(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】テープ自動装填システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20230919BHJP
【FI】
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2021555704
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(86)【国際出願番号】 JP2019044590
(87)【国際公開番号】W WO2021095174
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深尾 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】山崎 厚史
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/198207(WO,A1)
【文献】特開2019-029538(JP,A)
【文献】特開2017-152503(JP,A)
【文献】特開2014-175481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープフィーダに差し込まれたキャリアテープのベーステープからカバーテープを剥離し、前記ベーステープに収納された部品を取り出し可能にすると共に、剥離された前記カバーテープを廃棄位置へ誘導するテープ自動装填システムであって、
互いに接合された前記ベーステープ及び前記カバーテープのテープ端面同士が同一面をなす前記キャリアテープのテープ先端部で前記カバーテープを剥離する剥離装置と、
剥離された前記カバーテープを把持して所定位置へ向けて移動させる把持装置と、
前記所定位置に移動された前記カバーテープのテープ先端部を、前記カバーテープを前記廃棄位置へ誘導する仮テープに連結する連結装置と、
前記カバーテープの先端部が連結された前記仮テープを搬送して前記カバーテープを前記廃棄位置へ誘導するテープ搬送装置と、
を備え
、
前記把持装置は、
前記キャリアテープのテープ先端部から剥離された前記カバーテープを把持する把持爪と、
前記把持爪を、剥離された前記カバーテープの把持が可能な把持位置と、前記把持が不可能な前記所定位置との間で移動させる第二移動装置と、
を有し、
前記第二移動装置は、前記把持爪を、前記把持位置側で前記キャリアテープの厚み方向に移動させると共に、前記所定位置側で前記キャリアテープの幅方向に延びる軸を中心にして旋回移動させる、テープ自動装填システム。
【請求項2】
前記剥離装置は、
前記テープフィーダのテープガイドに案内される前記キャリアテープのテープ先端部における前記ベーステープと前記カバーテープとの間に挿入される剥離爪と、
前記剥離爪を、前記テープガイドに案内される前記キャリアテープのテープ先端部における前記ベーステープと前記カバーテープとの間への挿入が可能な剥離位置と、前記挿入が不可能な退避位置との間で移動させる第一移動装置と、
を有する、請求項1に記載されたテープ自動装填システム。
【請求項3】
前記第一移動装置は、前記剥離爪を前記剥離位置と前記退避位置との間で少なくとも前記キャリアテープの厚み方向に移動させる、請求項2に記載されたテープ自動装填システム。
【請求項4】
前記剥離装置及び前記把持装置は、互いに一体化された装置である、請求項1乃至
3の何れか一項に記載されたテープ自動装填システム。
【請求項5】
前記剥離装置は、前記テープフィーダのテープガイドに案内される前記キャリアテープのテープ先端部における前記ベーステープと前記カバーテープとの間に挿入される剥離爪を有し、
前記剥離爪は、前記テープガイドに一体に設けられている、請求項1に記載されたテープ自動装填システム。
【請求項6】
テープフィーダに差し込まれたキャリアテープのベーステープからカバーテープを剥離し、前記ベーステープに収納された部品を取り出し可能にすると共に、剥離された前記カバーテープを廃棄位置へ誘導するテープ自動装填システムであって、
互いに接合された前記ベーステープ及び前記カバーテープのテープ端面同士が同一面をなす前記キャリアテープのテープ先端部で前記カバーテープを剥離する剥離装置と、
剥離された前記カバーテープを把持して所定位置へ向けて移動させる把持装置と、
前記所定位置に移動された前記カバーテープのテープ先端部を、前記カバーテープを前記廃棄位置へ誘導する仮テープに連結する連結装置と、
前記カバーテープの先端部が連結された前記仮テープを搬送して前記カバーテープを前記廃棄位置へ誘導するテープ搬送装置と、
を備え、
前記剥離装置は、前記テープフィーダのテープガイドに案内される前記キャリアテープのテープ先端部における前記ベーステープと前記カバーテープとの間に挿入される剥離爪を有し、
前記剥離爪は、前記テープガイドに一体に設けられている、テープ自動装填システム。
【請求項7】
前記連結装置は、前記カバーテープのテープ先端部を前記仮テープに圧着して連結する、請求項1乃至
6の何れか一項に記載されたテープ自動装填システム。
【請求項8】
前記テープ搬送装置は、前記仮テープを巻き取ることにより前記カバーテープを前記廃棄位置へ誘導する、請求項1乃至
7の何れか一項に記載されたテープ自動装填システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、テープ自動装填システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テープフィーダに差し込まれたキャリアテープのベーステープからカバーテープを剥離し、ベーステープに収納された部品を取り出し可能にすると共に、その剥離されたカバーテープを廃棄位置へ誘導するテープ自動装填システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。キャリアテープは、ベーステープにカバーテープが貼付された状態で、テープフィーダに装着可能なテープリールに巻回されている。テープフィーダは、テープリールからキャリアテープを引き出し、そのキャリアテープのベーステープから、部品取出位置で部品を吸着できるようにカバーテープを剥離する。そして、テープフィーダは、ベーステープから剥離されたカバーテープを所定経路で送り出して外部へ廃棄する。
【0003】
キャリアテープは、カバーテープの先端部がベーステープの先端から突き出た状態に形成されている。テープ自動装填システムは、テープフィーダに装着されたテープリールから引き出されたキャリアテープがテープ搬送装置のガイドのテープ入口に差し込まれると、そのキャリアテープをテープ搬送装置のガイドやテープフィーダのテープ送りガイドにより案内しながらピッチ送り機構部へ向けて搬送する。そして、ピッチ送り機構部へ向けて搬送されたキャリアテープのカバーテープの先端部を挟持してベーステープから引き剥がすことにより、そのカバーテープを所望の経路に沿うようにテープ送り出し機構部へ移送して廃棄位置へ誘導すると共に、ベーステープに収納された部品をテープフィーダの部品取出位置で取り出し可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のテープ自動装填システムでは、キャリアテープのベーステープからカバーテープを剥離するうえで、そのキャリアテープに対してカバーテープの先端部をベーステープの先端から突出させる処理を施すことが必要である。このため、テープフィーダに装填されたキャリアテープからカバーテープを剥離してベーステープを部品取出可能な状態とする前に作業者が実施する必要がある処理作業が増え、或いは、その処理作業が煩雑化する。
【0006】
本明細書は、テープフィーダへのキャリアテープの装填を少ない前処理作業で実現することが可能なテープ自動装填システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、テープフィーダに差し込まれたキャリアテープのベーステープからカバーテープを剥離し、前記ベーステープに収納された部品を取り出し可能にすると共に、剥離された前記カバーテープを廃棄位置へ誘導するテープ自動装填システムであって、互いに接合された前記ベーステープ及び前記カバーテープのテープ端面同士が同一面をなす前記キャリアテープのテープ先端部で前記カバーテープを剥離する剥離装置と、剥離された前記カバーテープを把持して所定位置へ向けて移動させる把持装置と、前記所定位置に移動された前記カバーテープのテープ先端部を、前記カバーテープを前記廃棄位置へ誘導する仮テープに連結する連結装置と、前記カバーテープの先端部が連結された前記仮テープを搬送して前記カバーテープを前記廃棄位置へ誘導するテープ搬送装置と、を備える、テープ自動装填システムを開示する。
【0008】
本開示によれば、テープフィーダに差し込まれた、互いに接合されたベーステープ及びカバーテープのテープ端面同士が同一面をなすキャリアテープのカバーテープをベーステープから剥離し、その剥離されたカバーテープを把持して所定位置へ向けて移動させ、そのカバーテープを仮テープに連結し、廃棄位置へ誘導する。従って、テープフィーダ100へのキャリアテープ200の装填を少ない前処理作業で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るテープ自動装填システムの概略上面図である。
【
図3】
図2に示すキャリアテープのIII-III断面図である。
【
図4】キャリアテープを搬送するテープフィーダの概略斜視図である。
【
図5】テープフィーダの先端部の拡大斜視図である。
【
図6】テープフィーダにキャリアテープが装填された状態を表した斜視図である。
【
図7】テープ自動装填システムが備えるフィーダ保持台の概略斜視図である。
【
図8】テープ自動装填システムが備える第一テープ搬送装置の概略斜視図である。
【
図9】テープ自動装填システムが備える第二テープ搬送装置、第一開放装置、及び第二開放装置の概略斜視図である。
【
図10】テープ自動装填システムが備える仮テープ配策装置の概略平面図である。
【
図11】テープ自動装填システムが備える連結装置によるカバーテープと仮テープとの連結を説明するための図である。
【
図12】テープ自動装填システムが備えるテープフィーダの第一テープ保持部と剥離装置と把持装置とが互いに離間した状態を表した図である。
【
図13】第一テープ保持部に剥離装置が接近した状態を表した図である。
【
図14】第一テープ保持部に剥離装置及び把持装置が接近した状態を表した図である。
【
図15】第一テープ保持部に剥離装置が嵌った状態を表した拡大図である。
【
図16】剥離装置により剥離されたカバーテープを把持装置により把持する直前の状態を表した拡大図である。
【
図17】剥離装置により剥離されたカバーテープを把持装置により把持した直後の状態を表した拡大図である。
【
図18】一変形形態のテープ自動装填システムが備える剥離装置の剥離爪が設けられたテープフィーダの斜視図である。
【
図19】一変形形態のテープ自動装填システムが備える剥離装置及び把持装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係るテープ自動装填システムの実施形態について説明する。
【0011】
1.テープ自動システムについて
テープ自動装填システム1は、テープフィーダ100にキャリアテープ200を自動的に装填する装置である。すなわち、テープ自動装填システム1は、自動的に、キャリアテープ200をテープフィーダ100のテープ送り機構部130にセットすると共に、キャリアテープ200のカバーテープ220をテープフィーダ100のカバーテープ送り出し機構部140にセットする装置である。
【0012】
以下、テープフィーダ100に装填されたキャリアテープ200が部品供給のために水平方向に搬送されるテープ搬送方向をX方向と、X方向に直交する水平方向をY方向と、X方向及びY方向の双方に直交する鉛直方向をZ方向と、それぞれ称す。
【0013】
2.キャリアテープの構成
キャリアテープ200は、複数の部品をテープ長手方向に一列に収容したテープ部材である。キャリアテープ200は、
図2及び
図3に示す如く、ベーステープ210と、カバーテープ220と、を有している。ベーステープ210は、紙材や樹脂等の柔軟な材料により構成されている。ベーステープ210には、収容孔211が設けられている。収容孔211は、部品を収容することが可能な収容部である。収容孔211は、テープ長手方向に所定間隔ごとに設けられている。部品は、電子基板に装着される電子部品などであって、例えば0201サイズ(0.2mm×0.1mm)などの微小部品であってよい。
【0014】
尚、キャリアテープ200は、ベーステープ210で収容孔211が貫通したものであってもよいし、また、ベーステープ210で収容孔211が閉じたエンボス型であってもよい。また、キャリアテープ200は、
図3に示す如くベーステープ210で収容孔211が貫通する構造であるときは、その収容孔211に収容された部品を保持してその部品の脱落を防止するため、更に、ベーステープ210の下面に接着されるボトムテープ230を有する。このボトムテープ230は、透明又は半透明の紙材や高分子フィルムなどにより構成される。
【0015】
ベーステープ210には、また、係合孔212が貫通して設けられている。係合孔212は、後述のスプロケット131の係合突起が係合する送り孔である。係合孔212は、略円形或いは楕円形に形成されている。係合孔212は、テープ長手方向に所定間隔ごとに設けられている。上記の収容孔211は、テープ幅方向の一方側においてテープ長手方向に一列に配置されている。また、上記の係合孔212は、テープ幅方向の他方側においてテープ長手方向に一列に配置されている。
【0016】
カバーテープ220は、ベーステープ210の上面(尚、係合孔212が設けられている部分は除外されてよい。)に接着剤により接合されている。カバーテープ220のベーステープ210への接合は、キャリアテープ200における収容孔211を避けてその収容孔211の幅方向両側それぞれにおいて行われる。カバーテープ220は、ベーステープ210の収容孔211の上部を閉塞して、その収容孔211に収容された部品の飛び出しを防止する。カバーテープ220は、透明な高分子フィルムなどにより構成されている。
【0017】
3.テープフィーダの構成
テープフィーダ100は、キャリアテープ200を搬送することにより、基板に装着すべき部品を部品取出位置Lに供給する装置である。テープフィーダ100は、基板を生産する基板生産ライン上に設けられる部品装着機の有するスロットに着脱可能に装着される。テープフィーダ100から部品取出位置Lに供給された部品は、部品装着機の装着ヘッドに取り付けられた吸着ノズルなどで吸着保持され、その後、吸着解除により基板に装着される。
【0018】
テープフィーダ100は、
図4に示す如く、フィーダ本体110と、リール収容部120と、テープ送り機構部130と、を有している。
【0019】
フィーダ本体110は、扁平な箱形に形成されている。フィーダ本体110は、テープ送りガイド111を有している。テープ送りガイド111は、フィーダ本体110の上部に設けられている。リール収容部120は、フィーダ本体110の後端側に配置されている。リール収容部120は、キャリアテープ200が巻回された円盤状のテープリール240を収容する部位である。キャリアテープ200は、リール収容部120に収容されたテープリール240から引き出されてテープ送りガイド111により案内される。テープ送りガイド111は、リール収容部120とテープ送り機構部130との間でキャリアテープ200を案内するテープ経路を形成している。
【0020】
テープ送り機構部130は、フィーダ本体110の前端側に配置されている。テープ送り機構部130は、テープリール240から引き出されたキャリアテープ200をピッチ送りする機構部である。テープ送り機構部130は、スプロケット131と、モータ132と、第一テープ保持部133と、を有している。尚、テープ送り機構部130は、フィーダ本体110の前端側だけでなく、その後端側にも配置されていてよい。
【0021】
スプロケット131は、フィーダ本体110におけるテープ搬送路の下方に設けられた円盤状の部材である。スプロケット131は、フィーダ本体110の前端側に回転可能に取り付けられている。スプロケット131は、テープ送りガイド111により案内されているキャリアテープ200を搬送させる方向に回転する。スプロケット131は、外周面において径方向外側に向けて突出する外歯である係合突起を有している。この係合突起は、その外周全周に亘って所定角度ごとに設けられている。
【0022】
モータ132は、ギヤを介してスプロケット131に連結されている。モータ132は、スプロケット131を回転駆動させるサーボモータである。モータ132が回転すると、その回転がギヤを用いて減速されつつスプロケット131に伝達されることで、スプロケット131が回転駆動される。モータ132は、スプロケット131を間欠的に回転させる。スプロケット131が回転すると、その係合突起がテープ送りガイド111により案内されているキャリアテープ200の係合孔212に係合するので、スプロケット131の回転に伴ってキャリアテープ200がX方向に搬送される。そして、そのキャリアテープ200の搬送は、所定ピッチずつ行われる。
【0023】
第一テープ保持部133は、係合孔212にスプロケット131の係合突起が係合するキャリアテープ200を保持して案内するテープガイドである。第一テープ保持部133は、キャリアテープ200の上面を上方から覆う。第一テープ保持部133の上面には、窓孔が設けられていると共に、開口孔が設けられている。スプロケット131は、上端付近に達した係合突起が窓孔を通じてテープ搬送路上に突出するように配置される。係合突起は、テープ搬送路上に突出した状態でキャリアテープ200の係合孔212に係合する。上記の開口孔は、部品取出位置Lに設けられている。
【0024】
図5に示す如く、第一テープ保持部133の上面には、カバーテープ剥離部136が設けられている。カバーテープ剥離部136は、上記開口孔の搬送方向上流縁部に設けられている。カバーテープ剥離部136は、キャリアテープ200の搬送中においてカバーテープ220をテープフィーダ100の搬送方向上流側に引っ張るときの支点となる。カバーテープ220は、カバーテープ剥離部136を支点にしてテープフィーダ100の搬送方向上流側に引っ張られることにより、ベーステープ210から引き剥がされる。
【0025】
第一テープ保持部133には、回転支点133aが設けられている。回転支点133aは、第一テープ保持部133の後端側が上方へ移動可能となるように前端部に配置されている。第一テープ保持部133の後端部には、作業者が操作可能なレバー138が突設されている。
【0026】
第一テープ保持部133の後端部とフィーダ本体110との間には、その第一テープ保持部133の後端側を下方に付勢する付勢部材(図示せず)が組み付けられている。第一テープ保持部133は、レバー138が持ち上げられていないときは、スプロケット131との間でキャリアテープ200を保持することが可能である。一方、第一テープ保持部133は、レバー138が付勢部材の付勢力に抗して持ち上げられているときは、スプロケット131との間におけるキャリアテープ200の保持を解除することが可能である。
【0027】
テープフィーダ100は、また、カバーテープ送り出し機構部140を有している。カバーテープ送り出し機構部140は、フィーダ本体110の中央下部に配置されている。カバーテープ送り出し機構部140は、ベーステープ210から剥離されたカバーテープ220をキャリアテープ200が搬送されるX方向とは反対の方向に送り出す機構部である。カバーテープ送り出し機構部140は、ギヤ141と、モータ142と、第二テープ保持部143と、を有している。
【0028】
ギヤ141は、フィーダ本体110の中央下部に回転可能に取り付けられている。ギヤ141には、モータ142が連結されている。モータ142は、ギヤ141を回転駆動させるサーボモータである。第二テープ保持部143は、送り出すカバーテープ220を、フィーダ本体110から外れないように保持する部位である。第二テープ保持部143は、
図6に示す如く、ギヤ144と、アーム145と、レバー146と、コイルバネ147と、を有している。
【0029】
ギヤ144は、上記のギヤ141と噛合している。アーム145には、回転支点145aが設けられている。アーム145は、回転支点145aを中心にしてギヤ144をギヤ141側に移動させることが可能となるように形成されている。レバー146は、アーム145から下方へ突出している。コイルバネ147は、レバー146を介してアーム145をギヤ141側に付勢する付勢力を発生する。第二テープ保持部143は、レバー146が移動されていないときは、コイルバネ147の付勢力によりギヤ144をギヤ141と噛合させてカバーテープ220を保持する。一方、第二テープ保持部143は、レバー146がコイルバネ147の付勢力に抗して移動されたときは、ギヤ144をギヤ141から離間させてカバーテープ220の保持を解除する。
【0030】
テープフィーダ100は、また、カバーテープ送りガイド150を有している。カバーテープ送りガイド150は、テープフィーダ100のカバーテープ剥離部136とカバーテープ送り出し機構部140との間に設けられている。カバーテープ送りガイド150は、カバーテープ剥離部136を支点にして剥離されたカバーテープ220をカバーテープ送り出し機構部140に案内する。
【0031】
カバーテープ送りガイド150は、一対のガイドローラ151,152により構成されている。ガイドローラ151,152は、テープ送りガイド111上に案内されるキャリアテープ200よりも上方に配置されている。テープフィーダ100の前端側に配置されたガイドローラ151は、カバーテープ220の弛みを防止するためにカバーテープ220に張力を付与する役割を有している。
【0032】
キャリアテープ200は、X方向へ搬送されるうえで、まず、テープリール240から引き出されてテープフィーダ100のテープ送りガイド111により案内されて第一テープ保持部133に保持される。そして、キャリアテープ200は、第一テープ保持部133に保持された状態でモータ132の回転によりX方向へ搬送される。キャリアテープ200は、その搬送中、ベーステープ210からカバーテープ220が剥離された状態になる。
【0033】
カバーテープ220は、ベーステープ210から剥離された後、第一テープ保持部133から第二テープ保持部143に至るまで、一対のガイドローラ151,152を経由した経路(以下、廃棄経路と称す。)で取り回される。そして、そのカバーテープ220は、その第二テープ保持部143に保持された状態で、上記モータ132の回転と同期したモータ142の回転によりフィーダ本体110の外方(具体的には、第二テープ保持部143の下方)へ廃棄される。
【0034】
4.テープ自動装填システムの構成
図1及び
図7-
図12を用いて、テープ自動装填システム1の構成について説明する。テープ自動装填システム1は、フィーダ保持台10に保持されたテープフィーダ100に装填されたキャリアテープ200のベーステープ210からカバーテープ220を剥離し、その剥離されたカバーテープ220をフィーダ本体110の外方へ誘導する。
【0035】
テープ自動装填システム1は、
図1に示す如く、フィーダ保持台10と、第一テープ搬送装置20と、第二テープ搬送装置30と、第一開放装置40と、第二開放装置50と、仮テープ配策装置60と、剥離装置70と、把持装置80と、連結装置90と、仮テープ搬送装置68と、を備えている。
【0036】
フィーダ保持台10は、テープフィーダ100を保持する台座である。フィーダ保持台10は、
図7に示す如く、テープ自動装填システム1の基台2の中央部に配置されている。フィーダ保持台10は、載置部11と、当接部12と、を有している。載置部11は、テープフィーダ100のフィーダ本体110の底面が載置される部位である。載置部11は、フィーダ本体110の両側面の下部を挟持する一対の支持ガイドレール13を有している。当接部12は、フィーダ本体110の前端面が当接する部位である。当接部12は、テープフィーダ100に対して通信可能かつ電力供給可能な通信ジャック14、及び、テープフィーダ100を位置決めする位置決め部15と、を有している。
【0037】
第一テープ搬送装置20及び第二テープ搬送装置30はそれぞれ、キャリアテープ200をX方向へ搬送させる装置である。第一テープ搬送装置20と第二テープ搬送装置30とは、基台2上において、フィーダ保持台10に保持されたテープフィーダ100を挟んだ斜向かいに配置されている。第一テープ搬送装置20及び第二テープ搬送装置30はそれぞれ、基台2上において、フィーダ保持台10に保持されたテープフィーダ100を両側から挟むY方向に進退することが可能である。
【0038】
第一テープ搬送装置20は、
図8に示す如く、ガイド21と、二つの駆動ローラ22と、二つの従動ローラ23と、二つのギヤモータ24と、を有している。ガイド21は、テープリール240から引き出されてX方向に搬送されるキャリアテープ200を案内する。二つの駆動ローラ22は、互いにX方向に離間して配置されている。二つの従動ローラ23はそれぞれ、対応の駆動ローラ22の下方に配置されており、付勢部材(図示せず)で対応の駆動ローラ22側に付勢されている。二つのギヤモータ24はそれぞれ、対応の駆動ローラ22を回転駆動させる。ガイド21は、後端側のローラ22,23よりも後方側、二対のローラ22,23の間、及び前端側のローラ22,23よりも前方側にそれぞれ、上下一対で配置されている。
【0039】
第一テープ搬送装置20は、支持台25に載置固定されている。支持台25は、基台2上に一対のレール26を介してY方向にスライド可能に取り付けられている。一対のレール26は、基台2上に所定間隔を空けてそれぞれY方向に延在するように設けられている。支持台25は、基台2に固定されたエアシリンダ27に接続されている。エアシリンダ27は、外部のエア供給源(図示せず)に接続されている。支持台25は、エアシリンダ27のエアによる伸縮により基台2上で一対のレール26に沿ってY方向へスライドすることが可能である。
【0040】
第一テープ搬送装置20は、また、センサ28を備えている。センサ28は、キャリアテープ200が差し込まれたことを検知するためのセンサである。センサ28は、駆動ローラ22よりも搬送方向上流側に配置されている。センサ28は、支持台25に取り付けられた支持板29に支持されている。センサ28の出力信号は、駆動ローラ22,32及びスプロケット131を回転させるためのトリガ信号として用いられる。
【0041】
第二テープ搬送装置30は、
図9に示す如く、ガイド31と、二つの駆動ローラ32と、二つのギヤモータ33と、を有している。ガイド31は、上記のガイド21よりもX方向の搬送方向下流側に配置されている。ガイド31は、X方向に搬送されるキャリアテープ200を案内する。二つの駆動ローラ32は、互いにX方向に離間して配置されている。二つのギヤモータ33はそれぞれ、対応の駆動ローラ32を回転駆動させる。ガイド31は、後端側の駆動ローラ32よりも後方側、二つの駆動ローラ32の間、及び前端側の駆動ローラ32よりも前方側にそれぞれ配置されている。
【0042】
第二テープ搬送装置30は、支持台35に載置固定されている。支持台35は、基台2上に一対のレール36を介してY方向にスライド可能に取り付けられている。一対のレール36は、基台2上に所定間隔を空けてそれぞれY方向に延在するように設けられている。支持台35は、基台2に固定されたエアシリンダ37に接続されている。エアシリンダ37は、外部のエア供給源(図示せず)に接続されている。支持台35は、エアシリンダ37のエアによる伸縮により基台2上で一対のレール36に沿ってY方向へスライドすることが可能である。
【0043】
上記の如くフィーダ保持台10にテープフィーダ100が保持されかつ第一及び第二テープ搬送装置20,30がそのテープフィーダ100に接近するY方向にスライドされた状態では、そのテープフィーダ100により搬送されるキャリアテープ200は、第一テープ搬送装置20の上下一対のガイド21の間隙を通って案内されると共に、第二テープ搬送装置30のガイド31とテープフィーダ100のテープ送りガイド111との間隙を通って案内される。
【0044】
第一開放装置40及び第二開放装置50はそれぞれ、テープフィーダ100の第一テープ保持部133によるキャリアテープ200の保持又は第二テープ保持部143によるカバーテープ220の保持を解除して開放する装置である。第一開放装置40及び第二開放装置50はそれぞれ、基台2上において、フィーダ保持台10に保持されたテープフィーダ100に対して第二テープ搬送装置30側に配置されている。第一開放装置40及び第二開放装置50はそれぞれ、基台2上において、フィーダ保持台10に保持されたテープフィーダ100に向けて(すなわちY方向に)進退することが可能である。
【0045】
第一開放装置40は、
図9に示す如く、第一リフトレバー41と、支持体42と、エアシリンダ43と、を有している。第一リフトレバー41は、第一テープ保持部133のレバー138に当接してそのレバー138をZ方向に昇降させることが可能である。支持体42は、第一リフトレバー41の先端がテープフィーダ100側に突出するように第一リフトレバー41を支持している。エアシリンダ43は、第二テープ搬送装置30の支持台35上に固定されている。エアシリンダ43は、エア供給源からのエアにより、支持体42をZ方向に移動させて第一リフトレバー41を昇降させることが可能である。
【0046】
第二開放装置50は、
図9に示す如く、第二リフトレバー51と、支持体52と、エアシリンダ53と、を有している。第二リフトレバー51は、第二テープ保持部143のレバー146に当接してそのレバー146をX方向に移動させることが可能である。支持体52は、第二リフトレバー51の先端がテープフィーダ100側に突出するように第二リフトレバー51を支持している。エアシリンダ53は、支持台55上に固定されている。エアシリンダ53は、エア供給源からのエアにより、支持体52をX方向に移動させて第二リフトレバー51をX方向に移動させることが可能である。
【0047】
支持台55は、基台2上に一対のレール56を介してY方向にスライド可能に取り付けられている。一対のレール56は、基台2上に所定間隔を空けてそれぞれY方向に延在するように設けられている。支持台55は、基台2に固定されたエアシリンダ57に接続されている。エアシリンダ57は、外部のエア供給源(図示せず)に接続されている。支持台55は、エアシリンダ57のエアによる伸縮により基台2上で一対のレール56に沿ってY方向へスライドすることが可能である。
【0048】
仮テープ配策装置60は、仮テープ300をカバーテープ220の廃棄経路に倣った経路に沿って配策する装置である。仮テープ配策装置60は、
図1に示す如く、基台2上において、フィーダ保持台10に保持されたテープフィーダ100のカバーテープ送り出し機構部140が露呈している側(例えば、X方向に見てテープフィーダ100よりも右側)に配置されている。仮テープ配策装置60は、基台2上において、フィーダ保持台10に保持されたテープフィーダ100に向けて(すなわちY方向に)進退することが可能である。
【0049】
仮テープ300は、テープリール240に巻回されているキャリアテープ200とは異なるテープである。仮テープ300は、仮テープ配策装置60に装着される仮テープリール310に巻回されている。仮テープ300は、仮テープリール310から引き出された後に、キャリアテープ200のベーステープ210から剥離されたカバーテープ220に連結される。そして、仮テープ300は、テープフィーダ100に移載され、その後に仮テープリール310に巻き戻される。仮テープ300は、カバーテープ220と同じ形状で同じ素材により形成されている。
【0050】
仮テープ配策装置60は、
図10に示す如く、本体プレート61と、移送部62と、第一押出部63と、第二押出部64と、を有している。本体プレート61は、略矩形状に形成された平板部材である。本体プレート61は、三つの案内孔61a,61b,61cを有している。案内孔61a,61b,61cは、同心円上でそれぞれ円弧状に形成されている。本体プレート61には、外側支持ピン機構部61d及び一対の仮テープ支持ローラ61eがそれぞれ取り付けられている。外側支持ピン機構部61dは、仮テープ300を外側から接触して支持する。仮テープ支持ローラ61eは、仮テープリール310から引き出された仮テープ300を案内支持する。
【0051】
移送部62は、本体プレート61の背面側(すなわち、フィーダ保持台10側とは反対側)に配置されている。移送部62は、回転支点62aにより案内孔61aの円弧中心において回転可能に支持されている。移送部62の先端部には、把持爪62bが設けられている。把持爪62bは、本体プレート61において最大径を有する案内孔61aの縁部に支持されている。把持爪62bは、本体プレート61の正面側(すなわち、フィーダ保持台10側)で仮テープ300を把持することが可能である。
【0052】
移送部62には、アーム62cが固定されている。アーム62cは、移送部62における回転支点62aと把持爪62bとの間から周方向に向けて延びている。アーム62cは、移送部62に対して一方側(
図10において下方側)に位置している。アーム62cの先端部には、二つの接触ローラ62eが回転可能に支持されている。接触ローラ62eはそれぞれ、本体プレート61において中間径を有する案内孔61bの縁部に支持されている。接触ローラ62eはそれぞれ、本体プレート61の正面側に突出している。
【0053】
移送部62には、アーム62dが固定されている。アーム62dは、移送部62における回転支点62aと把持爪62bとの間から周方向に向けて延びている。アーム62dは、移送部62に対して他方側(
図10において上方側)に位置している。アーム62dの先端部には、接触ローラ62fが回転可能に支持されている。接触ローラ62fは、本体プレート61において最小径を有する案内孔61cの縁部に支持されている。接触ローラ62fは、本体プレート61の正面側に突出している。
【0054】
移送部62が駆動モータ(図示せず)により回転されると、把持爪62bにより把持されている仮テープ300の先端部が、案内孔61aに沿って移送される。具体的には、移送部62が初期角度から所定の移送完了角度まで回転する過程で、その仮テープ300の先端部が、テープフィーダ100の第二テープ保持部143に対応する第一位置と、テープフィーダ100のガイドテープ送りガイド150に対応する第二位置と、を経由して、テープフィーダ100の第一テープ保持部133に対応する第三位置に移送される。
【0055】
第一押出部63は、本体プレート61の正面側に配置されている。第一押出部63は、本体プレート61に回転支点63aで回転可能に支持されている。第一押出部63は、付勢部材(図示せず)により回転支点63aを中心にして周方向一方(
図10に示す時計回り方向)に付勢されており、初期状態において移送部62の接触ローラ62fと接触した状態に維持されている。第一押出部63の正面側には、内側支持ピン機構部63b及び二つの案内ピン63cがそれぞれ取り付けられている。内側支持ピン機構部63b及び案内ピン63cはそれぞれ、仮テープ300を内側から接触して支持する。
【0056】
第二押出部64は、本体プレート61の正面側に配置されている。第二押出部64は、本体プレート61に回転支点64aで回転可能に支持されている。第二押出部64は、弾性部材(図示せず)により回転支点64aを中心にして周方向一方(
図10に示す時計回り方向)に付勢されており、初期状態においては移送部62の接触ローラ62e,62fと接触することなく所定位相となる状態に維持されている。第二押出部64の正面側には、二つの案内ピン64bが配置されている。案内ピン64bはそれぞれ、仮テープ300を内側から接触して支持する。
【0057】
第一押出部63及び第二押出部64は、移送部62が仮テープ300の先端部を移送する際、それぞれ曲面状に形成された背面部が接触ローラ62e,62fと接触した状態で、周方向他方(
図10に示す反時計回り方向)に回転する。この場合、第一押出部63の内側支持ピン機構部63b及び各案内ピン63c、並びに、第二押出部64の各案内ピン64bは、本体プレート61の外周側へ移動する。
【0058】
すなわち、第一押出部63及び第二押出部64は、移送部62の回転に連動して、移送部62の移送により引っ張られた仮テープ300の一部を外周側へ押し出す。この処理により、第一押出部63は、仮テープ300をカバーテープ220の廃棄経路に倣った経路に沿って配策する。また、第二押出部64は、仮テープ300におけるカバーテープ220と連結される部位をカバーテープ220の先端部に対向させる対向部を形成する。
【0059】
仮テープ配策装置60において、初期状態(すなわち、移送部62の回転支点62aを中心にした回転角度がゼロである状態)は、
図10に示す如く、移送部62の把持爪62bが一対の仮テープ支持ローラ61eから突出している仮テープ300の先端部を把持しつつ、第一押出部63及び第二押出部64がそれぞれ初期角度に維持されている。
【0060】
上記の初期状態から移送部62が回転駆動されると、把持爪62bに把持されている仮テープ300が張力により仮テープリール310から順次引き出され、仮テープ300の先端部が一対の仮テープ支持ローラ61eを始点とし、上記の第一位置および第二位置を経由して移送される。移送部62が初期状態から約140°まで回転する過程では、移送部62の接触ローラ62eが第一押出部63に接触しかつ接触ローラ62fが第二押出部64に接触して、その移送部62の回転に伴って第一押出部63及び第二押出部64が連動して回転する。この際、第一押出部63の内側支持ピン機構部63b及び案内ピン63cは、仮テープ300を徐々に外周側へ押し出す。一方、この際、第二押出部64の案内ピン64bは、仮テープ300とは非接触状態にある。
【0061】
移送部62が更に回転駆動されると、仮テープ300の先端部が上記の第三位置まで移動される。かかる処理が実行されると、仮テープ300は、移送部62によりテープフィーダ100の第一テープ保持部133に対応する位置まで引き出される。そして、仮テープ300は、移送により張られた仮テープ300の一部が第一押出部63により更に押し出されつつ、カバーテープ220の廃棄経路に倣った経路に沿った形状に配策されて成形される。
【0062】
より具体的には、本体プレート61の外側支持ピン機構部61d及び第一押出部63の内側支持ピン機構部63bにより、仮テープ300は、S字状に湾曲した形状に成形される。そして、仮テープ300は、移送により張られた仮テープ300の一部が第二押出部64の案内ピン64bにより押し出されつつ、後に連結されるカバーテープ220に対向するように、U字状に成形される。このように、仮テープ配策装置60は、移送部62の回転により第一押出部63及び第二押出部64を連動して回転させることで、仮テープ300を廃棄経路に倣った所定形状に成形してその所定形状の経路に沿って配策する。
【0063】
仮テープ配策装置60は、支持台65に載置固定されている。支持台65は、基台2上に一対のレール66を介してY方向にスライド可能に取り付けられている。一対のレール66は、基台2上に所定間隔を空けてそれぞれY方向に延在するように設けられている。支持台65は、基台2に固定されたエアシリンダ67に接続されている。エアシリンダ67は、外部のエア供給源(図示せず)に接続されている。支持台65は、エアシリンダ67のエアによる伸縮により基台2上で一対のレール66に沿ってY方向へスライドすることが可能である。
【0064】
剥離装置70は、テープフィーダ100に装填されて第一テープ保持部133に保持されているキャリアテープ200のベーステープ210からカバーテープ220を剥離する装置である。剥離装置70で剥離されるキャリアテープ200は、ベーステープ210及びカバーテープ220の先端部のテープ端面同士が同一面をなすテープである。剥離装置70は、
図1及び
図12に示す如く、基台2上において、フィーダ保持台10に保持されたテープフィーダ100の前側(すなわちX方向側)に配置されている。剥離装置70は、基台2上において、フィーダ保持台10に保持されたテープフィーダ100に向けて(すなわちX方向に)進退することが可能である。
【0065】
剥離装置70は、剥離爪71と、支持体72と、エアシリンダ73と、を有している。剥離爪71は、テープフィーダ100の第一テープ保持部133により案内されるキャリアテープ200のベーステープ210とカバーテープ220との間に挿入可能な爪である。剥離爪71の上面は、剥離爪71の爪先でベーステープ210から剥離されたカバーテープ220がその上面に沿って進行するように水平に対して傾斜している。剥離爪71は、ベーステープ210からカバーテープ220を剥離する。キャリアテープ200は、ベーステープ210からカバーテープ220が剥離された後、ベーステープ210が剥離爪71の下方を通過しかつカバーテープ220が剥離爪71の上方を通過するように搬送される。
【0066】
支持体72及びエアシリンダ73は、剥離爪71を、第一テープ保持部133により案内されるキャリアテープ200のベーステープ210とカバーテープ220との間への挿入が可能な位置(以下、剥離位置と称す。)と、その挿入が不可能な位置(以下、退避位置と称す。)との間で移動させる移動装置を構成している。支持体72は、剥離爪71を支持する板状の部材である。剥離爪71は、支持体72からX方向におけるキャリアテープ200の搬送方向下流側に向けて突出している。エアシリンダ73は、支持台75上に固定されている。エアシリンダ73は、エア供給源からのエアにより、支持体72をZ方向に移動させて剥離爪71を剥離位置と退避位置との間で昇降させることが可能である。
【0067】
テープフィーダ100の第一テープ保持部133は、剥離爪71及び支持体72が下降したときにそれらの剥離爪71及び支持体72を支持する支持部133bを有している。支持部133bは、剥離爪71及び支持体72が当接して嵌るように凹んだ溝状に形成されている。例えば、支持部133bは、第一テープ保持部133の両側壁(すなわち、Y方向に離れた一対の側壁)の上辺がX方向において階段状になるように形成されている。支持部133bは、剥離爪71が嵌った状態でX方向及びY方向に相対移動するのを規制する。
【0068】
また、支持部133bは、剥離爪71及び支持体72が嵌った状態で、その剥離爪71が、第一テープ保持部133に保持されながらX方向に搬送されるキャリアテープ200のベーステープ210とカバーテープ220との間に挿入されるように形成されている。例えば、支持部133bは、第一テープ保持部133の両側壁の上辺に剥離爪71及び支持体72が当接したときにその剥離爪71の爪先の高さがキャリアテープ200のベーステープ210とカバーテープ220との境界の高さに位置するように形成されている。
【0069】
剥離装置70は、支持台75に載置固定されている。支持台75は、基台2上に一対のレール76を介してX方向にスライド可能に取り付けられている。一対のレール76は、基台2上に所定間隔を空けてそれぞれX方向に延在するように設けられている。支持台75は、基台2に固定されたエアシリンダ77に接続されている。エアシリンダ77は、外部のエア供給源(図示せず)に接続されている。支持台75は、エアシリンダ77のエアによる伸縮により基台2上で一対のレール76に沿ってX方向へスライドすることが可能である。
【0070】
把持装置80は、剥離装置70によりベーステープ210から剥離されたカバーテープ220の先端部を把持する装置である。把持装置80は、
図1に示す如く、基台2上において、フィーダ保持台10に保持されたテープフィーダ100に対して第二テープ搬送装置30側に配置されている。把持装置80はそれぞれ、基台2上において、フィーダ保持台10に保持されたテープフィーダ100に向けて(すなわちY方向に)進退することが可能である。
【0071】
把持装置80は、把持爪81と、支持体82と、を有している。把持爪81は、カバーテープ220の先端部を掴む爪である。把持爪81は、Y方向に延在している。把持爪81は、
図11及び
図12に示す如く、固定爪81aと、可動爪81bと、からなる。固定爪81aと可動爪81bとは、互いにZ方向に対向して配置されている。固定爪81aは、支持体82に取り付け固定されている。可動爪81bは、支持体82に昇降可能に支持された可動部83に支持されている。固定爪81aと可動爪81bとは、互いに離接可能に構成されている。
【0072】
固定爪81aの下面は、剥離装置70の支持体72の上面に嵌合可能な形状に形成されている。固定爪81aの上面は、ベーステープ210から剥離されたカバーテープ220がその上面に沿って進行するように、剥離爪71の形状に合わせて水平に対して傾斜した面を有している。また、固定爪81aの上面と可動爪81bの下面とは、カバーテープ220を把持できるように互いに対応した形状に形成されている。可動爪81bは、可動部83により支持体82に対して昇降される。
【0073】
支持体82は、支持プレート84に対して移動可能に支持されている。具体的には、支持体82は、支持プレート84に対する下部領域ではZ方向に昇降すると共に、支持プレート84に対する上部領域ではY方向(すなわち、キャリアテープ200の幅方向)に延びる軸を中心にして旋回移動する。支持プレート84は、略矩形状に形成された平板部材である。支持プレート84は、支持台85に立設するように配置されている。
【0074】
支持プレート84は、支持孔84aと、案内孔84bと、を有している。支持孔84aは、Z方向に延在している。また、案内孔84bは、下部でZ方向に延在しかつ上部で半円弧状に延在するように形成されている。支持体82には、Y方向に延在する移送ロッド88が連結固定されている。移送ロッド88は、支持孔84aを貫通して支持孔84aの縁部に支持されており、エアシリンダ(図示せず)などの駆動源によりZ方向に移動可能である。移送ロッド88は、Y方向に延びる軸を中心にして回動可能である。支持体82には、Y方向に軸が延在して回転可能な案内ローラ89が設けられている。案内ローラ89は、案内孔84bの縁部に支持されている。
【0075】
支持体82ひいては把持爪81は、支持プレート84に対して、支持孔84aでの移送ロッド88の昇降に合わせて移動される。具体的には、案内ローラ89が案内孔84bの下部に位置するときは移送ロッド88の昇降に合わせてZ方向に昇降され、一方、案内ローラ89が案内孔84bの上部に位置するときは移送ロッド88の昇降に合わせてY方向に延びる軸を中心にして旋回移動される。
【0076】
支持体82並びにその支持体82を支持プレート84に対して移動させる移送ロッド88、案内ローラ89、及びエアシリンダなどは、把持爪81を、ベーステープ210から剥離されたカバーテープ220の把持が可能な位置(以下、把持位置と称す。)と、その把持が不可能な位置(具体的には、そのカバーテープ220を仮テープ300に連結させる位置;以下、連結位置と称す。)との間で移動させる移動装置を構成している。把持爪81は、案内ローラ89が案内孔84bの下部の最下端に位置するときに把持位置に位置し、案内ローラ89が案内孔84bの上部の最遠端に位置するときに連結位置に位置する。
【0077】
把持装置80(具体的には、支持プレート84)は、支持台85に載置固定されている。支持台85は、基台2上に一対のレール86を介してY方向にスライド可能にかつレール(図示せず)を介してZ方向にスライド可能に取り付けられている。一対のレール86は、基台2上に所定間隔を空けてそれぞれY方向に延在するように設けられている。支持台85は、基台2に固定されたエアシリンダ87に接続されている。エアシリンダ87は、外部のエア供給源(図示せず)に接続されている。支持台85は、エアシリンダ87のエアによる伸縮により基台2上で一対のレール86に沿ってY方向へスライドすることが可能であると共に、エアシリンダのエアによる伸縮により基台2上でレールに沿ってZ方向へスライドすることが可能である。
【0078】
把持装置80は、カバーテープ220の把持前は第二押出部64の回転を妨げないようにY方向又はZ方向に後退されており、その把持が要求された時に把持可能にY方向又はZ方向に前進される。固定爪81a及び可動爪81bは、上記の前進が完了するまでは互いに離間しており、その前進が完了した後、カバーテープ220の把持が可能になったときに可動爪81bの下降により互いに当接する。かかる当接がなされると、固定爪81aと可動爪81bとの間にカバーテープ220の先端部が挟まれて把持される。
【0079】
連結装置90は、把持装置80により把持されたカバーテープ220の先端部を、仮テープ配策装置60により上記の如く所定経路に沿って配策された仮テープ300の先端部に連結する装置である。この連結は、カバーテープ220と仮テープ300とが加熱接着されることにより実現される。連結装置90は、支持台65に固定された仮テープ配策装置60の本体プレート61に取り付けられている。
【0080】
連結装置90は、
図11に示す如く、テープ支持部材91と、加熱部材92と、を有している。尚、連結装置90のテープ支持部材91及び加熱部材92のうち少なくとも何れか一方は、上記の本体プレート61に代えて、支持台35に固定された第二テープ搬送装置30側に取り付けられるものとしてもよい。この場合、第二テープ搬送装置30側に取り付けられた連結装置90は、連結が要求された時にY方向へ前進される。
【0081】
テープ支持部材91は、カバーテープ220と仮テープ300との連結時に両テープ220,300の先端部同士を互いに重ねた状態で支持するテープ押さえである。テープ支持部材91は、矩形ブロック状に形成された部材である。テープ支持部材91は、金属や樹脂により形成されている。テープ支持部材91は、本体プレート61に装着されている。テープ支持部材91は、制御により本体プレート61に対してY方向へ進退することが可能である。テープ支持部材91は、仮テープ配策装置60が仮テープ300を所定経路に沿った状態に配策する前は第二押出部64の回転を妨げないように後退されており、仮テープ配策装置60による仮テープ300の配策完了後にテープ220,300を支持できるように前進される。
【0082】
加熱部材92は、テープ支持部材91との間でカバーテープ220の先端部と仮テープ300の先端部とを互いに重ね合わせた状態で挟み込むことによりカバーテープ220と仮テープ300とを加熱接着する部材である。加熱部材92は、アーム状に形成された部材である。加熱部材92は、本体プレート61に装着されている。加熱部材92は、制御により本体プレート61に対してX方向へ進退することが可能である。
【0083】
加熱部材92は、本体プレート61において仮テープ配策装置60の第二押出部64の回転位置に対して重なるように配置されている。この配置位置は、テープ支持部材91が前進した位置でそのテープ支持部材91にX方向で対向する位置である。加熱部材92は、X方向への進退により、前進位置にあるテープ支持部材91と離接可能である。加熱部材92は、上記の加熱接着前はテープ支持部材91から離間しており、その加熱接着が要求された時にX方向へ前進してテープ支持部材91に当接する。加熱部材92は、制御によりテープ支持部材91に対向する面部が所定温度(例えば170℃)まで昇温されることが可能である。
【0084】
仮テープ搬送装置68は、連結装置90によるカバーテープ220と仮テープ300との連結後にその仮テープ300を戻り方向に搬送してそのカバーテープ220を廃棄位置へ誘導する装置である。連結装置90によりカバーテープ220の先端部に連結された仮テープ300は、仮テープ配策装置60からテープフィーダ100へ移載された後、仮テープ搬送装置68により戻り方向に搬送される。仮テープ搬送装置68による仮テープ300の搬送は、仮テープリール310が、仮テープ300の引き出し方向とは逆方向(図における時計回り方向)に回転されることにより実現される。
【0085】
5.テープ自動装填システムの動作
図13-
図17を用いて、テープ自動装填システム1の動作について説明する。
テープ自動装填システム1において、初期状態では、
図1に示す如く、第一テープ搬送装置20、第二テープ搬送装置30、第一開放装置40、第二開放装置50、仮テープ配策装置60、剥離装置70、及び把持装置80の何れも、フィーダ保持台10から離間している。また、仮テープ配策装置60は、上述した動作により予め、仮テープ300をカバーテープ220の廃棄経路に倣った経路形状に成形して保持している。尚、仮テープ配策装置60による仮テープ300の成形乃至保持は、連結装置90によるカバーテープ220との連結までに行われていればよく、例えば、テープフィーダ100によるキャリアテープ200の搬送と同時に行われてもよい。
【0086】
上記の初期状態において、作業者は、テープフィーダ100をフィーダ保持台10にセットする。具体的には、フィーダ本体110の底面を載置部11上に載置して一対の支持ガイドレール13間に挟持させ、フィーダ本体110の位置決めピン及び通信コネクタを当接部12の位置決め部15及び通信ジャック14にそれぞれ差し込む。そして、テープリール240をリール収容部120に取り付け、テープ自動装填システム1の制御装置に設けられているフィーダセット完了ボタンを押す。
【0087】
かかるフィーダセット完了ボタンが押下されると、まず、第一テープ搬送装置20及び第二テープ搬送装置30それぞれがフィーダ保持台10に接近するY方向にスライド(前進)される。そして、第一テープ搬送装置20及び第二テープ搬送装置30それぞれが、ガイド21,31のY方向の位置がテープフィーダ100のテープ送りガイド111のY方向の位置と等しくなるように位置決めされる。
【0088】
上記の如く第二テープ搬送装置30がY方向に前進されたときは、その前進に伴って第一開放装置40がY方向に前進される。第一開放装置40がY方向に前進されると、第一開放装置40の第一リフトレバー41がテープフィーダ100の第一テープ保持部133のレバー138に対して作動許容側に差し込まれる。その状態で第一開放装置40の支持体42がZ方向に上昇されると、第一リフトレバー41が第一テープ保持部133のレバー138を持ち上げる。レバー138が持ち上げられると、第一テープ保持部133が回転支点133aを中心に上方へ回転するので、その第一テープ保持部133とスプロケット131との間隙が大きくなり、その間へのキャリアテープ200の挿入が可能になる。
【0089】
ここで、作業者は、リール収容部120に収容されたテープリール240からキャリアテープ200を引き出し、そのキャリアテープ200の先端部(具体的には、互いに接合されたベーステープ210及びカバーテープ220のテープ端面同士が同一面をなしている先端部)を第一テープ搬送装置20のガイド21の後端部に差し込む。
【0090】
上記の差し込みが行われると、センサ28によりキャリアテープ200の先端部が検出される。キャリアテープ200の先端部が検出された場合、第一テープ搬送装置20のギヤモータ24及び第二テープ搬送装置30のギヤモータ33並びにテープフィーダ100のモータ132が駆動される。かかるモータ24,33,132が駆動されると、キャリアテープ200が、X方向へ送り出されてガイド21,31及びテープ送りガイド111により案内され、第一テープ保持部133とスプロケット131との間隙を通過する位置まで搬送される。
【0091】
キャリアテープ200が第一テープ保持部133まで搬送された場合は、各モータ24,33,132が駆動停止されると共に、第一開放装置40の支持体42及び第一リフトレバー41が下降されて第一テープ保持部133のレバー138が下がる。レバー138が下がると、第一テープ保持部133が回転支点133aを中心に下方へ回転するので、その第一テープ保持部133とスプロケット131との間にキャリアテープ200が保持された状態になる。
【0092】
また、フィーダセット完了ボタンが押下されると、
図13に示す如く、剥離装置70がフィーダ保持台10に接近するX方向に前進され、その前進後に剥離装置70の支持体72がZ方向に下降されることにより、剥離爪71が、第一テープ保持部133におけるベーステープ210からカバーテープ220を剥離できる剥離可能位置(すなわち、支持部133b)にセットされる。次に、剥離装置70の剥離爪71が剥離可能位置にセットされた以後に、
図14及び
図15に示す如く、把持装置80がフィーダ保持台10に接近するY方向に前進されると共に、把持装置80の支持体82がZ方向に下降されることにより、把持爪81が剥離爪71の上面に当接してカバーテープ220を把持できる把持位置にセットされる。このセット完了時点では、把持爪81の固定爪81aと可動爪81bとは、互いに離間している。
【0093】
上記の如く第一テープ保持部133とスプロケット131との間にキャリアテープ200が保持されかつ剥離爪71の上方への把持爪81のセットが完了すると、モータ132が駆動される。モータ132が駆動されると、スプロケット131が回転されることで、第一テープ保持部133内のキャリアテープ200がX方向に搬送される。キャリアテープ200がX方向に搬送されると、やがてそのキャリアテープ200の先端部において互いに接合されているベーステープ210とカバーテープ220の間に剥離爪71の爪先が挿入される。かかる挿入が生じると、カバーテープ220がベーステープ210から剥離される。
【0094】
カバーテープ220は、ベーステープ210から剥離された後、
図16に示す如く、把持爪81における互いに離間した固定爪81aと可動爪81bとの間に進入する。この進入後、可動部83が支持体82に対して下降されることで、可動爪81bと固定爪81aとの間にカバーテープ220が把持される(
図17参照)。かかる把持爪81によるカバーテープ220の把持後、移送ロッド88がZ方向に上昇されることで、カバーテープ220が、第一テープ保持部133から上方へ引き延ばされると共に、その後、支持体82の約90°の回転により把持爪81からX方向へ突出した状態から把持爪81からZ方向の上方へ突出した状態に折り返される。この際、モータ132は、移送ロッド88の上昇に同期してキャリアテープ200が送り方向に搬送されるように駆動される。
【0095】
また、上記の如く第一テープ保持部133とスプロケット131との間にキャリアテープ200が保持されかつ剥離爪71の上面への把持爪81のセットが完了した場合は、第一テープ搬送装置20及び第二テープ搬送装置30それぞれがフィーダ保持台10から離間するY方向にスライド(後退)されると共に、第二開放装置50がフィーダ保持台10に接近するY方向に前進される。この場合には、第二開放装置50の第二リフトレバー51がテープフィーダ100の第二テープ保持部143のレバー146に対して作動許容側に差し込まれる。
【0096】
そして、第二リフトレバー51がレバー146に対して作動許容側に差し込まれた状態で第二開放装置50の支持体52がX方向に前進されると、第二リフトレバー51により第二テープ保持部143のアーム145がフィーダ本体110の後端側において回転支点145aを中心にして回転される。この場合は、第二テープ保持部143のギヤ144がカバーテープ送り出し機構部140のギヤ141から離間するので、そのギヤ144とギヤ141とが開放されて、そのギヤ間へのカバーテープ220の挿入が可能になる。
【0097】
上記の如くギヤ144とギヤ141とが開放されると、次に、仮テープ配策装置60がフィーダ保持台10に接近するY方向にスライド(前進)される。この際、仮テープ配策装置60は、仮テープ300をカバーテープ220の廃棄経路に倣った経路に沿った形状に予め成形して保持している状態にある。かかる前進が行われると、仮テープ配策装置60が、仮テープ配策装置60にて保持している仮テープ300のY方向の位置がテープフィーダ100に保持されているキャリアテープ200のY方向の位置と等しくなるように位置決めされる。
【0098】
この位置決めは、把持爪81によりテープフィーダ100の第一テープ保持部133から上方へ引き延ばされたカバーテープ220の前方(すなわち、X方向の搬送方向下流側)に仮テープ300の先端部が位置して、両テープ220,300同士が対向するように行われる。更に、この位置決めは、仮テープ300のうち第一押出部63の二つの案内ピン63cの間に位置する部位がカバーテープ送り出し機構部140のギヤ141と第二テープ保持部143のギヤ144との間隙を通過するように行われる。そして、この位置決めは、仮テープ300のうち、外側支持ピン機構部61d及び内側支持ピン機構部63bによりS字状に湾曲した部位がテープフィーダ100におけるカバーテープ送りガイド150の二つのガイドローラ151,152の間隙を通過するように行われる。
【0099】
また、連結装置90は、仮テープ配策装置60のY方向への前進に伴ってY方向へ前進される。連結装置90がY方向へ前進されると、更にテープ支持部材91がY方向へテープ220,300を支持可能に前進される。そして、仮テープ配策装置60が位置決めされかつ連結装置90の前進が完了すると、次に、加熱部材92がテープ支持部材91との間にテープ220,300を挟み込むまでX方向へ前進される。かかる前進が行われると、カバーテープ220と仮テープ300とが互いに重なり合った状態で加熱部材92とテープ支持部材91との間で挟み込まれる。
【0100】
加熱部材92が昇温された状態で上記の如くカバーテープ220と仮テープ300とが加熱部材92とテープ支持部材91との間で挟み込まれると、そのカバーテープ220及び仮テープ300がその加熱部材92により加熱される。かかる加熱がなされると、カバーテープ220においてベーステープ210からの剥離時に剥離面に残存していた接着剤が加熱処理により軟化されて再度、接着剤として機能する。このため、カバーテープ220と仮テープ300とは、加熱部材92とテープ支持部材91とで挟み込まれた箇所にて接着剤により接着されて互いに連結される。
【0101】
カバーテープ220と仮テープ300とが互いに連結されると、次に、加熱部材92がX方向へ後退されてテープ支持部材91から離間すると共に、テープ支持部材91がY方向へ後退される。更に、移送部62の把持爪62bによる仮テープ300の把持が解除されると共に、把持装置80の把持爪81によるカバーテープ220の把持が解除される。そしてその後、仮テープ配策装置60が保持する仮テープ300がテープフィーダ100へ移載される。
【0102】
具体的には、上記した仮テープ300の移載は、まず、仮テープ配策装置60の移送部62が、初期状態から第三位置に到達するまでに回転した方向と同じ順方向に更に回転されることにより行われる。移送部62が順方向に回転されると、移送部62の接触ローラ62fが第二押出部64の背面部から外れることで、その第二押出部64が弾性部材により逆方向に回転されて初期状態に戻る。この際、仮テープ300は、連結されたカバーテープ220と一体となって、第一テープ保持部133を基点として180°折り返されてX方向の搬送方向上流側へ引かれつつ外側支持ピン機構部61dのピンによって支持される。
【0103】
そしてその後、仮テープ搬送装置68が、仮テープリール310を仮テープ300の引き出し方向とは逆方向に回転させて、第二押出部64が初期位置に戻るときに弛んだ仮テープ300を巻き取る。仮テープリール310が逆方向に回転されると、仮テープ300の張力増加によって、外側支持ピン機構部61d及び内側支持ピン機構部63bに保持されていた仮テープ300がテープフィーダ100のガイドローラ151,152に移載される。
【0104】
仮テープ300がテープフィーダ100に移載されると、次に、第二開放装置50がフィーダ保持台10から離間するY方向にスライドされる。かかるスライドが行われると、第二開放装置50の支持体52がコイルバネ147の付勢力によりX方向に移動されることで、第二テープ保持部143のアーム145がフィーダ本体110の前端側において回転支点145aを中心にして回転される。この場合は、第二テープ保持部143のギヤ144とカバーテープ送り出し機構部140のギヤ141とが噛合してその間に仮テープ300が保持される。
【0105】
そして、仮テープ配策装置60が、図示しないテープ切断機により、第二テープ保持部143と仮テープリール310との間で仮テープ300を切断する。この切断後、仮テープ300は、テープフィーダ100への移載が完了した状態になる。尚、このとき、仮テープ300は、搬送途中のキャリアテープ200と干渉し得るが、キャリアテープ200を跨ぐようにフィーダ本体110内に設けられた切欠き部に係止されることで、キャリアテープ200との干渉を防止することが可能である。
【0106】
上記の切断後、仮テープ配策装置60がフィーダ保持台10から離間するY方向へ後退される。また、上記の切断後、移送部62が初期角度に戻される。更に、モータ132が駆動されてスプロケット131が回転されることで、ベーステープ210に収容されている部品が頭出しされ、部品取出位置Lに位置決めされる。以上により、テープ自動装填システム1によるテープフィーダ100に対するキャリアテープ200の自動装填が終了される。
【0107】
尚、把持装置80におけるフィーダ保持台10から離間するY方向への後退、及び、剥離装置70におけるフィーダ保持台10から離間するX方向への後退は、把持爪81によるカバーテープ220の把持が解除された後に行われると共に、仮テープ配策装置60の動作に影響しない範囲及びカバーテープ220又は仮テープ300に干渉しない範囲で行われる。
【0108】
上記のテープ自動装填システム1においては、作業者により、フィーダ保持台10にセットされたテープフィーダ100のガイド21の後端部に、互いに接合されたベーステープ210及びカバーテープ220の先端部のテープ端面同士が同一面をなすキャリアテープ200が差し込まれた後、自動的に、そのキャリアテープ200をテープフィーダ100に装填することができる。
【0109】
具体的には、テープフィーダ100に差し込まれたキャリアテープ200を第一テープ搬送装置20及び第二テープ搬送装置30を用いてテープ送り機構部130の第一テープ保持部133まで搬送し、そのキャリアテープ200のベーステープ210とカバーテープ220との間に剥離装置70の剥離爪71を挿入してそのベーステープ210からカバーテープ220を剥離する。そして、その剥離されたカバーテープ220を、連結装置90を用いて仮テープ配策装置60によりカバーテープ220の廃棄経路に倣った経路に沿って配策された仮テープ300に連結し、仮テープ搬送装置68を用いてその仮テープ300を戻り方向に搬送してカバーテープ220をテープフィーダ100のフィーダ本体110の外方にある廃棄位置へ誘導する。これにより、ベーステープ210から剥離されたカバーテープ220がテープフィーダ100に移載される。
【0110】
従って、テープ自動装填システム1によれば、作業者が、互いに接合されたベーステープ210及びカバーテープ220の先端部のテープ端面同士が同一面をなすキャリアテープ200を、フィーダ保持台10にセットされたテープフィーダ100のガイド21の後端部に差し込むだけで、キャリアテープ200をテープフィーダ100に装填することができる。すなわち、キャリアテープ200をテープフィーダ100に装填するために、作業者がキャリアテープ200の先端部を所定形状に処理する作業などが不要である。このため、テープフィーダ100へのキャリアテープ200の装填を少ない前処理作業で実現することができる。
【0111】
また、剥離装置70の剥離爪71は、ベーステープ210からカバーテープ220を剥離する際に、第一テープ保持部133の両側壁の上辺に当接して支持部133bに嵌る。剥離爪71が支持部133bに嵌った状態(すなわち剥離位置)において、その剥離爪71の爪先の高さは、第一テープ保持部133に案内されるキャリアテープ200のベーステープ210とカバーテープ220との境界の高さに位置する。このため、キャリアテープ200が第一テープ保持部133に案内されながらX方向に搬送されるときに、確実にそのキャリアテープ200のベーステープ210とカバーテープ220との間に剥離爪71を挿入させることができ、ベーステープ210からのカバーテープ220の剥離の確実性を向上させることができる。
【0112】
更に、剥離爪71は、第一テープ保持部133に案内されるキャリアテープ200の先端部におけるベーステープ210とカバーテープ220との間への挿入が可能な剥離位置と、その挿入が不可能な退避位置との間で移動される。この移動は、第一テープ保持部133に案内されるキャリアテープ200の厚み方向すなわちZ方向に行われる。剥離爪71が支持部133bに嵌った状態(剥離位置)では、剥離爪71がX方向及びY方向に相対移動することは規制される。このため、剥離爪71を剥離位置で確実に保持しつつ、剥離装置70の移動時に剥離装置70が他の装置(例えば、Y方向にスライドされる第一テープ搬送装置20,30やテープフィーダ100)に干渉するのを回避することができる。
【0113】
また、把持装置80の把持爪81は、剥離装置70により剥離されたカバーテープ220の把持が可能な把持位置と、その把持が不可能な連結位置との間で移動される。この移動は、把持位置側ではキャリアテープ200の厚み方向すなわちZ方向に行われると共に、連結位置側ではキャリアテープ200の幅方向に延びる軸を中心にした旋回方向に行われる。このため、把持爪81を用いて把持位置でキャリアテープ200を確実に把持しつつ、把持装置80の移動時に把持装置80が他の装置(例えば、Y方向にスライドされる第一テープ搬送装置20,30や剥離装置70)に干渉するのを回避することができる。
【0114】
更に、把持爪81は、把持位置から連結位置にかけて、カバーテープ220をX方向の搬送方向下流側へ突出させた状態からカバーテープ220をZ方向の上方へ突出させた状態へ約90°回転する。この場合、カバーテープ220は、把持爪81からX方向の搬送方向下流側に延びる状態から把持爪81からX方向の搬送方向上流側に延びる状態へ姿勢変化する。そして、カバーテープ220は、把持爪81からX方向の搬送方向上流側に延びる連結位置で連結装置90を用いて仮テープ300に連結され、その後、X方向の搬送方向上流側へ折り返される。従って、カバーテープ220を適切に仮テープ300に連結させて廃棄経路に倣った経路で廃棄位置まで誘導することができる。
【0115】
尚、上記の実施形態においては、第一テープ保持部133が特許請求の範囲に記載した「テープガイド」に、支持体72及びエアシリンダ73が特許請求の範囲に記載した「第一移動装置」に、支持体82並びにその支持体82を支持プレート84に対して移動させる移送ロッド88、案内ローラ89、及び移送ロッド88を駆動するエアシリンダなどの駆動源が特許請求の範囲に記載した「第二移動装置」に、それぞれ相当している。
【0116】
ところで、上記の実施形態においては、剥離装置70が基台2上にX方向にスライド可能な支持台75に載置固定されて、剥離爪71が基台2に対してX方向にスライド可能であると共に、剥離爪71がその支持台75上にZ方向にスライド可能な支持体72に支持されて、剥離爪71が基台2に対してZ方向に昇降可能である。しかし、本開示は、これに限定されるものではなく、剥離爪71が三次元ロボットに取り付けられて、剥離爪71がX方向、Y方向、及びZ方向の何れにも移動可能であってよい。
【0117】
また、上記の実施形態においては、把持装置80が基台2上にY方向及びZ方向にスライド可能な支持台85に載置固定されて、把持爪81が基台2に対してY方向及びZ方向にスライド可能である。しかし、本開示は、これに限定されるものではなく、把持爪81が三次元ロボットに取り付けられて、把持爪81がX方向、Y方向、及びZ方向の何れにも移動可能であってよい。
【0118】
また、上記の実施形態においては、剥離爪71が、テープフィーダ100とは別体の、フィーダ保持台10に保持されるテープフィーダ100に対して進退する剥離装置70に設けられ、ベーステープ210からのカバーテープ220の剥離時にそのテープフィーダ100に接近した剥離位置まで前進される。しかし、本開示はこれに限定されるものではなく、
図18に示す如く、ベーステープ210からカバーテープ220を剥離する剥離爪71が、テープフィーダ100内に設けられたものであってもよい。
【0119】
更に、上記の実施形態においては、剥離装置70と把持装置80とがそれぞれ別体で設けられている。しかし、本開示は、これに限定されるものではなく、
図19に示す如く、剥離装置70と把持装置80とが互いに一体化された装置であってよい。
【0120】
尚、本開示は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0121】
1:テープ自動装填システム、2:基台、10:フィーダ保持台、60:仮テープ配策装置、68:仮テープ搬送装置、70:剥離装置、71:剥離爪、80:把持装置、81:把持爪、90:連結装置、100:テープフィーダ、130:テープ送り機構部、131:スプロケット、133:第一テープ保持部、200:キャリアテープ、210:ベーステープ、220:カバーテープ、300:仮テープ。