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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】部材倉庫
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20230919BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022504811
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(86)【国際出願番号】 JP2020008904
(87)【国際公開番号】W WO2021176556
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 明伸
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-012245(JP,A)
【文献】特開平05-330616(JP,A)
【文献】特開2018-055342(JP,A)
【文献】特開2000-172923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板製品に係る複数の部材を収容した部材収容器を入出庫する入出庫口と、
前記部材収容器を保管する複数の保管位置をもつ保管部と、
前記入出庫口に搬入された前記部材収容器に付され、かつ収容されている前記部材に関する部材情報を表す部材コードを認識する認識部と、
前記入出庫口に内蔵したコード付設装置を用いて、搬入された前記部材収容器の個体を特定する識別コードを前記部材収容器に付与しつつ、前記部材コードと対応付ける付与部と、
前記部材収容器の前記識別コードと、前記部材収容器の前記保管位置とを対応付けて記憶する記憶部と、
を備える部材倉庫。
【請求項2】
前記付与部は、
認識された前記部材コードをホスト管理装置に送信し、前記ホスト管理装置が前記部材コードに対応させる前記識別コードを新規登録した後に、前記識別コードを受信する、
請求項1に記載の部材倉庫。
【請求項3】
基板製品に係る複数の部材を収容した部材収容器を入出庫する入出庫口と、
前記部材収容器を保管する複数の保管位置をもつ保管部と、
前記入出庫口に搬入された前記部材収容器に付され、かつ前記部材収容器の個体を特定する識別コードを確認する確認部と、
前記確認部が前記識別コードを確認できないときに、前記入出庫口に内蔵したコード付設装置を用いて、前記識別コードを前記部材収容器に付与する付与部と、
前記確認部が確認し、または前記付与部が付与した前記部材収容器の前記識別コードと、前記部材収容器の前記保管位置とを対応付けて記憶する記憶部と、
を備える部材倉庫。
【請求項4】
前記確認部は、
搬入された前記部材収容器に付され、かつ収容されている前記部材に関する部材情報を表す部材コードを併せて確認し、
前記付与部は、
前記確認部が前記識別コードを確認できずかつ前記部材コードを確認できたときに、確認された前記部材コードをホスト管理装置に送信し、前記ホスト管理装置が前記部材コードに対応させる前記識別コードを新規登録した後に、前記識別コードを受信する、
請求項3に記載の部材倉庫。
【請求項5】
前記部材収容器に付された前記識別コードに基づいて、保管に適さない前記部材収容器の入庫を拒否する入庫拒否部をさらに備える、請求項1~のいずれか一項に記載の部材倉庫。
【請求項6】
前記入出庫口と別に設けられて、前記部材収容器を排出する排出口と、
前記部材収容器に付された前記識別コードに基づいて、保管されている前記部材収容器のうち保管に適さなくなった前記部材収容器を前記排出口に送る排出操作部と、
をさらに備える、請求項1~のいずれか一項に記載の部材倉庫。
【請求項7】
前記部材は、基板に装着される部品であり、前記部材収容器は、複数の前記部品を収容するキャリアテープが巻回されたリールである、請求項1~のいずれか一項に記載の部材倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、基板製品に係る複数の部材を収容した部材収容器を保管する部材倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線が施された基板に対基板作業を実施して、基板製品を量産する技術が普及している。さらに、対基板作業として部品の装着作業を実施する部品装着機を複数台並べて、部品装着ラインを構成することが一般的になっている。多くの部品装着機は、複数の部品を収容するキャリアテープを用いて部品を供給する。このキャリアテープは、リールに巻回された状態で調達され、部材倉庫に保管される。また、複数の基板をまとめて梱包した基板梱包体が、部材倉庫に保管される。リールや基板梱包体は、基板製品に係る複数の部材を収容した部材収容器に該当し、部材コードが貼付された状態で部材倉庫に搬入される。この種の部材倉庫に関連する技術例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1は、自動倉庫に入庫されるトレーに支持されている部品の識別データを検出する識別装置を備えた部品管理システムを開示している。これによれば、部品を適切に管理できる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-91771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の技術例に限らず、一般的に、部材収容器に貼付される部材コードは、部品サプライヤによって付与されるものであり、部材の種類や特性などを表している。しかしながら、部材を用いて基板製品を製造するメーカは、部材コードだけで十分な管理を行うことが難しいため、部材収容器の個体を特定する識別コードを付与して管理する。新規に調達した部材収容器への識別コードの付与および登録は、作業者により行われる。また、登録した識別コードを部材収容器へ表示する作業は、作業者がラベル制作貼付機を用いて行う。ラベル制作貼付機は、識別コードに相当する識別ラベルを制作して、部材収容器に貼付する機能を有する。
【0006】
本明細書では、部材収容器を入庫する際に、識別コードの付与、登録、表示、確認等の少なくとも一部を自動化して省力化を実現した部材倉庫を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、基板製品に係る複数の部材を収容した部材収容器を入出庫する入出庫口と、 前記部材収容器を保管する複数の保管位置をもつ保管部と、前記入出庫口に搬入された前記部材収容器に付され、かつ収容されている前記部材に関する部材情報を表す部材コードを認識する認識部と、搬入された前記部材収容器の個体を特定する識別コードを前記部材収容器に付与しつつ、前記部材コードと対応付ける付与部と、前記部材収容器の前記識別コードと、前記部材収容器の前記保管位置とを対応付けて記憶する記憶部と、を備える部材倉庫を開示する。
【0008】
また、本明細書は、基板製品に係る複数の部材を収容した部材収容器を入出庫する入出庫口と、前記部材収容器を保管する複数の保管位置をもつ保管部と、前記入出庫口に搬入された前記部材収容器に付され、かつ前記部材収容器の個体を特定する識別コードを確認する確認部と、前記確認部が前記識別コードを確認できないときに、前記識別コードを前記部材収容器に付与する付与部と、前記確認部が確認し、または前記付与部が付与した前記部材収容器の前記識別コードと、前記部材収容器の前記保管位置とを対応付けて記憶する記憶部と、を備える部材倉庫を開示する。
【発明の効果】
【0009】
本明細書で開示する部材倉庫において、認識部が部材収容器に付された部材コードを認識した後に、または、確認部が部材収容器に付された識別コードを確認できないときに、付与部は、識別コードを部材収容器に付与する。したがって、従来作業者によって行われていた識別コードの付与および登録の作業の少なくとも一部が自動化され、省力化が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の部材倉庫を模式的に示す側面断面図である。
図2】部材倉庫の正面斜視図である。
図3図1のIII-III断面を上から見た部材倉庫の下段の平面断面図である。
図4】部材倉庫の制御の構成を示すブロック図である。
図5】リールの部材倉庫への入庫動作を説明する動作フローの図である。
図6】入出庫口にリールが搬入された状況を模式的に示す側面図である。
図7】リール識別ラベルを制作した状況を模式的に示す側面図である。
図8】把持部がリールに接近した状況を模式的に示す側面図である。
図9】把持部がリールを把持する動作を模式的に説明する側面図である。
図10】ラベル制作貼付機にリールを接近させた状況を模式的に示す側面図である。
図11】リール識別ラベルをリールに貼付する動作を模式的に説明する側面図である。
図12】入出庫口からリールを搬出する動作を模式的に示す側面図である。
図13】第2実施形態の部材倉庫の正面斜視図である。
図14】第2実施形態の部材倉庫の制御の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.第1実施形態の部材倉庫1の装置構成
第1実施形態の部材倉庫1の装置構成について、図1図3を参考にして説明する。部材倉庫1は、複数の部品を収容するキャリアテープが巻回されたリール81を入庫し、保管し、出庫する。リール81は、1台の部品装着機または複数台の第1~第4部品装着機(91~94)が並ぶ部品装着ライン9で使用される(図4参照)。リール81は、部品収容器の一形態である。他の部品収容器として、複数の基板をまとめて梱包した基板梱包体や、複数の大型部品を格子配列の収容区画に収容するトレーなどがある。
【0012】
リール81は、図2および図3に示されるように、円板形状であり、その中心に貫通孔82をもつ。リール81は、調達された時点で部品種ラベル83が貼付されている。部品種ラベル83は、部材に関する部材情報を表す部材コードを表し、あるいは、部材コードの一形態である。部品種ラベル83は、例えば、キャリアテープに収容されている部品の種類や特性、使用期限、キャリアテープの幅寸法やリール81の大きさ、製造ロット番号などを表す。部品種ラベル83は、部品サプライヤによって制作され、貼付される。部品種ラベル83として、バーコードや二次元コード、数字列などが用いられる。
【0013】
基板製品の製造メーカは、調達したリール81に対し後からリール識別ラベル84を貼付して管理を行う。リール識別ラベル84は、リール81の個体を特定する識別コードを表し、あるいは、識別コードの一形態である。リール識別ラベル84は、製造メーカが所望する付帯情報と対応付けられてもよい。付帯情報として、部品種ラベル83が表す部材情報を例示できる。これによれば、以降の諸動作や諸作業で、リール識別ラベル84を読み取れば、部品種ラベル83をその都度読み取ることが不要になる。
【0014】
部材倉庫1は、倉庫筐体2、入出庫口3、保管部4、保持移動部5、および倉庫制御部7(図4参照)などで構成される。倉庫筐体2は、垂直な軸線AXをもつ回転対称形状に形成される。本第1実施形態において、図1図3に示されるように、倉庫筐体2は、縦型の円筒状に形成される。倉庫筐体2の内部は、上段、中段、および下段からなる三段構成になっている。
【0015】
倉庫筐体2の上段の周方向に並んで、7個の保管部4が設けられる。倉庫筐体2の中段の周方向に並んで、入出庫口3および6個の保管部4が設けられる。倉庫筐体2の下段の周方向に並んで、7個の保管部4が設けられる。したがって、合計で20個の保管部4が設けられる。なお、保管部4の個数は、上記以外であってもよい。さらに、倉庫筐体2の内部の保管部4の配置や構造は、様々に変形可能である。
【0016】
入出庫口3は、倉庫筐体2の前面の中間高さに配置される。入出庫口3は、リール81の搬入および搬出を行う箇所である。入出庫口3が中間高さに位置することにより、全部の保管棚42への搬送距離の平均値が最小化される。したがって、入庫所要時間の平均値や、出庫所要時間の平均値も最小化される。なお、倉庫筐体2の前面の中間高さに入庫口を配置し、倉庫筐体2の後面の中間高さに出庫口を別に配置してもよい。入出庫口3は、開口部31、置き台32、カメラ34、およびラベル制作貼付機35などで構成される。
【0017】
開口部31は、倉庫筐体2の前面の中間高さの位置に、横長の矩形に形成される。開口部31の下縁の奥に、置き台32が設けられる。置き台32は、左右に離隔した2枚の板材を含んで構成される。2枚の板材は、開口部31に近い手前側が低く、奥側が高くなるように若干の傾斜角度をつけて配置される。2枚の板材の間には、後述する把持部56の下アーム562が進入可能となっている。置き台32の手前の上部に、左右方向に延びる位置決め部材33が設けられる。位置決め部材33は、置き台32に載置されるリール81の載置位置を安定化する。
【0018】
カメラ34は、開口部31の上縁の奥に配置され、下向きで撮像を行う。カメラ34は、照明用の光源をもち、撮像対象物に合わせて撮像条件を自動調整する機能を有する。カメラ34は、置き台32上のリール81を撮像して、部品種ラベル83およびリール識別ラベル84を読み取る。さらに、カメラ34は、リール81の複数種類の大きさを判別したり、載置された位置および向きを確認したりする機能を有してもよい。
【0019】
ラベル制作貼付機35は、開口部31の上縁のカメラ34よりもさらに奥に配置される。ラベル制作貼付機35は、指令にしたがってリール識別ラベル84を制作する。ラベル制作貼付機35は、さらに、制作したリール識別ラベル84を下側の貼付実施位置に移動させ、下方に位置するリール81に貼付する。ラベル制作貼付機35は、物理的に認識可能な識別コード(リール識別ラベル84)を部材収容器(リール81)に設けるコード付設装置の一形態である。
【0020】
従来、ラベル制作貼付機35は、部材倉庫の外部に配置され、作業者によって操作されていた。本第1実施形態で、ラベル制作貼付機35は部材倉庫1に内蔵されるので、工場内の省スペース化が実現される。また、ラベル制作貼付機35は、後述する倉庫制御部7から制御されるので、作業者の操作の手間が不要となって省力化が実現される。
【0021】
20個の保管部4の内部構成は、概ね同じである。保管部4の各々は、保管容器41および5個の保管棚42で構成される。保管容器41は、軸線AXに向かって横向きに開口する箱形状に形成される。5個の保管棚42は、保管容器41の内部で上下方向に等間隔に配置される。保管棚42は、置き台32と同様に左右に分離した2枚の板材からなり、置き台32と同じ傾斜角度をもつ。保管棚42は、リール81を保管する保管位置の一形態である。保管棚42および置き台32が傾斜角度をもつことにより、振動などの影響によるリール81の滑落が防止されている。
【0022】
部材倉庫1は、20個の保管部4の合計100個の保管棚42に、それぞれリール81を保管する。実際の部材倉庫は、さらに多数のリール81を保管可能である。保管棚42の各々は、識別番号が付与されて管理される。識別番号は、例えば、保管容器41を特定する番号と、保管棚42の配置高さを表す番号の組み合わせにより付番される。
【0023】
保持移動部5は、リール81を保持しつつ、倉庫筐体2の内部を移動する。保持移動部5は、入出庫口3と保管部4の保管棚42との間で、リール81を搬送する。保持移動部5は、2本の昇降軸51、軸受け部52、回転駆動部53、昇降回動部54、昇降駆動部55(図4参照)、および把持部56などで構成される。2本の昇降軸51は、上下方向に延在し、軸線AXを挟んで対称に配置される。図1において、2本の昇降軸51は、紙面表裏方向に重なっており、1本だけが表示されている。
【0024】
軸受け部52は、倉庫筐体2の底板21の上に配置される。軸受け部52は、2本の昇降軸51の下端を支持しており、かつ、2本の昇降軸51が軸線AXの周りに公転することを許容する。回転駆動部53は、倉庫筐体2の天板22の下に配置される。回転駆動部53は、2本の昇降軸51の上端を支持しており、かつ、2本の昇降軸51を軸線AXの周りに公転駆動する。
【0025】
昇降回動部54は、倉庫筐体2の中央の保管部4が存在しない領域に配置され、2本の昇降軸51に跨って取り付けられる。2本の昇降軸51の公転に伴い、昇降回動部54は、軸線AXの周りに自転する。また、昇降回動部54には、昇降駆動部55が付属されている。昇降回動部54は、昇降駆動部55に駆動され、2本の昇降軸51を伝って昇降する。昇降回動部54は、前後方向(図1では左右の方向)に長く形成され、かつ、置き台32および保管棚42と同じ傾斜角度をもつ。
【0026】
把持部56は、昇降回動部54に径方向に移動可能に設けられる。把持部56は、把持本体部561、下アーム562、上アーム563、および把持駆動部564で構成される。把持本体部561は、昇降回動部54の上面を前後に移動可能である。これにより、把持部56の全体は、軸線AXを中心とする径方向の前後に移動する。下アーム562は、把持本体部561の下部に取り付けられており、前方に延在する。上アーム563は、把持本体部561の下アーム562よりも高い位置に取り付けられており、前方に延在する。上アーム563は、把持本体部561に対して昇降可能とされている。上アーム563の長さは、下アーム562よりも短い。下アーム562および上アーム563は、置き台32および保管棚42と同じ傾斜角度をもち、互いに平行する。
【0027】
図1に示されるように、把持本体部561が昇降回動部54の後端に位置するとき、下アーム562の先端は、昇降回動部54から突出しない。したがって、下アーム562は、昇降回動部54の自転動作および昇降動作を妨げない。把持本体部561が昇降回動部54の前方に移動するとき、下アーム562は、昇降回動部54から突出して、置き台32や保管棚42を構成する2枚の板材の間に進入する。
【0028】
把持駆動部564は、把持本体部561の上部に設けられる。把持駆動部564は、上アーム563を昇降駆動する。これにより、下アーム562と上アーム563の上下方向の離間距離が変化する。したがって、下アーム562および上アーム563は、置き台32や保管棚42に載置されたリール81を上下から挟んで把持でき、また開放することができる。なお、把持本体部561が移動せず、下アーム562および上アーム563が前後方向に伸縮する構成を採用することも可能である。
【0029】
2.部材倉庫1の制御に関する構成
次に、部材倉庫1の制御に関する構成について説明する。図4に示されるように、部材倉庫1は、倉庫制御部7を備える。また、図2に示されるように、倉庫筐体2の前面の入出庫口3の上側に、操作表示パネル79が設けられる。操作表示パネル79は、作業者が操作する操作部、および作業者に向けて情報を表示する表示部を備える。操作表示パネル79は、作業者と倉庫制御部7の間で情報交換を行うマンマシンインターフェースとして機能する。
【0030】
倉庫制御部7は、CPUや記憶部などを有してソフトウェアで動作するコンピュータ装置である。倉庫制御部7は、カメラ34およびラベル制作貼付機35を制御する。さらに、倉庫制御部7は、保持移動部5の回転駆動部53、昇降駆動部55、把持本体部561、および把持駆動部564を制御する。さらに、倉庫制御部7は、部材倉庫1の動作を総合的に制御する三つの制御機能部、すなわち、認識部71、付与部73、および記憶部74を備える。
【0031】
倉庫制御部7は、ホスト管理装置96に通信接続される。ホスト管理装置96は、ライン制御部99に通信接続される。ライン制御部99は、部品装着ライン9を構成する第1~第4部品装着機(91~94)にそれぞれ通信接続される。部品装着ライン9は、基板に部品を装着して基板製品を量産する生産ラインの一部となっている。ライン制御部99は、第1~第4部品装着機(91~94)の装着作業の進捗を管理する。
【0032】
ホスト管理装置96は、生産する基板製品の種類、および元になる基板の種類の変更を管理する。さらに、ホスト管理装置96は、リール81やその他の部材の調達状況、保管状況、および使用状況などを管理する。新規に調達されたリール81に識別コードを付与する権限は、ホスト管理装置96のみに与えられている。ホスト管理装置96は、新規のリール81に識別コード(リール識別ラベル84が表す情報)を付与し、部材コード(部品種ラベル83が表す情報)と対応付けたデータを作成して、データベース97に新規登録する。さらに、ホスト管理装置96は、リール81の位置の移動や使用状況の進行などに合わせて、登録済データを随時更新する。また、ホスト管理装置96は、倉庫制御部7やライン制御部99からの問い合わせに応じ、登録済データを送信して提供する。
【0033】
認識部71は、カメラ34を用いて、入出庫口3に搬入されたリール81に付された部材コード(部品種ラベル83が表す情報)を認識する。付与部73は、搬入されたリール81の個体を特定する識別コードをリール81に付与しつつ、部材コードと対応付ける。実際には、付与部73は、ホスト管理装置96の機能の一部を含んで構成される。別の見方をすれば、付与部73は、ホスト管理装置96と共同して所定の機能を果たす。
【0034】
詳述すると、付与部73は、まず、認識部71が認識した部材コードをホスト管理装置96に送信する。ホスト管理装置96は、受信した部材コードに対応させる識別コードをリール81に付与してデータベース97に新規登録し、新規の登録済データを付与部73に返信する。付与部73は、この登録済データを受信する。これにより、倉庫制御部7は、搬入されたリール81の識別コードを取得できる。また、付与部73は、ラベル制作貼付機35(コード付設装置)を制御する。
【0035】
記憶部74は、リール81に付与された識別コードと、当該のリール81を保管する保管棚42(保管位置)の識別番号とを対応付けて記憶する。これにより、倉庫制御部7は、リール81の識別コードを指定した出庫指令に対して、誤りなく出庫を行うことができる。認識部71、付与部73、および記憶部74の制御機能については、次の動作の説明の中でも述べる。
【0036】
3.リール81の部材倉庫1への入庫動作
次に、リール81の部材倉庫1への入庫動作について、図5の動作フロー、および図6図12の時系列的な状況および動作を参考にして説明する。図5の動作フローは、主に倉庫制御部7によって進められ、一部が作業者やホスト管理装置96によって行われる。なお、入庫動作の前に、昇降回動部54は、入出庫口3に対向する位置まで駆動され、把持本体部561は昇降回動部54の後端に位置し、上アーム563は上昇駆動されて下アーム562との離間距離が拡げられている。
【0037】
図5のステップS1で、図6に示されるように、リール81が搬入されて置き台32に載置される。リール81の載置は、作業者によって行われる。または、リール81の載置は、搬送ロボットによって自動で行われてもよい。リール81の存在は、カメラ34の定期的な撮像動作によって自動認識され、または、作業者の操作表示パネル79への入力操作により認識される。
【0038】
次のステップS2で、認識部71は、カメラ34に撮像を行わせ(図6の符号TP参照)、リール81に貼付された部品種ラベル83およびリール識別ラベル84を認識する。次のステップS3で、認識部71は、リール識別ラベル84が既に貼付されているか否かを判定する。リール識別ラベル84が貼付されているリール81は、使いかけであり、動作フローの実行はステップS11に進められる。
【0039】
一方、リール識別ラベル84が貼付されていないリール81は、新規に調達された新品である。この場合のステップS4で、付与部73は、部品種ラベル83が表す部材コードをホスト管理装置96に送信する。ホスト管理装置96は、この部材コードを受信する。次のステップS5で、ホスト管理装置96は、部材コードに対応させる識別コードをリール81に付与する。さらに、ホスト管理装置96は、部材コードと識別コードを対応付けてデータベース97に新規登録する。
【0040】
次のステップS6で、ホスト管理装置96は、新規の登録済データを付与部73に返信する。付与部73は、この登録済データを受信して、付与された識別コードを確認する。次のステップS7で、付与部73は、識別コードを表すリール識別ラベル84の制作を、ラベル制作貼付機35に指令する。指令を受けたラベル制作貼付機35は、リール識別ラベル84を作成して、下側の貼付実施位置に移動させる。これで、図7の状況となる。
【0041】
次のステップS8で、倉庫制御部7は、保持移動部5を制御してリール81を移動させる。詳述すると、倉庫制御部7は、図8の矢印M1に示されるように、把持部56を前進させて、下アーム562をリール81の下側に進入させ、上アーム563をリール81の上方に進入させる。次に、倉庫制御部7は、図9の矢印M2に示されるように昇降回動部54を上昇させつつ、矢印M3に示されるように上アーム563を下降させる。これにより、下アーム562および上アーム563は、リール81を把持する。
【0042】
さらに、倉庫制御部7は、図10の矢印M4に示されるように、昇降回動部54を上昇させつつ、把持部56を後退させる。これにより、リール81は、ラベル制作貼付機35に接近してゆき、貼付実施位置の真下の至近位置に移動する。次に、付与部73は、リール識別ラベル84の貼付を、ラベル制作貼付機35に指令する。指令を受けたラベル制作貼付機35は、図11の矢印M5に示されるように、リール識別ラベル84をリール81に貼付する。なお、リール識別ラベル84の貼付位置は、部品種ラベル83の隣接位置でなくてもよい。
【0043】
また、ステップS3でリール81が使いかけの場合のステップS11で、倉庫制御部7は、識別コード(リール識別ラベル84)に対応する最新の登録済データをホスト管理装置96から取得する。ステップS8またはステップS11の後、動作フローの実行はステップS9に合流される。
【0044】
ステップS8に続くステップS9で、倉庫制御部7は、図12の矢印M6に示されるように、把持部56をさらに後退させる。これにより、昇降回動部54は、入出庫口3からリール81を搬出する。また、ステップS11に続くステップS9で、倉庫制御部7は、図9の状況から図10および図11を経由せず、直接的に図12の状況に移行するように保持移動部5を制御する。この後、倉庫制御部7は、指定された識別番号をもつ保管棚42に対向する位置まで昇降回動部54を駆動させ、把持部56を前進させる。
【0045】
これにより、リール81は、保管棚42に到達する。倉庫制御部7は、下アーム562および上アーム563の離間距離を拡げさせ、リール81を保管棚42に載置させ、保管させる。なお、保管棚42の識別番号の指定は、倉庫制御部7が自律的に行い、または、作業者の操作表示パネル79への入力操作にしたがう。次のステップS10で、記憶部74は、リール81に付与された識別コードと、当該のリール81を保管する保管棚42の識別番号とを対応付けて記憶する。これにより、リール81の入庫動作が終了する。
【0046】
リール81の出庫動作では、保管棚42でリール81が把持され、入出庫口3でリール81が開放される。また、出庫動作では、ラベル制作貼付機35は用いられない。出庫されたリール81は、部品装着ライン9まで搬送されて使用される。あるいは、出庫されたリール81は、段取り作業エリアに搬送されて、フィーダ装置に装填される。そして、このフィーダ装置が部品装着ライン9まで搬送されて使用される。
【0047】
第1実施形態の部材倉庫1において、認識部71がリール81に付された部材コード(部品種ラベル83)を認識した後に、付与部73は、識別コードをリール81に付与する。したがって、従来作業者によって行われていた識別コード(リール識別ラベル84)の付与および登録の作業の少なくとも一部が自動化され、省力化が実現される。
【0048】
4.第2実施形態の部材倉庫1A
次に、第2実施形態の部材倉庫1Aについて、第1実施形態と異なる点を主に説明する。図13に示されるように、第2実施形態の部材倉庫1Aは、入出庫口3と別に排出口3Aを備える。排出口3Aは、入出庫口3の左側に並んで配置されており、他の位置に配置されてもよい。本第2実施形態において、排出口3Aは、1個の保管部4に代えて設けられる。排出口3Aは、入出庫口3と同一形状の開口部31、置き台32、および位置決め部材33を有し、カメラ34およびラベル制作貼付機35が省略されている。
【0049】
また、第2実施形態の倉庫制御部7Aは、図14に示される五つの制御機能部を備える。すなわち、倉庫制御部7Aは、確認部72、付与部73、記憶部74、入庫拒否部75、および排出操作部76を備える。倉庫制御部7Aは、図5に示される第1実施形態の動作フローと類似する制御を行い、一部の制御機能が相違する。記憶部74の制御機能は、第1実施形態と概ね同じであり、説明は省略する。
【0050】
制御機能の相違点について詳述すると、図5のステップS2で、確認部72は、カメラ34に撮像を行わせ(図6の符号TP参照)、リール81に貼付されたリール識別ラベル84(識別コード)を確認する。かつ、確認部72は、リール81に貼付された部品種ラベル83(部材コード)を併せて確認する。次のステップS3で、確認部72がリール識別ラベル84を確認できたか否かが判定される。さらに、確認部72が部品種ラベル83を確認できたか否かが判定される。確認部72が部品種ラベル83およびリール識別ラベル84の両方を確認できた場合、当該のリール81は使いかけと判定され、動作フローの実行はステップS11に進められる。
【0051】
また、確認部72が部品種ラベル83を確認できリール識別ラベル84を確認できない場合、当該のリール81は新品と判定され、動作フローの実行は次のステップS4に進められる。そして、確認部72が部品種ラベル83を確認できない場合、エラーと判定される。この場合、倉庫制御部7は、エラーが発生した旨を操作表示パネル79に表示して、作業者に通知する。
【0052】
ステップS4以降で、付与部73は、確認部72が識別コードを確認できないときに、識別コードをリール81に付与する。具体的には、付与部73は、確認部72が識別コードを確認できずかつ部材コードを確認できたときに、確認された部材コードをホスト管理装置96に送信する。そして、ホスト管理装置96が部材コードに対応させる識別コードを新規登録した後に、識別コードを受信する。
【0053】
入庫拒否部75は、ステップS2の実行後のタイミングに動作する。入庫拒否部75は、リール81に付された部品種ラベル83やリール識別ラベル84に基づいて、保管に適さないリール81の入庫を拒否する。例えば、部材倉庫1Aがデシケータ機能を有さないとき、湿度管理を要する部品を収容したリール81は、保管に適さない。また、保管棚42のサイズに適合しない過大なリール81や過小なリール81は、保管に適さない。リール81が保管に適するか否かは、部品種ラベル83やリール識別ラベル84が表す情報に基づいて容易に判別可能である。入庫拒否部75は、入出庫口3に搬入されたリール81の入庫を拒否する旨、および拒否する理由を操作表示パネル79に表示して、作業者に引き取りを要請する。
【0054】
また、排出操作部76は、図5の動作フローの中では動作せず、独立して動作する。排出操作部76は、リール81に付されたリール識別ラベル84(識別コード)に基づいて、保管されているリール81のうち保管に適さなくなったリール81を排出口3Aに送る。保管に適さなくなったリール81として、使用期限を過ぎた部品を収容しているリール81を例示できる。排出操作部76は、リール81を排出口3Aに送った旨、および排出する理由を操作表示パネル79に表示して、作業者に処理を要請する。
【0055】
なお、部材倉庫1Aは、入出庫口3と別に排出口3Aを備えるので、排出されるリール81は、通常の入出庫動作を阻害しない。これに限定されず、排出口3Aを備えない構成として、排出操作部76は、保管に適さなくなったリール81を入出庫口3から出庫してもよい。
【0056】
第2実施形態において、第1実施形態と同様、識別コード(リール識別ラベル84)の付与および登録の作業の少なくとも一部が自動化され、省力化が実現される。さらに部材倉庫1Aは、入庫拒否部75および排出操作部76を備えることにより、保管するリール81を常に適正にすることができる。
【0057】
5.実施形態の応用および変形
なお、図4の制御に関する構成で、倉庫制御部7、ホスト管理装置96、およびライン制御部99を例示したが、ハードウェア構成については様々に変形可能である。また、ラベル制作貼付機35は、リール識別ラベル84に相当する識別コードをリール81に直接的に印刷するコード印刷機に置き換えられてもよい。その他にも、第1および第2実施形態は、様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1、1A:部材倉庫 2:倉庫筐体 3:入出庫口 32:置き台 34:カメラ 35:ラベル制作貼付機 3A:排出口 4:保管部 41:保管容器 42:保管棚 5:保持移動部 51:昇降軸 53回転駆動部 54:昇降回動部 55:昇降駆動部 56:把持部 7、7A:倉庫制御部 71:認識部 72:確認部 73:付与部 74:記憶部 75:入庫拒否部 76:排出操作部 79:操作表示パネル 81:リール 9:部品装着ライン 91~94:第1~第4部品装着機 96:ホスト管理装置 99:ライン制御部
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