IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナイエール・テクノロジー・インコーポレイテッドの特許一覧

特許7350874ナノ材料合成用独立型前駆体およびこれを用いたナノ材料合成装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】ナノ材料合成用独立型前駆体およびこれを用いたナノ材料合成装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 21/06 20060101AFI20230919BHJP
【FI】
C01B21/06 N
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021553770
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-24
(86)【国際出願番号】 KR2021009745
(87)【国際公開番号】W WO2022108037
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2021-09-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0157033
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0091993
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521404738
【氏名又は名称】ナイエール・テクノロジー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ウ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ウン・クワン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジ・スン・キム
(72)【発明者】
【氏名】テ・ヒョン・ジュン
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0035662(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0090222(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 21/00
JSTPlus(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱形状を有し、多孔性構造を有するナノ材料合成用独立型前駆体であって、
反応ガスと反応して窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)を得るための前駆体
【請求項2】
前記前駆体は、円柱、半円柱、楕円形柱、または多角柱形状である、請求項1に記載のナノ材料合成用独立型前駆体。
【請求項3】
前記前駆体の長さ方向に沿って形成され、前記前駆体が収納可能に備えられた収納部位を含むものである、請求項1に記載のナノ材料合成用独立型前駆体。
【請求項4】
前記収納部位は、
前記前駆体の長さ方向に沿って連続し、前記前駆体の外側から内側を向く方向に沿って形成された収納溝を少なくとも1つ含むものである、請求項3に記載のナノ材料合成用独立型前駆体。
【請求項5】
前記収納部位は、
前記前駆体の長さ方向に沿って平らに連続する面で形成された収納面を少なくとも1つ含むものである、請求項3に記載のナノ材料合成用独立型前駆体。
【請求項6】
前記前駆体の外側から内側を向く方向に貫通する複数の貫通ホールをさらに含むものである、請求項1に記載のナノ材料合成用独立型前駆体。
【請求項7】
前記複数の貫通ホールは、前記柱の中心軸に対して放射状に備えられるものである、請求項6に記載のナノ材料合成用独立型前駆体。
【請求項8】
前記複数の貫通ホールは、
前記前駆体の長さ方向に沿って互いに離隔して備えられるものである、請求項6に記載のナノ材料合成用独立型前駆体。
【請求項9】
請求項1に記載のナノ材料合成用独立型前駆体を1以上収納する収納部と、
前記収納部に収納された前記前駆体が伝達され、前記前駆体にナノ材料を形成させる反応ゾーンを含むチャンバと、
前記収納部および前記チャンバに連結され、前記収納部から前記前駆体が伝達されて前記チャンバに供給する供給部と、を含み、
前記供給部は、
前記チャンバの長さ方向に沿って前記前駆体を前記チャンバに投入するナノ材料合成装置。
【請求項10】
前記供給部は、
前記前駆体を前記チャンバに一列に供給するものである、請求項9に記載のナノ材料合成装置。
【請求項11】
前記供給部は、
前記前駆体を前記チャンバに1つずつ投入するプッシャを含むものである、請求項9に記載のナノ材料合成装置。
【請求項12】
前記チャンバは、
前記供給部と連結され、前記前駆体を投入する投入口と、
前記反応ゾーンで反応が完了した前記前駆体を排出する排出口と、をさらに含むものである、請求項9に記載のナノ材料合成装置。
【請求項13】
前記チャンバの前記排出口と連結され、ナノ材料が形成された前記前駆体を前記チャンバから排出する排出部をさらに含むものである、請求項12に記載のナノ材料合成装置。
【請求項14】
ホウ素粉末と、金属酸化物触媒とを混合する工程と、
得られた混合物を粉砕して前記混合物をナノ化する工程と、
ナノ化された前記混合物と、バインダーと、発泡剤とを含む分散液を円筒形モールド内に充填したのちに加熱する工程と、
を含む、反応ガスと反応して窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)を得るための円柱形前駆体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2020年11月20日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2020-0157033号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ナノ材料合成用独立型前駆体およびこれを用いたナノ材料合成装置に関する。具体的には、ナノ材料を効率的に大量生産できるナノ材料合成用独立型前駆体およびこれを用いたナノ材料合成装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ナノスケールの材料は様々な優れた特性により電子産業を含む多様な産業で多くの注目を集めているが、高品質のナノ材料を大量に製造するための工程上の限界などによって実際的な産業的適用には困難があった。
【0004】
多様なナノスケールの材料の中でも、特に窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT:Boron Nitride Nano-Tubes)は、一般的に知られている炭素ナノチューブ(CNT:Carbon Nano-Tubes)と機械的特性および熱伝導特性は類似しているのに対し、電気的絶縁性、耐熱特性、および化学的安定性などに優れている。また、BNNTを構成しているホウ素は、熱中性子吸収能がCNTを構成している炭素と比較して約20万倍高く、中性子遮蔽材としても有用な物質である。
【0005】
しかし、このようなBNNTは、1,000℃以上の高温で合成されるなど、工程の難しさによって、現在全世界的に大量生産が容易でない状態である。このような状況はBNNTに限定されるものではなく、他のナノ材料においても高品質量産技術の開発が必要なのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、大量生産が可能で効率的にナノ材料を製造できるナノ材料合成用独立型前駆体およびこれを用いてナノ材料を合成するナノ材料合成装置を提供する。
【0007】
ただし、本発明が解決しようとする課題は上述した課題に制限されず、述べていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様は、柱形状を有し、多孔性構造を有するナノ材料合成用独立型前駆体を提供する。
【0009】
また、本発明の一実施態様は、前記ナノ材料合成用独立型前駆体を1以上収納する収納部と、前記収納部に収納された前記前駆体が伝達され、前記前駆体にナノ材料を形成させる反応ゾーンを含むチャンバと、前記収納部および前記チャンバに連結され、前記収納部から前記前駆体が伝達されて前記チャンバに供給する供給部と、を含み、前記供給部は、前記チャンバの長さ方向に沿って前記前駆体を前記チャンバに投入するナノ材料合成装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施態様に係るナノ材料合成用独立型前駆体は、前駆体を据え置く反応モジュールなしに直接合成装置に投入され、工程上の効率を増加させることができるという利点がある。
【0011】
また、本発明の一実施態様に係るナノ材料合成用独立型前駆体は、ナノ材料を効果的に合成することができる。
【0012】
また、本発明の一実施態様に係るナノ材料合成装置は、ナノ材料の大量生産が可能であり、生産時間を低減することができ、製造歩留まりが高いという利点がある。
【0013】
また、本発明の一実施態様に係るナノ材料合成装置は、ナノ材料を安定的に合成することができる。
【0014】
また、本発明の一実施態様に係るナノ材料合成装置は、合成装置の運用効率性を向上させて、ナノ材料合成用独立型前駆体の投入および合成されたナノ材料の排出工程に必要なガス供給量を減少させることができる。
【0015】
本発明の効果は上述した効果に限定されるものではなく、述べていない効果は本願明細書および添付した図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本発明の一実施態様に係るナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。
図1B】本発明の一実施態様に係るナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。
図2A】収納部位の形態によるナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。
図2B】収納部位の形態によるナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。
図2C】収納部位の形態によるナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。
図3A】本発明の一実施態様に係る面取り処理されたナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。
図3B】本発明の一実施態様に係る面取り処理されたナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。
図4A】本発明の一実施態様に係る挿入棒を含むナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。
図4B】本発明の一実施態様に係る挿入棒を含むナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。
図5】本発明の一実施態様に係る貫通ホールを含むナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。
図6A図5のA-A’線に沿ってナノ材料合成用独立型前駆体の断面を示す図である。
図6B図5のB-B’線に沿ってナノ材料合成用独立型前駆体の断面を示す図である。
図6C】ナノ材料合成用独立型前駆体の側面を示す図である。
図7A】収納部位の形態による貫通ホールを含むナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。
図7B】収納部位の形態による貫通ホールを含むナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。
図7C】収納部位の形態による貫通ホールを含むナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。
図8】本発明の一実施態様に係るナノ材料合成装置を概略的に示す図である。
図9】本発明の実施例1で製造されたナノ材料合成用独立型前駆体の反応前のSEM写真である。
図10】ナノ材料(BNNT)の合成が完了した本発明の実施例1で製造されたナノ材料合成用独立型前駆体の反応後のSEM写真である。
図11】ナノ材料(BNNT)の合成が完了した本発明の実施例1で製造されたナノ材料合成用独立型前駆体の反応後のSEM写真およびEDS分析結果を示す図である。
図12】本発明の実施例1で合成されたナノ材料(BNNT)のTEM写真である。
図13】本発明の実施例1で合成されたナノ材料(BNNT)のXRDデータである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は多様な変換が加えられて様々な実施例を有し得るが、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明に詳細に説明しようとする。本発明の効果および特徴、そしてそれらを達成する方法は、図面とともに詳細に後述する実施例を参照すれば明確になるであろう。しかし、本発明は以下に開示される実施例に限定されるものではなく、多様な形態で実現可能である。
【0018】
本願明細書全体において、第1、第2などの用語は限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的で使われた。
【0019】
本願明細書全体において、単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0020】
本願明細書全体において、含む、または有するなどの用語は、明細書上に記載された特徴、または構成要素が存在することを意味するものであり、1つ以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性を予め排除するものではない。本願明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0021】
本願明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0022】
本願明細書全体において、図面では、説明の便宜のために、構成要素はその大きさが誇張または縮小されてもよい。例えば、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示のところに限定されない。
【0023】
本願明細書全体において、x軸、y軸およびz軸は、直交座標系上の3つの軸に限定されず、これを含む広い意味で解釈される。例えば、x軸、y軸およびz軸は、互いに直交してもよいが、互いに直交しない互いに異なる方向を称することもできる。
【0024】
本願明細書全体において、ある実施例が異なって実現可能な場合に、特定の工程順序は、説明される順序と異なって行われてもよい。例えば、連続して説明される2つの工程が実質的に同時に行われてもよく、説明される順序と反対の順序で進行してもよい。
【0025】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明し、図面を参照して説明するに際して、同一であるか対応する構成要素は同一の図面符号を付与し、これに関する重複した説明は省略することとする。
【0026】
本発明の一実施態様は、柱形状を有し、多孔性構造を有するナノ材料合成用独立型前駆体を提供する。
【0027】
本発明の一実施態様に係るナノ材料合成用独立型前駆体は、前駆体を据え置く反応モジュールなしに直接合成装置に投入され、工程上の効率を増加させることができるという利点がある。
【0028】
図1Aおよび図1Bは、本発明の一実施態様に係るナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。具体的には、図1Bは、図1AのA-A’線に沿ってナノ材料合成用独立型前駆体の断面を示す図である。
【0029】
図2A図2Cは、収納部位の形態によるナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。具体的には、図2Aは、2つの収納部位に収納溝12、12’が形成されたナノ材料合成用独立型前駆体10を示す図であり、図2Bは、1つの収納部位には収納溝12が形成され、もう1つの収納部位には収納面13が形成されたナノ材料合成用独立型前駆体10を示す図であり、図2Cは、2つの収納部位に収納面13、13’が形成されたナノ材料合成用独立型前駆体10を示す図である。
【0030】
本発明の一実施態様によれば、柱形状を有するナノ材料合成用独立型前駆体であって、前記前駆体の長さ方向に沿って形成され、前記前駆体が収納可能に備えられた収納部位を含み、多孔性構造を有するナノ材料合成用独立型前駆体を提供することができる。具体的には、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、1以上の収納部位、より具体的には、2以上の収納部位を含むことができる。
【0031】
本発明の一実施態様に係るナノ材料合成用独立型前駆体は、収納部位を含むことにより、前駆体を据え置く反応モジュールなしに直接合成装置に投入され、工程上の効率を増加させることができるという利点がある。具体的には、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、反応モジュールに比べて熱容量が低く、後述するナノ材料合成装置のチャンバに速い速度で投入可能で、ナノ材料合成工程の効率を効果的に向上させることができる。また、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、反応モジュールなしにチャンバに投入可能で、維持補修が容易であり、ナノ材料合成の生産単価を節減することができる。さらに、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は軽いため、合成装置の構成部品が受ける熱衝撃による合成装置の破損の可能性が低く、ナノ材料合成システムの安定性を向上させることができる。
【0032】
また、本発明の一実施態様に係るナノ材料合成用独立型前駆体は、ナノ材料を効果的に合成することができる。
【0033】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、下記の方法で製造できるが、前記ナノ材料合成用独立型前駆体を製造する方法がこれに限定されるものではない。具体的には、ナノ材料合成用独立型前駆体は、まず、柱形状を有し、多孔性であるナノ材料合成用前駆体を得た後、それに収納部位を形成して製造することができる。
【0034】
例えば、原料粉末および触媒を含む第1粉末を用意するステップと、前記第1粉末をナノ化させて第2粉末を得るステップと、前記第2粉末を含む分散液を製造するステップと、前記分散液を成形して柱形状のナノ材料合成用前駆体を得るステップと、前記前駆体に気孔を生成してナノ材料合成用多孔性前駆体を得るステップとを含む方法により、柱形状を有し、多孔性であるナノ材料合成用前駆体を得ることができる。
【0035】
本発明の一実施態様によれば、前記原料粉末は、例えば、粉末状ホウ素であってもよい。具体的には、前記ホウ素は、非晶質および/または結晶質ホウ素であってもよい。非晶質ホウ素はその硬度が低いため、ナノ化ステップ、具体的には、空気の渦流を利用したホウ素粉末のナノ化工程時に混合追加される触媒金属および/または金属酸化物粒子のナノ化に効率的に寄与するだけでなく、ホウ素粉末が触媒金属および/または金属酸化物の表面にコーティングまたは埋め込まれて、効率の良いシード前駆体ナノ粒子を得ることができる。
【0036】
本発明の一実施態様によれば、前記触媒は、粉末状に提供される。前記触媒は、非晶質ホウ素により効果的であり得る。これは、非晶質ホウ素を使用する場合、空気ジェットおよび/またはその渦流によるナノ化過程で非常に短時間に多量のホウ素ナノ粉末を製造できるからである。
【0037】
前記触媒は、原料粉末のナノ化工程中に原料粉末粒子と混在されて前駆体ナノ粒子を形成し、この前駆体ナノ粒子は、ナノ材料の製造時にシードとしての役割を果たして気体と反応することにより、ナノ材料の合成に寄与することができる。例えば、ホウ素前駆体ナノ粒子は、窒素と反応することにより、窒化ホウ素ナノチューブの合成に寄与することができる。
【0038】
前記触媒は特に限定せず、例えば、Fe、Mg、Ni、Cr、Co、Zr、Mo、W、および/またはTiとそれらの酸化物などが挙げられる。
【0039】
本発明の一実施態様によれば、前記第1粉末は、原料粉末と触媒との重量比が2:1~9.5:0.5であってもよい。具体的には、前記第1粉末に含まれた原料粉末と触媒との重量比は3:1~15:1、5:1~13:1、または7:1~10:1であってもよい。前記第1粉末に含まれた原料粉末と触媒との重量比が前述した範囲内の場合、効果的にナノ材料を形成することができる。
【0040】
本発明の一実施態様によれば、前記第1粉末をナノ化する方法は、空気によって形成された粉砕領域に前記第1粉末を投入して形成することができる。例えば、エアジェットミリングにより第1粉末をナノ化させることができる。この時、エアジェットミリングの工程条件は、第1粉末の供給量(Feed rate)が2g/min以上10g/min以下、供給圧力(Feed pressure)が80psi以上120psi以下、粉砕圧力(Grinding pressure)が60psi以上100psi以下であってもよい。前記条件のエアジェットミリング工程により、第1粉末を効果的にナノ化させることができる。これにより、ホウ素粉末に触媒が埋め込まれて、後に進行するナノチューブの成長に主因として作用できる。
【0041】
本発明の一実施態様によれば、前記分散液は、前記第2粉末、バインダー粉末、および発泡剤を含むことができる。この時、第2粉末、バインダー粉末、および発泡剤の重量比は1:1~4:0.1~0.2であってもよい。この時、バインダー粉末および発泡剤として、当業界で用いられるものを制限なく使用可能である。
【0042】
前記第2粉末を含む分散液を成形して柱形状のナノ材料合成用前駆体を得るステップは、前記分散液を前記柱形状のモールドに注入し、前記モールドを加熱するステップを含むことができる。前記モールドを加熱する温度は150℃以上250℃以下であってもよく、モールドを加熱する時間は0.5時間以上8時間以下であってもよい。前述した範囲の温度および時間の条件でモールドを熱処理することにより、柱形状のナノ材料合成用前駆体を容易に得ることができる。この時、柱形状のナノ材料合成用前駆体を得るステップと、ナノ材料合成用多孔性前駆体を得るステップは、同時に行われてもよい。例えば、分散液を円筒状のモールドに入れて熱処理する工程により、柱形状を有し、多孔性構造を有するナノ材料合成用独立型前駆体を得ることができる。
【0043】
前記方法で製造された柱形状を有するナノ材料合成用多孔性前駆体に収納部位を形成する方法は特に限定されない。例えば、製造されたナノ材料合成用多孔性前駆体を加工して収納部位を形成したり、または収納部位が形成されるように用意されたモールドを用いて柱形状のナノ材料合成用前駆体を得るステップと同時に収納部位を形成してもよい。また、後述のように、柱形状を有するナノ材料合成用多孔性前駆体に複数の貫通ホールを形成する方法は特に限定されない。
【0044】
本発明の一実施態様によれば、前記前駆体は、円柱、半円柱、楕円形柱、または多角柱形状であってもよい。この時、前記円柱前駆体は、前記前駆体の長さ方向に垂直な方向の断面が円であるものを意味することができる。これと同様に、半円柱は断面が半円の形態、楕円形柱は断面が楕円形の形態、多角柱は断面が多角形の形態を意味することができる。例えば、前記多角柱は、三角柱、四角柱(正方柱、長方柱、菱形柱)、五角柱、六角柱、七角柱、または八角柱であってもよい。ただし、多角柱の形状を限定するわけではない。
【0045】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、円柱形状を有することができる。この時、「円柱形状」は、基本的な円柱形状だけでなく、円柱形状を基本としてこれに変形が加えられた形状も含む。前記ナノ材料合成用独立型前駆体は円柱形状を有することにより、後述するナノ材料合成装置のチャンバに容易に投入可能である。これにより、ナノ材料合成装置においてナノ材料合成工程の効率を向上させ、工程の難易度を低減させることができるという利点がある。
【0046】
以下、ナノ材料合成用独立型前駆体が円柱形状である実施態様を重点として説明する。
【0047】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、2以上の収納部位を含むことができる。従来の前駆体は別の収納部位が形成されておらず、前駆体を反応モジュールに据え置いて反応器に投入して、工程上の効率が低い問題があった。これに対し、本発明の一実施態様に係るナノ材料合成用独立型前駆体は、自体に収納部位が形成されることにより、反応モジュールなくても合成装置に直接投入可能で、工程上の効率を効果的に向上させることができる。前記「独立型」の意味は、前述のように、別の反応モジュールに据え置くのではなく、前記前駆体が合成装置に直接投入可能であることを意味することができる。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、2以上の収納部位、具体的には、2つの収納部位を含むことができる。前記2つの収納部位は、前記柱形状のナノ材料合成用独立型前駆体の中心軸を通る平面に対して対称に備えられる。前記2つの収納部位が互いに対称に備えられる場合、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、後述するナノ材料合成装置の収納部に効果的に収納できる。また、ナノ材料合成用独立型前駆体の積層および保管がより容易であり得る。さらに、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、反応ゾーンを含むチャンバに容易に投入可能である。
【0049】
本発明の一実施態様によれば、前記収納部位は、前記前駆体の長さ方向に沿って連続し、前記前駆体の外側(または外周面)から内側を向く方向に沿って形成された収納溝を少なくとも1つ含むことができる。図2Aを参照すれば、ナノ材料合成用独立型前駆体10の長さ(l)方向に沿って連続する2つの収納溝12、12’が形成される。前記収納溝は、後述するナノ材料合成装置の収納部に備えられた締結部に締結される。これにより、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、収納部に安定的に収納できる。また、前記収納溝は、後述するナノ材料合成装置のチャンバに備えられ、反応ガスを供給するガス供給管(例えば、ディフューザ、チューブなど)の形態に対応できる。これにより、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、チャンバに容易に投入され、前記ナノ材料合成用独立型前駆体に反応ガスが安定的に供給できる。
【0050】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成用独立型前駆体の直径と長さとの比は1:3以上1:6以下であってもよい。図2Aを参照すれば、ナノ材料合成用独立型前駆体10の直径(d2)と長さ(l)との比は1:3.5以上1:5.5以下、1:4以上1:5以下、1:3以上1:4.5以下、1:3.5以上1:4以下、1:4以上1:6以下、または1:4.5以上1:5.5以下であってもよい。前記ナノ材料合成用独立型前駆体の直径と長さとの比が前述した範囲内の場合、ナノ材料合成装置のチャンバ内で前記ナノ材料合成用独立型前駆体に反応ガスが効果的に供給されて、ナノ材料の合成効率がより増加できる。また、前記ナノ材料合成用独立型前駆体の直径と長さとの比を前述した範囲に調節することにより、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、収納部に効果的に収納され、チャンバに容易に投入可能である。
【0051】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成用独立型前駆体の直径は50mm以上70mm以下であってもよい。具体的には、前記ナノ材料合成用独立型前駆体の直径は55mm以上65mm以下、50mm以上60mm以下、60mm以上70mm以下、または60mm以上65mm以下であってもよい。前記ナノ材料合成用独立型前駆体の直径が前述した範囲内の場合、チャンバから供給される反応ガスが前記ナノ材料合成用独立型前駆体の内部全体に均一に供給できる。これにより、ナノ材料合成用独立型前駆体を用いたナノ材料合成効率をより向上させることができる。
【0052】
図2Aを参照すれば、ナノ材料合成用独立型前駆体10の直径(d2)は、ナノ材料合成用独立型前駆体(例えば、円柱)の断面において中心軸を通る長さの中で最も長い長さを意味することができる。一方、前記ナノ材料合成用独立型前駆体の直径は、後述するナノ材料合成装置のチャンバの直径に合わせて変更可能である。
【0053】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成用独立型前駆体の長さは200mm以上300mm以下であってもよい。具体的には、前記ナノ材料合成用独立型前駆体の長さは220mm以上280mm以下、240mm以上260mm以下、200mm以上250mm以下、または250mm以上300mm以下であってもよい。前述した範囲の長さを有する前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、収納部に効果的に収納され、チャンバに容易に投入可能である。
【0054】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成用独立型前駆体の直径と前記収納溝の直径との比は1:0.0001~1:0.3であってもよい。具体的には、図1Bおよび図2Aを参照すれば、ナノ材料合成用独立型前駆体10の直径(d2)と収納溝12、12’の直径(d2’)との長さ比は1:0.001~1:0.3、1:0.01~1:0.3、または1:0.1~1:0.3であってもよい。前記ナノ材料合成用独立型前駆体10の直径(d2)と収納溝12、12’の直径(d2’)との長さ比が前述した範囲内の場合、前記収納溝12、12’を介して前記ナノ材料合成用独立型前駆体10が収納部に安定的に収納され、前記ナノ材料合成用独立型前駆体10の強度、耐久性などの機械的物性が低下することを効果的に抑制することができる。この時、図1Bを参照すれば、前記収納溝12、12’の直径(d2’)は、収納溝12、12’の中心軸を通る長さの中で最も短い長さを意味することができる。
【0055】
本発明の一実施態様によれば、前記収納部位は、前記前駆体の長さ方向に沿って平らに連続する面で形成された収納面を少なくとも1つ含むことができる。図2Cを参照すれば、ナノ材料合成用独立型前駆体10の長さ(l)方向に沿って連続する2つの収納面13、13’が形成される。前記収納面13、13’は、平らな形態に形成され、これにより、ナノ材料合成用独立型前駆体の積層および保管が容易であり得る。
【0056】
本発明の一実施態様によれば、前記収納部位は、前記前駆体の長さ方向に沿って平らに連続する面で形成された収納面と、前記前駆体の長さ方向に沿って連続し、前記前駆体の外側(または外周面)から内側を向く方向に沿って形成された収納溝とを含むことができる。図2Bを参照すれば、ナノ材料合成用独立型前駆体10の長さ(l)方向に沿って連続する1つの収納面13と1つの収納溝12とが形成される。
【0057】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、多孔性構造を有する。図1Bを参照すれば、ナノ材料合成用独立型前駆体10は、複数の微細気孔(micro-pore、P)を含む多孔性構造を有することができる。この時、図1Bには、説明の便宜のために、微細気孔(P)を拡大して示した。また、図1Bには、ナノ材料合成用独立型前駆体10の内部に複数の微細気孔(P)が含まれることが開示されているが、ナノ材料合成用独立型前駆体10の外面にも複数の微細気孔(P)が形成されている。前記ナノ材料合成用独立型前駆体が多孔性構造を有することにより、反応ガスとの接触面積がより増加して、ナノ材料形成効率がより向上できる。
【0058】
本発明の一実施態様によれば、前記多孔性構造は、前記ナノ材料合成用独立型前駆体を製造するために使用される材料、または前記ナノ材料合成用独立型前駆体を製造する方法により形成される。
【0059】
図3Aおよび図3Bは、本発明の一実施態様に係る面取り処理されたナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。
【0060】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、面取り処理される。具体的には、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、柱形状の底面または上面に面取り処理された部位(以下、面取り部位)を含むことができる。前記ナノ材料合成用独立型前駆体を面取り処理することにより、後述するナノ材料合成装置の各パートを通過する時、前記ナノ材料合成用独立型前駆体が損傷または破損するのを防止することができる。
【0061】
前記ナノ材料合成用独立型前駆体の面取り部位は45゜以下の角度に形成される。図3Bを参照すれば、面取り部位の角度(α)は45゜以下、40゜以下、35゜以下、または30゜以下であってもよい。また、面取り部位の角度(α)は15゜以上、20゜以上、または25゜以上であってもよい。図3Bを参照すれば、前記ナノ材料合成用独立型前駆体10の面取り部位の高さ(d3)は10mm以上20mm以下、10mm以上15mm以下、または15mm以上20mm以下であってもよい。
【0062】
前記面取り部位の角度および高さが前述した範囲内の場合、前記ナノ材料合成用独立型前駆体がナノ材料合成装置の各パートを通過する時、損傷または破損するの防止することができ、特にチャンバに容易に投入可能である。
【0063】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成用独立型前駆体の直径と面取り部位の高さとの長さ比は1:0.1~1:0.35であってもよい。図2Aおよび図3Bを参照すれば、ナノ材料合成用独立型前駆体10の直径(d2)と面取り部位14の高さ(d3)との長さ比は1:0.15~1:0.35、1:0.1~1:0.25、または1:0.2~1:0.35であってもよい。前記ナノ材料合成用独立型前駆体の直径と面取り部位の高さとの長さ比が前述した範囲内の場合、前記ナノ材料合成用独立型前駆体の耐久性などの機械的物性が低下することを抑制することができる。
【0064】
図4Aおよび図4Bは、本発明の一実施態様に係る挿入棒を含むナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。具体的には、図4Aは、ナノ材料合成用独立型前駆体10の内部に1つの挿入棒15が備えられたことを示す図であり、図4Bは、ナノ材料合成用独立型前駆体10の内部に2つの挿入棒15、15’が備えられたことを示す図である。
【0065】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、前記前駆体の長さ方向に沿って前記前駆体の内部に備えられる挿入棒を1以上さらに含むことができる。前記挿入棒は、耐熱金属で形成される。また、前記挿入棒は、前述した触媒で形成される。前記前駆体の長さ方向に沿って挿入棒が前記前駆体の内部に挿入されることにより、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、長さ方向における剛性が効果的に向上でき、ナノ材料(例えば、窒化ホウ素ナノチューブ)の合成と成長を促進する金属触媒としての役割を果たすことができる。さらに、前記挿入棒は、円柱、半円柱、楕円形柱、または多角柱形状であってもよい。
【0066】
本発明の一実施態様によれば、前記挿入棒の直径は2mm以上5mm以下であってもよく、長さは120mm以上180mm以下であってもよい。前記挿入棒の直径と長さが前述した範囲内の場合、前記ナノ材料合成用独立型前駆体の長さ方向における剛性を効果的に向上させることができ、ナノ材料(例えば、窒化ホウ素ナノチューブ)の合成と成長を促進する金属触媒としての役割を円滑に果たすことができる。
【0067】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成用独立型前駆体の直径と前記挿入棒の直径との比は1:0.02~1:0.04であってもよい。また、前記ナノ材料合成用独立型前駆体の長さと前記挿入棒の長さとの比は1:0.4~1:0.7であってもよい。前記ナノ材料合成用独立型前駆体と前記挿入棒との直径の比および長さの比が前述した範囲内の場合、前記ナノ材料合成用独立型前駆体の長さ方向における剛性を効果的に向上させることができ、ナノ材料合成効率が低下するのを防止することができる。
【0068】
前記耐熱金属挿入棒は、1,400℃以上の温度に耐えられる材料で形成され、例えば、タングステンで形成される。ただし、挿入棒の材料を限定するものではなく、前述した温度以上に耐えられる耐熱性材料を使用することができる。
【0069】
図4Aを参照すれば、柱形状のナノ材料合成用独立型前駆体10の中心軸と柱形状の挿入棒15の中心軸とが互いに平行となるように、挿入棒15が備えられる。例えば、収納溝12または12’に隣接した底面と平行となるように挿入棒15がナノ材料合成用独立型前駆体10の内部に備えられる。
【0070】
図4Bを参照すれば、2つの挿入棒15、15’が互いに交差した形態でナノ材料合成用独立型前駆体10の内部に備えられる。これにより、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、長さ方向における剛性が効果的に向上でき、触媒として役割を果たして前駆体の内部でナノ材料の合成反応性を向上させることができる。
【0071】
図5は、本発明の一実施態様に係る貫通ホールを含むナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。
【0072】
図6Aは、図5のA-A’線に沿ってナノ材料合成用独立型前駆体の断面を示す図であり、図6Bは、図5のB-B’線に沿ってナノ材料合成用独立型前駆体の断面を示す図であり、図6Cは、ナノ材料合成用独立型前駆体の側面を示す図である。
【0073】
図7A図7Cは、収納部位の形態による貫通ホールを含むナノ材料合成用独立型前駆体を示す図である。具体的には、図7Aは、2つの収納部位に収納溝12、12’が形成されたナノ材料合成用独立型前駆体10を示す図である。一方、図7Aには示されていないが、前記収納溝12、12’が形成された部分にも複数の貫通ホール11が備えられる。図7Bは、1つの収納部位には収納溝12が形成され、もう1つの収納部位には収納面13が形成されたナノ材料合成用独立型前駆体10を示す図である。図7Cは、2つの収納部位に収納面13、13’が形成されたナノ材料合成用独立型前駆体10を示す図である。図7Cに示されるように、前記収納面13、13’には複数の貫通ホール11が備えられる。
【0074】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、前記前駆体の外側(または外周面)から内側を向く方向に貫通する複数の貫通ホールを含むことができる。図5を参照すれば、前記複数の貫通ホール11は、前記柱形状のナノ材料合成用独立型前駆体10の外側(または外周面)から内側を向く方向に貫通する。前記複数の貫通ホールに、後述するナノ材料合成装置のチャンバから供給される反応ガスが流入できる。すなわち、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、複数の貫通ホールを含むことにより、前記反応ガスとの接触面積がより増加して、ナノ材料を効果的で安定的に合成することができる。
【0075】
本発明の一実施態様によれば、前記貫通ホールの直径は2mm(φ2)以上3mm(φ3)以下であってもよい。前記貫通ホールの直径が前述した範囲内の場合、前記ナノ材料合成用前駆体の内部に反応ガスを効果的に伝達および循環させることができる。
【0076】
本発明の一実施態様によれば、前記複数の貫通ホールは、前記柱の中心軸に対して放射状に備えられる。図5および図6Aを参照すれば、複数の貫通ホール11は、柱形状のナノ材料合成用独立型前駆体10の中心軸を基準として、放射状に備えられる。前記複数の貫通ホールは、前記柱の中心軸に対して放射状に備えられることにより、ナノ材料合成装置から供給される反応ガスが効果的に前記複数の貫通ホールに流入し、前記反応ガスは前記前駆体の内部および外部で円滑に循環できる。これにより、前記ナノ材料合成用独立型前駆体に効果的にナノ材料が形成できる。
【0077】
また、前記柱の中心軸に対して放射状に備えられる前記複数の貫通ホールは、X-Y-Z軸に対して互いに対称をなして備えられる。前記複数の貫通ホールが対称の放射状に備えられることにより、反応ガスは前記貫通ホールを介して前記ナノ材料合成用多孔性前駆体で円滑な流れを維持することができる。一方、前記複数の貫通ホールはランダムに備えられてもよい。
【0078】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成用独立型前駆体の直径と前記貫通ホールの直径との比は1:0.0001~1:0.1であってもよい。具体的には、図5図6Cおよび図7Aを参照すれば、ナノ材料合成用独立型前駆体10の直径(d2)と貫通ホールの直径(図面符号不図示)との長さ比は1:0.001~1:0.1、1:0.01~1:0.1、1:0.01~1:0.5、または1:0.03~1:0.5であってもよい。前記ナノ材料合成用独立型前駆体の直径と前記貫通ホールの直径との比が前述した範囲内の場合,反応ガスは前記複数の貫通ホールに効果的に流入し、前記前駆体の内部および外部で円滑に循環できる。
【0079】
本発明の一実施態様によれば、前記複数の貫通ホールは、前記前駆体の長さ方向に沿って互いに離隔して備えられる。具体的には、図6Cを参照すれば、柱形状のナノ材料合成用独立型前駆体10の長さ(l)方向に沿って、複数の貫通ホール11が互いに離隔して備えられる。前記複数の貫通ホールが前記前駆体の長さ方向に沿って互いに離隔して備えられることにより、前記ナノ材料合成用独立型前駆体と反応ガスとの接触面積が効果的に増加できる。
【0080】
一方、図6Cには、複数の貫通ホール11が柱形状のナノ材料合成用独立型前駆体10の長さ(l)方向に沿って同一の間隔(d1)で離隔している実施態様が示されているが、これに限定されるものではない。例えば、複数の貫通ホールは、前駆体の長さ方向に沿って互いに異なる間隔で離隔してもよく、また、同一の間隔で離隔する部分と異なる間隔で離隔する部分を含んでもよい。
【0081】
図6Cを参照すれば、複数の貫通ホール11は、前駆体10の長さ(l)方向に沿って10mm以上20mm以下の間隔(d1)で離隔して備えられる。また、複数の貫通ホール11は、柱形状の前駆体10の円周方向に沿って10mm以上20mm以下の間隔(d1’)で離隔して備えられる。前記複数の貫通ホールが離隔した間隔が前述した範囲内の場合、前記ナノ材料合成用独立型前駆体反応ガスが効果的に供給できる。
【0082】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成用独立型前駆体の長さと互いに隣接する貫通ホールが離隔した長さとの比は1:0.0001~1:0.1、1:0.001~1:0.1、1:0.01~1:0.1、1:0.01~1:0.05、または1:0.03~1:0.05であってもよい。具体的には、図6Cを参照すれば、ナノ材料合成用独立型前駆体10の長さ(l)と互いに隣接する貫通ホール11が離隔した長さ(d1)との比が前述した範囲内の場合、前記ナノ材料合成用独立型前駆体と反応ガスとの接触面積を効果的に増加させると同時に、前記ナノ材料合成用独立型前駆体の強度、耐久性などの機械的物性が低下することを効果的に抑制することができる。
【0083】
図8は、本発明の一実施態様に係るナノ材料合成装置を概略的に示す図である。
【0084】
本発明の一実施態様は、前記ナノ材料合成用独立型前駆体を1以上収納する収納部と、前記収納部に収納された前記前駆体が伝達され、前記前駆体にナノ材料を形成させる反応ゾーンを含むチャンバと、前記収納部および前記チャンバに連結され、前記収納部から前記前駆体が伝達されて前記チャンバに供給する供給部と、を含み、前記供給部は、前記チャンバの長さ方向に沿って前記前駆体を前記チャンバに投入するナノ材料合成装置を提供する。
【0085】
本発明の一実施態様に係るナノ材料合成装置は、ナノ材料の大量生産が可能であり、生産時間を低減することができ、製造歩留まりが高いという利点がある。
【0086】
また、本発明の一実施態様に係るナノ材料合成装置は、ナノ材料を安定的に合成することができる。
【0087】
さらに、本発明の一実施態様に係るナノ材料合成装置は、合成装置の運用効率性を向上させて、ナノ材料合成用独立型前駆体の投入および合成されたナノ材料の排出工程に必要なガス供給量を減少させることができる。
【0088】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成装置は、前述したナノ材料合成用独立型前駆体に反応ガスを提供してナノ材料を形成する。一実施態様において、前記ナノ材料合成用独立型前駆体に反応ガスを供給して、窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)を製造することができる。
【0089】
図8を参照すれば、本発明の一実施態様に係るナノ材料合成装置1000は、収納部100と、供給部200と、チャンバ300と、排出部400と、貯蔵部500とを含むことができる。
【0090】
本発明の一実施態様によれば、前記収納部は、ナノ材料合成用独立型前駆体を1以上収納することができる。この時、前記ナノ材料合成用独立型前駆体に前述のような収納部位が形成された場合、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、収納部位を介して、前記収納部に収納される。例えば、前記収納部位が前述した収納溝の場合、前記収納部に備えられた締結部に前記収納溝が締結されて前記ナノ材料合成用独立型前駆体が収納される。また、前記収納部位が前述した収納面の場合、前記ナノ材料合成用独立型前駆体は、互いに積層されて前記収納部に収納される。
【0091】
本発明の一実施態様によれば、前記収納部と前記供給部とは互いに連結され、前記収納部と前記供給部との間にはゲートが備えられる。前記ゲートは、開閉可能であり、前記ゲートがオープンされることにより、前記収納部に収納された前駆体が前記供給部に伝達される。この時、前記収納部から前記供給部に前記前駆体が1つずつ供給されるように、前記ゲートが駆動できる。
【0092】
本発明の一実施態様によれば、前記供給部は、前記チャンバの前段に備えられる。前記供給部は、前記前駆体を1以上収容することができる。図8には、供給部200が1つの前駆体10を収容したことを示しているが、これに限定されるものではない。例えば、供給部200に複数の前駆体10が収容され、収容された前駆体10を供給部200内で移動させて、プッシャ210の前に位置させることもできる。
【0093】
本発明の一実施態様によれば、前記供給部は、前記収納部から伝達された前駆体を前記チャンバに投入させるプッシャをさらに含むことができる。具体的には、前記プッシャは、前記前駆体を前記チャンバに1つずつ投入することができる。より具体的には、前記プッシャは、前記前駆体を前記チャンバに1つずつ連続的に投入することができる。図8を参照すれば、プッシャ210は、前記チャンバ300の投入口310に対向するように配置され、前駆体10を弾丸式でチャンバ300に投入させることができる。前記供給部がプッシャを用いて、前記前駆体を前記チャンバに弾丸式で個別投入することにより、従来の反応モジュールを用いて前駆体を投入する方法に比べて、より速い速度でチャンバに前駆体を投入させることができるという利点がある。
【0094】
本発明の一実施態様によれば、前記プッシャは、前駆体と接触する部分に緩衝部材が備えられる。前記プッシャに緩衝部材が備えられることにより、前記前駆体を前記チャンバに投入する過程で、前記前駆体が損傷または変形するのを効果的に防止することができる。前記緩衝部材は、当業界で用いられる緩衝部材を制限なく使用可能である。
【0095】
本発明の一実施態様によれば、前記供給部は、前記前駆体を前記チャンバに一列に供給することができる。具体的には、前記供給部は、前記前駆体を前記チャンバに一列に連続的に供給することができる。図8を参照すれば、前記供給部200に備えられたプッシャ210に前駆体10を連続的に供給し、前記プッシャ210は、前駆体10を前記チャンバ300に一列に連続的に供給することができる。例えば、前記プッシャが第1前駆体をチャンバに投入し、プッシャに第2前駆体を位置させた後に前記プッシャが第2前駆体を前記チャンバに投入することができる。このような形態で、前記供給部は、N(1以上の整数、以下においても同様)個の前駆体を前記チャンバに一列に連続的に投入させることができる。これにより、前記ナノ材料合成装置は、前記チャンバに前記前駆体を安定的で迅速に投入可能で、前記ナノ材料をより速い速度で大量生産することができる。
【0096】
本発明の一実施態様によれば、前記供給部は、複数の前駆体を前記チャンバに連続供給するために多様な形態のリフトを含むことができる。例えば、前記供給部が垂直形態に複数の前駆体を収容する場合、リフトが垂直移動をして、前記供給部のプッシャの前に前駆体を位置させることができる。また、前記供給部が水平形態に複数の前駆体を収容する場合、リフトが水平移動をして、前記供給部のプッシャの前に前駆体を位置させることができる。さらに、前記供給部に前駆体が風車のように循環軌道上に収容される場合、リフトが循環移動をして、前記供給部のプッシャの前に前駆体を位置させることができる。
【0097】
本発明の一実施態様によれば、前記チャンバは、円筒形状を有し、前記収納部に収納された前記前駆体が伝達される。以後、反応ゾーンで前記前駆体にナノ材料(例えば、BNNT)を形成させることができる。
【0098】
図8を参照すれば、前記チャンバ300は、前記供給部200を介して投入された前記前駆体10が搬送する円筒状の搬送経路を含むことができる。前記搬送経路の一部は、前記前駆体10に反応ガスを供給してナノ材料を成長させる反応ゾーン(HZ)を含んでいる。
【0099】
本発明の一実施態様によれば、前記反応ゾーンは、反応のための適正温度が維持できる領域であり、ガス供給管(図示せず)によって反応ガスが提供される領域である。前記ガス供給管は、前記チャンバの内部に備えられる形態、または前記チャンバに連結される形態で備えられる。
【0100】
本発明の一実施態様によれば、前記反応ガスは、窒素含有反応ガスであってもよいし、これによって前駆体構造体からBNNTが成長することができる。具体的には、チャンバに供給される反応ガスは特に限定されないが、窒素(N)やアンモニア(NH)を使用できることはもちろん、これらを混合して混合ガスとしてチャンバに供給できる。あるいは、追加的に水素(H)を混合して使用することができる。
【0101】
本発明の一実施態様によれば、前記反応ガスは、チャンバに10~1,000sccmの速度で供給される。10sccm未満に反応ガスが供給されると、窒素元素の供給量が少なくてホウ素の窒化反応効率が低下し、これによって長時間反応を行う必要があり、1,000sccmを超えると、反応ガスの速い移動速度によって前駆体内にホウ素粉末がアブレーション(ablation)されてBNNTの生産歩留まりが少なくなり得る。
【0102】
本発明の一実施態様によれば、前記チャンバ内での熱処理は、1,050~1,500℃の温度範囲で0.5~6時間行われる。前記チャンバは、アルミナ管を用いることができるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、約1500℃までの温度に耐えられる耐熱材料で形成される。
【0103】
本発明の一実施態様によれば、前記チャンバは、前記供給部と連結され、前記前駆体を投入する投入口と、前記反応ゾーンで反応が完了した前記前駆体を排出する排出口と、をさらに含むことができる。具体的には、前記投入口を介して前記チャンバは前記供給部と連結され、前記排出口を介して前記排出部と連結される。この時、投入口と前記排出口にはゲートが設けられ、前記チャンバを前記供給部および排出部の環境と分離させることができる。
【0104】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成装置は、真空処理部をさらに含むことができる。前記真空処理部は、チャンバに連結され、チャンバ内部の真空度を調節することができ、このために、前記真空処理部は、真空ポンプおよびコントローラを含むことができる。前記真空処理部は、前記投入口および/または前記排出口に連結されて備えられる。
【0105】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成装置は、前記チャンバに連結される温度調節部をさらに含むことができる。前記温度調節部は、前記チャンバ内部の温度を直接調節するヒーティング部と、ヒーティング部をコントロールするコントローラとを含むことができる。
【0106】
本発明の一実施態様によれば、ナノ材料合成装置は、前記チャンバの前記排出口と連結され、ナノ材料が形成された前記前駆体を前記チャンバから排出する排出部をさらに含むことができる。図8を参照すれば、前記チャンバ300で反応が完了した前駆体10’は、チャンバ300の排出口320を介して自由落下して前記排出部400に収容される。この時、前記排出部の下面には緩衝部材が備えられる。前記排出部の下面に緩衝部材が備えられることにより、前記チャンバから自由落下する反応完了した前記前駆体が損傷、破損および変形することを効果的に抑制することができる。
【0107】
本発明の一実施態様によれば、前記ナノ材料合成装置は、前記排出部と連結される貯蔵部をさらに含むことができる。前記貯蔵部と前記排出部との間にはゲートが備えられ、前記ゲートがオープンされることにより、前記排出部に収容された前記反応完了した前駆体が前記貯蔵部に搬送される。この時、前記貯蔵部の下面には緩衝部材が備えられる。前記貯蔵部に反応完了した前駆体がすべて搬送された場合、前記貯蔵部と前記排出部との間に備えられたゲートを閉鎖させ、前記貯蔵部を分離して反応完了した前駆体を回収することができる。
【0108】
本発明の一実施態様によれば、前記前駆体を前記チャンバに連続投入するために、供給部、チャンバ、および排出部は有機的に連動して動作できる。具体的には、前記チャンバで反応が完了したN個の前駆体が排出部に搬送されると、前記供給部は、新たなN個の前駆体を前記チャンバに投入することができる。このような過程により、前記収納部に収容されていた複数の前駆体が全部チャンバに搬送される場合、供給部はそれ以上チャンバに前駆体を搬送せず動作が終了する。このように、供給部、チャンバ、および排出部を有機的に連動させるために、前記ナノ材料合成装置は、制御部をさらに含むことができる。
【0109】
以下、前駆体が連続してチャンバに投入される工程を説明する。この時、供給部が前駆体を1つずつチャンバに投入する実施態様を重点として説明する。
【0110】
まず、チャンバ内の温度およびガス雰囲気を最適化した後、前駆体を供給部を介してチャンバ内に移動させる。この時、チャンバと供給部との間にはゲートが備えられることにより、チャンバ内部の雰囲気を最大限に維持しながら前駆体をチャンバに収容することができる。前記供給部には真空ポンプが設置可能で、供給部とチャンバとの間のゲートが開かれた時、供給部とチャンバの反応ガス雰囲気および圧力が一致できるように作動して、プッシャを介して前駆体を供給部からチャンバに搬送し、搬送後にはゲートが閉じるようにする。
【0111】
ゲートが閉じると、前記プッシャの前に新しい前駆体を位置させる動作を行い、これを前述した工程で新しい前駆体をチャンバに供給することができる。このような動作に際して、供給部は、供給部とチャンバとの間に備えられたゲートと真空ポンプを用いて前駆体が汚染しないようにし、供給部の内部がチャンバの雰囲気と類似するように作る。
【0112】
このような方式により、図8に示されるように、順次に前駆体10が排出部400の方向に搬送されて、チャンバ300内に前駆体10が一列に整列された状態になる。
【0113】
チャンバは、設定された時間の間反応ゾーンを駆動させて反応ゾーンに位置した前駆体に反応ガスを提供して、前駆体に窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)を成長させる工程を行う。このような過程で前駆体が反応ゾーンの中央に置かれた時に反応ガスとの反応が最高に維持できるように反応ガスの供給量が調節可能である。
【0114】
以下、供給部が前駆体を連続的にチャンバに投入する実施態様を重点として説明する。
【0115】
前述のように、前記供給部に複数の前駆体が収容され、プッシャの前に前駆体を連続的に位置させることができるリフトが備えられる。これにより、チャンバに前駆体が搬送されるたびに、収納部と供給部との間に備えられたゲートを毎度オープンして、新しい前駆体を収納部から供給部に投入する必要が無くなる。
【0116】
以後、供給部のプッシャの前に前駆体が位置すると、供給部とチャンバとの間に備えられたゲートは開放される動作を行う。前記プッシャによって前駆体がチャンバに供給されると、前記ゲートは閉鎖される動作を行う。この時、好ましくは、前記供給部とチャンバとの間に備えられるゲートが閉鎖される動作は、チャンバ内に収容できる前駆体の個数である所定の個数だけ前駆体が連続的にチャンバに供給された後に行われる。これにより、1つ以上の前駆体が同時にチャンバに収容されて前記反応ガスと反応することができる。
【0117】
一方、排出部は、供給部が前駆体をチャンバに搬送する動作を逆に行って、前駆体をチャンバから排出する動作を行うことができる。前記排出部は、前記チャンバと排出部との間に備えられるゲートおよび真空ポンプを含むことができる。前記ゲートが開かれた時、前記排出部とチャンバの反応ガス雰囲気および圧力が一致できるように前記真空ポンプが作動し、前記排出部に反応完了した前駆体が搬送されると、前記ゲートが閉じることができる。
【0118】
前記チャンバと排出部との間に備えられるゲートが閉じると、前記排出部は、真空ポンプを用いて大気と類似の窒素雰囲気に置換した後、前記排出部と前記貯蔵部との間に備えられたゲートを開いて、反応完了した前駆体を貯蔵部に搬送させる。以後、排出部は、再度すべてのゲートを閉じて、排出部の内部がチャンバの雰囲気と類似するように作る。
【0119】
このような方式により順次に反応が完了した前駆体を貯蔵部に搬送させ、外部に吐出させることができる。
【0120】
一般的に使用されるバッチタイプの方法で粉末を熱処理してBNNTを成長させる場合、単数の反応モジュールを装着した後、熱処理装置の温度上昇-温度維持-BN合成-BNNT成長-温度下降-常温冷却-反応物回収のステップを経なければならないため、単数の反応モジュールによって1回の生産量に限界があり、エネルギー、時間などの費用上昇で経済性が担保されることが困難である。
【0121】
これに対し、本発明の一実施態様に係るナノ材料合成装置は、前述のように、インライン上の連続動作でBNNTを製造可能で、BNNT製造の歩留まりおよび生産性を極大化することができる。
【0122】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に述べる実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0123】
実施例1
ナノ材料合成用独立型前駆体の製造
Mg約3.5重量%の不純物を含む平均粒度5μmの非晶質ホウ素粉末と、金属酸化物触媒として平均粒度が約40nmのFe粉末とを混合して、混合粉末を製造した。以後、篩振動機(sieve shaker)を用いて、混合粉末を5分間均一に混合する工程を3回実施して、かたまった粉末を溶かして非晶質ホウ素粉末と金属触媒とを均一に混合して第1粉末を製造した。この時、第1粉末は約4gの非晶質ホウ素と約0.4gのFeとを含ませた。
【0124】
以後、エアジェットミリング(Feed rate:約2.5g/min、Feed pressure:約100psi、Grinding pressure:約80psi)工程を2回行って、第1粉末を超音速気流で粉砕してナノ化させて第2粉末を製造した。
【0125】
バインダー粉末としてsucrose(砂糖)、発泡剤としてADCA(Azodicarbonamide)を用意した。以後、用意されたバインダー粉末の一部(約15重量%)を第2粉末と混合し、脱イオン水(DI water)に投入後、ホーンソニック工程(Volt meter:約130V、1回の工程時間:約7分、工程回数:4回)を行った。ホーンソニック工程により、粉末粒子のかたまり現象を防止した。この時、ホーンソニック工程中にかき回して撹拌を行った。以後、残りのバインダー粉末全部と発泡剤をすべて入れて、約300rpmの回転速度で約30分間撹拌して分散液を製造した。この時、分散液に含まれた第2粉末、バインダー粉末、および発泡剤の重量比は約1:2.5:0.2であった。
【0126】
以後、製造された分散液を円筒状のモールドに入れて、約230℃で約2時間熱処理して2つの収納溝が形成された独立型前駆体を製造した。図1Bおよび図2Aのように、直径(d2)が65mm、長さ(l)が250mmであり、収納溝の直径(d2’)が約16mmである独立型前駆体を製造した。
【0127】
ナノ材料(BNNT)の合成
図8に示されたナノ材料合成装置を用いて、独立型前駆体からナノ材料であるBNNTを合成した。
【0128】
具体的には、独立型前駆体をチャンバに投入し、反応ガスとして窒素(N)を約200sccm、アンモニア(NH)を約300sccmの流量でチャンバに供給し、約1,200℃~1,400℃の温度で1.5時間~3時間熱処理してBNNTを得た。この時、独立型前駆体を一定時間間隔で投入-吐出して連続熱処理し、独立型前駆体1個あたり平均60gの反応サンプルを得て、1日平均12個の独立型前駆体を投入-吐出して、最終的にBNNTを720g/dayで得た。
【0129】
実施例2
図5および図6Cのように、直径が2mm(φ2)であり、10mmの間隔(d1、d1’)で離隔した複数の貫通ホールを形成したことを除き、実施例1と同様の方法でナノ材料合成用独立型前駆体を製造し、ナノ材料(BNNT)を合成した。
【0130】
図9は、本発明の実施例1で製造されたナノ材料合成用独立型前駆体の反応前のSEM写真であり、図10は、ナノ材料(BNNT)の合成が完了した本発明の実施例1で製造されたナノ材料合成用独立型前駆体の反応後のSEM写真である。具体的には、図9は、チャンバで反応ガスと共に熱処理される前のナノ材料合成用独立型前駆体のSEM写真であり、図10は、チャンバで反応ガスと共に熱処理された後のナノ材料合成用独立型前駆体のSEM写真である。
【0131】
図9および図10を参照すれば、実施例1で製造されたナノ材料合成用独立型前駆体は、チャンバ内で反応ガスと共に熱処理されることにより、ナノ材料合成用独立型前駆体に全体的にBNNTが成長したことを確認することができる。
【0132】
図11は、ナノ材料(BNNT)の合成が完了した本発明の実施例1で製造されたナノ材料合成用独立型前駆体の反応後のSEM写真とEDS分析結果を示す図である。具体的には、図11(A)は、BNNTの合成が完了したナノ材料合成用独立型前駆体の反応後のSEM写真であり、図11(B)は、図11(A)に表示された四角領域に対するEDS(Energy Dispersive Spectroscopy)結果を示す図であり、図11(C)は、図11(B)により算出された構成成分の含有量を示す表である。
【0133】
図11を参照すれば、窒素とホウ素の元素比(at%)が約1:1の窒化ホウ素ナノチューブが合成されたことを確認することができ、約95at%に達する純度を示すことを確認することができる。
【0134】
図12は、本発明の実施例1で合成されたナノ材料(BNNT)のTEM写真である。図12を参照すれば、平均直径が約50nm以下のナノチューブがシリンダ状にまっすぐで長く成長したことを確認することができる。
【0135】
図13は、本発明の実施例1で合成されたナノ材料(BNNT)のXRDデータである。図13を参照すれば、六方型h-BNの構造を示す(002)主ピークを示しており、これにより、h-BNが合成されたことを確認することができる。
【0136】
したがって、XRDとEDS分析によりh-BN構造の化合物が合成され、SEMとTEM写真により中空のナノチューブであることを確認して、反応の結果物がBNNT(Boron Nitride Nanotubes)であることを確認することができる。
【0137】
比較例1
ナノ材料合成用前駆体粉末の製造
実施例1と同様の方法で第1粉末および第2粉末を製造した。実施例1と同一のバインダー粉末と発泡剤を用意し、第2粉末、バインダー粉末、および発泡剤を約1:2.5:0.2の重量比で混合してナノ材料合成用前駆体粉末を製造した。
【0138】
ナノ材料(BNNT)の合成
製造されたナノ材料合成用前駆体粉末を、長さ7cm、幅1.5cm、深さ1cm規格のるつぼに1gを入れて均一に広げた後、図8に示されたナノ材料合成装置の反応ゾーンの中心にローディングした。以後、るつぼに広げられたナノ材料合成用前駆体粉末を用いて、ナノ材料であるBNNTを1日1回バッチ(batch)方式で合成した。
【0139】
具体的には、反応ガスとして窒素(N)を約200sccm、アンモニア(NH)を約300sccmの流量でチャンバに供給し、約1,200℃~1,400℃の温度で3時間バッチ型で熱処理して0.95gの反応サンプルを得た。これは、バインダー粉末と発泡剤が合成過程で解離過程により60%程度気化物として蒸発して前駆体の質量が減少し、ホウ素に窒素が反応して、窒化ホウ素が合成しながら約2.48倍の質量が増加した合成生成物の質量である。
【0140】
比較例2
ナノ材料合成用ディスク状前駆体の製造(反応モジュール据え置き形態)
実施例1と同様の方法で第1粉末および第2粉末を製造した。実施例1と同一のバインダー粉末と発泡剤を用意し、第2粉末、バインダー粉末、および発泡剤を約1:2.5:0.2の重量比で混合してナノ材料合成用前駆体分散液を製造した。
【0141】
以後、製造されたナノ材料合成用前駆体分散液を直径4cm、深さ3cmのモールドに1gを入れた後、実施例1と同様の過程で成形して、直径4cm、厚さ0.5cmのディスクに成形した。成形されたディスクの中心に0.5cm径の穴を開けて、複数のディスク状前駆体をロッド(rod)に挟んだ後、反応モジュールに据え置いた。
【0142】
ナノ材料(BNNT)の合成
ディスク状前駆体が据え置かれた反応モジュールを図8に示されたナノ材料合成装置に連続投入-吐出して、ナノ材料であるBNNTを合成した。
【0143】
具体的には、反応ガスとして窒素(N)を約200sccm、アンモニア(NH)を約300sccmの流量でチャンバに供給し、約1,200℃~1,400℃の温度でディスク状前駆体複数が据え置かれた反応モジュールを3時間間隔で投入-吐出しながら連続熱処理して、反応モジュール1個あたり平均15gの反応サンプルを得て、1日に平均8個の反応モジュールを投入-吐出して、最終的にBNNTを120g/dayで得た。
【0144】
【表1】
【0145】
前記表1を参照すれば、実施例1は720g/dayでBNNTを得ており、0.95g/dayでBNNTを得た比較例1に比べて同じ時間の間約750倍にBNNTの生産性が向上し、120g/dayでBNNTを得た比較例2に比べて同じ時間の間約6倍にBNNTの生産性が向上したことを確認した。
【符号の説明】
【0146】
10、10’:ナノ材料合成用独立型前駆体
11:貫通ホール
12、12’:収納溝
13、13’:収納面
14:面取り部位
15、15’:挿入棒
1000:ナノ材料合成装置
100:収納部
110:前駆体伝達開閉部
200:供給部
210:プッシャ
300:チャンバ
310:投入口
320:排出口
400:排出部
500:貯蔵部
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8
図9(A)】
図9(B)】
図10(A)】
図10(B)】
図11
図12(A)】
図12(B)】
図12(C)】
図13