(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】マスク用の耳掛け部材の製造方法及びマスク用の耳掛け部材製造装置
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20230919BHJP
【FI】
A41D13/11 H
A41D13/11 B
(21)【出願番号】P 2022517688
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 JP2021016281
(87)【国際公開番号】W WO2021220932
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2020080851
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】島田 崇博
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-198231(JP,A)
【文献】特開2019-097614(JP,A)
【文献】特表2002-501129(JP,A)
【文献】特開2008-174328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に高伸縮性を有するシートを、前記第1方向に張力を作用させながら、前記第1方向に沿う搬送方向に搬送する搬送工程と、
搬送される前記シートの張力を調整
して、前記シートの前記搬送方向と直交する方向の幅を広げて適切な幅に戻す張力調整工程と、
張力調整後の前記シートを切断して耳掛け部材を形成する形成工程と、
を備える、マスク用の耳掛け部材の製造方法。
【請求項2】
前記張力調整工程は、前記シートの搬送速度を変化させる工程を含む、
請求項1に記載のマスク用の耳掛け部材の製造方法。
【請求項3】
第1方向に高伸縮性を有するシートの巻き回されたシートロールと、
前記シートロールから繰り出される前記シートに、前記第1方向に張力を作用させながら、前記第1方向に沿う搬送方向に前記シートを搬送する搬送機構と、
前記搬送機構が搬送してくる前記シートを切断し、耳掛け部材を形成する形成機構と、
を備え、
前記搬送機構は、前記シートの搬送方向において前記形成機構の上流側に配置され、前記形成機構に供給される前記シートの張力を調整
して、前記シートの前記搬送方向と直交する方向の幅を広げて適切な幅に戻す張力調整機構を有する、
マスク用の耳掛け部材製造装置。
【請求項4】
前記張力調整機構は、前記シートを第1速度で搬送する第1搬送部と、前記搬送方向において、前記第1搬送部よりも下流側に配置され、前記シートを前記第1速度とは異なる第2速度で搬送する第2搬送部と、を含む
請求項3に記載のマスク用の耳掛け部材製造装置。
【請求項5】
前記第1搬送部及び前記第2搬送部のそれぞれは、ニップロールである、
請求項4に記載のマスク用の耳掛け部材製造装置。
【請求項6】
前記搬送機構は、前記搬送方向において、前記張力調整機構の上流に配置される吸着コンベアを有する、
請求項3から5のいずれか1項に記載のマスク用の耳掛け部材製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク用の耳掛け部材の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特開2012-217651号公報)のように、耳掛け部材の原料となるシートや形成した耳掛け部材を、低伸縮方向に沿って搬送するマスクの製造方法が知られている。このような耳掛け部材の製造方法では、耳掛け部材の変形、歪み、位置ずれ等を抑制できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1(特開2012-217651号公報)に記載されているように、マスク本体に加え耳掛け部材も低伸縮方向に搬送される場合、耳掛け部材とマスク本体とを組み合わせる際に、マスク本体及び耳掛け部材の相対位置の変更が必要になる。このようなマスク本体及び耳掛け部材の相対位置の変更工程は、マスクの生産効率を低下させるおそれがある。
【0004】
本発明は、マスクの生産効率の低下を抑制可能な、マスク用の耳掛け部材の製造方法及びマスク用の耳掛け部材の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のマスク用の耳掛け部材の製造方法は、搬送工程と、張力調整工程と、形成工程と、を備える。搬送工程では、第1方向に高伸縮性を有するシートが、第1方向に張力が作用させられながら、第1方向に沿う搬送方向に搬送される。張力調整工程では、搬送されるシートの張力が調整される。形成工程では、張力調整後のシートが切断され、耳掛け部材が形成される。
【0006】
また、本発明のマスク用の耳掛け部材製造装置は、シートロールと、搬送機構と、形成機構と、を備える。シートロールには、第1方向に高伸縮性を有するシートが巻き回されている。搬送機構は、シートロールから繰り出されるシートに、第1方向に張力を作用させながら、第1方向に沿う搬送方向にシートを搬送する。形成機構は、搬送機構が搬送してくるシートを切断し、耳掛け部材を形成する。搬送機構は、張力調整機構を有する。張力調整機構は、シートの搬送方向において形成機構の上流側に配置され、形成機構に供給されるシートの張力を調整する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るマスク用の耳掛け部材の製造方法及び製造装置では、マスク本体が低伸縮方向に搬送される場合であってもマスク本体及び耳掛け部材の相対位置の変更工程が不要で、マスクの生産効率の低下を抑制可能である。
【0008】
また、本発明のマスク用の耳掛け部材の製造方法及び製造装置では、第1方向に張力を作用させた状態でシートを搬送するため、シートを高伸縮方法に搬送しても、搬送されるシートの蛇行や位置ずれ等を抑制できる。
【0009】
さらに、本発明のマスク用の耳掛け部材の製造方法及び製造装置では、耳掛け部材の形成前に、搬送されるシートの張力調整が行われるため、張力によって変形しているシートを、適切な寸法に戻した上で、耳掛け部材の形成機構に供給できる。そのため、所定の形状の耳掛け部材を精度良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマスク用の耳掛け部材の製造方法及び耳掛け部材製造装置を使用して製造された耳掛け部材を用いるマスクの着用状態を示す図である。
【
図4】
図2のマスクにおいて、耳掛け部材を外側に開いた状態を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るマスク用の耳掛け部材の製造方法及び耳掛け部材製造装置を使用して製造された耳掛け部材(耳掛け部材集合体)の正面図である。
【
図7】
図1のマスクの製造システムを概略的に示す図である。
【
図8】
図1のマスクの製造過程を時系列に示した図である。
【
図9】耳掛け部材製造装置、中間部材製造装置、及び耳掛け部材と中間部材との接合装置の概略構成図である。
【
図10】
図6の耳掛け部材(耳掛け部材集合体)の製造工程のフローチャートである。
【
図11】
図9の耳掛け部材製造装置の搬送機構による搬送時のシートの幅の変化の例を示す図である。
【
図12】
図9の耳掛け部材製造装置の形成機構の第1カットロールの外周面の一部を模式的に示した図である。
【
図13】
図9の耳掛け部材製造装置の形成機構の第1カットロールの内部構造を説明するための概略断面図である。
【
図14】
図9の耳掛け部材と中間部材との接合装置のパターンロールの外周面の一部を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照しながら、本発明に係るマスク用の耳掛け部材の製造方法及び耳掛け部材製造装置の実施形態を説明する。
【0012】
なお、以下で説明する実施形態は、本発明の一実施例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、以下の実施形態に多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【0013】
ここでは、初めに、本発明の製造方法及び耳掛け部材製造装置を用いて製造される耳掛け部材を使用するマスクに関して説明した後に、耳掛け部材の製造方法及び耳掛け部材製造装置について詳細を説明する。
【0014】
(1)マスク
本発明の耳掛け部材製造装置の一実施形態に係る耳掛け部材製造装置1000で製造される耳掛け部材4を用いて製造されるマスク10及びマスク10の製造方法について説明する。
【0015】
(1-1)マスクの全体構成
マスク10は、着用者の顔に装着され、少なくとも着用者の口を覆う衛生用具である。マスク10は、空気中に含まれる微小粒子が着用者の口等から取り込まれることを抑制する。マスク10の捕集対象の微小粒子には、例えば、ウイルス、細菌、花粉を含む。
【0016】
マスク10の全体構成を、
図1~
図3を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、着用者Pがマスク10を着用した状態を示す図である。
図2及び
図3は、未使用の(
図1のように着用者Pに着用される前の)マスク10を描画した図である。言い換えれば、未使用のマスク10は、
図2及び
図3に示した態様で着用者Pに提供される。
図2は、マスク10の正面図である。
図3は、マスク10の背面図である。
【0018】
なお、
図2のマスク10の正面図は、着用者Pの口等を被覆するマスク本体2の第2面2Bに正対して、未使用のマスク10を見た図である。マスク本体2の第2面2Bは、マスク10を着用したときに、着用者Pの顔面とは対向しない面、言い換えれば外側に配置される面である。
図3のマスク10の背面図は、マスク本体2の第1面2Aに正対して、未使用のマスク10を見た図である。マスク本体2の第1面2Aは、マスク10を着用したときに、着用者Pの顔面と対向する面、言い換えれば内側に配置される面である。
【0019】
マスク10は、主に、マスク本体2と、一対の中間部材6と、一対の耳掛け部材4と、を含む(
図1~
図3参照)。マスク10は、マスク本体2にプリーツ2Cが設けられた、いわゆるプリーツ型のマスクである。マスク10では、耳掛け部材4は、マスク本体2に直接接合されず、中間部材6を介してマスク本体2に連結されている。
【0020】
マスク本体2、中間部材6、及び耳掛け部材4について概説する。
【0021】
マスク本体2は、マスク10の着用者Pの口や鼻を主に被覆する部材である。未使用のマスク10では、マスク本体2は、第1方向D1及び第1方向D1と直交する第2方向D2に広がる平面状の部材である。限定をするものではないが、本実施形態では、未使用状態のマスク本体2の形状は、正面視において長方形形状である。なお、ここでは、マスク10の第1方向D1は、マスク本体2の長手方向である。また、マスク10の第2方向D2は、マスク本体2の短手方向である。マスク10が着用者Pに着用されると、第1方向D1におけるマスク本体2の一方側の端部は、着用者Pの右頬に配置され、第1方向D1におけるマスク本体2の他方側の端部は着用者Pの左頬に配置される。
【0022】
一対の中間部材6のそれぞれは、マスク本体2と、一対の耳掛け部材4の一方とを連結する部材である。具体的に説明すると、中間部材6は、マスク本体2と接合されている第1接合部12と、耳掛け部材4と接合されている第2接合部14と、を含む。中間部材6は、マスク本体2及び耳掛け部材4と溶着されている。ただし、中間部材6と、マスク本体2及び耳掛け部材4との接合方法は、溶着に限定されるものではなく、例えば接着剤による接着であってもよい。中間部材6がマスク本体2及び耳掛け部材4とそれぞれ接合されることで、耳掛け部材4は、マスク本体2に、中間部材6を介して連結される。一対の中間部材6の一方は、マスク本体2の第1方向D1における一方側の端部に配置され、一対の中間部材6の他方は、マスク本体2の第1方向D1における他方側の端部に配置される。中間部材6は、第1方向D1及び第2方向D2に広がるシート状の部材である。正面視において、中間部材6の形状は、第1方向D1を短手方向とし、第2方向D2を長手方向とする長方形形状である。
【0023】
一対の耳掛け部材4は、マスク10の着用者Pに装着される部分である。耳掛け部材4は、シート状の部材である。正面側から見て、耳掛け部材4の形状は、略D字状、又は、略逆D字状である(
図2参照)。マスク10の装着時に、一対の耳掛け部材4のそれぞれは、着用者Pの一方の耳に引っ掛けるように装着される。
【0024】
(1-2)マスクの詳細構成
マスク10の詳細を、
図1~
図3に加え、
図4~
図6を参照して更に説明する。
図4は、
図2の正面図のマスク10において、耳掛け部材4を外側に開いた状態を示す図である。
図5は、マスク本体2単体の正面図である。
図6は、耳掛け部材製造装置1000を使用して製造される耳掛け部材4(具体的には、一対の耳掛け部材4からなる耳掛け部材集合体4C)の正面図である。
【0025】
(1-2-1)マスク本体
マスク本体2は、厚み方向に複数のシートを重ね合わせて形成されている。例えば、本実施形態では、マスク本体2は、外側シート、中間シート及び内側シートが厚み方向に積層されている3層構造のシートである(図示省略)。なお、シートの層数は例示に過ぎず、外側シートと内側シートとの間に、複数の中間シートが配置されてもよい。
【0026】
材質を限定するものではないが、本実施形態では、外側シート、中間シート及び内側シートは、いずれも合成樹脂の不織布製のシートである。外側シートは、マスク本体2の第2面2B、言い換えれば、マスク10の着用状態におけるマスク本体2の外側に露出する面を有する。内側シートは、マスク本体2の第1面2A、言い換えれば、マスク10の着用状態において着用者Pに面する面を有する。中間シートは、細菌、ウイルス、塵埃などに対する所定の捕集性を有する。外側シートや内側シートには、例えば通気性の観点から、所望の条件を満たす仕様の不織布が選択される。中間シートには、例えば捕捉対象の微小粒子に対する捕集性や、通気性の観点から、所望の条件を満たす仕様の不織布が選択される。
【0027】
外側シート、中間シート及び内側シートは、第2方向D2におけるマスク本体2の両端部に配置される接合部2D,2Eにおいて溶着されることで、マスク本体2として一体化されている(
図5参照)。接合部2D,2Eは、
図5のように、第1方向にD1に沿って、マスク本体2の第1方向D1における概ね全域にわたって設けられている。なお、溶着は、外側シート、中間シート及び内側シートを一体化する方法の一例に過ぎず、他の方法で一体化されてもよい。例えば、外側シート、中間シート及び内側シートは、接合部2D,2Eにおいて、接着剤により接着されて一体化されてもよい。
【0028】
なお、接合部2D,2Eの内、マスク10の着用時に上方(着用者Pの鼻側)に配置される接合部2Dでは、
図5のように、第1方向D1に延びる2列の溶着点群を、第2方向D2に間隔を空けて配置して、溶着点群の列の間に、ノーズフィット部材(図示省略)を収容可能な空間を形成してもよい。ノーズフィット部材は、マスク10の着用時に、着用者Pの鼻上部の形状に適合するように変形可能な部材である。なお、ノーズフィット部材を備えたマスク本体は、一般に知られているため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0029】
マスク本体2には、複数のプリーツ2Cが設けられている。具体的には、マスク本体2には、第1方向D1に延びるプリーツ2Cが、第2方向D2に沿って複数配置されている。このようなプリーツ2Cが設けられることで、着用者Pは、第1方向D1における中央部においてマスク本体2を第2方向D2に広げて、マスク10を着用可能である。言い換えれば、マスク本体2は、第1方向D1に延びる複数のプリーツ2Cを有することで、第1方向D1の伸縮性に比べ、第2方向D2の伸縮性が高い構造を有する。
【0030】
マスク本体2が、第1方向D1における中央部において、第2方向D2に広げることが可能に構成されていることで、マスク本体2と着用者Pの口との間に空間を形成可能で、これによりマスク10を着用していても呼吸がしやすい等の利点が得られる。また、マスク本体2にプリーツ2Cが設けられることで、着用者Pがマスク10をしたまま話をしても、マスク10がずれにくい等の効果が得られる。なお、プリーツ型のマスクについては一般に知られているため、ここではプリーツ2Cの構造等についての詳細な説明は省略する。
【0031】
(1-2-2)中間部材
中間部材6は、第1方向D1を短手方向とし第2方向D2を長手方向とする長方形形状のシート状の部材である(
図2参照)。本実施形態では、未使用の状態のマスク10において、中間部材6の第2方向D2の長さと、マスク本体2の第2方向D2の長さとは一致する(
図2参照)。
【0032】
未使用のマスク10では、中間部材6は、マスク本体2の正面側に配置される。
【0033】
中間部材6は、未使用のマスク10を正面側から見た時に、第1方向D1における一端側でマスク本体2の第1方向D1における端部と接合されている(
図2参照)。言い換えれば、中間部材6は、第1方向D1における一端側に、マスク本体2との接合部分である第1接合部12を有する(
図2参照)。また、中間部材6は、未使用のマスク10を正面側から見た時に、第1方向D1における他端側(第1接合部12が設けられる側とは反対側の端部側)で、耳掛け部材4の後述する基部42と接合されている(
図2参照)。言い換えれば、中間部材6は、第1方向D1における他端側に、耳掛け部材4との接合部分である第2接合部14を有する(
図2参照)。第1方向D1において、各中間部材6に設けられている第2接合部14は、第1接合部12よりもマスク本体2の中央側に配置されている。
【0034】
材質を限定するものではないが、本実施形態では、中間部材6は、合成樹脂の不織布製のシートである。ここでは中間部材6は、1層のシートであるが、これに限定されるものではなく、厚み方向に積層された複数層構造のシートであってもよい。
【0035】
(1-2-3)耳掛け部材
各耳掛け部材4は、少なくとも一部が中間部材6の第2接合部14と接合される基部42と、着用者Pの耳に掛けられる耳掛け部44と、を有する。基部42は、第2方向D2に沿って延びる略長方形状の部分である。
図6を参照すると、本実施形態における基部42は、各耳掛け部材4の、二点鎖線より外側に配置される部分である。耳掛け部44の形状は、平面視において略C字形状又は略逆C状形状である。基部42に耳掛け部44が連接されて、耳掛け部材4は全体として、中央部に穴46を有する環状に形成されている。着用者Pは、基部42及び耳掛け部44に囲まれた穴46に耳を挿入することで、耳に耳掛け部44を引っ掛けることができる。正面視において、各耳掛け部材4の形状は、略D字形状又は略逆D字形状である。
【0036】
なお、未使用のマスク10では、
図6のように、一対の耳掛け部材4は、耳掛け部44同士が接続された耳掛け部材集合体4Cの態様で、マスク10の一対の中間部材6に接合されている。
【0037】
材質を限定するものではないが、耳掛け部材4は、合成樹脂の不織布製のシートである。ここでは耳掛け部材4は、1層のシートであるが、これに限定されるものではなく、厚み方向に積層された複数層構造のシートであってもよい。耳掛け部材4は、未使用のマスク10において、背面側に配置される第1面4Aと、正面側に(第1面4Aの裏側)に配置される第2面4Bと、を有する。
【0038】
耳掛け部材4は、第1方向D1の伸縮性が、第2方向D2の伸縮性よりも大きい。このように、耳掛け部材4の第1方向D1の伸縮性を比較的大きくとることで、耳掛け部44が着用者Pの耳に掛けやすくなるとともに、着用後にマスク本体2を着用者Pの顔に密着させやすくなる。
【0039】
未使用のマスク10では、耳掛け部材集合体4C(言い換えれば、一対の耳掛け部材4)は、マスク本体2の第2面2B側に配置されている(
図2参照)。言い換えれば、未使用のマスク10では、耳掛け部材4は、マスク本体2の、着用時に着用者Pには面しない側に配置される。耳掛け部材4がマスク本体2の第2面2B側に配置されている状態で、耳掛け部材4の第1面4Aはマスク本体2の第2面2Bと面し、耳掛け部材4の第2面4Bはマスク本体2の正面側を向いている。
【0040】
なお、未使用のマスク10では、正面視及び背面視において、各耳掛け部材4は、第2方向D2においてマスク本体2の外側にはみ出すように配置されている。そのため、
図3のようにマスク10を背面側から見た時に、マスク本体2の裏側に配置されている耳掛け部材4はその一部が見える状態にある。
【0041】
着用者Pがマスク10を着用する際には、着用者Pは、耳掛け部材集合体4Cに形成された不図示のミシン目部分(一対の耳掛け部材4が繋がっている部分)を分離した後、一対の耳掛け部材4のそれぞれを、マスク本体2の第2面2B側から第1面2A側に折り返して耳に掛ける。具体的には、着用者Pがマスク10を着用する際には、着用者Pは、耳掛け部材4を、中間部材6のマスク本体2との第1接合部12回りでマスク本体2の第2面2Bから遠ざかるように回転させて
図4のような状態にする。そして、着用者Pは、マスク本体2の第1面2Aを顔側に向けた状態で、一対の耳掛け部材4を両耳に掛けて、マスク10を着用する。着用者Pがマスク10を着用した状態では、未使用のマスク10では外側に露出していた耳掛け部材4の第2面4Bが、着用者Pの顔に対向する。
【0042】
なお、着用者Pがマスク10を着用した際、中間部材6の第2接合部14は、着用者Pの顔に直接(間に耳掛け部材4等の他の部材を介さずに)対向する。また、着用者Pがマスク10を着用した際、マスク本体2の、中間部材6の第1接合部12と接続される部分は、着用者Pの顔に直接対向する。
【0043】
(1-3)マスクの製造工程
次に、
図7及び
図8を参照して、マスク10の製造工程について説明する。
図7は、マスク10の製造システム100を概略的に示す図である。
図8は、マスク10の製造過程(マスク本体2、中間部材6及び耳掛け部材4を組み合わせる工程)を時系列に示した図である。
【0044】
なお、耳掛け部材4の製造工程、及び、マスク10の製造システム100に含まれる耳掛け部材製造装置1000の詳細については後述する。
【0045】
(1-3-1)マスク本体、中間部材、耳掛け部材の各々の製造工程
初めに、マスク本体2、中間部材6、耳掛け部材4の各々の製造工程について、
図7を参照しながら概説する。
【0046】
<マスク本体の製造工程>
製造システム100は、マスク本体2、より具体的にはマスク本体シート2Sを製造するための装置として、主に、外側シート供給装置110aと、中間シート供給装置110bと、内側シート供給装置110cと、一体化装置112と、を備える。なお、ここでは、説明が煩雑になるのを避けるため、マスク本体2の製造に用いる、ノーズフィット部材をマスク本体2に差し込む装置や、マスク本体2にプリーツ2Cを形成する装置等については描画及び説明を省略する。
【0047】
外側シート供給装置110aは、マスク本体2の外側シートを形成するための帯状の長尺の外側シートをシートロールから供給する。中間シート供給装置110bは、マスク本体2の中間シートを形成するための帯状の長尺の中間シートをシートロールから供給する。内側シート供給装置110cは、マスク本体2の内側シートを形成するための帯状の長尺の内側シートをシートロールから供給する。シート供給装置110a~110cにより供給される外側シート、中間シート及び内側シートは、一体化装置112で、外側シート、中間シート、内側シートの順に重ねられ、上述した接合部2D,2Eにおいて溶着され、前述の第1方向D1においてマスク本体2が連なった帯状の長尺のシート(マスク本体シート2Sと呼ぶ)となり、図示しない搬送機構により後述する接合装置150へと搬送される。なお、接合装置150へと搬送されるマスク本体シート2Sは、複数のマスク本体2が連なる方向に沿って搬送される。言い換えれば、マスク本体2は、搬送方向C1が前述の第1方向D1(低伸縮方向)に沿うような姿勢で、接合装置150へと搬送されていく。
【0048】
<中間部材の製造工程>
製造システム100は、中間部材6、より具体的には中間部材集合体6Aの製造のための装置として、中間部材製造装置2000を含む。中間部材製造装置2000について、
図9を更に参照しながら説明する。
図9は、耳掛け部材製造装置1000、中間部材製造装置2000、及び耳掛け部材4と中間部材6との接合装置3000の概略構成図である。
【0049】
中間部材製造装置2000は、
図7のように、シートロール130と、切断装置2100と、を備える。
【0050】
シートロール130には、中間部材6(中間部材集合体6A)を形成するための帯状のシートU2が巻き回されている。シートロール130は、帯状のシートU2を切断装置2100に供給する。
【0051】
切断装置2100は、カットロール2110と、アンビルロール2120と、を主に含む(
図9参照)。ここでは、他のカットロール及びアンビルロールとの混同を避けるため、カットロール2110を第2カットロール2110と呼び、アンビルロール2120を第2アンビルロール2120と呼ぶ。
【0052】
第2カットロール2110の表面には、シートU2を切断するための図示しない切断刃が設けられている。アンビルロール2120の表面には、シートU2を吸引保持するための図示しない吸着穴が設けられている。第2カットロール2110及び第2アンビルロール2120は、モータ等を含む図示しない駆動機構により駆動されて回転する。例えば、
図9に基づいて説明すれば、第2カットロール2110は時計回りに回転し、第2アンビルロール2120は反時計回りに回転する。第2カットロール2110及び第2アンビルロール2120が、その間にシートU2を挟み込んだ状態で回転すると、第2カットロール2110の表面に設けられたカッタと第2アンビルロール2120との間でシートU2が挟み込まれ、シートU2が所定位置で切断され、所定の寸法の中間部材集合体6Aが形成される。なお中間部材集合体6Aは、2つ分の中間部材6が第1方向D1に連なっているシートである。
【0053】
形成された中間部材集合体6Aは、中間部材集合体6Aを吸引保持している第2アンビルロール2120の回転に伴い移動し、接合装置3000の後述するパターンアンビルロール3100へと受け渡される。
【0054】
なお、シートU2及び中間部材6(中間部材集合体6A)は、第1方向D1(中間部材6の短手方向、高伸縮方向)に沿うような姿勢で搬送され、接合装置3000へと供給される。
【0055】
<耳掛け部材の製造工程>
製造システム100は、耳掛け部材4、より具体的には耳掛け部材集合体4Cの製造のための装置として、耳掛け部材製造装置1000を含む。耳掛け部材製造装置1000は、
図7のように、シートロール120と、搬送機構1100と、形成機構1200と、を含む。ここでは、耳掛け部材製造装置1000についてはごく簡単に説明する。詳細については後述する。
【0056】
シートロール120には、耳掛け部材集合体4Cを形成するための帯状のシートU1が巻き回されている。シートロール120に巻き回されるシートU1は、
図11のように、高伸縮方向DHと、高伸縮方向DHと直交する低伸縮方向DLとを有する。なお、
図11は、耳掛け部材製造装置1000の搬送機構1100による搬送時のシートU1の幅の変化の例を示す図である(詳細は後述する)。シートロール120には、シートU1の引き出し方向が、シートU1の高伸縮方向DHと一致するようにシートU1が巻き回されている。
【0057】
搬送機構1100は、シートロール120から繰り出されるシートU1を形成機構1200へと搬送する。形成機構1200は、搬送機構1100が搬送してくるシートU1を切断し、
図6に示す、所定形状の耳掛け部材集合体4Cを形成する。より具体的には、形成機構1200は、シートU1を打ち抜いて耳掛け部材集合体4Cを形成する。形成機構1200により形成された耳掛け部材集合体4Cは、接合装置3000へと供給される。形成機構1200により形成された耳掛け部材集合体4Cは、第1方向D1(高伸縮方向)に沿うような姿勢で搬送され、接合装置3000へと供給される。
【0058】
(1-3-2)マスク本体、中間部材、耳掛け部材を組み合わせる工程
次に、マスク本体2、中間部材6、耳掛け部材4を組み合わせて、最終的にマスク10を製造する工程について、主に
図7及び
図8を参照しながら説明する。
【0059】
なお、以下では、「A」に「B」を重ねるという表現を用いる場合があるが、これは説明の便宜上の表現であり、「A」に「B」を重ねるという表現を用いる場合であっても、実際には、「A」に「B」を重ねてもよい。また、ここでの「A」に「B」を重ねるという表現は、「B」の上に「A」を配置するという意味に限定されるものではなく、「B」の下に「A」を配置するという場合を含むものとする。
【0060】
製造システム100は、マスク本体2、中間部材6、耳掛け部材4を組み合わせてマスク10を製造する工程の製造のための装置として、主に、接合装置3000と、接合装置150と、切断装置160と、を備える。
【0061】
接合装置3000では、耳掛け部材製造装置1000から搬送されてくる耳掛け部材集合体4C(
図8(A)参照)の所定の位置に、切断装置2100から搬送されてくる中間部材集合体6Aが重ねて配置される(
図8(B)参照)。より詳しくは、隣り合う一方の耳掛け部材集合体4Cの基部42と他方の耳掛け部材集合体4Cの基部42とに跨る状態で中間部材集合体6Aが配置される。そして、接合装置3000は、中間部材6の第2接合部14と耳掛け部材4の基部42とを第2方向D2に沿って溶着する(
図8(C)参照)。接合装置3000で接合された中間部材集合体6A及び耳掛け部材集合体4Cは、図示しない搬送機構により、接合装置150へと搬送される。なお、接合装置150へと搬送される中間部材集合体6A及び耳掛け部材集合体4Cは、その搬送方向C4が、前述の第1方向D1に沿うような姿勢で、接合装置150へと搬送されていく。
【0062】
接合装置150では、一体化装置112から搬送されてくるマスク本体シート2Sの所定の位置に、接合装置3000で接合された中間部材集合体6A及び耳掛け部材集合体4Cが重ねて配置される(
図8(D)参照)。具体的には、マスク本体シート2Sと中間部材集合体6A及び耳掛け部材集合体4Cとを重ねる方向において、マスク本体シート2Sと中間部材集合体6Aとの間に耳掛け部材集合体4Cが配置されるような状態で、マスク本体シート2Sの所定の位置に、中間部材集合体6A及び耳掛け部材集合体4Cが重ねて配置される。そして、接合装置150は、中間部材6の第1接合部12とマスク本体2の第1方向D1における端部とを第2方向D2に沿って溶着する(
図8(E)参照)。接合装置150で接合された中間部材集合体6A、耳掛け部材集合体4C、及びマスク本体シート2Sは、図示しない搬送機構により、切断装置160へと搬送される。なお、切断装置160へと搬送される中間部材集合体6A、耳掛け部材集合体4C、及びマスク本体シート2Sは、その搬送方向C5が、前述の第1方向D1に沿うような姿勢で、切断装置160へと搬送されていく。
【0063】
切断装置160は、中間部材集合体6Aを第1方向D1における中央部分(隣接する第1接合部12の中間部分)で、第2方向D2に沿って切断する。中間部材集合体6Aが2つの中間部材6に分割されることでマスク10が製造される。
【0064】
(2)耳掛け部材製造装置
本発明の耳掛け部材製造装置の一実施形態に係る耳掛け部材製造装置1000について説明する。
【0065】
(2-1)耳掛け部材製造装置の全体構成
耳掛け部材製造装置1000は、シートロール120と、搬送機構1100と、形成機構1200と、を備える(
図9参照)。
【0066】
シートロール120には、耳掛け部材4の原料となる合成樹脂の不織布製のシートU1が巻き回されている。なお、シートU1は、高伸縮方向DHと、高伸縮方向DHと直交する低伸縮方向DLとを有する(
図11参照)。シートロール120には、シートU1の引き出し方向が、シートU1の高伸縮方向DHと一致するようにシートU1が巻き回されている。
【0067】
搬送機構1100は、シートロール120から繰り出されるシートU1を形成機構1200へと搬送する。なお、搬送機構1100のシートU1の搬送方向C10(
図7参照)は、シートU1の高伸縮方向DHと一致する。搬送機構1100は、シートU1に高伸縮方向DHに張力を作用させながら、シートU1を搬送する。
【0068】
形成機構1200は、搬送機構1100が搬送してくるシートU1を切断して耳掛け部材4を形成する。具体的には、形成機構1200は、シートU1を切断して一対の耳掛け部材4が連なった耳掛け部材集合体4Cを形成する。形成機構1200は、シートU1を打ち抜いて耳掛け部材集合体4Cを形成する。
【0069】
(2-2)耳掛け部材製造装置の詳細構成
耳掛け部材製造装置1000の搬送機構1100及び形成機構1200について、
図9、
図11~
図13を参照しながら更に説明する。
図9は、前述のように耳掛け部材製造装置1000、中間部材製造装置2000、及び耳掛け部材4と中間部材6との接合装置3000の概略構成図である。
図11は、耳掛け部材製造装置1000の搬送機構1100による搬送時のシートU1の幅の変化の例を示す図である。
図12は耳掛け部材製造装置1000の形成機構1200の第1カットロール1210の外周面の一部を模式的に示した図である。
図13は耳掛け部材製造装置1000の形成機構1200の内部構造を説明するための概略断面図である。
【0070】
(2-2-1)搬送機構
搬送機構1100は、シートロール120から繰り出されるシートU1を、所定の経路に沿って搬送する。搬送機構1100には、主に、複数のローラ(符号は省略)、ニップロール1105、吸着コンベア1110,1120、張力調整機構1150を有する(
図9参照)。
【0071】
搬送機構1100の複数のローラは、シートU1を、所定の経路に沿って案内するための機構である。
【0072】
ニップロール1105は、シートU1を挟み込んだ状態で、図示しないモータ等の駆動機構によりロールを回転させ、シートU1を引っ張って搬送する機構である。吸着コンベア1110,1120は、吸着機能を有するコンベアベルト(表面に図示しない吸引穴が形成されており、吸引穴から空気を吸引してシートU1を吸着するコンベアベルト)によりシートU1を吸着しながら、図示しないモータ等の駆動機構によりコンベアベルトを回転させることで、シートU1を搬送する機構である。搬送機構1100は、ニップロール1105、吸着コンベア1110,1120等を利用することで、シートU1の高伸縮方向DHに張力を作用させながら、高伸縮方向DHに沿う搬送方向C10にシートU1を搬送する。
【0073】
なお、搬送機構1100が、高伸縮方向DHに沿う搬送方向C10にシートU1を搬送する際に、シートU1の高伸縮方向DHに張力を作用させるのは、搬送されるシートU1の蛇行や位置ずれ等を避けるためである。特に、シートU1を面で吸着しながら搬送する吸着コンベア1110,1120を用いることで、安定的にシートU1を搬送でき、シートU1の搬送の不具合が特に抑制されやすい。
【0074】
張力調整機構1150は、シートU1に作用する張力を調整する機構である。張力調整機構1150は、シートU1の搬送方向C10において、形成機構1200の上流側に配置される。張力調整機構1150は、形成機構1200に供給される直前に、シートU1に作用する張力を調整する。張力調整機構1150は、シートU1に作用する張力を調整することで、シートU1の幅(シートU1の搬送方向C10に直交する方向の長さ)を、形成機構1200に供給するのに適した所定幅(幅W2)に調整する。張力調整機構1150により張力(言い換えればシートU1の幅)が調整されたシートU1は、形成機構1200へと供給される。
【0075】
図11を参照しながら張力調整機構1150の役割についてより具体的に説明する。
【0076】
シートロール120には、例えば搬送方向C10に直交する方向の長さが、幅W0のシートU1が巻き回されている。シートU1を、幅W0のまま搬送することは、シートU1が蛇行する等の理由で難しいため、搬送機構1100は、例えば、ニップロール1105や、吸着コンベア1110,1120を用いて、シートU1に搬送に適した張力を作用させながら搬送する。この際、シートU1は、高伸縮方向DHに張力が作用させられるため、シートU1は変形し、その幅が、幅W1に減少する。寸法の変化の程度は、作用させる張力の大きさや、使用するシートU1の材質によるが、例えば、搬送中のシートU1の幅W1は、幅W0の80~90%程度となる。
【0077】
ただし、この幅W1は、形成機構1200でシートU1の加工を行うのに適した所定幅(幅W2)とは異なる場合が多い。また、シートロール120に巻き回されるシートU1の性質には、シートロール120毎に若干のばらつきがある場合があり、張力を作用させる前のシートU1の幅が同一で、同じ材質のシートU1に同じ張力を作用させたとしても、張力を作用させた時の幅が一定とならない場合がある。そこで、ここでは、張力調整機構1150が設けられ、シートU1に作用する張力を調整することで、形成機構1200に供給されるシートU1の幅を所定の幅W2に調整している。
【0078】
以上のように構成される結果、シートU1の幅は、
図11で模式的に示すように、幅W0から幅W1へと一旦変化し、更には幅W1から幅W2へと調整される。
【0079】
なお、限定するものではないが、張力調整機構1150において調整する張力の大きさ(後述する第1ニップロール1160及び第2ニップロール1170によるシートU1の搬送速度)は、例えば、使用するシートロール120毎に決定されればよい。言い換えれば、シートロール120の交換毎に、張力調整機構1150において調整する張力の大きさを決定すればよい。
【0080】
次に、張力調整機構1150の、具体的な構成について説明する。
【0081】
張力調整機構1150は、シートU1の搬送方向C10に沿って配置される2つのニップロール(第1ニップロール1160及び第2ニップロール1170)を含む。第2ニップロール1170は、シートU1の搬送方向において第1ニップロール1160の下流側に配置されている。第1ニップロール1160及び第2ニップロール1170は、ニップロール1105と同様に、シートU1を挟み込んだ状態でロールを図示しないモータ等の駆動機構により回転させ、シートU1を引っ張って搬送する機構である。第1ニップロール1160及び第2ニップロール1170は、ロールの回転速度を変化させることで、シートU1の搬送速度を変化させることができる。張力調整機構1150は、第1ニップロール1160によるシートU1の搬送速度(第1速度V1)と、第2ニップロール1170によるシートU1の搬送速度(第2速度V2)と、を異ならせることで、シートU1に作用する張力を調整する。
【0082】
例えば、第2速度V2を第1速度V1よりも小さくすることで、シートU1に作用する張力を弱め、シートU1の幅を、
図11のように、幅W1から幅W2へと広げることができる。また、第2速度V2を第1速度V1よりも大きくすることで、シートU1に作用する張力を強め、シートU1の幅を狭めることもできる。
【0083】
なお、第1ニップロール1160及び第2ニップロール1170は、それぞれ特許請求の範囲における第1搬送部及び第2搬送部の一例である。
【0084】
ただし、第1搬送部及び第2搬送部は、独立してシートU1の搬送速度を変更可能な機構であれば、ニップロールに限定されない。例えば、第1搬送部及び第2搬送部は、シートU1を部材間に挟み込む構造ではなくてもよく、摩擦係数の大きなロール(シートU1が表面で滑らないロール)であってもよい。このようなロールを用いることで、各搬送部においてシートU1の搬送速度を変更して、シートU1に作用する張力を調整することができる。
【0085】
(2-2-2)形成機構
形成機構1200は、主に、カットロール1210(以後、混同を避けるため、第1カットロール1210と呼ぶ)と、アンビルロール1260(以後、混同を避けるため、第1アンビルロール1260と呼ぶ)と、を備える切断装置(ロータリダイカッター)である(
図9参照)。
【0086】
形成機構1200では、その外周面に切断刃1220が設けられた第1カットロール1210が、モータ等の図示しない駆動機構により駆動されて回転する。第1アンビルロール1260は、第1カットロール1210の回転に合わせて回転する。
図9の例であれば、第1カットロール1210は反時計周りに回転し、第1アンビルロール1260は時計回りに回転する。形成機構1200は、第1カットロール1210を回転させ、切断刃1220をシートU1に接触させることで、第1カットロール1210と第1アンビルロール1260との間でシートU1を切断し、耳掛け部材4を切り出す。より具体的には、形成機構1200は、第1カットロール1210と第1アンビルロール1260との間でシートU1を切断して、一対の耳掛け部材4が連なった耳掛け部材集合体4Cを切り出す。
【0087】
より詳細に説明する。
【0088】
第1カットロール1210は、その外周面に、耳掛け部材集合体4Cの輪郭と同じ形状の切断刃1220が設けられている(
図12参照)。一方、第1アンビルロール1260には、切断刃は設けられておらず平坦である。第1アンビルロール1260は、第1カットロール1210の外周面に対向配置されている。第1カットロール1210と第1アンビルロール1260との間を通過するシートU1は、第1カットロール1210の切断刃1220により切断され、シートU1が耳掛け部材集合体4Cの形状に切り出される。
【0089】
なお、第1カットロール1210の外周面には、複数の穴1230,1240,1250が形成されている(
図12参照)。穴1230,1240,1250は第1カットロール1210の内部に設けられた空気通路1212,1214等と連通しており、空気通路1212,1214や、図示しないダクト等を介して、真空ポンプ等の真空吸引装置と連通している。穴1230,1240,1250と真空吸引装置との連通/非連通は、第1カットロール1210の回転に応じて(回転角度に応じて)切り替わる。穴1230,1240,1250のそれぞれが真空吸引装置と連通しているときには、穴1230,1240,1250のそれぞれから空気が吸引され、シートU1が穴1230,1240,1250により吸引保持される。
【0090】
なお、穴1230,1240,1250は、共同して耳掛け部材集合体4Cを切り出す前のシートU1を吸引保持するほか、切断刃1220による切断後に、シートU1の以下の部分を保持するために用いられる。
【0091】
穴1230は、耳掛け部材集合体4Cの輪郭の形状に設けられた切断刃1220の内側に配置されている。穴1230は、切断刃1220により切り出される耳掛け部材集合体4Cを吸引保持するために用いられる。
【0092】
穴1240は、耳掛け部材4の耳を掛けるための穴46に対応する位置に配置されている。穴1240は、耳掛け部材集合体4Cの切り出しの際に発生する、耳掛け部材4の穴46と同形状の端材(間欠トリムと呼ぶ)を吸引保持するために用いられる。
【0093】
穴1250は、切断刃1220の外側に配置されている。穴1250は、耳掛け部材集合体4Cの切り出しの際に発生する、切断刃1220周りの端材(間欠トリム以外の端材、連続トリムと呼ぶ)を吸引保持するために用いられる。なお、穴1250は、圧縮吸気の供給装置とも連通可能に構成されており、所定のタイミングで空気を吹き出すことで、連続トリムの第1カットロール1210からの離脱を補助できるようになっている。
【0094】
穴1230,1240,1250のそれぞれは、常に空気を吸引しているわけではなく、前述のように第1カットロール1210の回転角度によって、吸引と吸引解除とが切り替わる。これによって、穴1230,1240,1250のそれぞれは、耳掛け部材集合体4C、間欠トリム、及び連続トリムを、所定のタイミングで保持し、所定のタイミングで保持解除することができる。また、穴1230,1240,1250は、第1カットロール1210の内部に設けられた、それぞれ別の空気通路(例えば、空気通路1212,1214等)に連通することで、異なるタイミングで吸引/吸引解除を切り替えられるようになっている。これにより、耳掛け部材集合体4C、間欠トリム、及び連続トリムの保持を、それぞれ所定のタイミングで切り替えることができる。
【0095】
例えば、シートU1の切断により発生する連続トリムは、
図9に図示されているように、第1アンビルロール1260に巻き付くようにして搬送方向を変化させて、図示しない吸引装置により矢印の方向に吸引される。そのため、連続トリム部分を吸引する各穴1250の吸引は、概ね各穴1250が最上点を通過するタイミングで解除される。なお、穴1250が吸引を解除した後、連続トリムの脱離を補助するため、穴1250から圧縮空気が吐出されることが好ましい。
【0096】
シートU1の切断により発生する間欠トリムは、
図9に図示されている位置で、図示しない吸引装置により斜め上方に吸引される。そのため、間欠トリム部分を吸引する各穴1240の吸引は、概ね、各穴1240が図示しない間欠トリム用の吸引装置の近傍を通過するタイミングで解除される。
【0097】
また、シートU1の切断により形成される耳掛け部材集合体4Cは、後述する接合装置3000のパターンアンビルロール3100に受け渡される。ここでは、パターンアンビルロール3100は、第1アンビルロール1260の直下に配置されている。そのため、耳掛け部材集合体4C部分を吸引する各穴1230の吸引は、概ね、各穴1230が最下点を通過するタイミングで解除される。
【0098】
なお、ここで説明した、各穴1230,1240,1250の吸引解除のタイミングは、機器の配置等によっても異なるため、ここで例示したタイミングに限定されるものではない。
【0099】
(3)耳掛け部材の製造方法
耳掛け部材4の製造方法(より具体的には、一対の耳掛け部材4が連接されている耳掛け部材集合体4Cの製造方法)について説明する。なお、ここでは、耳掛け部材4の製造方法に加え、耳掛け部材4と中間部材6との接合工程についても説明する。
【0100】
ここでは、
図10及び
図14を更に参照する。
図10は、耳掛け部材4(耳掛け部材集合体4C)の製造工程のフローチャートである。
図14は、接合装置3000のパターンアンビルロール3100の外周面の一部を模式的に示した図である。
図14は、パターンアンビルロール3100が中間部材集合体6A及び耳掛け部材集合体4Cをその外周面で保持している状態を描画している。また、
図14では、右側の中間部材集合体6A及び耳掛け部材集合体4Cは接合後の状態を、左側の中間部材集合体6A及び耳掛け部材集合体4Cは接合前の状態を示している。
【0101】
耳掛け部材4の製造の際、まずシートロール120からシートU1が繰り出される(
図10のステップS1)。なおシートロール120には、高伸縮方向DHに沿ってシートU1が巻き回されているため、シートロール120から繰り出されるシートU1は、高伸縮方向DHに搬送される。
【0102】
次に、シートU1は、搬送機構1100により、高伸縮方向DHに張力を作用させられながら、高伸縮方向DHに沿う搬送方向C10に搬送される(
図10のステップS2)。特に、ここでは、シートU1は、少なくとも局所的に、吸着コンベア1110,1120により搬送される。吸着コンベア1110,1120はシートU1を面で吸着しながら搬送するため、吸着コンベア1110,1120を用いることでシートU1の位置ずれ等を抑制しつつシートU1を搬送することができる。
【0103】
次に、張力調整機構1150まで搬送されたシートU1の張力が、張力調整機構1150により調整される(
図10のステップS3)。特にここでは、シートU1の幅(搬送方向C10と直交する方向の長さ)が幅W2になるようにシートU1に作用する張力の調整が行われる。張力調整機構1150によりどのようにして張力の調整が行われるかについては既に説明したので、ここでは説明を省略する。
【0104】
次に、張力調整機構1150による張力調整後の(幅調整後の)シートU1が形成機構1200に供給され、シートU1が第1カットロール1210の切断刃1220により所定の形状に切断されて、耳掛け部材集合体4Cが形成される(
図10のステップS4)。
【0105】
形成機構1200により形成された耳掛け部材集合体4Cは、第1カットロール1210により吸引保持された状態で移動し、接合装置3000のパターンアンビルロール3100へと受け渡される(
図10のステップS5)。
【0106】
パターンアンビルロール3100の外周面には、複数の穴3110が形成されている。複数の穴3110は、図示しないダクト等を通して、真空ポンプ等の真空吸引装置と連通している。そして、複数の穴3110のそれぞれが真空吸引装置と連通することで、穴3110のそれぞれから空気が吸引され、中間部材集合体6Aや耳掛け部材集合体4Cが穴3110により吸引保持される。なお、穴3110のそれぞれは、常に空気を吸引しているわけではなく、パターンアンビルロール3100の回転角度によって、吸引と吸引解除とが切り替わる。
【0107】
なお、パターンアンビルロール3100には、耳掛け部材集合体4Cが吸引される前に、中間部材製造装置2000により製造される中間部材集合体6Aが第2アンビルロール2120から受け渡されて吸引されている。したがって、パターンアンビルロール3100では、耳掛け部材集合体4Cは、少なくとも部分的に、パターンアンビルロール3100に予め吸引保持されている中間部材集合体6Aを介した穴3110の空気の吸引によりパターンアンビルロール3100の外周面に保持される。各耳掛け部材集合体4Cは、パターンアンビルロール3100に予め吸引保持されている2つの中間部材集合体6Aに重なるように、パターンアンビルロール3100に吸引保持される。
【0108】
ここで、パターンアンビルロール3100の外周面の穴3110の配置について説明する。穴3110は、第2アンビルロール2120が中間部材集合体6Aを受け渡す位置や、第1カットロール1210が耳掛け部材集合体4Cを受け渡す位置に合わせて設けられている。つまり、ここでは、第1カットロール1210、第2アンビルロール2120及びパターンアンビルロール3100は、同期して回転し、パターンアンビルロール3100は、外周面の決められた位置で、中間部材集合体6Aや耳掛け部材集合体4Cを吸引保持するように構成されている。
【0109】
なお、穴3110は、
図14に示すように、吸引される中間部材集合体6Aや耳掛け部材集合体4Cに重なる位置だけではなく、幅方向において(
図14であれば上下方向に)、中間部材集合体6Aや耳掛け部材集合体4Cが配置される場所よりも広い領域に形成されている。穴3110を、このように中間部材集合体6Aや耳掛け部材集合体4Cが配置される位置よりも広い領域に形成することで、中間部材集合体6Aや耳掛け部材集合体4Cの空気の流れによるめくれ上がりの不具合を抑制することができる。
【0110】
さて、製造工程の説明に戻ると、パターンアンビルロール3100により保持されている中間部材集合体6Aや耳掛け部材集合体4Cは、モータ等の図示しない駆動機構によるパターンアンビルロール3100の回転により移動する。そして、中間部材集合体6Aや耳掛け部材集合体4Cは、パターンアンビルロール3100と、パターンアンビルロール3100と同様にモータ等の図示しない駆動機構により駆動されて回転するパターンロール3200との間を通過する。この際、パターンロール3200の外周面に設けられたシール部材3210(
図9参照)とパターンアンビルロール3100との間で、中間部材6の第2接合部14と耳掛け部材4の基部42とが接合される(ステップS6)。例えば、シール部材3210は、ヒータを熱源として、中間部材6の第2接合部14と耳掛け部材4の基部42とを溶着する。なお、シール部材3210が、パターンアンビルロール3100の外周面の穴3110と穴3110との間に接触するように(言い換えれば、シール部材3210がパターンアンビルロール3100の外周面の穴3110の部分と接触しないように)、パターンロール3200の回転動作は、パターンアンビルロール3100の回転動作と同期制御される。
【0111】
接合装置3000で接合された中間部材集合体6A及び耳掛け部材集合体4Cは、前述のように図示しない搬送機構により、接合装置150へと搬送される。
【0112】
(4)特徴
(4-1)
上記実施形態のマスク10用の耳掛け部材4の製造方法は、搬送工程(
図10のステップS2)と、張力調整工程(
図10のステップS3)と、形成工程(
図10のステップS4)と、を備える。搬送工程では、高伸縮方向DH(特許請求の範囲における第1方向)に高伸縮性を有するシートU1が、高伸縮方向DHに張力が作用させられながら、高伸縮方向DHに沿う搬送方向C10に搬送される。張力調整工程では、搬送されるシートU1の張力が調整される。形成工程では、張力調整後のシートU1が切断され、耳掛け部材4が形成される。
【0113】
また、上記実施形態のマスク10用の耳掛け部材製造装置1000は、シートロール120と、搬送機構1100と、形成機構1200と、を備える。シートロール120には、高伸縮方向DHに高伸縮性を有するシートU1が巻き回されている。搬送機構1100は、シートロール120から繰り出されるシートU1に、高伸縮方向DHに張力を作用させながら、高伸縮方向DHに沿う搬送方向C10にシートU1を搬送する。形成機構1200は、搬送機構1100が搬送してくるシートU1を切断し、耳掛け部材4を形成する。搬送機構1100は、張力調整機構1150を有する。張力調整機構1150は、シートU1の搬送方向C10において形成機構1200の上流側に配置され、形成機構1200に供給されるシートU1の張力を調整する。
【0114】
本実施形態の耳掛け部材4の製造方法及び耳掛け部材製造装置1000では、マスク本体2が低伸縮方向に搬送される場合であってもマスク本体2及び耳掛け部材4の相対位置の変更工程が不要で、マスク10の生産効率の低下を抑制可能である。
【0115】
また、本実施形態の耳掛け部材4の製造方法及び耳掛け部材製造装置1000では、高伸縮方向DHに張力を作用させた状態でシートU1を搬送するため、シートU1を高伸縮方向DHに搬送しても、搬送されるシートU1の蛇行や位置ずれ等を抑制できる。
【0116】
さらに、本実施形態の耳掛け部材4の製造方法及び耳掛け部材製造装置1000では、耳掛け部材4の形成前に、搬送されるシートU1の張力調整が行われるため、張力によって変形しているシートU1を、適切な寸法に戻した上で、耳掛け部材4の形成機構1200に供給できる。そのため、所定の形状の耳掛け部材4を精度良く製造できる。
【0117】
(4-2)
上記実施形態のマスク10用の耳掛け部材4の製造方法では、張力調整工程(ステップS3)は、シートU1の搬送速度を変化させる工程を含む。
【0118】
このような製造方法では、シートU1の張力を容易に調整できる。
【0119】
(4-3)
上記実施形態のマスク10用の耳掛け部材製造装置1000では、張力調整機構1150は、シートU1を第1速度V1で搬送する第1搬送部としての第1ニップロール1160と、搬送方向C10において、第1ニップロール1160よりも下流側に配置され、シートU1を第1速度V1とは異なる第2速度V2で搬送する第2搬送部としての第2ニップロール1170と、を含む。
【0120】
耳掛け部材製造装置1000では、シートU1の張力を容易に調整できる。
【0121】
特に、第1搬送部及び第2搬送部のそれぞれがニップロールであることで、シートU1の張力を精度良く調整できる。
【0122】
ただし、第1搬送部及び第2搬送部は、ニップロールに限定されるものではなく、シートU1の搬送速度を変更可能な他の機構であってもよい。
【0123】
(4-4)
上記実施形態のマスク10用の耳掛け部材製造装置1000では、搬送機構1100は、シートU1の搬送方向C10において、張力調整機構1150の上流に配置される吸着コンベア1110,1120を有する。
【0124】
搬送機構1100に吸着コンベア1110,1120を用いることで、特にシートU1を安定した状態で搬送できる。
【0125】
(5)変形例
以下に、上記実施形態の変形例を説明する。なお、以下の変形例は、互いに矛盾しない範囲で適宜組み合わされてもよい。
【0126】
(5-1)変形例A
上記実施形態で説明したマスク用の耳掛け部材の製造方法及び耳掛け部材製造装置は、マスクの種類や形状を限定するものではない。
【0127】
例えば、上記実施形態では、マスク10は、マスク本体2、中間部材6及び耳掛け部材4の3つの部材を含むが、本願発明の耳掛け部材の製造方法及び耳掛け部材製造装置は、中間部材6を有さないマスク用の耳掛け部材の製造方法及び耳掛け部材製造装置として利用されてもよい。言い換えれば、本願発明のマスク用の耳掛け部材の製造方法及び耳掛け部材製造装置は、マスク本体に直接接合される耳掛け部材の製造に利用されてもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、マスク10はプリーツ型のマスクであるが、これに限定されるものではない。本願発明の製造方法及び製造装置で製造される耳掛け部材は、プリーツのない平型マスクや、立体型マスクに利用されてもよい。
【0129】
また、本願発明の耳掛け部材の製造方法及び耳掛け部材製造装置は、上記実施形態で説明したものとは異なる形状の耳掛け部材や耳掛け部材集合体の製造に適用されてもよい。
【0130】
最後に、上記実施形態及び別例(変形例)から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0131】
本発明の第1観点に係るマスク用の耳掛け部材の製造方法は、搬送工程と、張力調整工程と、形成工程と、を備える。搬送工程では、第1方向に高伸縮性を有するシートが、第1方向に張力が作用させられながら、第1方向に沿う搬送方向に搬送される。張力調整工程では、搬送されるシートの張力が調整される。形成工程では、張力調整後のシートが切断され、耳掛け部材が形成される。
【0132】
本発明の第1観点のマスク用の耳掛け部材の製造方法では、マスク本体が低伸縮方向に搬送される場合であってもマスク本体及び耳掛け部材の相対位置の変更工程が不要で、マスクの生産効率の低下を抑制可能である。
【0133】
また、本発明の第1観点のマスク用の耳掛け部材の製造方法では、第1方向に張力を作用させた状態でシートを搬送するため、シートを高伸縮方向に搬送しても、搬送されるシートの蛇行や位置ずれ等を抑制できる。
【0134】
さらに、本発明の第1観点のマスク用の耳掛け部材の製造方法では、耳掛け部材の形成前に、搬送されるシートの張力調整が行われるため、張力によって変形しているシートを、適切な寸法に戻した上で、耳掛け部材の形成機構に供給できる。そのため、所定の形状の耳掛け部材を精度良く製造できる。
【0135】
本発明の第2観点に係るマスク用の耳掛け部材の製造方法は、第2観点のマスク用の耳掛け部材の製造方法であって、張力調整工程は、シートの搬送速度を変化させる工程を含む。
【0136】
本発明の第2観点に係るマスク用の耳掛け部材の製造方法では、シートの張力を容易に調整することができる。
【0137】
本発明の第3観点に係るマスク用の耳掛け部材製造装置は、シートロールと、搬送機構と、形成機構と、を備える。シートロールには、第1方向に高伸縮性を有するシートが巻き回されている。搬送機構は、シートロールから繰り出されるシートに、第1方向に張力を作用させながら、第1方向に沿う搬送方向にシートを搬送する。形成機構は、搬送機構が搬送してくるシートを切断し、耳掛け部材を形成する。搬送機構は、張力調整機構を有する。張力調整機構は、シートの搬送方向において形成機構の上流側に配置され、形成機構に供給されるシートの張力を調整する。
【0138】
本発明の第3観点のマスク用の耳掛け部材製造装置では、マスク本体が低伸縮方向に搬送される場合であってもマスク本体及び耳掛け部材の相対位置の変更工程が不要で、マスクの生産効率の低下を抑制可能である。
【0139】
また、本発明の第3観点のマスク用の耳掛け部材製造装置では、第1方向に張力を作用させた状態でシートを搬送するため、シートを高伸縮方向に搬送しても、搬送されるシートの蛇行や位置ずれ等を抑制できる。
【0140】
さらに、本発明の第3観点のマスク用の耳掛け部材製造装置では、耳掛け部材の形成前に、搬送されるシートの張力調整が行われるため、張力によって変形しているシートを、適切な寸法に戻した上で、耳掛け部材の形成機構に供給できる。そのため、所定の形状の耳掛け部材を精度良く製造できる。
【0141】
本発明の第4観点に係るマスク用の耳掛け部材製造装置は、第3観点のマスク用の耳掛け部材製造装置であって、張力調整機構は、シートを第1速度で搬送する第1搬送部と、搬送方向において、第1搬送部よりも下流側に配置され、シートを第1速度とは異なる第2速度で搬送する第2搬送部と、を含む。
【0142】
本発明の第4観点のマスク用の耳掛け部材製造装置では、シートの張力を容易に調整できる。
【0143】
本発明の第5観点に係るマスク用の耳掛け部材製造装置は、第4観点のマスク用の耳掛け部材製造装置であって、第1搬送部及び第2搬送部のそれぞれは、ニップロールである。
【0144】
本発明の第5観点のマスク用の耳掛け部材製造装置では、シートの張力を精度良く調整できる。
【0145】
本発明の第6観点に係るマスク用の耳掛け部材製造装置は、第3観点から第5観点のいずれかのマスク用の耳掛け部材製造装置であって、搬送機構は、シートの搬送方向において、張力調整機構の上流に配置される吸着コンベアを有する。
【0146】
本発明の第6観点のマスク用の耳掛け部材製造装置では、搬送機構に吸着コンベアを用いることで、特にシートを安定した状態で搬送できる。
【符号の説明】
【0147】
4 耳掛け部材
120 シートロール
1000 耳掛け部材製造装置
1100 搬送機構
1110,1120 吸着コンベア
1150 張力調整機構
1160 第1ニップロール(第1搬送部)
1170 第2ニップロール(第2搬送部)
1200 形成機構
C10 搬送方向
DH 高伸縮方向(第1方向)
S2 搬送工程
S3 張力調整工程
S4 形成工程
U1 シート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0148】