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特許7351012車両重量の推定方法、装置、電子機器、記憶媒体およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】車両重量の推定方法、装置、電子機器、記憶媒体およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/13 20120101AFI20230919BHJP
   G01G 19/03 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
B60W40/13
G01G19/03
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022538073
(86)(22)【出願日】2021-10-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 CN2021122796
(87)【国際公開番号】W WO2022257310
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】202110650457.7
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521208273
【氏名又は名称】阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】APOLLO INTELLIGENT CONNECTIVITY(BEIJING)TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】101, 1st Floor, Building 1, Yard 7, Ruihe West 2nd Road, Beijing Economic and Technological Development Zone, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】庄 登祥
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲澤▼旭
(72)【発明者】
【氏名】于 ▲寧▼
(72)【発明者】
【氏名】薛 晶晶
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-337087(JP,A)
【文献】特開2018-091754(JP,A)
【文献】特開2004-037255(JP,A)
【文献】特開2007-008334(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113392518(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 40/10 ~ 40/13
G01G 19/02 ~ 19/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両重量を推定する方法であって、
前記車両の現在速度と前記車両に対する制御コマンドとに応じて、速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係を用いて前記車両の輪縁トルク値を取得することと、
取得された輪縁トルク値を用いて、車両縦方向動力学方程式に基づいて前記車両の重量を推定することと、を含む、
車両重量の推定方法。
【請求項2】
前記速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係を用いて車両の輪縁トルク値を取得することは、
車両の現在速度と前記制御コマンドとに応じて、前記速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係において前記現在速度が属するキャリブレーション区間、及び制御コマンドが属するキャリブレーション区間を特定することと、
前記速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係に基づいて、前記現在速度が属するキャリブレーション区間及び制御コマンドが属するキャリブレーション区間に応じて、特定されたキャリブレーション区間に対応する複数の輪縁トルク値をそれぞれ取得することと、
前記複数の輪縁トルク値から車両現在の速度及び制御コマンドに対応する輪縁トルク値を算出することと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の輪縁トルク値から車両現在の速度及び制御コマンドに対応する輪縁トルク値を算出することは、
【数1】
を含み、
ただし、
vは車両現在の速度であり、v及びvt-1はそれぞれ前記現在速度が属するキャリブレーション区間における速度であり、
Cmdは制御コマンドであり、Cmd及びCmdt-1はそれぞれ制御コマンドが属するキャリブレーション区間における制御コマンドであり、
wheelは輪縁トルク値であり、 、T 、T 及びT は前記特定されたキャリブレーション区間に対応する複数の輪縁トルク値である、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両縦方向動力学方程式に基づいて車両の重量を推定することは、
前記車両縦方向動力学方程式に対して忘却係数を有する最小二乗再帰方程式を作成することと、
前記忘却係数を有する最小二乗再帰方程式を用いて反復計算を行い、車両の重量を取得することと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記車両縦方向動力学方程式は、車両走行状態データに基づいて作成され、前記車両走行状態データは、
車両速度vと、車両加速度
【数2】
と、慣性モーメントJと、角加速度
【数3】
と、道路勾配角βとの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記道路勾配角は、拡張カルマンフィルタEKFに基づいて推定される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
拡張カルマンフィルタEKFに基づいて道路勾配角を推定することは、
EKFのシステム状態方程式とEKFのシステム測定方程式とに基づいて道路勾配角を推定することを含み、
前記システム状態方程式は、
【数4】
であり、
ただし、
mは車両重量であり、単位がkgであり、
vは車両速度であり、単位がm/sであり、
v(k)、v(k-1)はそれぞれk回目、k-1回目の反復計算によって算出された車両速度であり、
Δtは実際にEKFを利用する時の反復計算の周期を表し、
Jは車両の慣性モーメントであり、単位がkg・mであり、
【数5】

は車両角加速度であり、単位がrad/ であり、
wheelは車両の輪縁トルクであり、単位がN・mであり、
rは前記車両の車輪ロール半径であり、単位がmであり、
【数6】
即ち、等価風抵抗係数であり、ただしρは空気抵抗係数であり、Aは車両実効風上面積であり、Cは風抵抗係数であり、
βは道路勾配角であり、単位がradであり、
β(k)、β(k-1)、β(k-2)及びβ(k-3)はそれぞれk回目、k-1回目、k-2回目、k-3回目の反復計算によって算出された道路勾配角であり、
μは転がり抵抗係数であり、
gは重力加速度であり、単位がm/sであり、且つ
WはEKFのシステムノイズベクトルであり、
前記EKFのシステム測定方程式は
【数7】
であり、
ただし、
z(k)はEKFが測定しようとする車両速度を表し、
VはEKFの測定ノイズベクトルであり、
Hは測定行列であり、センサによって取得された道路勾配角が存在する場合、
【数8】
センサによって取得された道路勾配角が存在しない場合、
【数9】
である、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記システムノイズベクトルWと前記測定ノイズベクトルVとは互いに独立し、かつ平均値がいずれもゼロである白色ガウスノイズである、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係は、事前に収集された車両制御コマンドと前記車両制御コマンドに対応する車両センシングデータとに基づいて予め決められ、
ただし、前記車両センシングデータは車両センサによって収集された車両速度を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
車両重量を推定する装置であって、
前記車両の現在速度と前記車両に対する制御コマンドとに応じて、速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係を用いて前記車両の輪縁トルク値を取得するように配置されている輪縁トルク値取得モジュールと、
取得された輪縁トルク値を用いて、車両縦方向動力学方程式に基づいて前記車両の重量を推定するように配置されている重量推定モジュールと、を含む、
車両重量の推定装置。
【請求項11】
前記輪縁トルク値取得モジュールは、
車両の現在速度と前記制御コマンドとに応じて、前記速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係において前記現在速度が属するキャリブレーション区間、及び制御コマンドが属するキャリブレーション区間を特定する第1のサブモジュールと、
前記速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係に基づいて、前記現在速度が属するキャリブレーション区間及び制御コマンドが属するキャリブレーション区間に応じて、特定されたキャリブレーション区間に対応する複数の輪縁トルク値をそれぞれ取得する第2のサブモジュールと、
前記複数の輪縁トルク値から車両現在の速度及び制御コマンドに対応する輪縁トルク値を算出する第3のサブモジュールと、を含む、
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第3のサブモジュールは、以下の式に基づいて車両現在の速度及び制御コマンドに対応する輪縁トルク値を算出し、
【数10】
ただし、
vは車両現在の速度であり、v及びvt-1はそれぞれ前記現在速度が属するキャリブレーション区間における速度であり、
Cmdは制御コマンドであり、Cmd及びCmdt-1はそれぞれ制御コマンドが属するキャリブレーション区間における制御コマンドであり、
wheelは輪縁トルク値であり、 、T 、T 及びT は前記特定されたキャリブレーション区間に対応する複数の輪縁トルク値である、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記重量推定モジュールは、
前記車両縦方向動力学方程式に対して忘却係数を有する最小二乗再帰方程式を作成する第4のサブモジュールと、
前記忘却係数を有する最小二乗再帰方程式を用いて反復計算を行い、車両の重量を取得する第5のサブモジュールと、を含む、
請求項10に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信接続するメモリとを有する電子機器であって、
前記メモリに、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行され得るコマンドが記憶されており、前記コマンドが前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサが請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実行することができる、
電子機器。
【請求項15】
コンピュータに請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実行させるためのコンピュータコマンドを記憶している、
非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項16】
プロセッサにより実行される場合に、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実現するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本願は、2021年06月08日に提出した、出願番号が202110650457.7である中国特許出願の優先権を要求し、そのすべての内容は援用により本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、コンピュータ技術分野に関し、具体的に、自動運転分野に関し、特に車両重量の推定方法、装、電子機器、記憶媒体およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0003】
車両の自動運転技術の発展に伴い、車両の自動制御の効果に対する要求も徐々高くなり、小型車両よりも、自動運転バス、自動運転トラックなどを含む大型車両の方が、重量変化範囲が大きく、空荷から満載までの重量変化は300%に達することも可能である。車両重量は、自動運転ソフトウェアが車両動力学制御、駐車ポジション決定、駐車停車、車両運行状態監視を行うキーパラメータであり、車両重量を用いて自動運転制御ソフトウェアと監視ソフトウェアとを合理的に調整すれば、車両の安全性、快適性、動力性をさらに向上させることになる。
【0004】
ハードウェアセンサを用いて車両の重量を測定すれば、価格が高く、かつ耐用年数に問題がある。ソフトウェアアルゴリズムを用いれば、車両の重量を直接に推定でき、極めて経済性及び利便性を有する。ソフトウェアアルゴリズムを用いて車両の重量を推定する技術では、車両の輪縁トルクパラメータを提供して車両の重量を推定する必要がある。システムが輪縁トルク信号を提供できない場合、重量推定ソフトウェアは動作できない。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、車両重量の推定方法、装置、電子機器、記憶媒体およびコンピュータプログラムを提供している。
【0006】
第1の局面によれば、車両重量を推定する方法であって、前記車両の現在速度と前記車両に対する制御コマンドとに応じて、速度-コマンド輪縁トルクのマッピング関係を用いて前記車両の輪縁トルク値を取得することと、取得された輪縁トルク値を用いて、車両縦方向動力学方程式に基づいて前記車両の重量を推定することと、を含む、車両重量の推定方法を提供している。
【0007】
第2の局面によれば、車両重量を推定する装置であって、前記車両の現在速度と前記車両に対する制御コマンドとに応じて、速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係を用いて前記車両の輪縁トルク値を取得するように配置されている輪縁トルク値取得モジュールと、取得された輪縁トルク値を用いて、車両縦方向動力学方程式に基づいて前記車両の重量を推定するように配置されている重量推定モジュールと、を含む、車両重量の推定装置を提供している。
【0008】
第3の局面によれば、少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサと通信接続するメモリとを有する電子機器であって、前記メモリに、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行され得るコマンドが記憶されており、前記コマンドが前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサが上記方法を実行することができる、電子機器を提供している。
【0009】
第4の局面によれば、コンピュータに上記方法を実行させるためのコンピュータコマンドを記憶している、非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供している。
【0010】
第5の局面によれば、プロセッサにより実行される場合に、上記方法を実現するコンピュータプログラムを提供している。
【0011】
本開示による車両重量の推定方法及び装置は、より効率的に、かつより正確に車両重量を推定することができる。
【0012】
理解されるべきこととして、本部分に記載された内容は、本開示の実施例のキーポイント又は重要な特徴を示すことを意図するものではなく、本開示の範囲を限定するものでもない。本開示の他の特徴は、以下の説明により容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
ここで、図面は、本技術案をよりよく理解するために用いられ、本開示を限定するものではない。
図1図1は、本開示の実施例による車両重量を推定するための方法のフローチャートを示している。
図2図2は、本開示の実施例による速度-コマンド-輪縁トルクのキャリブレーションテーブルの模式図を示している。
図3図3は、本開示の実施例による制御コマンド遅延及び車両加速度のフィルタリング遅延を考慮して、採用すべき制御コマンドと車両加速度とを決める模式図を示している。
図4図4は、速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係を用いて車両の輪縁トルク値を取得する方法のフローチャートを示している。
図5図5は、速度-コマンド-輪縁トルクのキャリブレーションテーブルにおいて線性補間を行うことによって輪縁トルク値を取得する模式図を示している。
図6図6は、本開示の実施例による車両の縦方向動力学方程式に基づいて車両の重量を推定する方法のフローチャートを示している。
図7図7は、本開示の実施例による拡張カルマンフィルタ(EKF)に基づいて道路勾配角を推定する方法のフローチャートを示している。
図8図8は、本開示の実施例による車両重量を推定するための装置のブロック図を示している。
図9図9は、本開示の実施例を実施するために用いられる例示的電子機器のブロック図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本開示の例示的な実施例を説明する。ここで、より理解しやすいために本開示の実施例の様々な詳細は含まれ、それらが例示的なものであると考えられるべきである。したがって、当業者であれば、ここで記載される実施例に対して様々な変更・修正を行うことができ、本開示の範囲及び精神から逸脱することはないと分るべきである。同様に、明確かつ簡潔に説明するために、以下の記載において周知の機能や構成に対する説明を省略する。
【0015】
自動運転分野において、自動運転車両システムの入出力時間関数に基づいて車両重量を特定することで車両重量推定を行う。車両重量推定は車両全体の数学的モデルを作成する必要があり、ここで車両全体の重量はこの数学的モデルにおける重要なパラメータである。この数学的モデルに係るシステムの入出力データに基づいて、特定の推定アルゴリズムを用いて車両重量を推定する。システムが輪縁トルク信号を提供できない場合、重量推定アルゴリズムは動作できない。自動運転ソフトウェアにおいて、輪縁トルク信号は車両シャーシのコア信号であり、輪縁トルクにより車両シャーシのコア特性指標を推定することができるため、大部分の自動運転車両シャーシの提供業者は輪縁トルク信号を提供しない傾向にある。
【0016】
図1は、本開示の実施例による車両重量を推定するための方法100のフローチャートを示している。
【0017】
ステップS110において、車両の現在速度と車両に対する制御コマンドとに応じて、速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係を用いて車両の輪縁トルク値を取得する。
【0018】
幾つかの実施例において、速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係は、速度-コマンド-輪縁トルクのキャリブレーションテーブルを含んでもよい。幾つかの実施例において、速度-コマンド-輪縁トルクのキャリブレーションテーブルは、事前に収集した車両制御コマンドと車両制御コマンドに対応する車両センシングデータとに基づいて予め決められてもよい。例えば、平坦な標準フィールドで、車両センサによって車両速度を含む車両センシングデータを収集してもよい。平坦な標準フィールドは、地面勾配が0.1度より小さく、かつフィールドが直線的に加速可能な最大長さが100mより大きいフィールドを含んでもよい。幾つかの実施例において、車両センシングデータが収集された後、オフライン状態でデータ処理技術を用いて速度-コマンド-輪縁トルクのキャリブレーションテーブルを作成してもよい。
【0019】
ステップS120において、取得された輪縁トルク値を用いて、車両縦方向動力学方程式に基づいて車両の重量を算出する。幾つかの実施例において、車両縦方向動力学方程式は、車両走行状態データに基づいて作成されてもよく、且つ車両走行状態データは、車両速度vと、車両加速度
【数1】
と、慣性モーメントJと、角加速度
【数2】
と、道路勾配角βとの少なくとも1つを含んでもよい。
【0020】
本開示の実施例によれば、より効率的に、且つより正確に車両重量を推定することができる。また、本開示の実施例によれば、輪縁トルクフィードバック信号がない場合、車両重量を推定することができる。
【0021】
幾つかの実施例において、車両縦方向動力学方程式は、
【0022】
【数3】
【0023】
であってもよい。
【0024】
ただし、mは車両重量を表し、単位がkgであり、
【数4】
は車両速度の導関数、即ち、車両加速度であり、単位がm/sであり、
vは車両速度であり、単位がm/sであり、
Jは慣性モーメントであり、単位がkg・mであり、
【数5】
は車両のヨーレートの導関数、即ち、車両角加速度であり、単位がrad/ であり、
Twheelは輪縁トルクであり、単位がN・mであり、
rは車両の車輪ロール半径であり、単位がmであり、
【数6】
即ち、等価風抵抗係数であり、ただし、ρは空気抵抗係数であり、Aは車両実効風上面積、CDは風抵抗係数であり、
βは道路勾配角であり、単位がradであり、
μは転がり抵抗係数であり、
gは重力加速度であり、単位がm/sである。
【0025】
幾つかの実施例において、上記車両縦方向動力学方程式に対してデータ処理を行う時にハンドル判断条件を使用してもよいため、
【数7】
相応的に、上記式(1)は、
【0026】
【数8】
【0027】
としてさらに簡素化されてもよい。
【0028】
式(2)において、βμは地面摩擦抵抗係数を表す。それ以外、式(2)における他のパラメータは、式(1)における同一パラメータと同じ物理的意味を表す。
【0029】
図2は、本開示の実施例による速度-コマンド-輪縁トルクのキャリブレーションテーブルの模式図を示している。
【0030】
図2に示すように、x軸は車両速度を示し、単位がm/sである。車両速度は車両センサによって取得されてもよい。y軸は車両を制御するためのコマンド(即ち、制御コマンド)を示す。例えば、制御コマンドは、ユーザが車両アクセルペダルを踏みこむことで得られるペダルコマンドを含んでもよい。この場合、制御コマンドは車両アクセルペダルの開度パーセントとして示され、単位が%である。z軸は輪縁トルク値を示し、単位がN・mである。
【0031】
幾つかの実施例において、コマンドを極大-極小の区間範囲に基づいて10~20等分して、均一な間隔の10~20のコマンドを得てもよい。順次にこれらのコマンドに応じて、車両が静止から最高速度に加速したり、最高速度から静止に減速したりように制御することで、速度と、コマンドと、輪縁トルクとの間のマッピング関係、即ち、速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係を得る。コマンドが車両アクセルペダルの開度パーセントとして示される場合、速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係は、図2に示すような速度-コマンド-輪縁トルクのキャリブレーションテーブル、即ち、速度-ペダル開度-輪縁トルクのキャリブレーションテーブルとして示されてもよい。
【0032】
本開示の実施例によれば、センシングデータ収集と速度-コマンド-輪縁トルクのキャリブレーションテーブル作成とはオフライン状態で行われてもよく、一方、車両重量推定がオンラインで行われてもよい。リアルタイムオンラインの方式で車両重量推定を実行する場合、制御コマンド遅延及び車両加速度のフィルタリング遅延が存在し、かつ両方の遅延が一致していない可能性があることによって、制御コマンドに対してリアルタイムに収集された車両加速度とこの制御コマンドとが不整合になるため、制御コマンド遅延及び車両加速度のフィルタリング遅延を考慮して採用すべき制御コマンドと車両加速度とを決める必要がある。
【0033】
図3は、本開示の実施例による制御コマンド遅延及び車両加速度のフィルタリング遅延を考慮して採用すべき制御コマンドと車両加速度とを決める模式図を示している。
【0034】
図3は、2つのキャッシュキュー、即ち、コマンド(Cmd)キャッシュキューQuene1と加速度(Acc)キャッシュキューQuene2を示している。コマンドキャッシュキューQuene1及び加速度キャッシュキューQuene2の長さは、それぞれL1及びL2である。L1及びL2は、それぞれ制御コマンドの遅延と車両加速度のフィルタリング遅延とに基づいて算出され、即ち、
【0035】
【数9】
【0036】
キャッシュキューQuene1及びQuene2は、先入れ先出しの方式でデータをキャッシュする。図3において、キャッシュキューQuene1及びQuene2において最も右側のデータは最新のデータである。最新のデータを直接利用することにより、遅延を有する制御コマンドと、遅延を有するフィルタリングされた後の加速度データとが整合しない可能性があるため、本開示の実施例によれば、コマンドキャッシュキューQuene1と加速度キャッシュキューQuene2とを利用して、得られたL1番目の制御コマンドとL2番目のフィルタリングされた後の加速度データとが整合している。したがって、L1番目の制御コマンドに対して、L2番目のフィルタリングされた後の加速度データを、車両重量推定を実行するための入力データとして採用し、より正確な結果が得られる。
【0037】
幾つかの実施例によれば、収集されたデータの有効性を判断してもよい。例えば、実際のハンドル操舵角度<ハンドル最大操舵角*3%という条件に基づいて、収集されたデータの有効性を判断してもよい。実際のハンドル操舵角度が以上の条件を満たせば、対応する制御コマンドに対して、上記キャッシュ方式で得られた車両加速度、及びセンサによって取得された車両速度、並びにセンサによって得られた道路勾配角測定値(もし存在すれば)を有効データとして使用する。
【0038】
図4は、速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係を用いて車両の輪縁トルク値を取得する方法のフローチャートを示している。
【0039】
ステップS411において、車両の現在速度と制御コマンドとに応じて、速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係において現在速度が属するキャリブレーション区間及び制御コマンドが属するキャリブレーション区間を特定する。幾つかの実施例において、速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係は、速度-コマンド-輪縁トルクのキャリブレーションテーブルを含んでもよい。幾つかの実施例において、速度-コマンド-輪縁トルクのキャリブレーションテーブルは、速度-ペダル開度-輪縁トルクのキャリブレーションテーブルとして示されてもよい。
【0040】
ステップS412において、速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係に応じて、現在速度が属するキャリブレーション区間及び制御コマンドが属するキャリブレーション区間に基づいて、特定されたキャリブレーション区間に対応する複数の輪縁トルク値をそれぞれ取得する。
【0041】
ステップS413において、複数の輪縁トルク値に基づいて車両現在の速度及び制御コマンドに対応する輪縁トルク値を算出する。
【0042】
本開示の実施例によれば、速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係を用いて車両の輪縁トルク値を取得する方法は、車両重量を測定するためのハードウェアセンサを省くとともに、正確な輪縁トルク値を提供することができる。
【0043】
幾つかの実施例において、車両現在の速度と制御コマンドとに応じて、速度-コマンド-輪縁トルクのキャリブレーションテーブルにおいて線性補間を行うことで輪縁トルク値を取得してもよい。
【0044】
図5は、速度-コマンド-輪縁トルクのキャリブレーションテーブルにおいて線性補間を行って輪縁トルク値を取得する模式図を示している。
【0045】
図5において、vは車両の現在速度を表し、Cmdは制御コマンドを表し、Twheelは現在速度v及び制御コマンドCmdに対応する輪縁トルク値を表す。図5に示すように、速度-コマンド-輪縁トルクのキャリブレーションテーブルにおいて、車両の現在速度vと制御コマンドCmdとに応じて、現在速度v及び制御コマンドCmdがそれぞれ属するキャリブレーション区間[vt-1、v]、[Cmdt-1、Cmd]を見つけ、ただし、vとvt-1はそれぞれ現在速度が属するキャリブレーション区間における速度であり、CmdとCmdt-1はそれぞれ制御コマンドが属するキャリブレーション区間における制御コマンドである。
【0046】
図5に示すように、速度-コマンド-輪縁トルクのキャリブレーションテーブルにおいて、{v、Cmd}として示される点の周囲の4つの点が(vt-1、Cmdt-1)、(vt-1、Cmd)、(v、Cmdt-1)、(v、Cmd)にそれぞれ対応する。その後、(vt-1、Cmdt-1)、(vt-1、Cmd)、(v、Cmdt-1)、(v、Cmd)にそれぞれ対応するキャリブレーション輪縁トルク値T、T、T、Tを見つける。その後、以下の式によって算出しようとする輪縁トルク値Twheelを得る。
【0047】
【数10】
【0048】
本開示の実施例によれば、車両重量を測定するためのハードウェアセンサを省くと共に、正確な輪縁トルク値を提供することができる。
【0049】
図6は、本開示の実施例による車両縦方向動力学方程式に基づいて車両の重量を推定する方法のフローチャートを示している。
【0050】
ステップS621において、車両縦方向動力学方程式に対して忘却係数を有する最小二乗再帰方程式(RLS)を作成する。ここで、車両縦方向動力学方程式は、上記式(1)又は(2)に示す方程式であってもよい。
【0051】
ステップS622において、忘却係数を有する最小二乗再帰方程式(RLS)を用いて反復計算を行って、車両の重量を取得する。
【0052】
幾つかの実施例において、忘却係数を有する最小二乗再帰方程式(RLS)は、
【0053】
【数11】
【0054】
として示されてもよい。
【0055】
ただし、
【数12】
(mは車両重量であり、例えば、車種、ブランドなどに応じてmの初期値を設定してもよい)、
【数13】
はRLSアルゴリズムにおける推定すべき変数であり、kはk回目の反復計算を表し、
y(k)はRLSアルゴリズムが観測しようとする量であり、ここでは、k回目で観測された車両加速度
【数14】
を表し、
【数15】
の転置であり、ただし、Twheelは車両の輪縁トルクであり、rは車両の車輪ロール半径であり、vは車両速度であり、
【数16】
即ち等価風抵抗係数、ただし、ρは空気抵抗係数であり、Aは車両実効風上面積であり、Cは風抵抗係数であり、
L(k)は毎回の反復計算のゲインを表し、
P(k)はRLS計算の中間変数を表し、且つ、
λは忘却係数であり、且つ0<λ<1。幾つかの実施例において,λが0.97に設定される。
【0056】
本開示の実施例によれば、RLSアルゴリズムを利用することで、より正確に車両の重量を推定することができる。
【0057】
また、前文で説明した車両縦方向動力学方程式に示すように、道路勾配角βは車両重量を推定するためのキーパラメータであり、車両重量と高く整合し、勾配角パラメータ誤差が20%に達すれば、重量推定結果誤差が50%に達することになる。幾つかの実施例において、道路勾配角βは車両センサによって取得されてもよい。他の実施例において、道路勾配角βは拡張カルマンフィルタ(EKF)に基づいて推定されてもよい。
【0058】
以降、拡張カルマンフィルタ(EKF)に基づいて道路勾配角βを推定する方法を詳しく説明する。
【0059】
図7は、本開示の実施例による拡張カルマンフィルタ(EKF)に基づいて道路勾配角を推定する方法700のフローチャートを示している。
【0060】
ステップS710において、EKFのシステム状態方程式とEKFのシステム測定方程式とに基づいて、道路勾配角を推定する。幾つかの実施例において、道路勾配角を推定するためのシステム状態方程式は
【0061】
【数17】
【0062】
である。ただし、
【数18】
は道路勾配角β導関数の導関数を表す。それ以外、式(11)における他のパラメータは、式(1)における同一パラメータと同じ物理的意味を表す。
【0063】
EKFのシステムノイズベクトル及び測定ノイズベクトルはそれぞれWとVであり、WとVとは互いに独立し、かつ平均値がいずれもゼロである白色ガウスノイズであってもよく、得られたEKFのシステム状態方程式は、
【0064】
【数19】
【0065】
である。
【0066】
また、得られたEKFのシステム測定方程式は、
【0067】
【数20】
【0068】
である。
【0069】
以上の式(12)において、v(k)、v(k-1)はそれぞれk回目、k-1回目の反復計算によって算出された車両速度であり、ΔtはEKFを実際に使用する時の反復計算の周期を表し、β(k)、β(k-1)、β(k-2)及びβ(k-3)はそれぞれk回目、k-1回目、k-2回目、k-3回目の反復計算によって算出された道路勾配角である。幾つかの実施例において、車両センサによって取得された道路勾配角が存在する場合、β(k)、β(k-1)、β(k-2)及びβ(k-3)の初期値を車両センサによって取得された道路勾配角に設定する。車両センサによって取得された道路勾配角が存在しない場合、β(k)、β(k-1)、β(k-2)及びβ(k-3)の初期値を0に設定する。それ以外、式(12)における他のパラメータは、式(1)における同一パラメータと同じ物理的意味を表す。
【0070】
以上の式(13)において、z(k)はEKFが測定しようとする車両速度を表し、Hは測定行列であり、センサによって取得された道路勾配角が存在する場合、
【数21】
センサによって取得された道路勾配角が存在しない場合、
【数22】
【0071】
1つの実施例によれば、拡張カルマンフィルタ(EKF)による道路勾配角の推定方法700はステップS720をさらに含んでもよい。
【0072】
ステップS720において、EKFを用いて反復計算を行う時、EKFの時間更新方程式及び測定更新方程式を用いてEKFを更新する。具体的に、式(12)と式(13)を組合わせることによってEKFの状態空間数式:
【0073】
【数23】
【0074】
を得る。
【0075】
ただし、
【数24】
はプロセス状態非線性関数であり、
【数25】
は式(12)における数式
【0076】
【数26】
【0077】
である。
【0078】
EKFは、反復計算を行う時、
【数27】
を線性化する必要があるため、更新する度にヤコビ(Jacobian)行列F(k):
【0079】
【数28】
【0080】
を算出する必要がある。
【0081】
EKFのシステムノイズ共分散行列をQとし、得られたEKFの時間更新方程式は、
【0082】
【数29】
【0083】
である。
【0084】
EKFの測定ノイズ共分散行列をRとし、得られたEKFの測定更新方程式は、
【0085】
【数30】
【0086】
である。
【0087】
ただし、
【数31】
はEKFのシステム状態を表す。また、EKFに対して初期パラメータ設定を行う時、P(0)を10に設定し、R行列を
【数32】
に設定し、且つ実際のセンシングデータノイズ特性に応じてQ行列を設定する。
【0088】
本開示の実施例によれば、EKFに基づいて道路勾配角を推定することで、道路勾配角を測定するためのハードウェアセンサコストを低減するとともに、正確な道路勾配角を提供することができる。
【0089】
本開示の実施例によれば、センシングデータ収集及び速度-コマンド-輪縁トルクのキャリブレーションテーブル作成がオフライン状態で行われてもよく、一方、車両重量推定及び道路勾配角推定がオンラインで行われてもよい。速度-コマンド-輪縁トルクのキャリブレーションテーブルに基づいて、車両重量推定及び道路勾配角推定のために輪縁トルク情報を提供することができる。また、各車両動作周期内において、車両重量推定及び道路勾配角推定は、いずれも独立して並行に反復計算を行う。各車両動作周期内において、車両重量推定の重量値を道路勾配角推定の次の計算周期の内部パラメータとし、同様に、道路勾配角推定の道路勾配角を車両重量推定の次の計算周期の内部パラメータとする。
【0090】
本開示の実施例によれば、正確な車両重量及び道路勾配角情報を提供することができる。大型重荷重車両エネルギーの最適化適用において、正確な重量及び勾配角情報は車両全体コントローラが合理的にエネルギーを割り当てるように支持し、エネルギー消費を低減し、自動運転車両の航続距離を大幅に向上させることができる。また、本開示の実施例によれば、同等の精度の車両重量センサを替えて、ハードウェアコストを大幅に低減することができる。
【0091】
図8は、本開示の実施例による車両重量を推定するための装置800のブロック図を示している。
【0092】
図8に示すように、車両重量を推定するための装置800は、輪縁トルク値取得モジュール810と重量推定モジュール820とを含む。
【0093】
輪縁トルク値取得モジュール810は、車両の現在速度と車両に対する制御コマンドとに応じて、速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係を用いて車両の輪縁トルク値を取得するように配置されている。幾つかの実施例において、速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係は、速度-コマンド-輪縁トルクのキャリブレーションテーブルを含んでもよい。幾つかの実施例において、速度-コマンド-輪縁トルクのキャリブレーションテーブルは、事前に収集された車両制御コマンドと車両制御コマンドに対応する車両センシングデータとに基づいて予め決められてもよい。
【0094】
重量推定モジュール820は、取得された輪縁トルク値を用いて、車両縦方向動力学方程式に基づいて車両の重量を推定するように配置されている。幾つかの実施例において、車両縦方向動力学方程式は、車両走行状態データに基づいて作成されてもよく、且つ、車両走行状態データは、車両速度v、車両加速度
【数33】
、慣性モーメントJ、角加速度
【数34】
及び道路勾配角βのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0095】
幾つかの実施例において、輪縁トルク値取得モジュール810は、第1のサブモジュールと、第2のサブモジュールと、第3のサブモジュールとを含んでもよい。第1のサブモジュールは、車両の現在速度と制御コマンドとに応じて、速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係において現在速度が属すキャリブレーション区間、及び制御コマンドが属すキャリブレーション区間を特定する。第2のサブモジュールは、速度-コマンド-輪縁トルクのマッピング関係に基づいて、現在速度が属するキャリブレーション区間、及び制御コマンドが属するキャリブレーション区間に応じて、特定されたキャリブレーション区間に対応する複数の輪縁トルク値をそれぞれ取得する。第3のサブモジュールは、複数の輪縁トルク値から車両現在の速度及び制御コマンドに対応する輪縁トルク値を算出する。
【0096】
幾つかの実施例において、重量推定モジュール820は、第4のサブモジュールと第5のサブモジュールとを含んでもよい。第4のサブモジュールは、車両縦方向動力学方程式に対して忘却係数を有する最小二乗再帰方程式を作成する。第5のサブモジュールは、忘却係数を有する最小二乗再帰方程式を用いて反復計算を行い、車両の重量を取得する。
【0097】
本開示の実施例によれば、本開示は、電子機器、読取可能な記憶媒体及びコンピュータプログラムをさらに提供している。
【0098】
図9は、本開示の実施例を実施することが可能な例示的電子機器900の模式的ブロック図を示している。電子機器は、様々な形式のデジタルコンピュータを示すことを目的とし、例えば、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、大型コンピュータ及び他の適切なコンピュータである。電子機器は、さらに様々な形式の移動装置を示してもよく、例えば、パーソナルデジタルアシスタント、携帯電話、スマートフォン、ウェアラブル機器及び他の類似の演算装置である。本明細書に示された部材、それらの接続及び関係、並びにそれらの機能は、例示に過ぎず、本明細書に記載された及び/又は要求された本開示の実現を限定しない。
【0099】
図9に示すように、機器900は、計算手段901を含み、計算手段901は、リードオンリーメモリ(ROM)902に記憶されたコンピュータプログラム又は記憶手段908からランダムアクセスメモリ(RAM)903にロードされたコンピュータプログラムに基づいて、様々な適切な動作及び処理を実行してもよい。RAM903には、さらに機器900の操作に必要な様々なプログラム及びデータを記憶してもよい。計算手段901、ROM902、及びRAM903は、バス904を介して相互に接続される。入出力(I/O)インターフェース905も、バス904に接続される。
【0100】
機器900における複数の部品は、I/Oインターフェース905に接続され、例えばキーボード、マウス等の入力手段906と、例えば様々な種類のディスプレイ、スピーカ等の出力手段907と、例えば磁気ディスク、光ディスク等の記憶手段908と、例えばネットワークカード、モデム、無線通信トランシーバ等の通信手段909とを含む。通信手段909は、機器900がインターネット等のコンピュータネットワーク及び/又は各種の電気ネットワークを介して他の機器と情報・データをやり取りすることを可能にする。
【0101】
計算手段901は、処理及び演算能力を有する各種の汎用及び/又は専用の処理モジュールであってもよい。計算手段901の幾つかの例として、中央処理ユニット(CPU)、GPU(Graphics Processing Unit)、各種専用の人工知能(AI)演算チップ、各種機械学習モデルアルゴリズムをランニングする演算ユニット、DSP(Digital Signal Processor)、並びに任意の適切なプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等が挙げられるが、これらに限定されない。計算手段901は、前文で説明した各方法と処理、例えば、車両重量を推定するための方法を実行する。例えば、幾つかの実施例において、車両重量を推定するための方法は、例えば記憶手段908のような機械可読媒体に有形的に含まれるコンピュータソフトウェアプログラムとして実現されてもよい。いくつかの実施例において、コンピュータプログラムの一部又は全部は、ROM902及び/又は通信手段909を介して機器900にロード及び/又はインストールされてもよい。コンピュータプログラムがRAM903にロードされて計算手段901により実行される場合、前文で説明した車両重量を推定するための方法の1つ又は複数のステップを実行してもよい。代替的に、他の実施例において、計算手段901は、他の任意の適切な方式(例えば、ファームウェアを介する)により車両重量を推定するための方法を実行するように構成されてもよい。
【0102】
本明細書で以上に説明されたシステム及び技術の様々な実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準製品(ASSP)、システムオンチップ(SOC)、コンプレックスプログラムマブルロジックデバイス(CPLD)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせにおいて実現されてもよい。これらの様々な実施形態は、1つ又は複数のコンピュータプログラムにおいて実施され、該1つ又は複数のコンピュータプログラムは、少なくとも1つのプログラムマブルプロセッサを含むプログラムマブルシステムで実行され及び/又は解釈されることが可能であり、該プログラムマブルプロセッサは、専用又は汎用のプログラムマブルプロセッサであってもよく、記憶システム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び命令を受信し、かつデータ及び命令を該記憶システム、該少なくとも1つの入力装置、及び該少なくとも1つの出力装置に伝送することができることを含んでもよい。
【0103】
本開示の方法を実施するためのプログラムコードは、1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで作成されてもよい。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサ又はコントローラに提供されてもよく、それによって、プログラムコードがプロセッサ又はコントローラにより実行される時に、フローチャート及び/又はブロック図に規定された機能・操作が実施される。プログラムコードは、機器に完全に実行されてもよく、部分的に機器で実行されてもよく、独立したソフトウェアパッケージとして部分的に機器で実行され、かつ部分的に遠隔機器で実行されるか又は完全に遠隔機器又はサーバで実行されてもよい。
【0104】
本開示のコンテキストにおいて、機械可読媒体は、有形の媒体であってもよく、命令実行システム、装置又は電子機器に使用され、又は命令実行システム、装置又は電子機器と組み合わせて使用されるプログラムを含んで又は記憶してもよい。機械可読媒体は、機械可読信号媒体又は機械可読記憶媒体であってもよい。機械可読媒体は、電子の、磁気的、光学的、電磁的、赤外線の、又は半導体システム、装置又は電子機器、又は上記内容の任意の適切な組み合わせを含んでもよいが、それらに限定されない。機械可読記憶媒体のより具体的な例としては、1つ以上の線による電気的接続、携帯式コンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、又は上記内容の任意の適切な組み合わせを含む。
【0105】
ユーザとの対話を提供するために、コンピュータにここで説明されたシステム及び技術を実施させてもよく、該コンピュータは、ユーザに情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)と、キーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)とを備え、ユーザは、該キーボード及び該ポインティングデバイスを介して入力をコンピュータに提供することができる。他の種類の装置は、さらにユーザとの対話を提供してもよく、例えば、ユーザに提供されたフィードバックは、いかなる形式のセンシングフィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)であってもよく、かついかなる形式(音声入力、語音入力又は、触覚入力を含む)でユーザからの入力を受信してもよい。
【0106】
ここで説明されたシステム及び技術は、バックグラウンド部品を含むコンピューティングシステム(例えば、データサーバとする)、又はミドルウェア部品を含むコンピューティングシステム(例えば、アプリケーションサーバ)、又はフロントエンド部品を含むコンピューティングシステム(例えば、グラフィカルユーザインタフェース又はウェブブラウザを有するユーザコンピュータ、ユーザが該グラフィカルユーザインタフェース又は該ネットワークブラウザを介してここで説明されたシステム及び技術の実施形態と対話することができる)、又はこのようなバックグラウンド部品、ミドルウェア部品、又はフロントエンド部品のいずれかの組み合わせを含むコンピューティングシステムに実施されることが可能である。任意の形式又は媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)によりシステムの部品を互いに接続することができる。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)及びインターネットを例示的に含む。
【0107】
コンピュータシステムは、クライアント及びサーバを含んでもよい。クライアントとサーバ同士は、一般的に離れており、通常、通信ネットワークを介して対話する。クライアントとサーバとの関係は、該当するコンピュータ上でランニングし、クライアント-サーバの関係を有するコンピュータプログラムによって生成される。サーバは、クラウドサーバであってもよく、分散型システムのサーバであってもよく、又はブロックチェーンを組合せたサーバであってもよい。
【0108】
理解されるべきこととして、以上に示された様々な形式のフローを使用してもよく、操作を改めてソーティングしたり、追加したり又は削除してもよい。例えば、本開示に記載の各操作は、並列に実行されたり、順次に実行されたり、又は異なる順序で実行されてもよく、本開示に開示された技術案が所望する結果を実現することができれば、本明細書はここで限定されない。
【0109】
本開示の技術案では、係られたユーザ個人情報の取得、記憶及び応用などは、いずれも関連法律や法規の規定に合致しており、公序良俗に反していない。
【0110】
上記具体的な実施形態は、本開示の保護範囲を限定するものではない。当業者であれば、設計要件及び他の要因に応じて、様々な修正、組み合わせ、サブコンビネーション及び代替を行うことが可能であると理解すべきである。本開示の精神と原則内で行われる任意の修正、均等置換及び改良などは、いずれも本開示の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9