(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】給油式空気圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04C 29/04 20060101AFI20230919BHJP
F04B 39/06 20060101ALI20230919BHJP
F04B 49/10 20060101ALI20230919BHJP
F04C 18/16 20060101ALI20230919BHJP
F04C 29/02 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
F04C29/04 D
F04B39/06 P
F04B49/10 331N
F04C18/16 Q
F04C29/02 341Z
(21)【出願番号】P 2022544462
(86)(22)【出願日】2021-08-16
(86)【国際出願番号】 JP2021029876
(87)【国際公開番号】W WO2022044863
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2020141020
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】頼金 茂幸
(72)【発明者】
【氏名】森田 謙次
(72)【発明者】
【氏名】梶江 雄太
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-122585(JP,A)
【文献】特開2014-152744(JP,A)
【文献】特開平1-280611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 29/04
F04B 39/06
F04B 49/10
F04C 18/16
F04C 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮室に油を注入しつつ空気を圧縮する圧縮機本体と、前記圧縮機本体から吐出された圧縮空気から油を分離する分離器と、前記分離器で分離された油を前記圧縮機本体の圧縮室へ供給する給油系統とを備え、
前記給油系統は、油を冷却するオイルクーラと、前記オイルクーラをバイパスするバイパス配管と、油の温度に応じて前記オイルクーラの分流比と前記バイパス配管の分流比を調節する温度調節弁とを備えた、給油式空気圧縮機において、
前記給油系統に配置され、油の圧力を検出する第1の圧力センサと、
前記給油系統における前記第1の圧力センサの下流側に配置され、油の圧力を検出する第2の圧力センサと、
前記圧縮機本体の吐出側又は吸入側における空気の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサで検出された温度が所定値を超えることから、前記オイルクーラの分流比が100%、前記バイパス配管の分流比が0%であると推定したときに、前記第1の圧力センサで検出された圧力と前記第2の圧力センサで検出された圧力との差分を演算し、前記差分に基づいて油の劣化状態を判定する制御装置とを備えたことを特徴とする給油式空気圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載の給油式空気圧縮機において、
前記給油系統は、油中の不純物を除去するオイルフィルタを備え、
前記第1の圧力センサは、前記オイルフィルタの上流側に配置され、
前記第2の圧力センサは、前記オイルフィルタの下流側に配置されたことを特徴とする給油式空気圧縮機。
【請求項3】
請求項1に記載の給油式空気圧縮機において、
前記給油系統は、前記オイルクーラからの油と前記バイパス配管からの油が合流する合流部より下流側に配置され、油中の不純物を除去するオイルフィルタを備え、
前記第1の圧力センサは、前記オイルクーラの上流側に配置され、
前記第2の圧力センサは、前記オイルフィルタの下流側に配置されたことを特徴とする給油式空気圧縮機。
【請求項4】
請求項1に記載の給油式空気圧縮機において、
前記制御装置で判定された油の劣化状態を表示する表示装置を備えたことを特徴とする給油式空気圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油式空気圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、給油式空気圧縮機を開示する。この給油式空気圧縮機は、圧縮機本体、分離器、及び給油系統を備える。圧縮機本体は、圧縮室のシール、圧縮熱の冷却、及びロータの潤滑などを目的として圧縮室に油を注入しつつ、空気を圧縮する。分離器は、圧縮機本体から吐出された圧縮空気から油を分離して貯留する。
【0003】
給油系統は、分離器で貯留された油を圧縮機本体の圧縮室等へ供給する。給油系統は、油を冷却するオイルクーラと、オイルクーラをバイパスするバイパス配管と、油の温度に応じてオイルクーラの分流比とバイパス配管の分流比を調節する温度調節弁とを備える。
【0004】
特許文献2は、例えば車両のエンジンの潤滑剤として使用される油の劣化状態を判定する技術を開示する。特許文献2では、油流通管の上流側と下流側の差圧を検出する差圧センサを設け、差圧センサで検出された差圧に基づいて油の粘度を演算し、この粘度を予め設定された閾値と比較して油の劣化状態を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-144685号公報
【文献】実開平02-026711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
給油式空気圧縮機で使用される油は、圧縮機本体と分離器の間で循環され、圧縮機本体にて空気と共に圧縮される。圧縮機本体の運転時間の経過に伴い、油の劣化が進行する。そのため、一般的に、圧縮機本体の運転時間に基づいて、油の交換時期が設定されている。しかしながら、圧縮機本体の使用環境や運転負荷によって、油の劣化の進行具合が変化するため、油の交換時期を変更することが好ましい。
【0007】
そこで、給油式空気圧縮機において、特許文献2に記載の技術を採用して油の劣化状態を判定し、その判定結果に基づいて油を交換することが考えられる。すなわち、例えば、給油系統における上流側及び下流側の圧力をそれぞれ検出する第1及び第2の圧力センサを設け、第1の圧力センサで検出された圧力と第2の圧力センサで検出された圧力との差分を演算し、この差分に基づいて油の劣化状態を判定し、その判定結果に基づいて油を交換することが考えられる。
【0008】
しかしながら、第1又は第2の圧力センサの位置における油の流量は、上述した温度調節弁の状態、すなわち、オイルクーラの分流比とバイパス配管の分流比に応じて変動する。例えばオイルクーラからの油とバイパス配管からの油が合流する合流部より下流側に、第1及び第2の圧力センサが配置された場合を想定して、詳細を説明する。オイルクーラの圧力損失がバイパス配管の圧力損失より大きいから、オイルクーラの分流比が大きくなるほど、第1又は第2の圧力センサの位置における油の流量が減少する。これに伴い、第1の圧力センサで検出された圧力と第2の圧力センサで検出された圧力との差分も変動する。したがって、油の劣化状態の判定精度が低下する。
【0009】
本発明は、上記事柄に鑑みてなされたものであり、油の劣化状態の判定精度を高めることを課題の一つとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、特許請求の範囲に記載の構成を適用する。本発明は、上記課題を解決するための手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、圧縮室に油を注入しつつ空気を圧縮する圧縮機本体と、前記圧縮機本体から吐出された圧縮空気から油を分離する分離器と、前記分離器で分離された油を前記圧縮機本体の圧縮室へ供給する給油系統とを備え、前記給油系統は、油を冷却するオイルクーラと、前記オイルクーラをバイパスするバイパス配管と、油の温度に応じて前記オイルクーラの分流比と前記バイパス配管の分流比を調節する温度調節弁とを備えた、給油式空気圧縮機において、前記給油系統に配置され、油の圧力を検出する第1の圧力センサと、前記給油系統における前記第1の圧力センサの下流側に配置され、油の圧力を検出する第2の圧力センサと、前記圧縮機本体の吐出側又は吸入側における空気の温度を検出する温度センサと、前記温度センサで検出された温度が所定値を超えることから、前記オイルクーラの分流比が100%、前記バイパス配管の分流比が0%であると推定したときに、前記第1の圧力センサで検出された圧力と前記第2の圧力センサで検出された圧力との差分を演算し、前記差分に基づいて油の劣化状態を判定する制御装置とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、油の劣化状態の判定精度を高めることができる。
【0012】
なお、上記以外の課題、構成及び効果は、以下の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態における給油式空気圧縮機の構成を表す概略図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態における圧縮機本体の吸入側の空気温度と吐出側の空気温度と温度調節弁の状態との関係を表す図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態における給油式空気圧縮機の構成を表す概略図である。
【
図4】本発明の一変形例における給油式空気圧縮機の構成を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態を、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、本実施形態における給油式空気圧縮機の構成を表す図である。
図2は、本実施形態における圧縮機本体の吸入側の空気温度と吐出側の空気温度と温度調節弁の状態との関係を表す図である。
【0015】
本実施形態の給油式空気圧縮機1は、電動機2と、電動機2によって駆動され、空気を圧縮する圧縮機本体3と、圧縮機本体3の吸入側に設けられた吸入フィルタ4及び吸入弁5と、圧縮機本体3の吐出側に設けられた分離器6と、分離器6の上部に接続された圧縮空気系統7と、分離器6の下部と圧縮機本体3の間で接続された給油系統8と、制御装置9と、表示装置10(詳細には、例えばディスプレイ又は表示灯)とを備える。なお、給油式空気圧縮機1は、前述した機器を筐体内に収納した圧縮機ユニットとして構成されている。
【0016】
圧縮機本体3は、互いに噛み合う雌雄一対のスクリューロータ(
図1では、一方のスクリューロータのみ示す)と、スクリューロータを収納するケーシングとを有しており、スクリューロータの歯溝に複数の圧縮室が形成されている。電動機2によってスクリューロータが回転すると、圧縮室がロータの軸方向(
図1の右方向)に移動する。圧縮室は、吸入フィルタ4及び吸入弁5を介して空気を吸入し、空気を圧縮し、圧縮空気を分離器6へ吐出する。圧縮機本体3は、圧縮室のシール、圧縮熱の冷却、及びロータの潤滑などを目的として、圧縮室に油を注入するようになっている。
【0017】
分離器6は、油を含む圧縮空気を旋回させる旋回流路を有し、遠心分離によって圧縮空気から油を一次分離し、分離した油を貯留する。分離器6の内部には、圧縮空気の温度T1を検出する吐出温度センサ11が設けられている。
【0018】
圧縮空気系統7は、分離器6で分離された圧縮空気を、圧縮機の外部へ供給する。圧縮空気系統7は、濾過分離によって圧縮空気から油を二次分離するセパレータエレメント12と、セパレータエレメント12の下流側に配置された調圧逆止弁13と、調圧逆止弁13の下流側に配置され、圧縮空気を冷却するアフタークーラ14と、アフタークーラ14の下流側に配置され、圧縮空気を除湿するドライヤ15と、アフタークーラ14とドライヤ15の間に配置され、圧縮空気の圧力P1を検出する吐出圧力センサ16とを備える。アフタークーラ14は、冷却ファン17で誘起された冷却風との熱交換により、圧縮空気を冷却する。
【0019】
制御装置9は、図示しないものの、プログラムに基づいて演算処理や制御処理を実行する演算制御部(例えばCPU)と、プログラムや演算処理の結果を記憶する記憶部(例えばROM、RAM)等を有するものである。制御装置9は、図示しない運転スイッチの操作等に応じて電動機2の駆動を制御する。
【0020】
制御装置9は、吐出圧力センサ16で検出された圧力P1が制御圧力となるように、図示しないインバータを介し電動機2の回転数を可変制御してもよい。また、制御装置9は、吐出圧力センサ16で検出された圧力P1が上限圧力まで上昇したときに、吸入弁5を閉状態にして無負荷運転に切換え、吐出圧力センサ16で検出された圧力P1が下限圧力まで下降したときに、吸入弁5を開状態にして負荷運転に切換えてもよい。
【0021】
給油系統8は、分離器6と圧縮機本体3との圧力差により、分離器6で貯留された油を圧縮機本体3の圧縮室等へ供給する。給油系統8は、油を冷却するオイルクーラ18と、オイルクーラ18をバイパスするバイパス配管19と、油の温度に応じてオイルクーラ18の分流比とバイパス配管19の分流比を調節する温度調節弁20と、オイルクーラ18からの油とバイパス配管19からの油が合流する合流部より下流側に配置され、油中の不純物を除去するオイルフィルタ21と、オイルフィルタ21の上流側(詳細には、前述した合流部の下流側)に配置され、油の圧力P2を検出する圧力センサ22Aと、オイルフィルタ21の下流側に配置され、油の圧力P3を検出する圧力センサ22Bとを備える。オイルクーラ18は、冷却ファン17で誘起された冷却風との熱交換により、油を冷却する。
【0022】
温度調節弁20は、三方弁であって、例えば油の温度に応じてワックスの体積が変化することにより、オイルクーラ側出口の開口率とバイパス配管側出口の開口率が変化するように構成されている。そして、
図2で示すように、圧縮機本体3の吸入側の空気温度が所定の範囲Ts1~Ts2内である場合に、温度調節弁20は、圧縮機本体3の吐出側の空気温度が所定値Td1(詳細には、ドレン発生限界温度以上の温度)となるように、オイルクーラ18の分流比とバイパス配管19の分流比を調節する。圧縮機本体3の吸入側の空気温度が所定値Ts2であるとき、オイルクーラ18の分流比が100%、バイパス配管19の分流比が0%となる。
【0023】
圧縮機本体3の吸入側の空気温度が所定値Ts2を超える場合に、オイルクーラ18の分流比が100%、バイパス配管19の分流比が0%となり、圧縮機本体3の吐出側の空気温度が所定値Td1を超える。この場合、圧縮機本体3の吸入側の空気温度の上昇に応じて、圧縮機本体3の吐出側の空気温度が上昇する。
【0024】
ここで、本実施形態の最も大きな特徴として、制御装置9は、吐出温度センサ11で検出された温度T1が所定値Td1を超えるかどうかを判定し、吐出温度センサ11で検出された温度T1が所定値Td1を超えた場合に、オイルクーラ18の分流比が100%、バイパス配管19の分流比が0%であると推定する。このとき、圧力センサ22Aで検出された圧力P2と圧力センサ22Bで検出された圧力P3との差分ΔPを演算し、差分ΔPに基づいて油の劣化状態を判定する。
【0025】
詳しく説明すると、制御装置9は、例えば、下記の式(1)を用いて、差分ΔPから油の動粘度νを演算する。式中のAは、比例定数であって、圧力センサ22A,22Bの間における配管の長さや内径などによって変わる値である。式中のQは、圧力センサ22A又は22Bの位置における油の流量であって、オイルクーラ18の分流比が100%、バイパス配管19の分流比が0%であるときの値である。式中のρは、油の密度である。制御装置9は、油の温度と密度との関係を記憶しており、吐出温度センサ11で検出された圧縮空気の温度が油の温度とほぼ同じであることから、この温度に対応する油の密度ρを求める。
【0026】
【0027】
制御装置9は、上記の式(1)を用いて演算された動粘度νを予め設定された閾値と比較して、油の劣化状態を判定する。そして、動粘度νが閾値以上である場合に、例えば、表示装置10に表示指令を出力して、油の交換を促すためのメッセージをディスプレイに表示させるか、若しくは、表示灯を点灯させる。
【0028】
以上のように本実施形態では、圧力センサ22Aで検出された圧力P2と圧力センサ22Bで検出された圧力P3との差分ΔPを演算し、差分ΔPに基づいて油の劣化状態を判定することができる。また、吐出温度センサ11で検出された温度が所定値Td1を超えるという条件、すなわち、オイルクーラ18の分流比が100%、バイパス配管19の分流比が0%であって、圧力センサ22A又は22Bの位置における油の流量が変動しない条件で、前述した演算及び判定を行う。そのため、油の劣化状態の判定精度を高めることができる。
【0029】
本発明の第2の実施形態を、
図3を用いて説明する。
図3は、本実施形態における給油式空気圧縮機の構成を表す図である。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0030】
本実施形態の給油式空気圧縮機1は、圧縮機本体3の吸入側における空気の温度T2を検出する吸入温度センサ(大気温度センサ)23を備える。
【0031】
本実施形態の制御装置9は、吸入温度センサ23で検出された温度T2が所定値Ts2(上述の
図2参照)を超えるかどうかを判定し、吸入温度センサ23で検出された温度T2が所定値Ts2を超えた場合に、オイルクーラ18の分流比が100%、バイパス配管19の分流比が0%であると推定する。このとき、圧力センサ22Aで検出された圧力P2と圧力センサ22Bで検出された圧力P3との差分ΔPを演算し、差分ΔPに基づいて油の劣化状態を判定する。
【0032】
詳しく説明すると、制御装置9は、例えば、上記の式(1)を用いて、差分ΔPから油の動粘度νを演算する。なお、制御装置9は、油の温度と密度との関係や、圧縮機本体3の吸入側の空気の温度と吐出側の圧縮空気の温度との関係を記憶しており、吸入温度センサ23で検出された温度から吐出側の圧縮空気の温度を求める。そして、圧縮空気の温度が油の温度とほぼ同じであることから、この油の温度に対応する油の密度ρを求める。
【0033】
制御装置9は、上記の式(1)を用いて演算された動粘度νを予め設定された閾値と比較して、油の劣化状態を判定する。そして、動粘度νが閾値以上である場合に、例えば、表示装置10に表示指令を出力して、油の交換を促すためのメッセージをディスプレイに表示させるか、若しくは、表示灯を点灯させる。
【0034】
以上のように本実施形態では、圧力センサ22Aで検出された圧力P2と圧力センサ22Bで検出された圧力P3との差分ΔPを演算し、差分ΔPに基づいて油の劣化状態を判定することができる。また、吸入温度センサ23で検出された温度T2が所定値Ts2を超えるという条件、すなわち、オイルクーラ18の分流比が100%、バイパス配管19の分流比が0%であって、圧力センサ22A又は22Bの位置における油の流量が変動しない条件で、前述した演算及び判定を行う。そのため、油の劣化状態の判定精度を高めることができる。
【0035】
なお、第1及び第2の実施形態において、制御装置9は、圧力の差分ΔPに基づいて演算された油の動粘度νを、油の温度に依らずに固定された閾値と比較して、油の劣化状態を判定する場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、制御装置9は、圧力の差分ΔPに基づいて演算された油の動粘度νを、油の温度に応じて可変された閾値と比較して、油の劣化状態を判定してもよい。
【0036】
また、第1及び第2の実施形態において、制御装置9は、圧力の差分ΔPに基づいて油の動粘度νを演算する場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、制御装置9は、圧力の差分ΔPを、油の温度に依らずに固定された閾値と比較して、油の劣化状態を判定してもよい。また、例えば、制御装置9は、圧力の差分ΔPを、油の温度に応じて可変された閾値と比較して、油の劣化状態を判定してもよい。
【0037】
また、第1及び第2の実施形態において、圧力センサ22Aは、オイルフィルタ21の上流側(詳細には、オイルクーラ18からの油とバイパス配管19からの油が合流する合流部より下流側)に配置され、圧力センサ22Bは、オイルフィルタ21の下流側に配置された場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば
図4で示す変形例のように、圧力センサ22Aは、オイルクーラ18の上流側(詳細には、オイルクーラ18とバイパス配管19へ油が分流する分流部より下流側)に配置されてもよい。
【0038】
また、第1及び第2の実施形態において、圧縮機本体3は、スクリューロータ式であって、雌雄一対のスクリューロータを備えた場合を例にとって説明したが、これに限られない。圧縮機本体は、例えば、1つのスクリューロータと複数のゲートロータを備えてもよい。また、圧縮機本体は、スクリューロータ式以外の他の容積形(詳細には、ツース式又はレシプロ式など)であってもよいし、ターボ形であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…給油式空気圧縮機、3…圧縮機本体、6…分離器、8…給油系統、9…制御装置、10…表示装置、11…吐出温度センサ、18…オイルクーラ、19…バイパス配管、20…温度調節弁、21…オイルフィルタ、22A,22B…圧力センサ、23…吸入温度センサ