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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】軸受および回転機
(51)【国際特許分類】
   F16C 27/02 20060101AFI20230919BHJP
   F01D 25/04 20060101ALI20230919BHJP
   F01D 25/16 20060101ALI20230919BHJP
   F04D 29/057 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
F16C27/02 A
F01D25/04
F01D25/16 A
F04D29/057 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021207747
(22)【出願日】2021-12-22
(62)【分割の表示】P 2017145006の分割
【原出願日】2017-07-27
(65)【公開番号】P2022036127
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2021-12-22
(31)【優先権主張番号】15/238,301
(32)【優先日】2016-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500107762
【氏名又は名称】ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】リチャード エー.ヒメルマン
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104454992(CN,A)
【文献】国際公開第2009/054560(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 27/02
F01D 25/04
F01D 25/16
F04D 29/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部分及び前記第1部分に隣接する第2部分を有する軸受スリーブと、
前記軸受スリーブの前記第1部分の内面に沿って延在する複数のリーフフォイルと、
前記軸受スリーブの前記第2部分の内面に沿って延在する金属メッシュと、
前記第2部分の前記金属メッシュの内面に沿って延在するトップフォイルと、
を備える、軸受。
【請求項2】
前記軸受スリーブが、前記第1部分において、前記第2部分における第2肉厚よりも厚い第1肉厚を有する、請求項1に記載の軸受。
【請求項3】
前記軸受スリーブが、複数の切欠部を含み、前記複数のリーフフォイルの各々の第1端部は、前記複数の切欠部の1つ内に位置しており、前記複数のリーフフォイルの各々の第2端部は、隣接するリーフフォイルに重複する、請求項1に記載の軸受。
【請求項4】
前記第2部分に隣接する、前記軸受スリーブの第3部分と、
前記軸受スリーブの前記第3部分の内面に沿って延在する複数のリーフフォイルと、
をさらに備える、
請求項1に記載の軸受。
【請求項5】
前記第1部分に隣接する、前記軸受スリーブの第3部分と、
前記軸受スリーブの前記第3部分の内面に沿って延在する金属メッシュと、
をさらに備え、
前記トップフォイルが前記第3部分の前記金属メッシュの内面に沿って延在する、
請求項1に記載の軸受。
【請求項6】
回転機において回転するよう構成されるシャフトと、
前記シャフトよりも外側に位置する静止部品と、
前記シャフトと前記静止部品との間に位置する請求項1に記載の軸受と、
を備えた、回転機。
【請求項7】
第1部分及び前記第1部分に隣接する第2部分を有する軸受スリーブと、
前記軸受スリーブの前記第1部分の内面に沿って延在する複数のフォイル片と、
前記軸受スリーブの前記第2部分の内面に沿って延在する金属メッシュと、
前記第1部分の前記複数のフォイル片の内面及び前記第2部分の前記金属メッシュの内面に沿って延在するトップフォイルと、
を備える、軸受。
【請求項8】
前記軸受スリーブが、前記第1部分において、前記第2部分における第2肉厚よりも厚い第1肉厚を有する、請求項7に記載の軸受。
【請求項9】
前記複数のフォイル片が、前記第1部分の第1の領域に位置する第1の複数のフォイル片であり、前記第1部分の第2の領域に位置する第2の複数のフォイル片をさらに備える、請求項7に記載の軸受。
【請求項10】
複数の支持部が、軸受スリーブ内に延在するとともに、前記第1部分の前記第1の領域および前記第2の領域を画定するように構成され、前記第1の複数のフォイル片が、カンチレバーを形成するように配置され、前記第2の複数のフォイル片がカンチレバーを形成するように配置される、請求項9に記載の軸受。
【請求項11】
前記第2部分に隣接する、前記軸受スリーブの第3部分と、
前記軸受スリーブの前記第3部分の内面に沿って延在する複数のフォイル片と、
をさらに備え、
前記トップフォイルが前記第3部分の前記複数のフォイル片の内面に沿って延在する、
請求項7に記載の軸受。
【請求項12】
前記第1部分に隣接する、前記軸受スリーブの第3部分と、
前記軸受スリーブの前記第3部分の内面に沿って延在する金属メッシュと、
をさらに備え、
前記トップフォイルが前記第3部分の前記金属メッシュの内面に沿って延在する、
請求項7に記載の軸受。
【請求項13】
回転機において回転するよう構成されるシャフトと、
前記シャフトよりも外側に位置する静止部品と、
前記シャフトと前記静止部品との間に位置する請求項7に記載の軸受と、
を備えた、回転機。
【請求項14】
第1部分及び前記第1部分に隣接する第2部分を有する軸受スリーブと、
前記軸受スリーブの前記第1部分の内面に沿って延在するスプリングフォイルと、
前記軸受スリーブの前記第2部分の内面に沿って延在する金属メッシュと、
前記第1部分の前記スプリングフォイルの内面に沿って延在する第1トップフォイルと、
前記第2部分の前記金属メッシュの内面に沿って延在する第2トップフォイルと、
を備える、軸受。
【請求項15】
前記軸受スリーブが、前記第1部分において、前記第2部分における第2肉厚よりも厚い第1肉厚を有する、請求項14に記載の軸受。
【請求項16】
前記第1部分において前記軸受スリーブから延在する第1の突出部と、
前記第1部分において前記軸受スリーブから延在する第2の突出部と、
を備え、
前記第1部分は、前記第1の突出部および前記第2の突出部によって画定された第1の領域および第2の領域を含む、請求項14に記載の軸受。
【請求項17】
前記スプリングフォイルが、前記第1の領域に位置する第1スプリングフォイルであり、前記第1トップフォイルが、前記第1スプリングフォイルの内面に沿って前記第1の突出部から前記第2の突出部へと延在し、
前記軸受スリーブの前記第1部分の内面に沿って延在するとともに、前記第2の領域に位置する第2スプリングフォイルと、
前記第1部分における前記第2スプリングフォイルの内面に沿って前記第2の突出部から前記第1の突出部へと延在する第3トップフォイルと、
をさらに備える、請求項16に記載の軸受。
【請求項18】
前記第2部分に隣接する、前記軸受スリーブの第3部分と、
前記軸受スリーブの前記第3部分の内面に沿って延在するスプリングフォイルと、
前記第3部分の前記スプリングフォイルの内面に沿って延在する第3トップフォイルと、
をさらに備える、請求項14に記載の軸受。
【請求項19】
前記第1部分に隣接する、前記軸受スリーブの第3部分と、
前記軸受スリーブの前記第3部分の内面に沿って延在する金属メッシュと、
前記第3部分の前記金属メッシュの内面に沿って延在する第3トップフォイルと、
をさらに備えた、請求項14に記載の軸受。
【請求項20】
回転機において回転するよう構成されるシャフトと、
前記シャフトよりも外側に位置する静止部品と、
前記シャフトと前記静止部品との間に位置する請求項14に記載の軸受と、
を備えた、回転機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して軸受に関し、より詳細には、ハイブリッドフォイル軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
エアサイクルマシンは、航空機キャビンに送出するための空気を調和する、航空機内の環境統制システムにおいて利用される。調和空気とは、航空機乗客の快適性及び安全性のために望ましい温度、圧力、及び湿度の空気である。地表面またはその付近において、周囲空気温度及び/または湿度はしばしば十分に高くなり、空気を航空機キャビンに送出する前に、空調プロセスの一環として、冷却しなければならなくなる。飛行高度において、周囲空気は望まれるよりもはるかに冷たい場合が多いが、このような低圧において、空調プロセスの一環として周囲空気を許容圧力に圧縮しなければならない。飛行高度において周囲空気を圧縮することにより、周囲空気温度が非常に低い場合であっても、得られる圧縮空気は十分に加熱され、冷却されなければならなくなる。このように、ほとんどの条件下で、空気が航空機キャビンに送出される前に、エアサイクルマシンによって空気から熱を除去しなければならない。キャビンエアコンプレッサは、環境統制システムにおいて利用する空気を圧縮するために利用することができる。キャビンエアコンプレッサはコンプレッサ部を駆動するモータを含み、コンプレッサ部が次に、キャビンエアコンプレッサを流れる空気を圧縮する。
【0003】
エアサイクルマシン及びキャビンエアコンプレッサはいずれも、回転する中心軸まで延在するシャフトを有する。軸受はシャフトよりも外側に位置し、回転シャフトと静止部品との間の摩擦を低減する。従来、エアサイクルマシン及びキャビンエアコンプレッサにおいて玉軸受が利用されてきた。玉軸受は、摩耗が早く、そのために頻繁に交換が必要であるという制約に直面する。さらに、玉軸受には、作動のためのオイルが必要であり、空気が航空機キャビンに送出される前に、オイルのにおいがエアサイクルマシン及び/またはキャビンエアコンプレッサを流れる空気にしみ出す可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
玉軸受の制限を克服するために、空気軸受(air bearings)がその後、エアサイクルマシン及びキャビンエアコンプレッサにおける利用のために開発された。空気軸受は回転部と軸受部品との間に、軸受として作用するような空隙を作る。利用することができる空気軸受の例として、バンプフォイル軸受(bump foil bearing)及び金属メッシュ軸受(metal mesh bearing)がある。バンプフォイル軸受は、トップフォイルと軸受スリーブとの間に位置するバンプフォイルを含む。金属メッシュ軸受は、トップフォイルと軸受スリーブとの間に位置する金属メッシュを含む。バンプフォイル軸受及び金属メッシュ軸受の両方とともに、トップフォイルはシャフトの周囲に位置する。空気がシャフトに沿って流れるにつれて、トップフォイルはシャフトよりも外側に押し出され、回転シャフトとトップフォイルとの間に空隙を作る。バンプフォイル軸受は高い剛性を有し、高い負荷を支持することができるが、低い減衰特性(dampening characteristics)を有する。低い減衰特性は、シャフトの制御不能な振動の問題である、分数調波回転(sub-synchronous whirl)として知られる現象につながる可能性がある。金属メッシュ軸受は高い減衰特性を有するが、経時的にたわんでシャフトを偏心させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
軸受が、第1部分及び、第1部分に隣接する第2部分を有する軸受スリーブを含む。バンプフォイルが軸受スリーブの第1部分の内面に沿って延在し、金属メッシュが軸受スリーブの第2部分の内面に沿って延在する。トップフォイルが、第1部分のバンプフォイル及び第2部分の金属メッシュの内面に沿って延在する。
【0006】
回転機が、回転機において回転するよう構成されたシャフト、シャフトよりも外側に位置する静止部品、及び、シャフトと静止部品との間に位置するハイブリッドフォイル軸受(hybrid foil bearing)を含む。ハイブリッドフォイル軸受は、第1バンプフォイル部と、第1バンプフォイル部に隣接する第1金属メッシュ部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】エアサイクルマシンの断面図である。
図2】エアコンプレッサの断面図である。
図3】ハイブリッドフォイル軸受の第1実施形態の断面図である。
図4図3の4-4線に沿った、ハイブリッドフォイル軸受の金属メッシュ部の断面図である。
図5A図3の5-5線に沿った、ハイブリッドフォイル軸受のフォイル部の第1実施形態の断面図である。
図5B図3のハイブリッドフォイル軸受のフォイル部の第2実施形態の分解図である。
図5C図3の5-5線に沿った、ハイブリッドフォイル軸受のフォイル部の第3実施形態の断面図である。
図5D図3の5-5線に沿った、ハイブリッドフォイル軸受のフォイル部の第4実施形態の断面図である。
図5E図3の5-5線に沿った、ハイブリッドフォイル軸受のフォイル部の第5実施形態の断面図である。
図5F図3のハイブリッドフォイル軸受のフォイル部の第6実施形態の一部切欠斜視図である。
図6】ハイブリッドフォイル軸受の第2実施形態の断面図である。
図7】ハイブリッドフォイル軸受の第3実施形態の断面図である。
図8】ハイブリッドフォイル軸受の第4実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、ファン部12、コンプレッサ部14、第1タービン部16、第2タービン部18、タイロッド(tie rod)20、ファン及びコンプレッサハウジング22、シールプレート24、第1タービンハウジング26、ならびに第2タービンハウジング28を含む、エアサイクルマシン10の断面図である。図1にはまた、軸Aが示される。
【0009】
ファン部12、コンプレッサ部14、第1タービン部16、及び第2タービン部18は全て、タイロッド20に取り付けられる。タイロッド20は、軸Aの周囲を回転する。ファン及びコンプレッサハウジング22は、留め具を用いてシールプレート24及び第1タービンハウジング26に接合される。シールプレート24は、ファン及びコンプレッサハウジング22における流路を第1タービンハウジング26における流路から分離する。第1タービンハウジング26は留め具を用いて第2タービンハウジング28に接合される。ファン及びコンプレッサハウジング22、第1タービンハウジング26、ならびに第2タービンハウジング28はともに、エアサイクルマシン10のためのハウジング全体を形成する。ファン及びコンプレッサハウジング22は、ファン部12及びコンプレッサ部14を収容し、第1タービンハウジング26は第1タービン部16を収容し、第2タービンハウジング28は第2タービン部18を収容する。
【0010】
ファン部12は、ファン入口30、ファンダクト32、ファン出口34、及びファンロータ36を含む。ファン部12は通常、ラムエアスクープから、あるいは、関連するガスタービンまたは他の航空機部品からラムエアを引き込む。空気はファン入口30に引き込まれ、ファンダクト32内を通ってファン出口34に至る。ファンロータ36は、ファン入口30に隣接するファンダクト32内に位置し、タイロッド20に取り付けられ、タイロッド20とともに回転する。ファンロータ36は空気をファン部12に引き込み、空気にエアサイクルマシン10を経由させる。
【0011】
コンプレッサ部14は、コンプレッサ入口40、コンプレッサダクト42、コンプレッサ出口44、コンプレッサロータ46、及びディフューザ48を含む。空気はコンプレッサ入口40内を経由し、コンプレッサダクト42内を通ってコンプレッサ出口44に至る。コンプレッサロータ46及びディフューザ48は、コンプレッサダクト42内に位置する。コンプレッサロータ46はタイロッド20に取り付けられ、タイロッド20とともに回転し、コンプレッサダクト42を流れる空気を圧縮する。ディフューザ48は、コンプレッサロータ46によって圧縮された後にコンプレッサ空気を流すことができる静的構造体である。ディフューザ48から流出する空気はその後、コンプレッサ出口44を通ってコンプレッサダクト42から流出することができる。
【0012】
第1タービン部16は、第1タービン入口50、第1タービンダクト52、第1タービン出口54、及び第1タービンロータ56を含む。空気は第1タービン入口50内を経由し、第1タービンダクト52を通って第1タービン出口54へと至る。第1タービンロータ56は第1タービンダクト52内に位置し、タイロッド20に取り付けられ、タイロッド20とともに回転する。第1タービンロータ56は第1タービン部16を通過する空気からエネルギーを抽出し、タイロッド20を回転駆動する。
【0013】
タービン部18は、第2タービン入口60、第2タービンダクト62、第2タービン出口64、及び第2タービンロータ66を含む。空気は第2タービン入口60内を経由し、第2タービンダクト62を通って第2タービン出口64に至る。第2タービンロータ66は第2タービンダクト62内に位置し、タイロッド20に取り付けられ、タイロッド20とともに回転する。第2タービンロータ66は、第2タービン部18を通過する空気からエネルギーを抽出し、タイロッド20を回転駆動する。
【0014】
エアサイクルマシン10は、第1軸受70、第1回転シャフト72、第2軸受74、及び第2回転シャフト76をさらに含む。第1軸受70はファン部12内に位置し、ファン及びコンプレッサハウジング22によって支持される。第1回転シャフト72は、ファンロータ34とコンプレッサロータ44との間に延在し、ファンロータ34及びコンプレッサロータ44とともに回転する。第1回転シャフト72の半径方向外側表面は、第1軸受70の半径方向内側表面に隣接する。第2軸受74は第1タービン部16内に位置し、第1タービンハウジング26によって支持される。第2回転シャフト76は第1タービンロータ54と第2タービンロータ64との間に延在し、第1タービンロータ54及び第2タービンロータ64とともに回転する。第2回転シャフト76の半径方向外側表面は、第2軸受74の半径方向内側表面に隣接する。
【0015】
図2は、エアコンプレッサ100の断面図である。エアコンプレッサ100は、モータ102、コンプレッサ部104、及びタイロッド106を含む。図2にはまた、軸Bが示される。モータ102は、エアコンプレッサ100内でコンプレッサ部104を駆動する。タイロッド106はエアコンプレッサ100を通って延在し、軸Bを中心とする。モータ102及びコンプレッサ部104は、タイロッド106に取り付けられる。モータ102はタイロッド106を駆動しそれを回転させ、それが次にコンプレッサ部104を回転させる。
【0016】
モータ102は、モータハウジング110、モータロータ112、及びモータ固定子114を含む。モータハウジング110は、モータロータ112及びモータ固定子114を囲む。モータ102は、モータ固定子114内に配置されるモータロータ112を有する電動モータである。モータロータ112は、軸Bの周囲を回転可能である。モータロータ102はタイロッド106に取り付けられ、エアコンプレッサ100内でタイロッド106を回転駆動する。
【0017】
コンプレッサ部104は、コンプレッサハウジング120、コンプレッサ入口122、コンプレッサ出口124、及びコンプレッサロータ126を含む。コンプレッサハウジング120は、コンプレッサ入口122を形成するダクト及び、コンプレッサ出口124を形成するダクトを含む。コンプレッサ入口122は、空気をコンプレッサ部104内に引き込む。コンプレッサロータ126は、コンプレッサハウジング120内に位置する。コンプレッサロータ126はモータ102によって駆動され、タイロッド106に取り付けられて、タイロッド106とともに軸Bの周囲を回転する。コンプレッサ入口122を通じてコンプレッサ部104に引き込まれる空気は、コンプレッサ出口124を通じてコンプレッサ部104から流出する前に、コンプレッサロータ126によって圧縮される。
【0018】
エアコンプレッサ100は、第1軸受130、第1回転シャフト132、第2軸受134、及び第2回転シャフト136をさらに含む。第1軸受130はモータ102内に位置し、モータハウジング110によって支持される。第1回転シャフト132はタイロッド106に取り付けられ、タイロッド106とともに回転する。第1回転シャフト132の半径方向外側表面は、第1軸受130の半径方向内側表面に隣接する。第2軸受134はモータ102内に位置し、モータハウジング110によって支持される。第2回転シャフト136はモータロータ112とコンプレッサロータ126との間に延在し、モータロータ112及びコンプレッサロータ126とともに回転する。第2回転シャフト136の半径方向外側表面は、第2軸受134の半径方向内側表面に隣接する。
【0019】
図3~8により、ハイブリッドフォイル軸受の様々な実施形態を示す。ハイブリッドフォイル軸受の実施形態のいずれかは、図1に示すエアサイクルマシン10及び/または図2に示すエアコンプレッサ100において利用することができる。図1に示すエアサイクルマシン10及び図2に示すエアコンプレッサ100は、例示的な回転機であり、ハイブリッドフォイル軸受は他の回転機においても利用することができる。
【0020】
図3は、ハイブリッドフォイル軸受(hybrid foil bearing)200の第1実施形態の断面図である。ハイブリッドフォイル軸受200は、第1フォイル部210、金属メッシュ部(metal mesh portion)212、第2フォイル部214、軸受スリーブ(bearing sleeve)220、第1フォイル222、金属メッシュ224、第2フォイル226、及びトップフォイル(top foil)228を含む。図3にはまた、軸Zが示される。
【0021】
ハイブリッドフォイル軸受200は、第1フォイル部210、金属メッシュ部212、及び第2フォイル部214を含む3つの部位を含む。金属メッシュ部212は、第1フォイル部210と第2フォイル部214との間に位置する。軸受スリーブ220は円筒形状を有し、ハイブリッドフォイル軸受200の本体部を形成する。図3から分かる通り、軸Zは軸受スリーブ220の中心に延在する。軸受スリーブ220は第1フォイル部210及び第2フォイル部214において第1肉厚T1を、また、金属メッシュ部212において第2肉厚T2を有する。第1肉厚T1は第2肉厚T2よりも厚い。代替的な実施形態において、軸受スリーブ220は、軸受スリーブ220の全体にわたって同一の厚さを有する場合がある。
【0022】
第1フォイル222は円筒形状であり、第1フォイル部210における軸受スリーブ220の内面に隣接するように、軸受スリーブ220内に配置される。金属メッシュ224は円筒形状であり、金属メッシュ部212における軸受スリーブ220の内面に隣接するように、軸受スリーブ220内に配置される。第2フォイル226は円筒形状であり、第2フォイル部214における軸受スリーブ220の内面に隣接するように、軸受スリーブ220内に配置される。トップフォイル228は円筒形状であり、軸受スリーブ220内に位置する。トップフォイル228は、第1フォイル222、金属メッシュ224、及び第2フォイル226の内面に隣接する。
【0023】
図4は、図3の4-4線による、ハイブリッドフォイル軸受200の金属メッシュ部212の断面図である。金属メッシュ部212は、軸受スリーブ220、金属メッシュ224、トップフォイル228、及び空気軸受間隙(air bearing gap)230を含む。図3にはまた、シャフトSが示される。
【0024】
軸受スリーブ220は、ハイブリッドフォイル軸受200の金属メッシュ部212の外側本体部を形成する。金属メッシュ224は、金属メッシュ部212内に軸受スリーブ220の内面に沿って位置する。金属メッシュ224は、ランダムに絡まり合う複数の金属線を含む。金属メッシュ224は、任意の好適な金属によって作成することができる。トップフォイル228は、金属メッシュ224の内面に沿って位置する。トップフォイル228の第1端部は金属メッシュ224内に延在し、トップフォイル228の位置を保持する。代替的な実施形態において、トップフォイル228の第1端部は、金属メッシュ224を通って軸受スリーブ220内に延在する。トップフォイル228の第1端部とトップフォイル228の第2端部との間には、空気がシャフトSとトップフォイル228との間の空間に流入することができるように、間隙が存在する。シャフトSはトップフォイル228に隣接して位置し、ハイブリッドフォイル軸受200の金属メッシュ部212を通って延在する。
【0025】
シャフトSが回転するにつれて、ハイブリッドフォイル軸受200内の空気はトップフォイル228を半径方向外側に押し出し、トップフォイル228をさらに金属メッシュ224内に押し入れる。これにより、シャフトSとトップフォイル228との間に空気軸受間隙230が形成される。金属メッシュ部212における金属メッシュ224の利用により、振動を吸収することが可能な絡まり合う複数の線に起因した互いに接触する多数の表面を金属メッシュ224が有するため、金属メッシュ部212に高い減衰特性が与えられる。金属メッシュ部212の高い減衰特性は、ハイブリッドフォイル軸受200内で回転するシャフトSに起因する振動を低減する。
【0026】
図5A~5Fは、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210の異なる実施形態を示す。
【0027】
図5Aは、図3の5-5線による、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210Aの第1実施形態の断面図である。フォイル部210Aは、軸受スリーブ220、バンプフォイル222A、トップフォイル228、及び空気軸受間隙230を含む。
【0028】
軸受スリーブ220は、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210Aの外側本体部を形成する。バンプフォイル222Aは、フォイル部210Aにおいて軸受スリーブ220の内面に沿って位置する。バンプフォイル222Aは、その薄板に沿って延在する波形部分を含む。波形部分は、剛性及び負荷容量に応じた大きさとすることができる。トップフォイル228は、バンプフォイル222Aの内面に沿って位置する。トップフォイル228の第1端部は半径方向外側に延在し、バンプフォイル222Aに隣接して、トップフォイル228を所定の位置に保持する。トップフォイル228の第1端部とトップフォイル228の第2端部との間には、空気がシャフトSとトップフォイル228との間の空間に流入することができるように、間隙が存在する。シャフトSはトップフォイル228に隣接して位置し、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210Aを通って延在する。
【0029】
シャフトSが回転するにつれて、ハイブリッドフォイル軸受200内の空気はトップフォイル228を半径方向外側に押し出し、トップフォイル228をさらにバンプフォイル222A内に押し入れて、バンプフォイル222Aを弾性変形させる。これにより、シャフトSとトップフォイル228との間に空気軸受間隙230を形成する。図5Aから分かる通り、バンプフォイル222Aにおける波形部分の数は、トップフォイル228及びバンプフォイル222Aの接点の数に相関する。フォイル部210Aにおけるバンプフォイル222Aの利用により、フォイル部210Aに高剛性及び高負荷軸受容量が与えられる。
【0030】
図5Bは、図3のハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210Bの第2実施形態の分解図である。フォイル部210Bは、軸受スリーブ220、フォイル222B、及びトップフォイル228を含む。フォイル222Bは、第1フォイル部240、第2フォイル部242、及び第3フォイル部244を含む。
【0031】
軸受スリーブ220は、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210Bの外側本体部を形成する。バンプフォイル222Aは、フォイル部210Bにおいて軸受スリーブ220の内面に沿って位置する。フォイル222Bは、第1フォイル部240、第2フォイル部242、及び第3フォイル部244を含む3つの異なる部位を有するバンプフォイルである。第1フォイル部240、第2フォイル部242、及び第3フォイル部244はすべて波形部分を有するバンプフォイルであり、異なる大きさの波形部分を有することができる。図5Bに示される実施形態において、第1フォイル部240及び第3フォイル部244は、同一の大きさ波形部分を有する。代替的な実施形態において、第1フォイル部240及び第3フォイル部244は、異なる大きさの波形部分を有することができる。波形部分は、剛性及び負荷容量に応じた大きさとすることができる。トップフォイル228は、フォイル222Bの内面に沿って位置する。トップフォイル228の第1端部とトップフォイル228の第2端部との間は、空気がシャフトSとトップフォイル228との間の空間に流入することができるように、間隙が存在する。シャフトSはトップフォイル228に隣接して位置し、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210Bを通って延在する。
【0032】
シャフトSが回転するにつれて、ハイブリッドフォイル軸受200内の空気はトップフォイル228を半径方向外側に押し出し、トップフォイル228をさらにフォイル222B内に押し入れて、フォイル222Bを弾性変形させる。これにより、シャフトSとトップフォイル228との間に空気軸受間隙が形成される。図5Bから分かる通り、フォイル222Bの第1フォイル部240、第2フォイル部242、及び第3フォイル部244のそれぞれにおける波形部分の数は、トップフォイル228とフォイル222Bとの間の接点の数に相関する。図5Bに示される実施形態は、フォイル222Bの両端の第1フォイル部240及び第3フォイル部244において、より大きな波形部分を有する。これにより、第1フォイル部240及び第3フォイル部244により高いばね定数が与えられ、トップフォイル228が第1フォイル部240及び第3フォイル部244に対するより高い封止を形成する。第2フォイル部242はより小さな波形部分を有し、より低いばね定数を有する。第2フォイル部242においてより高い空気圧が形成されるように、空気を第2フォイル部242内に取り込むことができる。これにより、フォイル222Bにはより高い負荷容量が与えられる。フォイル部210Bにおけるフォイル222Bの利用により、フォイル部210Bには高剛性及び高負荷軸受容量が与えられる。
【0033】
図5Cは、図3の5-5線による、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210Cの第3実施形態の切欠断面図である。フォイル部210Cは、軸受スリーブ220、フォイル222C1、フォイル222C2、トップフォイル228、及び空気軸受間隙230を含む。
【0034】
軸受スリーブ220は、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210Cの外側本体部を形成する。フォイル222C1及びフォイル222C2は、フォイル部210Cにおいて軸受スリーブ220の内面に沿って位置する。フォイル222C1及びフォイル222C2は、バンプフォイルである。フォイル222C1は、軸受スリーブ220の内面に隣接し、フォイル222C2は、フォイル222C1の内面に隣接する。図5Cに示される実施形態において、フォイル222C1は、より小さな波形部分を有し、フォイル222C2は、より大きな波形部分を有する。代替的な実施形態において、フォイル222C1は、フォイル222C2の波形部分の大きさよりも大きな波形部分を有する。トップフォイル228は、フォイル222C2の内面に沿って位置する。トップフォイル228の第1端部は半径方向外側に延在し、フォイル222C2に隣接して、トップフォイル228を所定の位置に保持する。トップフォイル228の第1端部とトップフォイル228の第2端部との間には、空気がシャフトSとトップフォイル228との間の空間に流入することができるように、間隙が存在する。シャフトSはトップフォイル228に隣接して位置し、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210Cを通って延在する。
【0035】
シャフトSが回転するにつれ、ハイブリッドフォイル軸受200内の空気はトップフォイル228を半径方向外側に押し出し、トップフォイル228をさらにフォイル222C2内に押し入れて、フォイル222C2を弾性変形させる。これにより、シャフトSとトップフォイル228との間に空気軸受間隙230が形成される。図5Cから分かる通り、バンプフォイル222C2における波形部分の数は、トップフォイル228とフォイル222C2との間の接点の数に相関する。さらに、フォイル222C2とフォイル222C1との間には、接点が存在する。トップフォイル228とフォイル222C2との間に、また、フォイル222C2とフォイル222C1との間に接点を有することにより、フォイル222C1及びフォイル222C2の負荷容量が高まる。フォイル部210Cにおけるフォイル222C1及びフォイル222C2の利用により、フォイル部210Cに高剛性及び高負荷軸受容量が与えられる。
【0036】
図5Dは、図3の5-5線による、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210Dの第4実施形態の断面図である。フォイル部210Dは、軸受スリーブ220、複数のリーフフォイル222D、空気軸受間隙230、及び複数の切欠部246を含む。
【0037】
軸受スリーブ220は、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210Dの外側本体部を形成する。複数のリーフフォイル222D及び複数の切欠部246は、フォイル部210Dにおいて軸受スリーブ220の内面に沿って位置する。軸受スリーブ220は、軸受スリーブ220の内径において、その中に切り込まれる複数の切欠部246を有する。各リーフフォイル222Dの第1端部は、軸受スリーブ220における切欠部246の1つ内に位置する。各リーフフォイル222Dは1つの切欠部246よりも外側に延在し、軸受スリーブ220の内径に沿う。各リーフフォイル222Dの第2端部は隣接するリーフフォイル222Dに重複する。図5Dに示される実施形態において、フォイル部210Dは9個のリーフフォイル222Dを含むが、フォイル部210Dは代替的な実施形態において、任意の数のリーフフォイル222Dを含むことができる。シャフトSは複数のリーフフォイル222Dに隣接して位置し、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210Dを通って延在する。
【0038】
複数のリーフフォイル222Dは軸受スリーブ220の内径全体の周囲に延在し、シャフトSに隣接するトップフォイルとして作用するため、フォイル部210Dはトップフォイルを含まない。フォイル部210Dが図3に示されるハイブリッドフォイル軸受200において利用される場合、トップフォイル228はフォイル部210Dにわたって延在しない。シャフトSが回転するにつれ、ハイブリッドフォイル軸受200内の空気が複数のリーフフォイル222Dを半径方向外側に押し出し、複数のリーフフォイル222Dを弾性変形させる。これにより、シャフトSと複数のリーフフォイル222Dとの間に空気軸受間隙230が形成される。フォイル部210Dにおける複数のリーフフォイル222Dの利用により、フォイル部210Dに高剛性及び高負荷軸受容量が与えられる。
【0039】
図5Eは、図3の5-5線による、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210Eの第5実施形態の断面図である。フォイル部210Eは、軸受スリーブ220、複数のフォイル222E、トップフォイル228、空気軸受間隙230、及び複数の支持部248を含む。
【0040】
軸受スリーブ220は、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210Eの外側本体部を形成する。複数のフォイル222E及び複数の支持部248は、フォイル部210Eにおいて軸受スリーブ220の内面に沿って位置する。図5Eに示される実施形態においては、3つの支持部248が存在するが、代替的な実施形態においては、任意の数の支持部248とすることができる。複数の支持部248は軸受スリーブ220内に延在し、軸受スリーブ220の内径に沿った3つの異なる領域を形成する。複数のフォイル222Eは、複数の支持部248間に位置する。複数のフォイル222Eは、フォイル片である。複数のフォイル222Eは、カンチレバーCを形成するように配置される。図5Eに示される実施形態においては、複数の支持部248によって画定される各領域内に形成される3つのカンチレバーCが存在する。代替的な実施形態においては、任意の数のカンチレバーCを形成することができる。トップフォイル228は、複数のフォイル222Eの内面に沿って位置する。トップフォイル228は、フォイル部210Eにおいて各支持部248に隣接する。シャフトSはトップフォイル228に隣接して位置し、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210Eを通って延在する。
【0041】
シャフトSが回転するにつれ、ハイブリッドフォイル軸受200内の空気はトップフォイル228を半径方向外側に押し出し、トップフォイル228を複数のフォイル222E内にさらに押し入れて、複数のフォイル222Eを弾性変形させる。これにより、シャフトSとトップフォイル228との間に、空気軸受間隙230が形成される。複数のフォイル222Eによって形成されるカンチレバーCは、複数のフォイル222Eがその強度を維持するための補助を行いながら、複数のフォイル222Eの変形からの応力を吸収する。フォイル部210EにおいてカンチレバーCを形成する複数のフォイル222Eの利用により、フォイル部210Eに高剛性及び高負荷軸受容量が与えられる。
【0042】
図5Fは、図3のハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210Fの第6実施形態の一部切欠斜視図である。フォイル部210Fは、軸受スリーブ220、複数のフォイル222F、複数のトップフォイル228、空気軸受間隙230、及び複数の突出部249を含む。
【0043】
軸受スリーブ220は、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210Fの外側本体部を形成する。複数のフォイル222F及び複数の突出部249は、フォイル部210Fにおいて軸受スリーブ220の内面に沿って位置する。複数の突出部249は軸受スリーブ220から半径方向内側に延在し、各突出部249の両側にリップ部が形成される。図5Fに示される実施形態においては、3つの突出部249が存在するが、代替的な実施形態においては、任意の数の突出部249とすることができる。複数の突出部249は、軸受スリーブ220の内径に沿って3つの異なる領域を形成する。複数のフォイル222Fは、複数の突出部249間に位置する。複数のフォイル222Fは、スプリングフォイルである。各フォイル222Fは、シートに沿って延在する波形部分を含む。波形部分は、強度及び剛性に応じた大きさとすることができる。1つのフォイル222Fは、複数の突出部249間に形成される各領域内に位置する。複数のトップフォイル228は、複数のフォイル222Fの内面に沿って位置する。図5Fに示される実施形態においては、3つのトップフォイル228が存在するが、代替的な実施形態においては、フォイル222Fの数に対応する任意の数のトップフォイル228とすることができる。各トップフォイル228の第1端部は第1突出部249のリップ部とともに維持され、各トップフォイル228の第2端部は第2突出部249のリップ部とともに維持される。シャフトSは複数のトップフォイル228に隣接して位置し、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210Fを通って延在する。
【0044】
シャフトSが回転するにつれて、ハイブリッドフォイル軸受200内の空気が複数のトップフォイル228を半径方向外側に押し出し、複数のトップフォイル228をさらに複数のフォイル222F内に押し入れて、複数のフォイル222Fを弾性変形させる。これにより、シャフトSと複数のトップフォイル228との間に空気軸受間隙230が形成される。図5Fから分かる通り、複数のフォイル222Fにおける波形部分の数は、複数のトップフォイル228と複数のフォイル222Fとの間の接点の数に相関する。フォイル部210Fにおける複数のフォイル222Fの利用により、フォイル部210Fに高剛性及び高負荷軸受容量が与えられる。
【0045】
図5A~5Fについて、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部210を参照して説明するが、ハイブリッドフォイル軸受200のフォイル部214は、図5A~5Fに示される構造のいずれかを有することができる。フォイル部210及びフォイル部214は、異なる実施形態において、同一の構造または異なる構造を有することができる。
【0046】
図3~5Fは、フォイル部210、金属メッシュ部212、及びフォイル部214を有するハイブリッドフォイル軸受200を示す。ハイブリッドフォイル軸受200は、金属メッシュ部212の高い減衰特性も利用しながら、フォイル部210及びフォイル部214の高剛性及び高負荷軸受容量を利用する。フォイル部のみを利用する軸受は、軸受を通って延在するシャフトの制御不能な振動に起因する、分数調波回転に伴う問題に直面する。制御不能な振動は、バンプフォイルが高い減衰特性を有さないために発生する。金属メッシュ部のみを利用する軸受は、軸受を通って延在するシャフトを偏心させる、経時的なたわみ及びクリープに伴う問題に直面する。シャフトが偏心する際に、シャフトとともに回転しているあらゆる部品も偏心し、これらの部品を静止部品に擦れ合わさせる可能性がある。これら部品を静止部品に擦れさせることにより、いずれの部品も摩耗し、より頻繁な部品の交換が必要となる可能性が生じ、部品が故障する危険性が生じる。
【0047】
ハイブリッドフォイル軸受200は、第1フォイル部210、金属メッシュ部212、及び第2フォイル部214を利用する。第1フォイル部210及び第2フォイル部214は、高剛性及び高負荷軸受性能を有する。金属メッシュ部212は、高い減衰特性を有する。第1フォイル部210、金属メッシュ部212、及び第2フォイル部214の利用により、高い減衰特性も有しながら高剛性及び高負荷軸受性能を有するハイブリッドフォイル軸受200が作成される。
【0048】
図6は、ハイブリッドフォイル軸受250の第2実施形態の断面図である。ハイブリッドフォイル軸受250は、第1金属メッシュ部260、フォイル部262、第2金属メッシュ部264、軸受スリーブ270、第1金属メッシュ272、フォイル274、第2金属メッシュ276、及びトップフォイル278を含む。図6にはまた、軸Zが示される。
【0049】
ハイブリッドフォイル軸受250は、第1金属メッシュ部260、フォイル部262、及び第2金属メッシュ部264を含む3つの部位を含む。フォイル部262は、第1金属メッシュ部260と第2金属メッシュ部264との間に位置する。軸受スリーブ270は円筒形状を有し、ハイブリッドフォイル軸受250の本体部を形成する。図6から分かる通り、軸Zは軸受スリーブ270の中心に延在する。軸受スリーブ270は、第1金属メッシュ部260及び第2金属メッシュ部264において第1肉厚T1を、また、フォイル部262において第2肉厚T2を有する。第1肉厚T1は、第2肉厚T2よりも薄い。代替的な実施形態において、軸受スリーブ270は、軸受スリーブ270にわたって同一の厚さを有する。
【0050】
第1金属メッシュ272は円筒形状であり、第1金属メッシュ部260における軸受スリーブ270の内面に隣接するように、軸受スリーブ270内に配置される。フォイル274は円筒形状であり、フォイル部262における軸受スリーブ270の内面に隣接するように、軸受スリーブ270内に配置される。第2金属メッシュ276は円筒形状であり、第2金属メッシュ部264における軸受スリーブ270の内面に隣接するように、軸受スリーブ270内に配置される。トップフォイル278は円筒形状であり、軸受スリーブ270内に位置する。トップフォイル278は、第1金属メッシュ272、フォイル274、及び第2金属メッシュ276の内面に隣接する。
【0051】
図7は、ハイブリッドフォイル軸受300の第3実施形態の断面図である。ハイブリッドフォイル軸受300は、第1金属メッシュ部310、第1フォイル部312、第2フォイル部314、第2金属メッシュ部316、軸受スリーブ320、第1金属メッシュ322、第1フォイル324、第2フォイル326、第2金属メッシュ328、及びトップフォイル330を含む。図7にはまた、軸Zが示される。
【0052】
ハイブリッドフォイル軸受300は、第1金属メッシュ部310、第1フォイル部312、第2フォイル部314、及び第2金属メッシュ部316を含む4つの部位を含む。第1フォイル部312は、第1金属メッシュ部310と第2フォイル部314との間に位置する。第2フォイル部314は、第1フォイル部312と第2金属メッシュ部316との間に位置する。軸受スリーブ320は円筒形状を有し、ハイブリッドフォイル軸受300の本体部を形成する。図7から分かる通り、軸Zは軸受スリーブ320の中心に延在する。軸受スリーブ320は第1金属メッシュ部310及び第2金属メッシュ部316において第1肉厚T1を、また、第1フォイル部312及び第2フォイル部314において第2肉厚T2を有する。第1肉厚T1は、第2肉厚T2よりも薄い。
【0053】
第1金属メッシュ322は円筒形状であり、第1金属メッシュ部310における軸受スリーブ320の内面に隣接するように、軸受スリーブ320内に配置される。第1フォイル324は円筒形状であり、第1フォイル部312における軸受スリーブ320の内面に隣接するように、軸受スリーブ320内に配置される。第2フォイル326は円筒形状であり、第2フォイル部314における軸受スリーブ320の内面に隣接するように、軸受スリーブ320内に配置される。第2金属メッシュ328は円筒形状であり、第2金属メッシュ部316における軸受スリーブ320の内面に隣接するように、軸受スリーブ320内に配置される。トップフォイル330は円筒形状であり、軸受スリーブ320内に位置する。トップフォイル330は、第1金属メッシュ322、第1フォイル324、第2フォイル326、及び第2金属メッシュ328の内面に隣接する。
【0054】
図8は、ハイブリッドフォイル軸受350の第4実施形態の断面図である。ハイブリッドフォイル軸受350は、金属メッシュ部360、フォイル部362、軸受スリーブ370、金属メッシュ372、フォイル374、及びトップフォイル376を含む。図8にはまた、軸Zが示される。
【0055】
ハイブリッドフォイル軸受350は、金属メッシュ部360及びフォイル部362を含む2つの部位を含む。金属メッシュ部360は、フォイル部362に隣接して位置する。軸受スリーブ370は円筒形状を有し、ハイブリッドフォイル軸受350の本体部を形成する。図8から分かる通り、軸Zは軸受スリーブ370の中心に延在する。軸受スリーブ370は金属メッシュ部360において第1肉厚T1を、また、フォイル部362においては第2肉厚T2を有する。第1肉厚T1は、第2肉厚T2よりも薄い。代替的な実施形態において、軸受スリーブ370は軸受スリーブ370にわたって同一の厚さを有する。
【0056】
金属メッシュ372は円筒形状であり、金属メッシュ部360における軸受スリーブ370の内面に隣接するように、軸受スリーブ370内に配置される。フォイル374は円筒形状であり、フォイル部362における軸受スリーブ370の内面に隣接するように、軸受スリーブ370内に配置される。トップフォイル376は円筒形状であり、軸受スリーブ370内に位置する。トップフォイル376は、金属メッシュ372及びフォイル374の内面に隣接する。
【0057】
図3に示されるハイブリッドフォイル軸受200、図6に示されるハイブリッドフォイル軸受250、図7に示されるハイブリッドフォイル軸受300、及び図8に示されるハイブリッドフォイル軸受350はすべて、ハイブリッドフォイル軸受の変形例である。さらなる変形例が理解され、ハイブリッドフォイル軸受は、様々な配置を有する任意の数のフォイル部と組み合わせられた、任意の数の金属メッシュ部を含むことができる。図1に示すエアサイクルマシン10及び図2に示すエアコンプレッサ100は、ハイブリッドフォイル軸受を利用することができる例示的な回転機である。図1に示すエアサイクルマシン10は、ハイブリッドフォイル軸受とすることができる第1軸受70及び第2軸受74を含む。図2に示すエアコンプレッサ100は、ハイブリッドフォイル軸受とすることができる第1軸受130及び第2軸受134を含む。図3に示されるハイブリッドフォイル軸受200、図6に示されるハイブリッドフォイル軸受250、図7に示されるハイブリッドフォイル軸受300、及び図8に示されるハイブリッドフォイル軸受350のいずれか、またはその変形例は、図1に示すエアサイクルマシン10の第1軸受70及び/または第2軸受74、及び/または図2に示すエアコンプレッサ100の第1軸受130及び/または第2軸受134として利用することができる。
【0058】
(可能な実施形態)
本発明の可能な実施形態の非独占的な説明を以下に記す。
【0059】
軸受は、第1部分及び、第1部分に隣接する第2部分を有する軸受スリーブを含む。バンプフォイルは軸受スリーブの第1部分の内面に沿って延在し、金属メッシュは軸受スリーブの第2部分の内面に沿って延在する。トップフォイルは、第1部分のバンプフォイルの内面及び第2部分の金属メッシュの内面に沿って延在する。
【0060】
前項の軸受は、以下の特徴、構造及び/または付加的な部品の内の任意の1つ以上を任意に、付加的に、及び/または代替的に含むことができる。
【0061】
軸受は、第2部分に隣接する軸受スリーブ内の第3部分、及び、軸受スリーブの第3部分の内面に沿って延在するバンプフォイルを含むことができ、トップフォイルは第3部分のバンプフォイルの内面に沿って延在する。
【0062】
軸受スリーブは、第1部分及び第3部分において、第2部分における第2肉厚よりも厚い第1肉厚を有する。
【0063】
軸受は、第1部分に隣接する、軸受スリーブの第3部分を含むことができ、金属メッシュは、軸受スリーブの第3部分の内面に沿って延在し、トップフォイルは第3部分の金属メッシュの内面に沿って延在する。
【0064】
軸受スリーブは第1部分及び第3部分において、第2部分における第2肉厚よりも薄い第1肉厚を有する。
【0065】
バンプフォイルは、第1の大きさの波形部分を有する第1部分及び、第2の大きさの波形部分を有する第2部分を有し、第1の大きさは、第2の大きさよりも大きい。
【0066】
バンプフォイルは第1バンプフォイルであり、軸受は、第1バンプフォイルの内面に沿って延在する第2バンプフォイルをさらに含み、第1バンプフォイル及び第2バンプフォイルは、異なる大きさの波形部分を有する。
【0067】
回転機は、回転機内で回転するよう構成されたシャフト、シャフトよりも外側に位置する静止部品、及び、シャフトと静止部品との間に位置するハイブリッドフォイル軸受を含む。ハイブリッドフォイル軸受は、第1バンプフォイル部及び、第1バンプフォイル部に隣接する第1金属メッシュ部を有する。
【0068】
前項の回転機は、以下の特徴、構造及び/または付加的な部品の内の任意の1つ以上を任意に、付加的に、及び/または代替的に、含むことができる。
【0069】
ハイブリッドフォイル軸受は、第1バンプフォイル部及び第1金属メッシュ部を有する軸受スリーブ、軸受スリーブの第1バンプフォイル部内に位置する第1バンプフォイル、軸受スリーブの第1金属メッシュ部内に位置する第1金属メッシュ、ならびに、第1バンプフォイル部の第1バンプフォイルの内面及び第1金属メッシュ部の第1金属メッシュの内面に沿って延在するトップフォイルをさらに含む。
【0070】
ハイブリッドフォイル軸受は、第1金属メッシュ部に隣接する、軸受スリーブ内の第2バンプフォイル部、及び、軸受スリーブの第2バンプフォイル部の内面に沿って延在する第2バンプフォイルをさらに含み、トップフォイルは第2バンプフォイル部における第2バンプフォイルの内面に沿って延在する。
【0071】
ハイブリッドフォイル軸受は、第1バンプフォイル部に隣接する、軸受スリーブ内の第2金属メッシュ部、及び、軸受スリーブの第2金属メッシュ部の内面に沿って延在する第2金属メッシュをさらに含み、トップフォイルは、第2金属メッシュ部における第2金属メッシュの内面に沿って延在する。
【0072】
第1バンプフォイルは、第1の大きさの波形部分を有する第1部分、及び、第2の大きさの波形部分を有する第2部分を有し、第1の大きさは、第2の大きさよりも大きい。
【0073】
ハイブリッドフォイル軸受は第1バンプフォイルの内面に沿って延在する第2バンプフォイルをさらに含み、第1バンプフォイル及び第2バンプフォイルは異なる大きさの波形部分を有する。
【0074】
回転機は、回転機の中心軸に沿って延在するタイロッドを含むとともに、シャフトが、タイロッドとともに回転するよう構成され、回転機は、コンプレッサ入口、コンプレッサ出口、及びコンプレッサロータを含むコンプレッサ部を含むとともに、コンプレッサロータが、タイロッドとともに回転するように構成され、回転機は、モータハウジング、モータ固定子、及びモータロータを含んだ、モータを含む。
【0075】
回転機は、回転機の中心軸に沿って延在するタイロッドを含むとともに、シャフトが、タイロッドとともに回転するよう構成され、回転機は、ファン入口、ファン出口、及びファンロータを有するファン部を含むとともに、ファンロータが、タイロッドとともに回転するよう構成され、回転機は、コンプレッサ入口、コンプレッサ出口、及びコンプレッサロータを含むコンプレッサ部を含むとともに、コンプレッサロータが、タイロッドとともに回転するよう構成され、回転機は、第1タービン入口、第1タービン出口、及び第1タービンロータを含む第1タービン部を含むとともに、第1タービンロータが、タイロッドとともに回転するよう構成され、回転機は、第2タービン入口、第2タービン出口、及び第2タービンロータを含む第2タービン部を含むとともに、第2タービンロータが、タイロッドとともに回転するよう構成される。
【0076】
本発明については、例示的な実施形態(複数可)を参照して説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更が加えられてもよく、かつ等価物がその要素と置換されてもよいことが当業者には理解される。さらに、その本質的な範囲から逸脱することなく特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、多くの修正を加えてもよい。したがって、本発明は特定の実施形態(複数可)のみに限定されず、本発明が添付の特許請求の範囲に該当する全ての実施形態を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0077】
200…ハイブリッドフォイル軸受
210…第1フォイル部
212…金属メッシュ部
214…第2フォイル部
220…軸受スリーブ
222…第1フォイル
224…金属メッシュ
226…第2フォイル
228…トップフォイル
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
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図5F
図6
図7
図8