(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】リニアコンベア
(51)【国際特許分類】
H02K 41/02 20060101AFI20230919BHJP
H02K 41/03 20060101ALI20230919BHJP
B65G 54/02 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
H02K41/02 Z
H02K41/03 A
B65G54/02
(21)【出願番号】P 2021565199
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2019049358
(87)【国際公開番号】W WO2021124439
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】川内 基範
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/055709(WO,A1)
【文献】特開2002-191164(JP,A)
【文献】特開2005-134408(JP,A)
【文献】特開2002-354779(JP,A)
【文献】特開2002-289429(JP,A)
【文献】特開2001-339934(JP,A)
【文献】特開2015-032609(JP,A)
【文献】特開2013-046464(JP,A)
【文献】特開2013-099208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 41/02
H02K 41/03
B65G 54/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、前記コアに巻き回されたコイルとを有する固定子部を含むリニアモータ固定子と、
移動をガイドするガイドレールと、
永久磁石を有するリニアモータ可動子を含
み、前記ガイドレールの延びる方向に直交する前記ガイドレールの幅方向における前記コイルの磁束と前記永久磁石の磁束との相互作用によって前記ガイドレールによりガイドされて推進するスライダと
、
前記幅方向における磁束により、前記スライダの位置を検出する磁気センサと、
前記磁気センサと前記リニアモータ固定子との間に配置され、
前記幅方向において前記リニアモータ固定子から前記磁気センサに向かう
前記コイルにより発せられた磁束を遮る磁気遮蔽部材とを備える、リニアコンベア。
【請求項2】
前記磁気遮蔽部材は、前記リニアモータ固定子から
前記コイルにより発せられ
た磁束を引き込むことにより、前記リニアモータ固定子から前記磁気センサに向かう磁束を遮るように構成されている、請求項1に記載のリニアコンベア。
【請求項3】
前記磁気遮蔽部材は、前記ガイドレールの延びる方向に沿って延びる板状に形成されている、請求項1または2に記載のリニアコンベア。
【請求項4】
前記リニアモータ固定子、前記磁気遮蔽部材および前記磁気センサは、前記ガイドレールの延びる方向に直交する前記ガイドレールの
前記幅方向に沿って並んで配置され、
前記コアは、前記ガイドレールの
前記幅方向に沿って延びており、
板状の前記磁気遮蔽部材は、前記ガイドレールの
前記幅方向において、少なくとも前記固定子部の前記コアを覆う大きさを有している、請求項3に記載のリニアコンベア。
【請求項5】
前記ガイドレールの延びる方向と、前記ガイドレールの
前記幅方向とに直交する方向において、板状の前記磁気遮蔽部材の長さは、前記コアの長さより大きい、請求項4に記載のリニアコンベア。
【請求項6】
前記固定子部は、前記ガイドレールの延びる方向に沿って複数並んで配置され、
前記ガイドレールの延びる方向において、板状の前記磁気遮蔽部材は、複数の前記固定子部のうち端部に配置された前記固定子部の前記コアよりも外側に延びている、請求項4または5に記載のリニアコンベア。
【請求項7】
前記ガイドレールの延びる方向において、前記磁気遮蔽部材の一方側端部は、複数の前記固定子部のうち一方側端部に配置された前記固定子部の前記コアよりも一方側に延びているとともに、前記磁気遮蔽部材の他方側端部は、複数の前記固定子部のうち他方側端部に配置された前記固定子部の前記コアよりも他方側に延びている、請求項6に記載のリニアコンベア。
【請求項8】
前記磁気遮蔽部材を取り付ける締結部材をさらに備え、
前記磁気遮蔽部材は、前記締結部材が挿入される挿入孔を有し、
前記挿入孔の前記リニアモータ固定子側の縁部は、前記リニアモータ固定子側に向かって曲げられた挿入孔曲げ部を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のリニアコンベア。
【請求項9】
前記締結部材は、非磁性体により構成されている、請求項8に記載のリニアコンベア。
【請求項10】
前記磁気遮蔽部材は、前記リニアモータ固定子から前記磁気センサ側に向かって
前記コイルにより発せられ
た磁束を引き込むとともに、前記リニアモータ固定子側に放出するように構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載のリニアコンベア。
【請求項11】
前記ガイドレールの延びる方向と、前記ガイドレールの延びる方向に直交する前記ガイドレールの
前記幅方向とに直交する方向において、前記磁気遮蔽部材は、一方の端部が前記リニアモータ固定子側に向くように曲げられた第1曲げ部、および、他方の端部が前記リニアモータ固定子側に向くように曲げられた第2曲げ部のうち少なくともいずれかを含む、請求項10に記載のリニアコンベア。
【請求項12】
前記磁気遮蔽部材は、前記ガイドレールの延びる方向の一方側端部が前記リニアモータ固定子側に向くように曲げられた一方側曲げ部、および、前記ガイドレールの延びる方向の他方側端部が前記リニアモータ固定子側に向くように曲げられた他方側曲げ部のうち少なくともいずれかを含む、請求項10または11に記載のリニアコンベア。
【請求項13】
前記スライダは、前記磁気センサに対向するように配置され、前記磁気センサにより検出される磁束を放出する磁気スケールをさらに含み、
前記固定子部の前記コアは、前記磁気センサと前記磁気スケールとが対向する方向に沿って延びて配置され、
前記磁気遮蔽部材は、前記磁気センサと前記磁気スケールとが対向する方向において、前記コアと、前記磁気センサおよび前記磁気スケールとの間に配置されている、請求項1~12のいずれか1項に記載のリニアコンベア。
【請求項14】
前記リニアモータ固定子および前記ガイドレールを支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、前記磁気センサと前記リニアモータ固定子との間に設けられ、上方向に突出した取付壁を有し、
前記磁気センサは、前記取付壁における前記リニアモータ固定子側とは反対側の側面に取り付けられているとともに、前記磁気遮蔽部材は、前記磁気センサと共通の前記取付壁における前記リニアモータ固定子側の側面に取り付けられている、請求項1~13のいずれか1項に記載のリニアコンベア。
【請求項15】
前記固定子部は、前記ガイドレールの延びる方向に沿って複数並んで配置され、
複数の前記固定子部を所定の区間ごとに分けることにより設けられ、別個に通電制御される複数のユニット部材をさらに備え、
前記複数のユニット部材の各々は、前記磁気センサを含み、
前記磁気遮蔽部材は、前記複数のユニット部材の全てにわたって、前記磁気センサと前記固定子部との間に配置されている、請求項1~14のいずれか1項に記載のリニアコンベア。
【請求項16】
前記磁気遮蔽部材は、磁性体により構成されている、請求項1~15のいずれか1項に記載のリニアコンベア。
【請求項17】
磁性体としての前記磁気遮蔽部材は、鉄または鋼により形成されている、請求項16に記載のリニアコンベア。
【請求項18】
前記磁気遮蔽部材は、前記ガイドレールの延びる方向に沿って延びる板状に形成されているとともに、前記リニアモータ固定子の外周のうち、前記リニアモータ固定子の前記磁気センサ側の部分以外を覆わずに、前記リニアモータ固定子の前記磁気センサ側の部分を覆う、請求項3に記載のリニアコンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リニアコンベアに関し、特に、スライダの位置を検出する磁気センサを備えるリニアコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スライダの位置を検出する磁気センサを備えるリニアコンベアが知られている。このようなリニアコンベアは、たとえば、国際公開第2018/055709号に開示されている。
【0003】
上記国際公開第2018/055709号には、スライダの位置を検出する磁気センサを備えるリニアコンベア装置(リニアコンベア)が開示されている。リニアコンベア装置は、スライダと、リニアモータ固定子と、ガイドレールとを含んでいる。スライダは、リニアモータ可動子を有している。リニアモータ固定子は、コアと、コアに巻き回されたコイルとを含んでいる。コアは、上下方向およびガイドレールの延びる方向に直交する左右方向に延びている。磁気センサは、スライダの移動に伴う磁束の変化を検出する。
【0004】
上記国際公開第2018/055709号のスライダは、ガイドレールの延びる方向に移動可能な状態でガイドレールに支持されている。スライダは、リニアモータ固定子およびリニアモータ可動子により、ガイドレールの延びる方向に沿って移動する。スライダの上面は、基板などのワークの載置部である。
【0005】
このように、リニアコンベア装置では、磁気センサにより検出されるスライダの位置に基づいて、スライダを移動させることによりワークの載置部を所定位置まで移動させることによって、電子部品などの基板への実装作業が実行される。
【0006】
上記国際公開第2018/055709号のリニアコンベア装置では、磁気センサにより検出された磁束変化に基づいてスライダの位置が検出される。ここで、このリニアコンベア装置では、磁気センサがリニアモータ固定子において発せられる磁束を誤検出することを抑制するため、磁気センサにより検出する磁束の方向と、リニアモータ固定子から発せられる磁束の方向とが異なるように、磁気センサとリニアモータ固定子とが配置されている。また、磁気センサによる磁束の誤検出を抑制するために、リニアコンベア装置では、磁気センサとリニアモータ固定子との間隔を可能な限り大きくなように、磁気センサとリニアモータ固定子とを配置することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記国際公開第2018/055709号のリニアコンベア装置では、磁気センサによる磁束の誤検出を抑制するために、磁気センサにより検出する磁束の方向と、リニアモータ固定子から発せられる磁束の方向とが異なるように、磁気センサとリニアモータ固定子とをリニアコンベア装置内に配置する必要があるので、磁気センサおよびリニアモータ固定子の配置位置の自由度が制限される。また、上記国際公開第2018/055709号のリニアコンベア装置には開示されていないが、磁気センサによる磁束の誤検出を抑制するために、磁気センサとリニアモータ固定子との間隔を大きくする従来のリニアコンベア装置の場合でも、磁気センサとリニアモータ固定子との間隔に起因して磁気センサおよびリニアモータ固定子の配置位置の自由度が制限される。これらのため、上記国際公開第2018/055709号のリニアコンベア装置では、磁気センサによる磁束の誤検出を抑制しつつ、磁気センサおよびリニアモータ固定子の配置位置の自由度を向上させることにより、リニアコンベア装置(リニアコンベア)を小型化することが望まれている。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、磁気センサによる磁束の誤検出を抑制しつつ、磁気センサおよびリニアモータ固定子の配置位置の自由度を向上させることにより、リニアコンベアを小型化することが可能なリニアコンベアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の一の局面によるリニアコンベアは、コアと、コアに巻き回されたコイルとを有する固定子部を含むリニアモータ固定子と、移動をガイドするガイドレールと、永久磁石を有するリニアモータ可動子を含み、ガイドレールの延びる方向に直交するガイドレールの幅方向におけるコイルの磁束と永久磁石の磁束との相互作用によってガイドレールによりガイドされて推進するスライダと、幅方向における磁束により、スライダの位置を検出する磁気センサと、磁気センサとリニアモータ固定子との間に配置され、幅方向においてリニアモータ固定子から磁気センサに向かうコイルにより発せられた磁束を遮る磁気遮蔽部材とを備える。
【0011】
この発明の一の局面によるリニアコンベアでは、上記のように、磁気センサとリニアモータ固定子との間に配置され、リニアモータ固定子から磁気センサに向かう磁束を遮る磁気遮蔽部材を設ける。これにより、磁気遮蔽部材によりリニアモータ固定子から放出される磁束を遮ることによって、リニアモータ固定子から放出される磁束に起因する磁気センサの誤検出を抑制することができる。したがって、リニアモータ固定子において発せられる磁束の方向と磁気センサにより検出する磁束の方向とを異ならせるように、磁気センサとリニアモータ固定子とを配置する必要がないとともに、磁気センサとリニアモータ固定子との間隔を大きくする必要がない。これにより、磁気遮蔽部材により、磁気センサおよびリニアモータ固定子の配置位置の自由度を向上させることができる。これらの結果、磁気センサの誤検出を抑制しつつ、磁気センサおよびリニアモータ固定子の配置位置の自由度を向上させることにより、リニアコンベアを小型化することができる。
【0012】
上記一の局面によるリニアコンベアにおいて、好ましくは、磁気遮蔽部材は、リニアモータ固定子からコイルにより発せられた磁束を引き込むことにより、リニアモータ固定子から磁気センサに向かう磁束を遮るように構成されている。このように構成すれば、リニアモータ固定子から磁気センサに向かう磁束を磁気遮蔽部材により引き込むことによって、磁気センサに磁束が到達しにくくすることができるので、リニアモータ固定子から発せられる磁束に起因する磁気センサによるスライダの位置の検出精度を容易に確保することができる。
【0013】
上記一の局面によるリニアコンベアにおいて、好ましくは、磁気遮蔽部材は、ガイドレールの延びる方向に沿って延びる板状に形成されている。このように構成すれば、ガイドレールの延びる方向において、リニアモータ固定子から発せられる磁束を遮蔽することができるので、リニアモータ固定子から発せられる磁束を磁気センサに到達しにくくすることができる。また、磁気遮蔽部材をガイドレールの延びる方向に沿って延びる板状に形成することにより、磁気遮蔽部材をブロック状に形成する場合と比較して、磁気遮蔽部材の厚みを小さくすることができるので、リニアコンベアの大型化を抑制することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、リニアモータ固定子、磁気遮蔽部材および磁気センサは、ガイドレールの延びる方向に直交するガイドレールの幅方向に沿って並んで配置され、コアは、ガイドレールの幅方向に沿って延びており、板状の磁気遮蔽部材は、ガイドレールの幅方向において、少なくとも固定子部のコアを覆う大きさを有している。このように構成すれば、磁束が最も多く放出される箇所(固定子部のコア)を磁気遮蔽部材により少なくとも覆うことができるので、磁気遮蔽部材によりリニアモータ固定子から発せられる磁束を効果的に遮ることができる。
【0015】
上記少なくともコアを覆う板状の磁気遮蔽部材を備えるリニアコンベアにおいて、好ましくは、ガイドレールの延びる方向と、ガイドレールの幅方向とに直交する方向において、板状の磁気遮蔽部材の長さは、コアの長さより大きい。このように構成すれば、コアよりも上記直交する方向の広い範囲を磁気遮蔽部材により覆うことができるので、リニアモータ固定子から広がりながら磁気センサに向かう磁束をより効果的に遮蔽することができる。
【0016】
上記少なくともコアを覆う板状の磁気遮蔽部材を備えるリニアコンベアにおいて、好ましくは、固定子部は、ガイドレールの延びる方向に沿って複数並んで配置され、ガイドレールの延びる方向において、板状の磁気遮蔽部材は、複数の固定子部のうち端部に配置された固定子部のコアよりも外側に延びている。このように構成すれば、ガイドレールの延びる方向に沿って複数並んで配置される固定子部のコアを覆うことができるので、リニアモータ固定子から磁気遮蔽部材に発せられる磁束を効果的に遮ることができる。
【0017】
上記ガイドレールの延びる方向に沿って複数並んで配置される固定子部を備えるリニアコンベアにおいて、好ましくは、ガイドレールの延びる方向において、磁気遮蔽部材の一方側端部は、複数の固定子部のうち一方側端部に配置された固定子部のコアよりも一方側に延びているとともに、磁気遮蔽部材の他方側端部は、複数の固定子部のうち他方側端部に配置された固定子部のコアよりも他方側に延びている。このように構成すれば、ガイドレールの延びる方向に沿って複数並んで配置される固定子部のコアを磁気遮蔽部材によりガイドレールの延びる方向の一方端部側から他方端部側にわたって覆うことができるので、リニアモータ固定子から磁気センサに向かう磁束をより確実に遮蔽することができる。
【0018】
上記一の局面によるリニアコンベアにおいて、好ましくは、磁気遮蔽部材を取り付ける締結部材をさらに備え、磁気遮蔽部材は、締結部材が挿入される挿入孔を有し、挿入孔のリニアモータ固定子側の縁部は、リニアモータ固定子側に向かって曲げられた挿入孔曲げ部を有する。このように構成すれば、磁気遮蔽部材により遮蔽され挿入孔の縁から放出される磁束を挿入孔曲げ部に沿ってリニアモータ固定子側に放出することができるので、磁気遮蔽部材から放出される磁束を磁気センサに到達しにくくすることができる。
【0019】
この場合、好ましくは、締結部材は、非磁性体により構成されている。このように構成すれば、締結部材が磁性体である場合と異なり、締結部材が磁化しないので、リニアモータ固定子から発せられる磁束により締結部材が磁化されることに起因して締結部材から発せられる磁束が磁気センサに到達してしまうことを抑制することができる。その結果、リニアモータ固定子から発せられる磁束を磁気センサに到達しにくくすることができる。
【0020】
上記一の局面によるリニアコンベアにおいて、好ましくは、磁気遮蔽部材は、リニアモータ固定子から磁気センサ側に向かってコイルにより発せられた磁束を引き込むとともに、リニアモータ固定子側に放出するように構成されている。このように構成すれば、磁気遮蔽部材に引き込まれた磁束を磁気センサ側とは反対側(リニアモータ固定子側)に放出することができるので、磁気遮蔽部材から放出された磁束を磁気センサに到達しにくくすることができる。
【0021】
この場合、好ましくは、ガイドレールの延びる方向と、ガイドレールの延びる方向に直交するガイドレールの幅方向とに直交する方向において、磁気遮蔽部材は、一方の端部がリニアモータ固定子側に向くように曲げられた第1曲げ部、および、他方の端部がリニアモータ固定子側に向くように曲げられた第2曲げ部のうち少なくともいずれかを含む。このように構成すれば、第1曲げ部および第2曲げ部の少なくともいずれかにより、磁気センサ側とは反対側(リニアモータ固定子側)に、磁気遮蔽部材に引き込まれた磁束を放出することができる。また、第1曲げ部および第2曲げ部のうち少なくともいずれかを設けることにより、一方の端部および他方の端部を上記直交する方向に沿って直線状にした場合(曲げない)の磁気遮蔽部材と比較して、磁気遮蔽部材の上記直交する方向への大型化を抑制することができる。これらの結果、磁気遮蔽部材から放出された磁束を磁気センサに到達しにくくすることができるとともに、リニアコンベアの上記直交する方向への大型化を抑制することができる。
【0022】
上記引き込んだ磁束をリニアモータ固定子側に放出する磁気遮蔽部材を備えるリニアコンベアにおいて、好ましくは、磁気遮蔽部材は、ガイドレールの延びる方向の一方側端部がリニアモータ固定子側に向くように曲げられた一方側曲げ部、および、ガイドレールの延びる方向の他方側端部がリニアモータ固定子側に向くように曲げられた他方側曲げ部のうち少なくともいずれかを含む。このように構成すれば、一方側曲げ部および他方側曲げ部の少なくともいずれかにより、磁気センサ側とは反対側(リニアモータ固定子側)に、磁気遮蔽部材に引き込まれた磁束を放出することができる。また、一方側曲げ部および他方側曲げ部のうち少なくともいずれかを設けることにより、一方側端部および他方側端部をガイドレールの延びる方向に沿って直線状にした場合(曲げない)の磁気遮蔽部材と比較して、磁気遮蔽部材のガイドレールの延びる方向への大型化を抑制することができる。これらの結果、磁気遮蔽部材から放出された磁束を磁気センサに到達しにくくすることができるとともに、リニアコンベアのガイドレールの延びる方向への大型化を抑制することができる。
【0023】
上記一の局面によるリニアコンベアにおいて、好ましくは、スライダは、磁気センサに対向するように配置され、磁気センサにより検出される磁束を放出する磁気スケールをさらに含み、固定子部のコアは、磁気センサと磁気スケールとが対向する方向に沿って延びて配置され、磁気遮蔽部材は、磁気センサと磁気スケールとが対向する方向において、コアと、磁気センサおよび磁気スケールとの間に配置されている。このように構成すれば、リニアモータ固定子から磁気スケールに向かう磁束を磁気遮蔽部材により遮蔽することによって、磁気スケールに磁束が到達しにくくすることができるので、リニアモータ固定子から発せられる磁束から磁気スケールを保護することができる。
【0024】
上記一の局面によるリニアコンベアにおいて、好ましくは、リニアモータ固定子およびガイドレールを支持する支持部材をさらに備え、支持部材は、磁気センサとリニアモータ固定子との間に設けられ、上方向に突出した取付壁を有し、磁気センサは、取付壁におけるリニアモータ固定子側とは反対側の側面に取り付けられているとともに、磁気遮蔽部材は、磁気センサと共通の取付壁におけるリニアモータ固定子側の側面に取り付けられている。このように構成すれば、磁気センサと磁気遮蔽部材とを共通の取付壁に取り付けることにより、支持部材の構造の複雑化および大型化を抑制することができるので、リニアコンベアの構造の複雑化および大型化を抑制することができる。
【0025】
上記一の局面によるリニアコンベアにおいて、好ましくは、固定子部は、ガイドレールの延びる方向に沿って複数並んで配置され、複数の固定子部を所定の区間ごとに分けることにより設けられ、別個に通電制御される複数のユニット部材をさらに備え、複数のユニット部材の各々は、磁気センサを含み、磁気遮蔽部材は、複数のユニット部材の全てにわたって、磁気センサと固定子部との間に配置されている。このように構成すれば、2個以上のユニット部材にまたがって通電制御が行われて固定子部から磁束が発せられる場合であっても、磁気遮蔽部材により確実に磁束を遮蔽することができるので、磁気センサによるスライダの位置の検出精度を確保することができる。
【0026】
上記一の局面によるリニアコンベアにおいて、好ましくは、磁気遮蔽部材は、磁性体により構成されている。このように構成すれば、リニアモータ固定子から磁気センサに向かう磁束により磁気遮蔽部材を磁化させることによって、リニアモータ固定子から磁気センサに向かう磁束を磁気遮蔽部材により引き込むことができる。その結果、磁気センサに磁束が到達しにくくすることができるので、磁気センサによるスライダの位置の検出精度を確保することができる。
【0027】
この場合、好ましくは、磁性体としての磁気遮蔽部材は、鉄または鋼などの磁性体の鉄系材料により形成されている。このように構成すれば、リニアモータ固定子から磁気センサに向かう磁束により磁気遮蔽部材を容易に磁化させることができるので、リニアモータ固定子から磁気センサに向かう磁束を磁気遮蔽部材により確実に引き込むことができる。
また、上記板状の磁気遮蔽部材を備えるリニアコンベアにおいて、好ましくは、磁気遮蔽部材は、ガイドレールの延びる方向に沿って延びる板状に形成されているとともに、リニアモータ固定子の外周のうち、リニアモータ固定子の磁気センサ側の部分以外を覆わずに、リニアモータ固定子の磁気センサ側の部分を覆う。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、上記のように、磁気センサによる磁束の誤検出を抑制しつつ、磁気センサおよびリニアモータ固定子の配置位置の自由度を向上させることにより、リニアコンベアを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1実施形態のリニアコンベアを架台に設置した状態を示した斜視図である。
【
図2】第1実施形態のリニアコンベアのリニアコンベアモジュールおよびスライダを示した斜視図である。
【
図3】
図2の100-100線に沿った断面図である。
【
図4】第1実施形態のリニアコンベアのリニアコンベアモジュールにおいてカバー部材を外した状態をY2方向側から視た斜視図である。
【
図5】第1実施形態のリニアコンベアのリニアコンベアモジュールにおいてカバー部材を外した状態をY1方向側から視た斜視図である。
【
図6】第1実施形態のリニアコンベアのリニアコンベアモジュールにおいてカバー部材を外した状態をZ1方向側から視た平面図である。
【
図7】第1実施形態のリニアコンベアのリニアコンベアモジュールにおいて磁気遮蔽部材付近を示した部分断面図である。
【
図8】第1実施形態のリニアコンベアの磁気遮蔽部材を示した斜視図である。
【
図9】第1実施形態のリニアコンベアのリニアコンベアモジュールにおいてカバー部材を外した状態のX1方向側の端部およびX2方向側の端部をZ1方向側から視た平面図である。
【
図10】第2実施形態のリニアコンベアのリニアコンベアモジュールにおいてX1方向側付近を示した部分斜視図である。
【
図11】第2実施形態のリニアコンベアのリニアコンベアモジュールにおいてカバー部材を外した状態のX1方向側の端部およびX2方向側の端部をZ1方向側から視た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
[第1実施形態]
図1~
図9を参照して、架台102上に設置される第1実施形態のリニアコンベア101について説明する。
【0032】
(リニアコンベアの構成)
図1および
図2に示すように、リニアコンベア101は、架台102の上面102aに敷設されている。また、図示はしないが、架台102には、基板などのワークの移載、電子部品などの基板への実装作業などを実行する各種ロボットが設置されている。各種ロボットは、後述するスライダ4の周回経路103に沿って配置されている。
【0033】
リニアコンベア101は、各種ロボットの作業位置に向けてスライダ4を移動させるように構成されている。具体的には、リニアコンベア101は、複数(2個)の方向転換用モジュール1と、複数(6個)の凹部2と、複数(6個)の連結部材3と、スライダ4と、複数(8個)のリニアコンベアモジュール5とを備えている。複数の方向転換用モジュール1および複数のリニアコンベアモジュール5は、スライダ4の周回経路103を形成している。
【0034】
ここで、リニアコンベアモジュール5の延びる方向をX方向とし、X方向のうち一方をX1方向とし、X方向のうちの他方をX2方向とする。方向転換用モジュール1の延びる方向をY方向とし、Y方向のうち一方をY1方向とし、Y方向のうちの他方をY2方向とする。X方向およびY方向に直交する方向をZ方向(上下方向)とし、Z方向のうち一方をZ1方向(上方向)とし、Z方向のうちの他方をZ2方向(下方向)とする。なお、X方向は、請求の範囲の「ガイドレールの延びる方向」の一例である。また、Y方向は、請求の範囲の「ガイドレールの幅方向」の一例である。また、Z方向は、請求の範囲の「ガイドレールの延びる方向と、ガイドレールの幅向に直交する方向」および「ガイドレールの延びる方向と、ガイドレールの延びる方向に直交するガイドレールの幅方向とに直交する方向」の一例である。
【0035】
複数(2個)の方向転換用モジュール1は、それぞれ、X1方向側およびX2方向側に配置されている。複数の方向転換用モジュール1の各々の構造は、同じであるので、X1方向側の方向転換用モジュール1についてのみ説明する。
【0036】
方向転換用モジュール1は、スライダ4をY方向へ移動させる搬送装置である。
【0037】
方向転換用モジュール1は、ガイドレール11と、モジュール本体12と、駆動機構(図示せず)とを含む。ガイドレール11は、架台102の上面102aに敷設されている。ガイドレール11は、Y方向に延びている。モジュール本体12は、ガイドレール11にY方向に移動可能に支持されている。駆動機構は、モジュール本体12をガイドレール11に沿ってY方向に移動させるように構成されている。
【0038】
凹部2には、架台102に固定された状態の連結部材3が収容されている。すなわち、Y1方向側から視て、凹部2の内面と、架台102の上面102aとの間には、架台102に固定された状態の連結部材3が配置されている。
【0039】
連結部材3は、架台102に固定され、複数のリニアコンベアモジュール5同士を互いに連結するとともに、架台102に固定された状態でリニアコンベアモジュール5を位置決めするように構成されている。ここで、連結部材3は、X方向において、隣接するリニアコンベアモジュール5にまたがって設けられている。
【0040】
図1に示すように、スライダ4は、周回経路103上に複数(4個)配置されている。複数のスライダ4はいずれも同じ構成を有しているので、複数のスライダ4のうちの1つについて説明する。
【0041】
スライダ4は、周回経路103上を直線的にスライド移動するように構成されている。具体的には、
図2および
図3に示すように、スライダ4は、スライダフレーム4aと、リニアモータ可動子4bと、一対のガイドブロック4cと、磁気スケール4dとを含んでいる。
【0042】
スライダフレーム4aは、アルミニウムなどの金属材料により形成されている。スライダフレーム4aのZ1方向側の上面は、ワークを載置する載置面4eである。スライダフレーム4aには、後述するリニアコンベアモジュール5のカバー部材5aが挿入される挿入空間4fが形成されている。
【0043】
リニアモータ可動子4bは、バックヨーク4gと、永久磁石4hとを有している。バックヨーク4gは、永久磁石4hを保持するとともに磁路を形成する部材であり、鉄または鋼などの磁性体の鉄系材料で形成されている。バックヨーク4gは、Z2方向に向けて開口する門型構造を有している。永久磁石4hは、Y方向において、N極とS極とが対向するように配置されている。永久磁石4hは、X方向に沿って複数N極とS極が交互に並んで配置されている。このような配列で永久磁石4hは、バックヨーク4gに保持されている。バックヨーク4gはX方向において永久磁石4hをすべて覆うように配置されている。
【0044】
ガイドブロック4cは、後述するリニアコンベアモジュール5のガイドレール5eに係合するとともに、ガイドレール5eの延びる方向(X方向)に沿って移動可能に構成されている。ガイドブロック4cは、ガイドレール5eに接して転動するベアリングを備えている。ガイドブロック4cは、Y方向において、一対配置されている。ガイドブロック4cのZ1方向側の端部は、スライダフレーム4aに取り付けられている。
【0045】
磁気スケール4dは、後述する磁気センサ152にY方向に対向するように配置され、磁気センサ152により検出される磁束を放出するように構成されている。具体的には、磁気スケール4dは、スケール基板41と、ホルダ42とを有している。スケール基板41は、ホルダ42に保持されている。スケール基板41は、磁気センサユニット5dとの対向面に、N極とS極とが交互に現れるようにX方向に配列された永久磁石(図示せず)を含んでいる。図示はしないが、スケール基板41の永久磁石は、磁気センサユニット5dの磁気センサ152(
図4参照)にY方向において対向するように、配置されている。
【0046】
複数のリニアコンベアモジュール5は、X方向に直線状に連結されている。複数のリニアコンベアモジュール5は、Y1方向側に4個配置されている。複数のリニアコンベアモジュール5は、Y2方向側に4個配置されている。複数のリニアコンベアモジュール5の各々の構造は、同じであるので、Y1方向側であり、かつ、X方向の中央部分のX1方向側に配置された(
図1のK部分の)リニアコンベアモジュール5について説明する。なお、リニアコンベアモジュール5は、2~7個および9個以上架台102に配置されてもよい。
【0047】
リニアコンベアモジュール5は、スライダ4をX方向へ移動させる搬送装置である。すなわち、リニアコンベアモジュール5は、ロボットの作業位置でスライダ4を停止させるとともに、作業後に次のロボットの作業位置へ向けてスライダ4を移動させるように構成されている。また、リニアコンベアモジュール5は、約0.2~約1.0[m]の長さを有する直線的なモジュールである。
【0048】
具体的には、
図2および
図3に示すように、リニアコンベアモジュール5は、カバー部材5aと、支持部材5bと、締結部材5cと、磁気センサユニット5dと、ガイドレール5eと、リニアモータ固定子5fと、ユニット部材5g(
図6参照)と、磁気遮蔽部材5hとを含んでいる。
【0049】
カバー部材5aは、アルミニウムなどの金属により形成されている。カバー部材5aは、支持部材5bの上面51a(Z1方向側の面)を覆うように構成されている。すなわち、カバー部材5aは、支持部材5bに取り付けられたリニアモータ固定子5f、ガイドレール5eおよび磁気センサユニット5dをZ1方向側から覆っている。カバー部材5aは、締結部材(図示せず)により、支持部材5bのZ1方向側の端部に固定されている。カバー部材5aは、スライダフレーム4aの挿入空間4fに挿入可能な形状を有している。すなわち、カバー部材5aは、Y方向に沿った断面において、略T字形状を有している。
【0050】
支持部材5bは、ガイドレール5eおよびリニアモータ固定子5fを支持している。支持部材5bは、アルミニウムなどの金属により形成されている。このように、支持部材5bは、金属製のフレームである。支持部材5bは、Y方向に沿った断面において、略U字形状を有している。支持部材5bは、上壁部51と、一対の側壁部52と、フランジ部53と、取付壁54とを有している。
【0051】
図3および
図4に示すように、上壁部51は、X方向に長く延びた長方形形状を有している。上壁部51の上面51aには、リニアモータ固定子5f、ガイドレール5eおよび磁気センサユニット5dが設置されている。側壁部52は、X方向に長く延びた長方形形状を有している。側壁部52は、Y方向において対向するように一対設けられている。フランジ部53は、側壁部52のZ2方向側の端部からY方向において外側に突出している。フランジ部53は、X方向に長く延びた長方形形状を有している。
【0052】
取付壁54は、上壁部51に一体的に設けられている。すなわち、取付壁54は、磁気センサ152とリニアモータ固定子5fとの間に設けられ、上方向に突出している。取付壁54は、上面54aと、モータ側側面54bと、センサ側側面54cと、貫通孔54dとを有している。なお、モータ側側面54bは、請求の範囲の「取付壁におけるリニアモータ固定子側の側面」の一例である。なお、センサ側側面54cは、請求の範囲の「取付壁におけるリニアモータ固定子側とは反対側の側面」の一例である。
【0053】
上面54aは、取付壁54のZ1方向側の面である。上面54aには、カバー部材5aが取り付けられている。モータ側側面54bは、Y1方向側の面である。モータ側側面54bには、磁気遮蔽部材5hが取り付けられている。センサ側側面54cは、Y2方向側の面である。センサ側側面54cには、磁気センサユニット5dが取り付けられている。このように、磁気センサ152は、センサ側側面54cに取り付けられているとともに、磁気遮蔽部材5hは、磁気センサ152と共通の取付壁54におけるモータ側側面54bに取り付けられている。貫通孔54dは、取付壁54をY方向に沿って貫通している。貫通孔54dは、締結部材5cが挿入されるざぐり孔である。貫通孔54dは、X方向に沿って複数(4個)取付壁54に形成されている。複数の貫通孔54dは、Z方向において、取付壁54の中央部分に形成されている。なお、貫通孔54dの数は、1~3個および5個以上であってもよい。
【0054】
締結部材5cは、支持部材5bに磁気遮蔽部材5hを取り付けている。詳細には、締結部材5cは、貫通孔54dに挿入された状態で、磁気遮蔽部材5hに螺合されることにより、取付壁54に磁気遮蔽部材5hを固定している。締結部材5cは、非磁性体により構成されている。詳細には、締結部材5cは、オーステナイト系ステンレス鋼により形成されている。締結部材5cは、複数(4個)の貫通孔54dに合わせて複数(4個)配置されている。すなわち、締結部材5cは、貫通孔54dに合わせて、Z方向において、取付壁54の中央部分に配置されている。なお、締結部材5cの数は、貫通孔54dの数と同じであればよく、1~3個および5個以上であってもよい。
【0055】
磁気センサユニット5dは、X方向に所定ピッチで複数個(3個)配列されている。なお、磁気センサユニット5dは、X方向に所定ピッチで複数個配列されていなくてもよく、たとえば、磁気センサユニット同士のセンサ間ピッチを設定し、図示しない制御部の記憶部に記憶させることにより、磁気センサユニット同士のセンサ間ピッチを異ならせて、磁気センサユニットを複数個配列することが可能である。また、磁気センサユニット5dの数は、1および2個、または、4個以上であってもよい。
【0056】
磁気センサユニット5dは、センサ基板151と、磁気センサ152と、ハウジング153とを有している。
【0057】
磁気センサ152は、スライダ4の位置を検出するように構成されている。具体的には、磁気センサ152は、スライダ4のX方向の位置を検出するように構成されている。磁気センサ152は、センサ基板151にZ方向に沿って複数(3個)取り付けられている。すなわち、磁気センサ152は、取付壁54の突出する方向に沿って複数(3個)配置されている。なお、磁気センサ152の数は、1および2個、または、4個以上であってもよい。磁気センサ152は、たとえば、ホール素子およびMR(Magnet Resistive)素子などである。磁気センサ152は、スライダ4の磁気スケール4dの磁束を検出することにより、磁束密度に応じた出力電圧の信号を発生する。ハウジング153は、センサ基板151を保持している。ハウジング153は、締結部材(図示せず)により、支持部材5bの取付壁54に固定されている。
【0058】
ガイドレール5eは、スライダ4をガイドする機能を有している。ガイドレール5eは、Y方向に対向して一対設けられている。ガイドレール5eは、X方向に延びている。
【0059】
図3および
図5に示すように、リニアモータ固定子5fは、複数の電磁石により構成されている。すなわち、リニアモータ固定子5fは、固定子部251と、ホルダ252とを有している。固定子部251は、コア251aと、コア251aに巻回されたコイル251bとを有している。リニアモータ固定子5fは、X方向に一列に単位電磁石としての固定子部251が配置されることによって形成されている。コア251aは、磁気センサ152と磁気スケール4dとが対向する方向(Y方向)に沿って延びて配置された鉄心である。ホルダ252は、コア251aおよびコイル251bを保持している。ホルダ252は、支持部材5bの上壁部51に取り付けられている。ホルダ252には、X方向に複数並んだ固定子部251が収容されている。
【0060】
上記したようなリニアコンベア101は、リニアモータ、リニアガイドおよびリニアスケールを有している。リニアモータは、リニアモータ可動子4bおよびリニアモータ固定子5fにより構成されている。リニアガイドは、ガイドレール5eおよびガイドブロック4cにより構成されている。リニアスケールは、磁気センサユニット5dおよび磁気スケール4dにより構成されている。
【0061】
リニアモータでは、互いに位相が異なるU相、V相およびW相のうちのいずれかの相の電流がリニアモータ固定子5fに供給されることによりコイル251bに生じる磁束と、リニアモータ可動子4bが備える永久磁石4hの磁束との相互作用によって、磁気的な推進力が生成されている。すなわち、スライダ4は、上記推進力により、X1方向またはX2方向に移動可能である。
【0062】
図6に示すように、ユニット部材5gは、リニアコンベア101の制御システムにおける一制御区間を構成している。すなわち、ユニット部材5gは、複数(18個)の固定子部251を一制御区間ごとに分けることにより設けられ、別個に通電制御されるように構成されている。詳細には、ユニット部材5gは、一制御区間ごとに割り当てられた複数(6個)の固定子部251に供給される電流を制御するように構成されている。なお、一制御区間は、請求の範囲の「所定の区間」の一例である。また、複数の固定子部251の数は、2~17個および19個以上であってもよい。また、一制御区間ごとに割り当てられる固定子部251の数は、2~5個および7個以上であってもよい。
【0063】
このようなユニット部材5gは、リニアコンベアモジュール5において、X方向に複数(3個)並んで配置されている。ここで、複数のユニット部材5gのうち最もX1方向側に配置されるユニット部材5gを第1ユニット部材351とし、第1ユニット部材351のX2方向側に隣接するユニット部材5gを第2ユニット部材352とし、第2ユニット部材352のX2方向側に隣接するユニット部材5gを第3ユニット部材353とする。なお、ユニット部材5gの数は、2個、または、4個以上であってもよい。
【0064】
具体的には、第1ユニット部材351は、上記磁気センサ152と、複数(6個)の上記固定子部251と、モータコントローラ(以下、第1モータコントローラ351aという)とを有している。なお、第2ユニット部材352も同様に、上記磁気センサ152と、複数(6個)の上記固定子部251と、モータコントローラ(以下、第2モータコントローラ352aという)とを有している。第3ユニット部材353も同様に、上記磁気センサ152と、複数(6個)の上記固定子部251と、モータコントローラ(以下、第3モータコントローラ353aという)とを有している。
【0065】
リニアコンベア101は、スライダ4の位置に基づいて、第1モータコントローラ351a、第2モータコントローラ352aおよび第3モータコントローラ353aによりスライダ4の移動および停止を制御するように構成されている。詳細には、リニアコンベア101は、スライダ4の移動中、複数のユニット部材5gの各々の磁気センサ152が磁気スケール4dを検出したことに基づいて、複数のユニット部材5gの同期をとりながら、ユニット部材5gの複数の固定子部251の全ての電流を制御するように構成されている。
【0066】
これにより、たとえば、
図6に示すように、第2ユニット部材352と第3ユニット部材353とにまたがってスライダ4が位置している場合、第2ユニット部材352の複数の固定子部251の全ての電流が制御されるとともに、第3ユニット部材353の複数の固定子部251の全ての電流が制御される。この際、ハッチングを付した矢印により示すように、固定子部251から磁束が放出される。固定子部251から放出される磁束のうちリニアモータ可動子4bが位置する部分の磁束は、リニアモータ可動子4bの永久磁石4hに作用する。すなわち、リニアモータ可動子4bが位置する部分の磁束は永久磁石4hの極性により固定子部251側と反対の極性の永久磁石4hに引き込まれるが、永久磁石4hに引き込まれない磁束も最終的にはバックヨーク4gに引き込まれる。一方で、固定子部251から放出される磁束のうちリニアモータ可動子4b外の磁束は、リニアモータ可動子4bに作用することなくそのまま放出される。
【0067】
(磁気遮蔽部材)
本実施形態の磁気遮蔽部材5hは、リニアモータ可動子4bに作用することなくそのまま放出された上記磁束の磁気センサ152に対する磁気的な影響を抑制する部材である。すなわち、磁気遮蔽部材5hは、磁気センサ152とリニアモータ固定子5fとの間に配置され、リニアモータ固定子5fから磁気センサ152に向かう磁束を遮るように構成されている。ここで、磁気遮蔽部材5hは、磁気センサ152と磁気スケール4dとが対向する方向(Y方向)において、コア251aと、磁気センサ152および磁気スケール4dとの間にも配置されている。これにより、磁気遮蔽部材5hは、リニアモータ可動子4bに作用することなくそのまま放出された上記磁束の磁気スケール4dに対する磁気的な影響も抑制する部材である。このように、リニアモータ固定子5f、磁気遮蔽部材5hおよび磁気センサ152は、Y方向に並んで配置されている。
【0068】
具体的には、
図7および
図8に示すように、磁気遮蔽部材5hは、リニアモータ固定子5fから発せられる磁束を引き込むことにより、リニアモータ固定子5fから磁気センサ152に向かう磁束を遮るように構成されている。すなわち、磁気遮蔽部材5hは、リニアモータ固定子5fから磁気センサ152に向かう磁束により磁化されるように構成されている。磁気遮蔽部材5hは、磁性体により構成されている。詳細には、磁性体としての磁気遮蔽部材5hは、鉄または鋼により形成されている。
【0069】
磁気遮蔽部材5hは、X方向に沿って延びる板状に形成されている。詳細には、磁気遮蔽部材5hは、Y方向に沿った方向に厚みを有する薄板状に形成されている。磁気遮蔽部材5hのY方向に沿った断面形状(X方向に直交する面に沿った断面の形状)は、リニアモータ固定子5f側に曲げられた略C字形状である。
【0070】
板状の磁気遮蔽部材5hは、Y方向において、少なくとも固定子部251のコア251aを覆う大きさを有している。すなわち、板状の磁気遮蔽部材5hと固定子部251のコア251aとは、Y1方向側から視て、オーバーラップしている(
図5参照)。詳細には、Z方向において、板状の磁気遮蔽部材5hの長さL1は、コア251aの長さL2より大きい。Z方向において、板状の磁気遮蔽部材5hの上端部(Z1方向側の端部)と下端部(Z2方向側の端部)との間には、固定子部251が配置されている。すなわち、Z方向において、板状の磁気遮蔽部材5hの上端部と下端部との間には、少なくともコア251aが配置されている。また、Z方向において、板状の磁気遮蔽部材5hの上端部と下端部との間には、Z方向に並んで配置された複数の磁気センサ152の主な部分が配置されている。また、Z方向において、板状の磁気遮蔽部材5hの上端部と下端部との間には、磁気スケール4dのスケール基板41の主な部分が配置されている。
【0071】
また、
図8および
図9に示すように、X方向において、板状の磁気遮蔽部材5hは、複数の固定子部251のうち端部Sに配置された固定子部251のコア251aよりも外側に延びている。詳細には、X方向において、磁気遮蔽部材5hのX1方向側の端部S1(一方側端部S1)は、複数の固定子部251のうち一方側端部S1に配置された固定子部251のコア251aよりもX1方向側に延びている。そして、磁気遮蔽部材5hのX2方向側の端部S2(他方側端部S2)は、複数の固定子部251のうち他方側端部S2に配置された固定子部251のコア251aよりもX2方向側に延びている。すなわち、磁気遮蔽部材5hの一方側端部S1は、リニアコンベアモジュール5のX1方向側の端部E1近傍に位置している。そして、磁気遮蔽部材5hの他方側端部S2は、リニアコンベアモジュール5のX2方向側の端部E2近傍に位置している。
【0072】
このように、X方向において、板状の磁気遮蔽部材5hは、リニアコンベアモジュール5のX1方向側の端部E1からX2方向側の端部E2の略全体にわたって延びている。すなわち、磁気遮蔽部材5hは、複数のユニット部材5gの全てにわたって、磁気センサ152と固定子部251との間に配置されている。詳細には、磁気遮蔽部材5hは、リニアコンベアモジュール5のX1方向側の端部E1近傍からリニアコンベアモジュール5のX2方向側の端部E2近傍にわたって途切れることなく延びる一枚板である。
【0073】
図7および
図8に示すように、磁気遮蔽部材5hは、締結部材5cが挿入される挿入孔451を有している。挿入孔451のリニアモータ固定子5f側の部分には、締結部材5cのおねじ部が螺合されるめねじ部が形成されている。挿入孔451は、板状の磁気遮蔽部材5hにバーリング加工を施すことにより形成されている。したがって、挿入孔451は、Y方向において、リニアモータ固定子5f側に突出した形状を有している。具体的には、挿入孔451のリニアモータ固定子5f側の縁部は、リニアモータ固定子5f側に向かって曲げられた挿入孔曲げ部451aを有している。挿入孔曲げ部451aは、Y1方向側から視て、円状に形成されている。挿入孔曲げ部451aは、Y方向において、リニアモータ固定子5f側に向かうにしたがって、挿入孔451の中心側に湾曲している。
【0074】
磁気遮蔽部材5hは、リニアモータ固定子5fから磁気センサ152側に向かって発せられる磁束の向きを変化させるように構成されている。すなわち、磁気遮蔽部材5hは、リニアモータ固定子5fから磁気センサ152側に向かって発せられる磁束を引き込むとともに、リニアモータ固定子5f側に放出するように構成されている。
【0075】
具体的には、磁気遮蔽部材5hは、上側曲げ部452と、下側曲げ部453とを有している。なお、上側曲げ部452は、請求の範囲の「第1曲げ部」の一例である。また、下側曲げ部453は、請求の範囲の「第2曲げ部」の一例である。
【0076】
上側曲げ部452は、磁気遮蔽部材5hの上端部がリニアモータ固定子5f側に向くように曲げられている。上側曲げ部452は、Y方向において、リニアモータ固定子5f側に向かうにしたがってZ1方向側に傾斜している。ここで、磁気遮蔽部材5hには、上側曲げ部452を形成するために、曲げ加工が施されている。下側曲げ部453は、磁気遮蔽部材5hの下端部がリニアモータ固定子5f側に向くように曲げられている。下側曲げ部453は、Y方向に沿って延びている。ここで、磁気遮蔽部材5hには、下側曲げ部453を形成するために、曲げ加工が施されている。
【0077】
このように、磁気遮蔽部材5hには上側曲げ部452および下側曲げ部453を形成するために曲げ加工が施されているが、磁気遮蔽部材5hの磁気センサ152側の面は、上側曲げ部452および下側曲げ部453において、角ではなくR形状(丸みを帯びた滑らかな形状)を有している。
【0078】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0079】
第1実施形態では、上記のように、磁気センサ152とリニアモータ固定子5fとの間に配置され、リニアモータ固定子5fから磁気センサ152に向かう磁束を遮る磁気遮蔽部材5hを設ける。これにより、磁気遮蔽部材5hによりリニアモータ固定子5fから放出される磁束を遮ることによって、リニアモータ固定子5fから放出される磁束に起因する磁気センサ152の誤検出を抑制することができる。したがって、リニアモータ固定子5fにおいて発せられる磁束の方向と磁気センサ152により検出する磁束の方向とを異ならせるように、磁気センサ152とリニアモータ固定子5fとを配置する必要がないとともに、磁気センサ152とリニアモータ固定子5fとの間隔を大きくする必要がない。これにより、磁気遮蔽部材5hにより、磁気センサ152およびリニアモータ固定子5fの配置位置の自由度を向上させることができる。これらの結果、磁気センサ152による磁束の誤検出を抑制しつつ、磁気センサ152およびリニアモータ固定子5fの配置位置の自由度を向上させることにより、リニアコンベア101を小型化することができる。
【0080】
また、第1実施形態では、上記のように、磁気遮蔽部材5hを、リニアモータ固定子5fから発せられる磁束を引き込むことにより、リニアモータ固定子5fから磁気センサ152に向かう磁束を遮るように構成する。これにより、リニアモータ固定子5fから磁気センサ152に向かう磁束を磁気遮蔽部材5hにより引き込むことによって、磁気センサ152に磁束が到達しにくくすることができるので、磁気センサ152によるスライダ4の位置の検出精度を確保することができる。
【0081】
また、第1実施形態では、上記のように、磁気遮蔽部材5hを、X方向に沿って延びる板状に形成する。これにより、X方向において、リニアモータ固定子5fから発せられる磁束を遮蔽することができるので、リニアモータ固定子5fから発せられる磁束を磁気センサ152に到達しにくくすることができる。また、磁気遮蔽部材5hをX方向に沿って延びる板状に形成することにより、磁気遮蔽部材5hをブロック状に形成する場合と比較して、Y方向における磁気遮蔽部材5hの厚みを小さくすることができるので、リニアコンベア101のY方向の大型化を抑制することができる。
【0082】
また、第1実施形態では、上記のように、リニアモータ固定子5f、磁気遮蔽部材5hおよび磁気センサ152を、Y方向に沿って並んで配置する。コア251aを、Y向に沿って延ばす。板状の磁気遮蔽部材5hを、Y方向において、少なくとも固定子部251のコア251aを覆う大きさに設ける。これにより、磁束が最も多く放出される箇所(固定子部251のコア251a)を磁気遮蔽部材5hにより少なくとも覆うことができるので、磁気遮蔽部材5hによりリニアモータ固定子5fから発せられる磁束を効果的に遮ることができる。
【0083】
また、第1実施形態では、上記のように、Z方向において、板状の磁気遮蔽部材5hの長さを、コア251aの長さより大きくする。これにより、コア251aよりもZ方向の広い範囲を磁気遮蔽部材5hにより覆うことができるので、リニアモータ固定子5fから広がりながら磁気センサ152に向かう磁束をより確実に遮蔽することができる。
【0084】
また、第1実施形態では、上記のように、板状の磁気遮蔽部材5hを、複数の固定子部251のうち端部に配置された固定子部251のコア251aよりも外側に延ばす。これにより、X方向に沿って複数並んで配置される固定子部251のコア251aを覆うことができるので、リニアモータ固定子5fから磁気遮蔽部材5hに発せられる磁束を効果的に遮ることができる。
【0085】
また、第1実施形態では、上記のように、X方向において、磁気遮蔽部材5hの一方側端部S1を、複数の固定子部251のうち一方側端部S1に配置された固定子部251のコア251aよりも一方側に延ばす。X方向において、磁気遮蔽部材5hの他方側端部S2を、複数の固定子部251のうち他方側端部S2に配置された固定子部251のコア251aよりも他方側に延ばす。これにより、X方向に沿って複数並んで配置される固定子部251のコア251aを磁気遮蔽部材5hによりX方向法の一方側端部S1から他方側端部S2にわたって覆うことができるので、リニアモータ固定子5fから磁気センサ152に向かう磁束をより確実に遮蔽することができる。
【0086】
また、第1実施形態では、上記のように、磁気遮蔽部材5hに、締結部材5cが挿入される挿入孔451を設ける。挿入孔451のリニアモータ固定子5f側の縁部に、リニアモータ固定子5f側に向かって曲げられた挿入孔曲げ部451aを設ける。これにより、磁気遮蔽部材5hにより遮蔽され挿入孔451の縁から放出される磁束を挿入孔曲げ部451aに沿ってリニアモータ固定子5f側に放出することができるので、磁気遮蔽部材5hから放出される磁束を磁気センサ152に到達しにくくすることができる。
【0087】
また、第1実施形態では、上記のように、締結部材5cを、非磁性体により構成する。これにより、締結部材5cが磁性体の場合と異なり、締結部材5cが磁化しないので、リニアモータ固定子5fから発せられる磁束により締結部材5cが磁化されることに起因して締結部材5cから発せられる磁束が磁気センサ152に到達してしまうことを抑制することができる。この結果、リニアモータ固定子5fから発せられる磁束を磁気センサ152に到達しにくくすることができる。
【0088】
また、第1実施形態では、上記のように、磁気遮蔽部材5hを、リニアモータ固定子5fから磁気センサ152側に向かって発せられる磁束を引き込むとともに、リニアモータ固定子5f側に放出するように構成する。これにより、磁気遮蔽部材5hに引き込まれた磁束を磁気センサ152側とは反対側(リニアモータ固定子5f側)に放出することができるので、磁気遮蔽部材5hから放出された磁束を磁気センサ152に到達しにくくすることができる。
【0089】
また、第1実施形態では、上記のように、Z方向において、磁気遮蔽部材5hに、上端部がリニアモータ固定子5f側に向くように曲げられた上側曲げ部452、および、下端部がリニアモータ固定子5f側に向くように曲げられた下側曲げ部453を設ける。これにより、上側曲げ部452および下側曲げ部453により、磁気センサ152から離れた箇所に、磁気遮蔽部材5hに引き込まれた磁束を放出することができる。また、上側曲げ部452および下側曲げ部453を設けることにより、上端部および下端部を上下方向に沿って直線状にした場合(曲げない場合)の磁気遮蔽部材5hと比較して、磁気遮蔽部材5hの上下方向への大型化を抑制することができる。これらの結果、磁気遮蔽部材5hから放出された磁束を磁気センサ152に到達しにくくすることができるとともに、リニアコンベア101のZ方向への大型化を抑制することができる。
【0090】
また、第1実施形態では、上記のように、スライダ4に、磁気センサ152に対向するように配置され、磁気センサ152により検出される磁束を放出する磁気スケール4dを設ける。磁気遮蔽部材5hを、Y方向において、コア251aと、磁気センサ152および磁気スケール4dとの間に配置する。これにより、リニアモータ固定子5fから磁気スケール4dに向かう磁束を磁気遮蔽部材5hにより遮蔽することによって、磁気スケール4dに磁束が到達しにくくすることができるので、リニアモータ固定子5fから発せられる磁束から磁気スケール4dを保護することができる。
【0091】
また、第1実施形態では、上記のように、支持部材5bに、磁気センサ152とリニアモータ固定子5fとの間に設けられ、Z1方向に突出した取付壁54を設ける。磁気センサ152を、取付壁54におけるリニアモータ固定子5f側とは反対側のセンサ側側面54cに取り付ける。磁気遮蔽部材5hを、磁気センサ152と共通の取付壁54におけるリニアモータ固定子5f側のモータ側側面54bに取り付ける。これにより、磁気センサ152と磁気遮蔽部材5hとを共通の取付壁54に取り付けることにより、支持部材5bの構造の複雑化および大型化を抑制することができるので、リニアコンベア101の構造の複雑化および大型化を抑制することができる。
【0092】
また、第1実施形態では、上記のように、リニアコンベア101に、複数の固定子部251を一制御区間ごとに分けることにより設けられ、別個に通電制御される複数のユニット部材5gを設ける。磁気遮蔽部材5hを、複数のユニット部材5gの全てにわたって、磁気センサ152と固定子部251との間に配置する。これにより、2個以上のユニット部材5gにまたがって通電制御が行われて固定子部251から磁束が発せられる場合であっても、磁気遮蔽部材5hにより確実に磁束を遮蔽することができるので、磁気センサ152の位置の検出精度を確保することができる。
【0093】
また、第1実施形態では、上記のように、磁気遮蔽部材5hを、磁性体により構成する。これにより、リニアモータ固定子5fから磁気センサ152に向かう磁束により磁気遮蔽部材5hを磁化させることによって、リニアモータ固定子5fから磁気センサ152に向かう磁束を磁気遮蔽部材5hにより引き込むことができる。この結果、磁気センサ152に磁束が到達しにくくすることができるので、磁気センサ152によるスライダ4の位置の検出精度を確保することができる。
【0094】
また、第1実施形態では、上記のように、磁性体としての磁気遮蔽部材5hを、鉄または鋼により形成する。これにより、リニアモータ固定子5fから磁気センサ152に向かう磁束により磁気遮蔽部材5hを容易に磁化させることができるので、リニアモータ固定子5fから磁気センサ152に向かう磁束を磁気遮蔽部材5hにより確実に引き込むことができる。
【0095】
[第2実施形態]
次に、
図10および
図11を参照して、第2実施形態のリニアコンベア501について説明する。第2実施形態のリニアコンベア501は、詳細には、磁気遮蔽部材5hのX方向の両端部に曲げ部が設けられていない上記第1実施形態のリニアコンベア101とは異なり、磁気遮蔽部材505hのX方向の両端部に曲げ部が設けられている。なお、第2実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成に関しては、同じ符号を付して説明を省略する。
【0096】
図10および
図11に示すように、第2実施形態のリニアコンベア501のリニアコンベアモジュール505は、カバー部材5a(
図3参照)と、支持部材5bと、締結部材5c(図示せず)と、磁気センサユニット5dと、ガイドレール5eと、リニアモータ固定子5fと、ユニット部材5g(
図6参照)と、磁気遮蔽部材505hとを含んでいる。
【0097】
(磁気遮蔽部材)
第2実施形態の磁気遮蔽部材505hは、リニアモータ固定子5fから磁気センサ152側に向かって発せられる磁束を引き込むとともに、リニアモータ固定子5f側に放出するように構成されている。
【0098】
具体的には、磁気遮蔽部材505hは、一方側曲げ部654と、他方側曲げ部655とを有している。一方側曲げ部654は、板状の磁気遮蔽部材505hのX1方向側の端部に設けられている。一方側曲げ部654は、X方向のX1方向側の端部(一方側端部S1)がリニアモータ固定子5f側に向くように曲げられている。他方側曲げ部655は、X方向のX2方向側の端部(他方側端部S2)がリニアモータ固定子5f側に向くように曲げられている。これにより、磁気遮蔽部材505hは、X方向のX1方向側の端部から放出される磁束、および、X方向のX2方向側の端部から放出される磁束の両方をリニアモータ固定子5f側に放出可能に構成されている。なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態の構成と同様である。
【0099】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態の効果について説明する。
【0100】
第2実施形態では、上記のように、磁気センサ152とリニアモータ固定子5fとの間に配置され、リニアモータ固定子5fから磁気センサ152に向かう磁束を遮る磁気遮蔽部材505hを設ける。これにより、磁気センサ152による磁束の誤検出を抑制しつつ、磁気センサ152およびリニアモータ固定子5fの配置位置の自由度を向上させることにより、リニアコンベア101を小型化することができる。
【0101】
また、第2実施形態では、上記のように、磁気遮蔽部材505hに、X方向の一方側端部S1がリニアモータ固定子5f側に向くように曲げられた一方側曲げ部654を設ける。磁気遮蔽部材505hに、X方向の他方側端部S2がリニアモータ固定子5f側に向くように曲げられた他方側曲げ部655を設ける。これにより、一方側曲げ部654および他方側曲げ部655により、磁気センサ152側とは反対側(リニアモータ固定子5f側)に、磁気遮蔽部材505hに引き込まれた磁束を放出することができる。また、一方側曲げ部654および他方側曲げ部655を設けることにより、一方側端部および他方側端部をX方向に沿って直線状にした場合(曲げない場合)の磁気遮蔽部材505hと比較して、磁気遮蔽部材505hのX方向への大型化を抑制することができる。これらの結果、磁気遮蔽部材505hから放出された磁束を磁気センサ152に到達しにくくすることができるとともに、リニアコンベア101のX方向の大型化を抑制することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態の効果と同様である。
【0102】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0103】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、締結部材5cは、オーステナイト系ステンレス鋼により形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、締結部材は、他の非磁性体の金属により形成されてもよい。
【0104】
また、上記第1および第2実施形態では、磁性体としての磁気遮蔽部材5h(505h)は、鉄または鋼により形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、磁気遮蔽部材は、他の磁性体である金属材料であってもよい。
【0105】
また、上記第1および第2実施形態では、磁気遮蔽部材5h(505h)は、上側曲げ部452(第1曲げ部)と、下側曲げ部453(第2曲げ部)とを有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、磁気遮蔽部材は、第1曲げ部および第2曲げ部の両方を有していなくてもよいし、第1曲げ部および第2曲げ部のいずれか1つを有していなくてもよい。
【0106】
また、上記第2実施形態では、磁気遮蔽部材505hは、一方側曲げ部654および他方側曲げ部655の両方を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、磁気遮蔽部材は、一方側曲げ部および他方側曲げ部の両方を含んでいなくてもよいし、一方側曲げ部および他方側曲げ部のいずれか1つを含んでいてもよい。
【0107】
また、上記第1および第2実施形態では、磁気遮蔽部材5h(505h)は、X方向(ガイドレール5eの延びる方向)に沿って延びる板状に形成されている例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、磁気遮蔽部材は、ブロック状などに形成されてもよい。
【0108】
また、第1および第2実施形態では、磁気遮蔽部材5h(505h)は、リニアモータ固定子5fから発せられる磁束を引き込むことにより、リニアモータ固定子5fから磁気センサ152に向かう磁束を遮るように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、磁気遮蔽部材は、リニアモータ固定子から発せられる磁束を反射などさせることにより、リニアモータ固定子から磁気センサに向かう磁束を遮るように構成されていてもよい。
【0109】
また、第1および第2実施形態では、磁気遮蔽部材5h(505h)は、磁気センサ152と共通の取付壁54におけるリニアモータ固定子5f側の側面に取り付けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、磁気遮蔽部材は、磁気センサとは異なる箇所に取り付けられてもよい。
【0110】
また、上記第1および第2実施形態では、X方向の長さが同じリニアコンベアモジュール5が、X方向に複数並んでいる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、X方向の長さの異なるリニアコンベアモジュール同士が、X方向に並んでいてもよい。
【0111】
また、上記第1および第2実施形態では、磁気遮蔽部材5h(505h)は、リニアコンベアモジュール5(505)のX1方向側の端部E1近傍からリニアコンベアモジュール5(505)のX2方向側の端部E2近傍にわたって途切れることなく延びる一枚板である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、磁気遮蔽部材は、複数に分割されていてもよい。
【0112】
また、上記第1および第2実施形態では、磁気遮蔽部材5h(505h)は、締結部材5cにより、支持部材5bに取り付けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、磁気遮蔽部材は、接着剤などにより、支持部材に取り付けられていてもよい。
【0113】
また、上記第1および第2実施形態では、締結部材5cは、Z方向(上下方向)において、取付壁54の中央部分に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、締結部材は、上下方向において、取付壁の中央部分よりも上側または下側に配置されていてもよい。
【0114】
また、上記第1および第2実施形態では、磁気センサ152は、センサ側側面54cに取り付けられているとともに、磁気遮蔽部材5h(505)は、磁気センサ152と共通の取付壁54におけるモータ側側面54bに取り付けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、磁気センサが、磁気遮蔽部材のリニアモータ固定子とは反対側の面に直接取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0115】
4 スライダ
4b リニアモータ可動子
4d 磁気スケール
4h 永久磁石
5b 支持部材
5c 締結部材
5e ガイドレール
5f リニアモータ固定子
5g ユニット部材
5h、505h 磁気遮蔽部材
54 取付壁
54b モータ側側面(リニアモータ固定子側の側面)
54c センサ側側面(リニアモータ固定子側とは反対側の側面)
101、501 リニアコンベア
152 磁気センサ
251 固定子部
251a コア
251b コイル
451 挿入孔
451a 挿入孔曲げ部
452 上側曲げ部(第1曲げ部)
453 下側曲げ部(第2曲げ部)
654 一方側曲げ部
655 他方側曲げ部
L1 (磁気遮蔽部材の)長さ
L2 (コアの)長さ
S1 (磁気遮蔽部材の)一方側端部
S2 (磁気遮蔽部材の)他方側端部