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特許7350936高スループットハイパースペクトル画像化システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】高スループットハイパースペクトル画像化システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20230919BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022074945
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2021029378の分割
【原出願日】2019-01-14
(65)【公開番号】P2022107604
(43)【公開日】2022-07-22
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】62/620,137
(32)【優先日】2018-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516035068
【氏名又は名称】ヴェリリー ライフ サイエンシズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】シンハ,サップリヨ
(72)【発明者】
【氏名】サントリ,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】コンラッド,アンドリュー
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0343477(US,A1)
【文献】国際公開第2017/205858(WO,A1)
【文献】特開2005-085885(JP,A)
【文献】国際公開第2017/205857(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0053743(US,A1)
【文献】米国特許第05751417(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/62-74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を放出し、かつサンプルを通って前記励起光を誘導して、前記励起光が前記サンプルに蛍光を放出させるように構成されている、励起光源であって、光源と、前記光源から光を受容しかつ励起ストライプを生成するように構成されている、レンズと、を備える、励起光源と、
前記サンプルから前記蛍光を受容し、かつ画像化された蛍光を生成するように構成されている、対物レンズと、
前記画像化された蛍光を受容するように位置決めされ、かつ前記画像化された蛍光を透過させるように構成されている、スリットと、
前記スリットを通って透過した蛍光を受容し、かつ前記蛍光を空間的に分散された複数のスペクトルチャネルに分離するように構成されている、チャネルセパレータであって、第1のコリメーティングレンズと、第2のコリメーティングレンズと、前記第1のコリメーティングレンズと前記第2のコリメーティングレンズとの間の1つ以上の分散光学系と、を備える、チャネルセパレータと、
前記チャネルセパレータから前記空間的に分散された複数のスペクトルチャネルを受容するように構成されている、センサと、を備え、
前記励起光源は、1つ以上の追加の光源をさらに備え、
前記レンズは、前記1つ以上の追加の光源から光を受容し、かつ1つ以上の追加の励起ストライプを生成するように構成されており、
前記1つ以上の追加の励起ストライプの各々は、前記サンプルに追加の蛍光を放出させ、
前記対物レンズは、前記蛍光と、前記追加の蛍光とを画像化して、前記サンプルの同じ深度もしくは異なる深度の平行ライン、または、前記サンプルの同じもしくは異なる深度の円形スポットのアレイを形成するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記スリットは、透過領域と、1つ以上の反射または吸収領域と、を備えるパターン化層を備え、前記透過領域は、前記画像化された蛍光を透過させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光源から光を受容し、かつ前記励起ストライプを生成するように構成されている前記レンズは、円柱レンズを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記励起光源からの光が前記センサに到達するのを阻止するように構成されている、フィルタをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記フィルタは、単一ノッチフィルタ、ロングパスフィルタ、およびマルチノッチフィルタのうちの1つ以上を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記対物レンズとともに前記蛍光を画像化するように構成されている、1つ以上のチューブレンズをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記1つ以上の分散光学系は、複数のプリズムを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記1つ以上の分散光学系は、一組のダブルアミチプリズムを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記1つ以上の分散光学系は、より多いまたはより少ない分散を提供するように調整可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
励起光源によって、励起光を放出することであって、前記励起光源は、光源と、前記光源から光を受容しかつ励起ストライプを生成するように構成されているレンズと、を備える、励起光を放出することと、
前記励起ストライプをサンプル上に誘導して、前記励起ストライプが前記サンプルに蛍光を放出させることと、
対物レンズを使用して、前記蛍光から画像化された蛍光を生成することと、
スリットを通って前記画像化された蛍光を透過させることと、
チャネルセパレータによって、前記スリットを通って透過した蛍光を空間的に分散された複数のスペクトルチャネルに分離することであって、前記チャネルセパレータは、第1のコリメーティングレンズと、第2のコリメーティングレンズと、前記第1のコリメーティングレンズと前記第2のコリメーティングレンズとの間の1つ以上の分散光学系と、を備える、前記複数のスペクトルチャネルに分離することと、
センサによって、前記チャネルセパレータから前記空間的に分散された複数のスペクトルチャネルを受容することと、を含み、
前記励起光源は、1つ以上の追加の光源をさらに備え、
前記レンズは、前記1つ以上の追加の光源から光を受容し、かつ1つ以上の追加の励起ストライプを生成するように構成されており、
前記1つ以上の追加の励起ストライプの各々は、前記サンプルに追加の蛍光を放出させ、
前記対物レンズを使用して前記画像化された蛍光を生成することは、前記蛍光と、前記追加の蛍光とを画像化して、前記サンプルの同じ深度もしくは異なる深度の平行ライン、または、前記サンプルの同じもしくは異なる深度の円形スポットのアレイを形成することを含む、方法。
【請求項11】
前記スリットは、透過領域と、1つ以上の反射または吸収領域と、を備えるパターン化層を備え、前記透過領域は、前記画像化された蛍光を透過させるように構成されている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記光源から光を受容し、かつ前記励起ストライプを生成するように構成されている前記レンズは、円柱レンズを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
フィルタを使用して、前記励起光源からの光が前記センサに到達するのを阻止することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記フィルタは、単一ノッチフィルタ、ロングパスフィルタ、およびマルチノッチフィルタのうちの1つ以上を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記蛍光から画像化された蛍光を生成することは、前記対物レンズとともに1つ以上のチューブレンズを使用することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上の分散光学系は、複数のプリズムを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上の分散光学系は、一組のダブルアミチプリズムを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上の分散光学系は、より多いまたはより少ない分散を提供するように調整可能である、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年1月22日に出願された米国仮特許出願第62/620137号の米国特許法第119条に基づく優先権を主張し、本出願の内容は、あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ハイパースペクトル画像化システムは、サンプルから光を収集し、その光を波長のスペクトルまたは狭いスペクトルバンドに空間的に分散させる。例えば、励起光をサンプルに集束させ、サンプルからの蛍光によって生じた放射光を収集することができる。ハイパースペクトル画像には、一連のスペクトル画像が含まれる。スペクトル画像の各々は、異なる波長またはスペクトルバンドで取得される2次元空間画像である。スペクトル画像が組み合わされて、3次元(x、y、λ)ハイパースペクトルデータキューブを形成する。ここで、xおよびyは、2つの空間次元を表し、λは、スペクトル次元を表す。
【0003】
ハイパースペクトル画像化は、生体サンプルの分析に使用することができる。生体サンプルからの情報スループットを最大化することで、異なる細胞タイプと組織タイプとを区別することができる。高スループットは、手術環境において手術台で迅速な決定を下すこと、または機械学習アプリケーションの情報のデータベースを効率的に構築することに役立つ。加えて、高スループットは、高速のダイナミクスまたはモーションのキャプチャ、または細胞シグナル伝達ダイナミクスまたはタンパク質拡散の研究を可能にし得る。
【0004】
一部のハイパースペクトル画像化システムでは、放出経路に液晶フィルタなどの波長可変フィルタを使用して、相当に高いスペクトル分解能(約5~10nm)で蛍光を捕捉する。しかしながら、このアプローチは、フィルタが吸収によって蛍光の小さいスライスを選択的に捕捉するため、退色という欠点をかかえている。フルオロフォアは暗くなる前に放出することができる光子の数が限られていることが多いため、退色は問題となる。退色は、波長可変フィルタの走査中に発光強度を変化させ、それによって、スペクトル分解を用いてハイパースペクトルデータからフルオロフォア濃度を推定するときに、スペクトルを歪ませ、誤差を引き起こすため、波長可変フィルタにとって特に問題となる。また、これらのシステムは広視野のアプローチを使用しているため、共焦点性または深度セクショニングの実行が妨げられ、厚い組織サンプルでの使用が問題となる。
【0005】
他のハイパースペクトル画像化システムでは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)または円柱小型レンズアレイを使用して、サンプルにパターン化された照明を生じさせる。格子またはプリズム構造は、2次元画像化センサ全体に空間的に蛍光を分散させて、ハイパースペクトル画像を取得する。次に、パターン化された照明でサンプル全体を走査して(または、固定したままのパターン化された照明でサンプルを走査して)、ハイパースペクトルデータキューブを取得する。これらのシステムは、励起光子のすべてが収集されるため、退色を低減する。また、スペクトル全体が一度に収集されるので、スペクトル歪みがさらに低減される。さらに、これらのシステムは深度セクショニングを提供することができるため、より厚い組織サンプルで使用可能である。しかしながら、これらのシステムは、一度に1つの深度または一度に1つの励起レーザで走査することに依存しているため、データ収集速度およびスループットが制限される。
【発明の概要】
【0006】
本発明の例示的な実施形態は、高スループットハイパースペクトル画像化システムを提供する。本発明の一態様によれば、システムは、励起光を放出するように構成されている、励起光源と、励起光源から励起光を受容し、かつ励起光をサンプル上に画像化して、励起光がサンプルに蛍光を放出させるように構成されている、対物レンズと、サンプルから蛍光を受容し、かつ蛍光を空間的に分散された複数のスペクトルチャネルに分離するように構成されている、チャネルセパレータと、チャネルセパレータから空間的に分散された複数のスペクトルチャネルを受容するように構成されている、センサと、を含む。励起光源は、光源および複数の第1の小型レンズアレイを含む。複数の第1の小型レンズアレイの各々は、光源からの光を受容するように、かつ光のパターンを生成するように構成されており、複数の第1の小型レンズアレイによって生成された光のパターンは、組み合わされて励起光を形成する。対物レンズは、光のパターンの各々を同時に画像化して、サンプルの異なる深度で複数の平行ラインまたは円形スポットのアレイを形成するように構成されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、チャネルセパレータは、複数の第1の反射要素を有する反射層であって、複数の第1の反射要素の各第1の反射要素は、光のパターンのうちの第1の光パターンによって生成される蛍光の第1の部分を反射するように構成されている、反射層と、光パターンのうちの第2の光パターンによって生成される蛍光の第2の部分を透過するように構成されている、パターン化層と、反射層から蛍光の第1の部分を受容するように、かつ蛍光の第1の部分のスペクトル成分を空間的に分散させるように構成されている、第1の分散光学系と、反射層から蛍光の第2の部分を受容するように、かつ蛍光の第2の部分のスペクトル成分を空間的に分散させるように構成されている、第2の分散光学系と、を含み得る。
【0008】
他の実施形態では、チャネルセパレータは、蛍光を集束するように構成されている、第2の小型レンズアレイと、第2の小型レンズアレイから蛍光を受容するように、かつ蛍光のスペクトル成分を空間的に分散するように構成されている、分散光学系と、を含み得る。第2の小型レンズアレイは、蛍光を複数の平行ラインとして受容するように構成されている、小型レンズの複数の線形アレイを含み得る。
【0009】
他の実施形態では、チャネルセパレータは、蛍光のスペクトル成分を空間的に分散させるように構成されている、分散光学系と、分散光学系から蛍光を受容するように、かつ蛍光を集束させるように構成されている、第2の小型レンズアレイと、を含み得る。第2の小型レンズアレイは、蛍光を複数の平行ラインとして受容するように構成されている、小型レンズの複数の線形アレイを備える。
【0010】
システムはまた、励起光源からの励起光を対物レンズに向けて反射するように、かつサンプルからの蛍光をチャネルセパレータに向けて透過させるように構成されている、ダイクロイックビームスプリッタを含み得る。ダイクロイックビームスプリッタの透過スペクトルは、光源からの光の波長と一致するノッチを含み得る。
【0011】
本発明の別の態様によれば、システムは、励起光を放出するように構成されている励起光源と、励起光源から励起光を受容し、かつ励起光をサンプル上に画像化して、励起光がサンプルに蛍光を放出させるように構成されている、対物レンズと、サンプルから蛍光を受容し、かつ蛍光を空間的に分散された複数のスペクトルチャネルに分離するように構成されている、チャネルセパレータと、チャネルセパレータから空間的に分散された複数のスペクトルチャネルを受容するように構成されている、センサと、を含む。励起光源は、各々が異なる波長を有する光を放出する複数の光源と、複数の光源の各々から光を受容するように、かつ複数の光源に対応する複数の光のパターンを生成するように構成されている第1の小型レンズアレイであって、第1の小型レンズアレイによって生成された光のパターンは、組み合わされて励起光を形成する、第1の小型レンズアレイと、を含む。対物レンズは、光のパターンの各々を同時に画像化して、サンプルの同じ深度で複数の平行ラインまたは円形スポットのアレイを形成するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、チャネルセパレータは、複数の第1の反射要素を有する反射層であって、複数の第1の反射要素の各第1の反射要素は、光のパターンのうちの第1の光パターンによって生成される蛍光の第1の部分を反射するように構成されている、反射層と、光パターンのうちの第2の光パターンによって生成される蛍光の第2の部分を透過するように構成されている、パターン化層と、反射層から蛍光の第1の部分を受容するように、かつ蛍光の第1の部分のスペクトル成分を空間的に分散させるように構成されている、第1の分散光学系と、反射層から蛍光の第2の部分を受容するように、かつ蛍光の第2の部分のスペクトル成分を空間的に分散させるように構成されている、第2の分散光学系と、を含み得る。
【0013】
他の実施形態では、チャネルセパレータは、蛍光を集束するように構成されている、第2の小型レンズアレイと、第2の小型レンズアレイから蛍光を受容するように、かつ蛍光のスペクトル成分を空間的に分散するように構成されている、分散光学系と、を含み得る。第2の小型レンズアレイは、蛍光を複数の平行ラインとして受容するように構成されている、小型レンズの複数の線形アレイを含み得る。
【0014】
他の実施形態では、チャネルセパレータは、蛍光のスペクトル成分を空間的に分散させるように構成されている、分散光学系と、分散光学系から蛍光を受容するように、かつ蛍光を集束させるように構成されている、第2の小型レンズアレイと、を含み得る。第2の小型レンズアレイは、蛍光を複数の平行ラインとして受容するように構成されている、小型レンズの複数の線形アレイを含み得る。
【0015】
システムはまた、励起光源からの励起光を対物レンズに向けて反射するように、かつサンプルからの蛍光をチャネルセパレータに向けて透過させるように構成されている、ダイクロイックビームスプリッタを含み得る。ダイクロイックビームスプリッタの透過スペクトルは、光源からの異なる波長と一致する複数のノッチを含み得る。
【0016】
本発明のさらに別の態様によれば、システムは、励起光を放出するように構成されている励起光源と、励起光源から励起光を受容し、かつ励起光をサンプル上に画像化して、励起光がサンプルに蛍光を放出させるように構成されている、対物レンズと、サンプルから蛍光を受容し、かつ蛍光を空間的に分散された複数のスペクトルチャネルに分離するように構成されている、チャネルセパレータと、チャネルセパレータから空間的に分散された複数のスペクトルチャネルを受容するように構成されている、センサと、を含む。励起光源は、各々が異なる波長を有する光を放出する複数の光源と、複数の第1の小型レンズアレイであって、複数の第1の小型レンズアレイの各々は、複数の光源の1つからの光を受容するように、かつ光のパターンを生成するように構成されており、複数の第1の小型レンズアレイによって生成された光のパターンは、組み合わされて励起光を形成する、複数の第1の小型レンズアレイと、を含む。対物レンズは、光のパターンを同時に画像化して、サンプルの複数の深度で複数の平行ラインまたは円形スポットのアレイを形成するように構成されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、チャネルセパレータは、複数の第1の反射要素を有する反射層であって、複数の第1の反射要素の各第1の反射要素は、光のパターンのうちの第1の光パターンによって生成される蛍光の第1の部分を反射するように構成されている、反射層と、光パターンのうちの第2の光パターンによって生成される蛍光の第2の部分を透過するように構成されている、パターン化層と、反射層から蛍光の第1の部分を受容するように、かつ蛍光の第1の部分のスペクトル成分を空間的に分散させるように構成されている、第1の分散光学系と、反射層から蛍光の第2の部分を受容するように、かつ蛍光の第2の部分のスペクトル成分を空間的に分散させるように構成されている、第2の分散光学系と、を含む。
【0018】
他の実施形態では、チャネルセパレータは、蛍光を集束するように構成されている、第2の小型レンズアレイと、第2の小型レンズアレイから蛍光を受容するように、かつ蛍光のスペクトル成分を空間的に分散するように構成されている、分散光学系と、を含む。第2の小型レンズアレイは、蛍光を複数の平行ラインとして受容するように構成されている、小型レンズの複数の線形アレイを含み得る。
【0019】
他の実施形態では、チャネルセパレータは、蛍光のスペクトル成分を空間的に分散させるように構成されている、分散光学系と、分散光学系から蛍光を受容するように、かつ蛍光を集束させるように構成されている、第2の小型レンズアレイと、を含む。第2の小型レンズアレイは、蛍光を複数の平行ラインとして受容するように構成されている、小型レンズの複数の線形アレイを含む。
【0020】
システムはまた、励起光源からの励起光を対物レンズに向けて反射するように、かつサンプルからの蛍光をチャネルセパレータに向けて透過させるように構成されている、ダイクロイックビームスプリッタを含み得る。ダイクロイックビームスプリッタの透過スペクトルは、光源からの異なる波長と一致する複数のノッチを含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、複数の光源の数は、複数の第1の小型レンズアレイの数に等しくてもよい。他の実施形態では、複数の光源の数は、複数の第1の小型レンズアレイの数よりも少なくてもよい。
【0022】
本発明の他の目的、利点、および新規の特徴は、添付の図面と併せて検討すると、以下の本発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示は、添付の図面と併せて説明される。
【0024】
図1】本発明の例示的な実施形態による高スループットハイパースペクトル画像化システムのブロック図である。
図2(a)】励起光源内の円柱小型レンズアレイを使用する高スループットハイパースペクトル画像化システムによってサンプルに生じ得る様々な照明パターンを示す図である。
図2(b)】図2(a)の照明パターンをさらに詳細に示す図である。
図2(c)】励起光源内の円形小型レンズアレイを使用する高スループットハイパースペクトル画像化システムによってサンプルに生じ得る様々な照明パターンを示す図である。
図2(d)】図2(c)の照明パターンをさらに詳細に示す図である。
図3(a)】4次元画像化用の照明パターンを生じさせるために使用可能な励起光源を示す図であり、次元には、2つの空間次元および1つの放射光のスペクトル次元、ならびに励起光がサンプルに集束する深度が含まれる図である。
図3(b)】4次元画像化用の照明パターンを生じさせるために使用可能な励起光源を示す図であり、次元には、2つの空間次元および1つの放射光のスペクトル次元、ならびに励起光がサンプルに集束する深度が含まれる図である。
図3(c)】4次元画像化用の照明パターンを生じさせるために使用可能な励起光源を示す図であり、次元には、2つの空間次元および1つの放射光のスペクトル次元、ならびに励起光がサンプルに集束する深度が含まれる図である。
図3(d)】4次元画像化用の照明パターンを生じさせるために使用可能な励起光源を示す図であり、次元には、2つの空間次元および1つの放射光のスペクトル次元、ならびに励起光がサンプルに集束する深度が含まれる図である。
図4】4次元画像化用の照明パターンを生じさせるために使用可能な励起光源を示す図であり、次元には、2つの空間次元および1つの放射光のスペクトル次元、ならびに励起波長が含まれる図である。
図5(a)】5次元画像化用の照明パターンを生じさせるために使用可能な励起光源を示す図であり、次元には、2つの空間次元および1つの放射光のスペクトル次元、ならびに励起光がサンプルに集束する深度および励起波長が含まれる図である。
図5(b)】5次元画像化用の照明パターンを生じさせるために使用可能な励起光源を示す図であり、次元には、2つの空間次元および1つの放射光のスペクトル次元、ならびに励起光がサンプルに集束する深度および励起波長が含まれる図である。
図5(c)】5次元画像化用の照明パターンを生じさせるために使用可能な励起光源を示す図であり、次元には、2つの空間次元および1つの放射光のスペクトル次元、ならびに励起光がサンプルに集束する深度および励起波長が含まれる図である。
図5(d)】5次元画像化用の照明パターンを生じさせるために使用可能な励起光源を示す図であり、次元には、2つの空間次元および1つの放射光のスペクトル次元、ならびに励起光がサンプルに集束する深度および励起波長が含まれる図である。
図6(a)】5次元画像化用の照明パターンを生じさせるために使用可能な別の励起光源を示す図であり、次元には、2つの空間次元および1つの放射光のスペクトル次元、ならびに励起光がサンプルに集束する深度および励起波長が含まれる図である。
図6(b)】5次元画像化用の照明パターンを生じさせるために使用可能な別の励起光源を示す図であり、次元には、2つの空間次元および1つの放射光のスペクトル次元、ならびに励起光がサンプルに集束する深度および励起波長が含まれる図である。
図6(c)】5次元画像化用の照明パターンを生じさせるために使用可能な別の励起光源を示す図であり、次元には、2つの空間次元および1つの放射光のスペクトル次元、ならびに励起光がサンプルに集束する深度および励起波長が含まれる図である。
図6(d)】5次元画像化用の照明パターンを生じさせるために使用可能な別の励起光源を示す図であり、次元には、2つの空間次元および1つの放射光のスペクトル次元、ならびに励起光がサンプルに集束する深度および励起波長が含まれる図である。
図7】励起/発光セパレータの例を示す図である。
図8(a)】励起/発光セパレータ内のダイクロイックビームスプリッタの透過スペクトルの例を示す図である。
図8(b)】励起/発光セパレータ内のダイクロイックビームスプリッタの透過スペクトルの例を示す図である。
図9(a)】蛍光を空間的に分散された複数のスペクトルチャネルに分離するチャネルセパレータの例を示す図である。
図9(b)】補正板の例を示す図である。
図9(c)】補正板の例を示す図である。
図9(d)】異なる深度から収集された蛍光の焦点が補正されない場合の焦点面の例を示す図である。
図9(e)】異なる深度から収集された蛍光の焦点が補正板で補正された場合の焦点面の例を示す図である。
図10】蛍光を空間的に分散された複数のスペクトルチャネルに分離するチャネルセパレータの別の例を示す図である。
図11(a)】サンプル上に形成され得る励起光の照明パターンの例を示す図である。
図11(b)】図10に示すチャネルセパレータ内の小型レンズアレイのレイアウトの例を示す図である。
図11(c)】図11(b)に示す小型レンズアレイによって生成された強度パターンの例を示す図である。
図11(d)】図10に示すチャネルセパレータ内のセンサ上に形成されたスペクトルストライプの例を示す図である。
図11(e)】サンプルに形成され得る別の照明パターンの例を示す図である。
図11(f)】図10に示すチャネルセパレータ内の小型レンズアレイのレイアウトの別の例を示す図である。
図11(g)】図11(f)に示す小型レンズアレイによって生成された強度パターンの例を示す図である。
図11(h)】図10に示すチャネルセパレータ内のセンサ上に形成されたスペクトルストライプの例を示す図である。
図11(i)】サンプルに形成され得る別の照明パターンの例を示す図である。
図11(j)】図10に示すチャネルセパレータ内の小型レンズアレイと差し替え可能なピンホールアレイの例を示す図である。
図11(k)】図11(j)に示すピンホールアレイによって生成された強度パターンの例を示す図である。
図11(l)】図10に示すチャネルセパレータ内のセンサ上に形成されたスペクトルストライプの例を示す図である。
図12】蛍光を空間的に分散された複数のスペクトルチャネルに分離するチャネルセパレータの別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の例示的な実施形態による高スループットハイパースペクトル画像化システム100のブロック図である。図1に示す高スループットハイパースペクトル画像化システム100は、3次元、4次元、または5次元でデータを取得することができる。上述のように、3次元画像化データは、放射光の2つの空間次元(x、y)および1つのスペクトル次元(λ)について取得される。4次元画像化データは、励起波長または励起光がサンプル上に集束する深度のいずれかを第4の次元として追加する。5次元画像化データは、励起波長および励起光がサンプル上に集束する深度の両方を追加する。有利には、次元のすべてを同時に走査することができ、それにより、ハイパースペクトル画像化システム100のスループットが増加する。
【0026】
図1に示すように、システム100は、励起光115を放出する励起光源110を含む。励起光源110は、単一の波長で光を放出する単一の光源、または異なる波長で光を放出する複数の光源を含み得る。光源は、レーザ、発光ダイオード(LED)、またはハイパースペクトル画像化に好適な任意の他の光源であってもよい。励起光源100はまた、単一の小型レンズアレイまたは複数の小型レンズアレイを含み得る。小型レンズアレイの各々の位置は、それぞれの小型レンズアレイを通過する光が集束されるサンプル150の深度を選択するように調整することができる。小型レンズアレイの各々は、複数の平行な円柱レンズ要素または円形レンズ要素の二次元マトリックスを含み得る。複数の平行な円柱レンズ要素を有する小型レンズアレイは、一連の平行ラインとしてサンプル150上に画像化される光のパターンを生成する。対照的に、円形レンズ要素の二次元マトリックスを有する小型レンズアレイは、円形スポットの二次元マトリックスとしてサンプル150上に画像化される光のパターンを生成する。
【0027】
図1に示すように、励起光115は、第1のチューブレンズ120によってコリメートされ、励起/発光セパレータ130に伝達され得る。以下でさらに詳細に述べるように、励起/発光セパレータ130は、励起光115をサンプル150に向かって反射することができる。次に、対物レンズ140は、サンプル150上に励起光115を画像化する。励起光115がサンプル150に入射すると、励起光115はサンプル150に蛍光155を放出させる。サンプル150が発光色素で標識されている場合、蛍光155は発光色素によって放出され得る。代替的に、または加えて、蛍光155は、サンプル150からの自己蛍光であってもよい。図1に示すシステム100は、励起光115が上方からサンプル150に入射する落射照明モードで動作するように構成されているが、システム100は、励起光115が下方からサンプル150を透過する透過照明モードで動作するように変更することができる。本実施形態では、励起/発光セパレータ130は、システム100から省略してもよく、またはサンプル150を透過する励起光115を遮断する単一ノッチフィルタ、ロングパスフィルタ、またはマルチノッチフィルタによって置き換えられてもよい。本実施形態では、サンプル150は、十分な蛍光155が対物レンズ140に向かって放出されるように、励起光115をサンプルの深度を透過させるのに十分な薄さであるべきである。
【0028】
対物レンズ140を通過した後、蛍光155は、励起/発光セパレータ130によって透過され、励起光115のさらなる透過を遮断する。次に、蛍光155は、第2のチューブレンズ160によってチャネルセパレータ170上に集束させることができる。以下でさらに詳細に述べるように、チャネルセパレータ170は、蛍光155を、センサ180に入射する複数の空間的に分散されたスペクトルチャネルに分離する。1つのセンサ180のみが示されているが、システム100は、複数のセンサ180を含み得る。例えば、複数のセンサ180の各々は、励起光115の単一の波長によって生成された蛍光155の一部を受容することができる。
【0029】
図2(a)は、高スループットハイパースペクトル画像化システム100によってサンプル150上に生じ得る様々な照明パターンを示す図である。本実施形態は、励起光源110内の円柱小型レンズアレイを使用する。図2(a)に示すように、励起光115は、サンプル150の励起領域210に入射する。励起光115は、サンプル150のz方向に沿って様々な深度で集束させることができる。例えば、図2(a)は、いくつかのzスライスについてのxーz平面上の照明の第1の投影220を示す。同様に、図2(a)は、いくつかのzスライスについてのyーz平面上の照明の第2の投影230を示す。照明パターン240、241、242、および243内のラインの太さは、サンプル150の異なる深度での励起光115のラインの幅を表す。励起光115の焦点は、最も細いラインとして示されている。例えば、照明パターン242の第2列は、励起光115がサンプルに集束された場所を示す。照明パターン242の他の列は、ラインの幅が異なる軸方向位置でどのように異なるかを示す。
【0030】
図2(b)は、様々な実施形態の第2の投影230の照明パターン240、241、242、および243をさらに詳細に示す。照明パターン240、241、242、および243の下の数字は、励起光115の波長を示す。例えば、第1の波長(「1」と表記)は、照明パターン240と241に使用され、第2の波長(「2」と表記)、第3の波長(「3」と表記)、および第4の波長(「4」と表記)は、照明パターン242に使用される。波長の各々は、任意の好適な値を有することができる。具体的には、照明パターン240は、放射光の2つの空間次元および1つのスペクトル次元が存在する三次元画像化に対応する。照明パターン240は、励起光源110内の単一の小型レンズアレイで単一の波長を放出する単一の光源を使用することによって得られてもよい。照明パターン241は、放射光の2つの空間次元および1つのスペクトル次元、ならびに励起光がサンプル上に集束される深度が第4の次元として存在する4次元画像化に対応する。照明パターン241は、励起光源110内の複数の小型レンズアレイで単一の波長を放出する単一の光源を使用することによって得られてもよい。代替的に、照明パターン241は、隣接する小型レンズが異なる焦点距離を有する単一の小型レンズアレイを使用することによって得られてもよい。照明パターン242は、放射光の2つの空間次元および1つのスペクトル次元、ならびに励起波長が第4の次元として存在する4次元画像化に対応する。照明パターン242は、励起光源110内の単一の小型レンズアレイで複数の波長を放出する複数の光源を使用することによって得られてもよい。照明パターン243は、放射光の2つの空間次元および1つのスペクトル次元、ならびに励起光がサンプル上に集束される深度および励起波長が第4および第5の次元として存在する5次元画像化に対応する。照明パターン243は、励起光源110内の複数の小型レンズアレイで複数の波長を放出する複数の光源を使用することによって得られてもよい。
【0031】
図2(c)は、高スループットハイパースペクトル画像化システム100によってサンプル150上に生じ得る様々な照明パターンを示す別の図である。本実施形態は、励起光源110内の円形小型レンズアレイを使用する。図2(b)に示すように、励起光115は、サンプル150の励起領域210に入射する。励起光115は、サンプル150のz方向に沿って様々な深度で集束させることができる。例えば、図2(b)は、いくつかのzスライスについてのxーz平面上の照明の第1の投影225を示す。同様に、図2(b)は、いくつかのzスライスについてのyーz平面上の照明の第2の投影235を示す。照明パターン245、246、247、および248内のラインの太さは、サンプル150の異なる深度での励起光115のラインの幅を表す。励起光115の焦点は、最も細いラインとして示されている。例えば、照明パターン247の第2列は、励起光115がサンプルに集束された場所を示す。照明パターン247の他の列は、ラインの幅が異なる軸方向位置でどのように異なるかを示す。
【0032】
図2(d)は、様々な実施形態の第2の投影235の照明パターン245、246、247、および248をさらに詳細に示す。照明パターン245、246、247、および248の下の数字は、励起光115の波長を示す。例えば、第1の波長(「1」と表記)は、照明パターン245と246に使用され、第2の波長(「2」と表記)、第3の波長(「3」と表記)、および第4の波長(「4」と表記)は、照明パターン247に使用される。波長の各々は、任意の好適な値を有することができる。具体的には、照明パターン245は、放射光の2つの空間次元および1つのスペクトル次元が存在する三次元画像化に対応する。照明パターン245は、励起光源110内の単一の小型レンズアレイで単一の波長を放出する単一の光源を使用することによって得られてもよい。照明パターン246は、放射光の2つの空間次元および1つのスペクトル次元、ならびに励起光がサンプル上に集束される深度が第4の次元として存在する4次元画像化に対応する。照明パターン246は、励起光源110内の複数の小型レンズアレイで単一の波長を放出する単一の光源を使用することによって得られてもよい。代替的に、照明パターン246は、隣接する小型レンズが異なる焦点距離を有する単一の小型レンズアレイを使用することによって得られてもよい。照明パターン247は、放射光の2つの空間次元および1つのスペクトル次元、ならびに励起波長が第4の次元として存在する4次元画像化に対応する。照明パターン247は、励起光源110内の単一の小型レンズアレイで複数の波長を放出する複数の光源を使用することによって得られてもよい。照明パターン248は、放射光の2つの空間次元および1つのスペクトル次元、ならびに励起光がサンプル上に集束される深度および励起波長が第4および第5の次元として存在する5次元画像化に対応する。照明パターン248は、励起光源110内の複数の小型レンズアレイで複数の波長を放出する複数の光源を使用することによって得られてもよい。
【0033】
ハイパースペクトルデータキューブを生成するために、サンプル150は、励起光源100内の円柱小型レンズアレイを使用する実施形態では、図2(a)に示すx方向に沿って走査されてもよい。代替的に、これらの実施形態では、励起光源110内の小型レンズアレイでx方向に沿って走査することができる。照明パターン241については、必要な励起波長が1つだけであ場合、追加の走査は必要ないが、ただし、軸方向の解像度と焦点深度の範囲がサンプルのすべての所望の深度スライスを同時に調査することができるようなものであることを条件とする。一方、照明パターン241の列の間隔が30μmであり、軸方向の解像度が3μmであるなど、間隔がより疎であり、かつ30μmを超えるステップでデータが所望される場合、深度は、サンプル150または小型レンズアレイを軸方向に移動することによっても走査され得る。複数の励起波長が必要とされる場合、すべてのラインで励起波長が変更される。照明パターン242の場合、サンプル150が非常に薄く、必要な深度が1つだけである場合、追加の走査は必要ない。しかしながら、軸方向走査が必要とされる場合、サンプル150は、z方向に沿って走査されてもよい。照明パターン243の場合、サンプル150は、z方向に沿って走査されてもよい。走査ごとに得られる情報内容は、照明パターン240、241、242、および243の各々について同じであることに留意されたい。したがって、どの照明パターンを使用するかの選択は、サンプル150の特性およびどのような種類の情報が所望されるかに依存し得る。例えば、十分に薄いサンプル150の場合、深度走査は必要とされない場合がある。1つの深度のみからの情報が必要とされる場合、照明パターン242を使用することができる。さらに、単一の波長によってのみ励起されるフルオロフォアのファミリーを有する厚いサンプル150の場合、波長走査は必要とされない場合がある。1つの励起波長のみからの情報が必要とされる場合、照明パターン241を使用することができる。少数の励起波長と少数の深度での瞬間的な粗いスナップショットからの情報が必要とされる場合、照明パターン243を使用することができる。
【0034】
励起光源110内で円形の小型レンズアレイを使用する実施形態の場合、サンプル150は、図2(b)に示されるy方向に沿って走査されてもよい。代替的に、これらの実施形態では、励起光源110内の小型レンズアレイでy方向に沿って走査することができる。照明パターン246については、必要な励起波長が1つだけである場合、追加の走査は必要ないが、ただし、軸方向の解像度と焦点深度の範囲がサンプルのすべての所望の深度スライスを同時に調査することができるようなものであることを条件とする。一方、照明パターン246の列の間隔が30μmであり、軸方向の解像度が3μmであるなど、間隔がより疎であり、かつ30μmを超えるステップでデータが所望される場合、深度は、サンプル150または小型レンズアレイを軸方向に移動することによっても走査され得る。複数の励起波長が必要とされる場合、すべてのラインで励起波長が変更される。照明パターン247の場合、サンプル150が非常に薄く、必要な深度が1つだけである場合、追加の走査は必要ない。しかしながら、軸方向走査が必要とされる場合、サンプル150は、z方向に沿って走査されてもよい。照明パターン248の場合、サンプル150は、z方向に沿って走査されてもよい。走査ごとに得られる情報内容は、照明パターン245、246、247、および248の各々について同じであることに留意されたい。したがって、どの照明パターンを使用するかの選択は、サンプル150の特性およびどのような種類の情報が所望されるかに依存し得る。例えば、十分に薄いサンプル150の場合、深度走査は必要とされない場合がある。1つの深度のみからの情報が必要とされる場合、照明パターン247を使用することができる。さらに、単一の波長によってのみ励起されるフルオロフォアのファミリーを有する厚いサンプル150の場合、波長走査は必要とされない場合がある。1つの励起波長のみからの情報が必要とされる場合、照明パターン246を使用することができる。少数の励起波長と少数の深度での瞬間的な粗いスナップショットからの情報が必要とされる場合、照明パターン248を使用することができる。
【0035】
図3(a)~3(d)は、放射光の2つの空間次元および1つのスペクトル次元、ならびに励起光がサンプル上に集束される深度が第4の次元として存在する4次元画像化のための照明パターン241を生じさせるために使用され得る励起光源を示す図である。励起光源300は、単一波長で光315を放出する光源310を含み得る。図3(a)~3(d)に示すように、光315は、各経路が異なる小型レンズアレイを通って進むように、4つの異なる経路に分割され得る。次に、4つの経路からの光は、非偏光ビームスプリッタ360で結合されて、励起光115を形成する。図3(a)~3(d)は、光を分割および再結合するための特定の例を示しているが、任意の好適な構成要素およびレイアウトを使用してもよい。
【0036】
例えば、図3(a)に示すように、光315の第1の部分は、半波長板320、偏光ビームスプリッタ330、半波長板321、および偏光ビームスプリッタ331を通過する。次に、光315の第1の部分は、2つの反射器340および341によって反射され、第1の小型レンズアレイ350を通過する。次に、光315の第1の部分は、偏光ビームスプリッタ332を通過し、反射器342および非偏光ビームスプリッタ360によって反射されて、励起光115の一部を形成する。ダンプ370は、非偏光ビームスプリッタ360を透過した余分な光を吸収するために含まれる。
【0037】
さらに、図3(b)に示すように、光315の第2の部分は、半波長板320、偏光ビームスプリッタ330、および半波長板321を通過する。次に、光315の第2の部分は、偏光ビームスプリッタ331によって反射され、第2の小型レンズアレイ351を通過する。次に、光の第2の部分は、偏光ビームスプリッタ332、反射器342、および非偏光ビームスプリッタ360によって反射されて、励起光115の一部を形成する。
【0038】
加えて、図3(c)に示すように、光315の第3の部分は、半波長板320を通過し、偏光ビームスプリッタ330によって反射される。次に、光315の第3の部分は、半波長板322、偏光ビームスプリッタ333、第3の小型レンズアレイ352、および偏光ビームスプリッタ334を通過する。次に、光315の第3の部分は、反射器345によって反射され、非偏光ビームスプリッタ360を通過して、励起光115の一部を形成する。
【0039】
さらに、図3(d)に示すように、光315の第4の部分は、半波長板320を通過し、偏光ビームスプリッタ330によって反射される。次に、光315の第4の部分は、半波長板322を通過し、偏光ビームスプリッタ333によって反射される。次に、光の第4の部分は反射器343および344で反射され、第4の小型レンズアレイ353を通過し、偏光ビームスプリッタ334および反射器345で反射され、非偏光ビームスプリッタ360を通過して、励起光115の一部を形成する。
【0040】
図4は、放射光の2つの空間次元および1つのスペクトル次元、ならびに励起光がサンプル上に集束される深度が第4の次元として存在する4次元画像化のための照明パターン242を生じさせるために使用され得る励起光源を示す図である。励起光源400は、それぞれ光420、421、422、および423を放出する複数の光源410、411、412、および413を含むことができ、各光420、421、422、および423は、異なる波長を有する。図4に示すように、光420、421、422、および423は、単一の小型レンズアレイ440に到達する前に、ダイクロイックミラー430、431、432、および433を介して結合され得る。次に、結合された光は、チューブレンズ450によってコリメートされ、プリズムまたは格子などの分散要素460によって分散されて、励起光115を形成する。図4は、光420、421、422、および423を結合させるための特定の例を示しているが、任意の好適な構成要素およびレイアウトを使用してもよい。
【0041】
図5(a)~5(d)は、放射光の2つの空間次元および1つのスペクトル次元、ならびに励起光がサンプル上に集束される深度および励起波長が第4および第5の次元として存在する5次元画像化のための照明パターン243を生じさせるために使用され得る励起光源を示す図である。励起光源500は、異なる波長で光520、521、522、および523を放出する複数の光源510、511、512、および513を含み得る。図5(a)~5(d)に示すように、各光520、521、522、および523は、それぞれの小型レンズアレイ530、531、532、および533を通って進む。次に、光520、521、522、および523は、ダイクロイック541で結合されて、励起光115を形成する。図5(a)~5(d)は、光を結合させるための特定の例を示しているが、任意の好適な構成要素およびレイアウトを使用してもよい。
【0042】
例えば、図5(a)に示すように、光源510からの光520は、小型レンズアレイ530を通過し、ダイクロイック540および541によって反射されて、励起光115の一部を形成する。図5(b)に示すように、光源511からの光521は、小型レンズアレイ531およびダイクロイック540を通過し、ダイクロイック541によって反射されて、励起光115の一部を形成する。図5(c)に示すように、光源512からの光522は、小型レンズアレイ532を通過し、ダイクロイック542によって反射され、ダイクロイック541を通過して、励起光115の一部を形成する。図5(d)に示すように、光源513からの光523は、小型レンズアレイ533、ダイクロイック542、およびダイクロイック541を通過して、励起光115の一部を形成する。
【0043】
図6(a)~6(d)は、放射光の2つの空間次元および1つのスペクトル次元、ならびに励起光がサンプル上に集束される深度および励起波長が第4および第5の次元として存在する5次元画像化のための照明パターン243を生じさせるために使用され得る別の励起光源を示す図である。励起光源600は、異なる波長で光620および621を放出する複数の光源610および611を含み得る。図6(a)~6(d)に示すように、各光620および621は、2つの経路に分割され、合計4つの経路の各々が異なる小型レンズアレイを通過する。次に、4つの経路からの光は、ダイクロイック670で結合されて、励起光115を形成する。図6(a)~6(d)は、光を分割および再結合するための特定の例を示しているが、任意の好適な構成要素およびレイアウトを使用してもよい。
【0044】
例えば、図6(a)に示すように、光源610からの光620の一部は、半波長板630および偏光ビームスプリッタ640を通過し、反射器650および651によって反射され、その後、第1の小型レンズアレイ660を通過する。次に、光は偏光ビームスプリッタ641を通過し、反射器652およびダイクロイック670によって反射されて、励起光115の一部を形成する。
【0045】
さらに、図6(b)に示すように、光源610からの光620の一部は、半波長板630を通過し、偏光ビームスプリッタ640によって反射される。次に、光は第2の小型レンズアレイ661を通過する。次に、光は、偏光ビームスプリッタ641、反射器652、およびダイクロイック670によって反射されて、励起光115の一部を形成する。
【0046】
加えて、図6(c)に示すように、光源611からの光621の一部は、半波長板631を通過し、偏光ビームスプリッタ642によって反射される。次に、光は反射器654によって反射され、第3の小型レンズアレイ662を通過する。次に、光は偏光ビームスプリッタ643によって反射され、ダイクロイック670を通過して、励起光115の一部を形成する。
【0047】
また、図6(d)に示すように、光源611からの光621の一部は、半波長板631および偏光ビームスプリッタ642を通過する。次に、光は反射器653によって反射され、第4の小型レンズアレイ663を通過する。次に、光は偏光ビームスプリッタ643およびダイクロイック670を通過して、励起光115の一部を形成する。
【0048】
図7は、励起/発光セパレータ700の例を示す図である。図7に示すように、励起光源110からの励起光115は、ダイクロイックビームスプリッタ710に入射し、ダイクロイックビームスプリッタ710は、励起光115を対物レンズ140に向かって反射させる。ダイクロイックビームスプリッタ710によって反射されない励起光115の漏れ光720を吸収するために、ビームダンプ730も提供され得る。励起光115がサンプル150に蛍光155を放出させた後、ダイクロイックビームスプリッタ710は、蛍光155をチャネルセパレータ170に向けて透過させる。
【0049】
図8(a)および8(b)は、ダイクロイックビームスプリッタ710の透過スペクトルの例を示す。これらのグラフは、ダイクロイックビームスプリッタ710の透過を波長の関数として示している。スペクトルのノッチは、励起光115の中心波長と一致する。この例は、励起光源110が異なる波長を放出する3つの光源を含むことを想定している。図8(a)に示す狭いノッチを有する透過スペクトルは、可能な限り多くの蛍光155のスペクトルを捕捉するために好ましい場合がある。例えば、ノッチは、0.5nm未満のライン幅を有していてもよい。ノッチの伝達がゼロになる必要はない。
【0050】
図9(a)は、蛍光155を複数の空間的に分散されたスペクトルチャネルに分離するチャネルセパレータの例を示す図である。チャネルの各々は、図2に示す照明パターンの1つによって生成された蛍光155の一部を含む。具体的には、チャネルの各々は、サンプル150の単一の深度における単一の励起波長によって生成された蛍光155の一部を含む。図9(a)は、5つのチャネルが使用される例を示す。しかしながら、チャネルセパレータは、任意の好適な数のチャネルのために変更されてもよい。
【0051】
図9(a)に示すように、チャネルセパレータ900は、第1の反射層910およびパターン化層915を有する光学系を含み得る。第1の反射層910は、複数の反射要素を含み、パターン化層915は、蛍光955を透過または吸収する領域を含む。蛍光155は、励起光の照明パターンと一致する一連のラインとして、対物レンズ140およびチューブレンズ160によって画像化される。第1の反射層910およびパターン化層915の構成は、ライン同士の間隔と、対物レンズ140およびチューブレンズ160によって提供される倍率と、に基づく。例えば、第1の反射層910およびパターン化層915は、蛍光155の第1のチャネル950が光学系を透過するように構成されている。第1の反射層910の反射器によって覆われていないパターン化層915の一部は、第1のチャネル950からの光を透過することができる。次に、第1のチャネル950からの光は、レンズ920によってコリメートされ、分散光学系930および931によって分散され、レンズ921によってセンサ940上に画像化され得る。例えば、分散光学系930および931は、一組のダブルアミチプリズムであってもよい。分散光学系930および931は、第1のチャネル950のラインがセンサ940全体にわたって分散されるように、より多いまたはより少ない分散を提供するように調整されてもよい。例えば、第1のチャネル950が長波長を放出する光源によって生成された場合、分散光学系930および931の分散は、センサ940を均一に覆うように増加させてもよい。ほとんどのフルオロフォアは、約400nm~約900nmの波長の光を放出する。励起波長が488nmである場合、異なるフルオロフォアから500nm~900nmの範囲で蛍光が生成されることがある。一方、励起波長が780nmである場合、820nm~900nmの範囲で蛍光が生成されることがある。これははるかに小さい波長範囲であるため、分散を増加させて、より広い波長範囲の場合と同じ数の画素にスペクトルを広げてもよい。
【0052】
第1の反射層910の反射器は、蛍光155の異なる部分からのチャネルを異なる方向に反射するように構成され得る。例えば、蛍光155の第2のチャネル951からの光は、反射器のサブセットに入射し、かつ第2の反射層960に向かって反射されてもよい。第2の反射層160内の反射器は、反射器のピッチおよび角度によって波面を平坦化させて、第2のチャネル951からの光をレンズ922に向かって反射させることができる。次に、第2のチャネル951からの光は、レンズ922によってコリメートされ、分散光学系932および933によって分散され、レンズ923によってセンサ941上に画像化されてもよい。例えば、分散光学系932および933は、一組のダブルアミチプリズムでもよい。上述のように、分散光学系932および933は、第2のチャネル951のラインがセンサ941全体にわたって分散されるように、より多いまたはより少ない分散を提供するように調整されてもよい。例えば、第2のチャネル951が長波長を放出する光源によって生成された場合、分散光学系932および933の分散は、センサ941を均一に覆うように増加させてもよい。
【0053】
図9(a)には、第2の反射層960を含む光学系の1つの列のみが示されているが、蛍光155の残りのチャネルの各々にはさらなる光学系の列があることを理解されたい。特に、第3のチャネル952、第4のチャネル953、第5のチャネル954の各々について、別の一組の第2の反射層960、レンズ951、分散光学系932および933、レンズ923、およびセンサ941を含む光学系のさらなる列がある。蛍光155の開口数に応じて、第1の反射層910から第2の反射層960へのラインまたはスポットを中継するために、第1の反射層910と第2の反射層960との間に千鳥配列の小型レンズ対が提供されてもよい。さらに、共焦点性を提供するために、第2の反射層960とレンズ922との間にリレーおよび開口のアレイが提供されてもよい。ロングパスフィルタおよび/またはノッチフィルタなどの追加のフィルタを、対物レンズ140とチューブレンズ160との間などの第1の反射層910の前に提供して、平行蛍光955を調整してもよい。
【0054】
照明系統241および243については、とりわけ、異なるストライプがサンプル150内の異なる深度で集束する場合、チューブレンズ160によって集束される蛍光155は、画像平面において異なる深度で集束する。そのため、単一の反射層910は、共焦点ピンホールの必要性に応じて、すべてのストライプに対して同時に焦点を合わせることができない。上述のように、図9(a)に示すチャネルセパレータ900内に、さらなる光学系およびピンホールを含むことが可能である。別の考えられる解決策は、チャネルセパレータ900内の異なる平面に、いくつかのプレートを追加することであろう。各プレートには、異なる照明ストライプと合致する一組の疎な反射ファセットがある。さらに別の代替策として、チャネルセパレータ900内の画像平面の前に、補正板を挿入してもよい。図9(b)および9(c)は、補正板の例を示す。図9(b)は、明確にするために曲率が誇張された小型レンズアレイを示す。図9(c)は、図9(b)に示す小型レンズアレイよりも厚いスペーサアレイを示す。
【0055】
信号が間違った補正板ファセットを通過するのを回避するために、補正板から画像平面までの距離zは、M*dx*f#未満でなければならず、ここで、Mは、対物レンズ140およびチューブレンズ160による倍率であり、dxは、サンプル150における励起ストライプ間隔であり、f#は、画像平面での焦点比である。f#=M/(2*NA)(NAは、対物レンズ140の開口数である)を使用して、距離zは、z<Mdx/(2*NA)として表すことができる。同時に、補正板が画像平面で焦点比を大幅に変更することは、下流の光学系にとって望ましくない。したがって、距離zは、z>>Mdzを満たすように選択され得、ここで、dzは、サンプル150における異なる励起ストライプ間の焦点シフトである。したがって、この方式を可能にするために、励起ストライプ間隔dxは、dx>>dz*(2*NA)を満たすように選択され得る。例えば、0.5のNAにおいて、dzは、3μmであってもよく、dxは、30μmであってもよい。図9(b)に示す補正板の補正板ファセットの曲率、または図9(c)に示す補正板の厚さは、特定の焦点シフトdzを実現するように設計してもよい。この補正板は、複数の焦点深度を生成するために、均一な小型レンズアレイとともに励起パスに挿入することもできる。図9(d)は、異なる深度から収集された蛍光155の焦点が補正されない場合の焦点面の例を示し、図9(e)は、異なる深度から収集された蛍光155の焦点が補正板980で補正された場合の焦点面の例を示す。
【0056】
図10は、蛍光155を複数の空間的に分散されたスペクトルチャネルに分離するチャネルセパレータの別の例を示す図である。図10に示すように、チャネルセパレータ1000は、蛍光155の各ストライプを集中させる小型レンズアレイ1010と、蛍光155を再コリメートするレンズ1020と、蛍光155を分散させるプリズム1030と、蛍光155を一連のスペクトルストライプとしてセンサ1050上に画像化するレンズ1040と、を含む。サンプル150を走査して、サンプル150全体からデータを収集することができる。センサ1050は、高速電子読み出しのために最適化された、大面積センサまたはより小さいセンサのモザイクであってもよい。
【0057】
図11(a)は、サンプル150上に形成され得る照明パターンの例を示す。図11(a)に示す照明パターンは、図2に示す照明パターン242と同様であるが、5つの波長λ~λを有する励起光に対応したストライプを含む。この照明パターンによって生成される蛍光155は、同様のストライプの構造を有し、大きい倍率で小型レンズアレイ1010上に画像化される。
【0058】
図11(b)は、小型レンズアレイ1010のレイアウトの例を示す。小型レンズアレイ1010は、図11(a)に示す照明パターンによって生成された蛍光155を受容するように構成されている小型レンズの複数の線形アレイを含む。蛍光155のストライプの各々は、小型レンズアレイ1010内の小型レンズの線形アレイのそれぞれ1つに画像化される。小型レンズ間の領域は、共焦点性を提供し、かつコントラストを改善するためにマスクされてもよい。線形アレイは、センサ上のスペクトル間の重なりを最小限に抑えるために、小型レンズのピッチの数分の1だけ、互いに対して垂直にオフセットされてもよい。小型レンズは、円形、正方形、または他の任意の形状の開口を有してもよい。
【0059】
図11(c)は、図11(b)に示す小型レンズアレイ1010によって生成された強度パターンの例を示す。この強度パターンは、蛍光155のストライプが小型レンズアレイ1010の線形アレイ上に画像化されるときに、小型レンズアレイ1010の焦点面に形成される。
【0060】
図11(d)は、センサ1050上に形成されたスペクトルストライプの例を示す。スペクトルストライプは、蛍光155を再コリメートするレンズ1020、蛍光155を分散させるプリズム、および蛍光155をセンサ1050上に画像化するレンズ1040によって形成されている。図11(d)に示す水平ストライプの各組内の垂直の千鳥配列は、図11(c)に示す小型レンズアレイ1010内の小型レンズの線形アレイ間の垂直の千鳥配列に対応する。
【0061】
図11(e)は、サンプル150上に形成され得る別の照明パターンの例を示す。図11(e)に示す照明パターンは、図2(c)に示す照明パターン247と同様である。この照明パターンによって生成された蛍光155は、同様の円形スポットの構造を有し、倍率の高い小型レンズアレイ1010上に画像化される。
【0062】
図11(f)は、小型レンズアレイ1010のレイアウトの別の例を示す。小型レンズアレイ1010は、図11(e)に示す照明パターンによって生成された蛍光155を受容するように構成されている小型レンズアレイを含む。蛍光155の円形スポットの各々は、小型レンズアレイ1010内の円形小型レンズのそれぞれ1つに画像化される。小型レンズ間の領域は、共焦点性を提供し、かつコントラストを改善するためにマスクされてもよい。
【0063】
図11(g)は、図11(f)に示す小型レンズアレイ1010によって生成された強度パターンの例を示す。この強度パターンは、蛍光155の円形が小型レンズアレイ1010の線形アレイ上に画像化されるときに、小型レンズアレイ1010の焦点面に形成される。
【0064】
図11(h)は、センサ1050上に形成されたスペクトルストライプの例を示す。スペクトルストライプは、蛍光155を再コリメートするレンズ1020、蛍光155を分散させるプリズム、および蛍光155をセンサ1050上に画像化するレンズ1040によって形成されている。
【0065】
図11(i)は、サンプル150上に形成され得る別の照明パターンの例を示す。図11(e)に示す照明パターンは、図2(c)に示す照明パターン247と同様である。この照明パターンによって生成される蛍光155は、同様の円形スポットの構造を有し、倍率の高い小型レンズアレイ1010に代わるピンホールアレイ上に画像化される。
【0066】
図11(j)は、小型レンズアレイ1010に代わるピンホールアレイの例を示す。ピンホールアレイは、図11(i)に示す照明パターンによって生成される蛍光155を受容するように構成されているピンホールアレイを含む。蛍光155の円形スポットの各々は、ピンホールアレイ内のピンホールのそれぞれ1つに画像化される。
【0067】
図11(k)は、図11(j)に示すピンホールアレイによって生成された強度パターンの例を示す。この強度パターンは、蛍光155の円形スポットがピンホールアレイ上に画像化されるときに、ピンホールアレイの焦点面に形成される。
【0068】
図11(l)は、センサ1050上に形成されたスペクトルストライプの例を示す。スペクトルストライプは、蛍光155を再コリメートするレンズ1020、蛍光155を分散させるプリズム、および蛍光155をセンサ1050上に画像化するレンズ1040によって形成されている。
【0069】
図12は、蛍光155を複数の空間的に分散されたスペクトルチャネルに分離するチャネルセパレータの別の例を示す図である。図12に示すように、チャネルセパレータ1200は、蛍光155を分散させるプリズムアレイ1210および回折格子1220と、蛍光155の各ストライプを一連のスペクトルストライプとしてセンサ1240上に集中させる小型レンズアレイ1230と、を含む。小型レンズアレイ1230は、図11(b)に示す小型レンズアレイと同じ構造を有してもよい。プリズムアレイ1210は、特定の設計波長に対する格子の1次回折角をキャンセルするように選択されたファセット角を有してもよい。これにより、分散した光が垂直入射により近いように小型レンズアレイ1230に入射することができ、それにより非点収差が低減され、場合によってはセンサ1240の性能も改善される。プリズムアレイ1210のピッチ(周期)は、集束を改善するために小型レンズアレイ1230のピッチと一致するように選択されてもよい。小型レンズアレイ1230のピッチはまた、センサ1240で生成されたスペクトルの均一性を改善するために、回折格子1220のピッチの整数倍になるように選択されてもよい。サンプル150を走査して、サンプル全体からデータを収集することができる。センサ1050は、高速電子読み出しのために最適化された、大面積センサまたはより小さいセンサのモザイクであってもよい。
【0070】
上述の次元に加えて、システム100は、第6の時間の次元でデータを取得するために使用されてもよい。システム100は、上述のように異なるサンプル位置でハイパースペクトルデータを取得し、その後、それらの位置を時間の関数として監視することができる。例えば、これは、異なる退色率を有するフルオロフォアを分離するために使用され得る。また、高速センサと併用して蛍光寿命を判定することもできる。
【0071】
本発明の例示的な実施形態は、いくつかの利点を提供し得る。例えば、蛍光子の収集を最大化することが可能であり、これにより、退色を最小限にし、信号対雑音比を最大化して、スペクトルの分離を改善する。加えて、各蛍光チャネルの分散を調整して、センサ内の画素の使用を最大化することができる。さらに、複数の励起チャネルを同時に取得することができるため、複数の深度で走査することができ、および/または複数の励起波長を使用することができる。
【0072】
上記の説明では、実施形態の完全な理解を提供するために、特定の詳細を述べている。しかしながら、実施形態は、これらの特定の詳細を伴わずに実施することができることが理解される。例えば、回路は、不必要な詳細によって実施形態を不明瞭にしないために、ブロック図で示され得る。他の例では、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造、および技法は、実施形態が不明瞭になることを回避するために、不必要な詳細を伴わずに示され得る。
【0073】
上記の技術、ブロック、ステップ、および手段は、様々な方法で実装することができる。例えば、これらの技術、ブロック、ステップ、および手段は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実装することができる。ハードウェア実装の場合、処理ユニットは、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、上記の機能を実行するように設計された他の電子ユニット、および/またはそれらの組み合わせにおいて、実装されてもよい。
【0074】
また、実施形態は、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、またはブロック図として示されたプロセスとして説明することができることに留意されたい。フローチャートでは、操作を順次プロセスとして説明することができるが、操作の多くは、並列または同時に実行することができる。加えて、操作の順序を並べ替えることができる。プロセスは、その操作が完了すると終了するが、図に含まれていない追加のステップを有する場合がある。プロセスは、メソッド、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラムなどに対応し得る。プロセスが関数に対応する場合、その終了は、呼び出し元の関数またはメイン関数への関数の戻りに対応する。
【0075】
さらに、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、スクリプト言語、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、および/またはそれらの任意の組み合わせによって実装することができる。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、スクリプト言語、および/またはマイクロコードで実装される場合、必要なタスクを実行するためのプログラムコードまたはコードセグメントは、記憶媒体などの機械可読媒体に格納することができる。コードセグメントまたは機械実行可能命令は、プロシージャ、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、スクリプト、クラス、または命令、データ構造、および/またはプログラムステートメントの任意の組み合わせを表すことができる。コードセグメントは、情報、データ、引数、パラメータ、および/またはメモリの内容を渡すおよび/または受信することによって、別のコードセグメントまたはハードウェア回路に結合することができる。情報、引数、パラメータ、データなどは、メモリの共有、メッセージの受け渡し、チケットの受け渡し、ネットワーク送信など、任意の好適な手段を介して受け渡し、転送、または送信することができる。
【0076】
ファームウェアおよび/またはソフトウェア実装の場合、方法は、本明細書に記載の機能を実行するモジュール(たとえば、手順、機能など)で実装することができる。本明細書に記載の方法を実施する際に、命令を有形的に具現化する任意の機械可読媒体を使用することができる。例えば、ソフトウェアコードは、メモリに格納することができる。メモリは、プロセッサ内またはプロセッサの外部に実装することができる。本明細書で使用される「メモリ」という用語は、任意のタイプの長期、短期、揮発性、不揮発性、または他の記憶媒体を指し、特定のタイプのメモリ、特定の数のメモリ、またはメモリが格納されている特定のタイプの媒体に限定されない。
【0077】
さらに、本明細書で開示するように、「記憶媒体」という用語は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気RAM、コアメモリ、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、および/または情報を格納するための他の機械可読媒体を含む、データを記憶するための1つ以上のメモリを表すことができる。「機械可読媒体」という用語は、可搬または固定記憶デバイス、光学記憶デバイス、無線チャネル、および/または命令および/またはデータを含むまたは搬送することができる他の様々な記憶媒体を含むが、これらに限定されない。
【0078】
本開示の原理を、特定の装置および方法に関連して上記で説明しているが、この説明は単に例示を目的とするものであって、本開示の範囲を限定するものではないことを明確に理解されたい。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図2(d)】
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図3(d)】
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図5(d)】
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
図6(d)】
図7
図8(a)】
図8(b)】
図9(a)】
図9(b)】
図9(c)】
図9(d)】
図9(e)】
図10
図11(a)】
図11(b)】
図11(c)】
図11(d)】
図11(e)】
図11(f)】
図11(g)】
図11(h)】
図11(i)】
図11(j)】
図11(k)】
図11(l)】
図12