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特許7350996香味吸引器用加熱ユニット及び香味吸引器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】香味吸引器用加熱ユニット及び香味吸引器
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20230919BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20230919BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20230919BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/46
A24F40/465
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022516563
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 JP2020017425
(87)【国際公開番号】W WO2021214924
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】井上 康信
(72)【発明者】
【氏名】隅井 干城
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0128971(US,A1)
【文献】国際公開第2019/208536(WO,A1)
【文献】特表2018-529324(JP,A)
【文献】特開2019-118344(JP,A)
【文献】特表2019-526247(JP,A)
【文献】中国実用新案第206137197(CN,U)
【文献】国際公開第2019/088588(WO,A2)
【文献】特表2018-522551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40
A24F 40/46
A24F 40/465
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙可能物質を加熱して前記喫煙可能物質を霧化させる香味吸引器用加熱ユニットであって、
開口と前記開口を囲む側面とを有し、前記喫煙可能物質を受け入れる収容部を区画する区画部と、
前記区画部を加熱する加熱部と、
前記加熱部を前記区画部に固定する固定部と、
前記加熱部と前記固定部との間に配置される第1断熱部と、を有し、
前記固定部は、前記加熱部を前記区画部に向けて付勢する付勢部である、香味吸引器用加熱ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載された香味吸引器用加熱ユニットにおいて、
前記加熱部は、前記区画部の外側面に配置される、香味吸引器用加熱ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された香味吸引器用加熱ユニットにおいて、
前記加熱部は、前記区画部の前記側面に平行な主面を有し、
前記第1断熱部は、前記区画部の前記側面に直交する方向において前記加熱部の主面を全て覆うように配置される、香味吸引器用加熱ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載された香味吸引器用加熱ユニットにおいて、
前記加熱部は、フィルムヒータである、香味吸引器用加熱ユニット。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載された香味吸引器用加熱ユニットにおいて、
前記区画部は、サセプタを含み、
前記加熱部は前記区画部の前記側面を囲む筒状のインダクションコイルを含み、
前記第1断熱部は、透磁性及び非導電性を有する、香味吸引器用加熱ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載された香味吸引器用加熱ユニットにおいて、
前記区画部の前記側面が前記サセプタで構成され、前記収容部を囲む電流経路を有する、香味吸引器用加熱ユニット。
【請求項7】
請求項5又は6に記載された香味吸引器用加熱ユニットにおいて、
前記区画部と前記インダクションコイルとの間に第2断熱部を有し、
前記第2断熱部は、透磁性及び非導電性を有する、香味吸引器用加熱ユニット。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか一項に記載された香味吸引器用加熱ユニットにおいて、
前記第1断熱部は、前記インダクションコイルの隣り合うワイヤの間に位置する部分を有する、香味吸引器用加熱ユニット。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載された香味吸引器用加熱ユニットにおいて、
前記第1断熱部は、空気と、前記加熱部が前記区画部に固定されたときに前記加熱部と前記区画部との間を所定距離に維持する支持部と、を有し、前記支持部の間に前記空気を有する、香味吸引器用加熱ユニット。
【請求項10】
請求項9に記載された香味吸引器用加熱ユニットにおいて、
前記第1断熱部の前記支持部はガラス繊維である、香味吸引器用加熱ユニット。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載された香味吸引器用加熱ユニットにおいて、
前記第1断熱部の厚みは、0.10mm以上3.00mm以下である、香味吸引器用加熱ユニット。
【請求項12】
請求項5から8のいずれか一項に記載された香味吸引器用加熱ユニットにおいて、
前記固定部と前記インダクションコイルとの間に電磁シールドを有する、香味吸引器用加熱ユニット。
【請求項13】
喫煙可能物質を加熱して喫煙可能物質を霧化させる香味吸引器用加熱ユニットであって、
開口と前記開口を囲む側面とを有し、前記喫煙可能物質を受け入れる収容部を区画する区画部と、
前記区画部を加熱する加熱部と、
前記区画部と前記加熱部との間に配置される第2断熱部と、
前記加熱部を前記区画部に固定する固定部と、を有し、
前記第2断熱部は、透磁性及び非導電性を有し、
前記区画部はサセプタを含み、
前記加熱部は前記区画部の側面を囲む筒状のインダクションコイルであり、
前記固定部は、前記加熱部を前記区画部に向けて付勢する付勢部である、香味吸引器用加熱ユニット。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載された香味吸引器用加熱ユニットと、
前記固定部とハウジングとの間に配置される外断熱部と、を有する、香味吸引器。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載された香味吸引器用加熱ユニットと、
前記区画部、前記加熱部、及び前記固定部を内部に収容するハウジングと、を有する、香味吸引器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香味吸引器用加熱ユニット及び香味吸引器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料の燃焼をすることなく香味等を吸引するための香味吸引器が知られている。香味吸引器は、例えば、香味発生物品を収容するチャンバと、チャンバに収容される香味発生物品を加熱するヒータとを有する(例えば、特許文献1-3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2001-521123号公報
【文献】特許第5963375号公報
【文献】国際公開第2016/207407号パンフレット
【発明の概要】
【0004】
第1態様によれば、喫煙可能物質を加熱して喫煙可能物質を霧化させる香味吸引器用加熱ユニットが提供される。香味吸引器用加熱ユニットは、開口と開口を囲む側面とを有し、喫煙可能物質を受け入れる収容部を区画する区画部と、区画部を加熱する加熱部と、加熱部を区画部に固定する固定部と、加熱部と固定部との間に配置される第1断熱部と、を有する。喫煙可能物質は固形の喫煙可能物質としてもよい。
【0005】
第1態様によれば、加熱部が固定部によって区画部に固定されるので、区画部と加熱部を実質的に一体化することができる。このとき、第1断熱部が、加熱部から固定部への熱の影響を低減することができるので、高温加熱下でも固定部が使用に耐え得る。したがって、第1態様によれば、高温加熱が可能な、一体型の香味吸引器用加熱ユニットが提供される。この様な一体型のユニットは、衝撃や揺れに対する安定性が高く、ユニット自体の量産にも、ユニットを組み込んだ香味吸引器の量産にも有利な場合がある。
【0006】
加熱部は、区画部の外側面(収容部と反対側)に配置されてもよい。加熱部は、例えば抵抗加熱部であり、熱伝導により区画部を加熱することができる。抵抗加熱部は、例えば、加熱要素を有し、加熱要素は、ヒーティングトラックであってもよい。加熱部は、フィルムヒータであってもよい。フィルムヒータは、例えば、電気絶縁材料からなる層とヒーティングトラックからなる層とを重ねた構造を有し得る。また、例えば、加熱部は、2層の電気絶縁材料からなる層の間にヒーティングトラックからなる層を配置する構造を有し得る。電気絶縁材料は、例えばポリイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、テフロン(登録商標)系のフッ素樹脂であり得る。また、ヒーティングトラックは、例えばステンレス、又は銅等の金属であり得る。電気絶縁材料及びヒーティングトラックがこれらの材料であることにより、製造容易であり且つ信頼性の高いフレキシブルな加熱構造が得られる。
【0007】
加熱部は、開口と反対側に位置する第1部分と、開口側に位置する第2部分と、を有してもよい。第2部分のヒータ電力密度は、第1部分のヒータ電力密度よりも高いことが好ましい、又は、第2部分の昇温速度は、第1部分の昇温速度よりも高いことが好ましい、又は、第2部分の加熱温度は任意の同時間において、第1部分の加熱温度よりも高いことが好ましい。第2部分は、喫煙可能物質が区画部内の所望の位置に位置決めされた状態において、喫煙可能物質の長手方向において喫煙可能物質の1/2以上に対応する区画部の外面を覆うことが好ましい。これによれば、エネルギー消費を抑制しながら、加熱部を起動してからファーストパフを行うことができるまでの時間を短縮することができる。
【0008】
加熱部が喫煙可能物質を加熱するときの温度プロファイルの最高温度は、250℃以上310℃以下、250℃以上300℃以下、又は250℃以上290℃以下から選択されることが好ましい。ここで、加熱部の温度とは、抵抗加熱部の温度やサセプタの温度などの喫煙可能物質を加熱するための熱を発する箇所の温度をいう。加熱部が喫煙可能物質を加熱するときの温度プロファイルの最高温度をこれらのいずれかの温度範囲にすることで、デバイスにダメージを与えることなく喫煙可能物質の迅速な昇温が可能になる。
【0009】
第1断熱部は、加熱部と固定部とに接触することが好ましい。これにより、第1断熱部が加熱部又は固定部のいずれかと接触しない場合に比べて、香味吸引器用加熱ユニットがシンプルで安定した構造を有することができる。
【0010】
加熱部は、区画部の側面に平行な主面を有し、第1断熱部は、加熱部の主面に沿って延びるように配置されることが好ましい。これにより、第1断熱部が効果的に加熱部を断熱することができる。ここで、区画部の側面に平行とは、区画部の側面に実質的に平行であることを含む。また、第1断熱部は、加熱部の主面を全て覆うように配置されることが好ましい。
【0011】
区画部の壁厚みは、実質的に均一であることが好ましい。これにより区画部全体をより均一に加熱することが可能となる。これによって、区画部の構造が簡素化され高精度な製造が容易になる。ここでの均一な厚みとは、実質的に均一な厚みを含む。区画部の厚みは、例えば0.04mm以上1.00mm以下であり、好ましくは0.04mm以上0.50mm以下であり、より好ましくは0.05mm以上0.10mm以下である。
【0012】
区画部は、有底又は底のない筒状部材を有し得る。また、区画部は、底部を有し得る。或いは、香味吸引器用加熱ユニットは、区画部の内部又は外部に、区画部の収容部に挿入された喫煙可能物質を有する消耗品(以下、単に消耗品という)が突き当てられる突当部を有してもよい。底部又は突当部は、消耗品の端面の少なくとも一部が露出されるように消耗品の一部を支持することが好ましい。区画部の底部又は突当部は、凸部又は溝部を有してもよい。また、区画部の底部又は突当部は、空気を区画部内に取り込むための穴を有してもよい。区画部は、例えば、ステンレス鋼等の熱伝導性の高い金属、耐熱樹脂、又は紙等から構成され得る。区画部は、例えば有底筒状の容器、又は底のない筒状体であり得、円筒状であっても角筒状であってもよい。
【0013】
区画部は、サセプタを含んでいてもよい。この場合、加熱部は区画部の側面を囲む筒状のインダクションコイルを含み、第1断熱部は、透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有することが好ましい。ここでの「非導電性を有する」とは、実質的に非導電性を有することを含む。これにより、一体化した安定した構造のIH(誘導加熱)アセンブリが提供される。
【0014】
区画部の側面は、サセプタを含んでもよい。これにより、区画部の底部のみがサセプタを含む場合に比べて、区画部がインダクションコイルからのエネルギー(インダクションコイルの周囲に発生する磁力線)を効率的に受け取ることができる。より具体的には、区画部の側面は、収容部を囲む管状のサセプタを含み、収容部を囲む電流経路を有してもよい。これにより、環状の電流経路を有するので、効率的に渦電流が発生し得る。また、区画部の側面がサセプタで構成され、収容部を囲む電流経路を有してもよい。この場合、区画部の側面自体がサセプタで構成されるので、区画部がシンプルで安価な構成を有することができる。
【0015】
本明細書における「サセプタ」という用語は、電磁エネルギーを熱に変換できる材料を意味し、“喫煙可能物質”を加熱する目的の材料を意味する。サセプタは、“喫煙可能物質”に熱を伝えられる位置に配置される。サセプタが変動電磁場内に位置するとき、サセプタ内で誘起される渦電流やサセプタ内での磁気ヒステリシス損失がサセプタの加熱の原因となる。
【0016】
サセプタは、アルミニウム、鉄、ニッケル、及びこれらの合金(例えば、ニクロムやステンレス鋼)からなる群の少なくとも一つから選択される材料を含むことが好ましい。サセプタの形状は任意であり、例えば、顆粒状、棒状、ストリップ状、管状、又は筒状等でもよい。サセプタの形状が、環状の電気流路を有する管状であれば、効率よく渦電流を発生させることができる。区画部には、同一形状のサセプタが複数配置されてもよいし、異なる形状のサセプタが配置されてもよい。
【0017】
本明細書における「透磁性を有する」とは、比透磁率が1よりも大きく、1.000001よりも小さいことをいう。透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有する材料としては、例えば、ガラス、植物、木材、紙、PEEK等の樹脂等が挙げられる。
【0018】
区画部の底部は、透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有する材料で形成されることが好ましい。区画部の底部がサセプタを有すると、喫煙可能物質の先端が局所的に過加熱される可能性がある。したがって、区画部の底部が上記材料で形成されることにより、区画部の底部で誘導加熱が生じないので、底部がサセプタを含む場合に比べて喫煙可能物質を側面から均一に加熱することができる。
【0019】
また、香味吸引器用加熱ユニットは、区画部とインダクションコイルとの間に第2断熱部を有することが好ましい。この場合、第2断熱部は、透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有し得る。ここでの「非導電性を有する」とは、実質的に非導電性を有することを含む。これにより、一体化した安定した構造のIH(誘導加熱)アセンブリが提供される。また、少なくとも以下のうち一つの作用効果を有する。第2断熱部によってサセプタの熱がインダクションコイルを構成し得るリッツワイヤのシースに伝達されることが低減される。第2断熱部によってサセプタからの熱がインダクションコイルに伝達されることが抑制されるので、熱が収容部から外部に移動しにくくできる。サセプタの熱によりハウジングが過加熱されることを低減することができる。また、第2断熱部が透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有するので、第2断熱部で発熱が起こりにくく、第2断熱部の内側に配置されるサセプタをインダクションコイルによって発生させられた磁力線によって効率的に発熱させることが可能である。
【0020】
第1断熱部と第2断熱部は、同一構成を有する。これにより、第1断熱部と第2断熱部とが異なる構成を有する場合に比べて、香味吸引器用加熱ユニットをシンプルで安価にすることができる。第1断熱部又は第2断熱部の少なくとも一方は、インダクションコイルの隣り合うワイヤの間に位置する部分を有してもよい。つまり、第1断熱部がインダクションコイルの隣り合うワイヤの間に位置する部分を有してもよいし、第2断熱部がインダクションコイルの隣り合うワイヤの間に位置する部分を有してもよい。これにより、インダクションコイルの長軸方向の位置を固定することができ、安定した誘導加熱が可能になる。第1断熱部及び第2断熱部の両方が、インダクションコイルの隣り合うワイヤの間に位置する部分を有してもよい。これにより、インダクションコイルの長軸方向の位置を一層固定することができ、より安定した誘導加熱が可能になる。
【0021】
第1断熱部と第2断熱部は、一体的な断熱部を構成してもよい。これにより、香味吸引器用加熱ユニットの断熱構造をよりシンプルにすることができる。インダクションコイルは、一体的な断熱部に埋め込まれるか、インダクションコイルの少なくとも内側と外側の両側が部分的に一体的な断熱部で覆われていてもよい。これにより、インダクションコイルの位置を強固に固定することができる。第2断熱部は、区画部とインダクションコイルの両方と接触してもよい。これにより、第2断熱部が区画部又はインダクションコイルのいずれかと接触しない場合に比べて、香味吸引器用加熱ユニットがより安定した構造を有することができる。
【0022】
第1断熱部又は第2断熱部の少なくとも一方は、空気と、加熱部が区画部に固定されたときに加熱部と区画部との間を所定距離に維持する、又は第1断熱部若しくは第2断熱部に含まれる空気の移動を制限する支持部と、を有し、支持部の間に空気を有する。つまり、第1断熱部が前述の支持部と、支持部の間に設けられた空気とを有してもよいし、第2断熱部が前述の支持部と、支持部の間に設けられた空気とを有してもよいし、第1断熱部及び第2断熱部が前述の支持部と、支持部の間に設けられた空気とを有してもよい。これにより、より効果的に抵抗加熱部やサセプタ等から発せられる喫煙可能物質を加熱するための熱を断熱することができる。第1断熱部又は第2断熱部の少なくとも一方の厚みは例えば、0.10mm以上3.00mm以下、0.30mm以上1.50mm以下、又は、0.50mm以上1.0mm以下とすることができる。つまり、第1断熱部の厚みを、0.10mm以上3.00mm以下、0.30mm以上1.50mm以下、又は、0.50mm以上1.0mm以下としてもよいし、第2断熱部の厚みを、0.10mm以上3.00mm以下、0.30mm以上1.50mm以下、又は、0.50mm以上1.0mm以下としてもよいし、第1断熱部及び第2断熱部の厚みを、0.10mm以上3.00mm以下、0.30mm以上1.50mm以下、又は、0.50mm以上1.0mm以下としてもよい。これにより、所望の断熱性能を維持しながら第1断熱部又は第2断熱部の配置に要するスペースを縮小することができる。第1断熱部又は第2断熱部の少なくとも一方の支持部の熱伝導率は、0.300W/m/K以下が好ましく、0.100W/m/K以下がさらに好ましく、0.050W/m/K以下が最も好ましい。つまり、第1断熱部の支持部の熱伝導率は、0.300W/m/K以下が好ましく、0.100W/m/K以下がさらに好ましく、0.050W/m/K以下が最も好ましいとも言えるし、第2断熱部の支持部の熱伝導率は、0.300W/m/K以下が好ましく、0.100W/m/K以下がさらに好ましく、0.050W/m/K以下が最も好ましいとも言えるし、第1断熱部及び第2断熱部の支持部の熱伝導率は、0.300W/m/K以下が好ましく、0.100W/m/K以下がさらに好ましく、0.050W/m/K以下が最も好ましいとも言える。これにより、第1断熱部又は第2断熱部の熱伝導率を低下させることができる。
【0023】
第1断熱部又は第2断熱部の少なくとも一方の熱伝導率は、0.050W/m/K以下が好ましく、0.026W/m/K以下がさらに好ましく、0.013W/m/K以下が最も好ましい。つまり、第1断熱部の熱伝導率は、0.050W/m/K以下が好ましく、0.026W/m/K以下がさらに好ましく、0.013W/m/K以下が最も好ましいとも言えるし、第2断熱部の熱伝導率は、0.050W/m/K以下が好ましく、0.026W/m/K以下がさらに好ましく、0.013W/m/K以下が最も好ましいとも言えるし、第1断熱部及び第2断熱部の熱伝導率は、0.050W/m/K以下が好ましく、0.026W/m/K以下がさらに好ましく、0.013W/m/K以下が最も好ましいとも言える。これにより、より効果的に抵抗加熱部やサセプタ等から発せられる喫煙可能物質を加熱するための熱を断熱することができる。なお、第1断熱部又は第2断熱部の少なくとも一つの熱伝導率は、例えば、第1断熱部又は第2断熱部の厚み、支持部の熱伝導率、支持部の形状又は体積、支持部の間に設けられた空気の体積等によって変化し得る。
【0024】
第1断熱部又は第2断熱部の少なくとも一方の支持部は、例えば、繊維、不織布、織られた布、又は多孔質体等であり得る。つまり、第1断熱部の支持部は、繊維、不織布、織られた布、又は多孔質体等であってもよいし、第2断熱部の支持部は、繊維、不織布、織られた布、又は多孔質体等であってもよいし、第1断熱部及び第2断熱部の支持部は、繊維、不織布、織られた布、又は多孔質体等であってもよい。また、第1断熱部又は第2断熱部の少なくとも一方の支持部は所望の断熱性能を発揮し得る任意の材料から構成されることができ、例えば、セラミック、ガラス、エアロゲル、植物、木材、又は紙等から構成され得る。つまり、第1断熱部の支持部は、セラミック、ガラス、エアロゲル、植物、木材、又は紙等から構成されてもよいし、第2断熱部の支持部は、セラミック、ガラス、エアロゲル、植物、木材、又は紙等から構成されてもよいし、第1断熱部及び第2断熱部の支持部は、セラミック、ガラス、エアロゲル、植物、木材、又は紙等から構成されてもよい。第1断熱部又は第2断熱部の少なくとも一方の支持部は可撓性を有することが好ましい。つまり、第1断熱部の支持部は、可撓性を有することが好ましいとも言えるし、第2断熱部の支持部は、可撓性を有することが好ましいとも言えるし、第1断熱部及び第2断熱部の支持部は、可撓性を有することが好ましいとも言える。これにより、第1断熱部又は第2断熱部を組み付けることが容易になり、様々な形状の区画部に組み付けることができる。第1断熱部又は第2断熱部の少なくとも一方の支持部は所望の断熱性能を発揮し得る任意の材料から構成され得るので、例えば、金属繊維、有機化合物繊維、ガラス繊維などのセラミック繊維、シート状のガラス繊維などのシート状のセラミック繊維、グラスウール、スーパーウール(登録商標)、ロックウール、又はミネラルウール等から構成され得る。つまり、第1断熱部の支持部は、例えば、金属繊維、有機化合物繊維、ガラス繊維などのセラミック繊維、シート状のガラス繊維などのシート状のセラミック繊維、グラスウール、スーパーウール(登録商標)、ロックウール、又はミネラルウール等から構成されてもよいし、第2断熱部の支持部は、例えば、金属繊維、有機化合物繊維、ガラス繊維などのセラミック繊維、シート状のガラス繊維などのシート状のセラミック繊維、グラスウール、スーパーウール(登録商標)、ロックウール、又はミネラルウール等から構成されてもよいし、第1断熱部及び第2断熱部の支持部は、例えば、ガラス繊維などのセラミック繊維、シート状のガラス繊維などのシート状のセラミック繊維、グラスウール、スーパーウール(登録商標)、ロックウール、又はミネラルウール等から構成されてもよい。セラミック繊維の他の例としては、炭素繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維などが挙げられる。金属繊維の繊維を構成する材料の例としては、金属、合金、プラスチックなどの有機化合物樹脂で金属や合金をコーティングしたもの、金属以外の芯が完全に金属や合金で覆われたものなどが挙げられる。金属や合金を構成する金属の例としては、アルミニウム、ステンレス鋼(stainless steel)、鉄などが挙げられる。有機化合物繊維の例としては、PEEKなどの高耐熱性材料を繊維状にしたものが挙げられる。なお、少なくとも支持部がガラス繊維などのセラミック繊維から構成されている場合は、抵抗加熱部やサセプタ等から発せられる喫煙可能物質を加熱するための熱によって高温になっている領域からの輻射伝熱を低減させる効果も期待できる。
【0025】
第1断熱部又は第2断熱部の少なくとも一方の空気体積比率は、50%以上が好ましく、65%以上がさらに好ましく、80%以上が最も好ましい。また95%以下であることが好ましい。つまり、第1断熱部の空気体積比率は、50%以上が好ましく、65%以上がさらに好ましく、80%以上が最も好ましく、また95%以下であることが好ましいとも言えるし、第2断熱部の空気体積比率は、50%以上が好ましく、65%以上がさらに好ましく、80%以上が最も好ましく、また95%以下であることが好ましいとも言えるし、第1断熱部及び第2断熱部の空気体積比率は、50%以上が好ましく、65%以上がさらに好ましく、80%以上が最も好ましく、また95%以下であることが好ましいとも言える。なお、「空気体積比率」とは、支持部及び空気の体積に対する空気の体積の比率をいう。空気体積比率をこれらの値の範囲とすることで、より高い断熱性能を維持しつつ断熱部の適切な圧縮応力が得られやすくなる。
【0026】
第1断熱部又は第2断熱部の少なくとも一方の支持部の圧縮応力は、0.1N/mm以上1.0N/mm以下が好ましく、0.1N/mm以上0.5N/mm以下がさらに好ましく、0.1N/mm以上0.3N/mm以下が最も好ましい。つまり、第1断熱部の支持部の圧縮応力は、0.1N/mm以上1.0N/mm以下が好ましく、0.1N/mm以上0.5N/mm以下がさらに好ましく、0.1N/mm以上0.3N/mm以下が最も好ましいとも言えるし、第2断熱部の圧縮応力は、0.1N/mm以上1.0N/mm以下が好ましく、0.1N/mm以上0.5N/mm以下がさらに好ましく、0.1N/mm以上0.3N/mm以下が最も好ましいとも言えるし、第1断熱部及び第2断熱部の圧縮応力は、0.1N/mm以上1.0N/mm以下が好ましく、0.1N/mm以上0.5N/mm以下がさらに好ましく、0.1N/mm以上0.3N/mm以下が最も好ましいとも言える。これにより第1断熱部又は第2断熱部が例えば固定部によりに圧力を受けて固定された状態においても、第1断熱部又は第2断熱部の形状の変化が抑制され、断熱部に含まれる空気の体積が小さくなることによる断熱機能の低下を低減し得る。また、第1断熱部又は第2断熱部の適度な可撓性が維持されて第1断熱部又は第2断熱部の配置しやすさが向上し得る。
【0027】
また、第1断熱部又は第2断熱部の少なくとも一方がシートの場合、断熱シートの厚み方向の圧縮応力は、0.1N/mm以上1.0N/mm以下が好ましく、0.1N/mm以上0.5N/mm以下がさらに好ましく、0.1N/mm以上0.3N/mm以下が最も好ましい。つまり、第1断熱部の断熱シートの厚み方向の圧縮応力は、0.1N/mm以上1.0N/mm以下が好ましく、0.1N/mm以上0.5N/mm以下がさらに好ましく、0.1N/mm以上0.3N/mm以下が最も好ましいとも言えるし、第2断熱部の断熱シートの厚み方向の圧縮応力は、0.1N/mm以上1.0N/mm以下が好ましく、0.1N/mm以上0.5N/mm以下がさらに好ましく、0.1N/mm以上0.3N/mm以下が最も好ましいとも言えるし、第1断熱部及び第2断熱部の断熱シートの厚み方向の圧縮応力は、0.1N/mm以上1.0N/mm以下が好ましく、0.1N/mm以上0.5N/mm以下がさらに好ましく、0.1N/mm以上0.3N/mm以下が最も好ましいとも言える。これにより第1断熱部又は第2断熱部が例えば固定部により断熱シートの厚み方向に圧力を受けて固定された状態においても、第1断熱部又は第2断熱部の形状の変化が抑制され、断熱部に含まれる空気の体積が小さくなることによる断熱機能の低下を抑制し得る。また、第1断熱部又は第2断熱部の適度な可撓性が維持されて第1断熱部又は第2断熱部の配置しやすさが向上し得る。
【0028】
第1断熱部又は第2断熱部の少なくとも一方の支持部の間に設けられた空気の密度は、第1断熱部又は第2断熱部の厚み方向において均一であることが好ましい。つまり、第1断熱部の支持部の間に設けられた空気の密度は、第1断熱部の厚み方向において均一であることが好ましいとも言えるし、第2断熱部の支持部の間に設けられた空気の密度は、第2断熱部の厚み方向において均一であることが好ましいとも言えるし、第1断熱部及び第2断熱部の支持部の間に設けられた空気の密度は、第1断熱部又は第2断熱部の厚み方向において均一であることが好ましいとも言える。これにより、第1断熱部又は第2断熱部が、より均一な断熱性能を有することができる。ここでの均一とは、実質的に均一であることを含む。第1断熱部又は第2断熱部の厚み方向とは、区画部の側面に直交する方向ともいうことができるし、区画部の長手方向に直交する方向や区画部への喫煙可能物質の挿入方向に直交する方向といってもよい。
【0029】
第1断熱部又は第2断熱部の少なくとも一方の支持部の間に設けられた空気の密度は、第1断熱部又は第2断熱部の幅方向において均一であることが好ましい。つまり、第1断熱部の支持部の間に設けられた空気の密度は、第1断熱部の幅方向において均一であることが好ましいとも言えるし、第2断熱部の支持部の間に設けられた空気の密度は、第2断熱部の幅方向において均一であることが好ましいとも言えるし、第1断熱部及び第2断熱部の支持部の間に設けられた空気の密度は、第1断熱部又は第2断熱部の幅方向において均一であることが好ましいとも言える。これにより、第1断熱部又は第2断熱部が、より均一な断熱性能を有することができる。ここでの均一とは、実質的に均一であることを含む。第1断熱部又は第2断熱部の幅方向とは、区画部の側面に平行な方向ともいうことができるし、区画部の長手方向や区画部への喫煙可能物質の挿入方向といってもよい。
【0030】
固定部は、加熱部を区画部に向けて付勢する付勢部であってもよい。付勢部は、例えば、熱によって収縮するリング若しくはシート、又はゴム等からなる弾性リング若しくは弾性シートであり得る。付勢部は、熱収縮するように構成されることが好ましい。これにより、付勢部が加熱部をより確実に固定することができ、収縮していない状態の固定部を所定位置に配置した後に固定部を収縮させて加熱部を固定することができるので組み立ても容易である。付勢部は、区画部及び加熱部を覆った状態で区画部の長手方向(区画部への喫煙可能物質の挿入方向と言ってもよい)よりも区画部の周方向(区画部の長手方向を軸とする周方向と言ってもよい)への収縮率が高い方が好ましい。付勢部は、区画部の周方向にのみ熱収縮することがさらに好ましい。付勢部が区画部の長手方向に熱収縮しないことにより、固定部が固定できる区画部の長手方向における範囲が縮小しないので、加熱部をより確実に固定することができる。付勢部の耐熱温度は、付勢部の可撓性を考慮して(耐熱温度が高すぎる部材はセラミック等になり可撓性の観点で問題がでてくる可能性がある)例えば150℃以上300℃以下、150℃以上270℃以下もしくは150℃以上230℃以下であるものから選んでもよい。
【0031】
付勢部は、シート部材や紐部材(巻き付けてリング状にし得る)であり得る。付勢部は、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ゼラチン、及び多糖類からなる群から選択される少なくとも一つから構成され得る。付勢部は、ポリイミドから構成されることが好ましい。
【0032】
香味吸引器用加熱ユニットは、さらに固定部とインダクションコイルとの間に電磁シールドを有してもよい。電磁シールドは、例えばNi-Zi系のフェライトを含み得る。
【0033】
インダクションコイルは、単一のワイヤで構成されてもよいが、効果的な発熱の観点から螺旋形状のリッツワイヤであってもよい。リッツワイヤは、金属からなるコアと、コアを被覆する電気絶縁体からなるシース部とを有する。単一のワイヤ又はリッツワイヤのコアは、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、金、及びこれらのステンレスなどの合金からなる群の少なくとも一つから選択される材料を含むことが好ましい。リッツワイヤのシース部は、例えば、ポリイミド又はポリエステルであり得る。シース部の耐熱温度は、シース部の可撓性を考慮して(耐熱温度が高すぎる部材はセラミック等になり可撓性の観点で問題がでてくる可能性がある)例えば150℃以上300℃以下、150℃以上270℃以下もしくは150℃以上230℃以下であるものから選んでもよい。
【0034】
インダクションコイルは、ヘリカル(三次元の螺旋)状又はスパイラル(二次元の渦)状に巻かれてもよい。インダクションコイルの形状は、シリンドリカル(ヘリカル状コイル又はスパイラル状コイルを曲げたもの)、又は平面でもよい。インダクションコイルは区画部に隣接してもよいし、区画部を囲んでもよいし、区画部内部に突出してもよいが、区画部を取り囲むように配置されることで、効率的に区画部の発熱部分にエネルギーを供給することができる。インダクションコイルは一つでも複数であってもよい。区画部を囲む構成の例として、インダクションコイルは、区画部を囲むようにヘリカル状に構成されてもよいし、区画部を囲むようにスパイラル状のコイルを湾曲させて構成されてもよいし、区画部を囲む複数の平面コイルを有してもよいが、区画部を囲むようにヘリカル状に構成されることでシンプルな構成とし製造コストを下げることができ得る。
【0035】
インダクションコイルに印加される周波数は、約80kHz以上500kHz以下、好ましくは約150kHz以上250kHz以下、より好ましくは190kHz以上210kHz以下であり得る。あるいは、インダクションコイルに印加される周波数は、1MHz以上30MHz以下、好ましくは2MHz以上10MHz以下、さらに好ましくは5MHz以上7MHz以下とすることもできる。これらの周波数は、サセプタの材質や形状等の性質を考慮して決定されてもよい。
【0036】
香味吸引器用加熱ユニットは、最高で約0.5テスラ(T)以上2.0テスラ(T)以下の磁束密度を有する変動電磁場で動作するように配置されてもよい。
【0037】
固形の喫煙可能物質は、通気性を有する第1の巻紙によって巻かれてもよい。第1の巻紙には、通気性を有し、喫煙可能物質の落下を防止する蓋が設けられてもよい。蓋は、第1の巻紙に糊で張り付けられてもよいし、摩擦力により第1の巻紙に固定されてもよい。蓋は、例えば、ペーパフィルタ又はアセテートフィルタであり得る。消耗品は、筒状部材を有してもよい。筒状部材は、紙管又は中空フィルタであり得る。
【0038】
中空フィルタは、1つ又は複数の中空チャネルを有する充填層と、充填層を覆うプラグラッパーとで構成され得る。充填層は、繊維の充填密度が高いため、吸引時、空気やエアロゾルは、中空チャネルのみを流れることになり、充填層内はほとんど流れない。中空フィルタは隣接するフィルタ部等で構成されたマウスピースを有していてもよい。
【0039】
固形の喫煙可能物質の長手方向の長さは、40mm~90mmであることが好ましく、50mm~75mmであることがより好ましく、50mm~60mmであることがさらに好ましい。固形の喫煙可能物質の円周は、15mm~25mmであることが好ましく、17mm~24mmであることがより好ましく、20mm~23mmであることがさらに好ましい。また、固形の喫煙可能物質の長さは12mm~22mm、第1の巻紙の長さは12mm~22mm、中空フィルタ部の長さは7mm~26mm、フィルタ部の長さは6mm~20mmであってよい。
【0040】
消耗品に含まれる喫煙可能物質は、所定温度で加熱されてエアロゾルを発生するエアロゾル源を含有し得る。エアロゾル源の種類は、特に限定されず、用途に応じて種々の天然物からの抽出物質及び/又はそれらの構成成分を選択することができる。エアロゾル源として、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3-ブタンジオール、及びこれらの混合物を挙げることができる。固形の喫煙可能物質中のエアロゾル源の含有量(喫煙可能物質全体の重量に対する重量%)は、特に限定されないが、十分にエアロゾルを発生するとともに、良好な香喫味の付与の観点から、通常5重量%以上であり、好ましくは10重量%以上であり、また、通常50重量%以下であり、好ましくは20重量%以下である。
【0041】
固形の喫煙可能物質としては、香味源としてラミナ、中骨等のたばこ、又はその他の公知の植物を使用し得る。また、たばこ等の香味源の形状は、刻み状、シート状、紐状、粉状、粒状、ペレット状、スラリー状、又は多孔質状などであってもよい。消耗品におけるたばこ等の喫煙可能物質の含有量の範囲は、喫煙可能物質の大きさが円周20mm~23mm、長さ18mm~22mmの場合、例えば、200mg~400mgであり、250mg~320mgであることが好ましい。たばこ等を香味源として含む喫煙可能物質の水分含有量(喫煙可能物質全体の重量に対する重量%)は、例えば、8重量%~18重量%であり10重量%~16重量%であることが好ましい。このような水分含有量であると、巻染みの発生を抑制し、製造時の巻上適性を良好にする。喫煙可能物質の一例として用いるたばこ刻みの大きさやその調製法については特に制限はない。例えば、乾燥したたばこ葉を、幅0.8mm~1.2mmに刻んだものを用いてもよい。また、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20μm~200μm程度になるように粉砕して均一化したものをシート加工し、それを幅0.8mm~1.2mmに刻んだものを用いてもよい。さらに、上記のシート加工したものについて刻まずにギャザー加工したものを喫煙可能物質として用いてもよい。さらに、喫煙可能物質は液状でもよく、液は粘度を有してもよく、この場合喫煙可能物質はエアロゾル源が大部分を占めていてもよい。液状の喫煙可能物質中のエアロゾル源の含有量(喫煙可能物質全体の重量に対する重量%)は、80重量%以上、90重量%以上、又は95重量%以上とすることが出来る。また、喫煙可能物質は、1種又は2種以上の香料を含んでいてもよい。当該香料の種類は特に限定されないが、良好な喫味の付与の観点から、好ましくはメンソールである。
【0042】
消耗品は、筒状部材、中空フィルタ部、及びフィルタ部の少なくとも一つを巻装する、第1の巻紙とは異なる第2の巻紙を有していてもよい。第2の巻紙は、喫煙可能物質を巻装する第1の巻紙の一部を巻装してもよい。消耗品の第1の巻紙及び第2の巻紙は、坪量が例えば20gsm~65gsmである原紙から作られることができる。第1の巻紙及び第2の巻紙の厚みは、特に限定されないが、剛性、通気性、及び製紙時の調整の容易性の観点から、10μm~100μmであることが好ましい。
【0043】
消耗品の第1の巻紙及び第2の巻紙には、填料が含まれ得る。填料の含有量は、第1の巻紙及び第2の巻紙の全重量に対して10重量%~60重量%を挙げることができ、15重量%~45重量%であることが好ましい。好ましい坪量の範囲(25gsm~45gsm)に対して、填料は15重量%~45重量%であることが好ましい。填料としては、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カオリン等を使用することができる。このような填料を含む紙は、消耗品の巻紙として利用する外観上の観点から好ましい白色系の明るい色を呈し、恒久的に白さを保つことができる。そのような填料を多く含有させることで、例えば、巻紙のISO白色度を83%以上にすることができる。また、消耗品の巻紙として利用する実用上の観点から、第1の巻紙及び第2の巻紙は、8N/15mm以上の引張強度を有することが好ましい。この引張強度は、填料の含有量を少なくすることで高めることができる。具体的には、上記で例示した各坪量の範囲において示した填料の含有量の上限よりも填料の含有量を少なくすることで、引張強度を高めることができる。
【0044】
なお、第1態様において第1態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0045】
第2態様によれば、香味吸引器が提供される。香味吸引器は、上述した香味吸引器加熱用ユニットと、外断熱部とを有する。外断熱部は、固定部とハウジングとの間に配置される。これにより、香味吸引器は、香味吸引器加熱用ユニットの第1断熱部と、外断熱部とを有するので、喫煙可能物質の加熱効率を向上させるとともにハウジングの温度上昇を抑制することができる。言い換えれば、スペースが比較的小さく加熱部に近い位置で第1断熱部により区画部の保温を行い、且つスペースが比較的大きく加熱部から遠い位置で外断熱部によりハウジングの外側表面の過加熱が低減される。
【0046】
香味吸引器は、携帯デバイス又はハンドヘルド型デバイスであることが好ましい。また、外断熱部は、第1断熱部よりも厚みが大きいことが好ましい。これにより、断熱効果を向上させることができる。なお、ここでの厚みとは、区画部の側面に直交する方向における厚みを言う。外断熱部は、少なくとも第1断熱部の主面を全て覆うように配置される。これにより、断熱効果を向上させることができる。
【0047】
外断熱部は、例えば、内部空間を画定するケースを含み得る。ケースは、例えば、ステンレス鋼等の金属、又はプラスチックなどの合成樹脂で構成され得る。内部空間は、例えば真空にされるか、エアロゲル等の断熱材料が充填され得る。特にエアロゲル断熱材とガラス繊維などのセラミック繊維等の第1断熱部とを組み合わせた場合、第1断熱部が加熱部からの輻射熱を外断熱部であるエアロゲル断熱材に届く前に低減することが出来るので、輻射熱に対する断熱性能が低いエアロゲル断熱材であっても効果的に断熱に寄与することが出来る。その場合、第1断熱部の放射率は0.7以上が好ましく、0.9以上がさらに好ましい。上記範囲から放射率を選択することで透過率が低下するので、香味吸引器内で最も温度が高い喫煙可能物質を加熱するための熱が発生する箇所からの輻射伝熱を効果的に抑えることができる。つまり、輻射熱に対する断熱性能が低いエアロゲル断熱材の様な断熱材で構成された外断熱部と、放射率が好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.9以上の第1断熱部とを組み合わせることでお互いを補完した相乗的な断熱効果が期待できる。
【0048】
なお、第2態様においても第2態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0049】
第3態様によれば、喫煙可能物質を加熱して喫煙可能物質を霧化させる香味吸引器が提供される。香味吸引器は、開口と開口を囲む側面とを有する区画部と、区画部を加熱する加熱部と、区画部及び加熱部を収容するハウジングと、区画部の側面とハウジングとの間に配置される断熱部と、断熱部とハウジングとの間に配置される外断熱部とを有する。喫煙可能物質は固形の喫煙可能物質としてもよい。これにより、香味吸引器は、断熱部と外断熱部とを有するので、喫煙可能物質の加熱効率を向上させるとともにハウジングの温度上昇を抑制することができる。言い換えれば、スペースが比較的小さく加熱部に近い位置で断熱部により区画部の保温を行い、且つスペースが比較的大きく加熱部から遠い位置で外断熱部によりハウジングの外側表面の過加熱が低減される。
【0050】
区画部の外側面とハウジングの内側面との最も短い距離をAとした場合に、断熱部は区画部の外側面からA/5、好ましくはA/10、さらに好ましくはA/20の範囲内に配置されることが好ましい。これにより、区画部の保温を効率的に行うことができる。
【0051】
区画部の外側面とハウジングの内側面との最も短い距離をAとした場合に、外断熱部は区画部の外側面から5A/6以上、好ましくは4A/6以上、さらに好ましくは3A/6以上離れて配置されることが好ましい。これにより、ハウジングの外側表面の過加熱をより効率的に抑制することができる。
【0052】
なお、第3態様においても第3態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0053】
第4態様によれば、喫煙可能物質を加熱して喫煙可能物質を霧化させる香味吸引器用加熱ユニットが提供される。香味吸引器用加熱ユニットは、開口と開口を囲む側面とを有し、喫煙可能物質を受け入れる収容部を区画する区画部と、区画部を加熱する加熱部と、区画部と加熱部との間に配置される第2断熱部と、を有する。区画部はサセプタを含む。加熱部は区画部の側面を囲む筒状のインダクションコイルである。第2断熱部は透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有する。喫煙可能物質は固形の喫煙可能物質としてもよい。ここでの「非導電性を有する」とは、実質的に非導電性を有することを含む。
【0054】
第4態様によれば、一体化した安定した構造のIH(誘導加熱)アセンブリが提供される。また、第2断熱部によってサセプタの熱がインダクションコイルを構成し得るリッツワイヤのシースに伝達されることが低減される。さらに、第2断熱部によってサセプタからの熱がインダクションコイルに伝達されることを抑制するので、サセプタの熱がインダクションコイルに吸収されることを低減し、その結果、熱が収容部から外部に移動しにくくすることができる。同様に、サセプタの熱によりハウジングが過加熱されることを低減することができる。第2断熱部が透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有するので、第2断熱部で発熱が起こりにくく、第2断熱部の内側に配置されるサセプタをインダクションコイルによって発生させられた磁力線によって効率的に発熱させることが可能である。
【0055】
なお、第4態様においても第4態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0056】
第5態様によれば、喫煙可能物質を加熱して喫煙可能物質を霧化させる香味吸引器用加熱ユニットが提供される。香味吸引器用加熱ユニットは、開口と開口を囲む側面とを有し、喫煙可能物質を受け入れる収容部を区画する区画部と、区画部を加熱する加熱部と、区画部と加熱部との間に配置される第2断熱部と、を有する。第2断熱部は、透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有する。区画部はサセプタを含む。加熱部は区画部の側面を囲む筒状のインダクションコイルである。第2断熱部は透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有する。ここでの「非導電性を有する」とは、実質的に非導電性を有することを含む。喫煙可能物質は固形の喫煙可能物質としてもよい。
【0057】
第5態様によれば、区画部が加熱部により誘導加熱されるが、第2断熱部によって区画部からの熱が加熱部に伝達されることが低減され得る。また、第5態様では、香味吸引器用加熱ユニットは、必要に応じて外断熱部を有してもよい。これにより、ハウジングの温度上昇を低減することができる。また、第5態様において、香味吸引器用加熱ユニットは、必要に応じて電磁シールドを有してもよい。
【0058】
なお、第5態様においても第5態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0059】
第6態様によれば、喫煙可能物質を加熱して喫煙可能物質を霧化させる香味吸引器用加熱ユニットが提供される。香味吸引器用加熱ユニットは、開口と開口を囲む側面とを有し、喫煙可能物質を受け入れる収容部を区画する区画部と、収容部内に配置されるサセプタを加熱する加熱部と、加熱部を区画部に固定する固定部と、を有する。区画部は、透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有する。加熱部は、区画部の側面を囲む筒状のインダクションコイルである。喫煙可能物質は固形の喫煙可能物質としてもよい。区画部はPEEK等の樹脂材料としてもよい。
【0060】
第6態様によれば、一体化した安定した構造のIH(誘導加熱)アセンブリが提供される。また、加熱部が、収容部内に配置されるサセプタを加熱するように構成されるので、サセプタからの熱が収容部から放出されることが低減され得る。
【0061】
なお、第6態様においても第6態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】第1実施形態に係る香味吸引器を示す概略断面図である。
図2】第1断熱部の概略断面図である。
図3】外断熱部の概略断面図である。
図4】第1実施形態における香味吸引器用加熱ユニットの別の形態例を示す概略断面図である。
図5】第2実施形態の香味吸引器の概略断面図である。
図6】第1断熱部及び第2断熱部の拡大部分断面図である。
図7】第2実施形態の香味吸引器用加熱ユニットの別の形態例を示す概略断面図である。
図8】第2実施形態に係る香味吸引器の別の形態例を示す図である。
図9】第2実施形態に係る香味吸引器のさらに別の形態例を示す図である。
図10】第3実施形態の香味吸引器の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
<第1実施形態>
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。図1は、第1実施形態に係る香味吸引器100を示す概略断面図である。香味吸引器100は、携帯デバイス又はハンドヘルド型デバイスであることが好ましい。図1に示すように、香味吸引器100は、バッテリ10と、PCB(Printed Circuit Board)20と、香味吸引器用加熱ユニット40と、ハウジング102と、を有する。
【0064】
香味吸引器用加熱ユニット40は、固形の喫煙可能物質30を加熱して喫煙可能物質を霧化させるように構成される。喫煙可能物質30は、例えば長手方向に沿って延びる柱状形状の消耗品31の一部を構成する。消耗品31は、例えば喫煙可能物質がたばこを含むたばこスティックであり得る。バッテリ10は、香味吸引器100で用いる電力を蓄積する。例えば、バッテリ10は、リチウムイオン電池である。バッテリ10は、外部電源によって充電可能であってもよい。
【0065】
PCB20は、CPU及びメモリなどによって構成されており、香味吸引器100の動作を制御する。例えば、PCB20は、図示しない押しボタンやスライド式スイッチ等の入力装置に対するユーザ操作に応じて喫煙可能物質30の加熱を開始し、一定時間が経過したら喫煙可能物質30の加熱を終了する。PCB20は、ユーザによるパフ動作の回数が一定値を超過した場合に、喫煙可能物質30の加熱開始から一定時間が経過する前であっても喫煙可能物質30の加熱を終了してもよい。例えば、パフ動作は、図示しないセンサによって検出される。
【0066】
或いは、PCB20は、パフ動作の開始に応じて喫煙可能物質の加熱を開始し、パフ動作の終了に応じて喫煙可能物質30の加熱を終了してもよい。PCB20は、パフ動作の開始から一定時間が経過した場合に、パフ動作の終了前であっても喫煙可能物質30の加熱を終了してもよい。本実施形態では、PCB20は、バッテリ10と香味吸引器用加熱ユニット40との間に配置されている。
【0067】
図示の例では、香味吸引器100は、スティック状の喫煙可能物質30を受け入れるように構成される。また、図示のように、バッテリ10、PCB20、及び香味吸引器用加熱ユニット40は、横方向、即ち喫煙可能物質30を香味吸引器100に挿入する方向に対して直交する方向に配列され得る。ハウジング102は、バッテリ10、PCB20、香味吸引器用加熱ユニット40を収容する筐体である。
【0068】
香味吸引器用加熱ユニット40は、区画部50と、加熱部60と、第1断熱部70と、固定部80と、を有する。図示のように、加熱部60は、区画部50の外側面上に配置され、第1断熱部70は、加熱部60と固定部80との間に配置される。香味吸引器用加熱ユニット40を組み立てるときは、まず、区画部50の外側面上に加熱部60を巻き付けた状態で第1断熱部70を加熱部60の外側に巻き付ける。続いて、加熱部60の外側面に固定部80を巻き付ける。
【0069】
区画部50は、開口51と、開口51を囲む側面52とを有し、喫煙可能物質30を受け入れる収容部53を区画する。図示の例では、区画部50は、底部55を有する筒状部材である。底部55は、喫煙可能物質30の端面の少なくとも一部が露出するように喫煙可能物質30を支持することが好ましい。図示の例では、底部55に、空気を収容部53に取り込むための穴54が設けられて、喫煙可能物質30の端面の一部が露出されている。穴54は、ハウジング102に形成された空気流路102aと連通し、空気流路102aはハウジング102の外部に連通する。第1実施形態の区画部50は、ステンレス鋼等の熱伝導性の高い金属で構成され得る。
【0070】
加熱部60は、区画部50を加熱するように構成される。加熱部60は、例えば抵抗加熱部であり、熱伝導により区画部50を加熱することができる。第1実施形態では、加熱部60は、フィルムヒータである。具体的には、加熱部60は、電気絶縁材料からなる絶縁層61と、ヒーティングトラックからなる加熱層62を重ねた構造を有し得る。加熱部60は、ヒーティングトラックのみから構成されてもよい。絶縁層61は、加熱部60の少なくとも一面を覆い、好ましくは加熱部60の両面を覆うように配置される。
【0071】
第1断熱部70は、加熱部60と固定部80との両方に接触するように配置される。図2は、第1断熱部70の概略断面図である。図2に示すように、第1断熱部70は、加熱部60が区画部50に固定されたときに加熱部60と区画部50との間を所定距離に維持する支持部71と、支持部71の間に設けられた空気72とを有することができる。即ち、第1断熱部70は、内部に空気層を有する支持部71を有し得る。また、第1断熱部70の支持部71は可撓性を有することが好ましい。具体的には、例えば、第1断熱部70の支持部71はガラス繊維から構成され得、さらにシート状のガラス繊維であり得る。
【0072】
第1断熱部70の支持部71の間に設けられた空気72の密度は、第1断熱部70の厚み方向において均一であることが好ましい。また、第1断熱部70の支持部71の間に設けられた空気72の密度は、第1断熱部70の幅方向において均一であることが好ましい。
【0073】
図1に示すように、加熱部60は、区画部50の側面52に平行な主面を有し、第1断熱部70は、加熱部60の主面に沿って延びるように配置されることが好ましい。より好ましくは、第1断熱部70は、区画部50の長手方向(喫煙可能物質30の挿入方向)において、加熱部60全体を覆う。また、第1断熱部70は、区画部50の側面52に直交する方向において加熱部60の主面を区画部50の長手方向に亘って全て覆うように配置されることが好ましい。また、第1断熱部70は、区画部50の周方向全体にわたって加熱部60の主面を覆うように配置されることが好ましい。したがって、第1断熱部70は、加熱部60の主面を全て覆うように配置されることが最も好ましい。
【0074】
固定部80は、加熱部60を区画部50に固定するように構成される。これにより、加熱部60を区画部50の外面にほぼ密着させて固定させることができるので、加熱効率がさらに向上し、チャンバ50周辺の構造が安定する。固定部80は、加熱部60を区画部50に向けて付勢する付勢部80であってもよい。付勢部80は、例えば、熱によって収縮するリング若しくはシート、又はゴム等からなる弾性リング若しくは弾性シートであり得る。付勢部80は、熱収縮するように構成されることが好ましい。付勢部80は、区画部50及び加熱部60を覆った状態で区画部50の長手方向よりも周方向への収縮率が高い方が好ましい。付勢部80は、区画部50の周方向にのみ熱収縮することがさらに好ましい。
【0075】
第1実施形態においては、付勢部80は、シート部材であり得る。付勢部80は、ポリイミドから構成されることが好ましい。
【0076】
第1実施形態においては、固定部80と加熱部60との間に第1断熱部70が設けられるので、加熱部60からの熱が固定部80に伝達されることを抑制することができる。これにより、加熱部60の温度を従来よりも高くして、喫煙可能物質30をより高温に加熱することができるので、エアロゾルの生成量増加や香味の向上に寄与すること等ができる。
【0077】
図1に示すように、第1実施形態に係る香味吸引器100は、さらに外断熱部85を有していてもよい。外断熱部85は、固定部80とハウジング102との間に配置される。したがって、香味吸引器100は、香味吸引器用加熱ユニット40の第1断熱部70と、外断熱部85とを有する。これにより、喫煙可能物質30の加熱効率を向上させるとともにハウジング102の温度上昇を抑制することができる。言い換えれば、スペースが比較的小さく加熱部60に近い位置で第1断熱部70により区画部50の保温を行い、且つスペースが比較的大きく加熱部60から遠い位置で外断熱部85によりハウジング102の外側表面、PCB20やバッテリ10の過加熱が抑制される。
【0078】
外断熱部85は、第1断熱部70よりも厚みが大きいことが好ましい。また、外断熱部85は、区画部50の側面52に直交する方向において第1断熱部70の区画部50の側面52に平行な主面を区画部50の長手方向に亘って全て覆うように配置されることが好ましい。また、外断熱部85は、区画部50の周方向全体にわたって第1断熱部70を覆うように配置されることが好ましい。
【0079】
図3は、外断熱部85の概略断面図である。図3に示すように、外断熱部85は、内部空間87を画定するケース86を含み得る。ケース86は、例えば、ステンレス鋼等の金属、又はプラスチックなどの合成樹脂で構成され得る。内部空間87は、例えば真空にされるか、エアロゲル等の断熱材料が充填され得る。
【0080】
図1において、区画部50の外側面とハウジング102の内側面との最も短い距離をAとした場合に、第1断熱部70は区画部50の外側面からA/5、好ましくはA/10、さらに好ましくはA/20の範囲内に配置されることが好ましい。言い換えれば、区画部50の外側面と第1断熱部70の外側面との間の距離をL1としたとき、L1が、A/5以下、好ましくはA/10以下、さらに好ましくはA/20以下である。これにより、区画部50の保温を効率的に行うことができる。
【0081】
また、外断熱部85は区画部50の外側面から5A/6以上、好ましくは4A/6以上、さらに好ましくは3A/6以上離れて配置されることが好ましい。言い換えれば、区画部50の外側面と外断熱部85の内側面との間の距離をL2としたとき、L2が、5A/6以上、好ましくは4A/6以上、さらに好ましくは3A/6以上である。これにより、ハウジング102の外側表面の過加熱をより効率的に抑制することができる。
【0082】
図4は、第1実施形態における香味吸引器用加熱ユニット40の別の形態例を示す概略断面図である。図1に示した香味吸引器用加熱ユニット40では、第1断熱部70及び固定部80は加熱部60の主面に対応する位置にのみ配置されている。これに対して、図4に示す例では、第1断熱部70は加熱部60の端面をも覆う。即ち、区画部50の長手方向において、第1断熱部70は、加熱部60よりも長く、加熱部60の両端部をも覆っている。これにより、加熱部60からの熱をより効率的に断熱することができる。また、図4に示すように、固定部80は第1断熱部70及び加熱部60の端面をも覆ってもよい。即ち、区画部50の長手方向において、固定部80は、第1断熱部70及び加熱部60よりも長く、第1断熱部70及び加熱部60の両端部をも覆っている。これにより、固定部80が、より確実に加熱部60を区画部50に固定することができる。
【0083】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る香味吸引器100について説明する。図5は、第2実施形態の香味吸引器100の概略断面図である。第2実施形態の香味吸引器100は、第1実施形態の香味吸引器100と比べて香味吸引器用加熱ユニット40の構成が異なる。
【0084】
第2実施形態において、香味吸引器用加熱ユニット40は、区画部50と、第2断熱部73と、加熱部60と、第1断熱部70と、電磁シールド88と、固定部80と、を有する。
【0085】
第2実施形態の加熱部60は、区画部50の側面52を囲む略筒状のインダクションコイルを有する。また、区画部50は、サセプタを含み得る。サセプタは、区画部50の外面又は内面に配置されてもよいし、区画部50を構成する側面52に含まれていてもよいが、図示の例では、区画部50の側面52が加熱部60によって誘導加熱されるようにステンレス鋼等の金属で構成され得る。これにより、区画部50の底部55のみがサセプタを含む場合に比べて、区画部50が加熱部60からのエネルギー(インダクションコイルの周囲に発生する磁力線)を効率的に受け取ることができる。より具体的には、区画部50の側面52は、収容部53を囲む管状のサセプタを含み、収容部53を囲む電流経路を有する。これにより、環状の電流経路を有するので、効率的に渦電流が発生し得る。
【0086】
また、本実施形態において、区画部50の底部55は、透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有するPEEK等の合成樹脂で形成され得る。区画部50の底部55がサセプタを有すると、喫煙可能物質30の先端が局所的に過加熱され得る。したがって、区画部50の底部55が透磁性及び非導電性を有する材料で形成されることにより、区画部50の底部55で誘導加熱が生じないので、底部55がサセプタを含む場合に比べて喫煙可能物質30を側面から均一に加熱することができる。
【0087】
第1断熱部70は、透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有することが好ましい。第1断熱部70により、電磁シールド88及び固定部80が、区画部50の熱から保護され得る。また、第2断熱部73は、透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有し得る。これにより、区画部を軸として周囲に加熱に必要な部材を順に層状に配置した、安定した構成を有し、且つ加熱に必要な部材を一体化したIH(誘導加熱)アセンブリが提供される。この様な構成はIHアセンブリ自体の量産にも、IHアセンブリを組み込んだ香味吸引器の量産にも有利な場合がある。また、少なくとも以下のうち一つの作用効果を有する。加熱部60のインダクションコイルを構成し得るリッツワイヤのシースが、第2断熱部73によってサセプタ(区画部50の側面52)の熱から保護され得る。第2断熱部73によってサセプタ(区画部50の側面52)からの熱が加熱部60のインダクションコイルに伝達されることを抑制するので、熱が収容部53から外部に移動しにくくすることができる。サセプタ(区画部50の側面52)の熱によりハウジング102が過加熱されることを防止することができる。
【0088】
第1断熱部70と第2断熱部73は、同一構成を有する。これにより、第1断熱部70と第2断熱部73とが異なる構成を有する場合に比べて、香味吸引器用加熱ユニット40をシンプルで安価にすることができる。図6は、第1断熱部70及び第2断熱部73の拡大部分断面図である。図6に示すように、第1断熱部70又は第2断熱部73の少なくとも一方は、加熱部60のインダクションコイルの隣り合うワイヤの間に位置する部分70a,73aを有してもよい。これにより、インダクションコイルの長軸方向の位置を固定することができ、安定した誘導加熱が可能になる。第1断熱部70及び第2断熱部73の両方が、インダクションコイルの隣り合うワイヤの間に位置する部分70a,73aを有してもよい。これにより、インダクションコイルの長軸方向の位置を一層固定することができ、より安定した誘導加熱が可能になる。
【0089】
図7は、第2実施形態の香味吸引器用加熱ユニット40の別の形態例を示す概略断面図である。図7に示すように、第1断熱部70と第2断熱部73は、一体的な断熱部75を構成してもよい。これにより、香味吸引器用加熱ユニット40の断熱構造をよりシンプルにすることができる。この場合、加熱部60のインダクションコイルは、一体的な断熱部75に埋め込まれるか、インダクションコイルの少なくとも内側と外側の両側が部分的に一体的な断熱部75で覆われていてもよい。これにより、インダクションコイルの位置を強固に固定することができる。
【0090】
第2実施形態において、第2断熱部73は、区画部50と加熱部60のインダクションコイルの両方と接触してもよい。これにより、第2断熱部73が区画部50又はインダクションコイルのいずれかと接触しない場合に比べて、香味吸引器用加熱ユニット40が安定した構造を有することができる。
【0091】
第2断熱部73は、第1実施形態において図2に示したように、第1断熱部70と同様に支持部と支持部の間に設けられた空気とを有し得る。これにより、より効果的にサセプタ(区画部50の側面52)からの熱を断熱することができる。また、第2断熱部73の支持部は可撓性を有することが好ましい。これにより、第2断熱部73の組み立てが容易になり、様々な形状の区画部50に組み付けることができる。具体的には、例えば、第2断熱部73の支持部はガラス繊維から構成され得る。
【0092】
第2断熱部73の支持部の間に設けられた空気の密度は、第2断熱部73の厚み方向において均一であることが好ましい。また、第2断熱部73の支持部の間に設けられた空気の密度は、第2断熱部73の幅方向において均一であることが好ましい。
【0093】
図5に示すように、加熱部60のインダクションコイルは、区画部50を取り囲むように配置されてもよい。加熱部60のインダクションコイルは、単一のワイヤで構成されてもよいが、効果的な発熱の観点から螺旋形状のリッツワイヤであってもよい。
【0094】
加熱部60のインダクションコイルは、ヘリカル(三次元の螺旋)状又はスパイラル(二次元の渦)状に巻かれてもよい。インダクションコイルの形状は、シリンドリカル(ヘリカル状コイル又はスパイラル状コイルを曲げたもの)、又は平面でもよい。インダクションコイルは区画部50に隣接してもよいし、区画部50を囲んでもよいし、区画部50の内部に突出してもよいが、区画部50を取り囲むように配置されることで、効率的に区画部50の発熱部分にエネルギーを供給することができる。インダクションコイルは一つでも複数であってもよい。区画部50を囲む構成の例として、インダクションコイルは、区画部50を囲むようにヘリカル状に構成されてもよいし、区画部50を囲むようにスパイラル状のコイルを湾曲させて構成されてもよいし、区画部50を囲む複数の平面コイルを有してもよいが、区画部50を囲むようにヘリカル状に構成されることでシンプルな構成とし製造コストを下げることができ得る。
【0095】
固定部80と加熱部60のインダクションコイルとの間に配置される電磁シールド88は、例えばNi-Zi系のフェライトを含み得る。
【0096】
以上で説明した図5又は図7に示した第2実施形態の香味吸引器100によれば、インダクションコイルを含む加熱部60が、電磁誘導で区画部50の側面52を加熱することができる。このとき、第1断熱部70及び第2断熱部73により区画部50の側面52からの熱が固定部80又は電磁シールド88に伝達されることを抑制することができる。これにより、区画部50の温度を従来よりも高くして、喫煙可能物質30をより高温に加熱することができるので、エアロゾルの生成量増加や香味の向上に寄与すること等ができる。
【0097】
第2実施形態に係る香味吸引器100の区画部50は、サセプタを収容部53内に有していてもよい。図8は、第2実施形態に係る香味吸引器100の別の形態例を示す図である。図示の例では、区画部50の収容部53内にピン、ブレード、又はプレート状のサセプタ90が配置される。サセプタ90は、区画部50の長手方向に延びるように配置される。喫煙可能物質30が収容部53内の所望の位置に挿入されて配置されると、サセプタ90は喫煙可能物質30の内部に挿入されて位置する。この状態で、加熱部60によりサセプタ90が誘導加熱されることにより、喫煙可能物質30を加熱することができる。
【0098】
図8に示す例では、区画部50は、透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有するPEEK等の合成樹脂で形成され得る。これにより、加熱部60からのエネルギー(インダクションコイルの周囲に発生する磁力線)が区画部50に吸収されず、サセプタ90に効率的に伝達される。
【0099】
また、図8に示す例では、香味吸引器用加熱ユニット40は、第2断熱部73を必ずしも備えなくてよい。喫煙可能物質30の加熱時には、サセプタ90と加熱部60との間には喫煙可能物質30が存在するので、サセプタ90からの熱が加熱部60に伝達されることが低減され得るからである。
【0100】
図9は、第2実施形態に係る香味吸引器100のさらに別の形態例を示す図である。図9に示す例では、香味吸引器用加熱ユニット40はサセプタを有さないが、これに代えて喫煙可能物質30の内部にサセプタ92が設けられる。サセプタ92の形状は任意であり、例えば、顆粒状、棒状、ストリップ状、管状、又は筒状等のサセプタ92が喫煙可能物質30の内部に配置されていてもよい。図9に示す例において、図8の例と同様に、区画部50は、透磁性及び非導電性(電気絶縁性)を有するPEEK等の合成樹脂で形成され得る。
【0101】
喫煙可能物質30が収容部53内の所望の位置に配置されると、サセプタ92は加熱部60のインダクションコイルの内部に位置する。この状態で、加熱部60によりサセプタ92が誘導加熱されることにより、喫煙可能物質30を加熱することができる。
【0102】
また、図9に示す例では、図8に示した例と同様に、香味吸引器用加熱ユニット40は、第2断熱部73を必ずしも備えなくてよい。喫煙可能物質30の加熱時には、サセプタ92と加熱部60との間には喫煙可能物質30が存在するので、サセプタ92からの熱が加熱部60に伝達されることが低減され得るからである。
【0103】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る香味吸引器100について説明する。図10は、第3実施形態の香味吸引器100の概略断面図である。第3実施形態の香味吸引器100は、図5に示した第2実施形態の香味吸引器100と比べて香味吸引器用加熱ユニット40の構成が異なる。具体的には、第3実施形態において、香味吸引器用加熱ユニット40は第1断熱部70と固定部80とを有さない。
【0104】
第3実施形態では、区画部50の側面52が加熱部60により誘導加熱されるが、第2断熱部73によって区画部50からの熱が加熱部60に伝達されることが抑制され得る。また、第3実施形態では、香味吸引器用加熱ユニット40は、必要に応じて外断熱部85を有してもよい。これにより、ハウジング102の温度上昇を低減することができる。また、第3実施形態において、香味吸引器用加熱ユニット40は、必要に応じて電磁シールド88を有してもよい。
【0105】
なお、第3実施形態では、第2断熱部73は、加熱部60のインダクションコイルによって区画部50に付勢され、固定される。このため、香味吸引器用加熱ユニット40が固定部80を備えていなくても、第2断熱部73を区画部50の外側面に固定することができる。
【0106】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。また、形状や程度等において少なくとも「実質的に」と明細書中で表された形状や程度等は、「厳密にその形状や程度等」のみに限定されるわけではなく、「少なくとも意図された作用を奏する範囲の形状や程度等」を含むことを意図する。
【符号の説明】
【0107】
30 :喫煙可能物質
40 :香味吸引器用加熱ユニット
50 :区画部
51 :開口
52 :側面
53 :収容部
60 :加熱部
70 :第1断熱部
71 :支持部
72 :空気
73 :第2断熱部
75 :断熱部
80 :固定部、付勢部
85 :外断熱部
88 :電磁シールド
90 :サセプタ
92 :サセプタ
100 :香味吸引器
102 :ハウジング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10