IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コリンダス インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-医療機器の可動式支持及び収容システム 図1
  • 特許-医療機器の可動式支持及び収容システム 図2
  • 特許-医療機器の可動式支持及び収容システム 図3
  • 特許-医療機器の可動式支持及び収容システム 図4
  • 特許-医療機器の可動式支持及び収容システム 図5
  • 特許-医療機器の可動式支持及び収容システム 図6
  • 特許-医療機器の可動式支持及び収容システム 図7
  • 特許-医療機器の可動式支持及び収容システム 図8
  • 特許-医療機器の可動式支持及び収容システム 図9
  • 特許-医療機器の可動式支持及び収容システム 図10
  • 特許-医療機器の可動式支持及び収容システム 図11
  • 特許-医療機器の可動式支持及び収容システム 図12
  • 特許-医療機器の可動式支持及び収容システム 図13
  • 特許-医療機器の可動式支持及び収容システム 図14
  • 特許-医療機器の可動式支持及び収容システム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】医療機器の可動式支持及び収容システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 50/13 20160101AFI20230919BHJP
   A61G 13/00 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
A61B50/13
A61G13/00 Z
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022067477
(22)【出願日】2022-04-15
(62)【分割の表示】P 2021518607の分割
【原出願日】2019-10-03
(65)【公開番号】P2022093408
(43)【公開日】2022-06-23
【審査請求日】2022-04-18
(31)【優先権主張番号】16/152,811
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510292504
【氏名又は名称】コリンダス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】クレム,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】レイン,ジュネビエーブ アール.ケー.
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス,クリストファー オー.
(72)【発明者】
【氏名】パーカー,アンソニー クレッグ
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10034721(US,B1)
【文献】米国特許第10333296(US,B1)
【文献】特表2013-528753(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0163829(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0035702(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0223891(US,A1)
【文献】特表2020-521533(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02145586(EP,A1)
【文献】特許第7082244(JP,B2)
【文献】特許第7275349(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 50/13
A61G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール検出レバーを備えたベース付きのアームを有し、前記レール検出レバーは取付用器具と接触すると作動するように構成されている、医療機器と、
筐体及び該筐体内に配置された搬送部を含む本体と、
前記搬送部に組み付けられ、前記筐体から鉛直方向上向きに延伸し、前記医療機器の前記アームを支持するように構成された支持アームと、
前記支持アームに近接して前記搬送部に組み付けられ、前記医療機器の前記アームの前記ベースと接続するように構成された搭載ブロックとを含み、
前記レール検出レバーが作動したときに、互いに接続している前記搭載ブロックと前記ベースとを分離することが可能となる、可動式支持システム。
【請求項2】
前記取付用器具が台のレールである、請求項1に記載の可動式支持システム。
【請求項3】
前記医療機器の前記アームの前記ベースは、前記レール検出レバーが作動したときにロックが解除されるように構成された少なくとも1つのローラシャフトをさらに備え
前記搭載ブロックは、前記少なくとも1つのローラシャフトにロック可能に挿入される少なくとも1つのピンを備える、請求項2に記載の可動式支持システム。
【請求項4】
ブレーキ及びブレーキリリースを備えたベース付きのアームを有し、前記ブレーキは、前記ベースを取付用器具に固定し、前記ブレーキリリースが作動するとその固定を解除するように構成される、医療機器と、
筐体及び該筐体内に配置された搬送部を含む本体と、
前記搬送部に組み付けられ、前記筐体から鉛直方向上向きに延伸し、前記医療機器の前記アームを支持するように構成された支持アームと、
前記支持アームに近接して前記搬送部に組み付けられ、前記医療機器の前記アームの前記ベースと接続するように構成された搭載ブロックとを含む可動式支持システムであって、
前記搭載ブロックは、前記搭載ブロックが前記アームの前記ベースと係合するときに前記ブレーキリリースを作動させるように構成されている、可動式支持システム。
【請求項5】
前記ブレーキは、付勢されて前記取付用器具に当接することで前記ベースを前記取付用器具に固定する、請求項4に記載の可動式支持システム。
【請求項6】
ベース付きのアームを有する医療機器と、
筐体及び該筐体内に配置された搬送部を含む本体と、
前記搬送部に組み付けられ、前記筐体から鉛直方向上向きに延伸し、前記医療機器の前記アームを支持するように構成された支持アームと、
前記支持アームに近接して前記搬送部に組み付けられ、前記医療機器の前記アームの前記ベースと接続するように構成された搭載ブロックと、を含む可動式支持システムであって、
前記医療機器の前記アームの前記ベースは、
第1のローラと、
該第1のローラに連結された第1のローラシャフトと、
該第1のローラシャフトに連結された第1のロック機構と、
第2のローラと、
該第2のローラに連結された第2のローラシャフトと、
該第2のローラシャフトに連結された第2のロック機構とを含み、
前記搭載ブロックは、
前記第1のローラシャフト及び前記第2のローラシャフトに嵌まるように構成された一組のピンを含み、
前記第1のロック機構及び前記第2のロック機構は、前記搭載ブロックの前記一組のピンが前記第1のローラシャフト及び前記第2のローラシャフトから外れると、前記第1のローラシャフト及び前記第2のローラシャフトをそれぞれロックするように構成される、可動式支持システム。
【請求項7】
前記第1のロック機構及び前記第2のロック機構は、前記搭載ブロックの前記一組のピンが前記第1のローラシャフト及び前記第2のローラシャフトと係合したときに、前記第1のローラシャフト及び前記第2のローラシャフトのロックをそれぞれ解除するように構成されている、請求項6に記載の可動式支持システム。
【請求項8】
前記第1のロック機構は、前記第1のローラシャフト内に配置された従動ピンを備えている、請求項6に記載の可動式支持システム。
【請求項9】
前記第2のロック機構は、前記第2のローラシャフト内に配置された従動ピンを備えている、請求項6に記載の可動式支持システム。
【請求項10】
前記第1のローラ及び前記第2のローラは、前記搭載ブロックの前記一組のピンが前記第1のローラシャフト及び前記第2のローラシャフトと係合したときに、第1の位置から第2の位置へ移動するように構成されている、請求項7に記載の可動式支持システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年10月5日出願の米国出願16/152,811、発明の名称「MOBILE SUPPORT AND STORAGE SYSTEM FOR A MEDICAL DEVICE」の優先権を主張し、この米国出願の全内容は本出願に援用される。
【0002】
本発明は、広く言えば医療機器の分野に関するものであり、より具体的には、医療機器用の可動式支持及び収容システムに関する。
【背景技術】
【0003】
病院、診療所、医院、又は他の医療環境で使用される医療用ベッド(台)には、様々な医療機器を支持するために、ベッドに固定された操作可能なレールを備えることができる。処置の合間に医療機器を台から取り外すべき状況があり得るが、当該医療機器は概して重く、これを手動で設置したり取り外したりすることは大変である。
【0004】
医療用ベッド(台)のレールに対して医療機器の設置及び取り外しを容易にするように構成されており、医療機器を搬送及び収容するようにも構成された、可動式支持及び収容システムを提供することが望まれる。
【発明の概要】
【0005】
一態様によれば、ベース付きのアームを有する医療機器の可動式支持システムは、上面と第1の端部と第2の端部とを有する筐体及び筐体内に配置された搬送部を有する本体と、搬送部に組み付けられ、搬送部を動作させるように構成された機構と、筐体に組み付けられた一組の車輪と、搬送部に組み付けられ、筐体の上面から鉛直方向上向に延伸し、医療機器のアームを支持するように構成された支持アームと、支持アームに近接して搬送部に組み付けられ、医療機器のアームのベースと接続するように構成された搭載ブロックと、筐体の第2の端部において上面の上に位置する第1のレール検出ガイド及び筐体の第2の端部において上面の上に位置する第2のレール検出ガイドとを含む。第1のレール検出ガイド及び第2のレール検出ガイドは、第1のレール検出ガイド及び第2のレール検出ガイドと表面とが接触したときに、搬送部を動作させるために使用される機構をアンロックするように構成される。
【0006】
別の態様によれば、ベース付きのアームを有する医療機器の可動式支持システムは、上面を有する筐体及び筐体内に配置された搬送部を有する本体と、搬送部に組み付けられ、搬送部を動作させるように構成された機構と、筐体に組み付けられた一組の車輪と、筐体に組み付けられ、搬送部の動作に応じて作動するように構成された床ブレーキと、搬送部に組み付けられ、筐体の上面から鉛直方向上向に延伸し、医療機器のアームを支持するように構成された支持アームと、支持アームに近接して搬送部に組み付けられ、医療機器のアームのベースと接続するように構成された搭載ブロックとを含む。
【0007】
別の態様によれば、可動式支持システムは、レール検出レバーを備えたベース付きのアームを有し、レール検出レバーは表面と接触すると作動するように構成されている、医療機器と、筐体及び筐体内に配置された搬送部を有する本体と、搬送部に組み付けられ、筐体から鉛直方向上向に延伸し、医療機器のアームを支持するように構成された支持アームと、支持アームに近接して搬送部に組み付けられ、医療機器のアームのベースと接続するように構成された搭載ブロックとを含む。レール検出レバーが作動したときに、互いに接続している搭載ブロックとベースとを分離することが可能となる(接続ロックの解除)。
【0008】
別の態様によれば、可動式支持システムは、ブレーキ及びブレーキに連結されたブレーキリリースを備えたベース付きのアームを有する医療機器と、筐体及び筐体内に配置された搬送部を有する本体と、搬送部に組み付けられ、筐体から鉛直方向上向に延伸し、医療機器のアームを支持するように構成された支持アームと、支持アームに近接して搬送部に組み付けられ、医療機器のアームのベースと接続するように構成された搭載ブロックとを含む。搭載ブロックは、アームのベースと係合したときにブレーキリリースを作動させるように構成される。
【0009】
別の態様によれば、可動式支持システムは、ベース付きのアームを有する医療機器を含み、そのベースは、第1のローラと、第1のローラに連結された第1のローラシャフトと、第1のローラシャフトに連結された第1のロック機構と、第2のローラと、第2のローラに連結された第2のローラシャフトと、第2のローラシャフトに連結された第2のロック機構とを含む。この可動式支持システムは、筐体及び筐体内に配置された搬送部を有する本体と、搬送部に組み付けられ、筐体から鉛直方向上向に延伸し、医療機器のアームを支持するように構成された支持アームと、支持アームに近接して搬送部に組み付けられ、医療機器のアームのベースと接続するように構成された搭載ブロックとをさらに含む。搭載ブロックは、第1のローラシャフト及び第2のローラシャフトに嵌まるように構成された一組のピンを有し、第1のロック機構及び第2のロック機構は、搭載ブロックの一組のピンが第1のローラシャフト及び第2のローラシャフトから外されたときに、第1のローラシャフト及び第2のローラシャフトをそれぞれロックするように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本出願は、次の図面を参照する以下の詳細な説明からより良く理解される。図中、同様の要素には同じ参照番号を付してある。
図1】実施形態に関する医療用ベッド(台)を例示する概略図であり、この医療用ベッド(台)には医療機器が取り付けられている。
図2】搬送部が第1の位置にある一実施形態に係る可動式支持システムを示す斜視図。
図3】搬送部が第2の位置にある一実施形態に係る可動式支持システムを示す斜視図。
図4】一実施形態に係る可動式支持システムの一部を示す前面斜視図。
図5】搬送部が第1の位置にある一実施形態に係る可動式支持システムを示す斜視図。
図6】一実施形態に係る可動式支持システムについて、第1の位置において上昇した搬送部と共に示す斜視図。
図7】搬送部が第2の位置にある一実施形態に係る可動式支持システムを示す斜視図。
図8】一実施形態に係る可動式支持システムについて、第2の位置において下降した搬送部と共に示す斜視図。
図9】一実施形態に係る医療機器のアームのベースの底部を見上げて示した斜視図。
図10】一実施形態に係る可動式支持システムの搬送部に関する搭載ブロックを示す側面図。
図11】一実施形態に係る可動式支持システムの前面図。
図12】一実施形態に係る可動式支持システムについて、第2の位置において下降した搬送部と共に示す斜視図。
図13】搬送部が第2の位置にある一実施形態に係る可動式支持システムを示す斜視図。
図14】一実施形態に係る可動式支持システムについて、第1の位置において上昇した搬送部と共に示す斜視図。
図15】搬送部が第1の位置にある一実施形態に係る可動式支持システムを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明では、鉛直方向は重力の方向に沿った方向であり、水平方向は重力の方向とおおよそ直交する方向である。「上向き」は重力の作用する方向とは逆に向いた鉛直の方向であり、「下向き」は重力の方向の鉛直の方向である。
【0012】
図1は、実施形態に関する医療用ベッド(台)を例示する概略図であり、医療用ベッド(台)に取り付けられた医療機器を含んでいる。図1において、医療用ベッド(台)100はレール102を備えている。医療機器104は、取付用器具であるレール102を使用して台100に取り付けられる。医療機器104はアーム106を含み、アーム106は、下部108を有し、医療処置で使用される器具又はシステムを支持するために使用される。一実施形態において、アーム106は関節上部110を含み得る。アーム106はまた、医療機器104をレール102に取り付け固定するように構成されているベース112も含む。アーム106によって支持される器具又はシステムは、例えば、ロボットカテーテルシステム、IVポール、モニタ、造影剤溶液注入器などである。図1では、ロボットカテーテルシステム114がアーム106に取り付けられていることが例示されている。
【0013】
台100に取り付けられていないときの医療機器104は、図2図15を参照して以下に説明するように可動式支持装置を使用して、(台100に対し)搬送され、収容され得る。可動式支持装置は、医療機器104を台100に設置し、取り外すためにも使用可能である。図2は、搬送部が第1の位置にある一実施形態に係る可動式支持システムの斜視図、図3は、搬送部が第2の位置にある一実施形態に係る可動式支持システムの斜視図である。図2及び図3を参照すると、可動式支持システム200(例えばカート)は、筐体204を有する本体202を含む。筐体204は、上面206、底面208、第1の側部210、第2の側部212、第1の端部214、第2の端部216を含む。矩形ないしは立方体形状の筐体が示されているが、別の実施形態では、可動式支持システム200の筐体は、円筒などの他の形状でもよく、また筐体は、閉じた又は開いたフレームであってもよい。一組の車輪226が筐体204の底面208に組み付けられている。床ブレーキ242も底面に配置され、可動式支持システム200が医療機器を搬送、収容するために使用される場合には上昇位置にあり、そして、後述するように可動式支持システム200がベッド(台)のレールに医療機器を設置するために使用される場合及びベッド(台)のレールから医療機器を取り外すために使用される場合には下降位置にあるように構成される。
【0014】
筐体の第1の端部214は、ハンドル222、足ペダル224、ボタン228を含む。支持アーム218は、筐体204の内側の搬送部234に配置される。図2において、支持アーム218は、筐体204の第1の端部214に近接する第1の位置に位置している。図2に示す第1の位置は、医療機器が使用されておらず収容されている場合に用いられる。図3において、支持アーム218は、筐体204の第2の端部216に近接する第2の位置に位置している。図3に示す第2の位置は、可動式支持システム200が医療機器をベッド(台)に対し設置したり取り外したりするために使用されている場合に用いられる。医療機器のアームの下部236(例えば、図1に示したアーム106の下部108)は、支持アーム218の中及び近傍に配置される。分かりやすくするために、医療機器のその余の要素(例えば、図1に示した関節上部110及び器具114)は図示されていない。アームの下部236は、支持アーム218(及び可動式支持システム200)に着脱可能な方式で取り付けられる。例えば、支持アーム218は、筐体の上面206及び搬送部234に近接する支持アーム218の下端部に、搭載ブロック241(図4に示す)を含む。図4を参照すると、医療機器のアームの下部236はベース240を含み、ベース240は、医療機器がカートに搭載されたときに搭載ブロック241と係合するように構成される。以下に説明する実施形態では、ベース240と搭載ブロック241とは鉛直に対面する。また、ベース240は、医療機器がベッド(台)に取り付けられるときに、ベッド(台)のレールに係合するように構成されている。アームの下部236はさらに一組の脚部238を含み、脚部238は、ベッド(台)の上に位置し、そして、医療機器がベッド(台)に取り付けられ固定されたときには例えばマットレスの下に位置する。脚部238は、台のレールに加えて台表面にも直接荷重を加えるために使用することができる。
【0015】
図2において、側方ガイド220が、筐体の第1の側部210に近接して、第1の端部214と第2の端部216との間で上面に沿って配置されて示されている。別の実施形態では、側方ガイド220は、第2の側部212に近接して、第1の端部214と第2の端部216との間で上面に沿っても配置され得る。1つ又は複数の側方ガイド220は、支持アーム218及びアーム236が搬送部234で筐体204の第1の端部214から第2の端部216へ移動するときに、その動作域を画定して制限する。支持アーム218及びアーム236の動作域を制限することにより、可動式支持システム200の安定度が向上する。第1のレール検出ガイド230及び第2のレール検出ガイド232が、筐体の第2の端部216に近接して、上面に沿って位置している。第1のレール検出ガイド230及び第2のレール検出ガイド232は、以下に詳述するように可動式支持システム200及びアーム236が医療機器の取り付け又は取り外しにあたりベッド(台)のレールに対して正しい位置にあるかどうかを測定するように構成されている。
【0016】
ベッド(台)のレールに医療機器を設置するために、可動式支持システム200は、台のレールに隣接させてベッド横に配置される。図5は、搬送部が第1の位置にある一実施形態に係る可動式支持システムを示した斜視図である。図5において、可動式支持システム200は、第1のレール検出ガイド230及び第2のレール検出ガイド232がベッド(台)のレール244に接触するように、台まで車輪で移動する。分かりやすいように、ベッド(台)のレール244のみが図示されている。第1のレール検出ガイド230及び第2のレール検出ガイド232は、台とレール244が適正な高さ範囲にあることを保証する。加えて、第1のレール検出ガイド230及び第2のレール検出ガイド232は、それぞれリンク又はスイッチを含んでおり、このリンク又はスイッチは、レール244との接触によって作動すると、搬送部234(及びそれによって医療機器アームの支持アーム218及び下部236)を上昇及び下降させて医療機器をレール244に設置することができるようにするために使用される機構(例えば、液圧機構)を作動させる。一つの実施形態において、レール244との接触による第1のレール検出ガイド230及び第2のレール検出ガイド232のリンク又はスイッチの作動に従って、油圧回路のバイパス弁が閉じて足ペダル224がバイパスモードから作動モードに切り替わる。バイパスモードでは、可動式支持システム200の筐体204において搬送部234を上昇及び下降させるために使用される足ペダル224と機構は、作動しない。作動モードでは、搬送部234を上昇及び下降させるために使用される足ペダル224と機構が作動可能となり、使用者は、例えば、足ペダル224を上下動させる(ポンピングする)ことにより、矢印253で示すように鉛直方向の上方へ搬送部234、支持アーム218及びアーム236を上昇させることができる。図5に示す機構246は、例えばシザー機構/リフトで、足ペダル224の作動に応じて搬送部234を上昇させるべく使用される。様々な実施形態において、足ペダル224は、例えば、液圧又は機械式のリンク機構である。また、足ペダル224の作動により、床ブレーキ242を下げて床に接触させ(矢印251によって示される)、可動式支持システム200をレール244に対し押し付けたり付勢することができる。図6は、筐体204の第1の端部214にある第1の位置で上昇位置にある搬送部、支持アーム218、及びアーム236を示す。
【0017】
次に使用者は、支持アーム218、アーム236及び搬送部234を、筐体204の第1の端部214に近接する第1の位置から、図6の矢印255で示すように第2の位置へスライドさせる。図7は、搬送部が第2の位置にある一実施形態に係る可動式支持システムを示す斜視図である。図7において、支持アーム218、アーム236及び搬送部234は、筐体204の第2の端部216に近接する第2の位置まで(矢印255で示すように)水平方向に移動した後である。一実施形態において、この水平方向の移動は、リニアベアリング(図示せず)を使用して提供される。バイアススプリング(図示せず)を使用して搬送部234を第2の位置に向け押すか付勢し、搬送部234を第2の位置に保持することができる。一実施形態によると、バイアススプリングは、オーバーセンタースプリングとして実施される。別の実施形態では、バイアススプリングは、リニアカム上のバネ付勢カム従動子として実施される。次に、搬送部234、支持アーム218及びアーム236は、例えば、ボタン228の作動によってレール244に向け(矢印257によって示されるように)下降し、アーム236及びベース240がレール244に位置決めされる。上述したように、シザー機構のような機構が搬送部234を下降させるべく使用される。ベース240が位置決めされてレール244に固定されると、搬送部234はさらに下方へ下げられてアーム236のベース240から外れる。図8は、搬送部及び支持アーム218が、筐体204の第2の端部216における第2の位置で下降位置にあることを示している。そして可動式支持システム200は、車輪でベッド(台)から離れていく。
【0018】
レール244への設置時にはアーム236がレール244に適切に着座するまで医療機器は可動式支持システム200に係止していることが望ましく、また、レール244からの取り外し時には可動式支持システム200がアーム236の下に適切に配置されるまで医療機器がレール244に固定されていることが望ましい。前述したように、アーム236のベース240は、可動式支持システム200の搭載ブロック241と係合する。図9は、一実施形態に係る医療機器のアームの底部を見上げて示す斜視図であり、図10は、一実施形態に係る可動式支持システムの搬送部における搭載ブロックの側面図である。図9を参照すると、ベース240は、脚部238、リップ252、前部245及び底部250の組を含む。レール検出レバー254は、リップ252の底面に配置されている。レール検出レバー254は、アームのベース240が可動式支持システム200から外れる前に、アームのベース240がレール244(図示せず)にきちんと着座していることを確実にするために使用される。アームのベース240がレール上に下ろされると、レール検出レバー254がレールと接触し、第1のローラシャフト260又は第2のローラシャフト262のいずれかのロックを解除する。別の実施形態では、レール検出レバー254がレールに接触すると、第1のローラシャフト260と第2のローラシャフト262の両方がロックされ、そしてロック解除される。ベース240と搭載ブロック241とが係合しているとき、第1のローラシャフト260内及び第2のローラシャフト262内にそれぞれ第1のピン268及び第2のピン270が位置する。第1のピン268及び第2のピン270は、円筒形又は丸い形をして図10に示されているが、これらピン268,270には他の形状を採用してもよい。搭載ブロック241の第1のピン268及び第2のピン270を図10に示す。図9に戻って、ベース240は、第1のローラシャフト260及び第2のローラシャフト262にそれぞれ連結された第1のローラ256及び第2のローラ258も含んでいる。ベース240と搭載ブロック241とが係合していると、第1のローラ256と第2のローラ258は、ベース240の前部245と実質的に平行になる位置(図9に図示せず)にあり、ベース240の前部245に直交して外へ突出はしない。第1のローラシャフト260及び第2のローラシャフト262がロック解除されると、可動式支持システム200はさらに下降することができ、搭載ブロック241の第1のピン268及び第2のピン270がベース240から外れる。第1のピン268が外れるのにつれて、第1のローラシャフト260内の従動ピン273が第1のローラシャフト260を回転させて、第1のローラ256がベース240の前部245に直交して外へ突出する位置(図9に示す)まで第1のローラ256を移動させ、これにより第1のローラ256はレール(図示せず)の下に位置する。第2のピン270が外れるのにつれて、第2のローラシャフト262内の従動ピン275が第2のローラシャフト262を回転させて、第2のローラ258がベース240の前部245に直交して外へ突出する位置(図9に示す)まで第2のローラ258を移動させ、これにより第2のローラ258はレール(図示せず)の下に位置する。第1のローラ256及び第2のローラ258は、ベース240をレールに固定(ロック)する。2つのピン268,270がそれぞれローラシャフト260,262から外れると、従動ピン273,275が内方へスライドし、ローラシャフト260,262の回転を阻止するロック機構に係合する。
【0019】
ベース240は、ベース240の前部245に配置された摩擦式のブレーキ266と、ベース240の底部250に配置されたブレーキリリース264とを含む。ベース240と搭載ブロック241(図10に示される)が係合しているとき、搭載ブロック241のブレーキリリースピン272(図10に示される)がブレーキリリース264内に位置する。ブレーキリリースピン272は、矩形として図10に示されているが、このブレーキリリースピン272には他の形状を使用してもよい。可動式支持システム200の下降に伴いブレーキリリースピン272がブレーキリリースから外れると、ブレーキ266がレールに当てられて押しつけられ(例えば、バネ付勢ブレーキ)、図11に示すようにベース240をレールに固定する。図11は、一実施形態による可動式支持システムの前面図である。支持アーム218及びアーム236は、可動式支持システム200の第2の端部216に近接した第2の位置にある。アーム236のベース240はレール244に着座し、ブレーキ266はレール244に当接している。搬送部234が下降すると、床ブレーキ242が解除されて床から上がる。可動式支持システム200の搬送部234が下降して搭載ブロック241がベース240から外れると、可動式支持システム200は車輪で移動し、ベッド(台)から離れる。台上に設置された医療機器は図1に示されている。
【0020】
ベッド(台)のレールから医療機器を取り外すために、可動式支持システム200は、台のレールに隣接させてベッド横に配置される。図12は、第2の位置で下降した搬送部と共に示した可動式支持システムの斜視図であり、図13は、第2の位置で上昇した搬送部と共に示した可動式支持システムの斜視図である。図12及び図13を参照すると、可動式支持システム200は台まで車輪で移動し、第1のレール検出ガイド230及び第2のレール検出ガイド232がベッド(台)のレール244に接触する。分かりやすくするために、ベッド(台)のレール244のみが図示されている。図5に関して上述したように、第1のレール検出ガイド230及び第2のレール検出ガイド232はそれぞれリンク又はスイッチを含み、これらリンク又はスイッチは、レール244との接触によって作動すると、搬送部234(したがって支持アーム218と医療機器のアームの下部236)を上下させるために使用される機構(例えば、液圧)のロックを解除し、これにより医療機器がレール244から取り外せるようになる。搬送部234を上下させるために使用される足ペダル224及び機構がロック解除されると、使用者は、例えば、足ペダル224上下動させる(ポンピングする)ことにより、矢印263で示すように鉛直方向の上方へ搬送部234、支持アーム218及びアーム236を上昇させることができる。また、足ペダル224の作動で床ブレーキが下りて床に接触し(矢印261によって示すように)、可動式支持システム200をレール244に対し押し付けるか付勢する。搬送部234が上昇すると、可動式支持システム200の搭載ブロック241がアーム236のベース240と係合する。
【0021】
再び図9及び図10を参照し、ベース240と搭載ブロック241とが係合すると、第1のピン268及び第2のピン270がそれぞれ第1のローラシャフト260及び第2のローラシャフト262の中に入る。第1のピン268が第1のローラシャフト260に挿入されると、第1のローラシャフト260内の従動ピン273がまず第1のローラシャフト260のロックを解除し、次いで第1のローラシャフト260を回転させて、第1のローラ256がベース240の第1の側部245と実質的に平行になってベース240の第1の側部245と直交して外へ突出しない位置(図9には図示せず)に第1のローラ256を移動させる。第2のピン270が第2のローラシャフト262に挿入されると、第2のローラシャフト262内の従動ピン275がまず第2のローラシャフト262のロックを解除し、次いで第2のローラシャフト262を回転させて、第2のローラ258がベース240の第1の側部245と実質的に平行になってベース240の第1の側部245と直交して外へ突出しない位置(図9には図示せず)に第2のローラ258を移動させる。また、ベース240と搭載ブロック241が係合すると、搭載ブロック241のブレーキリリースピン272(図10に示される)がブレーキリリース264内に入る。可動式支持システム200の上昇に伴ってブレーキリリースピン272がブレーキリリース264に挿入されると、ブレーキ266が解除され、この後はレール244に力を加えなくなる。一実施形態において、ブレーキリリースピン272は、ブレーキリリース264内のロッカー(揺動部材)と接触し、このロッカーがタイロッドでブレーキと接続されている。ベース240と搭載ブロック241が係合すると、2つのローラシャフト260,262がロック解除され、ローラ256,258がレールの下の位置から回動して外れ、そしてブレーキが解除される。アームのベース240がレールから持ち上げられると、レール検出レバー254がレールから外れ(例えば、もうレールとは接触しない)、第1のローラシャフト260及び第2のローラシャフト262の少なくとも一方がロックされる。
【0022】
図13に戻って、可動式支持システム200の搬送部234は、その後、アーム236及び支持アーム218が台上方に十分な間隔をとるまでさらに上昇し得る。使用者は、次に、筐体204の第2の端部216に近接する第2の位置から図14に示す第1の位置まで、支持アーム218、アーム236及び搬送部234を(矢印265で示すように)スライドさせることができる。図14は、一実施形態に係る可動式支持システムを、第1の位置で上昇した搬送部と共に示す斜視図である。図14において、支持アーム218、アーム236及び搬送部234は、筐体204の第1の端部214に近接する第1の位置に(矢印265で示すように)水平方向に移動した後である。一つの実施形態において、水平方向の移動は、リニアベアリング(図示せず)を用いて提供される。この後、搬送部234、支持アーム218及びアーム236は、例えば、ボタン228の作動により筐体内へ下降し(矢印267で示す)、アーム236及びベース240は、図15に示すように収容位置となる。上述したように、シザー機構のような機構が、搬送部234を下降させるために使用される。図15を参照すると、支持アーム218及びアーム236が収容位置にあるとき、床ブレーキ242は解放されて上がった位置へ動作する(矢印269で示される)。そして可動式支持システム200は、車輪で移動しベッド(台)から離れることができる。
【0023】
以上の説明では、最良の形態を含めて発明を開示するために、また、当業者が本発明を実施し使用することを可能にするために、例を提示した。本発明の特許されるべき範囲は、特許請求の範囲により定義され、当業者が想定する他の例も含む。このような他の例は、特許請求の範囲の記載から逸れない構造要素を有する場合、又は、特許請求の範囲の記載に対し十分な違いをもたない等価の構造要素を含む場合には、当然、特許請求の範囲に含まれる。あらゆるプロセス又は方法ステップの順序と手順は、代替形態に従って変更又は再編成され得る。
【0024】
本発明の思想から逸脱することなくその他様々な変更及び修正を加えることができる。これら及び他の変更の範囲は、特許請求の範囲により明らかとされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15