(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】ヒートポンプ用室外ユニット
(51)【国際特許分類】
F25B 47/02 20060101AFI20230919BHJP
F24F 1/30 20110101ALI20230919BHJP
F24F 1/36 20110101ALI20230919BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
F25B47/02 550E
F24F1/30
F24F1/36
F25B1/00 101G
F25B47/02 530G
F25B47/02 530C
(21)【出願番号】P 2021553061
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(86)【国際出願番号】 JP2020009888
(87)【国際公開番号】W WO2020184491
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-09-07
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510048875
【氏名又は名称】ダイキン ヨーロッパ エヌ.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】DAIKIN EUROPE N.V.
【住所又は居所原語表記】Zandvoordestraat 300,Oostende 8400,Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】吉川 浩太
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンシュテーンキステ,ウィム
(72)【発明者】
【氏名】ハティアンガディ,アクシャイ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ロペス,ホセ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シュルモン,トム
(72)【発明者】
【氏名】メータ,リシ
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-195076(JP,U)
【文献】特開2010-071530(JP,A)
【文献】国際公開第2014/203500(WO,A1)
【文献】特開2014-119139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 47/02
F24F 1/22
F24F 1/30
F24F 1/36
F25D 21/06 ~ 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒回路を備えたヒートポンプ(1)用の室外ユニット(10)であって、
前記室外ユニットは、
圧縮機(13)と、
前記圧縮機(13)の吐出側に接続されている前記冷媒回路の吐出管(17)と、
基体(36)と、前記基体(36)の外縁から上方に突出する外側フランジ(37)と、を有する底板(31)と、
前記底板(31)上で支持される熱源熱交換器(11)と、
前記吐出管(17)に一端が接続された除霜バイパス管(50)であって、前記外側フランジ(37)の内側(37a)と前記熱源熱交換器(11)の外側(11a)との間に配置される除霜バイパス管(50)と、
を備え
、
前記除霜バイパス管(50)は、上側管(50b)と下側管(50a)とを有するループであり、前記上側管(50b)は前記下側管(50a)よりも前記底板(31)の前記基体(36)から離れており、
前記上側管(50b)及び前記下側管(50a)は、前記外側フランジ(37)の内面に隣接して、前記外側フランジ(37)の前記内面に沿って配置されている、
室外ユニット。
【請求項2】
冷媒回路を備えたヒートポンプ(1)用の室外ユニット(10)であって、
前記室外ユニットは、
圧縮機(13)と、
前記圧縮機(13)の吐出側に接続されている前記冷媒回路の吐出管(17)と、
基体(36)と、前記基体(36)の外縁から上方に突出する外側フランジ(37)と、を有する底板(31)と、
前記底板(31)上で支持される熱源熱交換器(11)と、
前記吐出管(17)に一端が接続された除霜バイパス管(50)であって、前記外側フランジ(37)の内側(37a)と前記熱源熱交換器(11)の外側(11a)との間に配置される除霜バイパス管(50)と、
前記吐出管(17)に一端が接続された追加の除霜バイパス管(60)と、
を備え、
前記追加の除霜バイパス管(60)は、前記底板(31)の前記基体(36)と、前記熱源熱交換器(11)の下部(11c)との間に配置される、
室外ユニット。
【請求項3】
前記追加の除霜バイパス管(60)は、前記底板に垂直な方向から見た際に、前記熱源熱交換器(11)の下方に位置しない補助ループ(61)を有する、
請求項
2に記載の室外ユニット。
【請求項4】
前記追加の除霜バイパス管(60)は、接続部で互いに接続された少なくとも2本の管で構成され、前記底板に垂直な方向から見た際に、前記接続部が前記熱源熱交換器(11)の下方に位置しないよう、前記接続部は前記補助ループ(61)内に配置される、
請求項
3に記載の室外ユニット。
【請求項5】
前記補助ループ(61)は、前記底板(31)に垂直な方向から見た際に、前記底板(31)上でファン(12)を支持する支持構造体(42)に向かって延びる、
請求項
3又は
4に記載の室外ユニット。
【請求項6】
前記除霜バイパス管(50)と前記追加の除霜バイパス管(60)とは、並列に接続される、
請求項
2、
3、
4、又は
5に記載の室外ユニット。
【請求項7】
弁(63a、63b)が前記除霜バイパス管(50)と前記追加の除霜バイパス管(60)のそれぞれに配置される、
請求項
6に記載の室外ユニット。
【請求項8】
前記除霜バイパス管(50)と前記追加の除霜バイパス管(60)の両方を介した前記吐出管(17)からの冷媒の流れを制御するよう弁(63)を配置する、
請求項
6に記載の室外ユニット。
【請求項9】
コントローラ(70)をさらに備え、前記コントローラ(70)は、通常運転時に前記弁(63;63a,63b)を閉じ、除霜運転時に前記弁(63;63a,63b)を開くよう構成される、
請求項
7又は
8に記載の室外ユニット。
【請求項10】
前記追加の除霜バイパス管(60)は、前記底板(31)の排水穴(40)の周囲を通過する、
請求項
2から
9のいずれか1項に記載の室外ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却および/または加熱を目的としたヒートポンプに関する。特に本開示は、室外ユニットおよび少なくとも一つの室内ユニットを備える分割型ヒートポンプに関する。さらに本開示は、空気を熱源とするヒートポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプを加熱運転すると、室外ユニットに収容されている熱源熱交換器に霜が発生することがある。ヒートポンプの除霜運転中は、加熱運転とは逆のサイクル運転が行われ、室外熱交換器が除霜される。この逆のサイクルによって、熱源熱交換器は熱を放散する凝縮器として機能して霜が溶ける。溶けた霜(水)は、熱源熱交換器に沿って、水を排出する排水構造を備える底板に向かって流れる。
【0003】
しかしながら寒冷地では、底板上、特に熱源熱交換器の下の部分で水が凍りやすく、排水構造を塞ぐ。この問題に対処するために、実全昭63-178762号公報やEP2333440A1は、圧縮機の吐出管に除霜用のバイパス管を接続することを提案している。除霜バイパス管は、底板の排水構造内であって熱源熱交換器の下方に配置されている。そのため、除霜バイパス管は、除霜運転時に底板の熱源熱交換器の下方部分を加熱し、排水構造内で霜や氷が発生するのを回避する。
【0004】
しかしながら多くの場合、底板は、基体から上方に突出した外側フランジを有する。熱源熱交換器の外側面は、フランジの内側で底板上に配置される。フランジの内側面と熱源熱交換器の外側面の間の部分で、熱源熱交換器に沿って流れる水の一部が凍結する傾向があることがわかっている。
【0005】
そのため、熱源熱交換器の外側面を新たに流れる水が底板の排水構造に流れ込めず、底板の外縁から地面に流れ落ちるという問題が発生する場合がある。さらに、熱交換器の熱交換効率が低下する。
【0006】
この問題に対処するために、フランジの内側面に、つまりフランジの内側面と熱源熱交換器の外側面との間に電気ヒータを配置することが検討されている。しかし、そのためには、別の種類の(電気)ヒータを設け、そのヒータを制御するための制御装置を追加する必要があり、ヒートポンプの消費電力が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実全昭63-178762号公報
【文献】EP2333440A1
【発明の概要】
【0008】
上述のことに鑑み、本開示の目的は、除霜運転時に熱源熱交換器と底板との間で霜や氷が発生することをより容易に防止し、別の加熱手段を必要としないヒートポンプ用室外ユニットを提供することである。
【0009】
この目的は、請求項1に記載の室外ユニットによって達成することができる。いくつかの実施形態について、従属請求項、以下の説明及び添付の図面に記載する。
【0010】
第1の観点によれば、冷媒回路を備えたヒートポンプ用室外ユニットが提案される。冷媒回路は、少なくとも、熱源熱交換器(室外熱交換器)、熱消費熱交換器(室内熱交換器)、膨張弁、および圧縮機を備え、これらは冷媒管によって接続される。さらに、冷媒回路は、暖房運転と冷房/除霜運転(逆サイクル運転)とを切り替えるための四路切換弁を備えてもよい。少なくとも圧縮機と熱源熱交換器とは、室外ユニットが有する。四路切換弁および/または膨張弁も、室外ユニットを有してもよい。
【0011】
第1の観点では、冷媒回路の吐出管は、圧縮機の吐出側に接続される。例えば、吐出管は、圧縮機の吐出側と四方弁とを接続する。
【0012】
さらに、室外ユニットは、基体と基体の外縁から上方に突出する外側フランジ(または周縁部)とを有する底板を備える。外側フランジは、底板の少なくとも外周縁に沿って設けられ、外側とは反対側の内側を有する。さらに、底板は、底板の上や排水構造内に溜まった水を排水するための、1つ以上の排水路や少なくとも1つの排水穴などの排水構造を有してもよい。
【0013】
熱源熱交換器は、底板上で支持される。室外ユニットはさらに、冷媒回路の液冷媒管を備えてもよい。冷媒回路の液冷媒管は、熱源熱交換器と熱消費熱交換器とを接続する。「液冷媒管」という用語は、その管を流れる冷媒が主に液相にあるという意味で理解されたい。室外ユニットは、熱源熱交換器と四方弁とを接続する冷媒管をさらに備えてもよい。
【0014】
除霜動作中にフランジの内側と熱源熱交換器の外側との間で霜が発生するのを避けるために、吐出管には除霜バイパス管(第1除霜バイパス管)の一端が接続される。一例によれば、除霜バイパス管の反対側の端部は、液冷媒管に接続されてもよい。このように、除霜バイパス管は、熱源熱交換器をバイパスする。例えば、除霜バイパス管は、圧縮機の吐出側と四路切換弁との間に接続されており、四路切換弁と熱源熱交換器とをバイパスする。別の例によれば、除霜バイパス管の反対側の端部は、四方弁と熱源熱交換器とを接続する冷媒管に接続されていてもよい。この場合、除霜バイパス管は、四方弁をバイパスする。
【0015】
除霜バイパス管は、フランジの内側と熱源熱交換器の外側との間に配置される。
【0016】
吐出管から除霜バイパス管を介して液冷媒管への冷媒の流れを制御するために弁を設けることができる。この弁を制御するために、すなわち、通常運転中に弁を閉じ、除霜運転中に弁を開くために、コントローラを設けてもよい。
【0017】
第1の観点によれば、除霜動作中に起こるフランジの内側と熱源熱交換器の外側との間での霜や氷の発生が防止できる。除霜運転中に高温のガス冷媒が除霜バイパス管を通って流れ、除霜バイパス管は冷媒管から分岐して高温のガス状冷媒を熱源熱交換器に供給して除霜するため、追加の異なる加熱構造は必要ない。
【0018】
第2の観点によれば、除霜バイパス管は、上部管と下部管とを有するループである。上部管と下部管とは、180度の屈曲部等の屈曲部によって接続してもよい。この観点では、上部管は、下部管よりも底板の基体から離れて配置される。別の言い方をすれば、上部管と下部管とは垂直方向に沿って平行に配置される。
【0019】
この結果、フランジの内側と熱源熱交換器の外側との間の距離を最小限に抑えることができ、除霜運転中にフランジの内側全体と熱源熱交換器の対応する外側との十分な加熱が確実に行われる。
【0020】
第3の観点によれば、室外ユニットは、一端が吐出管に接続されている追加の(第2の)除霜バイパス管をさらに備える。一例によれば、追加の除霜バイパス管の反対側の端部は、液冷媒管に接続される。別の例によれば、追加の除霜バイパス管の反対側の端部は、四方弁と熱源熱交換器とを接続する冷媒管に接続される。追加の除霜バイパス管は、底板の基体と熱交換器の下部との間に配置される。別の言い方をすれば、追加の除霜バイパス管は、熱源熱交換器、特にその下部と、底板の基体との間に挟まれる。底板が排水路などの排水構造を含む場合、追加の除霜バイパス管を排水路などの排水構造物内に配置することができる。
【0021】
その結果、底板上の氷の形成が防止され、除霜運転時に熱源熱交換器の外部へと水が効率よく排出される。
【0022】
第4の観点によれば、追加の除霜バイパス管は、底板に垂直な方向から見た際に、少なくとも部分的に熱源熱交換器の下方(下)に位置しない補助ループを備える。このように、底板に垂直な方向から見た際に(底板の上面視において)、補助ループは熱源熱交換器の外に見える(突出している)。
【0023】
この構成は、後述の利点を有する。
【0024】
第5の観点によれば、追加の除霜バイパス管は、接続部で互いに接続された少なくとも2本の管で構成される。例えば、追加の除霜バイパス管の管は、接続部分でろう付けされる。この観点において、底板に垂直な方向から見た際に、接続部が熱源熱交換器の下方に位置しないように、接続部を補助ループ内に配置する。
【0025】
配管内の漏れが接続部で発生する可能性は、他の部分での可能性よりも高い。この観点によれば、接続部は、上から見た際に熱源熱交換器の外側に配置されて、より容易にアクセスできる。したがって、熱源熱交換器を取り外す必要なしに接続部分を検査することができる。これにより、室外ユニットの保守性が向上する。
【0026】
第6の観点によれば、補助ループは、底板に垂直な方向から見た際に、底板上でファンを支持する支持構造体に向かって延びる。
【0027】
多くの場合、ファンの支持構造体は、底板に直接固定される。しかし、支持構造体が底板に固定されている部分の近傍で底板に水が溜まる傾向がある。この水が凍結すると、氷によって支持構造体が変位する可能性がある。特に支持構造体の傾きが認められている。これにより、ファンブレードが室外ユニットの筐体内の他の部品と接触して深刻な破損を引き起こす問題につながる可能性がある。この観点では、ファンを支持する支持構造体に向かって補助ループが延在し、それによって、支持構造体に隣接する底板の領域が加熱され、氷の形成が防止される。
【0028】
第7の観点によれば、除霜バイパス管と追加の除霜バイパス管とは、並列に接続される。
【0029】
したがって、除霜運転中の制御の自由度を高めることができる。
【0030】
特に第8の観点によれば、除霜バイパス管と追加の除霜バイパス管のそれぞれに、弁が配置される。
【0031】
この結果、除霜バイパス管と追加の除霜バイパス管を通るガス状冷媒の流れをそれぞれ独立して制御することができる。
【0032】
あるいは第9の観点によれば、吐出管から、除霜バイパス管と追加の除霜バイパス管の両方を介する、好ましくは液冷媒管又は四方弁と熱源熱交換器とを接続する冷媒管への冷媒の流れを制御するよう弁を配置する。
【0033】
そのため、制御が複雑にならず、部品点数も少なくて済み、コスト削減にもつながる。
【0034】
第10の観点によれば、室外ユニットはコントローラをさらに備え、このコントローラは、通常運転時に(単数または複数の)弁を閉じ、除霜運転時に(単数または複数の)弁を開くよう構成される。
【0035】
第11の観点によれば、追加の除霜バイパス管は、底板の排水穴の周囲を通過する。「周囲を通過する」とは、底板に垂直な方向から見ると(底板上の上面視において)、追加の除霜バイパス管が排水穴の上を真っ直ぐに通過しないよう曲率(湾曲部)を有することを意味する。ただし、スペースの制限により、排水穴の外縁と追加の除霜バイパス管とがわずかに重なる可能性もある。
【0036】
結果として、排水穴の開口面積/断面は、底板から外部への水の迅速かつ完全な排水を容易にするべく、可能な限り大きく保たれ得る。
【0037】
本開示とそれに付随する多くの利点は、添付の図面に関連して以下の詳細な説明を参照することで、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、本開示に係る室外ユニットの斜視図であり、グリル部および弁口(valve mouth)を含むフロントパネルが取り外され、熱源熱交換器の概略を透過的に示した図である。
【
図2】
図2は、
図1の室外ユニットの水平面に沿った部分拡大断面図であり、熱源熱交換器の概略を透過的に示した図である。
【
図3】
図3は、
図1の室外ユニットについて、熱交換器を取り除いた状態の部分拡大斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1の室外ユニットの垂直面に沿った部分拡大断面図であり、熱源熱交換器の概略を透過的に示す図である。
【
図5】
図1に示した室外ユニットを実装したヒートポンプの配管図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。ヒートポンプ分野の当業者であれば、本開示の実施形態についての以下の説明が例示のみを目的として提供されており、添付の特許請求の範囲によって記載した本発明を限定する目的ではないことが明らかであろう。
【0040】
図1は、分割型のヒートポンプ1(
図5)の室外ユニット10の斜視図である。
【0041】
ヒートポンプ1は、室外ユニット10と室内ユニット100とを備えている。室内ユニット100は、熱消費熱交換器(室内熱交換器101)と屋内ファン102とを備える。
【0042】
この例では、室外ユニット10は、熱源熱交換器11および屋外ファン12を備える。圧縮機13、アキュムレータ14、膨張弁15、および/または四路切換弁16が、追加の構成要素として室外ユニット10に収容されてもよい。
【0043】
図5を参照すると、冷媒回路の各部品は冷媒管によって接続される。ここで、冷媒管17(吐出管)は、圧縮機13の吐出側と四路切換弁16とに接続される。さらに、四路切換弁16は、冷媒管18によって熱源熱交換器11に接続される。液冷媒管19は、熱源熱交換器11と膨張弁15とを接続する。
【0044】
室外ユニット10と室内ユニット100は、液冷媒接続管20とガス冷媒接続管21とによって接続される。液冷媒接続管は、膨張弁15と熱消費熱交換器101とに接続され
る。ガス冷媒接続管21は、熱消費熱交換器101と四路切換弁16とに接続される。
【0045】
さらに、四路切換弁16は、さらなる冷媒管22によってアキュムレータ14に接続され、アキュムレータ14は冷媒配管23によって圧縮機の入口側に接続される。
【0046】
図5の実線と矢印で示すヒートポンプ1の暖房運転時には、圧縮機13から吐出された冷媒が、吐出管17、四路切換弁16、ガス冷媒接続管21を経由して、凝縮器として機能する熱消費熱交換器101を流れる。
【0047】
その後、液冷媒は、熱消費熱交換器101から、液冷媒接続管20、膨張弁15、液冷媒管19を経由して、蒸発器として機能する熱源熱交換器11に流れる。
【0048】
ガス冷媒は、熱源熱交換器11を出て、冷媒管18、四路切換弁16、冷媒管22、アキュムレータ14、冷媒配管23を経由して、圧縮機13の入口側へと流れる。
【0049】
暖房運転時に熱源熱交換器11が蒸発器として機能すると、熱源熱交換器11に霜が発生する。霜が発生すると、熱源熱交換器11の熱交換効率が低下する。そのため、定期的に除霜運転を行う必要がある。
【0050】
除霜運転中は、
図5に破線と点線矢印で示すように、上記のサイクルが逆になる。
【0051】
除霜運転時には、圧縮機13から吐出された冷媒は、吐出管17、四路切換弁16、冷媒管18を経由して、凝縮器として機能する熱源熱交換器11を流れる。これにより、熱源熱交換器11が加熱され、熱源熱交換器11上に形成された霜が溶ける。
【0052】
その後、液冷媒は、熱源熱交換器11から、液冷媒管19、膨張弁15、液冷媒接続管20を経由して、蒸発器として機能する熱消費熱交換器101へと流れる。
【0053】
ガス冷媒は、熱消費熱交換器101を出て、ガス冷媒接続管21、四路切換弁16、冷媒管22、アキュムレータ14、冷媒配管23を経由して、圧縮機13の入口側へと流れる。
【0054】
以下、室外ユニット10の構造について、
図1~
図4を参照して詳細に説明する。
【0055】
図示した室外ユニット10は、筐体30を備える。筐体30は、天板33と側板34とを有する。図示した実施形態では、側板34は、室外ユニット10の筐体30の後方角部を取り囲むように延びており、(筐体30の背板35と一体形成されて/筐体30の背板35と一体的な構造を形成するよう)筐体30の背板35に接続される。
【0056】
さらに、筐体30は、底板31を有する。底板31には、室外ユニットを水平面に、またはブラケットを介して垂直壁に取り付けるための脚部32(
図1および
図3を参照)が固定される。
【0057】
底板31は基体36を有する。脚部32は、基体36の下面に取り付けられる。外周フランジ37が、基体36から外側に突出する。したがって、フランジ37は基本的に垂直方向に向いているが、基体36は水平方向に向いている。フランジ37は、基体36の全周に延びていてもよい。このように、底板31は排水パンのようなものである。
【0058】
底板31の基体36には、排水構造38が設けられている。この排水構造38は、複数の流路39a~39eを含む。さらに、排水構造38は、排水穴40を有する。この例では、排水穴40は、排水路39a内に配置される。排水路39a~39eは、底板31の基体36に蓄まった水を排水穴40へと誘導する。排水穴40は底板31の下側で排水口41に接続しており、水があればその水を室外ユニット10から遠ざけるようになっている。
【0059】
屋外ファン12も、室外ユニット10の筐体30内に収容される。屋外ファン12は、支持構造体42を介して底板31の基体36に固定される。ファンモータ43が支持構造体42に取り付けられ、ファンブレード45を含むファンロータ44を回転可能に支持する。図示する実施形態では、支持構造体42は、底板31の基体36に直接ねじ止めされている。排水路39cおよび39eは、支持構造体42、特に支持構造体が固定されている基体36の部分の横を通過する。
【0060】
図2から最もよく分かるように、熱源熱交換器11は、筐体30の背面側の一部と、筐体30の側板34とは反対側の側面とを占める。熱源熱交換器11は、上面視で「L」字型である。
【0061】
熱源熱交換器11は、
図4に示すように、基体36の上表面で支持される。排水路39aは、基本的に、基体36の外縁部分であって熱源熱交換器11を支持する部分に沿う。したがって、熱源熱交換器11の下部11cは、基体36および排水路39aに向けられている。熱源熱交換器11が排水路39aの上部開口部を閉じてもよい。
【0062】
さらに、熱源熱交換器11の外側11aがフランジ37の内側、より具体的にはフランジ37の内表面37aの内側に配置されるように、熱源熱交換器11は底板31上に配置される。
【0063】
前述したように、熱源熱交換器11は除霜運転中に加熱され、それによって、その上に形成された霜が溶けるようになっている。したがって、熱源熱交換器11の外側11aおよび内側11bを含む熱源熱交換器11の表面に沿って、底板31へと下方に向かって水が流れる。水の一部は、フランジ37の内側37aと熱源熱交換器11の外側11aとの間の隙間を流れる。
【0064】
また、水の一部は、底板31の基体36に設けられた排水構造38に向かって流れる。この水は、排水路39a~39eを介して排水穴40に向けて誘導され、そこから排水口41を経由して室外ユニット10から遠ざかるように誘導される。
【0065】
内側37aと外側11aとの間の部分での除霜運転時の氷の形成を防止するために、フランジ37の内側37aと熱源熱交換器11の外側11aとの間の空間には、除霜バイパス管50が設けられる。除霜バイパス管50は、下部管50aと上部管50bとを含む。下部管50aと上部管50bとは、互いに平行に垂直に延びる。したがって、上部管50bは、下部管50aよりも基体36から離れている。
【0066】
下部管50aと上部管50bは、一端で屈曲部50cによって接続されており、ループを形成する。下部管50aと上部管50bの反対側の端部は、それぞれ吐出管17と液冷媒管19(
図5)とに間接的または直接的に接続されている。
【0067】
さらに、追加の除霜バイパス管60が、熱源熱交換器11の下、特に熱源熱交換器11の下部11cの下に設けられる。図示の例では、追加の除霜バイパス管60は、排水路39a内に配置される。追加の除霜バイパス管60は、外管60aと内管60bとを含む。外管60aと内管60bは、互いに平行に水平に延びている。したがって、内管60bは、外管60aよりもフランジ37の内側37aから離れている。
【0068】
外管60aと内管60bは、一端で屈曲部60cによって接続されており、ループを形成する。外管60aと内管60bの反対側の端部は、それぞれ吐出管17と液冷媒管19(
図5)とに間接的または直接的に接続される。
【0069】
さらに、追加の除霜バイパス管60は、補助ループ61を有する。補助ループ61は、除霜バイパス管60を曲げて、屋外ファン12の支持構造体42に向かって延びるように形成される。この例では、補助ループ61は、排水路39aから、支持構造体42の横を通過する排水路39c内へと延びる。ここで、内管60aおよび外管60bは、フランジ37から離れて外側に曲げられ、それぞれ180度の屈曲部61aによって接続(ろう付け)される。
図2から最も明らかなように、接続部分、すなわち、屈曲部61aが内管および外管それぞれに接続(ろう付け)されている部分は、上面視で熱源熱交換器11から外に見えている。そのため、熱源熱交換器11を取り外すことなく、メンテナンスのためにろう付け部分を容易に点検することができる。屈曲部60cもまた、熱源熱交換器11(
図1を参照)の外に見えているので、この接続部分も、熱源熱交換器11を取り外さなくても容易に検査することができる。屈曲部50cは、フランジ37の内側37aと熱源熱交換器11の外側11aとの間の隙間を検査する際に視認可能である。
【0070】
さらに、追加の除霜バイパス管60は、排水穴40(
図2)の周りを通過する湾曲部62を有し、排水穴40の断面のごく小さな部分を遮断する。これによって排水穴40を介した排水の信頼性を確保することができる。
【0071】
図5から明らかなように、除霜バイパス管50と追加の除霜バイパス管60は並列に接続される。除霜運転中に、追加の除霜バイパス管60内で除霜バイパス管50へのガス状冷媒の流れを制御するために、弁63を設けてもよい。弁63に代えて、2つの弁63a、63bを除霜バイパス管50と追加の除霜バイパス管60とにそれぞれ設け、それぞれの管50、60の流れを独立して制御できるようにしてもよい。コントローラ70は、弁63、あるいは弁63aおよび63bを制御するために設けられる。特に、コントローラ70は、除霜運転時には弁63または弁63aおよび63bを開き、暖房運転などの通常運転時には弁63または弁63aおよび63bを閉じる。
【0072】
その結果、除霜運転時には、高温のガス状冷媒が除霜バイパス管50と追加の除霜バイパス管60とを流れる。
【0073】
したがって、フランジ37の内側37aと熱源熱交換器11の外側11aとの間の空間は、除霜バイパス管50によって加熱され、この空間に氷が形成されるのを防止することができる。
【0074】
同様に、排水路39aは、追加の除霜バイパス管60によって加熱され、排水路39aにおける氷の形成が避けられる。支持構造体42に向かって排水路39c内に延びる補助ループ61により、支持構造体42の近くの部分が加熱され、支持構造体42での氷の形成を防止することができる。したがって、氷の形成による支持構造体42の変位を回避することができる。
【0075】
一実施形態についての本記載は、限定的なものとは見なされないと理解されるべきである。いくつかの変更が当業者によって実現され得る。例えば、追加の除霜バイパス管60に複数の補助ループを設けることができる。除霜バイパス管50および/または追加の除霜バイパス管60も、液冷媒接続管20に接続されてもよい。除霜バイパス管50および/または追加除霜バイパス管60の一端が吐出管17に接続され、反対側の端部は、液冷媒管19や液冷媒接続管20ではなく冷媒管18に接続してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 ヒートポンプ
10 室外ユニット
11 熱源熱交換器
11a 外側
11b 内側
11c 下部
12 屋外ファン
13 圧縮機
14 アキュムレータ
15 膨張弁
16 四路切換弁
17 吐出管
18 冷媒管
19 液冷媒管
20 液接続管
21 ガス接続管
22 冷媒管
23 冷媒管
30 筐体
31 底板
32 脚部
33 天板
34 側板
35 背板
36 底板の基体
37 フランジ
37a フランジの内面
38 排水構造
39a~39e 排水路
40 排水穴
41 排水口
42 支持構造体
43 ファンモータ
44 ファンロータ
45 ファンブレード
50 除霜バイパス管
50a 下部管
50b 上部管
50c 屈曲部
60 追加の除霜バイパス管
60a 外管
60b 内管
60c 屈曲部
61 補助ループ
61a 屈曲部
62 湾曲部
100 室内ユニット
101 熱消費熱交換器
102 屋内ファン