(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】熱可塑性材料で作られたパリソンから容器を無菌成形するための装置およびプロセス
(51)【国際特許分類】
B29C 49/46 20060101AFI20230919BHJP
【FI】
B29C49/46
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021054778
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2022-05-30
(31)【優先権主張番号】102020000006583
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515221749
【氏名又は名称】ゲア プロコマック エセ.ピ.ア.
【氏名又は名称原語表記】GEA PROCOMAC S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Fedolfi,29,I-43038 Sala Baganza(Parma),Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】マルコ パッロッツァーニ
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-516832(JP,A)
【文献】国際公開第2008/105253(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00-49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック材料のパリソンから容器(100)を無菌成形するための
方法であって、
容器(100)を得るために、延伸ブロー成形型(2)に配置されたパリソン内に滅菌圧縮空気を注入するステップと、
成形された前記容器(100)から排気圧縮空気を排出するステップと、を含み、
前記
方法は、
回収滅菌空気を得るために、成形された前記容器(100)から排出された前記排気圧縮空気の少なくとも一部が
圧縮空気を供給するための供給回路に沿って配置された滅菌フィルタ(SF)を通過するようにするステップと、
別の成形型(2)に配置された別のパリソンに前記回収滅菌空気を注入するステップと、を含む
方法。
【請求項2】
前記滅菌圧縮空気は40バールの最大圧力を有し、一方、前記回収滅菌空気は20バールの最大圧力を有する、請求項1に記載の
方法。
【請求項3】
熱可塑性材料のパリソンから容器(100)を無菌成形するための成形装置であって、
パリソンの収容キャビティを規定する成形型(2)と、前記パリソンの口(100a)に適用可能なブローノズルとを備える少なくとも1つの成形ステーション(1)と、
前記ブローノズルへの滅菌圧縮空気の少なくとも1つの供給ライン(5)と、圧縮空気の前記少なくとも1つの供給ライン(5)と選択的に連通する排気圧縮空気の少なくとも1つの第1の回収ライン(8)とを含む、滅菌圧縮空気を供給するための供給回路と、を備え、
圧縮空気を供給するための前記供給回路に沿って配置された少なくとも1つの滅菌フィルタ(SF)を含む、成形装置。
【請求項4】
圧縮空気を供給するための前記供給回路に沿って直列に配置された複数の滅菌フィルタ(SF)を含む、請求項3に記載の成形装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの滅菌フィルタ(SF)が、滅菌圧縮空気の前記供給ライン(5)上に配置されており、排気圧縮空気の前記第1の回収ライン(8)が前記滅菌フィルタ(SF)の上流の第1の事前に規定されたポイント(J)において滅菌圧縮空気の前記供給ライン(5)に接続されている、請求項3または4に記載の成形装置。
【請求項6】
固定ベースと、
前記成形ステーション(1)が配置されている回転カルーセルと、
滅菌圧縮空気の前記供給ライン(5)上の少なくとも1つの回転ジョイントであって、前記回転カルーセルと前記固定ベースとの間の接続を確立する少なくとも1つの回転ジョイントと、を備え、
前記少なくとも1つの滅菌フィルタ(SF)は、前記少なくとも1つの回転ジョイントの上流に配置されている、請求項5に記載の成形装置。
【請求項7】
滅菌圧縮空気を供給するための前記供給回路が、最大圧力40バールを有する滅菌圧縮空気の第1の供給ライン(4)と、最大圧力15バールを有する滅菌圧縮空気の第2の供給ライン(5)とを備え、排気圧縮空気の前記第1の回収ライン(8)は、滅菌圧縮空気の前記第2の供給ライン(5)に接続されている、請求項5または6に記載の成形装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの滅菌フィルタ(SF)が、排気圧縮空気の前記第1の回収ライン(8)上に配置されており、排気圧縮空気の前記少なくとも1つの第1の回収ライン(8)が、前記滅菌フィルタ(SF)の下流の第2の事前に規定されたポイント(K)において滅菌圧縮空気の前記供給ライン(5)に接続されている、請求項3または4に記載の成形装置。
【請求項9】
固定ベースと、
前記成形ステーション(1)が配置されている回転カルーセルと、
滅菌圧縮空気の前記供給ライン(5)上の少なくとも1つの回転ジョイントであって、前記回転カルーセルと前記固定ベースとの間の接続を確立する少なくとも1つの回転ジョイントと、を備え、
前記第2の事前に規定されたポイント(K)は、前記少なくとも1つの回転ジョイントの下流にある、請求項8に記載の成形装置。
【請求項10】
滅菌圧縮空気を供給するための前記供給回路が、最大圧力40バールを有する滅菌圧縮空気の第1の供給ライン(4)と、最大圧力15バールを有する滅菌圧縮空気の第2の供給ライン(5)とを備え、排気圧縮空気の前記第1の回収ライン(8)は、滅菌圧縮空気の前記第2の供給ライン(5)に接続されている、請求項8または9に記載の成形装置。
【請求項11】
滅菌圧縮空気を供給するための前記供給回路は、
前記第1の供給ライン(4)の圧力と前記第2の供給ライン(5)の圧力との間の中間圧力を有する滅菌圧縮空気の第3の供給ライン(6)と、
前記第3の供給ライン(6)と選択的に連通する排気圧縮空気の第2の回収ライン(9)であって、当該第2の回収ライン(9)に沿って、追加の滅菌フィルタ(SF)が配置される、第2の回収ライン(9)と、をさらに備える請求項
10に記載の成形装置。
【請求項12】
滅菌圧縮空気の前記供給ライン(4、5、6)と前記ブローノズルとの間の選択的な連通を確立するように構成された第1のバルブ手段(P1、P2、PX)を備える、請求項7または10または11に記載の成形装置。
【請求項13】
前記回収ライン(8;9)の一方と対応する供給ライン(5、6)との間の選択的な連通を確立するように構成された第2のバルブ手段(AR、ARX)をさらに備える、請求項12に記載の成形装置。
【請求項14】
滅菌物質のための少なくとも1つの入口(13)を含み、前記少なくとも1つの入口(13)が、滅菌圧縮空気の前記少なくとも1つの供給ライン(5)と選択的に連通する、請求項3から13のいずれか1項に記載の成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性材料で作られたパリソンから容器を無菌成形するための装置およびプロセスに関する。
【0002】
本発明の参照部門は、いわゆる「敏感な」食品のボトリング、すなわち、細菌学的汚染および酸化に特に敏感な製品、例えば、アイソトニック飲料、ジュース、ネクター、ソフトドリンク、茶、ミルクベースの飲料、コーヒーベースの飲料などのボトリングであり、そのために、すべてのパッケージング段階を通じて、起こり得る微生物汚染の防止が基本的に重要である。
【背景技術】
【0003】
従来技術によれば、延伸ブロー機は、各々が成形型を備えた複数のワークステーションを備える。設計上のバリエーションは別として、各型は、容器の側面の形状を再現する2つの半型と、得られる容器の底部の形状を再現する下部底部とを備える。
【0004】
前もって加熱されたパリソンは型の一方に導入され、口は閉鎖部材(「シール」またはブローノズル)によって密閉され、閉鎖部材を介して圧縮空気がパリソン自体に吹き込まれる。
【0005】
成形プロセスの最初のステップでは、シールは中圧(最大15-16バール)で空気をパリソンに送り、同時に、延伸ロッドが、それが底部に達するまで、徐々にパリソンに導入される。
【0006】
このステップは、一般的に「プレブローイング」として定義される。
【0007】
底部に達した後、延伸ロッドはその直線運動を続けて、得られる容器の所望の長さに実質的に達するまでパリソンを伸ばす。
【0008】
続いて、シールは高圧(約40バール)で空気を吹き付け、パリソンが半型の内壁と底部に付着するまでパリソンを膨張させる。高圧でのこのブローイングは、「プレブローイング」に続く実際の「ブローイング」ステップである。
【0009】
同時に、延伸ロッドは容器から出るまで後退する。
【0010】
成形プロセスの最後に、容器内の空気がこの場合もシールを通して排出される。次に、シールが容器から取り外される。
【0011】
容器の無菌成形の特定の領域において、EP2246176は、(汚れた)外部環境から分離された制御された汚染環境を規定する隔離装置の使用を開示している。
【0012】
ブローイングで使用される圧縮空気は、隔離装置に入る前に1つまたは複数の滅菌フィルタを通過する。
【0013】
無菌技術では、ブロワーで通常使用されるフィルタ(合体や活性炭フィルタなど)によって保証されるレベルよりも高いレベルのブロー空気純度が必要である。
【0014】
実際、無菌技術では、容器の成形に寄与するブロー空気は、すでに殺菌したパリソンと接触する。このような無菌状態は、殺菌した容器を充填機に供給するためにブローイングプロセス全体を通して維持されなければならない。
【0015】
このため、ブロー空気を浄化するように適合されたフィルタは、ブロー空気が無菌であることを保証するようなフィルタ性能レベルを備える必要がある。
【0016】
延伸ブローによる成形プロセスは、空気の大量消費を意味する。
【0017】
この問題に直面するために、一般に排気空気として定義される、ブローイング中に使用される空気の一部は回収される。
【0018】
無菌成形のコンテクストでは、専用バルブを使用して排気空気を回収し、それを工場の圧縮空気ラインおよび/またはプロセスおよび/またはタンクの外部の圧縮システムに送ることが知られている。
【0019】
言い換えれば、無菌状況では、排気空気は成形プロセス内で回収されない。
【0020】
非無菌成形のコンテクストでは、成形プロセス内でも排気(非無菌)空気を回収する既知の解決策がある。例えば、延伸ブロー機の回転部分内に留まり、それを環状タンクを通してブローバルブに分配する排気空気回収ラインを提供することができる。代替的に、または追加的に、排気空気の回収は、空気が注入された方向と反対方向に流れるようにバルブの1つを開くことによって、ブロー回路自体を通して行うことができる。
【0021】
このような解決策は、無菌成形プロセスでは使用できない。実際、回収された空気は、すでに容器内を通過しているため、回収された空気の細菌負荷が高くなる可能性があり、隔離装置下の制御された大気環境に当該空気を戻すと、相互汚染が発生し、ほこり、汚れ、その他の望ましくない物質をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【0022】
これに関連して、本発明を支える技術的タスクは、熱可塑性材料で作られたパリソンから容器を成形するための成形装置およびプロセス、並びに上記の従来技術の欠点を取り除く関連プロセスを提供することである。
【0023】
特に、本発明の目的は、熱可塑性材料で作られたパリソンから容器を成形するための無菌装置およびプロセスであって、プロセス内で排気空気を回収することができる無菌装置およびプロセスを提供することである。
【0024】
規定された技術的タスクおよび特定の目的は、熱可塑性材料で作られたパリソンから容器を成形するための無菌成形装置によって実質的に達成され、当該無菌成形装置は、
パリソンの収容キャビティを規定する成形型と、パリソンの口に適用可能なブローノズルとを含む少なくとも1つの成形ステーションと、
前記ブローノズルへの滅菌圧縮空気の少なくとも1つの供給ラインと、前記滅菌圧縮空気の少なくとも1つの供給ラインと選択的に連通する、排気圧縮空気の少なくとも1つの第1の回収ラインとを含む、滅菌圧縮空気を供給するための供給回路と、を備え、
滅菌圧縮空気を供給するための前記供給回路に沿って配置された少なくとも1つの滅菌フィルタを含む、無菌成形装置である。
【0025】
好ましくは、いくつかの滅菌フィルタが圧縮空気を供給するための前記供給回路に沿って直列に配置される。
【0026】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つの滅菌フィルタは、滅菌圧縮空気の供給ライン上に配置される。
【0027】
排気圧縮空気の第1の回収ラインは、滅菌フィルタの上流の第1の事前に規定されたポイントで滅菌圧縮空気の供給ラインに接続される。
【0028】
一実施形態によれば、成形装置は、
固定ベースと、
成形ステーションが配置されている回転カルーセルと、
滅菌圧縮空気の供給ライン上の少なくとも1つの回転ジョイントと、を備える。
【0029】
回転ジョイントは、回転カルーセルと固定ベースとの間の接続を確立する。滅菌フィルタは、回転ジョイントの上流に配置される。
【0030】
一実施形態によれば、圧縮空気の供給回路は、最大圧力40バールを有する滅菌圧縮空気の少なくとも1つの第1の供給ラインと、最大圧力15バールを有する滅菌圧縮空気の第2の供給ラインとを含む。排気圧縮空気の第1の回収ラインは、滅菌圧縮空気の第2の供給ラインに接続される。
【0031】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つの滅菌フィルタは、排気圧縮空気の第1の回収ライン上に配置される。排気圧縮空気の第1の回収ラインは、滅菌フィルタの下流の第2の事前に規定されたポイントで滅菌圧縮空気の供給ラインに接続されている。
【0032】
一実施形態によれば、成形装置は、
固定ベースと、
成形ステーションが配置されている回転カルーセルと、
滅菌圧縮空気の供給ライン上の少なくとも1つの回転ジョイントと、を備える。
【0033】
回転ジョイントは、回転カルーセルと固定ベースとの間の接続を確立する。第2の事前に規定されたポイントは、回転ジョイントの下流である。
【0034】
一実施形態によれば、圧縮空気の供給回路は、最大圧力40バールを有する滅菌圧縮空気の少なくとも1つの第1の供給ラインと、最大圧力15バールを有する滅菌圧縮空気の第2の供給ラインとを含む。
【0035】
排気圧縮空気の第1の回収ラインは、滅菌圧縮空気の第2の供給ラインに接続されている。
【0036】
一実施形態によれば、滅菌圧縮空気の供給回路は、さらに、
圧縮空気の第1の供給ラインと第2の供給ラインとの間の中間圧力の圧縮空気の第3の供給ラインと、
第3の供給ラインと選択的に連通する排気圧縮空気の第2の回収ラインと、を備える。
【0037】
さらなる滅菌フィルタが第2の回収ラインに沿って配置されている。
【0038】
一実施形態によれば、成形装置は、圧縮空気の滅菌供給ラインとブローノズルとの間の選択的な連通を確立するように構成された第1のバルブ手段を備える。
【0039】
一実施形態によれば、成形装置は、回収ラインの1つと対応する供給ラインとの間の選択的な連通を確立するように構成された第2のバルブ手段をさらに備える。
【0040】
一実施形態によれば、成形装置は、滅菌物質のための少なくとも1つの入口を含む。そのような入口は、滅菌圧縮空気の前記少なくとも1つの供給ラインと選択的に連通している。
【0041】
特定の技術的タスクおよび特定の目的は、熱可塑性材料で作られたパリソンから容器を無菌成形するためのプロセスによって実質的に達成され、当該プロセスは、
容器を得るために、延伸ブロー成形型に配置されたパリソン内に滅菌圧縮空気を注入するステップと、
成形された容器から排気圧縮空気を排出するステップと、を含み、
当該プロセスは、
回収滅菌空気を得るために、成形された容器から排出された排気圧縮空気の少なくとも一部が滅菌フィルタを通過するようにするステップと、
別の成形型に配置された別のパリソンに回収滅菌空気を注入するステップと、を含む。
【0042】
本発明の一態様によれば、滅菌圧縮空気の最大圧力は40バールであるのに対し、回収滅菌空気の最大圧力は20バールである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面に示されるように、熱可塑性材料で作られたパリソンから容器を無菌成形するための成形装置およびプロセスの好ましいが排他的ではない実施形態の暗示的な、したがって非限定的な説明からより明確に現れる。
【
図1-3】本発明による、熱可塑性材料で作られたパリソンから容器を無菌成形するための成形装置の滅菌圧縮空気の回路の3つの異なる実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図に関して、番号1は、熱可塑性材料で作られたパリソンから容器100を無菌成形する成形装置の成形ステーションを示している。
【0045】
成形ステーション1には、パリソンが収容されて容器100に成形される延伸ブロー成形型2が存在する。
【0046】
成形型2は、パリソンを収容するための少なくとも収容キャビティを規定するために接近することができる第1の半型2aおよび第2の半型2bを備える。
【0047】
成形型2はまた、好ましくは、容器100の底部を成形するために、半型2a、2bと協働する底部(図示せず)を備える。
【0048】
成形ステーション1には、パリソンの口100aに適用可能なブローノズル(図示せず)がある。この分野では、ブローノズルは「シール」としても知られている。
【0049】
滅菌圧縮空気は、ブローノズルを介してパリソン内に注入される。
【0050】
滅菌圧縮空気は、パリソン成形ステップ中に異なる圧力を持つことができ、供給回路によって供給される。
【0051】
特に、本明細書に記載および図示された実施形態では、圧縮空気は、
‐ 第1の「プレブローイング」ステップ中の最大圧力15バール、
‐ 第2の「プレブローイング」または中圧ブローイングステップ中の最大圧力20バール、
‐ 「ブローイング」ステップ中の最大圧力40バール、を有し得る。
【0052】
これに関連して、40バールに等しい最大圧力を有する圧縮空気(「高圧空気」としても知られる)は、第1の供給ライン4によってもたらされ、15バールに等しい最大圧力を有する圧縮空気(「低圧空気」としても知られる)は、第2の供給ライン5によってもたらされる。
【0053】
図3に示される一実施形態では、2つではなく3つの圧縮空気の供給ラインがある。特に、20バールに等しい最大圧力を有する圧縮空気(「中圧空気」としても知られている)は、第3の供給ライン6によってもたらされる。
【0054】
圧縮空気の注入中のパリソンの延伸は、成形型2の軸に平行な方向に沿った展開を持つ延伸ロッドによって行われる。好ましくは、延伸ロッドの展開方向は、成形型2の軸と一致する。
【0055】
延伸ロッドは、口100aを通ってパリソン内に侵入することができるように、ブローノズル内でスライド可能に取り付けられる。
【0056】
滅菌圧縮空気の供給回路は、滅菌圧縮空気の2つ以上の供給ライン4、5、6とブローノズルとの間の選択的な連通を確立するように構成された第1のバルブ手段P1、P2、PXを備える。
【0057】
本明細書で説明および図示される実施形態では、第1のバルブ手段P1、P2、PXは、各供給ライン4、5、6のためのブローバルブP1、P2、PXを備える。各ブローバルブP1、P2、PXは、少なくとも以下の位置に設定され得る。すなわち、
‐ 滅菌圧縮空気をブローノズルに向けて通過させることができる開位置、および
‐ ブローノズルへの滅菌圧縮空気の通過を遮断する閉位置である、
好ましくは、滅菌圧縮空気の少なくとも第1および第2の供給ライン4、5に沿って、対応する圧力(低圧または高圧)で空気を圧縮するための圧力調整器Rが配置される。
【0058】
排気圧縮空気は、ブローノズルから排出される。成形された容器100から排出された排気圧縮空気の少なくとも一部は、滅菌圧縮空気の供給ラインの1つに沿って、特に第2の供給ライン5(低圧)に沿って循環に再導入されるために、回収される。残りの部分は、通気バルブ7を介して大気中に放出される。
【0059】
滅菌圧縮空気の供給回路は、少なくとも、排気圧縮空気の第1の回収ライン8を含む。第1の回収ライン8は、滅菌圧縮空気の供給ラインの少なくとも1つと、好ましくは第2の供給ライン5(低圧)と選択的に連通する。
【0060】
本発明の一態様によれば、ブローイング圧力よりも低い圧力を有する、ブローイングステップで回収された排気圧縮空気の一部が、第1の「プレブローイング」ステップで再利用されるように、第1の回収ライン8は、第2の供給ライン5(低圧)と選択的に接続される。
【0061】
もともと、少なくとも1つの滅菌フィルタSFが圧縮空気を供給するための供給回路に沿って配置されている。このようにして、循環に再導入される排気圧縮空気を再び無菌にすることが可能である。
【0062】
これに関連して、滅菌フィルタとは、空気中に分散しているほとんどすべての粒子を除去できるフィルタを意味する。
【0063】
例えば、滅菌フィルタには次の特性がある。すなわち、
‐ 滅菌フィルタは、高い保持率を持つ、すなわち、0.2μm粒子に対して99.99998%を超え、且つ0.02μm粒子に対して99.9999998%を超え、
‐ 滅菌フィルタは、ウイルスおよびバクテリオファージに対して非常に高い保持率を持つ、すなわち、LRV>7/cm2であり、
‐ 滅菌フィルタは、殺菌することができ、すなわち、滅菌フィルタは、容器の製造を開始する前に、滅菌剤(過酸化水素など)で殺菌することができる。
【0064】
本発明の一態様によれば、いくつかの滅菌フィルタSFが、滅菌圧縮空気の供給回路に沿って直列の冗長構成で配置されている。
【0065】
一実施形態によれば、滅菌フィルタSFは、滅菌圧縮空気の第2の供給ライン5上に配置され、排気圧縮空気の第1の回収ライン8は、滅菌フィルタSFの上流の第2の供給ライン5に接続される。
【0066】
第1の回収ライン8の接続は、第2の供給ライン5に沿ってすでに存在する滅菌フィルタSFの上流にあるので、他のフィルタを追加する必要はない。
【0067】
そのような実施形態は、例えば、
図1に示されている。このような図では、滅菌圧縮空気の第1の供給ライン4に沿ったおよび第2の供給ライン5に沿った2つの滅菌フィルタSFの存在が注目され得る。排気圧縮空気の第1の回収ライン8は、そのようなラインの2つの滅菌フィルタSFの上流の滅菌圧縮空気(低圧)の第2の供給ライン5に接続されている。
【0068】
このようにして、(汚れている可能性がある)排気空気は再び無菌になり、無菌成形、特に第1の「プレブローイング」ステップでの使用に適したものとなる。
【0069】
好ましくは、成形装置は、成形ステーション1で使用される空気圧シリンダ16に供給するための、第1の回収ライン8から回収された空気の一部を受け取る補助ライン15を備える。
【0070】
別の実施形態によれば、滅菌フィルタSFは、排気圧縮空気の第1の回収ライン8上に配置される。そのような実施形態は、例えば、
図2に示されている。このような図では、滅菌圧縮空気の第1の供給ライン4に沿ったおよび第2の供給ライン5に沿った2つの滅菌フィルタSFの存在が注目され得る。排気圧縮空気の第1の回収ライン8は、第2の供給ライン5上に存在する2つの滅菌フィルタSFの下流の滅菌圧縮空気(低圧)の第2の供給ライン5に接続されている。滅菌圧縮空気の第2の供給ライン5上には、2つの滅菌フィルタSFが示されているが、そのうちの1つしかない場合がある。
【0071】
別の実施形態によれば、圧縮空気の供給回路は、第3の供給ライン6と選択的に連通する排気圧縮空気の第2の回収ライン9を備える。
【0072】
滅菌フィルタSFも第2の回収ライン9に沿って配置されている。
【0073】
この実施形態では、
図3に示されるように、第2の回収ライン9は、ブローイングステップからの排気空気を回収するように配置され、これは、第2のプレブローイングステップ(中圧)中に再利用される。
【0074】
代わりに、第1の回収ライン8は、第1のプレブローイングステップ中に使用されるために第2の供給ライン5に送られるブロー空気を回収するように指定されている。
【0075】
滅菌圧縮空気の供給回路は、回収ライン8、9の一方と対応する供給ライン5、6との間の選択的な連通を確立するように構成された第2のバルブ手段AR、ARXをさらに備える。
【0076】
第2のバルブ手段は、第1の回収ライン8と第2の供給ライン5(低圧)との間の選択的な連通を確立するように構成された少なくとも第1の回収バルブARを備える。
【0077】
図3の実施形態では、第2のバルブ手段はまた、第2の回収ライン9と第3の供給ライン6(中圧)との間の選択的な連通を確立するように構成された第2の回収バルブARXを備える。
【0078】
各回収バルブAR、ARXは、少なくとも次の位置に設定され得る。すなわち、
‐ 排気空気が対応する供給ライン5、6に向かって通過できる開位置、および
‐ 供給ライン5、6への排気空気の通過を遮断する閉位置である。
【0079】
好ましくは、成形装置は回転カルーセルタイプのものである。このような成形装置は、固定ベース、いくつかの成形ステーション2が配置された回転カルーセル、および固定ベースを回転カルーセルに接続する少なくとも1つの回転ジョイントを含む。
【0080】
特に、いくつかのチャネル12を備えた回転ジョイントがあり、1つは第1の供給ライン4用であり、1つは第2の供給ライン5用であり、1つは第3の供給ライン6(提供される場合)用である。
【0081】
一実施形態によれば、滅菌フィルタSFは、成形装置の静的部分(すなわち、固定ベース)、すなわち、回転ジョイントの上流に配置される。
【0082】
特に、
図1は、滅菌フィルタSFおよび回転ジョイントの上流の第1の事前に規定されたポイントJにおいて、滅菌圧縮空気の第2の供給ライン5に接続された排気圧縮空気の第1の回収ライン8を示している。
【0083】
図1では、さらなる回転ジョイントが、排気圧縮空気の第1の回収ライン8に沿って配置されている。
【0084】
別の実施形態によれば、滅菌フィルタSFは、回転カルーセル上、特に回転ジョイントの下流に配置される。
【0085】
例えば、
図2は、回転ジョイントの、正確には第2の供給ラインのチャネル12の下流の第2の事前に規定されたポイントKにおいて、滅菌圧縮空気の第2の供給ライン5に接続された排気圧縮空気の第1の回収ライン8を示す。
【0086】
この実施形態では、排気圧縮空気の第1の回収ライン8は、回転カルーセル上の全体に展開部を有する。これにより、第1の回収ライン8の静的部分との接続が不要になるため、成形装置を構造的に単純化することができる。さらに、そのような実施形態は、より容易な保守を可能にする。
【0087】
図3の実施形態は、「複数の」回収の例、すなわち、いくつかの供給ライン上の排気空気の回収の例を表す。
【0088】
成形装置は、滅菌物質のための少なくとも1つの入口13をさらに含む。そのような入口13は、滅菌圧縮空気の供給ライン4、5、6のうちの1つと選択的に連通する。
【0089】
好ましくは、滅菌剤の入口13は、回転ジョイントの上流に配置される。
【0090】
本明細書に記載および図示された実施形態では、滅菌圧縮空気の供給ライン4、5、6毎に滅菌剤入口13が存在する。
【0091】
図2-3に示される実施形態では、成形装置は、排気圧縮空気の第1の回収ライン8に沿った、滅菌剤のための出口14を備える。実際、それに沿って配置された少なくとも1つの滅菌フィルタSFがあるので、滅菌フィルタSFと第2の事前に規定されたポイントKとの間に含まれる回収ライン8の部分は、滅菌される必要がある。
【0092】
成形装置は、成形型2が配置される汚染制御環境を規定する隔離装置(図示せず)をさらに備える。
【0093】
実際には、隔離装置は、外部環境からの汚染物質の流入を制限することを目的とした物理的分離によって、(汚れた)外部環境から分けられた環境を規定する。
【0094】
熱可塑性材料で作られたパリソンから容器を無菌成形するための成形装置の動作を以下に説明する。
【0095】
参照は最も完全な
図3の複数の回収についてなされる。
【0096】
第1のパリソンが成形ステーション2内に収容されている状態が考慮される。そのような第1のパリソンがすでに第1および第2の「プレブローイング」ステップを経ている状態が考慮される。
【0097】
圧縮空気は、第1の供給ライン4に沿って高圧で供給される。対応するブローバルブP2が所定の時間開かれ、高圧の無菌空気がブローノズルに向かって流れることを可能にする。容器100を成形するために、高圧の無菌空気が第1のパリソン内に注入される。「ブローイング」ステップの最後に、排気空気はブローノズルから排出される。P2からPXに負荷損失を伴って排出された空気は、中圧でのブローイングに再利用される。
【0098】
第2の回収バルブARXが所定の時間開き、排気空気の少なくとも一部が第2の回収ライン9に流入する。このように回収された空気は、第2の回収ライン9に沿って配置された滅菌フィルタSFを通過し、ブローイングステップにある1つまたは複数のキャビティの第3の供給ライン6に到達する(滅菌に至る)。
【0099】
この時点で、対応するブローバルブPXが所定の時間開き、中圧の滅菌空気が、第2の「プレブローイング」ステップ(中圧)で処理されている別のパリソンに注入される。
【0100】
ブローサイクル内では、このステップが終了した後、第2の回収バルブARXが閉じられると、第1の回収バルブARが開かれて低圧の空気を回収する。そのような空気は現在低圧である。第1の回収バルブARは所定の時間開き、排出された空気の少なくとも一部は第1の回収ライン8に流入し、対応する滅菌フィルタSFを通過し、第1の「プレブローイング」ステップにある1つまたは複数のキャビティの第2の供給ライン5(低圧)に到達する(滅菌に至る)。
【0101】
この時点で、空気は別のブローバルブP1で利用できるようになり、別のブローバルブP1は所定の時間開き、低圧の滅菌空気が第1の「プレブローイング」ステップで処理されている別のパリソンに送られる。回収されなかったブロー空気の残部は、ブローノズルによって排出され、通気バルブ7を介して大気中に廃棄される。
【0102】
図3の実施形態は、第1の回収ライン8の分岐および第2の供給ライン5の滅菌ステップが実行されることを必要とすることに留意されたい。
【0103】
特に、排出および回収された空気は、蓄積されることなく供給ライン5、6に送られる。言い換えれば、排出および回収された空気は、例えばタンクなどの蓄積システムで待機することなく、同じブローサイクルで使用される。
【0104】
上記の説明から、本発明による、熱可塑性材料で作られたパリソンから容器を無菌成形するための装置およびプロセスの特徴は、その結果として生じる利点と同様に明らかであろう。
【0105】
特に、パリソンに注入される滅菌圧縮空気の回路に沿って少なくとも1つの滅菌フィルタを設けることにより、ブローイングからの排気空気の一部を使用することが可能である。
【0106】
このように、無菌成形においても、システムの他の機能のためだけでなく、プレブローイングのために直接排気空気の一部を回収することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】