させるように動作可能である。衝撃属性の第1の値の変化は、すなわち、衝撃属性の第1の値によって誘導されるか否かに係わらず、触覚感受性に対応する。ある事例では、衝撃属性の第1の値は、第2のフィードバックがその領域における触覚感受性に対応するまで衝撃属性の第2の値をセットするために増加される。代わりに、衝撃属性の第1の値は、第2のフィードバックがその領域における触覚感受性を示さなくなるまで衝撃属性の第2の値へ減少される。実施形態によっては、衝撃属性の第1の値および衝撃属性の第2の値は、数値、予め定義されるスケール上の等級のうちの少なくとも1つとして決定される。
【0072】
実施形態によっては、衝撃属性の第2の値を取得するために衝撃属性の第1の値を増加または減少させることによって、衝撃属性の第1の値を変化させることは、所定のステップサイズ、累進的ステップサイズ、累減的ステップサイズ内で値を増加もしくは減少させること、またはNewton-Raphson技法を用いることを含む。
【0073】
ある実施形態では、所定のステップサイズは、1つのレベルと次のレベルとの間の理想的な差であってよい。ステップサイズは、値をさらに次のレベルへシフトするための増加量または減少量である。ある例では、2のステップサイズは、予め定義される衝撃属性の値を2単位ごとに算出するであろう。
【0074】
別の実施形態では、所定のステップサイズは、次の予め定義される衝撃属性の値が一定のステップサイズで増加される、すなわち累進的ステップサイズ、次の予め定義される衝撃属性の値が一定のステップサイズで減少される、すなわち累減的ステップサイズであってもよく、またはNewton-Raphson技法を用いていてもよい。
【0075】
さらに別の実施形態では、プローブの衝撃属性の第2の値をセットするために衝撃属性の第1の値を変化させるべくNewton-Raphson技法が採用されてよい。Newton-Raphson技法は、方程式への解をより正確に見出すために繰り返して行うことができる反復手順である。具体的には、反復Newton-Raphson技法は、衝撃属性の第1の値がその領域における触覚感受性を誘導することに失敗し、衝撃属性の第2の値がその領域における触覚感受性を誘導するまで、衝撃属性の第1の値を衝撃属性の第2の値へ増加させるときに採用される。かかるシナリオでは、第3の衝撃属性が衝撃属性の第1の値と衝撃属性の第2の値との平均として選択される。さらに、第3の衝撃属性がその領域における触覚感受性を誘導することに失敗する場合には、触覚感受性が衝撃属性の第2の値と第3の衝撃属性との間のレベルで誘導されることを考慮して、第4の衝撃属性が衝撃属性の第2の値と第3の衝撃属性との平均として選択される。しかしながら、第3の衝撃属性がその領域における触覚感受性を誘導する場合には、触覚感受性が衝撃属性の第1の値と第3の衝撃属性との間のレベルで誘導されることを考慮して、第4の衝撃属性が衝撃属性の第1の値と第3の衝撃属性との平均として選択される。同様に、このプロセスは、その領域における触覚感受性と関連する真値に最も近い方程式への解を見出すために反復的に行われてよい。
【0076】
実施形態によっては、衝撃属性の第1の値は、ランダムなステップサイズを用いて変化される。より実施形態によっては、ランダムなステップサイズは、増加または減少する。有益には、プローブの衝撃と触覚感受性との間のかかる相関関係を何が予測されるかの後知恵なしに決定できる。さらに、ステップサイズが小さいほど、所望の結果を決定するために複数のデータ点を考慮し、それゆえに、体のその領域の正確な触覚感受性閾値が得られる。具体的には、衝撃属性の最低値がその領域における触覚感受性と関連する真値に選択される。より実施形態によっては、触覚感受性閾値がその領域における触覚感受性と関連する衝撃属性の最低値として選択される。
【0077】
より実施形態によっては、送出プローブから生じる力と触覚感受性との間のより良好な相関関係を得るために、送出プローブから生じる同じ力が、プローブと関連する異なる重量、フォームファクタおよび/または速さで、複数回繰り返されてよい。
【0078】
より実施形態によっては、上記のパターンのいずれかを複数回繰り返し、またはそれらのパターンを混ぜ合わせると、送出プローブから生じる力と触覚感受性との間のより良好な相関関係を生じさせることができるであろう。代わりに、実施形態によっては、衝撃属性の第1の値を変化させるために他の反復方法を用いてもよい。
【0079】
ここで開示される方法は、体のその領域に衝撃属性の第2の値で衝撃を与えるために、プローブを体のその領域に向かって放出することをさらに含む。さらに、コントローラは、体のその領域に衝撃属性の第2の値で衝撃を与えるために、プローブを体のその領域に向かって放出するように動作可能である。具体的には、プローブ放出手段がプローブを体のその領域に向かって放出するように動作可能であり、プローブ放出手段は、ドライバコイルを備える。より具体的には、コントローラは、プローブ放出手段に制御可能に結合されて、プローブをヒトの体のその領域に向かって衝撃属性の第2の値で放出するようにプローブ放出手段を構成する。
【0080】
理解されるべきは、衝撃属性の第1の値が体のその領域に感受性を発生させることに失敗するゆえに、衝撃属性の第2の値が選択されるということである。体のその領域に向かって衝撃属性の第2の値で放出されたプローブは、体のその領域に当たって、体のその領域に衝撃属性の第2の値でプローブの衝撃をもたらすように構成される。そして体のその領域は、プローブの衝撃を感知して、衝撃属性の第2の値でのプローブの衝撃の感知または無感知で応答する。
【0081】
ここで開示される方法は、その領域における衝撃属性の第2の値でのプローブの衝撃に応答するそのヒトからフィードバックを受信することをさらに含む。さらに、コントローラは、その領域における衝撃属性の第2の値でのプローブの衝撃に応答するそのヒトから第2のフィードバックを受信するように動作可能である。その領域が衝撃属性の第1の値でプローブによる衝撃を受けたときに、無感知が知覚された場合には、触覚感受性がそのヒトによって知覚されるまで第2のフィードバックが反復的に受信される。例えば、第1のフィードバックがプローブの衝撃属性の第1の値、(例えば、0.1Nの静圧/力に対応する力)、に対応するプローブによる衝撃の際に感受性を示さない場合、かかるケースでは、プローブが送出される衝撃属性のより高い値と関連して触覚感受性のフィードバックが報告される(またはログされる)まで衝撃属性のより高い値が選択されて調べられる。しかしながら、第1のフィードバックがプローブの衝撃属性の第1の値、すなわち、10、に対応することによる衝撃の際に痛みおよび/または圧力の感じを示す場合、かかるケースでは、プローブが放出される衝撃属性のより低い値と関連して無感知のフィードバックが報告される(またはログされる)まで衝撃属性のより低い値が選択されて調べられる。有益には、衝撃属性の第2の値は、体のその領域における触覚感受性閾値を決定するために用いられる。
【0082】
ここで開示される方法は、プローブの衝撃属性の第2の値をセットするために衝撃属性の第1の値を増加または減少させることによって、変化させることと、体のその領域に衝撃属性の第2の値で衝撃を与えるために、プローブを体のその領域に向かって放出することと、触覚感受性閾値がフィードバックに基づくプローブの感知の最低値として決定されるまで体のその領域における衝撃属性の第2の値でのプローブの衝撃に応答するそのヒトから第2のフィードバックを受信することとをさらに含み、フィードバックは、プローブの感知に対応する。触覚感受性閾値は、そのヒトが触覚感受性を知覚する衝撃属性の最低値に対応することが理解される。それゆえに、本開示に開示される方法は、プローブの衝撃属性を変動させることによって反復測定を行った後に触覚感受性閾値を決定する。
【0083】
代わりに、方法は、プローブの衝撃属性の第2の値をセットするために衝撃属性の第1の値を増加または減少させることによって、変化させることと、体のその領域に衝撃属性の第2の値で衝撃を与えるために、プローブを体のその領域に向かって放出することと、フィードバックに基づくプローブの無感知の最高値としての触覚感受性閾値の決定まで体のその領域における衝撃属性の第2の値でのプローブの衝撃に応答するそのヒトから第2のフィードバックを受信することとを含み、フィードバックは、プローブの無感知に対応する。当然のことながら、方法は、触覚感受性閾値をそのヒトについてより正確に真値に最も近い触覚感受性閾値に決定するために、異なる重量、フォームファクタ、衝撃属性をもつプローブの使用を採用する。
【0084】
実施形態によっては、方法は、フィードバックが体のその領域における感知に対応するまで増加させることによって衝撃属性の値を変化させることを含む。具体的には、プローブの衝撃属性が異なるパターンに基づいて変動され、パターンは、ランプアップ、ランプダウン、反復的およびランダムのうちのいずれか1つを含む。ランプアップパターンは、衝撃属性の「低い方の」第1の値をセットすることと、そのヒトの体のその領域に向かって衝撃属性の第1の値で放出されたプローブで体のその領域に衝撃を与えることとを含む。衝撃属性の第1の値と関連するフィードバックが体のその領域における触覚感受性と関連しない場合、衝撃属性の「高い方の」第2の値がセットされる。実施形態によっては、衝撃属性の第1の値における増加は、等しいまたはランダムな累進的ステップサイズを用いて達成されてよく、各ステップサイズは、等しいかまたは前のステップサイズより大きい。続いて、プローブがそのヒトの体のその領域に向かって衝撃属性の第2の値で放出されて、衝撃属性の第2の値と関連するフィードバックが取得される。上記のステップは、フィードバックがそのヒトの体のその領域における感知に対応するまで繰り返される。
【0085】
代わりに、実施形態によっては、方法は、フィードバックが体のその領域における無感知に対応するまで減少させることによって衝撃属性の値を変化させることを含む。具体的には、ランプダウンパターンは、衝撃属性の「高い方の」第1の値をセットすることと、そのヒトの体のその領域に向かって衝撃属性の第1の値で放出されたプローブで体のその領域に衝撃を与えることとを含む。衝撃属性の第1の値と関連するフィードバックが体のその領域における触覚感受性と関連する場合、衝撃属性の「低い方の」第2の値がセットされる。実施形態によっては、衝撃属性の第1の値における減少は、等しいステップサイズまたはランダムな累減的ステップサイズを用いて達成されてよい。続いて、プローブがそのヒトの体のその領域に向かって衝撃属性の第2の値で放出されて、衝撃属性の第2の値と関連するフィードバックが取得される。上記のステップは、フィードバックがそのヒトの体のその領域における無感知に対応するまで繰り返される。
【0086】
代わりに、実施形態によっては、方法は、フィードバックが体のその領域における感知または体のその領域における無感知のうちの1つに対応するまでランダムに変動させることによって衝撃属性の値を変化させることを含む。具体的には、衝撃属性の第2の値をセットするために衝撃属性の第1の値をランダムに変動させることは、触覚感知が感じられるたびにフィードバックを提供するようにそのヒトに命令するととともに衝撃属性の第1の値にランダムまたは疑似ランダム値をセットすることを含む。フィードバックに依存して、衝撃属性の第2の値がセットされて、衝撃属性の第2の値と関連するフィードバックが取得される。上記のステップは、フィードバックがそのヒトの体のその領域における触覚感受性に対応するまで繰り返される。有益には、送出プローブから生じる力と触覚感受性との間のかかる相関関係を何が予測されるかの後知恵なしに決定できる。
【0087】
具体的には、コントローラは、フィードバックが体のその領域における感知に対応するまで増加させること、フィードバックが体のその領域における無感知に対応するまで減少させること、またはフィードバックまでランダムに変動させることによって衝撃属性の値を変化させるように動作可能である。
【0088】
実施形態によっては、システムは、通信ネットワークを介してコントローラへ通信可能に結合されたサーバ装置をさらに備える。サーバ装置は、複数のヒトについての触覚感受性閾値をデータベース中に格納するように構成されたプログラマブルおよび/またはノンプログラマブル部品を含む構造および/またはモジュールである。ある例では、通信ネットワークは、以下には限定されないが、セルラネットワーク、短距離無線(例えば、Bluetooth(登録商標))、インターネット、無線ローカルエリアネットワーク、および赤外線ローカルエリアネットワーク、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。
【0089】
実施形態によっては、方法は、複数のヒトの触覚感受性閾値を用いて基準触覚感受性閾値を決定することによって、複数のヒトの各々について触覚感受性閾値を決定することを含む。複数のヒトの各々について触覚感受性閾値を決定するために、医学的状態を何も患っていない正常個人の群からランダムに選択された、複数のヒトが試験されてよい。具体的には、サーバ装置は、複数のヒトの各々について触覚感受性閾値を決定するように動作可能である。さらに、サーバ装置は、複数のヒトの触覚感受性閾値を用いて基準触覚感受性閾値を決定するように動作可能である。
【0090】
実施形態によっては、方法は、基準触覚感受性閾値を格納することをさらに含む。さらに、実施形態によっては、サーバ装置は、複数のヒトについての触覚感受性閾値を格納するように動作可能なデータベースを備える。実施形態によっては、基準触覚感受性閾値、ならびに複数のヒトの各々についての触覚感受性閾値が汎用(国際単位系(SI:International System of Units)ベース)値に基づく絶対値として格納されてよい。代わりに、実施形態によっては、基準触覚感受性閾値および複数のヒトの各々についての触覚感受性閾値が予め定義されるスケール上の等級として、またはある範囲の値として格納されてもよい。さらに、データベースは、データまたはそれらの組織体が表される仕方に係わらずデジタル情報の組織体に関係する。より実施形態によっては、データベースは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアおよび/またはそれらのいずれかの組み合わせであってよい。例えば、デジタル情報の組織体は、表、マップ、グリッド、パケット、データグラム、ファイル、文書、リストの形態、または他のいずれかの形態であってよい。データベースは、いずれかのデータストレージソフトウェアおよびシステムを含む。
【0091】
実施形態によっては、方法は、複数のヒトの触覚感受性閾値を用いて基準触覚感受性閾値を決定することをさらに含む。具体的には、複数のヒトの各々について触覚感受性閾値を用いることによって、いずれの医学的状態もない、正常ヒトについて基準触覚感受性閾値が決定される。複数のヒト(ヒトまたは動物)の触覚感受性閾値を決定して、正常エンティティにおける触覚感受性閾値の正常レベルを決定するために前述のシステムが用いられてよいことは明らかである。正常エンティティは、ヒトの触覚感受性を増加または減少させうるいずれの医学的状態もないエンティティを意味する。それゆえに、正常エンティティの選択がランダムに行われて、その選択されたエンティティの各々について触覚感受性閾値が決定されてよい。続いて、その選択されたエンティティのすべての触覚感受性閾値から触覚感受性閾値の平均絶対値が算出される。触覚感受性閾値の平均絶対値は、根底にある医学的状態をもつヒトについての触覚感受性閾値の測定のための基準点として用いられる。実施形態によっては、ヒトの感知レベルの差を測定するために、そのヒトの体の領域における触覚感受性が周期的に、例えば、月に一度、モニタされてよい。
【0092】
実施形態によっては、方法は、そのヒトの触覚感受性閾値と基準触覚感受性閾値との間の差を決定することを含む。ある事例では、そのヒトの触覚感受性閾値と基準触覚感受性閾値との間の差は、低感受性または過感受性のような医学的状態と関連する潜在的な患者を識別することを許容する。さらに、コントローラは、基準触覚感受性閾値をサーバ装置から受信して、そのヒトの触覚感受性閾値と基準触覚感受性閾値との間の差を決定するように動作可能である。コントローラは、そのヒトについて触覚感受性と潜在的な医学的状態との間の差を相関付けるように構成されてもよい。コントローラは、異なるヒトについて触覚感受性と潜在的な医学的状態との間の差を相関付けるように構成されてもよい。ある実施形態では、コントローラは、前に測定された、またはこのシナリオでは前月に測定された基準触覚感受性を、サーバ装置から、受信するように動作可能である。コントローラは、現在の測定についてそのヒトの触覚感受性閾値と前月に測定された基準触覚感受性閾値との間の差を決定するようにさらに動作可能である。
【0093】
実施形態によっては、方法は、そのヒトについてその差を潜在的な医学的状態と相関付けることをさらに含む。具体的には、かかる基準触覚感受性閾値は、ある医学的状態を患っているか、または潜在的な医学的状態が発生する瀬戸際にある個人を識別するために用いられてよい。さらに、基準触覚感受性閾値は、一定の医学的状態を経過観察して、その状態を下限内に制御すべく処置または介入を設計するために用いられてよい。
【0094】
ある実施形態では、そのヒトの触覚感受性閾値が基準触覚感受性閾値より高い場合、そのヒトは、物理刺激を感知するための能力を失っているか、または末梢神経障害を患っているとして識別されてよい。その一方で、そのヒトの触覚感受性閾値が基準触覚感受性閾値より低い場合には、そのヒトは、一定の物理刺激に対して過感受性であるとして識別される。実施形態によっては、基準触覚感受性閾値は、予め定義されるスケール上のある範囲として表されてよい。具体的には、コントローラは、そのヒトについてそのヒトの触覚感受性閾値と基準触覚感受性閾値との間の差を潜在的な医学的状態と相関付けるようにさらに動作可能である。ある実施形態では、コントローラは、現在の測定結果および前月に測定された基準触覚感受性をそれら2つの差と潜在的な医学的状態との相関付けのために用いる。具体的には、低下した感知レベルは、例えば糖尿病性神経障害などの、様々な疾患の兆候である。
【0095】
実施形態によっては、システムは、ハウジングへ作動的に結合されたセパレータ部を備え、セパレータ部は、ハウジング(したがって、プローブを用いる前のプローブも同様)とそのヒトの体のその領域との間の予め定義される分離を保つ。必要とされるのは、プローブがそのヒトの体のその領域に向かって予め定義される衝撃属性で送出されるように、プローブが体のその領域の表面から予め定義される距離範囲に保持されることである。当然のことながら、システムは、最初にプローブが、セパレータ部によって確実に、ハウジングの内部に保持されるように配置される。プローブを前進させるために一旦磁界を誘導すると、セパレータ部は、プローブがその領域に衝撃を与えることを許容するように構成される。具体的には、セパレータ部は、生体適合性材料を用いて作製される。
【0096】
実施形態によっては、方法は、プローブの体のその領域との衝撃と関連するプローブの衝撃属性を決定することを含む。体のその領域に向かって衝撃属性の第1の値および/または衝撃属性の第2の値で送出されたプローブは、その領域の表面にある衝撃力で当たって、その領域から戻る。跳ね返りの間に、プローブは、減速されるようにその予め定義される衝撃属性のいくらかを失う。
【0097】
実施形態によっては、プローブ測定手段は、プローブの体のその領域との衝撃と関連するプローブの衝撃属性を決定するように動作可能である。プローブ測定手段は、測定コイルを備える。具体的には、プローブの衝撃と関連する衝撃属性は、プローブの送出および体のその領域におけるプローブによる衝撃中のエネルギーの損失と関連する値の差を生み出す。プローブの衝撃と関連する衝撃属性は、ハウジング中に戻るプローブの引込みと関連する数値、予め定義されるスケール上の等級のうちの少なくとも1つとして決定される。
【0098】
プローブ放出手段は、プローブをハウジングから放出するために第1の方向に、またはプローブをハウジング中へ引込むために第2の方向にプローブを作動させるための磁力を生成するように動作可能である誘導コイルを備えてよい。ドライバコイルは、誘導コイルである。
【0099】
実施形態によっては、プローブ取り付け手段およびプローブ放出手段のものと同じ誘導コイルシステムが前述のシステムのためのプローブ測定手段として機能するように動作可能である。具体的には、プローブの衝撃と関連する衝撃属性は、プローブの衝撃の結果として測定される電圧を誘導コイル中に誘導する。
【0100】
ある例示的な実装では、ある閾値がそのヒトについて一旦確立されると、薬剤または医学的処置の有効性が調べられてよく、医薬または処置計画がそれぞれ確立されてよい。しばしば、被験者に対する薬用量および処置期間の効果を解析するために、かかる薬用量および処置期間に対応する、閾値の変化が指定された時点に記録されてよい。
【0101】
図面の説明
図1を参照すると、本開示のある実施形態による、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値を決定するためのシステム100のブロック図が示される。システム100は、ハウジング102、フィードバック手段110およびコントローラ112を備える。ハウジング102は、プローブ104、プローブ取り付け手段106およびプローブ放出手段108を備える。プローブ104は、ハウジング内に取り外し可能に配置される。プローブ104は、その領域に予め定義される衝撃属性で衝撃を与えるように動作可能である。プローブ取り付け手段106は、プローブをハウジング内に維持するように動作可能である。プローブ放出手段108は、プローブを体のその領域に向かって放出するように動作可能である。フィードバック手段110は、プローブのその領域との衝撃後にそのヒトからフィードバックを受信するように動作可能である。コントローラ112は、プローブ取り付け手段106、プローブ放出手段108およびフィードバック手段110に制御可能に結合される。
【0102】
図2を参照すると、本開示の別の実施形態による、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値を決定するためのシステム200のブロック図が示される。システム200は、ハウジング202、フィードバック手段210およびコントローラ212を備える。ハウジング202は、プローブ204、プローブ取り付け手段206およびプローブ放出手段208を備える。コントローラ212は、プローブ取り付け手段206、プローブ放出手段208およびフィードバック手段210に制御可能に結合される。図示されるように、システム200は、通信ネットワーク214を介してコントローラ212へ通信可能に結合されたサーバ装置216をさらに備える。さらに、サーバ装置216は、複数のヒトについての触覚感受性閾値を格納するように動作可能なデータベース218を備える。
【0103】
図3~5を参照すると、本開示の様々な実施形態による、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値を決定するためのシステムの概略説明図が描かれる。
【0104】
図3Aでは、システム300は、ハウジング302、プローブ304、プローブ取り付け手段312、プローブ放出手段316、プローブ測定手段320を備える。プローブ304は、チップ部306、ボディ部308を備える。チップ部306は、ボディ部308と接続される。ボディ部308は、磁性材料を備える。プローブ304は、システム300のハウジング302の内部で移動できる。最初に、プローブは、
図3Aに示されるような位置にある。プローブは、プローブ取り付け手段312によって前記位置に取り付けられる。プローブ取り付け手段312は、電気的に制御されるように構成された、取り付けコイル314を備える。システム300は、ドライバコイル318を備える、プローブ放出手段316をさらに備える。電流がドライバコイル318中へ第1の方向または第2の方向に供給される。プローブ測定手段320は、測定コイル322を備える。プローブ304は、そのヒトの体のその領域の表面330に当たるように構成される。
【0105】
図3Bでは、プローブ304の移動が示される。取り付けコイル314がプローブ304を引き離すためにスイッチオフされる。ドライバコイル318がプローブ304を矢印O-Aで示される第1の方向に移動させるための磁力を提供するために活性化される。矢印O-Aは、プローブ304の移動の方向を示す。示されるように、プローブ304は、そのヒトの体の領域の表面330にある力で衝撃を与える。当然のことながら、ドライバコイルに印加される誘導電流が取り付け手段312の力を凌ぐのに十分である場合、または取り付けコイル314がOFFにされるときにプローブ304の移動が発生する。プローブ304の移動中には、測定手段320の測定コイル322に電流が誘導される。プローブ304の速さおよび移動を決定し、ならびにドライバコイル318の駆動を制御するためにその電流を用いることができる。
【0106】
図3Cでは、第2の方向におけるプローブ304の移動が矢印M-Nによって示される。矢印M-Nは、プローブ304の移動の方向を示す。示されるように、プローブ304は、矢印M-Nによって示されるようにそのヒトの体の領域の表面330から反対方向に跳ね返る。
【0107】
図4を参照すると、本開示のある実施形態による、使用時のシステム300の概略説明図が示される。システム300は、眼332の角膜に予め定義される衝撃属性で当たり、続いて、眼332の角膜から跳ね返るように構成される。
【0108】
図5を参照すると、本開示のある実施形態による、活用状況における
図2のシステム200の概略説明図が示される。図示されるように、システム700は、ヒト702の脚704の皮膚と接触して配置された(
図2のプローブ204のような)プローブ706を備える。そのヒトは、脚704の皮膚を狙って送出されたプローブ706の衝撃と関連する触覚感受性のフィードバックを提供することが必要とされる。フィードバックは、(
図2のフィードバック手段210のような)フィードバック手段708上で提供される。フィードバック手段708は、ヒト702の手712に保持される。システム700は、(
図2の通信ネットワーク214のような)通信ネットワーク714を介して(
図2のコントローラ212のような)コントローラ710へ通信可能に結合された(
図2のサーバ装置204のような)サーバ装置716をさらに備える。さらに、サーバ装置716は、ヒト702の脚704の皮膚についての触覚感受性閾値を格納するように動作可能な(
図2のデータベース218のような)データベース718を備える。
【0109】
図6~10を参照すると、本開示の様々な実施形態による、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化を示すグラフが示される。
【0110】
図6では、グラフ800は、いくつかの測定ステップに関して、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化の間の関係を表す。グラフ800では、縦軸は、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化を表し、横軸は、測定ステップの番号を表す。図示されるように、衝撃属性の第1の値は、衝撃属性の第2の値へ離散的なステップで変化し、各々のステップは、「z」の値に等しい。さらに、グラフ800に示されるように、棒A~Dは、ある特定の衝撃属性で行われた測定ステップに対応する。
【0111】
より具体的には、グラフ800は、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化のランプアップパターンを表し、グラフ800は、各測定ステップにおいてプローブで体のその領域に衝撃を与えるために、衝撃属性の第1の値を低い方の値にセットすること、およびその後の衝撃属性の値を等しい累進的ステップサイズ「z」で増加させることを含む。前の測定ステップと関連するフィードバックが体のその領域における触覚感受性を報告することに失敗する場合、体のその領域における触覚感受性を決定するためにその後の測定ステップが評価される。その後の衝撃属性と関連するフィードバックがそのヒトの体のその領域における触覚感受性と関連付けられるまで、測定ステップが繰り返される。具体的には、グラフ800に示されるように、棒AおよびBによる測定ステップは、その領域における触覚感受性と関連せず、一方で棒CおよびDによる測定ステップは、その領域における触覚感受性と関連付けられる。しかしながら、触覚感受性と関連する衝撃属性の最低値に対応する棒Cによる測定ステップが触覚感受性閾値「T」として選択される。
【0112】
図7に示されるように、グラフ900は、いくつかの測定ステップに関して、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化の間の関係を表す。グラフ900では、縦軸は、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化を表し、横軸は、測定ステップの番号を表す。図示されるように、衝撃属性の第1の値は、衝撃属性の第2の値へ離散的なステップで変化し、各々のステップは、「z」の値に等しい。さらに、グラフ900に示されるように、棒E~Hは、ある特定の衝撃属性で行われた測定ステップに対応する。
【0113】
より具体的には、グラフ900は、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化のランプダウンパターンを表し、グラフ900は、各測定ステップにおいてプローブで体のその領域に衝撃を与えるために、衝撃属性の第1の値を高い方の値にセットすること、およびその後の衝撃属性の値を等しい累減的ステップサイズ「z」で減少させることを含む。前の測定ステップと関連するフィードバックが体のその領域における触覚感受性を報告する場合、体のその領域における触覚感受性を決定するためにその後の測定ステップが評価される。その後の衝撃属性と関連するフィードバックがそのヒトの体のその領域における触覚感受性を報告することに失敗するまで、測定ステップが繰り返される。具体的には、グラフ900に図示されるように、棒EおよびFによる測定ステップは、その領域における触覚感受性と関連し、一方で棒GおよびHによる測定ステップは、その領域における触覚感受性と関連付けることができない。しかしながら、触覚感受性と関連する衝撃属性の最低値に対応する棒Fによる測定ステップが触覚感受性閾値「T」として選択される。
【0114】
図8では、グラフ1000は、いくつかの測定ステップに関して、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化の間の関係を表す。グラフ1000では、縦軸は、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化を表し、横軸は、測定ステップの番号を表す。図示されるように、衝撃属性の第1の値は、衝撃属性の第2の値へ離散的なステップで変化し、ステップの各値は、ランダムに選択される。さらに、グラフ1000に図示されるように、棒I~Lは、ある特定の衝撃属性で行われた測定ステップに対応する。
【0115】
より具体的には、グラフ1000は、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化のランダムパターンを表し、グラフ1000は、各測定ステップにおいてプローブで体のその領域に衝撃を与えるために、衝撃属性の第1の値を低い方の値にセットすること、およびその後の衝撃属性の値をランダムな累進的ステップサイズで増加させることを含む。具体的には、グラフ1000に図示されるように、棒I、JおよびKによる測定ステップは、その領域における触覚感受性と関連しないが、一方で棒Lによる測定ステップは、その領域における触覚感受性と関連付けられる。次に、触覚感受性と関連する衝撃属性の最低値に対応する棒Lによる測定ステップが触覚感受性閾値「T」として選択される。
【0116】
図9に示されるように、グラフ1100は、いくつかの測定ステップに関して、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化の間の関係を表す。グラフ1100では、縦軸は、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化を表し、横軸は、測定ステップの番号を表す。図示されるように、衝撃属性の第1の値は、衝撃属性の第2の値へ離散的なステップで変化し、ステップの各値は、ランダムに選択される。さらに、グラフ1100に図示されるように、棒P~Sは、ある特定の衝撃属性で行われた測定ステップに対応する。
【0117】
より具体的には、グラフ1100は、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化の反復(Newton-Raphson技法)パターンを表し、グラフ1100は、各測定ステップにおいてプローブで体のその領域に衝撃を与えるために、衝撃属性の第1の値をランダムな低い方の値にセットすること、およびその後の衝撃属性の値をランダムなステップサイズで変化させることを含む。グラフ1100に図示されるように、棒PおよびRによる測定ステップは、その領域における触覚感受性と関連せず、一方で棒QおよびSによる測定ステップは、その領域における触覚感受性と関連付けられる。次に、触覚感受性と関連する衝撃属性の最低値に対応する棒Sによる測定ステップが触覚感受性閾値「T」として選択される。
【0118】
図10では、グラフ1200は、いくつかの測定ステップに関して、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化の間の関係を表す。グラフ1200では、縦軸は、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化を表し、横軸は、測定ステップの番号を表す。図示されるように、衝撃属性の第1の値は、衝撃属性の第2の値へ離散的なステップで変化し、ステップの各値は、ランダムに選択される。さらに、グラフ1200に示されるように、棒U~Xは、ある特定の衝撃属性で行われた測定ステップに対応する。
【0119】
より具体的には、グラフ1200は、衝撃属性の第1の値から第2の値への変化の反復(Newton-Raphson技法)パターンを表し、グラフ1200は、各測定ステップにおいてプローブで体のその領域に衝撃を与えるために、衝撃属性の第1の値をランダムな高い方の値にセットすること、およびその後の衝撃属性の値をランダムなステップサイズで変化させることを含む。グラフ1200に示されるように、棒UおよびWによる測定ステップは、その領域における触覚感受性と関連せず、一方で棒TおよびVによる測定ステップは、その領域における触覚感受性と関連付けられる。次に、触覚感受性と関連する衝撃属性の最低値に対応する棒Vによる測定ステップが触覚感受性閾値「T」として選択される。
【0120】
図11を参照すると、本開示のある実施形態による、ヒトの体のある領域における触覚感受性閾値をプローブを用いて決定する方法1300のステップの説明図が示される。ステップ1302において、プローブのための衝撃属性の第1の値がセットされる。ステップ1304において、体のその領域に衝撃属性の第1の値で衝撃を与えるために、プローブが体のその領域に向かって放出される。ステップ1306において、体のその領域における衝撃属性の第1の値でのプローブの衝撃に応答するそのヒトから第1のフィードバックを受信する。ステップ1308において、プローブの衝撃属性の第2の値をセットするために増加または減少させることによって、衝撃属性の第1の値が変化される。ステップ1310において、体のその領域に衝撃属性の第2の値で衝撃を与えるためにプローブが体のその領域に向かって放出される。ステップ1312において、体のその領域における衝撃属性の第2の値でのプローブの衝撃に応答するそのヒトから第2のフィードバックを受信する。ステップ1314において、触覚感受性閾値がフィードバックに基づくプローブの感知の最低値、またはフィードバックに基づくプローブの無感知の最高値のいずれかとして決定されるまでステップ1308~ステップ1312が繰り返される。フィードバックは、プローブの感知またはプローブの無感知に対応する。
【0121】
ステップ1302~1314は、説明的であるに過ぎず、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、1つ以上のステップが追加される、1つ以上のステップが除去される、または1つ以上のステップが異なるシーケンスで提供される他の選択肢を提供することもできる。
【0122】
先に記載された本開示の実施形態に対する修正は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲から逸脱することなく可能である。本開示を記載し、請求するために用いられる「含む(including)」、「備える(comprising)」、「組み込む(incorporating)」、「有する(have)」、「である(is)」のような表現は、非排他的なように解釈することが意図され、すなわち、明示的に記載されない項目、構成要素または要素も存在することを許容する。単数への言及は、複数にも関係すると解釈されるべきである。